(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】カーボンナノ材料複合シート及び同カーボンナノ材料複合シートを作製するための方法
(51)【国際特許分類】
B32B 5/18 20060101AFI20231127BHJP
B32B 5/26 20060101ALI20231127BHJP
B32B 25/10 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
B32B5/18
B32B5/26
B32B25/10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018210994
(22)【出願日】2018-11-09
【審査請求日】2021-11-05
(32)【優先日】2017-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ブラレイ, ダニエル ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】カーティー, ジャニス エル.
【審査官】増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03235632(EP,A1)
【文献】特開2010-251607(JP,A)
【文献】特開2017-149134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質材料(508)と前記多孔質材料(508)に適用された金属コーティング(510)とを含む担体層(502);
前記担体層(502)に適用された、カーボンナノ材料(226)を含むカーボンナノ材料構造(504)の層;及び
エラストマ材料(506)
を含むエラストマ性カーボンナノ材料複合シート(450)
を備える複合材構造(406)であって、
前記複合材構造(406)がガスケットとして構成され、前記担体層(502)及び前記カーボンナノ材料構造(504)に前記エラストマ材料(506)が含浸されている、複合材構造(406)。
【請求項2】
複数の前記エラストマ性カーボンナノ材料複合シート(450)を含む、請求項1に記載の複合材構造(406)。
【請求項3】
前記ガスケットが本体部分(416)と前記本体部分(416)に接続するフランジ部分(418)とを含む、請求項1
又は2に記載の複合材構造
(406)。
【請求項4】
前記多孔質材料(508)が不織布である、請求項1から
3のいずれか一項に記載の複合材構造(406)。
【請求項5】
前記多孔質材料(508)が炭素繊維を含む、請求項1から
4のいずれか一項に記載の複合材構造(406)。
【請求項6】
金属コーティング(510)がニッケルを含む、請求項1から
5のいずれか一項に記載の複合材構造(406)。
【請求項7】
前記カーボンナノ材料構造(504)の前記カーボンナノ材料(226)の少なくとも一部が、前記担体層(502)の厚みを通して散在し、前記カーボンナノ材料構造(504)が前記担体層(502)に恒久的に接合されるように前記担体層(502)と絡まっている、請求項1から
6のいずれか一項に記載の複合材構造(406)。
【請求項8】
前記カーボンナノ材料構造(504)が、ランダムに配向され、均一に分配された前記カーボンナノ材料(226)の構造を含む、請求項1から
7のいずれか一項に記載の複合材構造(406)。
【請求項9】
前記カーボンナノ材料(226)が、カーボンナノチューブ(228)、カーボンナノ粒子(232)、カーボンナノスフェア(230)及びグラフェン(234)のうちの少なくとも一つを含む、請求項1から
8のいずれか一項に記載の複合材構造(406)。
【請求項10】
前記エラストマ材料が、合成ゴム、ニトリルゴム、又はフルオロエラストマである、請求項1から
9のいずれか一項に記載の複合材構造
(406)。
【請求項11】
エラストマ性カーボンナノ材料複合シート(450)を
備える複合材構造(406)を製造するための方法(550)であって:
カーボンナノ材料構造(504)の層を、多孔質材料(508)と前記多孔質材料(508)に適用された金属コーティングとを含む担体層(502)に適用し、担体/カーボンナノ材料の組み合わせを生成すること(555);及び
エラストマ材料(506)を前記担体/カーボンナノ材料の組み合わせに適用すること(560)
を含
み、前記複合材構造(406)がガスケットとして構成された、方法。
【請求項12】
前記エラストマ材料(506)がシート形態であり、前記エラストマ材料(506)を前記担体/カーボンナノ材料の組み合わせに適用することが、前記シート形態の前記エラストマ材料(506)を前記担体/カーボンナノ材料の組み合わせの上に置き、レイアップを形成することを含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記エラストマ材料(506)を前記担体/カーボンナノ材料の組み合わせに適用することが、前記レイアップを加熱すること、及び前記レイアップを圧縮することのうちの少なくとも一つを含む、請求項
11又は
12に記載の方法。
【請求項14】
前記エラストマ材料(506)を前記担体/カーボンナノ材料の組み合わせに適用することが、前記エラストマ材料(506)の第1の層と前記エラストマ材料(506)の第2の層との間に前記担体/カーボンナノ材料の組み合わせを挟むことを含む、請求項
11から
13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して複合材料に関し、具体的には、例えば、多孔質担体材料に接合された、カーボンナノ材料構造の形態のカーボンナノ材料を含む多機能性カーボンナノ材料複合シート、前記カーボンナノ材料複合シートを含む複合材構造、及びそれらを作製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
航空宇宙ビークルの設計及び製造において複合材料の割合は増大している。例えば、複合材は、航空宇宙用途における種々の一次及び二次構造、例えば航空機の機体及び/又は外側外板(例えば、胴体、翼等)を形成する複合剤パネルの構築に使用することができる。複合材の使用により、航空宇宙ビークルの種々の構成要素の強度が増し、重量が減少し、耐用年数が延びる。
【0003】
しかしながら、外板パネルのような複合材構成要素を有する航空宇宙ビークルは、落雷保護のため及び/又は外部電磁干渉から関連するアビオニクスとエレクトロニクスを遮蔽するために、追加材料の適用を必要とし得る。このような追加材料は、航空宇宙ビークルの重量を増加させ、製造の時間及び費用を増大させるので望ましくない。
【0004】
したがって、当業者は、複合材料の分野における研究開発の努力を継続している。
【発明の概要】
【0005】
一実施例では、本開示のカーボンナノ材料複合シートは、カーボンナノ材料構造の層と、多孔質金属化不織布材料を含む担体層とを含み、担体層はカーボンナノ材料構造に接合している。
【0006】
別の実施例では、本開示のカーボンナノ材料複合シートは、多孔質材料と多孔質材料に適用される金属コーティングとを含む担体層、担体層に適用されるカーボンナノ材料構造の層、カーボンナノ材料を含むカーボンナノ材料構造、及びエラストマ材料を含むエラストマ性カーボンナノ材料複合シートであり、担体層及びカーボンナノ材料構造にはエラストマ材料が含浸される。
【0007】
一実施例では、本開示のカーボンナノ材料複合シートを製造するための方法は:カーボンナノ材料構造の層を、多孔質金属化不織布材料から作製された担体層に接合するステップを含む。
【0008】
別の実施例では、カーボンナノ材料複合シート、具体的にはエラストマ性カーボンナノ材料複合シートを製造するための本開示の方法は、(1)カーボンナノ材料構造の層を担体層に適用して担体/カーボンナノ材料の組み合わせを生成するステップであって、担体層が多孔質材料と多孔質材料に適用された金属コーティングとを含む、ステップ;並びに(2)エラストマ材料を担体/カーボンナノ材料の組み合わせに適用するステップを含む。
【0009】
一実施例では、本開示の複合材構造は、少なくとも一つの繊維強化ポリマー層、及びカーボンナノ材料複合シートを含み、カーボンナノ材料複合シートは、カーボンナノ材料構造の層、及び多孔質金属化不織布材料を含む担体層を含み、担体層はカーボンナノ材料構造に接合される。
【0010】
別の実施例では、本開示の複合材構造は、多孔質材料と多孔質材料に適用される金属コーティングとを含む担体層、カーボンナノ材料を含み、担体材料に適用されるカーボンナノ材料構造の層、及びエラストマ材料を含むエラストマ性カーボンナノ材料複合シートを含み、担体層及びカーボンナノ材料構造にはエラストマ材料が含浸される。
【0011】
一実施例では、本開示の構造アセンブリは、第1の構造部材、第1の構造部材から間隔を空けて配置されて第1の構造部材との間に空隙を画定する第2の構造部材、及び空隙内に配置された複合材構造を含み、複合材構造は、多孔質材料と多孔質材料に適用された金属コーティングとを含む担体層、担体層に適用された、カーボンナノ材料を含むカーボンナノ材料構造の層、及びエラストマ材料を含むエラストマ性カーボンナノ材料複合シートを含み、担体層及びカーボンナノ材料構造にはエラストマ材料が含浸される。
【0012】
一実施例では、本開示の第1の構造部材と第2の構造部材とを接合するための方法は、(1)第1の構造部材と第2の構造部材との間に複合材構造を配置するステップであって、複合材構造が、多孔質材料と多孔質材料に適用された金属コーティングとを含む担体層、カーボンナノ材料を含み、担体層に適用されたカーボンナノ材料構造の層、及びエラストマ材料を含むエラストマ性カーボンナノ材料複合シートを含み、担体層及びカーボンナノ材料構造にエラストマ材料が含浸されている、ステップ;(2)第1の構造部材を複合材構造に接続するステップ;及び(3)第2の構造部材を複合材構造に接続するステップを含む。
【0013】
本開示の装置及び方法の他の実施例は、以下の詳細な説明、添付図面、及び特許請求の範囲から明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示のカーボンナノ材料複合シートを製造するための本開示の方法の一実施例のフロー図である。
