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特許7390779フレキシブル配線回路基板および撮像装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】フレキシブル配線回路基板および撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20231127BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
H05K1/02 P
H05K9/00 R
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018083301
(22)【出願日】2018-04-24
(65)【公開番号】P2018190972
(43)【公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-03-31
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】P 2017090167
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(72)【発明者】
【氏名】高倉 隼人
(72)【発明者】
【氏名】河邨 良広
(72)【発明者】
【氏名】若木 秀一
(72)【発明者】
【氏名】柴田 周作
【合議体】
【審判長】篠塚 隆
【審判官】野崎 大進
【審判官】富澤 哲生
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/047072(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/204208(WO,A1)
【文献】特開2003-034828(JP,A)
【文献】特開2007-294918(JP,A)
【文献】特開2017-059708(JP,A)
【文献】特開2004-207642(JP,A)
【文献】特開2005-210628(JP,A)
【文献】特開2006-313834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の厚み方向一方側に配置される配線と、
前記配線の厚み方向一方側に配置される第2絶縁層と、
前記第2絶縁層の厚み方向一方側に配置されるシールド層と、
前記シールド層の厚み方向一方側に配置される第3絶縁層と、を備え、
前記シールド層は、
導電層と、
前記導電層を前記厚み方向に挟む2つのバリア層と、を備え、
前記導電層は、周期表第11族、かつ、第4周期および第5周期に属する金属から選択され、
前記バリア層は、周期表第4族~第10族、かつ、第4周期~第6周期に属する金属から選択され、
前記配線は、前記第1絶縁層と直接接触し、
前記第2絶縁層は、前記配線と直接接触し、
前記導電層に対して前記厚み方向の他方側に位置するバリア層は、前記第2絶縁層と直接接触し、
前記導電層は、前記導電層に対して前記厚み方向の他方側に位置するバリア層と直接接触し、
前記導電層に対して前記厚み方向の一方側に位置するバリア層は、前記導電層と直接接触し、
前記第3絶縁層は、前記導電層に対して前記厚み方向の一方側に位置するバリア層と直接接触し、
前記導電層の厚みが、0.05μm以上、0.3μm以下であり、
前記シールド層は、前記第2絶縁層の厚み方向一方面全体に接触することを特徴とする、フレキシブル配線回路基板。
【請求項2】
前記第2絶縁層および前記第3絶縁層のそれぞれの材料は、ポリイミドであることを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブル配線回路基板。
【請求項3】
前記バリア層は、チタン、クロム、ニッケル、パラジウムおよびタンタルからなる群から選択される1種の金属であることを特徴とする、請求項2に記載のフレキシブル配線回路基板。
【請求項4】
前記配線は、グランド配線を含み、
前記シールド層は、前記バリア層が前記グランド配線と接触することにより、前記グランド配線と電気的に接続されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のフレキシブル配線回路基板。
【請求項5】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の厚み方向一方側に配置される配線と、
前記配線の厚み方向一方側に配置される第2絶縁層と、
前記第2絶縁層の厚み方向一方側に配置されるシールド層と、
前記シールド層の厚み方向一方側に配置される第3絶縁層と、を備え、
前記シールド層は、
導電層と、
前記導電層を前記厚み方向に挟む2つのバリア層と、を備え、
前記厚み方向において、前記配線と前記第2絶縁層との間に配置される第4絶縁層および第2配線をさらに備え、
前記導電層は、周期表第11族、かつ、第4周期および第5周期に属する金属から選択され、
前記バリア層は、周期表第4族~第10族、かつ、第4周期~第6周期に属する金属から選択され、
前記配線は、前記第1絶縁層と直接接触し、
前記第4絶縁層は、前記配線と直接接触し、
前記第2配線は、前記第4絶縁層と直接接触し、
前記第2絶縁層は、前記2配線と直接接触し、
前記導電層に対して前記厚み方向の他方側に位置するバリア層は、前記第2配線および前記第2絶縁層と直接接触し、
前記導電層は、前記導電層に対して前記厚み方向の他方側に位置するバリア層と直接接触し、
前記導電層に対して前記厚み方向の一方側に位置するバリア層は、前記第3絶縁層と直接接触し、
前記導電層の厚みが、0.05μm以上、0.3μm以下であり、
前記シールド層は、前記第2絶縁層の厚み方向一方面全体に接触することを特徴とする、フレキシブル配線回路基板。
【請求項6】
撮像素子を実装するための撮像素子実装基板であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のフレキシブル配線回路基板。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載のフレキシブル配線回路基板と、
前記フレキシブル配線回路基板に実装される撮像素子と、を備えることを特徴とする、撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル配線回路基板および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子部品が実装される回路基板では、外部からの電磁波の影響により、電子部品の誤作動やノイズが生じることが知られている。そのため、回路基板に電磁波のシールド層を設けて、外部からの電磁波を遮蔽することが望まれる。
【0003】
そのようなシールド層として、例えば、樹脂基板にSuSで成膜された密着膜と、密着膜にCuで成膜された通電性膜と、通電性膜にSuSで成膜された保護膜とを備えるシールド膜が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-243122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、回路基板がフレキシブル配線回路基板である場合、シールド層には、フレキシブル配線回路基板が変形しても基板から剥離しない優れた密着性と、電磁波に対する優れたシールド特性との両立が求められる。
【0006】
しかし、特許文献1のシールド膜では、フレキシブル配線回路基板において要求される密着性およびシールド特性を十分に両立できない。
【0007】
