(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】券売機及び券売機システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G07B 1/00 20060101AFI20231127BHJP
G07B 5/00 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
G07B1/00 E
G07B5/00 D
(21)【出願番号】P 2019211217
(22)【出願日】2019-11-22
【審査請求日】2022-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】100094226
【氏名又は名称】高木 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100087066
【氏名又は名称】熊谷 隆
(72)【発明者】
【氏名】扇浦 勝利
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-205802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 1/00 - 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
客による操作で商品選択を行い選択された非現金決済方法で精算データ処理を行う券売機において、
客自身の操作による商品選択を受けて客自身の操作による特定の決済を行うセルフモードと、前記客自身の操作による特定の決済が不可の際に店員の画面操作による他の決済を行う店員モードとを切り替える切替手段と、
前記切替手段によってセルフモードから店員モードに切り替わったことを条件に、店員による入力部を表示する表示制御手段と、
を有することを特徴とする券売機。
【請求項2】
前記入力部に前記店員によって操作される値数入力画面
を表示することを特徴とする請求項1に記載の券売機。
【請求項3】
前記入力部に前記店員によって操作される発行操作手段を表示することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の券売機。
【請求項4】
前記入力部に前記店員による店員の識別情報入力画面を表示することを特徴とする請求項1から請求項3
の内の何れかに記載の券売機。
【請求項5】
前記表示制御手段は、客自身による商品選択操作の処理終了に応じて、前記店員による入力部を切り替えて表示させることを特徴とする請求項1から請求項4の内の何れかに記載の券売機。
【請求項6】
請求項1から請求項5の内の何れかに記載の券売機と、当該券売機と通信可能な携帯端末と、を具備する券売機システムであって、
前記券売機の注文データを前記携帯端末に送信し、前記注文データを受信した携帯端末の操作に応じて前記客自身の操作による特定の決済が不可の際に他の決済を行うことを特徴とする券売機システム。
【請求項7】
客による操作で商品選択を行い選択された非現金決済方法で精算データ処理を行う券売機としてのコンピュータを、
客自身の操作による商品選択を受けて客自身の操作による特定の決済を行うセルフモードと、前記客自身の操作による特定の決済が不可の際に店員の画面操作による他の決済を行う店員モードとを切り替える切替手段と、
前記切替手段によってセルフモードから店員モードに切り替わったことを条件に、店員による入力部を表示する表示制御手段と、
して機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、券売機及び券売機システム及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
決済方法として現金を用いないキャッシュレス比率の向上に伴い、タッチパネルの画面を操作して発券する券売機においてもキャッシュレス専用券売機が登場している。そして今までは、一般に、現金処理できる券売機(通常券売機)とキャッシュレス専用券売機を店舗に複数台設置して対応していたので、仮にキャッシュレス専用券売機に不具合が生じても、稼働している通常券売機によって決済処理ができ、問題はなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、近年、様々な決済種別で精算処理を行う券売機が増えてきたため、券売機での操作中に通信障害や決済サーバの停止などの不具合が起きると、決済の処理を完了することができなくなり、商品販売の機会を失っていた。
【0005】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、様々な決済種別で精算処理を行う券売機を設置する店舗において決済処理に不具合が生じても、商品の決済処理を維持することができる券売機及び券売機システム及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、客による操作で商品選択を行い選択された非現金決済方法で精算データ処理を行う券売機において、客自身の操作による商品選択を受けて客自身の操作による特定の決済を行うセルフモードと、前記客自身の操作による特定の決済が不可の際に店員の画面操作による他の決済を行う店員モードとを切り替える切替手段と、前記切替手段によってセルフモードから店員モードに切り替わったことを条件に、店員による入力部を表示する表示制御手段と、を有することを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】券売機20の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図4】携帯端末60の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図5】キッチンモニタ80の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図7】券売機20における動作フロー図(その1)である。
【
図8】券売機20における動作フロー図(その2)である。
【
図11】キャッシュレス決済選択画面G1-11を示す図である。
【
図12】キャッシュレス決済選択画面G1-11´を示す図である。
【
図14】異常時客用操作画面G1-2を示す図である。
【
