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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/04 20060101AFI20231127BHJP
   A47L 9/28 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
A47L9/04 A
A47L9/28 K
A47L9/28 N
A47L9/28 P
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020190043
(22)【出願日】2020-11-16
(65)【公開番号】P2022079082
(43)【公開日】2022-05-26
【審査請求日】2023-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100157808
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 耕平
(72)【発明者】
【氏名】土屋 武士
(72)【発明者】
【氏名】森本 開
(72)【発明者】
【氏名】都築 真一
(72)【発明者】
【氏名】樽谷 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】小泉 仁世
(72)【発明者】
【氏名】田端 亜南
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-039571(JP,A)
【文献】特開2008-278947(JP,A)
【文献】特開2009-028499(JP,A)
【文献】特開平08-047674(JP,A)
【文献】特開2010-110344(JP,A)
【文献】特表2013-501596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/04
A47L 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵埃を吸引する吸引力を発生する掃除機本体と、
前記掃除機本体に取り付けられているとともに、掻取ローラと、前記掻取ローラに対して左右方向に並ぶように配置された他の掻取ローラと、により塵埃を掻き取る吸込具と、
前記掻取ローラ及び前記他の掻取ローラに付着した塵埃の除去を促す除去動作を前記吸込具に実行させる制御部と、を備え
前記掻取ローラ及び前記他の掻取ローラの外周部には、前記掻取ローラ及び前記他の掻取ローラが回転したときに床面に擦り付けられて弾性変形するブラシ部がそれぞれ設けられており、
前記吸込具は、前記掻取ローラを駆動する駆動力を発生させるモータと、前記他の掻取ローラを回転させる駆動力を発生させる他のモータと、を含み、
前記制御部は、所定のベース運転動作時における前記掻取ローラの周速よりも高い周速で前記掻取ローラが回転するように前記モータを制御しつつ、前記他の掻取ローラの周速が前記掻取ローラの周速よりも低くなるように前記他のモータを制御することにより、前記除去動作を前記吸込具に実行させるように構成されている、掃除機。
【請求項2】
前記制御部は、前記掻取ローラの周速が前記ベース運転動作時における周速よりも高くなっている状態で前記掻取ローラを所定期間において回転させた後に前記掻取ローラの周速を前記ベース運転動作時における周速に戻すように前記モータを制御する、請求項に記載の掃除機。
【請求項3】
前記吸込具は、前記掃除機本体の前記吸引力を受けて塵埃を吸引する吸込空間を形成している吸込ハウジングを含み、
前記掻取ローラ及び前記他の掻取ローラは、前記吸込空間に配置されており、
前記制御部は、前記吸引力が増すように前記掃除機本体を制御することにより、前記除去動作を前記掃除機本体に実行させる、請求項1又は2に記載の掃除機。
【請求項4】
前記制御部は、前記掻取ローラの周速が前記ベース運転動作時の周速よりも高い状態で前記掻取ローラを所定期間回転させた後に、前記掻取ローラの周速を前記ベース運転動作時の周速に戻すように前記モータを制御するとともに、前記所定期間の後に前記他の掻取ローラの周速を前記ベース運転動作時の周速よりも高くなるように前記他のモータを制御する、請求項に記載の掃除機。
【請求項5】
前記モータ及び前記他のモータへ供給される電流を検出する電流検出部を更に備え、
前記モータ及び前記他のモータへ供給される電流がともに第1電流閾値を上回っていることを前記電流検出部が検出したことを条件として、前記制御部は、前記除去動作を前記吸込具に実行させるように構成されている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の掃除機。
【請求項6】
前記吸込具が床面から離れているか否かを検出する離間検出部を更に備え、
前記吸込具が床面から離れていないとの検出結果が前記離間検出部から得られ、且つ、前記モータ及び前記他のモータへ供給される電流がともに前記第1電流閾値を上回っていることを条件として、前記制御部は、前記除去動作を前記吸込具に実行させるように構成されている、請求項に記載の掃除機。
【請求項7】
前記吸込具が床面から離れているとの検出結果が前記離間検出部から得られた場合には、前記制御部は、前記電流検出部が検出した電流の大きさが前記第1電流閾値よりも小さな第2電流閾値を上回ったときに、前記吸込具に前記除去動作を実行させるように構成されている、請求項に記載の掃除機。
【請求項8】
前記吸込具が床面から離れているか否かを検出する離間検出部を更に備え、
前記吸込具が床面から離れているとの検出結果が前記離間検出部から得られたことを条件として、前記制御部は、前記除去動作を前記吸込具に実行させるように構成されている、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の掃除機。
【請求項9】
前記吸込具が床面から離れているか否かを検出する離間検出部を更に備え、
前記吸込具が床面から離れているとの検出結果が前記離間検出部から得られた場合には、前記吸込具が床面から離れていないとの検出結果が前記離間検出部から得られた場合よりも大きな周速差が前記掻取ローラと前記他の掻取ローラとの間で得られるように、前記制御部は、前記モータ及び前記他のモータを制御する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の掃除機。
【請求項10】
前記掻取ローラ及び前記他の掻取ローラは、前記掻取ローラの先端及び前記他の掻取ローラの先端が互いに間隔を空けて対向するように配置されているとともに前記先端に向けて細くなるテーパ形状を有しており、
前記掃除機は、前記掻取ローラの前記先端及び前記他の掻取ローラの前記先端の間の空間に挟まった塵埃を光学的に検出する光学検出部を更に備えている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の掃除機。
【請求項11】
前記吸込具が床面から離れているか否かを検出する離間検出部を更に備え、
前記吸込具が床面から離れていないとの検出結果が前記離間検出部から得られ、且つ、前記光学検出部が塵埃を検出したことを条件として、前記制御部は、前記除去動作を前記吸込具に実行させるように構成されている、請求項1に記載の掃除機。
【請求項12】
塵埃を吸引する掃除機であって、
塵埃を吸引する吸引力を発生する掃除機本体と、
前記掃除機本体に取り付けられているとともに、掻取ローラと、前記掻取ローラに対して左右方向に並ぶように配置された他の掻取ローラと、により塵埃を掻き取る吸込具と、
前記掻取ローラ及び前記他の掻取ローラに付着した塵埃の除去を促す除去動作又は前記掻取ローラ及び前記他の掻取ローラへの塵埃の付着を通知する通知動作を前記掃除機本体又は前記吸込具に実行させる制御部と、を備え、
前記掻取ローラ及び前記他の掻取ローラは、前記掻取ローラの先端及び前記他の掻取ローラの先端が互いに間隔を空けて対向するように配置されているとともに前記先端に向けて細くなるテーパ形状を有しており、
前記掃除機は、前記掻取ローラの前記先端及び前記他の掻取ローラの前記先端の間の空間に挟まった塵埃を光学的に検出する光学検出部を更に備え、
