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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】仕分けコンベヤ
(51)【国際特許分類】
   B65G 17/06 20060101AFI20231127BHJP
   B65G 47/68 20060101ALI20231127BHJP
   B65G 47/28 20060101ALN20231127BHJP
【FI】
B65G17/06 C
B65G47/68 C
B65G47/28 K
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019220552
(22)【出願日】2019-12-05
(65)【公開番号】P2020093931
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-09-06
(31)【優先権主張番号】P 2018228403
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391019289
【氏名又は名称】マルヤス機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 直樹
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-237543(JP,A)
【文献】特開2010-202324(JP,A)
【文献】特開平07-187376(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0060447(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 17/00-17/48
B65G 47/68
B65G 47/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端搬送体と、仕分け体と、仕分け装置とを備え、
前記無端搬送体は、相互に平行な軸を有する駆動回転体と従動回転体とにわたって無端回転するように巻き掛けられ、鉛直方向の上面側を搬送面とし、下面側を戻り面として設定され、
前記仕分け体は、前記無端搬送体の前記搬送面から前記戻り面にわたり、周方向に沿って複数配置されていると共に、スライド支持部を介して前記駆動回転体の軸と平行な方向にスライド自在、且つ前記無端搬送体の回転と一体に回転するように支持され、
前記仕分け装置は、前記仕分け体と鉛直方向で対向し、前記仕分け体の搬送軌道を初期位置から複数に規定すると共に、前記戻り面で前記仕分け体を前記初期位置に戻す戻り軌道を規定するように配置された案内レール部と、
前記仕分け体と鉛直方向で対向し、前記仕分け体を所定の搬送軌道に振り分ける振分けレールとを備え、
前記仕分け体と前記案内レール部及び前記振分けレールとの対向側の少なくとも一方側には、マグネットが設けられ、他方側には、前記一方側に設けられた前記マグネットと互いの磁力によって引き寄せ合うマグネット又は前記一方側に設けられた前記マグネットの磁力によって引き寄せ合う磁性体が設けられており、
前記無端搬送体の回転中に、前記マグネット同士又は前記マグネットと前記磁性体とが正対し、この正対状態を前記マグネット同士の磁力又は前記磁性体を引き寄せ合う前記マグネットの磁力によって保持するようにされていることを特徴とする仕分けコンベヤ。
【請求項2】
前記マグネット同士又は前記マグネットと前記磁性体との間に隙間が確保されていることを特徴とする請求項1に記載の仕分けコンベヤ。
【請求項3】
前記仕分け体側のマグネット又は磁性体がホルダに内蔵されており、少なくとも、前記案内レール部の全長にわたる側部に隙間保持部材が設けられ、前記隙間保持部材は、前記ホルダの前記案内レール部との対向面部と対向する保持面部を有し、前記保持面部は、前記案内レールのマグネット又は磁性体の対向面部側の端部の位置よりも、前記ホルダの対向面部側に突出した位置にあることを特徴とする請求項2に記載の仕分けコンベヤ。
【請求項4】
前記仕分け体側と、少なくとも前記搬送面側の案内レール部とにマグネットが設けられたものであって、前記搬送面側の案内レール部には、少なくとも、搬送方向と平行に設けられた分岐レールと、前記分岐レールを境とする両側に設けられた2本の分岐レールとが備えられ、前記分岐レールの前記分岐レール側の側部に、該側部の全域にわたって、マグネットが取付けられ、マグネットは、側部と対面する対面部又はマグネットと対面する端部が、マグネットと反発し合うように配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれか1項に記載の仕分けコンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される搬送物を同一の搬送面上で複数の搬送軌道に仕分ける仕分けコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
