IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

特許7390680レーザ溶接品質検査の方法及びレーザ溶接品質検査装置
<>
  • 特許-レーザ溶接品質検査の方法及びレーザ溶接品質検査装置 図1
  • 特許-レーザ溶接品質検査の方法及びレーザ溶接品質検査装置 図2
  • 特許-レーザ溶接品質検査の方法及びレーザ溶接品質検査装置 図3
  • 特許-レーザ溶接品質検査の方法及びレーザ溶接品質検査装置 図4
  • 特許-レーザ溶接品質検査の方法及びレーザ溶接品質検査装置 図5
  • 特許-レーザ溶接品質検査の方法及びレーザ溶接品質検査装置 図6
  • 特許-レーザ溶接品質検査の方法及びレーザ溶接品質検査装置 図7
  • 特許-レーザ溶接品質検査の方法及びレーザ溶接品質検査装置 図8
  • 特許-レーザ溶接品質検査の方法及びレーザ溶接品質検査装置 図9
  • 特許-レーザ溶接品質検査の方法及びレーザ溶接品質検査装置 図10
  • 特許-レーザ溶接品質検査の方法及びレーザ溶接品質検査装置 図11
  • 特許-レーザ溶接品質検査の方法及びレーザ溶接品質検査装置 図12
  • 特許-レーザ溶接品質検査の方法及びレーザ溶接品質検査装置 図13
  • 特許-レーザ溶接品質検査の方法及びレーザ溶接品質検査装置 図14
  • 特許-レーザ溶接品質検査の方法及びレーザ溶接品質検査装置 図15
  • 特許-レーザ溶接品質検査の方法及びレーザ溶接品質検査装置 図16
  • 特許-レーザ溶接品質検査の方法及びレーザ溶接品質検査装置 図17
  • 特許-レーザ溶接品質検査の方法及びレーザ溶接品質検査装置 図18
  • 特許-レーザ溶接品質検査の方法及びレーザ溶接品質検査装置 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】レーザ溶接品質検査の方法及びレーザ溶接品質検査装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/00 20140101AFI20231127BHJP
【FI】
B23K26/00 P
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019186215
(22)【出願日】2019-10-09
(65)【公開番号】P2021058927
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】船見 浩司
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-205182(JP,A)
【文献】特開2017-164803(JP,A)
【文献】米国特許第05651903(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合物と被接合物とをレーザビームで照射することで溶接する際の、接合物と被接合物との溶接部の溶接品質検査の方法であって、
前記溶接する際に前記溶接部から放射される熱放射光の信号強度を取得するステップと、
前記溶接する際に前記溶接部から放射されるプラズマ光の信号強度を取得するステップと、
取得された前記熱放射光の信号強度と前記プラズマ光の信号強度との差分に基づき、前記溶接部に異常が生じたか否かを判定するステップと、
を含む、レーザ溶接品質検査の方法。
【請求項2】
取得された前記熱放射光の信号強度と前記プラズマ光の信号強度との差分に基づき、前記溶接部に異常が生じたか否かを判定するステップは、
前記熱放射光の信号強度と前記プラズマ光の信号強度との差分信号を算出するステップと、
算出された前記差分信号に予め設定された判定基準値よりも大きい値の信号強度を有するピークが含まれるときに、前記溶接部に異常が生じたと判定するステップと、
を更に含む、
請求項1記載のレーザ溶接品質検査の方法。
【請求項3】
前記溶接する際に前記レーザビームの照射光を測定して、レーザビームの照射出力波形を取得するステップを更に含み、
前記熱放射光の信号強度と前記プラズマ光の信号強度との差分信号を算出するステップは、
取得された前記レーザビームの照射出力波形に基づいて、一定の照射出力に対応するレーザビームの照射期間を判定期間として設定するステップと、
取得された前記熱放射光の信号強度と前記プラズマ光の信号強度とのうち、前記判定期間における熱放射光の信号強度とプラズマ光の信号強度とを、それぞれ抽出するステップと、
抽出された前記判定期間における、前記熱放射光の信号強度と前記プラズマ光の信号強度との差分信号を算出するステップと、
を更に含む、
請求項2記載のレーザ溶接品質検査の方法。
【請求項4】
前記抽出された前記判定期間における、前記熱放射光の信号強度と前記プラズマ光の信号強度との差分信号を算出するステップは、
抽出された前記判定期間における、前記熱放射光の信号強度と前記プラズマ光の信号強度とをそれぞれ正規化することによって、前記熱放射光の正規化信号と前記プラズマ光の正規化信号とを算出するステップと、
前記熱放射光の正規化信号と、前記プラズマ光の正規化信号との差分信号を算出するステップと、
を更に含む、
請求項3記載のレーザ溶接品質検査の方法。
【請求項5】
前記熱放射光の正規化信号と前記プラズマ光の正規化信号とを算出するステップにおいて、
前記判定期間内における、前記熱放射光の信号強度の平均値と前記プラズマ光の信号強度の平均値とをそれぞれmavとnavとし、
前記判定期間内における、正規化する前の前記熱放射光の信号強度の時間関数と正規化する前の前記プラズマ光の信号強度の時間関数とをそれぞれH(t)とS(t)とすると、前記判定期間内における、前記熱放射光の正規化信号の時間関数Hm(t)と、前記プラズマ光の正規化信号の時間関数Sn(t)とは、それぞれ以下の式を満たす、
【数1】
【数2】
請求項4に記載のレーザ溶接品質検査の方法。
【請求項6】
前記熱放射光の正規化信号と前記プラズマ光の正規化信号とを算出するステップにおいて、
前記判定期間内における、異常が生じていないと判定された複数回の溶接の熱放射光の信号強度の時間関数の平均値と、プラズマ光の信号強度の時間関数の平均値とを、それぞれmav(t)とnav(t)とし、
前記判定期間内における、正規化する前の前記熱放射光の信号強度の時間関数と正規化する前の前記プラズマ光の信号強度の時間関数とをそれぞれH(t)とS(t)とすると、前記判定期間内における、前記熱放射光の正規化信号の時間関数Hm(t)と、前記プラズマ光の正規化信号の時間関数Sn(t)とは、それぞれ以下の式を満たす、
【数3】
【数4】
請求項4に記載のレーザ溶接品質検査の方法。
【請求項7】
接合物と被接合物とをレーザビームで照射することで溶接する際の、接合物と被接合物との溶接部の溶接品質検査装置であって、
測定装置と溶接状態判定装置とを備え、
前記溶接状態判定装置は、
前記測定装置から、溶接する際に前記溶接部から放射される熱放射光の信号強度のデータとプラズマ光の信号強度のデータとを取得する信号強度取得部と、
