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特許7390697屋根材の補修補強具及び装置、塗装冶具、並びに屋根材の補修補強方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】屋根材の補修補強具及び装置、塗装冶具、並びに屋根材の補修補強方法
(51)【国際特許分類】
   E04D 15/04 20060101AFI20231127BHJP
   E04G 23/02 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
E04D15/04 S
E04G23/02 C
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019059241
(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公開番号】P2020159041
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】508004214
【氏名又は名称】株式会社セイム
(74)【復代理人】
【識別番号】100194869
【弁理士】
【氏名又は名称】榎本 慎一
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 徹
(72)【発明者】
【氏名】倉持 秀▲礼▼
(72)【発明者】
【氏名】杉本 崇
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-205167(JP,A)
【文献】特開2005-220720(JP,A)
【文献】特開2019-007280(JP,A)
【文献】特開2012-017607(JP,A)
【文献】特開2003-176608(JP,A)
【文献】登録実用新案第3189311(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 15/04
E04D 15/02
E04D 1/12
E04G 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が作業時に手で握る部分である柄部と、
前記柄部が接続し硬化性液体樹脂を通す流路と前記流路を通過した前記硬化性液体樹脂を吐出する口を有する本体、及び前記本体の口に連通し、前記本体に突設され、上屋根材と下屋根材の間に挿入され、開口を有するとともに、前記硬化性液体樹脂を内部に通し、前記開口から前記硬化性液体樹脂を前記上屋根材と前記下屋根材の間に噴射させる挿入片を備える塗装冶具と、
からなり、
前記本体が、反挿入片側において、前記流路に連通し、前記下屋根材の露出面に向け前記硬化性液体樹脂を吐出する穴を備えたプレートであることを特徴とする屋根材の補修補強具。
【請求項2】
前記挿入片の左右辺を、外側に向かって厚みが薄くなるテーパーとしたことを特徴とする請求項1に記載の屋根材の補修補強具。
【請求項3】
前記挿入片の挿入方向の先端を、先端に向かって厚みが薄くなるテーパーとしたことを特徴とする請求項1に記載の屋根材の補修補強具。
【請求項4】
前記開口が、前記挿入片上側に複数設けられたことを特徴とする請求項1に記載の屋根材の補修補強具。
【請求項5】
前記挿入片が、複数本の櫛からなり、開口がある櫛の幅を他の櫛の幅より細身に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の屋根材の補修補強具。
【請求項6】
前記柄部に、前記硬化性液体樹脂の送液のオンオフ、及び/又は流量を切り替えるスイッチを設けたことを特徴とする請求項1に記載の屋根材の補修補強具。
【請求項7】
前記硬化性液体樹脂が、エポキシ樹脂と硬化促進剤の混合液であることを特徴とする請求項1に記載の屋根材の補修補強具。
【請求項8】
前記プレートの底面に、前記プレートから吐出した前記混合液が含浸するパッドを備えることを特徴とする請求項に記載の屋根材の補修補強具。
【請求項9】
前記本体と、前記挿入片との接続箇所に段差を設け、前記段差が、前記上屋根材の端部に当接して位置決めとなることを特徴とする請求項1に記載の屋根材の補修補強具。
【請求項10】
