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  • 特許-ペダル駆動機構 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】ペダル駆動機構
(51)【国際特許分類】
   G05G 1/36 20080401AFI20231127BHJP
   G05G 1/30 20080401ALI20231127BHJP
   B60K 26/02 20060101ALI20231127BHJP
   B60T 7/04 20060101ALN20231127BHJP
【FI】
G05G1/36
G05G1/30 E
B60K26/02
B60T7/04 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020081223
(22)【出願日】2020-05-01
(65)【公開番号】P2021176040
(43)【公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】511247884
【氏名又は名称】コーワテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148518
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100134038
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 薫央
(72)【発明者】
【氏名】松田 勝也
(72)【発明者】
【氏名】綿貫 肇
(72)【発明者】
【氏名】小松 智広
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0315452(US,A1)
【文献】特開2017-220117(JP,A)
【文献】特開2017-178044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05G 1/36
G05G 1/30
B60K 26/02
B60T 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキペダルと、前記ブレーキペダルの右方に配置されるアクセルペダルと、を有する車両に取り付けられるペダル駆動装置であって、
第一の位置と、第二の位置と、前記第一の位置と前記第二の位置の間の中立位置との間で移動するシリンダロッドを有し、駆動源からの駆動力により前記第一の位置と前記第二の位置との間で前記シリンダロッドを往復運動させるシリンダと、
前記ブレーキペダルを踏み込む踏込状態と、前記ブレーキペダルを踏み込まない非踏込状態と、を有するブレーキ踏込部と、
前記アクセルペダルを踏み込む踏込状態と、前記アクセルペダルを踏み込まない非踏込状態と、を有するアクセル踏込部と、
前記シリンダロッドと前記ブレーキ踏込部および前記アクセル踏込部とを接続し、前記シリンダロッドが前記中立位置と前記第一の位置との間にある場合前記ブレーキ踏込部を前記踏込状態とし、かつ前記アクセル踏込部を前記非踏込状態とし、前記シリンダロッドが前記中立位置と前記第二の位置との間にある場合前記ブレーキ踏込部を前記非踏込状態とし、かつ前記アクセル踏込部を前記踏込状態とし、前記シリンダロッドが前記中立位置にある場合前記ブレーキ踏込部および前記アクセル踏込部を前記非踏込状態とする連結部と、を備える、ペダル駆動機構。
【請求項2】
スプリングと、前記スプリングの復元力を受けるスプリングロッドと、を有するリターンスプリング機構をさらに備え、
前記連結部は、前記シリンダロッドと前記スプリングロッドとを接続し、
前記シリンダは、前記駆動力の非供給時には前記シリンダロッドを移動可能にし、
前記スプリングロッドは、前記駆動力の供給時には前記復元力に抗して前記シリンダロッドに連動し、前記駆動力の非供給時には前記シリンダロッドを前記第二の位置に移動させる方向の前記復元力を受ける、請求項1記載のペダル駆動機構。
【請求項3】
前記ブレーキペダルおよび前記アクセルペダルの後方に配置され、左右方向に伸びるペダル駆動軸と、
前記ペダル駆動軸を固定状態で内部に貫通し、前記ブレーキ踏込部または前記アクセル踏込部のうち一方の踏込部と連結する第一基部と、
前記ペダル駆動軸を非固定状態で内部に貫通し、前記ブレーキ踏込部または前記アクセル踏込部のうち他方の踏込部と連結する第二基部と、