前記制御部は、前記光学検出部が前記空間に挟まった塵埃を検出すると、前記除去動作又は前記通知動作を前記掃除機本体又は前記吸込具に実行させるように構成されている、掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵埃を掻き取りながら吸引する掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
塵埃を掻き取りながら吸引する様々な掃除機が開発されている(特許文献1を参照)。特許文献1の掃除機は、塵埃を吸引する吸引力を発生する掃除機本体を有している。掃除機本体は、塵埃が流れる塵埃流路を形成している管部材を含み、管部材の先端には吸込具が取り付けられている。
【0003】
吸込具は、管部材の先端に取り付け可能に構成された吸込ハウジングを備えている。吸込ハウジングは、上述の塵埃流路よりも幅広の吸込空間を形成するように構成されている。吸込空間には、幅方向に延設された掻取ローラが配置されている。掻取ローラは、吸込ハウジングにより回転可能に保持され、吸込ハウジングに内蔵されたモータによって駆動されて床面上を転動しながら塵埃を掻き取る。
【0004】
特許文献1に開示された掻取ローラは、その直径が掻取ローラの長手方向において中央位置に向けて小さくなる形状に形成されている。このため、長い塵埃(たとえば、毛髪)が掻取ローラに螺旋状に巻き付いても、長い塵埃の一部が他の部分に重なり合わなくなるので、長い塵埃は、掻取ローラからほどけやすくなる。これにより、特許文献1の掃除機は、長い塵埃が掻取ローラに巻き付いたままの状態が維持されることを防ぎ、掻取ローラの掻取能力の低下を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-188951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術は、掻取ローラの形状を工夫することにより、掻取ローラからの長い塵埃の除去を容易にしている。しかしながら、掻取ローラに付着し得る塵埃の形状は様々であり、掻取ローラの形状の工夫だけでは、様々な形状の塵埃を掻取ローラから除去することはできない。
【0007】
本発明は、掻取ローラの形状の工夫に頼ることなく、塵埃を除去可能に構成された掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の局面に係る掃除機は、塵埃を吸引する吸引力を発生する掃除機本体と、前記掃除機本体に取り付けられてとともに、掻取ローラと、前記掻取ローラに対して左右方向に並ぶように配置された他の掻取ローラと、により塵埃を掻き取る吸込具と、前記掻取ローラ及び前記他の掻取ローラに付着した塵埃の除去を促す除去動作を前記吸込具に実行させる制御部と、を備えている。前記掻取ローラ及び前記他の掻取ローラの外周部には、前記掻取ローラ及び前記他の掻取ローラが回転したときに床面に擦り付けられて弾性変形するブラシ部がそれぞれ設けられている。前記吸込具は、前記掻取ローラを駆動する駆動力を発生させるモータと、前記他の掻取ローラを回転させる駆動力を発生させる他のモータと、を含んでいる。前記制御部は、所定のベース運転動作時における前記掻取ローラの周速よりも高い周速で前記掻取ローラが回転するように前記モータを制御しつつ、前記他の掻取ローラの周速が前記掻取ローラの周速よりも低くなるように前記他のモータを制御することにより、前記除去動作を前記吸込具に実行させるように構成されている。
【0009】
上述の構成によれば、制御部は、吸込具に除去動作を実行させる。吸込具が除去動作を実行する場合、掻取ローラの形状ではなく吸込具の動作により、塵埃の除去が促されるので、掻取ローラの形状の工夫に頼ることなく、塵埃を掻取ローラから除去することができる
【0011】
除去動作において、吸込具が床面に置かれている状態で掻取ローラの周速が増せば、ブラシ部の弾性変形の頻度も増す。この結果、ブラシ部の周囲の塵埃がブラシ部の復元力を受ける頻度も増し、ブラシ部の周囲に付着した塵埃の除去が促される。とくに、掻取ローラ及び他の掻取ローラが左右に並ぶように配置されている場合、塵埃がこれらの掻取ローラに跨って付着することがある。このような塵埃を除去するために、他の掻取ローラの周速をベース運転動作時における周速に維持しつつ掻取ローラの周速がベース運転動作時の周速から増加される。この結果、左右に並んだ掻取ローラの間に周速差が生ずる。この周速差により、掻取ローラ及び他の掻取ローラに跨って付着した塵埃に捩じり力を加えることができる。この捩じり力により、掻取ローラからの塵埃の除去が促される。
【0012】
上述の構成に関して、前記制御部は、前記掻取ローラの周速が前記ベース運転動作時における周速よりも高くなっている状態で前記掻取ローラを所定期間において回転させた後に前記掻取ローラの周速を前記ベース運転動作時における周速に戻すように前記モータを制御してもよい。
【0013】
上述の構成によれば、掻取ローラの周速が増すと、ブラシ部が床面に擦れる回数が増え、ノイズが増加し得る。大きなノイズが長期間に亘って発生することを防ぐために、制御部は、掻取ローラの周速が高くなっている状態を所定期間だけ続けた後にベース運転動作時の周速に戻すようにモータを制御している。
【0014】
上述の構成に関して、前記吸込具は、前記掃除機本体の前記吸引力を受けて塵埃を吸引する吸込空間を形成している吸込ハウジングを含んでいてもよい。前記掻取ローラ及び前記他の掻取ローラは、前記吸込空間に配置されていてもよい。前記制御部は、前記吸引力が増すように前記掃除機本体を制御して、前記除去動作を前記掃除機本体に実行させてもよい。
【0015】
上述の構成によれば、掃除機本体の吸引力が増すと、吸込空間に作用する吸引力が増す。吸込空間には、掻取ローラ及び他の掻取ローラが配置されているので、掻取ローラ及び他の掻取ローラに付着した塵埃は、増加した吸引力を受け、掃除機本体に吸い込まれやすくなる。
【0018】
上述の構成に関して、前記制御部は、前記掻取ローラの周速が前記ベース運転動作時の周速よりも高い状態で前記掻取ローラを所定期間回転させた後に、前記掻取ローラの周速を前記ベース運転動作時の周速に戻すように前記モータを制御するとともに、前記所定期間の後に前記他の掻取ローラの周速を前記ベース運転動作時の周速よりも高くなるように前記他のモータを制御してもよい。
【0019】
上記の構成によれば、掻取ローラと他の掻取ローラとの間で周速差が設けられた状態でこれらの掻取ローラを回転した後、これらの掻取ローラの周速の大小関係が逆転するようにモータ及び他のモータが制御される。この結果、反対向きの捩じり力が、掻取ローラ及び他の掻取ローラに跨って付着した塵埃に作用し、掻取ローラからの塵埃の除去が促される。
【0020】
上述の構成に関して、掃除機は、前記モータ及び前記他のモータへ供給される電流を検出する電流検出部を更に備えていてもよい。前記モータ及び前記他のモータへ供給される電流がともに第1電流閾値を上回っていることを前記電流検出部が検出したことを条件として、前記制御部は、前記除去動作を前記吸込具に実行させるように構成されていてもよい。
【0021】
上述の構成によれば、掻取ローラ及び他の掻取ローラに塵埃が付着すれば、掻取ローラ及び他の掻取ローラの回転は、塵埃により抵抗を受ける。この場合、モータ及び他のモータに対する負荷が増え、これらのモータへ供給される電流が増加する。電流検出部が、第1電流閾値を上回るほどの電流をモータ及び他のモータについて検出すれば、塵埃が掻取ローラ及び他の掻取ローラに跨って付着していることが想定される。この場合、制御部は、モータ及び他のモータを個別に制御して、掻取ローラと他の掻取ローラとの間で周速差を生じさせるので、これらの掻取ローラに跨って付着した塵埃に捩じり力を加え、塵埃の除去を促すことができる。
【0022】
上述の構成に関して、掃除機は、前記吸込具が床面から離れているか否かを検出する離間検出部を更に備えてもよい。前記吸込具が床面から離れていないとの検出結果が前記離間検出部から得られ、且つ、前記モータ及び前記他のモータへ供給される電流がともに前記第1電流閾値を上回っていることを条件として、前記制御部は、前記除去動作を前記吸込具に実行させるように構成されていてもよい。
