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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】火災報知設備
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20231127BHJP
【FI】
G08B17/00 D
G08B17/00 L
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019015005
(22)【出願日】2019-01-31
(65)【公開番号】P2020123182
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】小山 清明
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-538802(JP,A)
【文献】米国特許第04864519(US,A)
【文献】特開2000-278295(JP,A)
【文献】特開2015-177402(JP,A)
【文献】実開平05-002294(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B17/00-17/12
23/00-31/00
H04L12/42-12/437
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信機と、
前記受信機に接続されたループ伝送路に直列に接続されて、前記ループ伝送路の自身の両側に位置する伝送路の接続状態を切り替える複数の短絡切離し装置と、
を備えた火災報知設備に於いて、
前記短絡切離し装置は、
前記ループ伝送路において固有のアドレスを有し、
非給電状態及び給電開始時には前記伝送路を接続断状態とし、
前記給電開始後に前記固有のアドレスを含む起動呼出信号を前記受信機から受信したときに前記伝送路を接続状態とすると共に起動応答信号を前記受信機に送信し、
前記受信機は、前記起動応答信号を受信した順に前記短絡切離し装置が配置されていることを接続順番情報として記憶し、
前記ループ伝送路の所定の伝送路で短絡が発生したときには、
前記短絡が発生した伝送路の両側に位置する前記短絡切離し装置は、当該伝送路を接続断状態とする短絡切離し動作を行うと共に、前記受信機からの呼出信号に対応する呼出応答信号として短絡切り離し動作信号を送信し、
前記受信機は、前記短絡切り離し動作信号及び前記接続順番情報に基づき短絡箇所を特定し、
前記ループ伝送路の所定の伝送路で断線が発生したときには、
前記受信機は、断線検出を行い、自身からの呼出信号に対応する前記短絡切離し装置からの短絡状態が検出されない呼出応答信号及び前記接続順番情報に基づき断線箇所を特定することを特徴とする火災報知設備。
【請求項2】
受信機と、
前記受信機に接続されたループ伝送路に直列に接続されて、前記ループ伝送路の自身の両側に位置する伝送路の接続状態を切り替える複数の短絡切離し装置と、
を備えた火災報知設備に於いて、
前記短絡切離し装置は、
前記ループ伝送路において固有のアドレスを有し、
非給電状態及び給電開始時には前記伝送路を接続断状態とし、
前記給電開始後に前記固有のアドレスを含む起動呼出信号を前記受信機から受信したときに前記伝送路を接続状態とすると共に起動応答信号を前記受信機に送信し、
前記受信機は、
前記起動応答信号を受信した順に前記短絡切離し装置が配置されていることを接続順番情報として記憶し、
前記ループ伝送路の断線又は短絡による線路障害検出時に、ループ伝送路の始端側及び終端側から前記短絡切離し装置に呼出信号を送信し、
前記始端側からの呼出信号に対応する呼出応答信号のうち、前記接続順番情報において最も終端側に近い前記短絡切離し装置に対応する前記呼出応答信号に基づき始端側最後の短絡切離し装置として特定し、
前記終端側からの呼出信号に対応する前記呼出応答信号のうち、前記接続順番情報において最も始端側に近い前記短絡切離し装置に対応する前記呼出応答信号に基づき終端側最後の短絡切離し装置として特定し、
前記始端側最後の短絡切離し装置と前記終端側最後の短絡切離し装置の間に線路障害箇所があることを特定することを特徴とする火災報知設備。
【請求項3】
請求項2記載の火災報知設備に於いて、
前記受信機は、前記始端側最後の短絡切離し装置と前記終端側最後の短絡切離し装置が前記接続順番情報において隣接していない場合に、前記前記始端側最後の短絡切離し装置と前記終端側最後の短絡切離し装置の間に複数の線路障害があることを特定することを特徴とする火災報知設備。
【請求項4】
請求項2記載の火災報知設備に於いて、
前記ループ伝送路の所定の伝送路に短絡が発生した場合に、短絡が発生した伝送路の両側に位置する前記短絡切離し装置が当該伝送路を接続断状態とする短絡切離し動作を行うことを特徴とする火災報知設備。
【請求項5】
請求項4記載の火災報知設備に於いて、
前記短絡切離し装置は、前記短絡切離し動作を行った場合に前記呼出応答信号として短絡切離し動作信号を前記受信機に送信し、
前記受信機は、
前記短絡切離し動作信号を受信して短絡を検出した場合には、前記始端側最後の短絡切離し装置と前記終端側最後の短絡切離し装置の間に短絡箇所があると特定し、
前記短絡切離し動作信号を受信せずに断線を検出した場合には、前記始端側最後の短絡切離し装置と前記終端側最後の短絡切離し装置の間に断線箇所があることを特定することを特徴とする火災報知設備。
【請求項6】
請求項4記載の火災報知設備に於いて、
前記短絡切離し装置は、
前記伝送路の接続状態を切り替えるスイッチと、
前記スイッチと直列に接続された電流制限抵抗と、
前記電流制限抵抗に並列接続された電流制限解除スイッチと、
を備え、
前記スイッチにより前記伝送路を接続したときに前記電流制限抵抗を介して1次側から2次側に電源を供給して電流制限し、所定の突入電流設定時間が経過したときに前記電流制限解除スイッチを介した電源の供給に切り替えて前記電流制限を解除することを特徴とする火災報知設備。
【請求項7】
請求項5記載の火災報知設備に於いて、
前記短絡切離し装置は、前記短絡切離し動作を行った場合に短絡切離しを報知し、
前記受信機は、前記断線検出時に前記始端側最後の短絡切離し装置と前記終端側最後の短絡切離し装置に最後の短絡切離し装置を示す信号を送信し、
前記最後の短絡切離し装置を示す信号を受信した短絡切離し装置は断線を報知することを特徴とする火災報知設備。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の火災報知設備に於いて、
前記受信機は、前記接続順番情報に関するノードマップを生成して表示することを特徴とする火災報知設備。
【請求項9】
受信機に対しネットワーク回線を介して1又は複数の中継盤が接続され、前記中継盤に接続されたループ伝送路に火災感知器及び短絡切離し装置を含む端末を接続して火災を監視し、前記中継盤で火災を検出した場合に前記受信機に通知して火災警報を出力させる分散システムが構成された火災報知設備に於いて、
前記短絡切離し装置は、
前記ループ伝送路において固有のアドレスを有し、
非給電状態及び給電開始時には前記ループ伝送路の自身の両側に位置する伝送路を接続断状態とし、
前記給電開始後に前記固有のアドレスを含む起動呼出信号を前記中継盤から受信したときに前記伝送路を接続状態とすると共に起動応答信号を前記中継盤に送信し、
前記中継盤は、
前記起動応答信号を受信した順に前記短絡切離し装置が配置されていることを中継盤接続順番情報として前記受信機に送信し、
前記ループ伝送路の所定の伝送路で短絡が発生したときには、
前記短絡が発生した伝送路の両側に位置する前記短絡切離し装置は、当該伝送路を接続断状態とする短絡切離し動作を行うと共に、前記中継盤からの呼出信号に対応する呼出応答信号として短絡切り離し動作信号を送信し、
前記中継盤は、前記短絡切り離し動作信号及び前記中継盤接続順番情報に基づき短絡箇所を特定して、当該短絡箇所を特定した中継盤接続順番情報を前記受信機に送信し、
前記ループ伝送路の所定の伝送路で断線が発生したときには、
前記中継盤は、断線検出を行い、自身からの呼出信号に対応する前記短絡切離し装置からの短絡状態が検出されない呼出応答信号及び前記中継盤接続順番情報に基づき断線箇所を特定して、当該断線箇所を特定した中継盤接続順番情報を前記受信機に送信することを特徴とする火災報知設備。
【請求項10】
受信機と、
前記受信機に接続されたループ伝送路に直列に接続される複数の中継装置と、
を備えた火災報知設備に於いて、
前記中継装置は、前記ループ伝送路において固有のアドレスを有し、
前記受信機は、
前記ループ伝送路において前記中継装置が配置されている順番である接続順番情報を記憶し、
前記ループ伝送路の断線検出時に、
前記ループ伝送路の始端側及び終端側から前記中継装置のアドレスに対する呼出信号を送信し、
前記始端側からの呼出信号に対応する呼出応答信号のうち、前記接続順番情報により最も終端側に近い前記中継装置に対応する前記呼出応答信号をもとに始端側最後の中継装置を特定し、
前記終端側からの呼出信号に対応する呼出応答信号のうち、前記接続順番情報より最も始端側に近い前記中継装置に対応する前記呼出応答信号をもとに終端側最後の中継装置を特定し、
前記始端側最後の中継装置と前記終端側最後の中継装置の間に断線箇所があることを特定した接続順番情報を記憶することを特徴とする火災報知設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信機からのループ伝送路に火災感知器及び短絡切離し装置(ショートサーキットアイソレータ)を含む端末を接続して火災を監視する火災報知設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、R型として知られた火災報知設備にあっては、受信機から引き出された伝送路に、伝送機能を備えた火災感知器等の端末装置を接続し、火災検出時には、例えば火災感知器からの火災割込みに基づき、検索コマンドを発行して発報した火災感知器のアドレスを特定し、火災発生アドレスを表示すると共に、特定した火災感知器から火災データを収集して監視するようにしている。
【0003】
このように、火災を検出した火災感知器のアドレスが分かると、適切な避難誘導や消火活動が可能となり、特に規模の大きな設備の火災監視には不可欠な機能となっている。
【0004】
また、火災受信機から引き出された伝送路の断線障害に対する信頼性を確保するため、受信機に対しループ状に接続されたループ伝送路に火災感知器を接続して火災を監視する火災報知設備が知られている。
【0005】