本発明は、シールド層の優れた密着性と、電磁波に対する優れたシールド特性との両立を図ることができるフレキシブル配線回路基板および撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明[1]は、第1絶縁層と、前記第1絶縁層の厚み方向一方側に配置される配線と、前記配線の厚み方向一方側に配置される第2絶縁層と、前記第2絶縁層の厚み方向一方側に配置されるシールド層と、前記シールド層の厚み方向一方側に配置される第3絶縁層と、を備え、前記シールド層は、導電層と、前記導電層を前記厚み方向に挟む2つのバリア層と、を備え、前記導電層は、周期表第11族、かつ、第4周期および第5周期に属する金属から選択され、前記バリア層は、周期表第4族~第10族、かつ、第4周期~第6周期に属する金属から選択されるフレキシブル配線回路基板を含んでいる。
【0009】
このような構成によれば、導電層を挟む2つのバリア層のそれぞれが、周期表第4族~第10族、かつ、第4周期~第6周期に属する金属から選択される。そのため、バリア層の材料がステンレス鋼(SUS)である場合と比較して、シールド層の密着性およびシールド特性の向上を図ることができ、優れた密着性と優れたシールド特性との両立を図ることができる。
【0010】
本発明[2]は、前記第2絶縁層および前記第3絶縁層のそれぞれの材料は、ポリイミドである、上記[1]に記載のフレキシブル配線回路基板を含んでいる。
【0011】
しかるに、第2絶縁層および第3絶縁層の材料がポリイミドであると、シールド層の材料である金属がポリイミドに拡散(マイグレーション)しやすい傾向にある。
【0012】
一方、上記の構成によれば、導電層を挟むバリア層が、周期表第4族~第10族、かつ、第4周期~第6周期に属する金属から選択される。そのため、シールド層の材料である金属がポリイミドを材料とする第2絶縁層および第3絶縁層に拡散(マイグレーション)することを抑制することができる。
【0013】
本発明[3]は、前記バリア層は、チタン、クロム、ニッケル、パラジウムおよびタンタルからなる群から選択される1種の金属である、上記[2]に記載のフレキシブル配線回路基板を含んでいる。
【0014】
このような構成によれば、バリア層が、上記の群から選択される金属である。上記の群に属する金属は、上記したバリア層の材料である金属(周期表第4族~第10族、かつ、第4周期~第6周期に属する金属)において、とりわけポリイミドに拡散(マイグレーション)しにくい。
【0015】
そのため、バリア層の材料である金属がポリイミドを材料とする第2絶縁層および第3絶縁層に拡散(マイグレーション)することを抑制できる。
【0016】
本発明[4]は、前記配線は、グランド配線を含み、前記シールド層は、前記バリア層が前記グランド配線と接触することにより、前記グランド配線と電気的に接続されている、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載のフレキシブル配線回路基板を含んでいる。
【0017】
このような構成によれば、第1絶縁層の厚み方向一方側に、グランド配線が配置されているので、別途、グランド配線のための層を設ける必要がない。そのため、フレキシブル配線回路基板の薄型化を図ることができる。
【0018】
また、バリア層の材料である周期表第4族~第10族、かつ、第4周期~第6周期に属する金属は、ステンレス鋼と比較して体積抵抗率が低いので、バリア層をグランド配線に接触させる構造において、シールド層を効率的に接地することができる。
【0019】
本発明[5]は、前記配線は、前記第1絶縁層と直接接触し、前記第2絶縁層は、前記配線と直接接触し、前記導電層に対して前記厚み方向の他方側に位置するバリア層は、前記第2絶縁層と直接接触し、前記導電層は、前記導電層に対して前記厚み方向の他方側に位置するバリア層と直接接触し、前記導電層に対して前記厚み方向の一方側に位置するバリア層は、前記導電層と直接接触し、前記第3絶縁層は、前記導電層に対して前記厚み方向の一方側に位置するバリア層と直接接触する、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載のフレキシブル配線回路基板を含んでいる。
【0020】
このような構成によれば、複数の層(第1絶縁層、配線、第2絶縁層、導電層、2つバリア層および第3絶縁層)のうち、厚み方向に互いに隣り合う層が直接接触している。
【0021】
つまり、厚み方向に互いに隣り合う層は、それらの間に接着剤を介することなく互いに接着されている。そのため、厚み方向に互いに隣り合う層が接着剤により接着される場合と比較して、フレキシブル配線回路基板の薄型化を図ることができる。
【0022】
とりわけ、バリア層が上記の金属から選択されるので、シールド層の優れた密着性を確保することができ、接着剤を用いることなくシールド層を第2絶縁層および第3絶縁層に確実に接着でき、接着剤レスのフレキシブル配線回路基板を実現することができる。
【0023】
本発明[6]は、前記厚み方向において、前記配線と前記第2絶縁層との間に配置される第4絶縁層および第2配線をさらに備え、前記第4絶縁層は、前記配線の前記厚み方向一方側に配置され、前記第2配線は、前記第4絶縁層の前記厚み方向一方側に配置される、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載のフレキシブル配線回路基板を含んでいる。
【0024】
このような構成によれば、フレキシブル配線回路基板が、配線および第2配線を備えているので、配線の数を増加させることができ、設計の自由度の向上を図ることができる。
【0025】
本発明[7]は、撮像素子を実装するための撮像素子実装基板である、上記[1]~[6]のいずれか一項に記載のフレキシブル配線回路基板を含んでいる。
【0026】
このような構成によれば、フレキシブル配線回路基板が、シールド層の優れた密着性と電磁波に対する優れたシールド特性との両立を図ることができるので、撮像素子実装基板として好適に利用できる。
【0027】
本発明[8]は、上記[1]~[6]のいずれか一項に記載のフレキシブル配線回路基板と、前記フレキシブル配線回路基板に実装される撮像素子とを備える、撮像装置を含んでいる。
【0028】
このような構成によれば、撮像装置が、上記のフレキシブル配線回路基板を備えるので、シールド層の優れた密着性と電磁波に対する優れたシールド特性との両立を図ることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明のフレキシブル配線回路基板および撮像装置によれば、シールド層の優れた密着性と、電磁波に対する優れたシールド特性との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、本発明のフレキシブル配線回路基板の一実施形態である撮像素子実装基板の底面図を示す。
図2図2は、図1に示す撮像素子実装基板におけるA-A断面図を示す。
図3図3A図3Dは、図2に示す撮像素子実装基板の製造工程図を示し、図3Aが、金属支持体用意工程およびベース絶縁層形成工程、図3Bが、導体パターン形成工程、図3Cが、第1カバー絶縁層形成工程を示す。
図4図4D図4Fは、図3Cに続く撮像素子実装基板の製造工程図を示し、図4Dが、シールド層形成工程、図4Eが、第2カバー絶縁層形成工程、図4Fが、金属支持体除去工程を示す。
図5図5は、図2に示す撮像素子実装基板を備える撮像装置を示す。
図6図6は、本発明のフレキシブル配線回路基板の他の実施形態(第3カバー絶縁層および第2導体パターンを備える態様)の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1において、紙面上下方向は、前後方向(第1方向)であって、紙面上側が前側(第1方向一方側)、紙面下側が後側(第1方向他方側)である。
【0032】
図1において、紙面左右方向は、左右方向(第1方向と直交する第2方向)であって、紙面左側が左側(第2方向一方側)、紙面右側が右側(第2方向他方側)である。
