(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】充填バルブ
(51)【国際特許分類】
B67C 3/28 20060101AFI20231127BHJP
【FI】
B67C3/28
(21)【出願番号】P 2019029166
(22)【出願日】2019-02-21
【審査請求日】2022-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】390029090
【氏名又は名称】靜甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117190
【氏名又は名称】前野 房枝
(74)【代理人】
【識別番号】100081282
【氏名又は名称】中尾 俊輔
(74)【代理人】
【識別番号】100085084
【氏名又は名称】伊藤 高英
(72)【発明者】
【氏名】大地 博之
(72)【発明者】
【氏名】杉本 信博
【審査官】西尾 元宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-341928(JP,A)
【文献】特開平02-205503(JP,A)
【文献】特開2005-008230(JP,A)
【文献】特開平07-291396(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102390797(CN,A)
【文献】特開平11-094111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 1/00- 3/36
B67C 3/00- 3/34
F16K 11/00-11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の本体部の下端部に流体出入口を設け、当該本体部の下方および上方にそれぞれ液体用接続口およびガス用接続口を設けたハウジングと、
前記ハウジング内に昇降自在に設けた筒状の外側弁部材と、
前記外側弁部材の外周面とハウジングの内周面との間を通して前記流体出入口と液体用接続口とを連通するようにして前記ハウジング内に形成した閉空間状の充填液流路と、
前記外側弁部材のハウジングの本体部に対する相対的な軸方向移動によって前記充填液流路を開閉する液バルブと、
前記外側弁部材より上方部の前記ハウジング内から前記外側弁部材内に亘って前記外側弁部材に対して相対的に昇降自在に設けた軸状の中心側弁部材と、
前記外側弁部材の内周面と中心側弁部材の外周面との間を通して前記流体出入口とガス用接続口とを連通するようにして前記ハウジング内に形成した閉空間状のガス流路と、
前記外側弁部材の中心側弁部材に対する相対的な軸方向移動によって前記ガス流路を開閉するガスバルブと、
前記ハウジング内に形成されていて駆動媒体の供給具合によって前記外側弁部材を軸方向移動させるバルブアクチュエータであって、前記ハウジングに形成された駆動媒体用接続口を通して前記駆動媒体が供給されるバルブアクチュエータとを備えており、
前記液バルブは、上方に位置する主液バルブと下方に位置する副液バルブとによって形成されており、
前記主液バルブは、前記ハウジングの下方部分に位置する部分本体部の円筒状内周面を弁座部とし、前記外側弁部材の円筒状外周面を弁体部としており、
前記弁体部は、上部の全閉用円筒弁体部と下部の部分開放用縦溝付弁体部とからなり、
前記全閉用円筒弁体部は円筒面とされ、前記弁座部と全円周において密着して前記充填液流路を全閉状態を確保可能に形成されており、
前記部分開放用縦溝付弁体部は、前記外側弁部材の円筒状外周面に複数の縦溝が形成されており、前記縦溝が前記弁座部を越えて上昇し、ハウジング内に形成されたダイヤフラム室に露出すると前記充填液流路を開放するように形成されており、
前記副液バルブは、前記ハウジングの本体部の下向きに縮径するテーパ状内周面の弁座部と、外側弁体部の下端部のテーパ状外周面の弁体部とにより形成され、前記充填液流路の全閉状態を確保可能とされて
おり、
前記液バルブ、ガスバルブおよびハウジングは、前記ガスバルブの開閉に必要な前記外側弁部材と前記中心側弁部材との相対移動距離よりも、前記液バルブの開閉に必要な外側弁部材と前記ハウジングとの相対移動距離が大きくなるように寸法が設計されており、前記外側弁部材の相対的な軸方向位置の移動によって、液バルブが閉でガスバルブが開の第1弁位置状態、液バルブが閉でガスバルブが閉の第2弁位置状態および液バルブが開でガスバルブが閉の第3弁位置状態を正逆方向に順に変動自在に形成されている