前記ペダル駆動軸を固定状態で内部に貫通し、前記他方の踏込部に対して前記左右方向に隣接して配置される駆動軸回転部と、をさらに備え、
前記連結部は、
前記駆動軸回転部、前記ペダル駆動軸および前記第一基部を介して前記シリンダロッドと前記一方の踏込部とを接続し、
前記第二基部を介して前記シリンダロッドと前記他方の踏込部とを接続し、
前記駆動軸回転部を前記ペダル駆動軸周りに回転することにより前記一方の踏込部を前記踏込状態にし、
前記第二基部を前記ペダル駆動軸周りに回転することにより前記他方の踏込部を前記踏込状態にする、請求項1または2記載のペダル駆動機構。
【請求項4】
前記連結部は、前記シリンダロッドと前記ブレーキ踏込部および前記アクセル踏込部との接続を解除する解除機構を有し、
前記ブレーキ踏込部および前記アクセル踏込部は、接続が解除された場合ユーザによる踏込操作を受け付ける踏込面をそれぞれ有する、請求項1から3のいずれか一項記載のペダル駆動機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペダル駆動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、自動車無人運転用ブレーキ駆動装置が開示されている。このブレーキ駆動装置は、ブレーキペダルを操作するためのブレーキ用エアシリンダを有している。また、ブレーキ駆動装置は、アクセルペダルを操作するための別途のDCモータを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-004566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のブレーキ駆動装置は、ブレーキペダルおよびアクセルペダルを異なる駆動源で独立して操作するものであった。このため、ブレーキペダルおよびアクセルペダルを簡素な構造で操作する装置が求められていた。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、ブレーキペダルおよびアクセルペダルを簡素な構造で操作できるペダル駆動機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のペダル駆動機構は、上述した課題を解決するために、ブレーキペダルと、前記ブレーキペダルの右方に配置されるアクセルペダルと、を有する車両に取り付けられるペダル駆動装置であって、第一の位置と、第二の位置と、前記第一の位置と前記第二の位置の間の中立位置との間で移動するシリンダロッドを有し、駆動源からの駆動力により前記第一の位置と前記第二の位置との間で前記シリンダロッドを往復運動させるシリンダと、前記ブレーキペダルを踏み込む踏込状態と、前記ブレーキペダルを踏み込まない非踏込状態と、を有するブレーキ踏込部と、前記アクセルペダルを踏み込む踏込状態と、前記アクセルペダルを踏み込まない非踏込状態と、を有するアクセル踏込部と、前記シリンダロッドと前記ブレーキ踏込部および前記アクセル踏込部を接続し、前記シリンダロッドが前記中立位置と前記第一の位置との間にある場合前記ブレーキ踏込部を前記踏込状態とし、かつ前記アクセル踏込部を前記非踏込状態とし、前記シリンダロッドが前記中立位置と前記第二の位置との間にある場合前記ブレーキ踏込部を前記非踏込状態とし、かつ前記アクセル踏込部を前記踏込状態とし、前記シリンダロッドが前記中立位置にある場合前記ブレーキ踏込部および前記アクセル踏込部を前記非踏込状態とする連結部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明のペダル駆動機構は、ブレーキペダルおよびアクセルペダルを簡素な構造で操作できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明のペダル駆動機構の実施形態であるペダル駆動機構を取り付けたダンプトラックの運転席を示す説明図。
図2】ペダル駆動機構を示す斜視図。
図3】ブレーキ踏込部が踏込状態であるペダル駆動機構の俯瞰図。
図4】アクセル踏込部が踏込状態であるペダル駆動機構の俯瞰図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のペダル駆動機構の実施形態を添付図面に基づいて説明する。本発明のペダル駆動機構は、アクセルペダルと、アクセルペダルの左方に配置されるブレーキペダルと、を有する種々の車両に搭載される。車両の一例としては、ダンプトラックなどの車両系建設機械があげられる。
