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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】管継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 41/02 20060101AFI20231127BHJP
   F16L 25/14 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
F16L41/02
F16L25/14
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022086618
(22)【出願日】2022-05-27
【審査請求日】2023-03-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522211128
【氏名又は名称】ツカサ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】霜野 順司
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-218970(JP,A)
【文献】中国実用新案第201599522(CN,U)
【文献】国際公開第2014/033775(WO,A1)
【文献】実開平03-046092(JP,U)
【文献】特開2020-204346(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106870856(CN,A)
【文献】中国実用新案第203857173(CN,U)
【文献】中国実用新案第204592668(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2008/0265566(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第03131336(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 41/02
F16L 25/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
六面体状の継手本体と、
前記継手本体の第1面に開口し、配管を連結可能な第1連結口と、
前記継手本体において前記第1面に対向する第2面に開口し、配管を連結可能な第2連結口と、
前記継手本体において前記第1面および前記第2面とは異なる第3面に開口し、配管を連結可能な第3連結口と、
前記継手本体の内部に形成された穴によって区画され、前記第1連結口、前記第2連結口および前記第3連結口に連通し、流体が流通する連通流路とを含み、
前記第2連結口が、前記第1連結口よりも小さい径を有する異径口であり、
前記第3連結口が、前記第1連結口と同じ径を有する同径口であり、
前記連通流路が、
断面円弧状面からなる外周壁を有する湾曲部分を有し、前記第1連結口と前記第3連結口とを接続するL字湾曲状の筒状の接続流路と、
前記接続流路の前記外周壁に形成された分岐口を有し、前記分岐口から分岐して前記第2連結口に接続する筒状の分岐流路であって、流路径が前記第2連結口と同じである分岐流路とを含む、管継手。
【請求項2】
前記第1連結口の中心軸線である第1中心軸線と前記第2連結口の中心軸線である第2中心軸線とが、互いに平行かつずれており、
前記第1連結口の端部であって前記第1中心軸線に直交する方向から見て前記第3面と反対側の端部と、前記第2連結口の端部であって前記第1中心軸線に直交する方向から見て前記第3面と反対側の端部とが揃っている、請求項1記載の管継手。
【請求項3】
前記第1連結口の中心軸線である第1中心軸線と前記第2連結口の中心軸線である第2中心軸線とが互いに一致している、請求項1記載の管継手。
【請求項4】
六面体状の継手本体と、
前記継手本体の第1面に開口し、配管を連結可能な第1連結口と、
前記継手本体において前記第1面に対向する第2面に開口し、配管を連結可能な第2連結口と、
前記継手本体において前記第1面および前記第2面とは異なる第3面に開口し、配管を連結可能な第3連結口と、
前記継手本体の内部に形成された穴によって区画され、前記第1連結口、前記第2連結口および前記第3連結口に連通し、流体が流通する連通流路とを含み、
前記第3連結口が、前記第1連結口よりも小さい径を有する異径口であり、
前記第2連結口が、前記第1連結口と同じ径を有する同径口であり、
前記第1連結口の中心および前記第2連結口の中心が、前記第1面前記第2面および前記第3面に沿第1方向に関して、前記第1連結口の半径よりも大きくずれており、
前記連通流路が、
前記第1方向に沿って延びる筒状の管部分を有し、前記第1連結口と同じ径を有し、前記第1連結口と前記第2連結口とを接続する筒状の接続流路と、
前記接続流路の前記管部分に形成された分岐口を有し、前記分岐口から分岐して前記第3連結口に接続する筒状の分岐流路であって、前記分岐口から前記第3連結口に至る部分の流路径が前記第3連結口と同じである分岐流路とを含む、管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品、精密機械部品、半導体装置、電子部品等を生産する工場には、各所に設けられたユースポイントに用水を供給する配管システムが設けられている。配管システムは、供給源が供給する用水が流れる主管と、主管から分岐する枝管とを備えている。枝管の一例は、先端に閉止機構として開閉弁が設けられてユースポイントに向けて用水(用液)を運ぶ配管である。枝管は、管継手を介して主管に接続されている。このような管継手として、特許文献1には、円筒状の金属製パイプに枝管を、溶接を用いて接合して形成された金属製の管継手が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実公平5-19451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、円筒状パイプをベースに管継手を作製する場合、管継手の連結対象の配管の口径に制約がある。加えて、管継手の連結対象の配管の配置位置の制約があることも考えられる。したがって、連結対象の配管の自由度(配置位置および管径の少なくとも一方の自由度)を高めることが望まれている。
