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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】浮遊式コンベヤユニット
(51)【国際特許分類】
   B65G 21/00 20060101AFI20231127BHJP
【FI】
B65G21/00 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020075457
(22)【出願日】2020-04-21
(65)【公開番号】P2021172462
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-04-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000228707
【氏名又は名称】日本コンベヤ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 隆
(72)【発明者】
【氏名】吉川 勝博
(72)【発明者】
【氏名】駒田 弘明
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 公彦
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-068712(JP,U)
【文献】特開平01-111909(JP,A)
【文献】特開2018-173325(JP,A)
【文献】米国特許第05573363(US,A)
【文献】特開平10-137792(JP,A)
【文献】特開平01-290831(JP,A)
【文献】西独国特許出願公開第02548900(DE,A1)
【文献】実開平04-051420(JP,U)
【文献】特開平03-182411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤ後端(1)とコンベヤ先端(2)とを結ぶ搬送方向を有する第1コンベヤ装置(A)と、
コンベヤ一端(3)とコンベヤ他端(4)とを結ぶ搬送方向を有する第2コンベヤ装置(B)と、
前記第1コンベヤ装置(A)及び前記第2コンベヤ装置(B)の一方から他方へ又は他方から一方へと積み替える搬送物を案内するガイド部(41)を備えた積み替え手段(40)と、
を備え、
前記第2コンベヤ装置(B)は、前記コンベヤ一端(3)から前記コンベヤ他端(4)までのコンベヤ全長が水上に浮かぶフロート(20)によって支持され、前記フロート(20)が水上で移動することで前記第1コンベヤ装置(A)に対する相対位置が調整可能であり、
前記積み替え手段(40)は、前記相対位置に応じて前記搬送物を案内できるよう前記ガイド部(41)の向きが可変であり、前記相対位置の調整によって、前記第2コンベヤ装置(B)の前記積み替え手段(40)に臨む位置は前記第2コンベヤ装置(B)の搬送方向に沿って可変である浮遊式コンベヤユニット。
【請求項2】
前記相対位置の調整によって、前記第2コンベヤ装置(B)の搬送方向と前記第1コンベヤ装置(A)の搬送方向との成す角度が可変である請求項に記載の浮遊式コンベヤユニット。
【請求項3】
前記第2コンベヤ装置(B)は、前記コンベヤ一端(3)側から前記コンベヤ他端(4)側への順方向の搬送と、前記コンベヤ他端(4)側から前記コンベヤ一端(3)側への逆方向の搬送とが切り替え可能である請求項1又は2に記載の浮遊式コンベヤユニット。
【請求項4】
前記第1コンベヤ装置(A)及び前記第2コンベヤ装置(B)又はそのいずれかは、
前記フロート(20)から立ち上がる支持フレーム(30)と、
前記支持フレーム(30)に取り付けられたプーリ(16,17)と、
前記プーリ(16,17)に掛け渡された無端状のコンベヤベルト(11)と、
前記支持フレーム(30)に取り付けられ前記コンベヤベルト(11)の下面を保持するローラ(12,14)と、
並列方向に隣り合う前記フロート(20)同士を連結する連結材(24)と、
前記コンベヤベルト(11)の張力を調整するストレージ部(50)と、