【0023】
上述の構成によれば、吸込具が床面から離れていない状態において掻取ローラと他の掻取ローラとの間で周速差が設けられると、吸込具が左方又は右方に曲がろうとする。すなわち、除去動作に伴う掻取ローラと他の掻取ローラとの周速差は、吸込具の操舵性の問題を引き起こし得る。したがって、掻取ローラと他の掻取ローラとの周速差が不必要に設けられることは望ましくない。このため、掻取ローラと他の掻取ローラとに跨って塵埃が付着している可能性が高いことを、モータ及び他のモータへの供給電流と第1電流閾値との比較により確認した上で、除去動作が実行される。
【0024】
上述の構成に関して、前記吸込具が床面から離れているとの検出結果が前記離間検出部から得られた場合には、前記制御部は、前記電流検出部が検出した電流の大きさが前記第1電流閾値よりも小さな第2電流閾値を上回ったときに、前記吸込具に前記除去動作を実行させるように構成されていてもよい。
【0025】
上述の構成によれば、吸込具が床面から離れていない場合には、吸込具が床面から離れている場合よりも、モータ及び他のモータに対する負荷は、ブラシ部が床面に擦れる分だけ高くなる。したがって、吸込具が床面から離れていないとの検出結果が離間検出部から得られた場合には、電流検出部が検出した電流の大きさが比較的大きな第1電流閾値を上回ったときに、制御部は、吸込具に除去動作を実行させる。一方、吸込具が床面から離れている場合には、電流検出部が検出した電流の大きさが比較的小さな第2電流閾値を上回ったときに、制御部は、吸込具に除去動作を実行させる。
【0026】
上述の構成に関して、掃除機は、前記吸込具が床面から離れているか否かを検出する離間検出部を更に備えていてもよい。前記吸込具が床面から離れているとの検出結果が前記離間検出部から得られたことを条件として、前記制御部は、前記除去動作を前記吸込具に実行させるように構成されていてもよい。
【0027】
上述の構成によれば、吸込具が床面から離れている状態では、吸込具の操舵性の問題は生じない。したがって、掻取ローラ及び他の掻取ローラに跨って塵埃が付着している可能性が高いことを確認するための処理を行うことなく、掻取ローラと他の掻取ローラとの周速差が設けられてもよい。すなわち、吸込具が床面から離れるたびにこれらの掻取ローラ間で周速差が設けられてもよい。この結果、除去動作の頻度が上がり、これらの掻取ローラからの塵埃の除去が促される。
【0028】
上述の構成に関して、掃除機は、前記吸込具が床面から離れているか否かを検出する離間検出部を更に備えていてもよい。前記吸込具が床面から離れているとの検出結果が前記離間検出部から得られた場合には、前記吸込具が床面から離れていないとの検出結果が前記離間検出部から得られた場合よりも大きな周速差が前記掻取ローラと前記他の掻取ローラとの間で得られるように、前記制御部は、前記モータ及び前記他のモータを制御してもよい。
【0029】
上述の構成によれば、吸込具が床面から離れていない状態では、吸込具の操舵性の問題を抑制するために、制御部は、掻取ローラと他の掻取ローラとの周速差を比較的小さくする。一方、吸込具が床面から離れている状態では、上述の操舵性の問題は生じない。したがって、この状態では、制御部は、掻取ローラと他の掻取ローラとの周速差を比較的大きくし、掻取ローラ及び他の掻取ローラに跨って付着した塵埃に大きな捩じり力を作用させる。
【0032】
上述の構成に関して、前記掻取ローラ及び前記他の掻取ローラは、前記掻取ローラの先端及び前記他の掻取ローラの先端が互いに間隔を空けて対向するように配置されているとともに前記先端に向けて細くなるテーパ形状を有していてもよい。前記掃除機は、前記掻取ローラの前記先端及び前記他の掻取ローラの前記先端の間の空間に挟まった塵埃を光学的に検出する光学検出部を更に備えていてもよい。
【0033】
上述の構成によれば、掻取ローラ及び他の掻取ローラは、先端に向けて細くなるテーパ形状を有しているので、掻取ローラ及び他の掻取ローラに付着した塵埃は、先端に向けて移動しやすくなっている。この場合、塵埃は、掻取ローラ及び他の掻取ローラの先端に溜まり、掻取ローラ及び他の掻取ローラの先端間の空間に挟まることも生じうる。
【0034】
掻取ローラ及び他の掻取ローラの先端間の空間に挟まった塵埃は、光学検出部によって検出される。この場合、制御部は、モータ及び他のモータを個別に制御して、掻取ローラと他の掻取ローラとの間で周速差を生じさせる。この周速差により、塵埃は、掻取ローラ及び他の掻取ローラの先端の間の空間から除去され得る。
【0035】
上述の構成に関して、掃除機は、前記吸込具が床面から離れているか否かを検出する離間検出部を更に備えていてもよい。前記吸込具が床面から離れていないとの検出結果が前記離間検出部から得られ、且つ、前記光学検出部が塵埃を検出したことを条件として、前記制御部は、前記除去動作を前記吸込具に実行させるように構成されていてもよい。
【0036】
上述の構成によれば、吸込具が床面から離れていない状態では、操舵性の問題が不必要に生じないように、光学検出部が塵埃を検出したことを条件として、掻取ローラと他の掻取ローラとの周速差を設ける除去動作が実行される。
本発明の他の局面に係る掃除機は、塵埃を吸引するように構成されている。掃除機は、塵埃を吸引する吸引力を発生する掃除機本体と、前記掃除機本体に取り付けられているとともに、掻取ローラと、前記掻取ローラに対して左右方向に並ぶように配置された他の掻取ローラと、により塵埃を掻き取る吸込具と、前記掻取ローラ及び前記他の掻取ローラに付着した塵埃の除去を促す除去動作又は前記掻取ローラ及び前記他の掻取ローラへの塵埃の付着を通知する通知動作を前記掃除機本体又は前記吸込具に実行させる制御部と、を備えている。前記掻取ローラ及び前記他の掻取ローラは、前記掻取ローラの先端及び前記他の掻取ローラの先端が互いに間隔を空けて対向するように配置されているとともに前記先端に向けて細くなるテーパ形状を有している。前記掃除機は、前記掻取ローラの前記先端及び前記他の掻取ローラの前記先端の間の空間に挟まった塵埃を光学的に検出する光学検出部を更に備えている。前記制御部は、前記光学検出部が前記空間に挟まった塵埃を検出すると、前記除去動作又は前記通知動作を前記掃除機本体又は前記吸込具に実行させるように構成されている。
【発明の効果】
【0037】
上述の掃除機は、掻取ローラの形状の工夫に頼ることなく、塵埃を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】第1実施形態の掃除機の概略的な側面図である。
図2】掃除機に取付可能に構成された吸込具の概略的な展開斜視図である。
図3】吸込具の掻取ローラの概略的な平面図である。
図4】吸込具の内部の概略的な平面図である。
図5】吸込具を制御する制御部の概略的な機能構成を表すブロック図である。
図6】吸込具の制御動作の概略的なフローチャートである。
図7】吸込具の制御動作の概略的なフローチャートである。
図8】吸込具の掻取ローラに巻き付いた長い塵埃に作用する力の概略図である。
図9】吸込具の制御動作の概略的なフローチャートである。
図10】第2実施形態の掃除機の吸込具の概略的な縦断面図である。
図11】吸込具を制御する制御部の概略的な機能構成を表すブロック図である。
図12】吸込具の制御動作の概略的なフローチャートである。
図13】吸込具の制御動作の概略的なフローチャートである。
図14】第3実施形態の掃除機の吸込具の概略的な展開斜視図である。
図15】掻取ローラに塵埃が付着しているか否かを光学的に検出する付着判定部の概略的なブロック図である。
図16】第4実施形態の掃除機の概略的な側面図である。
図17】第5実施形態の掃除機の吸込具の概略的な側面図である。
図18】吸込具の概略的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の掃除機101の概略的な側面図である。図2は、掃除機101の先端部分を構成している吸込具100の概略的な展開斜視図である。図1及び図2を参照して、掃除機101を説明する。
【0040】
掃除機101は、吸引力を発生する掃除機本体102と、塵埃が吸い込まれる吸込空間110(図2を参照)を形成するとともに、掃除機本体102に取り付け可能に構成された吸込具100と、を備えている。
