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特許7390815運送情報管理システム、運送情報管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】運送情報管理システム、運送情報管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0832 20230101AFI20231127BHJP
【FI】
G06Q10/0832
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019141507
(22)【出願日】2019-07-31
(65)【公開番号】P2021026318
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】TOPPANエッジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100206999
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 綾夏
(72)【発明者】
【氏名】林 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】青野 弘嗣
(72)【発明者】
【氏名】酒井 喬成
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-039659(JP,A)
【文献】特開2002-358591(JP,A)
【文献】特開2008-065645(JP,A)
【文献】特開2011-086017(JP,A)
【文献】特開2013-242668(JP,A)
【文献】特開2002-230117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理タグと複数の営業所端末と運送情報管理サーバとを含む運送情報管理システムであって、
前記管理タグは、
付帯される対象の配送物の環境を測定するセンサから得られる測定結果を出力する出力部を有し、
前記運送情報管理サーバは、
前記センサが測定する測定項目に対する基準値を記憶する基準値記憶部と、
前記管理タグを個別に識別する管理タグIDと、前記配送物を配送する配送者に所属する複数の営業所を個別に識別するグループIDとを記憶するグループ管理記憶部と、
グループID毎にアラートを送信する送信先情報を記憶する送信先情報記憶部と、
アラートを送信するか否かの送信条件と管理タグIDとを対応付けた送信条件データであって、基準値の範囲から逸脱した温度、時間、回数の少なくともいずれか1つの項目
に基づいて設定された送信条件データを記憶する送信条件データ記憶部と、
前記測定結果を取得する測定結果取得部と、
前記測定結果が前記基準値の範囲外であるか否かを判定し、前記測定結果が前記基準値の範囲外であると判定した場合、更に前記送信条件データを満たすか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて前記測定結果が前記基準値の範囲外であってかつ前記送信条件データが満たされる場合に、範囲外と判定された測定結果を出力した管理タグIDを特定し、特定された管理タグIDに対応するグループIDを前記グループ管理記憶部から取得し、取得されたグループIDに対応する送信先情報を前記送信先情報記憶部から取得する送信先情報取得部と、
前記取得された送信先にアラート情報を送信する送信部と、
を有し、
前記複数の営業所端末は、
前記運送情報管理サーバからアラートを受信する受信部と、
受信したアラートを出力する出力部と、
を有する運送情報管理システム。
【請求項2】
前記グループ管理記憶部は、少なくとも1つの管理タグIDに対して、配送者に所属する複数の営業所にそれぞれ対応する複数のグループIDを記憶しており、
前記送信先情報取得部は、前記特定された管理タグIDに対応するグループIDが複数である場合には、グループIDのそれぞれについて送信先情報を取得し、
前記送信部は、取得された複数の営業所に対応する送信先情報のそれぞれにアラート情報を送信する
請求項1に記載の運送情報管理システム。
【請求項3】
前記送信条件データは、基準値の範囲から逸脱した逸脱範囲と暴露時間の上限値と暴露回数に基づいて設定され、
前記判定部は、前記逸脱範囲内であり、かつ、前記暴露時間の上限値に到達したか否かを判定し、
前記送信情報取得部は、前記測定結果が前記基準値の範囲外であって、前記逸脱範囲内であり、かつ、前記暴露時間の上限値に到達した回数が、前記暴露回数を超えた場合に、送信先情報を前記送信先情報記憶部から取得する
請求項1に記載の運送情報管理システム。
【請求項4】
管理タグと複数の営業所端末と運送情報管理サーバとを含む運送情報管理システムにおける運送情報管理方法であって、