を備えるベルトコンベヤである請求項1からのいずれか一つに記載の浮遊式コンベヤユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水上に浮かべて設置するコンベヤ装置を用いた浮遊式コンベヤユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
土砂や砕石、その他搬送物を移送する手段として、コンベヤ装置が用いられる。コンベヤ装置として、例えば、無端状のベルトを用いたベルトコンベヤがある。
【0003】
ベルトコンベヤは、駆動側のプーリと従動側のプーリとの間に無端状の帯状ベルトを巻回し、駆動側のプーリの回転によりベルトが移動して、そのベルト上の搬送物が運搬されるようになっている。駆動側のプーリ、従動側のプーリ、及び、中間部でベルトを案内するローラは、搬送物を移送する始終点間の地盤上に設置されたフレームに支持されている。
【0004】
また、水上に設置されるコンベヤ装置もある。例えば、特許文献1には、水上に浮かぶ複数のフロート上に支持フレームを立ち上げ、その支持フレームに多数のローラを設けて、そのローラで無端状のコンベヤベルトをガイドする浮遊式のコンベヤ装置が開示されている。また、例えば、特許文献2には、支持フレームを載せた複数のフロートが、チェーンによって連結された技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開平5-14013号公報(第2頁第1図、第4図等参照)
【文献】特開平3-182411号公報(第5頁第5図参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1,2に記載された浮遊式のコンベヤ装置では、一旦所定の長さのコンベヤ装置を水上に構築した後に作業場所の移動が生じた際、コンベヤの先端部の位置を変更することが困難である。
【0007】
例えば、湖沼や海洋での浚渫や埋め立てに際して、土砂を運搬するために浮遊式のコンベヤ装置を利用する場面を想定する。このような場面では、土砂を採取あるいは土砂を取り下ろす作業場所近くに、コンベヤ装置の先端部(沖合側の端部)が位置することが望ましい。しかし、作業の進捗とともに作業場所は刻々と変化する。このため、従来の浮遊式コンベヤ装置では、このような作業場所の変化に対して迅速に対応できない。
【0008】
そこで、この発明の課題は、水上に設置されるコンベヤの先端部の位置を容易に変更できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、この発明は、コンベヤ後端とコンベヤ先端とを結ぶ搬送方向を有する第1コンベヤ装置と、コンベヤ一端とコンベヤ他端とを結ぶ搬送方向を有する第2コンベヤ装置と、前記第1コンベヤ装置及び前記第2コンベヤ装置の一方から他方へ又は他方から一方へと積み替える搬送物を案内するガイド部を備えた積み替え手段と、を備え、前記第2コンベヤ装置は、前記コンベヤ一端から前記コンベヤ他端までのコンベヤ全長が水上に浮かぶフロートによって支持され、前記フロートが水上で移動することで前記第1コンベヤ装置に対する相対位置が調整可能であり、前記積み替え手段は、前記相対位置に応じて前記搬送物を案内できるよう前記ガイド部の向きが可変である浮遊式コンベヤユニットを採用した。
【0010】
ここで、前記相対位置の調整によって、前記第2コンベヤ装置の前記積み替え手段に臨む位置は前記第2コンベヤ装置の搬送方向に沿って可変である構成を採用することができる。
【0011】
また、前記相対位置の調整によって、前記第2コンベヤ装置の搬送方向と前記第1コンベヤ装置の搬送方向との成す角度が可変である構成を採用することができる。
【0012】
これらの各態様において、前記第2コンベヤ装置は、前記コンベヤ一端側から前記コンベヤ他端側への順方向の搬送と、前記コンベヤ他端側から前記コンベヤ一端側への逆方向の搬送とが切り替え可能である構成を採用することができる。
【0013】