図15】店員ログイン操作画面G1-3を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかる券売機システム(商品販売データ処理システム)1の概略構成図である。同図に示すように、券売機システム1は、管理装置(上位装置、ストアコントローラとも称する)10と、商品販売データ処理装置(以下「券売機」という)20と、携帯端末60と、キッチンモニタ80と、キッチンプリンタ95と、アクセスポイント100と、ルータ110とを具備し、各機器を通信可能に接続して構成されている。券売機システム1は、例えば飲食店に設置される。この券売機システム1において、券売機20と携帯端末60は、何れも商品を注文入力などする注文入力装置を構成し、キッチンモニタ80とキッチンプリンタ95は、注文された商品に基づき各種情報を表示する表示装置を構成する。
【0009】
管理装置10と券売機20とキッチンモニタ80とキッチンプリンタ95とアクセスポイント100とは、互いに、LAN120を介して接続されている。LAN接続の形態は、有線であっても良いし、無線であっても良い。またアクセスポイント100は、無線LANにより、携帯端末60と接続されている。ルータ110は、券売機システム1内の装置(例えば管理装置10)と券売機システム1外の装置(例えば本部のサーバ)とのネットワーク130を介する通信を制御(経路選択制御等)する。
【0010】
管理装置10は、券売機システム1全体を制御(管理)する装置(例えばサーバ)である。例えば、管理装置10は、制御部の他、記憶部を備え、種々のファイル(例えば、商品ファイル、指示ファイル、印字フォーマットファイル、注文データファイル、会計ファイル等)を記憶(管理)する。商品ファイルは、例えば
図6に示すように、各商品の商品コード、商品名、価格等の各種商品情報からなっている。また例えば、管理装置10は、通信部を備え、記憶部内のファイル(又はファイル上のデータ)を必要に応じて他の装置に送信する。また例えば、管理装置10は、集計部を備え、店員からの指示に応じて又は予め定めた所定時刻に、記憶部に記憶している情報等に基づいて、集計情報(例えば、日計レポート等の売上実績情報)を生成する。
【0011】
券売機20は、客が商品(例えば調理メニュー)に対応する食券を購入するために設置される。この券売機20は、現金決済を含まない電子決済処理に基づき発券を行うキャッシュレス専用券売機である。
図2は券売機20の一例を示す斜視図である。同図に示すように、券売機20は、装置本体21の正面にタッチパネル(表示部)23が設置されている。タッチパネル23には客が商品購入をはじめとする所定の操作を行うための画面が表示される。客はタッチパネル23に表示されている商品の絵やボタン等の画面をタッチ(押下)することで、所望の商品の食券を選択・購入することができる。即ち、タッチパネル23は、表示手段であると同時に入力手段であり、また発券する商品を選択する選択手段である。
【0012】
券売機20の正面のタッチパネル23の側部(向かって左側)の下部には、紙片(媒体、以下「食券」という)を発行する発行口25が設けられている。発行口25の上部には、非現金決済処理部27が設置されている。非現金決済処理部27は、現金以外の決済処理全般(電子マネー決済やクレジット決済など)を行うものであり、カード処理部29とモバイル端末処理部31とを有している。カード処理部29は、ICカードを挿入して決済処理を行うICカード挿入部29aと、非接触カードをかざして決済処理を行う非接触カード読取部29bとを有している。モバイル端末処理部31は、例えば客の所有する携帯端末の画面に表示した二次元コードなどを読み込んで決済処理を行う決済手段である。
また、券売機20のタッチパネル23に精算処理用の二次元コードなどを表示して、客が所持する携帯端末で読み込んで決済処理を完了させることもできる。
【0013】
収納ボックス部24は、非常用電源装置や無停電電源装置などを収容しているボックスである。電力送電経路への落雷や積雪などの自然災害、または大規模工場(ビル)の点検や工事に伴う電源切替によって発生する電圧変動や停電などが発生する可能性がある。その場合でも商品選択から精算、発券処理ができるように収納されている。
また、券売機20はスキャナやラベルプリンタなどの周辺装置を付属品として設置することもできる。
【0014】
図3は券売機20の構成の一例を示す機能ブロック図である。同図に示すように、券売機20は、この券売機20の動作を制御するCPU33と、CPU33が実行するプログラム(下記する
図7,8に示す動作(機能)を行わせるプログラムを含む)等を記憶するフラッシュメモリ35と、入金金額や商品ファイル等の各種データを記憶するRAM37と、食券を購入するための所定の画面を表示するとともにタッチすることで所定の入力を行うタッチパネル23と、外部装置と通信する通信部39と、タッチパネル23で選択された商品の食券を印刷して発行口25に排出する発行手段41と、前記非現金決済処理部27と、を備えている。各構成要素は互いに通信回線43を介して接続されている。即ち、券売機20は、精算機能を有した商品販売データ処理装置である。
【0015】
図4は携帯端末60の構成の一例を示す機能ブロック図である。同図に示すように携帯端末60は、CPU61と、ROM63と、RAM65と、タッチパネル(表示部兼操作部)67と、通信部69と、操作ボタン部(操作部)71とを、通信回線73によって相互に接続して構成されている。CPU61は各種プログラムを実行する。ROM63は、例えば、CPU61において実行される各種プログラム(下記する
図9に示す動作(機能)を行わせるプログラムを含む)等や、タッチパネル67において表示される画像データ(画像フォーマット情報)等を記憶する。RAM65は、例えば管理装置10から受信した各種ファイル(例えば商品ファイル)や、CPU61が生成したデータを一時記憶する。タッチパネル67は、注文可能な商品や選択した商品を表示等する表示手段であり、同時にタッチ(押下)することで注文を受けた商品を選択したり選択した商品の現金決済を行ったりする入力手段(選択手段)となっている。通信部69はアクセスポイント100を経由して他の装置(管理装置10や券売機20等)と送受信を行う送受信手段である。操作ボタン部71は、例えば電源スイッチボタンや操作ボタン等から構成され、操作者である店員からの入力操作を受け付ける。操作ボタン部71も、前記タッチパネル67と同様に、選択手段(入力装置)の一部を構成する場合がある。
