(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】ドレン排出装置
(51)【国際特許分類】
F23L 17/14 20060101AFI20231127BHJP
F23L 15/04 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
F23L17/14 J
F23L15/04
(21)【出願番号】P 2018209717
(22)【出願日】2018-11-07
【審査請求日】2021-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】香川 晴治
(72)【発明者】
【氏名】大森 一朗
(72)【発明者】
【氏名】田中 義人
(72)【発明者】
【氏名】菅野 翔一
(72)【発明者】
【氏名】永江 笙子
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-020919(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第103438470(CN,A)
【文献】中国実用新案第204593422(CN,U)
【文献】中国実用新案第202933506(CN,U)
【文献】実公昭43-015417(JP,Y1)
【文献】特開2013-192964(JP,A)
【文献】特開昭63-140022(JP,A)
【文献】実開昭62-183516(JP,U)
【文献】実公昭53-029846(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23L 1/00 - 99/00
B01D 45/00 - 45/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスと洗浄液とを気液接触させるように構成される反応器から排出された前記排ガスが流れる排ガス流路に発生するドレンを排出するためのドレン排出装置であって、
前記排ガス流路の横断面形状は、平坦な天井面
、平坦な底面
、及び少なくとも一つの平坦な側面を含み、
前記ドレン排出装置は、
前記排ガス流路の前記平坦な天井面、又は前記平坦な底面の少なくとも一方から突出して設けられる少なくとも一つのドレンガイド部であって、上方視において前記排ガス流路の延在する方向に対して斜め方向に延在する少なくとも一つの斜方延在部を含む少なくとも一つのドレンガイド部、を備え、
前記少なくとも一つのドレンガイド部は、第1ドレンガイド部と、前記第1ドレンガイド部よりも前記排ガス流路の下流側に設けられる第2ドレンガイド部と、を含み、
前記第1ドレンガイド部、又は、前記第2ドレンガイド部、の少なくとも一方は、
前記平坦な天井面から下方に突出して設けられる上方ドレンガイド部と、前記上方ドレンガイド部よりも前記排ガス流路の下流側において前記平坦な底面から上方に突出して設けられる下方ドレンガイド部と、を含み、
前記上方ドレンガイド部の前記少なくとも1つの斜方延在部は、前記平坦な側面に一端が接触する上方側第1斜方延在部であって、上面視において前記一端が他端よりも前記下流側に位置するように傾斜した上方側第1斜方延在部を含み、
前記下方ドレンガイド部の前記少なくとも1つの斜方延在部は、前記上方側第1斜方延在部の前記一端が接触する前記平坦な側面に一端が接触する下方側第1斜方延在部であって、上面視において前記一端が他端よりも前記下流側に位置するように傾斜した下方側第1斜方延在部を含む、
ドレン排出装置。
【請求項2】
前記上方ドレンガイド部の前記少なくとも1つの斜方延在部は、
前記上方側第1斜方延在部の前記他端に一端が接続され、上面視において他端が前記一端よりも前記下流側に位置するように傾斜した上方側第2斜方延在部であって、上面視において前記上方側第1斜方延在部が延在する方向に対して鈍角に交差する方向に延在する上方側第2斜方延在部をさらに含み、
前記下方ドレンガイド部の前記少なくとも1つの斜方延在部は、
前記下方側第1斜方延在部の前記他端に一端が接続され、上面視において他端が前記一端よりも前記下流側に位置するように傾斜した下方側第2斜方延在部であって、上面視において前記下方側第1斜方延在部が延在する方向に対して鈍角に交差する方向に延在する下方側第2斜方延在部をさらに含む、
請求項1に記載のドレン排出装置。
【請求項3】
前記第1ドレンガイド部、又は前記第2ドレンガイド部の少なくとも一方は、前記排ガス流路の流路面積の変わり目に設けられる
請求項1又は2に記載のドレン排出装置。
【請求項4】
前記ドレン排出装置は、
前記排ガス流路の前記少なくとも一つの平坦な側面から突出して設けられる少なくとも一つの側方ドレンガイド部であって、側方視において前記排ガス流路の延在する方向に対して斜め方向に延在し、且つ、下方が上方よりも前記排ガス流路の下流側に位置する側方斜方延在部を含む少なくとも一つの側方ドレンガイド部、をさらに備える
請求項1乃至3の何れか1項に記載のドレン排出装置。
【請求項5】
前記少なくとも一つの側方ドレンガイド部は、前記少なくとも一つの平坦な側面のうちの前記排ガス流路の上流側から視て左方に位置する左側面から突出して設けられる左方ドレンガイド部と、前記少なくとも一つの平坦な側面のうちの前記排ガス流路の上流側から視て右方に位置する右側面から突出して設けられる右方ドレンガイド部と、を含む
請求項4に記載のドレン排出装置。
【請求項6】
前記少なくとも一つの側方ドレンガイド部は、前記排ガス流路の上流側から視た際に、前記上方ドレンガイド部および前記下方ドレンガイド部の夫々に連続するように配置される
請求項4又は5に記載のドレン排出装置。
【請求項7】
前記少なくとも一つの側方ドレンガイド部は、前記側方ドレンガイド部の先端から前記排ガス流路の上流側に向かって突出する側方ドレン受け部を備える
請求項4乃至6の何れか1項に記載のドレン排出装置。
【請求項8】
前記少なくとも一つのドレンガイド部は、前記ドレンガイド部の先端から前記排ガス流路の上流側に向かって突出するドレン受け部を備える
請求項1乃至7の何れか1項に記載のドレン排出装置。
【請求項9】
前記少なくとも一つのドレンガイド部により収集した前記ドレンを貯留するための少なくとも一つのドレン貯留部と、
前記少なくとも一つのドレン貯留部に貯留された前記ドレンを排出するためのドレン排出流路と、をさらに備える
請求項1乃至8の何れか1項に記載のドレン排出装置。
【請求項10】
前記少なくとも一つのドレン貯留部は、前記ドレンを貯留するための内部空間を有し、前記排ガス流路から前記ドレンが送られるように構成されるドレン貯留桝を含む
請求項9に記載のドレン排出装置。
【請求項11】
前記ドレン排出流路は、前記洗浄液の前記反応器への供給流路、又は前記反応器の何れか一方に接続される第1接続部であって、前記ドレン排出流路を流れる前記ドレンを前記供給流路又は前記反応器に導入するための第1ドレン導入口が形成された第1接続部を含む
請求項9又は10に記載のドレン排出装置。
【請求項12】
前記反応器は、
前記排ガスと前記洗浄液とを気液接触させるように構成される気液接触部と、
前記気液接触部よりも前記排ガスの流れ方向における下流側に配置され、前記排ガスから水分を除去するように構成されるミストエリミネータと、を含み、
前記第1接続部は、前記洗浄液の前記反応器の前記
気液接触部よりも前記排ガスの流れ方向における上流側への供給流路、又は前記反応器の前記
気液接触部よりも前記排ガスの流れ方向における上流側の何れか一方に接続される
請求項11に記載のドレン排出装置。
【請求項13】
前記ドレン排出流路は、前記排ガスの流れ方向における前記ドレン排出装置よりも下流側に位置する装置のドレン流路に接続される第2接続部であって、前記ドレン排出流路を流れる前記ドレンを前記ドレン流路に導入するための第2ドレン導入口が形成された第2接続部を含む
請求項9又は10に記載のドレン排出装置。
【請求項14】
前記少なくとも一つのドレン貯留部は、第1ドレン貯留部と、前記第1ドレン貯留部よりも前記排ガス流路の下流側に設けられる第2ドレン貯留部と、を含み、
前記ドレン排出流路は、
前記第1ドレン貯留部に貯留される前記ドレンを排出するための第1ドレン排出流路と、
前記第2ドレン貯留部に貯留される前記ドレンを排出するための第2ドレン排出流路と、
前記ドレンの流れ方向における前記第1ドレン排出流路および前記第2ドレン排出流路の夫々の下流側に設けられる第3ドレン排出流路と、を含む
請求項9乃至13の何れか1項に記載のドレン排出装置。
【請求項15】
前記少なくとも一つの斜方延在部は、上方視において前記排ガス流路の延在する方向に直交する方向に対する傾斜角度をθとした際に、傾斜角度θは10°±5°以内である
