(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】組立棚
(51)【国際特許分類】
A47B 47/02 20060101AFI20231127BHJP
A47F 5/10 20060101ALI20231127BHJP
A47B 47/04 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
A47B47/02 B
A47F5/10 B
A47B47/04 A
(21)【出願番号】P 2023119217
(22)【出願日】2023-07-21
【審査請求日】2023-08-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 充嗣
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第03/011075(WO,A1)
【文献】特開2002-051846(JP,A)
【文献】特開2000-050971(JP,A)
【文献】実開昭53-129521(JP,U)
【文献】登録実用新案第3137636(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 57/30-57/34
A47B 47/00-47/04
A47F 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その軸方向に関して一定の間隔を置いて設けられた複数の凹部を有する第1側面と、前記第1側面と隣接する第2側面と、を有する支柱部材と、
凸部を有するとともに前記第1側面に対向する第1部分と、前記第1部分と隣接して設けられるとともに前記第2側面に対向する第2部分と、を有するビーム部材と、
を備え、
前記複数の凹部のそれぞれは、前記第2側面の法線方向に延び、
前記ビーム部材は、前記支柱部材から分離した状態で前記第2側面に対して前記第2部分を対向させた第1位置と、前記第1位置から前記第2側面の法線方向に移動され前記複数の凹部のいずれかに前記凸部を差し込んで前記支柱部材に固定された第2位置と、の間で移動可能であ
り、
前記第1側面は、複数の第2凹部を有し、前記複数の第2凹部のそれぞれは、前記複数の凹部のそれぞれの奥部から下方に延び、
前記凸部は、前記第2位置において前記第2凹部内に落ち込むことが可能であり、それに伴い、前記ビーム部材は、前記第2位置から前記第2位置よりも下方の第3位置に移動可能であり、
前記支柱部材は、前記第2側面から突出するとともに前記軸方向に延びるレールを含み、
前記第2部分は、前記軸方向に延び前記レールに跨ることが可能な鞍状をなした鞍部を有し、前記鞍部は、前記ビーム部材が前記第2位置から前記第3位置との間で移動する際に、前記レールに沿ってスライド移動可能であり、
前記レールは、頂面と、前記頂面に隣接して前記第1側面側に設けられた第1ガイド面と、前記頂面に隣接して設けられ前記第1ガイド面と対向する第2ガイド面であって、下方に行くにつれて前記第1側面から遠ざかるように斜めになった第2ガイド面と、を有する組立棚。
【請求項2】
前記第1側面は、前記凹部と前記第2凹部で囲まれた位置に突起を有し、
前記ビーム部材が前記第3位置にある際に、前記第2凹部内に落ち込んだ前記凸部は前記突起と係合する請求項
1に記載の組立棚。
【請求項3】
前記鞍部は、前記第2ガイド面でガイドされる被ガイド面を有し、前記被ガイド面は、上方に行くにつれて前記レールに近づくように斜めになった請求項
1に記載の組立棚。
【請求項4】
前記ビーム部材は、前記第1側面の法線方向に延びるビーム本体を有し、
前記第1側面の法線方向は、長手方向に合致している請求項
1に記載の組立棚。
【請求項5】
