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特許7390778ポリマーBODIPY色素およびそれを使用する方法
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  • 特許-ポリマーBODIPY色素およびそれを使用する方法 図1
  • 特許-ポリマーBODIPY色素およびそれを使用する方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】ポリマーBODIPY色素およびそれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   C09B 69/10 20060101AFI20231127BHJP
   G01N 33/58 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
C09B69/10 B CSP
G01N33/58 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2017547431
(86)(22)【出願日】2016-03-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-04-05
(86)【国際出願番号】 US2016020513
(87)【国際公開番号】W WO2016144652
(87)【国際公開日】2016-09-15
【審査請求日】2019-02-08
【審判番号】
【審判請求日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】62/132,446
(32)【優先日】2015-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】バーソロミュー,グレン,ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ゲイロード,ブレント,エス.
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,ルーシー
【合議体】
【審判長】阪野 誠司
【審判官】野田 定文
【審判官】冨永 保
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/101902(WO,A2)
【文献】特表2015-512955(JP,A)
【文献】特開2021-36051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B
G01N
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)、式(II)、式(III)、または式(IV)によって示され、
【化1】
式中、
各Bおよび各Bは、それぞれ独立して以下の構造によって示され、
【化2】
式中、
、R、RおよびRは、H、アルキルまたは置換アルキルからそれぞれ独立して選択され、
は、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され、かつ
各Rは、F、OH、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキニルおよび置換アルキニルからなる群から選択され、
各Lは、2つの連結部位および原子100個以下の長さの主鎖を含むグループであり、
各Cは、 および/またはB を含む構造から移動するエネルギーを受容し、受容したエネルギーを光として放出するか、またはエネルギーを熱として消失させることができるグループであり、
各Lは、2つの連結部位および原子100個以下の長さの主鎖を含むグループであり、
各Mおよび各Mは、独立してπ共役コモノマーであり、
nおよびmは、独立して1~100,000の整数であり、か
pは、1~100,000の整数である
ことを特徴とするポリマータンデム色素。
【請求項2】
前記式(I)によって示される
ことを特徴とする請求項1に記載の色素。
【請求項3】
前記式(II)によって示される
ことを特徴とする請求項1に記載の色素。
【請求項4】
前記式(III)によって示される
ことを特徴とする請求項1に記載の色素。
【請求項5】
前記式(IV)によって示される
ことを特徴とする請求項1に記載の色素。
【請求項6】
およびBは、下記の構造:
【化3】
によってそれぞれ独立して示され、式中、Rは、アリールまたはヘテロアリールである
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の色素。
【請求項7】
少なくとも1個のLは、下記の構造:
【化4】
によって示され、式中、
qは、1~12の整数であり、かつ
Zは、特異的結合メンバーである
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の色素。
【請求項8】
は、アルキル、置換アルキル、アルキル-アミドまたはアルキル-アミド-アルキルであり、かつ
は、シアニン色素、キサンテン色素、クマリン色素、チアジン色素およびアクリジン色素からなる群から選択される
ことを特徴とする請求項2~5のいずれか一項に記載の色素。
【請求項9】
各MおよびMは、フルオレンコモノマー、カルバゾールコモノマー、ビニレンコモノマー、アリーレン-エチニレンコモノマーおよびアリーレン-ビニレンコモノマーからそれぞれ独立して選択される
ことを特徴とする請求項2~8のいずれか一項に記載の色素。
【請求項10】
請求項1に記載のポリマータンデム色素、および、
特定の検体または特異的結合性ペアの第2メンバーに特異的に結合し、前記ポリマータンデム色素に共有結合で連結されたグループ
を有する
ことを特徴とする標識された特異的結合メンバー。
【請求項11】
標的検体の存在について試料を評価する方法であって、
(a)前記試料と、前記標的検体に特異的に結合するポリマータンデム色素共役体とを接触させて、標識組成物が接触した試料を生成する工程であって、前記ポリマータンデム色素共役体が、請求項1~9のいずれか一項に記載のポリマータンデム色素、および、特異的結合メンバーを有している、工程と、
(b)ポリマータンデム色素共役体-標的検体結合複合体の存在について前記標識組成物が接触した試料をアッセイして、前記標的検体が前記試料中に存在するかどうかを評価する工程と
を含む
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
蛍光色素は、それらが吸収する波長の光を照射した場合、(通常)様々な波長の光を発する化合物である。蛍光色素は、生物化学、生物学および医学における様々な用途において、例えば診断キット、顕微鏡検査法または薬物スクリーニングにおける使用が見出されている。蛍光色素は、所望の目的に応じて、適切な色素を使用者が選択することを可能にする多くのパラメータによって特徴付けられる。対象のパラメータとしては、最大励起波長、最大発光波長、ストークスシフト、吸光係数、蛍光量子収量および蛍光寿命が挙げられる。色素は、例えば、生体試料内への励起放射線の透過を可能にするため、バックグラウンドの蛍光を最小限に抑えるために、かつ/または高いシグナル対ノイズ比を達成するために、目的の用途に応じて選択され得る。
【0002】
分子認識は、2つの分子の特異的な結合を要する。標的生体分子に対する結合特異性を有する分子は、様々な研究および診断用途、例えば検体の標識化および分離、フローサイトメトリー、in situハイブリダイゼーション、酵素免疫測定法(ELISA)、ウェスタンブロット分析、磁気細胞分離およびクロマトグラフィーでの使用が見出されている。標的生体分子は、蛍光色素で標識することによって検出され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
集光性BODIPYユニットを含む多発色団を含むポリマーBODIPY色素が提供される。一部の実施形態では、色素は、集光性BODIPYユニットを含む多発色団と、そのエネルギー受容近位で多発色団に共有結合で連結されたアクセプター発色団とを含むポリマータンデム色素である。ポリマータンデム色素は、特異的結合メンバーに共有結合で連結され得る。また、標的検体の存在について試料を評価する方法、およびポリマータンデム色素を含む組成物を使用して標的分子を標識する方法が提供される。主題の方法を実施するためのキットおよびシステムも提供される。
【0004】
下記の図面は、単に例示の目的のためであることが理解される。図面は、本教示の範囲を限定することを決して意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】内部リンカー部位において付着している種々のアクセプター色素を有する例示的なポリマータンデム色素の吸収および発光を例示する。特異的結合メンバーは、これらの構造に付着していない。
図2】内部リンカー部位において付着している種々の色素分子を有する例示的なポリマータンデム色素の吸収および発光を例示する。すべての溶液についての吸収は、0.04ODである。発光強度は、ポリマー単独に対して、付着したアクセプター発色団を有するポリマーについて有意により高いことに留意されたい。特異的結合メンバーは、これらのポリマーに付着していない。
【発明を実施するための形態】
【0006】
定義
より詳細に例示的な実施形態を説明する前に、本明細書で使用される用語の意味および範囲を説明および定義するために以下の定義が示される。
【0007】
別段の指定がない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。Singleton,et al.,DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY,2D ED.,John Wiley and Sons,New York(1994)、およびHale&Markham,THE HARPER COLLINS DICTIONARY OF BIOLOGY,Harper Perennial,N.Y.(1991)から、本明細書で使用される用語の多くの一般的な意味が当業者に与えられる。さらに、特定の用語は、明確にするためにかつ参照を容易にするために以下に定義される。
【0008】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」という単数形は、文脈に明確に指定がない限り、複数形を含むことに留意しなければならない。例えば、「プライマー」という用語は、1つまたは複数のプライマー、すなわち、単一のプライマーおよび複数のプライマーを意味する。特許請求の範囲は、任意の要素を排除するように記述し得ることがさらに留意される。それ自体、この記載は、請求項の要素の詳述と関連する「単独で」、「唯一の」等として、かかる排他的な用語を使用するために、または「否定的な」限定を使用するために先行する基礎としての役割を果たすことが意図される。
【0009】
本明細書で使用される「試料」という用語は、対象の1つまたは複数の検体を含有する、場合により液状の材料または材料の混合物を意味する。一部の実施形態において、その広い意味で使用されるその用語は、細胞を含有するかまたは細胞代謝産物を含有する、植物、動物もしくは細菌物質、例えば個体から単離された組織もしくは体液(限定されないが、血漿、血清、脳脊髄液、リンパ液、涙、唾液および組織切片を含む)、または生体外での細胞培養成分、ならびにその環境からの試料を意味する。「試料」という用語は、「生体試料」を意味する場合もある。
【0010】
本明細書で使用される「生体試料」という用語は、生物全体またはその組織のサブセット、細胞または構成要素(例えば、体液、限定されないが、血液、粘液、リンパ液、滑液、脳脊髄液、唾液、羊水、羊膜臍帯血、尿、膣液および精液)を意味する。「生体試料」とは、限定されないが、血漿、血清、髄液、リンパ液、皮膚、呼吸器、腸管、および尿生殖路の外部セクション、涙、唾液、乳、血球、腫瘍および臓器など、生物全体またはその組織のサブセット、細胞または構成要素、またはその画分もしくはその一部から調製された抽出物も意味し得る。
【0011】
特定の実施形態において、試料は、動物または植物から取り出されている。生体試料は細胞を含み得る。「細胞」という用語は、核および細胞膜を少なくとも有する真核生物と原核生物との両方の生物体の基本構造単位を意味するために、その従来の意味で使用される。特定の実施形態において、細胞は、細菌由来の細胞などの原核細胞を含む。他の実施形態において、細胞は、動物、植物または菌類由来の生体試料から得られた細胞などの真核細胞を含む。
【0012】
本明細書で使用される「親和性」および「結合活性」という用語は、同じ意味を有し、本明細書において区別なく使用される。「親和性」とは、結合の強さを意味し、結合親和性が高いほど、Kdが低くなるように相関する。
【0013】
本明細書で使用される「決定」、「測定」および「評価」ならびに「アッセイ」は、区別なく使用され、定量的決定および定性的決定の両方を含む。
【0014】
本明細書で使用される「担体結合」および「担体に結合された」という用語は区別なく使用され、対象の担体に共有結合で連結された、または非共有結合で連結された部位(例えば、特異的結合性部位)を意味する。共有結合的連結は、対象の2つの部位(例えば、担体および特異的結合性メンバー)間の共有結合を形成するために、2つの適合性官能基(例えば、2つの化学選択的官能基、求電子剤および求核剤)の化学反応を伴う。場合により、非共有結合的連結は、対象の2つの部位(例えば、2つの親和性部位、例えばハプテンと抗体、またはビオチン部位とストレプトアビジン等)間の特異的結合を伴い得る。特定の場合において、非共有的連結は、基質への吸収を伴い得る。
【0015】
本明細書で使用される「生体分子」という用語は、天然クラスの分子の有機分子または巨大分子、またはその誘導体を意味する。生体分子は、ポリペプチド(例えば、ペプチド、抗体または抗体断片)、ポリヌクレオチド、炭水化物(例えば、糖類)および脂質を包含することを意味する。場合により、生体分子は、特異的結合性メンバー(例えば、本明細書に記載されるメンバー)である。
【0016】
本明細書で使用される「ポリペプチド」という用語は、2~50アミノ酸の範囲の長さのペプチドおよび50アミノ酸を超える長さのポリペプチドなど、いずれかの長さのアミノ酸の高分子形態を意味する。「ポリペプチド」および「タンパク質」は、本明細書において区別なく使用される。「ポリペプチド」という用語は、コードアミノ酸および非コードアミノ酸のポリマー、化学的もしくは生物化学的に修飾または誘導されたアミノ酸、および従来の主鎖が非天然もしくは合成主鎖に置き換えられている、修飾ペプチド主鎖を有するポリペプチドを含む。ポリペプチドは、簡便な長さ、例えば、4個以上のアミノ酸、10個以上のアミノ酸、20個以上のアミノ酸、50個以上のアミノ酸、100個以上のアミノ酸、300個以上のアミノ酸、例えば500個まで、または1000個まで、またはそれを超えるアミノ酸など、2個以上のアミノ酸の長さであり得る。「ペプチド」は、4個以上のアミノ酸、10個以上のアミノ酸、20個以上のアミノ酸、例えば50個までのアミノ酸など、2個以上のアミノ酸であり得る。一部の実施形態において、ペプチドは、5~30アミノ酸の長さである。
【0017】
本明細書で使用される「単離された」という用語は、精製前にその部位が会合している他の成分から、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、さらに少なくとも99%分離された対象の部位を意味する。
【0018】
「複数」とは、少なくとも2種類のメンバーを含有する。特定の場合において、複数は、100以上、1000以上、10,000以上、100,000以上、10以上、10以上、10以上または10以上のメンバーなど、10以上のメンバーを有し得る。
【0019】
数字の範囲は、その範囲を定義するメンバーを包含する。
【0020】
本明細書で使用される「分離」という用語は、2つの要素を物理的に分離すること(例えば、サイズまたは親和性等によって)、ならびに一方はインタクトなままで、もう一方の要素を分解することを意味する。
【0021】
本明細書で使用される「特異的結合性」という用語は、例えば、異なる検体の均一な混合物中に存在する特定の検体(または特異的結合性ペアの第2メンバー)に優先的に結合する、捕捉剤(または特異的結合性ペアの第1メンバー)の能力を意味する。一部の場合において、特異的結合相互作用は、試料中の望ましい検体と望ましくない検体との間で区別され、100倍以上、または1000倍以上など、望ましい検体では望ましくない検体と比べて10倍以上の特異性を有する。場合により、それらが捕捉剤/検体の複合体において特異的に結合される場合、捕捉剤と検体との親和性は、少なくとも10-8M、少なくとも10-9M、例えば10-10Mまでである。
【0022】
本明細書に記載の方法は複数の工程を含む。各工程は、必要に応じて、所定の時間の長さが工程間で経過した後に行われ得る。したがって、行われる各工程間の時間は、1秒以上、10秒以上、30秒以上、60秒以上、5分以上、10分以上、60分以上、および5時間以上であり得る。特定の実施形態において、その後の各工程は、前の工程が完了した直後に行われる。他の実施形態において、前の工程が完了した後のインキュベーションまたは待機時間後、例えば数分から一晩の待機時間後に工程が行われ得る。
【0023】
本明細書で使用される「リンカー」または「連結」という用語は、2つのグループを連結し、かつ原子100個以上の長さの主鎖を有する連結性部位を意味する。リンカーまたは連結は、2つのグループを連結する共有結合であるか、または原子1~100個の長さの鎖、例えば炭素原子1、2、3、4、5、6、8、10、12、14、16、18、20個以上の長さの鎖であることができ、そのリンカーは、直鎖状、分岐状、環状または単一原子であり得る。場合により、リンカーは、3つ以上のグループを連結する連結性部位を意味する分岐状リンカーである。
【0024】
特定の場合、リンカー主鎖の炭素原子1、2、3、4または5個以上が任意選択的に硫黄、窒素または酸素のヘテロ原子で置換されていてもよい。主鎖間の結合は飽和または不飽和結合であり、場合により、1、2または3個以下の不飽和結合がリンカー主鎖に存在する。リンカーは、1個以上の置換基、例えばアルキル基、アリール基またはアルケニル基を含んでもよい。リンカーとしては、限定されないが、ポリエチレングリコール、エーテル、チオエーテル、第3級アミンアミン、アルキル(直鎖状または分岐状であり得る)、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソ-プロピル)、n-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)等が挙げられる。リンカーの主鎖は、環状基、例えば、アリール基、複素環またはシクロアルキル基を含んでもよく、環状基の2個以上、例えば、2、3または4個の原子が主鎖に含まれる。リンカーは切断可能であるか、または切断不可能であり得る。
【0025】
本明細書で使用される「ポリエチレンオキシド」、「PEO」、「ポリエチレングリコール」、「PEG」および「PEG部位」という用語は区別なく使用され、式--(CH--CH--O--)-によって示される鎖を含むポリマー基またはその誘導体を意味する。一部の実施形態において、「n」は、5000以下、例えば1000以下、500以下、200以下、100以下、50以下、40以下、30以下、20以下、15以下、例えば3~15、または10~15である。PEGポリマー基は、簡便な長さであることができ、かつ様々な末端基および/またはさらなる置換基、限定されないが、アルキル、アリール、ヒドロキシル、アミノ、アシル、アシルオキシ、およびアミド末端基および/または置換基を含み得ることを理解されたい。
【0026】
対象の多発色団で使用するために適応され得るPEGグループとしては、S.Zalipskyによる“Functionalized poly(ethylene glycol) for preparation of biologically relevant conjugates”,Bioconjugate Chemistry 1995,6(2),150-165;およびZhuらによる“Water-Soluble Conjugated Polymers for Imaging,Diagnosis,and Therapy”,Chem.Rev.,2012,112(8),pp4687-4735に記述されるPEGが挙げられる。
【0027】
本明細書において使用される用語「化学選択的官能基」、「化学選択的タグ」および「共役タグ」は互換的に使用され、ある場合において、官能基の1個の任意選択的な活性化後、別の適合性の官能基と選択的に反応して共有結合を形成することができる官能基を指す。目的とする化学選択的官能基には、これらに限定されないが、チオールおよびマレイミドまたはヨードアセトアミド、アミンおよびカルボン酸またはその活性エステル、ならびにクリックケミストリーによって互いに反応することができる基、例えば、アジドおよびアルキン基(例えば、シクロオクチン基)、ならびにヒドロキシル、ヒドラジド、ヒドラジノ、アルデヒド、ケトン、アジド、アルキン、ホスフィン、エポキシドなどが含まれる。ある場合において、化学選択的官能基は、共有結合的連結前に脱保護しなければならない保護された官能基である。ある特定の場合において、化学選択的官能基は、適合性の官能基との共有結合的連結前またはその間に活性化され得る。
【0028】
本明細書で使用される、それ自体でのまたは他の置換基の一部としての「アルキル」という用語は、親アルカンの単一炭素原子から1個の水素原子を除去することによって誘導される、飽和分枝鎖または直鎖一価炭化水素ラジカルを意味する。対象のアルキル基としては、限定されないが、メチル;エチル、プロパン-1-イルまたはプロパン-2-イルなどのプロピル;およびブチル、例えばブタン-1-イル、ブタン-2-イル、2メチルプロパン-1-イルまたは2-メチルプロパン-2-イルが挙げられる。一部の実施形態において、アルキル基は、炭素原子1~20個を含む。