【0005】
また、特許文献1のように、円筒パイプに枝管を接続する場合、枝管を良好に接続するために、円筒パイプに接合用の開口を形成し、かつ当該開口にバーリング加工を施す必要がある。そのため、円筒パイプに枝管を接続するのに多大な手間やコストを要している。そのため、管継手を容易に製作することも望まれている。
【0006】
本発明は、これらの背景の下でなされたものであり、連結対象の配管の自由度を高めることができ、かつ容易に製作可能な管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一実施形態は、六面体状の継手本体と、前記継手本体の第1面に開口し、配管を連結可能な第1連結口と、前記継手本体において前記第1面に対向する第2面に開口し、配管を連結可能な第2連結口と、前記継手本体において前記第1面および前記第2面とは異なる第3面に開口し、配管を連結可能な第3連結口と、前記継手本体の内部に形成された穴によって区画され、前記第1連結口、前記第2連結口および前記第3連結口に連通し、流体が流通する連通流路とを含む、管継手を提供する。そして、前記第2連結口および前記第3連結口の少なくとも一方が、前記第1連結口と異なる径を有する異径口である。
【0008】
この構成によれば、六面体状の継手本体の第1面、第2面および第3面に、それぞれ第1連結口、第2連結口および第3連結口が形成される。継手本体の内部に形成される穴の大きさや位置を変えることにより、第1連結口、第2連結口および第3連結口のそれぞれの大きさや位置を変えることができる。そのため、円筒パイプをベースにして作成した管継手と比較して、接続対象の配管の自由度が高い管継手を提供できる。
【0009】
また、継手本体に形成される穴の形状を、第1連結口、第2連結口および第3連結口のいずれにも接続するような形状にすることにより、第1連結口、第2連結口および第3連結口に連通する連通流路を、比較的簡単に設けることができる。そのため、円筒パイプをベースにして作成した管継手と比較して、管継手を容易に製作可能である。
【0010】
以上により、円筒パイプをベースに管継手を作製する場合と比較して、連結対象の配管の自由度が高く、かつ容易に製作可能な管継手を提供できる。
【0011】
この発明の一実施形態では、前記第2連結口が、前記異径口である。
【0012】
この構成によれば、継手本体の第1面に開口する第1連結口の径と、第1面に対向する第2面に開口する第2連結口の径とが互いに異なっている。円筒パイプをベースに管継手を作製する場合、そのような管継手では、互いに対向する2つの連結口(本願の第1連結口および第2連結口)を互いに異径とすることはできない。
【0013】
これに対し、第1連結口および第2連結口のそれぞれが、六面体からなる継手本体の互いに対向する面に形成され、かつ第1連結口および第2連結口と連通する連通流路を穴によって形成するので、第1連結口および第2連結口を互いに異径に設けることが可能である。これにより、管継手に連結される配管の自由度を、より一層高めることができる。
【0014】
この発明の一実施形態では、前記第1連結口の中心軸線である第1中心軸線と前記第2連結口の中心軸線である第2中心軸線とが、互いに平行かつずれている。そして、前記第1中心軸線に直交する方向から見て、前記第1連結口の下端と前記第2連結口の下端とが揃っている。
【0015】
この構成によれば、第1連結口および第2連結口が互いに異径を有しており、第1中心軸線と第2中心軸線とが、互いに平行にかつずれている。そして、第1中心軸線に直交する方向から見て、第1連結口の下端と第2連結口の下端とが揃っている。そのため、連通流路の底部を、第1中心軸線に平行な直線状に設けることができる。この場合、第1中心軸線が水平になるように継手本体を設ける場合であっても、連通流路の底部に液が滞留することを抑制または防止できる。これにより、管継手の内部における液の滞留を抑制または防止できる。
【0016】
この発明の一実施形態では、前記第2連結口および前記第3連結口の他方が、前記第1連結口と同じ径を有する同径口である。そして、前記連通流路が、前記第1連結口と前記同径口とを接続する筒状の接続流路と、前記接続流路から分岐して前記異径口に開口する筒状の分岐流路とを含む。
【0017】
この構成によれば、連通流路が、第1連結口と同径口とを接続する筒状の接続流路と、接続流路から分岐して異径口に開口する筒状の分岐流路とを備えている。接続流路および分岐流路のそれぞれにおいて液を円滑に流通させることにより、第1連結口と同径口との間、および第1連結口と異径口との間で、液を円滑に流通させることができる。これにより、管継手の内部による液の滞留を、抑制または防止できる。
【0018】
また、前記接続流路が、前記第1連結口と同じ流路径を有していてもよい。
【0019】
また、前記第1中心軸線が、略水平に延びていてもよい。
【0020】
また、前記異径口が、前記第1連結口の口径よりも小径であってもよい。前記分岐流路が、前記異径口と同じ流路径を有していてもよい。
また、前記第2連結口が、前記第1連結口よりも小さい径を有する異径口であってもよい。前記第3連結口が、前記第1連結口と同じ径を有する同径口であってもよい。筒状の前記接続流路が、断面円弧状面からなる外周壁を有する湾曲部分を有し、前記第1連結口と前記第3連結口とを接続するL字湾曲状の流路であってもよい。筒状の前記分岐流路が、前記接続流路の前記外周壁に形成された分岐口を有し、前記分岐口から分岐して前記第2連結口に接続してもよい。筒状の前記分岐流路の流路径が、前記第2連結口と同じであってもよい。
この場合において、前記第1連結口の中心軸線である第1中心軸線と前記第2連結口の中心軸線である第2中心軸線とが互いに一致していてもよい。
