(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】木製バット加工装置及び木製バットの加工方法
(51)【国際特許分類】
B27C 7/06 20060101AFI20231127BHJP
B24B 5/50 20060101ALI20231127BHJP
A63B 59/52 20150101ALI20231127BHJP
A63B 102/18 20150101ALN20231127BHJP
【FI】
B27C7/06
B24B5/50 A
A63B59/52
A63B102:18
(21)【出願番号】P 2022184059
(22)【出願日】2022-11-17
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】505248864
【氏名又は名称】株式会社オーゾネ
(74)【代理人】
【識別番号】110000615
【氏名又は名称】弁理士法人Vesta国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大曽根 観次
(72)【発明者】
【氏名】大曽根 勝子
(72)【発明者】
【氏名】大曽根 忠典
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0346086(US,A1)
【文献】特許第5110755(JP,B2)
【文献】米国特許第03779664(US,A)
【文献】特開2005-007493(JP,A)
【文献】【バット作り】木製バット製造の全工程を完全密着!バットに穴を開ける理由、教えます。エスオースポーツ工業に潜入第2弾,YouTube[online][video],アオバラch ~野球密着ドキュメンタリー~,2022年10月29日,[令和5年8月1日検索]、インターネット、〈URL:https://www.youtube.com/watch?v=EiQB0hEHsN8〉,主に11:35~12:22及び19:10~20:15を参照
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27C 7/06
B24B 5/50
A63B 59/52
A63B 102/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木製バットのグリップエンドを回転自在に支持し、前記木製バットを回転させる回転部と、
前記木製バットの前記グリップエンド側とは反対側の先端部を切削具の水平な直線運動で切削する切削部と、
前記回転部と前記切削部との間に配設し、前記木製バットを回転自在に支持する支持部
と
を具備し、
前記切削部の前記切削具は、軸心の先端に設けた穴あけ芯と、前記軸心に対し対称に形成され穴の底面側を切削していく径方向の1対の底さらい刃部と、互いに所定の間隔で前記軸心に対して対称に配置され、前記穴の外周面側を切削していく周方向の1対の外周切り欠き刃部とを有し、
前記切削部の前記切削具の各前記外周切り欠き刃部は、前記穴あけ芯側に向かって径方向に縮小した形状であり、
前記木製バットを前記回転部と前記切削部の間で前記回転部及び前記支持部によって水平に支持し、前記回転部によって前記木製バットを回転させた状態で、前記切削部の前記切削具の水平な直線運動によって前記木製バットの前記先端部をくり抜き切削することを特徴とする木製バット加工装置。
【請求項2】
木製バットのグリップエンドを回転自在に支持し、前記木製バットを回転させる回転部と、
前記木製バットの前記グリップエンド側とは反対側の
ヘッド側の先端部を切削具の水平な直線運動で切削する切削部と、
前記回転部と前記切削部との間に配設し、前記木製バットを回転自在に支持する支持部
と
を具備し、
前記木製バットを前記回転部と前記切削部の間で前記回転部及び前記支持部によって水平に支持し、前記回転部によって前記木製バットを回転させた状態で、前記切削部の前記切削具の水平な直線運動によって前記木製バットの前記
ヘッド側の先端部を
縦断面で内面が湾曲した凹状に深さ3.2cm以下、直径2.54~5.1cmの範囲内でくり抜き切削することを特徴とする木製バット加工装置。
【請求項3】
前記切削部の前記切削具は、先端に向かって縮径した形状であることを特徴とする請求項1
または請求項2に記載の木製バット加工装置。
【請求項4】
前記支持部は、回転自在な複数のローラー間に前記木製バットを回転自在に挟持するものであることを特徴とする請求項1
または請求項2に記載の木製バット加工装置。
【請求項5】
木製バットを水平に支持して回転させた状態で
切削具の水平な直線運動により前記木製バットのヘッド側の先端部を縦断面で内面が湾曲した凹状に深さ3.2cm以下、直径2.54~5.1cmの範囲内で切削することを特徴とする木製バットの加工方法。
【請求項6】
木製バットを水平に支持して回転させた状態で、切削具の水平な直線運動により前記木製バットのヘッド側の先端部を縦断面で内面が湾曲した凹状に深さ3.2cm以下、直径2.54~5.1cmの範囲内で切削すると共に、前記木製バットのグリップの面に研磨材を当てることにより前記グリップを研磨することを特徴とす
る木製バットの加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木製バットの先端部をくり抜き加工するための木製バット加工装置及び木製バットの加工方法であって、特に、木製バットの先端部のくり抜き作業の容易化と、安全性の向上を図ることができる木製バット加工装置及び木製バットの加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
野球の木製バットの重さを軽く感じさせ振りぬき技術を向上させる方法として、特許文献1に示すように、木製バットの先端部をくり抜いて軽量化することで重心をグリップ側(手元側)に寄せることが知られている。
そして、従来、木製バットの先端部のくり抜き加工は、木製バットのヘッド側が上にくるようにその長さ方向を縦向きにし、木製バットのヘッドの先端に対して、木製バットの長さ方向の垂直線上でドリルの回転運動及び直線運動の出力により切削を行うボール盤加工で行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、木製バットを縦向きにして木製バットの長さ方向の垂直線上でドリルの回転運動及び直線運動の出力により切削を行うものでは、木製バットに垂直荷重が掛かることにより、荷重加減、速度調節等が難しいことで、ドリルの操作において荷重が掛かり過ぎて深く切削しすぎたり位置ずれが生じやすかったりし、精密な加工には極度の熟練を要するという問題点があった。更に、木製バットに荷重が掛かりやすいうえ、ドリルを回転させて切削を行うものであるから、慣れた作業者であっても、加工操作の安全性の面では非常に神経を使わなければならないものでもあった。
【0005】
そこで、本発明は、木製バットの先端部のくり抜き作業の容易化と、安全性の向上を図ることができる木製バット加工装置及び木製バットの加工方法の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明の木製バット加工装置は、木製バットのグリップエンドを回転自在に支持する回転部と前記木製バットの前記グリップエンド側とは反対側の先端部を切削する切削部との間で前記木製バットを前記回転部及び支持部によって水平に支持し、前記回転部によって前記木製バットを回転させた状態で前記切削部の切削具の水平な直線運動の出力によって前記木製バットの前記先端部をくり抜き切削するものである。
【0007】