【0041】
掃除機本体102は、塵埃を吸引するための吸引力を発生させる吸引源103と、吸引源103から延設された管部材109と、を有している。管部材109は、吸引源103から前方に延設されて管部材109の基端側を構成しているホース104と、管部材109の先端側を構成している先端管107と、ホース104と先端管107とを接続している接続管202と、を含んでいる。
【0042】
接続管202には、使用者によって保持される保持部105が設けられている。保持部105は、接続管202の外周面から延出し、且つ、使用者が把持するのに適した形状を有している部分である。保持部105には、使用者によって操作される操作部108(たとえば、掃除機本体102及び吸込具100を起動及び停止させるためのボタンなど)が設けられている。
【0043】
先端管107は、ホース104よりも高い剛性の管状の部材であり、ホース104及び接続管202とともに塵埃の吸引経路を形成している。先端管107の先端は、吸込具100に接続されている。
【0044】
吸込具100は、図2に示すように、吸込ハウジング120と、吸込ハウジング120によって回転可能に保持された一対の掻取ローラ131,132と、を備えている。
【0045】
吸込ハウジング120は、先端管107、接続管202及びホース104によって形成された塵埃の吸引経路よりも左右方向に広い吸込空間110を得るために前後方向よりも幅方向に広い形状を有している。吸込ハウジング120は、平面視において前方に開口した略C字形状を有しているハウジング本体121と、ハウジング本体121に取り付けられるように構成されたカバー部材122と、を含んでいる。
【0046】
ハウジング本体121は、左右方向に互いに離間した位置に設けられた側部123,124と、側部123,124の後側(すなわち、掃除機本体102側)に位置し、これらの側部123,124を繋ぐ後部125と、を含んでいる。側部123,124及び後部125は、全体として中空構造を有している。側部123,124及び後部125の中には、掻取ローラ131,132を駆動するための駆動機構150(図4を参照)が収容されている。駆動機構150については、別途詳述する。
【0047】
後部125及び側部123,124によって、床面上の塵埃を吸い込むための吸込空間110が形成されている。すなわち、後部125の前端、左側の側部123の右端及び右側の側部124の左端によって吸込空間110が区画されている。この吸込空間110に掻取ローラ131,132が左右に並んで配置され、側部123,124は、これらの掻取ローラ131,132をそれぞれ支持している。詳細には、側部123,124の内壁部(すなわち、吸込空間110に臨む壁部)には、掻取ローラ131,132を保持する軸受(図示せず)が設けられている。
【0048】
後部125は、先端管107の先端と接続可能に構成されている。後部125内には、先端管107、接続管202及びホース104によって形成された流路と吸込空間110とを繋ぐ流路(図示せず)が形成されている。
【0049】
カバー部材122は、吸込空間110を上側から塞ぐように構成されている。カバー部材122の左右の端部は、側部123,124上に載置された状態で側部123,124に固定されるように構成されている。
【0050】
掻取ローラ131,132は、吸込空間110内において左右に並んで回転可能に保持されている。掻取ローラ131,132は、駆動機構150によって駆動されて床面上で転動しながら床面上の塵埃を掻き取るように構成されている。左側の掻取ローラ131は、左側の側部123によって片持ち支持され、吸込空間110内で側部123から右方に延設されている。右側の掻取ローラ132は、右側の側部124によって片持ち支持され、吸込空間110内で側部124から左方に延設されている。掻取ローラ131,132の先端は、吸込具100の幅方向において互いに離れている。
【0051】
右側の掻取ローラ132は、掻取ローラ131と左右対称の構造を有しているので、ここでは、左側の掻取ローラ131の構造についてのみ以下に説明する。
【0052】
掻取ローラ131は、先端に向けて細くなるテーパ形状を有している。掻取ローラ131は、図3に示すように、接続シャフト250と、接続シャフト250と略同軸回転するように接続シャフト250に接続されたローラ部311と、ローラ部311の外周面上で螺旋状に延びる複数のブラシ部312と、を含んでいる。ローラ部311の外周面及び複数のブラシ部312は、掻取ローラ131の外周部を構成している。
【0053】
接続シャフト250は、ハウジング本体121内に収容された駆動機構150(図4を参照)の駆動力をローラ部311に伝達するために設けられている。接続シャフト250は、側部123の内壁部に設けられた軸受に嵌入され、接続シャフト250の基端部は、ハウジング本体121の側部123内に配置されている。接続シャフト250の基端部には、駆動機構150の駆動力を受けるためにプーリ251(図4を参照)が取り付けられる。
【0054】
接続シャフト250の先端部は、駆動機構150の駆動力をローラ部311に伝達するために、ローラ部311内に挿入され、ローラ部311の内部に接続されている。
【0055】
ローラ部311は、先端に向けて細くなる外周面を有している。すなわち、ローラ部311は、円錐台状の外形を有している。
【0056】
複数のブラシ部312は、ローラ部311の基端から先端までの区間に亘ってローラ部311の外周面上で螺旋状に延設されており、ローラ部311の周方向において間隔を空けて配置されている。ブラシ部312の螺旋の向きは、掻取ローラ131が図2に示す矢印の方向に回転したときに、ブラシ部312に接触した塵埃がローラ部311の先端側に送り出されるように設定されている。
【0057】
ブラシ部312は、弾性変形可能な材料から構成されている。たとえば、ブラシ部312は、弾性変形可能な多数のブラシ毛をローラ部311の外周面上における螺旋状の区間に配置することにより構成されていてもよい。
【0058】
駆動機構150は、図4に示すように、一対のモータ151,152と、一対の駆動ベルト153,154と、制御回路160と、を含んでいる。左側のモータ151及び左側の駆動ベルト153は、左側の掻取ローラ131を駆動するために設けられている。右側のモータ152及び右側の駆動ベルト154は、右側の掻取ローラ132を駆動するために設けられている。制御回路160は、モータ151,152を制御するために設けられている。
【0059】
モータ152及び駆動ベルト154は、モータ151及び駆動ベルト153と左右対称の構造を有しているので、ここでは、モータ151及び駆動ベルト153についてのみ以下に説明する。
【0060】
モータ151は、掻取ローラ131を回転させる駆動力を発生させるように構成されており、ハウジング本体121の後部125の内部空間において左側の部分に配置されている。モータ151は、モータ本体155と、モータ本体155から左方に突出したモータシャフト156と、を有している。
【0061】
モータ本体155は、モータシャフト156の回転に対する負荷が大きくなればなるほど、インピーダンスを下げ、大きな電流が流れるように構成されている。
【0062】
モータシャフト156には、プーリ252が取り付けられている。モータシャフト156に取り付けられたプーリ252と掻取ローラ131の接続シャフト250に取り付けられたプーリ251とには、駆動ベルト153が掛け回されている。
【0063】
モータ151,152は、制御回路160を通じて電力供給を受ける。制御回路160は、モータ151,152に供給される電流の大きさを検出するとともに、検出された電流の大きさに基づいて、モータ151,152を制御するように構成されている。図5に示すように、制御回路160は、電流検出部163と、制御部164と、を含んでいる。
【0064】
電流検出部163は、モータ151に供給される電流の大きさを検出する電流計161と、モータ152に供給される電流の大きさを検出する電流計162と、を含んでいる。モータ151,152へ供給される電流は、モータ151,152にかかる負荷が大きければ大きいほど大きくなる。掻取ローラ131,132に対する塵埃の付着量が増えれば増えるほど、モータ151,152にかかる負荷は大きくなるので、塵埃の付着量の増加に応じて、電流計161,162が検出する電流値は大きくなる。
