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特許7390761ヒートポンプシステムおよびこれを用いた冷暖房システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】ヒートポンプシステムおよびこれを用いた冷暖房システム
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20231127BHJP
   F25B 13/00 20060101ALI20231127BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
F25B1/00 399Y
F25B13/00 351
F24F5/00 102C
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022556673
(86)(22)【出願日】2021-03-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-27
(86)【国際出願番号】 KR2021003412
(87)【国際公開番号】W WO2021187937
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】10-2020-0034611
(32)【優先日】2020-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522370403
【氏名又は名称】ワールドワンハイテク株式会社
【氏名又は名称原語表記】WORLD ONE HI-TECH, INC.
【住所又は居所原語表記】137, Soseok-ro, Daeso-myeon, Eumseong-gun Chungcheongbuk-do 27662 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】リ ヨンフン
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-206337(JP,A)
【文献】中国実用新案第210740587(CN,U)
【文献】実公平4-44979(JP,Y2)
【文献】米国特許第5937663(US,A)
【文献】中国特許出願公開第103486683(CN,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0281266(KR,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 5/00
F25B 1/00
F25B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
暖房時に凝縮器として機能し、冷房時に蒸発器として機能する室内機;暖房時に蒸発器として機能し、冷房時に凝縮器として機能する室外機;前記室内機を通りながら熱交換される熱媒体;および前記室内機を通りながら冷水または温水になった前記熱媒体が流入する蓄熱タンク;を含むヒートポンプシステムにおいて、
前記室内機を経由した後に戻る前記熱媒体が前記蓄熱タンクに流入するように導く第1の入水管;前記第1の入水管を介して前記蓄熱タンクに流入した前記熱媒体が前記蓄熱タンクの外部に流出するように導く第1の出水管;前記第1の出水管を介して前記蓄熱タンクの外部に流出した後に戻る前記熱媒体が前記蓄熱タンクに流入するように導く第2の入水管;および前記第2の入水管を介して前記蓄熱タンクに流入した前記熱媒体が前記室内機側に流出するように導く第2の出水管;を含み、
前記第1の入水管は、
前記蓄熱タンクの内部に引き込まれた構造で形成される第1の引込部;および前記第1の引込部のうち、前記蓄熱タンクの上側方向に向かう部位に貫通形成される複数個の通孔を含み、
前記第1の出水管は、
前記蓄熱タンク内の前記熱媒体が前記第1の出水管の内部に流入するように、前記蓄熱タンクの内部と連通して形成される第1の流入口を含み、
前記第1の流入口は、
前記蓄熱タンクにおいて、前記第1の引込部が位置している領域より、さらに上方領域に位置するように形成され、
前記第2の入水管は、
前記蓄熱タンクの内部に引き込まれた構造で形成される第2の引込部;および前記第2の引込部のうち、前記蓄熱タンクの下側方向に向かう部位に貫通形成される複数個の通孔を含み、
前記第2の出水管は、
前記蓄熱タンク内の前記熱媒体が前記第2の出水管の内部に流入するように、前記蓄熱タンクの内部と連通して形成される第2の流入口を含み、
前記第2の流入口は、
前記蓄熱タンクにおいて、前記第2の引込部が位置している領域より、さらに下方領域に位置するように形成されることを特徴とするヒートポンプシステム。
【請求項2】
前記第1の出水管を介して前記蓄熱タンクの外部に流出した前記熱媒体と第2の流体との間の熱交換が行われる第2の熱交換器;をさらに含み、
前記第1の出水管は、前記第1の入水管を介して前記蓄熱タンクに流入した前記熱媒体が前記第2の熱交換器側に流出するように導き、
前記第2の入水管は、前記第2の熱交換器を経由した後に戻る前記熱媒体が前記蓄熱タンクに流入するように導くことを特徴とする、請求項1に記載のヒートポンプシステム。
【請求項3】
暖房時に凝縮器として機能し、冷房時に蒸発器として機能する室内機;暖房時に蒸発器として機能し、冷房時に凝縮器として機能する室外機;前記室内機を通りながら熱交換される熱媒体;前記熱媒体と第1の流体との間の熱交換が行われる第1の熱交換器;および前記第1の熱交換器を通りながら冷水または温水になった前記第1の流体が流入する蓄熱タンク;を含むヒートポンプシステムにおいて、
前記第1の熱交換器を経由した後に戻る前記第1の流体が前記蓄熱タンクに流入するように導く第1の入水管;前記第1の入水管を介して前記蓄熱タンクに流入した前記第1の流体が前記蓄熱タンクの外部に流出するように導く第1の出水管;前記第1の出水管を介して前記蓄熱タンクの外部に流出した後に戻る前記第1の流体が前記蓄熱タンクに流入するように導く第2の入水管;および前記第2の入水管を介して前記蓄熱タンクに流入した前記第1の流体が前記第1の熱交換器側に流出するように導く第2の出水管;を含み、
前記第1の入水管は、
前記蓄熱タンクの内部に引き込まれた構造で形成される第1の引込部;および前記第1の引込部のうち、前記蓄熱タンクの上側方向に向かう部位に貫通形成される複数個の通孔を含み、
前記第1の出水管は、
前記蓄熱タンク内の前記第1の流体が前記第1の出水管の内部に流入するように、前記蓄熱タンクの内部と連通して形成される第1の流入口を含み、
前記第1の流入口は、
前記蓄熱タンクにおいて、前記第1の引込部が位置している領域より、さらに上方領域に位置するように形成され、
前記第2の入水管は、
前記蓄熱タンクの内部に引き込まれた構造で形成される第2の引込部;および前記第2の引込部のうち、前記蓄熱タンクの下側方向に向かう部位に貫通形成される複数個の通孔を含み、
前記第2の出水管は、
前記蓄熱タンク内の前記第1の流体が前記第2の出水管の内部に流入するように、前記蓄熱タンクの内部と連通して形成される第2の流入口を含み、
前記第2の流入口は、
前記蓄熱タンクにおいて、前記第2の引込部が位置している領域より、さらに下方領域に位置するように形成されることを特徴とするヒートポンプシステム。
【請求項4】
前記第1の出水管を介して前記蓄熱タンクの外部に流出した前記第1の流体と第2の流体との間の熱交換が行われる第2の熱交換器;をさらに含み、
前記第1の出水管は、前記第1の入水管を介して前記蓄熱タンクに流入した前記第1の流体が前記第2の熱交換器側に流出するように導き、
前記第2の入水管は、前記第2の熱交換器を経由した後に戻る前記第1の流体が前記蓄熱タンクに流入するように導くことを特徴とする、請求項3に記載のヒートポンプシステム。
【請求項5】
前記第1の引込部は、