前記支柱部材は、前記第1側面に対向する位置で、且つ前記第2側面に隣接する位置に、追加的に設けられた第1側面を有する請求項1に記載の組立棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分解・組立が可能な組立棚に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、組立棚が知られている(例えば、特許文献1参照)。この組立棚は、柱部材と、柱部材に取り付けられる桁部材と、を備える。この組立棚では、柱部材に一対の突出部が設けられている。この突出部は、一対の突出部と、一対の突出部の内側面に形成された一対の傾斜面と、を有する。一対の傾斜面は、棚の長手方向と、棚の長手方向と交差する短手方向と、の両方向に関して、桁部材を柱部材に対して位置決めすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】欧州特許出願公開0686817A2号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この組立棚では、一対の突出部に桁部材の長手方向の位置決めと、桁部材の短手方向の位置決めの両方の機能を担わせているため、一対の突出部にある程度の強度を持たせる必要がある。このため、一対の突出部をある程度の大きさで形成する必要がある。一方、一対の突出部をある程度の大きさで形成すると、桁部材の設置高さの自由度が低下して、比較的に大きなピッチでしか桁部材の設置高さを調整できない問題がある。また、一対の突出部をある程度の大きさで形成すると、桁部材の設置高さを変更する際に、桁部材と一対の突出部が衝突してしまい、桁部材の設置高さの変更作業がやりにくい問題がある。
【0005】
従って、本発明の目的は、ビーム部材の設置高さをより細かい間隔で調整でき、且つ、ビーム部材の設置高さの変更を極めて簡単に行える組立棚を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明(1)の組立棚は、
その軸方向に関して一定の間隔を置いて設けられた複数の凹部を有する第1側面と、前記第1側面と隣接する第2側面と、を有する支柱部材と、
凸部を有するとともに前記第1側面に対向する第1部分と、前記第1部分と隣接して設けられるとともに前記第2側面に対向する第2部分と、を有するビーム部材と、
を備え、
前記複数の凹部のそれぞれは、前記第2側面の法線方向に延び、
前記ビーム部材は、前記支柱部材から分離した状態で前記第2側面に対して前記第2部分を対向させた第1位置と、前記第1位置から前記第2側面の法線方向に移動され前記複数の凹部のいずれかに前記凸部を差し込んで前記支柱部材に固定された第2位置と、の間で移動可能である。
【0007】
また、本発明(2)の組立棚は、(1)記載の組立棚であって、
前記第1側面は、複数の第2凹部を有し、前記複数の第2凹部のそれぞれは、前記複数の凹部のそれぞれの奥部から下方に延び、
前記凸部は、前記第2位置において前記第2凹部内に落ち込むことが可能であり、それに伴い、前記ビーム部材は、前記第2位置から前記第2位置よりも下方の第3位置に移動可能である。
【0008】
また、本発明(3)の組立棚は、(2)記載の組立棚であって、
前記支柱部材は、前記第2側面から突出するとともに前記軸方向に延びるレールを含み、
前記第2部分は、前記軸方向に延び前記レールに跨ることが可能な鞍状をなした鞍部を有し、前記鞍部は、前記ビーム部材が前記第2位置から前記第3位置との間で移動する際に、前記レールに沿ってスライド移動可能である。
【0009】
また、本発明(4)の組立棚は、(3)記載の組立棚であって、
前記第1側面は、前記凹部と前記第2凹部で囲まれた位置に突起を有し、
前記ビーム部材が前記第3位置にある際に、前記第2凹部内に落ち込んだ前記凸部は前記突起と係合する。
【0010】
また、本発明(5)の組立棚は、(3)又は(4)に記載の組立棚であって、
前記レールは、頂面と、前記頂面に隣接して前記第1側面側に設けられた第1ガイド面と、前記頂面に隣接して設けられ前記第1ガイド面と対向する第2ガイド面であって、下方に行くにつれて前記第1側面から遠ざかるように斜めになった第2ガイド面と、を有する。
【0011】
また、本発明(6)の組立棚は、(5)に記載の組立棚であって、
前記鞍部は、前記第2ガイド面でガイドされる被ガイド面を有し、前記被ガイド面は、上方に行くにつれて前記レールに近づくように斜めになった。
【0012】
また、本発明(7)の組立棚は、(5)又は(6)に記載の組立棚であって、
前記ビーム部材は、前記第1側面の法線方向に延びるビーム本体を有し、
前記第1側面の法線方向は、長手方向に合致している。
【0013】