【0065】
制御部164は、電流計161,162により検出された電流の大きさに基づいてモータ151,152を制御するように構成されている。制御部164は、プロセッサ(たとえば、CPU)や、モータ151,152に対する制御機能を実現する他の制御素子によって構成されてもよい。制御部164による制御については、別途詳述する。
【0066】
掃除機101の動作について以下に説明する。
【0067】
保持部105に設けられた操作部108が操作されると、掃除機本体102及び吸込具100が作動し、吸引力がホース104、接続管202及び先端管107を通じて吸込具100の吸込空間110に作用する。この結果、床面上の塵埃は、吸込空間110、先端管107、接続管202及びホース104を通じて吸引源103に集塵される。
【0068】
この間、吸込具100に内蔵されたモータ151,152が作動し、モータ151,152の駆動力は、駆動ベルト153,154により掻取ローラ131,132に伝達される。この結果、掻取ローラ131,132は、床面に接触しながら回転し、床面上の塵埃を掻き取る。
【0069】
掻取ローラ131,132が床面上の塵埃を掻き取っているときに、塵埃が掻取ローラ131,132に付着することがある。掻取ローラ131,132に付着した塵埃の除去を促すために、制御部164は、掻取ローラ131,132の周速を以下のように変更する。制御部164による制御の概略的なフローチャートが図6に示されている。ここで、制御部164による制御を、図5及び図6を参照して説明する。
【0070】
操作部108への操作により吸込具100が作動すると、モータ151,152に電流が供給される。このとき、制御部164は、ベース運転動作(すなわち、塵埃が掻取ローラ131,132に付着していないときの運転動作)の実行の指示をモータ151,152に与える(ステップS110)。この指示に基づき、モータ151,152は、モータシャフト156をベース運転動作用の回転数(以下、「第1回転数」と称される)で回転させる。モータ151,152のモータシャフト156の回転により、掻取ローラ131,132は、ベース運転動作用の周速(以下、「第1周速」と称される)で回転する。モータ151,152の第1回転数は、以下の条件が満たされるように設定されている。
・掻取ローラ131,132によって床面上の塵埃が十分に掻き取られること。
・掻取ローラ131,132及びモータ151,152からのノイズが低いレベルに抑えられること。
【0071】
モータ151,152が第1回転数で回転している間、電流計161,162は、モータ151,152へ供給されている電流の大きさをモニタしている。電流計161,162によって検出された電流の大きさに関する情報は、制御部164に伝達される。制御部164は、電流計161,162によって検出された電流の大きさが、第1電流閾値を超えているか否かを判定する(ステップS120)。電流計161,162のいずれもが、第1電流閾値以下の大きさの電流を検出していれば(ステップS120:No)、掻取ローラ131,132の掻取能力を低下させるほどには、塵埃が掻取ローラ131,132に付着していないと考えられる。この場合、制御部164は、ベース運転動作をモータ151,152に継続させる(ステップS120:No)。
【0072】
ベース運転動作は、電流計161,162の少なくとも一方が、第1電流閾値を超える大きさの電流を検出しない限り継続される(ステップS120:No)。一方、電流計161,162の少なくとも一方が、第1電流閾値を超える大きさの電流を検出した場合には(ステップS120:Yes)、掻取ローラ131,132のうち少なくとも一方に掻取能力を低下させるほど多量の塵埃が付着している可能性がある。この場合、制御部164は、掻取ローラ131,132に付着した塵埃の除去を促すための除去動作の実行の指示をモータ151,152に与える(ステップS130)。詳細には、制御部164は、モータ151,152に対して、モータシャフト156の回転数を、第1回転数から第1回転数よりも高い第2回転数に上げることを指示する(ステップS130)。この指示に基づいて、モータ151,152は、モータシャフト156を第2回転数で回転させる。この結果、掻取ローラ131,132は、第1周速よりも高い周速(以下、「第2周速」と称される)で回転する。
【0073】
吸込具100が床面に置かれている状態において、掻取ローラ131,132が第2周速で回転している間、ブラシ部312は、掻取ローラ131,132が第1周速で回転しているときよりも高い頻度で床面に擦れる。ブラシ部312は、床面に擦れると弾性変形(弾性的な撓み変形)をするので、ブラシ部312が高い頻度で床面に擦れると、掻取ローラ131,132に付着した塵埃は、ブラシ部312の復元力を高い頻度で受ける。この結果、掻取ローラ131,132に付着した塵埃の除去が促される。
【0074】
掻取ローラ131,132が第2周速で回転する除去動作は、電流計161,162のいずれもが、第1電流閾値未満の大きさの電流を検出するまで継続される。
【0075】
上述の如く、掻取ローラ131,132に付着した塵埃は、ブラシ部312の弾性変形及び復元力の発生頻度を上げることにより除去される。弾性変形に伴う復元力は、長い塵埃だけでなく、他の形状の塵埃にも作用するので、弾性変形及び復元力の発生頻度の増加による除去効果は、様々な形状の塵埃に及ぶ。すなわち、上述の技術は、様々な形状の塵埃を除去するのに有効である。
【0076】
上述の実施形態では、吸込具100は、吸込ハウジング120により片持ち支持された2つの掻取ローラ131,132を有している。代替的に、吸込具100は、吸込ハウジング120により両持ち支持された1つの掻取ローラを有していてもよい(たとえば、特許文献1の吸込具の構造)。このような構造の吸込具100に対しても、上述の塵埃除去制御は適用可能である。
【0077】
上述の実施形態では、掻取ローラ131,132に付着した塵埃が取り除かれ、電流が第1電流閾値以下の大きさになるまで、掻取ローラ131,132は、比較的高い第2周速で回転し続ける。この場合、ブラシ部312が床面に擦れることに起因する大きなノイズが長期間に亘って続くこともあり得る。ノイズの問題を改善するために、以下の制御が行われてもよい。
【0078】
図7に示す制御では、ベース運転動作が所定期間継続されると(ステップS111)、モータ151,152に供給される電流に対する判定処理が行われる(ステップS120)。モータ151,152のうち少なくとも一方への供給電流が第1電流閾値を上回っていれば(ステップS120:Yes)、制御部164は、所定期間、モータ151,152の回転数を第1回転数から第2回転数に上げる(ステップS131:除去動作)。この除去動作が所定期間継続されると、ベース運転動作に戻される(ステップS111)。すなわち、掻取ローラ131,132の周速は、元の第1周速に戻される。
【0079】
図7に示す制御では、モータ151,152のうち少なくとも一方へ供給される電流が第1電流閾値を上回っているとの判定結果が繰り返し得られる場合には(ステップS120:Yes)、除去動作が断続的に実行される。詳細には、断続的に実行される2つの除去動作の間において、所定の期間のベース運転動作が実行される。除去動作が実行されている期間では、掻取ローラ131,132は、比較的高い第2周速で回転しているので、ノイズが大きくなる。一方、ベース運転動作が実行されている期間では、掻取ローラ131,132は比較的低い第1周速で回転しているので、ノイズは小さくなる。したがって、ベース運転動作の期間をある程度長く設定する一方で除去動作の継続期間を比較的短く設定することにより、使用者は、除去動作の期間におけるノイズの増加を気づきにくくなる。あるいは、使用者は、除去動作の期間におけるノイズを不快に感じにくくなる。
【0080】