搬送される搬送物を同一の搬送面上で複数の搬送軌道に仕分ける仕分けコンベヤは、下記特許文献1に記載のように、スラットにスライド自在に設けられた移動手段の回転体を強磁性体で形成し、この回転体を主レールと分岐レールとからなるガイドレールに沿って移動するように嵌合すると共に、電磁石と磁石とによって主レールから分岐レールに分岐案内するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第2630558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の仕分けコンベヤによると、搬送物を分岐方向に搬送する場合には、嵌合された回転体が主レールに案内されて移動すると共に、主レールから分岐レールへと案内されて移動するようにされている。
【0005】
しかしながら、特許文献1の仕分けコンベヤは、回転体が主レールから分岐レールへと移動するときに、搬送速度や分岐タイミングのずれ等によって、主レールと分岐レールとを分ける鋭角な境界壁に正面から衝突し、この衝突による騒音の発生、更には、回転体、回転体を軸支する支軸、ガイドレール、スラット等の各部に破損や変形が生じるという問題があった。
【0006】
前述の各部の破損や変形が生じた場合、破損や変形による各部同士の噛み込みが生じて、スラットや移動シューの搬送動作がぎくしゃくしたり、止まってしまったりという搬送不良が発生することがあり、或いは、スラットから移動シューが外れてしまい、搬送物の仕分け搬送や搬送方向変更ができなくなるという仕分け不良が発生することがあった。
【0007】
前述のような問題から、現在では、搬送物の仕分け搬送を確実、且つスムースに行えると共に、故障等の不具合や騒音の発生を防止できる仕分けコンベヤが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するために本発明は、以下の手段を採用した。
【0009】
その手段は、無端搬送体と、仕分け体と、仕分け装置とを備え、前記無端搬送体は、相互に平行な軸を有する駆動回転体と従動回転体とにわたって無端回転するように巻き掛けられ、鉛直方向の上面側を搬送面とし、下面側を戻り面として設定され、前記仕分け体は、前記無端搬送体の前記搬送面から前記戻り面にわたり、周方向に沿って複数配置されていると共に、スライド支持部を介して前記駆動回転体の軸と平行な方向にスライド自在、且つ前記無端搬送体の回転と一体に回転するように支持され、前記仕分け装置は、前記仕分け体と鉛直方向で対向し、前記仕分け体の搬送軌道を初期位置から複数に規定すると共に、前記戻り面で前記仕分け体を前記初期位置に戻す戻り軌道を規定するように配置された案内レール部と、前記仕分け体と鉛直方向で対向し、前記仕分け体を所定の搬送軌道に振り分ける振分けレールとを備え、前記仕分け体と前記案内レール部及び前記振分けレールとの対向側の少なくとも一方側には、マグネットが設けられ、他方側には、前記一方側に設けられた前記マグネットと互いの磁力によって引き寄せ合うマグネット又は前記一方側に設けられた前記マグネットの磁力によって引き寄せ合う磁性体が設けられており、前記無端搬送体の回転中に、前記マグネット同士又は前記マグネットと前記磁性体とが正対し、この正対状態を前記マグネット同士の磁力又は前記磁性体を引き寄せ合う前記マグネットの磁力によって保持するようにされていることを特徴とする仕分けコンベヤにしたことである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る第1実施形態の仕分けコンベヤの平面図である。
図2図1の(2)-(2)線拡大断面図である。
図3図2の(3)-(3)線一部切欠断面図である。
図4図3の要部拡大図である。
図5図4の(5)-(5)線断面図である。
図6図5の(6)-(6)線断面図である。
図7】仕分けコンベヤの案内レール部の構成図であり、(a)は、搬送面側を示し、(b)は、戻り面側を示す。
図8】振分け部の動作を示す動作図である。
図9】本発明に係る第2実施形態の仕分けコンベヤの要部拡大図である。
図10】本発明に係る第3実施形態の仕分けコンベヤの要部拡大図である。