前記本体と前記柄部の間にアダプターを備え、前記アダプターが前記本体及び前記柄部に着脱可能で、前記アダプター内に、前記硬化性液体樹脂の流れ方向、又は/及び流量を調節する弁を備えることを特徴とする請求項1に記載の屋根材の補修補強具。
【請求項11】
請求項1~請求項10の何れか1項に記載の屋根材の補修補強具と、
前記硬化性液体樹脂を貯溜する容器と、
前記容器から前記硬化性液体樹脂を前記屋根材の補修補強具に送る、ガスを溜めたタンク或いはポンプと、
からなることを特徴とする屋根材の補修補強装置。
【請求項12】
作業者が作業時に手で握る部分である柄部に接続し、硬化性液体樹脂を通す流路と前記流路を通過した前記硬化性液体樹脂を吐出する口を備えた本体と、
前記本体の口に連通し、前記本体に突設され、上屋根材と下屋根材の間に挿入され、開口を有するとともに、前記硬化性液体樹脂を内部に通し、前記開口から前記硬化性液体樹脂を前記上屋根材と前記下屋根材の間に噴射させる挿入片と、
からなり、
前記本体が、反挿入片側において、前記流路に連通し、前記下屋根材の露出面に向け前記硬化性液体樹脂を吐出する穴を備えたプレートであることを特徴とする塗装冶具。
【請求項13】
前記上屋根材と前記下屋根材の間に、請求項1~請求項10の何れか1項に記載の屋根材の補修補強具の前記挿入片を挿入し前記屋根材の下面に前記硬化性液体樹脂を噴射、塗布することを特徴とする屋根材の補修補強方法。
【請求項14】
前記挿入片を挿入したまま、前記塗装冶具をスライドさせつつ、前記硬化性液体樹脂を噴射、塗布することを特徴とする請求項13に記載の屋根材の補修補強方法。
【請求項15】
前記上屋根材と前記下屋根材との間に、縁切り材を挿入し、前記上屋根材と前記下屋根材との間に隙間を形成した上で、前記挿入片を挿入することを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の屋根材の補修補強方法。
【請求項16】
前記隙間が、縁切り部材であることを特徴とする請求項15に記載の屋根材の補修補強方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根に積層された屋根材であっても、設置、積層されたまま、ひび及び/又は割れ(「ひび割れ」)の補修をし、さらにひび割れ予防のため、大面積をも連続的、且つ効率的に、積層内部をも塗装可能な屋根材の補修補強具及び装置、並びに屋根材の補修補強方法に関する。
【背景技術】
【0002】
出願人は、屋根材補修補助部材に関し、既に特許文献1を出願している。以下、特許文献1の内容を説明する。
【0003】
多くの住宅屋根には、先行特許出願1の図1に示すような住宅用化粧スレートとも呼ばれる板状の屋根材5(本願図7屋根材14)が用いられている。最も使用されている屋根材の形状は、概ね、縦長410mm(最長部)、横長910mm、縦長330mmのところに角がある略5角形で、厚さ約5mmである。なお、板状の屋根材には、当然に平板瓦も含まれる。
【0004】
屋根材14は、屋根に積層設置されると、図7に示すように、重ねられた部分の表面の上屋根材11の下に位置する隠れ面14aになり、斜線部は露出する。そして、下屋根材12はクギ穴14cの位置でクギ留めされ、クギ頭が位置する。
【0005】
従来は、多くの屋根材の組成中に強度付与のため、アスベストが添加されていた。現在では屋根材にアスベストを添加することは禁止されているが、数年前以前に施工された屋根にはアスベスト入り屋根材が使用され、現在でも屋根に葺かれたまま多数存在する。
【0006】
アスベストの健康問題から、現在葺かれているものと同一の製品はすでに製造中止になっており、屋根材が経年劣化でひび割れなどを発生した場合でも交換ができないことが多い。また、他の屋根材に交換するにしても、屋根材に添加されたアスベストの健康問題から、屋根材の交換には特別な処理が必要で、多大な費用がかかるのが現状である。
【0007】
従って、ひび割れは充填剤などで補修されていることが多い。ところが、従来の充填剤による補修では、ひび割れ直下の屋根材に流れ込み、固着させてしまわないよう、充填剤に粘度があり充填剤がひび割れの隙間全域に完全に浸透せず、雨水を通してしまうことがあった。
【0008】
他方、スレートの屋根材5は、設置から10年程度でメンテナンス(塗装)が必要であるとされている。その塗装の作業の際、スレートの屋根材5を割ってしまうことがある。その補修も上記理由と同様の問題がある。