【0033】
図1において、紙面紙厚方向は、上下方向(厚み方向の一例、第1方向および第2方向と直交する第3方向)であって、紙面奥側が上側(厚み方向一方側の一例、第3方向一方側)、紙面手前側が下側(厚み方向他方側の一例、第3方向他方側)である。
【0034】
具体的には、各図の方向矢印に準拠する。
【0035】
<一実施形態>
1.撮像素子実装基板
本発明のフレキシブル配線回路基板の一実施形態である撮像素子実装基板1(以下、単に実装基板1とも略する。)を説明する。
【0036】
図1に示すように、実装基板1は、撮像素子21(後述、図5参照)を実装するためのフレキシブル配線回路基板(FPC)であって、撮像素子21を未だ備えていない。実装基板1は、前後方向および左右方向(面方向)に延びる平面視略矩形(長方形状)の平板形状(シート形状)を有している。
【0037】
実装基板1は、ハウジング配置部2、および、外部部品接続部3を備える。
【0038】
ハウジング配置部2は、ハウジング22(後述、図5参照)や撮像素子21が配置される部分である。具体的には、ハウジング配置部2は、ハウジング22が実装基板1に配置された場合において、厚み方向に投影したときに、ハウジング22と重複する部分である。ハウジング配置部2の略中央部には、撮像素子21と電気的に接続するための撮像素子接続端子10(後述)が複数配置されている。
【0039】
外部部品接続部3は、ハウジング配置部2以外の領域であって、外部部品と接続するための部分である。外部部品接続部3は、外部部品接続部3の前端縁がハウジング配置部2の後端縁と連続するように、ハウジング配置部2の後側に配置されている。外部部品接続部3の後端縁には、外部部品と電気的に接続するための外部部品接続端子11(後述)が複数配置されている。
【0040】
実装基板1は、図2に示すように、第1絶縁層の一例としてのベース絶縁層4と、導体パターン5と、第2絶縁層の一例としての第1カバー絶縁層6と、シールド層40と、第3絶縁層の一例としての第2カバー絶縁層31とを、上側(厚み方向一方側の一例)に向かって順に備える。
【0041】
ベース絶縁層4は、図1および図2に示すように、実装基板1の外形をなし、底面視略矩形状に形成されている。ベース絶縁層4は、実装基板1の最下層に位置する。ベース絶縁層4の下面(厚み方向他方面の一例)は、平坦となるように形成されている。また、ベース絶縁層4の下面の全ては、下方に向かって露出している。詳しくは、ベース絶縁層4は、ベース絶縁層4の下面は金属支持体(図3A図4Eの符号19参照)に支持されておらず、従って、実装基板1は、金属支持体19(金属支持層)を備えない。
【0042】
ベース絶縁層4には、図1に示すように、複数の撮像素子開口部7、および、複数の外部部品開口部8が形成されている。
【0043】
複数の撮像素子開口部7は、撮像素子接続端子10を下面から露出するための開口部である。複数の撮像素子開口部7は、ハウジング配置部2の中央部に、矩形枠状となるように、互いに間隔を隔てて整列配置されている。複数の撮像素子開口部7のそれぞれは、図2に示すように、ベース絶縁層4を上下方向に貫通し、底面視略円形状を有している。撮像素子開口部7は、下側に向かうに従って開口断面積が小さくなるテーパ形状を有している。
【0044】
複数の外部部品開口部8は、図1に示すように、外部部品接続端子11を下面から露出するための開口部である。外部部品開口部8は、外部部品接続部3の後端縁に、左右方向に互いに間隔を隔てて整列配置されている。複数の外部部品開口部8のそれぞれは、ベース絶縁層4を上下方向に貫通し、底面視略矩形状(長方形状)を有している。外部部品開口部8は、底面視において、外部部品接続部3の後端縁から前側に向かって延びるように、形成されている。
【0045】
ベース絶縁層4の材料として、例えば、絶縁材料が挙げられる。絶縁材料として、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、アクリル、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂などが挙げられる。絶縁材料として、好ましくは、絶縁性、耐熱性および耐薬品性の観点から、ポリイミドが挙げられる。
【0046】
ポリイミドとして、具体的には、特開平07-179604号公報、特開2010-276775号公報、特開2013-100441号公報などに記載の材料などが挙げられる。
【0047】
ベース絶縁層4の厚みは、例えば、30μm以下、好ましくは、12μm以下、より好ましくは、8μm以下であり、また、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上である。
【0048】
導体パターン5は、図2に示すように、ベース絶縁層4の上面と接触するように、ベース絶縁層4の上側(厚み方向一方側)に配置されている。導体パターン5は、複数の撮像素子接続端子10、複数の外部部品接続端子11(図1参照)、および、複数の配線9を備える。
【0049】
複数の撮像素子接続端子10は、図1に示すように、ハウジング配置部2の中央部に、矩形枠状となるように、互いに間隔を隔てて整列配置されている。すなわち、複数の撮像素子接続端子10は、実装される撮像素子21の複数の端子25(図5参照)に対応するように、設けられている。また、複数の撮像素子接続端子10は、複数の撮像素子開口部7に対応して設けられている。撮像素子接続端子10は、底面視略円形状を有している。撮像素子接続端子10は、撮像素子開口部7内に配置され、断面視(側断面視および正断面視)において、下側に凸となるように形成されている。撮像素子接続端子10の下面は、撮像素子開口部7から露出している。
【0050】
複数の外部部品接続端子11は、図1に示すように、外部部品接続部3の後端縁に、左右方向に互いに間隔を隔てて整列配置されている。すなわち、外部部品の複数の端子(図示せず)と対応するように設けられている。また、複数の外部部品接続端子11は、複数の外部部品開口部8に対応して設けられている。外部部品接続端子11は、平面視略矩形状(長方形状)を有している。外部部品接続端子11は、外部部品開口部8内に配置され、その下面は、外部部品開口部8から露出している。
【0051】
複数の配線9は、図2に示すように、ベース絶縁層4の上側(厚み方向一方側)に配置され、ベース絶縁層4の上面と直接接触している。複数の配線9は、複数の接続配線14および複数のグランド配線15を含む。
【0052】
複数の接続配線14は、複数の撮像素子接続端子10および複数の外部部品接続端子11に対応するように設けられている。具体的には、接続配線14は、図示しないが、撮像素子接続端子10と外部部品接続端子11とを接続するように、これらと一体的に形成されている。すなわち、接続配線14の一端は、撮像素子接続端子10と連続し、接続配線14の他端は、外部部品接続端子11と連続して、これらを電気的に接続している。
【0053】
複数のグランド配線15は、複数の接続配線14の外側に、これらに沿うように設けられている。グランド配線15の一端には、図示しないグランド端子が一体的に接続されている。
【0054】
導体パターン5の材料として、例えば、銅、銀、金、ニッケルまたはそれらを含む合金、半田などの金属材料が挙げられ、好ましくは、銅が挙げられる。
【0055】
導体パターン5の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上であり、また、例えば、15μm以下、好ましくは、10μm以下である。配線9の幅は、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。
【0056】