【0029】
一部の実施形態において、アルキル基は炭素原子1~10個を含む。特定の実施形態において、アルキル基は、炭素原子1~4個など、炭素原子1~6個を含む。この用語は、一例として、直鎖状および分岐状ヒドロカルビル基、例えばメチル(CH)、エチル(CHCH)、n-プロピル(CHCHCH-)、イソプロピル((CHCH-)、n-ブチル(CHCHCHCH)、イソブチル((CHCHCH)、s-ブチル((CH)(CHCH)CH-)、t-ブチル((CHC-)、n-ペンチル(CHCHCHCHCH-)、およびネオペンチル((CHCCH-)を含む。
【0030】
「置換アルキル」という用語は、そのアルキル鎖における炭素原子1個以上が任意選択的にO-、N-、S-、-S(O)-(nは0~2である)、-NR-(Rは、水素またはアルキルである)などのヘテロ原子で置換されており、かつアルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-アリール、SO-ヘテロアリール、および-NR(RおよびRは同一であっても、異なっていてもよく、水素、任意選択的に置換されているアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式から選択される)からなる群から選択される置換基1~5個を有する、本明細書で定義されるアルキル基を意味する。
【0031】
「アルキニル」は、炭素原子2~6個、好ましくは炭素原子2~3個を有し、かつ三重結合の部位を少なくとも1つ、好ましくは1~2個有する直鎖または分枝鎖一価ヒドロカルビル基を意味する。かかるアルキニル基の例としては、アセチレニル(C≡CH)、およびプロパギル(CHC≡CH)が挙げられる。
【0032】
「置換アルキニル」という用語は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、SO-置換アルキル、-SO-アリール、および-SO-ヘテロアリールから選択される、置換基1~5個を有する、本明細書で定義されるアルキニル基を意味する。
【0033】
それ自体でのまたは他の置換基の一部としての「アリール」は、芳香族環構造の単一炭素原子から水素原子1個を除去することによって誘導される一価芳香族炭化水素ラジカルを意味する。対象のアリール基としては、限定されないが、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ-2,4-ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレン等から誘導される基が挙げられる。特定の実施形態において、アリール基は、炭素原子6~20個を含む。特定の実施形態において、アリール基は、炭素原子6~12個を含む。アリール基の例はフェニルおよびナフチルである。
【0034】
それ自体でのまたは他の置換基の一部としての「ヘテロアリール」は、芳香族複素環システムの単一原子から水素原子1個を除去することによって誘導される一価ヘテロ芳香族ラジカルを意味する。対象のヘテロアリール基としては、限定されないが、アクリジン、アルシンドール、カルバゾール、β-カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテン、ベンゾジオキソール等から誘導される基が挙げられる。
【0035】
特定の実施形態において、ヘテロアリール基は、5~20員ヘテロアリールである。特定の実施形態において、ヘテロアリール基は5~10員ヘテロアリールである。特定の実施形態において、ヘテロアリー基は、チオフェン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ピリジン、キノリン、イミダゾール、オキサゾールおよびピラジンから誘導される基である。
【0036】
「アルカリール」または「アラルキル」という用語は、アルキレン-アリール基および置換アルキレン-アリール基を意味し、アルキレン、置換アルキレンおよびアリールは本明細書で定義される通りである。
【0037】
「アルコキシ」は、基-O-アルキルを指し、アルキルは本明細書に定義されている通りである。アルコキシは、例として、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシなどを含む。用語「アルコキシ」はまた、基アルケニル-O-、シクロアルキル-O-、シクロアルケニル-O-、およびアルキニル-O-を指し、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、およびアルキニルは、本明細書に定義されている通りである。
【0038】
用語「置換アルコキシ」は、置換アルキル-O-、置換アルケニル-O-、置換シクロアルキル-O-、置換シクロアルケニル-O-、および置換アルキニル-O-の基を指し、置換アルキル、置換アルケニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニルおよび置換アルキニルは、本明細書に定義されている通りである。
【0039】
「アルキレン」とは、直鎖または分枝鎖であり、かつ-O-、-NR10-、NR10C(O)-、-C(O)NR10-等から選択される1つまたは複数の基が任意選択的に介在している、好ましくは炭素原子1~6個、さらに好ましくは炭素原子1~3個を有する二価脂肪族ヒドロカルビル基を意味する。この用語には、一例として、メチレン(CH)、エチレン(CHCH)、n-プロピレン(CHCHCH)、イソ-プロピレン(CHCH(CH))、(C(CHCHCH)、(C(CHCHC(O))、(C(CHCHC(O)NH)、(CH(CH)CH-)等が含まれる。「置換アルキレン」とは、以下の「置換」の定義において炭素について記述されるように、水素原子1~3個が置換基で置換されているアルキレン基を意味する。
【0040】
「置換された」とは、1つまたは複数の水素原子が独立して、同じまたは異なる置換基で置換されている基を意味する。対象の置換基としては、限定されないが、アルキレンジオキシ(メチレンジオキシなど)、-M、R60、-O、=O、-OR60、-SR60、-S、=S、-NR6061、=NR60、-CF、-CN、-OCN、-SCN、-NO、-NO、=N、-N、-S(O)、-S(O)OH、-S(O)60、-OS(O)、-OS(O)60、-P(O)(O、-P(O)(OR60)(O)、-OP(O)(OR60)(OR61)、-C(O)R60、C(S)R60、-C(O)OR60、-C(O)NR6061、-C(O)O、-C(S)OR60、-NR62C(O)NR6061、-NR62C(S)NR6061、-NR62C(NR63)NR6061および-C(NR62)NR6061が挙げられ、式中、Mはハロゲンであり、R60、R61、R62およびR63は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールであるか、任意選択的にR60およびR61が、それらが結合する窒素原子と共に、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環を形成し;R64およびR65が独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールであるか、あるいは任意選択的にR64およびR65が、それらが結合する窒素原子と共に、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環を形成する。特定の実施形態において、置換基としては、-M、-R60、=O、-OR60、-SR60、-S、=S、-NR6061、=NR60、-CF、-CN、-OCN、-SCN、-NO、-NO、=N、-N、-S(O)60、-OS(O)、-OS(O)60、-P(O)(O、-P(O)(OR60)(O)、-OP(O)(OR60)(OR61)、-C(O)R60、-C(S)R60、-C(O)OR60、-C(O)NR6061、-C(O)O、-NR62C(O)NR6061が挙げられる。特定の実施形態において、置換基としては、-M、-R60、=O、-OR60、-SR60、-NR6061、-CF、-CN、-NO、-S(O)60、-P(O)(OR60)(O)、-OP(O)(OR60)(OR61)、-C(O)R60、-C(O)OR60、-C(O)NR6061、-C(O)Oが挙げられる。特定の実施形態において、置換基としては、-M、-R60、=O、-OR60、-SR60、-NR6061、-CF、-CN、-NO、-S(O)60、-OP(O)(OR60)(OR61)、-C(O)R60、-C(O)OR60、-C(O)Oが挙げられ、式中、R60、R61およびR62は以下で定義される通りである。例えば、置換基は、メチレンジオキシ基、またはハロゲン原子、(1~4C)アルキル基および(1~4C)アルコキシ基から選択される1、2または3個の置換基を有し得る。置換されている基がアリールまたはヘテロアリール基である場合、置換基(例えば、本明細書に記載される)は、「アリール置換基」と呼ばれ得る。
【0041】
用語の他の定義は本明細書全体に示される。
【0042】
上記で要約したように、ポリマータンデム色素が提供される。一部の実施形態では、ポリマータンデム色素は、集光性BODIPYユニットを含む多発色団と、そのエネルギー受容近位で多発色団に共有結合で連結されたアクセプター発色団とを含む。ポリマータンデム色素は、特異的結合メンバーに共有結合で連結され得る。また、標的検体の存在について試料を評価する方法、およびポリマータンデム色素を含む組成物を使用して標的分子を標識する方法が提供される。主題の方法を実施するためのキットおよびシステムも提供される。
【0043】
種々の実施形態をより詳細に説明する前に、この開示内容の教示は、記載の特定の実施形態に限定されず、したがって、当然のことながら異なり得ることを理解されたい。本明細書で使用される用語は、添付の特許請求の範囲によってのみ本発明の教示の範囲が限定されるため、特定の実施形態を説明する目的でのみ示されており、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0044】
本発明で使用されるセクションの表題は、構造化の目的でのみ示されており、記載の主題に限定されると解釈されるべきではない。本発明の教示が様々な実施形態と組み合わせて記述される限り、本発明の教示はかかる実施形態に限定されることを意図しない。それと反対に、本発明の教示は、当業者によって理解されるように、種々の代替形態、修正形態、および均等物を包含する。
【0045】
別段の指定がない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、この開示内容が属する技術分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等の方法および材料を本発明の教示内容の実施および試験で使用することもできるが、いくつかの例示的な方法および材料が説明される。
【0046】
公開公報の引用は、出願日前のその開示内容が示されており、本発明の特許請求の範囲が、先の発明によってかかる公開に先行する権利が与えられる許可として解釈すべきではない。さらに、公開公報の日付は、別々に確認される実際の公開日時と異なり得る。
【0047】
この開示内容を読むと当業者に明らかであるように、本明細書に記載され、かつ例証される個々の実施形態は、本発明の教示の範囲または趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離することができるか、またはそれと組み合わせることができる個々の構成要素および特徴を有する。記載の事象の順序または論理的に可能性のある他のいずれかの順序で記載の方法を行うことができる。
【0048】
本明細書において参照される、すべての特許および公開特許、例えばかかる特許および公開特許内に開示されるすべての順序が参照により明確に組み込まれる。
【0049】
本発明のさらなる記載において、アクセプター発色団を含むポリマー色素およびタンデム色素を最初により詳細に記載する。次に、ポリマー色素を含む共役体を記載する。次いで、主題のポリマータンデム色素を含む組成物が使用されることを目的とする方法を概説する。本発明の方法の実施において使用され得るシステムおよびキットも記載される。
【0050】
集光性BODIPYユニットを含む多発色団
上記で要約するように、本開示は、ポリマーBODIPY色素を提供する。一部の実施形態では、ポリマー色素は、集光性BODIPYユニットを含む多発色団を含む。一部の実施形態では、多発色団自体は蛍光性である。ある特定の場合において、多発色団は、ポリマータンデム色素である。したがって、一部の実施形態では、多発色団は、そのエネルギー受容近位で多発色団に共有結合で連結されたアクセプター発色団をさらに含む。
【0051】
本明細書で使用される「集光性多発色団」、「ポリマー色素」および「共役系ポリマー」という用語は、区別なく使用され、特定の吸収極大波長を有する光を集め、かつより長い発光極大波長で放射光へとそれを変換することができる構造を有する共役系ポリマーを意味する。場合により、集光性多発色団はそれ自体が蛍光である。共役系ポリマー(CP)は、非局在化電子構造を特徴とし、その主鎖が近傍に多数の共役セグメントを含有し得ることから、ポリマー鎖の長さよりも実質的に短い有効共役長を有し得る。場合により、共役系ポリマーは、集光性に有効であり、フェルスター(Forster)エネルギー移動により、アクセプターに最適な光増幅を付与する。一部の実施形態では、共役ポリマーは、それにおいて第1の光学活性ユニットが光を吸収して励起状態を形成する吸収波長(例えば、本明細書に記載される)を有する、共役系を形成する複数の第1の光学活性ユニットを含む。ある特定の場合において、ポリマー色素は、バンドギャップを低下させるn共役繰り返しユニットを含む、共役ポリマーセグメントまたはオリゴマー構造を有する。
【0052】
本明細書で使用される「単位」という用語は、ポリマーの構造サブユニットを意味する。単位という用語は、モノマー、コモノマー、コブロック、共役セグメント、反復単位等を含むことを意味する。「反復単位」は、その単位がn回反復される場合に得られる構造により、ポリマーまたはそのブロックが示されるように、その単位がモノマーとみなされるために必要である最低数の異なる構造的特徴によって定義される、ポリマーのサブユニットである。場合により、ポリマーは、2種類以上の異なる反復単位を含み、例えばポリマーがマルチブロックポリマーである場合、それぞれのブロックは異なる反復単位を定義し得る。場合により、ポリマーの反復単位は、単一のモノマー基を含む。特定の場合において、ポリマーの反復単位は、2つ以上のモノマー基、すなわち、2、3、4個以上のコモノマー基などのコモノマー基を含む。
【0053】
本明細書で使用される「コモノマー」または「コモノマー基」という用語は、それ自体がポリマーの反復単位の一部であり得るポリマーの構造単位を意味する。一部の実施形態において、共役系ポリマーは、重合モノマーのブロックで構成されるブロックコポリマーを含む。かかる場合において、ブロックコポリマーは、それぞれがポリマーの別々のコブロックに相当する、異なる反復単位を有すると説明され得る。場合により、ポリマーは、2つの異なるコブロックを含有するジブロックコポリマーである。かかる場合において、ポリマーは、コブロックを含むと説明することができ、各コブロックは、1、2、3個以上のコモノマーなどのコモノマーで構成され得る。
【0054】
本明細書において使用される用語「BODIPYユニット」は、下記のホウ素-ジピロメテン(BODIPY)コア構造:
【0055】
【化1】
【0056】
を有する発色団を含む多発色団の構造的サブユニットを指し、式中、各Rは、F、OH、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキニルおよび置換アルキニルからなる群から独立して選択される。BODIPYコア構造は、コア構造の任意の好都合な位置を介して多発色団の隣接するユニットに連結してもよく、任意選択的にさらに置換し得る。ある場合において、BODIPYユニットは、ポリマーの隣接するユニットにπ共役することができる。
【0057】
一部の実施形態では、BODIPYユニットは、繰り返しユニットを画定する。ある特定の実施形態では、BODIPYユニットは、繰り返しユニットの部分であるコモノマーを画定する。任意の好都合なBODIPY含有構造は、BODIPYユニットとして主題の多発色団中での使用のために適合し得る。目的とするBODIPY含有構造には、これらに限定されないが、Loudet and Burgess,“BODIPY Dyes and Their Derivatives:Syntheses and Spectroscopic Properties”,Chem.Rev.2007,107(11):4891-4932によって記載されたこれらのBODIPY色素および誘導体が含まれる。
【0058】
ある特定の実施形態では、BODIPYユニットは、構造:
【0059】
【化2】
【0060】
によって示され、式中、
、R、RおよびRは、H、アルキルまたは置換アルキルからそれぞれ独立して選択され、
は、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリールであり、Rは、水溶性基で任意選択的に置換されており、かつ
各Rは、F、OH、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキニルおよび置換アルキニルからなる群から選択される。
【0061】
BODIPYユニットを含ませるように、いずれかの簡便な集光性多発色団を適応することができる。BODIPYユニットを含ませるように修飾され得る対象の集光性多発色団としては、限定されないが、その特許公開および特許の開示内容の全体が本明細書に組み込まれる、Gaylordらによる米国特許出願公開第20040142344号明細書、米国特許出願公開第20080293164号明細書、米国特許出願公開第20080064042号明細書、米国特許出願公開第20100136702号明細書、米国特許出願公開第20110256549号明細書、米国特許出願公開第20120028828号明細書、米国特許出願公開第20120252986号明細書および米国特許出願公開第20130190193号明細書および米国特許第8,575,303号明細書および米国特許第8,802,450号明細書;その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Gaylord et al.,J.Am.Chem.Soc.,2001,123(26),pp6417-6418;Feng et al.,Chem.Soc.Rev.,2010,39,2411-2419;およびTraina et al.,J.Am.Chem.Soc.,2011,133(32),pp12600-12607に記述される色素が挙げられる。
【0062】
主題の多発色団は水溶性であり得る。簡便な水溶性基を多発色団に含ませて、色素の水溶性を高めることができる。溶解性の増加は様々であり得るが、一部の場合において、増加は2倍以上(WSGを含まない化合物と比較して)、例えば、5倍、10倍、25倍、50倍、100倍以上である。「水溶性基」(WSG)という用語は、水性環境において、例えば生理学的条件下で十分に溶媒和され、かつそれが結合している分子に向上した水溶性を付与する基を意味する。一部の実施形態において、WSGは、WSGを含まない多発色団と比較して、主に水性の溶液中での多発色団の溶解性を高める。水溶性基は、水性環境において十分に溶媒和される、いずれかの簡便な親水性基であり得る。場合により、親水性水溶性基は、帯電しており、例えば正または負の電荷を有する。
【0063】
特定の場合において、親水性水溶性基は中性親水性基である。一部の実施形態において、WSGは、親水性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、セルロース、キトサン、またはその誘導体である。対象の水溶性基としては、限定されないが、カルボキシレート、ホスホネート、ホスフェート、スルホネート、スルフェート、スルフィネート、スルホニウム、エステル、ポリエチレングリコール(PEG)および修飾PEG、ヒドロキシル、アミン、アンモニウム、グアニジニウム、ピリジニウム、ポリアミンおよびスルホニウム、多価アルコール、直鎖または環状サッカリド、第1級、第2級、第3級、または第4級アミンおよびポリアミン、ホスホネート基、ホスフィネート基、アスコルビン酸基、グリコール、例えばポリエーテル、-COOM’、-SOM’、-POM’、-NR 、Y’、(CHCHO)Rおよびその混合物(Y’は、ハロゲン、スルフェート、スルホネート、または酸素含有アニオンであることができ、pは1~500であることができ、Rは、それぞれ独立してHまたはアルキル(メチルなど)であることができ、M’は、カチオン性対イオンまたは水素、--(CHCHO)yyCHCHXRyy、--(CHCHO)yyCHCHX--、--X(CHCHO)yyCHCH--、グリコール、およびポリエチレングリコールであることができ、ここで、yyは、1~1000から選択され、Xは、O、S、およびNRZZから選択され、RZZおよびRYYは独立して、HおよびC1~C3アルキルから選択される)が挙げられる。
【0064】