上述の実施形態では、掻取ローラ131,132のブラシ部312の螺旋の向きは、図2の矢印で示す方向に掻取ローラ131,132が回転したときに、塵埃が掻取ローラ131,132の先端に向けて移動するように設定されている。また、掻取ローラ131,132は、先端に向けて細くなっているので、図8に示すように、掻取ローラ131,132に巻き付いた長い塵埃に対して、掻取ローラ131,132の先端に向かう力(塵埃の巻き付き力の分力)が作用する。したがって、塵埃が、掻取ローラ131,132の先端に集まり、掻取ローラ131,132を跨いで付着した状態になり得る。この場合、掻取ローラ131,132を跨いで付着した塵埃を除去するために、掻取ローラ131,132の回転数に差をつけてもよい。この場合の制御について、図9を参照して以下に説明する。
【0081】
図9に示す制御では、ベース運転動作が所定期間継続された後(ステップS111)、制御部164は、モータ151,152へ供給される電流の大きさを第1電流閾値と比較する(ステップS121,S122)。
【0082】
吸込具100が床面に置かれた状態において、モータ151,152へ供給される電流のいずれもが、第1電流閾値以下であれば(ステップS121:Yes)、制御部164は、モータ151,152にベース運転動作を継続させる(ステップS111)。
【0083】
一方、吸込具100が床面に置かれた状態において、モータ151,152への供給電流がともに第1電流閾値を上回っていれば(ステップS121:No,ステップS122:Yes)、塵埃が掻取ローラ131,132に跨って付着していることが想定される。この場合、制御部164は、掻取ローラ131,132間の周速差を増加させるようにモータ151,152を個別に制御する(なお、ベース運転動作時において、掻取ローラ131,132間の周速差は略ゼロである)。詳細には、制御部164は、モータ151,152のうち一方に対して、モータシャフト156の回転数を、所定期間だけ第1回転数から第2回転数に上げることを指示する(ステップS132)。一方、他方のモータに対しては、制御部164は、モータシャフト156の回転数の増加を上げることを指示しない(ステップS132)。
【0084】
この結果、一方のモータの回転数は、所定期間だけ第2回転数になり、他方のモータの回転数は、第1回転数に維持される。その後、制御部164は、一方のモータの回転数を第2回転数から第1回転数に戻す一方で、他方のモータの回転数を第1回転数から第2回転数に上げる制御を行う(ステップS133)。
【0085】
この状態での吸込具100の運転動作が所定期間継続された後、制御部164は、一方のモータの回転数を第1回転数に維持しつつ、他方のモータの回転数を第2回転数から第1回転数に戻す制御を実行する。この結果、吸込具100の動作は、ベース運転動作(ステップS111)に戻る。
【0086】
モータ151,152のうち一方についてのみ第1電流閾値を上回る大きさの電流が検出された場合には(ステップS121,S122:No)、図7に示す制御と同様の制御が行われる(ステップS134)。すなわち、両方のモータ151,152に対して、制御部164は、モータシャフト156の回転数を第1回転数から第2回転数に上げる指示を出す。この指示に基づき、モータ151,152は、所定の期間においてモータシャフト156の回転数を第2回転数に上げる。この結果、掻取ローラ131,132のいずれについても、ブラシ部312の弾性変形及び復元力の発生頻度が上がり、これらの掻取ローラ131,132に付着した塵埃の除去が促される。
【0087】
上述の制御では、ステップS132において、モータ151,152の回転数に差が設けられるため、掻取ローラ131,132の間において周速差が生ずる。この周速差により、掻取ローラ131,132に跨って付着した塵埃に対して捩じり力が作用する。この捩じり力により、掻取ローラ131,132に跨って付着した塵埃の除去が促される。
【0088】
ステップS132に続いて実行されるステップS133では、モータ151,152の回転数の大小関係は、ステップS132における回転数の大小関係とは逆になる。すなわち、一方のモータに対応する掻取ローラのブラシ部312の弾性変形及び復元力の発生頻度が高くなった後(ステップS132)、他方のモータに対応する掻取ローラのブラシ部312の弾性変形及び復元力の発生頻度が高くなる(ステップS133)。この結果、塵埃が掻取ローラ131,132に跨っておらず、掻取ローラ131,132に個別に付着して電流が高くなっている場合でも、掻取ローラ131,132に個別に付着した塵埃の除去を促すことができる。また、ステップS132において、掻取ローラ131,132に跨って付着した塵埃が除去しきれなくても、ステップS133において、当該塵埃を除去することが可能になる。
【0089】
<第2実施形態>
モータ151,152にかかる負荷は、掻取ローラ131,132に付着した塵埃だけでなく、掻取ローラ131,132と床面との接触状態にも影響される。したがって、モータ151,152に流れる電流の大きさも、掻取ローラ131,132と床面との接触状態に影響される。すなわち、掻取ローラ131,132と床面との接触状態は、掻取ローラ131,132に塵埃が付着しているか否かの判定精度に影響する。第2実施形態では、掻取ローラ131,132と床面との接触状態の影響を受けることなく、掻取ローラ131,132に塵埃が付着しているか否かを判定することを可能にする技術について説明する。
【0090】
掻取ローラ131,132、ひいては、吸込具100が床面に置かれた状態であるか否かを検出するために、図10に示すように、吸込具100には、離間検出部140が設けられている。詳細には、吸込ハウジング120の後部125の下面に凹部141が形成されており、凹部141において離間検出部140が構成されている。
【0091】
離間検出部140は、揺動アーム142と、ローラ143と、姿勢センサ144と、を有している。揺動アーム142は、上下に揺動するように後部125によって凹部141内において支持されている。ローラ143は、揺動アーム142に回転可能に取り付けられており、吸込具100が床面上で移動しているときに床面上で転動し、吸込具100の移動を補助する。姿勢センサ144は、後部125内に配置されており、揺動アーム142の姿勢を検出する。
【0092】
吸込具100が、床面から離れているとき、揺動アーム142は、図10の姿勢をとり、揺動アーム142は、凹部141から下方に突出する。つまり、ローラ143は、吸込ハウジング120の下面よりも下側に突出する。一方、吸込具100が、床面に置かれたときには、揺動アーム142は、略水平な姿勢を取り、ローラ143は、凹部141内に収容される。揺動アーム142のこのような姿勢変化を検出できるように、姿勢センサ144は構成されている。揺動アーム142が、図10に示す姿勢をとっているとき、姿勢センサ144は、吸込具100が床面から離れているとの検出結果を出力する。一方、揺動アーム142が略水平な姿勢を取っているとき、姿勢センサ144は、吸込具100が床面から離れていないとの検出結果を出力する。
【0093】
姿勢センサ144は、図11に示すように、制御部164に電気的に接続されている。制御部164は、姿勢センサ144の検出結果(すなわち、揺動アーム142の姿勢)に基づいて判定処理を行う。揺動アーム142の姿勢に基づく制御について、図12を参照して以下に説明する。
【0094】
吸込具100が作動している間において、揺動アーム142が水平な姿勢をとっていることを姿勢センサ144が検出した場合には(ステップS210:No)、姿勢センサ144から出力される検出結果は、吸込具100が床面から離れていないことを表す。この検出結果が得られた場合には、図9に示す制御(ステップS111~S134)が実行される(第1電流閾値を用いた判定処理など)。逆に、揺動アーム142が図10に示す姿勢をとっていることを姿勢センサ144が検出した場合には(ステップS210:Yes)、姿勢センサ144から出力される検出結果は、吸込具100が床面から離れていることを表す。この検出結果が得られた場合には、制御部164は、第1電流閾値よりも小さな第2電流閾値を用いてモータ151,152へ供給される電流の大きさについて判定処理を行う(ステップS221,S222)。
【0095】
