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特許7390640運動教育システム、サーバ装置、運動教育支援サービス提供方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】運動教育システム、サーバ装置、運動教育支援サービス提供方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/00 20060101AFI20231127BHJP
   G06T 7/20 20170101ALI20231127BHJP
【FI】
A63B69/00 A
G06T7/20 300Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019163659
(22)【出願日】2019-09-09
(65)【公開番号】P2021040794
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】506052024
【氏名又は名称】学校法人日本体育大学
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】浅野 正樹
(72)【発明者】
【氏名】田上 慎
(72)【発明者】
【氏名】日下部 美樹
(72)【発明者】
【氏名】阿江 通良
【審査官】上田 泰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/056449(WO,A1)
【文献】特開2018-187284(JP,A)
【文献】特開2014-237044(JP,A)
【文献】国際公開第2013/153635(WO,A1)
【文献】特開2010-069102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/00
G06T 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運動に係わる指導を受ける人が利用可能な端末と、前記端末に対し通信網を介して接続されるサーバ装置と、前記通信網に接続され、前記運動に係わる情報要素ごとに人の標準動作を表す複数の標準動作データを記憶するデータベースと、
を備え、
前記端末は、
前記指導を受ける人の情報要素が入力されると、前記サーバ装置に対し前記情報要素を含む指導要求を、前記通信網を介して送信する要求送信手段と、
前記人の動作状態を表す動画が入力されると、前記動画から前記人の動作データを生成する動作データ生成手段と、
を備え、
前記サーバ装置は、
前記端末から前記指導要求を受信すると、前記指導要求に含まれる前記情報要素に対応する標準動作データを前記データベースから取得するサーバ側標準動作データ取得手段と、
前記端末の前記動作データ生成手段により生成される前記動作データと前記標準動作データとの比較結果に基づいて、前記人の動作状態に対する改善点を前記端末に表示させるための表示データを生成し、当該表示データを前記端末に送信する改善点表示制御手段と、
を備え
前記サーバ装置の改善点表示制御手段は、最優先改善点を前記端末に表示させるための表示データと、身体的負担度を前記端末に表示させるための表示データと、質的要素または感覚を加味した採点を前記端末に表示させるための表示データとのうち少なくとも1つを生成する
運動教育システム。
【請求項2】
前記端末は、前記動作データ生成手段により生成された動作データを、前記サーバ装置に対し前記通信網を介して送信する動作データ送信手段を備え、
前記サーバ装置は、前記端末から送信される前記動作データと前記標準動作データとを比較する比較手段を備える請求項1に記載の運動教育システム。
【請求項3】
前記端末は、前記サーバ装置から前記標準動作データを取得する端末側標準動作データ取得手段と、前記動作データ生成手段により生成された動作データと前記端末側標準動作データ取得手段により取得された前記標準動作データとを比較する比較手段と、前記比較手段による前記動作データと前記標準動作データとの比較結果を前記サーバ装置に送信する比較結果送信手段とを備え、
前記サーバ装置の改善点表示制御手段は、前記端末から受信した前記比較結果に基づいて、前記表示データを生成し、当該表示データを前記端末に送信する請求項1に記載の運動教育システム。
【請求項4】
前記端末の要求送信手段は、前記情報要素として、前記人が指導を希望するスポーツの種目情報と、少なくとも前記人の身体に関する基本情報とを含む前記指導要求を前記サーバ装置へ送信する請求項1から3のいずれか1項に記載の運動教育システム。
【請求項5】
前記端末の動作データ生成手段は、前記動画から人体の骨格情報を抽出し、前記骨格情報を座標情報とした動作データを生成する請求項1から4のいずれか1項に記載の運動教育システム。
【請求項6】