ことを特徴とする充填バルブ。
【請求項2】
前記バルブアクチュエータは、前記駆動媒体の供給具合を正逆切り換えることにより前記外側弁部材を軸方向に正逆移動させるように形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の充填バルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体とガスとの流路切替え構造を備えた充填バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、可撓性を有する袋状の容器に充填液を充填する方法として、充填液の容器に対する充填開始直前に袋状の容器内のエアを吸引し、一旦、容器を平板状に収縮させ、続いてこの容器内に充填液を充填することが行われている。
【0003】
特許文献1には、この方法に採用される充填装置における充填バルブの構成が開示されている。この充填バルブは、筒状のハウジングと、前記ハウジング内に昇降自在に設けた筒状部材と、この筒状部材の外周面とハウジングの内面との間に形成した充填液流路と、前記筒状部材に設けた第1弁体およびハウジング内に設けた第1弁座とによって構成されて前記充填液流路を開閉する液バルブと、前記筒状部材に昇降自在に設けた棒状部材と、前記筒状部材の内周面と棒状部材の外周面との間に形成したガス流路と、棒状部材に設けた第2弁体および筒状部材に設けた第2弁座とによって構成されて前記ガス流路を開閉するガスバルブと、前記筒状部材をハウジングに対して昇降させて液バルブを開閉させる第1駆動機構と、前記棒状部材を筒状部材に対して昇降させてガスバルブを開閉させる第2駆動機構とを備え、前記筒状部材をハウジングよりも上方に突出させると共に、前記第2駆動機構をハウジングよりも上方に突出させた筒状部材に設けている。
【0004】
第2駆動機構は、前記筒状部材の上方側に設けられた収納部と、この収納部に摺動自在に嵌合され、前記棒状部材と連動して昇降するピストンと、このピストンと前記収納部の内部空間によって形成され、所要時に圧縮空気が導入される圧力室とを備えている。棒状部材は第2駆動機構内に弾装されたばねにより上方側へ付勢されており、第2駆動機構の圧力室に圧縮空気を導入しないことにより、前記棒状部材、ピストン等を実質的に一体に上昇させて第2弁座から第2弁体を離座させ、ガスバルブを開き、逆に、第2駆動機構の圧力室に圧縮空気を導入することにより、前記棒状部材、ピストン等を実質的に一体に降下させ、第2弁座に第2弁体を着座させ、ガスバルブを閉鎖するように構成されている。
【0005】
そして、この充填バルブは、前述の様に、液バルブを開閉させる前記第1駆動機構と、ガスバルブを開閉させる前記第2駆動機構とを各々独立して作動させることを特徴としている(特許文献1の請求項1、段落0020等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の充填バルブは、第1駆動機構により前記筒状部材をハウジングに対して昇降させて液バルブを開閉させる際、ガス流路を構成する第2弁体や棒状部材等の部材を伴って可動することとなる。よって、充填バルブにおけるガス流路を構成する部材として、ガス流路の位置の変動を吸収することができる可動性を備えた配管(例えば、シリコンブレードホース)が必要であり、洗浄性が容易な金属等の個体配管のみを用いた構成とすることは不可能であった。
【0008】
また、前述の充填バルブは、ガス流路と充填液流路はそれぞれが開閉を行う為の独立したアクチュエータを備えていたため、部品点数も多く、構造が複雑であった。
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、ガス、充填液およびアクチュエータへの駆動用媒体の接続用配管位置を固定として洗浄容易な金属配管を使用可能な構成とし、さらには、単一のアクチュエータによる流路切替えを実行可能な充填バルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するため、本発明の第1の形態の充填バルブは、筒状の本体部の下端部に流体出入口を設け、当該本体部の下方および上方にそれぞれ液体用接続口およびガス用接続口を設けたハウジングと、前記ハウジング内に昇降自在に設けた筒状の外側弁部材と、前記外側弁部材の外周面とハウジングの内周面との間を通して前記流体出入口と液体用接続口とを連通するようにして前記ハウジング内に形成した閉空間状の充填液流路と、前記外側弁部材のハウジングの本体部に対する相対的な軸方向移動によって前記充填液流路を開閉する液バルブと、前記外側弁部