図17は従来のループ伝送路を用いた火災報知設備の説明図である。図17に示すように、受信機10に設けられた伝送部100からは一対の信号線を用いた伝送路12が引き出され、伝送路12は受信機10から引き出された後に再び受信機10に戻るループ状に配置されている。以下、説明では、受信機10にループ状に接続された伝送路12を、ループ伝送路12という。
【0006】
ループ伝送路12の信号線間には伝送機能を備えた火災感知器16が接続されており、火災感知器16には固有の端末アドレスが設定され、伝送部100から線路電圧を変化させる電圧制御信号(下り信号)を送信し、火災感知器16からは線路電流を変化させる電流応答信号(上り信号)を送信することで、火災を監視している。
【0007】
また、ループ伝送路12の途中には、所定の回線長や回線位置毎に、ショートサーキットアイソレータとして知られた短絡切離し装置18が接続されている。
【0008】
受信機10に引き込まれたループ伝送路12の終端には、終端の信号線を伝送部100に切替え接続する終端スイッチ102が設けられており、通常監視状態で終端スイッチ102はオフとなり、ループ伝送路12の終端は伝送部100から切り離されている。
【0009】
運用中にループ伝送路12の途中で断線104が発生したとすると、ループ伝送路12の終端電圧が断たれたことにより断線を検出して終端スイッチ102をオンし、ループ伝送路12の終端に伝送部100が接続される。
【0010】
このため伝送部100からの電圧制御信号は、終端スイッチ102を介してループ伝送路12の終端側から断線104の発生箇所に向けて伝送され、断線104の発生場所とループ伝送路12の終端の間に接続されている火災感知器16との間での信号の送受信が可能となり、断線障害が発生しても、ループ伝送路12に接続された火災感知器16による火災監視機能が失われることはなく、高い信頼性が得られる。
【0011】
また、運用中にループ伝送路12で短絡が発生した場合には、短絡発生場所の両側に位置する短絡切離し装置18がスイッチ46をオフして短絡箇所をループ伝送路12から切り離す。短絡切離し装置18による短絡箇所の切離しが行われると、断線時と同様にループ伝送路12の終端電圧が断たれたことにより電圧監視部断線を検出して終端スイッチ102をオンし、伝送部100からの端末制御信号は、終端スイッチ102を介してループ伝送路12の終端側から断線104の発生箇所に向けて伝送され、短絡障害が発生しても、ループ伝送路12に接続された火災感知器16による火災監視機能が失われることはなく、高い信頼性が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2008-004033号公報
【文献】特開2010-114632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、このような従来のループ伝送路が設けられた火災報知設備にあっては、ループ伝送路12に断線が発生した場合、電圧監視部よる終端電圧の監視により受信機10はループ伝送路12に断線が発生したことが分かり、また、始端側と終端側から端末アドレスを指定した呼出信号に対する短絡切離装置18からの応答信号の受信により、断線箇所に対する始端側グループと終端グループに分けることはできるが、ループ伝送路12の何処で断線が発生したかを特定することができず、断線箇所の発見と修復に手間と時間がかかる問題がある。
【0014】
また、受信機10を立上げた場合に、受信機に対する短絡切離し装置18の接続順番は、ループ伝送路が正常であればループ伝送路12の始端側からの接続順番となり、ループ伝送路12に短絡又は断線が発生していた場合には、ループ伝送路12の始端と終端のそれぞれから短絡又は断線位置までの接続順番となるが、受信機10はループ伝送路12の状態に対応した短絡切離し装置18の接続順番を認識しておらず、断線箇所が特定できない問題に加え、短絡切離し装置18が設けられたループ伝送路12の運用管理が十分にできない問題がある。
【0015】
本発明は、短絡切離し装置が設けられたループ伝送路の運用管理を、断線箇所の特定を含めて適切に行うことで信頼性を高めた火災報知設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(火災報知設備)
本発明は、
受信機と、
受信機に接続されたループ伝送路に直列に接続されて、ループ伝送路の自身の両側に位置する伝送路の接続状態を切り替える複数の短絡切離し装置と、
を備えた火災報知設備に於いて、
短絡切離し装置は、
ループ伝送路において固有のアドレスを有し、
非給電状態及び給電開始時には伝送路を接続断状態とし、
給電開始後に固有のアドレスを含む起動呼出信号を受信機から受信したときに伝送路を接続状態とすると共に起動応答信号を受信機に送信し、
受信機は、起動応答信号を受信した順に短絡切離し装置が配置されていることを接続順番情報として記憶し、
ループ伝送路の所定の伝送路で短絡が発生したときには、
短絡が発生した伝送路の両側に位置する短絡切離し装置は、当該伝送路を接続断状態とする短絡切離し動作を行うと共に、受信機からの呼出信号に対応する呼出応答信号として短絡切り離し動作信号を送信し、
受信機は、短絡切り離し動作信号及び接続順番情報に基づき短絡箇所を特定し、
ループ伝送路の所定の伝送路で断線が発生したときには、
受信機は、断線検出を行い、自身からの呼出信号に対応する短絡切離し装置からの短絡状態が検出されない呼出応答信号及び接続順番情報に基づき断線箇所を特定することを特徴とする。
【0017】
(線路障害箇所の特定)
受信機と、
受信機に接続されたループ伝送路に直列に接続されて、ループ伝送路の自身の両側に位置する伝送路の接続状態を切り替える複数の短絡切離し装置と、
を備えた火災報知設備に於いて、
短絡切離し装置は、
ループ伝送路において固有のアドレスを有し、
非給電状態及び給電開始時には伝送路を接続断状態とし、
給電開始後に固有のアドレスを含む起動呼出信号を受信機から受信したときに伝送路を接続状態とすると共に起動応答信号を受信機に送信し、
受信機は、
起動応答信号を受信した順に短絡切離し装置が配置されていることを接続順番情報として記憶し、
ループ伝送路の断線又は短絡による線路障害検出時に、ループ伝送路の始端側及び終端側から短絡切離し装置に呼出信号を送信し、
始端側からの呼出信号に対応する呼出応答信号のうち、接続順番情報において最も終端側に近い短絡切離し装置に対応する呼出応答信号に基づき始端側最後の短絡切離し装置として特定し、
終端側からの呼出信号に対応する呼出応答信号のうち、接続順番情報において最も始端側に近い短絡切離し装置に対応する呼出応答信号に基づき終端側最後の短絡切離し装置として特定し、
始端側最後の短絡切離し装置と終端側最後の短絡切離し装置の間に線路障害箇所があることを特定する。
【0018】
(2箇所線路障害時の線路障害箇所特定)
受信機は、始端側最後の短絡切離し装置と終端側最後の短絡切離し装置が接続順番情報において隣接していない場合、始端側最後の短絡切離し装置と終端側最後の短絡切離し装置の間に複数の線路障害箇所があることを特定した接続順番情報を記憶する。
【0019】
(短絡切離し装置)
ープ伝送路の所定の伝送路に短絡が発生した場合に、短絡発生した伝送路の両側に位置する短絡切離し装置が当該伝送路を接続断状態とする短絡切離し動作行う。
【0020】
断線箇所特定及び短絡箇所特定)
短絡切離し装置は、短絡切離し動作を行った場合に呼出応答信号として短絡切離し動作信号を受信機に送信し、
受信機は、
短絡切離し動作信号を受信して短絡を検出した場合には、始端側最後の短絡切離し装置と終端側最後の短絡切離し装置の間に短絡箇所があると特定し、
短絡切離し動作信号を受信せずに断線を検出した場合には、始端側最後の短絡切離し装置と終端側最後の短絡切離し装置の間に断線箇所があることを特定する。
【0021】
(短絡切離し装置の突入電流制限構成)
短絡切離し装置は
伝送路間の接続状態を切り替えるスイッチと、
スイッチと直列に接続された電流制限抵抗と、
電流制限抵抗に並列接続された電流制限解除スイッチと、
を備え、
スイッチにより伝送路を接続したときに電流制限抵抗を介して1次側から2次側に電源を供給して電流制限し、所定の突入電流設定時間が経過したときに電流制限解除スイッチを介した電源の供給に切り替えて電流制限を解除する。
【0022】
短絡切離し装置の断線及び短絡の報知)
短絡切離し装置は、短絡切離し動作を行った場合に短絡切離しを報知し、
受信機は、断線検出時に始端側最後の短絡切離し装置と終端側最後の短絡切離し装置に最後の短絡切離し装置を示す信号を送信し、
最後の短絡切離し装置を示す信号を受信した短絡切離し装置断線を報知する。
【0023】
(ノードマップ表示)
受信機は、接続順番情報に関するノードマップを生成して表示する。
【0024】
(分散システムの中継盤)
受信機に対しネットワーク回線を介して1又は複数の中継盤が接続され、中継盤に接続されたループ伝送路に火災感知器及び短絡切離し装置を含む端末を接続して火災を監視し、中継盤で火災を検出した場合に受信機に通知して火災警報を出力させる分散システムが構成された火災報知設備に於いて、
短絡切離し装置は、
ループ伝送路において固有のアドレスを有し、
非給電状態及び給電開始時にはループ伝送路の自身の両側に位置する伝送路を接続断状態とし、
給電開始後に固有のアドレスを含む起動呼出信号を中継盤から受信したときに伝送路を接続状態とすると共に起動応答信号を中継盤に送信し、
中継盤は、
起動応答信号を受信した順に短絡切離し装置が配置されていることを中継盤接続順番情報として受信機に送信し、
ループ伝送路の所定の伝送路で短絡が発生したときには、
短絡が発生した伝送路の両側に位置する短絡切離し装置は、当該伝送路を接続断状態とする短絡切離し動作を行うと共に、中継盤からの呼出信号に対応する呼出応答信号として短絡切り離し動作信号を送信し、
中継盤は、短絡切り離し動作信号及び中継盤接続順番情報に基づき短絡箇所を特定して、当該短絡箇所を特定した中継盤接続順番情報を受信機に送信し、
ループ伝送路の所定の伝送路で断線が発生したときには、
中継盤は、断線検出を行い、自身からの呼出信号に対応する短絡切離し装置からの短絡状態が検出されない呼出応答信号及び中継盤接続順番情報に基づき断線箇所を特定して、当該断線箇所を特定した中継盤接続順番情報を受信機に送信する。
【0025】
(接続順番情報の記憶)
受信機と、
受信機に接続されたループ伝送路に直列に接続される複数の中継装置と、
を備えた火災報知設備に於いて、
中継装置は、ループ伝送路において固有のアドレスを有し、
受信機は、
ループ伝送路において中継装置が配置されている順番である接続順番情報を記憶し、
ループ伝送路の断線検出時に、
ループ伝送路の始端側及び終端側から中継装置のアドレスに対する呼出信号を送信し、