前記蓄熱タンクにおいて、前記第2の引込部が位置している領域より、さらに上方領域に位置するように形成されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のヒートポンプシステム。
【請求項6】
前記第1の引込部の一端部に開放形成される開放口;および
前記第2の引込部の一端部に開放形成される開放口;をさらに含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のヒートポンプシステム。
【請求項7】
前記蓄熱タンクの内部に設けられる渦流防止板をさらに含み、
前記渦流防止板は、
前記第1の引込部が位置している領域よりもさらに下方であり、前記第2の引込部が位置している領域よりもさらに上方に該当する領域に配置される板体からなることを特徴とする、請求項5に記載のヒートポンプシステム。
【請求項8】
前記第2の熱交換器は板状熱交換器であることを特徴とする、請求項2に記載のヒートポンプシステム。
【請求項9】
前記蒸発器から伝達された冷媒を圧縮する圧縮機;前記凝縮器を通った冷媒を膨張させる膨張弁;および暖房と冷房に応じて冷媒の流れを切り替えるための四方バルブ;をさらに含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のヒートポンプシステム。
【請求項10】
前記凝縮器の排出口側から冷媒の一部を引き出し、前記圧縮機に流入する乾燥飽和蒸気に混合させる液熱器をさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載のヒートポンプシステム。
【請求項11】
前記液熱器は、
前記圧縮機の排出口側に設けられたセンサで検出される冷媒の温度に応じて前記冷媒の引き出し量を調整することを特徴とする、請求項10に記載のヒートポンプシステム。
【請求項12】
前記熱媒体は不凍液を含むことを特徴とする、請求項3または4に記載のヒートポンプシステム。
【請求項13】
冷暖房システムにおいて、
請求項1~4のいずれか一項に記載されたヒートポンプシステム;
前記ヒートポンプシステムで熱交換済みの冷水または温水をユーザー装置側に供給する冷温水供給ヘッダ;および
ユーザー装置で用いられた前記冷水または温水を回収して前記ヒートポンプシステム側に戻す冷温水還水ヘッダ;を含むことを特徴とするヒートポンプシステムを用いた冷暖房システム。
【請求項14】
前記冷温水供給ヘッダと前記冷温水還水ヘッダとの間に設けられる差圧バルブをさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載のヒートポンプシステムを用いた冷暖房システム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、ヒートポンプシステムに関し、より詳しくは、冷暖房の選択に応じて室内機と室外機が凝縮器と蒸発器に切り替えられて動作するヒートポンプシステムおよびこれを用いた冷暖房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
通常のヒートポンプシステムは、冷媒が凝縮器、膨張弁および蒸発器を経由して再び圧縮機に流入するサイクルを繰り返す。圧縮機を通った冷媒は、熱交換器である凝縮器で液状に切り替えられ、潜熱を放出し、蒸発器で外部の熱を吸収して蒸発することにより冷暖房を提供するように構成される。
【0003】
従来、ヒートポンプを用いた冷暖房システムは、温度区間によってユーザー負荷に耐えられない場合が発生し、特に常時定温の適切な冷暖房温度を維持することが円滑でないという問題点があった。したがって、様々なユーザー負荷環境において、常時定温を維持し、安定して運営することができるヒートポンプ冷暖房システムの設計が必要である。
【0004】
一般的に、ヒートポンプシステムは、潜熱加熱による早いかつ均一な飽和蒸気加熱が可能であり、圧力と温度との関係を正確に設定することができ、熱伝導率が高いという利点があるが、配管抵抗などの圧力損失により圧力が下がると温度が低くなるという問題点を有している。したがって、ヒートポンプシステムの飽和蒸気の潜熱を冷暖房として活用するためには、負荷側の温度および圧力などの制御条件を最適化しなければならない。
【0005】
このため、韓国登録実用新案第20-281266号は、凝縮器と膨張バルブとの間に設けられ、液状冷媒のみを膨張バルブに供給するようにする受液器;蒸発器で蒸発した冷媒蒸気を昇圧して冷媒循環量を増加させるエジェクター;圧縮機入口の冷媒の過熱度を調整する過熱度調整装置;冷媒流量を制御して容量を調整する容量制御装置;および凝縮圧力を多段に制御する多段凝縮圧力制御弁を含むヒートポンプシステムを開示している。
【0006】
しかし、韓国登録実用新案第20-281266号のようなヒートポンプシステムは、追加的にさらに多くの付加装置を設けなければならないことから、ヒートポンプシステム構築のコストが非常に増加し、メンテナンスにより多くのコストがかかるという問題点があった。
【0007】
さらには、韓国登録実用新案第20-281266号のヒートポンプシステムの過熱度調節装置は、凝縮器を通過した冷媒と圧縮機入口の冷媒蒸気との熱交換のための熱交換装置がさらに必要であるという欠点がある。
【0008】
一方、板状熱交換器は、異種の熱媒体が各層毎に交互に流動して熱交換が行われる装置である。因みに、前記の熱媒体は液状の流体からなり、好ましくは不凍液、水または純水からなってもよい。
【0009】
板状熱交換器は、組み立てが簡単であり、部品数が少なくて生産性が良く、体積を減らすことができ、空間確保に有利であるという利点がある。特に、板状熱交換器は、プレートの形状を変化させることにより、複雑かつ多様化した流路設計が可能であり、特に二種の熱媒体が流動して互いに熱交換を起こす場合、板状熱交換器を適用した方がよい。
【0010】
このような板状熱交換器をヒートポンプシステムに適用する場合、流体(すなわち、熱媒体)流動の配分が全面積にわたって均一に行われるべきであり、そのためにはパイプの内径および流速についての設計が重要である。
【0011】
一方、ヒートポンプシステムは、熱交換用熱媒体が蓄熱タンクの内部に流入し、流出する。ところで、流体である熱媒体が蓄熱タンクの内部に流入する過程で、熱媒体の速い流速により蓄熱タンクの内部に渦流が発生し得る。
【0012】
このような渦流が発生すると、熱媒体の回転運動により主流とは逆方向に渦巻く流れが発生し、熱媒体の持続的かつ均一な供給が阻害され、これにより、最終的には最適な熱交換、定温の冷暖房供給およびシステムの安定した運用が困難になるという問題が生じ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記のような問題点を解決するためのものであり、本発明の目的は、流体が蓄熱タンクの内部に流入する過程で発生する渦流を防止することができるヒートポンプシステムおよびこれを用いた冷暖房システムを提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、過熱度調整装置、多段凝縮圧力制御弁などを含む様々な付加装置を追加的に設けなくても、暖房時には13~18℃、冷房時には3~7℃の熱交換を最適な効率で具現することができ、常時定温の冷暖房を供給および維持することができるヒートポンプシステムおよびこれを用いた冷暖房システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するための本発明によるヒートポンプシステムは、暖房時に凝縮器として機能し、冷房時に蒸発器として機能する室内機;暖房時に蒸発器として機能し、冷房時に凝縮器として機能する室外機;前記室内機を通って熱交換される熱媒体;および前記室内機を通って冷水または温水になった熱媒体が流入する蓄熱タンク;を含むヒートパンプシステムにおいて、
【0016】