複数のWSGは、分岐リンカーを介して主題の多発色団における単一の場所において含まれ得る。任意の好都合な分岐リンカーは、複数のWSGへの連結をもたらすために利用され得る。目的とする分岐リンカーは、これらに限定されないが、第三級アミノ基(例えば、ここで、Nは、分岐原子である)、アミノ酸残基、置換アリール基、置換ヘテロアリール基、置換複素環基、デンドリマーなどを含む。ある特定の実施形態では、分岐リンカーは、水溶性基でさらに二置換されているアラルキル置換基である。したがって、ある場合において、分岐リンカー基は、多発色団を2個以上の水溶性基に接続する多発色団の置換基である。ある場合において、分岐リンカーを介した複数のWSGの組込みは、多発色団に対して望ましい溶解性を与える。一部の実施形態では、多発色団は、アルキル、アラルキルおよび複素環基からなる群から選択される置換基を含み、各基は、水溶性基でさらに置換されている。ある特定の場合において、WSGは、親水性ポリマー基、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)(例えば、2~20ユニットのPEG)である。
【0065】
多発色団は、いずれかの簡便な長さのものであり得る。場合により、多発色団のモノマー反復単位またはセグメントの特定の数は、2~100,000、2~30,000、2~10,000、2~3,000または2~1,000単位またはセグメントなど、または5~100,000、10~100,000、100~100,000、200~100,000、または500~50,000単位またはセグメントなど、2~500,000の範囲内に入り得る。一部の場合において、多発色団のモノマー反復単位またはセグメントの特定の数は、2~500、2~100、3~100、4~100、5~100、6~100、7~100、8~100、9~100または10~100単位またはセグメントなど、2~1,000の範囲内に入り得る。
【0066】
多発色団は簡便な分子量(MW)を有し得る。場合により、多発色団のMWは、平均分子量として表される。一部の場合において、ポリマー色素は、1,000~100,000、2,000~100,000、10,000~100,000などの500~500,000の平均分子量、または50,000~100,000の平均分子量を有する。
【0067】
一部の実施形態において、BODIPYユニットは、30%以上、40%以上、45%以上、50%以上、60%以上、70%以上など、多発色団の25%以上(モル濃度による)、またはそれを超えて占める。かかる場合において、多発色団は、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上、60以上、70以上、80以上、90以上、100以上、200以上、500以上、1000以上、10,000以上などの5個以上の反復単位、またはそれを超える反復単位を含み得る。かかる場合において、多発色団は、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上、60以上、70以上、80以上、90以上、100以上、200以上、500以上、1000以上、10,000以上など、5個以上のコモノマー単位、またはそれを超えるコモノマー単位を含み得る。
【0068】
主題の多発色団は、1つまたは複数の望ましい分光学的特性、例えば、特定の吸収極大波長、特定の発光最大波長、吸光係数、量子収量、ナローバンドスペクトルフィーチャ、低エネルギー吸収バンドなどを有し得る。
【0069】
ある特定の実施形態では、多発色団は、ナローバンドスペクトルフィーチャを有する。ナローバンドスペクトルフィーチャは、500nm以上を中心としたピークを伴う50nm以下の半値全幅(FWHM)を有する吸光度または発光スペクトルを指す。一部の実施形態では、色素は、200nm以下、例えば、150nm以下、100nm以下、90nm以下、80nm以下、70nm以下、60nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、20nm以下、またはさらにはそれを下回るバンド幅を有する低エネルギー吸収バンドを有する。ある場合において、バンド幅は、半値全幅(FWHM)測定によって決定する。ある特定の実施形態では、色素は、50nm以下のバンド幅を有する低エネルギー吸収バンドを有する。
【0070】
一部の実施形態では、多発色団は、300~900nm、例えば、350~850nm、350~600nm、360~500nm、370~500nm、380~500nm、390~500nmまたは400~500nmの範囲の吸収極大波長を有し、目的とする吸収極大の具体例には、これらに限定されないが、590nm、630nm、650nm、680nmおよび750nmが含まれる。ある特定の実施形態では、多発色団は、590nm±5nm、630nm±5nm、650nm±5nm、680nm±5nmまたは750nm±5nmの吸収極大波長を有する。一部の実施形態では、多発色団は、300~900nm、例えば、350~850nm、350~600nm、360~500nm、370~500nm、380~500nm、390~500nmまたは400~500nmの範囲の発光最大波長を有し、目的とする発光極大の具体例には、これらに限定されないが、605nm、650nm、680nm、700nmおよび805nmが含まれる。ある特定の実施形態では、多発色団は、605nm±5nm、650nm±5nm、680nm±5nm、700nm±5nmまたは805nm±5nmの発光最大波長を有する。
【0071】
一部の場合において、多発色団は、吸光係数5×10cm-1-1以上、例えば6×10cm-1-1以上、7×10cm-1-1以上、8×10cm-1-1以上、9×10cm-1-1以上、例えば1×10cm-1-1以上、1.5×10cm-1-1以上、2×10cm-1-1以上、2.5×10cm-1-1以上、3×10cm-1-1以上、4×10cm-1-1以上、5×10cm-1-1以上、6×10cm-1-1以上、7×10cm-1-1以上、または8×10cm-1-1以上を有する。かかる場合において、多発色団は、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上などの5個以上の反復単位、またはそれを超える反復単位を有し得る。一部の実施形態において、多発色団はモル吸光係数5×10-1cm-1以上を有する。特定の実施形態において、多発色団はモル吸光係数1×10-1cm-1以上を有する。
【0072】
ある場合において、多発色団は、1コモノマー当たり40,000cm-1-1以上、例えば、1コモノマー当たり45,000cm-1-1以上、1コモノマー当たり50,000cm-1-1以上、1コモノマー当たり55,000cm-1-1以上、1コモノマー当たり60,000cm-1-1以上、1コモノマー当たり70,000cm-1-1以上、1コモノマー当たり80,000cm-1-1以上、1コモノマー当たり90,000cm-1-1以上、1コモノマー当たり100,000cm-1-1以上、またはさらにはそれを超える吸光係数を有する。
【0073】
ある場合において、多発色団は、1繰り返しユニット当たり40,000cm-1-1以上、例えば、1繰り返しユニット当たり45,000cm-1-1以上、1繰り返しユニット当たり50,000cm-1-1以上、1繰り返しユニット当たり55,000cm-1-1以上、1繰り返しユニット当たり60,000cm-1-1以上、1繰り返しユニット当たり70,000cm-1-1以上、1繰り返しユニット当たり80,000cm-1-1以上、1繰り返しユニット当たり90,000cm-1-1以上、1繰り返しユニット当たり100,000cm-1-1以上、1繰り返しユニット当たり100,000cm-1-1以上、1繰り返しユニット当たり120,000cm-1-1以上、またはさらにはそれを超える吸光係数を有する。
【0074】
ある場合において、本明細書に記載されている吸光係数は、平均吸光係数である。ある特定の場合において、多発色団の繰り返しユニットは、単一のモノマー、2種のコモノマー、または3種以上のコモノマーを含み得る。
【0075】
ある特定の実施形態では、多発色団は、0.05以上、例えば、0.1以上、0.15以上、0.2以上、0.25以上、0.3以上、0.35以上、0.4以上、0.45以上、0.5以上、0.6以上、0.7以上、またはさらにはそれを超える量子収量を有する。ある特定の場合において、多発色団は、0.1以上の量子収量を有する。ある特定の場合において、多発色団は、0.3以上の量子収量を有する。
【0076】
場合により、多発色団は、コブロック(例えば、nおよびmコブロック)を含み得ることが理解される。主題の多発色団は、ポリマー全体の構造内に様々な長さのnおよびmコブロックの、いずれかの簡便な直鎖状配列を含み得る。さらに、多発色団は、かかるnおよび/またはmコブロック内にコモノマーのいずれかの簡便な配列を含み得る。主題の多発色団の製造において、様々なポリマー合成法を用いて、対象のコモノマーおよびコブロックを製造することができる。場合により、特定の長さ、かつ/またはその集合の各CPに存在する末端(end)基(例えば、末端(terminal)基)に対して、一部の変形形態を含む共役系ポリマーの集合を含む組成物がこの重合方法によって製造され得ることが理解される。本明細書に示される式は、単一の化合物、またはポリマー化合物の部分集合を意味し得る。
【0077】
一部の実施形態では、多発色団は、式(I):
【0078】
【化3】
【0079】
によって示されるBODIPYを含む共役セグメントを含み、式中、
Bは、BODIPYユニット(例えば、本明細書に記載される)であり、
Mは、π共役コモノマーであり、
各Lは、末端基であり、かつ
nは、1~100,000の整数である。式(I)のある特定の場合において、各Lは、末端基、π共役セグメント、リンカーおよび連結された特異的結合メンバーからなる群から独立して選択される。
【0080】
任意の好都合なπ共役コモノマーは、主題の多発色団において利用され得る。本明細書において使用される用語「π共役コモノマー」は、ポリマー骨格に沿って隣接する基にπ共役(すなわち、隣接するユニットにわたるパイ電子の非局在化)することができる、ポリマーの任意の好都合なモノマーサブユニットを指す。式(I)のある特定の実施形態では、Mは、縮合6-5-6三環式コモノマー、フルオレンコモノマー、フェニレン-ビニレンコモノマー、フェニレン-エチニレンコモノマー、カルバゾールコモノマー、C~C12アルキンコモノマー、アリーレン-エチニレンコモノマー、ヘテロアリーレン-エチニレンコモノマー、アリーレンコモノマーおよびヘテロアリーレンコモノマーから選択される。
【0081】
式(I)のある特定の実施形態では、Mは、フェニレン-ビニレンコモノマーである。式(I)のある場合において、Mは、フェニレン-エチニレンコモノマーである。式(I)のある場合において、Mは、カルバゾールコモノマーである。式(I)のある特定の場合において、Mは、C~C12アルキンコモノマーである。式(I)のある特定の場合において、Mは、アリーレン-エチニレンコモノマーである。式(I)の一部の実施形態では、Mは、ヘテロアリーレン-エチニレンコモノマーである。式(I)のある場合において、Mは、アリーレンコモノマーである。式(I)のある場合において、Mは、ヘテロアリーレンコモノマーである。
【0082】
式(I)の一部の実施形態では、Mは、縮合6-5-6三環式コモノマーである。6-5-6縮合三環系コモノマーは、6-5-6配置で3つの縮合環、すなわち中央の5員環に縮合された2つのベンゾ環を有する三環系芳香族基を含むコモノマーである。5員環は炭素環または複素環であることができ、さらにベンゾ環に縮合されていない環原子において側鎖置換基を含み得る。特定の場合において、6-5-6縮合三環系コモノマーは、以下の構造:
【0083】
【化4】
【0084】
によって示され、式中、
Zは、-C(R-または-N(R)-であり;
Rは、それぞれ独立してHまたは1つもしくは複数のアリール置換基であり;
は、それぞれ独立して、アルキル、置換アルキル、アラルキル、置換アラルキル、PEG部位および-L-Z(Lはリンカーであり、かつZは化学選択的タグ(例えば、化学選択的官能基を含むタグ)である)またはWSGからなる群から選択される。本明細書に記載の式のいずれかで使用されるは、共役系ポリマーの不飽和主鎖への共有結合の部位または末端基を意味する。一部の実施形態において、Zが-N(R)-である場合、6-5-6縮合三環系コモノマーはカルバゾールコモノマーである。簡便なカルバゾールコモノマーを主題の多発色団において用いることができる。
【0085】
一部の実施形態において、Zは-C(R-である場合、6-5-6縮合三環系コモノマーはフルオレンコモノマーである。簡便なフルオレンコモノマーを主題の多発色団において用いることができる。式(I)の一部の実施形態では、Mは、カルバゾールコモノマーである。縮合6-5-6三環式コモノマーのある特定の場合において、各Rは、1個、2個以上のPEG部分で置換されているベンジル基、または2個以上のPEG部分で置換されているアルキル基から選択される。
【0086】
式(I)の一部の実施形態では、Mは、フルオレンコモノマーである。フルオレンコモノマーは、9位において任意の好都合な側鎖置換基で置換されている9H-フルオレンコア構造を有する芳香族基である。ある場合において、フルオレンコモノマーは、9,9-二置換フルオレンである。フルオレンコモノマーは、フルオレンコア構造の任意の好都合な位置、例えば、1~8位から選択される任意の2つの好都合な位置を介して、隣接するポリマー骨格基に共役し得る(下記の番号付けしたスキームを参照されたい)。一部の実施形態では、フルオレンコア構造は、2位および7位を介して、ポリマー骨格の隣接する基に連結している(下記の番号付けしたスキームを参照されたい)。ある特定の実施形態では、フルオレンコモノマーは、下記の構造:
【0087】
【化5】
【0088】
によって示され、式中、各Rは、アルキル、置換アルキル、アラルキル、置換アラルキル、PEG部分および-L-Zから独立して選択され、式中、Lは、リンカーであり、Zは、化学選択的タグ(例えば、化学選択的官能基を含むタグ)またはWSGである。フルオレンコモノマーのある特定の場合において、各Rは、1個、2個またはそれを超えるPEG部分で置換されているベンジル基、または2個以上のPEG部分で置換されているアルキル基から選択される。ある場合において、Zは、アクセプター発色団へと多発色団を共有結合で連結することにおいて使用される官能基を含む(例えば、本明細書に記載される)。ある特定の場合において、Zは、アクセプター発色団へ共有結合で連結するためのアミノ基を含む。
【0089】
ある特定の場合において、Zは、アクセプター発色団へ共有結合で連結するためのカルボン酸基、またはその誘導体を含む。ある特定の実施形態では、Lは、2個以上のZ基(例えば、WSG)に連結している分岐リンカーである。ある特定の場合において、フルオレンコモノマーは、1位、3位、4位、5位、6位および8位から選択される1個、2個またはそれを超える位置に位置しているRおよび/またはR置換基でさらに置換されており、RおよびRは、水溶性基(WSG)およびアリール置換基(例えば、本明細書に記載される)から独立して選択される。
【0090】
一部の場合において、フルオレンコモノマーは、以下の構造:
【0091】
【化6】
【0092】
によって示され、式中、Rは、それぞれ水溶性基または2個以上の水溶性基に連結された分岐状リンカーで置換されているアルキルである(例えば、PEG二置換ベンジルまたはPEG置換アルキル)。フルオレンコモノマーの特定の場合において、Rは、それぞれ1、2、または3個のPEG部位(例えば、-O(CHCHO)R’(R’は、Hまたはアルキルであり、nは1~20、例えば3~16であり、例えばnは8~16である))で置換されているベンジル基である。フルオレンコモノマーの特定の場合において、Rは、それぞれ1つの-O(CHCHO)R’基で(例えば、2、3または4位において)置換されているベンジル基であり、R’はHまたはアルキルであり、nは1~20、例えば3~16であり、例えばnは8~16である。フルオレンコモノマーの特定の場合において、Rは、それぞれ2つの-O(CHCHO)R’基で(例えば、2,4-、3,4-または3,5-位において)置換されているベンジル基であり、R’は、それぞれ独立してHまたはアルキルであり、nは、それぞれ独立して1~20、例えば3~16であり、例えばnは8~16である。
【0093】
フルオレンコモノマーの特定の場合において、Rは、それぞれ3つの-O(CHCHO)R’基で(例えば、2,2,4,6-、2,4,5-または3,4,5-位において)置換されているベンジル基であり、R’はHまたはアルキルであり、nは1~20、例えば3~16であり、例えばnは8~16である。フルオレンコモノマーの特定の場合において、Rは、それぞれ三価分岐状基で置換されている低級アルキルであり、それぞれが2つのPEG部位(例えば、-CO-NR’’または-O(CHR’’)三価分岐状基)で置換されており、R’’は、それぞれ独立してPEG部位(例えば、-O(CHCHO)R’(R’はHまたはアルキルであり、nは1~20、例えば3~16であり、例えばnは8~16である)である。ある特定の実施形態では、フルオレンコモノマーは、下記の構造:
【0094】
【化7】
【0095】
によって示され、式中、Rは、水溶性基で置換されているアルキル(例えば、PEG置換アルキル)であり、Rは、L-Zであり、式中、Lは、リンカーであり、Zは、化学選択的タグ(例えば、アクセプター発色団への共役のため)またはアクセプター発色団である。これらに限定されないが、カルボン酸、活性エステル(例えば、NHSまたはスルホ-NHSエステル)、アミノ、ヒドロキシル、チオール、マレイミド、ヨードアセチル、ヒドラジド、ヒドラジノ、アルデヒド、ケトン、アジド、アルキン、ホスフィン、エポキシドなどを含めた任意の好都合な化学選択的官能基は、主題の多発色団中に含まれてもよい。ある場合において、化学選択的タグは、任意の好都合な部分(例えば、アクセプター発色団)を多発色団に共有結合で連結するために利用される。
【0096】
ある特定の場合において、Zは、アクセプター発色団へ共有結合で連結するためのアミノ基を含む。ある特定の場合において、Zは、アクセプター発色団へ共有結合で連結するためのカルボン酸基、またはその誘導体を含む。フルオレンコモノマーのある特定の場合において、Rは、それぞれが2個のPEG部分(例えば、-CO-NR’’または-O(CHR’’))で置換されている、三価の分岐基で置換されている低級アルキル基であり、式中、各R’’は、PEG部分(例えば、-O(CHCHO)R’、式中、R’は、Hまたはアルキルであり、nは、1~20、例えば、3~16であり、例えば、nは、8~16である)である。
【0097】
ある場合において、フルオレンコモノマーは、下記の構造:
【0098】
【化8】
【0099】
によって示され、式中、
は、水溶性基を含む置換基であり(例えば、本明細書に記載される)、
は、L-Zであり、式中、Lは、リンカーであり、Zは、化学選択的タグ(例えば、アクセプター発色団への共役のための)またはアクセプター発色団であり、かつ
およびRは、H、水溶性基およびアリール置換基(例えば、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、ハロゲンまたはニトロ)から独立して選択される。フルオレンコモノマーのある特定の場合において、Rは、それぞれが2個のPEG部分(例えば、-CO-NR’’または-O(CHR’’)三価の分岐基で置換されている、三価の分岐基で置換されている低級アルキル基であり、式中、各R’’は、PEG部分(例えば、-O(CHCHO)R’、式中、R’は、Hまたはアルキルであり、nは、1~20、例えば、3~16であり、例えば、nは、8~16である)である。
【0100】
任意の好都合な末端基は、主題の多発色団の末端において利用され得る。目的とする末端基には、これらに限定されないが、末端キャッピング基、π共役セグメント、リンカーおよび連結された特異的結合メンバーが含まれる。一部の実施形態では、末端キャッピング基は、重合後に多発色団の骨格に共役している一価の基である。ある特定の場合において、末端キャッピング基は、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルキルまたは置換アルキルである。一部の実施形態では、末端キャッピング基は、それに任意の好都合な部分、例えば、特異的結合メンバーが連結し得るリンカーおよび/または共役タグで置換されている。
【0101】
ある特定の場合において、末端基は、重合の方法において使用されるモノマーに由来する基、例えば、さらなる共役を受けることができる基、例えば、ハロゲン(例えば、Br)、ボロン酸またはボロン酸エステルである。ある場合において、末端基は、π共役セグメントである。本明細書において使用されるπ共役セグメントは、それに多発色団が共役し得る、共役ポリマーの任意の好都合なさらなるセグメントを指す(すなわち、隣接するユニットにわたるパイ電子の非局在化を可能とする)。
【0102】
ある特定の実施形態では、末端ユニットは、リンカー、例えば、特異的結合部分への共役に適した官能基を含むリンカーである。多発色団の側鎖において存在し得る任意の他のリンカーおよび化学選択的タグに対して直角となるような、多発色団の末端において位置しているリンカーおよび共役タグを選択し得ることが理解される。本明細書において使用される化学選択的タグおよび共役タグという用語は、互換的に使用してもよく、目的とする官能基(例えば、本明細書に記載される化学選択的官能基)を含む任意の好都合な基を指す。ある特定の実施形態では、アミノ官能基またはその誘導体は、末端基(例えば、Gおよび/またはG)に含まれており、カルボン酸官能基またはその誘導体は、Zに含まれている。ある特定の実施形態では、カルボン酸官能基またはその誘導体は、末端基(例えば,Gおよび/またはG)に含まれており、アミノ官能基またはその誘導体は、Zに含まれている。
【0103】
ポリマータンデム色素
上記で要約するように、本開示は、集光性BODIPYユニットを含む多発色団を含むポリマータンデム色素を提供する。本明細書に記載されている集光性BODIPYユニットを含む多発色団のいずれかは、主題のポリマータンデム色素において利用され得る。一部の実施形態では、ポリマータンデム色素は、集光性BODIPYユニットを含む多発色団と、そのエネルギー受容近位で多発色団に共有結合で連結されたアクセプター発色団とを含む。一部の実施形態では、集光性多発色団は、水溶性である。