前記信号強度取得部によって取得された前記熱放射光の信号強度のデータと前記プラズマ光の信号強度のデータとの処理を実行する信号強度処理部とを有し、
前記信号強度処理部は、
取得された前記熱放射光の信号強度と前記プラズマ光の信号強度との差分に基づき、前記溶接部に異常が生じたか否かを判定する、
レーザ溶接品質検査装置。
【請求項8】
前記信号強度処理部は、
前記信号強度取得部によって取得された前記熱放射光の信号強度のデータと前記プラズマ光の信号強度のデータとに基づき、
前記熱放射光の信号強度と前記プラズマ光の信号強度との差分信号を算出し、
算出された前記差分信号に予め設定された判定基準値よりも大きい値の信号強度を有するピークが含まれるときに、前記溶接部に異常が生じたと判定する、
請求項7に記載のレーザ溶接品質検査装置。
【請求項9】
前記信号強度取得部は、
前記測定装置から、レーザビームの照射出力波形を更に取得し、
前記信号強度処理部は、
取得された前記レーザビームの照射出力波形に基づいて、一定の照射出力に対応するレーザビームの照射期間を判定期間として設定し、
取得された前記熱放射光の信号強度と前記プラズマ光の信号強度とのうち、前記判定期間における熱放射光の信号強度とプラズマ光の信号強度とを、それぞれ抽出し、
前記差分信号は、
抽出された前記判定期間における、前記熱放射光の信号強度と前記プラズマ光の信号強度との差分信号である、
請求項8に記載のレーザ溶接品質検査装置。
【請求項10】
前記信号強度処理部は、
抽出された前記判定期間における、前記熱放射光の信号強度と前記プラズマ光の信号強度とをそれぞれ正規化することによって、前記熱放射光の正規化信号と前記プラズマ光の正規化信号とを算出し、
前記差分信号は、
前記熱放射光の正規化信号と、前記プラズマ光の正規化信号との差分信号である、
請求項9に記載のレーザ溶接品質検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ溶接品質検査の方法及びレーザ溶接品質検査装置に関し、より詳細には、レーザ溶接時における溶接異常の判定に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のレーザ溶接品質検査の方法として、例えば、特許文献1においては、レーザ溶接時に溶接部から発されるプラズマ光または反射光のピーク強度を利用して溶接不良の判定を行っている。また、特許文献2においては、レーザ溶接時に接合部からの反射光と、プラズマ光と、赤外光とのそれぞれの時間積分強度を利用して溶接不良の判定を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3154177号公報
【文献】特開2007-98442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のレーザ溶接時に発生する溶接光(熱放射光、プラズマ光、及びレーザ反射光)のピーク強度、若しくは、それらの溶接光の強度の積分値により、レーザ溶接時における溶接不良の判定を行う方法では、明らかな溶接異常があったときには溶接不良の判定ができるが、微小な溶接異常があったときには、正確に溶接不良の判定ができないという課題がある。レーザ溶接時に異常の発生をより正確に検出するという観点において、従来の検査方法は未だ改善の余地がある。
【0005】
従って、本開示は、前記従来の課題を解決するものであって、より高い精度で溶接異常の判定を行うことができる、レーザ溶接品質検査の方法及びレーザ溶接品質検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の一実施態様に係るレーザ溶接品質検査の方法は、接合物と被接合物とをレーザビームで照射することで溶接する際の、接合物と被接合物との溶接部の溶接品質の検査方法であって、前記溶接する際に前記溶接部から放射される熱放射光の信号強度を取得するステップと、前記溶接する際に前記溶接部から放射されるプラズマ光の信号強度を取得するステップと、取得された前記熱放射光の信号強度と前記プラズマ光の信号強度との比較に基づき、前記溶接部に異常が生じたか否かを判定するステップと、を含むことを特徴とする。
【0007】
本開示の他の実施態様に係るレーザ溶接品質検査装置は、接合物と被接合物とをレーザビームで照射することで溶接する際の、接合物と被接合物との溶接部の溶接品質検査装置であって、測定装置と溶接状態判定装置とを備え、前記溶接状態判定装置は、前記測定装置から、溶接する際に前記溶接部から放射される熱放射光の信号強度とプラズマ光の信号強度とのデータを取得する信号強度取得部と、前記信号強度取得部によって取得された前記熱放射光の信号強度のデータと前記プラズマ光の信号強度のデータとの処理を実行する信号強度処理部とを有し、前記信号強度処理部は、取得された前記熱放射光の信号強度と前記プラズマ光の信号強度との比較に基づき、前記溶接部に異常が生じたか否かを判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本開示に係るレーザ溶接品質検査の方法及びレーザ溶接品質検査装置によれば、レーザ溶接時に発生する熱放射光とプラズマ光との比較により、より高い精度で溶接異常を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態に係るレーザ溶接品質検査装置の構成を示す全体図である。
図2】本開示の実施形態に係る正常溶接時の溶接状態を示す模式図であって、(a)溶接開始時の溶接部の断面図、及び(b)溶接完了時の溶接状態の断面図である。
図3】本開示の実施形態に係るレーザビームの出力波形の設定を示す図である。
図4】本開示の実施形態に係る異常溶接時の溶接状態を示す模式図であって、(a)溶接開始時の溶接部の断面図、及び(b)溶接完了時の溶接状態の断面図である。
図5】本開示の実施形態に係る正常溶接時の(a)溶融凝固部の外観、(b)レーザビームの照射出力波形、及び(c)熱放射光の信号強度を示す図である。
図6】本開示の実施形態に係る異常溶接時の(a)溶融凝固部の外観、(b)レーザビームの照射出力波形、及び(c)熱放射光の信号強度を示す図である。
図7】従来技術の溶接不良判定において、複数の異なる溶接状態を有する溶接品の溶接時の熱放射光を示す図であって、(a)複数の溶接品の熱放射光におけるピークの信号強度、及び(b)複数の溶接品の熱放射光におけるピークの信号強度が700以下の部分を拡大して示す図である。
図8】従来技術による溶接状態判定の検証結果を示す図である。
図9】従来技術の溶接不良判定において、溶接異常品の、(a)溶融凝固部の外観、及び(b)溶接時の熱放射光の信号強度を示す図である。
図10】従来技術の溶接不良判定において、溶接正常品の、(a)溶融凝固部の外観、及び(b)溶接時の熱放射光の信号強度を示す図である。
図11】本開示の実施形態に係る溶接時の熱放射光の信号強度及びプラズマ光の信号強度であって、(a)正常溶接品、(b)従来手法において溶接異常と判定された溶接異常品1、及び(c)従来手法において溶接異常と判定されなかった溶接異常品2の測定結果を示す図である。
図12図1のレーザ溶接品質検査装置における、溶接状態判定装置の構成を示すブロック図である。