【
図2】本開示のカーボンナノ材料複合シートを製造するための本開示のシステムの一実施例の概略図である。
【
図3】本開示のカーボンナノ材料複合シートの一実施例の概略ブロック図である。
【
図4】本開示のカーボンナノ材料複合シートの一実施例の概略的部分断面図である。
【
図5】本開示のカーボンナノ材料複合シートを製造するための本開示のシステムの一実施例の概略図である。
【
図6】本開示のカーボンナノ材料複合シートを含む本開示の複合材構造の一実施例の概略ブロック図である。
【
図7】航空機の製造及び保守方法のブロック図である。
【
図9】本開示のカーボンナノ材料複合シートの一実施例の概略的部分断面図である。
【
図10】本開示のカーボンナノ材料複合シートの種々の実施例の遮効果を示すグラフである。
【
図11】本開示の構造アセンブリの一実施例の側方断面図である。
【
図12】
図11の構造アセンブリの複合材構造の側方断面図である。
【
図13】
図12の複合材構造を形成する複数のエラストマ性カーボンナノ材料複合シートのうちの一つのエラストマ性カーボンナノ材料複合シートの概略図である。
【
図14】エラストマ性カーボンナノ材料複合シートを製造するための本開示の方法の一実施例を示すフロー図である。
【
図15】
図14の方法に従ってエラストマ材料を適用するためのプロセスの概略図である。
【
図16】第1の構造部材と第2の構造部材とを接合するための本開示の方法の一実施例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の詳細な説明は、添付の図面に言及している。添付の図面は、本開示によって説明された具体的な実施例を示している。異なる構造及び工程を有する他の実施例は、本開示の範囲から逸脱するものではない。同様の参照番号は、異なる図面における同一の特徴、要素、又は構成要素を表わし得る。
【0016】
上記の
図3及び
図8において、様々な要素及び/又は構成要素を結合する実線が存在する場合、これらの実線は、機械的、電気的、流体的、光学的、電磁的、及びその他の連結、並びに/又はその組み合わせを表すことができる。本明細書において使用される「連結(coupled)」とは、直接的並びに間接的に関連付けられていることを意味する。例えば、部材Aは部材Bに直接的に関連付けられ得るか、又は、例えば別の部材Cを介して、間接的に関連付けられ得る。開示された様々な要素間のすべての関係が必ずしも表わされているわけではないことが理解されるであろう。そのため、ブロック図に示されているもの以外の連結も存在し得る。様々な要素及び/又は構成要素を示すブロックを接続する破線が存在する場合、これらの破線は、機能及び目的の点で実線によって表されているものに類似した連結を表わす。しかしながら、破線によって表わされた連結は、選択的に設けられ得るか、又は本開示により開示される代替的な実施例に関連し得る。同様に、破線で表わされた要素及び/又は構成要素が存在する場合、それらは本開示により開示される代替的な実施例を示す。実線及び/又は破線で示されている一又は複数の要素は、本開示の範囲から逸脱せずに、特定の実施例から省略することができる。環境要素が存在する場合、それらは点線で表わされる。仮想的な(架空の)要素も、明確性のために示される場合がある。
図3及び
図8に示す特徴のうちの幾つかは、一又は複数のそのような組み合わせが本明細書に明示的に示されていなくも、
図3及び
図8、他の図面、並びに/又は付随する開示に記載された他の特徴を含むことを必要とせずに、様々な方法で組み合わせられ得ることが当業者は理解するであろう。同様に、提示されている実施例に限定されない追加的な特徴が、本明細書で示され説明されている特徴のうちの幾つか又はすべてと組み合わされ得る。
【0017】
上記の
図1及び7では、ブロックは工程及び/又はその一部を表すことが可能であり、様々なブロックを結合する線は、工程又はその一部のいかなる特定の順番又は従属関係も暗示しない。破線で示されるブロックは、代替的な工程及び/又はその一部を示す。様々なブロックを接続する破線がある場合、その破線は工程又はその一部の代替的な従属関係を表わす。様々な本開示の工程間のすべての従属関係が必ずしも表わされるわけではないことを理解されたい。本明細書に明記された方法の工程(複数可)を記載している
図1及び
図7、並びに付随する開示は、必ずしも工程が実行されるべきシーケンスを決定付けていると解釈すべきではない。むしろ、例示的な一つの順序が示されているが、工程のシーケンスは、適切であれば修正することができることを理解されたい。したがって、特定の工程は、異なる順序で又は同時に実行してもよい。更に、当業者であれば、記載されたすべての工程を実施する必要はないことを認識するであろう。
【0018】
別途示されない限り、「第1」「第2」等の用語は、本明細書では単に符号として使用され、それらの用語が表すアイテムに順序的、位置的、又は序列的な要件を課すことは意図していない。更に、「第2」のアイテムへの言及が、より小さい数が振られたアイテム(例えば、「第1」のアイテム)及び/又はより大きい数が振られたアイテム(例えば、「第3」のアイテム)の存在を必要とすることも、除外することもない。
【0019】
本明細書において、列挙されたアイテムと共に使用される「~のうちの少なくとも一つ(少なくとも一つの)」という表現は、列挙されたアイテムのうちの一又は複数の種々の組み合わせが使用可能であること、及び必要とされうるのは列挙されたアイテムのうちの一つだけであることを意味している。アイテムとは、特定の対象物、物品、又はカテゴリのことであり得る。換言すると、「~のうちの少なくとも一つ」は、アイテムの任意の組み合わせ、又は任意の数のアイテムが列挙された中から使用され得ることを意味するが、列挙されたアイテムのすべてが必要とされるわけではない。例えば、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムCのうちの少なくとも一つ」は、例えば、「アイテムA」、「アイテムAとアイテムB」、「アイテムB」、「アイテムAとアイテムBとアイテムC」、又は「アイテムBとアイテムC」を意味し得る。幾つかの場合には、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムCのうちの少なくとも一つ」は、例えば、限定しないが、「2個のアイテムAと1個のアイテムBと10個のアイテムC」、「4個のアイテムBと7個のアイテムC」、又は他の何らかの適切な組み合わせを意味し得る。
【0020】
本明細書において、「実施例」、「一実施例」、「別の実施例」、又類似表現への言及は、実施例に関連して説明される一又は複数のフィーチャ、構造、要素、構成要素、又は特徴が、少なくとも一つの実施形態又は実装態様に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通して、「一実施例では」、「一実施例として」という表現、及び類似表現は、必ずしもそうではないが、同一の実施形態を指している場合がある。更に、任意の一実施例を特徴付ける主題は、必ずしもそうではないが、いずれかの他の実施例を特徴付ける主題を含み得る。
【0021】
特許請求されうるが、特許請求されないこともありうる本開示による主題の例示的且つ非網羅的な実施例が、以下に提供される。
【0022】
図1を参照すると、方法100の一実施例が開示されている。方法100は、多機能性カーボンナノ材料複合シート202を作製するための本開示の方法の例示的一実装態様である。
図2に示すように、システム200は、例えば方法100による、カーボンナノ材料複合シート202を作製するための本開示のシステムの例示的一実装態様である。本開示の範囲を逸脱することなく、方法100に変更、追加、又は省略を行うことができる。方法100は、より多くのステップ、より少ないステップ、又はその他のステップを含み得る。加えて、任意の適切な順序でステップを実施してもよい。
【0023】
図1を参照すると、
図3に関連して、一実施例では、方法100は、ブロック122に示すように、カーボンナノ材料構造242の層258(例えば一又は複数の層)を担体層204に接合するステップを含む。一実施例では、担体層204は、多孔質金属化不織布材料から作製される。一実施例では、カーボンナノ材料構造242の層258は、担体層204に恒久的に接合される。
【0024】
一実施例では、方法100は、ブロック124に示すように、剥離可能な保護フィルム216を担体層204に連結するステップを含む。一実施例では、担体層204は、
図4に示すように、保護フィルム216とカーボンナノ材料構造242(例えばカーボンナノ材料構造242の層258)との間に位置する。
【0025】
図1を参照すると、
図3に関連して、例示的一実装態様では、方法100は、ブロック102に示すように、担体層204を提供するステップを含む。一般に、担体層204は、担体層204の表面上にカーボンナノ材料構造242を形成(例えば、構築及び/又は接合)するために、その上にカーボンナノ材料226を重ね合わせることのできる任意の材料を含む。担体層204は、担体材料、材料層、フィルタ層、又はフィルタリング層とも呼ばれる。一般的な例として、担体層204は、カーボンナノ材料226(例えば、カーボンナノ材料226のスラリー238)をフィルタリングすることのできる任意の多孔質材料を含む。多孔質材料は、アパーチャ又は多孔質フィルム、シート、ベール、又は布材料(例えば、スラリー238をフィルタリングする複数のアパーチャ又は開口を有する材料)を含むことができる。担体層204は、特定の用途及び/又は所望の特性に応じて導電性でも非導電性でもよい。非限定的実施例には、織又は不織(例えば、湿式又はメルトスパン)のナイロン、ポリエステル、PEEK、PEKK、ファイバガラス、炭素繊維、金属化ポリマー、又は金属網/箔(例えばエキスパンド銅箔)が含まれる。
【0026】
図3を参照すると、一実施例では、カーボンナノ材料複合シート202は、カーボンナノ材料構造242の層258と、担体層204とを含む。一実施例では、担体層204は多孔質金属化不織布材料を含む。一実施例では、担体層204はカーボンナノ材料構造242に接合される。
