(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20231127BHJP
【FI】
H05H1/46 L
(21)【出願番号】P 2022529710
(86)(22)【出願日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 KR2020016397
(87)【国際公開番号】W WO2021101279
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-07-19
(31)【優先権主張番号】10-2019-0150361
(32)【優先日】2019-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509123895
【氏名又は名称】ユ-ジーン テクノロジー カンパニー.リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002398
【氏名又は名称】弁理士法人小倉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨン キ
(72)【発明者】
【氏名】シン,ヤン シク
(72)【発明者】
【氏名】ホ,ドン ビン
(72)【発明者】
【氏名】イ,テ ホ
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-055375(JP,A)
【文献】特開2001-353440(JP,A)
【文献】特開2012-253349(JP,A)
【文献】特開2007-214262(JP,A)
【文献】米国特許第09496121(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/46
H01L 21/3065
H01L 21/31
C23C 16/505
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持プレートと,
前記支持プレートの一面と並んで配置され,内側端から一方向に沿って
離隔するように巻かれる第1乃至第nターン(n=
4以上の整数)を有するアンテナと,
前記アンテナの第m-1ターンと第mターン(mはn未満の整数)との間に固定されて前記第mターンの移動を制限する複数のサポータと,
前記アンテナの内側端を前記一方向または前記一方向とは反対方向に回転して前記第1乃至第
m-1ターンの離隔距離を調節可能な距離調節ユニット
を有し,
前記アンテナは,
前記第1乃至第m-1ターンを備えると共に前記サポータの内側に位置し,前記アンテナの前記内側端の回転により前記アンテナの前記内側端に向けて移動可能な内側アンテナと,
前記第m乃至第nターンを備えると共に前記サポータの外側に位置し,前記アンテナの前記内側端を回転させた際に前記アンテナの前記内側端部に向けた移動が制限される外側アンテナと,
前記内側アンテナと前記外側アンテナとの間に配置されて前記内側アンテナと前記外側アンテナとを結ぶ直線状を成し,前記アンテナの前記内側端の回転によって前記内側アンテナと前記外側アンテナとの間で角度が変化する接続アンテナと,を含む基板処理装置。
【請求項2】
前記アンテナの外側端は固定され,
前記距離調節ユニットは,
前記アンテナの内側端に連結されるホルダと,
前記ホルダに連結されて前記アンテナを前記一方向又は,前記一方向とは反対方向に回転可能な駆動モータと,を備える請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記支持プレートは,中心から離隔されて配置される複数の固定溝を有するが,
前記サポータは前記固定溝にそれぞれ挿入固定される請求項
2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記支持プレートは,中心から離隔されて配置される複数の固定溝を有するが,
前記サポータは前記固定溝にそれぞれ挿入固定される請求項
1記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記基板処理装置は,
基板に対する工程が行われる内部空間を有し,上部が開放されたチェンバと,
前記チェンバ内に設置されて前記基板が置かれるサセプタと,を更に含むが,
前記支持プレートは前記チェンバの上部に設置される請求項1~請求項
4いずれか一項記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,基板処理装置に関し,より詳しくは,アンテナのターンの間に形成される離隔距離を調節可能な基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ発生装置としては,大きく容量結合型プラズマ源(Capacitively coupled plasma source,CCP)と,誘導結合型プラズマ源(Inductively coupled plasma source,ICP)と,プラズマ波(Plasma wave)を利用したヘリコン(Helicon)とマイクロ波プラズマ源(Microwave plasma source)などが提案されている。そのうち,高密度のプラズマを容易に形成し得る誘導結合型プラズマ源が広く使用されている。
【0003】
ICP方式のプラズマ発生装置は,チェンバの内部に設置されるアンテナを備える。前記アンテナは,外部から印加されるRFパワーによってチェンバの内部空間に磁場を作るが,その磁場によって誘導電場が形成される。この際,チェンバ内部に供給される反応ガスは,誘導生成された電場からイオン化に必要な十分なエネルギーを得てプラズマを形成するが,形成されたプラズマは基板に移動して基板を処理する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は,チェンバ内部に形成されるプラズマの密度分布を調節する基板処理装置を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は,基板に対する工程の均一度を改善する基板処理装置を提供することにある。