前記端末の動作データ生成手段は、前記動画を撮影したときの動作に対して、前記人が感じた感覚値を入力する感覚値入力手段を備え、前記撮影された動画と、前記感覚値とに基づき、前記動作データを生成する請求項1から4のいずれか1項に記載の運動教育システム。
【請求項7】
運動に係わる指導を受ける人が利用可能な端末に対し通信網を介して接続可能で、前記運動に係わる情報要素ごとに人の標準動作を表す複数の標準動作データを記憶するデータベースに対し前記通信網を介して接続可能なサーバ装置であって、
前記端末から送信され前記指導を受ける人の情報要素を含む指導要求を受信すると、前記情報要素に対応する標準動作データを前記データベースから取得するサーバ側標準動作データ取得手段と、
前記端末により得られる前記人の動作状態を表す動作データと前記標準動作データとの比較結果に基づいて、前記人の動作状態に対する改善点を前記端末に表示させるための表示データを生成し、当該表示データを前記端末に送信する改善点表示制御手段と、
を備え
前記改善点表示制御手段は、最優先改善点を前記端末に表示させるための表示データと、身体的負担度を前記端末に表示させるための表示データと、質的要素または感覚を加味した採点を前記端末に表示させるための表示データとのうち少なくとも1つを生成する
サーバ装置。
【請求項8】
前記端末から送信される前記動作データと前記標準動作データとを比較する比較手段をさらに備える請求項7に記載のサーバ装置。
【請求項9】
前記比較手段は、前記標準動作に対する前記動作データの偏差値を表す偏差値データを生成し、前記偏差値データと、前記標準動作に対する前記動作データの動作変動度とを用いて、評価データを生成し、
前記改善点表示制御手段は、前記評価データがしきい値以上のポイントを抽出することにより前記表示データを生成する請求項8に記載のサーバ装置。
【請求項10】
前記比較手段は、前記標準動作に対する前記動作データの差分を表す差分データを生成し、前記差分データと、前記標準動作に対する前記動作データの動作変動度とを用いて、スコアデータを生成し、
前記改善点表示制御手段は、前記スコアデータに基づいて、前記表示データを生成する請求項8に記載のサーバ装置。
【請求項11】
さらに、前記データベースには、前記標準動作データとのずれごとに、前記動作データに対して前記標準動作データに座標を合わせるためのアドバイスデータが記憶され、
前記動作データと前記標準動作データとの比較結果に基づいて、前記データベースから該当するアドバイスデータを選択的に取得し、前記アドバイスデータに基づいて、前記端末にパーソナルアドバイスを表示させるためのパーソナルアドバイス表示データを生成し、当該パーソナルアドバイス表示データを前記端末に送信するアドバイス表示制御手段をさらに備える請求項7に記載のサーバ装置。
【請求項12】
前記アドバイス表示制御手段は、個人データを前記端末に表示させるためのパーソナルアドバイス表示データと、動作シミュレーションの結果を前記端末に表示させるためのパーソナルアドバイス表示データとの少なくとも1つを生成する請求項11に記載のサーバ装置。
【請求項13】
運動に係わる指導を受ける人が利用可能な端末に対し通信網を介して接続可能で、前記運動に係わる情報要素ごとに人の標準動作を表す複数の標準動作データを記憶するデータベースに対し前記通信網を介して接続可能なサーバ装置が運動教育支援サービスを提供する方法であって、
前記端末から送信され前記指導を受ける人の情報要素を含む指導要求を受信すると、前記サーバ装置が、前記情報要素に対応する標準動作データを前記データベースから取得し、
前記サーバ装置が、前記端末により得られる前記人の動作状態を表す動作データと前記標準動作データとの比較結果に基づいて、前記人の動作状態に対する改善点を表す表示データを生成し、当該表示データを前記端末に送信
前記サーバ装置が前記表示データを生成することは、最優先改善点を前記端末に表示させるための表示データと、身体的負担度を前記端末に表示させるための表示データと、質的要素または感覚を加味した採点を前記端末に表示させるための表示データとのうち少なくとも1つを生成する
運動教育支援サービス提供方法。
【請求項14】
運動に係わる指導を受ける人が利用可能な端末に対し通信網を介して接続可能で、前記運動に係わる情報要素ごとに人の標準動作を表す複数の標準動作データを記憶するデータベースに対し前記通信網を介して接続可能なサーバ装置により実行されるプログラムであって、前記サーバ装置を
前記端末から送信され前記指導を受ける人の情報要素を含む指導要求を受信すると、前記情報要素に対応する標準動作データを前記データベースから取得するサーバ側標準動作データ取得手段と、
前記端末により得られる前記人の動作状態を表す動作データと前記標準動作データとの比較結果に基づいて、前記人の動作状態に対する改善点を前記端末に表示させるための表示データを生成し、当該表示データを前記端末に送信する改善点表示制御手段と、
して動作させ、