図11】本発明に係る第3実施形態の仕分けコンベヤの作用図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る第1実施形態の仕分けコンベヤAを図1図8に基づいて説明する。尚、以下で説明する各実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0012】
以下では、図1及び図2において実線白抜き矢印方向を搬送方向とし、図2において破線白抜き矢印方向を戻り方向とする。また、搬送方向に対して水平方向で直交する方向を左右方向とすると共に、搬送方向に対して鉛直方向で交差する方向を上下方向とする。
【0013】
仕分けコンベヤAは、図1図3に示すように、左右方向を軸として搬送方向で向かい合うように配された駆動回転体A1及び従動回転体A2と、駆動回転体A1及び従動回転体A2にわたるように巻回された無端搬送体1と、無端搬送体1の外周側の全周にわたり、左右方向に移動自在に配置された複数の仕分け体2と、仕分け体2を左右方向にスライドさせる仕分け装置3とを備えている。
【0014】
駆動回転体(以下、駆動歯付プーリー)A1は、左右方向の軸を有する回転軸A10の両端部に、回転軸A10と一体回転するように軸支されていると共に、モータMの駆動回転によって回転する回転軸A10の回転に伴って回転するようにされている。
【0015】
従動回転体(以下、従動歯付プーリー)A2は、回転軸A10と平行な軸を有する軸とする回転軸A20の両端部に、回転軸A20と一体回転するように軸支されており、駆動回転体A1の回転が無端搬送体1を介して伝達されて回転するようにされている。
【0016】
無端搬送体1は、図1図3に示すように、駆動歯付プーリーA1と従動歯付プーリーA2とにわたるように巻回された無端環状体(以下、歯付ベルト)10と、回転軸A10と平行な軸を有して、左右の歯付ベルト10とにわたると共に、歯付ベルト10の全周にわたって並列状に軸支された複数の支持杆11とを備え、上面側を搬送面1A、下面側を戻り面1Bとしている。
【0017】
尚、駆動歯付プーリーA1及び従動歯付プーリーA2に換えて、双方とも歯が無いタイプのプーリを用いると共に、歯付ベルト10に換えてVベルトや平ベルトを用いてもよいし、双方ともスプロケットを用いると共に、歯付ベルト10に換えてチェーンを用いてもよい。
【0018】
仕分け体2は、図3図6に示すように、搬送面1Aにおいて搬送物(図示せず)が載置される載置板20と、載置板20の支持杆11側の面に固着され、支持杆11に対して左右方向にスライド自在に嵌合された嵌合体21と、後述するマグネット30とを備えている。
【0019】
支持杆11と嵌合体21とは、仕分け体2を無端搬送体1に対して左右方向にスライド自在に支持するスライド支持部2Aを構成するものである。
【0020】
嵌合体21は、図5に示すように、嵌合体21の搬送方向における上流側と下流側との双方に、支持杆11に嵌合される嵌合凹部21Aが凹設されている。
【0021】
嵌合凹部21Aの溝は、支持杆11の軸と平行に形成されており、この嵌合凹部21Aを支持杆11に嵌合することで、仕分け体2が支持杆11の軸に沿って左右方向にスライドできるようにされている。
【0022】
尚、嵌合凹部21Aの形状は、図示では、図5において、横向きH形状としているが、本発明では、図示された形状に限らない。
【0023】
仕分け装置3は、搬送物の搬送中に仕分け体2を搬送面1A上において中央の初期位置Pから左右にスライドさせることで、搬送面1A上で搬送物を多方向(本実施形態では3方向)に仕分けると共に、左右にスライドした仕分け体2を戻り面1Bにおいて左右から中央に向かってスライドさせることで、仕分け体2を搬送面1A上の初期位置Pに戻すことができるようにされている。
【0024】
ここで、初期位置Pとは、仕分けコンベヤAに搬送物を供給するコンベヤや装置(図示せず)から前述の搬送物が仕分けコンベヤAに移送される位置であって、仕分けコンベヤAの仕様によっては、搬送面1Aの中央に設定されない場合もある。
【0025】
仕分け装置3は、前述のマグネット30と、仕分け体2の搬送動作及び戻り動作を案内する複数のレールからなる案内レール部4と、仕分け体2を振り分ける振分け装置5とを備えている。
【0026】
マグネット30は、図4図5に示すように、摩擦係数が低い合成樹脂材からなるマグネットホルダ(ホルダ)31に内蔵され、案内レール部4のマグネット30側の側縁40には、マグネット41が設けられている。
【0027】
マグネットホルダ31は、仕分け体2における無端搬送体1の内周側の面に取付けられており、内蔵されたマグネット30がマグネット41と上下方向で正対するように配置されている。
【0028】
マグネット30とマグネット41は、フェライトマグネットであり、この磁力によって互いに引き寄せ合って吸引するようにされている。
【0029】