図13】本開示の実施形態に係るレーザ溶接品質検査装置の、溶接状態の判定プロセスのフローチャートを示す図である。
図14図13の溶接状態の判定フローチャートにおけるステップ102の実行結果であって、(a)レーザビームの照射出力波形、(b)微小な溶接異常を有する溶接品の熱放射光の信号強度、及び(c)微小な溶接異常を有する溶接品のプラズマ光の信号強度を示す図である。
図15図13の溶接状態の判定フローチャートにおけるステップ103の実行結果であって、微小な溶接異常を有する溶接品の(a)抽出された判定期間における熱放射光の信号強度、及び(b)抽出された判定期間におけるプラズマ光の信号強度を示す図である。
図16図13の溶接状態の判定フローチャートにおけるステップ104の実行結果であって、微小な溶接異常を有する溶接品の(a)判定期間における熱放射光の正規化信号、及び(b)判定期間におけるプラズマ光の正規化信号を示す図である。
図17図13の溶接状態の判定フローチャートにおけるステップ105の実行結果であって、(a)微小な溶接異常を有する溶接品の判定期間における熱放射光の正規化信号とプラズマ光の正規化信号との差分信号の算出結果、(b)算出した差分信号による微小な溶接異常を有する溶接品の判定、及び(c)算出した差分信号による正常溶接品の判定を示す図である。
図18】本開示に係る溶接状態の判定において、複数の異なる溶接状態を有する溶接品の判定期間における熱放射光の正規化信号とプラズマ光の正規化信号との差分信号を示す図であって、(a)複数の溶接品の差分信号におけるピークの信号強度、及び(b)複数の溶接品の差分信号におけるピークの信号強度が1.0以下の部分を拡大して示す図である。
図19】本開示の実施形態による溶接状態判定の検証結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の第1態様によれば、
接合物と被接合物とをレーザビームで照射することで溶接する際の、接合物と被接合物との溶接部の溶接品質の検査方法であって、
前記溶接する際に前記溶接部から放射される熱放射光の信号強度を取得するステップと、
前記溶接する際に前記溶接部から放射されるプラズマ光の信号強度を取得するステップと、
取得された前記熱放射光の信号強度と前記プラズマ光の信号強度との比較に基づき、前記溶接部に異常が生じたか否かを判定するステップと、
を含む、レーザ溶接品質検査の方法を提供する。
【0011】
本開示の第2態様によれば、
取得された前記熱放射光の信号強度と前記プラズマ光の信号強度との比較に基づき、前記溶接部に異常が生じたか否かを判定するステップは、
前記熱放射光の信号強度と前記プラズマ光の信号強度との差分信号を算出するステップと、
算出された前記差分信号に予め設定された判定基準値よりも大きい値の信号強度を有するピークが含まれるときに、前記溶接部に異常が生じたと判定するステップと、
を更に含む、第1態様に記載のレーザ溶接品質検査の方法を提供する。
【0012】
本開示の第3態様によれば、
前記溶接する際に前記レーザビームの照射光を測定して、レーザビームの照射出力波形を取得するステップを更に含み、
前記熱放射光の信号強度と前記プラズマ光の信号強度との差分信号を算出するステップは、
取得された前記レーザビームの照射出力波形に基づいて、一定の照射出力に対応するレーザビームの照射期間を判定期間として設定するステップと、
取得された前記熱放射光の信号強度と前記プラズマ光の信号強度とのうち、前記判定期間における熱放射光の信号強度とプラズマ光の信号強度とを、それぞれ抽出するステップと、
抽出された前記判定期間における、前記熱放射光の信号強度と前記プラズマ光の信号強度との差分信号を算出するステップと、
を更に含む、第2態様に記載のレーザ溶接品質検査の方法を提供する。
【0013】
本開示の第4態様によれば、
前記抽出された前記判定期間における、前記熱放射光の信号強度と前記プラズマ光の信号強度との差分信号を算出するステップは、
抽出された前記判定期間における、前記熱放射光の信号強度と前記プラズマ光の信号強度とをそれぞれ正規化することによって、前記熱放射光の正規化信号と前記プラズマ光の正規化信号とを算出するステップと、
前記熱放射光の正規化信号と、前記プラズマ光の正規化信号との差分信号を算出するステップと、
を更に含む、第3態様に記載のレーザ溶接品質検査の方法を提供する。
【0014】
本開示の第5態様によれば、
前記熱放射光の正規化信号と前記プラズマ光の正規化信号とを算出するステップにおいて、
前記判定期間内における、前記熱放射光の信号強度の平均値と前記プラズマ光の信号強度の平均値とをそれぞれmavとnavとし、
前記判定期間内における、正規化する前の前記熱放射光の信号強度の時間関数と正規化する前の前記プラズマ光の信号強度の時間関数とをそれぞれH(t)とS(t)とすると、前記判定期間内における、前記熱放射光の正規化信号の時間関数Hm(t)と、前記プラズマ光の正規化信号の時間関数Sn(t)とは、それぞれ以下の式を満たす、
【数1】
【数2】
第4態様に記載のレーザ溶接品質検査の方法を提供する。
【0015】
本開示の第6態様によれば、
前記熱放射光の正規化信号と前記プラズマ光の正規化信号とを算出するステップにおいて、
前記判定期間内における、異常が生じていないと判定された複数回の溶接の熱放射光の信号強度の時間関数の平均値と、プラズマ光の信号強度の時間関数の平均値とを、それぞれmav(t)とnav(t)とし、
前記判定期間内における、正規化する前の前記熱放射光の信号強度の時間関数と正規化する前の前記プラズマ光の信号強度の時間関数とをそれぞれH(t)とS(t)とすると、前記判定期間内における、前記熱放射光の正規化信号の時間関数Hm(t)と、前記プラズマ光の正規化信号の時間関数Sn(t)とは、それぞれ以下の式を満たす、
【数3】
【数4】
第4態様に記載のレーザ溶接品質検査の方法を提供する。
【0016】
本開示の第7態様によれば、
接合物と被接合物とをレーザビームで照射することで溶接する際の、接合物と被接合物との溶接部の溶接品質検査装置であって、
測定装置と溶接状態判定装置とを備え、
前記溶接状態判定装置は、
前記測定装置から、溶接する際に前記溶接部から放射される熱放射光の信号強度のデータとプラズマ光の信号強度のデータとを取得する信号強度取得部と、
前記信号強度取得部によって取得された前記熱放射光の信号強度のデータと前記プラズマ光の信号強度のデータとの処理を実行する信号強度処理部とを有し、
前記信号強度処理部は、
取得された前記熱放射光の信号強度と前記プラズマ光の信号強度との比較に基づき、前記溶接部に異常が生じたか否かを判定する、
レーザ溶接品質検査装置を提供する。
【0017】
本開示の第8態様によれば、
前記信号強度処理部は、
前記信号強度取得部によって取得された前記熱放射光の信号強度のデータと前記プラズマ光の信号強度のデータとに基づき、
前記熱放射光の信号強度と前記プラズマ光の信号強度との差分信号を算出し、
算出された前記差分信号に予め設定された判定基準値よりも大きい値の信号強度を有するピークが含まれるときに、前記溶接部に異常が生じたと判定する、