材より上方部の前記ハウジング内から前記外側弁部材内に亘って前記外側弁部材に対して相対的に昇降自在に設けた軸状の中心側弁部材と、前記外側弁部材の内周面と中心側弁部材の外周面との間を通して前記流体出入口とガス用接続口とを連通するようにして前記ハウジング内に形成した閉空間状のガス流路と、前記外側弁部材の中心側弁部材に対する相対的な軸方向移動によって前記ガス流路を開閉するガスバルブと、前記ハウジング内に形成されていて駆動媒体の供給具合によって前記外側弁部材を軸方向移動させるバルブアクチュエータであって、前記ハウジングに形成された駆動媒体用接続口を通して前記駆動媒体が供給されるバルブアクチュエータとを備えており、前記液バルブは、上方に位置する主液バルブと下方に位置する副液バルブとによって形成されており、前記主液バルブは、前記ハウジングの下方部分に位置する部分本体部の円筒状内周面を弁座部とし、前記外側弁部材の円筒状外周面を弁体部としており、前記弁体部は、上部の全閉用円筒弁体部と下部の部分開放用縦溝付弁体部とからなり、前記全閉用円筒弁体部は円筒面とされ、前記弁座部と全円周において密着して前記充填液流路を全閉状態を確保可能に形成されており、前記部分開放用縦溝付弁体部は、前記外側弁部材の円筒状外周面に複数の縦溝が形成されており、前記縦溝が前記弁座部を越えて上昇し、ハウジング内に形成されたダイヤフラム室に露出すると前記充填液流路を開放するように形成されており、前記副液バルブは、前記ハウジングの本体部の下向きに縮径するテーパ状内周面の弁座部と、外側弁体部の下端部のテーパ状外周面の弁体部とにより形成され、前記充填液流路の全閉状態を確保可能とされており、前記液バルブ、ガスバルブおよびハウジングは、前記ガスバルブの開閉に必要な前記外側弁部材と前記中心側弁部材との相対移動距離よりも、前記液バルブの開閉に必要な外側弁部材と前記ハウジングとの相対移動距離が大きくなるように寸法が設計されており、前記外側弁部材の相対的な軸方向位置の移動によって、液バルブが閉でガスバルブが開の第1弁位置状態、液バルブが閉でガスバルブが閉の第2弁位置状態および液バルブが開でガスバルブが閉の第3弁位置状態を正逆方向に順に変動自在に形成されていることを特徴とする。
【0011】
このように形成されている本発明の第1の形態の充填バルブによれば、ハウジングに充填液を供給する液体用接続口、ガスを供給するガス用接続口および駆動媒体を供給する駆動媒体用接続口を設けているので、ガス、充填液およびアクチュエータへの駆動媒体のハウジングに対する接続用配管位置をそれぞれ固定することができ、洗浄容易な金属配管をもって接続することができる。更に、単一のバルブアクチュエータによる流路切替えを実行することができる充填バルブを提供することができる。
【0013】
このように形成されている本発明の第2の形態の充填バルブによれば、単一のバルブアクチュエータによって外側弁部材の軸方向位置を変動させることによって液バルブおよびガスバルブの開閉状態を切り換えることができ、可撓性を有する袋状の容器に適正に充填液を充填することができる。
【0014】
また、本発明の第3の形態の充填バルブは、前記バルブアクチュエータは、前記駆動媒体の供給具合を正逆切り換えることにより前記外側弁部材を軸方向に正逆移動させるように形成されていることを特徴とする。
【0015】
このように形成されている本発明の第3の形態の充填バルブによれば、バルブアクチュエータに対する駆動媒体の供給状態を切り換える複作動制御をもって、外側弁部材を軸方向に正逆移動させて、液バルブおよびガスバルブの開閉状態を切り換えることができる。
【発明の効果】
【0016】
このように、本発明の充填バルブによれば、ガス、充填液およびアクチュエータへの駆動媒体の接続用配管位置を固定として洗浄容易な金属配管を使用可能な構成とし、さらには、単一のアクチュエータによる流路切替えを実行可能な充填バルブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の充填バルブの1実施形態の第1弁位置状態を示す全体縦断面図
【
図2】本発明の充填バルブの1実施形態の第3弁位置状態を示す全体縦断面図
【
図3】
図1および
図2に示す充填バルブの1実施形態の外側弁部材の液バルブ部分を示す正面図
【
図4】(a)は
図1の弁の下端部を充填液の状態と共に示す縦断面図、(b)は(a)の要部拡大図
【
図5】
図1と
図2の中間の第2弁位置状態の弁の下端部を充填液の状態と共に示す縦断面図
【
図6】
図2の弁の下端部を充填液の状態と共に示す縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の充填バルブの実施形態を