【0010】
図1は、本発明のペダル駆動機構の実施形態であるペダル駆動機構6を取り付けたダンプトラック1の運転席を示す説明図である。
【0011】
図2は、ペダル駆動機構6を示す斜視図である。
【0012】
図3は、ブレーキ踏込部85が踏込状態であるペダル駆動機構6の俯瞰図である。
【0013】
図4は、アクセル踏込部95が踏込状態であるペダル駆動機構6の俯瞰図である。
【0014】
以下の説明においては、「前」、「後」、「右」、「左」、「上」および「下」は、図1から図4における定義に従う。なお、「前」はダンプトラック1の前進方向であり、「後」は後進方向である。
【0015】
ダンプトラック1は、ハンドル2およびペダル(アクセルペダルおよびブレーキペダル、ともに図示せず)を有する建設機械である。ダンプトラック1は、遠隔操縦装置として、エアユニット4、ハンドル操作ユニット5およびペダル駆動機構6を有する。エアユニット4は、エアコンプレッサおよびエアタンクを有する。ハンドル操作ユニット5およびペダル駆動機構6は、ユーザより入力された制御値に基づいて、エアユニット4から供給される圧縮空気で駆動する。また、ダンプトラック1は、自動操縦装置として、制御ユニット7を有する。制御ユニット7は、図示しないセンサより収集された周囲環境に応じて、自動的にハンドル2およびペダルの制御量を演算し、ダンプトラック1を自動操縦する。
【0016】
ハンドル操作ユニット5およびペダル駆動機構6は、運転者が座席8に座ることが可能なように、スペースを確保した状態で設置されている。また、ハンドル操作ユニット5およびペダル駆動機構6は、座席8に座るユーザ(運転者)が操作可能なように、遠隔・自動操縦と手動操縦とを切り換える機構を有する。すなわち、ダンプトラック1は、遠隔操縦、自動操縦および手動操縦の3つの操縦の態様を有する。
【0017】
ペダル駆動機構6は、基台10と、エアシリンダ20と、リターンスプリング機構30と、シリンダ固定具40と、連結ユニット50と、ペダル駆動軸70と、ブレーキ踏込ユニット80と、アクセル踏込ユニット90と、を有する。
【0018】
基台10は、ペダル駆動機構6の基礎を構成する部分である。基台10は、シリンダ固定具40、連結ユニット50、およびペダル駆動軸70を支持する。
【0019】
エアシリンダ20は、エアユニット4から供給される空気圧によりシリンダロッド21を往復運動させる。シリンダロッド21は、引込位置(第一の位置)と、押出位置(第二の位置)と、引込位置および押出位置の間にある中立位置と、の間で移動する。すなわち、エアシリンダ20は、エアユニット4(駆動源)からの圧縮空気(駆動力)が供給されると、引込位置、中立位置、および押出位置との間で移動するよう、シリンダロッド21を往復運動させる。
【0020】
エアシリンダ20は、エアユニット4からの圧縮空気の供給路において、エアバルブ(図示せず)を有する。エアバルブは、エアユニット4へ供給される電源の喪失時(停止時)、すなわちエアユニット4からエアシリンダ20へ圧縮空気が供給されなくなった場合、エアシリンダ20内部の圧縮空気を開放し、シリンダロッド21が軸方向に力を加えられることにより移動可能なニュートラルな状態にする。
【0021】
リターンスプリング機構30は、スプリングと、スプリングロッド32と、を主に有する。スプリングは、カバー31内に収容されており、スプリングロッド32の軸方向に沿って伸縮するスプリングである。スプリングの前端は、スプリングロッド32に固定されている。スプリングの後端は、後支持板36に固定されている。スプリングロッド32は、前支持板34および後支持板36を貫通している。スプリングロッド32は、前端側では連結ユニット50に固定され、後端側では後支持板36に固定されていない。スプリングロッド32は、後支持板36側に移動する方向のスプリングの復元力を受けている。この復元力は、シリンダロッド21が移動可能な場合、スプリングロッド32と連結するシリンダロッド21を引込位置に移動させるよう移動する方向の力である。
【0022】