請求項1乃至14の何れか1項に記載のドレン排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排ガスと洗浄液とを気液接触させる反応器から排出される排ガス中の水分が凝縮することで発生するドレンを排出するためのドレン排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばボイラなどの燃焼機関から排出される排ガスには、SOx(硫黄酸化物)などの大気汚染物質が含まれている。排ガスに含まれるSOxを低減するための方法には、アルカリ水溶液やアルカリ成分を含むスラリーなどの液体状物質でSO2などを除去する湿式の脱硫方法などがある。
【0003】
上記湿式の脱硫方法を用いる排ガス脱硫装置には、排ガスと上述した吸収液(洗浄液)とを気液接触させる気液接触部を内部に画定する吸収塔(反応器)を備えるものがある(例えば特許文献1、2参照)。特許文献1および2では、吸収塔内を流れる排ガスに吸収液を噴霧し、排ガスと吸収液とを接触させることで、排ガスに含まれる大気汚染物質を吸収液に吸収させるようになっている。
【0004】
気液接触部を通過後の排ガスは、気液接触により飽和に近い状態になっており、水分を多量に含んでいる。上記排ガスが吸収塔から排出されて、吸収塔よりも排ガスの流れ方向における下流側に位置する排ガス流路を流れている際に、外気との温度差により排ガスの温度が下がると、排ガス中の水分が凝縮してドレン(凝縮水)が発生することがある。なお、特許文献2に示されるように、気液接触部を通過後の排ガスからミスト(液滴)を分離するためのミストセパレータを設けても、ミストセパレータよりも排ガスの流れ方向における下流側に位置する排ガス流路で上記ドレンが発生することがある。
【0005】
特許文献1、2では、上記排ガス流路は、水平方向に沿って延在する円筒状部を含む排気管の内周面により区画されており、該円環状部の先端には排ガスを大気中に排出するために横向きに開口した排気口が形成されている。また、特許文献1、2では、排気管の排気口から排ガス流路の内方に向かって突出して設けられる堰を設けることで、該堰よりも排ガスの流れ方向における下流側にドレンが飛散することを防止することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-248015号公報
【文献】実開昭63-20919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、排ガス流路の横断面形状が、特許文献1、2に開示された円環状ではなく、例えば
図19に示される矩形環状のような、平坦な天井面101や底面102を含む場合には、堰103に堰き止められたドレンが排出されずに堰103の手前に溜まる虞があることを見出した。
【0008】
例えば
図20に示されるような、矩形環状の排ガス流路100に、上方視において排ガス流路の延在する方向に直交する方向に延在する堰103を設けたとすると、堰103に堰き止められたドレンDWは、堰103に沿うように上方視において排ガス流路の延在する方向に直交する方向に沿って分布するので、堰103の手前にドレンDWを排水するための開口104を設けても、ドレンDWが排出しきれずに堰103の手前に溜まる虞がある。排出されずに堰103の手前に溜まるドレンDWは、排ガスの流れに押されて堰103を越えて、堰103よりも排ガスの流れ方向における下流側に位置する装置に飛散し、上記装置を腐食させる虞がある。
【0009】
上述した事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態の目的は、排ガス流路の横断面形状が平坦な天井面や底面を含む場合であっても、ドレンの排出能力を向上させることができるドレン排出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明の少なくとも一実施形態にかかるドレン排出装置は、
排ガスと洗浄液とを気液接触させるように構成される反応器から排出された上記排ガスが流れる排ガス流路に発生するドレンを排出するためのドレン排出装置であって、
上記排ガス流路の横断面形状は、平坦な天井面、又は平坦な底面の少なくとも一方を含み、
上記ドレン排出装置は、
上記排ガス流路の上記平坦な天井面、又は上記平坦な底面の少なくとも一方から突出して設けられる少なくとも一つのドレンガイド部であって、上方視において上記排ガス流路の延在する方向に対して斜め方向に延在する少なくとも一つの斜方延在部を含む少なくとも一つのドレンガイド部、を備える。
【0011】
上記(1)の構成によれば、ドレン排出装置は、排ガス流路の平坦な天井面、又は平坦な底面の少なくとも一方から突出して設けられる少なくとも一つのドレンガイド部を備える。少なくとも一つのドレンガイド部は、上方視において上記排ガス流路の延在する方向に対して斜め方向に延在する少なくとも一つの斜方延在部を含む。ここで、本発明者らは、ドレンガイド部に斜方延在部を設け、且つ、排ガス流路中のドレンが排ガス流路を流れる排ガスにより排ガスの流れ方向の下流側に押されることを利用することで、斜方延在部に付着したドレンを斜方延在部に沿って排ガス流路の下流側に流すことができ、ドレンを所定の場所に溜めることができることを見出した。
【0012】
上記の構成によれば、ドレンを斜方延在部により所定の場所に溜めることができる。所定の場所に溜められたドレンは、ドレン排出流路などにより排ガス流路の外部に排出することが容易であるので、上記の構成によれば、ドレンの排出能力を向上させることができる。ドレンの排出能力を向上させることで、ドレンガイド部の手前に溜まるドレンの量を減らすことができるため、上記ドレンガイド部の手前に溜まるドレンが排ガスの流れに押されて、ドレンガイド部よりも排ガスの流れ方向における下流側に位置する装置に飛散することを防止することができる。ドレンの飛散を防止することで、上記装置の腐食を防止することができる。
【0013】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載のドレン排出装置において、上記少なくとも一つの斜方延在部は、第1の斜方延在部と、上面視において上記第1の斜方延在部が延在する方向に対して鈍角に交差する方向に延在する第2の斜方延在部と、を含む。
【0014】
上記(2)の構成によれば、少なくとも一つの斜方延在部は、第1の斜方延在部および第2の斜方延在部の両方を含む。第2の斜方延在部は、上方視において第1の斜方延在部が延在する方向に対して鈍角に交差する方向に延在するので、第2の斜方延在部に付着したドレンを第1の斜方延在部とは異なる方向に流すことができる。このため、斜方延在部は、第1の斜方延在部および第2の斜方延在部の両方を含むことで、斜方延在部(第1の斜方延在部、第2の斜方延在部)に付着したドレンを複数の位置に分散して溜めることができる。ドレンを複数の位置に分散して溜めることで、上記複数の位置の夫々でのドレンの量を少なくできるので、ドレンガイド部よりも排ガスの流れ方向における下流側にドレンが飛散することをより確実に防止することができる。
【0015】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)に記載のドレン排出装置において、上記少なくとも一つのドレンガイド部は、第1ドレンガイド部と、上記第1ドレンガイド部よりも上記排ガス流路の下流側に設けられる第2ドレンガイド部と、を含む。
【0016】
上記(3)の構成によれば、少なくとも一つのドレンガイド部は、第1ドレンガイド部と、第2ドレンガイド部と、を含む。第2ドレンガイド部は、第1ドレンガイド部よりも排ガス流路の下流側に設けられるので、第1ドレンガイド部および第2ドレンガイド部により排ガス流路の途中で段階的にドレンを溜めることができる。排ガス流路の途中で段階的にドレンを溜めることで、ドレンが排ガス流路における下流側に流れるのを防止することができるとともに、排ガス流路における下流側に設けられる第2ドレンガイド部に溜められるドレンの量を少なくすることができる。第2ドレンガイド部に溜められるドレンの量を少なくすることで、第2ドレンガイド部よりも排ガスの流れ方向における下流側にドレンが飛散することを防止することができる。
【0017】
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)に記載のドレン排出装置において、上記第1ドレンガイド部、又は上記第2ドレンガイド部の少なくとも一方は、上記排ガス流路の流路面積の変わり目に設けられる。
【0018】