【0104】
ポリマータンデム色素は、2個の共有結合で連結された部分:ドナー集光性多発色団(例えば、本明細書に記載される)およびアクセプター発色団を含む。本明細書において使用される用語「アクセプター発色団」は、多発色団から移動するエネルギーを受容もしくは吸収することができる、光を吸収する分子を指す。ある場合において、アクセプター発色団は、光として多発色団から受けたエネルギーを放出するか、またはエネルギーを熱として消失させることができる。
【0105】
他に明記しない限り、本明細書において示した構造および式において、ラベル「色素」は、「アクセプター発色団」を指すことが理解される。ある場合において、アクセプター発色団は、クエンチャーである。本明細書において使用される用語「クエンチャー」は、多発色団からのエネルギーを吸収し、光を放出しないが、むしろエネルギーを熱として消失させることができるアクセプター発色団を指す。ある特定の場合において、アクセプター発色団は、蛍光色素である。一部の実施形態では、ポリマータンデム色素は、ドナー多発色団の吸収極大波長で励起し得、アクセプター発色団の発光波長で光を放出し得る。ある場合において、集光性多発色団は、そのエネルギー受容近位でアクセプター発色団種へとエネルギーを移動させることができる。エネルギー移動のための機序は、例えば、共鳴エネルギー移動(例えば、フェルスター(または蛍光)共鳴エネルギー移動、FRET)、量子電荷交換(デクスター(Dexter)エネルギー移動)などを含む。
【0106】
ある場合において、これらのエネルギー移動機序は、相対的に短距離であり、すなわち、アクセプター発色団に対して集光性多発色団系が近傍であることは、効率的なエネルギー移動をもたらす。ある場合において、効率的なエネルギー移動のための条件下で、集光性多発色団系における個々の発色団の数が多いとき、アクセプター発色団からの発光の増幅が起こる。すなわち、シグナル伝達発色団からの発光は、シグナル伝達発色団がポンプ光によって直接励起されたときより、入射光(「ポンプ光」)が集光性多発色団によって吸収される波長にあるときにより強い。
【0107】
ある場合において、「効率的な」エネルギー移動とは、収集したエネルギーの5%以上、例えば、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、またはさらにはそれを超える割合がアクセプターに移動することを意味する。ある場合において、アクセプター発色団が蛍光色素であるとき、効率的なエネルギー移動という用語は、0.05以上、例えば、0.1以上、0.2以上、0.3以上、0.4以上、0.5以上、またはさらにはそれを超える蛍光量子収量を指し得る。
【0108】
「増幅」とは、アクセプター発色団からのシグナルが、集光性発色団によって励起したとき、等しい強度の入射光による直接の励起と比較して、1.5倍以上、例えば、2.0倍以上、2.5倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、6倍以上、7倍以上、8倍以上、10倍以上、またはさらにはそれを超えることを意味する。このシグナルは、いずれかの簡便な方法を用いて測定することができる。場合により、1.5倍以上のシグナルは、発せられた光の強度を意味する。特定の場合において、1.5倍以上のシグナルは、シグナル対ノイズ比の増加を意味する。ポリマータンデム色素の特定の実施形態において、アクセプター発色団の発光は、入射光でのアクセプター発色団の直接的な励起と比較して、多発色団によって励起された場合に1.5倍以上である。
【0109】
一部の場合において、ポリマータンデム色素は、5×10cm-1-1以上、例えば、6×10cm-1-1以上、7×10cm-1-1以上、8×10cm-1-1以上、9×10cm-1-1以上、例えば1×10cm-1-1以上、1.5×10cm-1-1以上、2×10cm-1-1以上、2.5×10cm-1-1以上、3×10cm-1-1以上、4×10cm-1-1以上、5×10cm-1-1以上、6×10cm-1-1以上、7×10cm-1-1以上、または8×10cm-1-1以上の吸光係数を有する。一部の実施形態において、ポリマータンデム色素は、5×10-1cm-1以上のモル吸光係数を有する。特定の実施形態において、ポリマータンデム色素は、1×10-1cm-1以上のモル吸光係数を有する。
【0110】
ある特定の実施形態では、ポリマータンデム色素は、0.05以上、例えば、0.10以上、0.15以上、0.20以上、0.25以上、0.30以上、0.35以上、例えば、0.40以上、0.45以上、0.5以上、またはさらにはそれを超える量子収量を有する。ある特定の場合において、ポリマータンデム色素は、0.1以上の量子収量を有する。ある特定の場合において、ポリマータンデム色素は、0.3以上の量子収量を有する。
【0111】
アクセプター発色団として、簡便な蛍光色素が主題のポリマータンデム色素において用いられ得る。「蛍光色素」および「フルオロフォア」という用語は、本明細書において区別なく使用される。一部の実施形態において、アクセプター発色団は、シアニン色素、キサンテン色素、クマリン色素、チアジン色素またはアクリジン色素である。
【0112】
対象の蛍光色素としては、限定されないが、フルオレセイン、6-FAM、ローダミン、TexasRed、テトラメチルローダミン、カルボキシローダミン、カルボキシローダミン6G、カルボキシロードール、カルボキシローダミン110、Cascade Blue、Cascade Yellow、クマリン、Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy-クロム、フィコエリトリン、PerCP(ペリジニンクロロフィル-aタンパク質)、PerCP-Cy5.5、JOE(6-カルボキシ-4’,5’-ジクロロ-2’,7’-ジメトキシフルオレセイン)、NED、ROX(5-(および-6)-カルボキシ-X-ローダミン)、HEX、Lucifer Yellow、Marina Blue、Oregon Green 488、Oregon Green 500、Oregon Green 514、Alexa Fluor 350、Alexa Fluor 430、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700、7-アミノ-4-メチルクマリン-3-酢酸、BODIPYFL、BODIPYFL-Br.sub.2、BODIPY 530/550、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY581/591、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665、BODIPYR 6G、BODIPYTMR、BODIPYTR、その共役体、およびその組み合わせが挙げられる。
【0113】
対象のランタニドキレートとしては、限定されないが、ユーロピウムキレート、テルビウムキレートおよびサマリウムキレートが挙げられる。一部の実施形態において、ポリマータンデム色素としては、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、Alexa 488、Alexa 647およびAlexa 700から選択されるアクセプターフルオロフォアに連結されたポリマー色素を意味する。特定の実施形態において、ポリマータンデム色素としては、Dyomics色素(例えば、DY 431、DY 485XL、DY 500XL、DY 530、DY 610、DY 633、DY 640、DY 651、DY 654、DY 682、DY 700、DY 701、DY 704、DY 730、DY 731、DY 732、DY 734、DY 752、DY 754、DY 778、DY 782、DY 800またはDY 831)、Biotium CF555、Cy3.5、およびジエチルアミノクマリンから選択されるアクセプターフルオロフォアに連結されたポリマー色素が挙げられる。
【0114】
ポリマータンデム色素のある特定の実施形態では、アクセプター発色団を欠いているコモノマーと、連結されたアクセプター発色団を含むコモノマーの比は、40:1~3:1の範囲、例えば、20:1~3:1、10:1~3:1、9:1~3:1、5:1~3:1もしくは4:1~3:1の範囲、または20:1~4:1、20:1~5:1、20:1~9:1もしくは20:1~10:1の範囲である。
【0115】
ある場合において、ポリマータンデム色素は、式(II):
【0116】
【化9】
【0117】
によって示され、式中、
およびBは、それぞれ独立してBODIPYユニットであり、
各Mおよび各Mは、独立してπ共役コモノマーであり、
a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0、1または2であり、ここで、b+e≧1であり、
nおよびmは、独立して0または1~100,000の整数であり、ここで、n+m≧1であり、
pは、1~100,000の整数であり、かつ
各Lは、独立して末端基である。
【0118】
式(II)のある場合において、各Lは、末端基、π共役セグメント、リンカーおよび連結された特異的結合メンバーから独立して選択される。式(II)の一部の実施形態では、bが0であるとき、aおよびcはそれぞれ1であり、eが0であるとき、dおよびfはそれぞれ1であり、bが1であるとき、a+c≧1であり、かつeが1であるとき、d+f≧1である。式(II)の一部の実施形態では、bは1であり、かつeは0である。式(II)の一部の実施形態では、bは0であり、かつeは1である。式(II)の一部の実施形態では、bは1であり、かつeは1である。式(II)の一部の実施形態では、bは2であり、かつeは0である。式(II)の一部の実施形態では、bは0であり、かつeは2である。式(II)の一部の実施形態では、bは2である。式(II)の一部の実施形態では、eは2である。
【0119】
式(II)のある場合において、B、B、MおよびMの少なくとも1つは、-L-Cを含み、式中、Lは、任意選択的なリンカーであり、Cは、アクセプター発色団である。式(II)のある特定の場合において、BおよびBの少なくとも1つは、-L-Cを含む。式(II)のある場合において、MおよびMの少なくとも1つは、-L-Cを含む。式(II)のある場合において、Mは、-L-Cを含み、Mはそれを含まない。式(II)のある特定の場合において、Mは、-L-Cを含み、Mはそれを含まない。式(II)のある特定の場合において、Bは、-L-Cを含み、Bはそれを含まない。式(II)のある特定の場合において、Bは、-L-Cを含み、Bはそれを含まない。
【0120】
式(II)の一部の実施形態では、aは0である。式(II)のある場合において、aは1である。式(II)のある特定の実施形態では、cは0である。式(II)のある特定の場合において、cは1である。式(II)のある場合において、aは1であり、かつcは0である。式(II)のある特定の場合において、aは0であり、かつcは1である。式(II)のある特定の場合において、dは0である。式(II)のある場合において、dは1である。式(II)の一部の実施形態では、fは0である。式(II)のある場合において、fは1である。式(II)のある場合において、dは1であり、かつfは0である。式(II)のある特定の場合において、dは0であり、かつfは1である。
【0121】
ある場合において、ポリマータンデム色素は、式(III):
【0122】
【化10】
【0123】
によって示され、式中、B、B、M、M、n、m、pおよび各Lは、式(II)について定義された通りであり、各Lは、独立して、任意選択的なリンカーであり、かつ各Cは、独立してアクセプター発色団である。式(III)のある場合において、各Mおよび各Mは、独立して、水溶性基で任意選択的に置換されているフルオレンコモノマーである。式(III)のある場合において、各Mおよび各Mは、独立して、水溶性基で任意選択的に置換されている縮合6-5-6三環式コモノマー、例えば、フルオレンコモノマーまたはカルバゾールコモノマーである。式(III)のある特定の実施形態では、nとmとの比は、20:1~3:1の範囲、例えば、10:1~3:1、9:1~3:1、5:1~3:1もしくは4:1~3:1の範囲、または20:1~4:1、20:1~5:1、20:1~9:1もしくは20:1~10:1の範囲である。
【0124】
一部の実施形態では、ポリマータンデム色素は、式(IV):
【0125】
【化11】
【0126】
によって示され、式中、B、M、n、m、pおよび各Lは、式(II)について定義された通りであり、各Lは、任意選択的なリンカーであり、かつ各Cは、アクセプター発色団である。式(IV)のある特定の実施形態では、各Mは、独立して、水溶性基で任意選択的に置換されているフルオレンコモノマーである。式(IV)のある場合において、各Mは、独立して、水溶性基で任意選択的に置換されている縮合6-5-6三環式コモノマー、例えば、フルオレンコモノマーまたはカルバゾールコモノマーである。式(IV)のある特定の場合において、nとmとの比は、20:1~3:1の範囲、例えば、10:1~3:1、9:1~3:1、5:1~3:1もしくは4:1~3:1の範囲、または20:1~4:1、20:1~5:1、20:1~9:1もしくは20:1~10:1の範囲である。
【0127】
一部の実施形態では、ポリマータンデム色素は、式(V):
【0128】
【化12】
【0129】
によって示され、式中、B、B、M、n、m、pおよび各Lは、式(II)について定義された通りであり、各Lは、任意選択的なリンカーであり、かつ各Cは、アクセプター発色団である。式(V)のある特定の実施形態では、各Mは、独立して、水溶性基で任意選択的に置換されているフルオレンコモノマーである。式(V)のある場合において、各Mは、独立して、水溶性基で任意選択的に置換されている縮合6-5-6三環式コモノマー、例えば、フルオレンコモノマーまたはカルバゾールコモノマーである。式(V)のある特定の場合において、nとmとの比は、20:1~3:1の範囲、例えば、10:1~3:1、9:1~3:1、5:1~3:1もしくは4:1~3:1の範囲、または20:1~4:1、20:1~5:1、20:1~9:1もしくは20:1~10:1の範囲である。
【0130】
一部の実施形態では、ポリマータンデム色素は、式(VI):
【0131】
【化13】
【0132】
によって示され、式中、B、M、M、n、m、pおよび各Lは、式(II)について定義された通りであり、各Lは、任意選択的なリンカーであり、かつ各Cは、アクセプター発色団である。式(VI)のある特定の実施形態では、各Mは、カルバゾールコモノマーであり、かつ各Mは、水溶性基で任意選択的に置換されているフルオレンコモノマーである。式(VI)のある場合において、各Mおよび各Mは、独立して、水溶性基で任意選択的に置換されている縮合6-5-6三環式コモノマー、例えば、フルオレンコモノマーまたはカルバゾールコモノマーである。式(VI)のある特定の場合において、nとmとの比は、20:1~3:1の範囲、例えば、10:1~3:1、9:1~3:1、5:1~3:1もしくは4:1~3:1の範囲、または20:1~4:1、20:1~5:1、20:1~9:1もしくは20:1~10:1の範囲である。
【0133】
式(II)~(VI)の一部の実施形態では、BおよびBは、下記の構造:
【0134】
【化14】
【0135】
によってそれぞれ独立して示され、式中、Rは、1個もしくは複数の水溶性基(WSG)で任意選択的に置換されているアリール、ヘテロアリールまたはリンカーである。ある特定の場合において、Rは、BODIPYコア構造を2個以上のWSGに連結する分岐リンカーである。ある場合において、Rは、任意選択的なリンカーを介して1個、2個以上のWSGでさらに置換されているアリールまたはヘテロアリール部分である。ある特定の実施形態では、Rは、1個、2個、3個以上の親水性ポリマー置換基(例えば、PEGまたは修飾PEG置換基)で置換されているフェニル基である。
【0136】
ある特定の場合において、Rは、1個、2個もしくは3個のPEG部分(例えば、-O(CHCHO)R’、式中、R’は、Hまたはアルキルであり、nは、1~20、例えば、3~16であり、例えば、nは、8~16である)で置換されているフェニルである。ある特定の場合において、Rは、(例えば、2位、3位または4位において)1個の-O(CHCHO)R’基で置換されているフェニルであり、式中、R’は、Hまたはアルキルであり、nは、1~20、例えば、3~16であり、例えば、nは、8~16である。ある特定の場合において、Rは、(例えば、2,4位、3,4位または3,5位において)2個の-O(CHCHO)R’基で置換されているフェニルであり、式中、各R’は、独立して、Hまたはアルキルであり、各nは、独立して、1~20、例えば、3~16であり、例えば、nは、8~16である。
【0137】
ある特定の場合において、Rは、(例えば、2,4,6位、2,4,5位または3,4,5位において)3個の-O(CHCHO)R’基で置換されているフェニルであり、式中、各R’は、独立して、Hまたはアルキルであり、各nは、独立して、1~20、例えば、3~16であり、例えば、nは、8~16である。
【0138】
式(II)~(VI)のある場合において、BおよびBは、下記の構造によってそれぞれ独立して示され、
【0139】
【化15】
【0140】
式中、各R’は、Hおよびアルキルから独立して選択され、pは、0または1~20の整数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12である。ある特定の場合において、各R’は、メチルである。ある場合において、各pは、3である。
【0141】
式(II)~(VI)の一部の実施形態では、少なくとも1個のL基は、-L-Zであり、式中、Lは、リンカーであり、Zは、特異的結合メンバー(例えば、本明細書に記載される)である。式(II)~(VI)の一部の実施形態では、少なくとも1個のLは、-L-Zであり、式中、Lは、リンカー(例えば、本明細書に記載される)であり、Zは、化学選択的タグ(例えば、本明細書に記載される)である。ある場合において、Zは、カルボン酸、活性エステル(例えば、N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル(NHS)またはスルホ-NHS)、アミノ、マレイミド、ヨードアセチルおよびチオールから選択される。式(II)~(VI)のある特定の実施形態では、少なくとも1個のL基は、下記の構造によって示され、
*-Ar-L-Z
式中、Arは、π-共役アリールまたはヘテロアリール基であり、Lは、リンカーであり、Zは、化学選択的タグまたは特異的結合メンバーである。式(II)~(VI)のある特定の実施形態では、少なくとも1個のL基は、下記の構造:
【0142】
【化16】
【0143】
の1つによって示され、式中、qは、0または1~12の整数であり、Lは、任意選択的なリンカーであり、かつZは、化学選択的タグまたは特異的結合メンバーである。式(II)~(VI)のある特定の実施形態では、少なくとも1個のL基は、下記の構造:
【0144】
【化17】
【0145】
によって示され、式中、qは、0または1~12の整数であり、Lは、任意選択的なリンカーであり、かつZは、化学選択的タグまたは特異的結合メンバーである。ある特定の場合において、-NH-L-Zは、化学選択的タグまたは特異的結合メンバーへのアミド連結を含む。ある特定の実施形態では、Zは、生体分子である特異的結合メンバーである。ある特定の場合において、Zは、抗体である。ある場合において、Zは、抗体フラグメントまたはその結合誘導体である。ある場合において、抗体フラグメントまたはその結合誘導体は、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、scFv、二特異性抗体および三特異性抗体から選択される。
【0146】
式(II)~(VI)の一部の実施形態では、Cは、シアニン色素、キサンテン色素、クマリン色素、チアジン色素およびアクリジン色素から選択される。ある特定の場合において、リンカーは、アルキル、置換アルキル、アルキル-アミド、アルキル-アミド-アルキルおよびPEG部分から選択される。式(II)~(VI)のある特定の実施形態では、アクセプター発色団Cは、DY431、DY485XL、DY500XL、DY610、DY640、DY654、DY682、DY700、DY701、DY704、DY730、DY731、DY732、DY734、DY752、DY778、DY782、DY800、DY831、Biotium CF555、Cy3.5およびジエチルアミノクマリンから選択される。式(II)~(VI)のある特定の場合において、アクセプター発色団は、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、Alexa488、Alexa647およびAlexa700から選択される。
【0147】
一部の実施形態では、ポリマータンデム色素は、式(VII):
【0148】
【化18】
【0149】
によって示され、式中、
各qおよびrは、独立して1~20の整数であり、
各R’は、独立して水素またはアルキル(例えば、メチル)であり、
各Rは、独立して、1個、2個またはそれを超える水溶性基(WSG)(例えば、PEG-二置換ベンジルまたはPEG置換アルキル)で任意選択的に置換されているアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはリンカーであり、
色素は、アクセプター発色団であり、
n、m、pおよびLは、式(II)について定義された通りであり、かつ
Lは、リンカーであり、およびZは、化学選択的タグまたは特異的結合メンバーである。式(VII)についてのある特定の場合において、Lは、-O-(CH-NH-であり、式中、nは、2~12であり、例えば、nは4である。ある特定の場合において、各Rは、構造:
【0150】
【化19】
【0151】