【0016】
キッチンモニタ80は、主に厨房付近に設置され、前記各注文入力装置(券売機20、携帯端末60)で注文を受けた商品(メニュー)に関する情報を受信し、この受信情報に基づいて調理などに必要な各種情報を表示する。
図5はキッチンモニタ80の構成の一例を示す機能ブロック図である。同図に示すようにキッチンモニタ80は、CPU81と、ROM83と、RAM85と、タッチパネル(表示部兼操作部)87と、通信部89とを、通信回線91によって相互に接続して構成されている。CPU81は、各種プログラムを実行する。ROM83は、例えば、CPU81において実行される各種プログラムや、タッチパネル87において表示される画像データ(画像フォーマット情報)等を記憶する。RAM85は、例えば管理装置10から受信したファイル(例えばメニューファイルや指示ファイル等)や、携帯端末60等の注文入力装置から受信したデータ(例えば、商品情報等)を一時記憶する。タッチパネル87は、注文された商品の調理指示や、完了させた調理指示に対応する商品の配膳指示等を表示する表示手段であり、同時に調理の完了した商品や配膳の完了した商品にタッチすることでその完了を入力する入力手段である。通信部89は、他の装置と送受信を行うものである。キッチンモニタ80は複数台設置しても良い。
【0017】
キッチンプリンタ95は、主に厨房近傍に設置され、配膳伝票や会計用伝票等をプリントアウトする。キッチンプリンタ95は、CPUとROMとRAMと印字部と通信部と表示部と操作部とを通信回線によって相互に接続して構成されている。CPUは各種プログラム(例えば、印字用のプログラム等)を実行する。ROMは、例えばCPUにおいて実行される各種プログラムや、印字部において印字される印字フォーマットデータ等を記憶する。RAMは、例えば管理装置10から受信したファイル(例えばメニューファイル等)を一時記憶する。通信部は他の装置と送受信を行う。表示部は種々の画面を表示する。操作部は操作者である店員からの入力を行う。キッチンプリンタ95は複数台設置しても良い。
【0018】
次にこの券売機システム1の動作例を説明する。
図7,
図8は、この券売機システム1の動作フロー図である。この券売機システム1の場合、通常は、来店した客自身が、券売機20を操作して注文入力を行い、さらに客自身がキャッシュレス精算を行う。一方、券売機20に異常が発生して客自身によるキャッシュレス精算が行えなくなった場合は、店員による現金精算を行う。以下、場合を分けて説明する。
【0019】
(1)電子決済が正常に行える場合
まず、客が券売機20の正面に対面したことをセンサが検知する(但しこのセンサは必ずしも必要でない)。そしてCPU21が、このとき券売機20に異常がない通常状態だと判断すると、セルフモード(通常モード)を行うため、ステップ1-1からステップ1-15に移行し、
図10に示すような客用操作画面G1-1をタッチパネル23に表示する。ここでセルフモードとは、客自身が商品選択と電子決済と発券操作の全てを行うモードを言う。客用操作画面G1-1には、選択できる商品を表示する商品表示欄G11と、選択した商品を表示する選択商品欄G13と、発券ボタンG15と、精算用金額表示欄G17とが表示されている。そして、客が商品表示欄G11に表示されている所望の商品G111の部分を押下(タッチ)すれば、選択商品欄G13に、当該商品G131が表示される(ステップ1-16)。
図10では、商品表示欄G11に表示されている商品「ホットドッグ」の部分を押下して1個選択し、選択された商品が選択商品欄G13に表示された状態を示している。なお、選択商品欄G13の下部には、必要により全商品取消ボタンG133が表示されるようにしてもよい。
【0020】
商品の選択が終了すると、次に、客による発券ボタンG15の押下によりキャッシュレス決済が行われる(ステップ1-17)。
図11に示す通りキャッシュレス決済選択画面G1-11が表示される。即ち、非現金決済処理部27において、電子マネー決済やクレジット決済などを行う。
ここで客は所望するキャッシュレス決済種別を選択して、客が所有するキャッシュレス決済の媒体等をかざすことで精算を完了する。この際、
図12に示すキャッシュレス決済選択画面G1-11´の通りこの時点で決済できない種別が判別しているのでそれがわかる表示をしてもよい。
【0021】
次に、この例の場合は、キャッシュレス決済も正常に行われるので(ステップ1-18の「N」)、ステップ1-19に移行し、
図13に示す通り決済完了画面G1-12に移動する。この場合、この決済完了画面G1-12上に発券ボタンG16を表示して、この発券ボタンG16を客が押下すると、発行手段41によって食券が印刷され、発行口25から発行される(ステップ1-13)。そして上記注文データは、券売機20からキッチンモニタ80やキッチンプリンタ95に送信され(ステップ1-14)、調理が開始される。なお上記例では、キャッシュレス決済を発券ボタンG16の押下前に行う構成としたが、発券ボタンを押下した後にキャッシュレス決済を行い、その後食券を発行する構成としても良い。その場合には決済完了画面G1-12(但し、発券ボタンG16は不表示)を表示したことに応じて食券を発行してもよい。
【0022】
(2)当初より電子決済が異常であることが分かっている場合
この場合の対処方法には、さらに、(2-1)客が商品選択を行った後に店員が当該券売機20を用いて現金決済を行う場合と、(2-2)客が商品選択を行った後に店員が携帯端末60を用いて現金決済を行う場合と、(2-3)店員が当該券売機20を用いて商品選択と現金決済の両方を行う場合とがあるので、それぞれに分けて説明する。
これらの対処方法の選択は適宜お店側で切り替えすることができるが、例えば、客が所有するある特定の電子決済に不具合があり電子決済ができないが、他の客の場合は正常に電子決済が行えるようであれば、(2-1)客が商品選択を行った後に決済種別を選択してデータを読み込んだ段階で電子決済の異常を検出して、該当する場合には店員が当該券売機20を用いて決済を行う(以下、客商品選択・店員券売機操作モードとも言う)ことで対応する。券売機20やドロアーの位置関係により店員リモート操作モードで対応するのが便利な場合は、(2-2)客が商品選択を行った後に店員が携帯端末60を用いて決済を行う(以下、店員リモート操作モードとも言う)ことで対応する。店員リモート操作モードの場合には、携帯端末60からモードの確認や切替操作ができるようにしてもよい。通信の不具合等ですべての客に対応する必要がありそうな場合は、(2-3)店員が当該券売機20を用いて商品選択と決済の両方を行う(以下、店員全操作モードとも言う)ことで対応する。