また、本発明(8)の組立棚は、(1)~(7)に記載の組立棚であって、
前記支柱部材は、前記第1側面に対向する位置で、且つ前記第2側面に隣接する位置に、追加的に設けられた第1側面を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ビーム部材の設置高さをより細かい間隔で調整でき、且つ、ビーム部材の設置高さの変更を極めて簡単に行える組立棚を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】
図1に示す組立棚から棚板を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図3】
図2に示す組立棚からビーム部材を宙に浮かせた状態を示す斜視図である。
【
図4】
図3に示す組立棚の枠体を分解して示す分解斜視図である。
【
図5】
図2に示す組立棚の一部を拡大して示す斜視図である。
【
図6】
図2に示す組立棚において、ビーム部材を180°回転させて第1部分および第2部分を見やすい位置にして宙に浮かせた状態を示す斜視図である。
【
図7】
図2に示す組立棚において、支柱部材の第2側面に対してビーム部材の第2部分を対向させた第1位置にある状態を示す斜視図である。
【
図8】
図7に示す組立棚から、ビーム部材を第2側面の法線方向に移動して、複数の凹部のいずれかに凸部を差し込んで支柱部材に固定した第2位置にある状態を示す斜視図である。
【
図9】
図7に示す組立棚から、ビーム部材を自重で下方の第3位置に移動させた状態を示す斜視図である。
【
図10】
図2に示す組立棚において、支柱部材の第2側面に対してビーム部材の第2部分を対向させた第1位置にある状態を示す断面図である。
【
図11】
図10に示す組立棚から、ビーム部材を第2側面の法線方向に移動して、複数の凹部のいずれかに凸部を差し込んで支柱部材に固定した第2位置にある状態を示す断面図である。
【
図12】
図11に示す組立棚から、ビーム部材を自重で下方の第3位置に移動させ、凸部が第2凹部内に落ち込んだ状態を示す斜視図である。
【
図13】
図10に示す組立棚から、ビーム部材を第2側面の法線方向に移動して、複数の凹部のいずれかに凸部を差し込んで支柱部材に固定した第2位置にある状態を示す断面図である。
【
図14】
図13に示す組立棚から、ビーム部材を自重で下方の第3位置に移動し、ビーム部材の被ガイド面がレールの第2ガイド面でガイドされ、楔の効果でビーム部材が第1側面に押し付けられた状態を示す断面図である。
【
図15】
図2に示す組立棚において、棚体を設置する途中の状態を示す斜視図である。
【
図16】本実施形態の変形例の組立棚を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下図面を参照して、本発明の組立棚の実施形態について説明する。本発明の組立棚は、極めて少ない部品点数で構成され、組立・分解も容易なものである。また、ビーム部材の設置高さをより細かい間隔で調整可能で、かつ凹凸の形状が単純で清掃性も良好なものである。以下では、組立棚の長手方向をL、組立棚の長手方向Lと交差(直交)する短手方向をS、組立棚の高さ方向(支柱部材の軸方向)A、として説明を進める。
[第1実施形態]
【0017】
図1~
図3に示すように、組立棚11は、4か所の角部に設けられる計4個の支柱部材12と、短手方向Sに沿って設けられ支柱部材12同士を連結するロッド状の複数の連結具13と、横方向に延び且つ長手方向Lに沿って支柱部材12同士の間で亘される複数のビーム部材14と、連結具13の下端に設けられた脚部15と、一対のビーム部材14同士の間にわたされる棚板16と、を備える。
【0018】
図1、
図15に示すように、棚板16は、短手方向Sの両端部に、一対のビーム部材14に引っ掛けられる一対の引掛部分17を有する。棚板16は、複数の貫通孔18を有する。貫通孔18は、例えば、短手方向Sに細長く形成されている。
【0019】
連結具13は、支柱部材12の上端と、支柱部材12の下端と、にそれぞれ設けられる。連結具13同士は、互いに同形態に形成される。連結具13は、横方向(水平方向)に延びている。
【0020】
図3、