すなわち、マグネット30は、図4図5に示すように、仕分け体2の搬送動作中及び戻り動作中において、案内レール部4における各レールのマグネット41に対して上下方向で正対していると共に、この正対状態をマグネット30,41同士の磁力で保持しており、これによって、案内レール部4に沿って仕分け体2を搬送動作及び戻り動作させることができるようになっている。
【0030】
また、案内レール部4の各レールにおけるマグネット41のマグネットホルダ31側の端部410と、この端部410と対向するマグネットホルダ31の対向面310との間には、マグネット30がマグネット41と正対したときに、磁力による引き寄せ合う機能が損なわれない程度の隙間Sが確保されており、マグネットホルダ31の対向面310をマグネット41の端部410に接触させずに、仕分け体2の搬送動作及び戻り動作を行うことができるようにされている。
【0031】
すなわち、隙間Sを確保したことにより、搬送動作中にマグネットホルダ31の対向面310とマグネット41の端部410とが非接触状態となるため、互いの接触摩擦による騒音及び摩耗の発生を確実に防ぐことができ、無端搬送体1の回転時での振動等によって、マグネットホルダ31の対向面310とマグネット41の端部410とが接触しても、マグネットホルダ31が摩擦係数の低い合成樹脂材からなるため、互いの接触摩擦による騒音及び摩耗の発生を抑制することができる。
【0032】
また、マグネット30,41同士の磁力によって、仕分け体2と案内レール部4における各レールとの対向状態を保持しているため、マグネット30と、案内レール部4における各レールのマグネット41とが互いに吸引されながら移動しても発熱を抑制でき、特に、マグネット30,41がフェライトマグネットであるので、発熱の抑制効果が発揮される。
【0033】
尚、本発明は、隙間Sの有無について限定するものではなく、マグネットホルダ31の対向面部310とマグネット41の端部410とが接触している形態も含まれるものである。
【0034】
案内レール部4は、搬送面1Aにおいて搬送物が載置されて移動する仕分け体2の搬送軌道を複数に規定すると共に、各搬送軌道に沿って移動される仕分け体2を戻り面1Bにおいて初期位置Pに戻す戻り軌道を規定するものである。
【0035】
案内レール部4は、図7に示すように、搬送面1A側に配置された搬送レール部4Aと、戻り面1B側に配置された戻りレール部4Bを有している。
【0036】
搬送レール部4Aは、振分け装置5の上流側に配置された初期位置レール4aと、振分け装置5の後述する振分けレール5aの下流側に配置された3本の分岐レール4b~4dとを有している。
【0037】
戻りレール部4Bは、分岐レール4b~4dの下方に配置された3本の戻りレール4e~4gを有している。
【0038】
初期位置レール4aは、分岐レール4b~4dのマグネット41の端部410と面一となる端部410を有するマグネット41を備えており、図7及び図8に示すように、搬送面1Aの左右中央、且つ初期位置P上に配置されており、下流側に振分けレール5aが連設されている。
【0039】
ここで、振分け装置5は、図8に示すように、前述の振分けレール5aと、振分けレール5aの振分け動作を行うシリンダ5bとを備えている。
【0040】
振分けレール5aは、搬送レール部4Aの一部を構成するものであり、初期位置レール4aのマグネット41の端部410と面一となる端部410を有するマグネット41を備え、振分けレール5aの上流側端縁50aが、初期位置レール4aの下流側端縁40aに正対させて配置されていると共に、初期位置レール4aに対して上下方向の軸を有する支点5cを介して連結されており、支点5cの軸を中心として左右方向へ揺動するようにされている。
【0041】
シリンダ5bは、ロッド50bが左右方向へ伸縮するように配置されていると共に、ロッド50bの先端が振分けレール5aの側面に連結され、ロッド50bの伸縮によって、振分けレール5aを揺動させるようにされている。
【0042】
シリンダ5bの伸縮量は、振分けレール5aを揺動させたとき、振分けレール5aの下流側端縁51aが、分岐レール4b~4dの上流側端縁40b~40dに対向する位置に至る伸縮量である。
【0043】
シリンダ5bは、搬送物の仕分け方向に対応して伸縮するように制御されており、この制御によって、搬送物の仕分け方向に対応した分岐レール4b~4dに振り分けることができる。
【0044】
分岐レール4bは、振分けレール5aの下流側端縁51aの付近から回転軸A10に至る範囲で、搬送面1Aの左右中央に直線状として配置されている。
【0045】
分岐レール4c、4dは、分岐レール4bを境に左右両側に配置されていると共に、振分けレール5aの下流側端縁51aの付近から回転軸A10方向に向かって末広がり状にとなるように傾斜させて配置されており、傾斜部41c、41dの下流端から回転軸A10に至る範囲で直線部42c、42dが連設されている。