シリンダ固定具40は、エアシリンダ20およびリターンスプリング機構30を、シリンダロッド21およびスプリングロッド32が略前後方向に伸び、かつシリンダロッド21がスプリングロッド32に対して下方に位置するように固定する。シリンダ固定具40は、エアシリンダ20の後端20a側で、エアシリンダ20を上下方向軸周りに回転可能に保持する。シリンダ固定具40は、リターンスプリング機構30の後支持板36を介して、リターンスプリング機構30を上下方向軸周りに回転可能に保持する。シリンダ固定具40は、前方において基台10に固定され支持される。
【0023】
連結ユニット50(連結部)は、エアシリンダ20およびリターンスプリング機構30(シリンダロッド21)と、ブレーキ踏込部85およびアクセル踏込部95と、を接続する。具体的には、連結ユニット50は、駆動軸回転部82、ペダル駆動軸70およびブレーキ側基部81を介して、シリンダロッド21とブレーキ踏込部85とを接続する。また、連結ユニット50は、アクセル側基部91を介してシリンダロッド21とアクセル踏込部95とを接続する。
【0024】
連結ユニット50は、回転部51と、ブレーキ側アーム65と、アクセル側アーム66と、を有する。
【0025】
回転部51は、シリンダロッド21の往復運動を上下方向軸周りの回転運動に変換する。回転部51は、シリンダ連結部52と、伝達部55と、押出ピン60a、60bと、アーム接続部61a、61bと、を有する。
【0026】
シリンダ連結部52は、本体53と、連結軸54と、を有する。
【0027】
本体53は、縦断面略C字形の後方に開口する部材であり、連結軸54でシリンダロッド21およびスプリングロッド32を連結する。連結軸54は、シリンダロッド21の前端21aおよびスプリングロッド32の前端32aを上下方向軸周りに回転可能に拘束する。これにより、スプリングロッド32はシリンダロッド21に接続される。連結軸54は、シリンダロッド21が中立位置にある場合におけるシリンダ連結部52の左端52a側に配置される。
【0028】
伝達部55は、本体56と、ピン取付穴57と、回転軸58と、支持軸59と、を有する。
【0029】
本体56は、縦断面略C字形の前方に開口する、内部空間56aを有する部材である。本体56は、シリンダロッド21が中立位置にある場合(以下、シリンダロッド21が中立位置にある場合を前提に方向を定義する場合がある。)におけるシリンダ連結部52の左右方向に関し略中心位置に固定される。本体56は、シリンダロッド21が中立位置にある場合を回転軸58周りの回転の基準位置とする。本体56は、シリンダロッド21が引込位置に移動する場合、基準位置から回転軸58周りに反時計回りに回転し、押出位置に移動する場合、基準位置から回転軸58周りに時計回りに回転する。
【0030】
ピン取付穴57は、本体56の左右方向に関し略対称な2箇所に形成される、上下方向に開口する穴である。回転軸58は、本体56の左右方向に関し略中心位置、かつピン取付穴57よりも前方に配置され、本体56の上面から上方に突出した軸である。回転軸58は、基台10に形成される軸穴11に回転可能に支持される。支持軸59は、本体56の左右方向に関し略中心位置、かつ前後方向に関しピン取付穴57および回転軸58の間に配置される。支持軸59は、上下方向を軸方向とし、本体56の内部空間56aに配置される。
【0031】
押出ピン60a、60bは、上下方向に沿う方向を軸方向とする一対のピンであり、ピン取付穴57に任意に挿抜可能である。押出ピン60a、60bは、ブレーキペダルの踏込に作用するブレーキ側押出ピン60a、およびアクセルペダルの踏込に作用するアクセル側押出ピン60bからなる。押出ピン60a、60bを含む連結ユニット50の構造は、シリンダロッド21とブレーキ踏込部85およびアクセル踏込部95との接続を解除する解除機構として機能する。
【0032】
アーム接続部61a、61bは、ブレーキ側接続部61aと、アクセル側接続部61bと、からなる一対の板状部材である。ブレーキ側接続部61aおよびアクセル側接続部61bの一端は、支持軸59に回転可能に支持される。ブレーキ側接続部61aの他端は、内部空間56aから突出しており、ブレーキ側アーム65に接続される。アクセル側接続部61bの他端は、内部空間56aから突出しており、アクセル側アーム66に接続される。各アーム接続部61a、61bは、対応する各押出ピン60a、60bに対して接触または一定の隙間を有して前後方向に対向している。これにより、各アーム接続部61a、61bは、回転部51の回転軸58周りの回転に伴い、前方に移動した各押出ピン60a、60bに押し出され、支持軸59周りに回転する。
【0033】