第7態様に記載のレーザ溶接品質検査装置を提供する。
【0018】
本開示の第9態様によれば、
前記信号強度取得部は、
前記測定装置から、レーザビームの照射出力波形を更に取得し、
前記信号強度処理部は、
取得された前記レーザビームの照射出力波形に基づいて、一定の照射出力に対応するレーザビームの照射期間を判定期間として設定し、
取得された前記熱放射光の信号強度と前記プラズマ光の信号強度とのうち、前記判定期間における熱放射光の信号強度とプラズマ光の信号強度とを、それぞれ抽出し、
前記差分信号は、
抽出された前記判定期間における、前記熱放射光の信号強度と前記プラズマ光の信号強度との差分信号である、
第8態様に記載のレーザ溶接品質検査装置を提供する。
【0019】
本開示の第10態様によれば、
前記信号強度処理部は、
抽出された前記判定期間における、前記熱放射光の信号強度と前記プラズマ光の信号強度とをそれぞれ正規化することによって、前記熱放射光の正規化信号と前記プラズマ光の正規化信号とを算出し、
前記差分信号は、
前記熱放射光の正規化信号と、前記プラズマ光の正規化信号との差分信号である、
第9態様に記載のレーザ溶接品質検査装置を提供する。
【0020】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本開示は、以下の実施形態に限定されるものではない。また、本開示の効果を奏する範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更は可能である。更に、他の実施形態との組合せも可能である。
【0021】
なお、各図面は、模式図を示すものであり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図面において、実質的に同一の構成について、同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0022】
《実施形態》
先ず、本開示の実施形態に係るレーザ溶接品質検査装置の全体構成について説明する。
【0023】
図1は、本開示の実施形態に係るレーザ溶接品質検査装置の構成を示す全体図である。
【0024】
図1に示すレーザ溶接品質検査装置100は、測定装置20と、溶接状態判定装置30とを備えている。測定装置20は、レーザ発振器1と、コリメートレンズ2と、集光レンズ3と、全反射ミラー4と、ダイクロイックミラー5と、受光センサ6、7、8とを備えている。レーザ発振器1から出射したレーザビーム10は、コリメートレンズ2を通して平行ビームとなり、全反射ミラー4により反射され、集光レンズ3によって集光され、被接合物15に照射される。被接合物15の下には接合物16が設置されている。被接合物15と接合物16とは、ステージ17上に固定され、ステージ17により移動されるとともに、レーザビーム10に照射されることによって、レーザ溶接される。
【0025】
レーザ溶接する際には、被接合物15から発生する溶接光11は、集光レンズ3と全反射ミラー4を通過し、ダイクロイックミラー5で波長分離される。波長分離された溶接光は、例えば、バンドパスフィルター(図示せず)によって、熱放射光(例えば、波長1300nm)12とプラズマ光(例えば、波長400~700nm)13とに分けられ、それぞれが受光センサ6、7に入射する。
【0026】
一方、レーザビーム10は、全反射ミラー4により完全には反射されず、レーザ出力の約0.5%の光は、全反射ミラー4を透過し、透過したレーザビーム14は、受光センサ8に入射する。
【0027】
受光センサ6、7、8に入射された3種類の光信号は、溶接状態判定装置30に送信され、信号処理される。信号処理の結果に基づいて、被接合物15と接合物16との溶接部に異常が生じたか否かが判定され、レーザ溶接の品質検査を行う。なお、図1において、全反射ミラー4と被接合物15との間に、レーザビーム10と溶接光11とを分けて図示しているが、実際には、レーザビーム10と溶接光11とは、同一の経路に沿って集光レンズ3を通過することになる。
【0028】
本開示の実施形態に係る正常溶接時の溶接状態を、図2に示す模式図を用いて説明する。図2の(a)は、レーザ溶接開始時の溶接部の断面図であり、図2の(b)は、溶接完了時の溶接状態の断面図である。
【0029】
まず、集光レンズ3によって集光されたレーザビーム10は、接合物16の上に載置されている被接合物15に照射される(図2の(a))。本実施形態において、例えば、接合物16は厚み0.5mmのアルミ材料であり、被接合物15も同様なアルミ材料であり、厚みは0.1mmである。
【0030】
次に、溶接開始後、接合物16と被接合物15とを支持するステージ17の移動(右から左へ、図示せず)によって、レーザビーム10は、被接合物15に対して相対的に直線上に移動する(図2の(b)の矢印Pで示すように左から右へ)。
【0031】
図2の(b)に示すように、溶接完了時に、レーザビーム10の走査領域において、一定の深さの溶融凝固部18が形成される。例えば、この時のレーザ出力は250Wであり、ステージ17の移動速度は500mm/sであり、溶融凝固部18の深さは約200μmである。
【0032】
図3は、本実施形態に係るレーザビームの出力波形の設定を示す。図3に示すように、レーザビームの出力は、台形の波形に設定されており、スローアップ部(0ms~T1)と、平坦部(T1~T2)と、スローダウン部(T2~4ms)とを含み、全照射時間は4msである。当該レーザビームの出力波形におけるスローアップ部とスローダウン部とは、レーザ溶接時のスパッタ又は陥没を防止するために設けられている。このような台形波形を有するレーザビームの照射による溶接では、溶融凝固部18の形状が、逆台形形状に形成される(図2の(b))。
【0033】
次に、本開示の実施形態に係る異常溶接時の溶接状態を、図4に示す模式図を用いて説明する。図4の(a)は、レーザ溶接開始時の溶接部の断面図であり、図4の(b)は、溶接完了時の溶接状態の断面図である。
【0034】
レーザ溶接において、特に、厚みが0.1mmのような薄板を溶接するときには、接合物と被接合物との接合界面に挟まれている異物による穴あき又はスパッタの発生が、異常溶接ケースの大半を占めている。そこで、接合界面に異物を挟んだときの溶接状態を模式的に図4に図示している。
【0035】
図4の(a)に示すように、溶接開始時に、レーザビーム10は、接合物16の上に載置されている被接合物15に照射される。このとき、接合物16と被接合物15との接合界面には、例えば、樹脂異物21が挟まっている。
【0036】
次に、溶接開始後、接合物16と被接合物15とを支持するステージ17の移動(右から左へ、図示せず)によって、レーザビーム10は、被接合物15に対して相対的に直線上に移動する(図4の(a)の矢印Pで示すように左から右へ)。レーザビーム10の移動に伴い、レーザ溶接が進み、レーザビーム10が樹脂異物21に当たるとき、樹脂異物21は、レーザビーム10の照射により、急激に昇華する。そのため、溶融凝固部18において、樹脂異物21周囲の溶融物(アルミ)が吹き飛ばされることによって、穴あき22と、異常突起23と、スパッタ24とのいずれか、またはそのうちの複数が発生する(図4の(b))。