上記回転部は、横向きにした木製バットのグリップエンドを掴むチャック及び回転運動を与える回転主軸等から構成され、木製バットのグリップエンドをチャックで掴んで回転主軸に固定することにより、木製バットのグリップエンドを回転自在に支持し、また、回転主軸及びチャックを介して、横向きの木製バットに回転運動を与えるものである。
【0008】
上記切削部は、前記回転部と対向して設置され、横向きにした木製バットに対し、そのヘッド側の先端部に切削具を押し当て切削具の水平な直線運動の出力で、回転している木製バットのヘッド側の先端部のくり抜き切削を行うものである。上記切削具としては、木製バットの先端部を椀状にくり抜くことができるものであればよく、例えば、所謂、皿ぐり、皿モミ用の切削具を用いてもよいし、穴あけ芯、底さらい刃及び外周切り欠き刃を備えたフォスナービット形式の穴止まり加工用のものを使用してもよい。
【0009】
上記支持部は、前記回転部と前記切削部との間に配設し、前記木製バットを回転自在に支持するものであり、例えば、回転自在なローラー間で挟持することにより回転する木製バットに対し少ない摩擦で支持できる。
【0010】
請求項1の発明の木製バット加工装置の前記切削部の前記切削具は、軸心の先端に設けた穴あけ芯と、前記軸芯に対し対称に形成され穴の底面側を切削していく径方向の1対の底さらい刃部と、互いに所定間隔で前記軸芯に対して対称に配置され、前記穴の外周面側を切削していく周方向の1対の外周切り欠き刃部とを有するものである。
ここで、上記穴あけ芯は、前記木製バットの先端部の中心に刺して位置決めを可能とする鋭利なものである。
また、上記底さらい刃部は、椀状にくり抜く穴の底面側に相当する部分を切削していくもので、直線状の刃を有するものである。
更に、上記外周切り欠き刃部は、椀状にくり抜く穴の周面側に相当する部分を切削していくもので、曲線状の刃を有するものである。曲線状の刃は、平坦状のものであってもよいし、波形状、歯状、ギザギザ状等の凹凸状のものであってもよい。
請求項1の発明の木製バット加工装置の前記切削具の各前外周切り欠き刃部は、前記穴あけ芯側に向かって径方向が縮小したもの、即ち、縮径したものである
【0011】
請求項2の発明の木製バット加工装置は、木製バットのグリップエンドを回転自在に支持し、前記木製バットを回転させる回転部と、前記木製バットの前記グリップエンド側とは反対側のヘッド側の先端部を切削具の水平な直線運動で切削する切削部と、前記回転部と前記切削部との間に配設し、前記木製バットを回転自在に支持する支持部とを具備し、前記木製バットを前記回転部と前記切削部の間で前記回転部及び前記支持部によって水平に支持し、前記回転部によって前記木製バットを回転させた状態で、前記切削部の前記切削具の水平な直線運動によって前記木製バットの前記ヘッド側の先端部を縦断面で内面が湾曲した凹状に深さ3.2cm以下、直径2.54~5.1cmの範囲内でくり抜き切削するものである。
【0012】
請求項3の発明の木製バット加工装置の前記切削部の前記切削具は、先端に向かって縮径した形状からなるものである。
【0013】
請求項4の発明の木製バット加工装置の前記支持部は、回転自在な複数のローラー間に前記木製バットを挟持して支持するものである。
【0014】
請求項5の発明の木製バットの加工方法は、木製バットを水平に支持して回転させた状態で切削具の水平な直線運動により前記木製バットのヘッド側の先端部を縦断面で内面が湾曲した凹状に深さ3.2cm以下、直径2.54~5.1cmの範囲内で切削するものである。
【0015】
請求項6の発明の木製バットの加工方法は、木製バットを水平に支持して回転させた状態で、切削具の水平な直線運動により前記木製バットのヘッド側の先端部を縦断面で内面が湾曲した凹状に深さ3.2cm以下、直径2.54~5.1cmの範囲内で切削すると共に、木製バットを水平に支持して回転させた状態で前記木製バットのグリップを研磨材で研磨するものである。
上記木製バットのグリップの研磨(研削)は、例えば、サンドペーパー(紙やすり)等の研磨材をグリップに押し当てることにより行われる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明の木製バット加工装置によれば、木製バットのグリップエンドを回転自在に支持し、前記木製バットを回転させる回転部と、前記木製バットの前記グリップエンド側とは反対側の先端部を切削具の水平な直線運動の出力で切削する切削部と、前記回転部と前記切削部との間に配設し、前記木製バットを回転自在に支持する支持部とを具備し、前記木製バットを前記回転部と前記切削部の間で前記回転部及び前記支持部によって水平に支持し、前記回転部によって前記木製バットを回転させた状態で前記切削部の前記切削具の水平な直線運動の出力によって前記木製バットの前記先端部をくり抜き切削する。
【0017】
したがって、回転部と切削部の間で回転部及び支持部により木製バットを水平に(横向きに)支持し、回転部によって木製バットを回転させた状態で切削具の水平の直線運動の出力により木製バットの先端部を水平方向でくり抜き切削するものであるから、垂直方向に切削を行う立形のボール盤加工とは異なり、切削加工の操作で木製バットに垂直荷重、過大な荷重がかかり難いことで、荷重加減を容易にでき、深く切削しすぎたり位置ずれが生じたりし難いものであり、熟練を要することなく容易に精密なくり抜き切削加工が可能である。また、木製バットに過大な荷重がかかり難いうえ、切削具を回転させてバットの先端部をくり抜き切削するものでなく、回転部により木製バットを回転させて切削具の直線運動で木製バットの先端部をくり抜き切削するものであるから、切削作業の安全性も向上する。
よって、請求項1の発明の木製バット加工装置によれば、木製バットの先端部のくり抜き作業の容易化と、安全性の向上を図ることができる。
【0018】
更に、請求項1の発明の木製バット加工装置によれば、回転部によって水平に支持された木製バットを回転させながら、水平方向に切削具を直線運動させて木製バットの先端部のくり抜き切削加工を行うものであり、木製バットを回転させるから、木製バットのグリップ側の外面に研磨材を当てることで、木製バットのグリップ側の研磨(研削)加工を行うこともできる。特に、木製バットを回転させながらグリップを研磨し細くするから、精密な研磨加工が可能であり、仕上がり精度を高くできる。
【0019】
請求項1の発明の木製バット加工装置によれば、軸心の先端に設けた穴あけ芯と、軸心に対し対称に形成され穴の底面側を切削していく径方向の1対の底面さらい刃部と、互いに所定間隔で軸心に対して対称に配置され、穴の外周面側を切削していく周方向の1対の外周切り欠き刃部とを有するものであるから、穴あけ芯により木製バットを切削する中心の位置決めを容易にでる。よって、木質を選ばす、穴あけの位置ずれ、ブレが生じ難い精密なくり抜き(止まり穴加工)を容易とするものである。したがって、くり抜き切削加工の仕上がり精度を高めることができる。また、軸心に対し対称に形成され穴の底面側を切削していく径方向の1対の底面さらい刃部と、互いに所定間隔で軸心に対して対称に配置され、穴の外周面側を切削していく周方向の1対の外周切り欠き刃部との組み合わせであれば、切削屑の排出性を良くし、穴の底をより幅広(径大)な椀状の切削を可能とする。
請求項1の発明の木製バット加工装置によれば、前記切削部の前記切削具の各前記外周切り欠き刃部は、前記穴あけ芯側に向かって径方向に縮小(縮径)した形態であるから、底部が曲面の穴形状のくり抜き、即ち、椀状のくり抜きを容易に可能とするものである。
【0020】