排ガス流路の流路面積の変わり目では、排ガス流路の壁面に付着したドレンが飛散し易い。上記(4)の構成によれば、排ガス流路の流路面積の変わり目に、第1ドレンガイド部又は第2ドレンガイド部の少なくとも一方を設けることで、排ガス流路の壁面に付着したドレンの飛散を防止することができ、ひいては、ドレンガイド部よりも排ガスの流れ方向における下流側に位置する装置の腐食を防止することができる。
【0019】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)~(4)の何れかに記載のドレン排出装置において、上記排ガス流路の横断面形状は、少なくとも一つの平坦な側面を含み、上記ドレン排出装置は、上記排ガス流路の上記少なくとも一つの平坦な側面から突出して設けられる少なくとも一つの側方ドレンガイド部であって、側方視において上記排ガス流路の延在する方向に対して斜め方向に延在し、且つ、下方が上方よりも上記排ガス流路の下流側に位置する側方斜方延在部を含む少なくとも一つの側方ドレンガイド部、をさらに備える。
【0020】
上記(5)の構成によれば、ドレン排出装置は、少なくとも一つの側方ドレンガイド部を備える。少なくとも一つの側方ドレンガイド部は、上記側方斜方延在部を含む。上記の構成によれば、側方ドレンガイド部により排ガス流路の側面を伝って排ガス流路の下流側に流れるドレンを堰き止めることができる。また、側方斜方延在部は、側方斜方延在部に付着したドレンを、排ガス流路を流れる排ガスにより下流側に押して、側方斜方延在部に沿って下方に流すことができるので、ドレンを所定の場所に溜めることができる。
【0021】
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)に記載のドレン排出装置において、上記少なくとも一つの側方ドレンガイド部は、上記少なくとも一つの平坦な側面のうちの上記排ガス流路の上流側から視て左方に位置する左側面から突出して設けられる左方ドレンガイド部と、上記少なくとも一つの平坦な側面のうちの上記排ガス流路の上流側から視て右方に位置する右側面から突出して設けられる右方ドレンガイド部と、を含む。
【0022】
上記(6)の構成によれば、少なくとも一つの側方ドレンガイド部は、左方ドレンガイド部と、右方ドレンガイド部と、を含む。左方ドレンガイド部は、排ガス流路の左側面を伝って排ガス流路の下流側に流れるドレンを堰き止めることができ、右方ドレンガイド部は、排ガス流路の右側面を伝って排ガス流路の下流側に流れるドレンを堰き止めることができる。
【0023】
(7)幾つかの実施形態では、上記(5)又は(6)に記載のドレン排出装置において、上記少なくとも一つのドレンガイド部は、上記平坦な天井面から下方に突出して設けられる上方ドレンガイド部と、上記平坦な底面から上方に突出して設けられる下方ドレンガイド部と、を含み、上記少なくとも一つの側方ドレンガイド部は、上記排ガス流路の上流側から視た際に、上記上方ドレンガイド部および上記下方ドレンガイド部の夫々に連続するように配置される。
【0024】
上記(7)の構成によれば、少なくとも一つのドレンガイド部は、平坦な天井面から下方に突出して設けられる上方ドレンガイド部と、平坦な底面から上方に突出して設けられる下方ドレンガイド部と、を含む。上方ドレンガイド部は、排ガス流路の天井面を伝って排ガス流路の下流側に流れるドレンを堰き止めることができ、下方ドレンガイド部は、排ガス流路の底面を伝って排ガス流路の下流側に流れるドレンを堰き止めることができる。
【0025】
また、少なくとも一つの側方ドレンガイド部は、排ガス流路の上流側から視た際に、上方ドレンガイド部および下方ドレンガイド部の夫々に連続するように配置される。上記の構成によれば、上方ドレンガイド部の斜方延在部に沿って流れたドレンを側方斜方延在部に送り、側方斜方延在部を伝わせて下方に送ることができる。また、側方斜方延在部を伝わせて下方に送ったドレンを、下方ドレンガイド部の斜方延在部に沿って流れたドレンに合流させることができる。
【0026】
(8)幾つかの実施形態では、上記(5)~(7)の何れかに記載のドレン排出装置において、上記少なくとも一つの側方ドレンガイド部は、上記側方ドレンガイド部の先端から上記排ガス流路の上流側に向かって突出する側方ドレン受け部を備える。
【0027】
上記(8)の構成によれば、側方ドレンガイド部は側方ドレン受け部を備えるので、側方ドレンガイド部や排ガス流路の側面に付着したドレンが、側方ドレンガイド部の先端を越えて飛散することを防止することができる。
【0028】
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)~(8)の何れかに記載のドレン排出装置において、上記少なくとも一つのドレンガイド部は、上記ドレンガイド部の先端から上記排ガス流路の上流側に向かって突出するドレン受け部を備える。
【0029】
上記(9)の構成によれば、ドレンガイド部はドレン受け部を備えるので、ドレンガイド部や排ガス流路の天井面、底面に付着したドレンが、ドレンガイド部の先端を越えて飛散することを防止することができる。
【0030】
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)~(9)の何れかに記載のドレン排出装置は、上記少なくとも一つのドレンガイド部により収集した上記ドレンを貯留するための少なくとも一つのドレン貯留部と、上記少なくとも一つのドレン貯留部に貯留された上記ドレンを排出するためのドレン排出流路と、をさらに備える。
【0031】
上記(10)の構成によれば、ドレンガイド部により収集したドレンをドレン貯留部に溜めることができ、ドレン排出流路によりドレン貯留部に溜められたドレンを排ガス流路の外部に排出することができる。よって、上記の構成によれば、ドレンガイド部の手前に溜まるドレンの量を減らすことができるため、ドレンがドレンガイド部よりも排ガスの流れ方向における下流側に飛散することを防止することができる。
【0032】
(11)幾つかの実施形態では、上記(10)に記載のドレン排出装置において、上記少なくとも一つのドレン貯留部は、上記ドレンを貯留するための内部空間を有し、上記排ガス流路から上記ドレンが送られるように構成されるドレン貯留桝を含む。
【0033】
上記(11)の構成によれば、内部空間を有するドレン貯留桝にドレンを貯留することができるので、排ガス流路の溜まり部におけるドレンの液面がドレンガイド部を越えて、ドレンがドレンガイド部よりも排ガスの流れ方向における下流側に流れることを防止することができる。
【0034】
(12)幾つかの実施形態では、上記(10)又は(11)に記載のドレン排出装置において、上記ドレン排出流路は、上記洗浄液の上記反応器への供給流路、又は上記反応器の何れか一方に接続される第1接続部であって、上記ドレン排出流路を流れる上記ドレンを上記供給流路又は上記反応器に導入するための第1ドレン導入口が形成された第1接続部を含む。
【0035】
上記(12)の構成によれば、第1接続部は、洗浄液の反応器への供給流路や反応器に接続されるとともに、ドレン排出流路を流れるドレンを上記供給流路や反応器に導入するための第1ドレン導入口が形成されている。ドレン排出流路を流れるドレンは、第1接続部を介して上記供給流路や反応器に導入されるので、洗浄液として再度利用することができる。また、洗浄液の反応器への供給流路や反応器は、排ガス流路の近傍に位置するので、第1接続部を含むドレン排出流路を短くすることができる。
【0036】
(13)幾つかの実施形態では、上記(10)又は(11)に記載のドレン排出装置において、上記ドレン排出流路は、上記排ガスの流れ方向における上記ドレン排出装置よりも下流側に位置する装置のドレン流路に接続される第2接続部であって、上記ドレン排出流路を流れる上記ドレンを上記ドレン流路に導入するための第2ドレン導入口が形成された第2接続部を含む。
【0037】
上記(13)の構成によれば、第2接続部は、排ガスの流れ方向におけるドレン排出装置よりも下流側に位置する装置のドレン流路に接続されるとともに、ドレン排出流路を流れるドレンを上記装置のドレン流路に導入するための第2ドレン導入口が形成されている。ドレン排出流路を流れるドレンは、第2接続部を介して上記装置のドレンを排出するためのドレン流路に導入される。上記装置および上記ドレン流路は、排ガス流路の近傍に位置するので、第2接続部を含むドレン排出流路を短くすることができる。
【0038】
(14)幾つかの実施形態では、上記(10)~(13)の何れかに記載のドレン排出装置において、上記少なくとも一つのドレン貯留部は、第1ドレン貯留部と、上記第1ドレン貯留部よりも上記排ガス流路の下流側に設けられる第2ドレン貯留部と、を含み、上記ドレン排出流路は、上記第1ドレン貯留部に貯留される上記ドレンを排出するための第1ドレン排出流路と、上記第2ドレン貯留部に貯留される上記ドレンを排出するための第2ドレン排出流路と、上記ドレンの流れ方向における上記第1ドレン排出流路および上記第2ドレン排出流路の夫々の下流側に設けられる第3ドレン排出流路と、を含む。