吸込具100が床面から離れている場合には、床面と掻取ローラ131,132との接触による負荷がモータ151,152にかからないので、第2電流閾値は、床面と掻取ローラ131,132との接触による負荷を考慮せずに設定され得る。第2電流閾値は、掻取ローラ131,132が床面に接触していない状態において、掻取ローラ131,132の掻取能力を低下させるほどの量の塵埃が掻取ローラ131,132に付着したことを検出できるような大きさに設定されている。
【0096】
吸込具100が床面から離れている場合において、モータ151,152の電流値のいずれもが、第2電流閾値以下であれば(ステップS221:Yes)、掻取能力を低下させるほどの量の塵埃が掻取ローラ131,132に付着していない可能性が高い。この場合、制御部164は、モータ151,152に対してベース運転動作時と同様の動作を指示する。一方、モータ151,152を流れる電流のいずれもが、第2電流閾値を超える大きさを有していれば(ステップS221:No,ステップS222:Yes)、掻取能力を低下させるほどの量の塵埃が掻取ローラ131,132に付着していることが想定される。この場合、制御部164は、モータ151,152の間で回転数に差を設ける制御(ステップS132,S133)を実行し、掻取ローラ131,132間で周速差を設ける。
【0097】
ステップS132,S133の制御により、吸込具100が床面から離れた状態において、掻取ローラ131,132を跨いで付着した塵埃に捩じり力を加えることができ、当該塵埃の除去が促される(除去動作)。
【0098】
なお、吸込具100が床面から離れた状態では、ブラシ部312の弾性変形及び復元力による塵埃の除去を行うことはできないので、両方のモータ151,152の回転数を上げる制御(ステップS134の制御)は行われない。
【0099】
図12の制御では、吸込具100が床面から離れた状態においても塵埃が掻取ローラ131,132に付着しているか否かの判定処理(すなわち、検出電流値が第2電流閾値を上回っているか否かの判定処理)が行われる。吸込具100が床面から離れた状態では、掻取ローラ131,132と床面との接触による影響を無視可能であるので、吸込具100が床面上に置かれた状態よりも精度のよい判定結果を得ることができる。
【0100】
吸込具100が床面から離れている状態では、吸込具100が床面に置かれている状態よりも大きな周速差が掻取ローラ131,132間で設けられてもよい。すなわち、図12に示す制御において、吸込具100が床面から離れている状態で実行されるステップS131において、一方のモータの回転数が第2回転数よりも高い第3回転数に設定されてもよい。また、吸込具100が床面から離れている状態で実行されるステップS132において、他方のモータの回転数が第3回転数に設定されてもよい。
【0101】
吸込具100が床面から離れている状態では、掻取ローラ131,132と床面との接触によるノイズは生じないので、モータ151,152の回転数を吸込具100が床面に置かれているときよりも大きく上げることができる。すなわち、モータ151,152の回転数を第2回転数よりも高い第3回転数に設定しても、ノイズの問題は生じにくい。
【0102】
吸込具100が床面から離れている状態において、モータ151,152のうち一方の回転数を第1回転数に設定し、他方の回転数を第3回転数に設定することにより、掻取ローラ131,132間において、比較的大きな周速差を設けることができる。大きな周速差が掻取ローラ131,132間で設けられることにより、掻取ローラ131,132に跨って付着した塵埃に、より大きな捩じり力を作用させることができる。この結果、当該塵埃の除去が促進される。
【0103】
図12の制御では、第2電流閾値を用いた判定処理(ステップS221,S222)の結果に基づいて、モータ151,152の回転数を増加させるが、図13に示すように、第2電流閾値を用いた判定処理は省略されてもよい。
【0104】
図13に示す制御では、吸込具100が床面から離れていることを離間検出部140が検出すれば(ステップS210:Yes)、モータ151,152の回転数を交互に上げる制御(ステップS132,S133)が実行される。すなわち、吸込具100が床面から離れているときには、掻取ローラ131,132間において周速差を設ける除去動作が行われる。
【0105】
図13に示す制御では、以下の第1除去条件及び第2除去条件のいずれかが満たされたときに、吸込具100の動作が、ベース運転動作から除去動作に切り替えられる。
(第1除去条件):
・吸込具100が床面から離れていないこと(ステップS210:No(図13))、且つ、
・モータ151,152について、検出電流値が第1電流閾値を上回っていること(ステップS122:Yes(図9))。
(第2除去条件):
・吸込具100が床面から離れていること(ステップS210:Yes(図13))。
【0106】
第2除去条件とは異なり、第1除去条件の下では、以下の理由から、電流検出部163により得られた検出電流値が第1電流閾値を上回っているか否かの判定処理が行われている。吸込具100が床面に置かれている状態では、掻取ローラ131,132間で周速差が設けられると、吸込具100は左方又は右方に曲がりながら移動しようする。このような操舵性の問題が不必要に生ずることを防ぐために、検出電流値と第1電流閾値との比較が行われ、掻取ローラ131,132に塵埃が付着している可能性が高い状態であるか否かの判定が行われる。そして、掻取ローラ131,132に塵埃が付着している可能性が高い状態においてのみ、制御部164は、除去動作を実行させる。
【0107】
一方、吸込具100が床面から離れていれば、上述の操舵性の問題は生じない。したがって、吸込具100が床面から離れている状態では、検出電流値と第1電流閾値との比較を行うことなく、掻取ローラ131,132間に周速差が設けられても問題ない。吸込具100が床面から離れるたびに掻取ローラ131,132間で周速差が設けられることにより、これらの掻取ローラ131,132間で周速差が設けられる頻度が上がる。この結果、これらの掻取ローラ131,132からの塵埃の除去が促される。
【0108】
なお、吸込具100が床面に置かれている状態における掻取ローラ131,132間の周速差の大きさ及び掻取ローラ131,132間で周速差を生じている期間の長さは、好ましくは、上述の操舵性の問題を考慮して設定される。
【0109】
図13に示す制御においても、吸込具100が床面から離れている状態で実行されるステップS131において、一方のモータの回転数が第2回転数よりも高い第3回転数に設定されてもよい。また、吸込具100が床面から離れている状態で実行されるステップS132において、他方のモータの回転数が第3回転数に設定されてもよい。
【0110】
<第3実施形態>
上述の実施形態では、掻取ローラ131,132に塵埃が付着しているか否かの判定処理は、モータ151,152へ供給される電流の大きさに基づいている。代替的に、掻取ローラ131,132に付着した塵埃が光学的に検出されてもよい。
【0111】
塵埃の光学的な検出のために、図14に示すように、吸込具100には、光学検出部168が設けられている。光学検出部168は、掻取ローラ131,132のローラ部311上の複数の光学センサ166と、吸込ハウジング120のハウジング本体121の内面上の1つの光学センサ167と、により構成されている。複数の光学センサ166は、掻取ローラ131,132の外周部に付着した塵埃を検出するために配置されている。詳細には、周方向において間隔を空けて隣り合う一対のブラシ部312の間におけるローラ部311の外周面上に3つの光学センサ166が配置されている。これら3つの光学センサ166は、掻取ローラ131,132の基端側、先端側及び軸方向における中央位置に配置されている。
【0112】
光学センサ167は、ハウジング本体121の内面において、掻取ローラ131,132の先端間の空間に対して上下方向に対向する位置に配置され、当該空間に挟まった塵埃を検出するために用いられる。
【0113】
光学センサ166,167は、反射型である。すなわち、光学センサ166,167は光を出射するとともに、当該光が塵埃で反射して生じた反射光を受光するように構成されている。