前記改善点表示制御手段は、最優先改善点を前記端末に表示させるための表示データと、身体的負担度を前記端末に表示させるための表示データと、質的要素または感覚を加味した採点を前記端末に表示させるための表示データとのうち少なくとも1つを生成する
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばスポーツ選手やスポーツの上達を目指す愛好家などに対し、通信網を介して運動教育支援サービスを提供する運動教育システム、この運動教育サービスで使用されるサーバ装置、サーバ装置が実行する運動教育支援サービス提供方法、及びサーバ装置に運動教育支援サービス提供方法を実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
体育教育にあっては、正しく効率的に教育することが課題となっている。また、体育教育にあっては、怪我をしないように教育することも課題となっている。そこで、以前では、指導者の画像を静止画とし、生徒の画像を動画とし、指導者の画像を生徒に見せながら、生徒の画像を動かすことにより生徒の基本に適合していないフォームの場合にどのようなフォームとなるかを指導する方法が考えられている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、以前から、トップアスリート(成績上位)など高度な技術を持つパフォーマーの動作が、運動課題を達成するために不可欠な動作(比較的怪我が少ない)となっていることに着目して、それらの動作を標準モデルとして利用することが考えられている。
【0004】
標準モデルは、例えばトップアスリートのデータを20から30人分収集し、その共通点を再構成することで、作成可能である。標準モデルを教材とすることは、競技者の能力向上や高齢者の身体機能改善に役立つことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7-144038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、小中高の体育教育では、スポーツ経験の少ない教師が増加し、このため、教師によって指導方法にばらつきが生じる場合もあり、生徒に対し均一に正しい教育ができない。また、標準モデルを教材とする教育であっても、その指導方法については、指導者のノウハウ(暗黙知)が使用されており、このため、指導者によって指導方法にばらつきが生じる場合がある。
【0007】
本発明の目的は、運動教育を受ける人に対し正しい運動教育を実施することができる運動教育システム、サーバ装置、運動教育支援サービス提供方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するべく、本発明の一態様に係る運動教育システムは、運動に係わる指導を受ける人が利用可能な端末と、前記端末に対し通信網を介して接続されるサーバ装置と、前記通信網に接続され、前記運動に係わる情報要素ごとに人の標準動作を表す複数の標準動作データを記憶するデータベースと、を備え、前記端末は、前記指導を受ける人の情報要素が入力されると、前記サーバ装置に対し前記情報要素を含む指導要求を、前記通信網を介して送信する要求送信手段と、前記人の動作状態を表す動画が入力されると、前記動画から前記人の動作データを生成する動作データ生成手段と、を備え、前記サーバ装置は、前記端末から前記指導要求を受信すると、前記指導要求に含まれる前記情報要素に対応する標準動作データを前記データベースから取得するサーバ側標準動作データ取得手段と、前記端末の前記動作データ生成手段により生成される前記動作データと前記標準動作データとの比較結果に基づいて、前記人の動作状態に対する改善点を前記端末に表示させるための表示データを生成し、当該表示データを前記端末に送信する改善点表示制御手段と、を備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、運動教育を受ける人に対し正しい運動教育を実施することができる運動教育システム、サーバ装置、運動教育支援サービス提供方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係わるスポーツ教育システムの第1の実施形態を示す概略構成図である。
図2】第1の実施形態において、端末の入力画面の一例、及びデータベースの記憶内容の一例を示す図である。
図3】第1の実施形態において、受講者の撮影映像及び受講者の動作の時系列データの一例を示す図である。
図4】第1の実施形態において、受講者の動作の骨格情報の一例を示す図である。
図5】第1の実施形態に係り、スポーツ教育の受講者に動作状態の改善点及びパーソナルアドバイスを提供する際の端末と、管理サーバと、データベースとの間における情報の送受信動作を示す概略シーケンス図である。
図6】本発明に係わるスポーツ教育システムの第1の実施形態の変形例として、スポーツ教育の受講者に動作状態の改善点及びパーソナルアドバイスを提供する際の端末と、管理サーバと、データベースとの間における情報の送受信動作を示す概略シーケンス図である。