ブレーキ側アーム65は、ブレーキ側接続部61aとブレーキ側基部81とを接続する。アクセル側アーム66は、アクセル側接続部61bとアクセル側基部91とを接続する。
【0034】
ペダル駆動軸70は、ブレーキペダルおよびアクセルペダルの後方かつ連結ユニット50の前方に配置され、左右方向に伸びる軸である。ペダル駆動軸70は、両端において基台10に固定されている。
【0035】
ブレーキ踏込ユニット80は、ブレーキ側基部81と、駆動軸回転部82と、ブレーキ踏込部85と、を有する。
【0036】
ブレーキ側基部81(第一基部)は、ペダル駆動軸70を固定状態で内部に貫通している。ブレーキ側基部81は、ペダル駆動軸70の左端側に配置される。
【0037】
駆動軸回転部82は、ブレーキ側基部81同様、ペダル駆動軸70を固定状態で内部に貫通し、ペダル駆動軸70の右端側であって、アクセル側基部91に対して右方に配置される。駆動軸回転部82は、軸方向右端側にブレーキ側アーム連結部83を有する。ブレーキ側アーム連結部83は、略上方に向って伸び、上方に位置するブレーキ側アーム65と接続されている。
【0038】
ブレーキ踏込部85(一方の踏込部)は、ブレーキ側基部81と一端において連結し、ブレーキ側基部81の回転により、この連結箇所を起点に回転する。これにより、ブレーキ踏込部85は、ブレーキペダルを踏み込む踏込状態と、ブレーキペダルを踏み込まない非踏込状態と、を有する。ブレーキ踏込部85は、ブレーキ踏込面86と、ブレーキ押出部87と、を有する。ブレーキ踏込面86は、解除機構により接続が解除された場合、座席8に座ったユーザによる踏込操作を受け付ける部分である。ブレーキ押出部87は、ブレーキ踏込面86の踏込操作面とは逆の面であって先端側に配置され、ブレーキ踏込面86の回転に伴いダンプトラック1のブレーキペダルを押し出す。
【0039】
アクセル踏込ユニット90は、アクセル側基部91と、アクセル踏込部95と、を有する。
【0040】
アクセル側基部91(第二基部)は、ペダル駆動軸70を非固定状態で内部に貫通している。アクセル側基部91は、ペダル駆動軸70のブレーキ側基部81と駆動軸回転部82との間に配置される。アクセル側基部91は、軸方向右端側にアクセル側アーム連結部93を有する。アクセル側アーム連結部93は、略上方に向って伸び、上方に位置するアクセル側アーム66と接続されている。
【0041】
アクセル踏込部95(他方の踏込部)は、アクセル側基部91と一端において連結し、アクセル側基部91の回転により、この連結箇所を起点に回転する。これにより、アクセル踏込部95は、アクセルペダルを踏み込む踏込状態と、アクセルペダルを踏み込まない非踏込状態と、を有する。アクセル踏込部95は、アクセル踏込面96と、アクセル押出部97と、を有する。アクセル踏込面96は、解除機構により接続が解除された場合、座席8に座ったユーザによる踏込操作を受け付ける部分である。アクセル押出部97は、アクセル踏込面96の踏込操作面とは逆の面であって先端側に配置され、アクセル踏込面96の回転に伴いダンプトラック1のアクセルペダルを押し出す。
【0042】
このようなペダル駆動機構6においては、ブレーキ踏込部85およびアクセル踏込部95は、ブレーキペダルおよびアクセルペダルに対して前後方向に重なり合う位置であって後方に配置される。また、エアシリンダ20、リターンスプリング機構30、シリンダ固定具40、および連結ユニット50は、ブレーキペダルおよびアクセルペダルに対して左右方向に重なり合わない位置であって右方に配置される。
【0043】
次に、ペダル駆動機構6の動作について説明する。まず、遠隔・自動操縦時におけるペダル駆動機構6の動作について説明する。
【0044】
ペダル駆動機構6は、ブレーキペダルまたはアクセルペダルを所要量踏み込むために、制御ユニット7の制御などに基づきエアシリンダ20からの圧縮空気によってエアシリンダ20が引込位置および押出位置の間で往復運動する。リターンスプリング機構30においては、駆動力としての圧縮空気がエアシリンダ20に供給されているため(駆動力供給時)、シリンダロッド21に連結軸54で連結されたスプリングロッド32は、スプリングの復元力に抗してシリンダロッド21に連動している。
【0045】
シリンダロッド21は、連結ユニット50、駆動軸回転部82、ペダル駆動軸70およびブレーキ側基部81を介してブレーキ踏込部85と接続されている。また、シリンダロッド21は、連結ユニット50およびアクセル側基部91を介してアクセル踏込部95と接続されている。このため、シリンダロッド21の移動に伴って、ブレーキ踏込部85およびアクセル踏込部95によりブレーキペダルおよびアクセルペダルが操作される。