また、前記第3連結口が、前記第1連結口よりも小さい径を有する異径口であってもよい。前記第2連結口が、前記第1連結口と同じ径を有する同径口であってもよい。前記第1連結口の中心および前記第2連結口の中心が、前記第1面前記第2面および前記第3面に沿第1方向に関して、前記第1連結口の半径よりも大きくずれていてもよい。筒状の前記接続流路が、前記第1方向に沿って延びる筒状の管部分を有し、前記第1連結口と同じ径を有し、前記第1連結口と前記第2連結口とを接続する流路であってもよい。筒状の前記分岐流路が、前記接続流路の前記管部分に形成された分岐口を有し、前記分岐口から分岐して前記第3連結口に接続してもよい。筒状の前記分岐流路の流路径が、前記第3連結口と同じであってもよい。
【0021】
この発明の一実施形態では、前記管継手が、前記継手本体において前記第1面、前記第2面および前記第3面とは異なる第4面に開口し、配管を連結可能な第4連結口をさらに含む。そして、前記連通流路が、前記第4連結口に連通している。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、連結対象の配管の自由度を高めることができ、かつ容易に製作可能な管継手を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1A】本発明の第1実施形態に係る管継手を含む配管システムを示す模式図である。
図1B】前記配管システムの要部を示す側面図である。
図2】前記管継手を示す斜視図である。
図3】前記管継手を示す平面図である。
図4】前記管継手を示す正面図である。
図5図3を切断面線V-Vから見た断面図である。
図6図4を切断面線VI-VIから見た断面図である。
図7図4を切断面線VII-VIIから見た断面図である。
図8】本発明の第1実施形態の第1変形例に係る管継手を示す断面図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る管継手を示す斜視図である。
図10】前記管継手を示す断面図である。
図11】本発明の第2実施形態の第2変形例に係る管継手を示す斜視図である。
図12】前記管継手を示す断面図である。
図13】本発明の第2実施形態の第3変形例に係る管継手を示す斜視図である。
図14】本発明の他の形態に係る管継手を示す斜視図である。
図15】前記管継手を示す断面図である。
図16】本発明の第3実施形態に係る管継手を含む配管システムに設けられた配管装置の模式図である。
図17】前記管継手を示す斜視図である。
図18】前記管継手を示す断面図である。
図19】本発明の第4実施形態に係る管継手を示す斜視図である。
図20】本発明の第4実施形態の第4変形例に係る管継手を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下には、図面を参照して、この発明に係る実施形態について具体的に説明する。
【0025】
図1Aは、本発明の第1実施形態に係る管継手1を含む配管システム100を示す模式図である。図1Bは、配管システム100の要部を示す側面図である。配管システム100は、医薬品、精密機械部品、半導体装置、電子部品等の生産工場に適用される配管システムである。配管システム100は、供給源101と、供給源101によって用液(たとえば用水)が供給される主管102とを含む。図1Aの例では、供給源101と主管102とによって、循環経路が構成されている。供給源101は、用液を貯留するタンク103と、タンク103から用液を汲み出すポンプ104とを含む。タンク103には、用液の新液を供給可能である。
【0026】
主管102の途中部に、枝管105が分岐接続されている。枝管105は、管継手1を介して主管102に接続されている。管継手1を介して枝管105の一例は、対応するユースポイント120に向かって用液が流れる配管である。主管102には、複数の管継手1(枝管105が接続される管継手1)が介装されている。複数の管継手1が主管102に配置されているが、図1Aの例では、図示の簡略化のため、配置される管継手1の個数を2つとしているが、それ以上の個数であってもよいのはいうまでもない。なお、1つの主管102に配置される管継手1の個数は主として複数(2つ以上)であるが、1つであってもよい。
【0027】
また、個々の管継手1には、1つの枝管105が接続されている。枝管105の先端には、閉止機構として開閉バルブ106が介装されている。図1Aでは、枝管105および開閉バルブ106によってユースポイント120が構成された例を示しているが、開閉バルブ106よりも下流側にユースポイント120が配置されていてもよい。
【0028】
主管102において、ポンプ104と最上流の枝管105との間に、主管102を開閉する開閉バルブ107が介装されている。ポンプ104と開閉バルブ107との間の第1分岐位置P1には、リターン路108の一端が分岐接続されている。リターン路108の他端は、タンク103に接続されている。リターン路108には、リターン路108を開閉するリターンバルブ110が介装されている。
【0029】
タンク103と最下流の枝管105との間に、主管102を開閉する循環バルブ112が介装されている。循環バルブ112と最下流の枝管105との間の第2分岐位置P2には、排液路113の一端が分岐接続されている。排液路113の他端は、排液設備(図示しない)に接続されている。排液路113には、排液路113を開閉する排液バルブ114が介装されている。
【0030】
ポンプ104が作動している状態で、タンク103内の用液がポンプ104によって主管102に汲み出される。リターンバルブ110が開かれかつ開閉バルブ107が閉じられている状態では、タンク103内から主管102に汲み出された用液が、リターン路108を通ってタンク103にリターンする。ポンプ104が作動している状態において、リターンバルブ110が閉じられかつ開閉バルブ107が開かれると、タンク103内から主管102に汲み出された用液が、主管102における第1分岐位置P1よりも下流側に移動にする。そして、管継手1を介して、主管102に接続された枝管105に用液が供給される。
【0031】
最下流の管継手1を経た用液は、タンク103に向けて移動する。循環バルブ112が開かれかつ排液バルブ114が閉じられた状態では、最下流の管継手1を経た用液は、タンク103にリターンする。一方、循環バルブ112が閉じられかつ排液バルブ114が開かれた状態では、最下流の管継手1を経た用液が、排液(排水)される。