【0023】
(2-1)客が商品選択を行った後に店員が券売機20を用いて現金決済を行う場合
当初より電子決済に異常が発生していることが分かっている場合、即ち、券売機20のCPU21が、券売機20の客による操作前に、通信障害や決済サーバの停止などの不具合によって、ある特定のキャッシュレス決済ができなくなっていると判断した場合は、ステップ1-1の「Y」からステップ1-2に移行し、次に、既に券売機20のモードをセルフモードから店員モードに切替済みか否かを判断する。ここで店員モードとは、少なくとも店員が決済操作を行うモードを言う。そして既に店員モードになっている場合は、ステップ1-3をスキップしてステップ1-4に移行するが、セルフモードの場合は、図示しない運用管理画面を手動または自動で表示してモードを店員モードに切り替える(ステップ1-3)。同時に、前記運用管理画面において、客商品選択・店員券売機操作モードか、店員リモート操作モードか、店員全操作モードか、を選択することもできる。
【0024】
ここでは、客が商品選択を行った後に店員が券売機20を用いて現金決済を行う場合についての説明なので、客商品選択・店員券売機操作モードが選択され(ステップ1-4の「Y」)、
図14に示すような異常時客用操作画面G1-2が表示される(ステップ1-5)。異常時客用操作画面G1-2には、その上部に「現在下記のキャッシュレスの取引はできません。利用可能なキャッシュレス決済をお持ちでない場合、現金決済で取引ができます。」の表示が行われ、同時に取引できない決済種別を表示し、報知される。異常時客用操作画面G1-2において、前記客用表示画面G1-1と同一部分には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
この際、異常時客用操作画面G1-2上に「取引できない決済種別は以下の通りです。」などの案内を出して、決済ができない種別を表示してもよい。
【0025】
そしてこの異常時客用操作画面G1-2を用いて、客による商品選択操作が行われる(ステップ1-6)。
図14では、商品表示欄G11に表示されている商品「ホットドッグ」の部分を押下して1個選択し、選択された商品が選択商品欄G13に表示された状態を示している。商品の選択が終了すると、発券ボタンG19が押下される(ステップ1-7)。
この後の精算及び発券の操作は店員が行うことになる。そこで、間違って客がその後の操作を行わないように、発券ボタンG19が押下されると画面にポップアップが表示され、「この後の操作は店員が行いますのでお待ちください。」等の交代の案内を表示させたり、押下と同時に店員への通知や音声による報知を行ったりしてもよい。なお、発券ボタンG19は正常運行時の発券ボタンG15と同じボタンであるが、正常運行の発券動作とは異なり発券ボタンG19が押下されると選択したモードに切り替わるきっかけとなる。
【0026】
発券ボタンG19が押下されると、
図15に示すような店員ログイン操作画面G1-3が表示される(ステップ1-8)。店員ログイン操作画面G1-3において、前記客用表示画面G1-1と同一部分には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
店員の決済は後述する店舗が予め用意した小口現金を保管するドロアーで行うので、店員の不正を防止するために店員を識別する方法が必要となる。
なお、
図15に示すような店員ログイン操作画面G1-3を表示しなくとも、店員の所有する店員カードをかざすことでログインを省略することや店員が所有する電子機器で近距離通信を行い、近づいたことを自動で識別可能としたり、生体認証として「静脈認証」,「顔認証」,「指紋認証」,「アイリス認証」などでログインを省略したりすることもできる。その場合は、ステップ1-7の後、ステップ1-10の店員用操作画面G1-4を表示することができる。
【0027】
店員ログイン操作画面G1-3に戻って、この店員ログイン操作画面G1-3の下部には、ユーザ名やパスワードなどを入力するログイン用入力欄G21が表示されているので、店員が所定の入力を行うことで、ログインする(ステップ1-9)。これによって、
図16に示すような店員用操作画面G1-4が表示される(ステップ1-10)。店員用操作画面G1-4において、前記客用表示画面G1-1と同一部分には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0028】
この店員用操作画面G1-4の下部には、精算用入力欄G23と、お預り金額欄G25と、商品合計金額欄G27と、発券ボタンG29とが表示される。
【0029】
そして店員は客から現金を受け取り、受け取った現金の額を、前記精算用入力欄G23のテンキーを用いて入力し(ステップ1-11)、発券ボタンG29を押下すれば(ステップ1-12)、発行口25から食券が発行される(ステップ1-13)。受け取った現金は、例えば店舗が予め用意した小口現金を保管するドロアー(小銭入れ)に保管し、またお釣りが必要な場合はこのドロアーから取り出して客に渡す。このときの現金の授受は、券売機20のRAM37に記憶され、必要に応じて管理装置10にも送信・記憶される。そして上記注文データは、券売機20からキッチンモニタ80やキッチンプリンタ95に送信され(ステップ1-14)、調理が開始される。
【0030】
また、店員用操作画面G1-4が表示される(ステップ1-10)際に
図16の現金精算用の画面を出さずに
図11に示す非現金決済処理の画面G1-11を表示して店員の操作により利用できる他の決済処理方法を選択して精算処理することや、客が利用する非現金決済処理画面には表示していないが店員だけが精算できる種別(他の決済処理方法)を表示して精算処理することもできる。
【0031】
ここで
図17は、店員によって現金決済した場合の食券150の一例を示す図である。同図に示すように食券150は、切取り線155を介して一方の側を客用食券部151、他方の側を店用食券部153としており、それぞれに所定の印刷内容が印刷されている。客用食券部151には購入金額151aが表示されているが、店用食券部153には購入金額153aの他に、現金決済を行った際の預かり金額153bとお釣り金額153cとが表示され、さらにコード表示部153dが表示されている。この例ではコード表示部153dは2次元コードとしているが、バーコードなどの他の各種コードを表示しても良い。コード表示部153dには、少なくとも、現金決済に関するデータ(上記販売金額、預かり金額、お釣り金額など)が記録されている。他に、買上商品名や販売日時などの一般的な情報を記録しても良い。