【0027】
図3を参照すると、一実施例として、カーボンナノ材料複合シート202は積層板である。一実施例として、カーボンナノ材料複合シート202は連続シートである。一実施例として、担体層204は、カーボンナノ材料構造242(例えばカーボンナノ材料構造242の層258)に恒久的に接合される。一実施例として、カーボンナノ材料構造242は、ランダムに配向され、均一に分配されたカーボンナノチューブ(「CNT」)228の構造を含む。特定の非限定的一実施例として、カーボンナノ材料構造242は、1平方メートル当たり約1グラム(gsm)の坪量のカーボンナノ材料226を有する。別の特定の非限定的一実施例として、カーボンナノ材料構造242は、1平方メートル当たり少なくとも1グラム(gsm)の坪量のカーボンナノ材料226を有する。一実施例では、カーボンナノ材料複合シート202は、カーボンナノ材料構造242に連結された少なくとも一つのポリマー層262を含む。別の実施例では、カーボンナノ材料複合シート202は、カーボンナノ材料構造242に連結された少なくとも一つのポリマー封入層264を含む。一実施例として、カーボンナノ材料複合シート202は、カーボンナノ材料構造242に連結されたプリプレグ材料266を含む。
【0028】
図2を参照すると、
図3に関連して、例示的一実装態様では、
図2に示すように、担体層204は、担体層204の連続シート(本明細書では一般にシート206と呼ぶ)として提供される(又はそのようなシートの形態をとることができる)。本明細書において使用される「連続」とは、幅の何倍もの大きさの長さを有する細長いシートを意味する。通常、シート206は、連続布;織物;ベール;不織のシート、プライ、又はマット;織られたシート、プライ、又はマット等であるか、又はそれらを含む。担体層204は多孔質とすることができる。担体層204は、導電性であっても非導電性であってもよい。
図2に示すように、一実施例として、システム200は、担体層204のロール(本明細書では一般にロール208と呼ぶ)を含む。例えば、連続シート206を作製し、ロール208へとまるめることができる。
【0029】
図3を参照すると、
図2及び4に関連して、一般的且つ非限定的な一実施例として、担体層204は、導電材料の多孔質の不織ベール、シート、プライ、又はマットとすることができる(又はそのような形態をとることができる)。一般的一実施例として、担体層204は、束ねられて(looped together)薄い不織シート、プライ、又はマットを形成する繊維260を含む。特定の非限定的一実施例として、担体層204(例えば導電性担体材料)は炭素繊維ベール210である(又はその形態をとる)。したがって、シート206(
図2)は、炭素繊維ベール210の連続シートであり得る。炭素繊維ベール210は、ランダムに束ねられて炭素繊維212の薄い不織シート、プライ、又はマットを形成する炭素繊維212(例えば炭素繊維の複数の連続ストランド)を含む。炭素繊維ベール210は多孔質とすることができる。炭素繊維ベール210はまた、導電性とすることができる。特定の例示的実装態様では、炭素繊維212は、ライトバインダーでまとめて保持される(明瞭に図示されていない)。
【0030】
別の一般的且つ非限定的一実施例として、担体層204は、非導電材料の多孔質の不織ベール、シート、プライ、又はマットである(又はその形態をとる)。特定の非限定的実施例として、担体層204(例えば非導電性担体材料)は、ガラス繊維(例えば、Eガラス、Sガラス)、アラミド繊維(例えば、Kevlar)、フルオロポリマー繊維(例えば、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、テフロン等)又はこれらの組み合わせの、多孔質の不織ベール、シート、プライ、又はマットである(又はその形態をとる)。
【0031】
別の一般的且つ非限定的一実施例として、担体層204は、誘電材料(例えば誘電ベール)の多孔質の不織ベール、シート、プライ、又はマットである(又はその形態をとる)(明瞭に図示されていない)。特定の非限定的実施例として、担体層204(例えば誘電性担体材料)は、限定しないが、超高分子量ポリエチレン(「UHMWPE」)、フルオロポリマー、ポリイミド、又はこれらの組み合わせを含む。
【0032】
担体層204に使用される特定の材料は、少なくとも部分的に、本開示のカーボンナノ材料複合シート202の特定の用途及び/又は機能に応じて決めることができ、そのような用途及び/又は機能には、限定されないが、電磁干渉(「EMI」)の遮蔽、避雷、環境保護、環境隔離、耐引っかき性等が含まれる。一実施例として、カーボンナノ材料複合シート202のより高い導電性が望ましい又は必要であるとき、例えば、落雷保護及び/又は低周波遮蔽効果のために、担体層204は、導電材料、例えば炭素繊維212(例えば炭素繊維ベール210)から作製することができる。別の実施例として、カーボンナノ材料複合シート202のより低い導電性が望ましい又は必要であるとき、担体層204は、非導電材料、例えば、ガラス、アラミド、及び/又はフルオロポリマー繊維から作製することができる。
【0033】
図3を参照すると、一実施例では、担体層204は、ニッケルコート繊維(ニッケルコーティング214でコーティングされた繊維260)を含む。したがって、一実施例では、担体層204は金属コーティング254を含む。金属コーティング254を含む担体層204は、金属コート担体層、金属化担体層、金属コート担体材料、金属化担体材料、金属コート材料層、金属化材料層、金属コートフィルタ層、金属化フィルタ層、金属コートフィルタリング層、金属化フィルタリング層、金属コート繊維層、又は金属化繊維層とも呼ばれる。特定の非限定的一実施例として、金属コーティング254はニッケルコーティング214である。ニッケルコーティング214を含む担体層204は、ニッケル(「Ni」)-コート担体層、ニッケル(「Ni」)-金属化担体層、ニッケルコート担体材料、ニッケル金属化担体材料、ニッケルコート材料層、ニッケル金属化材料層、ニッケルコートフィルタ層、ニッケル金属化フィルタ層、ニッケルコートフィルタリング層、ニッケル金属化フィルタリング層、ニッケルコート繊維層、又はニッケル金属化繊維層とも呼ばれる。
【0034】
ニッケル以外の他の金属も金属コーティング254として使用することができる。金属コーティング254に使用される特定の金属は、例えば、所望の遮蔽効果に基づいて選択され得る。
【0035】
図1を参照すると、
図3に関連して、例示的一実装態様では、方法100は、ブロック118(
図2)に示すように、金属コーティング254(例えばニッケルコーティング214)を担体層204に適用するステップを含む。金属コーティング254(例えばニッケルコーティング214)は、様々な既知のプロセス又は技術により担体層204に適用することができる。例示的一実装態様では、ニッケル(ニッケルコーティング214)は、化学蒸着プロセスにより担体層204に適用することができる。別の例示的実装態様では、ニッケルは、無電解ニッケルめっきプロセスにより担体層204に適用することができる。また別の例示的実装態様では、ニッケルは、ニッケル電気めっきプロセスにより担体層204に適用することができる。
【0036】
一実施例として、炭素繊維ベール210は金属コーティング254(例えばニッケルコーティング214)を含む。金属コーティング254を含む炭素繊維ベール210は、金属コート炭素繊維ベール又は金属化炭素繊維ベールとも呼ばれる。一実施例として、ニッケルは、炭素繊維ベール210に適用されて、ニッケルコート炭素繊維ベールを形成する。ニッケルコーティング214を含む炭素繊維ベール210は、ニッケルコート炭素繊維ベール又はニッケル金属化炭素繊維ベールとも呼ばれる。金属コーティング254(例えばニッケルコーティング214)は、様々な既知のプロセス又は技術により炭素繊維ベール210に適用され得る。例として、ニッケル(ニッケルコーティング214)は、化学蒸着プロセス、無電解ニッケルめっきプロセス、又はニッケル電気めっきプロセスにより炭素繊維ベール210に適用される。
【0037】
一実施例として、繊維260は、金属コーティング254(例えばニッケルコーティング214)を含む。一実施例として、金属(例えばニッケル)は、繊維260の一つひとつに適用されて、金属(例えばニッケル)コート繊維を形成する。ニッケルコート繊維は、繊維ベール、シート、プライ、又はマット(例えば、ニッケルコートベール、シート、プライ、又はマット)を形成するために使用することができる。別の実施例として、炭素繊維212は金属コーティング254(例えばニッケルコーティング214)を含む。一実施例として、金属(例えばニッケル)は、炭素繊維212の一つひとつに適用されて、金属(例えばニッケル)コート炭素繊維を形成する。ニッケルコート炭素繊維は、炭素繊維ベール210(例えばニッケルコート炭素繊維ベール)を形成するために使用することができる。金属コーティング254(例えばニッケルコーティング214)は、様々な既知のプロセス又は技術により繊維260又は炭素繊維212に適用することができる。例として、ニッケルは、化学蒸着プロセス、無電解ニッケルめっきプロセス、又はニッケル電気めっきプロセスにより、繊維260又は炭素繊維212に適用される。
【0038】
一実施例として、非導電性担体材料又は誘電性担体材料(例えば、非導電材料又は誘電材料から作製された担体層204)は、金属コーティング254(例えばニッケルコーティング214)を含む。金属コーティング254(例えばニッケルコーティング214)の非導電性担体材料又は誘電性担体材料への適用は、導電性担体層204を提供し得る又は本質的に生成し得る。例えば、金属(例えばニッケル)は、非導電性担体材料又は誘電性担体材料に適用されて、金属コート(例えばニッケルコート)担体材料を形成する。金属コーティング254(例えばニッケルコーティング214)は、様々な既知のプロセス又は技術により、非導電性担体材料又は誘電性担体材料に適用することができる。例として、ニッケルは、化学蒸着プロセス、無電解ニッケルめっきプロセス、又はニッケル電気めっきプロセスにより、非導電性担体材料又は誘電性担体材料に適用される。