【0037】
穴あき22が発生すると接合強度低下となり、異常突起23が発生すると外観不良となり、スパッタ24が発生すると製品内部への異物混入となるため、溶接部に生じた異常は、様々な製品不良を引き起こす。そのため、このような溶接異常をリアルタイムで検出し、不良な溶接品を排除する必要がある。
【0038】
次に、本実施形態に係る正常溶接時及び異常溶接時に発生する溶接光の違いについて、以下に説明する。
【0039】
まず、正常溶接時の状態について説明する。 図5の(a)は、本実施形態に係る正常溶接時の溶融凝固部18の外観を示す。図5の(b)は、受光センサ8により得られたレーザビームの照射波形であり、横軸が照射時間、縦軸が信号強度である。また、図5の(c)は、光センサ6により得られた熱放射光の信号強度であり、横軸が照射時間、縦軸が熱放射光の信号強度である。なお、これらの縦軸に表す信号強度は、受光センサ8と6とのそれぞれに入ってくる光の強度(W)に比例しており、任意単位(a.u.=arbitray unit)を用いて表記されている。また、レーザビームの出力波形の設定は、図3に示すような台形形状とした。
【0040】
台形形状のレーザビームの出力波形の設定としたとき、実際に接合物16と被接合物15とを照射するレーザビームの出力波形も、図5(b)に示すように概ね台形形状となる。すなわち、レーザビームの照射波形は、レーザビームの出力波形の設定に応じた形状となり、台形のレーザビームの出力設計における平坦部(T1~T2、図3)に対応するように、照射期間a1~a2において平坦部を有する。
【0041】
更に、溶接する際に発生する熱放射光も、基本的にレーザビームの照射出力に応じた信号強度を有するため、図5(c)に示すように、実質的に照射期間a1~a2において平坦部を有する台形形状となる。
【0042】
正常溶接時、例えば、図5(a)に示す溶融凝固部18の外観形状は、溶融長さ約2mm、溶融幅約0.2mmとなっている。
【0043】
次に、異常溶接時の状態について説明する。
図6の(a)は、本実施形態に係る異常溶接時の溶融凝固部18の外観を示す。異常溶接時に、溶融凝固部18の中央部に、穴あき25が見られる。溶接する際に、この場所で、接合界面にあった樹脂異物が、レーザビームの照射により急激に昇華し、溶融物が吹き飛ばされることにより当該穴あき25が形成されたと考えられる。このとき得られた熱放射光の信号強度を図6の(c)に示す。図6の(c)のグラフにより明らかに示されたように、異常溶接の発生時において、熱放射光の信号強度に異常ピーク26が現れている。この異常ピーク26とは、具体的には、非常に大きい信号強度を有するピークである。これは、樹脂異物の異常発熱、溶融物の吹き飛びなどによるものである。
【0044】
すなわち、正常溶接時に、図5の(b)に示すレーザビームの照射出力波形の平坦部に対応する照射期間a1~a2における熱放射光の信号強度は、図5の(c)に示すように、異常ピークを有さず、比較的均一な分布である。一方、異常溶接時に、図6の(b)に示すレーザビームの照射出力波形の平坦部に対応する照射期間b1~b2における熱放射光の信号強度は、図6の(c)に示すように、異常溶接の発生時に対応する異常ピーク26が現れている。従来技術の溶接不良判定は、この異常ピークの有無に基づいて、例えば、検出された熱放射光の信号強度には、ある一定の判定基準値を超えた信号強度を有するピークが含まれるか否かを判断することで、溶接不良の判定を行っている。
【0045】
従来技術による熱放射光のピーク強度に基づく溶接異常判定の精度について、以下のように検証した。
【0046】
《従来技術による溶接状態判定の検証》
溶接正常品を51個、溶接異常品を38個、合計89個の溶接品を用いて従来技術による溶接状態判定の検証を行った。ここで、溶接正常品とは、具体的には、接合界面に異物が混入されていない溶接品であって、溶接異常品とは、具体的には、接合界面に異物が混入されている溶接品である。図7は、従来技術の溶接不良判定において、複数の異なる溶接状態を有する溶接品の溶接時の熱放射光を示す。図7の(a)は、複数の溶接品の熱放射光におけるピークの信号強度を示している。横軸は溶融凝固部に発生した穴あきの個数、縦軸は熱放射光におけるピークの信号強度である。穴あきは1個でも発生すると溶接不良であり、2個発生になると溶接不良の状態が更に悪化する状態となる。また、正常/異常の判定をより明瞭に示すため、図7の(b)は、図7の(a)に示す複数の溶接品の熱放射光におけるピークの信号強度が700以下の部分を拡大して示している。この場合、図7の(b)に示すように、0又は1個の穴あきが生じた溶接品が溶接の際に発生した熱放射光の信号強度が示される。
【0047】
図7の(a)及び(b)に示すように、溶接正常品が溶接の際に発生した熱放射光の信号強度は、約320~530であるのに対し、穴あき1個が生じた溶接異常品の溶接の際に発生した熱放射光の信号強度は、約430~2400であり、更に、穴あき2個が生じた溶接異常品の溶接の際に発生した熱放射光の信号強度は、約900~4100である。
【0048】
この場合、例えば、正常溶接品が溶接の際に発生した熱放射光の信号強度の最大値である530を溶接不良の判定基準値とした場合、穴あき2個が生じた異常溶接品の全ては、溶接異常と判定することができる。しかしながら、穴あき1個が生じた異常溶接品は、全てが溶接異常と判定されず、誤判定が生じる。具体的には、穴あき1個が生じた溶接異常品のうち、熱放射光の信号強度が約430~500の5個の異常溶接品は、上記判定基準値に基づいて判定すると、異常ピークの存在が判定されず、溶接正常と判断される。すなわち、図8に示す従来技術の溶接不良の判定結果において、合計38個の溶接異常品のうち、5個の誤判定が発生し、正確判定率が87%であり、誤判定率が13%である。
【0049】
一方、仮に5個の溶接異常品を溶接異常として判定させようとすると、判定閾値を430以下に設定する必要がある。この場合、数多くの溶接正常品が溶接異常と判断されてしまい、過誤判定となる(図7の(b)参照)。
【0050】
このように、従来技術の溶接不良の判定方法では、溶接不良判定の精度において、改善する必要がある。そこで、発明者らは、従来技術の溶接不良判定において、誤判定となる原因について、以下のように分析を行った。
【0051】
図9は、従来技術の溶接不良判定において、溶接異常品の、(a)溶融凝固部の外観、及び(b)溶接時の熱放射光の信号強度を示す。図9の(a)に示すように、溶融凝固部の中央部には、矢印Aで示すように、微小な穴あきが発生している。対応的に、図9の(b)に示す溶接時の熱放射光の信号強度には、矢印Bで示す異常溶融の発生に対応する小さいピーク27が現れている。ピーク27に示す熱放射光の信号強度は、約500である。
【0052】