【0032】
食券150を印刷した際、この食券150を切取り線155の部分で2つに分割し、客用食券部151は客に、店用食券部153は店員側が保管する。客用食券部151は、商品が出来上がったときに、これを提示して商品を受け取る。一方、店用食券部153については以下に詳述するが、キッチン用ではなく、例えば一日分を貯めておき、閉店後の会計処理の際に、全ての店用食券部153のコード表示部153dを読み込み、一日の現金による会計金額や調理した商品と合致しているか否かを確認したりするのに用いることができる。上記説明では、現金決済(現金授受)に関するデータは、券売機20で行われる現金決済の際に券売機20のRAM37に記憶するように構成されているが、そのデータの確認のために、またはその代わりに、前記店用食券部153のコード表示部153dの読み込みを行っても良い。
【0033】
以上説明したように、券売機20は、客自身の操作による商品選択(ステップ1-16)を受けて客自身の操作による特定の決済(ステップ1-17)を行うセルフモードと、前記客自身の操作による特定の決済が不可の際(ステップ1-1の「Y」)に店員の画面操作による他の決済を行う店員モードとを切り替える切替手段(ステップ1-3)と、前記切替手段によってセルフモードから店員モードに切り替わったことを条件に店員による入力部(店員ログイン操作画面G1-3のログイン用入力欄G21や店員用操作画面G1-4の精算用入力欄G23)を表示する表示制御手段(ステップ1-8やステップ1-10)と、を有する構成となっている。
【0034】
これによって、通常は客自身の操作によって商品選択や特定の決済の操作を行うことができると共に、客による特定の決済が不可の際は、店員モードに切り替えて店員による他の決済処理を行うので、例えば券売機20としてキャッシュレス専用の券売機20を用い、その券売機20に不具合が生じたとしても、現金などによって商品の決済処理を行うことが可能となり、商品販売を継続することができる。
【0035】
また、前記入力部に前記店員によって操作される値数入力画面(店員用操作画面G1-4の精算用入力欄G23のテンキー)を実行可能に表示しているので、店員による現金決済などの決済処理を、値数入力画面を用いることで、精算処理から釣銭額の表示などを容易に行うことができる。
【0036】
また、前記入力部に前記店員によって操作される発行操作手段(店員用操作画面G1-4の発券ボタンG29など)を表示するので、店員以外の人による発券処理を確実に防止することができる。
【0037】
また、前記入力部に前記店員による店員の識別情報入力画面(店員ログイン操作画面G1-3のログイン用入力欄G21のユーザ名やパスワード入力欄)を表示するので、店員以外の人による決済処理を確実に防止することができる。
【0038】
また、前記表示制御手段(ステップ1-8やステップ1-10)は、客自身による商品選択操作(ステップ1-6)の処理終了(ステップ1-7)に応じて、店員による入力部(店員ログイン操作画面G1-3のログイン用入力欄G21や店員用操作画面G1-4の精算用入力欄G23)を切り替えて表示させるので、客自身による商品選択操作の次に、スムーズに店員による決済処理を進めることができる。
【0039】
なお上記電子決済異常時の場合において、客の操作から店員の操作に切り替える際に、所望の画面において、「発券操作は店員が行います。発券までしばらくお待ちください。」のような、客に対する店員操作切替用報知を行っても良い。また上記電子決済異常時の場合において、途中で電子決済が正常に回復したときは、例えば「キャッシュレスの取引が回復しました。キャッシュレスで取引を再開しますか?(はい)(いいえ)」のような、客に対するキャッシュレス再開選択用報知を行っても良い。
【0040】
ところで、上記特許文献1には、券売機の正面を店員側又は客側に方向転換させる機構を備えることで、店員でも客でも注文や決済の処理を行うことができる券売機が開示されているが、この券売機にはキャッシュレス決済機能がなく、上記本券売機20の作用効果は生じない。
【0041】
(2-2)客が商品選択を行った後に店員が携帯端末60を用いて現金決済を行う場合
上記と同様に、当初より電子決済に異常が発生していることが分かっている場合、即ち、券売機20のCPU21が、券売機20の客による操作前に、通信障害や決済サーバの停止などの不具合によって、キャッシュレス決済ができなくなっていると判断した場合は、ステップ1-1の「Y」からステップ1-2に移行し、次に、既に券売機20のモードをセルフモードから店員モードに切替済みか否かを判断する。そして既に店員モードになっている場合は、ステップ1-3をスキップしてステップ1-4に移行するが、セルフモードの場合は、図示しない運用管理画面を手動または自動で表示してモードを店員モードに切り替える(ステップ1-3)。同時に、前記運用管理画面において、客商品選択・店員券売機操作モードか、店員リモート操作モードか、店員全操作モードか、を選択する。
【0042】
ここでは、客が商品選択を行った後に店員が携帯端末60を用いて現金決済を行う場合についての説明なので、店員リモート操作モードが選択され(ステップ1-4からステップ1-21の「Y」)、前記
図14に示すような異常時客用操作画面G1-2が表示される(ステップ1-22)。
【0043】
そしてこの異常時客用操作画面G1-2を用いて、客による商品選択操作が行われる(ステップ1-23)。商品の選択が終了すると、発券ボタンG19が押下される(ステップ1-24)。なお、発券ボタンG19は正常運行時の発券ボタンG15と同じボタンであるが、正常運行の発券動作とは異なり発券ボタンG19が押下されると選択されたモードが切り替わるきっかけとなる。
この後、発券されるまで券売機20で客が操作することはないので、発券ボタンG19が押下されると画面にポップアップが表示され、「店員が精算・発券処理を行っています。しばらくお待ちください。」等の案内を表示したり、音声により操作の流れを報知したりすることもできる。
【0044】