前記室内機を経由した後に戻る前記熱媒体が前記蓄熱タンクに流入するように導く第1の入水管;前記第1の入水管を介して前記蓄熱タンクに流入した前記熱媒体が前記蓄熱タンクの外部の負荷側に流出するように導く第1の出水管;前記第1の出水管を介して前記蓄熱タンクの外部の負荷側に流出した後に戻る前記熱媒体が前記蓄熱タンクに流入するように導く第2の入水管;および前記第2の入水管を介して前記蓄熱タンクに流入した前記熱媒体が前記室内機側に流出するように導く第2の出水管;を含む。
【0017】
前記第1の入水管は、前記蓄熱タンクの内部に引き込まれた構造で形成される第1の引込部;および前記第1の引込部のうち、前記蓄熱タンクの上側方向に向かう部位に貫通形成される複数個の通孔を含む。
【0018】
前記第1の出水管は、前記蓄熱タンク内の前記熱媒体が、前記第1の出水管の内部に流入するように、前記蓄熱タンクの内部と連通して形成される第1の流入口を含む。
【0019】
前記第1の流入口は、前記蓄熱タンクにおいて、前記第1の引込部が位置している領域より、さらに上方領域に位置するように形成される。
【0020】
前記第2の入水管は、前記蓄熱タンクの内部に引き込まれた構造で形成される第2の引込部;および前記第2の引込部のうち、前記蓄熱タンクの下側方向に向かう部位に貫通形成される複数個の通孔を含む。
【0021】
前記第2の出水管は、前記蓄熱タンク内の前記熱媒体が、前記第2の出水管の内部に流入するように、前記蓄熱タンクの内部と連通して形成される第2の流入口を含む。
【0022】
前記第2の流入口は、前記蓄熱タンクにおいて、前記第2の引込部が位置している領域より、さらに下方領域に位置するように形成される。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るヒートポンプシステムおよびこれを用いた冷暖房システムによれば、蓄熱タンクの内部に流入する流体の水圧を効果的に分散および拡散させて渦流の発生を防止することができ、熱損失を最小化できるようになった。これにより、熱媒体の持続的かつ均一な供給を保障することができ、熱を効率的に伝達および交換できるようにし、定温の冷暖房供給およびシステムの安定した運用が図れるという効果がある。
【0024】
本発明に係るヒートポンプシステムおよびこれを用いた冷暖房システムによれば、様々なユーザー負荷環境で常時定温の適切な冷暖房温度を維持することができ、ヒートポンプシステムを安定して運用できるという効果がある。
【0025】
特に、過熱度調整装置などを含んだ様々な付加装置を追加的に設けなくても、暖房時には13~18℃、冷房時には3~7℃の熱交換を最適な効率で具現することができ、ヒートポンプシステムの構築およびメンテナンスのコストを大幅に削減できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1の実施形態によるヒートポンプシステムの構成図である。
図2】本発明の一実施形態による第1の熱交換器の斜視図である。
図3図2の分解斜視図である。
図4】本発明の一実施形態による第2の熱交換器の斜視図である。
図5図4の分解斜視図である。
図6】本発明に係る蓄熱タンクおよびこれに設けられた渦流防止装置の断面図である。
図7】本発明に係る第1の入水管の第1の引込部の断面図である。
図8】本発明に係る第2の入水管の第2の引込部の断面図である。
図9】本発明の第2の実施形態によるヒートポンプシステムの構成図である。
図10】本発明の第3の実施形態によるヒートポンプシステムの構成図である。
図11】本発明の第4の実施形態によるヒートポンプシステムの構成図である。
図12】本発明の拡張実施形態によるヒートポンプシステムの構成図である。
図13】本発明に係るヒートポンプシステムの暖房動作時の流体の流れおよびこれらの熱交換動作を示した図である。
図14】本発明に係るヒートポンプシステムの冷房動作時の流体の流れおよびこれらの熱交換動作を示した図である。
図15】本発明のヒートポンプシステムを用いた冷暖房システムの構成図である。
【発明の実施するための形態】
【0027】
本明細書において用いる用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられたものであり、本発明を限定することを意図していない。単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味ではない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものとして理解しなければならない。
【0028】
また、本明細書において、「…上にまたは…上部に」とは、対象部分の上または下に位置することを意味するものであり、これは必ずしも重力方向に基づいて上側に位置することを意味するものではない。即ち、本明細書で言う「…上にまたは…上部に」とは、対象部分の上または下に位置する場合だけではなく、対象部分の前または後に位置する場合も含む。
【0029】
また、領域、板などの部分が他の部分「上にまたは上部に」あるとするとき、これは他の部分の「真上または上部に」接触しているか、または間隔を置いている場合だけではなく、その間に別の部分がある場合も含む。
【0030】
また、本明細書において、一構成要素が他の構成要素と「連結される」、または「接続される」などと言及されたときには、前記一構成要素が前記他の構成要素と直接連結されても、または直接接続されてもよいが、特に相反する記載が存在しない限り、その間に別の構成要素を介して連結されても、または接続されてもよいことを理解しなければならない。
【0031】
さらに、本明細書において、第1、第2などの用語は様々な構成要素を説明することに用いられてもよいが、前記構成要素は前記用語によって限定されるべきではない。前記用語は一つの構成要素を別の構成要素から区別する目的でのみ用いられる。
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態、利点および特徴について詳しく説明する。
【0032】
図1は、本発明の第1の実施形態によるヒートポンプシステムの構成図である。図1を参照すると、本発明に係るヒートポンプシステムは、室内機10、室外機20、圧縮機30、膨張弁50、四方バルブ40、熱媒体、第1の熱交換器100、蓄熱タンク90および第2の熱交換器200を含む。
【0033】
室内機10は、冷暖房モードの選択に応じて凝縮器または蒸発器に切り替えられるように構成される。具体的には、室内機10は、暖房時に凝縮器として機能し、冷房時に蒸発器として機能するように構成される。
【0034】
室外機20は、冷暖房モードの選択に応じて蒸発器または凝縮器に切り替えられるように構成される。具体的には、室外機20は、暖房時に蒸発器として機能し、冷房時に凝縮器として機能するように構成される。一方、室外機20側にはファン25を設けて、室外機20側に送風するように構成されてもよい。
【0035】
圧縮機30は、蒸発器から伝達された冷媒を圧縮するように構成される。具体的には、圧縮機30は、蒸発器から伝達された乾燥飽和状態の冷媒を圧縮して過熱蒸気状態に切り替える。
【0036】
凝縮器は、圧縮機30から伝達された冷媒を液状に相変換して凝縮するように構成される。
【0037】
膨張弁50は、凝縮器を通った冷媒を膨張するように構成される。このような膨張弁50を通った冷媒は湿蒸気状態に変換された後、蒸発器に流入する。
【0038】
蒸発器は、膨張弁50を経由した冷媒を蒸発させて、乾燥飽和蒸気状態に変換するように構成される。
【0039】
四方バルブ40は、暖房と冷房に応じて冷媒の流れを切り替えられるように構成される。具体的には、四方バルブ40は、室内機10と室外機20との間の冷媒流路の途中に設けられ、冷媒が流れる経路を変えることにより、室内機10と室外機20が凝縮器または蒸発器に切り替えられるように機能する。
【0040】
熱媒体は、熱媒体ライン81を介して室内機10および第1の熱交換器100を循環して熱交換するように構成される。