始端側からの呼出信号に対応する呼出応答信号のうち、接続順番情報より最も終端側に近い中継装置に対応する呼出応答信号をもとに始端側最後の中継装置を特定し、
終端側からの呼出信号に対応する呼出応答信号のうち、接続順番情報より最も始端側に近い中継装置に対応する呼出応答信号をもとに終端側最後の中継装置を特定し、
始端側最後の中継装置と終端側最後の中継装置の間に断線箇所があることを特定した接続順番情報を記憶することを特徴とする
【発明の効果】
【0026】
(基本的な効果)
本発明は、受信機と、受信機に接続されたループ伝送路に直列に接続されて伝送路の接続状態を切り替える複数の切離し装置と、を備えた火災報知設備に於いて、切離し装置は、ループ伝送路において固有のアドレスを有し、非給電状態及び給電開始時に伝送路を接続断状態とし、固有のアドレスを含む起動呼出信号を受信機から受信すると伝送路を接続状態とするとともに起動応答信号を送信し、受信機は、起動応答信号を受信した順に切離し装置が配置されていることを接続順番情報として記憶するようにしたため、受信機立上げ時の起動呼出信号の送信と起動応答信号の受信により、ループ伝送路における複数の短絡切離し装置の接続の順番が検出され、短絡切離し装置の接続順番を把握することができる。
【0027】
(断線時の断線箇所特定による効果)
また、受信機は、伝送路の断線検出時に、ループ伝送路の始端側及び終端側から切離し装置に呼出信号を送信し、始端側からの呼出信号に対応する応答信号のうち、接続順番情報より最も終端側に近い切離し装置に対応する応答信号をもとに始端側最後の切離し装置として特定し、終端側からの呼出信号に対応する応答信号のうち、接続順番情報より最も始端側に近い切離し装置に対応する応答信号をもとに終端側最後の切離し装置として特定し、始端側最後の切離し装置と終端側最後の切離し装置の間に断線箇所があることを特定した接続順番情報を記憶するようにしたため、始端側最後の切離し装置と終端側最後の切離し装置が把握できるので、ループ伝送路の断線位置を簡単且つ正確に把握し、断線位置の把握により修復作業を効率良く進めることができる。
【0028】
(2箇所断線時の断線箇所特定による効果)
また、受信機は、始端側最後の切離し装置と終端側最後の切離し装置が接続順番情報において隣接していない場合、始端側最後の切離し装置と終端側最後の切離し装置の間に複数の断線箇所があることを特定した接続順番情報を記憶するようにしたため、ループ伝送路の2箇所で断線が発生していた場合にも、始端側接続順番の最後の番号の短絡切離し装置とこれに隣接していない終端接続順番の最後の番号の短絡切離し装置の間に存在する2箇所の断線位置が簡単且つ正確に分かり、短絡位置の把握により修復作業を効率良く進めることができる。
【0029】
(短絡切離し装置の効果)
また、切離し装置は、ループ伝送路に短絡が発生した場合に、短絡発生場所の両側に位置する切離し装置が伝送路を接続断状態とする短絡切離し動作を行い、短絡発生場所をループ伝送路から切り離す短絡切離しを行うようにしたため、ループ伝送路の短絡箇所を切り離すことで、切離しを行った切離し装置の手前側のループ伝送路に接続されている感知器や発信機等による監視を正常に継続させることができる。
【0030】
(短絡時の短絡箇所特定による効果)
また、短絡切離し装置は、短絡切離し動作を行った場合に短絡切離し動作信号を受信機に送信し、受信機は、始端側から受信した短絡切離し動作信号をもとに始端側短絡切離し装置を特定し、終端側から受信した短絡切離し動作信号をもとに終端側短絡切離し装置を特定し、始端側短絡切離し装置と終端側短絡切離し装置の間に断線箇所があることを特定した接続順番情報を記憶するようにしたため、ループ伝送路の短絡切離し状態にある2台の短絡切離し装置及びその間の短絡位置を簡単且つ正確に把握し、短絡位置の把握により修復作業を効率良く進めることができる。
【0031】
(短絡切離し装置の突入電流制限構成による効果)
また、短絡切離し装置は、ループ伝送路を接続断とするスイッチと、スイッチと直列に接続された電流制限抵抗と、電流制限抵抗に並列接続された電流制限解除スイッチとを備え、スイッチによりループ伝送路を接続した場合に電流制限抵抗を介して1次側から2次側に電源を供給して電流制限し、所定の突入電流設定時間が経過したときに電流制限解除スイッチによりループ伝送路を接続して電流制限を解除するようにしたため、短絡切離し装置は受信機からの起動呼出信号によりスイッチをオンすると2次側に向けて突入電流が流れるが、電流制限抵抗により突入電流が制限され、短絡切離し装置のスイッチオンによる突入電流を受信機側で過電流と誤って判断してしまうことを確実に防止可能とする。
【0032】
(短絡切離し装置の断線及び短絡の報知による効果)
また、短絡切離し装置は、短絡切離し動作を行った場合に短絡切離しを報知し、受信機は、断線検出時に始端側最後の切離し装置と終端側最後の切離し装置に最後の短絡切離し装置を示す信号を送信し、最後の短絡切離し装置を示す信号を受信した短絡切離し装置は、断線を報知するようにしたため、ループ伝送路の短絡発生で短絡切離しを行った短絡切離し装置はその旨を表示灯の作動等で報知し、また、ループ伝送路の断線箇所の両側に位置する切離し装置で断線を表示灯の作動等で報知することで、ループ伝送路の短絡箇所又は断線箇所の現場での特定を簡単且つ容易に行うことを可能とする。
【0033】
(ノードマップ表示の効果)
また、受信機は、接続順番情報に関するノードマップを生成して表示するようにしたため、受信機におけるノードマップの表示により、複数の短絡切離し装置が設けられたループ伝送路が正常に機能していること、複数の短絡切離し装置の受信機に対する接続順番、断線発生時の断線箇所、短絡発生時の箇所を簡単且つ正確に知り、ループ伝送路の適切な運用管理を可能にして設備の信頼性を高めることができる。
【0034】
(分散システムの中継盤による効果)
また、本発明の別の形態にあっては、受信機に対しネットワーク回線を介して1又は複数の中継盤が接続され、中継盤に接続されたループ伝送路に火災感知器及び短絡切離し装置を含む端末を接続して火災を監視し、中継盤で火災を検出した場合に受信機に通知して火災警報を出力させる分散システムが構成されており、切離し装置は、ループ伝送路において固有のアドレスを有し、非給電状態及び給電開始時に伝送路を接続断状態とし、固有のアドレスを含む起動呼出信号を中継盤から受信すると伝送路を接続状態とするとともに起動応答信号を送信し、中継盤は、起動応答信号を受信した順に切離し装置が配置されていることを中継盤接続順番情報として受信機に送信し、受信機は、中継盤接続順番情報に関する中継盤ノードマップを生成して表示するようにしたため、受信機に接続された中継盤から引き出されたループ伝送路の短絡切離し装置についても、中継盤に接続したループ伝送路における短絡切離し装置の接続順番を示すノードマップが表示され、短絡切離し装置の接続順番による動作状態を簡単且つ正確に知ることができる。
【0035】
(中継盤の接続順番情報に基づく断線表示と短絡表示の効果)
また、伝送路の断線発生時に、中継盤は、断線検出を行い、短絡切離し装置の応答信号と中継盤接続順番情報をもとに断線箇所を特定した中継盤接続順番情報を受信機に送信し、伝送路の短絡発生時に、短絡切離し装置は、短絡切離し動作を行った場合に短絡切離し動作信号を中継盤に送信し、中継盤は、短絡切離し動作信号と接続順番情報をもとに短絡箇所を特定した中継盤接続順番情報を受信機に送信し、受信機は、中継盤接続順番情報に関する中継盤ノードマップを生成して表示するようにしたため、受信機に接続された中継盤から引き出されたループ伝送路の短絡切離し装置についても、中継盤に接続したループ伝送路の短絡箇所又は断線箇所を示すノードマップが表示され、短絡箇所又は断線箇所を簡単且つ正確に把握して修復作業を効率良く進めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】ループ伝送路が正常な状態で受信機が立ち上げられた場合の伝送部と端末の詳細を示したブロック図
図2】ループ伝送路が正常な場合の受信機立上げ時の伝送部と端末の詳細を示したブロック図
図3】伝送部により送受信される下り信号と上り信号を示したタイムチャート
図4】短絡切離し装置の実施形態を示した回路ブロック図
図5】ループ伝送路が正常な場合に表示されるノードマップを示した説明図
図6】ループ伝送路に短絡がある場合の伝送部と端末の詳細を示したブロック図
図7】ループ伝送路に短絡がある場合に表示されるノードマップを示した説明図
図8】ループ伝送路の2箇所に短絡がある場合の伝送部と端末の詳細を示したブロック図
図9】ループ伝送路の2箇所に短絡がある場合に表示されるノードマップを示した説明図
図10】ループ伝送路に断線がある場合の伝送部と端末の詳細を示したブロック図
図11】ループ伝送路に断線がある場合に表示されるノードマップを示した説明図
図12】ループ伝送路の2箇所に断線がある場合の伝送部と端末の詳細を示したブロック図
図13】ループ伝送路の2箇所に断線がある場合に表示されるノードマップを示した説明図
図14】受信機立上げ制御を示したフローチャート
図15】短絡切離し装置立上げ制御を示したフローチャート
図16】受信機に対し中継盤が通信回線で接続された分散システムを構成する火災報知設備の実施形態を示した説明図
図17】ループ伝送路を用いた従来の報知設備を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0037】
[火災報知設備]
(火災報知設備の概要)
図1はループ伝送路により火災監視を行う火災報知設備の概要を示した説明図である。図1に示すように、火災報知設備が設置された建物の一階の管理人室などには例えばR型の受信機10が設置され、受信機10から警戒区域に対し一対の信号線14a,14bを用いたループ伝送路12が例えば2回線引き出されている。
【0038】
ループ伝送路12には固有のアドレスが設定された伝送機能を有する複数の火災感知器16が接続されている。また、火災感知器16の間のループ伝送路12には、ループ伝送路12の短絡を検出して切り離すショートサーキットアイソレータとして知られた短絡切離し装置18が接続され、短絡切離し装置18は火災感知器16と同様に固有のアドレスが設定され、伝送機能を有する。
【0039】
ここで、ループ伝送路12に接続される火災感知器16及び短絡切離し装置18を含む端末に設定される最大アドレス数は例えば255としており、ループ伝送路12には最大254台の火災感知器16及び短絡切離し装置18を含む端末が接続できる。
【0040】
また、図1にあっては、説明を分かり易くするため、火災感知器16を6台、短絡切離し装置18を5台接続とし、火災感知器16及び短絡切離し装置18のアドレスをループ伝送路12の始端側からA1,A2・・・A11としている。