【0039】
上記(14)の構成によれば、ドレン排出流路は、第1ドレン貯留部に貯留されるドレンを排出するための第1ドレン排出流路と、第1ドレン貯留部よりも排ガス流路の下流側に設けられる第2ドレン貯留部に貯留されるドレンを排出するための第2ドレン排出流路と、を含むので、第1ドレン貯留部および第2ドレン貯留部の両方からドレンを排出することができる。また、ドレン排出流路は、第1ドレン排出流路および第2ドレン排出流路の夫々の下流側に設けられる第3ドレン排出流路をさらに含む。つまり、第3ドレン排出流路は、第1ドレン排出流路および第2ドレン排出流路の夫々の下流側を統合することで、ドレン排出流路の構成をシンプルにすることができ、メンテナンス性を向上させることができる。また、ドレン排出流路の構成をシンプルにすることで、ドレン排出流路のレイアウト性を向上させることができ、且つ、ドレン排出流路に必要な配管の量を少なくすることができる。
【0040】
(15)幾つかの実施形態では、上記(1)~(14)の何れかに記載のドレン排出装置において、上記少なくとも一つの斜方延在部は、上方視において上記排ガス流路の延在する方向に対して直交する方向に対する傾斜角度をθとした際に、傾斜角度θは10°±5°以内である。
【0041】
上記(15)の構成によれば、少なくとも一つの斜方延在部の傾斜角度θが10°±5°以内であるので、斜方延在部に付着したドレンを効率よく斜方延在部に沿って下流側に流すことができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、排ガス流路の横断面形状が平坦な天井面や底面を含む場合であっても、ドレンの排出能力を向上させることができるドレン排出装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】一実施形態にかかるドレン排出装置が設けられる排ガス流路を備える排ガス脱硫システムの構成を概略的に示す概略構成図である。
【
図2】
図1に示す排ガス流路の近傍を拡大して示す部分拡大図である。
【
図3】一実施形態における排ガス流路の側方断面図である。
【
図4】一実施形態における排ガス流路の横断面を概略的に示す概略横断面図である。
【
図5】
図4に示す排ガス流路をA方向から視た状態、且つ、天井面を含む上壁部を除いた状態を示す図である。
【
図6】
図4に示す排ガス流路をA方向から視た状態、且つ、天井面を含む上壁部を除いた状態に相当する図であり、ドレンガイド部の変形例を示す図である。
【
図7】
図4に示す排ガス流路をA方向から視た状態、且つ、天井面を含む上壁部を除いた状態に相当する図であり、ドレンガイド部の変形例を示す図である。
【
図8】一実施形態における排ガス流路の横断面を概略的に示す概略横断面図である。
【
図9】
図8に示す排ガス流路およびドレンガイド部のB-B線矢視の端面図である。
【
図10】
図8に示す排ガス流路およびドレンガイド部のB-B線矢視の端面図に相当する図であって、ドレンガイド部の変形例を示す図である。
【
図11】一実施形態における排ガス流路の横断面を概略的に示す概略横断面図である。
【
図12】
図11に示す排ガス流路、ドレンガイド部および側方ドレンガイド部のC-C線矢視の断面図である。
【
図13】
図12に示す排ガス流路および側方ドレンガイド部のD-D線矢視の端面図である。
【
図14】
図12に示す排ガス流路および側方ドレンガイド部のD-D線矢視の端面図に相当する図であって、側方ドレンガイド部の変形例を示す図である。
【
図15】一実施形態における排ガス流路の下方ドレンガイド部が設けられた部分の近傍を拡大して示す横断面図である。
【
図16】
図4に示す排ガス流路をA方向から視た状態、且つ、天井面を含む上壁部を除いた状態に相当する図であり、ドレン排出流路を説明するための図である。
【
図17】
図1に示す排ガス流路の近傍を拡大して示す図であって、一実施形態におけるドレン排出流路を説明するための図である。
【
図18】
図1に示す排ガス流路の近傍を拡大して示す図であって、一実施形態におけるドレン排出流路を説明するための図である。
【
図19】比較例にかかる排ガス流路の横断面を概略的に示す概略横断面図である。
【
図20】
図19に示す排ガス流路をE方向から視た状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
なお、同様の構成については同じ符号を付し説明を省略することがある。
【0045】
図1は、一実施形態にかかるドレン排出装置が設けられる排ガス流路を備える排ガス脱硫システムの構成を概略的に示す概略構成図である。
図2は、
図1に示す排ガス流路の近傍を拡大して示す部分拡大図である。ドレン排出装置1は、
図1、2に示されるような、排ガス排出ライン17(第1排ガス排出ライン17A)に設けられる。まず、
図1、2に基づいて、排ガス排出ライン17(第1排ガス排出ライン17A)を備える排ガス浄化システム10について説明する。
【0046】
排ガス浄化システム10は、
図1に示されるように、燃焼装置11と、吸収塔2(反応器)と、煙突16(排出装置)と、燃焼装置11から排出された排ガスを吸収塔2に送るための排ガス導入ライン12と、吸収塔2から排出された排ガスを煙突16に送るための排ガス排出ライン17と、排ガス排出ライン17に設けられる装置18と、を備えている。燃焼装置11における燃焼により生じた排ガスは、排ガス導入ライン12を通って、吸収塔2に送られる。吸収塔2で浄化処理された排ガスは、排ガス排出ライン17を通って、煙突16に送られ、煙突16から大気中に放出される。燃焼装置11としては、ディーゼルエンジン、ガスタービンエンジン又は蒸気タービンエンジンなどのエンジンやボイラなどが挙げられる。
【0047】
図示される実施形態では、
図1に示されるように、排ガス浄化システム10は、燃焼装置11から排出された排ガスに含まれる煤塵を回収するように構成される集塵装置13と、排ガス導入ライン12の下流側に排ガスを送るように構成される誘引ファン14と、排ガス導入ライン12を流れる排ガスから熱を回収するように構成される熱回収装置15と、を備える。集塵装置13、誘引ファン14および熱回収装置15の夫々は、排ガス導入ライン12に設けられる。また、図示される実施形態では、装置18は、熱回収装置15で回収した熱により排ガス排出ライン17を流れる排ガスを加熱するように構成される加熱装置18Aを含む。排ガス排出ライン17の装置18よりも上流側を第1排ガス排出ライン17Aとし、排ガス排出ライン17の装置18よりも下流側を第2排ガス排出ライン17Bとする。
【0048】
吸収塔2は、内部に導入される排ガスに洗浄液を気液接触させるように構成される。図示される実施形態では、吸収塔2は、
図1、2に示されるように、内部に導入される排ガスに洗浄液を噴霧することで、排ガスと洗浄液とを気液接触させるように構成される気液接触部21A、および気液接触部21Aよりも下方に位置し、気液接触部21Aで排ガス中のSOxを吸収した洗浄液が貯留される液だまり部21B、を内部に画定するように構成される。ここで、洗浄液としては、アルカリ剤を含む液体や海水などが挙げられる。また、アルカリ剤としては、NaOH、Ca(OH)
2
、NaHCO
3
、Na
2
CO
3
、CaCO
3
などが挙げられる。
【0049】
図2に示される実施形態では、吸収塔2は、上述した気液接触部21Aおよび上述した液だまり部21Bを含む内部空間21を内部に画定する吸収塔本体部22と、吸収塔本体部22に排ガスを導入するための排ガス導入部23と、吸収塔本体部22から排ガスを排出するための排ガス排出部24と、を備える。吸収塔本体部22と排ガス導入部23とが隣接する方向を第1方向、第1方向における排ガス導入部23側を一方側、第1方向における排ガス排出部24側を他方側、と定義する。
【0050】
図2に示されるように、吸収塔本体部22の上記第1方向における一方側の側壁である第1側壁25には、内部空間21(下方側内部空間21C)と連通する排ガス導入口251が形成されている。吸収塔本体部22の上記第1方向における他方側の側壁である第2側壁26には、排ガス導入口251よりも高い位置に、内部空間21(上方側内部空間21D)と連通する排ガス排出口261が形成されている。第1側壁25および第2側壁26の夫々は、上面視において第1方向に直交する第2方向に沿って延在するとともに、液だまり部21Bを含む内部空間21の少なくとも一部を画定している。
【0051】