第1カバー絶縁層6は、導体パターン5を被覆するように、ベース絶縁層4および導体パターン5の上側に配置されている。すなわち、第1カバー絶縁層6は、導体パターン5の上面および側面、および、導体パターン5から露出するベース絶縁層4の上面と接触するように、配置されている。つまり、第1カバー絶縁層6の少なくとも一部は、導体パターン5(複数の撮像素子接続端子10、複数の外部部品接続端子11および複数の配線9)の上側(厚み方向一方側)に配置されており、導体パターン5(複数の撮像素子接続端子10、複数の外部部品接続端子11および複数の配線9)と直接接触している。第1カバー絶縁層6の外形は、ベース絶縁層4の外形と同一となるように形成されている。
【0057】
また、第1カバー絶縁層6には、グランド開口部16が形成されている。グランド開口部16は、グランド配線15の上面を露出するための開口部である。グランド開口部16は、グランド配線15に対応して形成されている。グランド開口部16は、第1カバー絶縁層6を上下方向に貫通し、グランド配線15の上面を露出している。グランド開口部16は、下側に向かうに従って開口断面積が小さくなるテーパ形状を有している。
【0058】
第1カバー絶縁層6の材料として、例えば、ベース絶縁層4で上記した絶縁材料と同様の絶縁材料が挙げられ、好ましくは、ポリイミドが挙げられる。
【0059】
第1カバー絶縁層6の厚みは、例えば、30μm以下、好ましくは、10μm以下、より好ましくは、5μm以下であり、また、例えば、1μm以上、好ましくは、2μm以上である。
【0060】
シールド層40は、電磁波を遮蔽するためのシールドであって、第1カバー絶縁層6の上面と接触するように、第1カバー絶縁層6の上側(厚み方向一方側)に配置されている。本実施形態において、シールド層40は、面方向(前後方向および左右方向)に延びるシート状に形成されている。シールド層40の外形は、第1カバー絶縁層6の外形と同一となるように形成されている。つまり、シールド層40は、第1カバー絶縁層6の上面全体と、グランド開口部16から露出するグランド配線15の上面全体とに、一括して接触するように設けられている。
【0061】
シールド層40は、導電層41と、導電層41を上下方向(厚み方向)に挟む2つのバリア層42とを備え、好ましくは、導電層41と、2つのバリア層42とからなる。なお、以下において、2つのバリア層42を互いに区別する場合、導電層41に対して下側(厚み方向他方側)に位置するバリア層42を第1バリア層42Aとし、導電層41に対して上側(厚み方向一方側)に位置するバリア層42を第2バリア層42Bとする。
【0062】
導電層41は、電磁波を遮蔽するための層であり、上下方向において第1バリア層42Aと第2バリア層42Bとの間に配置されている。詳しくは、導電層41は、第1バリア層42Aの上面と直接接触するとともに、第2バリア層42Bの下面と直接接触している。導電層41は、面方向(前後方向および左右方向)に延びるシート状に形成されている。導電層41は、好ましくは、スパッタリングにより形成されるスパッタ膜である。
【0063】
導電層41は、周期表第11族、かつ、第4周期および第5周期に属する金属から選択される。つまり、導電層41は、周期表第11族、かつ、第4周期および第5周期に属する金属(銅および銀)の少なくとも1種から形成される。なお、周期表は、IUPAC Periodic Table of the Elements(version dated 28 November 2016)に従う。これら導電層41の材料である金属として、好ましくは、銅または銀の純金属が挙げられ、より好ましくは、銅が挙げられる。
【0064】
導電層41は、バリア層42よりも高い導電性を有する。つまり、導電層41の体積抵抗率は、バリア層42の体積抵抗率よりも低い。導電層41の体積抵抗率(at 0℃)は、例えば、1.6μΩ・cm以下であり、また、例えば、1.0μΩ・cm以上である。なお、体積抵抗率は、四探針法により測定される。
【0065】
導電層41の体積抵抗率が上記上限以下であれば、シールド層40のシールド特性の向上を確実に図ることができる。
【0066】
導電層41の厚みは、例えば、1.0μm以下、好ましくは、0.3μm以下、また、例えば、0.05μm以上である。
【0067】
導電層41の厚みが上記上限以下であれば、実装基板1の薄型化を確実に図ることができ、導電層41の厚みが上記下限以上であれば、シールド層40のシールド特性の向上を確実に図ることができる。
【0068】
2つのバリア層42は、導電層41の材料である金属が、絶縁層に拡散(マイグレーション)することを抑制するための層である。より詳しくは、第1バリア層42Aが、導電層41の材料である金属が、第1カバー絶縁層6に拡散(マイグレーション)することを抑制するための層であり、第2バリア層42Bが、導電層41の材料である金属が、第2カバー絶縁層31に拡散(マイグレーション)することを抑制するための層である。
【0069】
第1バリア層42Aは、上下方向において、第1カバー絶縁層6と導電層41との間と、グランド開口部16から露出するグランド配線15と導電層41との間とに配置されている。第1バリア層42Aは、第1カバー絶縁層6の上面と直接接触するように、第1カバー絶縁層6の上側(厚み方向一方側)に配置され、グランド開口部16から露出するグランド配線15の上面と直接接触するように、グランド配線15の上側に配置される。
【0070】
第2バリア層42Bは、上下方向において導電層41と第2カバー絶縁層31との間に配置されている。第2バリア層42Bは、導電層41の上面と直接接触するように、導電層41の上側(厚み方向一方側)に配置されている。
【0071】
各バリア層42(第1バリア層42Aおよび第2バリア層42Bのそれぞれ)は、面方向(前後方向および左右方向)に延びるシート状に形成されている。バリア層42は、好ましくは、スパッタリングにより形成されるスパッタ膜である。
【0072】
各バリア層42(第1バリア層42Aおよび第2バリア層42Bのそれぞれ)は、周期表第4族~第10族、かつ、第4周期~第6周期に属する金属から選択される。つまり、バリア層42は、周期表第4族~第10族、かつ、第4周期~第6周期に属する金属(チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウムおよび白金)からなる群より選択される1種の純金属から形成される。
【0073】
これらバリア層42の材料である金属として、好ましくは、チタン、クロム、ニッケル、パラジウムおよびタンタルからなる群から選択される1種の金属(純金属)が挙げられ、より好ましくは、チタンおよびクロムの純金属が挙げられる。
【0074】
バリア層42の材料である金属が、上記の群から選択される金属であれば、第1カバー絶縁層6および第2カバー絶縁層31の材料がポリイミドである場合であっても、それら金属が、第1カバー絶縁層6および第2カバー絶縁層31に拡散(マイグレーション)することを確実に抑制できる。
【0075】
また、第1バリア層42Aの材料である金属と第2バリア層42Bの材料である金属とは、互いに異なってもよく、互いに同じであってもよい。
【0076】
また、導電層41の材料である金属とバリア層42の材料である金属との組み合わせとして、好ましくは、銅または銀(導電層41)とチタン(バリア層42)との組み合わせ、銅または銀(導電層41)とクロム(バリア層42)との組み合わせ、銅または銀(導電層41)とニッケル(バリア層42)との組み合わせ、銅または銀(導電層41)とパラジウム(バリア層42)との組み合わせ、銅または銀(導電層41)とタンタル(バリア層42)との組み合わせが挙げられ、より好ましくは、銅とチタンとの組み合わせ、銅とクロムとの組み合わせが挙げられる。
【0077】
導電層41の材料である金属とバリア層42の材料である金属との組み合わせが上記の組み合わせであれば、シールド層40の優れた密着性と、電磁波に対する優れたシールド特性との両立を確実に図ることができる。