図4に示すように、連結具13のそれぞれは、縦長の長方形の断面形状を有する角柱形に形成されており、両端部に一対の差込穴21を有する。この差込穴21に対して、支柱部材12の両端部に設けられた角柱形の差込部22を差し込むことで、簡単に支柱部材12同士を連結することができる。連結具13は、樹脂材料によって一体的に成形されているが、内部に例えばスチール製の中空の角パイプ等で構成された芯材を有していてもよい。その場合、連結具13は、例えばインサート成形で製造することができる。
【0021】
支柱部材12の下端に位置する連結具13には、脚部15が取り付けられる。
図4に示すように、脚部15は、ボルト15Aおよびナット15Bの組み合わせで構成され、連結具13からの突出長さを適宜に調整することができる。脚部15をキャスターで構成し、組立棚11を移動可能にすることも当然にできる。
【0022】
図1~
図4に示すように、4個の支柱部材12は、互いに同形態で構成されている。支柱部材12のそれぞれは、鉛直方向に延びている。支柱部材12は、その軸方向A(上下)の両端部に、差込部22を有する。
【0023】
図4~
図6に示すように、支柱部材12は、角柱形に形成されている。支柱部材12は、樹脂材料によって一体的に形成されているが、内部に例えばスチール製の中空の角パイプ等で構成された芯材を有していてもよい。その場合、支柱部材12は、例えばインサート成形で製造することができる。
【0024】
図6では、組立棚11の構造理解を容易にするために、ビーム部材14を実際とは180°回転させた位置で、宙に浮かせた状態で示している。
【0025】
支柱部材12は、互いに対向する一対の第1側面23と、第1側面23に隣接する第2側面24と、第2側面24から突出する一対のレール25と、を有する。第1側面の法線31方向(第1側面23と直交する直線方向)は、組立棚11の長手方向Lに沿っている。第2側面の法線32方向(第2側面24と直交する直線方向)は、組立棚11の短手方向Sに沿っている。第2側面24は、一対の第1側面23のいずれとも直交している。支柱部材12は、左右対称形をなしている。
【0026】
一対の第1側面23のそれぞれは、その軸方向Aに関して一定の間隔を置いて設けられた複数の凹部33と、複数の凹部33の奥部から下方に延びる複数の第2凹部34と、凹部33と第2凹部34で囲まれた位置に設けられた略四角形の突起35と、を有する。凹部33は、横方向、すなわち第2側面の法線32方向(第2側面24と直交する方向)に延びている。
【0027】
第2凹部34のそれぞれは、凹部33の奥部(凹部33の第2側面24側とは反対側の端部)と連続している。第2凹部34は、上下方向(支柱部材12の軸方向A)に延びている。第1側面23を正面から見たときに、凹部33および第2凹部34は、「L」字形をなしている。第2凹部34の下端は、直下に位置する凹部33の奥部と連続している。第2凹部34の下端の形状はこれに限られるものではない。例えば、第2凹部34の下端と直下の凹部33との間を仕切るように、突起35の下端から第2側面の法線32方向に延びる突条を有していてもよい。
【0028】
突起35は、第1側面23を正面から見て、略正方形に形成されている。突起35は、凹部33および第2凹部34を構成している部分から数ミリ程度突出するように形成されている。突起35は、レール25の後述する第1ガイド面42から第1側面23に跨るように形成されている。
【0029】
図6に示すように、一対のレール25は、支柱部材12の軸方向Aに延びている。一対のレール25は、第2側面24の幅方向の両端部に設けられている。一対のレール25のそれぞれは、頂面41と、頂面41に隣接して第1側面23側に設けられた1個の第1ガイド面42と、頂面41に隣接して設けられ第1ガイド面42と対向する複数の第2ガイド面43と、を有する。
【0030】
複数の第2ガイド面43は、支柱部材12の軸方向Aに一定の間隔を置いて設けられた複数の凹部33に1対1で対応するように、支柱部材12の軸方向Aに直列に並んで設けられている。複数の第2ガイド面43のそれぞれは、下方に行くにつれて第1側面23から遠ざかるように斜めになっている。このため、第2ガイド面43は、ビーム部材14が第2位置P2から第3位置P3に移動する際に、ビーム部材14を第1側面23に近づく方向に引き寄せて位置決めすることができる。
【0031】