【0046】
このような分岐レール4b~4dによって、搬送面1Aにおいて仕分け体2の搬送軌道を3か所として規定することができる。
【0047】
戻りレール4eは、初期位置レール4a及び分岐レール4bの直下に位置するように、回転軸A10から回転軸A20に至る範囲で戻り面1B側の左右中央に直線状として配置されている。
【0048】
戻りレール4f、4gは、戻りレール4eを境に左右両側に配置されていると共に、回転軸A10から回転軸A20に向かって、先窄まり状となるように傾斜させて配置されている。
【0049】
戻りレール4f、4gの上流端は、分岐レール4c、4dの下流端の直下に位置し、戻りレール4f、4gの下流端は、回転軸A20付近で戻りレール4eに至るように位置している。
【0050】
このような戻りレール4e~4gによって、戻り面1Bにおいて仕分け体2の戻り軌道を規定することができる。
【0051】
すなわち、無端搬送体1の回転による仕分け体2の搬送動作では、初期位置レール4aに沿って移動すると共に、振分け装置5の振分けレール5aに沿って移動し、且つ揺動した振分けレール5aに対応する分岐レール4b~4dに振り分けられ、振り分けられた仕分け体2は、対応する分岐レール4b~4dに沿って搬送動作する。
【0052】
分岐レール4b~4dに沿って搬送動作する仕分け体2は、無端搬送体1の回転軸A10の位置での回転によって、搬送面1Aでの搬送動作から戻り面1Bでの戻り動作へ移行する際に、対応する戻りレール4e~4gに至り、この戻りレール4e~4gに沿って回転軸A20方向へ戻り動作する。
【0053】
仕分け体2の戻り動作が、戻りレール4eに沿って行われている場合には、無端搬送体1の回転軸A20の位置での回転による、戻り面1Bでの戻り動作から搬送面1Aでの搬送動作へ移行する際に、そのまま、初期位置レール4aに至り、再び搬送面1Aでの搬送動作が行われる。
【0054】
仕分け体2の戻り動作が、戻りレール4f(あるいは戻りレール4g)に沿って行われている場合には、仕分け体2が回転軸A20の手前で戻りレール4fから戻りレール4eへと移行し、戻り面1Bでの戻り動作から搬送面1Aでの搬送動作へ移行する際に、そのまま、初期位置レール4aに至り、再び搬送面1Aでの搬送動作が行われる。
【0055】
したがって、仕分け体2の搬送動作がいずれの搬送軌道で行われていても、仕分け体2を必ず初期位置レール4a(初期位置P)に至らせることができる。
【0056】
搬送面1A側には、復帰レール部6が配置されており、復帰レール部6は、分岐レール4b~4dを境として左右に配置された復帰ガイドレール4h、4iを備えている。
【0057】
復帰ガイドレール4h、4iは、搬送面1A上において、仕分け体2が搬送軌道から左右外側方向に外れた位置にあっても、無端搬送体1の回転による仕分け体2の移動中に、この仕分け体2を搬送軌道へ導くようにするものである。
【0058】
復帰ガイドレール4h、4iは、分岐レール4b~4dを境に左右両側に配置されていると共に、上流側端縁40h、40iから回転軸A10に向かって、先窄まり状となるように傾斜させて配置されており、傾斜部41h、41iの下流端から回転軸A10に至る範囲で直線部42h、42iが連設されている。
【0059】
上流側端縁40h、40iの位置は、仕分け体2が分岐レール4d、4cによる搬送軌道から左右外側方向に最も外れている状態で、無端搬送体1によって搬送動作したときに、マグネットホルダ31の外側縁31aが、傾斜部41h、41iの内側面43h、43iに接触する位置に設定されている。
【0060】
直線部42h、42iと直線部42c、42dとの間隔は、マグネットホルダ31が直線部42h、42iに至ったときに、マグネット30が、このマグネット30と直線部42c、42dのマグネット41との磁力によって吸い寄せられることにより、直線部42c、42dのマグネット41と上下方向で正対するように設定されている。
【0061】
このような復帰ガイドレール4h、4iによると、仕分け体2が分岐レール4d、4cによる搬送軌道から左右外側方向に外れていた場合でも、無端搬送体1の回転に伴う仕分け体2の搬送動作によって、マグネットホルダ31の外側縁31aを、傾斜部41h、41iの内側面43h、43iに接触させることができると共に、接触させた状態で内側面43h、43iに沿って下流側へと案内することができる。
【0062】
マグネットホルダ31が、傾斜部41h、41iから直線部42h、42iに至ったときに、マグネット30が分岐レール4c、4dの直線部42c、42dのマグネット41と上下方向で正対するようにされているため、仕分け体2を直線部42c、42dのマグネット41に沿って案内することができる。