これらの各態様において、前記第1コンベヤ装置及び前記第2コンベヤ装置又はそのいずれかは、前記フロートから立ち上がる支持フレームと、前記支持フレームに取り付けられたプーリと、前記プーリに掛け渡された無端状のコンベヤベルトと、前記支持フレームに取り付けられ前記コンベヤベルトの下面を保持するローラと、並列方向に隣り合う前記フロート同士を連結する連結材と、前記コンベヤベルトの張力を調整するストレージ部と、を備えるベルトコンベヤである構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明は、水上に設置されるコンベヤの先端部の位置を容易に変更できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の一実施形態を示す浮遊式コンベヤ装置の平面図
図2図1のII-II縦断面図
図3図1のIII-III縦断面図
図4図2のIV-IV断面図
図5図2のV-V断面図
図6図5の右側面図
図7】同実施形態の要部拡大斜視図
図8】同実施形態の使用状態を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。この実施形態の浮遊式コンベヤユニット5は、海や湖沼に土砂等を投入する埋め立て工事に際して、その土砂を埋め立て地点に運搬するために用いられる浮遊式コンベヤユニット5である。
【0017】
浮遊式コンベヤユニット5の構成は、図1図3に示すように、陸地Gに近い側に配置されるコンベヤ後端1と、陸地Gから遠い側に配置されるコンベヤ先端2とを結ぶ搬送方向を有する第1コンベヤ装置Aと、コンベヤ一端3とコンベヤ他端4とを結ぶ搬送方向を有する第2コンベヤ装置Bとを備えている。第2コンベヤ装置Bは、コンベヤ一端3からコンベヤ他端4までのコンベヤ全長が水面L上に位置している。また、この実施形態では、第1コンベヤ装置Aは、コンベヤ後端1からコンベヤ先端2までのコンベヤ全長が水面L上に位置しているが、少なくともコンベヤ先端2が陸地G側から沖合側へ突出した位置にあればよい。
【0018】
また、浮遊式コンベヤユニット5は、第1コンベヤ装置A及び第2コンベヤ装置Bの一方から他方へ、又は、他方から一方へと積み替える積み替え手段40を備えている。積み替え手段40を図4に示す。この実施形態では、埋め立てに必要な土砂を陸地G側から水上Lの沖合側へ搬送するために、積み替え手段40は搬送物を第1コンベヤ装置Aから第2コベヤ装置Bへと積み替えている。
【0019】
第1コンベヤ装置Aの陸地G側のコンベヤ後端1には、補助コンベヤ60が配置されている。陸地G側から搬入された搬送物は補助コンベヤ60の後端に載せられ、その補助コンベヤ60で第1コンベヤ装置A側へ搬送される。搬送物は、補助コンベヤ60の先端の反転部で、第1コンベヤ装置Aのコンベヤ後端1に落下する。この実施形態では、補助コンベヤ60は陸地Gと水上Lに跨って配置されているが、第1コンベヤ装置Aのコンベヤ後端1が陸地Gにある場合は、補助コンベヤ60はその全長が陸地Gに配置される。
【0020】
第1コンベヤ装置A及び第2コンベヤ装置Bの構成は、それぞれ、水上に浮かぶ複数のフロート20と、それぞれのフロート20から立ち上がる支持フレーム30、支持フレーム30によって支持されるコンベヤ装置10とで構成されている。フロート20が水上で移動することで、第1コンベヤ装置A及び第2コンベヤ装置Bはそれぞれ水上での移動が可能である。
【0021】
フロート20は、図5図7に示すように、水に浮かぶ浮力を発生させるフロート部材22がフロートフレーム21によって保持されている。フロート部材22は、水よりも小さい比重を有する部材(例えば、発泡樹脂材や内部に気体が密封された袋状部材等)を主たる構成品としている。この実施形態では、フロート部材22は長手状部材で構成され、複数本(実施形態では図5に示すように4本)の長手状部材がフロートフレーム21によって保持されている。フロートフレーム21は、フロート部材22の下面側に配置される下部フレーム21aと、フロート部材22の上面側に配置される上部フレーム21bと、下部フレーム21aと上部フレーム21bとを上下方向に結ぶ縦フレーム21c、及び、下部フレーム21aと上部フレーム21bとを斜め方向に結ぶ筋交い21dとを備えている。フロート部材22は、上部フレーム21bと下部フレーム21aと縦フレーム21cとに挟まれて保持されている。縦フレーム21c同士は、図7に示すように、連結フレーム21eによって接続されている。