図10は、従来技術の溶接不良判定において、溶接正常品の、(a)溶融凝固部の外観、及び(b)溶接時の熱放射光の信号強度を示す図である。図10の(b)に示すように、正常溶接品において、溶接時に発生した熱放射光の信号強度は、約300~500の範囲内で変動している。すなわち、図9の(b)に示す異常溶接品に対して測定された熱放射光の信号強度において、異常溶接の発生によるピーク27の信号強度は、図10の(b)に示す正常溶接品に対して測定された熱放射光の信号強度の変動範囲内である。
【0053】
以上の分析により、レーザ溶接において、一部の異常溶接品における微小な溶接異常による熱放射光の信号強度の挙動は、正常溶接品における熱放射光の信号強度の変動と区別できないことが明らかになった。このような現象が起こるのは、微小な溶接異常による熱放射光への影響が小さい場合、溶接時に発生する溶接光の変動に埋もれてしまうためである。そのため、図7に示すように、正常溶接品と異常溶接品とに対して、測定された溶接時の熱放射光におけるピークの信号強度に、重なりが発生する。その結果、前述したように、適切な判定基準値を設定することができず、誤判定が生じることになる。従って、従来技術の熱放射光のピーク強度による溶接不良判定は、微小な溶接異常について正確に判定することができない課題が存在する。
【0054】
そこで、発明者らは、レーザ溶接における溶接異常の発生を一層高精度に検出するために、研究を重ねた結果、以下の新規な知見を得た。
【0055】
発明者らは、熱放射光の測定と同時に、溶接する際に発生するプラズマ光も測定し、双方の信号強度の変化に着目した。図11は、本実施形態に係るレーザ溶接の際に発生する熱放射光の信号強度及びプラズマ光の信号強度の測定結果を示す。図11の(a)は、正常溶接品の熱放射光の信号強度(実線)とプラズマ光の信号強度(点線)である。図11の(b)は、従来手法において溶接異常と判定された溶接異常品1の熱放射光の信号強度(実線)とプラズマ光の信号強度(点線)である。図11の(c)は、従来手法において溶接異常と判定されなかった溶接異常品2の熱放射光の信号強度(実線)とプラズマ光の信号強度(点線)である。
【0056】
図11の(a)に示すように、正常溶接時に、レーザビームの照射期間c1~c2において、溶接部に発生する熱放射光とプラズマ光とは、類似した挙動を示し、同程度の信号強度を有する。
【0057】
一方、図11の(b)の異常溶接品において、溶接異常が発生した時点(矢印Cで示す)で、熱放射光とプラズマ光とはともに急峻なピークが生じている。
【0058】
ここで、発明者らが着眼したのは、異常溶接時に、熱放射光とプラズマ光とにおいて、生じたピークの信号強度である。図10の(b)に示すように、プラズマ光に比べて、熱放射光の方は、異常溶接時に生じたピークの信号強度が遥かに大きい。熱放射光の信号強度は、接合界面にある樹脂異物による溶接異常が発生する際に、樹脂異物の急激な昇華による温度上昇が激しいため、大きく変化し、大きい信号強度を有するピークが現れる。一方、プラズマ光は、溶接異常が発生した際に熱放射光に比べて、それほど変化しない。このため、溶接異常が発生する際に、熱放射光とプラズマ光とは、信号強度の変化において差異が生じる。
【0059】
図11の(c)に示す異常溶接品2においては、溶接異常が発生した時点(矢印Dで示す)で、熱放射光の信号強度には小さなピークが現れている。一方、プラズマ光の信号強度にはピークが見られない。これは、前述したように、プラズマ光に比べて、熱放射光の方が溶接異常により大きく影響されるため、微小な溶接異常でも熱放射光では変化が現れるが、プラズマ光では変化が見られないと考えられる。すなわち、図11の(b)と同様に、溶接異常が発生した際に、熱放射光とプラズマ光とは、信号強度の変化において差異が生じている。
【0060】
発明者らは、正常溶接時の熱放射光とプラズマ光とは、同等の挙動を示すのに対し、異常溶接時の熱放射光とプラズマ光とは、信号強度の変化において差異が生じることに基づいて、熱放射光とプラズマ光との差分信号を評価することにより、微小な溶接異常に対しても精度よく異常溶接を判定することができることを見出した。この新規な知見に基づき、本発明者らは、本開示に係るレーザ溶接品質検査の方法及び装置の開発に至った。
【0061】
図12は、図1のレーザ溶接品質検査装置100における溶接状態判定装置30の構成を示すブロック図である。
【0062】
図12に示すように、溶接状態判定装置30は、例えば、コンピュータであってもよく、信号強度取得部31と、信号強度処理部32と、記憶部33と、出力部34とを含み、装置20に電気的に接続されている。信号強度取得部31は、測定装置20から、溶接する際に前記溶接部から放射される熱放射光の信号強度とプラズマ光の信号強度とのデータを取得する。信号強度処理部32は、信号強度取得部31により取得された熱放射光の信号強度のデータとプラズマ光の信号強度のデータとの処理を実行することによって、溶接の際に異常が生じたか否かを判定する。記憶部33は、例えば、ハードディスクドライブ等の補助記憶装置であってもよく、信号強度処理部32で実行されるデータ処理プログラム、及び各種のデータ等を記憶する。出力部34は、溶接状態判定装置30から外部にデータを出力する出力インタフェース回路であってもよい。
【0063】
また、溶接状態判定装置30は、可搬性を有する記憶媒体から、信号強度処理部32で実行されるデータ処理プログラム等を取得してもよい。記憶媒体は、コンピュータその他の装置、機械等が記録されたプログラム等の情報を読み取り可能なように、当該プログラム等の情報を、電気的、磁気的、光学的、機械的又は化学的作用によって蓄積する媒体である。
【0064】
《溶接状態の判定プロセス》
図13は、本開示の実施形態に係るレーザ溶接品質検査装置100の溶接状態の判定プロセスのフローチャートである。図13を用いてレーザ溶接の溶接状態の判定プロセスを説明する。 (1)まず、ステップ101では、レーザ溶接が開始される。
(2)次に、ステップ102では、レーザ溶接と同時に、測定装置20において、レーザビームの照射出力測定1021、熱放射光の測定1022、及びプラズマ光の測定1023を同時に行う。信号強度取得部31は、測定装置20から、レーザビームの照射出力波形、熱放射光の信号強度、及びプラズマ光の信号強度のデータを取得する。
(3)ステップ103では、信号強度処理部32において、取得されたレーザビームの照射出力波形に基づいて、熱放射光とプラズマ光との測定データから、一定区間内の熱放射光の信号強度のデータとプラズマ光の信号強度のデータとをそれぞれ抽出する(1031、1032)。具体的なデータ抽出方法については後述する。
(4)続いて、ステップ104では、信号強度処理部32において、抽出された熱放射光の信号強度とプラズマ光の信号強度とのデータに対し、それぞれの信号正規化を行う(1041、1042)。具体的な信号正規化方法については後述する。
(5)続いて、ステップ105では、信号強度処理部32において、正規化された熱放射光の信号強度から、正規化されたプラズマ光の信号強度を差し引いて、差分信号を算出する。具体的な差分信号の算出方法については後述する。
(6)次に、ステップ106では、信号強度処理部32において、差分信号のピークの信号強度に基づき、溶接部に異常が生じたか否かの判定を行う。