【0032】
配管システム100が、たとえば製薬用水の配管設備である場合、主管102(配管)の分岐部分(枝管105)が、流水せずに溜りとなるデッドレグ(dead-leg)になることを抑制または防止する必要がある。これは、ゴミや微生物の溜り場になったり、エアの滞留による不均一な伝熱が生じたりするのを抑制または防止するためである。製薬用水の配管設備において主管102に枝管105を設ける場合、主管102の中心から枝管105における開閉バルブ106などの制止機構がある箇所までの距離L(図1B参照)に制約を設け、上記制約を満たしているか否かを検査することが行われている(デッドレグ検査)。このような制約として、上記の距離が枝管105の直径の6倍以内というFDAの基準や、上記の距離が枝管105の直径の1.5倍以内というWHO GMPの基準などがある。
【0033】
なお、配管システム100は、医薬品、精密機械部品、半導体装置、電子部品等の生産工場以外の工場に適用される配管システムであってもよい。
【0034】
図1Bは、配管システム100に設けられた配管装置150の側面図である。配管装置150は、用液等の液体(流体)が流通可能な複数(図1Bの例では3つ)の流通配管(配管)151,152,153と、複数の流通配管151,152,153を互いに連結する管継手1とを備えている。複数の流通配管151,152,153のうち2つが主管102を構成し、残りが枝管105を構成する。図1Bの例では、2つの流通配管151,152が主管102を構成し、流通配管151がたとえば主管102の上流側部分であり、流通配管152がたとえば主管102の下流側部分である。そして、図1Bの例では、1つの流通配管153が枝管105を構成する。流通配管151,152,153は、サニタリー用の配管であり、鋼管ステンレス鋼を用いて形成されている。配管装置150は、複数の流通配管151,152,153に対応する個数の接続配管161,162,163をさらに備えている。各流通配管151,152,153は、対応する接続配管161,162,163を介して管継手1に接続されている。各流通配管151,152,153と、各接続配管161,162,163との接続は、互いのフランジ部同士を接合することにより実現されている。
【0035】
図2は、管継手1を示す斜視図である。図3は、管継手1を示す平面図である。図4は、管継手1を示す正面図である。図5は、図3を切断面線V-Vから見た断面図である。図6は、図4を切断面線VI-VIから見た断面図である。図7は、図4を切断面線VII-VIIから見た断面図である。図2図7に示す方向(前後、左右および上下)は、配管装置150に介装された状態における方向を示している。管継手1の設置方向(図2図7等に示す方向)は、一例であり、この方向に制約されるわけではなく、以下に特段に説明する場合を除き、配管装置150における管継手1の設置状況に応じて好適な方向に適宜配置される。
【0036】
第1実施形態に係る管継手1は、サニタリー継手として用いられる金属製(ステンレス製)の管継手である。管継手1は、六面体状の継手本体2と、継手本体2の六面のうち互いに異なる面に開口した第1連結口11、第2連結口12および第3連結口13と、第1連結口11、第2連結口12および第3連結口13に連通し、用液(流体)が流通する連通流路19とを備えている。第1連結口11には、接続配管161を介して流通配管151が連結される。第2連結口12には、接続配管162を介して流通配管152が連結される。第3連結口13には、接続配管163を介して流通配管153が連結される。
【0037】
継手本体2は、鋼材料(たとえばステンレス鋼(より具体的には、SUS304、SUS316L等))等の金属材料を用いて形成されている。継手本体2は、直方体状(図2等の例では、略立方体状)のブロックである。
【0038】
第1連結口11は、継手本体2の第1面2aに開口している。第2連結口12は、継手本体2において第1面2aに対向する第2面2bに開口している。第3連結口13は、継手本体2において第1面2aおよび第2面2bと異なる第3面2cに開口している。第1連結口11、第2連結口12および第3連結口13は、いずれも円形である。
【0039】
第1連結口11の口径D1は、第1連結口11に連結される流通配管151の内径と同じである。たとえば、流通配管151が呼径2.5Sの配管(内径59.5mm)である場合、第1連結口11の口径D1は59.5mmである。
【0040】
第2連結口12の口径D2は、第1連結口11の口径D1よりも小さい。すなわち、第2連結口12は、第1連結口11と口径が異なる異径口である。第2連結口12の口径D2は、第2連結口12に連結される流通配管152の内径と同じである。たとえば、流通配管152が呼径2Sの配管(内径47.8mm)である場合、第2連結口12の口径D2は47.8mmである。
【0041】
第3連結口13の口径D3は、第1連結口11の口径D1と同じである。すなわち、第3連結口13は、第1連結口11と口径が同じ同径口である。第3連結口13の口径D3は、第3連結口13に連結される流通配管153の内径と同じである。たとえば、流通配管153が呼径2.5Sの配管(内径59.5mm)である場合、第3連結口13の口径D3は59.5mmである。
【0042】
第1、第2および3連結口11,12,13の口径D1,D2,D3の大きさは一例であり、連結される流通配管151,52,53の大きさに応じて適宜変更される。なお、流通配管151,52,53のサイズ(呼径)の一例として、呼径8A(内径10.5mm)、呼径10A(内径14.0mm)、呼径15A(内径17.5mm)、呼径1S(内径23.0mm)、呼径1.25S(内径29.4mm)、呼径1.5S(内径35.7mm)、呼径2S(内径47.8mm)、呼径2.5S(内径59.5mm)、呼径3S(内径72.3mm)、呼径3.5S(内径85.1mm)呼径4S(内径97.6mm)、呼径4.5S(内径108.3mm)、呼径5S(内径133.8mm)、呼径6S(内径159.2mm)、呼径8S(内径208.3mm)が挙げられるが、これらのサイズ以外の配管が流通配管151,52,53として採用されてもよい。