【0063】
そして、無端搬送体1の回転軸A10の位置での回転による、搬送面1Aでの搬送動作から戻り面1Bでの戻り動作へ移行する際に、直線部42c、42dから対応する戻りレール4f、4gに至り、この戻りレール4f、4gに沿って回転軸A20方向へ戻り動作する。
【0064】
すなわち、仕分け体2を支持杆11に取付けるときに、マグネット30がマグネット41と正対する位置となるように並べなくても、分岐レール4c、4dに復帰させることができ、また、搬送動作中に仕分け体2が分岐レール4d、4cによる搬送軌道から左右外側方向に外れても、分岐レール4c、4dに復帰させることができる。
【0065】
戻りレール4f、4gの外側には、戻りレール4f、4gに沿うように戻りガイドレール4j、4kが配置されている。
【0066】
戻りガイドレール4j、4kは、分岐レール4c、4dから戻りレール4f、4gに至った仕分け体2の戻りレール4f、4gに沿う戻り動作をガイドすると共に、仕分け体2の戻り動作時に戻りレール4f、4gによる戻り軌道からのずれを防止して、マグネット30が戻りレール4f、4gのマグネット41と上下方向で正対する位置を保持できるようにすることで、仕分け体2を戻りレール4f、4gから戻りレール4eに確実に移行できるようにガイドするものである。
【0067】
戻りガイドレール4j、4kは、戻りレール4f、4gの傾斜に沿うように傾斜していると共に、傾斜部41j、41kの下流端から回転軸A20至る範囲で、戻りレール4eと平行な直線部42j、42kが連設されている。
【0068】
戻りレール4f、4gと戻りガイドレール4j、4kの傾斜部41j、41k及び直線部42j、42kとの間隔は、仕分け体2が戻りレール4f、4gによる戻り軌道から外れようとしたとき、マグネットホルダ31の外側縁31aが、戻りガイドレール4j、4kの内側面40j、40kに接触して、これ以上のずれを防止すると共に、マグネット30が、このマグネット30と戻りレール4f、4gのマグネット41との磁力によって、マグネット41に吸い寄せられることにより、このマグネット41と上下方向で正対する位置に戻せるように設定されている。
【0069】
また、戻りレール4f、4gと戻りガイドレール4j、4kの直線部42j、42kとの間隔は、マグネットホルダ31が直線部42j、42kに至ったときに、マグネット30が、このマグネット30と戻りレール4eのマグネット41との磁力によってマグネット41に吸い寄せられることにより、このマグネット41と上下方向で正対するように設定されている。
【0070】
このような戻りガイドレール4j、4kによると、仕分け体2が分岐レール4d、4cから戻りレール4g、4fに移行する仕分け体2を、戻りレール4g、4fに沿わせて案内して移動させることができると共に、戻りレール4g、4fから戻りレール4eに確実に移行させることができる。
【0071】
搬送面1Aで搬送動作する仕分け体2は、分岐レール4bによる搬送軌道から左右に外れて、分岐レール4bと分岐レール4d、4cとの間に位置することもあり、この場合、仕分け体2が搬送軌道から外れた位置のまま、搬送面1Aから戻り面1Bへ至るため、戻り面1Bでの仕分け体2は、戻りレール4g、4fによる戻り軌道から外れた状態、すなわち、戻りレール4eと戻りレール4g、4fとの間に位置した状態で、戻りレール4eと平行に戻り動作することになる。
【0072】
戻り軌道から外れた状態での仕分け体2の戻り動作中においては、マグネット30が先細り状に配置された戻りレール4g、4fのマグネット41に対して徐々に近づき、マグネット41に近づくと、マグネット30が、このマグネット30とマグネット41との磁力によってマグネット41に吸い寄せらることにより、このマグネット41と上下方向で正対すると共に、正対した状態が保持されるため、仕分け体2を戻り軌道に沿わせて戻り動作させることができる。
【0073】
したがって、搬送面1Aで搬送動作する仕分け体2が、分岐レール4bによる搬送軌道から左右に外れていても、戻り面1Bにおいて、仕分け体2を戻りレール4g、4fに沿わせることができるので、仕分け体2を確実に戻り動作させることができると共に、戻りレール4g、4fから戻りレール4eに確実に移行させることができる。
【0074】
以上の構成とする仕分けコンベヤAは、仕分け装置3によって、仕分け体2を搬送面1Aにおいて、初期位置Pから複数の搬送軌道に仕分けることができると共に、仕分けられた仕分け体2を戻り面1Bにおいて、戻り軌道に沿わせて全て初期位置Pに戻せる位置に移動させることができる。
【0075】