【0041】
熱媒体は液状の流体からなり、好ましくは不凍液、水または純水からなってもよい。
【0042】
熱媒体ライン81は、室内機10を経由した後、再び第1の熱交換器100を経由する閉回路形態から構成され、内部は熱媒体で詰められている。
【0043】
因みに、図1において、「W1」は負荷(すなわち、ユーザー装置)で熱交換に用いられた後、第2の熱交換器200に再び流入する第2の流体を意味し、「W2」は第2の熱交換器200で第1の流体と熱交換され、後述する冷温水供給ヘッダ310側に流れる第2の流体を意味する。
【0044】
図2は、本発明の一実施形態による第1の熱交換器の斜視図であり、図3は、図2の分解斜視図である。図1で説明した第1の実施形態に基づいて、本発明の第1の熱交換器について説明すると、以下の通りである。
【0045】
第1の熱交換器100は、室内機10で生成する熱エネルギーまたは冷エネルギーと蓄熱タンク90の流体との間の熱交換のための装置である。
【0046】
第1の熱交換器100は、熱媒体ライン81を介して室内機10と連結され、流体ライン(以下、「第1の流体ライン91」と称する)を介して蓄熱タンク90と連結される。
【0047】
第1の流体ライン91の内部には、蓄熱タンク90から流出して第1の熱交換器100を経由した後、蓄熱タンク90に回収される流体(以下、「第1の流体」と称する)が流れるように構成される。ここで、前記第1の流体は、水道水源から供給される水であってもよい。
【0048】
熱媒体ライン81は室内機10と第1の熱交換器100を経由する閉回路を形成し、第1の流体ライン91は第1の熱交換器100と蓄熱タンク90を経由する閉回路を形成する。
【0049】
したがって、室内機10を通りながら熱交換された熱媒体は、第1の熱交換器100を通りながら第1の流体と熱交換が行われる。
【0050】
第1の熱交換器100は、異なる温度の流体(すなわち、熱媒体、第1の流体)が、伝熱板の間を互いに逆方向に流れながら高温流体と低温流体との間で熱交換が行われるように構成される。
【0051】
好ましくは、第1の熱交換器は板状熱交換器から構成されてもよい。上記の場合、第1の熱交換器100は、第1のチャンネル140、第2のチャンネル150、複数の伝熱板110、第1のパイプおよび第2のパイプを含む。
【0052】
第1のチャンネル140は、熱媒体が通過する流路であって、一対の伝熱板の間に形成され、第2のチャンネル150は、第1の流体が通過する流路であって、他の一対の伝熱板の間に形成される。
【0053】
伝熱板110は、複数個が所定の間隔で配列された積層構造をなす。伝熱板110は、ステンレス材で形成されてもよく、熱が効率的に伝達されるように流体が流れる空間が形成されている。
【0054】
熱媒体が通過する流路(すなわち、第1のチャンネル140)と第1の流体が通過する流路(すなわち、第2のチャンネル150)は、伝熱板110の積層方向に沿って交互に備えられる構造からなる。
【0055】
第1のパイプは、第1のチャンネル140と連結され、熱媒体の第1のチャンネル140の流入(D1)・流出(D2)を導く管体である。
【0056】
具体的には、第1のパイプは、熱媒体を第1のチャンネル140に注入するための注入口(Inlet)120に連結される第1aのパイプと、第1のチャンネル140を通過した熱媒体を第1のチャンネル140から回収するための排出口(Outlet)121に連結される第1bのパイプを含む。
【0057】
第2のパイプは、第2のチャンネル150と連結され、第1の流体の第2のチャンネル150の流入(K1)・流出(K2)を導く管体である。
【0058】
具体的には、第2のパイプは、第1の流体を第2のチャンネル150に注入するための注入口(Inlet)131に連結される第2aのパイプと、第2のチャンネル150を通過した第1の流体を第2のチャンネル150から回収するための排出口(Outlet)130に連結される第2bのパイプを含む。
【0059】
蓄熱タンク90は、室内機10で生成する蓄冷または蓄熱エネルギーを貯蔵する水槽であって、暖房時には熱源を貯蔵し、冷房時には冷源を貯蔵し、季節に応じて選択的に冷暖房を提供できるように構成される。好ましくは、蓄熱タンク90には渦流防止装置が設けられてもよい。
【0060】
蓄熱タンク90には第1の流体が貯蔵され、第1の流体は第1の流体ライン91を介して第1の熱交換器100を経由することにより、熱媒体と熱交換が行われ、第2の流体ライン93を介して第2の熱交換器200を経由することにより、第2の流体と熱交換が行われる。ここで、蓄熱タンク90に貯蔵される第1の流体は、水道水源から供給される水であってもよい。
【0061】
図4は、本発明の一実施形態による第2の熱交換器の斜視図であり、図5は、図4の分解斜視図である。図1の第1の実施形態に基づいて、本発明の第1の熱交換器について説明すると、以下の通りである。
【0062】
第2の熱交換器200は、異なる温度の流体が伝熱板110の間を互いに逆方向に流れながら高温流体と低温流体との間で熱交換が行われるように構成される。
【0063】
好ましくは、第2の熱交換器は板状熱交換器から構成されてもよい。上記の場合、第2の熱交換器200は、第3のチャンネル240、第4のチャンネル250、複数の伝熱板210、第3のパイプおよび第4のパイプを含む。
【0064】
第3のチャンネル240は、第1の流体(第3、4の実施形態の場合、熱媒体)が通過する流路として伝熱板の間に形成され、第4のチャンネル250は第2の流体が通過する流路として別の伝熱板の間に形成される。
【0065】
伝熱板210は、複数個が所定の間隔で配列された積層構造をなす。伝熱板210は、ステンレス材で形成されてもよく、熱が効率的に伝達されるように流体が流れる空間が形成されている。
【0066】
第1の流体(第3、4の実施形態の場合、熱媒体)が通過する流路(すなわち、第3のチャンネル240)と第2の流体が通過する流路(すなわち、第4のチャンネル250)は伝熱板210の積層方向に沿って交互に備えられる構造からなる。
【0067】
第3のパイプは、第3のチャンネル240と連結され、第1の流体(第3、4の実施形態の場合、熱媒体)の第3のチャンネル240流入(D1’)・流出(D2’)を導く管体である。
【0068】
具体的には、第3のパイプは、第1の流体(第3、4の実施形態の場合、熱媒体)を第3のチャンネル240に注入するための注入口(Inlet)220に連結される第3aのパイプと、第3のチャンネル240を通過した第1の流体を回収するための排出口(Outlet)221に連結される第3bのパイプを含む。
【0069】
第4のパイプは、第4のチャンネル250と連結され、第2の流体の第4のチャンネル250の流入(K1’)・流出(K2’)を導く管体である。
【0070】
具体的には、第4のパイプは、第2の流体を第4のチャンネル250に注入するための注入口(Inlet)231に連結される第4aのパイプと、第4のチャンネル250を通過した第2の流体を回収するための排出口(Outlet)230に連結される第4bのパイプを含む。
【0071】
以下では、図1で説明した第1の実施形態に基づいて、本発明の渦流防止装置について詳しく説明する。
【0072】
第1の流体は、第1の熱交換器または第2の熱交換器を経由した後、蓄熱タンク90の内部に再び流入する。このとき、第1の流体の速い流速によって蓄熱タンク90の内部で渦流が発生されてもよい。
【0073】
このような渦流が発生すると、第1の流体の回転運動によって主流とは逆方向に渦巻く流れが発生し、第1の流体の持続的かつ均一な供給を阻害し、熱効率が低下し、これにより最終的には最適な熱交換性能、定温の冷暖房供給およびシステムの安定した運用が困難になるという問題が生じ得る。
【0074】
本発明の渦流防止装置は、このように第1の流体が蓄熱タンク90の内部に流入する過程で発生し得る渦流を防止する機能をする。
【0075】