【0043】
第1連結口11、第2連結口12および第3連結口13には、それぞれ、第1口部リング21A、第2口部リング22Bおよび第3口部リング23Aが設けられている。第1口部リング21A、第2口部リング22Bおよび第3口部リング23Aは、継手本体2とは別部材であり、たとえばサニタリー用のスリーブ状のヘルール継手である。このようなたとえば協和ステンレス(株)社製のサニタリー溶接式ヘルールが挙げられる。
【0044】
第1口部リング21A、第2口部リング22Bおよび第3口部リング23Aは、溶接等によって、それぞれ第1面2a、第2面2bおよび第3面2cに固定されている。第1口部リング21A、第2口部リング22Bおよび第3口部リング23Aは、それぞれ第1連結口11、第2連結口12および第3連結口13を形成している。この明細書において、第1口部リングとして、互いに口径の異なる第1口部リング21Aおよび第1口部リング21Bが採用される。また、第2口部リングとして、互いに口径の異なる第2口部リング22Aおよび第2口部リング22Bが採用される。また、第3口部リングとして、互いに口径の異なる第3口部リング23Aおよび第3口部リング23Bが採用される。
【0045】
連通流路19は、継手本体2の内部に形成された穴20によって区画されている。連通流路19を区画する穴20は、断面円形状の円筒穴である。穴20は、切削加工により形成されている。図示しないが、穴20の切削加工は、段付きドリルまたは段付きエンドミルにより行われる。すなわち、直方体状(立方体状)の鋼(たとえばステンレス鋼)製のブロックに穴20を切削することにより、継手本体2が形成される。
【0046】
連通流路19は、第1連結口11と第3連結口13とを接続する筒状の接続流路31と、接続流路31から分岐して第2連結口12に開口する筒状の分岐流路32とを有している。接続流路31は屈曲状(湾曲状)である。接続流路31は、円形の流路断面を有している。接続流路31の流路径D11は、第1連結口11および第3連結口13と同径である。接続流路31における屈曲部分(湾曲部分)よりも第1連結口11側の部分は、直線状の流路である。この部分は、第1中心軸線L1を有している。第1連結口11の中心軸線は、第1中心軸線L1である。
【0047】
分岐流路32は、接続流路31の屈曲部分と、第2連結口12とを接続する。分岐流路32は、直線状である。分岐流路32は、接続流路31における屈曲部分よりも第1連結口11側の部分に沿って延びている。分岐流路32は、接続流路31における屈曲部分よりも第3連結口13側の部分に直交している。分岐流路32は、円形の流路断面を有している。分岐流路32の流路径D12は、第2連結口12と同径である。分岐流路32は、第2中心軸線L2を有している。第2連結口12の中心軸線は、第2中心軸線L2である。
【0048】
第1中心軸線L1および第2中心軸線L2は、互いに平行に延びている。第1中心軸線L1および第2中心軸線L2は、互いにずれている。そして、第1中心軸線L1および第2中心軸線L2に沿う方向(左右方向)から見て、第1連結口11の下端と第2連結口12の下端とが揃っている。そして、連通流路19の底部が、第1中心軸線L1に平行な直線状である。
【0049】
図1Bに示す配管装置150への管継手1の介装状態では、第1中心軸線L1が水平に延びている。第1連結口11の下端と第2連結口12の下端とが揃っており、連通流路19の底部が、第1中心軸線L1に平行な直線状であるので、このような介装状態にある管継手1であっても、連通流路19の底部に用液が滞留することを抑制または防止できる。これにより、管継手1の内部における用液の滞留を抑制または防止できる。
【0050】
以上により、図1A図7に示す実施形態によれば、直方体状の継手本体2の第1面2a、第2面2bおよび第3面2cのそれぞれに、第1連結口11、第2連結口12および第3連結口13が形成される。
【0051】
円筒パイプをベースに管継手を作製する場合、そのような管継手では、互いに対向する2つの連結口(本願の第1連結口11および第2連結口12)を互いに異径とすることはできない。これに対し、第1連結口11および第2連結口12を直方体からなる継手本体2の互いに対向する面に形成し、かつ第1連結口11および第2連結口12に連通する連通流路19を穴20によって形成することにより、第1連結口11および第2連結口12を、互いに異径に設けることが可能である。
【0052】
すなわち、管継手1において、継手本体2の内部に形成される穴20の大きさや位置を変えることにより、第1連結口11、第2連結口12および第3連結口13のそれぞれの大きさや位置を変えることができる。そのため、円筒パイプをベースにして作成した管継手と比較して、接続対象の流通配管151,152,153の自由度(配置位置および管径の少なくとも一方の自由度)を高めることができる。
【0053】
また、穴20の形状を、第1連結口11、第2連結口12および第3連結口13のいずれにも接続するような形状に設けることにより、第1連結口11、第2連結口12および第3連結口13に連通する連通流路19を、比較的簡単に設けることができる。したがって、円筒パイプをベースにして作成した管継手と比較して、管継手1を容易に製作可能である。
【0054】
以上により、円筒パイプをベースに管継手を作製する場合と比較して、連結対象の配管の自由度が高く、かつ容易に製作可能な管継手1を提供できる。
次に述べる作用効果も奏する。すなわち、円筒パイプをベースに管継手を作製する場合には、管継手の流路距離を比較的長く確保する必要がある。この場合、管継手が大型化する結果、配管設備が大型化し、上述の基準(FDAの基準、WHO GMPの基準等)を満たす(デッドレグ検査で合格する)ことが困難な場合も考えられる。これに対し、この実施形態では、管継手1が、直方体状の継手本体2の面に開口(第1連結口11、第2連結口12および第3連結口13等)を形成する構成であるので、管継手1の小型化を実現できる。そのため、配管装置150全体が大型化するのを回避できる(配管装置150の省スペース化を図ることができる)。