【0009】
そこで、特許出願人は、これまでに、ひび割れがある屋根材での補修、漏水防止のため先行特許1-3の技術を提案している。先行特許1-3は、いずれも従来の充填剤によらない、ひび割れをカバーして、或いは、ひび割れをそのままにしてひび割れのある屋根材の直下に下敷きを施し、雨水を受け流す構造の補修材、漏水防止材、縁切り兼補修材であり、ひび割れの根本的補修に至っていなかった。
【0010】
さらに、先行特許出願1-3の部材にも、強度のため、一定の厚みが必要で、屋根材間に挿入した場合、段差が生じ、そこを足で踏むと屋根材を割ってしますことが希にあった。また、ひび割れの大きさに関係なく、一定の大きさであるので小さなひびに対して、割高な印象を与えることがあった。
【0011】
<先行特許出願1>特開2012-057421号公報/屋根補修材及び屋根の補修工法
<先行特許出願2>特開2012-057422号公報/屋根の漏水防止材及び漏水防止工法
<先行特許出願3>特開2015-132064号公報/屋根材のバネ式補修材、及び縁切り材
【0012】
そこで、特許文献1では、改めて、従来の充填剤によるひび割れの補修の問題を解決して、充填剤でひび割れを補修できるようにする、屋根材補修補助部材、それを含む屋根材補修セット、並びにそれらを用いた屋根材の補修方法を提供することを目的とした。
【0013】
その結果、特許文献1では、
(1)
屋根材のひび割れの補修前に、ひび割れのある屋根材の底面側に挿入され、前記ひび割れに流し込まれる充填剤の前記ひび割れのある屋根材の底面側に積層された屋根材への接触を阻止するとともに、前記ひび割れのある屋根材の底面で前記充填剤を展開させ、前記充填剤が硬化した後には、屋根材の底面側から抜き取られる屋根材補修補助部材であって、
前記充填剤が接着、固着しない充填剤非固着性素材製であることを特徴とする屋根材補修補助部材。
(2)
前記充填剤非固着性素材が、ポリエチレンプロピレンであることを特徴とする(1)に記載の屋根材補修補助部材。
(3)
屋根材間への挿入端となる先端部で折れ曲がった上面と下面からなる二層構造で、前記二層構造間に、屋根材補修補助部材の屋根材間への挿入をガイドするインサートを挟み、前記インサートとともに屋根材間に挿入されることを特徴とする(1)又は(2)に記載の屋根材補修補助部材。
(4)
前記二層構造の上側又は下側が他方より長い突出部を備え、屋根材間に挿入されたときに、前記突出部が屋根材間から突出しており、当該屋根材補修補助部材を抜き取るときのツマミとなることを特徴とする(3)に記載の屋根材補修補助部材。
(5)
前記二層構造の先端部に、折れ目と平行に、複数の溝を設けたことを特徴とする(3)又は(4)に記載の屋根材補修補助部材。
(6)
内部空間を備えることを特徴とする(1)又は(2)に記載の屋根材補修補助部材。
(7)
前記充填剤が、
液状エポキシ樹脂に硬化促進剤を混合して、硬化する樹脂であることを特徴とする(1)~(6)の何れかに記載の屋根材補修補助部材。
(8)
(1)~(5)の何れかに記載の屋根材補修補助部材と、
前記屋根材補修補助部材の屋根材間への挿入のガイドであるインサートと、
前記ひび割れに流し込まれ硬化する充填剤を内包した充填剤パックと、
からなることを特徴とする屋根材補修セット。
(9)
前記インサートが、屋根材間に挿入されるプレートと、前記プレートの反挿入端部に設けた取っ手とからなることを特徴とする(8)に記載の屋根材補修セット。
(10)
前記プレートの反挿入端に段差を備え、前記段差が屋根材の下端部に掛り、前記インサートの位置決めストッパとなることを特徴とする(9)に記載の屋根材補修セット。
(11)
(6)に記載の屋根材補修補助部材と、
前記ひび割れに流し込まれ硬化する充填剤を内包した充填剤パックと、
からなることを特徴とする屋根材補修セット。
(12)
(1)~(7)の何れかに記載の屋根材補修補助部材を、屋根材のひび割れの補修前に、ひび割れのある屋根材の底面側に挿入し、充填剤を前記ひび割れに流し込み、硬化させて、前記ひび割れを補修することを特徴とする屋根材の補修方法。
(13)
前記硬化を、
前記充填剤を前記ひび割れのある屋根材の底面とひび部に流し込み硬化させる一次処理と、
前記充填剤が硬化した後、さらに、前記充填剤をひび部に流し込み硬化させる二次処理によって行うことを特徴とする(12)に記載の屋根材の補修方法。