図6は、本発明に係る蓄熱タンクおよびこれに設けられた渦流防止装置の断面図であり、図7は、本発明に係る第1の入水管の第1の引込部の断面図であり、図8は、本発明に係る第2の入水管の第2の引込部の断面図である。
【0076】
図6図8を参照すると、本発明の渦流防止装置は、第1の入水管400、第1の出水管420、第2の入水管430、第2の出水管450、および渦流防止板460を含む。
【0077】
第1の入水管400は、第1の熱交換器を経由した後に戻る第1の流体が蓄熱タンク90に流入するように導く構成である。第1の入水管400は、蓄熱タンク90の内部と連結される管体から構成されてもよい。
【0078】
第1の入水管400は、蓄熱タンク90の内部に引き込まれた構造で形成される第1の引込部410と、前記第1の引込部410のうち蓄熱タンク90の上側方向に向かう部位に貫通形成される複数個の通孔411を含む。
【0079】
ここで、第1の引込部410の前記「蓄熱タンク90の上側方向に向かう部位」とは、第1の引込部410の垂直上部から第1の引込部410を見たときに見える領域のことをいう。したがって、図7の一例のように、第1の引込部410が円形断面の管体であると仮定すれば、「B1」の領域が第1の引込部410の垂直上部から第1の引込部410を見たときに(A1)見える領域(B1)、すなわち、前記「蓄熱タンク90の上側方向に向かう部位(B1)」に該当する。
【0080】
一方、第1の引込部410の一端部は、開放口413の形態で開放形成されてもよい。上記の場合、第1の入水管400の内部を移動する第1の流体の一部は、通孔411を介して第1の引込部410の上側方向に排出され、蓄熱タンク90の内部に流入し、残りは開放口413を介して第1の引込部410の右側方向(図3を参照)に排出され、蓄熱タンク90の内部に流入する。
【0081】
第1の出水管420は、第1の入水管400を介して蓄熱タンク90に流入した第1の流体が、第2の熱交換器側に流出するように導く構成である。第1の出水管420は、蓄熱タンク90の内部と連結される管体から構成されてもよい。
【0082】
第1の出水管420は、蓄熱タンク90に貯蔵された第1の流体が、第1の出水管420の内部に流入するように、蓄熱タンク90の内部と連通して形成される第1の流入口423を含む。
【0083】
そして、前記第1の流入口423は、蓄熱タンク90において第1の入水管400の第1の引込部410が位置している領域より、さらに上方領域に位置するように形成される。
【0084】
第2の入水管430は、第2の熱交換器を経由した後に戻る第1の流体が蓄熱タンク90に流入するように導く構成である。第1の入水管400は、蓄熱タンク90の内部と連結される管体から構成されてもよい。
【0085】
第2の入水管430は、蓄熱タンク90の内部に引き込まれた構造で形成される第2の引込部440と、前記第2の引込部440のうち蓄熱タンク90の下側方向に向かう部位に貫通形成される複数個の通孔441を含む。
【0086】
ここで、第2の引込部440の前記「蓄熱タンク90の下側方向に向かう部位」とは、第2の引込部440の垂直下部から第2の引込部440を見たときに見える領域のことをいう。したがって、図8の一例のように、第2の引込部440が円形断面の管体であると仮定すれば、「B2」の領域が第2の引込部440の垂直下部から第2の引込部440を見たときに(A2)見える領域(B2)、すなわち、前記「蓄熱タンク90の下側方向に向かう部位(B2)」に該当する。
【0087】
一方、第2の引込部440の一端部は、開放口443の形態で開放形成されてもよい。上記の場合、第2の入水管430の内部を移動する第1の流体の一部は、通孔441を介して第2の引込部440の下側方向に排出され、蓄熱タンク90の内部に流入し、残りは開放口443を介して第2の引込部440の左側方向(図3を参照)に排出され、蓄熱タンク90の内部に流入する。
【0088】
第2の出水管450は、第2の入水管430を介して蓄熱タンク90に流入した第1の流体が第1の熱交換器側に流出するように導く構成である。第2の出水管450は、蓄熱タンク90の内部と管体から構成されてもよい。
【0089】
*第2の出水管450は、蓄熱タンク90に貯蔵された第1の流体が、第2の出水管450の内部に流入するように、蓄熱タンク90の内部と連通して形成される第2の流入口453を含む。
【0090】
そして、前記第2の流入口453は、蓄熱タンク90において第2の入水管430の第2の引込部440が位置している領域より、さらに下方領域に位置するように形成される。
【0091】
好ましい実施形態によれば、第1の入水管400、特に第1の引込部410は、蓄熱タンク90において第2の入水管430の第2の引込部440が位置している領域より、さらに上方領域に位置するように形成されてもよい。
【0092】
渦流防止板460は、第1の引込部410が位置している領域よりもさらに下方であり、第2の引込部440が位置している領域よりもさらに上方に該当する領域に配置される板体からなってもよい。
【0093】
上記の場合、渦流防止板460は、蓄熱タンク90の内部に横たわる構造で配置されてもよい。例えば、渦流防止板460は、その長軸が蓄熱タンク90の高さ方向に直交する構造で配置されてもよい。
【0094】
好ましい実施形態によれば、渦流防止板460は、第1の入水管400または第2の入水管430の内径の3~5倍の大きさの直径からなる板体から構成されてもよい。
【0095】
上述したような渦流防止装置によれば、蓄熱タンク90の内部に流入する第1の流体の水圧を効果的に分散および拡散させて渦流の発生を防止することができ、熱損失を最小化し、最終的には熱交換効率の向上、定温の冷暖房供給およびシステムの安定した運用を図ることができる。
【0096】
図9は、本発明の第2の実施形態によるヒートポンプシステムの構成図である。図9を参照すると、第2の実施形態によるヒートポンプシステムは、基本的に第1の実施形態のヒートポンプシステムと同じ構成からなり、ただし第1の実施形態の第2の熱交換器を含まないことが相違点である。以下では、第2の熱交換器を含まないことによる相違点を主として説明する。
【0097】
第1の実施形態の場合、蓄熱タンク90に貯蔵された冷水または温水の第1の流体は、第2の流体ライン93を介して第2の熱交換器200を通りながら第2の流体と熱交換が行われた後、再び蓄熱タンク90に戻る。
【0098】
ところで、第2の実施形態によるヒートポンプシステムは、第2の熱交換器を含まないことから、蓄熱タンク90に貯蔵されている冷水または温水の第1の流体は直接負荷側に供給され、負荷側で熱交換に用いられた後、再び蓄熱タンク90に戻る。
【0099】
すなわち、第1の実施形態の冷・温水の第1の流体は負荷側に直接流れ込まない一方、第2の実施形態の冷・温水の第1の流体は負荷側まで流れ込み、負荷側の冷暖房に直接用いられることが相違点である。
【0100】
ここで、前記「負荷」とは、エアコン、ヒータ、暖房分配、給湯温水器などのようなユーザー装置を意味する。
【0101】
一方、図9の第2の実施形態によっても、第1の実施形態で説明した通りの渦流防止装置が備えられてもよいが、上記の場合、第1の実施形態で説明した渦流防止装置に比べ、次のような相違点がある。以下では、その相違点を主として説明する。
【0102】
第2の実施形態によれば、渦流防止装置の第1の出水管420は、第1の入水管400を介して蓄熱タンク90に流入した第1の流体が、負荷(すなわち、ユーザー装置)側に流出するように導く。
【0103】
第2の実施形態によれば、渦流防止装置の第2の入水管430は、負荷(すなわち、ユーザー装置)側で用いられた(熱交換など)後に戻る第1の流体が蓄熱タンク90に流入するように導く。
【0104】
因みに、図9において、「W1」は負荷(ユーザー装置)側で熱交換に用いられた後、蓄熱タンク90に再流入する第1の流体を意味し、「W2」は蓄熱タンク90から排出され、後述する冷温水供給ヘッダ310側に流れる冷・温水の第1の流体を意味する。