図7】本発明に係わるスポーツ教育システムの第2の実施形態を示す概略構成図である。
図8】第2の実施形態に係り、スポーツ教育の受講者に動作状態の改善点及びパーソナルアドバイスを提供する際の端末と、管理サーバと、データベースとの間における情報の送受信動作を示す概略シーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について説明する。なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。また、本実施形態には種々の変更又は改良を加えることが可能であり、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係わるスポーツ教育システムの第1の実施形態を示す概略構成図であり、PS1、…、PSn(nは整数)は運動教育としてスポーツ教育を受ける受講者が利用可能な端末をそれぞれ示している。端末PS1、…、PSn(図1では端末PS1を代表して図示)は、受講者及び受講者の動作を撮影するためのカメラ11と、受講者の音声を入力するためのマイク12と、制御部13Aと、記憶部14と、表示部15と、入力部16と、モデム17とを備えている。端末PS1、…、PSnは、例えばスマートフォン、タブレット、パーソナル・コンピュータであってもよい。さらに、端末PS1、…、PSnは、受講者が所持する端末でもよく、教師もしくは指導者が所持する端末でもよく、受講者が小学生または中学生であれば、保護者が所持する端末でもよい。
【0013】
このうち、制御部13Aは、カメラ11により撮像された動作映像210及びマイク12により入力された音声を任意に加工編集して図3に示すような動作データ(図3では例えば時系列データ220を図示)を生成する動作データ作成制御部131を有する。制御部13Aは、動作データを記憶部14に記憶すると共に、動作データに含まれる映像信号を表示部15に供給して表示させ、音声信号を図示しないスピーカから拡声出力させる。動作データ作成制御部131は、動画の時系列データ220から人体の骨格情報230を抽出し、図4に示すような骨格情報230を座標情報とした動作データを生成する機能を有する。
【0014】
制御部13Aは、クラウド上に動作データをアップロードするための動作データ送信制御部132を有している。すなわち、制御部13Aは、記憶部14に記憶されている例えばスポーツ教育に係わるアプリケーションプログラムを起動させることで、受講者が入力部16のキー操作により入力フォームに従って管理サーバ100に指導を要求し、カメラ11で撮影することにより生成される動作データまたは記憶部14に記憶された動作データをアップロードする。そして、このアップロードデータをモデム17から管理サーバ100に向け送信させる。モデム17は、アップロードデータを通信網NWへ送信する。
【0015】
通信網NWは、インターネット等のコンピュータ・ネットワークにより構成される。上記アップロードデータは、通信網NWを経由してサーバ装置としての管理サーバ100に伝送される。
【0016】
管理サーバ100は、端末PS1、…、PSnに対し通信網NWを介してスポーツ教育支援サービスを提供するもので、モデム110と、制御部120Aと、記憶部130とを備える。モデム110は、通信網NWに接続され、各端末PS1、…、PSnから通信網NWを介して送られたアップロードデータを受信する。制御部120Aは、受信したアップロードデータから動作データを抽出して、当該アップロードデータに付与されている送信元アドレスに対応付けて、記憶部130に動作データを記憶する。
【0017】
また、通信網NWには、データベース20が接続される。データベース20には、標準動作データベース21と、アドバイスデータベース22とが設けられる。標準動作データベース21には、図2に示すように、情報要素として、例えば種目情報と基本情報とを有する標準動作(数列)と、標準動作に対応する動作変動度(数列)とからなる複数の標準動作データが記憶されている。種目情報としては、例えば野球(投げる)、野球(打つ)、バスケットボール(シュート)等がある。基本情報としては、例えば身長、体重、年齢(学年)、性別、キャリア、レベル、経験値等がある。アドバイスデータベース22には、偏差値データ(数列)と、偏差値データに対応するアドバイスデータ(テキスト)とが記憶されている。
【0018】
制御部120Aは、標準動作データ取得制御部121と、動作データ比較制御部122と、改善点表示制御部123と、アドバイス表示制御部124とを備える。標準動作データ取得制御部121は、例えば端末PS1から送信される指導要求を受信すると、指導要求に含まれる種目情報及び基本情報に対応する標準動作データをデータベース20の標準動作データベース21から取得する。
【0019】