排ガス導入ライン12から排ガス導入部23に導入された排ガスは、排ガス導入部23を通過した後、排ガス導入口251を介して内部空間21(下方側内部空間21C)に導入される。内部空間21に導入された排ガスは、下方側内部空間21Cを一方側に位置する第1側壁25から他方側に位置する第2側壁26に向かって流れた後、内部空間21を鉛直方向に上昇しながら流れていく。上方側内部空間21Dまで上方した排ガスは、第1側壁25から第2側壁26に向かって流れた後、排ガス排出口261を介して排ガス排出部24に排出される。
【0052】
図2に示されるように、吸収塔本体部22の下方側内部空間21Cよりも上方、且つ、上方側内部空間21Dよりも下方に位置する気液接触部21Aには、内部空間21に上述した洗浄液を散布するための散布装置28が配置されている。散布装置28は、気液接触部21Aを通過する排ガスに対して洗浄液を散布し、排ガスと洗浄液とを気液接触させることで、排ガス中に含まれるSOxなどの汚染物質を吸収除去するように構成される。
【0053】
散布装置28は、
図2に示されるように、吸収塔本体部22の内部空間21において上記第1方向に沿って延在する散水管281と、散水管281に設けられた複数の噴霧ノズル282と、を含む。噴霧ノズル282は、排ガスの流れ方向における下流側に向かって、すなわち、鉛直方向における上方に向かって、洗浄液を散布するように構成される。図示される実施形態では、噴霧ノズル282は、洗浄液を液柱状に噴射するようになっている。つまり、図示される吸収塔2は、液柱式の吸収塔である。
【0054】
なお、吸収塔2は、内部に導入される排ガスに洗浄液を気液接触させるように構成されていればよく、上述した液柱式に限定されない。例えば、吸収塔2は、内部空間21に気液接触を促進させるための充填材が充填される充填層を備えるグリッド式の吸収塔や、洗浄液を放射状に噴霧する噴霧ノズル282を備えるスプレー式の吸収塔などであってもよい。また、散水管281は、上面視において上記第1方向に直交する方向に沿って延在してもよい。また、噴霧ノズル282は、鉛直方向における下方に向かって、洗浄液を散布するように構成されていてもよい。
【0055】
気液接触部21Aを通過した排ガスには、水分が多く含まれる。気液接触部21Aよりも排ガスの流れ方向における下流側には、ミストエリミネータ27が配置されている。ミストエリミネータ27は、ミストエリミネータ27を通過する排ガスから水分を除去するように構成される。ミストエリミネータ27を通過した排ガスは、吸収塔2の外部に排出される。
【0056】
図示される実施形態では、ミストエリミネータ27は、排ガス排出部24に配置され、排ガス排出部24に排ガスの流れ方向における上流側と下流側とを隔てるように、鉛直方向に沿って延在している。なお、ミストエリミネータ27は、上方側内部空間21Dに配置されて、水平方向に沿って延在してもよい。また、ミストエリミネータ27は、多段構成であってもよい。
【0057】
液だまり部21Bは、内部空間21に導かれた排ガスに対して散布された散布済みの洗浄液が貯留されるように構成される。図示される実施形態では、液だまり部21Bは、下方側内部空間21Cの下方、且つ排ガス導入口251よりも低い位置に、液面が位置するように設けられる。
図2に示されるように、第2側壁26には、鉛直方向における液だまり部21Bの底面211近傍の位置に、液だまり部21Bに貯留される洗浄液を外部に排出するための洗浄液排出口262が開口している。洗浄液排出口262は、液だまり部21Bに連通している。
【0058】
図示される実施形態では、吸収塔2は、
図2に示されるように、液だまり部21Bに貯留された洗浄液を散布装置28に送るように構成される洗浄液循環ライン3を備える。洗浄液循環ライン3は、上述した洗浄液排出口262および上述した散水管281を接続する少なくとも一つの配管31と、洗浄液循環ライン3の途中に設けられる、洗浄液排出口262から散水管281に洗浄液を送るための洗浄液循環ポンプ32と、を含む。つまり、散布装置28から散布されて液だまり部21Bに貯留された洗浄液の少なくとも一部は、洗浄液循環ポンプ32により圧送されて、洗浄液循環ライン3を通り、散布装置28に送られる。
【0059】
上述した排ガス排出ライン17(第1排ガス排出ライン17A)は、
図2に示されるように、吸収塔2(の排ガス排出部24)と、吸収塔2よりも排ガスの流れ方向における下流側に位置する装置18(加熱装置18A)と、を接続する排ガス流路4を含む。吸収塔2から排出された排ガスは、排ガス流路4を通過した後に、装置18に導入される。
【0060】
図3は、一実施形態における排ガス流路の側方断面図である。
図4は、一実施形態における排ガス流路の横断面を概略的に示す概略横断面図である。
図5は、
図4に示す排ガス流路をA方向から視た状態、且つ、天井面を含む上壁部を除いた状態を示す図である。
図6および
図7は、
図4に示す排ガス流路をA方向から視た状態、且つ、天井面を含む上壁部を除いた状態に相当する図であり、ドレンガイド部の変形例を示す図である。
【0061】
図示される実施形態では、
図3に示されるように、排ガス流路4は、第1排ガス流路4Aと、第1排ガス流路4Aよりも下流側に位置する第2排ガス流路4Bと、第2排ガス流路4Bよりも下流側に位置する第3排ガス流路4Cと、を含む。第1排ガス流路4Aおよび第3排ガス流路4Cの夫々は、水平方向に沿って延在しており、第3排ガス流路4Cは、第1排ガス流路4Aよりも下方に位置している。第2排ガス流路4Bは、上流端が第1排ガス流路4Aの下流端に、下流端が第3排ガス流路4Cの上流端に接続しており、上流側よりも下流側が下方に傾斜している。一般的に、装置18は、吸収塔2の排ガス排出部24よりも下方に配置されるので、排ガス流路4は、図示されるような形状となるが、図示される形状に限定される訳ではない。
【0062】
図3に示されるように、排ガス流路4を流れる排ガスは、排ガスの流れ方向における上流側から下流側に、排ガス流路4の軸線CL(CL1~CL3)に沿って流れる。以下、排ガスの流れ方向における上流側を上流側、排ガスの流れ方向における下流側を下流側と略すことがある。また、左方および右方は、排ガスの流れ方向における上流側から視た際の方向を意味する。
【0063】
排ガス流路4の横断面形状は、
図4に示されるように、平坦な天井面41、又は平坦な底面42の少なくとも一方を含む。図示される実施形態では、排ガス流路4の横断面形状は、
図4に示されるように、平坦な天井面41と、平坦な底面42と、平坦な左側面44(側面43)と、平坦な右側面45(側面43)と、を含む矩形環状に形成されている。
【0064】
ドレン排出装置1は、上述した吸収塔2から排出された排ガスが流れる上述した排ガス流路4に発生するドレンを排出するための装置である。
【0065】
幾つかの実施形態にかかるドレン排出装置1は、例えば
図3、4に示されるように、排ガス流路4の平坦な天井面41、又は平坦な底面42の少なくとも一方から突出して設けられる少なくとも一つのドレンガイド部5を備える。少なくとも一つのドレンガイド部5は、例えば
図5~7に示されるように、上方視において排ガス流路4の延在する方向(排ガスの流れ方向)に対して斜め方向に延在する少なくとも一つの斜方延在部6を含む。ここで、斜め方向には、上方視において排ガス流路4の延在する方向に対して直交する方向が含まれない。
【0066】
図示される実施形態では、ドレンガイド部5は、
図3に示されるように、排ガス流路4と別体であり、排ガス流路4に取り付けられるようになっている。また、図示される実施形態では、ドレンガイド部5は、
図4に示されるように、平坦な天井面41から下方に突出して設けられる上方ドレンガイド部51と、平坦な底面42から上方に突出して設けられる下方ドレンガイド部52と、を
含む。
【0067】
本発明者らは、ドレンガイド部5に斜方延在部6を設け、且つ、排ガス流路4中のドレンが排ガス流路4を流れる排ガスにより排ガスの流れ方向の下流側に押されることを利用することで、斜方延在部6に付着したドレンを斜方延在部6に沿って排ガス流路4の下流側に流すことができ、ドレンを所定の場所に溜めることができることを見出した。
【0068】
以下、
図6を例に説明する。
図6に示される実施形態では、上方ドレンガイド部51および下方ドレンガイド部52の夫々は、上面視において右方が左方よりも下流側に位置するように傾斜した一つの第2斜方延在部6B(斜方延在部6)を含む。