図1乃至
図6について説明する。
【0019】
図1乃至
図6に示される本実施形態の充填バルブ1は、最外側のハウジング2内に外側弁部材11および中心側弁部材21を順に同心状に内蔵させて形成されている。
【0020】
ハウジング2は、全体として筒状の本体部3をもって形成されている。この本体部3は、組立・分解・清掃を可能とするために上下に複数の部分本体部3a~3dに分割されており、緊締具4a~4cによって緊締連結される。本体部3の下端部の部分本体部3aには充填液およびガスが流通可能な流体出入口5が形成されている。この流体出入口5の下部には可撓性を有する袋状の容器Bの上端開口部が充填作業時に当接させられる。ハウジング3の下方に位置する部分本体部3bには充填液の供給側と接続される液体用接続口6が開設されている。ハウジング3の上方に位置する部分本体部3dにはガス(本実施形態においては空気)の供給側と接続されるガス用接続口7が開設されている。
【0021】
外側弁部材11はハウジング3の部分本体部3aの下端部から部分本体部3dの下端部までに亘って軸方向に昇降自在に設けられている。この外側弁部材11は、液体用接続口6の直上部にハウジング3内を上下に仕切るように配設された液体用ダイヤフラム12を貫通しており、外側弁部材11の外周面とハウジング3の内周面との間を通して流体出入口5と液体用接続口6とを連通するようにしてハウジング3内に閉空間状の充填液流路13を形成している。
【0022】
さらに、外側弁部材11の外周面とハウジング3の内周面には、外側弁部材11のハウジング2の本体部3に対する相対的な軸方向移動によって充填液流路6を開閉する液バルブ15が形成されている。この液バルブ15は、上方の主液バルブ16と下方の副液バルブ18とによって形成されている。一方の
主液バルブ16は、ハウジング3
の部分本体部3bの円筒状内周面を弁座部16aとし、外側
弁部材11の円筒状外周面を弁体部16bとしている。更に、弁体部16bにおいては、
図3に示すように、上部の全閉用円筒弁体部16baと下部の部分開放用縦溝付弁体部16bbとされている。上方の全閉用円筒弁体部16baは円筒面とされていて、弁座部16aと全円周において密着して軸方向に相対移動しても充填液流路6を全閉とするように形成されている。下方の部分開放用縦溝付弁体部16bbは、外側弁部材11の円筒状外周面に複数の縦溝17を形成して、当該縦溝17が弁座部16aを越えて上昇してダイヤフラム室12aに露出すると充填液流路6を開放するように形成されている。他方の副液バルブ18は、ハウジング3の本体部3aの下向きに縮径するテーパ状内周面の弁座部18aと、外側弁体部11の下端部のテーパ状外周面を弁体部18bとにより形成されていて、充填液流路13の全閉状態を確保する機能を有している。
【0023】
中心側弁部材21は、外側弁部材11より上方部のハウジング3内から外側弁部材11内の下端部までに亘って外側弁部材11に対して相対的に昇降自在に設けられている。中心側弁部材21は、ガス用接続口7の直上部にハウジング3内を上下に仕切るように配設されたガス用ダイヤフラム22を貫通しており、中心側弁部材21の外周面と外側弁部材11の内周面との間を通して流体出入口5とガス用接続口7とを連通するようにしてハウジング3内に閉空間状のガス流路23を形成している。ハウジング3の上端部内には、中心側弁部材21を下向きに弾圧するばね24が配設されている。
【0024】
さらに、中心側弁部材21の外周面と外側弁部材11の内周面の下端部には、中心側弁部材21の外側弁部材11に対する相対的な軸方向移動によってガス流路7を開閉するガスバルブ25が形成されている。このガスバルブ25は、
図4に示すように、外側弁体部11の下端部に設けた円環状の弁座部25aと、中心側弁部材21の下端部に設けた円柱状の弁体部25bとにより形成されている。
【0025】
ハウジング2の本体3の部分本体部3cには外側弁部材11を軸方向移動させるバルブアクチュエータ31が形成されている。このバルブアクチュエータ31は、外側弁部材11にフランジ部32を設けて部分本体部3cとの間に上駆動室33aと下駆動室33bとに分割し、各駆動室33a、33bに駆動媒体としてのガス(本実施形態においては空気)を供給する駆動源と接続する上駆動媒体用接続口34aと下駆動媒体用接続口34bを設けている。また、上駆動室33a内には、外側弁部材11を下向きに弾圧するばね35が配設されている。このバルブアクチュエータ31においては、上駆動媒体用接続口34aを通して上駆動室33a内に駆動用の空気を供給して、下駆動室33bから下駆動媒体用接続口34bを通して空気を排出すると、外側弁部材11を軸方向下向きに駆動することができる。逆に、下駆動媒体用接続口34bを通して下駆動室33b内に駆動用の空気を供給して、上駆動室33aから上駆動媒体用接続口34aを通して空気を排出すると、外側弁部材11を軸方向上向きに駆動することができる。これにより本実施形態においては外側弁部材11を複作動形として駆動することができる。なお、上駆動媒体用接続口34aを通して上駆動室33a内に駆動用の空気を供給することを省略して、ばね35のみによって外側弁部材11を下方に移動させるように形成することもできる。
