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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/34 20060101AFI20231127BHJP
   B65D 21/02 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
B65D1/34
B65D21/02 200
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021198741
(22)【出願日】2021-12-07
(65)【公開番号】P2023084520
(43)【公開日】2023-06-19
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】390041058
【氏名又は名称】シーピー化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】込山 和馬
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3222199(JP,U)
【文献】特開2015-083482(JP,A)
【文献】特開2009-154968(JP,A)
【文献】特開2015-037954(JP,A)
【文献】特開2015-008254(JP,A)
【文献】特開2019-142559(JP,A)
【文献】中国実用新案第208790106(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/34
B65D 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋体と嵌合可能な容器本体を備える包装用容器であって、
前記容器本体は、
被収容物を載置する収容載置部と、
前記収容載置部を囲むように底面側に窪んで形成された、前記蓋体と嵌合可能な嵌合凹部と、を有し、
前記嵌合凹部の一部には、底面側にさらに窪んだ第1脚部が形成され、
前記蓋体をさらに備えており、
前記蓋体には、前記嵌合凹部と嵌合する、前記容器本体に向けて突出した嵌合凸部が形成され、
前記嵌合凸部が前記嵌合凹部に挿入されて互いを固定する状態において、前記嵌合凸部の内側側面が、前記嵌合凹部の内側の内側面に当接すると共に、前記嵌合凸部の外側側面が、前記嵌合凹部の外側の内側面に当接し、
前記収容載置部の中心と前記第1脚部の少なくとも一部との間であって、前記嵌合凹部と前記収容載置部との間となる位置に、前記第1脚部とは異なる第2脚部が形成されていることを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
前記第1脚部の接地面積よりも、前記第2脚部の接地面積の方が大きいことを特徴とする、請求項に記載の包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食料品等を収容できる包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
包装用容器において、蓋体を嵌合可能な構造を有する容器本体が広く開発されている。従来、このような構造の形成位置は、容器本体の接地面を構成する脚部の形成位置とは、平面視において異なっていた。例えば、特許文献1には、蓋体の嵌合フランジと嵌合する被嵌合フランジと、脚部との間に、段差が形成された容器本体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-8254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の包装用容器では、容器本体の被嵌合フランジに蓋体の嵌合フランジを嵌合するための外力が上方からかかると、被嵌合フランジの周辺が撓んでしまう。これについて、図7に示す参考例を参照して以下に説明する。なお、図7は特許文献1等の従来技術と同様の課題を有する参考例を示すものであって、従来技術自体を示すものではない。
【0005】
図7の符号701は、参考例に係る容器本体X1の一部の断面図である。容器本体X1は、外縁部に脚部X2および嵌合凹部X3を備えており、脚部X2は嵌合凹部X3よりも容器本体X1の内側に位置する。