図6における第2斜方延在部6Bは、上流端が左側面44に接触し、下流端が右側面45に接触している。この場合には、上方ドレンガイド部51よりも上流側で天井面41に付着したドレンは、排ガス流路4を流れる排ガスの流れに押されて、上方ドレンガイド部51まで流される。上方ドレンガイド部51に付着したドレンは、排ガス流路4を流れる排ガスの流れに押されて、第2斜方延在部6Bに沿って排ガス流路4の下流側である右方に流れる。同様に、下方ドレンガイド部52よりも上流側で底面42に付着したドレンは、排ガス流路4を流れる排ガスの流れに押されて、下方ドレンガイド部52まで流される。下方ドレンガイド部52に付着したドレンは、排ガス流路4を流れる排ガスの流れに押されて、第2斜方延在部6Bに沿って排ガス流路4の下流側である右方に流れる。このため、上方ドレンガイド部51および下方ドレンガイド部52に付着したドレンを所定の場所に溜めることができる。
図6に示される実施形態では、下方ドレンガイド部52の第2斜方延在部6Bの下流端、右側面45および底面42により区画される下方ドレンガイド部52の隅部にドレンを溜めることができ、ドレンが貯留した溜まり部46が存在するようになる。
【0069】
上記の構成によれば、ドレンを斜方延在部6により所定の場所に溜めることができる。所定の場所に溜められたドレンは、後述するドレン排出流路9などにより排ガス流路4の外部に排出することが容易であるので、上記の構成によれば、ドレンの排出能力を向上させることができる。ドレンの排出能力を向上させることで、ドレンガイド部5の手前に溜まるドレンの量を減らすことができるため、ドレンガイド部5の手前に溜まるドレンが排ガスの流れに押されて、ドレンガイド部5よりも排ガスの流れ方向における下流側に位置する装置18に飛散することを防止することができる。ドレンの飛散を防止することで、装置18の腐食を防止することができる。
【0070】
幾つかの実施形態では、上述した少なくとも一つの斜方延在部6は、第1斜方延在部6A(第1の斜方延在部)と、上方視において第1斜方延在部6Aが延在する方向に対して鈍角に交差する方向に延在する第2斜方延在部6Bと、を含む。
【0071】
図4、5に示される実施形態では、上方ドレンガイド部51および下方ドレンガイド部52の夫々は、上面視において左方が右方よりも下流側に位置するように傾斜した一つの第1斜方延在部6A(斜方延在部6)と、上面視において右方が左方よりも下流側に位置するように傾斜した一つの第2斜方延在部6B(斜方延在部6)と、を含む。
図6を用いて説明したように、第2斜方延在部6Bがドレンを右方に流すのに対して、第1斜方延在部6Aは、ドレンを左方に流すようになっている。また、
図4、5に示される実施形態では、第1斜方延在部6Aの上流端と第2斜方延在部6Bの上流端とが接続されている。
【0072】
また、
図7に示される実施形態では、上方ドレンガイド部51および下方ドレンガイド部52の夫々は、複数の上述した第1斜方延在部6Aと、複数の上述した第2斜方延在部6Bと、を含む。
図7に示される実施形態では、少なくとも一つの第1斜方延在部6Aの上流端と少なくとも一つの第2斜方延在部6Bの上流端とが接続されている。また、少なくとも一つの第1斜方延在部6Aの下流端と少なくとも一つの第2斜方延在部6Bの下流端とが接続されている。
【0073】
上記の構成によれば、少なくとも一つの斜方延在部6は、第1斜方延在部6Aおよび第2斜方延在部6Bの両方を含む。第2斜方延在部6Bは、上方視において第1斜方延在部6Aが延在する方向に対して鈍角に交差する方向に延在するので、第2斜方延在部6Bに付着したドレンを第1斜方延在部6Aとは異なる方向(左右逆方向)に流すことができる。このため、斜方延在部6が第1斜方延在部6Aおよび第2斜方延在部6Bの両方を含むことで、斜方延在部6(第1斜方延在部6A、第2斜方延在部6B)に付着したドレンを複数の位置(溜まり部46)に分散して溜めることができる。ドレンを複数の位置に分散して溜めることで、上記複数の位置の夫々でのドレンの量を少なくできるので、ドレンガイド部5よりも排ガスの流れ方向における下流側にドレンが飛散することをより確実に防止することができる。
【0074】
幾つかの実施形態では、
図3に示されるように、上述したドレンガイド部5は、第1ドレンガイド部5Aと、第1ドレンガイド部5Aよりも排ガス流路4の下流側に設けられる第2ドレンガイド部5Bと、を含む。第1ドレンガイド部5Aおよび第2ドレンガイド部5Bの夫々は、上述した上方ドレンガイド部51、又は上述した下方ドレンガイド部52の少なくとも一方を備える。
【0075】
図示される実施形態では、第1ドレンガイド部5Aは、上方ドレンガイド部51(51A)および下方ドレンガイド部52(52A)を備える。また、第2ドレンガイド部5Bは、上方ドレンガイド部51(51B)および下方ドレンガイド部52(52B)を備える。下方ドレンガイド部52Aは、上方ドレンガイド部51Aから落下したドレンを溜めるために、上方ドレンガイド部51Aよりも排ガス流路4の下流側に設けることが好ましい。同様の理由により、下方ドレンガイド部52Bは、上方ドレンガイド部51Bよりも排ガス流路4の下流側に設けることが好ましい。
【0076】
上記の構成によれば、少なくとも一つのドレンガイド部5は、第1ドレンガイド部5Aと、第2ドレンガイド部5Bと、を含む。第2ドレンガイド部5Bは、第1ドレンガイド部5Aよりも排ガス流路4の下流側に設けられるので、第1ドレンガイド部5Aおよび第2ドレンガイド部5Bにより排ガス流路4の途中で段階的にドレンを溜めることができる。排ガス流路4の途中で段階的にドレンを溜めることで、ドレンが排ガス流路4における下流側に流れるのを防止することができるとともに、排ガス流路4における下流側に設けられる第2ドレンガイド部5Bに溜められるドレンの量を少なくすることができる。第2ドレンガイド部5Bに溜められるドレンの量を少なくすることで、第2ドレンガイド部5Bよりも排ガスの流れ方向における下流側にドレンが飛散することを防止することができる。
【0077】
幾つかの実施形態では、
図3に示されるように、上述した第1ドレンガイド部5A、又は第2ドレンガイド部5Bの少なくとも一方は、排ガス流路4の流路面積の変わり目に設けられる。図示される実施形態では、
図3に示されるように、排ガス流路4の流路面積の変わり目は、第1排ガス流路4Aの下流端と第2排ガス流路4Bの上流端とが接続される部分である第1変わり目CP1、および、第2排ガス流路4Bの下流端と第3排ガス流路4Cの上流端とが接続される部分である第2変わり目CP2である。第1変わり目CP1にドレンガイド部5が設けられていないと、第1排ガス流路4Aの底面42に付着したドレンが下流側に飛散する虞がある。また、第2変わり目CP2にドレンガイド部5が設けられていないと、第2排ガス流路4Bの天井面41に付着したドレンが下流側に飛散する虞がある。図示される実施形態では、第1変わり目CP1に第1ドレンガイド部5Aが設けられ、第2変わり目CP2に第2ドレンガイド部5Bが設けられている。
【0078】
排ガス流路4の流路面積の変わり目(CP1、CP2など)では、排ガス流路4の壁面(天井面41など)に付着したドレンが飛散し易い。上記の構成によれば、排ガス流路4の流路面積の変わり目に、第1ドレンガイド部5A又は第2ドレンガイド部5Bの少なくとも一方を設けることで、排ガス流路4の壁面に付着したドレンの飛散を防止することができ、ひいては、ドレンガイド部5よりも排ガスの流れ方向における下流側に位置する装置18の腐食を防止することができる。
【0079】
幾つかの実施形態では、
図5~7に示されるように、上述した少なくとも一つの斜方延在部6
(第1斜方延在部6A、第2斜方延在部6B)は、上方視において排ガス流路4の延在する方向に対して直交する方向に対する傾斜角度をθとした際に、傾斜角度θは10°±5°以内である。この場合には、少なくとも一つの斜方延在部6の傾斜角度θが10°±5°以内であるので、斜方延在部6に付着したドレンを効率よく斜方延在部6に沿って下流側に流すことができる。
【0080】
図8は、一実施形態における排ガス流路の横断面を概略的に示す概略横断面図である。
図9は、
図8に示す排ガス流路およびドレンガイド部のB-B線矢視の端面図である。
図10は、
図8に示す排ガス流路およびドレンガイド部のB-B線矢視の端面図に相当する図であって、ドレンガイド部の変形例を示す図である。
【0081】
幾つかの実施形態では、
図8~10に示されるように、上述した少なくとも一つのドレンガイド部5は、ドレンガイド部5の先端から排ガス流路4の上流側に向かって突出するドレン受け部512、522を備える。
【0082】
図8、9に示される実施形態では、下方ドレンガイド部52は、底面42から鉛直方向に沿って上方に向かって延在する鉛直部521と、鉛直部521の上端から排ガス流路4の上流側に向かって突出するドレン受け部522と、を含む。また、上方ドレンガイド部51は、天井面41から鉛直方向に沿って下方に向かって延在する鉛直部511と、鉛直部511の下端から排ガス流路4の上流側に向かって突出するドレン受け部512と、を含む。