動作データ比較制御部122は、例えば端末PS1から送信される動作データとデータベース20から取得した標準動作データとを比較する比較処理を実行する。この比較処理としては、例えば標準動作に対する動作データの偏差値を表す偏差値データを生成し、偏差値データと、標準動作に対する動作データの動作変動度とを用いて、評価データを生成する。
【0020】
改善点表示制御部123は、上記動作データ比較制御部122により生成された評価データがしきい値以上のポイントを抽出することにより、受講者の動作状態に対する最優先改善点を要求元の端末PS1の表示部15に表示させるための表示データを生成し、この表示データを要求元の端末PS1へ通信網NWを介して送信する。
【0021】
アドバイス表示制御部124は、例えば端末PS1からアドバイス要求を受信すると、先に生成した偏差値データと評価データとに基づいて、データベース20のアドバイスデータベース22から該当するアドバイスデータを選択的に取得する。そして、取得したアドバイスデータに基づいて、要求元の端末PS1の表示部15にパーソナルアドバイスを表示させるためのパーソナルアドバイス表示データを生成し、通信網NWを介して当該パーソナルアドバイス表示データを端末PS1に送信する。パーソナルアドバイスとしては、例えば「左肩を少し上げましょう」、「右ひざをもっと曲げましょう」といった個人データや、動作シミュレーションがある。
【0022】
次に、以上のように構成されたシステムの動作を説明する。
図5は、端末PS1と、管理サーバ100と、データベース20との間における情報の送受信動作を示す概略シーケンス図である。
【0023】
例えば、スポーツ教育を受ける受講者は、端末PS1の入力部16を操作して、記憶部14に記憶されているスポーツ教育に係わるアプリケーションプログラムを起動させ、通信網NWを介して管理サーバ100にアクセスし、管理サーバ100からダウンロードされる画面の案内に従い、必要事項を入力する(ステップST5a)。入力する必要事項は、指導を希望する種目情報と、端末PS1を利用する受講者自身に関する基本情報である。例えば、種目情報として「バスケットボール(シュート)を選択し、基本情報として受講者の身長「〇〇cm」、体重「〇×kg」、年齢「××歳」、性別「男」、キャリア(経験値)「〇年」、レベル「中」を入力したとする。そして、これらの必要事項の入力が終了すると、端末PS1はこれらの情報を含む指導要求を管理サーバ100に向け送信する。
【0024】
上記指導要求を受信すると管理サーバ100は、データベース20に対し通信網NWを介してアクセスし、指導要求に含まれる種目情報及び基本情報を含む標準動作データ要求をデータベース20に送信する(ステップST5b)。
【0025】
データベース20は、標準動作データ要求を受信すると(ステップST5c)、標準動作データ要求に含まれる種目情報及び基本情報に基づいて、標準動作データベース21から受講者と同条件の標準動作データを読み出し(ステップST5d)、標準動作(数列)及び動作変動度(数列)を含む標準動作データを管理サーバ100に送信する。なお、標準動作データベース21には、例えば各種目別にトップアスリートのデータを例えば20から30人分収集し、その共通点を再構成した複数の標準動作データが記憶され、各年代別に一般人のデータを収集して、その共通点を再構成した複数の標準動作データが記憶される。例えば基本情報に含まれるレベルが「高」であれば、希望の種目に対応するトップアスリートの標準動作データが読み出され、例えば基本情報に含まれるレベルが「小」であれば、同世代の一般人の標準動作データが読み出される。
【0026】
管理サーバ100は、データベース20から標準動作データを受信すると(ステップST5e)、標準動作データを記憶部130に一時記憶し、指導要求元の端末PS1に対し通信網NWを介して動作データ要求を送信する(ステップST5f)。動作データ要求には、例えば「シュートする動作を動画撮影してください」という受講者に対するコマンドが含まれる。
【0027】
上記動作データ要求を受信すると端末PS1は、表示部15に例えば「シュートする動作を動画撮影してください」という受講者に対するコマンドを表示する。表示部15に表示されたコマンドを見た受講者は、カメラ11を起動させ、自身がシュートする動作をカメラ11により撮影する(ステップST5g)。このとき、受講者は、自身全体が撮影可能な場所に、端末PS1を置いてカメラ11で撮影する。
【0028】
端末PS1は、図3に示すように、カメラ11により撮影された動作映像210から、時系列データ220を含む動作データを生成する(ステップST5h)。このとき、端末PS1は、動作データを標準動作データと動作局面を合わせたデータにするために、図4に示すように、時系列データ220から人体の骨格情報230を抽出し、骨格情報230を座標情報とした動作データを生成する。そうして、受講者が入力部16を操作してアップロードボタン(図示せず)をクリックすると、端末PS1は動作データを含めたアップロードデータを管理サーバ100に送信する。
【0029】