請求項2の発明の木製バット加工装置によれば、木製バットのグリップエンドを回転自在に支持し、前記木製バットを回転させる回転部と、前記木製バットの前記グリップエンド側とは反対側の先端部を切削具の水平な直線運動の出力で切削する切削部と、前記回転部と前記切削部との間に配設し、前記木製バットを回転自在に支持する支持部とを具備し、前記木製バットを前記回転部と前記切削部の間で前記回転部及び前記支持部によって水平に支持し、前記回転部によって前記木製バットを回転させた状態で前記切削部の前記切削具の水平な直線運動の出力によって前記木製バットの前記先端部を縦断面で内面が湾曲した凹状に深さ3.2cm以下、直径2.54~5.1cmの範囲内でくり抜き切削する。
したがって、回転部と切削部の間で回転部及び支持部により木製バットを水平に(横向きに)支持し、回転部によって木製バットを回転させた状態で切削具の水平の直線運動の出力により木製バットの先端部を水平方向でくり抜き切削するものであるから、垂直方向に切削を行う立形のボール盤加工とは異なり、切削加工の操作で木製バットに垂直荷重、過大な荷重がかかり難いことで、荷重加減を容易にでき、深く切削しすぎたり位置ずれが生じたりし難いものであり、熟練を要することなく容易に精密なくり抜き切削加工が可能である。また、木製バットに過大な荷重がかかり難いうえ、切削具を回転させてバットの先端部をくり抜き切削するものでなく、回転部により木製バットを回転させて切削具の直線運動で木製バットの先端部をくり抜き切削するものであるから、切削作業の安全性も向上する。
よって、請求項2の発明の木製バット加工装置によれば、木製バットの先端部のくり抜き作業の容易化と、安全性の向上を図ることができる。
更に、請求項2の発明の木製バット加工装置によれば、回転部によって水平に支持された木製バットを回転させながら、水平方向に切削具を直線運動させて木製バットの先端部のくり抜き切削加工を行うものであり、木製バットを回転させるから、木製バットのグリップ側の外面に研磨材を当てることで、木製バットのグリップ側の研磨(研削)加工を行うこともできる。特に、木製バットを回転させながらグリップを研磨し細くするから、精密な研磨加工が可能であり、仕上がり精度を高くできる。
【0021】
請求項3の発明の木製バット加工装置によれば、前記切削部の前記切削具は、先端に向かって縮径した形状であるから、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、椀状のくり抜きを容易にできる。
【0022】
請求項4の発明の木製バット加工装置により、前記支持部は、回転自在な複数の回転ローラー間に前記木製バットを挟持して支持するものであるから、木製バットを傷付ける負荷を与えることなく、より安定して木製バットを支持でき、木製バットの水平方向の切削時でも、木製バットの撓みを生じ難くできる。よって、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、くり抜き切削の位置ずれが生じ難く、より精密なくり抜き切削加工を容易に可能とする。
【0023】
請求項5の発明の木製バットの加工方法によれば、木製バットを水平に支持して回転させた状態で前記木製バットのヘッド側の先端部を切削具の水平な直線運動の出力で切削する。
したがって、木製バットを水平に(横向きに)支持し、木製バットを回転させた状態で切削具の水平の直線運動の出力により木製バットの先端部を水平方向でくり抜き切削を行うものであるから、垂直方向に切削を行う立形のボール盤加工とは異なり、切削加工の操作で木製バットに垂直荷重、過大な荷重がかかり難いことで、荷重加減を容易にでき、深く切削しすぎたり位置ずれが生じたりし難いものであり、熟練を要することなく容易に精密なくり抜き切削加工が可能である。また、木製バットに過大な荷重がかかり難いうえ、切削具を回転させてバットの先端部をくり抜き切削するものでなく、回転部により木製バットを回転させて切削具の直線運動で木製バットの先端部をくり抜き切削するものであるから、切削作業の安全性も向上する。
よって、請求項5の発明の木製バット加工方法によれば、木製バットの先端部のくり抜き作業の容易化と、安全性の向上を図ることができる。
【0024】
更に、請求項5の発明の木製バット加工方法によれば、水平に支持された木製バットを回転させながら、水平方向に切削具を直線運動させて木製バットの先端部のくり抜き切削加工を行うものであり、木製バットを回転させるから、木製バットのグリップ側の外面に研磨材を当てることで、木製バットのグリップ側の研磨(研削)加工を行うこともできる。特に、木製バットを回転させながらグリップを研磨し細くするから、精密な研磨加工が可能であり、仕上がり精度を高くできる。
【0025】
請求項6の発明の木製バットの加工方法によれば、木製バットを水平に支持して回転させた状態で前記木製バットのグリップを研磨するから、精密な研磨加工が可能であり、仕上がり精度を高くできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は本発明の実施の形態のバット加工装置の全体の構成を示す説明図である。
【
図2】
図2は本発明の実施の形態のバット加工装置で木製バットの先端部を切削加工する状態を説明する全体説明図である。
【
図3】
図3は本発明の実施の形態のバット加工装置で木製バットの先端部を切削加工する状態を説明する要部斜視図である。
【
図4】
図4は本発明の実施の形態のバット加工装置の切削部の構成を示す拡大斜視図である。
【
図5】
図5(a)は本発明の実施の形態のバット加工装置の切削部における切削具の正面図であり、
図5(b)は本発明の実施の形態のバット加工装置の切削部における切削具の側面図である。
【
図6】
図6(a)は本発明の実施の形態のバット加工装置の切削部における切削具で木製バットの先端部を切削加工する加工前の状態を説明する側面図であり、
図6(b)は本発明の実施の形態のバット加工装置の切削部における切削具で木製バットの先端部を切削加工する加工前の状態を説明する斜視図であり、
図6(c)は本発明の実施の形態のバット加工装置の切削部における切削具で木製バットの先端部を切削加工している状態を説明する側面図であり、
図6(d)は本発明の実施の形態のバット加工装置の切削部における切削具で木製バットの先端部を切削加工している状態を説明する斜視図である。
【
図7】
図7(a)は本発明の実施の形態のバット加工装置の支持部で木製バットを支持している状態を説明する斜視図であり、
図7(b)は本発明の実施の形態のバット加工装置の支持部で木製バットを支持している状態を説明する
図7(a)の反対側から見た斜視図である。
【
図8】
図8(a)は本発明の実施の形態のバット加工装置によりくり抜き切削加工された木製バットの先端部の正面図であり、
図8(a)は本発明の実施の形態のバット加工装置によりくり抜き切削加工された木製バットの先端部の斜視図であり、
図8(c)は本発明の実施の形態のバット加工装置によりくり抜き切削加工された木製バットの先端部の断面図である。
【
図9】
図9は本発明の実施の形態のバット加工装置により木製バットのグリップを研磨加工する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、実施の形態において、図示の同一の記号及び同一の符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここでは重複する詳細な説明を省略する。
【0028】
[実施の形態]
まず、本発明の実施の形態に係るバット加工装置Pの構成について、
図1乃至
図7を参照して説明する。
図1及び