によって示され、式中、各qは、独立して2~20の整数であり、各R’は、独立して水素、アルキルまたは置換アルキルである。ある特定の場合において、各R’はメチルである。ある場合において、各qは2である。ある特定の場合において、各qは3である。ある特定の場合において、各qは4である。ある特定の場合において、各qは5である。ある特定の場合において、各qは6である。ある特定の場合において、各qは7である。ある特定の場合において、各qは8である。ある特定の場合において、各qは9である。ある特定の場合において、各qは10である。ある特定の場合において、各qは11である。ある特定の場合において、Lは末端基である。
【0152】
一部の実施形態では、ポリマータンデム色素は、式(VIII):
【0153】
【化20】
【0154】
によって示され、式中、
各qおよびrは、独立して1~20の整数であり、
各R’は、独立して水素、アルキルまたは置換アルキルであり、
n、m、pおよびLは、式(II)について定義された通りであり、
各Rは、独立して、1個、2個またはそれを超える水溶性基(WSG)(例えば、PEG-二置換ベンジルまたはPEG置換アルキル)で任意選択的に置換されているアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはリンカーであり、
色素は、アクセプター発色団であり、かつ
Lは、リンカーであり、Zは、化学選択的タグまたは特異的結合メンバーである。ある特定の場合において、各R’はメチルである。
【0155】
式(VIII)のある特定の場合において、L-Zは、-O-(CH-NHであり、式中、nは、2~12である(例えば、nは、2、3または4である)。式(VIII)のある特定の場合において、Lは、-O-(CH-NH-であり、式中、nは、2~12であり、例えば、nは4であり、Zは、特異的結合メンバー(例えば、生体分子)である。式(VIII)のある特定の場合において、L-Zは、-(CH-NHであり、式中、nは、2~12である(例えば、nは、2、3または4である)。式(VIII)のある特定の場合において、Lは、-(CH-NH-であり、Zは、特異的結合メンバー(例えば、生体分子)であり、式中、nは、2~12である(例えば、nは、2、3または4である)。-CONH-色素連結を介してフルオレンコモノマーに連結している式(VIII)の色素基は、代わりに-NHCO-色素接続を介して連結していてもよいことが理解される。式(VIII)のこのような代替の記述において、Lは、-(CH-CO-でよく、式中、nは、2~12である(例えば、nは、2、3または4である)。ある特定の場合において、各Rは、下記の構造:
【0156】
【化21】
【0157】
によって示され、式中、各qは、独立して2~20の整数であり、各R’は、独立して水素、アルキルまたは置換アルキルである。ある特定の場合において、各R’はメチルである。ある場合において、各qは2である。ある特定の場合において、各qは3である。ある特定の場合において、各qは4である。ある特定の場合において、各qは5である。ある特定の場合において、各qは6である。ある特定の場合において、各qは7である。ある特定の場合において、各qは8である。ある特定の場合において、各qは9である。ある特定の場合において、各qは10である。ある特定の場合において、各qは11である。ある特定の場合において、Lは末端基である。
【0158】
一部の実施形態では、ポリマータンデム色素は、式(IX):
【0159】
【化22】
【0160】
によって示され、式中、
各qは、独立して1~20の整数であり、
各R’は、独立して水素、アルキルまたは置換アルキルであり、
各Rは、独立して、1個、2個またはそれを超える水溶性基(WSG)(例えば、PEG-二置換ベンジルまたはPEG置換アルキル)で任意選択的に置換されているアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはリンカーであり、
色素は、アクセプター発色団であり、
n、m、pおよびLは、式(II)において定義された通りであり、かつ
Lは、リンカーであり、およびZは、化学選択的タグまたは特異的結合メンバーである。ある特定の場合において、各R’はメチルである。式(IX)についてのある特定の場合において、Lは、-O-(CH-NH-であり、式中、nは、2~12であり、例えば、nは4である。ある特定の場合において、各Rは、下記の構造:
【0161】
【化23】
【0162】
によって示され、式中、各qは独立して、2~20の整数であり、各R’は、独立して水素、アルキルまたは置換アルキルである。ある特定の場合において、各R’はメチルである。ある場合において、各qは2である。ある特定の場合において、各qは3である。ある特定の場合において、各qは4である。ある特定の場合において、各qは5である。ある特定の場合において、各qは6である。ある特定の場合において、各qは7である。ある特定の場合において、各qは8である。ある特定の場合において、各qは9である。ある特定の場合において、各qは10である。ある特定の場合において、各qは11である。ある特定の場合において、Lは末端基である。
【0163】
一部の実施形態では、ポリマータンデム色素は、式(X):
【0164】
【化24】
【0165】
によって示され、式中、
各PEGは、独立して1~20ユニットのPEGまたは修飾PEGであり、
各Rは、独立して、1個、2個またはそれを超える水溶性基(WSG)(例えば、PEG-二置換ベンジルまたはPEG置換アルキル)で任意選択的に置換されているアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはリンカーであり、
色素は、アクセプター発色団であり、
n、m、pおよびLは、式(II)において定義された通りであり、かつ
各Lは、リンカーであり、Zは、化学選択的タグまたは特異的結合メンバーである。式(X)のある特定の場合において、Lは、-O-(CH-NH-であり、式中、nは、2~12であり、例えば、nは4である。式(X)のある特定の場合において、Rはアルキルである。式(X)のある特定の実施形態では、nとmとの比は、20:1~3:1、例えば、15:1~4:1、10:1~4:1、または9:1~5:1の範囲である。
【0166】
一部の実施形態では、ポリマータンデム色素は、式(XI):
【0167】
【化25】
【0168】
によって示され、式中、
各qは、独立して1~20の整数であり、
各R’は、独立して水素、アルキルまたは置換アルキルであり、
色素は、アクセプター発色団であり、
n、m、pおよびLは、式(II)において定義された通りであり、かつ
各Lは、リンカーであり、Zは、化学選択的タグまたは特異的結合メンバーである。式(XI)のある特定の場合において、Lは、-O-(CH-NH-であり、式中、nは、2~12であり、例えば、nは4である。式(XI)のある特定の場合において、Lは、-(CH-CONH-であり、式中、nは、1~12であり、例えば、nは1である。
【0169】
一部の実施形態では、ポリマータンデム色素は、式(XII):
【0170】
【化26】
【0171】
によって示され、式中、
各qは、独立して1~20の整数であり、
各R’は、独立して水素、アルキルまたは置換アルキルであり、
色素は、アクセプター発色団であり、
n、m、pおよびLは、式(II)において定義された通りであり、かつ
各Lは、リンカーであり、Zは、化学選択的タグまたは特異的結合メンバーである。式(XII)のある特定の場合において、Lは、-O-(CH-NH-であり、式中、nは、2~12であり、例えば、nは4である。式(XII)のある特定の場合において、Lは、-(CH-CONH-であり、式中、nは、1~12であり、例えば、nは1である。
【0172】
式(II)~(XII)のいずれか1つのフルオレンコモノマーのある特定の場合において、各RまたはR側鎖基は、1個、2個または3個のPEG部分(例えば、-O(CHCHO)R’、式中、R’は、Hまたはアルキルであり、nは、1~20、例えば、3~16であり、例えば、nは、8~16である)で置換されているベンジル基である。式(II)~(XII)のいずれか1つのフルオレンコモノマーのある特定の場合において、各RまたはR側鎖基は、(例えば、2位、3位または4位において)1個の-O(CHCHO)R’基で置換されているベンジル基であり、式中、R’は、Hまたはアルキルであり、nは、1~20、例えば、3~16であり、例えば、nは、8~16である。式(II)~(XII)のいずれか1つのフルオレンコモノマーのある特定の場合において、各RまたはR側鎖基は、(例えば、2,4位、3,4位または3,5位において)2個の-O(CHCHO)R’基で置換されているベンジル基であり、式中、各R’は、独立してHまたはアルキルであり、各nは、独立して1~20、例えば、3~16であり、例えば、nは、8~16である。
【0173】
式(II)~(XII)のいずれか1つのフルオレンコモノマーのある特定の場合において、各RまたはR側鎖基は、(例えば、2,4,6位、2,4,5位または3,4,5位において)3個の-O(CHCHO)R’基で置換されているベンジル基であり、式中、各R’は、独立してHまたはアルキルであり、各nは、独立して1~20、例えば、3~16であり、例えば、nは、8~16である。式(II)~(XII)のいずれか1つのフルオレンコモノマーのある特定の場合において、各RまたはR側鎖基は、それぞれが2個のPEG部分(例えば、-CO-NR’’または-O(CHR’’)三価の分岐基で置換されている、三価の分岐基で置換されている低級アルキル基であり、式中、各R’’は、独立してPEG部分(例えば、-O(CHCHO)R’、式中、R’は、Hまたはアルキルであり、nは、1~20、例えば、3~16であり、例えば、nは、8~16である)である。
【0174】
式(I)~(XII)のいずれか1つのポリマータンデム色素は代わりに、各コモノマーについてどのようなmol%値がポリマー中にあるかを示す式によって表すことができることが理解される。例えば、ある場合において、式(II)~(XII)のいずれか1つは、下記の式:
-(B(M(M-L-C-L
-(B(M(B-L-C-L
-(B(M(M-L-C-L
-(B(M(M-L-C-L
の1つによって表すことができ、式中、x、yおよびzは、共役ポリマー中のコモノマーのmol%値である。
【0175】
式のある場合において、xは、1mol%以上、例えば、2mol%以上、3mol%以上、4mol%以上、5mol%以上、10mol%以上、15mol%以上、20mol%以上、25mol%以上、30mol%以上、35mol%以上、40mol%以上、45mol%以上、50mol%以上、またはさらにはそれを超える。式のある特定の場合において、xは、1mol%~50mol%、例えば、5mol%~25mol%もしくは10mol%~25mol%、または例えば、1mol%~25mol%、1mol%~10mol%、もしくは1mol%~5mol%の範囲である。式のある場合において、zは、10mol%以上、例えば、15mol%以上、20mol%以上、25mol%以上、30mol%以上、35mol%以上、40mol%以上、45mol%以上、50mol%以上、またはさらにはそれを超える。
【0176】
式のある場合において、zは、25mol%以下、例えば、20mol%以下、15mol%以下、10mol%以下、8mol%以下、6mol%以下、5mol%以下、2mol%以下、1mol%以下、またはさらにはそれを下回る。式のある場合において、yは、1mol%以上、例えば、5mol%以上、10mol%以上、15mol%以上、20mol%以上、または25mol%以上である。式のある場合において、yは、25mol%以下、例えば、20mol%以下、15mol%以下、10mol%以下、8mol%以下、6mol%以下、5mol%以下、2mol%以下、1mol%以下、またはさらにはそれを下回る。
【0177】
本明細書において示す構造および式のいずれかについて、本明細書において示すある場合において、示した末端基は、主題のポリマータンデム色素のある場合において、示したものの反対の末端に位置していてもよく、例えば、末端基は、スイッチし得ることが理解される。本明細書に記載されている多発色団の一部の実施形態(例えば、式(I)~(XII))では、少なくとも1個の末端基(例えば、L、L、G、G、L-Z)は、下記の構造1~33:
【0178】
【化27】
【0179】
【化28】
【0180】
【化29】
【0181】
の1つから選択され、式中、R’は、独立してH、ハロゲン、C~C12アルキル、(C~C12アルキル)NH、C~C12アルケン、C~C12アルキン、C~C12シクロアルキル、C~C12ハロアルキル、C~C18(ヘテロ)アリール、C~C18(ヘテロ)アリールアミノ、-[CH-CHr’-Z、または(C~C12)アルコキシ-X(式中、Zは、-OHまたは-COOHであり、Xは、-NH、-NHCOOH、-NHCOOC(CH、-NHCO(C3~C12)シクロアルキル(C1~C4)アルキル-N-マレイミド;または-NHCO[CH-CH-O]s’(CHs’NHであり、r’は、1~20の整数であり、各s’は、独立して1~20の整数である)、(CH(OCHCHx’’OCH(式中、x’’は、独立して0~50の整数である)、または1個もしくは複数のハロゲン、ヒドロキシル、C~C12アルコキシ、もしくは(OCHCHy’’CH(式中、各y’’は、独立して0~50の整数である)で任意選択的に置換されているベンジルであり、R’は、Rと異なり、kは、2、4、8、12または24であり、R15は、下記の構造を有する基l~u:
【0182】
【化30】
【0183】
から選択される。
【0184】
本明細書に記載されている多発色団の一部の実施形態では(例えば、式(I)~(XII))、少なくとも1個の末端基(例えば、L、L、G、G、L-Z)は、下記の構造:
【0185】
【化31】
【0186】
の1つから選択され、式中、rは、0または1~50の整数(例えば、1~20)であり、kは、0または1~50の整数(例えば、1~20)であり、Rは、本明細書に記載されているフルオレンコモノマーのいずれかについて定義された通りであり、R16は、H、OH、NH、-NH(CH)r-NH、および-NH(CHCOOHから選択される。
標識化特異的結合性メンバー
本発明の開示内容の態様は、標識化特異的結合性メンバーを含む。標識化特異的結合性メンバーは、主題のBODIPYユニットを含む多発色団(例えば、本明細書に記載される)と特異的結合性メンバーとの共役体である。多発色団はポリマー色素であり得る。多発色団はポリマータンデム色素であり得る。特異的結合性メンバーおよび多発色団は、多発色団の簡便な位置を介して、任意選択的なリンカーを介して互いに共役(共有結合)され得る。
【0187】
本明細書で使用される「特異的結合性メンバー」という用語は、互いに結合特異性を有する分子の対のうちの1メンバーを意味する。その分子の対の一方のメンバーはその表面または空隙上の領域を有し、その対の分子の他方のメンバーの表面または空隙上の領域に特異的に結合する。したがって、対のメンバーは、互いに特異的に結合して結合性複合体を形成する特性を有する。一部の実施形態において、結合性複合体における特異的結合性メンバー間の親和性は、10-7M以下などの10-6M以下、例えば10-8M以下、例えば、10-9M以下、10-10M以下、10-11M以下、10-12M以下、10-13M以下、10-14M以下、例えば10-15M以下のK(解離定数)を特徴とする。一部の実施形態において、特異的結合性メンバーは、高い結合活性で特異的に結合する。高い結合活性とは、結合性メンバーが、10×10-9M以下、例えば1×10-9M以下、3×10-10M以下、1×10-10M以下、3×10-11M以下、1×10-11M以下、3×10-12M以下または1×10-12M以下の見掛けのKによって特徴付けられる見掛けの親和性で特異的に結合することを意味する。
【0188】
本明細書で使用される「タンパク性」という用語は、アミノ酸残基で構成される部位(例えば、特異的結合性メンバー)を意味する。タンパク性部位は、ポリペプチドであり得る。一部の実施形態において、特異的結合性メンバーはタンパク性である。特定の場合において、タンパク性特異的結合性メンバーは抗体である。特定の実施形態において、タンパク性特異的結合性メンバーは、抗体断片、例えば、ポリマー色素に特異的に結合する抗体の結合性断片を意味する。本明細書で使用される「抗体」および「抗体分子」という用語は、区別なく使用され、認識される免疫グロブリン遺伝子のすべてまたは一部によって実質的にコードされる、1つまたは複数のポリペプチドからなるタンパク質を意味する。
【0189】
例えばヒトにおいて、認識される免疫グロブリン遺伝子としては、カッパ(k)、ラムダ(l)、および重鎖遺伝子座(共に無数の可変領域遺伝子を含む)、および定常領域遺伝子ミュー(u)、デルタ(d)、ガンマ(g)、シグマ(e)、およびアルファ(a)(IgM、IgD、IgG、IgE、およびIgAアイソタイプをそれぞれコードする)が挙げられる。免疫グロブリン光または重鎖可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」とも呼ばれる、3つの超可変領域によって割り込まれる「フレームワーク」領域(FR)からなる。フレームワーク領域およびCDRの程度は正確に定義されている(“Sequences of Proteins of Immunological Interest,”E.Kabat et al.,U.S.Department of Health and Human Services,(1991)参照)。
【0190】
本明細書に記述されるすべての抗体アミノ酸配列の番号付けは、Kabatシステムに準拠する。異なる光または重鎖のフレームワーク領域の配列は、種内に比較的保存されている。抗体のフレームワーク領域、すなわち光および重鎖成分の合体されたフレームワーク領域は、CDRを位置付け、整列させる役割を果たす。CDRは主に、抗原のエピトープへの結合を担う。
【0191】
抗体という用語は、完全長抗体を包含することを意味し、いずれかの生物由来の天然抗体、遺伝子操作された抗体、または実験的、治療的、または他の目的のために組換え作製された抗体を意味し得る。対象の抗体断片としては、限定されないが、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、または全抗体の修飾によって生成された、抗体の他の抗原結合性配列、または組換えDNA技術を用いてデノボ(de novo)合成されたものが挙げられる。抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルであることができ、細胞に対する他の特異的活性を有し得る(例えば、アンタゴニスト、アゴニスト、中和、遮断、または刺激性抗体)。その抗体は、抗原結合性または他の抗体機能に対して実質的に影響しない、さらなる保存的アミノ酸置換を有し得ると理解される。
【0192】
特定の実施形態において、特異的結合性メンバーは抗体である。特定の実施形態において、特異的結合性メンバーは、Fab断片、F(ab’)断片、scFv、ダイアボディまたはトリアボディである。場合により、特異的結合性メンバーは、マウス抗体またはその結合性断片である。特定の場合において、特異的結合性メンバーは、組換え抗体またはその結合性断片である。
【0193】
一部の実施形態では、標識された特異的結合メンバーは、集光性BODIPYユニットを含む多発色団と、そのエネルギー受容近位で多発色団に共有結合で連結されたアクセプター発色団と含むポリマータンデム色素、および、多発色団に共有結合で連結された特異的結合メンバーを有する。標識された特異的結合メンバーのある特定の場合において、集光性多発色団は、水溶性である。標識された特異的結合メンバーのある場合において、色素は、ナローバンドスペクトルフィーチャを有する。標識された特異的結合メンバーのある場合において、色素は、100nm以下、例えば、50nm以下のバンド幅を有する低エネルギー吸収バンドを有する。
【0194】
標識された特異的結合メンバーのある特定の場合において、多発色団は、5×10-1cm-1以上のモル吸光係数を有する(例えば、本明細書に記載される)。標識された特異的結合メンバーのある特定の場合において、多発色団は、0.05以上の量子収量を有する(例えば、本明細書に記載される)。一部の実施形態では、標識された特異的結合メンバーは、そのエネルギー受容近位で多発色団に共有結合で連結されたアクセプター発色団をさらに含み、例えば、多発色団は、ポリマータンデム色素である。標識された特異的結合メンバーの一部の実施形態では、色素は、1:40~1:4の範囲の比、例えば、1:20~1:4、1:10~1:4、1:9~1:4、1:8~1:4、1:7~1:4、1:6~1:4、もしくは1:5~1:4の範囲の比、または例えば、1:40~1:5、1:40~1:6、1:40~1:7、1:40~1:8、1:40~1:9、1:40~1:10、もしくは1:40~1:20の範囲のアクセプター発色団と多発色団繰り返しユニットとの比を有する。
【0195】
ある特定の場合において、アクセプター発色団は、フルオロフォアである。標識された特異的結合メンバーの一部の実施形態では、アクセプター発色団の発光は、多発色団によって励起したとき、入射光によるアクセプター発色団の直接の励起と比較して、1.5倍以上大きい(例えば、2.0倍以上大きい、2.5倍以上大きい、3倍以上大きい、4倍以上大きい、5倍以上大きい、6倍以上大きい、7倍以上大きい、8倍以上大きい、9倍以上大きい、10倍以上大きい、またはさらにはそれを超える)。
【0196】
標識された特異的結合メンバーのある場合において、多発色団は、式(I):
【0197】
【化32】
【0198】
によって示されるBODIPYを含む共役セグメントを含み、式中、Bは、BODIPYユニットであり、Mは、π共役コモノマーであり、各Lは、末端基、π共役セグメント、リンカーおよび連結された特異的結合メンバーから独立して選択され、かつnは、1~100,000の整数である。式(I)のある特定の実施形態では、BODIPYユニットは、構造:
【0199】
【化33】
【0200】
によって示され、式中、R、R、RおよびRは、H、アルキルおよび置換アルキルからそれぞれ独立して選択され、Rは、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールから選択され、Rは、水溶性基で任意選択的に置換されており、かつ各Rは、F、OH、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキニルおよび置換アルキニルから選択される。式(I)のある特定の実施形態では、Mは、フルオレンコモノマー、フェニレン-ビニレンコモノマー、フェニレン-エチニレンコモノマー、カルバゾールコモノマー、C~C12アルキンコモノマー、アリーレン-エチニレンコモノマー、ヘテロアリーレン-エチニレンコモノマー、アリーレンコモノマーおよびヘテロアリーレンコモノマーから選択される。
【0201】
標識された特異的結合メンバーの一部の実施形態では、多発色団は、式(II):
【0202】
【化34】
【0203】
によって示され、式中、BおよびBは、それぞれ独立してBODIPYユニットであり、各Mおよび各Mは、独立してπ共役コモノマーであり、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0、1または2であり、ここで、b+e≧1であり、nおよびmは、独立して0~100,000であり、ここで、n+m≧1であり、かつ1個のL基は、末端基(G)であり、他のL基は、連結された特異的結合メンバー(例えば、L-Z)である。式(II)のある特定の実施形態では、B、B、MおよびMの少なくとも1つは、-L-Cを含み、式中、Lは、任意選択的なリンカーであり、かつCは、アクセプター発色団である。
【0204】
式(II)のある特定の実施形態では、連結された特異的結合メンバーは、抗体である。式(II)のある場合において、連結された特異的結合メンバーは、抗体フラグメントまたはその結合誘導体である。式(II)のある場合において、連結された特異的結合メンバーは、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、scFv、二特異性抗体および三特異性抗体から選択される抗体フラグメントまたはその結合誘導体である。式(II)のある場合において、アクセプター発色団は、シアニン色素、キサンテン色素、クマリン色素、チアジン色素およびアクリジン色素から選択される。
【0205】
式(II)のある特定の場合において、アクセプター発色団は、DY431、DY485XL、DY500XL、DY610、DY640、DY654、DY682、DY700、DY701、DY704、DY730、DY731、DY732、DY734、DY752、DY778、DY782、DY800、DY831、Biotium CF555、Cy3.5およびジエチルアミノクマリンから選択される。式(II)のある場合において、アクセプター発色団は、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、Alexa488、Alexa647およびAlexa700から選択される。
【0206】
一部の実施形態では、標識された特異的結合メンバーは、式(III)のポリマータンデム色素であり、1個のL基は、連結された特異的結合メンバーである。一部の実施形態では、標識された特異的結合メンバーは、式(IV)のポリマータンデム色素であり、1個のL基は、連結された特異的結合メンバーである。一部の実施形態では、標識された特異的結合メンバーは、式(V)のポリマータンデム色素であり、1個のL基は、連結された特異的結合メンバーである。一部の実施形態では、標識された特異的結合メンバーは、式(VI)のポリマータンデム色素であり、1個のL基は、連結された特異的結合メンバーである。
【0207】
一部の実施形態では、標識された特異的結合メンバーは、式(VII)のポリマータンデム色素であり、Zは、特異的結合メンバーである。一部の実施形態では、標識された特異的結合メンバーは、式(VIII)のポリマータンデム色素であり、Zは、特異的結合メンバーである。一部の実施形態では、標識された特異的結合メンバーは、式(IX)のポリマータンデム色素であり、Zは、特異的結合メンバーである。一部の実施形態では、標識された特異的結合メンバーは、式(X)のポリマータンデム色素であり、Zは、特異的結合メンバーである。一部の実施形態では、標識された特異的結合メンバーは、式(XI)のポリマータンデム色素であり、Zは、特異的結合メンバーである。一部の実施形態では、標識された特異的結合メンバーは、式(XII)のポリマータンデム色素であり、Zは、特異的結合メンバーである。
【0208】
ある特定の実施形態では、標識された特異的結合メンバーは、下記の構造によって示される。
【0209】
【化35】
【0210】
【化36】
【0211】
ある特定の実施形態では、標識された特異的結合メンバーは、下記の構造によって示される。
【0212】
【化37】
【0213】
ある特定の実施形態では、標識された特異的結合メンバーは、下記の構造によって示される。
【0214】
【化38】
【0215】
ある特定の実施形態では、標識された特異的結合メンバーは、下記の構造によって示される。
【0216】
【化39】
【0217】
ある特定の実施形態では、標識された特異的結合メンバーは、下記の構造によって示される。
【0218】
【化40】
【0219】
ある特定の実施形態では、標識された特異的結合メンバーは、下記の構造によって示される。
【0220】
【化41】
【0221】
また、「生体分子」への共役に適した末端アミノ官能基を含む、上で示した構造の任意の1つのポリマータンデム色素前駆体が提供される。このようなポリマータンデム色素前駆体の構造は、上の構造において示した「生体分子」基を「H」と置き換えることによって表し得る。上で示した構造のある場合において、連結された「色素」は、連結された蛍光色素である。
方法
上記でまとめられるように、本発明の態様は、標的検体の存在について試料を評価する方法を含む。一部の実施形態において、その方法は、(a)標的検体に特異的に結合するポリマー色素共役体と試料を接触させて、標識化組成物が接触した試料を生成する工程と、(b)ポリマー色素共役体-標的検体結合性複合体の存在について、標識化組成物が接触した試料をアッセイして、標的検体が試料中に存在するかどうかを評価する工程とを含む。方法のある特定の実施形態では、ポリマー色素共役体は、(i)集光性BODIPYユニットを含む多発色団(例えば、本明細書に記載される)と、(ii)そのエネルギー受容近位で多発色団に共有結合で連結されたアクセプター発色団と、(iii)特異的結合メンバー(例えば、本明細書に記載される)とを含む。
【0222】
いずれかの簡便な方法を用いて、標的検体に特異的に結合するポリマー色素共役体を試料と接触させて、標識化組成物が接触した試料を生成することができる。本明細書で使用される「ポリマー色素共役体」および「標識化特異的結合性メンバー」という用語は区別なく使用される。一部の場合において、存在する場合、特異的結合性メンバーが標的検体に特異的に結合する条件下において、試料をポリマー色素共役体と接触させる。共役体の特異的結合性メンバーの標的検体との特異的結合に関して、試料の成分および特異的結合性メンバーの生物活性を維持する、適切な溶液が使用され得る。
【0223】
その溶液は、平衡塩溶液、例えば通常の生理食塩水、PBS、ハンクス液等であることができ、好都合には、5~25mMなどの低濃度の許容可能な緩衝液と組み合わせて、ウシ胎仔血清、ヒト血小板ライセートまたは他の因子を追加することもできる。簡便な緩衝液としては、HEPES、リン酸緩衝液、乳酸緩衝液等が挙げられる。様々な培地が市販されており、dMEM、HBSS、dPBS、RPMI、イスコフ(Iscove)培地等を標的検体の性質に応じて使用することができ、場合により、ウシ胎仔血清またはヒト血小板ライセートを追加してもよい。溶液の最終成分は、含有される試料の成分に応じて選択され得る。
【0224】
標的検体への共役体の特異的結合性メンバーの特異的結合が起こる温度は様々であり、一部の場合において、5~50℃、例えば10~40℃、15~40℃、20~40℃、例えば、20℃、25℃、30℃、35℃または37℃(例えば、上述のような温度)の範囲であり得る。一部の場合において、特異的結合が起こる温度は、特異的結合性メンバーおよび/または標的検体の生物活性と適合性であるように選択される。特定の場合において、その温度は25℃、30℃、35℃または37℃である。特定の場合において、特異的結合性メンバーは、抗体またはその断片であり、特異的結合が起こる温度は、室温(例えば、25℃)、30℃、35℃または37℃である。特異的結合のための簡便なインキュベーション時間は、望ましい量の結合性複合体が形成するように選択され、一部の場合において、1分以上、例えば2分以上、10分以上、30分以上、1時間以上、2時間以上、またはさらには6時間以上であり得る。
【0225】
いずれかの簡便な特異的結合性メンバーがポリマー色素共役体において用いられ得る。対象の特異的結合性メンバーとしては、限定されないが、様々な細胞型の細胞表面タンパク質、限定されないが、幹細胞、例えば、多能性幹細胞、造血幹細胞、T細胞、T制御因子細胞、樹状細胞、B細胞、例えば、記憶B細胞、抗原特異的B細胞、顆粒球、白血病細胞、リンパ腫細胞、ウイルス細胞(例えば、HIV細胞)NK細胞、マクロファージ、単球、線維芽細胞、上皮細胞、内皮細胞、および赤血球系細胞に特異的に結合する作用物質(agent)が挙げられる。対象の標的細胞としては、簡便な特異的結合性メンバー共役体によって捕捉され得る、簡便な細胞表面マーカーまたは抗原を有する細胞を含む。
【0226】
一部の実施形態において、標的細胞は、HIV含有細胞、Treg細胞、抗原特異的T細胞集団、腫瘍細胞または全血、骨髄または臍帯血からの造血前駆細胞(CD34+)から選択される。簡便な細胞表面タンパク質または細胞マーカーは、主題の方法においてポリマー色素共役体への特異的結合に対して標的化され得る。一部の実施形態において、標的細胞としては、細胞レセプターおよび細胞表面抗原から選択される細胞表面マーカーが挙げられる。場合により、標的細胞は、細胞表面抗原、例えばCD11b、CD123、CD14、CD15、CD16、CD19、CD193、CD2、CD25、CD27、CD3、CD335、CD36、CD4、CD43、CD45RO、CD56、CD61、CD7、CD8、CD34、CD1c、CD23、CD304、CD235a、T細胞レセプターα/β、T細胞レセプターγ/δ、CD253、CD95、CD20、CD105、CD117、CD120b、Notch4、Lgr5(N-末端)、SSEA-3、TRA-1-60抗原、ジシアロガングリオシドGD2およびCD71を含み得る。
【0227】
簡便な標的は、主題の方法を用いた評価のために選択され得る。対象の標的としては、限定されないが、核酸、例えばRNA、DNA、PNA、CNA、HNA、LNAまたはANA分子、タンパク質、例えば融合たんぱく質、修飾タンパク質、例えばリン酸化、グリコシル化、ユビキチン化、SUMO化、またはアセチル化タンパク質、または抗体、ペプチド、凝集生体分子、細胞、小分子、ビタミンおよび薬物分子が挙げられる。本明細書で使用される「標的タンパク質」という用語は、標的ファミリーのすべてのメンバーおよびその断片を意味する。
【0228】
標的タンパク質は、対象のいずれかのタンパク質、例えば治療上または診断上の標的、限定されないが、ホルモン、成長因子、レセプター、酵素、サイトカイン、骨誘導因子、コロニー刺激因子および免疫グロブリンが挙げられる。「標的タンパク質」という用語は、いずれかの簡便な組換え発現法を用いてもしくは簡便な合成法を用いて製造することができ、または購入することができる、組換えおよび合成分子を包含することが意図される。一部の実施形態において、ポリマー色素共役体としては、抗体または抗体断片が挙げられる。対象の抗体または抗体断片に特異的に結合するいずれかの簡便な標的検体が主題の方法において標的化され得る。
【0229】
一部の実施形態において、標的検体は、細胞と会合される。特定の場合において、標的検体は、その細胞の細胞表面マーカーである。特定の場合において、細胞表面マーカーは、細胞レセプターおよび細胞表面抗原から選択される。一部の場合において、標的検体は細胞内標的であり、その方法は細胞を溶解することをさらに含む。ある特定の場合において、方法は、細胞からタンパク質を抽出することをさらに含む。任意の好都合な方法および薬剤は、細胞の溶解において利用され得る。目的とする方法および薬剤は、www.piercenet.com/method/traditional-methods-cell-lysisに記載されているそれらの細胞溶解およびタンパク質抽出方法ならびに薬剤を含む。
【0230】
一部の実施形態において、その試料は、標的細胞がそれから単離される、異種細胞集団を含む。一部の場合において、試料は、末梢全血、細胞単離前に赤血球が溶解されている末梢全血、臍帯血、骨髄、密度勾配精製末梢血単核細胞または均質化組織を含む。場合により、試料は、全血、骨髄または臍帯血中の造血前駆細胞(例えば、CD34+細胞)を含む。特定の実施形態において、試料は、末梢血中の腫瘍細胞を含む。特定の場合において、その試料は、ウイルス細胞(例えば、HIV)を含む(または含むと思われる)試料である。
【0231】
主題の標識化特異的結合性メンバーは、例えば、標的細胞、粒子、標的または検体をポリマー色素またはポリマータンデム色素で標識化するために、主題の方法における使用が見出される。例えば、標識化特異的結合性メンバーは、フローサイトメータにおいて処理される(例えば、検出、分析および/または選別される)細胞の標識化における使用が見出される。標識化特異的結合性メンバーは、様々な細胞型(例えば、本明細書に記載される)の、例えば細胞表面タンパク質に特異的に結合する抗体を含み得る。標識化特異的結合性メンバーを用いて、様々な生物学的(例えば、細胞の)特性または細胞周期、細胞増殖、細胞分化、DNA修復、T細胞シグナル伝達、アポトーシス、細胞表面タンパク質発現および/または提示等のプロセスを調べることができる。標識化特異的結合性メンバーは、細胞、粒子または検体の抗体仲介標識化を含む(または含み得る)いずれかの用途で使用することができる。
【0232】
一部の実施形態では、ポリマー色素共役体は、ポリマータンデム色素(例えば、本明細書に記載される)を含む。したがって、一部の実施形態では、ポリマー色素共役体は、そのエネルギー受容近位で多発色団に共有結合で連結されたアクセプター発色団をさらに含む。ある特定の実施形態では、共役体は、式(II):
【0233】
【化42】
【0234】
によって示され、式中、BおよびBは、それぞれ独立してBODIPYユニットであり、各Mおよび各Mは、独立してπ共役コモノマーであり、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0、1または2であり、ここで、b+e≧1であり、nおよびmは、独立して0~100,000であり、ここで、n+m≧1であり、かつ1個のL基は、末端基(G)であり、および他のL基は、連結された特異的結合メンバーである。ある特定の実施形態では、B、B、MおよびMの少なくとも1つは、-L-Cを含み、式中、Lは、任意選択的なリンカーであり、かつCは、アクセプター発色団である。
【0235】
試料をポリマー色素共役体と接触させたら、生成される標識化組成物が接触した試料を、ポリマー色素共役体-標的検体結合性複合体の存在についてアッセイするために、いずれかの簡便な方法が用いられ得る。ポリマー色素共役体-標的検体結合性複合体は、存在する場合、標的検体に対する共役体の特異的結合性メンバーの特異的結合で生成される結合性複合体である。標識化組成物が接触した試料のアッセイは、存在する場合、結合性複合体からの蛍光シグナルの検出を含み得る。場合により、そのアッセイは、存在する場合には標的検体が試料から分離される、分離工程を含む。様々な方法を用いて、例えば担体上での固定化により、試料から標的検体を分離することができる。対象のアッセイ方法としては、限定されないが、アビジン-ビオチンまたはハプテン-抗ハプテン抗体などの特異的結合性メンバーの対の使用が見出され、対象となる、簡便な方法およびアッセイ方式が挙げられる。主題の組成物と共に使用するために適応され得る、対象の方法およびアッセイ方式としては、限定されないが、フローサイトメトリー法、in-situハイブリダイゼーション法、酵素免疫測定法(ELISA)、ウェスタンブロット分析、磁気細胞分離アッセイおよび蛍光色素精製クロマトグラフィーが挙げられる。
【0236】
特定の実施形態において、この方法は、標的検体に特異的に結合する第2特異的結合性メンバーと試料を接触させることをさらに含む。特定の場合において、第2特異的結合性メンバーは、担体結合されている。いずれかの簡便な担体を用いて、主題の方法の構成要素(例えば、第2特異的結合性メンバー)を固定化することができる。特定の場合において、担体は、磁気粒子などの粒子である。一部の場合において、第2特異的結合性メンバーおよびポリマー色素共役体は、存在する場合、いずれかの簡便な方法を用いて、単離かつ検出することができるサンドイッチ複合体を生成する。一部の実施形態において、この方法は、ポリマー色素共役体-標的検体結合性複合体、すなわち蛍光的に標識化された標的検体をフローサイトメトリーによって分析することをさらに含む。ポリマー色素共役体-標的検体結合性複合体の存在についてアッセイすることにより、標的検体が試料中に存在するかどうかを評価するために使用することができるアッセイ結果(例えば、定性的または定量的アッセイデータ)が得られる。
【0237】
いずれかの簡便な担体を主題の方法において用いることができる。対象の担体としては、限定されないが固体基質が挙げられ、その基質は、様々な形状、例えばシート、ビーズ、穴を有するプレートなどの他の構造;ビーズ、ポリマー粒子、繊維メッシュ、ヒドロゲル、多孔性マトリックス、ピン、マイクロアレイ表面、クロマトグラフィー担体などを有し得る。一部の場合において、担体は、粒子、平面固体基質、繊維メッシュ、ヒドロゲル、多孔性マトリックス、ピン、マイクロアレイ表面、クロマトグラフィー担体から選択される。手動シリンジ、遠心機、または自動リキッドハンドリングシステムなどの簡便な方法によって補助される、細胞の単離を提供するシステム内に担体が組み込まれ得る。場合により、担体は、フローサイトメータなど、細胞の高処理単離のための自動リキッドハンドリングシステムにおける使用が見出される。
【0238】
この方法の一部の実施形態において、分離工程は、外部磁場をかけて、磁気粒子を固定化することを含む。いずれかの簡便な磁気が外部磁場源として使用され得る(例えば、磁場勾配)。場合により、外部磁場は、磁気源により、例えば永久磁石により生成される。場合により、磁性粒子の固定化は、磁性粒子が磁場勾配源、すなわち磁石に最も近い表面付近に集積することを意味する。
【0239】
分離は、担体から試料の未結合物質を除去するための1つまたは複数の任意選択的な洗浄工程をさらに含み得る。いずれかの簡便な洗浄方法を用いることができ、例えば、ポリマー色素と特異的結合性メンバーとの特異的結合相互作用を保つ生体適合性緩衝液で固定化担体を洗浄することができる。担体からの試料の未結合物質の分離および任意選択的な洗浄により、不要な細胞および物質が除去されている、濃縮された標的細胞集団が提供される。
【0240】
特定の実施形態において、この方法は、標識化標的を検出することをさらに含む。標識化標的の検出は、1つまたは複数のレーザーで多発色団を励起し、続いて1つまたは複数の光学検出器を使用して、ポリマー色素からの蛍光発光を検出することを含み得る。
【0241】
また、標識された標的分子の方法が提供される。タンデム色素を含めた主題のポリマー色素は、標識化、分離、検出および/または分析の種々の方法に使用される。一部の実施形態では、方法は、標的分子とポリマータンデム色素とを接触させて、標識された標的分子を生成する工程を含み、ポリマータンデム色素は、集光性BODIPYユニットを含む多発色団(例えば、本明細書に記載される)と、共役タグとを含む。ある特定の場合において、ポリマー色素は、それ自体が蛍光性である。一部の実施形態では、ポリマー色素は、ポリマータンデム色素である。したがって、ある場合において、ポリマー色素は、そのエネルギー受容近位で多発色団に共有結合で連結されたアクセプター発色団をさらに含む。本明細書において使用される用語「標識された標的分子」は、主題の多発色団に共有結合で連結された標的分子を指す。
【0242】
一部の実施形態では、ポリマー色素は、式(II):
【0243】
【化43】
【0244】
によって示され、式中、BおよびBは、それぞれ独立してBODIPYユニットであり、各Mおよび各Mは、独立してπ共役コモノマーであり、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0、1または2であり、ここで、b+e≧1であり、nおよびmは、独立して0~100,000であり、ここで、n+m≧1であり、かつ1個のL基は、末端基(G)であり、および他のL基は、共役タグである。式(II)のある特定の場合において、B、B、MおよびMの少なくとも1つは、-L-Cを含み、式中、Lは、任意選択的なリンカーであり、かつCは、アクセプター発色団である。
【0245】
本明細書で使用される「共役タグ」という用語は、活性化および/または脱保護後、標的分子の適合性官能基と共有結合で連結し得る化学選択的官能基(例えば、本明細書に記載される)を含む基を意味する。対象の標的分子に色素を共役するために、主題のポリマー色素においていずれかの簡便な共役タグが用いられ得る。一部の実施形態において、共役タグは、アミノ酸、カルボン酸またはその誘導体、チオール、ヒドロキシル、ヒドラジン、ヒドラジド、アジド、アルキンおよびタンパク質反応性基(例えば、アミノ反応性、チオール反応性、ヒドロキシル反応性、イミダゾリル反応性またはグアニジニル反応性)から選択される末端官能基を含む。