【0055】
また、連通流路19が、第1連結口11と第3連結口13(第1連結口11と同径)とを接続する筒状の接続流路31と、接続流路31から分岐する分岐流路32とを備えている。接続流路31および分岐流路32のそれぞれにおいて用液を円滑に流通させることにより、第1連結口11と第3連結口13との間、および第1連結口11と第2連結口12との間で、用液を円滑に流通させることができる。これにより、管継手1の内部による用液の滞留を、抑制または防止できる。
【0056】
また、互いに対向する第1連結口11および第2連結口12が互いに異径を有しており、第1中心軸線L1と第2中心軸線L2とが、互いに平行にかつずれている。そして、第1中心軸線L1(および第2中心軸線L2)に沿う方向(左右方向)から見て、第1連結口11の下端と第2連結口12の下端とが揃っている。そして、連通流路19の底部が、第1中心軸線L1に平行な直線状である。この場合、第1中心軸線L1が水平になるように継手本体2を設ける場合であっても、連通流路19の底部に用液が滞留することを抑制または防止できる。これにより、管継手1の内部における用液の滞留を抑制または防止できる。
【0057】
図8は、本発明の第1実施形態の第1変形例に係る管継手1Aを示す断面図である。管継手1Aは、第1中心軸線L1と第2中心軸線L2とが互いに一致している点で、管継手1と相違している。管継手1Aでは、第2面2bにおける第2連結口12の形成位置が、管継手1の第2面2bにおける第2連結口12の形成位置よりもやや上方に位置する。その余の点において、管継手1Aの構成は管継手1と同等である。
【0058】
管継手1Aが配管装置150に介装された状態で、管継手1Aは、図8に示すように、第1中心軸線L1(および第2中心軸線L2)が、水平方向に沿って延びておらず、水平方向に傾斜する方向に沿って延びている。
【0059】
管継手1Aにおいて、第1中心軸線L1(および第2中心軸線L2)に沿う方向から見て、第1連結口11の下端と第2連結口12の下端とが揃っていない。そのため、連通流路19の底部が直線状でない。しかし、管継手1Aが配管装置150に介装された状態で、第1中心軸線L1(および第2中心軸線L2)が水平方向に対して傾斜しているので、分岐流路32(第1連結口11と第2連結口12とを結ぶ流路)において用液が滞留することを抑制または防止できる。
【0060】
また、この実施形態では、枝管105を流通配管152および接続配管162で構成するので、主管102の中心から開閉バルブ106までの距離L(図1B参照)を短くできる。ゆえに、デッドレグを削減できる。
【0061】
図9は、本発明の第2実施形態に係る管継手201を示す斜視図である。図10は、管継手201を示す断面図である。第2実施形態において、第1実施形態(図1A図7に示す実施形態)と共通する部分には、同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0062】
第2実施形態に係る管継手201が、第1実施形態に係る管継手1と相違する点は、同径口として第2面2bに開口した第2連結口12Aを設け、異径口として第3面2cに開口した第3連結口13Aを設けた点である。すなわち、第2連結口12および第3連結口13に代えて、第2連結口12Aおよび第3連結口13Aが設けられている点である。第3連結口13Aの口径は、第1連結口11の口径D1よりも小さい。第2連結口12Aおよび第3連結口13Aには、それぞれ、第2面2bおよび第3面2cに溶接により固定された第2口部リング22Aおよび第3口部リング23Bが設けられている。
【0063】
この場合、連通流路19は、第1連結口11と第2連結口12Aとを接続する、直線状の筒状の接続流路231と、接続流路231から分岐して第3連結口13Aに開口する、直線状の筒状の分岐流路232とを有している。分岐流路232は、接続流路231に直交している。接続流路231は、第1連結口11(および第2連結口12A)と同径の円形の流路断面を有している。分岐流路232は、第2連結口12Aと同径の円形の流路断面を有している。
【0064】
第2実施形態によれば、第1実施形態において述べた作用効果と同等の作用効果を奏する。
【0065】
図11は、本発明の第2実施形態の第2変形例に係る管継手201Aを示す断面図である。図12は、管継手201Aを示す断面図である。管継手201Aは、第1連結口11と第2連結口12Aとが互いに対向しておらず、これらの連結口11,12Aの中心軸線が、互いに前後方向に関してずれている点において、第2実施形態に係る管継手201と相違している。そして、第1連結口11と第2連結口12Aとを接続する接続流路として、直線状の接続流路231に代えて、略S字湾曲状の接続流路231Aが設けられている。その余の点において、管継手201Aの構成は、管継手201と同等である。この場合、たとえば、図10および図11に示すように、管継手201Aの継手本体として、立方体状の継手本体2に代えて、たとえば前後に長い直方体状の継手本体202が採用されていてもよい。管継手201Aは、ブロックであり、鋼材料(たとえばステンレス鋼(より具体的には、SUS304、SUS316L等))等の金属材料を用いて形成されている。
【0066】
図13は、本発明の第2実施形態の第3変形例に係る管継手201Bを示す斜視図である。管継手201Bは、第1連結口11Bおよび第2連結口12Bが互いに同径であり、第3連結口13Bが第1連結口11Bおよび第2連結口12Bよりも大径である点で、第2実施形態に係る管継手201と相違している。すなわち、第1連結口11、第2連結口12Aおよび第3連結口13Aに代えて、第1連結口11B、第2連結口12Bおよび第3連結口13Bが設けられている点で、管継手201と相違している。第1連結口11B、第2連結口12Bおよび第3連結口13Bには、それぞれ、第1面2a、第2面2bおよび第3面2cに溶接により固定された第1口部リング21B、第2口部リング22Bおよび第3口部リング23Aが設けられている。その余の点において、管継手201Bの構成は、管継手201と同等である。
【0067】