図2等に示すように、本発明の実施の形態に係るバット加工装置Pは、木製バットWBのグリップG側を回動自在に支持し、木製バットWBを回転させる回転運動の出力を行う回転部10と、木製バットWBのグリップG側とは反対側のヘッドH側の先端部を切削具25の直線運動の出力で切削する切削部20と、回転部10と切削部20との間に配設し、木製バットWBのヘッドH側を回転自在に水平に支持する支持部30とを有する。
【0029】
また、本実施の形態のバット加工装置Pは、それら回転部10、切削部20及び支持部30を所定の高さで支持するベッド40を有する。
即ち、ベッド40は、ベッド面42aを所定の高さにする脚部41を備え、ベッド面42a上に載置された回転部10を構成する主軸台11、切削部20を構成する心押台21、及び支持部30を構成する取付固定具32を支持し、木製バットWBの切削の際に発生する切削抵抗、振動に耐え得る剛性を有している。特に、平削り後にきさげ仕上げまたは研削仕上げされ、また、溝42bが設けられたベッド面(案内面)42aによって、切削部20を構成する心押台21は、往復の水平移動が許容される取付けである。即ち、ベッド40の上面において溝42bを設けたベッド面42aは、ベッド40のベッド面42aと平行に設けられた回転部10の回転主軸12と同心上に設置されその回転に同期させる木製バットWBの軸方向に対し、切削部20の心押台21の送りを許容する。
【0030】
本実施の形態において、ベッド40の長さ方向の一端部側に設けられた回転部10は、ベッド40の上面に溶接接続またはボルト・ナット等によって固定された主軸台11と、主軸台11に対しベッド40のベッド面42aと平行に取付けられ木製バットWBに回転を与える回転主軸12と、回転主軸12の先端部に取付けられ木製バットWBを回転主軸12に固定するチャック13と、回転主軸12を回転駆動させるためのモーター14と、モーター14の動力を回転主軸12に伝達するベルト(図示せず)と、回転主軸12の回転数を変換する歯車(図示せず)等から構成されている。なお、変速機(図示せず)により回転主軸12の回転数を変化できるものが好ましく、モーター14の回転数(例えば、1400rpm~2000rpm、好ましくは、1700~2000rpm)の変化には、通常、等比級数が採用されるが、無段変速のものであってもよい。
【0031】
本実施の形態の回転部10では、回転主軸12が、ベッド面42aに対して平行に、即ち、その軸方向が水平方向(横向き)に主軸台11に取付けられている。そして、主軸台11から横向きに出ている回転主軸12に固定されたチャック13を介して、木製バットWBが水平方向(横向き)に回転主軸12に取付けられることで、回転主軸12の回転に同期させて木製バットWBをその軸中心に回転させる。
【0032】
木製バットWBのグリップエンドGEを回転主軸12に固定するチャック13としては、例えば、フレアー型のグリップエンドGEであれば、スクロールチャック等が使用でき、複数のジョースライドにより木製バットWBのグリップエンドGEを締め付けて固定する。スクロールチャックとしては、例えば、市販品のNOVA SELECT ミディチャック、NOVA G3 LITE チャック、NOVA スーパーNOVA2 LITE チャック等が使用できる。なお、図においては、例えば、直径8mm~100mmの4つ爪のスクロールチャックにナイロン製等のジョー(例えば、NOVA ソフトジョーセット)を取付けた状態で示している。
【0033】
このようなスクロールチャックの使用によれば、1点にかかる圧力が少なく済むため、圧力が分散し木製バットWBのグリップエンドGEの全体を傷付けずに固定することができる。しかし、本発明を実施する場合には、そのようなスクロールチャックに限定されず、例えば、コレクトチャック、インディペンデントチャック、マグネット式等を使用することもでき、グリップエンドGEのメジャー型、フレアー型、Nタイカップ型、丸型、タイカップ型、スタンダード型等の形状に応じて選択できる。何れせよ、木製バットWBのエンドグリップGEを締め付け挟持して拘束できるものであればよく、回転部10の回転主軸12の軸心に対し木製バットWBを同心にして取付けることができればよい。
【0034】
本実施の形態において、回転部10とは反対側の他端部でベッド40上に設けられている切削部20は、ベッド40のベッド面42aの長手方向に沿って往復の水平移動(水平に摺動)自在にベッド40に設置された心押台21と、心押台21に対しベッド40のベッド面42aと平行に取付けられた心押軸22と、心押台21から横向きに出ている心押軸22の先端部に取付けられ木製バットWBのヘッドH側の先端部を切削する切削具25等から構成されている。
【0035】
心押台21は、回転部10の主軸台11に対向して設置され、ベッド40上のベッド面42aで水平移動自在とし、木製バットWBの長さに応じてベッド40上の任意の位置に設定される。なお、心押台21は、手動操作によりベッド面42aを往復移動自在なものであってもよいし、回転部10のモーター駆動等を利用して自動操作で移動自在なものであってもよい。また、心押台21は、木製バットWBのヘッドH側の先端部のくり抜きを行うときに、心押軸22に取付けられた切削具25を木製バットWBのヘッドH側の先端部に押し付けることにより、木製バットWBのヘッドH側の先端部を支持する。
【0036】
そして、本実施の形態の切削部20では、心押軸22がベッド面42aに対して平行に、即ち、その軸方向が水平方向(横向き)に芯押台21に取付けられており、芯押台21から横向きに出ている心押軸22の先端部に取付けられた切削具25を、横向きに配置され回転運動している木製バットWBのヘッドH側の先端部に押し当て、水平方向に直線運動させる(前進させる)ことにより、木製バットWBのヘッドH側の先端部をくり抜き切削する。
なお、本実施の形態において、切削具25が取付けられた心押軸22は、切削具25側とは反対側に設けられたハンドル24の回動操作でその軸の出し入れが可能となっている。したがって、回転部10のチャック13及び後述する支持部30のかいA間で挟持して水平(横向き)に保持された木製バットWBの長さに合わせ、切削具25が木製バットWBのヘッドH側の先端部に近づくようにベッド40上の芯押台21を摺動させたのち、ハンドル24の回動操作による心押軸22の水平方向への直線運動によって木製バットWBのヘッドH側の先端部に切削具25を押し当てる微調整を容易に可能とする。
【0037】
本実施の形態において、心押台21から横向きに出ている心押軸22の先端部に取付けられた金属製(例えば、ステンレス、スチール、炭素鋼等)の切削具25は、
図4及び
図6等に示したように、チャック23内に挿入されて保持され心押軸22に軸心を同心にして取付けられた柄部25Aと柄部25Aの先端部に形成され穴あけ芯25a及び刃部25b,25cを設けた切削頭部25Bとから構成され、切削頭部25Bは、柄部25Aの軸心方向の先端に設けた鋭利な穴あけ芯25aと、略半楕円のプレートを切削頭部25Bの軸方向を挟んで2分した形態の切削頭部25Bの軸(仮想軸)に対して線対称な1対の底さらい刃部25bと、各プレート状の底さらい刃部25bの一方面側に配置され略楕円体を4分したうちの対向する2個所を欠損した形態の1対(2枚)の略曲面体状の外周切り欠き刃部25cとを有する。
【0038】
切削具25における切削頭部25Bの穴あけ芯25aは、先端が尖った鋭利状であるあるため、木製バットWBのヘッドH側の先端部に対し、木製バットWBの軸心に精密な位置決めをできるものである。即ち、切削具25の穴あけ芯25aを木製バットWBの軸心に刺してぶれずに位置決め(穴あけ)を行うことで、回転運動する木製バットWBの先端部において切削具25の刃部25b,25cの直進運動で切削の軸中心の位置ずれが生じ難く、くり抜き位置が軸心からずれ難いくり抜き加工の精度向上を可能とする。