前記管理タグが、
付帯される対象の配送物の環境を測定するセンサから得られる測定結果を出力し、
前記運送情報管理サーバは、前記センサが測定する測定項目に対する基準値を記憶する基準値記憶部と、前記管理タグを個別に識別する管理タグIDと、前記配送物を配送する配送者に所属する複数の営業所を個別に識別するグループIDとを記憶するグループ管理記憶部と、グループID毎にアラートを送信する送信先情報を記憶する送信先情報記憶部と、アラートを送信するか否かの送信条件と管理タグIDとを対応付けた送信条件データを記憶する送信条件データ記憶部とを有しており、
前記運送情報管理サーバの測定結果取得部が、前記測定結果を取得し、
判定部が、前記測定結果が前記基準値の範囲外であるか否かを判定し、前記測定結果が前記基準値の範囲外であると判定した場合、更に前記送信条件データを満たすか否かを判定し、
送信先情報取得部が、前記判定部の判定結果に基づいて前記測定結果が前記基準値の範囲外であってかつ前記送信条件データが満たされる場合に、範囲外と判定された測定結果を出力した管理タグIDを特定し、特定された管理タグIDに対応するグループIDを前記グループ管理記憶部から取得し、取得されたグループIDに対応する送信先情報を前記送信先情報記憶部から取得し、
送信部が、前記取得された送信先にアラート情報を送信し、
前記営業所端末の受信部が、前記運送情報管理サーバからアラートを受信し、
前記営業所端末の出力部が、受信したアラートを出力する
運送情報管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運送情報管理システム、運送情報管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品や食品等の物品を車両や航空機等を利用して輸送する場合、輸送途中においても温度を一定に保つために保冷剤や保冷庫が利用される場合がある。輸送途中において物品の周囲の温度が所定の範囲にあるかを管理することも行われている。例えば、物品の周囲の温度を温度センサによって測定し、その測定結果を端末装置から管理サーバへ送信し、管理サーバにおいてログとして記憶している。ログには、測定結果とともに、GNSS(Global Navigation Satellite System)等の測位システムを利用して得られる当該物品の位置情報も記憶される。
このような物流の過程において、物品の環境や位置を管理する管理システムも提案されている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-039659号公報
【文献】特開2013-237541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、配送者の管理者が各物品を一括して管理しようとすると、物品が多数あるため、管理の負担が大きくなる。一方で、特許文献1では、トラックに積載される低温庫内に温度センサを設け、低温庫内の温度の状況を営業所に設けられた端末の画面上において確認できるようになっている。しかしこの特許文献1では、管理対象が低温庫であるため、物品単位で状況を把握することができない。また、特許文献2では、貨物の温度に異常が生じたか否かを管理サーバにおいて把握できるが、貨物の数が多い場合には、管理サーバの管理者にかかる管理の負担が大きくなってしまう。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、物品単位で物品の配送状況を管理する場合であっても、管理者の負担が増大しないようにすることができる運送情報管理システム、運送情報管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様は、管理タグと複数の営業所端末と運送情報管理サーバとを含む運送情報管理システムであって、前記管理タグは、付帯される対象の配送物の環境を測定するセンサから得られる測定結果を出力する出力部を有し、前記運送情報管理サーバは、前記センサが測定する測定項目に対する基準値を記憶する基準値記憶部と、前記管理タグを個別に識別する管理タグIDと、前記配送物を配送する配送者に所属する複数の営業所を個別に識別するグループIDとを記憶するグループ管理記憶部と、グループID毎にアラートを送信する送信先情報を記憶する送信先情報記憶部と、アラートを送信するか否かの送信条件と管理タグIDとを対応付けた送信条件データであって、基準値の範囲から逸脱した温度、時間、回数の少なくともいずれか1つの項目に基づいて設定された送信条件データを記憶する送信条件データ記憶部と、前記測定結果を取得する測定結果取得部と、前記測定結果が前記基準値の範囲外であるか否かを判定し、前記測定結果が前記基準値の範囲外であると判定した場合、更に前記送信条件データを満たすか否かを判定する判定部と、前記判定部の判定結果に基づいて前記測定結果が前記基準値の範囲外であってかつ前記送信条件データが満たされる場合に、範囲外と判定された測定結果を出力した管理タグIDを特定し、特定された管理タグIDに対応するグループIDを前記グループ管理記憶部から取得し、取得されたグループIDに対応する送信先情報を前記送信先情報記憶部から取得する送信先情報取得部と、前記取得された送信先にアラート情報を送信する送信部と、を有し、前記複数の営業所端末は、前記運送情報管理サーバからアラートを受信する受信部と、受信したアラートを出力する出力部と、を有する。