【0041】
(受信機の概要)
受信機10には、メインCPU20と複数のサブCPU基板22-1,22-2が設けられ、サブCPU基板22-1,22-2にはサブCPU24と伝送部26が設けられている。メインCPU20とサブCPU24は、シリアル転送バス25で接続されており、相互にデータを送受信する。
【0042】
メインCPU20には、液晶表示パネル等を用いたタッチパネル付きのディスプレイ27、火災、ガス漏れ、障害の代表灯、LED表示灯等が設けられた表示部28、火災監視に必要な各種のスイッチが設けられた操作部30、スピーカが設けられた音響警報部32、及び、移報部34が接続されている。また、メインCPU20にはプログラムの実行により実現される機能として火報制御部38が設けられる。
【0043】
サブCPU基板22-1,22-2に設けられたサブCPU24にはプログラムの実行により実現される機能として伝送制御部36が設けられる。伝送制御部36は伝送部26に指示してループ伝送路12に対し信号を送受信させる受信機立上げ時の立上げ制御及び立上げ後の伝送制御を行う。
【0044】
本実施形態の伝送制御部36は、受信機10の立上げ時に、ループ伝送路12に始端側から電源を供給して端末の種別情報を収集する種別読込制御と端末状態を収集する端末呼出制御を繰り返す立上げ制御により、短絡切離し装置18のスイッチを順番にオンし、短絡切離し装置18のループ伝送路12における接続順番情報を検出し、短絡切離し装置18の接続順番を示すノードマップを生成してディスプレイ27に表示させる制御を行う。
【0045】
また、ループ伝送路12に短絡又は断線が発生していた場合には、受信機10の立上げ時に、伝送制御部36は、ループ伝送路12に始端側から電源を供給して種別読込制御と端末呼出制御による始端側立上げ制御の繰り返しにより、短絡切離し装置18のスイッチを順番にオンし、短絡切離し装置18のループ伝送路12における始端側からの始端側接続順番情報を検出するが、ループ伝送路12の短絡又は断線によりループ伝送路12の終端に電源供給による電圧が加わらないことから線路異常を検出し、ループ伝送路12に終端側から電源を供給して種別読込制御と端末呼出制御を繰り返す終端側立上げ制御により、短絡切離し装置18のループ伝送路12における終端側接続順番情報を検出し、始端側接続順番情報と始端側順番情報に基づき、短絡切離し装置18の接続順番と短絡又は断線位置を示すノードマップを生成してディスプレイ27に表示させる制御を行う。
【0046】
伝送制御部36は立上げ制御を完了すると、ループ伝送路12が正常な場合は、ループ伝送路の始端側から信号を送受信する始端側伝送制御により火災を監視する。
また、運用中に、ループ伝送路12の短絡又は断線による線路障害を検出すると、始端側伝送制御に加え、ループ伝送路12の終端側から信号を送受信する終端側伝送制御により火災を監視する。
【0047】
接続順番情報と始端側の短絡切り離し装置18の応答及び終端側の短絡切り離し装置18の応答に基づき、短絡切離し装置18の接続順番と短絡又は断線位置を示すノードマップを生成してディスプレイ27に表示させる制御を行う。
【0048】
伝送部26は伝送制御部36の伝送制御によりサブCPU24から出力される0~5Vで変化する端末制御信号を所定電圧範囲、例えば27V~36Vの電圧範囲で変化する電圧制御信号(電圧パルス信号)に変換して下り信号としてループ伝送路12に出力する。
【0049】
これに対し火災感知器16及び短絡切離し装置18から受信機10に対する端末応答信号は、ループ伝送路12に伝送データのビット1のタイミングで信号電流を流し、いわゆる電流パルス列となる電流応答信号が上り信号として受信機10で受信される。このため伝送部26はループ伝送路12から受信した電流応答信号を0~5Vの端末応答信号に変換してサブCPU24に出力する。
【0050】
ループ伝送路12が正常な場合の受信機10の火報制御部38による火災監視制御は次のようになる。サブCPU24の伝送制御部36は、通常の監視中にあっては、一定周期T毎に、伝送部26に指示して、一括AD変換コマンドを含むブロードキャストの一括AD変換信号を送信しており、この一括AD変換信号を受信した火災感知器16は、検煙部から出力されたアナログ煙濃度信号をAD変換によりデジタル煙濃度信号に変化して検出データとして保持する。続いて、伝送制御部36は伝送部26に指示して、端末アドレスを順次指定したポーリングコマンドを含む呼出信号を送信している。
【0051】
火災感知器16は自己アドレスに一致するアドレスを持つ呼出信号を受信すると、そのとき保持している煙濃度データを含む呼出応答信号を受信機10に送信する。
【0052】
また、火災感知器16には注意表示閾値として例えば1種感度相当の煙濃度閾値、例えば煙濃度閾値5.0%/mが設定されており、検出された煙濃度データが注意表示閾値以上又は注意表示閾値を超えると火災発報と判断し、受信機10に対し火災割込み信号を送信する。
【0053】
伝送制御部36は伝送部26を介して火災割込み信号を受信すると、グループ検索コマンド信号を送信して火災発報した火災感知器16を含むグループを特定し、続いて、グループ内検索コマンド信号を送信して火災発報した火災感知器16のアドレスを特定して煙濃度データを集中的に収集し、シリアル転送バス25を介してメインCPU20に送信する。
【0054】
メインCPU20の火報制御部38は、サブCPU24から受信した火報用の煙濃度データを2種感度相当の所定の火報閾値、例えば火報閾値10%/mと比較しており、煙濃度が火報閾値以上又は火報閾値を超えた場合に火災と判断し、火災警報制御を行う。
【0055】
火報制御部38による火災警報制御は、表示部28の火災代表灯を点灯し、音響警報部32のスピーカから火災発生を示す所定の主音響警報を出力させ、ディスプレイ27に火災が検出された感知器アドレスに基づき火災発生場所を含む火災警報情報を表示させ、更に、移報部34により火災移報信号を外部に出力して所定の移報制御等を行わせる。
【0056】
[伝送部の構成]
図2はループ伝送路が正常な状態で受信機が立ち上げられた場合の伝送部と端末の詳細を示したブロック図である。
【0057】
図2に示すように、受信機10に設けられた始端端子L1,LC1からは信号14a,14bを用いたループ伝送路12が引き出され、ループ伝送路12の終端は受信機10に設けられた終端端子L2,LC2に接続され、ループ伝送路12には火災感知器16-1~16-6が接続され、また火災感知器16-1~16-6の間にはスイッチ46-1,46-2を備えた短絡切離し装置18-1~18-5が接続されている。
【0058】
伝送制御部36から伝送部26に対しては、DC0~5Vで変化する端末制御信号E1が出力され、伝送部26から伝送制御部36にはDC0~5Vで変化する端末応答信号E2が出力される。伝送部26の伝送出力側は始端端子L1、LC1に接続されている。
【0059】
また、伝送部26の伝送出力側は終端スイッチ42-1,42-2を介して終端端子L2,LC2に接続されている。終端スイッチ42-1,42-2は例えばFETなどの半導体スイッチであり、伝送制御部36からの制御信号E4により連動してオン、オフされ、通常時はオフしている。ループ伝送路12の端端子L,LC間には終端電圧検出部40が設けられ、終端電圧VS2を検出して端電圧検出信号E3を伝送制御部36に出力する。
【0060】
伝送制御部36は伝送部26に指示し、下り信号となる端末制御信号E1をループ伝送路12の始端側に出力し、また、ループ伝送路12の始端側から受信した上り信号となる端末応答信号E2を受信する始端側伝送制御を行う。
【0061】
伝送制御部36は始端側に対する電源供給から所定時間を経過しても終端電圧VS2が得られない場合は短絡又は断線よる線路障害を検出し、線路障害を検出すると制御信号E4により終端スイッチ42-1,42-2をオンし、伝送部26からの端末制御信号E1をループ伝送路12の終端へも出力する終端側伝送制御を行う。
【0062】
図3は伝送部により送受信される端末制御信号と端末応答信号を示したタイムチャートであり、図3(A)に端末制御信号E1を示し、図3(B)に端末応答信号E2を示す。
【0063】
端末制御信号E1は、ブロードキャストの一括AD変換信号に続き、端末アドレスA1~A11を順次指定した端末制御信号を送信し、伝送周期T毎に繰り返す。図3(A)の1~11の数字は、火災感知器16-1~16-6及び短絡切離し装置18-1~18-5に始端側から順番に設定されたアドレスA1~A11を示しており、それ以降のアドレスA254までは図2の場合は未使用となっている。
【0064】
端末応答信号E2は、端末制御信号E1の空き時間のタイミングで火災感知器16-1~16-6又は短絡切離し装置18-1~18-5から送信されることで受信される。
【0065】
ここで、本実施形態の伝送部26が送信する端末制御信号には、種別読込信号と呼出信号があり、これに対し端末側からは種別コードが設定された種別応答信号と端末検出状態が設定された呼出応答信号がある。
【0066】
[短絡切離し装置]
図4はループ伝送路に設けられる短絡切離し装置の実施形態を示した回路ブロック図である。図4に示すように、短絡切離し装置18は、伝送部50、制御部48、電圧検出部52、スイッチ46-1,46-2、電流制限抵抗54、電流制限解除スイッチ56及びダイオード58-1,58-2,60-1,60-2で構成され、信号線14a,14bからの電源供給又は専用の電源線からの電源供給を受けて動作する。
【0067】
電圧検出部52は信号線14a,14bの間の線間電圧を検出して制御部48に出力する。ループ伝送路12の終端側となる信号線14a,14b間に短絡が発生すると、電圧検出部52による検出電圧は短絡インピーダンスに対応した略0V付近の電圧に低下する。
【0068】
制御部48は、伝送部50を介して受信機10の立上げ制御で送信された自己アドレスに一致する種別読込信号(起動呼出信号)を受信すると、伝送部50に指示して短絡切離し装置を示す所定の種別コードを設定した種別応答信号(起動応答信号)を送信し、スイッチ46-1,46-2をオンし、2次側のループ伝送路12に電源を供給する。
【0069】
スイッチ46-1,46-2をオンすると、2次側のループ伝送路12に接続している火災感知器16や短絡切離し装置18をチャージするために突入電流が流れるが、電流制限抵抗54を通して流れることで、突入電流を受信機12で過電流として検出されるレベル以下の電流に制限している。
【0070】
制御部48はスイッチ46-1,46-2のオンから所定の電流制限時間の経過を判別すると電流制限解除スイッチ56をオンして電流制限抵抗54をバイパスし、電流制限を解除する。