図2、
図3に示すように、複数のビーム部材14は、互いに同形態に形成されている。ビーム部材14は、横方向(水平方向)に延びている。ビーム部材14は、樹脂材料によって一体的に形成されているが、後述するビーム本体46の内部に例えばスチール製の中空の角パイプ等で構成された芯材を有していてもよい。その場合、ビーム部材14は、例えばインサート成形で製造することができる。
【0032】
図6、
図7に示すように、ビーム部材14は、第1側面23に対向する第1部分44と、第2側面24に対向する第2部分45と、第1部分44から第1側面の法線31方向に延びるビーム本体46と、を有する。第1部分44および第2部分45は、支柱部材12の軸方向Aから見て、「L」字形をなしている。ビーム本体46は、縦長の四角形の断面形状を有する角柱形に形成されている。
【0033】
第1部分44は、複数の凸部47と、複数の凸部47のそれぞれの上端から横方向(水平方向)に延びる複数の引掛部53と、を有する。第1部分44は、例えば、3個の凸部47および3個の引掛部53を有する。凸部47のそれぞれは、第1部分44を正面から見たときに、略正方形をなしている。引掛部53は、凸部47と一体的に形成されている。凸部47および引掛部53は、第1部分44の他の部分から数ミリ程度突出するように形成されている。複数の凸部47同士の間隔は、凹部33同士の間の間隔と略同等に形成されている。
【0034】
引掛部53は、
図12に示すように、ビーム部材14が第3位置P3にあるときに、支柱部材12の突起35が引っ掛かる部分を構成している。
【0035】
図6に示すように、第2部分45は、板状をなしている。第2部分45は、鞍状(断面アーチ状)をなした鞍部51を有する。鞍部51は、支柱部材12の軸方向Aに延びており、レール25に対して跨ることができる。鞍部51は、第2ガイド面43でガイドされる被ガイド面51Aを複数有する。
図6、
図7、
図13等に示すように、被ガイド面51Aは、上方に行くにつれてレール25(レール25の中心軸C)に近づくように斜めになっている。
【0036】
続いて、本実施形態の組立棚11の組立方法および作用について説明する。まず、
図4に示すように、作業者は、一対の支柱部材12同士を一対の連結具13を介して短手方向Sに連結して、枠状になった枠体52を形成する。その際、作業者は、支柱部材12の上端同士を上側の連結具13で固定し、支柱部材12の下端同士を下側の連結具13で固定する。さらに、下側の連結具13に対して脚部15を取り付ける。このようにして、枠体52を2つ形成する。
【0037】
図2、
図3、
図6、
図7に示すように、作業者は、長手方向Lに関して隣接する支柱部材12同士に、ビーム部材14をわたすようにする。その際、
図7、
図10に示すように、作業者は、ビーム部材14を、支柱部材12から分離した状態で、第2側面24に対して第2部分45を対向させた第1位置P1にする。
【0038】
作業者は、
図7、
図8に示すように、ビーム部材14を、その第1位置P1から、第2側面の法線32方向(略水平方向)に移動させて、複数の凹部33のいずれかに凸部47を差し込んで支柱部材12に固定された第2位置P2にする。その際、ビーム部材14の第2部分45の鞍部51は、支柱部材12のレール25に跨るようになる。このとき、
図10、
図11に示すように、ビーム部材14の3個の凸部47は、支柱部材12の3個の凹部33内に差し込まれる。作業者は、ビーム部材14の凸部47を、支柱部材12の凹部33の最も奥部まで差し込むようにする。
【0039】
支柱部材12の凹部33の最も奥部まで差し込まれたビーム部材14は、
図9に示すように、手で押し下げたり、或いは金槌等の工具で上方から叩いたりすることで、下方に落ち込ませることができる。その際、
図11、
図12に示すように、ビーム部材14の凸部47は、支柱部材12の凹部33の奥部から第2凹部34内に落ち込むように移動する。これによって、ビーム部材14は、第2位置P2から第3位置P3に移動する。なお、本実施形態では、ビーム部材14の第2位置P2から第3位置P3への移動を手や工具で押し込むようにしているが、この態様に限られるものではなく、ビーム部材14の自重によって第2位置P2から第3位置P3に移動するようにしてもよい。