【0007】
また、本発明の一態様は、管理タグと複数の営業所端末と運送情報管理サーバとを含む運送情報管理システムにおける運送情報管理方法であって、前記管理タグが、付帯される対象の配送物の環境を測定するセンサから得られる測定結果を出力し、前記運送情報管理サーバは、前記センサが測定する測定項目に対する基準値を記憶する基準値記憶部と、前記管理タグを個別に識別する管理タグIDと、前記配送物を配送する配送者に所属する複数の営業所を個別に識別するグループIDとを記憶するグループ管理記憶部と、グループID毎にアラートを送信する送信先情報を記憶する送信先情報記憶部と、アラートを送信するか否かの送信条件と管理タグIDとを対応付けた送信条件データを記憶する送信条件データ記憶部とを有しており、前記運送情報管理サーバの測定結果取得部が、前記測定結果を取得し、判定部が、前記測定結果が前記基準値の範囲外であるか否かを判定し、前記測定結果が前記基準値の範囲外であると判定した場合、更に前記送信条件データを満たすか否かを判定し、送信先情報取得部が、前記判定部の判定結果に基づいて前記測定結果が前記基準値の範囲外であってかつ前記送信条件データが満たされる場合に、範囲外と判定された測定結果を出力した管理タグIDを特定し、特定された管理タグIDに対応するグループIDを前記グループ管理記憶部から取得し、取得されたグループIDに対応する送信先情報を前記送信先情報記憶部から取得し、送信部が、前記取得された送信先にアラート情報を送信し、前記営業所端末の受信部が、前記運送情報管理サーバからアラートを受信し、前記営業所端末の出力部が、受信したアラートを出力する運送情報管理方法である。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、この発明によれば、物品単位で物品の配送状況を管理する場合であっても、管理者の負担が増大しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の一実施形態による運送情報管理システム1の構成を示す概略ブロック図である。
図2】運送情報管理サーバ40の機能構成を説明する概略ブロック図である。
図3】管理情報記憶部401に記憶される情報の一例を示す図である。
図4】管理情報記憶部402に記憶される情報の一例を示す図である。
図5】送信先情報記憶部403に記憶される情報の一例を示す図である。
図6】端末装置20の機能構成を説明する概略ブロック図である。
図7】端末装置が管理タグから測定結果を受信する処理を説明するフローチャートである。
図8】運送情報管理サーバ40の動作を説明するフローチャートである。
図9】本実施形態における変形例における運送情報管理サーバ40Aの機能を示す機能ブロック図である。
図10】送信条件データ記憶部411に記憶される送信条件データの一例を示す図である。
図11A】管理タグ11の監視を行う端末装置20の表示画面の一例を示す図である。
図11B】管理タグ11の監視を行う端末装置20の表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態による運送情報管理システムについて図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施形態による運送情報管理システム1の構成を示す概略ブロック図である。この運送情報管理システム1において、配送物は、発送場所から届け先の場所に配送されるまでの間に、複数の配送者のうち第1の配送者から他の配送者(第2の配送者等)に対して順次引き継いで輸送される。この実施形態において、配送者は、複数の配送担当者が所属する運送会社等の団体である。この配送者(運送会社)には、複数のグループが所属している。グループとしては、例えば、運送会社に所属する営業所、営業窓口、サービスセンター、取次店等がある。この実施形態において、グループは営業所である場合について説明する。
【0011】
運送情報管理システム1は、複数の管理タグ11(11a、11b)と、複数の端末装置20(20a、20b)と、複数の管理端末30(30a、30b)と運送情報管理サーバ40と、ネットワーク50とを含む。