【0006】
さらに,本発明の他の目的は,下記発明の詳細な説明と添付した図面からより明確になるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施例によると,基板処理装置は,支持プレートと,前記支持プレートの一面と並んで配置され,内側端から一方向に沿って離隔するように巻かれる第1乃至第nターン(n=4以上の整数)を有するアンテナと,前記アンテナの第m-1ターンと第mターン(mはn未満の整数)との間に固定されて前記第mターンの移動を制限する複数のサポータと,前記アンテナの内側端を前記一方向または前記一方向とは反対方向に回転して前記第1乃至第m-1ターンの離隔距離を調節可能な距離調節ユニットを有し,前記アンテナは,前記第1乃至第m-1ターンを備えると共に前記サポータの内側に位置し,前記アンテナの前記内側端の回転により前記アンテナの前記内側端に向けて移動可能な内側アンテナと,前記第m乃至第nターンを備えると共に前記サポータの外側に位置し,前記アンテナの前記内側端を回転させた際に前記アンテナの前記内側端部に向けた移動が制限される外側アンテナと,前記内側アンテナと前記外側アンテナとの間に配置されて前記内側アンテナと前記外側アンテナとを結ぶ直線状を成し,前記アンテナの前記内側端の回転によって前記内側アンテナと前記外側アンテナとの間で角度が変化する接続アンテナと,を含む。
【0008】
前記アンテナの外側端は固定され,前記距離調節ユニットは,前記アンテナの内側端に連結されるホルダと,前記ホルダに連結されて前記アンテナを前記一方向又は,前記一方向とは反対方向に回転可能な駆動モータと,を備える。
【0010】
前記支持プレートは,中心から離隔されて配置される複数の固定溝を有するが,前記サポータは,前記固定溝にそれぞれ挿入固定される。
【0013】
前記基板処理装置は,基板に対する工程が行われる内部空間を有し,上部が開放されたチェンバと,前記チェンバ内に設置されて前記基板が置かれるサセプタと,を更に含むが,前記支持プレートは前記チェンバの上部に設置される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一実施例によると,アンテナの位置を調整してチェンバの内部に形成されるプラズマの密度分布を調節することができる。また,アンテナの位置を調整して電場の形態を調節し,それによって基板に対する工程の均一性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施例による基板処理装置を概略的に示す図である。
【
図2】
図1に示した支持プレートに固定されているアンテナ及び距離調節ユニットを示す図である。
【
図3】
図2に示した距離調節ユニットを示す図である。
【
図4】
図2に示したアンテナの調整状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下,本発明の好ましい実施例を添付した
図1乃至
図4を参照してより詳細に説明する。本発明の実施例は,様々な形態に変形されてもよく,本発明の範囲が以下で説明する実施例に限ると解釈されてはならない。本実施例は,該当発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に本発明をより詳細に説明するために提供されるものである。よって,図面に示した各要素の形状は,より明確な説明を強調するために誇張されている可能性がある。
【0017】
図1は,本発明の一実施例による基板処理装置を概略的に示す図である。
図1に示したように,チェンバ12は,内部空間11を有し,チェンバ12の上部は,開放されている。支持プレート14は,チェンバ12の開放された上部に設置されて,内部空間11を外部から遮断する。
【0018】
チェンバ12は,側面に形成される通路12aを有するが,基板Sは,通路12aを介して内部空間11にロードされるか,内部空間11からアンロードされる。サセプタ20は,下部に設置されて垂直配置される支持軸22によって支持され,内部空間11に設置される。基板Sは,通路12aを介してロードされた後,サセプタ20の上部面に実質水平な状態で置かれる。
【0019】
アンテナ16は,支持プレート14の上部面と実質並んで配置されるコイル型のアンテナであり,後述するように,内側端16aから反時計回りに沿って巻かれる第1乃至第nターン(n=3より大きい整数)を有する。アンテナ16は,RF電源19に接続されるが,RF電源19はアンテナ16に電力を印加する。マッチャー(matcher)18は,アンテナ16とRF電源19との間に設置されるが,マッチャー18によってアンテナ16とRF電源19との間のインピーダンスを整合する。
【0020】
反応ガスは,内部空間11に設置されるシャワーヘッド(図示せず)又は,噴射ノズル(図示せず)によって内部空間11に供給され,後述する電場によってプラズマを生成する。
【0021】
アンテナ16は,RF電源19から供給される電力によって内部空間11に磁場を作るが,この磁場によって誘導電場が形成される。そのために,支持プレート14は,誘電体窓(dielectric window)であってもよい。この際,反応ガスは,誘導生成された電場からイオン化に必要な十分なエネルギーを得てプラズマを生成するが,形成されたプラズマは基板に移動して基板を処理する。
【0022】
図2は,
図1に示した支持プレート14に固定されているアンテナ16及び距離調節ユニットを示す図であり,
図3は,
図2に示した距離調節ユニットを示す図である。
図2及び