【0105】
図10は、本発明の第3の実施形態によるヒートポンプシステムの構成図である。図10を参照すると、第3の実施形態によるヒートポンプシステムは、基本的に第1の実施形態のヒートポンプシステムと同じ構成からなり、ただし第1の実施形態の第1の熱交換器を含まないことが相違点である。以下では、第1の熱交換器を含まないことによる相違点を主として説明する。
【0106】
第1の実施形態の場合、蓄熱タンク90に収められた第1の流体は、第1の流体ライン91を介して第1の熱交換器100を通りながら熱媒体と熱交換が行われた後、再び蓄熱タンク90に戻る。
【0107】
ところで、第3の実施形態によるヒートポンプシステムは第1の熱交換器を含まないことから、蓄熱タンク90には第1の実施形態の第1の流体の代わり、熱媒体が流入・流出されることが相違点である。
【0108】
具体的には、第3の実施形態の熱媒体は、蓄熱タンク90から室内機10側に流出した後、熱媒体ライン81を介して室内機10を経由する。そして、熱媒体は室内機10を通りながら冷水または温水になった後、再び蓄熱タンク90に流入する。
【0109】
蓄熱タンク90に流入した前記冷水または温水の熱媒体は、第2の熱交換器側に排出される。そして、熱媒体は、第2の流体ライン93を介して第2の熱交換器200を通りながら第2の流体と熱交換が行われた後、再び蓄熱タンク90に戻る。
【0110】
一方、図10の第3の実施形態によっても、第1の実施形態で説明した通りの渦流防止装置が備えられてもよいが、上記の場合、第1の実施形態で説明した渦流防止装置に比べ、次のような相違点がある。
【0111】
すなわち、第3の実施形態によれば、渦流防止装置の第1の入水管400は、室内機10を経由した後に戻る熱媒体が蓄熱タンク90に流入するように導くことが相違点である。
【0112】
因みに、図10において、「W1」は負荷(すなわち、ユーザー装置)で熱交換に用いられた後、第2の熱交換器200に再び流入する第2の流体を意味し、「W2」は第2の熱交換器200で熱媒体と熱交換され、後述する冷温水供給ヘッダ310側に流れる第2の流体を意味する。
【0113】
図11は、本発明の第4の実施形態によるヒートポンプシステムの構成図である。図11を参照すると、第4の実施形態によるヒートポンプシステムは、基本的に第1の実施形態のヒートポンプシステムと同じ構成からなり、ただし第1の実施形態の第1の熱交換器と第2の熱交換器を含まないことが相違点である。以下では、第1、2の熱交換器を含まないことによる相違点を主として説明する。
【0114】
第1の実施形態の場合、蓄熱タンク90に収められた第1の流体は、第1の流体ライン91を介して第1の熱交換器100を通りながら熱媒体と熱交換が行われた後、再び蓄熱タンク90に戻る。
【0115】
ところで、第4の実施形態によるヒートポンプシステムは第1の熱交換器を含まないことから、蓄熱タンク90には第1の実施形態の第1の流体の代わり、熱媒体が流入・流出されることが相違点である。
【0116】
具体的には、第4の実施形態の熱媒体は、蓄熱タンク90から室内機10側に流出した後、熱媒体ライン81を介して室内機10を経由する。そして、熱媒体は、室内機10を通りながら冷水または温水になった後、再び蓄熱タンク90に流入する。
【0117】
そして、第1の実施形態の場合、蓄熱タンク90に貯蔵された冷水または温水の第1の流体は、第2の流体ライン93を介して第2の熱交換器200を通りながら第2の流体と熱交換が行われた後、再び蓄熱タンク90に戻る。
【0118】
ところで、第4の実施形態によるヒートポンプシステムは、第2の熱交換器を含まないことから、蓄熱タンク90に貯蔵されている冷水または温水の熱媒体は直接負荷側に供給され、負荷側で熱交換に用いられた後、再び蓄熱タンク90に戻る。
【0119】
すなわち、第1の実施形態の冷・温水の第1の流体は負荷側に直接流れ込まない一方、第4の実施形態の冷・温水の熱媒体は負荷側まで流れ込み、負荷側の冷暖房に直接用いられることが相違点である。
【0120】
因みに、図11において、「W1」は負荷(ユーザー装置)側で熱交換に用いられた後、蓄熱タンク90に再流入する熱媒体を意味し、「W2」は蓄熱タンク90から排出され、後述する冷温水供給ヘッダ310側に流れる冷・温水の熱媒体を意味する。
【0121】
図12は、本発明の拡張実施形態によるヒートポンプシステムの構成図である。図12を参照すると、本発明の拡張実施形態は、図1の第1の実施形態で説明したヒートポンプシステムと同じであり、ただし液熱器60とセンサ65とをさらに含むことが相違点である。
【0122】
液熱器60は、凝縮器の排出口側から液状冷媒の一部を引き出し、圧縮機30に流入する乾燥飽和蒸気に混合させる機能をする。
【0123】
具体的には、液熱器60は、凝縮器の排出口側から冷媒を少量引き出し、圧縮機30の流入口側に注入することにより、圧縮機30に流入する低温・低圧の乾燥飽和蒸気の温度を上昇させる。
【0124】
一実施形態によれば、液熱器60は、凝縮器の排出口側から伝達される冷媒を蒸発させて圧縮機30に流入する乾燥飽和蒸気に混合するように構成されてもよい。
【0125】
液熱器60は、必要に応じて凝縮器の排出口側から引き出す冷媒の量を調整することができるバルブ構造で形成されてもよい。
【0126】
液熱器60のバルブは、圧縮機30の排出口側に取り付けられたセンサ65で検出される冷媒の温度に応じて開閉可否およびその開閉程度(すなわち、冷媒の引き出し量)が調整される。
【0127】
このような液熱器60をさらに備える場合、圧縮機30に流入する冷媒の温度を適切に調整することができる。これにより、圧縮機30の負荷を低減してヒートポンプシステムの安定性および効率を向上させることができる。
【0128】
本発明のヒートポンプシステムは、補助タンク70をさらに備えてもよい。上記の場合、補助タンク70は、室内機10と連結されて室内機10から発生する暖房熱または冷房熱を伝達され、温水または冷水の形態で貯蔵してもよい。
【0129】
一方、図12の拡張実施形態は、図1の第1の実施形態によるヒートポンプシステムに基づいて説明したが、このような液熱器60とセンサ65は、第2の実施形態、第3の実施形態、第4の実施形態によるヒートポンプシステムにも適用してもよいことは言うまでもない。
【0130】
以下では、図1の第1の実施形態によるヒートポンプシステムに基づいて、ヒートポンプシステムの冷房または暖房モード時の熱交換動作について説明する。
【0131】
図13は、本発明によるヒートポンプシステムが暖房用として作動するときの冷媒、熱媒体、第1の流体および第2の流体の流れおよびこれらの熱交換動作を示した図である。
【0132】
図13を参照すると、本発明のヒートポンプシステムが暖房用として作動する場合、室内機10は凝縮器として機能し、室外機20は蒸発器として機能するようになる。
【0133】
圧縮機30は、蒸発器から伝達された乾燥飽和状態の冷媒を圧縮して過熱蒸気状態に切り替える。
【0134】
圧縮機30を通った過熱蒸気は、室内機10(すなわち、凝縮器)で液状に切り替えられ、潜熱を放出する。すなわち、室内機10の冷媒は凝縮過程で熱を発散し、室内機10を経由する熱媒体と熱交換されることにより蓄熱ができるようになる。
【0135】
具体的には、凝縮過程で発散した熱は、室内機10を経由する熱媒体に伝達され、この熱媒体は第1の熱交換器100を通過しながら第1の流体と熱交換され、最終的には蓄熱タンク90に高温の第1の流体が詰められることになる。
【0136】
そして、蓄熱タンク90に貯蔵された高温の第1の流体は、第2の流体ライン93を介して第2の熱交換器200を経由することにより第2の流体と熱交換が行われ、熱を伝達された第2の流体は目的とする用途、例えば、エアコン、暖房機などのユーザー装置に供給される。
【0137】
室内機10(すなわち、凝縮器)を通った冷媒は膨張弁50に流入して湿蒸気に変換される。