図14は、本発明の他の形態に係る管継手501を示す断面図である。図15は、管継手501を示す断面図である。管継手501は、第3連結口13Cが、第1連結口11と第2連結口12Aと同径である点において、第2実施形態の第2変形例に係る管継手201Aと相違している。第3連結口13Cには、第3面2cに溶接によって固定された第3口部リング23Aが設けられている。その余の点において、管継手501の構成は、管継手201Aと同等である。
【0068】
なお、図1A図14に示す例において、第2連結口12,12A,12Bに接続される流通配管152が主管102を構成し、第3連結口13,13A,13B,13Cに接続される流通配管153が枝管105を構成するとして説明したが、逆の構成としてもよい。すなわち、流通配管153が主管102を構成し、流通配管152が枝管105を構成してもよい。また、流通配管152および流通配管153が主管102を構成し、第1連結口11,11Bに接続される流通配管151が枝管105を構成してもよい。
【0069】
図16は、本発明の第3実施形態に係る管継手301を含む配管システム100Aに設けられた配管装置350の模式図である。図17は、管継手301を示す斜視図である。図18は、管継手301を示す断面図である。第3実施形態において、第1実施形態(図1A図7に示す実施形態)と共通する部分には、同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0070】
図16に示すように、第3実施形態に係る配管装置350が、第1実施形態に係る配管装置150と相違する点は、複数の流通配管として、流通配管151,152,153に加えて流通配管154,155を設けた点であり、さらに、5つの流通配管151,152,153,154,155を互いに連結する管継手301を、管継手1に代えて採用した点である。2つの流通配管154,155のそれぞれが枝管105(図1Aにて破線で図示)を構成する。これらの枝管105(図1Aにて破線で図示)のそれぞれには、開閉バルブ106が介装されている。流通配管154,155は、サニタリー用の配管であり、鋼管ステンレス鋼を用いて形成されている。配管装置350は、複数の流通配管154,155に対応する個数の接続配管164,165をさらに備えている。各流通配管154,155は、対応する接続配管164,165を介して管継手1に接続されている。なお、図16では、流通配管155を切断面線で切断して示しており、接続配管165を直接的には示していない。
【0071】
図17に示すように、第3実施形態に係る管継手301が、第1実施形態に係る管継手1と相違する点は、継手本体2の六面において第1面2a、第2面2bおよび第3面2cを除く3つの面2d,2e,2fのうち2つの面に、第4連結口14および第5連結口15を開口させた点である。
【0072】
図17の例では、第4連結口14は、継手本体2において第3面2cに対向する第4面2dに開口している。第5連結口15は、第1面2a~第4面2dと異なる第5面2eに開口している。第4連結口14および第5連結口15のそれぞれは、第1連結口11、第2連結口12および第3連結口13のいずれとも連通している。第4連結口14および第5連結口15は、いずれも円形である。第4連結口14には、接続配管164(図16参照)を介して流通配管154が連結される。第5連結口15には、接続配管165(図16参照)を介して流通配管155が連結される。
【0073】
図17の例では、第4連結口14の口径D4は、第1連結口11の口径D1よりも小さい。すなわち、第4連結口14は、第1連結口11と口径が異なる異径口である。第4連結口14の口径D4は、第4連結口14に連結される流通配管154の内径と同じである。たとえば、流通配管154が呼径2Sの配管(内径47.8mm)である場合、第4連結口14の口径D4は47.8mmである。
【0074】
図17の例では、第5連結口15の口径D5は、第1連結口11の口径D1よりも小さい。すなわち、第5連結口15は、第1連結口11と口径が異なる異径口である。第5連結口15の口径D5は、第5連結口15に連結される流通配管155の内径と同じである。たとえば、流通配管155が呼径2Sの配管(内径47.8mm)である場合、第5連結口15の口径D5は47.8mmである。
【0075】
この場合、連通流路19は、接続流路31から分岐して第4連結口14に開口する筒状の分岐流路34と、接続流路31から分岐して第5連結口15に開口する筒状の分岐流路35とをさらに有している。分岐流路34の流路径D14は、第4連結口14と同径であり、分岐流路35の流路径D15は、第5連結口15と同径である。
【0076】
第3実施形態によれば、第1実施形態において述べた作用効果と同等の作用効果を奏する。
【0077】
なお、第3実施形態において、連結口14,15に接続される流通配管154の少なくとも一方が、枝管105でなく主管102を構成してもよい。
【0078】
図19は、本発明の第4実施形態に係る管継手401を示す斜視図である。第4実施形態において、第3実施形態(図16図18の実施形態)と共通する部分には、同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0079】
第4実施形態に係る管継手401が、第3実施形態に係る管継手301と相違する点は、第5連結口15および分岐流路35を省略した点である。その余の点において、管継手401の構成は、管継手301と同等である。
【0080】
また、図20に示す第4変形例(第4実施形態の変形例)に係る管継手401Aのように、第3実施形態に係る管継手301から、第4連結口14および分岐流路34を省略するようにしてもよい。その余の点において、管継手401Aの構成は、管継手301と同等である。なお、図16図20に示す実施形態において、第4連結口14および第5連結口15の双方が異径口であるとしたが、第4連結口14および第5連結口15の少なくとも一方が同径口であってもよい。
【0081】
具体的な例として、第4連結口14(とくに図17図19参照)が同径口であってもよい。この場合、見方を変えれば、互いに対向する第3面2cおよび第4面2dにそれぞれ形成されている連結口(第3連結口13、第4連結口14)が互いに同じ径である。