【0039】
各底さらい刃部25bは、穴あけ芯25a側の正面側(先端面側)で直線刃を有し、楕円を4分に切断した形状(略扇形状)のプレート状であり、穴あけ芯25a側の正面側(先端面側)で外周切り欠き刃部25cよりも僅かに前方(穴あけ芯25a側)に突出していることで、木製バットWBの先端部をくり抜いていくときの穴の底面となる面を削ることにものである。
【0040】
また、各外周切り欠き刃部25cは、略楕円体を4分に切断した形状で曲線(曲面)刃を有し、柄部22A側から穴あけ芯25a側の先端に向かって徐々に縮径(幅狭に)された曲面体状であり、軸方向に垂直な横断面が略扇形状である。こうした外周切り欠き刃部25cは、穴あけ芯25a側の正面側(先端面側)で底さらい刃部25bよりも僅かに後方に位置することで木製バットWBの先端部をくり抜いていくときの穴の周囲面となる面を削ることになるものである。
【0041】
なお、1対の外周切り欠き刃部25c同士の間隔は、正面視で略40°~135°の範囲内、好ましくは、略60°~120°の範囲内の角度を成す略V字状又は略L字状のチップスペースsを形成し、切削屑の排出性を高めている。また、図示しないが、各外周切り欠き刃部25cの正面側(先端側)の曲面には、押圧力が強くかかりすぎないように、即ち、抵抗を少なくして効率的に切削できる(切削量を多くできる)ように、窪み(凹部)が形成されている。なお、反対側の背面側は平面となっている。
また、切削頭部25Bの全体は、軸方向に平行な縦断面で放物線形状(楕円を半分に切断した形状)である。また、切削頭部25Bの外径は、木製バットWBの先端部の外径よりも小さく、26mm~50mmの範囲内のものが使用される。
【0042】
こうした径方向に直線刃を有する底さらい刃部25bと、略楕円体を4分したうちの対向する2個所を欠損した形態で周方向の曲線(曲面)刃を有し先端に向かって徐々に縮径(幅狭に)された曲面体状の1対の外周切り欠き刃部25cとを有する切削具25によれば、切削屑の排出性がよく、木製バットWBの先端部を椀状に容易にくり抜くことができる。即ち、正面視で略V字状または略L字状を成すチップポケットsを形成する1対の外周切り欠き刃部25cの配置により、バットWBをくり抜いていくときの切り屑が外周切り欠き刃部25c間から排出されて、切り屑が穴内に溜まり難く、切り屑が刃物に食い込むといった不具合を避けて、容易に椀状のくり抜きを可能とする。
特に、木製バットWBを縦向きにして垂直方向でくり抜き加工を行う場合には、切り屑が穴の下に落下して溜りやすいことで刃物に食い込むといった不具合が生じやすいのに対し、木製バットWBを横向きにして水平方向でくり抜き加工を行う場合には、切り屑が外に排出されやすく刃物に食い込むといった不具合が生じ難いことでも、水平方向の切削を容易に進行できる。
更に、こうした切削具25は、中ぐり加工やドリル加工を行う切削具と比べ、たわみが生じ難いものでもある。
よって、加工速度等を変化させる熟練技術を要することなく、熟練者でなくとも、木製バットWBの中心軸に対してずれ難く精度の良い穴あけ加工(くり抜き切削)を可能とする。
なお、バット加工装置Pの切削部20の周囲には、木製バットWBの切削により生じた木屑を回収する図示しない集塵機を設置することで、作業環境を良くすることができる。
【0043】
即ち、本実施の形態の切削部20の切削具25は、このように軸心の先端に設けた鋭利な穴あけ芯25aと、軸心に対し対称に形成され穴100の底面側を切削していく径方向の1対の底さらい刃部25bと、互いに略V字状または略L状を成す所定間隔で軸心に対して対称に配置され、椀状の穴100の周面側を切削していく周方向の1対の外周切り欠き刃部25cとを有するものであるから、鋭利な穴あけ芯25aにより木製バットWBを切削する中心の精密な位置決めを容易にでる。よって、木質を選ばす、穴あけの位置ずれ、ブレが生じ難い精密なくり抜き(止まり穴加工)を容易とするものであり、くり抜き切削加工の仕上がり精度を高めることができる。特に、1対の外周切り欠き刃部25c間で略V字状または略L状を成す所定スペース(チップポケット)sを設けていることにより切削屑の排出性を良くできる。また、軸心に対し対称に形成され椀状の穴100の底面側を切削していく径方向の1対の底さらい刃部25bと、略V字状または略L状を成す所定スペース(チップポケット)sを形成する互いに所定間隔で軸心に対して対称に配置され、椀状の穴100の周面側を切削していく周方向の1対の外周切り欠き刃部25cとの組み合わせであれば、穴100の底がより幅広(径大)な椀状の切削を可能とする。加えて、切削の案内が正確となりやすく、切削のくり抜き部位に過剰な力を掛け難いので穴を損傷し難く、切削の位置ずれが生じ難いものである。故に、仕上がり精度の向上を可能とする。
【0044】
更に、本実施の形態において、回転部10と切削部20の間に配設した支持部30は、ベッド40のベッド面(案内面)42aの所定位置に固定され、回転部10及び切削部20間で水平(横向き)に配置される木製バットWBを回転自在に支持することで、回転部10の主軸12と同期して回転する木製バットWBの回転を安定させ、また、木製バットWBのたわみを防止して、芯のズレが生じ難いくり抜き切削(穴あけ)加工を可能とする。
【0045】
本実施の形態の支持部30は、木製バットWBを回転自在に支持するための3個のローラー31A及び各ローラー31Aを回転自在に軸支したアーム部31Bからなるクランプ部31と、クランプ部31をベッド40のベッド面42aに取付け固定する取付固定部32とから構成されている。
各ローラー31Aは、ボールベアリングを内蔵した樹脂製の回転体の周囲にゴム等が配設され、その軸心がアーム部31Bに軸支されているものである。アーム部31Bは、てこの原理(ハサミ方式)を利用したクランプ方式のものであり、軸支するローラー31A間の間隔を調整自在とする複数の孔が形成されている。
即ち、クランプ部31は、木製バットWBの寸法に合わせて3個のローラー31A間に木製バットWBを挟み込むことができるように、ローラー31Aの間隔を調節自在とする複数の孔及びそれに挿入されるボルト・ナット等を有する。
【0046】
3個のローラー31Aを回転自在に軸支したアーム部31Bをベッド40に取付け固定する取付固定部32は、ポール部32A及びベース部32Bによって略L字状に構成され(組み立てられ)、アーム部31Bに設けたリング31aがポール32部に挿入されボルト・ナット等の締付具で締付固定されることによりアーム部31Bが取付けられ、また、ベッド40のベッド面42aの溝42bにベース部32Bに設けた溝を所定の位置で合わせてボルトとブロック状ナット等の固定具の螺合固着でベース部32Bをベッド面42a上に固定することより、ローラー31A及びそれを軸支したアーム部31Bからなるクランプ部31をベッド40に取付け固定する。なお、ポール部32へのアーム部31Bのリング31aの取付位置、即ち、クランプ部31の取付け高さは、ボルト・ナット等の締付具により調節自在となっている。
【0047】
こうして本実施の形態の支持部30では、アーム部31Bに回転自在に軸支された複数のローラー31Aを有するクランプ部31によって、それら複数の回転自在なローラー31A間で木製バットWBを挟持することにより、水平に配置された木製バットWBを回転自在に支持する。