【0138】
膨張弁50を経由した湿蒸気状態の冷媒は室外機20(すなわち、蒸発器)に流入する。室外機20に流入した湿蒸気は瞬間的に-20~-30℃に温度が急降下し、外部と熱交換され、温度が上昇する。瞬間的な温度降下を考慮せずに外的な部分だけを見てみると、ファンによる風によって蒸発器に流入するおよそ15℃の低温低圧の湿蒸気は、蒸発器を通りながら0~5℃の低温低圧の乾燥飽和蒸気に変換される。
【0139】
そして、室外機20(すなわち、蒸発器)を経由した低温低圧の乾燥飽和蒸気は、四方バルブ40を介して圧縮機30に流入して圧縮される。そして、圧縮機30を経由した冷媒は再び四方バルブ40を通って凝縮器に流入して新たな暖房サイクルを形成する。
【0140】
一方、室外機20(すなわち、蒸発器)を経由した低温低圧の乾燥飽和蒸気が圧縮機30に流入する前に、液熱器60により少量の液状冷媒が混合されてもよい。
【0141】
すなわち、液熱器60は、室内機10(すなわち、凝縮器)の排出口側から液状冷媒の一部を引き出し、圧縮機30に流入する乾燥飽和蒸気に混合させる。
【0142】
液熱器60が室内機10の排出口側から冷媒を少量引き出し、圧縮機30の流入口側に注入することにより、圧縮機30に流入する低温・低圧の乾燥飽和蒸気の温度を上昇させる。
【0143】
外気の温度が5℃以下または氷点下に下がる場合、室外機20(すなわち、蒸発器)を経由した低温低圧の乾燥飽和蒸気の温度は0~5℃より低くなり、温度の低い冷媒が圧縮機30に流入すると、圧縮機30の出口側の温度が低く、室内機10(すなわち、凝縮器)で温水の温度を正確に上げることができなくなる。したがって、室内機10(すなわち、凝縮器)の排出口側から冷媒を少量引き出し、圧縮機30の入口に注入することにより、圧縮機30に流入する低温低圧の乾燥飽和蒸気の温度を上昇させるように構成されてもよい。
【0144】
本願発明者は、上述したようなヒートポンプシステムの暖房動作において、特に暖房時に13~18℃の熱交換を最適な効率で具現することができ、常時定温の暖房を供給できるように次のような条件を開発した。ここで、前記「定温」とは、13~18℃の暖房温度を意味する。
【0145】
このため、本発明のヒートポンプシステムの冷媒はR407Cを用いてもよい。
【0146】
そして、本発明のヒートポンプシステムの熱媒体は不凍液を用いてもよい。上記の場合、不凍液は水で希釈して用いられてもよい。好ましくは、不凍液中に希釈された水の割合は、溶液全体に対して20~25体積%からなってもよい。
【0147】
上記のような冷媒と不凍液を用いる環境において、本発明のヒートポンプシステムは、少なくとも次の条件1および条件2を満たすように設計されなければならず、好ましくは条件3~条件5をさらに満たすように設計された方がよい。
【0148】
(条件1)第1の熱交換器の設計条件
【0149】
第1の熱交換器100は、板状熱交換器から構成される。上記の場合、第1の熱交換器100は、図2、3で説明および図示したような板状熱交換器から構成されてもよい。
【0150】
第1の熱交換器100の第1のパイプの内径が3mmである条件で、第1の熱交換器100は、次のような条件を満たすように構成されなければならない。
【0151】
すなわち、第1の熱交換器100の第1のチャンネル140は、上述した不凍液が第1のチャンネル140内で平均流速0.8~1.2m/sで流れ、好ましくは平均流速0.9~1.1m/ sで流れるように構成される。
【0152】
好ましくは、第1の熱交換器100の第2のパイプの内径が5mmである条件で、第1の熱交換器100は、次のような条件をさらに満たすように構成されてもよい。
【0153】
すなわち、第1の熱交換器100の第2のチャンネル150は、上述した第1の流体が第2のチャンネル150内で平均流速2.8~3.2m/sで流れ、好ましくは平均流速2.9~3.1m/sで流れるように構成される。
【0154】
(条件2)第2の熱交換器の設計条件
【0155】
第2の熱交換器200は、板状熱交換器から構成される。上記の場合、第2の熱交換器200は、図4、5で説明および図示したような板状熱交換器から構成されてもよい。
【0156】
第2の熱交換器200の第3のパイプの内径が5mmである条件で、第2の熱交換器200は、次のような条件を満たすように構成されなければならない。
【0157】
すなわち、第2の熱交換器200の第1のチャンネル140は、上述した第1の流体が第3のチャンネル240内で平均流速2.8~3.2m/sで流れ、好ましくは平均流速2.9~3.1m/sで流れるように構成される。
【0158】
(条件3)過熱蒸気の条件
【0159】
本発明の圧縮機30は、蒸発器から伝達された冷媒を圧縮して過熱蒸気にする。このとき、圧縮機30は、冷媒ガス全体に対する過熱蒸気の割合が68~82%になるよう圧縮するように構成される。
【0160】
(条件4)圧縮機駆動の条件
【0161】
従来のヒートポンプは、圧縮時の低圧が6~7kgf/cm2 、高圧が15kgf/cm2であり、このとき、冷媒の圧縮温度は54.5℃を基準にして設計されていた。これにより、従来のヒートポンプは、外気温度の変化による調整機能がほとんどなくて、継続的に冷媒の流れを一定に保つことができなかった。
【0162】
これは、外気温度変化による冷媒の温度調節なしに圧縮機30の圧力をさらに高めると、ヒートポンプシステムに急激な負荷をもたらしてシステムが耐えられないため、上記のように15kgf/cmを臨界圧力として設定しているわけである。
【0163】
ところで、本発明のヒートポンプシステムは、圧縮機30に流入する冷媒ガスの温度を液熱器60を介して直接調整することができ、圧縮機30の圧力を従来のヒートポンプシステムの臨界圧力以上に上げることができるようになる。
【0164】
このような環境において、本発明の圧縮機30は、次のような条件を満たすように構成される。すなわち、圧縮機30は圧縮時の高圧が26kgf/cmであり、圧縮機30から排出される冷媒の温度は128~132℃(好ましくは、129~131℃)を満たすように構成される。
【0165】
(条件5)伝熱の条件
【0166】
本発明のヒートポンプシステムは、暖房動作時に、暖房熱が室内機10(凝縮器)→第1の熱交換器100→蓄熱タンク90→第2の熱交換器200に伝熱される過程で、温度が1℃ずつ下がるように構成される。
【0167】
一方、本発明のヒートポンプシステムは、冷房動作時に、冷房熱が室内機10(蒸発器)→第1の熱交換器100→蓄熱タンク90→第2の熱交換器200に伝熱される過程で、温度が1℃ずつ上がるように構成される。
【0168】
例えば、室内機10で冷房熱が2℃であれば、第1の熱交換器100で熱交換された冷放熱は3℃であり、蓄熱タンク90に蓄冷された冷放熱は4℃であり、第2の熱交換器200で熱交換された冷放熱は5℃になるように構成される。
【0169】
図14は、本発明によるヒートポンプシステムが冷房用として作動するときの冷媒、熱媒体、第1の流体および第2の流体の流れ、並びにこれらの熱交換動作を示した図である。
【0170】
図14を参照すると、本発明のヒートポンプシステムが冷房用として作動する場合、暖房用として作動するときに比べ、冷媒が流れる方向を含み、次のような相違点がある。以下では、その相違点を主として説明する。
【0171】
本発明のヒートポンプシステムが冷房用として作動する場合、室内機10は蒸発器として機能し、室外機20は凝縮器として機能するようになる。
【0172】
そして、ヒートポンプシステムの冷房作動時の冷媒の循環サイクルを簡単に説明すると、以下の通りである。
【0173】
圧縮機30で圧縮された高圧の冷媒は、室外機20(すなわち、凝縮器)に流入する。室外機20は、圧縮機30から伝達された冷媒を凝縮させる。そして、冷媒は膨張弁50を通った後、室内機10(すなわち、蒸発器)に流入して不凍液と熱交換をする。すなわち、冷媒は、室内機10(すなわち、蒸発器)で不凍液の熱エネルギーを吸収して蒸発し、これにより室外機20(すなわち、凝縮器)を経由する不凍液と熱交換されることにより蓄冷ができるようになる。