【0078】
また、第1バリア層42Aの材料である金属と第2バリア層42Bの材料である金属とが互いに異なる場合、第1バリア層42Aの材料である金属と、導電層41の材料である金属と、第2バリア層42Bの材料である金属との組み合わせとして、好ましくは、クロム(第1バリア層42A)と銅または銀(導電層41)とニッケル(第2バリア層42B)との組み合わせ、チタン(第1バリア層42A)と銅または銀(導電層41)とニッケル(第2バリア層42B)との組み合わせ、クロム(第1バリア層42A)と銅または銀(導電層41)とパラジウム(第2バリア層42B)との組み合わせが挙げられ、さらに好ましくは、クロム(第1バリア層42A)と銅または銀(導電層41)とニッケル(第2バリア層42B)との組み合わせが挙げられる。
【0079】
バリア層42の体積抵抗率(at 0℃)は、例えば、50μΩ・cm以下、好ましくは、20μΩ・cm以下、より好ましくは、15μΩ・cm以下であり、また、例えば、1.8μΩ・cm以上である。
【0080】
バリア層42の体積抵抗率が上記上限以下であれば、バリア層42の導電性を確保することができ、シールド層40のシールド特性のさらなる向上を図ることができる。
【0081】
バリア層42の厚みは、導電層41の厚みを100としたときに、例えば、10以上、好ましくは、20以上である。バリア層42の厚みは、例えば、1.0μm以下、好ましくは、0.09μm以下、さらに好ましくは、0.08μm以下、とりわけ好ましくは、0.05μm以下であり、また、例えば、0.01μm以上、好ましくは、0.02μm以上である。
【0082】
バリア層42の厚みが上記上限以下であれば、実装基板1の薄型化を確実に図ることができ、バリア層42の厚みが上記下限以上であれば、導電層41の材料である金属が絶縁層に拡散(マイグレーション)することを確実に抑制でき、シールド層40の密着性の向上を確実に図ることができる。
【0083】
また、シールド層40は、上記のように、バリア層42(第1バリア層42A)がグランド配線15と接触することにより、グランド配線15と電気的に接続されている。すなわち、シールド層40は、グランド配線15と連続している。具体的には、シールド層40は、グランド配線15と対向する部分において、グランド開口部16を介して、グランド配線15の上面と接触するように下側に凸となっている。これにより、シールド層40は、グランド配線15を介して接地されている。
【0084】
第2カバー絶縁層31は、シールド層40を被覆するように、シールド層40の上側(厚み方向一方側)に配置されている。第2カバー絶縁層31の下面は、第2バリア層42Bの上面と直接接触している。第2カバー絶縁層31は、実装基板1の最上層に位置し、第2カバー絶縁層31の上面は、上方に向かって露出している。第2カバー絶縁層31の外形は、シールド層40の外形と同一となるように形成されている。
【0085】
第2カバー絶縁層31の材料として、例えば、第1カバー絶縁層6で上記した絶縁材料と同様の絶縁材料が挙げられ、好ましくは、ポリイミドが挙げられる。つまり、第1カバー絶縁層6および第2カバー絶縁層31のそれぞれの材料は、好ましくは、ポリイミドである。
【0086】
第2カバー絶縁層31の厚みの範囲は、例えば、第1カバー絶縁層6の厚みの範囲と同じである。
【0087】
本実施形態において、実装基板1は、複数の層(ベース絶縁層4、導体パターン5、第1カバー絶縁層6、シールド層40および第2カバー絶縁層31)のうち、厚み方向に互いに隣り合う層が直接接触しており、それら層の間に接着剤を介することなく互いに接着されている。つまり、実装基板1は、接着剤が使用されない接着剤レスのFPCである。そのため、実装基板1の薄型化を図ることができる。
【0088】
このような実装基板1において、シールド層40の厚みと第2カバー絶縁層31の厚みとの総和は、例えば、15.0μm以下、好ましくは、10μm以下、より好ましくは、5μm以下であり、また、例えば、1μm以上である。
【0089】
実装基板1の厚み(ベース絶縁層4、導体パターン5、第1カバー絶縁層6、シールド層40および第2カバー絶縁層31の厚みの総和)は、例えば、50μm以下、好ましくは、25μm以下、より好ましくは、20μm以下であり、また、例えば、3μm以上である。
【0090】
2.撮像素子実装基板の製造方法
実装基板1は、図3A図4Fに示すように、例えば、金属支持体用意工程、ベース絶縁層形成工程、導体パターン形成工程、第1カバー絶縁層形成工程、シールド層形成工程、第2カバー絶縁層形成工程、および、金属支持体除去工程を順に実施することにより得られる。
【0091】
図3Aに示すように、金属支持体用意工程では、金属支持体19を用意する。
【0092】
金属支持体19は、面方向に延びる平面視略矩形(長方形状)の平板形状(シート形状)を有する。金属支持体19の上面は、平坦(平滑)となるように形成されている。
【0093】
金属支持体19の材料として、例えば、ステンレス、42アロイ、アルミニウムなどの金属材料が挙げられ、好ましくは、ステンレスが挙げられる。
【0094】
金属支持体19の厚みは、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、例えば、50μm以下、好ましくは、30μm以下である。
【0095】
続いて、ベース絶縁層形成工程では、ベース絶縁層4を、金属支持体19の上面に形成する。すなわち、撮像素子開口部7および外部部品開口部8を有するベース絶縁層4を、金属支持体19の上面に形成する。
【0096】
具体的には、感光性の絶縁性材料(例えば、ポリイミド)のワニスを金属支持体19の上面全面に塗布して乾燥させて、ベース皮膜(ベース絶縁層)を形成する。その後、ベース皮膜を、開口部(撮像素子開口部7および外部部品開口部8)に対応するパターンを有するフォトマスクを介して露光する。その後、ベース皮膜を現像し、好ましくは加熱硬化させる。
【0097】
続いて、図3Bに示すように、導体パターン形成工程では、導体パターン5を、上記したパターンで、ベース絶縁層4の上面と、撮像素子開口部7および外部部品開口部8から露出する金属支持体19の上面とに、例えば、アディティブ法などによって、形成する。
【0098】
続いて、図3Cに示すように、第1カバー絶縁層形成工程では、第1カバー絶縁層6を、導体パターン5を被覆するように、ベース絶縁層4の上面に形成する。すなわち、グランド開口部16を有する第1カバー絶縁層6を、ベース絶縁層4の上面に形成する。第1カバー絶縁層形成工程は、ベース絶縁層形成工程と同様に実施する。
【0099】
続いて、図4Dに示すように、シールド層形成工程では、シールド層40を、第1カバー絶縁層6の上面全体と、グランド開口部16から露出するグランド配線15の上面全体とに、形成する。
【0100】
詳しくは、シールド層形成工程は、第1バリア層形成工程と、導電層形成工程と、第2バリア層形成工程とを順に含んでいる。
【0101】
第1バリア層形成工程では、第1カバー絶縁層6の上面全体と、グランド開口部16から露出するグランド配線15の上面全体とに、第1バリア層42Aを一括して形成する。第1バリア層42Aの形成方法として、例えば、スパッタリング、蒸着、めっきなどの公知の薄膜形成方法が挙げられ、好ましくは、スパッタリングが挙げられる。
【0102】
導電層形成工程では、第1バリア層42Aの上面全体に導電層41を形成する。導電層41の形成方法として、例えば、第1バリア層42Aと同様の形成方法が挙げられ、好ましくは、スパッタリングが挙げられる。
【0103】
第2バリア層形成工程では、導電層41の上面全体に第2バリア層42Bを形成する。第2バリア層42Bの形成方法として、例えば、第1バリア層42Aと同様の形成方法が挙げられ、好ましくは、スパッタリングが挙げられる。