【0006】
図7の符号702は、参考例に係る蓋体X4と容器本体X1との嵌合途中の状態を示す断面図である。蓋体X4は、嵌合凹部X3と嵌合する嵌合凸部X5を備えている。容器本体X1と蓋体X4との嵌合において、嵌合凸部X5を嵌合凹部X3に挿入するために、蓋体X4の上方から外力がかかる。
【0007】
嵌合凹部X3の周辺は、当該外力によって、例えば図7の符号702に矢印にて示すような下向きの方向に撓んでしまうため、容器本体X1と蓋体X4との嵌合をスムーズに行いにくい。また、当該嵌合を進めるため、嵌合凸部X5の一部(嵌まりが悪い部分)に上方から強く外力がかかった場合、容器本体X1が大きく傾いてしまう恐れもある。この場合、容器本体X1が収容する被収容物も大きく傾き、被収容物の収容状態が乱れてしまう。
【0008】
本発明の一態様は、蓋体と嵌合しやすい容器本体を備える包装用容器を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る包装用容器は、
蓋体と嵌合可能な容器本体を備える包装用容器であって、
前記容器本体は、
被収容物を載置する収容載置部と、
前記収容載置部を囲むように底面側に窪んで形成された、前記蓋体と嵌合可能な嵌合凹部と、を有し、
前記嵌合凹部の一部には、底面側にさらに窪んだ第1脚部が形成されている。
【0010】
前記構成によれば、第1脚部が嵌合凹部の一部に形成される。嵌合凹部に蓋体を嵌合するとき、蓋体の上方からかかった外力が嵌合凹部に作用しても、嵌合凹部は第1脚部により支持される。このように、容器本体において上方からの外力を受ける位置の直下に第1脚部aが形成されていることで、当該外力により嵌合凹部の周辺が撓んでしまうことを防止できる。したがって、包装用容器が蓋体を備えている場合に、蓋体と容器本体とを容易に嵌合できる。
【0011】
また、第1脚部により蓋体と容器本体との嵌合をスムーズに行うことができるため、嵌合凹部の一部(蓋体との嵌まりが悪い部分)に、特に強く力をかける必要がない。そのため、蓋体と容器本体とを嵌合する場合に、誤って容器本体を傾けてしまうことで、被収容物の収容状態が乱れることを防止できる。
【0012】
本発明の一態様として、
前記収容載置部の中心から見て前記第1脚部が形成されている方向における、前記嵌合凹部と前記収容載置部との間となる位置に、前記第1脚部とは異なる第2脚部が形成されていてもよい。
【0013】
前記構成によれば、第2脚部は第1脚部よりも容器本体の中心側の位置に形成され、容器本体は、外周側の第1脚部と、内周側の第2脚部との両方により接地できる。そのため、容器本体は、接地状態が安定する。特に、第1脚部の形成位置が容器本体の周縁部となる場合に、容器本体の接地状態を、安定した撓みにくい状態とすることができる。
【0014】
また、第2脚部は、収容載置部の中心から見て第1脚部が形成されている方向に位置する。このような構成によれば、収容載置部の中心周辺に被収容物を載置した場合の容器本体について、第1脚部による支持を第2脚部により効率的に補助できる。そのため、被収容物の重量による容器本体の撓みを効果的に低減できる。
【0015】
本発明の一態様として、
前記第1脚部の接地面積よりも、前記第2脚部の接地面積の方が大きくてもよい。
【0016】
前記構成によれば、第2脚部の接地面積が大きいため、被収容物を載置した容器本体の接地状態が安定しやすい。また、第2脚部の接地面積が第1脚部の接地面積よりも大きければ、蓋体と容器本体との嵌合を第1脚部が支持する効果を確保しつつ、容器本体の接地状態の安定化を高い次元で実現できる。
【0017】
本発明の一態様として、
前記蓋体をさらに備えており、
前記蓋体には、前記嵌合凹部と嵌合する、前記容器本体に向けて突出した嵌合凸部が形成されていてもよい。
【0018】
前記構成によれば、嵌合凸部を嵌合凹部に挿入して固定することで、蓋体と容器本体とを強固に嵌合できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様によれば、蓋体と嵌合しやすい容器本体を備える包装用容器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る包装用容器の、蓋体および容器本体のそれぞれを示す斜視図である。