(14)
前記二次処理前に、前記屋根材補修補助部材を抜き取ることを特徴とする(13)に記載の屋根材の補修方法。
の構成とした。
【0014】
その結果、特許文献1の発明は、以上の構成の屋根材補修補助部材であるため、ひび割れ下の屋根材に固着させることなく、ひび割れを充填剤で補修することができる。そして、充填剤が屋根材底面に薄く水平方向に展開するので、段差なく補修が仕上がり、補修部の踏み込みによる屋根材の破損を防止することができる。
【0015】
しかしながら、特許文献1では、ヒビ割れ部のみを1つ1つ補修するもので、大面積を連続的、且つ効率的に補修、さらに予防的な補強には適さなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】特開2019-7280号公報「屋根材補修補助部材、屋根材補修セット、並びに屋根材の補修方法」
【文献】特開2005-120801号公報「屋根材の縁切り部材」
【文献】特開2006-125173号公報「屋根材の縁切り部材」
【文献】特開2007-051521号公報「屋根材の縁切り部材」
【文献】特開2010-024759号公報「屋根材の縁切り材」
【文献】実登3189310号公報「屋根材のクサビ状縁切り材」
【文献】実登3189311号公報「屋根材のクシ状縁切り材」
【文献】特開2018-066166号公報「屋根材の縁切り部材」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
そこで、本発明は、屋根に積層された屋根材であっても、設置、積層されたまま、ひび割れの補修をし、さらにひび割れ予防のため、大面積をも連続的、且つ効率的に、積層内部をも塗装可能な屋根材の補修補強具及び装置、並びに屋根材の補修補強方法を提供することを目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上記課題を解決するために、
(1)
作業者が作業時に手で握る部分である柄部と、
前記柄部が接続し硬化性液体樹脂を通す流路と前記流路を通過した前記硬化性液体樹脂を吐出する口を有する本体、及び前記本体の口に連通し、前記本体に突設され、上屋根材と下屋根材の間に挿入され、開口を有するとともに、前記硬化性液体樹脂を内部に通し、前記開口から前記硬化性液体樹脂を前記上屋根材と前記下屋根材の間に噴射させる挿入片を備える塗装冶具と、
からなり、
前記本体が、反挿入片側において、前記流路に連通し、前記下屋根材の露出面に向け前記硬化性液体樹脂を吐出する穴を備えたプレートであることを特徴とする屋根材の補修補強具。
(2)
前記挿入片の左右辺を、外側に向かって厚みが薄くなるテーパーとしたことを特徴とする(1)に記載の屋根材の補修補強具。
(3)
前記挿入片の挿入方向の先端を、先端に向かって厚みが薄くなるテーパーとしたことを特徴とする(1)に記載の屋根材の補修補強具。
(4)
前記開口が、前記挿入片上側に複数設けられたことを特徴とする(1)に記載の屋根材の補修補強具。
(5)
前記挿入片が、複数本の櫛からなり、開口がある櫛の幅を他の櫛の幅より細身に形成されたことを特徴とする(1)に記載の屋根材の補修補強具。
(6)
前記柄部に、前記硬化性液体樹脂の送液のオンオフ、及び/又は流量を切り替えるスイッチを設けたことを特徴とする(1)に記載の屋根材の補修補強具。
(7)
前記硬化性液体樹脂が、エポキシ樹脂と硬化促進剤の混合液であることを特徴とする(1)に記載の屋根材の補修補強具。
(8)
前記プレートの底面に、前記プレートから吐出した前記混合液が含浸するパッドを備えることを特徴とする()に記載の屋根材の補修補強具。
(9)
前記本体と、前記挿入片との接続箇所に段差を設け、前記段差が、前記上屋根材の端部に当接して位置決めとなることを特徴とする(1)に記載の屋根材の補修補強具。
(10)
前記本体と前記柄部の間にアダプターを備え、前記アダプターが前記本体及び前記柄部に着脱可能で、前記アダプター内に、前記硬化性液体樹脂の流れ方向、又は/及び流量を調節する弁を備えることを特徴とする(1)に記載の屋根材の補修補強具。
(11)
(1)~(10)の何れか1に記載の屋根材の補修補強具と、
前記硬化性液体樹脂を貯溜する容器と、
前記容器から前記硬化性液体樹脂を前記屋根材の補修補強具に送る、ガスを溜めたタンク或いはポンプと、