【0083】
図10に示される実施形態では、下方ドレンガイド部52は、上述した鉛直部521と、上述したドレン受け部522と、鉛直部521の下端から底面42に沿うように、排ガス流路4の上流側に向かって突出する突出部523と、を含む。同様に、上方ドレンガイド部51は、鉛直部511の上端から天井面41に沿うように、排ガス流路4の上流側に向かって突出する突出部を含んでもよい。これらの場合には、天井面41や底面42に接触する面積を大きくすることができるので、ドレンガイド部5の設置作業を迅速に行うことができる。
【0084】
上記の構成によれば、ドレンガイド部5はドレン受け部512、522を備えるので、ドレンガイド部5や排ガス流路4の天井面41、底面42に付着したドレンが、ドレンガイド部5の先端を越えて飛散することを防止することができる。
【0085】
図11は、一実施形態における排ガス流路の横断面を概略的に示す概略横断面図である。
図12は、
図11に示す排ガス流路、ドレンガイド部および側方ドレンガイド部のC-C線矢視の断面図である。
【0086】
幾つかの実施形態では、上述したドレン排出装置1は、
図11に示されるように、排ガス流路4の少なくとも一つの側面43(左側面44、右側面45)から突出して設けられる少なくとも一つの側方ドレンガイド部7をさらに備える。少なくとも一つの側方ドレンガイド部7は、
図12に示されるように、側方視において排ガス流路4の延在する方向(排ガスの流れ方向)に対して斜め方向に延在し、且つ、下方が上方よりも排ガス流路4の下流側に位置する側方斜方延在部711を含む。図示される実施形態では、側方斜方延在部711は、
図12に示されるように、側方視において排ガスの流れ方向に直交する方向に対する傾斜角度θ1は、10°±5°以内である。また、図示される実施形態では、少なくとも一つの側方ドレンガイド部7は、排ガス流路4とは別体であり、排ガス流路4に取り付けられるようになっている。
【0087】
上記の構成によれば、ドレン排出装置1は、少なくとも一つの側方ドレンガイド部7を備える。少なくとも一つの側方ドレンガイド部7は、上記側方斜方延在部711を含む。上記の構成によれば、側方ドレンガイド部7により排ガス流路4の側面43を伝って排ガス流路4の下流側に流れるドレンを堰き止めることができる。また、側方斜方延在部711は、側方斜方延在部711に付着したドレンを、排ガス流路を流れる排ガスにより下流側(下方)に押して、側方斜方延在部711に沿って下方に流すことができるので、ドレンを所定の場所に溜めることができる。
【0088】
幾つかの実施形態では、上述した側方ドレンガイド部7は、
図11に示されるように、排ガス流路4の左側面44から右方に突出して設けられる左方ドレンガイド部71と、排ガス流路4の右側面45から左方に突出して設けられる右方ドレンガイド部72と、を含む。この場合には、左方ドレンガイド部71は、排ガス流路4の左側面44を伝って排ガス流路4の下流側に流れるドレンを堰き止めることができ、右方ドレンガイド部72は、排ガス流路4の右側面45を伝って排ガス流路4の下流側に流れるドレンを堰き止めることができる。また、左方ドレンガイド部71および右方ドレンガイド部72に付着したドレンを側方斜方延在部711に沿って下方に流すことができる。
【0089】
幾つかの実施形態では、上述した少なくとも一つのドレンガイド部5は、上述した上方ドレンガイド部51と、上述した下方ドレンガイド部52と、を含む。そして、
図11、12に示されるように、上述した少なくとも一つの側方ドレンガイド部7は、
図11に示されるように、排ガス流路4の上流側から視た際に、上方ドレンガイド部51および下方ドレンガイド部52の夫々に連続するように配置される。ここで、側方ドレンガイド部7が上方ドレンガイド部51および下方ドレンガイド部52の夫々に連続するとは、排ガス流路4の上流側から視た際に、側方ドレンガイド部7の上端と上方ドレンガイド部51との間や、側方ドレンガイド部7の下端と下方ドレンガイド部52との間に隙間が形成されていないことを意味する。図示される実施形態では、上方ドレンガイド部51から側方ドレンガイド部7にドレンを伝達可能に構成されている。或る実施形態では、排ガス流路4の延在方向において上方ドレンガイド部51と側方ドレンガイド部7の間隔が一定距離以下であり、且つ、側方ドレンガイド部7の上端が上方ドレンガイド部51よりも下流側に位置している。また、側方ドレンガイド部7の下端が下方ドレンガイド部52よりも上流側に位置している。
【0090】
上記の構成によれば、少なくとも一つのドレンガイド部5は、平坦な天井面41から下方に突出して設けられる上述した上方ドレンガイド部51と、平坦な底面42から上方に突出して設けられる上述した下方ドレンガイド部52と、を含む。上方ドレンガイド部51は、排ガス流路4の天井面41を伝って排ガス流路4の下流側に流れるドレンを堰き止めることができ、下方ドレンガイド部52は、排ガス流路4の底面42を伝って排ガス流路4の下流側に流れるドレンを堰き止めることができる。
【0091】
また、少なくとも一つの側方ドレンガイド部7は、排ガス流路4の上流側から視た際に、上方ドレンガイド部51および下方ドレンガイド部52の夫々に連続するように配置される。上記の構成によれば、上方ドレンガイド部51の斜方延在部6に沿って流れたドレンを側方斜方延在部711に送り、側方斜方延在部711を伝わせて下方に送ることができる。また、側方斜方延在部711を伝わせて下方に送ったドレンを、下方ドレンガイド部52の斜方延在部6に沿って流れたドレンに合流させることができる。
【0092】
図13は、
図12に示す排ガス流路および側方ドレンガイド部のD-D線矢視の端面図である。
図14は、
図12に示す排ガス流路および側方ドレンガイド部のD-D線矢視の端面図に相当する図であって、側方ドレンガイド部の変形例を示す図である。
【0093】
幾つかの実施形態では、上述した側方ドレンガイド部7は、
図13、14に示されるように、側方ドレンガイド部7(側方斜方延在部711)の先端から排ガス流路4の上流側に向かって突出する側方ドレン受け部712を備える。
図13に示される実施形態では、上述した側方ドレンガイド部7は、側面43から排ガスの流れ方向に直交する方向に側方に突出している。
図14に示される実施形態では、上述した側方ドレンガイド部7は、側面43から排ガスの流れ方向に直交する方向に対して、先端が基端部よりも上流側に位置するように傾斜している。上面視において側方斜方延在部711の排ガスの流れ方向に直交する方向に対する傾斜角度θ2は、10°±5°以内である。或る実施形態では、上記傾斜角度θ2は、ドレンの伝達を円滑なものにするために、上方ドレンガイド部51の側方ドレンガイド部7の上方に位置する部分の傾斜角度θや、下方ドレンガイド部52の側方ドレンガイド部7の下方に位置する部分の傾斜角度θに対して同じ角度(θ±5°以内)であることが望ましい。この場合には、上方ドレンガイド部51や下方ドレンガイド部52と、側方ドレンガイド部7との傾斜角度が揃うので、上方ドレンガイド部51から側方ドレンガイド部7へのドレンの伝達、および、側方ドレンガイド部7から下方ドレンガイド部52へのドレンの伝達が円滑なものになる。
【0094】
上記の構成によれば、側方ドレンガイド部7は側方ドレン受け部712を備えるので、側方ドレンガイド部7や排ガス流路4の側面43に付着したドレンが、側方ドレンガイド部7の先端を越えて飛散することを防止することができる。
【0095】
図15は、一実施形態における排ガス流路の下方ドレンガイド部が設けられた部分の近傍を拡大して示す横断面図である。
図16は、
図4に示す排ガス流路をA方向から視た状態、且つ、天井面を含む上壁部を除いた状態に相当する図であり、ドレン排出流路を説明するための図である。
【0096】
幾つかの実施形態では、上述したドレン排出装置1は、
図15に示されるように、上述した少なくとも一つのドレンガイド部5により収集したドレンを貯留するための少なくとも一つのドレン貯留部8と、少なくとも一つのドレン貯留部8に貯留されたドレンを排出するためのドレン排出流路9と、をさらに備える。
【0097】
図示される実施形態では、ドレン貯留部8は、
図15に示されるように、ドレンを貯留するための内部空間81を有し、排ガス流路4からドレンが送られるように構成されるドレン貯留桝80を含む。また、ドレン排出流路9は、ドレン貯留桝80の内部空間81に連通する内部空間92を有するドレン排出管91を含む。
【0098】
ドレン貯留桝80の内部空間81は、複数の側面811と、底面812と、排ガス流路4の下面422と、により区画される。