【0039】
図2を参照すると、一実施例では、システム200は、一又は複数の第1のローラ224を含む。第1のローラ224は、担体層204の、例えばシート206(例えば炭素繊維ベール210)をロール208から引き出し、担体層204を処理経路に沿って方向付ける又はガイドするように構成されたガイドローラ、ニップローラ、又はピンチローラ等とすることができる。
【0040】
図1を参照すると、
図2及び3に関連して、例示的一実装態様では、方法100は、ブロック104に示すように、カーボンナノ材料226を提供するステップを含む。カーボンナノ材料226は様々な形態をとり得る。
図3に示されるように、一般的且つ非限定的な一実施例として、カーボンナノ材料226は、様々な幾何形状を有するカーボンナノ粒子232である(又はその形態をとる)。特定の非限定的一実施例として、カーボンナノ材料226はカーボンナノチューブ228である(又はその形態をとる)。特定の非限定的一実施例として、カーボンナノ材料226はカーボンナノスフェア230である(又はその形態をとる)。特定の非限定的一実施例として、カーボンナノ材料226はグラフェン234である(又はその形態をとる)。特定の非限定的一実施例として、カーボンナノ材料226は、カーボンナノ粒子232、カーボンナノチューブ228、カーボンナノスフェア230、及び/又はグラフェン234のうちの少なくとも一つであるか、又はこれらの組み合わせである。カーボンナノ材料226は、炭素の他の様々な同素体も含み得る。
【0041】
種々の既知の化学プロセスを使用してカーボンナノ材料226を作り出すことができる。例えば、既知の技術に従って製造された様々な種類のカーボンナノチューブ228をカーボンナノ材料226として使用することができる。例示的一実装態様では、カーボンナノチューブ228は、ステンレス鋼シートの上で成長させることができる。成長したカーボンナノチューブ228は次いでシートからこすり取ることができる。
【0042】
一実施例として、カーボンナノチューブ228は、単層カーボンナノチューブ(「SWCNT」)である。別の実施例として、カーボンナノチューブ228は、多層カーボンナノチューブ(「MWCNT」)である。別の実施例として、カーボンナノチューブ228は、プレストレスト多層カーボンナノチューブ(「PSMWCNT」)である。また別の実施例として、カーボンナノチューブ228は、SWCNT、MWCNT、及び/又はPSMWCNTの組み合わせである。PSMWCNTは、既知の技術にしたがって作成することができる。一実施例として、PSMWCNTは、MWCNTをボムチャンバ(bomb chamber)に入れ、爆発を使用して圧力を急速に増大させ、MWCNTの壁を、ファンデルワース力が優勢な距離内へと強制的に圧縮することにより得られる。一実施例として、PSMWCNTは、MWCNTを放射線に曝露して圧力を増大させることにより得られる。特定の非限定的一実施例では、PSMWCNTは、約0.22nmから約0.28nmの範囲の壁間間隔(例えば、従来のMWCNTの場合の約0.34nmと比較して)を有する。PSMWCNTにより提供される利点には、強化された壁間せん断強度が含まれ、これは次いで、普通のMWCNTと比較して荷重伝播能を向上させる。これにより、普通のカーボンナノチューブ(「CNT」)より約20パーセント高いヤング率及び軸方向引張強度が提供される。
【0043】
図1を参照すると、
図2に関連して、例示的一実装態様では、方法100は、ブロック106に示すように、カーボンナノ材料226と液体236とを混合してカーボンナノ材料226と液体236とのスラリー(本明細書では一般にスラリー238と呼ぶ)(例えば、流体混合物又は液体236にカーボンナノ材料226を懸濁した懸濁液)を形成するステップを含む。液体236は、カーボンナノ材料226を分散及び懸濁することのできる、任意の適切な分散液体又は流体担体材料とすることができる。一般に、液体236は、カーボンナノ材料226と非反応性である(例えば、カーボンナノ材料226は液体236に不溶性である)。特定の非限定的一実施例として、液体236は水である。別の特定の非限定的一実施例として、液体236は有機溶媒である。別の特定の非限定的一実施例として、液体236は酸である。別の特定の非限定的一実施例として、液体236は樹脂(例えば、熱可塑性プラスチック又はエポキシ)である。適切な分散液体(例えば液体236)の他の例も考慮される。液体236は、液体236中におけるカーボンナノ材料226の分散及び懸濁を向上及び/又は安定させるための一又は複数の化合物も含み得る。
【0044】
図1を参照すると、
図2及び3に関連して、例示的一実装態様では、方法100は、ブロック108に示すように、カーボンナノ材料226のスラリー238及び液体236を、担体層204の上に重ねる(例えば分配する)ステップを含む。方法100は、ブロック110に示すように、担体層204によりカーボンナノ材料226をフィルタリングするステップを含む。方法100は、ブロック112に示すように、担体層204の表面上にカーボンナノ材料構造242(
図3)を形成する(例えば構築する)ステップを含む。担体層204に接合された(例えば、担体層の上に形成されて担体層に連結された)カーボンナノ材料構造242の組み合わせを、本明細書ではカーボンナノ材料前駆物質複合シート246と呼び、
図2に示す。
【0045】
図2を参照すると、
図3に関連して、一実施例では、システム200は形成テーブル240を含む。カーボンナノ材料構造242(
図3)を構築するためのカーボンナノ材料226と担体層204との相互作用は形成テーブル240上において起こる。例示的一実装態様では、形成テーブル240は、担体層204の上にスラリー238が分配される(例えば、注がれる、噴霧される等する)とき、担体層204を支持するために十分なワイヤーメッシュ又はスクリーンを含む。スラリー238は、担体層204の上に重ねられる(例えば注がれる)と、担体層204の表面上に広がる。液体236は担体層204を通過し、カーボンナノ材料226は担体層204によってフィルタリングされ(例えば、排出される及び保持される)(例えば、担体層204の表面の上及び/又は少なくとも部分的に下に)て、カーボンナノ材料構造242を形成する。例示的一実装態様では、担体層204は、処理経路に沿って担体層204を運ぶコンベヤ(例えばコンベヤベルト)(明瞭に図示されていない)上に支持される。コンベヤは、スラリー238が担体層204の上に分配されて担体層204によりフィルタリングされる際に一平面内に担体層204を支持するために十分な、ワイヤーメッシュ又はスクリーンとすることができる。一実施例では、システム200(例えば形成テーブル240)は、カーボンナノ材料226が表面上に絡まって担体層204中に定着する(例えば、少なくとも部分的に分散する)ことを可能にする間に、担体層204の上から(例えば担体層の上側表面から)及び担体層204を通してスラリー238を引き寄せるために十分な真空圧を提供するように構成された真空ゾーンも含み得る。カーボンナノ材料226は、フィルタリングステップ(ブロック110)に続いて、ランダムに配向し、担体層204上に均一に分配することができる。
【0046】
図3及び4を参照すると、
図1及び2に関連して、一実施例では、カーボンナノ材料226の少なくとも一部は、
図4に示すように、担体層204の厚みを通して散在し、カーボンナノ材料構造242が担体層204に恒久的に接合されるように担体層204と絡まっている。例示的一実装態様では、スラリー238(
図2)の重ね合わせステップ(ブロック108)及びフィルタリングステップ(ブロック110)(
図1)の間に、カーボンナノ材料226が複数の方向に互いに絡まり合い、担体層204の表面上にカーボンナノ材料構造242(例えばカーボンナノ材料226の蓄積物)を形成する(ブロック112)。したがって、カーボンナノ材料構造242は、カーボンナノ材料226の絡まったネットワークを含むシート構造である(例えば、カーボンナノ粒子構造は、カーボンナノ粒子232の絡まったネットワークを含み、カーボンナノチューブ構造は、カーボンナノチューブ228の絡まったネットワークを含み、カーボンナノスフェア構造は、カーボンナノスフェア230の絡まったネットワークを含み、又はグラフェン構造は、グラフェン234の絡まったネットワークを含む)。カーボンナノ材料226は、担体層204の表面上において、ランダムに分配又は配向されていてよい。代替的に、カーボンナノ材料226は、担体層204の表面上において、一様に分配又は配向されていてよい。
【0047】
特定の、非限定的一実装態様として、担体層204(例えば、炭素繊維ベール、ニッケルコート炭素繊維ベール等)は、例えばコンベヤ上において、システム200の処理経路(明瞭に図示しない)に沿って移動する。カーボンナノ材料226は、液体236とカーボンナノ材料226(例えば、カーボンナノチューブ228、カーボンナノスフェア230、カーボンナノ粒子232、グラフェン234)とのスラリー238として担体層204の上に適用することができる。担体層204(例えばコンベヤ)の移動速度は、スラリー238の、したがってカーボンナノ材料226の、その下に位置する担体層204全体への均一な分配が提供されるように、制御することができる。
【0048】
蓄積されてカーボンナノ材料構造242を形成するカーボンナノ材料226の密度は、種々の要因に応じて決まり、そのような要因には、限定されないが、カーボンナノ材料226のサイズ及び/又は幾何形状、カーボンナノ材料226の種類、カーボンナノ材料構造242の特定の用途(例えば、特定のRF周波数における所望の遮蔽効果又は減衰、落雷保護の所望のレベル、所望の導電性レベル、所望の表面抵抗率等)、カーボンナノ材料構造242の所望の厚さ、カーボンナノ材料構造242の所望の重量等が含まれる。特定の非限定的一実施例として、カーボンナノ材料226 は、1平方メートル当たり約1グラム(gsm)の坪量を有する。特定の非限定的一実施例として、カーボンナノ材料226は、約1.0未満の相対的密度を有する。
図1に示すように、分配(ブロック108)及びフィルタリング(ブロック110)ステップは、カーボンナノ材料構造242を構築するために必要に応じて繰り返すことができる。