【0246】
標的分子に共役タグを共有結合で連結するために、主題の標識化方法における使用に、いずれかの簡便な方法または試剤を適応することができる。標的を標識化するための対象の方法としては、限定されないが、Hermanson,Bioconjugate Techniques,Third edition,Academic Press,2013に記載の方法および試剤が挙げられる。接触工程は、水溶液中で行われ得る。一部の場合において、共役タグは、アミノ官能基を含み、標的分子は、NHSエステルまたはスルホ-NHSエステルなどの活性化エステル官能基を含み、またはその逆も同じである。特定の場合において、共役タグはマレイミド官能基を含み、標的分子はチオール官能基を含み、またはその逆も同じである。
【0247】
主題の方法を用いた標識化のために、いずれかの簡便な標的分子が選択され得る。対象の標的分子としては、限定されないが、RNA、DNA、PNA、CNA、HNA、LNAまたはANA分子などの核酸、融合たんぱく質などのタンパク質、リン酸化、グリコシル化、ユビキチン化、SUMO化、またはアセチル化タンパク質などの修飾タンパク質、凝集生体分子、細胞、小分子、ビタミンおよび薬物分子が挙げられる。本明細書で使用される「標的タンパク質」という用語は、標的ファミリーのすべてのメンバー、およびその断片を意味する。標的タンパク質は、対象のいずれかのタンパク質、例えば治療上または診断上の標的、限定されないが、ホルモン、成長因子、レセプター、酵素、サイトカイン、骨誘導因子、コロニー刺激因子および免疫グロブリンであり得る。
【0248】
「標的タンパク質」という用語は、簡便な組換え発現法を用いてまたは簡便な合成法を用いて製造することができ、または購入することができる、組換えおよび合成分子を包含することが意図される。一部の実施形態において、標的分子は特異的結合性メンバー(例えば、本明細書に記載される)である。特定の場合において、特異的結合性メンバーは抗体である。一部の場合において、特異的結合性メンバーは、その抗体断片または結合性誘導体である。一部の場合において、その抗体断片または結合性誘導体は、Fab断片、F(ab’)断片、scFv、ダイアボディおよびトリアボディから選択される。
【0249】
場合により、この方法は、標識化標的分子が反応混合物、例えば余分な試剤および未標識標的から分離される、分離工程を含む。様々な方法を用いて、例えば担体への固定化、沈殿、クロマトグラフィー等により、試料から標的を分離することができる。
【0250】
一部の場合において、この方法は、標識化標的分子の検出および/または分析をさらに含む。一部の場合において、この方法は、標識化標的分子を蛍光的に検出することをさらに含む。主題の方法および組成物と組み合わせて、簡便な方法を用いて、標識化標的分子を検出し、かつ/または分析することもできる。主題の方法においての使用が見出される、対象の標的を分析する方法としては、限定されないが、フローサイトメトリー、in-situハイブリダイゼーション、酵素免疫測定法(ELISA)、ウェスタンブロット分析、細胞磁気分離アッセイおよび蛍光色素精製クロマトグラフィーが挙げられる。対象の検出法としては、限定されないが、蛍光分光法、核酸シークエンシング、蛍光in-situハイブリダイゼーション(FISH)、タンパク質質量分析、フローサイトメトリー等が挙げられる。
【0251】
検出は、レポーター分子を介して直接的に、または二次的検出システムによって間接的に達成され得る。後者は、限定されないが、抗体標識化抗種抗体および免疫学的または非免疫学的架橋の他の形態およびシグナル増幅システム(例えば、ビオチン-ストレプトアビジン技術、タンパク質-Aおよびタンパク質-G仲介技術、または核酸プローブ/抗-核酸プローブ等)などの異なるいくつかの原理のいずれか1つまたはその組み合わせに基づく。直接的または間接的検出に使用される標識は、いずれかの検出可能なレポートされた分子であり得る。適切なレポーター分子は、免疫細胞学、分子生物学、光、蛍光、および電子顕微鏡法、細胞免疫表現型検査(immunophenotyping)、細胞選別、フローサイトメトリー、細胞可視化、検出、数え上げ法(enumeration)、および/またはシグナル出力定量化の分野で知られる分子であり得る。
【0252】
対象の標識としては、限定されないが、フルオロフォア、発光標識、金属錯体、ラジオアイソトープ、ビオチン、ストレプトアビジン、酵素、または他の検出標識および酵素および発光(luminogenic)基質などの標識の組み合わせが挙げられる。対象の酵素およびその基質としては、アルカリホスファターゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、およびルシフェラーゼ等が挙げられる。特異的および/または非特異的性質の複数の抗体が標的の検出、同定、および/または分析の向上のために、同時にまたは逐次標識化され、使用され得る。対象の標識としては、限定されないが、FITC(フルオレセインイソチオシアネート)、AMCA(7-アミノ-4-メチルクマリン-3-酢酸)、Alexa Fluor488、Alexa Fluor594、Alexa Fluor350、DyLight350、フィコエリトリン、アロフィコシアニンおよび核を検出する染色、例えばHoechst 33342、LDS751、TO-PROおよびDAPIなどが挙げられる。
システム
本発明の態様は、主題の方法および組成物の実施に使用されるシステムをさらに含む。試料分析システムは、試料および標識化特異的結合性メンバーがロードされるフローチャネルを含み得る。一部の実施形態において、このシステムは、流路を含むフローサイトメータ流路;流路における組成物(その組成物は、試料;標識化特異的結合性メンバー(例えば、本明細書に記載される)を含む)を含む、フローサイトメトリーシステムである。このシステムの一部の場合において、標識化特異的結合性メンバーは、集光性のBODIPY単位を含む多発色団(紫外線吸収極大を有する)と、標的検体に特異的に結合し、かつ多発色団に共有結合で連結されている特異的結合性メンバーとを含む。多発色団は、それ自体が蛍光であるポリマー色素であり得る。多発色団は、ポリマータンデム色素であり得る。ある特定の場合において、標識された特異的結合メンバーは、そのエネルギー受容近位で多発色団に共有結合で連結されたアクセプター発色団をさらに含む。一部の実施形態では、標識された特異的結合メンバーは、式(II):
【0253】
【化44】
【0254】
によって示され、式中、BおよびBは、それぞれ独立してBODIPYユニットであり、各Mおよび各Mは、独立してπ共役コモノマーであり、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0、1または2であり、ここで、b+e≧1であり、nおよびmは、独立して0~100,000であり、ここで、n+m≧1であり、かつ1個のL基は、末端基(G)であり、および他のL基は、共役タグである。式(II)のある特定の場合において、B、B、MおよびMの少なくとも1つは、-L-Cを含み、式中、Lは、任意選択的なリンカーであり、かつCは、アクセプター発色団である。
【0255】
システムの特定の実施形態において、この組成物は、担体結合され、かつ標的検体に特異的に結合する第2特異的結合性メンバーをさらに含む。場合により、その担体は磁気粒子を含む。したがって、特定の場合において、そのシステムは、フローチャネルのアッセイ領域に適用するために構成されたコントロール可能な外部常磁性磁場も含み得る。
【0256】
その試料は細胞を含み得る。一部の場合において、その試料は細胞含有生体試料である。一部の場合において、その試料は、標的細胞に特異的に結合した標識化特異的結合性メンバーである。特定の場合において、特異的結合性メンバーによって特異的に結合される標的検体は、細胞の細胞表面マーカーである。特定の場合において、細胞表面マーカーは、細胞レセプターおよび細胞表面抗原から選択される。
【0257】
特定の態様において、そのシステムは、フローチャネルのアッセイ領域を直接照射するように構成された光源も含み得る。そのシステムは、フローチャネルのアッセイ領域からシグナルを受け取るように構成された検出器であって、そのシグナルが蛍光組成物によって提供される、検出器を含み得る。任意選択的に、さらに、その試料分析システムは、1つまたは複数のさらなるシグナルを検出するための1つまたは複数のさらなる検出器および/または光源を含み得る。
【0258】
特定の態様において、そのシステムは、蛍光シグナルの存在を検出するように構成されたコンピュータベースのシステムをさらに含み得る。「コンピュータベースのシステム」とは、本発明の情報を分析するために使用されるハードウェア手段、ソフトウェア手段、およびデータ記憶手段を意味する。本発明のコンピュータベースのシステムの最低限のハードウェアは、中央処理装置(CPU)、入力手段、出力手段、およびデータ記憶手段を含む。当業者であれば、現在市販されているコンピュータベースのシステムのいずれでも、主題のシステムで使用するために適していることは容易に理解することができる。データ記憶手段は、上述の本発明の情報の記録を含むいずれかの生成、またはかかる生成にアクセスすることができるメモリアクセス手段を含み得る。
【0259】
コンピュータで読み取り可能な媒体上のデータ、プログラミングまたは他の情報を「記録する」とは、当技術分野で公知のかかる方法を用いて、情報を記憶するプロセスを意味する。いずれかの簡便なデータ記憶構造は、記憶された情報にアクセスするために使用される手段に基づいて選択され得る。記憶、例えば、ワード処理テキストファイル、データベースフォーマット等のために様々なデータプログラムおよびフォーマットを使用することができる。
【0260】
「プロセッサ」は、それに必要とされる機能を実行するハードウェアおよび/またはソフトウェアの組み合わせを意味する。例えば、本明細書におけるプロセッサは、電子式コントローラ―、中央処理装置、サーバまたはパーソナルコンピュータ(デスクトップまたはポータブル)の形態で入手可能なものなど、プログラム可能なデジタルマイクロプロセッサであり得る。プロセッサがプログラム可能である場合、適切なプログラミングは、遠隔地からプロセッサに通信することができ、またはコンピュータプログラム製品中に予め保存しておくことができる(磁気、光学またはソリッドステート装置ベースであるなしに関わらず、携帯型または据え置き型コンピュータで読み取り可能な記憶媒体など)。例えば、磁気媒体または光学ディスクは、プログラミングを保持することができ、その対応するステーションでそれぞれのプロセッサと通信する適切な読み取り装置によって読み取ることができる。
【0261】
センサーデバイスおよび信号処理モジュールの他に、例えば上述のように、本発明のシステムは、多くのさらなる構成要素、例えばデータ出力デバイス、例えばモニターおよび/またはスピーカー、データ入力デバイス、例えば、インターフェースポート、キーボード等、流体処理構成要素、電源を含み得る。
【0262】
特定の態様において、このシステムは、フローサイトメータを含む。対象のフローサイトメータとしては、限定されないが、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,704,891号明細書;米国特許第4,727,029号明細書;米国特許第4,745,285号明細書;米国特許第4,867,908号明細書;米国特許第5,342,790号明細書;米国特許第5,620,842号明細書;米国特許第5,627,037号明細書;米国特許第5,701,012号明細書;米国特許第5,895,922号明細書;および米国特許第6,287,791号明細書に記載のデバイスが挙げられる。
【0263】
他のシステムも、主題の方法の実施における使用が見出され得る。特定の態様において、このシステムは、本明細書に記載の実施形態のいずれかの蛍光組成物を有する試料がロードされた蛍光光度計または顕微鏡であり得る。蛍光光度計または顕微鏡は、フローチャネルのアッセイ領域に直接照射するように構成された光源を含み得る。蛍光光度計または顕微鏡は、フローチャネルのアッセイ領域からシグナルを受け取るように構成された検出器であって、そのシグナルが蛍光組成物によって提供される検出器も含み得る。
キット
本発明の態様は、主題の方法を実施するのに使用されるキットおよび組成物をさらに含む。本発明の組成物は、出発原料としてキットに試剤として含まれ、または例えば上述の方法論における使用のために提供され得る。
【0264】
キットは、集光性のBODIPYユニットを含む多発色団であって、紫外線吸収極大を有する多発色団(例えば、本明細書に記載される)と、ポリマータンデム色素、フルオロフォア、特異的結合性メンバー、特異的結合性メンバー共役体、担体に結合された特異的結合性メンバー、細胞、担体、生体適合性水性溶出バッファー、および使用説明書から選択される1つまたは複数の構成要素とを含み得る。キットの一部の実施形態において、多発色団は、特異的結合性メンバーに共有結合で連結されている。一部の場合において、特異的結合性メンバーは抗体である。特定の場合において、特異的結合性メンバーはその抗体断片または結合性誘導体である。特定の場合において、その抗体断片または結合性誘導体は、Fab断片、F(ab’)断片、scFv、ダイアボディおよびトリアボディから選択される。多発色団は、それ自体が蛍光であるポリマー色素であり得る。多発色団はポリマータンデム色素であり得る。場合により、多発色団は、そのエネルギー受容近位で多発色団に共有結合で連結されたレセプター発色団をさらに含む。
【0265】
特定の実施形態において、そのキットは、細胞内標的などの標的検体の存在についての試料の評価における使用が見出される。したがって、一部の場合において、キットは、細胞を溶解するために適した1つまたは複数の構成要素を含む。キットの1つまたは複数のさらなる構成要素は、別々の容器(例えば、別個のチューブ、ボトル、マルチウェルストリップまたはプレートにおけるウェル)内で提供され得る。
【0266】
特定の態様において、そのキットは、フローサイトメトリーアッセイを行う試剤をさらに含む。対象の試剤としては、限定されないが、再構成および希釈用の緩衝液、細胞試料を多発色団と接触させるための緩衝液、洗浄用緩衝液、コントロール細胞、コントロールビーズ、フローサイトメータ較正用の蛍光ビーズおよびその組み合わせが挙げられる。このキットは、1つまたは複数の細胞固定試剤、例えばパラホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、メタノール、アセトン、ホルマリン、またはその組み合わせまたはその緩衝液なども含み得る。さらにこのキットは、細胞透過処理剤(cell permeabilizing reagent)、例えばメタノール、アセトンまたは洗浄剤(例えば、triton、NP-40、saponin、tween 20、ジギトニン、leucoperm、またはそのいずれかの組み合わせまたはその緩衝液を含み得る。当業者に知られている他のタンパク質輸送阻害剤、細胞固定化剤および細胞透過処理剤は、主題のキットの範囲内にある。
【0267】
このキットの組成物は、いずれかの適切な緩衝液など、液体組成物の状態で提供され得る。代替方法としては、このキットの組成物は、乾燥組成物(例えば、凍結乾燥された状態)で提供されることができ、キットは、任意選択的に、乾燥組成物を再構成するための1つまたは複数の緩衝液を含み得る。特定の態様において、キットは、別々の容器(別個のチューブ、ボトル、マルチウェルストリップまたはプレートにおけるウェル)に提供された組成物のアリコートを含み得る。
【0268】
さらに、1つまたは複数の成分を単一の容器内で、例えばガラスもしくはプラスチック製バイアル、チューブまたはボトル内で合わせることができる。特定の場合において、キットは、構成要素(およびその別々の容器)のすべてがその中に存在する、容器(例えば、箱、袋、断熱容器、ボトル、チューブ等)をさらに含み得る。そのキットは、キット容器から分離されている、または添付されており、かつ上にキットについての情報が印刷されているパッケージ、キットの構成要素および/またはキットを使用するための説明書をさらに含み得る。
【0269】
上記の成分の他に、主題のキットは、主題の方法を実施するための説明書をさらに含み得る。これらの説明書は、様々な形態で主題のキットに存在し、その1つまたは複数がキットにおいて存在し得る。これらの説明書が存在し得る1つの形態は、適切な媒体または基材上に情報が印刷されており、例えば情報が印刷されている1枚または数枚の紙が添付文書等としてキットのパッケージ内にある。他の手段は、それに情報が記録されている、コンピュータで読み取り可能な媒体、例えば、ディスケット、CD、DVD、携帯型フラッシュドライブ等であるであろう。存在し得るさらに他の手段は、遠隔地で情報にアクセスするために、インターネットを介して使用され得るウェブサイトアドレスである。いずれかの簡便な手段がキットに存在し得る。
有用性
本明細書に記載の組成物、方法およびシステムは、対象の標的の標識化検出および/または分析が望まれる、診断および研究用途などの様々な用途での使用が見出され得る。かかる用途としては、血球計算、顕微鏡検査法、イムノアッセイ(例えば、競合的または非競合的)、遊離検体の評価、レセプター結合リガンドの評価等の方法論が挙げられる。本明細書に記載の組成物、システムおよび方法は、限定されないが、生物体液、細胞培養試料、および組織試料などの多くの試料のいずれかの分析において有用であり得る。特定の態様において、本明細書に記載の組成物、システムおよび方法は、蛍光標識を用いた、例えば蛍光活性化細胞選別または分析、イムノアッセイ、免疫染色などにおいて、存在する場合には検体が試料中で検出される方法での使用が見出され得る。特定の場合において、組成物および方法は、標的検体の存在についての試料の評価が対象となる用途における使用が見出される。
【0270】
場合により、方法および組成物は、限定されないがフローサイトメトリー、in-situハイブリダイゼーション、酵素免疫測定法(ELISA)、ウェスタンブロット分析、磁気細胞分離アッセイおよび蛍光色素精製クロマトグラフィーなど、試料からの標的の検出および/または分析が対象である、いずれかのアッセイ形式での使用が見出される。特定の場合において、方法および組成物は、標的分子の蛍光標識化が対象であるいずれかの用途での使用が見出される。主題の組成物は、ビオチン-ストレプトアビジンおよびハプテン-抗ハプテン抗体など、特異的結合性メンバーの対がその用途で使用が見出される、いずれかの簡便な用途における使用に適応され得る。
【0271】
以下の実施例は実例として提供され、限定するための例ではない。
【実施例
【0272】
実験
実施例1
一連のタンデム色素は、一連の連結されたフルオロフォア、DY633、DY651、DY682およびDY752を含む、下で示したコア構造1をベースとして調製した。
【0273】
【化45】
【0274】
図1は、内部リンカー部位における種々のアクセプター色素(例えば、色素DY633、DY651、DY682およびDY752)に付着したコア構造1をベースとしたポリマータンデム色素の吸収および発光を示す。特異的結合メンバーは、これらの構造に付着していない。
【0275】
第2の一連のタンデム色素を、内部リンカー部位における一連の連結されたアクセプター色素フルオロフォア、DY633、DY654、DY682、DY754およびDY752を含む上で示したコア構造1をベースとして調製した。図2は、内部リンカー部位において付着している種々の色素分子を有する構造1をベースとしたこれらのポリマータンデム色素の蛍光を例示する。すべての溶液についての吸収は、0.04ODである。発光強度は、ポリマー単独に対して、付着したアクセプター発色団を有するポリマーについて有意により高いことに留意されたい。特異的結合メンバーは、これらのポリマーに付着していない。
【0276】
タンデム対の量子収量は、コアポリマー単独より明るい。構造1について、一連のアクセプター発色団を付着させ、このように得られたタンデム対を、二次発色団を有さないポリマーと分光学的に比較した。調製したすべての溶液は、562nmの励起波長について同じ光学密度であった。図2において見ることができるように、タンデム対についてのピーク高さおよびピーク面積(ピーク2~6)は、基礎をなすポリマーからの発光(ピーク1)よりすべて大きい。このように、ますます明るい基礎をなすポリマーの広範なプロトタイピングは不必要であり、タンデム対は、主にアクセプターの量子収量によって輝度が制限される。
【0277】
添付の請求項にもかかわらず、本明細書に記載される開示は、以下の付記によっても定義される。
【0278】
1.集光性BODIPYユニットを含む多発色団と、そのエネルギー受容近位で多発色団に共有結合で連結されたアクセプター発色団とを含むポリマータンデム色素。
【0279】
2.水溶性である付記1に記載の色素。
【0280】
3.ナローバンドスペクトルフィーチャを有する付記1または2に記載の色素。
【0281】
4.100nm以下のバンド幅を持つ低エネルギー吸収バンドを有する付記1~3のいずれか一つに記載の色素。
【0282】
5.5×10-1cm-1以上のモル吸光係数を有する付記1~4のいずれか一つに記載の色素。
【0283】
6.1:40~1:4の範囲のアクセプター発色団と多発色団繰り返しユニットとの比を有する付記1~5のいずれか一つに記載の色素。
【0284】
7.アクセプター発色団は、フルオロフォアである付記1~6のいずれか一つに記載の色素。
【0285】
8.アクセプター発色団は、クエンチャーである付記1~6のいずれか一つに記載の色素。
【0286】
9.アクセプター発色団の発光は、多発色団によって励起したとき、入射光によるアクセプター発色団の直接の励起と比較して1.5倍以上大きい付記7に記載の色素。
【0287】
10.0.05以上の量子収量を有する付記8に記載の色素。
【0288】
11.多発色団は、式(I):