【0046】
具体的には、図3に示すように、シリンダロッド21が中立位置と引込位置との間にある場合、回転部51は基準位置に対して反時計回りに回転した状態となる。すると、ブレーキ側接続部61aがブレーキ側押出ピン60aにより押し出されることによりブレーキ側接続部61aが支持軸59周りに回転する。ブレーキ側接続部61aは、連結されたブレーキ側アーム65を押し出し、ブレーキ側アーム65は駆動軸回転部82を回転させる。駆動軸回転部82は、ペダル駆動軸70と固定されているため、ペダル駆動軸70が回転することにより同様に固定されているブレーキ側基部81が回転する。最終的に、ブレーキ側基部81を起点にブレーキ踏込部85が前方のブレーキペダルに向かって回転することにより、ブレーキ押出部87がブレーキペダルを踏み込む。すなわち、連結ユニット50は、シリンダロッド21が中立位置と引込位置との間にある場合、駆動軸回転部82をペダル駆動軸70周りに回転することにより、ブレーキ踏込部85を踏込状態にする。一方、アクセル踏込部95は、シリンダロッド21が中立位置と引込位置との間にある場合、連結ユニット50により駆動力が伝達されずに非踏込状態となる。
【0047】
図4に示すように、シリンダロッド21が中立位置と押出位置との間にある場合、回転部51は基準に対して時計回りに回転した状態となる。すると、アクセル側接続部61bがアクセル側押出ピン60bにより押し出されることによりアクセル側接続部61bが支持軸59周りに回転する。アクセル側接続部61bは、連結されたアクセル側アーム66を押し出し、アクセル側アーム66はアクセル側基部91を回転させる。アクセル側基部91は、ペダル駆動軸70と固定されていないため、ペダル駆動軸70が回転することなく、アクセル側基部91のみが回転する。最終的に、アクセル側基部91を起点にアクセル踏込部95が前方のアクセルペダルに向かって回転することにより、アクセル押出部97がアクセルペダルを踏み込む。すなわち、連結ユニット50は、シリンダロッド21が中立位置と押出位置との間にある場合、アクセル側基部91をペダル駆動軸70周りに回転することにより、アクセル踏込部95を踏込状態にする。一方、ブレーキ踏込部85は、シリンダロッド21が中立位置と押出位置との間にある場合、連結ユニット50により駆動力が伝達されずに非踏込状態となる。
【0048】
また、シリンダロッド21が中立位置にある場合、回転部51は基準位置にあり、ブレーキ踏込部85およびアクセル踏込部95はいずれも駆動されずに非踏込状態となる。
【0049】
次に、遠隔・自動操縦から手動操縦に切換時のペダル駆動機構6の動作について説明する。
【0050】
ペダル駆動機構6は、解除機構としての押出ピン60a、60bが抜き取られると、遠隔・自動操縦から手動操縦に切り替わる。すなわち、ペダル駆動機構6は、連結ユニット50においてシリンダロッド21の往復運動を回転運動に変換し、ブレーキ踏込ユニット80およびアクセル踏込ユニット90に伝達する。しかし、連結ユニット50は、押出ピン60a、60bが抜き取られることにより、シリンダロッド21とブレーキ踏込部85およびアクセル踏込部95との接続を解除する。具体的には、連結ユニット50は、回転部51の回転に伴う駆動力をブレーキ側接続部61aおよびアクセル側接続部61bに伝達しない。これにより、ペダル駆動機構6は、ブレーキ踏込ユニット80およびアクセル踏込ユニット90を各踏込面86、96を介して受け付けるユーザの踏込操作により駆動する手動操縦に切り替えることができる。
【0051】
次に、エアユニット4の電源喪失などの異常により意図せずエアシリンダ20の作動が停止した場合のペダル駆動機構6の動作について説明する。
【0052】
意図せずエアユニット4の作動が停止し圧縮空気がエアシリンダ20に供給されなくなった場合(駆動力非供給時)、エアバルブによりエアシリンダ20内部の圧縮空気が開放される。シリンダロッド21は、移動可能なニュートラルな状態になる。すると、スプリングロッド32は、スプリングの復元力を受け後支持板36側に移動する。スプリングロッド32とシリンダロッド21とは連結軸54で連結されているため、スプリングロッド32の移動に伴い、シリンダロッド21も後方に移動する。すなわち、スプリングロッド32は、シリンダロッド21を引込位置に移動させる方向の復元力を受け、シリンダロッド21を移動させる。これにより、エアシリンダ20に圧縮空気が供給されない場合には、リターンスプリング機構30が機能してシリンダロッド21を引込位置に移動させる結果、ブレーキ踏込部85が踏込状態となることができる。ゆえに、ダンプトラック1は、安全に停止することができる。