図2図1に示す容器本体の底面側を示す斜視図である。
図3図1に示す容器本体の正面図および側面図である。
図4図1に示す容器本体の平面図である。
図5図1に示す容器本体の平面図において、第2脚部の形成位置を示す図である。
図6図1に示す蓋体の平面図、正面図および側面図である。
図7】参考例に係る容器本体および蓋体のそれぞれ一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について、図1図6を参照して詳細に説明する。本実施形態では、本発明の一態様に係る包装用容器として、弁当、惣菜等の食料品を被収容物として収容する包装用容器であって、容器本体および蓋体を備えている包装用容器を例に挙げて説明する。ただし、本発明の一態様に係る包装用容器が収容する被収容物は、食料品に限定されない。また、本発明の一態様に係る包装用容器は、蓋体を備えていなくてもよい。
【0022】
図1に示すように、包装用容器1は、蓋体10と容器本体20とを備えている。蓋体10および容器本体20は、互いに嵌合可能に構成されている。
【0023】
本実施形態では、蓋体10および容器本体20はそれぞれ、シート厚が0.1mm~4mm、好ましくは0.15mm~2.5mmの樹脂シートを熱成形することによって形成されている。蓋体10と容器本体20とは、それぞれ異なるシート厚を有していてもよい。本実施形態に係る容器本体20は、後述するように蓋体10との嵌合時に撓みにくい形状であるため、シート厚を0.5mm以下等のように薄くしても、必要な強度を確保できる。
【0024】
樹脂シートとしては、例えばポリオレフィン系樹脂シート、ポリスチレン系樹脂シート、ポリエステル系樹脂シート等の熱可塑性樹脂シートを用いることができる。これらの樹脂シートは、発泡シートであってもよいし、非発泡シートであってもよい。また、樹脂シートとして積層シートを用いることもできる。積層シートとしては、例えば、発泡シートにフィルムをラミネートしたフィルムラミネート発泡シート、共押出ラミネートシート、押出ラミネートシートを用いることができる。熱成形の方法としては、例えば真空成形、厚空成形、真空圧空成形、熱板成形が挙げられる。
【0025】
蓋体10および容器本体20の色は、特に限定されない。蓋体10は、透明部材により構成されていることが好ましく、無色透明であることがより好ましい。これによれば、蓋体10を通して容器本体20が載置する被収容物を容易に視認できる。容器本体20の色は単色であってもよく、複数の色を含んでいてもよい。
【0026】
また、容器本体20には模様が付されてもよい。例えば容器本体20は、ベースカラーが黒色であり、少なくとも一部に金色または赤色等の模様が付されていてもよい。本実施形態において、蓋体10は無色透明であり、容器本体20は黒色単色である。
【0027】
〔容器本体〕
図1図4に示すように、容器本体20は、収容載置部21と、溝部22と、本体フランジ部23と、を備えている。容器本体20は、平面視長方形状の外形を成す。ここで、「長方形状」とは、容器本体20を全体として見たときに長方形状と見做すことができる形状、つまり略長方形状を意味する。したがって、例えば、容器本体20の周縁の一部に、突出部分が形成されていてもよいし、少なくとも1つの角部が直角状ではなく多角状に形成されていてもよく、曲線状に形成されていてもよい。このことは、包装用容器1を構成する各部位(後述)を、あらゆる方向から見た場合の形状についても当てはまる。
【0028】
平面視における容器本体20の外形は、長方形状に限られず、正方形状、三角形状、五角形状等の多角形状であってもよく、円形状等の、明確な角部が存在しない形状であってもよい。
【0029】
収容載置部21は、包装用容器1が収容する被収容物を載置する面を構成する。収容載置部21は、容器本体20と同様に平面視での外形が長方形状である。収容載置部21には、上方に突出した突起が形成されていてもよい。例えば、収容載置部21に1つまたは複数の、上方に突出した突起が形成されていてもよい。
【0030】
当該突起の形状は特に限定されないが、例えば、上方に頂点を有する四角錐形状等であってもよい。このように、当該突起は、平面視における外形が、容器本体20および収容載置部21の外形形状と統一感のある形状であることが好ましい。また、当該突起が複数形成される場合、収容載置部21の一部または全体において、当該突起が規則的に並んだ配置となるように形成されることが好ましい。