【0022】
なお、フロート部材22の断面形状は、この実施形態のように円形断面としてもよいし、多角形形状等の他の形状の断面としてもよい。また、フロート部材22は、長手状以外の形状からなる部材であってもよく、例えば、板状の部材やブロック状の部材で構成されていてもよい。フロートフレーム21は、フロート部材22を保持できる形状であればよい。
【0023】
複数のフロート20は、設置されるコンベヤの搬送方向に沿って1列に並列して配置されている。以下、コンベヤの搬送方向に沿ってフロート20が並列する方向を単に「並列方向」と称し、その並列方向に直交する方向を「幅方向」と称する。並列方向に隣り合うフロート20同士は、連結材24によって連結されている。この実施形態では、連結材24として鎖を採用し、その鎖がフロート20の長手方向端部に設けた係止部23の穴に係止されている。フロート20は、支持フレーム30によって支持されるコンベヤ装置10を支えつつ、水面上に浮かぶことができる浮力を有している。フロート部材22は、その長手方向がフロート20の並列方向に沿うように配置されている。この実施形態では、1つのフロート20に対して、4本のフロート部材22を並列して配置している。係止部23は、フロートフレーム21に設けてもよい。
【0024】
支持フレーム30は、フロート20から立ち上がる支柱材31を複数本備えている。支柱材31は、フロート20に対して並列方向に複数本(実施形態では図7に示すように4本)、幅方向に複数本(実施形態では同じく2本)設けられている。幅方向に隣り合う支柱材31同士は、上下の梁材32,33で連結されている。また、並列方向に隣り合う支柱材31同士は、連結材34によって連結されている。
【0025】
第1コンベヤ装置A及び第2コンベヤ装置Bにおけるコンベヤ装置10の構成は、図2及び図3に示すように、それぞれの図中右側に位置するプーリ(ヘッドプーリ)16と、図中左側に位置するプーリ(テールプーリ)17とを備えている。ヘッドプーリ16とテールプーリ17との間には、無端状のコンベヤベルト11が掛け渡されている。コンベヤベルト11には、所定幅を有する帯状のゴム素材が用いられ、その内部には繊維や金属等からなる補強部材が埋め込まれて、所定の可撓性と搬送物の荷重に耐え得る所定の強度が確保されている。
【0026】
ヘッドプーリ16には、図示しない駆動用モータ等から駆動力が入力されるようになっている。駆動力によってヘッドプーリ16が回転すると、上面側に位置する搬送側11aのコンベヤベルト11が下面側に位置するリターン側11bへと送り出されて、無端状のコンベヤベルト11が走行する(搬送側11a、リターン側11bについては、図6図7等参照)。このとき、テールプーリ17は、コンベヤベルト11の走行に伴って従動して回転し、コンベヤベルト11をリターン側11bから搬送側11aへと案内する。また、ヘッドプーリ16及びテールプーリ17との間において、搬送側11aには、コンベヤベルト11を下面側から保持するキャリヤローラ12が、コンベヤベルト11の長手方向に沿って複数配置されている。リターン側11bには、コンベヤベルト11を同じく下面側から保持するリターンローラ14が、コンベヤベルト11の長手方向に沿って複数配置されている。また、コンベヤベルト11の搬送側11aは、その上方がカバー15で覆われている。ヘッドプーリ16及びテールプーリ17等のプーリ類、キャリヤローラ12及びリターンローラ14等のローラ類は、支持フレーム30に取り付けられている。プーリ類及びローラ類は、それぞれ支持フレーム30に着脱自在である。
【0027】
ヘッドプーリ16を備えたヘッド部と、テールプーリ17を備えたテール部との間には、多段ローラを備えたストレージ部50が配置されている。ストレージ部50は、ヘッド部とテール部との間のいずれかの場所にあればよい。ストレージ部50は、図2及び図3に示すように、コンベヤベルト11の長手方向に沿って対向する対のローラ51,52が多段に配置されており、この多段のローラ51,52にコンベヤベルト11が掛け回されている。フロート20の連結数を増加させてヘッドプーリ16とテールプーリ17との距離を遠ざける際には、対向するローラ51,52同士を接近させるとコンベヤベルト11に余長が生じるので、コンベヤベルト11の張力を適切な範囲に保つことができる。また、フロート20の連結数を減少させてヘッドプーリ16とテールプーリ17との距離を近づける際には、対向するローラ51,52同士を離反させるとコンベヤベルト11に弛みを生じさせず、同じく張力を適切な範囲に保つことができる。すなわち、ストレージ部50は、フロート20の連結数を増減した際にコンベヤベルト11の張力を調整する機能を有している。ストレージ部50としては、この実施形態の構成以外にも、周知の構成を採用できる。