管理サーバ100は、端末PS1からアップロードデータを受信すると、アップロードデータに含まれる動作データを抽出し(ステップST5i)、標準動作に対する動作データの偏差値を表す偏差値データを生成し(ステップST5j)、偏差値データと、標準動作に対する動作データの動作変動度とを用いて、重み付き動作逸脱度を算出し、降順にソートした評価データを生成する(ステップST5k)。このとき、偏差値データは、例えば(x0,y0,z0)=(10,-5,3)、(x1,y1,z1)=(-3,15,-9)、…という数列で表される。評価データは、偏差値データに動作変動度の逆数を乗算することにより求められる。
【0030】
続いて、管理サーバ100は、要求元の端末PS1を識別するアドレスに対応付けて偏差値データ及び評価データを記憶部130に記憶するとともに、上記評価データがしきい値以上の値のポイントを抽出することにより、受講者の動作状態に対する評価(最優先改善点)を要求元の端末PS1の表示部15に表示させるための表示データを生成し(ステップST5l)、この表示データを要求元の端末PS1へ通信網NWを介して送信する。
【0031】
上記表示データを受信すると端末PS1は、当該表示データを表示部15に供給して表示させる(ステップST5m)。したがって、この表示により受講者は自身の動作状態に対する最優先改善点を知ることができる。例えば、評価データ(x0,y0,z0)=(10,15,20)、(x1,y1,z1)=(60,100,-50)、…という数列が表示部15に表示されていれば、受講者はシュートの際に自身の左肩が少し下がっており、右ひざが伸びてしまっていることを知ることができる。
【0032】
この状態で受講者がアドバイスを受けるべく入力部16を操作してアドバイス要求コマンドを入力したとする。そうすると端末PS1は、管理サーバ100にアクセスし、パーソナルアドバイス要求を送信する(ステップST5n)。
【0033】
上記パーソナルアドバイス要求を受信すると管理サーバ100は、上記パーソナルアドバイス要求に含まれる送信元アドレスに基づいて、記憶部130から該当する偏差値データ及び評価データを読み出し、データベース20に対し通信網NWを介してアクセスし、偏差値データ及び評価データを含むアドバイスデータ取得要求をデータベース20に送信する(ステップST5o)。
【0034】
データベース20は、アドバイスデータ取得要求を受信すると(ステップST5p)、アドバイスデータ取得要求に含まれる評価データの降順に、アドバイスデータベース22から偏差値データに対応するアドバイスデータを読み出し(ステップST5q)、アドバイスデータを管理サーバ100に送信する。ここで、偏差値データが(x0,y0,z0)=(10,-5,3)、(x1,y1,z1)=(-3,15,-9)、…という数列であれば、対応するアドバイスデータは「少し上げる」、「大幅に下げる」というテキストデータとなる。
【0035】
管理サーバ100は、データベース20から偏差値ごとのアドバイスデータを受信すると(ステップST5r)、文章を調整して、要求元の端末PS1の表示部15にパーソナルアドバイスを表示させるためのパーソナルアドバイス表示データを生成し(ステップST5s)、通信網NWを介して当該パーソナルアドバイス表示データを端末PS1に送信する。ここで、アドバイスデータが例えば「少し上げる」、「大幅に下げる」、「左肩」、「右ひざ」というテキストデータであれば、管理サーバ100は「左肩を少し上げましょう」、「右ひざをもっと曲げましょう」というパーソナルアドバイスを生成する。
【0036】
上記パーソナルアドバイス表示データを受信すると端末PS1は、当該パーソナルアドバイス表示データを表示部15に供給して表示させる(ステップST5t)。したがって、この表示により受講者は自身の動作状態に対するパーソナルアドバイスを正しく受けることができる。
【0037】
なお、図5に示す上記ステップST5hにおいて、端末PS1の動作データ作成制御部131は、動画を撮影したときの動作に対して、受講者が感じた感覚値を入力する感覚値入力機能を備えるようにしてもよい。この場合、動作データ作成制御部131は、撮影された動画と、感覚値入力機能により入力された感覚値とに基づき、動作データを生成する。撮影された動画に対し、「とても良い」、「良い」、「悪い」、「とても悪い」など感覚値を入力することにより、受講者は改善する箇所について事前に予測することができ、さらに改善を希望する箇所についても優先してアドバイスを受けることができる。
【0038】
以上のように上記第1の実施形態によれば、スポーツ教育に係わる指導を受ける受講者が端末PS1を使用して指導を希望する種目情報及び受講者自身に関する基本情報を入力し、端末PS1のカメラ11により受講者自身の動作状態を表す動画を撮影することで、管理サーバ100がデータベース20に記憶された受講者と同条件の標準動作データを利用して受講者の動作状態に対する改善点を端末PS1に表示させるための表示データを生成し、端末PS1に送信するようにしている。従って、例えばトップアスリートを目指す受講者にとっては常に正しいスポーツ教育を受けることができる。