【0040】
このとき、
図12に示すように、支柱部材12の突起35に対して、第2凹部34内に落ち込んだ凸部47が係合する。これによって、ビーム部材14が第3位置P3にあるときに、ビーム部材14は支柱部材12に対してロックされた状態となり、この状態で支柱部材12からビーム部材14が脱落してしまうことがない。すなわち、ビーム部材14に対して、第2側面24から第1側面23に向かう方向に力のモーメントが働いた場合には、第2部分45の鞍部51がレール25に引っ掛かって、ビーム部材14が支柱部材12から脱落することが阻止される。一方、ビーム部材14に対して、第1側面23から第2側面24に向かう方向に力のモーメントが働いた場合には、第2凹部34内に落ち込んでいる凸部47が突起35に引っ掛かって、ビーム部材14が支柱部材12から脱落することが阻止される。
【0041】
このように、本実施形態の組立棚11では、第2位置P2から第3位置P3への移動によってビーム部材14をロックするようにしているために、ビーム部材14をロックするために別途に固定用の部品を必要としない。このため、部品点数が削減されるとともに組立棚11の全体構成が簡略化されている。また、組立棚11を移動する際に、組立棚11に振動などが加えられた場合でも、意図せずにビーム部材14が支柱部材12から脱落してしまうことがない。
【0042】
ビーム部材14が第2位置P2から第3位置P3に移動する際に、ビーム部材14の第2部分45の鞍部51は、支柱部材12のレール25に沿ってスライド移動することができる。これによって、第2位置P2から第3位置P3に移動するビーム部材14の姿勢が安定し、移動途中でビーム部材14が支柱部材12から脱落してしまうことがない。
【0043】
ビーム部材14は、第2位置P2から第3位置P3に移動する際に、レール25の第2ガイド面43と鞍部51の被ガイド面51Aとの間で働く楔の効果によって、支柱部材12に対して位置決めされるとともに、支柱部材12に対して強固に固定される。このビーム部材14の位置決めは、組立棚11の長手方向Lに関してなされる。すなわち、
図13、
図14に示すように、ビーム部材14が第2位置P2から第3位置P3に移動される際に、ビーム部材14の被ガイド面51Aは、レール25の第2ガイド面43で案内される。
【0044】
このとき、第2ガイド面43は、下方に行くにつれて第1側面23から遠ざかるようになっており、且つ、被ガイド面51Aは、上方に行くにつれてレール25(レール25の中心軸C)に近づくように斜めになっているため、楔の効果が働いて、ビーム部材14を支柱部材12の第1側面23に引き付ける(押し付ける)ようになる。これによって、支柱部材12に対してビーム部材14が強固に固定される。また、ビーム部材14のがたつきが防止されるとともに、組立棚11の長手方向Lに関してビーム部材14がきちんと位置決めされる。また、利用者が意図しないときに、支柱部材12からビーム部材14が脱落してしまうことがない。
【0045】
なお、本実施形態では、寸法の影響が大きく、位置ずれが目につきやすい長手方向Lに関してのみ、きちんとビーム部材14を位置決めするようにしている。短手方向Sに関しては、寸法の影響が小さく、位置ずれが目につきにくいために、特段の位置決めを行っていない。
【0046】
図2に示すように、所定の設置高さでビーム部材14を設置した後に、
図15に示すように、一対のビーム部材14の間にわたすように棚板16を設置する。棚板16は、一対の引掛部分17をビーム部材14に位置合わせして、ビーム部材14上に載置することで、一対のビーム部材14に対して簡単に取り付けることができる。すべてのビーム部材14に対して棚板16を設置することで、
図1に示す状態にして、組立棚11の組立が完了する。組立棚11を分解するには、上記と逆の手順で行えばよい。
【0047】
棚板16の設置高さを変更したい場合には、棚板16を取り外した状態で、支柱部材12に対するビーム部材14の位置を適宜に入れ替えることで、極めて簡単に棚板16の設置高さを変更することができる。
【0048】