【0028】
これらの構成により、第1コンベヤ装置Aにおけるコンベヤ装置10は、搬送物をコンベヤ後端1側からコンベヤ先端2側に向かって搬送する。また、第2コンベヤ装置Bにおけるコンベヤ装置10は、搬送物をコンベヤ一端3側からコンベヤ他端4側へ向かって搬送する。なお、第2コンベヤ装置Bについては、駆動源の回転方向の切り替えにより搬送方向を逆転させて、搬送物をコンベヤ他端4側からコンベヤ一端3側へ向かって搬送することもできる。ここで、ヘッドプーリ16側に設けられる駆動源とは別に、テールプーリ17側に逆方向への搬送時に用いる駆動源を備えてもよい。
【0029】
積み替え手段40は、図1及び図4に示すように、第1コンベヤ装置Aから第2コベヤ装置Bへの搬送物の積み替えを行うガイド部41を備えたものである。ガイド部41は、図4に示すように、第1コンベヤ装置Aのコンベヤ先端2と、第2コンベヤ装置Bとを結ぶベルトコンベヤで構成されている。ベルトコンベヤからなるガイド部41は、フロート20上に設置された基部42から立ち上がる可動フレーム43によって支持され、第1コンベヤ装置A側から第2コンベヤ装置B側へ向かって上り勾配となっている。この勾配の角度は互いの高さに応じて調整することができ、第1コンベヤ装置A側から第2コンベヤ装置B側へ向かって下り勾配にも設定できるし、水平状態にも設定することができる。
【0030】
基部42は、フロート20に対して鉛直方向に設けられた回転軸42aの軸周りに回転自在である。可動フレーム43は、ガイド部41とともに基部42から水上Lに向かって横方向に突出している。基部42の回転に伴って、可動フレーム43及びガイド部41は、その突出方向の向きが変化するようになっている。なお、基部42の回転は、モータ等の駆動力によって行われるようになっているが、これの回転の動作を、人力等により基部42等を回転方向へ押したり引いたりして行うようにしてもよい。
【0031】
積み替え手段40の基部42を支持するフロート20は、第1コンベヤ装置Aのコンベヤ先端2を支えるフロート20を共用している。また、基部42と第2コンベヤ装置B側のフロート20、又は、基部42と第2コンベヤ装置B側の支持フレーム30とは、接続装置44で互いに接続できるようになっている。接続装置44として、例えば、互いの部材の適宜の位置に設けた係止部に係止することができる、鎖やワイヤ、連結棒、その他部材を採用することができる。
【0032】
また、第2コンベヤ装置Bのコンベヤ一端3とコンベヤ他端4には、それぞれ取り卸し装置70が配置されている。取り卸し装置70は、コンベヤベルト11の反転部において落下する搬送物を、所望する位置や方向へ案内するシュートで構成されている。
【0033】
前述のように、土砂を取り下ろす作業場所は、埋め立ての作業の進捗とともに刻々と変化する。また、埋め立ての際の土砂の取り卸しは、一か所に対して一度に大量の土砂を投入するのではなく、一度の作業で行う盛り土の高さは予め規定されている。このため、その規定の厚さの限られた量の盛り土を、同じ箇所に対して何回かに分けて行うのが一般的である。このような作業形態に対応するため、この発明の浮遊式コンベヤユニット5では、その作業場所となるコンベヤの先端部の取り卸し装置70の位置を、作業の進捗とともに随時移動させながら使用できるようになっている。以下、その取り卸し装置70の位置の調整方法を説明する。
【0034】