【0104】
これにより、第1バリア層42Aと、導電層41と、第2バリア層42Bとを備えるシールド層40が形成される。
【0105】
続いて、図4Eに示すように、第2カバー絶縁層形成工程では、第2カバー絶縁層31を、シールド層40(第2バリア層42B)の上面全体に形成する。第2カバー絶縁層形成工程は、ベース絶縁層形成工程と同様に実施する。
【0106】
しかるに、第2カバー絶縁層形成工程において、第2カバー絶縁層31を加熱硬化させるときなどに、導電層41の材料である金属が第1カバー絶縁層6および第2カバー絶縁層31に拡散(マイグレーション)するおそれがある。一方、実装基板1では、第1バリア層42Aが第1カバー絶縁層6と導電層41との間に位置し、第2バリア層42Bが導電層41と第2カバー絶縁層31との間に位置するので、導電層41の金属が第1カバー絶縁層6および第2カバー絶縁層31に拡散(マイグレーション)することが抑制されている。
【0107】
以上により、ベース絶縁層4と、導体パターン5と、第1カバー絶縁層6と、シールド層40と、第2カバー絶縁層31とを備える実装基板1を、金属支持体19に支持された状態で得る。なお、この実装基板1は、金属支持体19を備え、未だ除去されていない。そのため、この実装基板1は、本発明のフレキシブル配線回路基板に包含されない。
【0108】
図4Fに示すように、金属支持体除去工程では、金属支持体19を除去する。
【0109】
金属支持体19の除去方法として、例えば、金属支持体19を、ベース絶縁層4の下面と、撮像素子開口部7から露出する撮像素子接続端子10の下面および外部部品開口部8から露出する外部部品接続端子11の下面とから剥離する方法、例えば、金属支持体19に対して、例えば、ドライエッチング、ウェットエッチングなどのエッチングを施す方法などが挙げられる。金属支持体19の除去方法として、好ましくは、エッチング、より好ましくは、ウエットエッチングが挙げられる。
【0110】
これにより、金属支持体19が除去され、ベース絶縁層4と、導体パターン5と、第1カバー絶縁層6と、シールド層40と、第2カバー絶縁層31とを備える実装基板1を得る。実装基板1は、金属支持体19を備えず、好ましくは、ベース絶縁層4と、導体パターン5と、第1カバー絶縁層6と、シールド層40と、第2カバー絶縁層31とのみからなる。
【0111】
このような実装基板1は、例えば、撮像素子を実装するための撮像素子実装基板に用いられる。すなわち、実装基板1は、カメラモジュールなどの撮像装置に備えられる。なお、実装基板1は、次に説明する撮像装置ではなく、撮像装置の一部品、すなわち、撮像装置を作製するための部品であり、撮像素子を含まず、具体的には、部品単独で流通し、産業上利用可能なデバイスである。
【0112】
3.撮像装置
次に、図5を参照して、実装基板1を備える撮像装置20を説明する。
【0113】
撮像装置20は、実装基板1、撮像素子21、ハウジング22、光学レンズ23、および、フィルター24を備える。
【0114】
実装基板1は、図2に示される実装基板1を上下反転して撮像装置20に備えられる。すなわち、実装基板1は、ベース絶縁層4を上側(厚み方向他方側)とし、第2カバー絶縁層31を下側(厚み方向一方側)となるように、配置される。
【0115】
撮像素子21は、光を電気信号に変換する半導体素子であって、例えば、CMOSセンサ、CCDセンサなどの固体撮像素子が挙げられる。撮像素子21は、平面視略矩形の平板形状に形成されており、図示しないが、Si基板などのシリコンと、その上に配置されるフォトダイオード(光電変換素子)およびカラーフィルターとを備える。撮像素子21の下面には、実装基板1の撮像素子接続端子10と対応する端子25が複数設けられている。撮像素子21の厚みは、例えば、10μm以上、好ましくは、50μm以上であり、また、例えば、1000μm以下、好ましくは、500μm以下である。
【0116】
撮像素子21は、実装基板1に実装されている。具体的には、撮像素子21の端子25は、対応する実装基板1の撮像素子接続端子10と、ソルダーバンプ26などを介して、フリップチップ実装されている。これにより、撮像素子21は、実装基板1のハウジング配置部2の中央部に配置され、実装基板1の撮像素子接続端子10および外部部品接続端子11と電気的に接続されている。
【0117】
撮像素子21は、実装基板1に実装されることにより、撮像ユニット27を構成する。すなわち、撮像ユニット27は、実装基板1と、それに実装される撮像素子21とを備える。
【0118】
ハウジング22は、撮像素子21のハウジング配置部2に、撮像素子21と間隔を隔てて囲むように、配置されている。ハウジング22は、平面視略矩形状の筒状を有している。ハウジング22の上端には、光学レンズ23を固定するための固定部が設けられている。
【0119】
光学レンズ23は、実装基板1の上側に、実装基板1および撮像素子21と間隔を隔てて配置されている。光学レンズ23は、平面視略円形状に形成され、外部からの光が、撮像素子21に到達するように、固定部によって固定されている。
【0120】
フィルター24は、撮像素子21および光学レンズ23の上下方向中央に、これらと間隔を隔てて配置され、ハウジング22に固定されている。
【0121】
実装基板1のシールド層40は、図2に示すように、導電層41と、導電層41を上下方向に挟む2つのバリア層42と、を備える。そして、バリア層42は、周期表第4族~第10族、かつ、第4周期~第6周期に属する金属から選択される。そのため、バリア層42の材料がステンレス鋼(SUS)である場合と比較して、シールド層40の密着性およびシールド特性の向上を図ることができ、優れた密着性と優れたシールド特性との両立を図ることができる。
【0122】
第1カバー絶縁層6および第2カバー絶縁層31のそれぞれの材料は、好ましくは、ポリイミドである。第1カバー絶縁層6および第2カバー絶縁層31の材料がポリイミドであると、シールド層40の金属がポリイミドに拡散(マイグレーション)しやすい傾向にある。
【0123】
一方、実装基板1では、導電層41を挟むバリア層42が、周期表第4族~第10族、かつ、第4周期~第6周期に属する金属から選択される。そのため、シールド層40の金属がポリイミドを材料とする第1カバー絶縁層6および第2カバー絶縁層31に拡散(マイグレーション)することを抑制することができる。
【0124】
バリア層42は、好ましくは、チタン、クロム、ニッケル、パラジウムおよびタンタルからなる群から選択される1種の金属である。そのため、バリア層42の金属がポリイミドを材料とする第1カバー絶縁層6および第2カバー絶縁層31に拡散(マイグレーション)することを抑制できる。その結果、シールド層40の密着性とシールド特性との両立を確実に図ることができる。
【0125】
複数の配線9は、グランド配線15を含み、グランド配線15は、ベース絶縁層4の上面(厚み方向一方側)に配置にされている。そのため、別途、グランド配線15のための層を設ける必要がない。その結果、実装基板1の薄型化を図ることができる。
【0126】
また、バリア層42の材料である金属は、ステンレス鋼と比較して体積抵抗率が低いので、バリア層42(第1バリア層42A)をグランド配線15に接触させる構造において、シールド層40を効率的に接地することができる。
【0127】
実装基板1は、複数の層(ベース絶縁層4、導体パターン5、第1カバー絶縁層6、シールド層40および第2カバー絶縁層31)のうち、上下方向に互いに隣り合う層が接着剤なしに接着される接着剤レスのFPCである。そのため、実装基板1の薄型化を図ることができる。
【0128】
また、バリア層42が上記の金属から選択され、シールド層40の優れた密着性が確保されているので、接着剤を用いることなくシールド層40を第1カバー絶縁層6および第2カバー絶縁層31に確実に接着でき、接着剤レスの実装基板1を実現することができる。