【0026】
さらに、本実施形態においては、ガスバルブ25の開閉に必要な外側弁部材11と中心側弁部材21との相対移動距離Lよりも、液バルブ15の開閉に必要な外側弁部材11とハウジング2との相対移動距離を大きくなるように寸法を設定してある。これにより、本実施形態においては、液バルブ15、ガスバルブ25およびハウジング2は、外側弁部材11の相対的な軸方向位置の移動によって、液バルブ15が閉でガスバルブ25が開の第1弁位置状態(
図4(a)(b)参照)、液バルブ15が閉でガスバルブ25が閉の第2弁位置状態(
図5参照)および液バルブ15が開でガスバルブ25が閉の第3弁位置状態(
図6参照)を正逆方向に順に変動自在となるように形成されている。
【0027】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0028】
容器Bに対する充填液の充填を開始する工程を説明する。
【0029】
まず、流体出入り口5に容器Bの開口部を密着させた状態とし、上駆動室33a内に駆動媒体を供給するとともに下駆動室33bから駆動媒体を排出して、液バルブ15が閉でガスバルブ25が開の第1弁位置状態(
図4参照)とし、ガス用接続口7を通してガス流路23のガスを排出させることにより、容器B内のガスを排気させる。
【0030】
次に、下駆動室33b内に駆動媒体を供給するとともに上駆動室33aから駆動媒体を排出して、液バルブ15が閉でガスバルブ25が閉の第2弁位置状態(
図5参照)を経て、下駆動室33b内に駆動媒体を更に供給するとともに上駆動室33aから駆動媒体を更に排出して、液バルブ15が開でガスバルブ25が閉の第3弁位置状態(
図6参照)とする。この状態で、液体用接続口6を通して充填液流路13内に充填液を供給することより、開放状態の液体出入り口5を通して充填液を容器B内に充填する。
【0031】
必要量の充填液の充填が終了した後は、
図5に示す第2弁位置状態を経て
図4に示す第1弁位置状態とし、容器Bに駆動媒体を供給するとともに、大気開放を行なって、その後、容器Bを充填バルブ1より取り出す。
【0032】
容器Bを充填バルブ1より取り出した後は、
図4に示す第1弁位置状態(
図4参照)において、ガス用接続口7を通してガス流路23内にガスを供給してガスを流体出入口5より排気させ、液バルブ15およびガスバルブ25を清掃する。
【0033】
その後、次の容器Bへの充填を進める。
【0034】
このように本実施形態の充填バルブ1によれば、ハウジング2に充填液を供給する液体用接続口6、ガスを供給するガス用接続口7および駆動媒体を供給する駆動媒体用接続口34を設けているので、ガス、充填液およびバルブアクチュエータ31への駆動用媒体のハウジング2に対する接続用配管位置をそれぞれ固定することができ、洗浄容易な金属配管をもって接続することができる。更に、単一のバルブアクチュエータ31による流路切替えを実行することができる充填バルブ1を提供することができる。
【0035】
また、単一のバルブアクチュエータ31によって外側弁部材11の軸方向位置を変動させることによって液バルブ15およびガスバルブ25の開閉状態を切り換えることができ、可撓性を有する袋状の容器Bに適正に充填液を充填することができる。
【0036】
さらに、バルブアクチュエータ31に対する駆動媒体の供給状態を切り換える複作動制御をもって、外側弁部材11を軸方向に正逆移動させて、液バルブ15およびガスバルブ25の開閉状態を切り換えることができる。
【0037】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できる。
【符号の説明】
【0038】
1 充填バルブ
2 ハウジング
3 本体
5 流体出入口
6 液体用接続口
7 ガス用接続口
11 外側弁部材
13 充填液流路
15 液バルブ
21 中心側弁部材
23 ガス流路
25 ガスバルブ
31 バルブアクチュエータ
34 駆動媒体用接続口