即ち、ベッド40に取付け固定され、アーム部31Bに回転自在に軸支された複数のローラー31Aを有するクランプ部31を備えた支持部30の複数の回転自在なローラー31A間で木製バットWBのヘッドH側を回動自在に水平に挟持することにより、木製バットWBの水平方向に切削の力が加わっている際でも、木製バットWBの撓みを防止して木製バットWBをガタツキなく安定して支持することができる。これより、木製バットWBの回転を安定させて、切削の作業性を良くし、切削加工の位置ずれが生じ難い精密なくり抜き切削を容易に可能とする。
【0048】
なお、
図1及び
図2で示したように、ベッド40の中央側には、回転部10の回転主軸12の回転を指示するスイッチ15が配置され、スイッチ15の入切に従って、回転部10の主軸台11に水平に突き出た回転主軸12及び回転主軸12の先端部に固定されたチャック13が回転される。なお、その回転方向は、通常、特定された一方向の回転である。
【0049】
次に、このように構成されたバット加工装置Pを用いて木製バットWBを加工する動作について説明する。
なお、木製バットWBは、硬式野球のもので、ヘッドH側の最大径が6.7cm未満、長さが106.7cm以下、重さ800~900g程度であるが、硬式、軟式で使用する木製バットWBの種類を問わず適用できる。また、木製バットWBには、例えば、メイプル材、バーチ材(樺材)、アッシュ材(タモ)、ビーチ材(ブナ材)、アオダモ材等から使用される。
【0050】
木製バットWBを加工する際には、バット加工装置Pの回転部10と切削部20との間で木製バットWBを略水平(横向き)にセットする。
具体的には、
図2や
図3で示すように、木製バットWBの一端部のグリップエンドGEを回転部10の回転主軸12に固定されたチャック13によって締め付け固定し、また、回転部10と切削部20との間の支持部30の複数のローラー31A間で木製バットWBを挟み込むことによりバット加工装置Pの回転部10と切削部20との間で木製バットWBを略水平に保持する。このとき、木製バットWBは、その軸心(中心軸)が回転主軸の12の軸心と略一致するように、即ち、回転主軸の12同心上となるように配置される。
【0051】
なお、支持部30は、木製バットWBの長さに応じ、木製バットWBのヘッドH側で、木製バットWBを水平に、ガタツキが生じ難いように保持できる位置でボルトとブロック状ナット等の固定具によりベッド40のベッド面42aに固定する。
また、本実施の形態においては、回転部10と切削部20との間に配置された支持部30は、アーム31Bに軸支されたローラー31A間の間隔、即ち、アーム31BによってローラーA31が軸支される位置をボルト・ナットにより調節自在な構成であることにより、3個のローラー31Aの間隔を開いて3個のローラー31Aの円に対し、木製バットWBの横断面の円が略同一方向となるように木製バットWBをローラー31A間に挿入したのち、木製バットWBを水平に保持できるようボルト・ナットの締め付け位置の調節によりローラー31Aの間隔を調節し、木製バットWBをローラー31A間で水平に把持(挟持)する。
【0052】
そして、このように木製バットWBを回転部10のチャック13及び支持部30の複数のローラー31A間で略水平に保持した状態で、木製バットWBのヘッドH側の端面であってその軸心となる位置に切削部20の切削具25を押し当て穴あけ芯25aを突き刺す。
本実施の形態においては、木製バットWBの長さに応じ、切削部20の芯押台21をベッド40のベッド面42a上を摺動、移動させて所定の位置に設定し、また、ハンドル24の操作により心押軸22からの切削具25の突き出し量を調節することにより、木製バットWBのヘッドH側の端面に切削部20の切削具25の穴あけ芯25aを突き刺すことができる位置に切削具25の位置を調節する。特に、本実施の形態では、切削具25の中心軸(仮想軸)の先端に穴あけ芯25aを設けていることにより、木製バットWBの軸心への精密な位置決めを容易にして、軸ずれのない椀形状の穴100の形成を可能とし加工精度を良くすることできる。
【0053】
更に、このようにバット加工装置Pの回転部10と切削部20間で木製バットWBを略水平に保持した状態で電源スイッチ15をONにして回転部10を駆動させることにより、木製バットWBを回転させる。そして、木製バットWBの回転状態で、木製バットWBのヘッドH側の先端部の端面に穴あけ芯25aが押当てられている切削具25をハンドル24の操作により回転部10側に向かって水平方向に直線移動させる(送り込む)ことで、回転状態にある木製バットWBのヘッドH側の先端部が切削具25によりくり抜き切削されて凹状に穴あけされる。
【0054】
即ち、水平に支持された木製バットWBのヘッドH側の端面に対し、その略中心で切削具25の穴あけ芯25aが突き刺さった状態で、回転部10の回転主軸12の回転駆動により、回転主軸12に固定されたチャック13に把持されている木製バットWBを回転させ、その回転運動している木製バットWBのヘッドH側の先端部に押し当てた切削具25を木製バットWB及び回転主軸12の軸方向と同一方向に水平方向に直線移動させることで、木製バットWBの回転により木製バットWBの先端部に押し当てられた切削具25が木製バットWBの先端部を略椀状(ドーム状、略半楕円体状)の凹状にくり抜き、穴(くぼみ、凹部)100を形成する。
【0055】
こうして、本実施の形態では、木製バットWBを水平(横向き)に支持して、回転状態にある木製バットWBのヘッドH側の先端部に水平方向に切削具25を移動させることで木製バットWBのヘッドH側の先端部を椀状にくり抜く。これにより、木製バットWBの外形(径、太さや長さ)を変えることなく、木製バットWBを軽量化し、また、重心バランスの変更を可能とする。
なお、こうした木製バットWBのヘッドH側の先端部のくり抜き加工は、深さ約3.2cm(1.25インチ)以内、直径約2.54~5.1cm(1~2インチ)の範囲内の椀状とし、穴(くぼみ、凹部)100の縦断面は略半楕円状で周囲がカーブしている、即ち、周面が曲面状のものである。また、穴あけ芯25aの突き刺しにより、椀状の穴100の底部中央には小さい丸穴(凹部)が形成されている。木製バットWBのヘッドH側の先端部のくり抜きにより、例えば、元の重さが約900gの木製バットWBでは約860gまで軽量化できることになる。
【0056】
このように、本実施の形態では、回転部10及び切削部20の間で、回転部10の主軸台11に対して水平に突き出た回転主軸12の先端部に固定されたチャック13によって、木製バットWBのグリップエンドGEを把持し、また、回転部10及び切削部20の間に配設された支持部30の複数のローラー31A間で木製バットWBのヘッドH側を回転自在に挟持することにより、回転部10及び切削部20の間で木製バットWBを水平に支持する。そして、回転部10のチャック13及び支持部30の複数ローラー31Aによって水平に保持された木製バットWBのヘッドH側の端面に対し、切削部20の芯押台21に対して水平に突き出た芯押軸22の先端部に取付けた切削具25を押し当てて穴あけ芯25aを突き刺し、切削具25による切削の位置決めを行う。
【0057】
この状態で回転部10の回転主軸12を回転させ、その回転主軸12の回転出力により、チャック13を介し、回転部10の回転主軸12の出力の中心線上にある木製バットWBを回転運動させる。回転部10の水平な回転主軸12の回動出力に伴い、水平に配置された木製バットWBは中心線が回転円を描くことになる。
このとき、複数のローラー31A間で木製バットWBを保持している支持部30は、ベッド40に取付け固定している取付固定部32に取付けたクランプ部31のアーム部31Bに対し3個のローラー31Aを回転自在に軸支していることで、それらローラー31A間で挟持している木製バットWBの回転に伴い、ローラー31Aが回転することにより木製バットWBがローラー31Aとの間の摩擦で削れることなく、回転主軸12の回転に同期した木製バットWBの回転運動が生じる。