【0031】
このような突起によれば、容器本体20の美観を向上できる。また、当該突起によって、収容載置部21が載置する被収容物のスライド移動を低減できる。また、当該突起は、収容載置部21に被収容物を載置するときの目印としても機能し得る。したがって、当該突起が形成された収容載置部21であれば、被収容物を規則正しく配置しやすく、また、規則正しく配置された被収容物の位置がずれにくい。
【0032】
溝部22は、収容載置部21を囲むように、容器本体20の底面側に窪んだ溝状の部材として形成されている。溝部22は、収容載置部21と同様に、平面視長方形状の外形を成す。溝部22の一部には、底面側にさらに窪んだ第2脚部22aが形成されていることが好ましい。溝部22における第2脚部22aの形成位置については後述する。
【0033】
第2脚部22aは、溝部22における他の部分よりも深い深溝部分を構成すると共に、底面の少なくとも一部が接地面を構成することで、容器本体20の脚部として機能する。図4および図5において、容器本体20における接地面の位置を灰色により示している。図4および図5に示すように、第2脚部22aは、溝部22において2つの短辺それぞれに形成されており、2つの第2脚部22a各々が接地面を有している。
【0034】
このように、溝部22は、第2脚部22aにより構成される深溝部分と、それ以外の部分である浅溝部分とを有している。溝部22は、短辺側それぞれに2つの第2脚部22aを有しているが、溝部22が第2脚部22aを有している限りにおいて、第2脚部22aの数は限定されない。また、溝部22は、浅溝部分を有しておらず、全体が第2脚部22aとして機能してもよい。
【0035】
このような溝部22により、容器本体20が備える壁面の数が多くなるため、容器本体20の剛性が向上する。また、被収容物から水分または油分等の液体が染み出る場合、これらの液体を収容載置部21上から溝部22に逃がすことができる。そのため、被収容物の状態を常に良好に保ちやすい。さらに、溝部22は、被収容物の種類に応じて、醤油またはわさび等を収容する小物を据え置く部分としても機能し得る。
【0036】
溝部22は、内側周縁の上端よりも、外側周縁の上端の方が高い位置となっている。なお、溝部22の「内側」とは、平面視における容器本体20の中心側であり、「外側」とは、平面視における容器本体20の外周側である。これは、溝部22に限らず、容器本体20の他の部材にも適用される。
【0037】
溝部22の内側周縁の上端は、収容載置部21の外側端部と連続しており、溝部22の外側端部の上端は、本体フランジ部23の内側端部と連続している。すなわち、収容載置部21は、本体フランジ部23の頂面よりも低い位置に形成されている。
【0038】
このような構成によれば、例えば容器本体20が傾いた場合に、収容載置部21に載置した被収容物が、溝部22よりも外側まで大きくはみ出すことを防止できる。また、被収容物を、容器本体20全体として見た場合に、収まりよく収容載置部21に載置できる。
【0039】
本体フランジ部23は、溝部22の外側周縁の上端から外側に延びて形成される枠状の部材である。本体フランジ部23は、収容載置部21および溝部22を囲むように形成されており、容器本体20の頂面を構成する。本体フランジ部23の外形は、容器本体20の外形と同一であり、平面視長方形状である。
【0040】
本体フランジ部23は、底面側に窪んで形成された、蓋体10と嵌合可能な嵌合凹部24を有している。嵌合凹部24は、本体フランジ部23と同様に、収容載置部21および溝部22を囲むように形成されている。嵌合凹部24は、蓋体10の嵌合凸部14が挿入される嵌合溝として形成されている。嵌合凸部14については後述するが、蓋体10と容器本体20とは、嵌合凸部14が嵌合凹部24に挿入されて互いを固定することにより嵌合する。
【0041】
このような固定状態では、嵌合凸部14の内側側面が、嵌合凹部24の内側の内側面に当接すると共に、嵌合凸部14の外側側面が、嵌合凹部24の外側の内側面に当接した状態となる。これらの当接する面同士の間で摩擦力および/または押圧力を生じることで、嵌合凸部14と嵌合凹部24とが互いに固定する。
【0042】