【0053】
このようなペダル駆動機構6は、連結ユニット50によりひとつのエアシリンダ20とブレーキ踏込ユニット80およびアクセル踏込ユニット90とを接続するため、簡素な構造でブレーキペダルおよびアクセルペダルを操作できる。また、ペダル駆動機構6は、リターンスプリング機構30を有するため、電源喪失時など意図せずエアユニット4の作動が停止し圧縮空気が供給されなくなった場合には、スプリングの復元力を利用してブレーキペダルを操作し、安全にダンプトラック1を停止できる。
【0054】
さらに、エアシリンダ20、リターンスプリング機構30および連結ユニット50は、座席8に対して右方に配置される。ブレーキ踏込ユニット80およびアクセル踏込ユニット90は、座席8に対して前方であって、エアシリンダ20、リターンスプリング機構30および連結ユニット50に対して左方に配置される。すなわち、ペダル駆動機構6は、ブレーキ踏込ユニット80およびアクセル踏込ユニット90の各踏込面86、96が座席8に座るユーザに対して操作可能に配置されている。また、ペダル駆動機構6は、遠隔・自動操縦と手動操縦とを容易に切り換えるための押出ピン60a、60b(解除機構)を有する。ゆえに、ペダル駆動機構6は、遠隔・自動操縦中においても、ペダル駆動機構6をダンプトラック1に取り付けた状態で、瞬時に手動操縦に切り替えるオーバーライド機構を実現できる。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらやその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0056】
シリンダの駆動源を圧縮空気としたが、圧縮空気以外の公知の駆動源を適用してもよい。
【0057】
ペダル駆動軸70と連動する駆動軸回転部82およびブレーキ側基部81は、ペダル駆動軸70の一部であってもよい。
【0058】
エアシリンダ20、リターンスプリング機構30および連結ユニット50が座席8に対して右方に配置されるペダル駆動機構6を説明したが、座席8に対して左方に配置されてもよい。この場合、ペダル駆動機構は、ペダル駆動軸を固定状態で内部に貫通し、アクセル踏込部と連結するアクセル側基部(第一基部)と、ペダル駆動軸を非固定状態で内部に貫通し、ブレーキ踏込部と連結するブレーキ側基部(第二基部)と、ペダル駆動軸を固定状態で内部に貫通し、ブレーキ踏込部に対して左方向に隣接して配置される駆動軸回転部と、を備える。また、連結ユニット(連結部)は、駆動軸回転部、ペダル駆動軸およびアクセル側基部を介してシリンダロッドとアクセル踏込部とを接続し、ブレーキ側基部を介してシリンダロッドとブレーキ踏込部とを接続する。さらに、連結ユニットは、駆動軸回転部をペダル駆動軸周りに回転することによりアクセル踏込部を踏込状態にし、ブレーキ側基部をペダル駆動軸周りに回転することによりブレーキ踏込部を踏込状態にする。
【符号の説明】
【0059】
1 ダンプトラック
2 ハンドル
4 エアユニット
5 ハンドル操作ユニット
6 ペダル駆動機構
7 制御ユニット
8 座席
10 基台
11 軸穴
20 エアシリンダ
21 シリンダロッド
30 リターンスプリング機構
31 カバー
32 スプリングロッド
34 前支持板
36 後支持板
40 シリンダ固定具
50 連結ユニット
51 回転部
52 シリンダ連結部
53 本体
54 連結軸
55 伝達部
56 本体
56a 内部空間
57 ピン取付穴
58 回転軸
59 支持軸
60a ブレーキ側押出ピン
60b アクセル側押出ピン
61a ブレーキ側接続部
61b アクセル側接続部
65 ブレーキ側アーム
66 アクセル側アーム
70 ペダル駆動軸
80 ブレーキ踏込ユニット
81 ブレーキ側基部
82 駆動軸回転部
83 ブレーキ側アーム連結部
85 ブレーキ踏込部
86 ブレーキ踏込面
87 ブレーキ押出部
90 アクセル踏込ユニット
91 アクセル側基部
93 アクセル側アーム連結部
95 アクセル踏込部
96 アクセル踏込面
97 アクセル押出部
図1
図2
図3
図4