【0174】
具体的には、冷媒の凝縮過程で熱を奪われた低温の不凍液は、第1の熱交換器100を通過しながら第1の流体と熱交換され、最終的には蓄熱タンク90に低温の第1の流体、すなわち、冷水が詰められるようになる。
【0175】
そして、蓄熱タンク90に貯蔵された低温の第1の流体は、第2の流体ライン93を介して第2の熱交換器200を経由することにより第2の流体と熱交換が行われ、これにより低温となった第2の流体は目的とする用途に供給および使用される。
【0176】
蒸発した冷媒は再び圧縮機(30)に戻って冷房サイクルを形成することになる。
【0177】
四方バルブ40は冷媒が流れる経路を変更することにより、室内機10は蒸発器として機能し、室外機20は凝縮器として機能することができるようにする。
【0178】
室内機10(すなわち、蒸発器)を経由した低温低圧の乾燥飽和蒸気が圧縮機30に流入する前に、液熱器60により少量の液状冷媒が混合されてもよい。
【0179】
一方、暖房動作時に、液熱器60は、第1の冷媒引出ライン62を介して室内機10(すなわち、凝縮器)の排出口側から冷媒を少量引き出し、第1の冷媒注入ライン66を介して圧縮機30の流入口側に注入するように構成される。
【0180】
その一方、冷房動作時に、液熱器60は、第2の冷媒引出ライン64を介して室外機20(すなわち、凝縮器)の排出口側から冷媒を少量引き出し、第2の冷媒注入ライン68を介して圧縮機30の流入口側に注入するように構成される。
【0181】
このように、冷暖房動作に応じて第1の冷媒引出ライン62と第2の冷媒引出ライン64が選択的に用いられ、また第1の冷媒注入ライン66と第2の冷媒注入ライン68もまた選択的に用いられる。
【0182】
したがって、冷暖房動作に応じて、第1の冷媒引出ライン62と第2の冷媒引出ライン64との間の切り換えのため、第1の冷媒引出ライン62と第2の冷媒引出ライン64との間に第1の切換バルブ61が設けられてもよい。
【0183】
そして、冷暖房動作に応じて、第1の冷媒注入ライン66と第2の冷媒注入ライン68との間の切り換えのため、第1の冷媒注入ライン66と第2の冷媒注入ライン68との間に第2の切換バルブ63が設けられてもよい。
【0184】
本願発明者は、上述したようなヒートポンプシステムの冷房動作において、特に冷房時の3~7℃の熱交換を最適な効率で具現することができ、常時定温の冷房を供給できるように次のような条件を開発した。ここで、前記「定温」とは、3~7℃の冷房温度を意味する。
【0185】
このため、本発明のヒートポンプシステムの冷媒はR407Cを用いてもよい。
【0186】
そして、本発明のヒートポンプシステムの熱媒体は不凍液を用いてもよい。上記の場合、不凍液は水で希釈して用いられてもよい。好ましくは、不凍液中に希釈された水の割合は、溶液全体に対して20~25体積%からなってもよい。
【0187】
上記のような冷媒と不凍液を用いる環境において、本発明のヒートポンプシステムは、少なくとも上述の条件1および条件2を満たすように設計されなければならず、好ましくは条件3~条件5をさらに満たすように設計された方がよい。ここで、上記条件1~条件5は、図13のヒートポンプシステムの暖房動作について説明した条件と同じであり、詳しい説明は省略する。
【0188】
図15は、本発明のヒートポンプシステムを用いた冷暖房システムの構成図である。
【0189】
因みに、図15の冷暖房システムは、第1の実施形態によるヒートポンプシステムに基づいて説明および図示したが、このような冷暖房システムは、第2の実施形態、第3の実施形態および第4の実施形態によるヒートポンプシステムにも適用できることは言うまでもない。
【0190】
図15を参照すると、本発明の冷暖房システムは、ヒートポンプシステム、冷温水供給ヘッダ310、冷温水還水ヘッダ320および差圧バルブ330を含む。
【0191】
蓄熱タンク90に貯蔵された高温の第1の流体は、第2の流体ライン93を介して第2の熱交換器200を経由することにより、第2の流体と熱交換が行われ、熱を伝達された第2の流体は目的とする用途に供給および使用される。
【0192】
因みに、図12において、「W1」は第2の熱交換器200に流入する第2の流体を意味し、「W2」は第2の熱交換器200で第1の流体と熱交換されて冷温水供給ヘッダ310側に流れる第2の流体を意味する。
【0193】
因みに、図15において、「W1」は負荷(すなわち、ユーザー装置)で熱交換に用いられた後、ヒートポンプシステムに再び流入する流体を意味し、「W2」はヒートポンプシステムで冷水または温水になった流体が、後述する冷温水供給ヘッダ310側に流れる流体を意味する。
【0194】
ここで、前記「目的とする用途」とは、エアコン341、ヒータ342、暖房分配器343、給湯温水器344などのようなユーザー装置340であってもよい。
【0195】
図1の第1の実施形態と図10の第3の実施形態によれば、冷温水供給ヘッダ310は、ヒートポンプシステムの第2の熱交換器200で熱交換された冷温の第2の流体をユーザー装置340側に供給するように構成される。
【0196】
図9の第2の実施形態によれば、冷温水供給ヘッダ310は、ヒートポンプシステムの蓄熱タンクから排出供給される冷温の第1の流体をユーザー装置340側に供給するように構成される。
【0197】
図11の第4の実施形態によれば、冷温水供給ヘッダ310は、ヒートポンプシステムの蓄熱タンクから排出供給される冷温の熱媒体をユーザー装置340側に供給するように構成される。
【0198】
冷温水還水ヘッダ320は、ユーザー装置340で用いられた第2の流体(第2の実施形態の場合は、第1の流体、第4の実施形態の場合は、熱媒体)を回収して第2の熱交換器200側に戻す装置である。
【0199】
冷温水還水ヘッダ320によってヒートポンプシステムに戻った第2の流体(第2の実施形態の場合は、第1の流体、第4の実施形態の場合は、熱媒体)は、ヒートポンプシステムで冷水または温水に熱交換され、再びユーザー装置340に供給される。
【0200】
差圧バルブ330は、冷温水供給ヘッダ310と還水ヘッダ320との間に設けられ、冷温水供給ヘッダ310と還水ヘッダ320のいずれかの圧力が急激に上昇する場合、圧力を調整する。
【0201】
以上、本発明の好ましい実施形態が特定の用語を用いて説明および図示されたが、そのような用語は単に本発明を明確に説明するためのものに過ぎず、本発明の実施形態および記述された用語は以下の特許請求の範囲の技術的思想および範囲から離脱されずに様々な変更および変化が加えられることは自明である。このように変形された実施形態は、本発明の思想および範囲から個別に理解されてはならず、本発明の特許請求の範囲内に属するというべきである。
【符号の説明】
【0202】
10 室内機
20 室外機
30 圧縮機
40 四方バルブ
50 膨張弁
60 液熱器
65 センサ
70 補助タンク
81 熱媒体ライン
90 蓄熱タンク
91 第1の流体ライン
93 第2の流体ライン
100 第1の熱交換器
110、210 伝熱板
140 第1のチャンネル
150 第2のチャンネル
200 第2の熱交換器
240 第3のチャンネル
250 第4のチャンネル
310 冷温水供給ヘッダ
320 冷温水還水ヘッダ
330 差圧バルブ
340 ユーザー装置
400 第1の入水管
410 第1の引込部
411 第1の引込部の通孔
413 第1の引入部の開放口
420 第1の出水管
423 第1の流入口
430 第2の入水管
440 第2の引込部
441 第2の引込部の通孔
443 第2の引入部の開放口
450 第2の出水管
453 第2の流入口
460 渦流防止板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15