嵌合凹部24は、本体フランジ部23の全周に亘って連続的に形成されているが、これに限られず、本体フランジ部23において収容載置部21を囲むように形成されていればよい。嵌合凹部24は、例えば、1箇所で途切れた1本の溝として形成されていてもよく、2つ以上の溝が、収容載置部21を囲むように並んで形成されていてもよい。
【0043】
嵌合凹部24の一部には、底面側にさらに窪んだ第1脚部24aが形成されている。第1脚部24aは、底面の少なくとも一部が接地面を構成することで、容器本体20の脚部として機能する。図4および図5に示すように、本実施形態では、第1脚部24aは、容器本体20の四隅領域にそれぞれ1箇所ずつ、合計4箇所に形成されており、それぞれの第1脚部24aが接地面を有している。ただし、嵌合凹部24において第1脚部24aが形成される数はこれに限られない。
【0044】
容器本体20の外形が平面視長方形状等の多角形状である場合、第1脚部24aは、容器本体20のそれぞれの角部に対応する位置に各々形成されていることが好ましい。このような構成によれば、第1脚部24aのみによって、容器本体20が傾くことなく安定して自立できる。
【0045】
嵌合凹部24が連続的な1つの溝ではなく、複数の溝として構成されている場合、第1脚部24aは、このうちの少なくとも1つの溝に形成されていればよい。この場合、第1脚部24aを構成する複数の溝のうち、少なくとも1つの溝の一部に、底面側にさらに窪んだ第1脚部24aが形成されていてもよい。また、嵌合凹部24を構成する複数の溝のうち、少なくとも1つが他の溝よりも底面側にさらに窪んだ溝であり、当該溝自体が第1脚部24aを構成してもよい。このように、嵌合凹部24において第1脚部24aが形成される「一部」とは、嵌合凹部24を全体として捉えた場合の一部分であればよい。
【0046】
第1脚部24aが嵌合凹部24の一部に形成される構成によれば、嵌合凹部24に蓋体10の嵌合凸部14を挿入するため、蓋体10の上方からかかった外力が嵌合凸部14から嵌合凹部24に作用しても、嵌合凹部24は第1脚部24aにより支持される。このように、上方からの外力を受ける位置の直下に第1脚部24aが形成されていることで、当該外力により、嵌合凹部24を有する本体フランジ部23が撓んでしまうことを防止できる。したがって、蓋体10と容器本体20とを容易に嵌合できる。
【0047】
また、蓋体10と容器本体20との嵌合をスムーズに行うことができるため、嵌合凸部14および嵌合凹部24の一部(嵌まりが悪い部分)に、特に強く力をかける必要がない。そのため、蓋体10と容器本体20との嵌合時に、誤って容器本体20を傾けてしまうことで、被収容物の形状が崩れる、蓋体10の内面に被収容物が付着する等により生じる、被収容物または蓋体10の廃棄を防止できる。これにより、持続可能な開発目標(SDGs)の、目標12「つくる責任つかう責任」および目標14「海の豊かさを守ろう」等の達成に貢献できる。
【0048】
容器本体20は、嵌合凹部24に形成された第1脚部24aを備えると共に、溝部22に形成された第2脚部22aを備えている。このように、容器本体20が第2脚部22aを備える場合、第2脚部22aは、嵌合凹部24と収容載置部21との間となる位置に形成されていることが好ましい。
【0049】
これによれば、第2脚部22aは第1脚部24aよりも容器本体20の中心側の位置に形成され、容器本体20は、外周側の第1脚部24aと、内周側の第2脚部22aとの両方により接地できる。そのため、容器本体20は、載置される台等の面(以下、「地面」)上に載置した状態が安定しやすい。
【0050】
なお、容器本体20が第2脚部22aを備えている場合、第1脚部24aと第2脚部22aとの各々が常に接地面を構成することを要さない。例えば、容器本体20に外力がかかっていない状態では、第2脚部22aが容器本体20の接地面を構成し、第1脚部24aは容器本体20の接地面を構成せずに、第1脚部24aと地面との間に距離を形成してもよい。言い換えれば、容器本体20は、第1脚部24aの底面の位置が、第2脚部22aの底面の位置よりも高い位置であってもよい。
【0051】