【0071】
また、制御部48は、伝送部50を介して受信機10の立上げ制御及び伝送制御で送信された自己アドレスに一致する呼出信号を受信すると、一括AD変換信号の受信に伴い検出保持した正常又は短絡等の状態(ステータス)が設定された呼出応答信号を伝送部50に指示して送信する。
【0072】
受信機10からの端末制御信号の送受信は、通常時はループ伝送路の始端側から行われ、短絡又は断線時には終端側から行われることから、ダイオード58-1,58-2又はダイオード60-1,60-2により始端側及び終端側の信号送受信に伝送部50が対応できるようにしている。
【0073】
即ち、始端側からの信号送受信はダイオード58-1,伝送部50及びダイオード58-2を通る入出力回路が使用され、終端側からの信号送受信はダイオード60-1,伝送部50及びダイオード60-2を通る入出力回路が使用される。
【0074】
また、制御部48は、電圧検出部52からの電圧検出信号による検出電圧が所定の短絡閾値電圧以下に低下したことを判別した場合、自己アドレスを指定した呼出信号を受信した場合の呼出応答信号に短絡状態を設定し、伝送部50に指示して受信機10に送信し、これにより受信機10はループ伝送路12の線路障害を検出して終端スイッチ42-1,42-2をオンし、ループ伝送路12の終端側からも端末制御信号を送信する終端側伝送制御を行う。
【0075】
次に図2の伝送制御部36と伝送部26による受信機立上げ時にノードマップを生成して表示させる立上げ制御を説明する。
【0076】
[伝送路正常時の立上げ制御]
図2において、受信機10の電源を立ち上げると、伝送制御部36は、伝送部26に指示し、始端側伝送制御を行う。
【0077】
始端側伝送制御は、伝送部26からループ伝送路12の始端端子L1,LC1間電源を供給した後に、スイッチ投入信号として機能する種別読込信号の送信と短絡切離し装置からの種別応答信号の受信、及び呼出信号の送信と短絡切離し装置からの呼出応答信号の受信を繰り返す制御を行ってループ伝送路12の始端からの短絡切離し装置18-1~18-5の接続順番情報を検出する。
【0078】
始端側伝送制御の詳細は次のようになる。伝送部26から始端端子L1,LC1を介してループ伝送路12に電源を供給すると、受信機10の始端から見て1番目の短絡切離し装置18-1に例えば15V以上の電源電圧が供給されて動作状態となるが、スイッチ46-1,46-2をオフとしている。なお、短絡切離し装置18-1までの間に接続している火災感知器16-1にも電源が供給されて動作状態となる。
【0079】
続いて、伝送制御部36は、伝送部26に指示し、図3(A)に示したように、一括AD変換信号に続いて、端末アドレスA1~A11~A254を順次指定した種別読込コマンドが設定された種別読込信号を送信し、1番目の短絡切離し装置18-1は自己アドレスに一致する種別読込信号を受信する。短絡切離し装置を示す所定の種別コードを設定した種別応答信号を送信した後に、スイッチ46-1,46-2をオンし、2番目の短絡切離し装置18-2に対し電源を供給する。このときループ伝送路12に短絡は発生していないことから、線路電圧は短絡閾値電圧以下に低下せず、短絡切離し装置18-1はループ伝送路の正常状態を検出している。
【0080】
受信機10の伝送制御部36は、1番目の短絡切離し装置18-1からの種別応答信号を伝送部26を介して受信すると、短絡切離し装置18-1の接続順番が1番目であることを示す接続順番情報(SCI18-1)を検出する。
【0081】
続いて、伝送制御部36は、伝送部26に指示し、図3(A)に示したように、一括AD変換信号に続いて、端末アドレスA1~A11~A254を順次指定した呼出コマンドが設定された呼出信号を送信させる。
【0082】
1番目の短絡切離し装置18-1は自己アドレスに一致する呼出信号を受信すると、一括AD変換信号の受信で検出している正常状態を示す呼出応答信号を送信する。受信機10の伝送制御部36は、1番目の短絡切離し装置18-1からの呼出応答信号を、伝送部26を介して受信すると、短絡切離し装置18-1が短絡切離しをせずに正常状態にあることを検出する。
【0083】
以下同様にして、短絡切離し装置18-2,18-3,18-4,18-5の順番に、電源供給、種別読込信号の受信による種別応答信号の送信とスイッチ46-1,46-2のオン、呼出信号に対する正常状態を示す呼出応答信号の送信が繰り返し行われ、受信機10の伝送制御部36は短絡切離し装置18-2,18-3,18-4,18-5からの種別応答信号の受信に基づき、短絡切離し装置18-2の接続順番が2番目、短絡切離し装置18-3の接続順番が3番目、短絡切離し装置18-4の接続順番が4番目、短絡切離し装置18-5の接続順番が5番目であることを示す接続順番情報(SCI18-1,SCI18-2,SCI18-3,SCI18-4,SCI18-5)を検出する。
【0084】
短絡切離し装置18-5のスイッチ46-1,46-2がオンすると、終端電圧検出部40により15V以上となる終端電圧VS2が検出され、これにより伝送制御部36はループ伝送路12が正常であることを検出する。
【0085】
続いて、伝送制御部36は検出した接続順番情報(SCI18-1,SCI18-2,SCI18-3,SCI18-4,SCI18-5)に基づき、短絡切離し装置18-1~18-5の接続順番を示すノードマップを作成し、図1に示したメインCPU20に通知してディスプレイ27にノードマップを表示させる。
【0086】
図5はループ伝送路が正常な場合に表示されるノードマップを示した説明図である。図5に示すように、ディスプレイのノードマップ画面62には、受信機シンボル10aからブロック矢印により連結された短絡切離し装置シンボル18-1a~18-5aが受信機立上げ制御で検出された接続順番情報(SCI18-1,SCI18-2,SC(18-3,SCI18-4,SCI18-5)に基づいて表示され、また、線路状態63として「線路正常」が表示される。
【0087】
このようなノードマップ画面62を監視員などが見ることで、ループ伝送路12における短絡切離し装置18-1~18-5がどのような順番で接続されているかを、簡単且つ正確に把握することができる。
【0088】
[伝送路短絡時]
(短絡発生時)
図6はループ伝送路に短絡がある場合の受信機の伝送部と端末の詳細を示したブロック図、図7はループ伝送路に短絡がある場合に表示されるノードマップを示した説明図である。
【0089】
伝送制御部36は、ループ伝送路12の終端側との間で各機器への呼出信号の送信と応答信号の受信を繰り返す制御を行い、所定電圧以上又は所定電圧を超えるループ伝送路12の終端電圧VS2が検出されなかった場合に、ループ伝送路12の短絡による線路障害と判断し、終端スイッチ42-1,42-2をオンして伝送部26の伝送出力側を終端端子L2,LC2に接続してループ伝送路12に終端側から電源を供給する。
【0090】
また、ループ伝送路12の始端側から短絡状態を示す呼出応答信号(短絡切離し動作信号)と正常時の接続順番情報をもとに短絡切離し動作信号を送信した短絡切離し装置までの始端側接続順番情報を検出する。また、ループ伝送路12の終端側から短絡状態を示す呼出応答信号(短絡切離し動作信号)と正常時の接続順番情報をもとに短絡切離し動作信号を送信した短絡切離し装置までの終端側接続順番情報を検出する。
【0091】
詳細に説明すると次のようになる。図6に示すように、ループ伝送路12に接続された短絡切離し装置18-3と短絡切離し装置18-4の間で短絡64が発生したとする。
【0092】
短絡64により短絡電流が流れ、短絡切離し装置18-3の線間電圧が大きく低下して所定の短絡閾値電圧以下となることで短絡を検出し、スイッチ46-1,46-2をオフに戻して短絡64の発生側を切り離すと共に、短絡状態を示す呼出応答信号(短絡切離し動作信号)を受信機10に送信する。
【0093】
受信機10の伝送制御部36は、短絡切離し装置18-3からの呼出応答信号を受信して短絡状態を検出し、更に、所定時間後に終端電圧検出部40により所定電圧を超える終端電圧VS2が検出されないことからループ伝送路12の短絡による線路異常を検出する。
【0094】
正常時の接続順番情報をもとに短絡切離し動作信号を送信した短絡切離し装置までの始端側接続順番情報である1番目の短絡切離し装置18-1から短絡を検出した3番目の短絡切離し装置18-3までの始端側接続順番情報(SCI18-1,SCI18-2、SCI18-3)が検出されている。
【0095】
続いて、線路異常を検出した伝送制御部36は終端側制御を開始し、終端スイッチ42-1,42-2をオンすることで、ループ伝送路12の終端端子L2,LC2間に電源を供給し、これにより終端側から1番目の短絡切離し装置18-5に電源を供給して動作状態とする。
【0096】
動作状態となった短絡切離し装置18-5は、種別読込信号を受信して種別応答信号を送信した後にスイッチ46-1,46-2をオンして次の短絡切離し装置18-4に電源を供給して動作状態とし、続いて短絡切離し装置18-5は呼出信号を受信して正常状態を示す呼出応答信号を送信する。
【0097】
動作状態となった短絡切離し装置18-4は、種別読込信号を受信してスイッチ46-1,46-2をオンすると、短絡64により短絡電流が流れ、短絡切離し装置18-4の線間電圧が大きく低下して所定の短絡閾値電圧以下となることで短絡を検出し、スイッチ46をオフに戻して短絡64の発生側を切り離すと共に、短絡状態を示す呼出応答信号(短絡切離し動作信号)を受信機10に送信する。
【0098】
伝送制御部36は、このような終端側立上げ制御により、終端から1番目の短絡切離し装置18-5と短絡状態を検出した2番目の短絡切離し装置18-4のループ伝送路12の終端からの接続順番を示す終端側接続順番情報(SCI18-5,SCI18-4)を検出する。
【0099】
また、上記のような終端側制御を行わず、終端側の短絡切り離し装置に対して一斉起動信号を複数回送信して、終端側の短絡切り離し装置を全て起動させ、短絡の直近の短絡切り離し装置から短絡状態を示す呼出応答信号(短絡切離し動作信号)を受信機10に送信させても良い。この場合、正常時の接続順番情報をもとに短絡切離し動作信号を送信した短絡切離し装置までの終端側接続順番情報を検出する。
【0100】
続いて、伝送制御部36は、検出された始端側接続順番情報(SCI18-1,SCI18-2、SCI18-3)と終端側接続順番情報(SCI18-5,SCI18-4)を比較し、両者の最後の接続順番から隣接した短絡切離し装置18-3,18-4であることを判定し、その間を短絡64の発生位置として検出する。
【0101】