発券ボタンG19が押下されると、券売機20の通信部39から、LAN120とアクセスポイント100を介して、携帯端末60に、上記注文データが送信される(ステップ1-25)。
【0045】
図9は、券売機20より注文データを受信した際の携帯端末60における動作フロー図である。同図に示すように、携帯端末60が券売機20より注文データを受信すると(ステップ2-1)、携帯端末60のタッチパネル67に、
図18示すような店員用操作画面G2を表示する。店員用操作画面G2には、選択商品欄G51と、発券ボタンG53と、領収書ボタンG55と、精算用入力欄G57と、お預り金額欄G59と、商品合計金額欄G61とが表示されている。そして店員は客から現金を受け取り、受け取った現金の額を、前記精算用入力欄G57のテンキーを用いて入力する(ステップ2-3)。受け取った現金は、例えば店舗が予め用意した小口現金を保管するドロアー(小銭入れ)に保管し、またお釣りが必要な場合はこのドロアーから取り出して客に渡す。そして発券ボタンG53を押下すれば(ステップ2-4)、当該精算データが券売機20の通信部39に送信される(ステップ2-5)。
【0046】
また、店員用操作画面G2が表示される(ステップ2-2)際に
図18の現金精算用の画面を出さずに非現金決済処理の画面を表示して店員の操作により利用できる他の決済処理方法を選択して精算処理することや、客が利用する非現金決済処理画面には表示していないが店員だけが精算できる決済種別(他の決済処理方法)を表示して精算処理することもできる。
【0047】
図8に戻って、券売機20では、携帯端末60から精算データを受信する(ステップ1-26)。この精算データは、券売機20のRAM37に記憶され、必要に応じて管理装置10にも送信・記憶される。そして、
図7のステップ1-13に移行し、発行手段41によって食券が印刷され、発行口25から発行される。そして上記注文データは、券売機20からキッチンモニタ80やキッチンプリンタ95に送信され(ステップ1-14)、調理が開始される。
【0048】
以上説明したように、券売機システム1は、券売機20と、当該券売機20と通信可能な携帯端末60とを具備し、券売機20の注文データを携帯端末60に送信し、前記注文データを受信した携帯端末60の操作に応じて客自身の操作による特定の決済が不可の際に他の決済を行う構成となっている。
【0049】
このように携帯端末60の操作に応じて他の決済を行うので、券売機20としてキャッシュレス専用の装置を用い、その装置に不具合が生じたとしても、携帯端末60を用いることで、容易に現金などによる他の決済処理を行うことが可能となり、商品販売を継続することができる。
また、携帯端末60のCPU61で電子食券のような形で注文データを一時保存しておくことで、券売機20は精算データを受信して(ステップ1-26)、食券発行操作(ステップ1-13)をせずにステップ1-14を行い終了してもよい。
さらに、仮に券売機20の発行手段14が故障などで使えなくなった場合には発券のデータをキッチンプリンタ95に送信して発券を代替することも可能である。
【0050】
(2-3)店員が当該券売機20を用いて商品選択と現金決済を行う場合
上記と同様に、当初より電子決済に異常が発生していることが分かっている場合、即ち、券売機20のCPU21が、券売機20の客による操作前に、通信障害や決済サーバの停止などの不具合によって、キャッシュレス決済ができなくなっていると判断した場合は、ステップ1-1の「Y」からステップ1-2に移行し、次に、既に券売機20のモードをセルフモードから店員モードに切替済みか否かを判断する。そして既に店員モードになっている場合は、ステップ1-3をスキップしてステップ1-4に移行するが、セルフモードの場合は、図示しない運用管理画面を手動または自動で表示してモードを店員モードに切り替える(ステップ1-3)。同時に、前記運用管理画面において、客商品選択・店員券売機操作モードか、店員リモート操作モードか、店員全操作モードか、を選択する。
【0051】
ここでは、店員が当該券売機20を用いて商品選択と現金決済を行う場合についての説明なので、店員全操作モードが選択され(ステップ1-4からステップ1-21の「N」)、前記
図16に示すような店員用操作画面G1-4が表示される(ステップ1-27)。
この場合、最初から店員が券売機20を操作するので、画面上には客が操作できない旨の表示をしていてもよい。例えば、「店員が商品選択から発券処理まで行います。店員を呼んでください。」等の案内を表示したり、音声により客が使用できないことを報知したりすることもできる。
【0052】
そしてこの店員用操作画面G1-4を用いて、店員による商品選択操作と決済操作とが行われる(ステップ1-28)。即ち、店員が、商品表示欄G11に表示されている所望の商品G111の部分を押下して、選択商品欄G13に当該商品G131を表示させる。次に店員が、客から現金を受け取り、受け取った現金の額を、精算用入力欄G23のテンキーを用いて入力し、発券ボタンG29を押下する(ステップ1-29)。次にステップ1-13に移行して、発行口25から食券が発行される(ステップ1-13)。受け取った現金は、例えば店舗が予め用意した小口現金を保管するドロアー(小銭入れ)に保管し、またお釣りが必要な場合はこのドロアーから取り出して客に渡す。このときの現金の授受は、券売機20のRAM37に記憶され、必要に応じて管理装置10にも送信・記憶される。
【0053】
そして上記注文データは、券売機20からキッチンモニタ80やキッチンプリンタ95に送信され(ステップ1-14)、調理が開始される。
【0054】
また、店員用操作画面G1-4が表示される(ステップ1-27)際に
図16の現金精算用の画面を出さずに
図11又は
図12に示す非現金決済処理の画面を表示して店員の操作により利用できる他の決済処理方法を選択して精算処理することや、客が利用する非現金決済処理画面には表示していないが店員だけが精算できる種別(他の決済処理方法)を表示して精算処理することもできる。
【0055】
(3)客による電子決済の際に異常が発生した場合
前記したように、券売機20の操作を開始したときは、前記
図10に示すような客用操作画面G1を用いて異常なく商品選択を行えたが(ステップ1-1、ステップ1-15、ステップ1-16)、客によるキャッシュレス決済を行おうとした際に(ステップ1-17)、例えば決済サーバとの間の通信不良やシステムダウンや客側の残高不足などのキャッシュレス決済ができない異常が発生した場合(ステップ1-18の「Y」)は、異常が発生したことを券売機20から店員に報知する(ステップ1-20)。