【0039】
また、上記第1の実施形態では、例えば端末PS1が動画から人体の骨格情報を抽出し、骨格情報を座標情報とした動作データを生成する機能を有するので、管理サーバ100では受講者の動作状態の3次元的座標情報を取得することができ、その座標情報から受講者の動作状態に対する改善点を詳細に演算することができる。
【0040】
また、上記第1の実施形態では、動作データと標準動作データとの比較に偏差値データを利用することで、動作している受講者の身体の各箇所の個人差の動きを求めることができ、個人差の動きが大きい箇所を抽出して、個人ごとに細かな改善点を提供することができ、必要に応じて個人ごとに細かなパーソナルアドバイスを提供することができる。
【0041】
さらに、上記第1の実施形態によれば、例えばトップコーチ陣のトレーニング方法をデータ化してアドバイスデータとしてアドバイスデータベース22に記憶することができる。これにより例えば選手育成を通じたスポーツ市場の活性化に寄与できる。
【0042】
(第1の実施形態の変形例)
図6は、本発明に係わるスポーツ教育システムの第1の実施形態の変形例とし、端末PS1と、管理サーバ100と、データベース20との間における情報の送受信動作を示す概略シーケンス図である。図6において、ステップST6aからステップST6iについては、上記図5のステップST5aからステップST5iと同様の処理であるので、詳細な説明を省略する。
【0043】
管理サーバ100は、標準動作に対する動作データの差分を表す差分データを生成し(ステップST6j)、差分データと、標準動作に対する動作データの動作変動度とを用いて、スコアデータを生成する(ステップST6k)。スコアデータは、差分データに動作変動度を乗算することにより求められる。
【0044】
続いて、管理サーバ100は、要求元の端末PS1を識別するアドレスに対応付けて差分データ及び標準動作データを記憶部130に記憶するとともに、受講者の動作状態に対するスコアを要求元の端末PS1の表示部15に表示させるための表示データを生成し、この表示データを要求元の端末PS1へ通信網NWを介して送信する。
【0045】
上記表示データを受信すると端末PS1は、当該表示データを表示部15に供給して表示させる(ステップST6l)。したがって、この表示により受講者は自身の動作状態に対するスコアを知ることができる。このスコアとしては、身体的負担度や、受講者の動作するときの音やリズムを含む質的要素を加味した採点や、感覚を加味した採点が含まれる。受講者は自身の動作状態に対する身体的負担度を知ることができれば、動作による傷害発生を予測することができる。
【0046】
端末PS1からパーソナルアドバイス要求を受信すると管理サーバ100は、上記パーソナルアドバイス要求に含まれる送信元アドレスに基づいて、記憶部130から該当する差分データ及び標準動作データを読み出し(ステップST6n)、標準動作データに含まれる動作変動度の小さい順に差分データをソートし、上位にある複数の差分データの中から差分の大きい順に並べられた複数の差分データを優先差分データとして生成し(ステップST6o)、優先差分データを含むアドバイスデータ取得要求をデータベース20に送信する。
【0047】
データベース20は、アドバイスデータ取得要求を受信すると(ステップST6p)、修正優先度の高い順に、アドバイスデータベース22から差分ごとのアドバイスデータを読み出し(ステップST6q)、アドバイスデータを管理サーバ100に送信する。
【0048】
管理サーバ100は、データベース20から差分ごとのアドバイスデータを受信すると(ステップST6r)、上位の差分に対応するアドバイスデータのみを使用して、要求元の端末PS1の表示部15にパーソナルアドバイスを表示させるためのパーソナルアドバイス表示データを生成し(ステップST6s)、通信網NWを介して当該パーソナルアドバイス表示データを端末PS1に送信する。
【0049】
以上のように上記変形例によれば、動作データと標準動作データとの比較に差分データを利用しても、上記第1の実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0050】
また、上記変形例では、スコアとして、身体的負担度を端末PS1の表示部15に表示させるようにすれば、受講者は自身の動作による傷害発生を予測することができ、スポーツによる怪我を未然に防ぐこともできる。
【0051】
(第2の実施形態)
図7は、本発明に係わるスポーツ教育システムの第2の実施形態を示す概略構成図である。図7において、上記図1と同一部分には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0052】