当該構成において、容器本体20に外力がかかっていない状態では、第1脚部24aは僅かに地面との距離を形成する。一方、嵌合凹部24に蓋体10の嵌合凸部14が挿入される際には、上方から嵌合凹部24にかかる外力により、第1脚部24aが地面に接地して、第1脚部24aが嵌合凹部24を支持する。すなわち、第1脚部24aは、容器本体20に上方から外力がかかった状態において、容器本体20の接地面を構成し得る。
【0052】
このように、第2脚部22aが容器本体20の脚部として機能すると共に、第1脚部24aは、蓋体10と容器本体20との嵌合時にのみ脚部として機能する構成であってもよい。このような構成によれば、第1脚部24aと第2脚部22aとを、各々脚部として機能的に構成することができる。
【0053】
また、容器本体20において、被収容物を載置する収容載置部21の面積は大きく確保することが好ましいため、収容載置部21を囲む嵌合凹部24は、容器本体20の周縁部に形成されることが多い。この場合、第1脚部24aの形成位置もまた、容器本体20の周縁部となる。そのため、容器本体20が備える脚部が第1脚部24aのみであった場合、容器本体20の中心側であって、被収容物を載置する収容載置部21周辺の支持が不十分となって、容器本体20が撓みやすくなる。例えば、収容載置部21に被収容物を載置すると、当該被収容物の重量により容器本体20の収容載置部21周辺が下方に凹んでしまうことが想定され得る。
【0054】
この点、第2脚部22aが第1脚部24aよりも容器本体20の中心側となる位置に形成されていれば、第1脚部24aの形成位置が容器本体20の周縁部であっても、容器本体20が安定して接地し、また、撓みにくい状態とすることができる。
【0055】
加えて、図5に示すように、第2脚部22aの少なくとも一部は、収容載置部21aの中心Cから見て第1脚部24aが形成されている方向(以下、「第1脚部24aの方向」)に形成されていることが好ましい。図5において、第1脚部24aの方向を破線矢印で示し、第1脚部24aの方向となる容器本体20のおおよその範囲を破線により示している。なお、当該破線の範囲はあくまで目安であり、第2脚部22aの少なくとも一部が形成されるべき範囲を厳密に示すものではない。
【0056】
容器本体20は、四隅領域それぞれに第1脚部24aを有するため、第1脚部24aの方向とは、収容載置部21の中心Cから見て、容器本体20の四隅それぞれの方向である。第2脚部22aの少なくとも一部がこのような方向(おおよそ図5に示す破線の範囲内)に位置していれば、第2脚部22aは、第1脚部24aの方向となる位置に形成されていると言える。
【0057】
なお、容器本体20のように第1脚部24aを複数備える場合、「第1脚部24aの方向」は、中心Cから見て少なくともいずれかの第1脚部24aが形成されている方向であればよい。また、容器本体20のように第2脚部22aを複数備える場合、いずれかの第2脚部22aが、第1脚部24aの方向に形成されていればよい。
【0058】
収容載置部21に載置する被収容物は、収容載置部21の中心Cまたはその周辺に主に配置される。そのため、被収容物の重量は中心C周辺に特に作用しやすい。このとき、第2脚部22aが第1脚部24aの方向に形成されていれば、被収容物を載置した容器本体20の、第1脚部24aによる支持を、第2脚部22aにより効率的に補助できる。
【0059】
さらに、第2脚部22aが嵌合凹部24と収容載置部21との間となる位置に形成されていれば、第2脚部22aは第1脚部24aよりも中心Cに近い。そのため、第2脚部22aが、中心C周辺に被収容物を載置した容器本体20を、より効率的に支持できる。したがって、被収容物の重量による容器本体20の撓みを効果的に低減できる。このような効果を最大限に得るためには、容器本体20が複数の第1脚部24aを有する場合、全ての第1脚部24aの方向に、それぞれ第2脚部22aの一部が形成されていることが好ましい。
【0060】
また、図4および図5に示すように、2つの第2脚部22aの接地面積の合計は、4つの第1脚部24aの接地面積の合計よりも大きい。このように、第2脚部22aの接地面積は、第1脚部24aの接地面積よりも大きいことが好ましい。第2脚部22aは、第1脚部24aよりも容器本体20の中心側に配置される。このとき、第2脚部22aの接地面積が大きいほど、被収容物を載置した容器本体20の接地状態が安定しやすい。また、第2脚部22aの接地面積が第1脚部24aの接地面積よりも大きければ、蓋体10と容器本体20との嵌合を第1脚部24aが支持する効果を確保しつつ、容器本体20の接地状態の安定化を高い次元で実現できる。