からなることを特徴とする屋根材の補修補強装置。
(12)
作業者が作業時に手で握る部分である柄部に接続し、硬化性液体樹脂を通す流路と前記流路を通過した前記硬化性液体樹脂を吐出する口を備えた本体と、
前記本体の口に連通し、前記本体に突設され、上屋根材と下屋根材の間に挿入され、開口を有するとともに、前記硬化性液体樹脂を内部に通し、前記開口から前記硬化性液体樹脂を前記上屋根材と前記下屋根材の間に噴射させる挿入片と、
からなり、
前記本体が、反挿入片側において、前記流路に連通し、前記下屋根材の露出面に向け前記硬化性液体樹脂を吐出する穴を備えたプレートであることを特徴とする塗装冶具。
(13)
前記上屋根材と前記下屋根材の間に、(1)~(10)の何れか1に記載の屋根材の補修補強具の前記挿入片を挿入し前記屋根材の下面に前記硬化性液体樹脂を噴射、塗布することを特徴とする屋根材の補修補強方法。
(14)
前記挿入片を挿入したまま、前記塗装冶具をスライドさせつつ、前記硬化性液体樹脂を噴射、塗布することを特徴とする(13)に記載の屋根材の補修補強方法。
(15)
前記上屋根材と前記下屋根材との間に、縁切り材を挿入し、前記上屋根材と前記下屋根材との間に隙間を形成した上で、前記挿入片を挿入することを特徴とする(13)又は(14)に記載の屋根材の補修補強方法。
(16)
前記隙間が、縁切り部材であることを特徴とする(15)に記載の屋根材の補修補強方法。
の構成とした。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、以上の構成であるので、屋根に積層された屋根材であっても、設置、積層されたまま、ひび割れの補修をし、さらにひび割れ予防のため、大面積をも連続的、且つ効率的に、積層内部をも塗装可能な屋根材の補修補強具及び装置を提供できるとともに、それらを用いて大面積の屋根材であっても、連続的、且つ効率的に補修補強が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明である屋根材の補修補強具の使用状態を示す斜視模式図である。
図2】本発明である屋根材の補修補強具の正面図である。
図3】(A)は本発明である屋根材の補修補強具の背面図である。(B)は(A)の円Fの拡大図かつ縦断面図(図4の矢視A-A‘)である。
図4】本発明である屋根材の補修補強具の平面図である。
図5】本発明である屋根材の補修補強具の底面図である。
図6】本発明である屋根材の補修補強具の左側面図である。
図7】スレート屋根材形状の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付の図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0022】
本発明である屋根材の補修補強装置は、図1-6に示す、屋根材の補修補強具1と、硬化性液体樹脂を貯溜する容器(図示省略)と、前記容器から前記硬化性液体樹脂を屋根材の補修補強具1に送る、ガスを溜めたタンク或いはポンプ(図示省略)とからなる。
【0023】
硬化性液体樹脂は、特許文献1同様に、エポキシ樹脂と硬化促進剤の混合液などが例示できる。硬化性液体樹脂の送液に粘ちょう物でも移送できるモノーポンプなどポンプ、或いはガスを用いてもよい。硬化性液体樹脂送液用ガスとしては、空気、窒素、炭酸ガスなどが例示できる。タンクとしては、コンプレッサーも含む。
【0024】
屋根材の補修補強具1は、作業者が作業時に握る部分である柄部2と、塗装冶具3とからなる。硬化性液体樹脂は柄部2の内部を通して塗装冶具3に送ってもよいし、柄部2を介さず、別ルートとから塗装冶具3に送られてもよい。
【0025】
柄部2は、直接塗装冶具3に接続しても、図1に示すように、塗装冶具3の本体4のプレート上面に備えられたアダプター6を介して、塗装冶具3に取り付けられてもよい。柄部2は、中腰の操作に適した30センチ前後の長さ、立ったまま作業しやすい1メートル前後の長さが好適として、例示できる。
【0026】
また、柄部2には、硬化性液体樹脂の送液のオンオフ、及び/又は流量を切り替えるスイッチ(図示省略)を設けてもよい。
【0027】
アダプター6は、本体4及び柄部2に着脱可能としてもよく、アダプター6内に硬化性液体樹脂の流れ方向、又は/及び流量を調節する弁(図示省略)を備えてもよい。柄部2及びアダプター6は、都度の交換を必要としないよう構成するとよい。