ここで、短絡切離し装置18-3,18-4の端末アドレスはA6,A8であり、種別コードが同じであることから、間に同じ種別コードの端末アドレスが存在しないことで、短絡切離し装置18-3,18-4は隣接し、その間に短絡64の発生位置があることを検出できる。
【0102】
伝送制御部36は検出された始端側接続順番情報(SCI18-1,SCI18-2、SCI18-3)と終端側接続順番情報(SCI18-5,SCI18-4)に基づき、図7に示すノードマップ画面62をディスプレイに表示させる。
【0103】
図7のノードマップ画面62は、受信機シンボル10aの始端側から始端側接続順番情報(SCI18-1,SCI18-2、SCI18-3)に基づき短絡切離し装置シンボル18-1a~18-3aがブロック矢印で連結して表示され、受信機シンボル10aの終端側から終端側接続順番情報(SCI18-5,SCI18-4)に基づき短絡切離し装置シンボル18-5a,18-4aがブロック矢印で連結して表示され、短絡切離し装置18-3,18-4の間に短絡シンボル64aが表示される。また画面には線路状態63として「線路障害 短絡」が表示される。
【0104】
図7のようなノードマップ画面62を監視員等が見ることで、ループ伝送路12に短絡に起因した線路異常が発生していることが分かり、また、短絡の発生位置が表示されることで、これを確認して効率良く修復作業を進めることができる。
【0105】
また、ループ伝送路12が正常な状態での受信機立上げ制御により図5のロードマップ画面62のロードマップが生成された状態で、運用中に、ループ伝送路12に短絡が発生して、始端側伝送制御に終端側伝送制御が加わった場合には、図7に示すノードマップ画面62が表示され、簡単且つ確実に短絡箇所を確認して効率良く修復作業を進めることができる。
【0106】
(2箇所短絡発生時)
図8はループ伝送路の2箇所に短絡がある場合の伝送部と端末の詳細を示したブロック図、図9はループ伝送路の2箇所に短絡がある場合に表示されるノードマップを示した説明図である。
【0107】
図8に示すように、ループ伝送路12における短絡切離し装置18-2,18-3の間、及び短絡切離し装置18-3,18-4の間の2箇所で短絡64-1,64-2が発生したとする。
【0108】
短絡切離し装置18-2の線間電圧が大きく低下して所定の短絡閾値電圧以下となることで短絡を検出し、スイッチ46-1,46-2をオフに戻して短絡64-1の発生側を切り離すと共に、短絡状態を設定した呼出応答信号を受信機10に送信する。
【0109】
受信機10の伝送制御部36は、短絡切離し装置18-2からの呼出応答信号を受信して短絡状態を検出し、更に、所定時間後に終端電圧検出部40により所定電圧を超える終端電圧VS2が検出されないことからループ伝送路12の線路異常を検出し、また、始端側接続順番情報(SCI18-1,SCI18-2)を検出する。
【0110】
続いて、伝送制御部36は、終端側制御を開始し、終端スイッチ42-1,42-2をオンすることで、ループ伝送路12の終端端子L2,LC2間に電源を供給し、これにより終端側から1番目の短絡切離し装置18-5に電源を供給して動作状態とする。
【0111】
動作状態となった短絡切離し装置18-5は、種別読込信号を受信して種別応答信号を送信した後にスイッチ46-1,46-2をオンして次の短絡切離し装置18-4に電源を供給して動作状態とし、続いて短絡切離し装置18-5は呼出信号を受信して正常状態を示す呼出応答信号を送信する。
【0112】
動作状態となった短絡切離し装置18-4は、種別読込信号を受信してスイッチ46-1,46-2をオンすると、短絡64-2により短絡電流が流れ、短絡切離し装置18-4の線間電圧が大きく低下して所定の短絡閾値電圧以下となることで短絡を検出し、スイッチ46-1,46-2をオフに戻して短絡64-2の発生側を切り離すと共に、短絡状態を設定した呼出応答信号を受信機10に送信する。
【0113】
伝送制御部36は、終端側制御によりループ伝送路12の終端側の短絡切離し装置18-5から短絡状態を検出した短絡切離し装置18-4までの接続順番を示す終端側接続順番情報(SCI18-5,SCI18-4)を検出する。また、伝送制御部36は、短絡切離し装置18-2,18-4により短絡切離し装置18-3がループ伝送路12から切り離されていることを示す切離情報(SC18-3)を検出する。
【0114】
また、上記のような終端側制御を行わず、終端側の短絡切り離し装置に対して一斉起動信号を複数回送信して、終端側の短絡切り離し装置を全て起動させ、短絡の直近の短絡切り離し装置から短絡状態を示す呼出応答信号(短絡切離し動作信号)を送信させても良い。これにより、終端側接続順番情報(SCI18-5,SCI18-4)を検出する。また、伝送制御部36は、短絡切離し装置18-2,18-4により短絡切離し装置18-3がループ伝送路12から切り離されていることを示す切離情報(SC18-3)を検出する。
【0115】
続いて、伝送制御部36は始端側接続順番情報(SCI18-1,SCI18-2と終端側接続順番情報(SCI18-5,SCI18-4)を比較し、両者の末尾の端末アドレスから隣接していない短絡切離し装置18-2,18-4であり、その間に切離し情報(SCI18-3)に基づく短絡切離し装置18-が位置していることから、短絡切離し装置18-2,18-3の間および短絡切離し装置18-4,18-3の間を短絡64-1,64-2と検出する。
【0116】
続いて、始端側接続順番情報(SCI18-1,SCI18-2)、終端側接続順番情報(SCI18-5,SCI18-4)及び切離し情報(SCI18-3)に基づき、図9に示すノードマップ画面62をディスプレイに表示させる。
【0117】
図9のノードマップ画面62は、受信機シンボル10aの始端側から始端側接続順番情報(SCI18-1,SCI18-2)に基づき短絡切離し装置シンボル18-1a,18-2aがブロック矢印で連結して表示され、受信機シンボル10aの終端側から終端側接続順番情報(SCI18-5,SCI18-4)に基づき短絡切離し装置シンボル18-5a,18-4aがブロック矢印で連結して表示され、切離し情報(SCI18-3)に基づき短絡切離し装置シンボル18-3aが孤立して表示され、更に、短絡切離し装置シンボル18-2a,18-3aの間及び、短絡切離し装置シンボル18-4a,18-3aの間に短絡シンボル64-1a,64-2aが表示される。また画面には線路状態63として「線路障害 短絡」が表示される。
【0118】
図9のようなノードマップ画面62を監視員等が見ることで、ループ伝送路12に短絡に起因した線路異常が発生していることが分かり、また、2箇所の短絡の発生位置が表示されることで、これを確認して効率良く修復作業を進めることができる。
【0119】
[伝送路断線時の制御]
(断線発生時)
図10はループ伝送路に断線がある場合の伝送部と端末の詳細を示したブロック図、図11はループ伝送路に断線がある場合に表示されるノードマップを示した説明図である。伝送制御部36は、所定電圧以上又は所定電圧を超えるループ伝送路12の終端電圧VS2が検出されなかった場合に、短絡状態を示す呼出応答信号(短絡切離し動作信号)を受信していないことから、ループ伝送路12の断線による線路障害と判断し、終端側制御を行う。
【0120】
伝送制御部36は、ループ伝送路12の始端側との間で呼出信号の送信と呼出応答信号の受信を繰り返す制御を行って、ループ伝送路12の始端側から呼出応答信号を送信した短絡切離し装置群を特定し、正常時の接続順番情報をもとに始端側接続順番情報を検出する。
【0121】
伝送制御部36による終端側制御は、終端スイッチ42-1,42-2をオンして伝送部26の伝送出力側を終端端子L2,LC2に接続してループ伝送路12に終端側から電源を供給する。続いて、伝送制御部36は、ループ伝送路12の終端側との間で呼出信号の送信と呼出応答信号の受信を繰り返す制御を行って、ループ伝送路12の終端側から呼出応答信号を送信した短絡切離し装置群を特定し、正常時の接続順番情報をもとに終端側接続順番情報を検出する。
【0122】
詳細に説明すると次のようになる。図10に示すように、ループ伝送路12に接続された短絡切離し装置18-3と短絡切離し装置18-4の間で断線66が発生したとする。
【0123】
受信機10の伝送制御部36は、所定時間後に終端電圧検出部40により所定電圧を超える終端電圧VS2が検出されないことからループ伝送路12の線路異常を検出し、また、呼出応答信号により短絡状態が検出されていないことから、断線による線路異常を検出する。更に、呼出信号の送信と呼出応答信号の受信を繰り返す制御を行って、呼出応答信号を送信した短絡切り離し装置群情報と正常時の接続順番情報をもとに接続順番情報(SCI18-1,SCI18-2、SCI18-3)を始端側接続順番情報として検出する。
【0124】
続いて、伝送制御部36は終端側制御を開始し、終端スイッチ42-1,42-2をオンすることで、ループ伝送路12の終端端子L2,LC2間に電源を供給し、これにより終端側から1番目の短絡切離し装置18-5に電源を供給して動作状態とする。
【0125】
動作状態となった短絡切離し装置18-5は、種別読込信号を受信して種別応答信号を送信した後にスイッチ46-1,46-2をオンして次の短絡切離し装置18-4に電源を供給して動作状態とし、続いて短絡切離し装置18-5は呼出信号を受信して正常状態を示す呼出応答信号を送信する。
【0126】
動作状態となった短絡切離し装置18-4は、同様に、種別読込信号を受信して種別応答信号を送信した後にスイッチ46-1,46-2をオンして次の短絡切離し装置18-4に電源を供給して動作状態とし、続いて短絡切離し装置18-5は呼出信号を受信して正常状態を示す呼出応答信号を送信する。伝送制御部36の終端側制御により、正常状態を応答した短絡切離し装置18-5,18-4のループ伝送路12の終端側からの接続順番を示す終端側接続順番情報(SCI18-5,SCI18-4)が検出される。
【0127】
また、上記のような終端側制御を行わず、終端側の短絡切り離し装置に対して一斉起動信号を複数回送信して、終端側の短絡切り離し装置を全て起動させ、呼出信号の送信と呼出応答信号の受信を繰り返す制御を行って、呼出応答信号を送信した短絡切り離し装置群情報と正常時の接続順番情報をもとに断線直近の短絡切離し装置までの終端側接続順番情報を検出しても良い。
【0128】
続いて、伝送制御部36は始端側接続順番情報(SCI18-1,SCI18-2、SCI18-3)と終端側接続順番情報(SCI18-5,SCI18-4)を比較し、両者の最後の番号が隣接した短絡切離し装置18-3,18-4であることを判定し、その間を断線64の発生位置として検出する。
【0129】