【0061】
容器本体20は2つの第2脚部22aを備えており、それぞれの第2脚部22aは、1つの第1脚部24aの方向となる位置から、容器本体20の短辺における他方の第1脚部24aの方向となる位置まで、連続して形成されている。このような構成により、第2脚部22aの接地面積は第1脚部24aの接地面積よりも大きくなっている。
【0062】
なお、第1脚部24aおよび/または第2脚部22aがそれぞれ複数形成されている場合、全ての第2脚部22aの接地面積の合計が、全ての第1脚部24aの接地面積の合計よりも大きければよい。すなわち、1つの第2脚部22aの接地面積は、1つの第1脚部24aの接地面積より小さくてもよい。この場合、全ての第2脚部22aの接地面積の合計が、全ての第1脚部24aの接地面積の合計よりも大きくなるような数の第2脚部22aを、溝部22に形成すればよい。
【0063】
このように、第1脚部24aおよび/または第2脚部22aが形成される数によらず、全体として第2脚部22aの接地面積が第1脚部24aの接地面積よりも大きければ、容器本体20の接地状態が安定する効果が得られる。
【0064】
また、第2脚部22aの接地面積が第1脚部24aの接地面積よりも大きい構成によれば、容器本体20の製造性を良好に維持しやすい。第1脚部24aが形成される嵌合凹部24は、溝幅が狭いことが好ましい。蓋体10の嵌合凸部14は、嵌合容易化および美観等の観点から、内外方向の幅を大きくすることは好ましくない。嵌合凸部14を挿入して固定する嵌合凹部24の溝幅は、嵌合凸部14の上記幅と対応した幅となるため、嵌合凸部14の上記幅が狭いほど、嵌合凹部24の溝幅も狭くなる。
【0065】
嵌合凹部24の溝幅が比較的狭い場合、嵌合凹部24の一部においてさらに窪んで形成される第1脚部24aの範囲は、シート成形における離型性を考慮すれば、最小限の大きさとすることが好ましい。第1脚部24aの接地面積が第2脚部22aの接地面積よりも小さければ、嵌合凹部24における第1脚部24aが形成される範囲を、容器本体20の製造性への影響が最小限となる大きさとすることが容易である。
【0066】
本体フランジ部23の四隅の少なくともいずれかには、摘み部25が形成されていてもよい。摘み部25は、頂面が、本体フランジ部23の他の部分の頂面よりも低い位置となっている。このような摘み部25によれば、蓋体10を容器本体20から取り外す操作を行うユーザは、蓋体10の何れかの隅部と、当該隅部に対応する位置の摘み部25とのそれぞれを、別々に摘みやすい。そのため、ユーザは、蓋体10を容器本体20から容易に取り外すことができる。
【0067】
また、摘み部25は、本実施形態のように、本体フランジ部23の四隅それぞれに形成されていることが好ましい。このような構成によれば、ユーザは、包装用容器1のどの隅部からでも、蓋体10を容器本体20から容易に取り外すことができる。
【0068】
容器本体20にはさらに、1つ以上の窪み部26が形成されていてもよい。窪み部26は、溝部22の外側側壁から本体フランジ部23にかけて、容器本体20の底面側に向かって窪んで形成されている。窪み部26によれば、容器本体20の強度が向上すると共に、容器本体20のシート成形における離型性を向上できる。窪み部26の形状は、シート成形の成形方法によって適宜変更してよく、例えば、底面側に窪むのではなく、表面側に突出する形状としてもよい。
【0069】
〔蓋体〕
図6に示すように、蓋体10は、天板部11と、側壁部12と、蓋体フランジ部13とを備えている。蓋体10は、平面視長方形状の外形を成す。このように、蓋体10は、容器本体20の平面視における外形と同様の外形を成す形状であることが好ましい。
【0070】
天板部11は、1つの面により構成される、平面視長方形状の板状の部材である。天板部11の形状は、蓋体10および容器本体20の平面視における外形と同様の外形を成す形状であることが好ましい。このような形状によれば、天板部11が透明部材により構成されている場合に、包装用容器1の上方から、天板部11を通して被収容物を明確に視認しやすい。
【0071】