例えば、端末PS1の制御部13Bは、動作データ作成制御部131に加えて、標準動作データ取得制御部133と、動作データ比較制御部134と、送信制御部135とを備える。標準動作データ取得制御部133は、管理サーバ100から標準動作データを取得する。
【0053】
動作データ比較制御部134は、上記動作データ作成制御部131により生成された動作データと、上記標準動作データ取得制御部133により取得された標準動作データとを比較する処理を実行する。この比較処理としては、例えば標準動作に対する動作データの偏差値を表す偏差値データを生成し、偏差値データと、標準動作に対する動作データの動作変動度とを用いて、評価データを生成する。
【0054】
送信制御部135は、上記動作データ比較制御部134により生成された評価データを上記アップロードデータとして、上記通信網NWを介して管理サーバ100に送信する。
【0055】
一方、管理サーバ100の制御部120Bは、標準動作データ取得制御部121、改善点表示制御部123及びアドバイス表示制御部124に加えて、評価データ受信制御部125を備える。評価データ受信制御部125は、上記端末PS1から送信されたアップロードデータを受信し、アップロードデータに含まれる評価データを抽出する。
【0056】
次に、以上のように構成されたシステムの動作を説明する。
図8は、端末PS1と、管理サーバ100と、データベース20との間における情報の送受信動作を示す概略シーケンス図である。図8において、ステップST8aからステップST8e、ステップST8lからステップST8tについては、上記図5のステップST5aからステップST5e、ステップST5lからステップST5tと同一の処理であるので、詳細な説明を省略する。
【0057】
管理サーバ100は、データベース20から標準動作データを受信すると、標準動作データを上記動作データ要求とともに、指導要求元の端末PS1に対し通信網NWを介して送信する(ステップST8f)。
【0058】
上記動作データ要求及び上記標準動作データを受信すると端末PS1は、標準動作データを記憶部14に一時記憶し、表示部15に例えば「シュートする動作を動画撮影してください」という受講者に対するコマンドを表示する。表示部15に表示されたコマンドを見た受講者は、カメラ11を起動させ、自身がシュートする動作をカメラ11により撮影する(ステップST8g)。
【0059】
端末PS1は、カメラ11により撮影された動作映像210から、時系列データ220を含む動作データを生成する(ステップST8h)。そして、端末PS1は、記憶部14から標準動作データを読み出し、標準動作に対する動作データの偏差値を表す偏差値データを生成し(ステップST8i)、偏差値データと、標準動作に対する動作データの動作変動度とを用いて、重み付き動作逸脱度を算出し、降順にソートした評価データを生成する(ステップST8j)。
【0060】
受講者が入力部16を操作してアップロードボタン(図示せず)をクリックすると、端末PS1は評価データを含めたアップロードデータを管理サーバ100に送信する。
【0061】
管理サーバ100は、端末PS1からアップロードデータを受信すると、アップロードデータに含まれる評価データを抽出する(ステップST8k)。
【0062】
以上のように上記第2の実施形態であれば、受講者の動作状態を表す動作データとデータベース20に記憶された標準動作データとの比較処理を端末PS1にて実行できるようにすることも可能であり、その分、管理サーバ100の処理負担が軽減される。
【0063】
(その他の実施形態)
本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。各実施形態では、管理サーバ100から動作データ要求が送られてきたときに、端末PS1側で動画撮影を行う例について説明した。しかしこれに限ることなく、端末PS1の受講者が種目情報及び基本情報を入力すると同時に、動画撮影を行うようにしてもよい。
【0064】
その他、管理サーバ100の構成、端末PS1、…、PSnの構成、受講者の動作状態に対する改善点の提供方法、受講者の動作状態に対するパーソナルアドバイスの提供方法等についても、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【符号の説明】
【0065】
11 カメラ
12 マイク
13A、13B、120A、120B 制御部
14、130 記憶部
15 表示部
16 入力部
17、110 モデム
20 データベース
21 標準動作データベース
22 アドバイスデータベース
100 管理サーバ
121、133 標準動作データ取得制御部
122 動作データ比較制御部
123 改善点表示制御部
124 アドバイス表示制御部
125 評価データ受信制御部
131 動作データ作成制御部
132 動作データ送信制御部
134 動作データ比較制御部
135 送信制御部
PS1、…、PSn 端末
NW 通信網
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8