【0114】
光学センサ166,167は、図15に示すように、制御部164に電気的に接続されている。
【0115】
制御部164は、複数の光学センサ166それぞれの受光量及びこれらの光学センサ166の受光パターンに基づいて、掻取ローラ131,132に塵埃が付着しているか否かを検出するように構成されている。また、制御部164は、光学センサ167の受光量に基づいて、掻取ローラ131,132の先端間の空間に塵埃が挟まっているか否かを判定する。
【0116】
制御部164の判定結果に基づくモータ151,152に対する制御は、第1実施形態及び第2実施形態と同様である。
【0117】
光学検出部168が用いられる場合、電流検出部163が用いられる場合とは異なり、掻取ローラ131,132への塵埃の付着は、掻取ローラ131,132と床面との接触状態に影響されることなく検出され得る。
【0118】
上述の実施形態では、光学センサ166,167は、反射型である。代替的に、光学センサ166,167は、透過型であってもよい。たとえば、光を出射する発光素子及びこの光を受光する受光素子のうち一方がローラ部311の外周面及びハウジング本体121の内面に設けられてもよい。この場合、発光素子及び受光素子のうち他方は、発光素子を受光できる位置に配置される。
【0119】
<第4実施形態>
上述の実施形態では、掻取ローラ131,132の周速を増加させることにより、掃除機101は、掻取ローラ131,132に付着した塵埃を除去している。代替的に、又は、追加的に、吸引源103の吸引力を増加させることにより、掃除機101は、掻取ローラ131,132に付着した塵埃を除去してもよい。
【0120】
吸引源103は、図16に示すように、吸引力を発生させる吸引ファン133を内蔵している。また、吸引ファン133の動作を、ベース運転動作から塵埃の除去を促すための除去動作に切り替えるための制御部264も、吸引源103内に配置されている。制御部264は、回転数を吸引ファン133に指示するように構成されている。
【0121】
掻取ローラ131,132に付着した塵埃を検出するための構成は、第1実施形態乃至第3実施形態に関連して説明されたものと同様である(すなわち、電流検出部163,光学検出部168)。
【0122】
掻取ローラ131,132に付着した塵埃が検出されない場合には、制御部264は、吸引ファン133の回転数を所定のベース値に設定する。このベース値は、吸引ファン133からのノイズが過度に大きくならず、且つ、吸込空間110において塵埃を吸い込むのに十分な吸引力を発生させることが可能な大きさに設定されている。吸引ファン133は、制御部264により制御されて、ベース値の回転数で動作する(ベース運転動作)。
【0123】
一方、掻取ローラ131,132のうち少なくとも一方において塵埃の付着が検出された場合には、制御部264は、吸引ファン133の回転数をベース値よりも大きな値に設定する。この場合、吸引ファン133は、ベース運転動作時よりも大きな吸引力を発生させる(除去動作)。この大きな吸引力は、吸込空間110にも作用するので、吸込空間110内の掻取ローラ131,132に付着した塵埃の除去が促される。
【0124】
第1実施形態~第4実施形態では、掻取ローラ131,132への塵埃の付着が電流検出部163又は光学検出部168により検出されたことに応じて、吸込具100及び/又は掃除機本体102は除去動作を実行する。代替的に、吸込具100及び/又は掃除機本体102の除去動作は、使用者が、たとえば、操作部108に設けられたスイッチを操作することにより開始されてもよい。つまり、スイッチの操作により、制御部164,264は、モータ151,152及び/又は吸引ファン133の回転数を増加したり、これらのモータ151,152の回転数に差を設けたりしてもよい。
【0125】
<第5実施形態>
上述の実施形態では、掻取ローラ131,132に付着した塵埃の除去は、掻取ローラ131,132の周速の増加及び/又は吸引源103の吸引力の増加により促される。すなわち、上述の実施形態では、掃除機101自身の動作により塵埃の除去が促される。追加的に、掃除機101は、掻取ローラ131,132への塵埃の付着を使用者に通知する通知動作を実行することにより、掻取ローラ131,132からの塵埃の除去を使用者に促してもよい。
【0126】
掻取ローラ131,132への塵埃の付着を使用者に通知するために、図17に示すように、吸込具100は、通知部134を有している。通知部134は、吸込ハウジング120のハウジング本体121の上面に設けられた光源により構成されている。この光源は、発光パターン(たとえば、継続的な発光や点滅)や発光色を変更可能に構成されている。
【0127】
通知部134は、図18に示すように、制御部364に電気的に接続されている。制御部364は、発光パターン及び/又は発光色を通知部134に指示するように構成されている。なお、掻取ローラ131,132に付着した塵埃を検出するための構成は、第1実施形態乃至第3実施形態に関連して説明されたものと同様である(すなわち、電流検出部163,光学検出部168)。
【0128】
掻取ローラ131,132に付着した塵埃が検出されない場合には、制御部364は、通知部134を制御し、通知部134を所定の発光パターン(たとえば、継続的な発光)及び/又は発光色(たとえば、緑)で発光させる(ベース運転動作)。
【0129】
一方、掻取ローラ131,132のうち少なくともについて塵埃の付着が検出された場合には、制御部364は、上述の発光パターンとは異なる発光パターン(たとえば、点滅)で発光するように通知部134を制御する。追加的に及び/又は代替的に、制御部364は、上述の発光色とは異なる発光色(たとえば、赤)で発光するように通知部134を制御してもよい(通知動作)。
【0130】
通知部134の発光パターン及び/又は発光色の変化により、掃除機101は、掻取ローラ131,132に塵埃が付着していることを使用者に気づかせることができ、使用者に当該塵埃の除去を促すことができる。
【0131】
上述の実施形態では、通知部134は、吸込具100に設けられている。代替的に、通知部134は、発光パターン及び/又は発光色の変化を使用者に容易に気づかせることができる他の位置(たとえば、掃除機本体102の操作部108)に設けられてもよい。
【0132】
上述の実施形態では、通知部134は、発光パターン及び/又は発光色を変化させることにより、掻取ローラ131,132に塵埃が付着していることを使用者に通知している。代替的に、通知部134は、音声や振動により、塵埃の付着を使用者に通知するように構成されていてもよい。
【0133】
なお、上述の実施形態では、掃除機101は、通知部134による通知動作だけでなく、掃除機本体102及び/又は吸込具100において除去動作(第1実施形態、第2実施形態及び第4実施形態)をも実行している。代替的に、掃除機101は、掃除機本体102及び/又は吸込具100における除去動作を行うことなく、通知部134による通知動作のみを実行し、使用者に掻取ローラ131,132からの塵埃の除去を促すように構成されてもよい。すなわち、制御部364が設けられる場合には、モータ151,152を増速させる制御部164(第1実施形態,第2実施形態)や掃除機本体102の吸引力を増加させる制御部264(第4実施形態)は設けられなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本実施形態の原理は、清掃作業に用いられる装置に好適に利用される。
【符号の説明】
【0135】
100・・・・・吸込具
101・・・・・掃除機
102・・・・・掃除機本体
110・・・・・吸込空間
120・・・・・吸込ハウジング
131・・・・・掻取ローラ
132・・・・・掻取ローラ
134・・・・・通知部
140・・・・・離間検出部
151・・・・・モータ
152・・・・・モータ
163・・・・・電流検出部
164・・・・・制御部
168・・・・・光学検出部
264・・・・・制御部
312・・・・・ブラシ部
364・・・・・制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18