また、仕分け体2の搬送動作及び戻り動作において、案内レール4の各レール及び振分け装置5の振分けレール5aに対する上下方向の正対状態を、マグネット30とマグネット41との磁力によって保持していると共に、マグネットホルダ31とマグネット41とを互いに非接触として保持しているため、仕分け体2をスムースに搬送動作及び戻り動作させることができる共に、搬送動作時及び戻り動作時に、マグネットホルダ31とマグネット41との互いの接触摩擦による騒音及び摩耗を防ぐことができる。
【0076】
また、仕分け体2の搬送面1Aでの仕分け動作では、マグネットホルダ31と振分けレール5aとが非接触状態であるため、振り分け動作時での接触による衝撃を無くし、衝撃による故障や作動不良等を確実に防ぐことができると共に、仕分け体2をスムースに仕分けることができる。
【0077】
したがって、搬送物の仕分け搬送を確実、且つスムースに行えると共に、故障等の不具合及び騒音を防止できる仕分けコンベヤAを提供できる。
【0078】
図9は、本発明に係る第2実施形態の仕分けコンベヤA’を示しており、この仕分けコンベヤA’は、基本的に、仕分けコンベヤAと同じ構成を有していて、さらに、この仕分けコンベヤAにおける案内レール4の分岐レール4b~4d及び戻りレール4e~4g並びに振分けレール5aの全域にわたる両側部420,421に、隙間保持部材7を設けた構成のものである。
【0079】
隙間保持部材7は、分岐レール4b~4d及び戻りレール4e~4g並びに振分けレール5aの両側部420,421に夫々配置される保持板71を備えており、保持板71の保持面部710がホルダ31の対向面部310と対面するようにされている。
【0080】
保持板71は、保持面部710がマグネット41の端部410よりもホルダ31の対向面部310側に突出する位置に固定されており、マグネット30とマグネット41との磁力によって、マグネット41に吸い寄せられるホルダ31の対向面部310を保持板71の保持面部710に接触させることで、隙間Sを保持するようにされている。
【0081】
また、保持板71は、ホルダ31と同じように摩擦係数が低い合成樹脂材から板状に形成されたものであり、ホルダ31の対向面部310が保持板71の保持面部710に接触した状態での仕分け体2の搬送動作及び戻り動作に対して、接触摩擦力を低減できるようにされている。
【0082】
このような仕分けコンベヤA’によると、仕分けコンベヤAと同じ作用効果を奏し、さらに、隙間保持部材Aの保持板71に、磁力によって吸い寄せられるホルダ31を接触させることで隙間Sを保持しているので、マグネット41の端部410に対するホルダ31の対向面部310の接触を防ぐことができ、これにより、仕分け体2の搬送動作時及び戻り動作時における騒音及びホルダ31の対向面部310の摩耗を防ぐことができる。
【0083】
また、保持板71が摩擦係数が低い合成樹脂材から形成することで、仕分け体2の搬送動作及び戻り動作中の、ホルダ31の対向面部310と保持板71の保持面部710との接触摩擦力を低減しているので、仕分け体2をスムースに搬送動作及び戻り動作させることができる共に、搬送動作時及び戻り動作時に、ホルダ31の対向面部310と保持板71の保持面部710との互いの接触摩擦による騒音及び摩耗を低減することができる。
【0084】
図10および図11は、本発明に係る第3実施形態の仕分けコンベヤA’’を示しており、この仕分けコンベヤA’’は、基本的に、仕分けコンベヤAと同じ構成を有していて、さらに、この仕分けコンベヤAにおける案内レール4の分岐レール4cおよび分岐レール4dの全域にわたる側部420に、マグネット8を取付けた構成のものである。
【0085】
マグネット8は、フェライトマグネットであり、図11に示すように、分岐レール4cおよび分岐レール4dにおける分岐レール4b側の側部420に取付けられており、マグネット8の側部420側の対面部80がマグネット30と反発し合うように配置されている。
【0086】
すなわち、マグネット41の端部410とホルダ31側のマグネット30とが吸引し合う一方、マグネット8の対面部80とマグネット30とが反発し合うようにしている。
【0087】
以下、このような取付け構成のマグネット8による作用を図11に基づいて説明するが、分岐レール4cおよび分岐レール4dともに、同じ構成でマグネット8が取付けられているので、分岐レール4d側のみを図示して説明し、分岐レール4c側の説明は省略する。
【0088】
基本的に、搬送動作する仕分け体2には、直進しようとする力が作用しているが、この直進力に抗してマグネット41とマグネット30との間に作用する吸引力Kにより、仕分け体2を分岐レール4d上に引き寄せて保持することで、仕分け体2を分岐レール4dの傾斜に沿って搬送動作させるようにしている。
【0089】