【0129】
実装基板1は、シールド層40の優れた密着性と電磁波に対する優れたシールド特性との両立が図られているので、撮像素子実装基板として好適に利用できる。
【0130】
撮像装置20は、実装基板1を備える。そのため、シールド層40の優れた密着性と電磁波に対する優れたシールド特性との両立を図ることができる。
【0131】
<変形例>
変形例において、一実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0132】
一実施形態では、本発明のフレキシブル配線回路基板として、撮像素子21を実装するための撮像素子実装基板1(実装基板1)として説明しているが、フレキシブル配線回路基板の用途は、これに限定されない。例えば、シールド層の密着性および電磁波に対する優れたシールド特性の両立が要求される各種用途、例えば、スマートフォン、パソコン、ゲーム機などに用いられるFPCなどに好適に用いられる。
【0133】
また、実装基板1では、図2に示すように、配線9は、グランド配線15を含んでいるが、これに限定されず、グランド配線15を含まなくてもよい。すなわち、配線9を、接続配線14のみから構成することもできる。
【0134】
また、実装基板1では、シールド層40は、グランド配線15と電気的に接続されているが、これに限定されず、グランド配線15と電気的に接続されなくてもよい。一方、シールド特性の観点から、上記の実施形態のように、シールド層40は、グランド配線15と電気的に接続されることが好ましい。
【0135】
また、実装基板1では、シールド層40の外形が、第1カバー絶縁層6の外形と同一となり、シールド層40が、第1カバー絶縁層6の上面全体と、グランド開口部16から露出するグランド配線15の上面全体とに一括して接触するが、シールド層40の形状は、シールド特性を確保できれば特に制限されない。
【0136】
例えば、シールド層40は、実装基板1の電気特性(例えば、配線のインピーダンス調整など)を考慮して、本発明の効果を阻害しない範囲でパターニングされていてもよい。
【0137】
なお、シールド層40がパターニングされる場合、実装基板1を厚み方向に投影したときの投影面の面積100%に対して、シールド層40の面積は、例えば、60%以上、好ましくは、80%以上、例えば、99%以下である。
【0138】
このようなパターニングされたシールド層40を形成するには、まず、図3A図4Dに示されるように、上記した金属支持体用意工程、ベース絶縁層形成工程、導体パターン形成工程、第1カバー絶縁層形成工程およびシールド層形成工程と同様にして、シート状のシールド層40を、第1カバー絶縁層6の上面全体に形成する。
【0139】
次いで、シールド層40を、公知のエッチング方法によりパターニングする。
【0140】
例えば、第2バリア層42Bの上面全体に、公知の感光性ドライフィルムレジスト(図示せず)を配置した後、フォトマスク(図示せず)を介して露光および現像して、シールド層40のうち不要な箇所(除去したい箇所)が露出するように、感光性ドライフィルムレジスト(図示せず)を開口させる。そして、シールド層40の各金属のエッチングに適したエッチング液により、感光性ドライフィルムレジスト(図示せず)の開口から露出するシールド層40の部分を除去して、シールド層40をパターニングする。
【0141】
このようなパターニングされたシールド層40を有する実装基板では、シールド層40の密着性およびシールド特性の両立を図ることができながら、実装基板1の電気特性の向上を図ることができる。
【0142】
一方、上記の実施形態のように、シールド層40の外形が第1カバー絶縁層6の外形と同一となり、シールド層40が、第1カバー絶縁層6の上面全体と、グランド開口部16から露出するグランド配線15の上面全体とに一括して形成される態様(つまり、実装基板1の厚み方向の投影面の面積100%に対してシールド層40の面積が100%である態様)が、シールド特性の観点からより好ましい。
【0143】
また、実装基板1では、上下方向に互いに隣り合う層が、接着剤なしに接着される接着剤レスのFPCであるが、これに限定されない。上下方向に互いに隣り合う層の間に接着剤層を設けることもできる。一方、薄型化の観点から、上記の実施形態のように、実装基板1は、接着剤レスのFPCであることが好ましい。
【0144】
また、実装基板1では、図2に示すように、導体パターン5(複数の配線9)と第1カバー絶縁層6とが互いに直接接触しているが、これに限定されない。例えば、導体パターン5と第1カバー絶縁層6との間に他の層が配置されてもよい。
【0145】
例えば、図6に示すように、フレキシブル配線回路基板の他の実施形態である実装基板50は、上下方向(厚み方向)において、導体パターン5と第1カバー絶縁層6との間に配置される第3カバー絶縁層51(第4絶縁層の一例)および第2導体パターン52を備える。
【0146】
つまり、実装基板50は、ベース絶縁層4と、導体パターン5と、第3カバー絶縁層51と、第2導体パターン52と、第1カバー絶縁層6と、シールド層40と、第2カバー絶縁層31とを、上側(厚み方向一方側の一例)に向かって順に備える。なお、導体パターン5と第2導体パターン52とを明確に区別するために、以下おいて、導体パターン5を第1導体パターン5とし、配線9を第1配線9とし、接続配線14を第1接続配線14とし、グランド配線15を第1グランド配線15とする。
【0147】
第3カバー絶縁層51は、第1導体パターン5を被覆するように、ベース絶縁層4および第1導体パターン5の上側に配置されている。第3カバー絶縁層51の少なくとも一部は、第1導体パターン5(複数の撮像素子接続端子10、複数の外部部品接続端子11および複数の第1配線9)の上側(厚み方向一方側)に配置されており、第1導体パターン5(複数の撮像素子接続端子10、複数の外部部品接続端子11および複数の第1配線9)と直接接触している。
【0148】
また、第3カバー絶縁層51には、グランド開口部53が形成されている。グランド開口部53は、第1グランド配線15に対応して形成されている。グランド開口部53は、第3カバー絶縁層51を上下方向に貫通し、第1グランド配線15の上面を露出している。
【0149】
第3カバー絶縁層51の材料として、例えば、ベース絶縁層4で上記した絶縁材料と同様の絶縁材料が挙げられ、好ましくは、ポリイミドが挙げられる。第3カバー絶縁層51の厚みの範囲は、例えば、上記した第1カバー絶縁層6の厚みの範囲と同じである。
【0150】
第2導体パターン52は、第3カバー絶縁層51の上面と接触するように、第3カバー絶縁層51の上側(厚み方向一方側)に配置されている。第2導体パターン52は、複数の撮像素子接続端子(図示せず)、複数の外部部品接続端子(図示せず)、複数の第2配線54を備える。
【0151】
複数の撮像素子接続端子(図示せず)および複数の外部部品接続端子(図示せず)は、ベース絶縁層4および第3カバー絶縁層51に形成された複数の開口部(図示せず)から露出するように、形成されている。
【0152】
複数の第2配線54は、複数の第2接続配線55および複数の第2グランド配線56を含む。
【0153】
複数の第2接続配線55は、複数の撮像素子接続端子および複数の外部部品接続端子に対応して、これらを接続するように設けられている。複数の第2グランド配線56は、複数の第1グランド配線15に対応して設けられる。第2グランド配線56は、グランド開口部53を介して第1グランド配線15と接触して、第1グランド配線15と電気的に接続されている。
【0154】
第2導体パターン52の材料として、例えば、第1導体パターン5で上記した金属材料と同様の金属材料が挙げられ、好ましくは、銅が挙げられる。第2導体パターン52の厚みの範囲は、例えば、上記した第1導体パターン5の厚みの範囲と同じである。