図16に示されるように、排ガス流路4の底面42の、ドレンガイド部5(下方ドレンガイド部52)によりドレンが溜められる溜まり部46の位置に開口する貫通孔421が形成されている。また、ドレン貯留桝80の底面812を貫通する貫通孔82により、内部空間81と内部空間92とが連通している。
【0099】
上記の構成によれば、ドレンガイド部5により収集したドレンをドレン貯留部8に溜めることができ、ドレン排出流路9によりドレン貯留部8に溜められたドレンを排ガス流路4の外部に排出することができる。よって、上記の構成によれば、ドレンガイド部5の手前に溜まるドレンの量を減らすことができるため、ドレンがドレンガイド部5よりも排ガスの流れ方向における下流側に飛散することを防止することができる。
【0100】
上述したように、幾つかの実施形態では、上述したドレン貯留部8は、上述したドレン貯留桝80を含む。この場合には、内部空間81を有するドレン貯留桝80にドレンを貯留することができるので、排ガス流路4の溜まり部46におけるドレンの液面がドレンガイド部5を越えて、ドレンがドレンガイド部5よりも排ガスの流れ方向における下流側に流れることを防止することができる。
【0101】
幾つかの実施形態では、
図16に示されるように、上述したドレン貯留部8が複数設けられている。上述したドレン排出流路9は、一のドレン貯留部8と他のドレン貯留部8とを接続する連通管93を含む。この場合には、複数のドレン貯留部8にドレンを分散できるので、ドレン貯留部8からドレンが溢れることを防止することができる。
【0102】
図17は、
図1に示す排ガス流路の近傍を拡大して示す図であって、一実施形態におけるドレン排出流路を説明するための図である。
幾つかの実施形態では、
図17に示されるように、上述したドレン排出流路9は、洗浄液の吸収塔2への供給流路(洗浄液循環ライン3)、又は吸収塔2の何れか一方に接続される第1接続部94を含む。第1接続部94は、ドレン排出流路9を流れるドレンを上記供給流路(洗浄液循環ライン3)又は吸収塔2に導入するための第1ドレン導入口941が形成されている。
【0103】
図示される実施形態では、上述したドレン貯留部8は、第1ドレンガイド部5Aに収集されたドレンを貯留するように構成される第1ドレン貯留部8Aと、第2ドレンガイド部5Bに収集されたドレンを貯留するように構成される第2ドレン貯留部8Bと、を含む。上述したドレン排出流路9は、ドレンの自重によりドレンを排出するように構成されており、第1ドレン貯留部8Aからドレンを排出するための第1ドレン排出流路95と、第2ドレン貯留部8Bからドレンを排出するための第2ドレン排出流路96と、ドレンの流れ方向における第1ドレン排出流路95および第2ドレン排出流路96の夫々の下流側に設けられる第3ドレン排出流路97と、を含む。第1接続部94は、第3ドレン排出流路97のドレンの流れ方向における下流端に設けられており、吸収塔2に接続されている。
【0104】
上記の構成によれば、第1接続部94は、洗浄液の吸収塔2への供給流路(洗浄液循環ライン3)や吸収塔2に接続されるとともに、ドレン排出流路9を流れるドレンを上記供給流路や吸収塔2に導入するための第1ドレン導入口941が形成されている。ドレン排出流路9を流れるドレンは、第1接続部94を介して上記供給流路や吸収塔2に導入されるので、洗浄液として再度利用することができる。また、洗浄液の吸収塔2への供給流路や吸収塔2は、排ガス流路4の近傍に位置するので、第1接続部94を含むドレン排出流路9を短くすることができる。
【0105】
図18は、
図1に示す排ガス流路の近傍を拡大して示す図であって、一実施形態におけるドレン排出流路を説明するための図である。
幾つかの実施形態では、
図18に示されるように、上述したドレン排出流路9は、排ガスの流れ方向におけるドレン排出装置1よりも下流側に位置する装置18(加熱装置18A)のドレン流路181に接続される第2接続部98を含む。第2接続部98は、ドレン排出流路9を流れるドレンをドレン流路181に導入するための第2ドレン導入口981が形成されている。
【0106】
図示される実施形態では、上述したドレン貯留部8は、上述した第1ドレン貯留部8Aと、上述した第2ドレン貯留部8Bと、を含む。上述したドレン排出流路9は、ドレンの自重によりドレンを排出するように構成されており、上述した第1ドレン排出流路95と、上述した第2ドレン排出流路96と、上述した第3ドレン排出流路97と、を含む。第2接続部98は、第3ドレン排出流路97のドレンの流れ方向における下流端に設けられており、装置18からドレンを排出するドレン流路181に接続されている。
【0107】
上記の構成によれば、第2接続部98は、排ガスの流れ方向におけるドレン排出装置1よりも下流側に位置する装置18のドレン流路181に接続されるとともに、ドレン排出流路9を流れるドレンを装置18のドレン流路181に導入するための第2ドレン導入口981が形成されている。ドレン排出流路9を流れるドレンは、第2接続部98を介して装置18のドレンを排出するためのドレン流路181に導入される。装置18およびドレン流路181は、排ガス流路4の近傍に位置するので、第2接続部98を含むドレン排出流路9を短くすることができる。
【0108】
幾つかの実施形態では、
図17、18に示されるように、上述したドレン貯留部8は、上述した第1ドレン貯留部8Aと、第1ドレン貯留部8Aよりも排ガス流路4の下流側に設けられる上述した第2ドレン貯留部8Bと、を含む。上述したドレン排出流路9は、第1ドレン貯留部8Aに貯留されるドレンを排出するための上述した第1ドレン排出流路95と、第2ドレン貯留部8Bに貯留されるドレンを排出するための上述した第2ドレン排出流路96と、ドレンの流れ方向における第1ドレン排出流路95および第2ドレン排出流路96の夫々の下流側に設けられる上述した第3ドレン排出流路97と、を含む。
【0109】
上記の構成によれば、ドレン排出流路9は、第1ドレン貯留部8Aに貯留されるドレンを排出するための第1ドレン排出流路95と、第1ドレン貯留部8Aよりも排ガス流路4の下流側に設けられる第2ドレン貯留部8Bに貯留されるドレンを排出するための第2ドレン排出流路96と、を含むので、第1ドレン貯留部8Aおよび第2ドレン貯留部8Bの両方からドレンを排出することができる。また、ドレン排出流路9は、第1ドレン排出流路95および第2ドレン排出流路96の夫々の下流側に設けられる第3ドレン排出流路97をさらに含む。つまり、第3ドレン排出流路97は、第1ドレン排出流路95および第2ドレン排出流路96の夫々の下流側を統合することで、ドレン排出流路9の構成をシンプルにすることができ、メンテナンス性を向上させることができる。また、ドレン排出流路9の構成をシンプルにすることで、ドレン排出流路9のレイアウト性を向上させることができ、且つ、ドレン排出流路9に必要な配管の量を少なくすることができる。
【0110】
上述した幾つかの実施形態では、吸収塔を例に挙げて説明したが、本発明は、吸収塔以外の反応器にも適用可能である。上記反応器は、排ガスに洗浄液を接触させることで、排ガスから大気汚染物質を除去するように構成されていればよく、反応器による大気汚染物質の除去方法は、吸収除去に限定されない。
【0111】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0112】
例えば、上述した幾つかの実施形態では、排ガス排出部24は、第1方向において、吸収塔本体部22を挟んで排ガス導入部23とは反対側に設けられていたが、排ガス導入部23と同じ側に設けられていてもよい。また、排ガス排出部24は、上面視において第1方向に直交する第2方向において、吸収塔本体部22に隣接するように設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0113】
1 ドレン排出装置
2 吸収塔
21A 気液接触部
21B 液だまり部
3 洗浄液循環ライン
4 排ガス流路
41 天井面
42 底面
43 側面
44 左側面
45 右側面
5 ドレンガイド部
5A 第1ドレンガイド部
5B 第2ドレンガイド部
51 上方ドレンガイド部
52 下方ドレンガイド部
6 斜方延在部
6A 第1斜方延在部
6B 第2斜方延在部
7 側方ドレンガイド部
71 左方ドレンガイド部
72 右方ドレンガイド部
8 ドレン貯留部
8A 第1ドレン貯留部
8B 第2ドレン貯留部
80 ドレン貯留桝
9 ドレン排出流路
10 排ガス浄化システム
11 燃焼装置
12 排ガス導入ライン
13 集塵装置
14 誘引ファン
15 熱回収装置
16 煙突
17 排ガス排出ライン
17A 第1排ガス排出ライン
17B 第2排ガス排出ライン
18 装置
18A 加熱装置