【0028】
塗装冶具3は、本体4と、挿入片5とかなり、使用後、固化したら使い捨て、交換できるようにするとよい。
【0029】
本体4は、作業者が作業時に手で握る部分である柄部2に接続し、硬化性液体樹脂を通す流路4aと流路4aを通過した硬化性液体樹脂を吐出する口4bを備えてなる。
【0030】
また、本体4は、反挿入片側において、流路4aに連通し、下屋根材12の露出面14bに向け硬化性液体樹を吐出する穴4cを備えたプレートとしてもよい。
【0031】
加えて、プレートの底面に、プレートから吐出した硬化性液体樹脂が含浸し、下屋根材12の露出面14bを塗布するパッド4eを備えると、塗布が均一、容易になる。パッド4eとしては、面ファスナーなどで着脱可能、使い捨て可能な、スポーラスな、スポンジ、不織布、織り布、刷毛、起毛などが例示できる。パッド4eは、汚れ、塗布性能の低下により、交換するとよい。
【0032】
挿入片5は、本体4の口4bに連通し、硬化性液体樹脂を流す内部空洞5bを備え、本体4に突設され、上屋根材11と下屋根材12の間に挿入され、開口5cを有するとともに、硬化性液体樹脂を内部に通し、開口5cから硬化性液体樹脂を上屋根材11と下屋根材12の間に噴射させる。
【0033】
開口5cは、複数挿入片5の上下面、或いは上面だけに設ける。少なくとも、上面にあれば、上屋根材11の底面に硬化性液体樹脂を塗布することができる。屋根材の底面に硬化性樹脂を塗布することで、表面だけの塗布に比べ、格段に、補修精度、屋根材の強度を高めることができる。
【0034】
挿入片5による硬化性液体樹脂の塗布は、図7に示す露出面14bの底面に塗布すれ十分である。隠れ面14aは、その上に積層される上屋根材11の表面の塗布で、ひび、割れの修復、補強でよい。但し、クギ穴14cのクギ頭に、挿入片5のスライドを後述の左辺、右辺のテーパー5eなど邪魔されないようにすると作業がスムーズになる。
【0035】
挿入片5は、複数本の櫛からなり、強度を確保し、素材料を少量化するため、細櫛5a、太櫛5dなど、複数種の太さを異なる櫛とするとよい。例えば、開口5cがある櫛(例えば細櫛5a)の幅を他の櫛(例えば太櫛5d)の幅より細身に形成する。
【0036】
そして、細櫛5aに開口5cを穿設し、硬化性液体樹脂を噴射させ、太櫛5dには開口5cを設けず、太櫛5dの表面、特に上面に、硬化性液体樹脂が染み込む、パッド4eと同機能パッドを着脱可能に、或いは取れないよう貼付し、塗布作業を効率化させ、高精度及び均一化するとよい。
【0037】
挿入片5の左辺5f、右辺5gを、外側に向かって厚みが薄くなるテーパー5eとすることで、下屋根材12を留めるクギ頭への引っかかりを防ぎ、挿入片5のスライドをスムーズにすることができる。また、挿入片5の挿入方向の先端を、先端に向かって厚みが薄くなるテーパーとすることで、隙間13への挿入をスムーズにすることができる。
【0038】
このようにしてなる、屋根材の補修補強具1は、図1に示すように、上屋根材11と下屋根材12の重ね合わせ部に、特許文献2-8などの屋根材の縁切り部材20などで、隙間13を形成し、挿入片5を段差4dまで挿入し、上屋根材11の端部に当接して位置決めし、硬化性液体樹脂を挿入片5から吐出させつつ、挿入片5を隙間13に挿入したまま左右にスライドさせ、主に、上屋根材11の底面と、同時に下屋根材12の露出表面に、硬化性液体樹脂を噴射、塗布する。
【0039】
塗布された硬化性液体樹脂が硬化することで、屋根材のヒビ、割れの補修、強度補強になる。本発明の屋根材の補修補強具であれば、上述のように、従来にない優れた屋根材の補修補強方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 屋根材の補修補強具
2 柄部
3 塗装冶具
4 本体
4a 流路
4b 口
4c 穴
4d 段差
4e パッド
5 挿入片
5a 細櫛
5b 空洞
5c 開口
5d 太櫛
5e テーパー
5f 左辺
5g 右辺
6 アダプター
10 鼻隠し
11 上屋根材
12 下屋根材
13 隙間
14 屋根材
14a 隠れ面
14b 露出面
14c クギ穴
20 縁切り部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7