【0155】
第1カバー絶縁層6は、第2導体パターン52を被覆するように、第3カバー絶縁層51および第2導体パターン52の上側に配置されている。グランド開口部16は、第2グランド配線56の上面の一部を露出している。シールド層40は、グランド開口部16を介して第2グランド配線56と接触して、第2グランド配線56と電気的に接続されている。つまり、シールド層40は、第2グランド配線56を介して、第1グランド配線15と電気的に接続されている。
【0156】
このような実装基板50は、複数の第1配線9および複数の第2配線54を備えるので、配線の数を増加させることができ、実装基板50の設計の自由度の向上を図ることができる。なお、実装基板において、導体パターン5と第1カバー絶縁層6との間に配置される絶縁層および配線の個数は特に制限されず、第3カバー絶縁層51および第2配線54に加えて、さらに絶縁層および配線を備えていてもよい。一方、薄型化の観点からは、実装基板1が好ましい。
【0157】
また、一実施形態の撮像装置20では、図5に示すように、撮像素子21は、実装基板1にフリップチップ実装されているが、例えば、図示しないが、撮像素子21は、実装基板1にワイヤボンディングによって実装することもできる。
【0158】
上記した各変形例についても、一実施形態と同様の作用効果を奏する。
【実施例
【0159】
以下に製造例、比較製造例、実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、何ら製造例、比較製造例、実施例および比較例に限定されない。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
【0160】
実施例1
図3Aに示すように、厚み18μmのステンレスを材料とする金属支持体19を用意した。
【0161】
次いで、ポリイミド前駆体溶液を金属支持体19の上面に塗布し、次いで、80℃で10分乾燥させて、ベース皮膜(ポリイミド前駆体皮膜)を形成した。続いて、ベース皮膜を、フォトマスクを介して露光し、続いて、現像した。その後、窒素雰囲気下、360℃1時間、ベース皮膜を加熱する(硬化させる)ことにより、撮像素子開口部7および外部部品開口部8を有し、ポリイミドを材料とする厚み5μmのベース絶縁層4を形成した。
【0162】
図3Bに示すように、その後、銅を材料とする厚み3μmの導体パターン5を、ベース絶縁層4の上面と、撮像素子開口部7および外部部品開口部8から露出する金属支持体19の上面とに、アディティブ法で形成した。
【0163】
図3Cに示すように、その後、ポリイミド前駆体溶液をベース絶縁層4および導体パターン5の上面に塗布し、次いで、80℃で10分乾燥させて、カバー皮膜(ポリイミド前駆体皮膜)を形成した。続いて、カバー皮膜を、フォトマスクを介して露光し、続いて、現像した。その後、窒素雰囲気下、360℃1時間、カバー皮膜を加熱することにより、グランド開口部16を有し、ポリイミドを材料とする厚み3μmの第1カバー絶縁層6を得た。
【0164】
図4Dに示すように、その後、クロムを材料とする厚み0.02μmの第1バリア層42Aを、第1カバー絶縁層6の上面と、グランド開口部16から露出するグランド配線15の上面とに、スパッタリングにより形成した。次いで、銅を材料とする厚み0.1μmの導電層41を、第1バリア層42Aの上面に、スパッタリングにより形成した。次いで、クロムを材料とする厚み0.02μmの第2バリア層42Bを、導電層41の上面に、スパッタリングにより形成した。これにより、シールド層40を形成した。
【0165】
続いて、図4Eに示すように、ポリイミド前駆体溶液を第2バリア層42Bの上面に塗布し、次いで、80℃で10分乾燥させて、カバー皮膜(ポリイミド前駆体皮膜)を形成した。続いて、カバー皮膜を、露光し、続いて、現像した。その後、窒素雰囲気下、360℃1時間、カバー皮膜を加熱する(硬化させる)ことにより、ポリイミドを材料とする厚み3.0μmの第2カバー絶縁層31を形成した。
【0166】
図4Fに示すように、金属支持体19を、塩化第二鉄水溶液からなるエッチング液を下方からスプレーする化学エッチング法によって、除去した。これによって、ベース絶縁層4の下面の全てを露出させた。
【0167】
以上により、ベース絶縁層4と、導体パターン5と、第1カバー絶縁層6と、シールド層40と、第2カバー絶縁層31とを備える実装基板1を得た。
【0168】
実施例2
第1バリア層42Aおよび第2バリア層42Bのそれぞれを、チタンを材料とする厚み0.03μmの薄膜(スパッタ膜)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実装基板1を得た。
【0169】
実施例3
第2バリア層42Bを、ニッケルを材料とする厚み0.08μmの薄膜(スパッタ膜)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実装基板1を得た。
【0170】
比較例1
第1バリア層42Aおよび第2バリア層42Bのそれぞれを、ステンレス鋼(SUS)を材料とする厚み0.05μmの薄膜(スパッタ膜)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実装基板1を得た。
【0171】
比較例2
第1バリア層42Aおよび第2バリア層42Bのそれぞれを形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、実装基板1を得た。つまり、導電層41を、第1カバー絶縁層6の上面と、グランド開口部16から露出するグランド配線15の上面とに形成し、第2カバー絶縁層31を、導電層41の上面に形成した。
【0172】
各実施例および各比較例の層構成および厚みを表1に記載する。
【0173】
[評価]
各実施例および各比較例の実装基板1について、以下の項目を評価した。その結果を表1に記載する。
【0174】
<シールド特性>
各実施例および各比較例の実装基板1におけるシールド層40のシールド特性をKEC法により測定した。そして、シールド特性を下記の基準で評価した。
○:-40db以下(1GHz)
△:-40db超過-30db以下(1GHz)
×:-30db超過(1GHz)
<密着性>
各実施例および各比較例の実装基板1におけるシールド層40の密着性を、JIS K-5600-5-6(クロスカット法)に準拠して測定した。具体的には、所定の切り込み工具およびスペーサを用いて、第2カバー絶縁層31に格子パターンが形成されるように切り込み(縦6本×横6本)を設けた後、長さが約75mmの付着テープを、第2カバー絶縁層31における格子にカットした部分に貼り付けた。次いで、付着テープを通して第2カバー絶縁層31が透けて見えるように、付着テープを指でしっかりとこすり、付着テープと第2カバー絶縁層31とを正しく接触させた。その後、付着テープを付着して5分以内に、付着テープの折れ曲り角度が60°に近い角度(剥離角度約120°)で0.5秒から1.0秒で、付着テープを第2カバー絶縁層31から確実に引き離した。その後、試験部分を、JIS K-5600-5-6の8.3における表1に示される図例と比較して、6段階(0~5)に分類した。そして、密着性を下記の基準で評価した。
○:分類0(剥離なし)
△:分類1-2
×:分類3-5
【0175】
【表1】
【符号の説明】
【0176】
1 実装基板(撮像素子実装基板)
4 ベース絶縁層
6 第1カバー絶縁層
9 配線
20 撮像装置
21 撮像素子
31 第2カバー絶縁層
40 シールド層
41 導電層
42 バリア層
50 実装基板
51 第3カバー絶縁層
54 第2配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6