続いて、伝送制御部36は検出された始端側接続順番情報(SCI18-1,SCI18-2、SCI18-3)と終端側接続順番情報(SCI18-5,SCI18-4)に基づき、図11に示すノードマップ画面62をディスプレイに表示させる。
【0130】
図11のノードマップ画面62は、受信機シンボル10aの始端側から始端側接続順番情報(SCI18-1,SCI18-2、SCI18-3)に基づき短絡切離し装置シンボル18-1a~18-3aがブロック矢印で連結して表示され、受信機シンボル10aの終端側から終端側接続順番情報(SCI18-5,SCI18-4)に基づき短絡切離し装置シンボル18-5a,18-4aがブロック矢印で連結して表示され、短絡切離し装置18-3,18-4の間に断線シンボル66aが表示される。また画面には線路状態63として「線路障害 断線」が表示される。
【0131】
図11のようなノードマップ画面62を監視員等が見ることで、ループ伝送路12に断線に起因した線路異常が発生していることが分かり、また、断線の発生位置が表示されることで、これを確認して効率良く修復作業を進めることができる。
【0132】
また、ループ伝送路12が正常な状態での受信機立上げ制御により図5のロードマップ画面62のロードマップが生成された状態で、運用中に、ループ伝送路12に断線が発生して、始端側伝送制御に終端側伝送制御が加わった場合には図11に示すノードマップ画面62が表示され、簡単且つ確実に断線箇所を確認して効率良く修復作業を進めることができる。
【0133】
(2箇所断線発生時)
図12はループ伝送路の2箇所に断線がある場合伝送部と端末の詳細を示したブロック図、図13はループ伝送路の2箇所に断線がある場合に表示されるノードマップを示した説明図である。
【0134】
図12に示すように、ループ伝送路12における短絡切離し装置18-2,18-3の間、及び短絡切離し装置18-3,18-4の間の2箇所で断線66-1,66-2が発生したとする。
【0135】
受信機10の伝送制御部36は、所定時間後に終端電圧検出部40により所定電圧を超える終端電圧VS2が検出されないことからループ伝送路12の線路異常を検出し、また、呼出応答信号により短絡状態は検出されていないことから、断線による線路異常を検出する。
【0136】
また、伝送制御部36は、始端側伝送制御により正常状態を応答した短絡切離し装置18-1,18-2に基づきループ伝送路12の始端側からの接続順番を示す始端側接続順番情報(SCI18-1,SCI18-2,SCI18-3)を検出する。
【0137】
続いて、線路異常を検出した伝送制御部36は終端側制御を開始し、終端スイッチ42-1,42-2をオンすることで、ループ伝送路12の終端端子L2,LC2間に電源を供給し、これにより終端側から1番目の短絡切離し装置18-5に電源を供給して動作状態とする。
【0138】
動作状態となった短絡切離し装置18-5は、種別読込信号を受信して種別応答信号を送信した後にスイッチ46-1,46-2をオンして次の短絡切離し装置18-4に電源を供給して動作状態とし、続いて短絡切離し装置18-5は呼出信号を受信して正常状態を示す呼出応答信号を送信する。
【0139】
伝送制御部36は、終端側伝送制御により正常状態を応答した短絡切離し装置18-5,18-4に基づきループ伝送路12の端側からの接続順番を示す終端側接続順番情報(SCI18-5,SCI18-4)を検出する。また、伝送制御部36は断線により種別応答信号及び呼出応答信号が受信されていない短絡切離し装置18-3を示す孤立情報(SCI18-3)を検出する。
【0140】
また、上記のような終端側制御を行わず、終端側の短絡切り離し装置に対して一斉起動信号を複数回送信して、終端側の短絡切り離し装置を全て起動させ、呼出信号の送信と呼出応答信号の受信を繰り返す制御を行って、呼出応答信号を送信した短絡切り離し装置群情報と正常時の接続順番情報をもとに断線直近の短絡切離し装置までの終端側接続順番情報(SCI18-5,SCI18-4)を検出しても良い。また、伝送制御部36は断線により種別応答信号及び呼出応答信号が受信されていない短絡切離し装置18-3を示す孤立情報(SCI18-3)を検出する。
【0141】
続いて、伝送制御部36は始端側接続順番情報(SCI18-1,SCI18-2)と終端側接続順番情報(SCI18-5,SCI18-4)を比較し、両者の末尾の端末アドレスから隣接していない短絡切離し装置18-2,18-4であることを判定し、孤立情報(SCI18-3)に基づき短絡切離し装置18-2,18-3の間および短絡切離し装置18-3,18-4の間の2箇所で断線66-1,66-2が発生していることを検出する。
【0142】
続いて、伝送制御部36は検出された始端側接続順番情報(SCI18-1,SCI18-2)、終端側接続順番情報(SCI18-5,SCI18-4)及び孤立情報(SCI18-3)に基づき、図13に示すノードマップ画面62をディスプレイに表示させる。
【0143】
図13のノードマップ画面62は、受信機シンボル10aの始端側から始端側接続順番情報(SCI18-1,SCI18-2)に基づき短絡切離し装置シンボル18-1a,18-2aがブロック矢印で連結して表示され、受信機シンボル10aの終端側から終端側接続順番情報(SCI18-5,SCI18-4)に基づき短絡切離し装置シンボル18-5a,18-4aがブロック矢印で連結して表示され、孤立情報(SCI18-3)に基づき短絡切離し装置シンボル18-3aが孤立して表示され、更に、短絡切離し装置シンボル18-2a,18-3aの間及び、短絡切離し装置シンボル18-4a,18-3aの間に断線シンボル66-1a,66-2aが表示される。また画面には線路状態63として「線路障害 断線」が表示される。
【0144】
図13のようなノードマップ画面62を監視員等が見ることで、ループ伝送路12に断線に起因した線路異常が発生していることが分かり、また、2箇所の断線の発生位置が表示されることで、これを確認して効率良く修復作業を進めることができる。
【0145】
[受信機立上げ制御]
図16は受信機立上げ制御を示したフローチャートであり、伝送制御部36による制御動作となる。
【0146】
(伝送路正常時)
14に示すように、受信機10が電源投入操作等により立ち上がると、伝送制御部36はステップS1で伝送部26に指示して始端端子L1,LC1からループ伝送路12に電源供給を行い、ループ伝送路12が正常であったとすると、図2に示したように、1番目の短絡切離し装置18-1に電源が供給されて動作状態となるが、スイッチ46-1,46-2はオフしている。
【0147】
続いて、伝送制御部36はステップS2で伝送部26に指示して種別読込制御を行う。ステップS2の種別読込制御は端末アドレスを順次設定した種別読込信号を送信し、種別読込信号の空きタイミングで種別応答信号を受信する。受信機10から種別読込信号を受信した1番目の短絡切離し装置18-1は種別応答信号を受信機10に送信すると共にスイッチ46-1,46-2をオンし、2番目の短絡切離し装置18-2との間のループ伝送路12に電源を供給する。このときループ伝送路12は正常であることから短絡切離し装置18-1は種別応答信号を送信する。
【0148】
伝送制御部36は短絡切離し装置18-1からの種別応答信号を、伝送部26を介して受信し、端末は短絡切離し装置18-1を1番目とする接続順番情報(SCI18-1)を検出する。
【0149】
次に、伝送制御部36は、ステップS3で伝送部26に指示して端末呼出し制御を行う。ステップS3の呼出制御は端末アドレスを順次設定した呼出信号を送信し、呼出信号の空きタイミングで呼出応答信号を受信する。受信機10から呼出信号を受信した1番目の短絡切離し装置18-1は、スイッチ46-1,46-2をオンした後の線間電圧が所定の短絡閾値電圧を下回らなければ正常状態を検出し、正常状態を示す呼出応答信号を受信機10に送信する。
【0150】
続いて、伝送制御部36はステップS4に進み、所定の待ち時間が経過するまでは、ステップS2~S3の処理を繰り返す。ステップS2,S3の処理は、種別読込信号の送信と種別応答信号の受信、及び呼出信号の送信と種別応答信号の受信を繰り返す始端側立上げ制御であり、始端側立上げ制御により短絡切離し装置18-1に続いて短絡切離し装置18-2~18-5が順次動作してスイッチ46-1,46-2をオンしてループ伝送路12を形成して行くことになり、最後となる短絡切離し装置18-5のスイッチ46-1,46-2がオンするとループ伝送路12の終端に電源電圧が加わることになる。
【0151】
また、ステップS2,S3を繰り返す始端側立上げ制御により伝送制御部36はステップS2で短絡切離し装置18-1~18-5のループ伝送路12の始端からの接続順番を示す始端側接続順番情報を検出する。
【0152】
伝送制御部36はステップS4で所定の待ち時間の経過を判別するとステップS5に進み、終端電圧検出部40で検出しているループ伝送路12の終端電圧VS2が所定電圧以上であることを判別するとループ伝送路12は正常と判断してステップS14に進み、ステップS2で検出した始端側接続順番情報に基づき、線路正常のノードマップを生成し、ステップS15で例えば図5に示したロードマップをディスプレイに表示させる。
【0153】
(伝送路短絡時)
ループ伝送路12に短絡が発生していた場合には、端末制御部36は、ステップS2,S3の処理を繰り返す始端側立上げ制御中に短絡状態を示す呼出応答信号(短絡切離し動作信号)を受信しており、そのため短絡状態を示す呼出応答信号(短絡切離し動作信号)を送信した短絡切離し装置までの接続順番を示す始端側接続順番情報を検出する。
【0154】
また、伝送制御部36は、始端立上げ制御中にステップS4で所定の待ち時間の経過を判別してステップS5に進んでも、短絡に対応した短絡切離し装置の切離し動作(スイッチオフ動作)により終端電圧VS2が所定電圧以下で検出されないことを判別するとステップS6に進み、短絡による線路障害と判断する。
【0155】
ステップS6で線路障害と判断した伝送制御部36は、ステップS7で終端スイッチ42-1,42-2をオンしてループ伝送路12の終端端子L2,LC2間に電源を供給し、ステップS8の種別読込制御とステップS9の端末呼出制御による終端立上げ制御をステップS10で所定の待ち時間が経過するまで繰り返す。
【0156】
伝送制御部36によるステップS8の種別読込制御は、種別読込信号の送信と種別応答信号の受信をループ伝送路12の終端から行い、ループ伝送12の終端側からの短絡切離し装置18-5,18-4となる接続順番を示す終端側接続順番情報を検出する。
【0157】
伝送制御部36によるステップS9の端末呼出制御は、呼出信号の送信と呼出応答信号の受信をループ伝送路12の終端から行い、呼出応答信号から短絡切離し装置の正常又は短絡状態を検出する。