(7)最後に、ステップ107及びステップ108では、信号強度処理部32において、差分信号のピークの信号強度に基づいて、溶接状態の判定を行う。具体的には、算出された差分信号に、一定の判定基準値よりも大きい値の信号強度を有するピークが含まれているとき、溶接異常と判定する(ステップ107)。一方、算出された差分信号に、一定の判定基準値よりも大きい値の信号強度を有するピークが含まれていないとき、正常溶接と判定する(ステップ108)。
【0065】
その後、信号強度処理部32による溶接状態の判定結果は、出力部34を介して出力され、当該判定結果に基づいて、溶接異常と判定された加工品は、不良品として工程から排出されてもよい。また、正常溶接と判定された加工品は、例えば、良品として次工程へ流す。なお、前記判定に用いられる判定基準値は、基礎実験により定められてもよく、記憶部33に記憶される。また、判定基準値は、加工品の材質、又はレーザビームの出力設定等によって変更されてもよい。
【0066】
《データ抽出方法》
図14及び図15を参照しながら、図13に示す溶接状態の判定プロセスのステップ103のデータ抽出について、詳細に説明する。図14は、図13の溶接状態の判定フローチャートにおけるステップ102の実行結果を示す。図14の(a)はステップ102で測定されたレーザビームの照射出力波形を示している。図14の(b)はステップ102で測定された、微小な溶接異常を有する溶接品の熱放射光の信号強度であり、図14の(c)はステップ102で測定された、微小な溶接異常を有する溶接品のプラズマ光の信号強度である。このとき、図14の(b)に示すように、微小な異常溶接の発生時に熱放射光の信号強度に小さなピーク(矢印Eで示す)が現れているが、当該ピークの信号強度は、溶接時の熱放射光の信号強度の変動範囲内であるため、従来技術の熱放射光のピーク強度による溶接不良判定によっては、異常溶接が判定されない。なお、溶接時のプラズマ光の信号強度(図14の(c))は上下変動しており、微小な異常溶接の発生時にはピークが現れていない。
【0067】
図14の(a)に示しているように、本実施形態に係るレーザビームの照射出力波形は実質的に台形形状である。当該台形形状の波形におけるスローアップ部分t1は溶接開始時のスパッタ防止のために、また、スローダウン部分t3は溶接終了時の陥没防止のために設けている。そのため、スローアップ部分t1およびスローダウン部分t3は、レーザ出力が弱い領域であり、被接合物15と接合物16とは溶接されない。すなわち、被接合物15と接合物16との溶接は、台形形状の波形の平坦部分t2において実施される。そのため、図13におけるステップ106において、台形形状のレーザビームの照射出力波形における平坦部分t2のみに対応する熱放射光とプラズマ光の差分信号を用いて溶接部の状態の判定を行うことが好ましい。したがって、ステップ103において、一定の照射出力を有する、レーザビームの台形形状の波形の平坦部分t2に対応する照射期間を判定期間とし、当該判定期間内の熱放射光の信号強度のデータとプラズマ光の信号強度のデータとをそれぞれ抽出する。
【0068】
具体的には、まず、レーザビームの照射出力波形におけるスローアップ部分t1と、平坦部分t2と、スローダウン部分t3とのそれぞれに対応する時間範囲を特定する。例えば、図12(a)に示すレーザビームの照射出力波形のうち、正、ゼロ、負、の3つの異なる傾きを有する領域を、例えば近似直線を求めることにより特定する。そして、それぞれの傾きを有する領域に対応する時間範囲を求める。ここで、正の傾きを有する領域がスローアップ部分t1に対応し、ゼロの傾きを有する領域が平坦部分t2に対応し、負の傾きを有する領域がスローダウン部分t3に対応する。
【0069】
次に、ゼロの傾きを有する領域、すなわち、レーザビームが一定の照射出力を有する、照射出力波形の平坦部分t2の時間範囲を判定期間とし、取得された熱放射光の信号強度のデータとプラズマ光の信号強度のデータとのうち、判定期間内の熱放射光の信号強度のデータとプラズマ光の信号強度のデータとを抽出する。
【0070】
なお、スローアップ部分と、平坦部分と、スローダウン部分との時間範囲の特定のために、図3に示すレーザビームの出力波形の設定を用いてもよい。この場合、レーザビームの照射出力波形を用いるのと比べて、台形の形状がより明確であるため、平坦部分に対応する時間範囲(図3における区間T1~T2)がより容易に特定することができる。一方、レーザビームの照射出力波形は、実際のレーザ溶接時の照射光の出力であるため、レーザビームの照射出力波形を利用することで、より正確に判定期間を特定でき、データ抽出することができる。これは、実際に出力されるレーザビームの照射出力波形は、光学設計等に影響を受け、予め設定されたレーザビームの出力波形とは必ずしも一致しないためである。
【0071】
前記ステップ103を実行した結果は図15に示す。図15の(a)は、抽出された判定期間t2における熱放射光の信号強度であり、図15の(b)は、抽出された判定期間t2におけるプラズマ光の信号強度である。
【0072】
《信号正規化方法》
次に、図16を参照しながら、図13に示す溶接状態の判定プロセスのステップ104の信号正規化について、詳細に説明する。熱放射光とプラズマ光との差分信号を求めるには、それぞれの絶対値強度レベルを合わせる必要がある。熱放射光の信号強度は、受光センサの感度、サイズ、受光センサに到達するまでの光学系による光の減衰、信号処理回路における増幅率などに依存する。プラズマ光も同様である。そこで、好ましくは、図13におけるステップ104において、ステップ103において抽出された熱放射光及びプラズマ光の信号強度に対して正規化する。
【0073】
信号正規化方法について、以下に具体的に説明する。
まず、1の溶接品に対して、判定期間t2内の熱放射光の信号強度の平均値mavと、判定期間t2内のプラズマ光の信号強度の平均値navを算出する。次に、判定期間t2内における熱放射光の信号強度の時間関数H(t)と平均値mavとの差、及び判定期間t2内におけるプラズマ光の信号強度の時間関数S(t)と平均値navとの差を算出して、更に、それぞれ平均値mavとmavとで除算して、判定期間t2内における熱放射光の時間関数とプラズマ光の時間関数の正規化信号Hm1(t)とSn1(t)とを求める。すなわち、正規化信号Hm1(t)とSn1(t)とは、それぞれ下記の式を満たす。
【0074】
【数5】
【0075】
【数6】
【0076】
図13に示す溶接状態の判定プロセスのステップ104において、処理部32は、測定装置20により取得された熱放射光の信号強度とプラズマ光の信号強度とのそれぞれに対して、上記の演算を実行し、判定期間t2内における熱放射光の正規化信号と判定期間t2内におけるプラズマ光の正規化信号を得る。
【0077】
また、熱放射光の信号強度とプラズマ光の信号強度との正規化は、異なる手法を用いて行うこともできる。他の信号正規化方法について以下に詳細に説明する。
【0078】