図16に組立棚11の変形例を示す。変形例の組立棚11は、上記のように左右対称形をなした1個の支柱部材12が2個の組立棚11の支柱を兼ねている。すなわち、図中で中央に位置する支柱部材12のうち、左側に位置する第1側面23と左側に位置するレール25を左側の組立棚11の支持に利用する。同様に、図中で中央に位置する支柱部材12のうち、右側に位置する第1側面23と右側に位置するレール25を右側の組立棚11の支持に利用する。このようにすることで、2個の組立棚11を連結して使用することができる。さらに、組立棚11の連結数は、2個に限られず、スペースが許す限り無限に組立棚11同士を連結することもできる。
【0049】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。組立棚11は、その軸方向Aに関して一定の間隔を置いて設けられた複数の凹部33を有する第1側面23と、第1側面23と隣接する第2側面24と、を有する支柱部材12と、凸部47を有するとともに第1側面23に対向する第1部分44と、第1部分44と隣接して設けられるとともに第2側面24に対向する第2部分45と、を有するビーム部材14と、を備え、複数の凹部33のそれぞれは、第2側面の法線32方向に延び、ビーム部材14は、支柱部材12から分離した状態で第2側面24に対して第2部分45を対向させた第1位置P1と、第1位置P1から第2側面の法線32方向に移動され複数の凹部33のいずれかに凸部47を差し込んで支柱部材12に固定された第2位置P2と、の間で移動可能である。
【0050】
この構成によれば、第1凹部33に凸部47を差し込む簡単な構造によって、支柱部材12に対してビーム部材14をワンタッチで固定することができる。これによって、ビーム部材14の設置高さを変更する作業を極めて簡単に行うことができる。また、第2側面の法線32方向に移動することでビーム部材14を固定できるため、比較的に小さい間隔で凹部33を設置することができ、これによって、ビーム部材14の設置高さをより細かい間隔で調整することができる。さらに、凸部47と凹部33を組み合わせた簡単な構造であるため、清掃性も良好であり、食品工場などで好適に利用できる。
【0051】
この場合、第1側面23は、複数の第2凹部34を有し、複数の第2凹部34のそれぞれは、複数の凹部33のそれぞれの奥部から下方に延び、凸部47は、第2位置P2において第2凹部34内に落ち込むことが可能であり、それに伴い、ビーム部材14は、第2位置P2から第2位置P2よりも下方の第3位置P3に移動可能である。
【0052】
この構成によれば、第2凹部34に凸部47が落ち込み、ビーム部材14が第2位置P2から第3位置P3に移動する構造を取ることによって、支柱部材12からビーム部材14が意図しないときに脱落してしまう不具合を生じることを防止できる。
【0053】
この場合、支柱部材12は、第2側面24から突出するとともに軸方向Aに延びるレール25を含み、第2部分45は、軸方向Aに延びレール25に跨ることが可能な鞍状をなした鞍部51を有し、鞍部51は、ビーム部材14が第2位置P2から第3位置P3との間で移動する際に、レール25に沿ってスライド移動可能である。
【0054】
この構成によれば、第2部分45が鞍部51を有しているため、ビーム部材14が第2位置P2から第3位置P3に移動する際に、支柱部材12からビーム部材14が脱落してしまうことを防止できる。
【0055】
第1側面23は、凹部33と第2凹部34で囲まれた位置に突起35を有し、ビーム部材14が第3位置P3にある際に、第2凹部34内に落ち込んだ凸部47は突起35と係合する。
【0056】
この構成によれば、第3位置P3にある際に、支柱部材12からビーム部材14が脱落してしまうことを防止できる。すなわち、ビーム部材14に対して、第2側面24から第1側面23に向かう方向に力のモーメントが働いた場合には、第2部分45の鞍部51がレール25に引っ掛かって、ビーム部材14が支柱部材12から脱落することが阻止できる。一方、ビーム部材14に対して、第1側面23から第2側面24に向かう方向に力のモーメントが働いた場合には、第2凹部34内に落ち込んでいる凸部47が突起35に引っ掛かって、ビーム部材14が支柱部材12から脱落することが阻止できる。
【0057】
レール25は、頂面41と、頂面41に隣接して第1側面23側に設けられた第1ガイド面42と、頂面41に隣接して設けられ第1ガイド面42と対向する第2ガイド面43であって、下方に行くにつれて第1側面23から遠ざかるように斜めになった第2ガイド面43と、を有する。