即ち、客による
図10の発券ボタンG15の押下によりキャッシュレス決済が行われる(ステップ1-17)。
図11に示す通りキャッシュレス決済選択の画面が表示される。即ち、非現金決済処理部27において、電子マネー決済やクレジット決済などを行う。
ここで客は所望するキャッシュレス決済種別を選択して、客が所有するキャッシュレス決済の媒体等をかざす。
図19はキャッシュレス決済を選択して客の所有する決済媒体をかざした時の精算時残高不足画面G7である。画面上には残高や不足額を表示し、その後の対応を客に選ばせる選択画面を表示する。選択肢には「キャンセル」「戻る」「店員を呼ぶ」などを表示する。
例えば、「キャンセル」を押下すれば取引を終了させ、「戻る」を押下すれば決済選択処理画面を再度表示し、「店員を呼ぶ」を押下すれば店員への報知が行われる(ステップ1-20)。
報知の方法としては、例えば店員の所持する携帯端末60から警報音や警報振動などを発生させたり、券売機20から警報音を鳴らせたり、券売機20に別途設置しているポールを光らせるなどの報知方法がある。
【0056】
そしてステップ1-3に移行し、図示しない運用管理画面を手動または自動で表示して店員によってモードを店員モードに切り替える(ステップ1-3)。同時に、前記と同様、前記運用管理画面において、客商品選択・店員券売機操作モードか、店員リモート操作モードか、店員全操作モードか、を選択する。
ただし、この場合はすでに客が商品を選択しているので選択欄には店員リモート操作モードか、店員全操作モードか、を選択させるように自動で表示を切り替えてもよい。
【0057】
以下は、前記「(2)当初より電子決済が異常であることが分かっている場合」と同様の動作を行っていくので、その詳細な説明は省略する。
【0058】
近年、キャッシュレス専用券売機のみを設置する店舗が増えてきたため、キャッシュレス専用券売機での操作中に通信障害や決済サーバの停止などの不具合が起きると、商品の決処理ができなくなり、商品販売の機会を失っていた。
【0059】
上記実施例は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、キャッシュレスによる決済処理に不具合が生じても、商品販売を維持することができる券売機及び券売機システム及びプログラムを提供することにある。
また、キャッシュレス専用券売機は現金の処理を行う装置を設けていないので、現金によるチャージができない状況において、電子決済等で精算時に残高不足の場合にも商品販売を維持することができる。
【0060】
次に、上述したドロアーによる現金決済の管理の方法について説明する。
今回の場合、通常のレジのように現金を持つことはないので、店は緊急用のドロアー(小銭入れ)を用意してこれにお金(以下「準備金」という)を入れておくことが好ましい。そして当該準備金を利用した場合には、上述のように、券売機20においてその計算及び売り上げの管理も行う。そこで予めその日の準備金の金種と金額を券売機20のRAM37に記憶(登録)しておく。
【0061】
図20は、準備金を券売機20に入力する際の釣銭準備画面G3の一例を示す図である。同図に示すように、釣銭準備画面G3には、ドロアー金種入力欄G31と、紙幣小計表示欄G33と、硬貨小計表示欄G35と、合計金額表示欄G37と、確定ボタンG39と、閉じるボタンG41とが表示されている。そして例えば、釣銭準備金(釣銭用にあらかじめ準備させておくお金)を、金種毎にドロアーに入金し、同時に始業前や終業後などに、ドロアーに入金した現金を、釣銭準備画面G3を用いて金種毎に券売機20に入力しておく。
また、携帯端末60で釣銭準備画面を見ることができたり、準備金を入力する操作ができたりしてもよい。さらに、登録内容は券売機20のRAM37に記憶(登録)しておいてもいいし、携帯端末60内に保存しておいて券売機20とデータを共有してもよい。
【0062】
そして、前述のように、現金決済を行うたびに、当該現金による入出金の金額が券売機20に入力され登録される。または上述のように、この入力と共に、又はこの入力に代えて、前記集めておいた食券150の食券部153の内容を閉店後などにまとめて入力しても良い。
【0063】
そして閉店締め処理を行う際に、前記券売機20によって算出された理論現金在高がドロアーに収納されている金額と合致しているか否かを確認する。そして再び上述のように、始業前や終業後などに、釣銭準備金を金種毎にドロアーに入金し、同時に釣銭準備画面G3を用いて当該入金金額を金種毎に券売機20に入力する。これによって、小口現金の管理も行えるようになる。取引レポートでは、現金売上欄/釣銭準備金欄/現金回収金額/理論現金在高/現金差異/翌日繰越金の項目も印字する。また、レポートとして扱者レポートを出力することで、疑似ドロアー運用モードでの取引全般が管理できる。
【0064】
以上のように、キャッシュレス券売機においても現金在高管理ができる処理機能を備えることで、キャッシュレス券売機で発券したミス発券チケットの訂正運用も行うことが可能になる。即ち、キャッシュレス決済の中には、決済取消できない取引、直前取引しか決済取消できない取引、当日しか決済取消できない取引など、各種決済別にレギュレーションが異なるため、訂正操作として売上集計上取引取消し操作を行うが、上位システムへの決済取消し機能ができないこともあって、このようなときに実現金で返金操作を行うこともある。このようなとき上記の疑似ドロアーのモードを使えば小口現金の管理も可能となる。例えば日中に客のミス発券分を現金で返金して、後にモードを切替えて、出金操作を行うことで実現金在高をキャッシュレス券売機の集計レポートに反映させることができる。例えば電子マネーで精算しようとしたら残額が不足していたので仕方なく現金決済を利用せざるを得ないとき等にも使える。
【0065】
以上説明したように、本発明にかかる券売機は、客による操作で商品選択を行い選択された非現金決済方法で精算データ処理を行う券売機において、客自身の操作による商品選択を受けて客自身の操作による特定の決済を行うセルフモードと、前記客自身の操作による特定の決済が不可の際に店員の画面操作による他の決済を行う店員モードとを切り替える切替手段と、前記切替手段によってセルフモードから店員モードに切り替わったことを条件に、店員による入力部を表示する表示制御手段と、を有することを特徴としている。