まず、あらかじめ、参照値として、複数個の正常溶接品の熱放射光の平均信号強度の時間関数mav(t)と、プラズマ光の平均信号強度の時間関数nav(t)とを算出する。次に、判定期間t2内における熱放射光の信号強度の時間関数H(t)と参照値の熱放射光の平均信号強度の時間関数mav(t)との差、及び判定期間t2内におけるプラズマ光の信号強度の時間関数S(t)と参照値のプラズマ光の平均信号強度の時間関数nav(t)との差を算出し、更に、それぞれ熱放射光の平均信号強度の時間関数mav(t)とプラズマ光の平均信号強度の時間関数nav(t)とで除算して、判定期間t2内における熱放射光の時間関数とプラズマ光強度の時間関数の正規化信号Hm2(t)とSn2(t)とを求める。すなわち、正規化信号Hm2(t)とSn2(t)とは、それぞれ下記の式を満たす。
【0079】
【数7】
【0080】
【数8】
【0081】
このような正規化信号Hm2(t)とSn2(t)とは、例えば、設定されたレーザビームの出力波形において、スローアップ部分及びスローダウン部分を除いた部分が平坦でない場合に特に有用である。当該正規化方法は、スローアップ部分及びスローダウン部分を除いた部分に含まれるレーザビームの出力波形における出力強度の上下変動も含めて、正規化することができるためである。
【0082】
前記ステップ104を実行した結果は図16に示す。図16の(a)は、判定期間t2における熱放射光の正規化信号であり、図16の(b)は、判定期間t2におけるプラズマ光の正規化信号である。
【0083】
《差分信号の算出方法》
次に、図17を参照しながら、図13に示す溶接状態の判定プロセスのステップ105の差分信号の算出について、詳細に説明する。ステップ105において、ステップ104で得られた熱放射光の正規化信号とプラズマ光の正規化信号との差分を求めることによって、判定期間t2における差分信号を算出する。
【0084】
ここで、差分信号は、絶対値として算出することが好ましい。差分信号の絶対値を算出することによって、後述す差分信号のピークの信号強度を判定する際に、判定基準値を正の値に設定すればよいため、設定が簡易になる。差分信号の絶対値を算出していない場合、熱放射光の信号強度からプラズマ光の信号強度を引くことによって差分信号を算出したとき、判定基準値の設定は正の値とする。また、プラズマ光の信号強度から熱放射光の信号強度を引くことによって差分信号を算出したとき、判定基準値の設定は負の値とする。
【0085】
図13に示す溶接状態の判定プロセスのステップ105の実行により、微小な溶接異常を有する溶接品の判定期間における熱放射光(図14の(b))とプラズマ光(図14の(c))とに対し、判定期間t2における差分信号を算出した結果は図17の(a)に示す。当該差分信号に基づいて、図13におけるステップ106の判定が行われる。
【0086】
溶接状態の判定プロセスのステップ106において、例えば、判定基準値を0.35とし(図17の(b)の破線mで示す)、算出した差分信号による微小な溶接異常を有する溶接品の判定を図17の(b)に示す。図17の(b)に示すように、差分信号には判定基準値よりも大きい値の信号強度を有するピーク(矢印Fで示す)が存在するため、異常溶接と判定される。すなわち、従来技術の熱放射光のピーク強度による溶接不良判定によっては、異常溶接の発生が判定されない(図14の(b))微小な溶接異常を有する溶接品に対し、本開示の差分信号による判定によって、異常溶接を正確に判定することができる。
【0087】
一方、図17の(c)は、算出した差分信号による正常溶接品の判定を示す。判定基準値を同じく0.35としている(図17の(c)の破線nで示す)この場合、差分信号には判定基準値よりも大きい値の信号強度を有するピークが存在しないため、正常溶接と判定される。
【0088】
《本開示による溶接状態判定の検証》
前述した本開示に係る溶接状態の判定方法を用いて、図7と同様に、溶接正常品を51個、溶接異常品を38個、合計89個の溶接品を用いて溶接状態判定の検証を行った。図18は、本開示に係る溶接状態の判定において、複数の異なる溶接状態を有する溶接品の判定期間における熱放射光の正規化信号とプラズマ光の正規化信号との差分信号を示す。図18の(a)は、複数の溶接品の差分信号におけるピークの信号強度を示している。横軸は溶融凝固部に発生した穴あきの個数、縦軸は判定期間の差分信号におけるピークの信号強度である。穴あき1個でも発生すると溶接不良であり、2個発生になると溶接不良の状態が更に悪化する状態となる。また、正常/異常の判定をより明瞭に示すため、図18の(b)は、図18の(a)に示す複数の溶接品の差分信号におけるピークの信号強度が1.0以下の部分を拡大して示している。
【0089】
図18の(a)及び(b)に示すように、溶接正常品は、判定期間内の差分信号におけるピークの信号強度が全て約0.3以下である。一方、穴あき1~2個の溶接異常品は、判定期間内の差分信号におけるピークの信号強度が全て約0.4以上である。
【0090】
ここで、例えば、判定基準値を差分信号のピークの信号強度0.35(図18の(b)の破線sで示す)とした場合、溶接正常品51個は全て正常溶接と判定され、穴あき1~2個の溶接異常品38個は全て異常溶接と判定される。すなわち、図19に示す本実施形態に係る溶接状態の判定結果において、合計38個の異常溶接品のうち、誤判定が生じることなく、誤判定率が0%であり、正確判定率が100%に達している。従って、本開示による溶接状態の判定方法は、より高い精度で溶接異常を判定することができる。
【0091】
また、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、上記記載において、重ね合わせレーザ加工を例として説明したが、本開示はこれに限定されない。他種類のレーザによる加工に使用しても同様な効果を得ることができる。
【0092】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、本発明の請求の範囲内に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明のレーザ溶接品質検査の方法及びレーザ溶接品質検査の装置は、溶接する際に発生する熱放射光とプラズマ光の差分信号におけるピークの信号強度により、微小な溶接異常も正確に判定することができ、レーザ溶接工程の後工程への溶接異常品の流出を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0094】
1 レーザ発振器
2 コリメートレンズ
3 集光レンズ
4 全反射ミラー
5 ダイクロイックミラー
6、7、8 受光センサ
10 レーザビーム
11 溶接光(熱放射光とプラズマ光とを含む)
12 熱放射光
13 プラズマ光
14 透過レーザビーム
15 被接合物
16 接合物
17 ステージ
18 溶融凝固部
20 測定装置
21 樹脂異物
22 穴あき
23 異常突起
24 スパッタ
25 穴あき
26 異常ピーク
27 小さいピーク
30 溶接状態判定装置
31 信号強度取得部
32 信号強度処理部
33 記憶部
34 出力部
100 レーザ溶接品質検査装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19