【0058】
そして、回転部10及び切削部20の間で回転部10のチャック13及び支持部30の複数のローラー31Aによって水平に支持された木製バットWBが回転運動している状態で、木製バットWBのヘッドHの端面に対し切削部20の切削具25の穴あけ芯25aを突き刺している切削具25をハンドル24の手動回転操作により回転部10側に向かって直線運動させて木製バットWBのヘッドHの先端部に切削具25を押し当て移動させることにより、即ち、水平に支持された木製バットWBの先端側から反対側に向かう水平軸方向の切削具25の直線運動により、回転状態にある木製バットWBのヘッドHの先端部が切削されて凹状にくり抜かれることにより、椀状の穴100が形成される。
【0059】
本実施の形態では、このように木製バットWBを横向きに固定した状態で木製バットWBを回転させながら切削具25を木製バットWBのヘッドH側の先端部に当てて水平に直線運動させることにより木製バットWBのヘッドH側の先端部をくり抜くものである。
したがって、縦向きに固定した木製バットWBを垂直方向で切削する場合には、垂直荷重が加わることにより大きな荷重がかかりやすいことで、バットの撓みや亀裂を生じないための荷重の加減、重量バランスの精密さを要するため熟練を要するのに対し、本実施の形態では、横向きに固定した木製バットWBを水平方向で切削していくものであるから、木製バットWBに加わる荷重を少なくできることにより、荷重の加減、重量バランスの調整が容易であり、木製バットWBの撓みや亀裂を生じない切削加工が熟練者でなくとも容易にできる。木製バットWBに過剰な力が掛かりにくいことで、g単位の重量の調節も容易に可能となる。
【0060】
また、縦向きに固定した木製バットWBを垂直方向で切削する場合には、重力により切り屑が内部に溜まりやすく切削面を傷付けたりする恐れがあり、また、切削加工面が見えづらいことでも、熟練の切削技術を要するのに対し、本実施の形態では、水平方向に穴あけしていくから、切り屑が内部に溜り難くて切削面を傷付け難く、切削の加工面が見えやすいことで、熟練を要さずに精密な切削加工を可能とする。よって、安価に加工すること可能である。
【0061】
特に、従来の縦向き方向に固定した木製バットWBの垂直方向での切削では、木製バットWBを回転させることなく切削具の回転運動により木製バットWBの垂直方向で切削を行うものであり、木製バットWBに対し垂直荷重による過剰な力が掛かりやすいうえ、切削具が回転することで、安全性の面で非常に神経を使うものであったが、本実施の形態では、横向きに固定した木製バットWBを水平方向で切削していくものであるうえ、切削具25を回転させることなく木製バットWBの回転運動により木製バットWBを水平方向で切削していくものであるから、加工作業の安全性が向上する。
【0062】
また、本実施の形態では、回転部10のチャック13で木製バットWBのグリップエンドGBを挟持し、更に、回転部10と切削部20の間に配設した支持部30のローラー31A間で木製バットWBのヘッドH側を挟持し、木製バットWBの長さ方向の両側を支持していることで、木製バットWBの先端部に対し切削具25を水平方向に直線運動させて切削するときに木製バットWBの重力による撓みが生じ難いものである。
加えて、本実施の形態では、切削具25に穴あけ芯25aを設け、その穴あけ芯25aを木製バットWBの先端面の中心位置に刺して位置決めしてから切削具25によるくり抜きを行うものであり、切削具25の切削位置を正確に位置決めしてから切削するから、穴100の中心位置がぶれ難いものである。
よって、本実施の形態では、穴100の中心が木製バットWBの中心軸からずれ難い切削を可能とし、熟練者でなくとも意匠性が良い高い加工精度、仕上がり精度を得ることが可能である。
【0063】
更に、本実施の形態の木製バット加工装置Pは、回転部10及び切削部20の間で木製バットWBの長さを横向きに固定した状態で木製バットWBを回転させながら切削具25を木製バットWBのヘッドH側の先端部に水平に直線運動させることにより穴100を切削するものであり、木製バットWBを回転させるものであることで、木製バットWBが回転運動している状態で、木製バットWBのグリップGに対し、サンドペーパー(紙やすり)等の研磨材61で削る研磨加工(研削加工)を可能とする。即ち、
図9に示すように、木製バットWBのグリップGに研磨材61を押し当てることで、木製バットWBが回転運動しているから研磨材61によりグリップGの周面が研磨され(削られ)、グリップGが縮径される。
【0064】
よって、木製バットWBの使用者の手の大きさ、好みの握りやすさに合わせたグリップ径の調整が可能である。また、グリップGの研磨によって軽量化を図ることもできる。
また、木製バットWBを握りやすくするためにグリップGにはグリップテープが巻かれて使用されることもあるところ、グリップテープを巻くとその厚み分だけ握りやすさ、操作性が変化してしまうことがあるが、グリップテープを巻く厚み分だけグリップGの周面を研磨しておけば、その上からグリップテープを巻いたときでも元のグリップ径と同程度に維持できることで、違和感のない握りやすさ、操作性を維持できる。
特に、このように木製バットWBを回転させてグリップGを研磨するものでは、熟練者でなくとも周面を均一に研磨でき、バラつきの少ない精密な研磨加工が容易にできる。
【0065】
即ち、本実施の形態の木製バット加工装置Pでは、木製バットWBを回転部10と切削部20の間で回転部10及び支持部30によって水平に支持し、回転部10によって木製バットWBを回転させた状態でサンドペーパー(紙やすり)等の研磨材61を木製バットWBのグリップGに当てることによって木製バットWBのグリップGを研磨して細くすることができる。
このとき、切削部20の切削具25の穴あけ芯25aを木製バットWBの先端面に刺しておくことで、水平に配置した木製バットWBの軸が両端部で支持されていることにより安定する。よって、より加工精度を高くできる。
【0066】
木製バットWBの先端部のくり抜き切削と同時に、グリップGを研磨することも可能であるし、木製バットWBの先端部のくり抜き加工とグリップGの研磨加工とは別に行うこともできる。何れにせよ、本実施の形態の木製バット加工装置Pによれば、回転部10と切削部20との間で回転部10及び支持部30によって水平に木製バットWBを保持するセットを行えば、木製バットWBの向き、配置を変えることなく、木製バットWBの先端部のくり抜き加工とグリップGの研磨加工の両方を行うことができる。よって、短時間の操作で生産性良く、しかも、木製バットWBを回転させることによる木製バットWBの先端部のくり抜き加工とグリップGの研磨加工であるから高い加工精度で、木製バットWBの先端部のくり抜き加工とグリップGの研磨加工の両方を行うことができる。勿論、木製バットWBの先端部のくり抜き加工とグリップGの研磨加工の何れかのみの加工とする場合もある。
【0067】
以上説明してきたように、本実施の形態の木製バット加工装置Pは、木製バットWBのグリップG側の基端部であるグリップエンドGEを回転自在に支持し、木製バットWBを回転させる回転部10と、木製バットWBのグリップエンドGE側とは反対側のヘッドH側の先端部を切削具25の直線運動の出力で切削する切削部20と、回転部10と切削部20との間に配設し、木製バットWBを回転自在に支持する支持部30とを具備し、木製バットWBを回転部10と切削部20の間で回転部10及び支持部30によって水平に支持し、回転部10によって木製バットWBを回転させた状態で切削部20の切削具25の水平の直線運動によって木製バットWBの先端部をくり抜き切削するものである。