【0082】
また、第3実施形態に係る管継手301において、第4連結口14および第5連結口15の双方が同径口であってもよい。この場合、5つの連結口(第1連結口11~第5連結口15)のうち4つの径が互いに同じであり一つの連結口の径のみが異なる態様である。
【0083】
以上、この発明の4つの実施形態について説明したが、この発明は他の形態で実施することもできる。たとえば、第3実施形態に係る管継手301および第4実施形態に係る管継手401,401Aに、第2実施形態(図9および図10に示す実施形態)や第2変形例(図11および図12に示す実施形態)、第3変形例(図13に示す実施形態)を組み合わせてもよい。
【0084】
第3実施形態に係る管継手301および第4実施形態に係る管継手401,401Aに第2実施形態(図9および図10に示す実施形態)を適用する場合には、互いに対向する第3面2cおよび第4面2dにそれぞれ形成されている連結口(第3連結口13、第4連結口14)はいずれも異径口である。この場合、これら第3連結口13および第4連結口14の径は互いに同じであってもよい。
【0085】
また、第3実施形態および第4実施形態(図19図20に示す実施形態)において、第4連結口14を、第4面2dではなく第6面2fに開口させてもよい。
【0086】
また、第2連結口12,12A,12Bおよび第3連結口13,13A,13Bの双方が異径口(すなわち、第1連結口11,11Bと同径)であってもよい。この場合、第2連結口12,12A,12Bおよび第3連結口13,13A,13B,13Cが互いに同じ径を有していてもよいし、第2連結口12,12A,12Bおよび第3連結口13,13A,13B,13Cが互いに異なる径を有していてもよい。後者の場合、換言すると、第1連結口11,11B、第2連結口12,12A,12Bおよび第3連結口13,13A,13Bのいずれもが互いに異なる径を有している。
【0087】
第3実施形態に係る管継手301および第4実施形態に係る管継手401,401Aにおいて、第4連結口14や第5連結口15を異径口とする場合、この異径口である連結口(連結口14,15)を、第2連結口12,12A,12Bまたは第3連結口13,13A,13B,13Cに含まれる異径口と、径を異ならせてもよい。
【0088】
また、第3実施形態において、第6面2fにも、開口(第6連結口)を形成してもよい。この場合、第1面2a~第6面2fの全てに、連結口を形成してもよい。
【0089】
また、第1口部リング21A,21B、第2口部リング22A,22Bおよび第3口部リング23A,23Bを、溶接ではなく、他の手法(接着等)によって、対応する面(第1面2a、第2面2bおよび第3面2c)に固定して設けるようにしてもよい。また、第1口部リング21A,21B、第2口部リング22A,22Bおよび第3口部リング23A,23Bを、別部材を固定する手法ではなく、継手本体2,202を削り出すこと等によって、管継手1,1A,201,201A,201B,301,401,401A,501が形成されていてもよい。
【0090】
また、前述の各形態において、流通配管151,152,153のそれぞれを、接続配管161,162,163を介さずに、第1連結口11、第2連結口12および第3連結口13に直接接続するようにしてもよい。この場合、主管102の中心から開閉バルブ106までの距離L(図1B参照)をより一層短くでき、デッドレグを削減できる。また、第4,第5実施形態において、流通配管154,155のそれぞれを、接続配管164,165を介さずに、第4連結口14および第5連結口15に直接接続するようにしてもよい。
【0091】
また、前述の各形態において、継手本体2,202を直方体状として説明したが、継手本体2,202は六面体状であれば、必ずしも直方体状でなくてもよい。たとえば、継手本体2,202に含まれる六面のうち少なくとも一面が湾曲面によって構成されていてもよい。
【0092】
また、継手本体2,202が金属材料ではなく、合成樹脂材料を用いて形成されていてもよい。継手本体2,202が合成樹脂材料を用いて形成される場合には、3次元プリンタによって管継手1,1A,201,201A,201B,301,401,401A,501が形成されていてもよい。
【0093】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0094】
1 :管継手
1A :管継手
2 :継手本体
2a :第1面
2b :第2面
2c :第3面
11 :第1連結口
11B :第1連結口
12 :第2連結口
12A :第2連結口
12B :第2連結口
13 :第3連結口
13A :第3連結口
13B :第3連結口
14 :連通流路
20 :穴
31 :接続流路
32 :分岐流路
151 :流通配管(配管)
152 :流通配管(配管)
153 :流通配管(配管)
154 :流通配管(配管)
201 :管継手
201A:管継手
201B:管継手
202 :継手本体
231 :接続流路
232 :分岐流路
301 :管継手
401 :管継手
401A :管継手
501 :管継手
L1 :第1中心軸線
L2 :第2中心軸線
【要約】
【課題】連結対象の配管の自由度を高めることができ、かつ容易に製作可能な管継手を提供する。
【解決手段】管継手1は、直方体状の継手本体2と、継手本体2の第1面2aに開口し、配管を連結可能な第1連結口11と、継手本体2において第1面2aに対向する第2面2bに開口し、配管を連結可能な第2連結口12と、継手本体2において第1面2aおよび第2面2bとは異なる第3面2cに開口し、配管を連結可能な第3連結口13と、継手本体2の内部に形成された穴20によって区画され、第1連結口11、第2連結口12および第3連結口13に連通し、流体が流通する連通流路19とを備えている。第2連結口12が、第1連結口11よりも小径の異径口である。第3連結口13が、第1連結口11と同径の同径口である。
【選択図】図5
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20