上記店員の画面操作による他の決済の処理は、例えば、事前に用意した小口現金(お店が予め用意している現金)によって行う。
本発明によれば、通常は客自身の操作によって商品選択や特定の決済の操作を行うことができると共に、客による特定の決済が不可の際は、店員モードに切り替えて店員による他の決済処理を行うことができるので、例えば券売機としてキャッシュレス専用の装置を用い、その装置に不具合が生じたとしても、現金などの他の決済処理によって決済処理を行うことが可能となり、商品販売を継続することができる。本発明は、特に、キャッシュレス専用の券売機に用いて好適である。
【0066】
また本発明は、上記特徴に加え、前記入力部に前記店員によって操作される値数入力画面を実行可能に表示することを特徴としている。
本発明によれば、店員による現金決済などの決済処理を、値数入力画面を用いることで、容易に行うことができる。
【0067】
また本発明は、上記特徴に加え、前記表示制御手段は、前記店員による入力部に発券画面を表示することを特徴としている。
本発明によれば、店員による操作で発券処理を行うことで、現金精算処理を終えずに発券して立ち去ってしまうことを確実の防止することができる。
【0068】
また本発明は、上記特徴に加え、前記入力部に前記店員による店員の識別情報入力画面を表示することを特徴としている。
本発明によれば、店員以外の人による操作処理を確実に防止することができる。
【0069】
また本発明は、上記特徴に加え、前記表示制御手段は、客自身による商品選択操作の処理終了に応じて、前記店員による入力部を切り替えて表示させることを特徴としている。
本発明によれば、客自身による商品選択操作の次に、スムーズに店員による決済処理に切り替えることができる。
【0070】
また本発明は、上記券売機と、当該券売機と通信可能な携帯端末と、を具備する券売機システムであって、前記券売機の注文データを前記携帯端末に送信し、前記注文データを受信した携帯端末の操作に応じて前記客自身の操作による特定の決済が不可の際に他の決済を行うことを特徴としている。
本発明によれば、携帯端末によって、客自身の操作による特定の決済以外の他の決済を行うので、券売機20やドロアーの位置関係などにより店員が所有する携帯端末を用いることで対応するのが便利な場合、容易に決済処理を行うことが可能となり、商品販売を継続することができる。
【0071】
また本発明は、客による操作で商品選択を行い選択された非現金決済方法で精算データ処理を行う券売機としてのコンピュータを、客自身の操作による商品選択を受けて客自身の操作による特定の決済を行うセルフモードと、前記客自身の操作による特定の決済が不可の際に店員の画面操作による他の決済を行う店員モードとを切り替える切替手段と、前記切替手段によってセルフモードから店員モードに切り替わったことを条件に、店員による入力部を表示する表示制御手段と、して機能させることを特徴とするプログラムにある。
【0072】
また、上記実施形態に係る券売機20で実行されるプログラムは、フラッシュメモリ35等に予め組み込まれて提供されるものとしているが、これに限られず、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成しても良い。また、上記実施形態の券売機20で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、上記実施形態の券売機20で実行されるプログラムを、ネットワーク経由で提供又は配布するように構成しても良い。
【0073】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの構成であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。また、上記記載及び各図で示した実施形態は、その目的及び構成等に矛盾がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。また、上記記載及び各図の記載内容は、その一部であっても、それぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は上記記載及び各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0074】
1 券売機システム 10 管理装置
20 券売機(商品販売データ処理装置) 21 装置本体
23 タッチパネル(表示部兼操作部) 25 発行口
27 非現金決済処理部 29 カード処理部
29a ICカード挿入部 29b 非接触カード読取部
31 モバイル端末処理部 33 CPU
35 フラッシュメモリ 37 RAM
39 通信部 41 発行手段
43 通信回線 60 携帯端末
61 CPU 63 ROM
65 RAM 67 タッチパネル(表示部兼操作部)
69 通信部 71 操作ボタン部(操作部)
73 通信回線 80 キッチンモニタ
81 CPU 83 ROM
85 RAM 87 タッチパネル(表示部兼操作部)
89 通信部 91 通信回線
95 キッチンプリンタ 100 アクセスポイント
110 ルータ 120 LAN
130 ネットワーク G1-1 客用操作画面
G1-11 キャッシュレス決済選択画面
G1-11´ キャッシュレス決済選択画面
G1-12 決済完了画面 G11 商品表示欄
G111 商品 G13 選択商品欄
G131 商品 G133 全商品取消ボタン
G15 発券ボタン G16 発券ボタン
G17 精算用金額表示欄 G1-2 異常時客用操作画面
G19 発券ボタン G1-3 店員ログイン操作画面
G21 ログイン用入力欄 G1-4 店員用操作画面
G23 精算用入力欄 G25 お預り金額欄
G27 商品合計金額欄 G29 発券ボタン
150 食券(媒体) 151 客用食券部
151a 購入金額 153 店用食券部
153a 購入金額 153b 預かり金額
153c お釣り金額 153d コード表示部
155 切取り線 G2 店員用操作画面
G51 選択商品欄 G53 発券ボタン
G55 領収書ボタン G57 精算用入力欄
G59 お預り金額欄 G61 商品合計金額欄
G3 釣銭準備画面 G31 ドロアー金種入力欄
G33 紙幣小計表示欄 G35 硬貨小計表示欄
G37 合計金額表示欄 G39 確定ボタン
G41 閉じるボタン G7 精算時残高不足画面