【0049】
図4を参照すると、一実施例として、カーボンナノ材料226間の絡み合いは、異なるカーボンナノ材料226の間の様々な交差位置244で起こり得る。絡まったカーボンナノ材料226のネットワークは、安定したカーボンナノ材料構造242を得るのに十分な数の交差位置244を提供するために、十分な量のカーボンナノ材料226を含み得る。
【0050】
カーボンナノ材料226(例えば、カーボンナノチューブ、228、カーボンナノスフェア230、カーボンナノ粒子232、グラフェン234等)の種類及び/又は幾何形状に応じて、カーボンナノ材料226のサイズは変化し得る。特定の非限定的一実施例として、カーボンナノチューブ228は、極めて高いアスペクト比(直径に対する長さの比)、例えば、少なくとも2500:1を有する。例えば、カーボンナノチューブ228は、約0.5ミリメートルから約4ミリメートルの範囲の長さと、約1ナノメートルから約50ナノメートルの範囲の直径とを有する。カーボンナノ材料226の他の適切な寸法も、限定されることなく考慮される。
【0051】
カーボンナノ材料226はサイズが小さいため、少なくとも幾つかのカーボンナノ材料226は、少なくとも部分的に担体層204の中へと分散及び統合される。例えば、少なくとも幾つかのカーボンナノ材料226は、少なくとも部分的に担体層204の厚みを通して進入及び散在(例えば貫通)し(明瞭に図示しない)、担体層204と絡まって統合する。したがって、カーボンナノ材料構造242は、方法100(
図1)のフィルタリング(ブロック110)及び構築(ブロック112)ステップの後、担体層204に効果的に連結される(例えば、カーボンナノ材料前駆物質複合シート246を形成する)。一実施例として、カーボンナノ材料226は、担体層204の表面近傍で(例えば表面において又は表面の近くで)濃縮される。一実施例として、カーボンナノ材料226は、担体層204の厚みの一部に散在して絡まっている。一実施例として、カーボンナノ材料226は、担体層204の厚み全体に完全に散在して絡まっている。
【0052】
図1を参照すると、
図2に関連して、例示的一実装態様では、方法100は、ブロック114に示すように、圧力及び熱のうちの少なくとも一つを、カーボンナノ材料前駆物質複合シート246に加える(例えば、圧力及び熱のうちの少なくとも一つを、カーボンナノ材料構造242と担体層204との連結された組み合わせに加える)ステップ、ブロック116に示すように、カーボンナノ材料構造242と担体層204とを統合するステップ、及びブロック120に示すように、カーボンナノ材料複合シート202を形成するステップを含む。圧力及び熱のうちの少なくとも一つをカーボンナノ材料前駆物質複合シート246(例えば、カーボンナノ材料構造242及び担体層204)に加えるステップは、積層加工とも呼ばれる。一実施例として、熱を加えることは、カーボンナノ材料前駆物質複合シート246を乾燥させることを含む。例えば、カーボンナノ材料前駆物質複合シート246に対し、担体層204及び/又はカーボンナノ材料構造242に残る液体236があればそれを乾燥させる(例えばエバポレートする)ために十分な熱を加えることができる。一般的且つ非限定的な一実施例として、カーボンナノ材料前駆物質複合シート246は、液体236を除去し、カーボンナノ材料前駆物質複合シート246を乾燥させ、カーボンナノ材料複合シート202を形成するために、華氏約200度から華氏約300度(例えば華氏220度)に加熱することができる。一実施例として、圧力を加えることは、カーボンナノ材料前駆物質複合シート246を圧縮することを含む。例えば、カーボンナノ材料前駆物質複合シート246に対し、カーボンナノ材料前駆物質複合シート246を圧縮してカーボンナノ材料複合シート202を成形するために十分な圧力を加えることができる。一般的且つ非限定的な一実施例として、カーボンナノ材料前駆物質複合シート246は、約8ミルの厚さから圧縮して、約6ミル(例えば、6.3ミル)の厚さを有するカーボンナノ材料複合シート202を形成することができる。熱、圧力又はこれらの組み合わせを加えることは、カーボンナノ材料構造242と担体層204とを更に接合及び統合する。カーボンナノ材料前駆物質複合シート246に(例えばニップローラ250によって)加えられた圧力及び/又は熱は、均一であり、均一且つ単一なカーボンナノ材料複合シート202の生成を助ける。
【0053】
図2を参照すると、
図1に関連して、システム200は、一又は複数のドライヤ248(例えば熱を加えるための)及び/又は一又は複数の第2のローラ250(例えば、圧力を加えるため、又は圧力と熱を加えるための)を含むことができる。ドライヤ248は、形成テーブル240に続く処理経路に沿ってカーボンナノ材料前駆物質複合シート246の近傍(例えば近く)に位置させ、カーボンナノ材料前駆物質複合シート246を乾燥させ(例えば、カーボンナノ材料前駆物質複合シート246に残る液体236を除去する)、カーボンナノ材料複合シート202を形成するように構成され得る。第2のローラ250は、カーボンナノ材料前駆物質複合シート246を処理経路に沿って引っ張り、方向付け、又はガイドするように構成されたガイドローラ、ニップローラ、ピンチローラ等とすることができる。第2のローラ250は、カーボンナノ材料前駆物質複合シート246を圧縮し、カーボンナノ材料複合シート202を形成するように構成してもよい。第2のローラ250は、例えば第2のローラ250によって圧縮されている間にカーボンナノ材料前駆物質複合シート246を乾燥させるために、カーボンナノ材料前駆物質複合シート246の温度を上昇させるように構成された加熱ローラとすることができる。
図2及び5には、例として向かい合う第2のローラ250の対が一つだけ示されているが、当業者であれば、複数の段階において段階的に(例えば、約0.5ミル~約1.0ミルずつ)圧縮するために、第2のローラ250の複数の対を処理経路に沿って配置できることが分かるであろう。
【0054】
圧力及び/又は熱をカーボンナノ材料前駆物質複合シート246(例えば、カーボンナノ材料構造242と担体層204との組み合わせ)に加えること(ブロック114)は、カーボンナノ材料226を更に散在させて担体層204と統合させ、例えば、カーボンナノ材料構造242と担体層204とを接合させ得る(ブロック122)。
【0055】
圧力及び/又は熱を加えるステップ(ブロック114)(
図1)に続いて、カーボンナノ材料複合シート202は、カーボンナノ材料複合シート202(本明細書では一般にロール252と呼ぶ)へと丸めることができる。
【0056】
図5を参照すると、
図4に関連して、例示的一実装態様では、担体層204は保護フィルム216も含み得る。保護フィルム216は、例えばロール252へと丸められるときにカーボンナノ材料複合シート202を保護することができる。保護フィルム216は、例えば複合材構造300(
図6)の作製に使用されるとき、特定の用途におけるカーボンナノ材料複合シート202の使用に先立って、カーボンナノ材料複合シート202から除去される。保護フィルム216は、保護層又は剥離フィルムとも呼ばれる。
【0057】
一実施例として、保護フィルム216は、保護フィルム216のシート(本明細書では一般にシート222と呼ぶ)として提供される(又はその形態をとる)。特定の非限定的一実施例として、保護フィルム216は、ポリテトラフルオロエチレンガラス材料、例えばARMALONTMポリテトラフルオロエチレンガラス積層板から作製される。
【0058】
一実施例として、システム200は、保護フィルム216のロール(本明細書では一般にロール220と呼ぶ)へと丸められた連続シート222を含む。一実施例として、保護フィルム216は、担体層204(例えば炭素繊維ベール210)に対して剥離可能に連結される。
【0059】
第1のローラ224は、担体層204をロール208から、保護フィルム216をロール220から、それぞれ引き出して、担体層204と保護フィルム216を処理経路に沿って方向付ける又はガイドするように構成され得る。第1のローラ224は、シート206とシート222とを緊密に接触させるように構成することもできる。
【0060】
図9を参照すると、一実施例では、カーボンナノ材料複合材構造202は誘電層256を含む。誘電層256は、担体層204に連結され得る。一実施例として、誘電層256は、カーボンナノ材料226と液体236とのスラリー238を重ね合わせるステップ(ブロック108)の前に、担体層204に適用することができる。
図9に示すように、担体層204は、誘電層256とカーボンナノ材料構造242との間に配置され得る。一実施例として、担体層204への誘電層256の適用は、保護フィルム216の適用に関して本明細書に上述したプロセスに類似している。しかしながら、誘電層256は、担体層204から除去されなくてもよい。一実施例では、カーボンナノ材料複合材構造202は、担体層204に適用された保護フィルム216と誘電層256とを含む。例えば、保護フィルム216は、誘電層256に適用(例えば、剥離可能に連結)される(例えば、誘電層256は、担体層204と保護フィルム216との間に配置される)。誘電層256は、多孔質でも非多孔質でもよい(例えば、多孔質材料又は非多孔質材料から作製され得る)。
【0061】
図6を参照すると、複合材構造300の一実施例が開示されている。一実施例では、複合材構造300は、少なくとも一つの繊維強化ポリマー層302とカーボンナノ材料複合シート202とを含む。カーボンナノ材料複合シート202は、カーボンナノ材料構造242の層258と担体層204とを含み得る。担体層204は、多孔質金属化不織布材料を含むことができる。担体層204は、カーボンナノ材料構造242に接合され得る。一実施例では、担体層204は、カーボンナノ材料構造242に恒久的に接合される。一実施例では、カーボンナノ材料複合シート202は積層板である。一実施例では、カーボンナノ材料構造242は、ランダムに配向され、均一に分配されたカーボンナノチューブ228(又は他の種類のカーボンナノ材料226)の構造を含む。
【0062】
したがって、一実施例では、複合材構造300は複合材積層板である。一実施例として、複合材構造300は、一又は複数の繊維強化ポリマー層302を含む(例えば、