まず、第1コンベヤ装置Aに載せられた搬送物は、コンベヤ後端1のテールプーリ17側からコンベヤ先端2のヘッドプーリ16側へ搬送され、コンベヤベルト11が搬送側11aからリターン側11bへと180度向きを変える反転部において、積み替え手段40へ落下する。積み替え手段40に落下した搬送物は、第2コンベヤ装置Bのコンベヤベルト11上に載せられる。ここで、第2コンベヤ装置Bは、図8に実線で示すように、水上Lにおいて土砂を取り下ろす作業場所近くに、コンベヤ一端3又はコンベヤ他端4のいずれかが位置するように設定されている。ここでは、コンベヤベルト11の移動方向は順方向であり、図8に示すコンベヤ他端4側の取り卸し装置70の位置が作業場所であると仮定する。
【0035】
この位置での土砂の取り卸しが終わると、第1コンベヤ装置Aに対する第2コンベヤ装置Bの相対位置を移動させる。この移動は、第2コンベヤ装置Bをその搬送方向に沿って移動させる平行移動と、第2コンベヤ装置Bを基部42周りの円周方向に沿って移動させる回転移動とが可能である。
【0036】
平行移動の場合、図8に矢印Vで示すように、第2コンベヤ装置Bがフロート20とともに水面L上を移動するので、コンベヤ他端4の取り卸し装置70の位置も移動する。平行移動の移動量は無段階で調整可能であり、第2コンベヤ装置Bを任意の位置で停止できる。これにより、土砂の取り卸し位置を変更することができる。
【0037】
このとき、第2コンベヤ装置Bの積み替え手段40に臨む位置は、その第2コンベヤ装置Bの搬送方向に沿って可変である。すなわち、第2コンベヤ装置Bが矢印Vの方向へ移動するので、その間、不動の状態である積み替え手段40の基部42と、移動している状態である第2コンベヤ装置Bとは、第2コンベヤ装置Bの搬送方向に沿って相対移動することとなる。このとき、積み替え手段40のガイド部41の先端は、常に第2コンベヤ装置Bのコンベヤベルト11上に位置しているので、搬送物の積み替えは常時可能である。
【0038】
また、第2コンベヤ装置Bは、コンベヤ一端3側からコンベヤ他端4側への順方向の搬送と、コンベヤ他端4側からコンベヤ一端3側への逆方向へ搬送とが切り替え可能であるので、コンベヤ他端4の取り卸し装置70での土砂の取り卸しを終えた後、コンベヤベルト11の動きを順方向から逆方向へ切り替えれば、コンベヤ一端3の取り卸し装置70での土砂の取り卸しが可能である。
【0039】
回転移動の場合、図8に矢印Rや矢印Tで示すように、第2コンベヤ装置Bがフロート20とともに水面L上を移動するので、コンベヤ他端4の取り卸し装置70の位置も、基部42周りの円周方向に沿って移動する。回転角度は無段階で調整可能であり、第2コンベヤ装置Bを任意の回転角度の位置で停止できる。すなわち、この回転運動により、第2コンベヤ装置Bの搬送方向と第1コンベヤ装置Aの搬送方向との成す角度が可変である。図8では、実線の位置から90度毎に回転移動した第2コンベヤ装置Bの位置をそれぞれ鎖線で示し、移動後のコンベヤ一端3およびコンベヤ他端4の位置をそれぞれ符号3’,3”、4’,4”に示している。これにより、コンベヤ他端4の取り卸し装置70土砂の取り卸し位置を変更することができる。
【0040】
このとき、積み替え手段40は、第2コンベヤ装置Bの回転移動とともに、回転軸42aの軸周りに回転する。すなわち、第2コンベヤ装置Bが矢印Rの方向へ回転移動すれば、積み替え手段40は矢印Sの方向へ回転し、第2コンベヤ装置Bが矢印Tの方向へ回転移動すれば、積み替え手段40は矢印Uの方向へ回転する。これにより、積み替え手段40のガイド部41の先端は、常に第2コンベヤ装置Bのコンベヤベルト11上に位置しているので、搬送物の積み替えは常時可能である。すなわち、積み替え手段40は、第2コンベヤ装置Bの回転移動による相対位置の変化に応じて、常に搬送物を案内できるようガイド部41の向きが可変である。
【0041】
また、第2コンベヤ装置Bは、それぞれの位置で、コンベヤ他端4の取り卸し装置70での土砂の取り卸しを終えた後、コンベヤベルト11の動きを順方向から逆方向へ切り替えれば、コンベヤ一端3の取り卸し装置70での土砂の取り卸しが可能である。さらに、第2コンベヤ装置Bは、例えば、矢印W,Xに示すように、回転移動後のそれぞれの位置で、第2コンベヤ装置Bをその搬送方向に沿って平行移動させることもできる。なお、第1コンベヤ装置A及び第2コンベヤ装置Bは、図中に示すように通常は直線状に配置されるが、フロート20の位置によってやや湾曲して、あるいは、一部がやや屈曲して配置されていてもよい。