天板部11を構成する面の数は特に限られないが、1つであることが好ましい。これによれば、被収容物の視認性を良好に確保できると共に、包装用容器1同士を積み重ねる場合に、天板部11の上に容器本体20を載置しやすい。なお、天板部11は複数の面により構成されていてもよい。
【0072】
側壁部12は、天板部11の周囲に連設される、天板部11の外側端部から下方に位置する蓋体フランジ部13に向かって延びる部材である。側壁部12は、上側壁部12aと下側壁部12bとにより構成されている。
【0073】
上側壁部12aは、天板部11の外側端部から略垂直下方に向かって延びて形成されている。下側壁部12bは、上側壁部12aの下側端部から蓋体フランジ部13に向かって、下方に向かうに連れて外側に傾斜するように延びて形成されている。側壁部12は、上側壁部12aが形成されている範囲では、平面視における外形が天板部11の外形と略同じ大きさとなり、下側壁部12bが形成されている範囲では、平面視における外形が、下方に向かうに連れて大きくなっている。
【0074】
側壁部12が上側壁部12aを備える構成によれば、天板部11および上側壁部12aにより形成される上方に突出した形状が、容器本体20の底面に形成される、収容載置部21および溝部22により囲まれた部分に嵌まりこみやすい。そのため、包装用容器1同士を積み重ねる場合に、天板部11の上に容器本体20を載置しやすく、また、積み重なった包装用容器1同士の位置がずれにくい。このような観点からは、上側壁部12aの上下方向の長さは、溝部22における第2脚部22aの上下方向の長さと略同様か、第2脚部22aよりも少し長い程度であればよい。
【0075】
蓋体フランジ部13は、側壁部12の下側端部から外側に延びて形成される枠状の部材である。蓋体フランジ部13の外形は、蓋体10の外形と同一であり、平面視長方形状である。蓋体フランジ部13は、容器本体20に向けて突出した、容器本体20と嵌合可能な嵌合凸部14を有している。
【0076】
嵌合凸部14は、蓋体フランジ部13において、天板部11および側壁部12を連続して囲む、下向きに突出した凸条として形成されている。嵌合凸部14は、容器本体20の嵌合凹部24に挿入して固定される。そのため、蓋体フランジ部13において嵌合凸部14が形成される位置は、容器本体20における嵌合凹部24の形成位置と対となる位置である。
【0077】
嵌合凸部14の上下方向の長さは、容器本体20の嵌合凹部24における、第1脚部24aが形成されていない部分の深さと略同様であることが好ましい。このような構成によれば、嵌合凸部14の略全体が嵌合凹部24に挿入して固定されるため、嵌合が強固となる。また、蓋体10と容器本体20とを嵌合した状態では、包装用容器1の側面から嵌合凸部14が視認されないため、包装用容器1の美観を良好に確保できる。
【0078】
嵌合凹部24が非連続的な形状である場合、嵌合凸部14もこれに対応して、非連続的な形状として形成される。例えば、嵌合凸部14は、1箇所で途切れた1本の凸条として形成されていてもよく、天板部11および側壁部12を囲むように、2つ以上の凸条が断続的に形成されていてもよい。
【0079】
嵌合凸部14の下側端部には、蓋体10の中心側または外周側の少なくとも一方に、水平方向に突出した突出部が形成されていてもよい。また、嵌合凸部14がこのような突出部を備える場合、容器本体20の嵌合凹部24には、蓋体10と容器本体20とが完全に嵌合した状態において、当該突出部が嵌まりこむ位置に係止溝が形成されていることが好ましい。
【0080】
具体的には、例えば、嵌合凸部14の下側端部に、全周に亘って蓋体10の中心側に、水平方向に突出した突出部が形成され、嵌合凹部24の、第1脚部24a以外の部分における底側端部となる位置に、全周に亘って内側に窪んだ係止溝が形成されていてもよい。このような構成によれば、嵌合凸部14を完全に嵌合凹部24に挿入した状態では、嵌合凸部14の突出部が、嵌合凹部24の係止溝に嵌まりこむ。そのため、蓋体10と容器本体20との嵌合を強固にできる。
【0081】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
1 包装用容器
10 蓋体
14 嵌合凸部
20 容器本体
21 収容載置部
22a 第2脚部
24 嵌合凹部
24a 第1脚部
C 中心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7