図6の実施例には三つの繊維強化ポリマー層302が示されている)。繊維強化ポリマー層302の各々は、ポリマーマトリックスによって接合された、強化繊維材料のシート、マット、又はプライを含み得る(明瞭に図示されていない)。繊維材料は、任意の適切な織布又は不織布(例えば、編物、組物、又はステッチ)の連続的な強化繊維又はフィラメントを含み得る。ポリマーマトリクス材料は、任意の適切な熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ)又は熱可塑性樹脂を含み得る。
【0063】
繊維強化ポリマー層302を作製するために、種々の既知のプロセス又は技術を使用することができる。一実施例として、繊維強化ポリマー層302の各々は、ドライレイアップとして知られる、ポリマーマトリックス材料が予備含浸された強化繊維材料のシート(例えばプリプレグ)を含む。一実施例として、繊維強化ポリマー層302の各々は強化繊維材料のシートを含み、ポリマーマトリックス材料は、ウェットレイアップとしても知られる、強化繊維材料に適用される。
【0064】
複合材構造300はまた、カーボンナノ材料複合シート202の少なくとも一つの層を含む。複合材構造300を作製するために、種々の既知のプロセス又は技術を使用することができる。例示的一実装態様では、繊維強化ポリマー層302とカーボンナノ材料複合シート202は、例えば型の内部で、連続的にレイアップされる(明瞭に図示されていない)。繊維強化ポリマー層302とカーボンナノ材料複合シート202とを共硬化させて複合材構造300を形成することができる。一実施例として、
図6に示すように、カーボンナノ材料複合シート202は複合材レイアップの最も外側の層である(例えば、複合材構造300の外面層を画定する)。一実施例として、カーボンナノ材料複合シート202は、複合材レイアップの内層である(例えば、複合材構造300の内層を画定する)。
【0065】
複合材構造300は、任意の所望の三次元(「3D」)形状を含み得る。3D形状は、複合材構造300の長さ寸法、幅寸法、高さ寸法及び/又は断面寸法を含む種々の寸法を含み得る。特定の非限定的一実施例として、複合材構造300は航空機の外板パネルである。
【0066】
したがって、本開示のカーボンナノ材料複合シート202は、複合材構造300を作製するための製造プロセスに統合することができる。カーボンナノ材料複合シート202は、複合材構造300に、追加の材料を必要とせずに、EMIに対する有効な遮蔽と落雷保護とを提供することができる。
【0067】
カーボンナノ材料複合シート202を含む複合材構造300は、拡大されたEMI遮蔽効果を有し、これは、各無線周波数(「RF」)帯がエレクトロニクスとアビオニクスに異なる影響を与えることから、特に航空宇宙の用途において特に有益であり得る。一実施例として、担体層204(例えば炭素繊維ベール210)を含むカーボンナノ材料複合シート202とカーボンナノ材料構造242とは、中波(約100MHzから約1GHz)及び高周波(約1GHz超)において有効なEMI遮蔽を提供する。一実施例として、ニッケルコーティング214(例えば、ニッケルコート炭素繊維ベール210)を有する担体層204とカーボンナノ材料構造242とを含むカーボンナノ材料複合シート202は、低周波(約100MHz未満)、中波(約100MHzから約1GHz)、及び高周波(約1GHz超)において有効なEMI遮蔽を提供する。
【0068】
担体層204、又は担体層204に連結された誘電層256としての誘電材料の使用は、例えば、落雷の際に雷電流を表面に保持し、その下に位置する複合材構造300中にエネルギーが到達して損傷を引き起こす前に、カーボンナノ材料複合シート202がそのようなエネルギーを伝導させることを可能にすることで、その下に位置する複合材構造300に対して避雷のためのバリヤを提供する。
【0069】
種々の実施例では、カーボンナノ材料複合シート202のために選択される材料は、特定の周波数又は周波数レンジのために所望のEMI遮蔽効果(デシベルで)(「dB」)を提供するように選択される。一実施例として、カーボンナノ材料構造242(絡んだカーボンナノ材料226のネットワークから形成される)は、カーボンナノ材料複合シート202に対し、中波及び高周波において有効なEMI遮蔽を提供する。導電性担体層204(例えば、導電材料又は金属コート材料から形成される)は、カーボンナノ材料複合シート202に対し、低周波において有効なEMI遮蔽を提供し得る。したがって、金属コーティング254(例えばニッケルコーティング214)を有する担体層204(例えば炭素繊維ベール210)とカーボンナノ材料構造242とを含むカーボンナノ材料複合シート202は、低周波、中波、及び高周波において有効なEMI遮蔽を提供し得る。金属コーティング254として使用されるニッケルは、有利には、低周波において最も高い遮蔽性能又は効果を提供し得る。
【0070】
いずれかの特定の理論に限定されるものではないが、担体層204の抵抗性の低下は、導電性の上昇と同等であり、したがって、例えば特に低周波におけるEMI遮蔽効果が増大する。
【0071】
図10には、複合シート202の種々の材料構成のEMI遮蔽効果が示されている。
図10は、第1の担体層204a、カーボンナノ材料構造242、第1のカーボンナノ材料複合シート202a、第2の担体層204b、第2のカーボンナノ材料複合シート202b、第3の担体層204c、及び第3のカーボンナノ材料複合シート202cの遮蔽効果の例を示している。
【0072】
一実施例として、カーボンナノ材料構造242は、カーボンナノ材料226の絡まったネットワークを含む。カーボンナノ材料構造242は、約58dBから約62dBの範囲の遮蔽効果を、約100MHzから約1GHzの範囲の周波数にわたって提供し得る。
【0073】
一実施例として、第1の担体層204aは導電材料を含む。導電材料は、導電材料層、金属コーティング(例えばニッケルコーティング)を有する導電材料層、又は金属コーティングを有する非導電材料層を含むことができる。第1の担体層204aは約0.1オームの抵抗性を有し得る。第1の担体層204aは、約58dBから約68dBの範囲の遮蔽効果を、約100MHzから約1GHzの範囲の周波数にわたって提供し得る。
【0074】
一実施例として、第1のカーボンナノ材料複合シート202aは第1の担体層204aとカーボンナノ材料構造242とを含む。第1のカーボンナノ材料複合シート202aは、約61dBから約78dBの範囲の遮蔽効果を、約100MHzから約1GHzの範囲の周波数にわたって提供し得る。
【0075】
一実施例として、第2の担体層204bは導電材料を含む。導電材料は、導電材料層、金属コーティング(例えばニッケルコーティング)を有する導電材料層、又は金属コーティングを有する非導電材料層を含むことができる。第2の担体層204bは約0.04オームの抵抗性を有し得る。第2の担体層204bは、約65dBから約75dBの範囲の遮蔽効果を、約100MHzから約1GHzの範囲の周波数にわたって提供し得る。
【0076】
一実施例として、第2のカーボンナノ材料複合シート202bは、第2の担体層204bとカーボンナノ材料構造242とを含む。第2のカーボンナノ材料複合シート202bは、約67dBから約86dBの範囲の遮蔽効果を、約100MHzから約1GHzの範囲の周波数にわたって提供し得る。
【0077】
一実施例として、第3の担体層204cは導電材料を含む。導電材料は、導電材料層、金属コーティング(例えばニッケルコーティング)を有する導電材料層、又は金属コーティングを有する非導電材料層を含むことができる。第3の担体層204cは約0.02オームの抵抗性を有し得る。第3の担体層204cは、約74dBから約78dBの範囲の遮蔽効果を、約100MHzから約1GHzの範囲の周波数にわたって提供し得る。
【0078】
一実施例として、第3のカーボンナノ材料複合シート202cは、第3の担体層204cとカーボンナノ材料構造242とを含む。第3のカーボンナノ材料複合シート202cは、約65dBから約97dBの範囲の遮蔽効果を、約100MHzから約1GHzの範囲の周波数にわたって提供し得る。
【0079】
一変形例では、本開示のカーボンナノ材料複合シートは、エラストマ性カーボンナノ材料複合シートである。換言すれば、本開示のエラストマ性カーボンナノ材料複合シートは、エラストマ材料を付加したカーボンナノ材料複合シートである。
図3に関して、即ち、カーボンナノ材料複合シート202がポリマー層262、ポリマー封入層264及び/又はプリプレグ材料266を含み、ポリマー層262、ポリマー封入層264及び/又はプリプレグ材料266がエラストマ材料を含むとき、本開示のカーボンナノ材料複合シート202はエラストマ性カーボンナノ材料複合シートであり得る。
【0080】
開示されるのは、本開示のエラストマ性カーボンナノ材料複合シートを組み込んだ複合材構造及び構造アセンブリである。本発明の範囲を逸脱することなく、本開示のエラストマ性カーボンナノ材料複合シートを組み込んだ種々の複合材構造及び種々の構造アセンブリを形成することができる。
【0081】
図11を参照すると、全体が400として示される構造アセンブリの一実施例は、第1の構造部材402、第2の構造部材404及び複合材構造406を含む。第1の構造部材402は、第2の構造部材404から間隔を空けて配置され、第1の構造部材402との間に空隙408を画定し得る。複合材構造406は、第1の構造部材402と第2の構造部材404との間の空隙408内に配置され得る。
【0082】
ナット及びボルト、ねじ、ピン、リベット等の第1の機械的ファスナ410は、構造アセンブリ400の第1の構造部材402を、複合材構造406に、及び更には任意選択的にその下に位置する部分構造414(例えば、航空機のリブ、ストリンガ、フレーム等)に、固定することができる。ナット及びボルト、ねじ、ピン、リベット等の第2の機械的ファスナ412は、第2の構造部材404を、複合材構造406に、及び更には任意選択的にその下に位置する部分構造414に固定することができる。
【0083】