吸引力Kによって、仕分け体2を分岐レール4d上に保持しているとき、マグネット8とマグネット30との間に反発力Hが作用しており、この反発力Hが仕分け体2を分岐レール4d側に移動させる力として作用する。
【0090】
すなわち、吸引力Kによる仕分け体2を分岐レール4d上に引き寄せて保持する力に加えて、マグネット8とマグネット30との間に作用する反発力Hが、搬送動作する仕分け体2の直進力に抗して、仕分け体2を分岐レール4d側に移動させる力として作用させることができるため、搬送動作する仕分け体2を分岐レール4d上に引き寄せて保持する機能をより確実なものとすることができる。
【0091】
したがって、搬送動作する仕分け体2を分岐レール4d上に引き寄せて保持する機能をより確実なものとすることができるので、仕分け体2の分岐レール4dに沿う搬送動作をより確実に行うことができる。
【0092】
マグネット8は、図11に示すように、マグネット8のホルダ31側の端部81とマグネット30との間で反発力H(2点鎖線で示す)が作用するようにしてもよく、この構成によっても、搬送動作する仕分け体2を分岐レール4d上に引き寄せて保持する機能をより確実なものとすることができるので、仕分け体2の分岐レール4dに沿う搬送動作をより確実に行うことができる。
【0093】
スライド支持部2Aは、例示した形態に限らず、例えば、柔軟性を有する合成樹脂材からなるベルトコンベヤの外周の全周にわたり、長手方向(案内方向)を左右方向に沿わせて案内凸部を設け、この案内凸部に対して上下方向で嵌合して、案内凸部の長手方向に沿ってスライドする嵌合凹部を有した嵌合体を仕分け体2に設けた形態としてもよい(図示せず)。
【0094】
このスライド支持部2Aによっても、マグネット30の磁力がベルトコンベヤを通過して案内レール部4に作用するため、案内レール部4に沿って仕分けられる仕分け体2の搬送動作及び仕分け体2を初期位置Pに戻すための戻り動作を行うことができる。
【0095】
仕分けコンベヤAは、上下逆向きとして配置し、搬送面1Aでの搬送方向を回転軸A10から回転軸A20へ向かう方向とし、搬送面1Aが下向きとなった戻り面1Bとし、戻り面1Bが上向きとなった搬送面1Aとして設定することもできる(図示せず)。
【0096】
このような仕分けコンベヤAは、搬送面1Aの上流側(回転軸A10側)から3列で搬送される搬送物を搬送面1Aの下流側(回転軸A20側)で1列となるように、仕分け体2を1列に集合させることができると共に、1列に集合した仕分け体2を、戻り面1Bの上流側(回転軸A20側)で振分け部5によって3本の戻りレール4e~4gに振り分けることができるので、仕分けコンベヤAと同じ構造で、他方向から搬送される同種の搬送物を集合させる機能も有している。
【0097】
尚、仕分けコンベヤAにおける案内レール部4の分岐レール4b~4d及び戻りレール4e~4gの本数は、例示した3本に限らない(図示せず)。
【0098】
また、振分け部5を分岐レール4b~4dの中途にも配置し、分岐レール4b~4dから分岐する分岐レールを配置することで、分岐レール4b~4dから分岐した複数の搬送軌道を規定することができる(図示せず)。
【0099】
また、本実施形態では、仕分け体2側にマグネット30を配し、案内レール部4を構成する各レールにマグネット41を配した形態であるが、本発明では、マグネット30又はマグネット41の一方を磁性体とした形態も含まれる(図示せず)。
【0100】
また、本発明の仕分けコンベヤAは、搬送物を仕分けるだけでなく、搬送物の搬送方向を左右に変更するために用いることもできる。
【0101】
本実施形態では、マグネット30,41,8をフェライトマグネットすることで、仕分け体2の搬送動作中における発熱の高い抑制効果を発揮するようにしている。
尚、フェライトマグネット以外のマグネットを用いてもよい。
【0102】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0103】
また、前述の各実施形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0104】
A:仕分けコンベヤ
A’:仕分けコンベヤ
A’’:仕分けコンベヤ
A1:駆動回転体
A2:従動回転体
1:無端搬送体
1A:搬送面
1B:戻り面
2:仕分け体
2A:スライド支持部
3:仕分け装置
30:マグネット
31:マグネットホルダ
310:対向面部
4:案内レール部
41:マグネット
410:端部
420:側部
421:側部
5a:振分けレール
7:隙間保持部材
710:保持面部
8:マグネット
80:対面部
81:端部
P:初期位置
S:隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11