【0289】
【化46】
【0290】
によって示されるBODIPYを含む共役セグメントを含み、式中、
Bは、BODIPYユニットであり、
Mは、π共役コモノマーであり、
各Lは、末端基、π共役セグメント、リンカーおよび連結された特異的結合メンバーから独立して選択され、かつ
nは、1~100,000の整数である付記1~10のいずれか一つに記載の色素。
【0291】
12.BODIPYユニットは、下記の構造:
【0292】
【化47】
【0293】
によって示され、式中、
、R、RおよびRは、H、アルキルまたは置換アルキルからそれぞれ独立して選択され、
は、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリールから選択され、Rは、水溶性基で任意選択的に置換されており、かつ
各Rは、F、OH、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキニルおよび置換アルキニルから選択される付記1~11のいずれか一つに記載の色素。
【0294】
13.Mは、フルオレンコモノマー、フェニレン-ビニレンコモノマー、フェニレン-エチニレンコモノマー、カルバゾールコモノマー、C~C12アルキンコモノマー、アリーレン-エチニレンコモノマー、ヘテロアリーレン-エチニレンコモノマー、アリーレンコモノマーおよびヘテロアリーレンコモノマーから選択される付記11に記載の色素。
【0295】
14.多発色団は、式(II):
【0296】
【化48】
【0297】
によって示され、式中、
およびBは、それぞれ独立してBODIPYユニットであり、
各Mおよび各Mは、独立してπ共役コモノマーであり、
a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0、1または2であり、ここで、b+e≧1であり、
nおよびmは、独立して0または1~100,000の整数であり、ここで、n+m≧1であり、
pは、1~100,000の整数であり、かつ
各Lは、末端基、π共役セグメント、リンカーおよび連結された特異的結合メンバーから独立して選択される付記1~13のいずれか一つに記載の色素。
【0298】
15.bが0であるとき、aおよびcはそれぞれ1であり、
eが0であるとき、dおよびfはそれぞれ1であり、
bが1であるとき、a+c≧1であり、かつ
eが1であるとき、d+f≧1である付記14に記載の色素。
【0299】
16.B、B、MおよびMの少なくとも1つは-L-Cを含み、式中、Lは、任意選択的なリンカーであり、かつCは、アクセプター発色団である付記14または15に記載の色素。
【0300】
17.式(III):
【0301】
【化49】
【0302】
によって示され、式中、各Lは、任意選択的なリンカーであり、かつ各Cは、アクセプター発色団である付記14~16のいずれか一つに記載の色素。
【0303】
18.各Mおよび各Mは、独立して、水溶性基で任意選択的に置換されているフルオレンコモノマーである付記17に記載の色素。
【0304】
19.nとmとの比は、20:1~3:1の範囲である付記17または18に記載の色素。
【0305】
20.式(IV):
【0306】
【化50】
【0307】
によって示され、式中、各Lは、任意選択的なリンカーであり、かつ各Cは、アクセプター発色団である付記14~16のいずれか一つに記載の色素。
【0308】
21.各Mは、独立して、水溶性基で任意選択的に置換されているフルオレンコモノマーである付記20に記載の色素。
【0309】
22.nとmとの比は、20:1~3:1の範囲である付記20または21に記載の色素。
【0310】
23.式(V):
【0311】
【化51】
【0312】
によって示され、式中、各Lは、任意選択的なリンカーであり、かつ各Cは、アクセプター発色団である付記14~16のいずれか一つに記載の色素。
【0313】
24.各Mは、水溶性基で任意選択的に置換されているフルオレンコモノマーである付記23に記載の色素。
【0314】
25.nとmとの比は、20:1~3:1の範囲である付記23または24に記載の色素。
【0315】
26.式(VI):
【0316】
【化52】
【0317】
によって示され、式中、各Lは、任意選択的なリンカーであり、かつ各Cは、アクセプター発色団である付記14~16のいずれか一つに記載の色素。
【0318】
27.各Mは、カルバゾールコモノマーであり、かつ各Mは、フルオレンコモノマーである付記26に記載の色素。
【0319】
28.nとmとの比は、20:1~3:1の範囲である付記26または27に記載の色素。
【0320】
29.BおよびBは、下記の構造:
【0321】
【化53】
【0322】
によってそれぞれ独立して示され、式中、Rは、1個もしくは複数の水溶性基で任意選択的に置換されているアリールまたはヘテロアリールである付記14~28のいずれか一つに記載の色素。
【0323】
30.BおよびBは、下記の構造:
【0324】
【化54】
【0325】
によってそれぞれ独立して示され、式中、
各R’は、Hおよびアルキルから独立して選択され、かつ
pは、0または1~12の整数である付記14~29のいずれか一つに記載の色素。
【0326】
31.少なくとも1個のLは、-L-Zであり、式中、Lは、リンカーであり、かつZは、特異的結合メンバーである付記14~30のいずれか一つに記載の色素。
【0327】
32.少なくとも1個のLは、下記の構造:
【0328】
【化55】
【0329】
によって示され、式中、
qは、1~12の整数であり、かつ
Zは、特異的結合メンバーである付記14~31のいずれか一つに記載の色素。
【0330】
33.Zはが生体分子である付記31または32に記載の色素。
【0331】
34.Zは抗体である付記31~33のいずれか一つに記載の色素。
【0332】
35.Zは抗体フラグメントまたはその結合誘導体である付記31~33のいずれか一つに記載の色素。
【0333】
36.抗体フラグメントまたはその結合誘導体は、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、scFv、二特異性抗体および三特異性抗体から選択される付記35に記載の色素。
【0334】
37.Lは、アルキル、置換アルキル、アルキル-アミド、アルキル-アミド-アルキルまたはPEG部分であり、かつCは、シアニン色素、キサンテン色素、クマリン色素、チアジン色素およびアクリジン色素から選択される付記16~36のいずれか一つに記載の色素。
【0335】
38.アクセプター発色団は、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、Alexa488、Alexa647およびAlexa700から選択される付記1~37のいずれか一つに記載の色素。
【0336】
39.各MおよびMは、水溶性基で任意選択的に置換されているフルオレンコモノマー、カルバゾールコモノマー、ビニレンコモノマー、アリーレン-エチニレンコモノマーおよびアリーレン-ビニレンコモノマーからそれぞれ独立して選択される付記14~38のいずれか一つに記載の色素。
【0337】
40.各MおよびMは、水溶性基で任意選択的に置換されているフェニレン-エチニレンコモノマーおよびエチニレンコモノマーからそれぞれ独立して選択される付記14~39のいずれか一つに記載の色素。
【0338】
41.各MおよびMは、下記の構造:
【0339】
【化56】
【0340】
によってそれぞれ独立して示され、式中、
各Rは、アルキル、置換アルキル、アラルキル、置換アラルキル、PEG部分および-L-Cから独立して選択される付記14~39のいずれか一つに記載の色素。
【0341】
42.Mは、下記の構造:
【0342】
【化57】
【0343】
によって示され、式中、各Rは、水溶性基を含む置換アラルキルであり、かつ
は、下記の構造:
【0344】
【化58】
【0345】
によって示され、式中、Rは、水溶性基を含む置換アルキルであり、かつR10は、-L-Cである付記14~39のいずれか一つに記載の色素。
【0346】
43.集光性BODIPYユニットを含む多発色団と、そのエネルギー受容近位で多発色団に共有結合で連結されたアクセプター発色団とを含むポリマータンデム色素、および、
多発色団に共有結合で連結された特異的結合メンバー
を有する標識された特異的結合メンバー。
【0347】
44.集光性多発色団は水溶性である付記43に記載の標識された特異的結合メンバー。
【0348】
45.色素はナローバンドスペクトルフィーチャを有する付記43または44に記載の標識された特異的結合メンバー。
【0349】
46.色素は、100nm以下のバンド幅を持つ低エネルギー吸収バンドを有する付記43~45のいずれか一つに記載の標識された特異的結合メンバー。
【0350】
47.色素は、5×10-1cm-1以上のモル吸光係数を有する付記43~46のいずれか一つに記載の標識された特異的結合メンバー。
【0351】
48.色素は、1:40~1:4の範囲のアクセプター発色団と多発色団繰り返しユニットとの比を有する付記43~47のいずれか一つに記載の標識された特異的結合メンバー。
【0352】
49.アクセプター発色団は、フルオロフォアである付記43~48のいずれか一つに記載の標識された特異的結合メンバー。
【0353】
50.アクセプター発色団の発光は、多発色団によって励起したとき、入射光によるアクセプター発色団の直接の励起と比較して1.5倍以上大きい付記49に記載の標識された特異的結合メンバー。
【0354】
51.色素は、0.05以上の量子収量を有する付記49に記載の標識された特異的結合メンバー。
【0355】
52.多発色団は、式(I):
【0356】
【化59】
【0357】
によって示されるBODIPYを含む共役セグメントを含み、式中、
Bは、BODIPYユニットであり、
Mは、π共役コモノマーであり、
各Lは、末端基、π共役セグメント、リンカーおよび連結された特異的結合メンバーから独立して選択され、かつ
nは、1~100,000の整数である付記43~51のいずれか一つに記載の標識された特異的結合メンバー。
【0358】
53.BODIPYユニットは、下記の構造:
【0359】
【化60】
【0360】
によって示され、式中、
、R、RおよびRは、H、アルキルまたは置換アルキルからそれぞれ独立して選択され、
は、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリールから選択され、Rは、水溶性基で任意選択的に置換されており、かつ
各Rは、F、OH、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキニルおよび置換アルキニルから選択される付記43~52のいずれか一つに記載の標識された特異的結合メンバー。
【0361】
54.Mは、フルオレンコモノマー、フェニレン-ビニレンコモノマー、フェニレン-エチニレンコモノマー、カルバゾールコモノマー、C~C12アルキンコモノマー、アリーレン-エチニレンコモノマー、ヘテロアリーレン-エチニレンコモノマー、アリーレンコモノマーおよびヘテロアリーレンコモノマーから選択される付記52または53に記載の標識された特異的結合メンバー。
【0362】
55.多発色団は、式(II):
【0363】
【化61】
【0364】
によって示され、式中、
およびBは、それぞれ独立してBODIPYユニットであり、
各Mおよび各Mは、独立してπ共役コモノマーであり、
a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0、1または2であり、ここで、b+e≧1であり、
nおよびmは、独立して0~100,000であり、ここで、n+m≧1であり、かつ
1個のL基は、末端基(G)であり、他のL基は、連結された特異的結合メンバーである付記43~54のいずれか一つに記載の標識された特異的結合メンバー。
【0365】
56.B、B、MおよびMの少なくとも1つは、-L-Cを含み、式中、Lは、任意選択的なリンカーであり、かつCは、アクセプター発色団である付記55に記載の標識された特異的結合メンバー。
【0366】
57.特異的結合メンバーは、抗体である付記43~56のいずれか一つに記載の標識された特異的結合メンバー。
【0367】
58.特異的結合性メンバーは、その抗体断片または結合性誘導体である付記43~56のいずれか一つに記載の標識された特異的結合メンバー。
【0368】
59.その抗体断片または結合性誘導体は、Fab断片、F(ab’)断片、scFv、ダイアボディおよびトリアボディから選択される付記58に記載の標識された特異的結合性メンバー。
【0369】
60.アクセプター発色団は、シアニン色素、キサンテン色素、クマリン色素、チアジン色素およびアクリジン色素から選択される付記43~59のいずれか一つに記載の標識された特異的結合メンバー。
【0370】
61.アクセプター発色団は、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、Alexa488、Alexa647およびAlexa700から選択される付記43~50のいずれか一つに記載の標識された特異的結合メンバー。
【0371】
62.(a)試料と、標的検体に特異的に結合するポリマータンデム色素共役体とを接触させて、標識組成物が接触した試料を生成する工程であって、ポリマータンデム色素共役体は、
(i)集光性BODIPYユニットを含む多発色団、
(ii)そのエネルギー受容近位で多発色団に共有結合で連結されたアクセプター発色団、および
(iii)特異的結合メンバー
を有している、工程と、
(b)ポリマータンデム色素共役体-標的検体結合複合体の存在について標識組成物が接触した試料をアッセイして、標的検体が試料中に存在するかどうかを評価する工程と
を含む、標的検体の存在について試料を評価する方法。
【0372】
63.多発色団は、式(II):
【0373】
【化62】
【0374】
によって示され、式中、
およびBは、それぞれ独立してBODIPYユニットであり、
各Mおよび各Mは、独立してπ共役コモノマーであり、
a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0、1または2であり、ここで、b+e≧1であり、
nおよびmは、独立して0~100,000であり、ここで、n+m≧1であり、かつ
1個のL基は、末端基(G)であり、他のL基は、連結された特異的結合メンバーである付記62に記載の方法。
【0375】
64.B、B、MおよびMの少なくとも1つは、-L-Cを含み、式中、Lは、任意選択的なリンカーであり、かつCは、アクセプター発色団である付記63に記載の方法。
【0376】
65.担体結合されており、かつ標的検体に特異的に結合する第2特異的結合性メンバーと試料とを接触させることをさらに含む付記62~64のいずれか一つに記載の方法。
【0377】
66.担体は磁気粒子を含む付記65に記載の方法。
【0378】
67.標的検体が細胞と会合されている付記62~66のいずれか一つに記載の方法。
【0379】
68.標的検体は、細胞の細胞表面マーカーである付記67に記載の方法。
【0380】
69.細胞表面マーカーが、細胞レセプターおよび細胞表面抗原から選択される付記68に記載の方法。
【0381】
70.標的検体は細胞内標的であり、かつ細胞を溶解させることをさらに含む付記67に記載の方法。
【0382】
71.蛍光標識化された標的検体をフローサイトメトリーで分析することをさらに含む付記62~69のいずれか一つに記載の方法。
【0383】
72.標的分子とポリマータンデム色素とを接触させて、標識された標的分子を生成する工程を含み、
ポリマータンデム色素は、集光性BODIPYユニットを含む多発色団、そのエネルギー受容近位で多発色団に共有結合で連結されたアクセプター発色団、および、共役タグを有している、標的分子を標識する方法。
【0384】
73.標識された標的分子を蛍光的に検出することをさらに含む付記72に記載の方法。
【0385】
74.多発色団は、式(II):
【0386】
【化63】
【0387】
によって示され、式中、
およびBは、それぞれ独立してBODIPYユニットであり、
各Mおよび各Mは、独立してπ共役コモノマーであり、
a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0、1または2であり、ここで、b+e≧1であり、
nおよびmは、独立して0~100,000であり、ここで、n+m≧1であり、かつ
1個のL基は、末端基(G)であり、および他のL基は、共役タグである付記72または73に記載の方法。
【0388】
75.B、B、MおよびMの少なくとも1つは、-L-Cを含み、式中、Lは、任意選択的なリンカーであり、かつCは、アクセプター発色団である付記74に記載の方法。
【0389】
76.共役タグは、アミノ、チオール、ヒドロキシル、ヒドラジン、ヒドラジド、アジド、アルキンおよびタンパク質反応性基から選択される末端官能基を含む付記72~75のいずれか一つに記載の方法。
【0390】
77.標的分子は、特異的結合性メンバーである付記72~76のいずれか一つに記載の方法。
【0391】
78.特異的結合性メンバーは、抗体である付記77に記載の方法。
【0392】
79.特異的結合性メンバーは、その抗体断片または結合性誘導体である付記77に記載の方法。
【0393】
80.抗体断片または結合性誘導体は、Fab断片、F(ab’)断片、scFv、ダイアボディおよびトリアボディから選択される付記79に記載の方法。
81.流路を含むフローサイトメータと、流路中の組成物とを含むフローサイトメトリーシステムであって、
組成物は、
試料と、
集光性BODIPYユニットを含む多発色団、そのエネルギー受容近位で多発色団に共有結合で連結されたアクセプター発色団、および、標的検体を特異的に結合し、かつ多発色団に共有結合で連結された特異的結合メンバーを有する標識された特異的結合メンバーと
を含むフローサイトメトリーシステム。
【0394】
82.多発色団は、式(II):
【0395】
【化64】
【0396】
によって示され、式中、
およびBは、それぞれ独立してBODIPYユニットであり、
各Mおよび各Mは、独立してπ共役コモノマーであり、
a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0、1または2であり、ここで、b+e≧1であり、
nおよびmは、独立して0~100,000であり、ここで、n+m≧1であり、かつ
1個のL基は、末端基(G)であり、および他のL基は、特異的結合メンバーを接続するリンカーである付記81に記載のシステム。
【0397】
83.B、B、MおよびMの少なくとも1つが-L-Cを含み、式中、Lは、任意選択的なリンカーであり、かつCは、アクセプター発色団である付記82に記載のシステム。
【0398】
84.組成物は、担体結合されており、かつ標的検体に特異的に結合する第2特異的結合性メンバーをさらに含む付記81~83のいずれか一つに記載のシステム。
【0399】
85.担体は、磁気粒子を含む付記84に記載のシステム。
【0400】
86.試料は細胞を含む付記81~85のいずれか一つに記載のシステム。
【0401】
87.標的検体は、細胞の細胞表面マーカーである付記86に記載のシステム。
【0402】
88.細胞表面マーカーは、細胞レセプターおよび細胞表面抗原から選択される付記87に記載のシステム。
【0403】
89.集光性BODIPYユニットを含む多発色団と、そのエネルギー受容近位で多発色団に共有結合で連結されたアクセプター発色団とを含むポリマータンデム色素、および、
ポリマー色素、フルオロフォア、特異的結合メンバー、特異的結合メンバー共役体、細胞、支持体、生体適合性水性溶出緩衝液、および使用説明書から選択される1種または複数の成分
を含むキット。
【0404】
90.多発色団は、特異的結合性メンバーに共有結合で連結されている付記89に記載のキット。
【0405】
91.特異的結合性メンバーは、抗体である付記90に記載のキット。
【0406】
92.特異的結合性メンバーは、その抗体断片または結合性誘導体である付記90に記載のキット。
【0407】
93.その抗体断片または結合性誘導体は、Fab断片、F(ab’)断片、scFv、ダイアボディおよびトリアボディから選択される付記92に記載のキット。
【0408】
上述の本発明は、理解を促進するための例証および実例として詳細に記述されているが、添付の特許請求の範囲の趣旨または範囲から逸脱することなく、その特定の変更形態および修正形態がなされ得ることは、本発明の教示に照らして当業者によって容易に理解される。
【0409】
したがって、上述の説明は、本発明の原理を単に例示している。本明細書に明確に記述または示されていないが、本発明の原理を具体化し、かつその趣旨および範囲内に含まれる、様々な構成を当業者は想到し得ることが理解されるであろう。さらに、本明細書に記載のすべての実施例および条件付きの文言は、主に、技術の促進のために本発明者らによって寄与される本発明の原理および概念を理解することを促進することが意図され、このように明確に記載された実施例および条件に限定されるものではないと解釈されるべきである。さらに、本発明の原理、態様、および実施例、ならびにその特定の実施例を列挙する本明細書におけるすべての表現は、その構造的均等物および機能的均等物の両方を包含することが意図される。さらに、かかる均等物は、現在既知の均等物と、未来に開発される均等物、すなわち構造に関わらず同じ機能を果たす、開発されたいずれかの要素の両方を包含することが意図される。したがって、本発明の範囲は、本明細書に示し、かつ記述される例示的な実施形態に限定されないことが意図される。むしろ、本発明の範囲および趣旨は以下によって具体化される。
関連出願の相互参照
35U.S.C.§119(e)に従って、本出願は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2015年3月12日出願の米国仮特許出願第62/132,446号明細書の出願日に対する優先権を主張する。
図1
図2