【0058】
この構成によれば、ビーム部材14が第2位置P2から第3位置P3に移動する際に、第2ガイド面43が楔のように働いて、ビーム部材14が支柱部材12の第1側面23に引き寄せられる。これによって、支柱部材12に対してビーム部材14を位置決めして、ビーム部材14がガタついてしまうことを防止できる。また、楔の効果によって、支柱部材12に対してビーム部材14を強固に固定することができる。これによって、利用者が意図しないときに、ビーム部材14が支柱部材12から脱落してしまうことを防止できる。
【0059】
鞍部51は、第2ガイド面43でガイドされる被ガイド面51Aを有し、被ガイド面51Aは、上方に行くにつれてレール25に近づくように斜めになった。
【0060】
この構成によれば、ビーム部材14が第2位置P2から第3位置P3に移動する際に、第2ガイド面43に加えて被ガイド面51Aが楔のように働いて、ビーム部材14が支柱部材12の第1側面23に引き寄せられる。これによって、支柱部材12に対してビーム部材14を位置決めして、ビーム部材14がガタついてしまうことを防止できる。また、上記した楔の効果がさらに増すことで、支柱部材12に対してビーム部材14をより強固に固定することができる。
【0061】
ビーム部材14は、第1側面の法線31方向に延びるビーム本体46を有し、第1側面の法線31方向は、長手方向Lに合致している。
【0062】
この構成によれば、組立棚11の長手方向Lに関して、ビーム部材14を位置決めすることができる。このため、上記構成によれば、一般に、より厳しい基準で位置決めが要求される組立棚11の長手方向Lに関して、支柱部材12に対してビーム部材14を位置決めすることができる。逆に、本願発明では、長手方向Lに交差する短手方向Sに関しては長さが短いために長手方向Lよりも位置ずれの影響が小さいために、短手方向Sに関して位置決めを重要視していない。
【0063】
支柱部材12は、第1側面23に対向する位置で、且つ第2側面24に隣接する位置に、追加的に設けられた第1側面23を有する。この構成によれば、支柱部材12を左右対称形に形成することができ、支柱部材12の左右の両側に対してビーム部材14を取り付けることができる。これによって、2個の組立棚11を隣接して配置する際に、2個の組立棚11の支柱部材12を1本で共用することができ、支柱部材12の本数を削減して、工場や店舗への組立棚11の導入コストを低減できる。また、直列的にいくつかの組立棚11を連結することで、組立棚11の剛性を高くしてより安定的な組立棚11を実現できる。
【0064】
上記した実施形態は、さらなる種々の置き換えや変形を加えて実施できる。上記の異なる実施形態を適宜に組み合わせて一つの発明を構成することも当然にできる。
【符号の説明】
【0065】
11 組立棚
12 支柱部材
14 ビーム部材
23 第1側面
24 第2側面
25 レール
C 中心軸
31 第1側面の法線
32 第2側面の法線
33 凹部
34 第2凹部
35 突起
41 頂面
42 第1ガイド面
43 第2ガイド面
P1 第1位置
P2 第2位置
P3 第3位置
44 第1部分
45 第2部分
46 ビーム本体
47 凸部
51 鞍部
51A 被ガイド面
52 枠体
L 長手方向
S 短手方向
A 軸方向
【要約】
【解決課題】ビーム部材の設置高さをより細かい間隔で調整でき、且つ、ビーム部材の設置高さの変更を極めて簡単に行える組立棚を提供する。
【解決手段】組立棚は、その軸方向に関して一定の間隔を置いて設けられた複数の凹部を有する第1側面と、前記第1側面と隣接する第2側面と、を有する支柱部材と、凸部を有するとともに前記第1側面に対向する第1部分と、前記第1部分と隣接して設けられるとともに前記第2側面に対向する第2部分と、を有するビーム部材と、を備え、前記複数の凹部のそれぞれは、前記第2側面の法線方向に延び、前記ビーム部材は、前記支柱部材から分離した状態で前記第2側面に対して前記第2部分を対向させた第1位置と、前記第1位置から前記第2側面の法線方向に移動され前記複数の凹部のいずれかに前記凸部を差し込んで前記支柱部材に固定された第2位置と、の間で移動可能である。
【選択図】
図1