【0042】
さらに、第1コンベヤ装置Aを移動させることも可能である。例えば、図8では、第1コンベヤ装置Aのコンベヤ後端1とコンベヤ先端2とを結ぶ搬送方向が、陸地Gの岸壁の伸びる方向に対して垂直方向となっているが、その岸壁の方向と第1コンベヤ装置Aの搬送方向との成す角度は90度には限定されず、例えば、岸壁の方向に対して45度、60度とする等、任意の方向に調整することができる。このような第1コンベヤ装置Aの移動を行う場合、第1コンベヤ装置Aは、その全長がフロート20によって水面Lに浮遊しているか、あるいは、少なくともコンベヤ先端2側の所定の長さの部分がフロート20によって水面Lに浮遊していることが望ましい。また、第1コンベヤ装置Aのコンベヤ後端1の位置を、その岸壁の方向に沿って移動させてもよい。このとき、補助コンベヤ60も併せて移動させることとなる。
【0043】
フロート20には、水上での位置が移動しないように固定する移動防止手段が付加される。移動防止手段としては、例えば、フロート20から水底に降ろす錨や、フロート20と岸とを結ぶ鎖やワイヤ等の係留装置がある。第1コンベヤ装置Aや第2コンベヤ装置Bを移動させる際には、移動防止手段によるフロート20の固定を一時的に解除して、フロート20を所望の位置に移動した後、再度固定することができる。ただし、第1コンベヤ装置Aと第2コンベヤ装置Bとを相対移動させながら土砂の取り卸しを継続するような作業形態の場合は、実際に移動している第1コンベヤ装置A又は第2コンベヤ装置B、あるいはその両方の移動防止手段による固定は省略できる。
【0044】
また、接続装置44は、基部42に対する第2コンベヤ装置Bの回転移動中は接続したままの状態でよいが、第2コンベヤ装置Bの平行移動中は一旦接続を解除することが望ましい。ただし、接続装置44として、第2コンベヤ装置B側にその搬送方向に沿ってスライドレールを配置し、基部42側にそのスライドレールに係合する係合子を設けることで、第2コンベヤ装置Bの平行移動中も、常にスライドレールと係合子が係合することで、基部42と第2コンベヤ装置Bとを接続状態にすることができる。
【0045】
また、第1コンベヤ装置Aや第2コンベヤ装置Bは、ストレージ部50を備えているので、それぞれが備えるコンベヤ装置10のフロート20の連結数を増減することにより、その全長を調整することもできる。これにより、水面L上のさらに広いエリアを作業範囲とすることが可能である。
【0046】
上記の実施形態では、第1コンベヤ装置Aは、少なくともコンベヤ先端2がフロート20によって水面L上に浮遊する構成としたが、コンベヤ先端2は、水底から立ち上がる基礎に支持されあるいは、周囲を水面Lで囲われた島又は陸地G側から突出する突堤等の先端に固定されていてもよい。
【0047】
上記の実施形態では、積み替え手段40のガイド部41をベルトコンベヤで構成したが、第1コンベヤ装置Aと第2コンベヤ装置Bとの間で落差がある場合は、ガイド部41として例えば、シュートや板状の案内部材等を採用してもよい。
【0048】
また、上記の実施形態では、海や湖沼の土砂による埋め立てに際して、その土砂を運搬するための形態を想定したが、ダム湖や河川等の水底を浚って土砂等を取り去る浚渫工事に際して、水底から引き上げられた土砂を運搬する際にも、この発明の浮遊式コンベヤユニット5を採用できる。この場合、積み替え手段40は、第2コベヤ装置Bから第1コンベヤ装置Aへの搬送物の積み替えを行う構成となる。
【符号の説明】
【0049】
1 コンベヤ後端
2 コンベヤ先端
3 コンベヤ一端
4 コンベヤ他端
5 浮遊式コンベヤユニット
10 コンベヤ装置
11 コンベヤベルト
12 ローラ(キャリヤローラ)
14 ローラ(リターンローラ)
16 プーリ(ヘッドプーリ)
17 プーリ(テールプーリ)
20 フロート
30 支持フレーム
40 積み替え手段
41 ガイド部
42 基部
43 可動フレーム
50 ストレージ部
60 補助コンベヤ
70 取り卸し装置
A 第1コンベヤ装置
B 第2コンベヤ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8