【0158】
伝送制御部36はステップS10で所定の待ち時間の経過を判別するとステップS11に進み、ステップS9で短絡状態を示す呼出応答信号(短絡切離し動作信号)が受信されていることから、短絡応答ありを判別してステップS12に進み、ステップS2で検出した始端側接続順番情報とステップS8で検出した終端側接続順番情報に基づき、短絡障害による短絡切離し装置18-1~18-5のノードマップを生成し、ステップS15に進み、例えば図7に示した短絡位置を含むノードマップをディスプレイに表示する。
【0159】
(伝送路断線時)
ループ伝送路12に断線が発生していた場合には、伝送制御部36は、ステップS2,S3の処理を繰り返す始端側立上げ制御中に正常状態を示す呼出応答信号を受信しており、そのため正常状態を示す呼出応答信号を送信した短絡切離し装置までの接続順番を示す始端側接続順番情報を検出する。
【0160】
また、伝送制御部36は、始端立上げ制御中にステップS4で所定の待ち時間の経過を判別してステップS5に進んでも、断線により終端電圧VS2が所定電圧以下で検出されないことを判別するとステップS6に進み、短絡状態が検出されていないことから断線による線路障害と判断する。
【0161】
ステップS6で線路障害と判断した伝送制御部36は、ステップS7で終端スイッチ42-1,42-2をオンしてループ伝送路12の終端端子L2,LC2間に電源を供給し、ステップS8の種別読込制御とステップS9の端末呼出制御による終端立上げ制御をステップS10で所定の待ち時間が経過するまで繰り返す。
【0162】
伝送制御部36によるステップS8の種別読込制御は、種別読込信号の送信と種別応答信号の受信をループ伝送路12の終端から行い、ループ伝送12の終端側からの短絡切離し装置18-5,18-4となる接続順番を示す終端側接続順番情報を検出する。
【0163】
伝送制御部36によるステップS9の端末呼出制御は、呼出信号の送信と呼出応答信号の受信をループ伝送路12の終端から行い、呼出応答信号から短絡切離し装置の正常検出する。
【0164】
伝送制御部36はステップS10で所定の待ち時間の経過を判別するとステップS11に進み、断線時にはステップS9で短絡状態を示す呼出応答信号(短絡切離し動作信号)は受信されていないことから、短絡応答なしを判別してステップS13に進み、ステップS2で検出した始端側接続順番情報とステップS8で検出した終端側順番検出情報に基づき、断線障害による短絡切離し装置18-1~18-5のノードマップを生成し、ステップS15に進み、例えば図11に示した短絡位置を含むノードマップをディスプレイに表示する。
【0165】
[短絡切離し装置の制御]
図15は短絡切離し装置の立上げ制御を示したフローチャートであり、図4に示した短絡切離し装置18の制御部48による制御動作となる。
【0166】
図15に示すように、ループ伝送路12からの電源供給により動作を開始すると制御部48はステップS21でスイッチ46-1,46-1をオフとしており、ステップS22で自己アドレスに一致する種別読込信号の受信を判別するとステップS23に進み、種別応答信号を送信し、続いてステップS24でスイッチ46-1,46-2をオンする。
【0167】
続いて、制御部48はステップS25で所定の突入電流待ち時間の経過を判別するとステップS26に進み、電流制限解除スイッチ56をオンし、電流制限抵抗54をバイパスして電流制限を解除する。このためスイッチ46-1,46-2をオンしても2次側の端末を充電するために流れる突入電流が制限され、受信機10側で過電流障害が検出されることを防ぐ。
【0168】
続いて、制御部48は電圧検出部52で検出している線間電圧を読込んで所定の短絡閾値電圧と比較し、ステップS28で短絡閾値電圧を超えていることを判別するとステップS31に進んで正常状態と判定し、ステップS28で短絡閾値電圧以下であることを判別するとステップS29でスイッチ46-1,46-2をオフして短絡側を切離した後にステップS30で短絡状態と判定する。
【0169】
続いて、制御部48はステップS32で伝送部50を介して自己アドレスに一致する呼出信号の受信を判別するとステップ33に進み、ステップS31で正常状態を判定している場合は、正常状態を示す呼出応答信号を伝送部50に指示して受信機10に送信し、ステップS30で短絡状態を判定している場合は、短絡状態を示す呼出応答信号(短絡切離し動作信号)を伝送部50に指示して受信機10に送信する。上記のように、立ち上げ時に断線や短絡が発生していても断線や短絡に応じたノードマップの表示が可能である。
【0170】
[受信機と中継盤で構成された分散システムの実施形態]
図16は受信機に通信ネットワークを介して中継盤を接続した分散型の火災報知設備の概要を示した説明図である。
【0171】
監視対象とする施設が複数に分かれるなどして大規模になる場合には、図17に示すように、防災センター等に設置した受信機10に加え、例えば建物毎に分けて中継盤70が設置され、受信機10と中継盤70の間がイーサネット(登録商標)等のネットワーク回線72により通信接続されている。
【0172】
受信機10は図1に示したと同じであり、これに対し中継盤70は図1の受信機10からディスプレイ27、表示部28、操作部30及び音響警報部32を含む操作表示機能を除いた構成となり、それ以外は、受信機10と基本的に同じになる。
【0173】
中継盤70にはループ伝送路12が接続され、ループ伝送路12には伝送機能を有する固有アドレスが設定された火災感知器16、短絡切離し装置18等の端末が接続されている。
【0174】
中継盤70には図2の受信機10と同様に伝送制御部36、伝送部26、終端電圧検出部40、終端スイッチ42-1,42-2が設けられる。中継盤70は、ループ伝送路12の終端電圧が正常に検出される場合は、ループ伝送路の始端からの信号の送受信により火災を監視する始端側伝送制御を行う。
【0175】
また、中継盤70は、ループ伝送路12の終端電圧が断たれた短絡又は断線による線路障害を検出して終端スイッチをオンし、ループ伝送路12の始端から信号の送受信を行う始端側伝送制御に加え、終端スイッチを介してループ伝送路の終端から信号の送受信を行う終端側伝送制御を行うことで火災を監視する。
【0176】
また、中継盤70の伝送部は、中継盤70の立上げ時に、ループ伝送路12が正常であれば、始端側立上げ制御により中継盤70からの短絡切離し装置18の接続順番を示すノードマップを生成し、ネットワーク回線72を介して受信機10にノードマップ情報を送信し、受信機10のディスプレイに正常時のノードマップを表示させる。
【0177】
また、中継盤70の伝送部は、ループ伝送路12に短絡又は断線があった場合には、中継盤70の始端及び終端の各々からの短絡切離し装置18の接続順番と短絡又は断線位置を示すノードマップを生成し、ネットワーク回線72を介して受信機10にノードマップ情報を送信し、受信機10のディスプレイに短絡時又は断線時のノードマップを表示させる。
【0178】
[本発明の変形例]
上記の実施形態に示したノードマップ画面の表示は一例であり、必要に応じて適宜の表示形態となるノードマップを表示することを妨げない。例えば、リスト表示としても良い。伝送路の始端側から順番にアドレスを表示するものであってもよい。
【0179】
また、伝送路正常時の立上げ制御時の接続順番検出時に、感知器や発信機等のループ伝送路に接続される短絡切離し装置以外の端末についても接続場所を検出するようにしても良い。
【0180】
短絡切離し装置のアドレスを送信する前に、短絡切離し装置以外の端末のアドレスに対して端末呼出信号を送信し、応答信号があったものについては、ループ伝送路のうち、最始端の短絡切離し装置よりも始端側の端末として検出する。
【0181】
次に、短絡切離し装置のアドレスを送信し、いずれかの短絡切離し装置から応答信号を受信すると、最始端の短絡切離し装置よりも始端側の端末以外の短絡切離し装置以外の端末のアドレスに対して端末呼出信号を送信し、応答信号があったものについては、ループ伝送路のうち、最始端の短絡切離し装置と二番目に始端側に近い短絡切離し装置の間の端末として検出する。
【0182】
これを繰り返し、ループ伝送路における短絡切離し装置ごとの端末位置を検出する。このように検出した端末位置を、端末を含めたノードマップとして表示する。また、上記端末を含めたノードマップはリスト表示しても良い。これによれば、断線や短絡検出時に、通信不能となる端末を容易に特定可能となる。
【0183】
また、ノードマップは受信機以外でも表示しても良い。例えば、総合防災盤に送信して表示しても良いし、受信機より印字しても良い。また、端末を含めたノードマップ情報も総合防災盤に出力し、地図上で断線場所や短絡場所を表示しても良い。
【0184】
また、短絡切離し装置は断線や短絡に応じて表示灯や警報等で報知するようにしても良い。例えば、短絡切離し動作を行った短絡切離し装置は短絡切離し表示灯を点灯させ、断線時は受信機が始端側最後の短絡切離し装置と前記終端側最後の短絡切離し装置に対して最後の短絡切離し装置を示す信号を送信し、最後の短絡切離し装置を示す信号を受信した短絡切離し装置が断線表示灯を点灯させるようにしても良い。
【0185】
また、上記の実施形態は、R型の受信機からのループ伝送路を介してR型の火災感知器を接続した火災報知設備を例にとっているが、P型の受信機から引き出したループ型の感知器回線にアドレスを設定すると共に伝送機能を備えたアドレッサブル火災感知器を接続した火災報知設備についても同様に適用できる。
【0186】
また、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0187】
10:受信機
12:ループ伝送路
14a,14b:信号線
16,16-1~16-6:火災感知器
18,18-1~18-5:短絡切離し装置
18-1a~18-5a:短絡切離し装置シンボル
20:メインCPU
22-1,22-2:サブCPU基板
24:サブCPU
26,50:伝送部
27:ディスプレイ
28:表示部
30:操作部
32:音響警報部
34:移報部
36:伝送制御部
38:火報制御部
40:端電圧検出部
42-1,42-2:端スイッチ
46-1,46-:スイッチ
48:制御部
52:電圧検出部
54:電流制限抵抗
56:電流制限解除スイッチ
58-1,58-2,60-1,60-2:ダイオード
62:ノードマップ表示画面
64,64-1,64-2:短絡
64a,64-1a,64-2a:短絡シンボル
66,66-1,66-2:断線
66a,66-1a,66-2a:断線シンボル
70:中継盤
72:ネットワーク回線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17