図3に示したように,アンテナ16は,支持プレート14の上に配置されるが,支持プレート14の上部面と実質並んで配置されるコイル型アンテナである。アンテナ16は,内側端16aから反時計回りに沿って巻かれた状態で互いに離隔される第1乃至第nターン(n=3より大きい整数)を有する。
【0023】
一方,上述したように,アンテナ16は,内部空間11に電場を形成し,内部空間11に供給された反応ガスからプラズマを生成し,それによって基板を処理する。この際,生成されたプラズマの密度分布は,アンテナ16によって誘導生成される電場の形態に左右され,誘導生成された電場の形態はアンテナ16の形態によって左右される。よって,プラズマによる基板処理工程の結果によって,工程の均一性が不良であれば,アンテナ16の形態を調整して工程の均一性を改善することができる。
【0024】
例えば,蒸着工程の結果,基板の前面に蒸着された薄膜の厚さが著しく不均一な場合,つまり,基板の中心領域で薄膜の厚さが大きくて縁領域で薄膜の厚さが小さい可能性がある。このような工程の不均一には多様な原因があり得るが,プラズマの不均一性,つまり,基板の中心領域ではプラズマの密度が高く基板の縁領域ではプラズマの密度が低いことが一つの原因になり得るが,アンテナ16の形態を調整してプラズマの不均一性を改善することができる。また,工程によって適切なプラズマの密度は異なり,以下で説明する方法は,プラズマの不均一性を改善するための必要以外にも多様に応用される。
【0025】
内部空間11におけるプラズマの密度分布は,アンテナ16によって誘導生成される電場の分布又は,磁場の分布によって左右され,電場/磁場の分布はアンテナ16の形態によって左右される。つまり,上述したように,アンテナ16のターンの間に形成される離隔距離が小さいほど電場/磁場は強くなり,プラズマの密度は増加するが,逆に,アンテナ16のターンの間に形成される離隔距離が大きいほど電場/磁場は弱くなり,プラズマの密度は減少する。
【0026】
詳しくは,アンテナ16の中心領域でターンの間の離隔距離が小さければ,内部空間11の中心領域で電場/磁場は強くなり,プラズマの密度は増加して工程率(または薄膜の厚さ)が増加し,逆に,アンテナ16の中心領域でターンの間の離隔距離が大きければ,内部空間11の中心領域で電場/磁場は弱くなり,プラズマの密度は減少して工程率が減少する。アンテナ16の縁領域の場合も同じである。
【0027】
ターンの間の離隔距離は,アンテナ16の内側端16aを巻くか解く方法によって調節されるが,ホルダ42によってアンテナ16の内側端16aを回転する方法でアンテナ16の内側端16aを巻くか解くことができる。
【0028】
詳しくは,
図1及び
図2に示したように,アンテナ16が支持プレート14の上部に置かれた状態で,アンテナ16の外側端16bは,支持プレート14の上部面に固定される。アンテナ16の内側端16aは,支持プレート14の中心領域に配置された状態でホルダ42の挿入溝内に挿入される。
【0029】
ホルダ42は,下部から窪んだ挿入溝を有し,回転軸46を介して駆動モータ44に連結される。ホルダ42は,駆動モータ44によって正方向または逆方向に回転するが,内側端16aと共に回転する。
【0030】
図4は,
図2に示したアンテナの調整状態を示す図である。
図4の左側の図面に示したように,ホルダ42が時計回りに回転すれば,内側端16aがアンテナ16のターンが巻かれた方向とは反対方向に回転するため,アンテナ16が巻かれて,中心領域に配置されるターンの間の離隔距離は減少する。よって,内部空間11の中心領域において電場/磁場は強くなり,プラズマの密度は増加して,工程率(または薄膜の厚さ)は増加する。
【0031】
逆に,
図4の右側の図面に示したように,ホルダ42が反時計回りに回転すれば,内側端16aがアンテナ16のターンが巻かれた方向に回転するため,アンテナ16が解けて,中心領域に配置されるターンの間の離隔距離は増加する。よって,内部空間11の中心領域において電場/磁場は弱くなり,プラズマの密度は減少して,工程率(または薄膜の厚さ)は減少する。
【0032】
このような方法でアンテナ16を変形し,内部空間11の中心領域と縁領域に対する電場/磁場の分布及びプラズマの密度分布を調整する。
【0033】
一方,サポータ32は,支持プレート14に固定されてアンテナ16のターンとターンの間に配置されるが,内側端16aが回転すればアンテナ16のターンを支持し移動を制限する。支持プレート14は,上部面に形成される複数の固定溝15を有するが,固定溝15は支持プレート14の中心から離隔されて配置される。サポータ32の下端は,固定溝15にそれぞれ挿入され,外力による移動が制限された状態でアンテナ16のターンを支持する。
【0034】
上述したように,内側端16aを回転してターンの間の離隔距離を調整する場合,サポータ32は,離隔距離が調整される調整領域と調整されない非調整領域を区分する一つの境界の役割をする。つまり,
図4に示したように,サポータ32の内側に位置するアンテナ16のターンの離隔距離が減少すれば,サポータ32の外側に位置するアンテナ16のターンは,サポータ32によって移動が制限されて離隔距離がほぼ同じく維持される。逆に,サポータ32の内側に位置するアンテナ16のターンの離隔距離が増加すれば,サポータ32にすぐ隣接したアンテナ16のターンとサポータ32の外側に位置するアンテナ16のターンは,サポータ32によって移動が制限されて離隔距離がほぼ同じく維持される。
【0035】
本発明を好ましい実施例を介して詳細に説明したが,これとは異なる形態の実施例も可能である。よって,以下に記載の請求項の技術的思想と範囲は好ましい実施例に限らない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は,多様な形態の半導体の製造設備及び製造方法に応用される。