【0068】
したがって、本実施の形態の木製バット加工装置Pによれば、回転部10と切削部20の間で木製バットWBを水平に(横向き)に配置して回転部10と支持部30で水平に支持し、回転部10で木製バットWBを回転させた状態で切削具25の水平(横向き)の直線運動の出力により木製バットWBの先端部をくり抜き切削を行うものあり、木製バットWBを水平(横向き)にし、回転させた木製バットWBを水平方向に切削加工していくものである。よって、垂直方向に切削を行う立形のボール盤加工とは異なり、切削加工の操作で木製バットWBに垂直荷重、過大な荷重が掛かり難いことで、荷重加減が容易にできて深く切削しすぎたり位置ずれを生じたりし難く、熟練を要することなく精密なくり抜き切削加工が可能である。また、木製バットWBに垂直荷重による過大な荷重がかかり難いうえ、切削具25を回転させて切削するものでなく、回転部10により木製バットWBを回転させて切削具25の直線運動で木製バットWBの先端部をくり抜き切削するものであるから、切削具25の取扱いや木製バットWBを支持する作業の安全性も向上する。
こうして、上記実施の形態の木製バット加工装置Pによれば、木製バットWBの先端部のくり抜き作業の容易化と、安全性の向上を図ることができる。
【0069】
更に、上記実施の形態の木製バット加工装置Pによれば、回転部10によって水平に支持された木製バットWBを回転させながら、水平方向に切削具25を直線運動させて木製バットWBの先端部のくり抜き切削加工を行うものであり、木製バットWBを回転させるから、木製バットWBのグリップGの外面に研磨材61を当てることにより木製バットWBのグリップGの研磨(研削)加工を行うこともできる。よって、木製バットWBの先端部のくり抜き加工とグリップGの研磨加工の両方を行うことができる。特に、木製バットWBを回転させながらグリップGを研磨し細くするから、精密な研磨加工が可能であり、仕上がり精度を高くできる。
【0070】
また、上記実施の形態の木製バット加工装置Pによれば、切削部20の切削具25は、先端に向かって縮径した形状であるから、少ない抵抗で椀状のくり抜きを容易にできる。
【0071】
特に、上記実施の形態の木製バット加工装置Pによれば、切削部20の切削具25は、軸心の先端に設けた鋭利な穴あけ芯25aと、軸心に対し対称に形成され椀状の穴100の底面側を切削していく径方向の1対の底さらい刃部25bと、互いに略V字状または略L状を成す所定間隔で軸心に対して対称に配置され、椀状の穴100の周面側を切削していく周方向の1対の外周切り欠き刃部25cとを有するものであるから、鋭利な穴あけ芯25aにより木製バットWBを切削する中心の精密な位置決めを容易にできる。よって、木質を選ばす、穴あけの位置ずれ、ブレが生じ難い精密なくり抜き(止まり穴加工)を容易とするものである。故に、くり抜き切削加工の仕上がり精度を高めることができる。
【0072】
また、軸心に対し対称に形成され椀状の穴100の底面側を切削していく径方向の1対の底さらい刃部25bと、互いに略V字状または略L状を成す所定間隔で軸心に対して対称に配置され、椀状の穴100の周面側を切削していく周方向の1対の外周切り欠き刃部25cとの組み合わせであれば、切削屑の排出性を良くし、穴の底をより幅広(径大)な椀状の切削を可能とする。加えて、切削の案内が正確となりやすく、切削部位に過剰な力を掛け難いので穴を損傷し難く、切削の位置ずれが生じ難いものである。故に、仕上がり精度の向上を可能とする。
【0073】
更に、切削部20の切削具25の各外周切り欠き刃部25cは、穴あけ芯25a側に向かって径方向に縮小(縮径)した形態であるから、少ない抵抗で椀状のくり抜きを容易にできる。
【0074】
なお、本発明を実施する場合には、上記実施の形態の切削具25の形状に限定されるものではなく、例えば、外周切り欠き刃部25cの先端側の曲線(曲面)刃にキザキザ(凹凸)を設けてより抵抗を少なく切れ味を良くして効率的な切削(切削量を多く)ができる形態としてもよい。
【0075】
また上記実施の形態の木製バット加工装置Pによれば、支持部30は、複数のローラー31A間に木製バットWBを挟持して支持するものであるから、木製バットWBを傷付ける負荷を与えることなく、より安定して木製バットWBを支持でき、木製バットWBの水平方向の切削時でも、木製バットWの撓みが生じ難いものである。よって、くり抜き切削の位置ずれが生じ難く、より精密なくり抜き切削加工を容易に可能とする。
【0076】
ところで上記説明は、木製バットWBを水平に支持して回転させた状態で木製バットWBのヘッドH側の先端部を切削具25の水平な直線運動の出力で切削する木製バットの加工方法の発明と捉えることもできる。
上記実施の形態の木製バットの加工方法によれば、木製バットWBを水平(横向き)に固定し、木製バットWBを回転させた状態で切削具25の水平(横向き)の直線運動の出力により木製バットWBの先端部をくり抜き切削を行うものあり、木製バットWBを水平(横向き)にし、回転させた木製バットWBを水平方向に切削加工していくものである。よって、垂直方向に切削を行う立形のボール盤加工とは異なり、切削加工の操作で木製バットWBに垂直荷重、過大な荷重が掛かり難いことで、荷重加減が容易にできて深く切削しすぎたり位置ずれを生じたりし難く、熟練を要することなく精密なくり抜き切削加工が可能である。また、木製バットWBに垂直荷重による過大な荷重がかかり難いうえ、切削具を回転させて切削するものでなく、木製バットWBを回転させて切削具25の直線運動で木製バットの先端部をくり抜き切削するものであるから、切削具25の取扱いや木製バットを支持する作業の安全性も向上する。
こうして、上記実施の形態の木製バットの加工方法によれば、木製バットWBの先端部のくり抜き作業の容易化と、安全性の向上を図ることができる。
【0077】
更に、上記実施の形態の木製バットの加工方法によれば、木製バットWBを回転させながら、水平方向に切削具25を直線運動させて木製バットWBの先端部のくり抜き切削加工を行うものであり、木製バットWBを回転させるから、木製バットWBのグリップGの外面に研磨材61を当てることにより木製バットWBのグリップGの研磨(研削)加工を行うこともできる。
即ち、木製バットWBを水平に支持して回転させた状態で木製バットWBのグリップGを研磨するから、木製バットWBの先端部のくり抜き加工とグリップGの研磨加工の両方を行うことができる。特に、木製バットWBを回転させながらグリップGを研磨し細くするから、精密な研磨加工が可能であり、仕上がり精度を高くできる。
【符号の説明】
【0078】
10 回転部
20 切削部
25 切削具
30 支持部
31A ローラー
25a 穴あけ芯
25b 底さらい刃部
25c 外周切り欠き刃部
P バット加工装置
G グリップ
GE グリップエンド
WB 木製バット
【要約】
【課題】木製バットの先端部のくり抜き作業の容易化と、安全性の向上を図ることができること。
【解決手段】木製バット加工装置Pは、木製バットWBのグリップエンドGEを回転自在に支持し、木製バットWBを回転させる回転部10と、木製バットWBのグリップエンドGE側とは反対側の先端部を切削具25の直線運動の出力で切削する切削部20と、回転部10と切削部20との間に配設し、木製バットWBを回転自在に支持する支持部30とを具備し、木製バットWBを回転部10と切削部20の間で回転部10及び支持部30によって水平に支持し、回転部10によって木製バットWBを回転させた状態で切削部20の切削具25の水平の直線運動によって木製バットWBの先端部をくり抜き切削するものである。
【選択図】
図2