構造アセンブリ400の第1の構造部材402及び第2の構造部材404は、まとめて接合されることが望ましい様々な構造(例えば、航空機構造等)であってよい。一般的な実施例として、第1の構造部材402及び第2の構造部材404は、複合材パネル、例えば航空機胴体の外側外板を形成する複合材パネルである。特定の一実施例として、第1の構造部材402及び第2の構造部材404は、カーボンナノ材料複合シート202と複数の繊維強化ポリマー層302とを含む最も外側の層を含む、
図6に示される複合材構造300を有する複合材パネルである。
【0084】
図11を更に参照すると、複合材構造406は、第1の構造部材402と第2の構造部材404との間の空隙408内、並びに第1の構造部材402と第2の構造部材404との間の空隙409内に配置されたガスケットと、その下に位置する部分構造414であり得る。特定の一構成では、複合材構造406は、本体部分416と、本体部分416に接続して本体部分から突出するフランジ部分418とを含む。複合材構造406の本体部分416は、第1の構造部材402と第2の構造部材404との間の空隙408内に受容されるサイズ及び形状であり得る。複合材構造406のフランジ部分418は、第1及び第2の構造部材402、404の下面420、422、及びその下に位置する部分構造414の間の空隙409内に受容されるサイズ及び形状であり得る。
【0085】
図12に示すように、本開示の複合材構造406は、レイアップされて硬化された複数の本開示のエラストマ性カーボンナノ材料複合シート450から形成され得る。各エラストマ性カーボンナノ材料複合シート450は、断面厚T
S(
図13)を有し得る。したがって、複合材構造406を形成するために使用されるエラストマ性カーボンナノ材料複合シート450の総数は、例えば、各エラストマ性カーボンナノ材料複合シート450の断面厚T
S、複合材構造406の本体部分416の所望の断面厚T
B、及び複合材構造406のフランジ部分418の所望の断面厚T
Fに応じて決定され得る。例えば(且つ非限定的に)、各エラストマ性カーボンナノ材料複合シート450が約0.0061インチの断面厚T
Sを有するとき、二十八枚のエラストマ性カーボンナノ材料複合シート450は、約0.176インチの断面厚T
Bを有する本体部分416を生成し、五枚のエラストマ性カーボンナノ材料複合シート450は、約0.030インチの断面厚T
Fを有するフランジ部分418を生成する。
【0086】
図13を参照すると、本開示のエラストマ性カーボンナノ材料複合シート450は、担体層502、カーボンナノ材料構造504及びエラストマ材料506を含み得る。担体層502及びカーボンナノ材料構造504には、エラストマ材料506を含浸させることができる。
【0087】
エラストマ性カーボンナノ材料複合シート450の担体層502は、本開示のカーボンナノ材料複合シート202(
図3)の担体層204(
図3)を形成する多孔質材料と同じ(又は類似の)多孔質材料508から形成することができる。担体層502を形成するために適した種々の多孔質材料が、本明細書に開示される。一般的且つ非限定的な一実施例として、担体層502を形成する多孔質材料508は不織布である。特定の非限定的一実施例として、担体層502を形成する多孔質材料508は、炭素繊維(例えば炭素繊維ベール)である(又はそれを含む)。
【0088】
エラストマ性カーボンナノ材料複合シート450の担体層502は、多孔質材料508に適用される金属コーティング510を含むことができる。金属コーティング510としての(又は同コーティング中における)使用に適した種々の金属材料が本明細書に開示される。特定の非限定的一実施例として、金属コーティング510はニッケルである(又はそれを含む)。
【0089】
エラストマ性カーボンナノ材料複合シート450のカーボンナノ材料構造504は、担体層502に適用することができる。例えば、カーボンナノ材料構造504は、カーボンナノ材料構造504のカーボンナノ材料の少なくとも一部が担体層502の厚みを通して散在するように担体層502に適用され、カーボンナノ材料構造504が担体層502に恒久的に接合されるように担体層502と絡まっている。カーボンナノ材料構造504(例えばカーボンナノ材料)の組成について、カーボンナノ材料複合シート202(
図3)のカーボンナノ材料構造242(
図3)に関連してここで更に詳細に記載する。同様に、カーボンナノ材料構造504を担体層502に適用するための方法が、担体層204(
図3)に適用されているカーボンナノ材料構造242に関連してここで更に詳細に記載される(例えば、
図2及び5参照)。
【0090】
担体層502及びカーボンナノ材料構造504(集約的に、担体/カーボンナノ材料の組み合わせ)には、エラストマ材料506を含浸させることができる。例えば、ここで更に詳細に開示されるように、担体層502及びカーボンナノ材料構造504は、エラストマ材料506の第1の層506Aとエラストマ材料506の第2の層506Bとの間に挟まれている。したがって、エラストマ材料506は、本開示のエラストマ性カーボンナノ材料複合シート450の樹脂マトリックスとして機能し得る。
【0091】
エラストマ性カーボンナノ材料複合シート450のエラストマ材料506の組成は、本発明の範囲を逸脱することなく、変更され得る。最終用途に応じて、エラストマ性カーボンナノ材料複合シート450のためのエラストマ材料を選択するとき、最高実用温度及び耐薬品性(例えば、燃料及び/又は作動油に対する)といった要因を考慮することができる。
【0092】
エラストマ性カーボンナノ材料複合シート450のためのエラストマ材料を選択するとき、粘弾性も考慮されてよい。一表現では、エラストマ材料506は、その元の構成から少なくとも5パーセント可逆的に延伸することのできる粘弾性ポリマーということができる。別の表現では、エラストマ材料506は、その元の構成から少なくとも10パーセント可逆的に延伸することのできる粘弾性ポリマーということができる。別の表現では、エラストマ材料506は、その元の構成から少なくとも50パーセント可逆的に延伸することのできる粘弾性ポリマーということができる。別の表現では、エラストマ材料506は、その元の構成から少なくとも100パーセント可逆的に延伸することのできる粘弾性ポリマーということができる。
【0093】
本開示のエラストマ性カーボンナノ材料複合シート450のエラストマ材料506として使用するために適したエラストマ材料の複数の一般的実施例には、限定されないが、天然ゴム、合成ゴム及びフルオロエラストマが含まれる。当業者であれば、本開示のエラストマ性カーボンナノ材料複合シート450 において使用するために適したエラストマ材料は、熱硬化性(熱硬化性エラストマ材料)又は熱可塑性(熱可塑性エラストマ材料)とすることができると分かるであろう。本開示のエラストマ性カーボンナノ材料複合シート450のエラストマ材料506として使用するために適したエラストマ材料の特定の非限定的一実施例は、ニトリルゴムである。本開示のエラストマ性カーボンナノ材料複合シート450のエラストマ材料506として使用するために適したエラストマ材料の他の特定の実施例には、限定されないが、The Chemours Company(Wilmington,Delaware)から市販されているVITONTMフルオロエラストマ、Solvay(Bruxelles,Belgium)から市販されているTECNOFLON(登録商標)フルオロエラストマ、及びAsahi Glass Company(Tokyo,Japan)から市販されているAFLAS(登録商標)フルオロエラストマが含まれる。
【0094】
様々な方法を使用して、本開示のエラストマ性カーボンナノ材料複合シート450を製造することができる。
図14を参照すると、全体を550で示す、エラストマ性カーボンナノ材料複合シートを製造するための例示的一方法は、ブロック555の、カーボンナノ材料構造の層を担体層に適用して担体/カーボンナノ材料の組み合わせを生成するステップから開始される。担体層は、多孔質材料と多孔質材料に適用された金属コーティングとを含むことができる。カーボンナノ材料構造の層を担体層に適用するステップ(ブロック555)は、
図2及び5に記載されており、ここに開示される。
【0095】
ブロック560では、エラストマ材料は、担体/カーボンナノ材料の組み合わせに適用される。種々の技術を使用して、エラストマ材料を担体/カーボンナノ材料の組み合わせに適用することができる。
【0096】
図15を参照すると、一実施例として、エラストマ材料を担体/カーボンナノ材料の組み合わせに適用するステップ(
図14のブロック560)は、エラストマ材料適用システム600によって実施される。エラストマ材料適用システム600には、
図5で生成されたカーボンナノ材料複合シート202(担体/カーボンナノ材料の組み合わせ;ポリマー層262等なし)のロール252が供給される。ロール252は、カーボンナノ材料複合シート202を圧縮ローラ604A、604Bによって画定されたニップ602中へ供給するために繰り出すことができる。保護フィルム216は、存在する場合、カーボンナノ材料複合シート202から分離して巻き取りロール606上に巻き付けることができる。
【0097】
第1のエラストマ材料ロール608は、エラストマ材料506(
図13)の第1のシート610と、任意選択的な第1のバッキング/剥離フィルム 611とをニップ602中へ供給するために繰り出すことができる。第1のシート610は、カーボンナノ材料複合シート202の上に適用され得る。任意選択的に、第2のエラストマ材料ロール612は、エラストマ材料506の第2のシート614(及び任意選択的な第2のバッキング/剥離フィルム(図示しない))をニップ602中へ供給するために繰り出すことができる。第2のシート614は、カーボンナノ材料複合シート202の下に適用され得る。したがって、カーボンナノ材料複合シート202は、エラストマ材料506の第1のシート610とエラストマ材料506の第2のシート614との間に挟まれ得る。シート202とエラストマ材料506との組み合わせが、第1及び第2のバッキング/剥離フィルム611間に挟まれてもよい。
【0098】
シート202、610、614は、ニップ602を出て熱板616によって加熱され得る。加熱シート202、610、614は次いで、圧縮ローラ622A、622B、626A、626B、630A、630Bによって画定された一連のニップ620、624、628を通過し得る。熱及び圧力の組み合わせ(ニップ620、624、628によって供給される)は、シート610、614のエラストマ材料506でシート202を含浸することによる本開示のエラストマ性カーボンナノ材料複合シート450の生成を容易にすることができる。
【0099】
エラストマ性カーボンナノ材料複合シート450は、ニップ628を出て、冷板632によって冷却され得る。その結果得られる冷却されたエラストマ性カーボンナノ材料複合シート450は、任意選択的にスリッタ634によってトリミングされ、その結果得られるトリミング及び冷却後のエラストマ性カーボンナノ材料複合シート450は、ローラ636上に巻き付けることができる。第1のバッキング/剥離フィルム611は、分離して、ローラ636の前の巻き取りロール638上に巻き付けることができる。
【0100】
更には、第1の構造部材を第2の構造部材に接合するための方法が開示される。
図16を参照すると、全体を700で示す本開示の方法の一実施例は、ブロック702の、第1の構造部材と第2の構造部材との間に複合材構造を配置するステップから開始される。本複合材構造は、多孔質材料と多孔質材料に適用される金属コーティングとを含む担体層、担体材料に適用される、カーボンナノ材料を含むカーボンナノ材料構造の層、及びエラストマ材料を含むエラストマ性カーボンナノ材料複合シートを含むことができ、担体層及びカーボンナノ材料構造にはエラストマ材料が含浸される。ブロック704では、第1の構造部材が複合材構造に接続され得る。ブロック706では、第2の構造部材が複合材構造に接続され得る。
【0101】
したがって、本開示のエラストマ性カーボンナノ材料複合シート及びそれから形成される複合材構造は、構造部材を機械的に接合することを容易にする。しかしながら、本開示のエラストマ性カーボンナノ材料複合シートから形成される複合材構造の組成物と、このような組成物/構造に関連付けられる、特に平面の(x-y平面)導電性とに起因して、このような複合材構造は、二つの接合された構造部材が電磁気的に単一の統合パネルとして挙動するように、構造部材を電磁気的に接合することも容易にする。
【0102】
本開示の実施例は、
図7に示す航空機の製造及び保守方法1100、並びに
図8に示す航空機1200の観点から説明することができる。
【0103】
製造前の段階では、図示の方法1100は、例えばカーボンナノ材料複合シートの設計を含む、ブロック1102に示される航空機1200の仕様及び設計と、ブロック1104に示される材料の調達とを含み得る。製造段階では、航空機1200の、ブロック1106に示される構成要素及びサブアセンブリの製造、並びにブロック1108に示されるシステムインテグレーションが実施され得る。本明細書に記載された、カーボンナノ材料複合シートの生産及び複合材構造におけるカーボンナノ材料複合シートの使用は、生産の一部、つまりコンポーネント及びサブアセンブリの製造ステップ(ブロック1106)及び/又はシステムインテグレーション(ブロック1108)として達成され得る。その後、航空機1200は、ブロック1110に示される認可及び納品を経て、ブロック1112に示される運航に供される。運航期間中、航空機1200は、ブロック1114に示される定期的な整備及び保守が予定され得る。定期的な整備及び保守は、航空機1200の一又は複数のシステムの修正、再構成、改修等を含み得る。
【0104】
例示的な方法1100のプロセスの各々は、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば顧客)によって実行又は実施され得る。本明細書の目的のために、システムインテグレータは、任意の数の航空機製造業者及び主要システム下請業者を含み得るがそれらに限定されず、第三者は、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含み得るがそれらに限定されず、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関等であり得る。
【0105】
図8に示すように、例示的方法1100によって製造された航空機1200は、例えば、本開示のカーボンナノ材料複合シート(例えばエラストマ性カーボンナノ材料複合シート)と、複数の高レベルシステム1204及び内装1206とを含む構造アセンブリを有する機体1202を含むことができる。高レベルシステム1204の例には、推進システム1208、電気システム1210、油圧システム1212、及び環境システム1214のうちの一又は複数が含まれる。任意の数の他のシステムが含まれてもよい。航空宇宙産業の例を示しているが、本明細書で開示されている原理は、自動車産業、海洋産業等といった他の産業にも適用され得る。
【0106】
本明細書に示され記載された装置及び方法は、製造及び保守方法1100の、一又は複数の任意の段階の間に利用され得る。例えば、構成要素及びサブアセンブリの製造(ブロック1106)に対応する構成要素又はサブアセンブリは、航空機1200の運航(ブロック1112)期間中に製造される構成要素又はサブアセンブリと同じように作製又は製造され得る。また、装置、方法、又はそれらの組み合わせの一又は複数の実施例は、例えば、航空機1200の有効なEMI遮蔽及び/又は避雷を増大させることにより、製造段階(ブロック1108及び1110)で利用され得る。同様に、装置、方法、又はこれらの組み合わせの一又は複数の実施例は、例えば、限定されないが、航空機1200の運航(ブロック1112)中に、及び整備及び保守段階(ブロック1114)で利用され得る。
【0107】
更に、本開示は、以下の条項による実施形態を含む。
条項1. 多孔質材料と前記多孔質材料に適用された金属コーティングとを含む担体層;
前記担体層に適用された、カーボンナノ材料を含むカーボンナノ材料構造の層;及び
エラストマ材料
を含むエラストマ性カーボンナノ材料複合シートを備える複合材構造であって、前記担体層及び前記カーボンナノ材料構造に前記エラストマ材料が含浸されている、複合材構造。
条項2. 複数の前記エラストマ性カーボンナノ材料複合シートを備える、条項1の複合材構造。
条項3. ガスケットとして構成される、条項1の複合材構造。
条項4. 前記ガスケットが、本体部分と、前記本体部分に接続するフランジ部分とを含む、条項3の複合材構造。
条項5. 前記多孔質材料が不織布である、条項1の複合材構造。
条項6. 前記多孔質材料が炭素繊維を含む、条項1の複合材構造。
条項7. 金属コーティングがニッケルを含む、条項1の複合材構造。
条項8. 前記カーボンナノ材料構造の前記カーボンナノ材料の少なくとも一部が、前記担体層の厚みを通して散在し、前記カーボンナノ材料構造が前記担体層に恒久的に接合されるように前記担体層と絡まっている、条項1の複合材構造。
条項9. 前記カーボンナノ材料構造が、ランダムに配向され、均一に分配された前記カーボンナノ材料の構造を含む、条項1の複合材構造。
条項10. 前記カーボンナノ材料が、カーボンナノチューブ、カーボンナノ粒子、カーボンナノスフェア及びグラフェンのうちの少なくとも一つを含む、条項1の複合材構造。
条項11. 前記エラストマ材料が合成ゴムである、条項1の複合材構造。
条項12. 前記エラストマ材料がニトリルゴムを含む、条項1の複合材構造。
条項13. 前記エラストマ材料がフルオロエラストマを含む、条項1の複合材構造。
条項14. 前記エラストマ材料が熱可塑性エラストマ材料を含む、条項1の複合材構造。
条項15. 前記エラストマ材料が熱硬化性エラストマ材料を含む、条項1の複合材構造。
条項16. 第1の構造部材;
前記第1の構造部材から間隔を空けて配置され、前記第1の構造部材との間に空隙を形成する、第2の構造部材;及び
前記空隙内に配置された条項1の複合材構造
を備える構造アセンブリ。
条項17. 前記第1の構造部材が第1の複合材パネルであり、前記第2の構造部材が第2の複合材パネルである、条項16の構造アセンブリ。
条項18. 第1の構造部材と第2の構造部材とを接合するための方法であって:
条項1の前記複合材構造を前記第1の構造部材と前記第2の構造部材との間に配置すること;
前記第1の構造部材を前記複合材構造に接続すること;及び
前記第2の構造部材を前記複合材構造に接続すること
を含む方法。
条項19. 前記複合材構造が:
前記第1の構造部材と前記第2の構造部材との間の連続する均一な電磁経路;及び
前記第1の構造部材と前記第2の構造部材との間の連続する均一な電気経路
のうちの少なくとも一つを形成する、条項18に記載の方法。
条項20. エラストマ性カーボンナノ材料複合シートを製造するための方法であって:
カーボンナノ材料構造の層を、多孔質材料と前記多孔質材料に適用された金属コーティングとを含む担体層に適用し、担体/カーボンナノ材料の組み合わせを生成すること;及び
エラストマ材料を前記担体/カーボンナノ材料の組み合わせに適用すること
を含む方法。
条項21. 前記エラストマ材料がシート形態であり、前記前記エラストマ材料を前記担体/カーボンナノ材料の組み合わせに適用することが、前記シート形態の前記エラストマ材料を前記担体/カーボンナノ材料の組み合わせの上に置き、レイアップを形成することを含む、条項20の方法。
条項22. 前記エラストマ材料を前記担体/カーボンナノ材料の組み合わせに適用することが、前記レイアップを加熱すること、及び前記レイアップを圧縮することのうちの少なくとも一つを含む、条項21の方法。
条項23. 前記エラストマ材料を前記担体/カーボンナノ材料の組み合わせに適用することが、前記エラストマ材料の第1の層と前記エラストマ材料の第2の層との間に前記担体/カーボンナノ材料の組み合わせを挟むことを含む、条項20の方法。
【0108】
本開示のカーボンナノ材料複合シートと、それに関連する複合材構造及び方法の種々の実施例を図示及び記載したが、本明細書を読んだ当業者であれば、修正例を想起可能であろう。本願は、そのような修正例を含み、且つ特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。