管理タグ11は、複数の保冷箱10a、10b(以下、特に識別しない場合には単に保冷箱10と称する)のそれぞれに設けられる。保冷箱10は、管理タグ11と、センサ12と、物品15と、保冷剤とを収容する。保冷箱10は、収容された物品15を一定温度(例えば、2℃から6℃の範囲等)に維持する。
ここで、保冷箱10は複数設けられ、この図では一例として、保冷箱10a、保冷箱10bがある(保冷箱10a、保冷箱10bとを識別しない場合には、保冷箱10と称する)。保冷箱10aには、管理タグ11a、センサ12a、物品15aが収容される。保冷箱10bには、管理タグ11b、センサ12b、物品15bが収容される。
【0012】
物品15a、15b(以下、特に識別しないときは単に物品15と称する)は、医薬品や生鮮食品等である。物品15は、一定温度以下に維持されることが好ましい物品である。
センサ12a、12b(以下、特に識別しないときは単にセンサ12と称する)は、管理タグ11a、11bに接続される。センサ12は、保冷箱10内の環境を測定し、測定結果を管理タグ11a、11bに出力する。測定対象の環境としては、例えば、温度、湿度、加速度等である。この実施形態においては、温度を測定する場合について説明する。
【0013】
管理タグ11a、11b(以下、特に識別しない場合には単に管理タグ11と称する)は、端末装置20と通信する通信機能と、データを記憶するメモリを有する。
管理タグ11は、付帯される対象の配送物の環境をセンサから取得し、センサから得られる測定結果を通信機能によって出力する。管理タグ11は、予め決められた一定時間毎にセンサから測定結果を取得し、得られた測定結果を内部に設けられたメモリにログとして記憶する。
【0014】
管理タグ11は、BLE(Bluetooth Low Energy)(Bluetoothは登録商標)を用いた通信またはNFC(Near Field Communication)用いた通信のいずれかの方式に切り替えて通信を行う機能を有する。
【0015】
端末装置20は、スマートフォンやタブレット等の端末装置である。端末装置20は、管理タグ11と通信する機能、ネットワーク50を介して運送情報管理サーバ40と通信を行う機能等を有し、配送業務を行う際に配送担当者によって所持される。また、端末装置20は、公衆回線網を介して通話機能を有する。配送担当者は、配送業務中において、端末装置20を所持し、必要に応じて管理端末30の管理者と通話をすることもできる。
この図において、端末装置20aは、管理端末30aが設けられた営業所に所属する配送担当者によって携帯され、端末装置20bは、管理端末30bが設けられた営業所に所属する配送担当者によって携帯される。
【0016】
管理端末30(30a、30bと称する)は、配送者(運送会社)によって利用される。例えば、管理端末30aは、ある配送者の第1の営業所に設けられ、管理端末30bは、第1の営業所が所属する配送者と同じ配送者の第2の営業所に設けられる。管理端末30としては、コンピュータが用いられる。
【0017】
次に、運送情報管理サーバ40について説明する。図2は、運送情報管理サーバ40の機能構成を説明する概略ブロック図である。
運送情報管理サーバ40は、基準値記憶部401、管理情報記憶部402、送信先情報記憶部403、測定ログ記憶部404、通信部405、判定部406、送信先情報取得部407、入力部408、出力部409、制御部410を有する。
【0018】
基準値記憶部401は、各種情報を記憶する。
図3は、基準値記憶部401に記憶される情報の一例を示す図である。基準値記憶部401は、センサが測定する測定項目に対する基準値を記憶する。基準値は、例えば、物品を保存する保存温度を規定する保存条件であり、例えば、保存温度の上限を表す保存上限温度、保存温度の下限温度を表す保存下限温度、のうち少なくともいずれか一方を用いる。保存上限温度として例えば6℃が設定されている場合には、物品を6℃以下の環境で保存する必要がある。また、保存下限温度として例えば2℃が設定されている場合には、物品を2℃未満にならない環境で保存する必要がある。また、保存上限温度(例えば6℃)と保存下限温度(2℃)の両方が設定されている場合には、物品を保存上限温度と保存下限温度との間の温度(例えば2℃から6℃)で保存する必要がある。すなわち、保存条件として保存温度が規定された物品については、物品が発送元の営業所に持ち込まれてから実際に配送先まで配送して引き渡すまでの間は、保冷箱において、この保存条件を満たすような温度を維持するように保存される。
このような基準値は、物品の特性に応じて、物品毎に異なる値を設定することもできる。例えば、ある物品が、タグID「1001」である管理タグ11ともに1つの保冷箱に入れられる場合、その物品の特性に応じた基準値がそのタグIDとともに、例えば「2℃から6℃」のような値と共に記憶される。
【0019】
管理情報記憶部402は、管理タグを個別に識別する管理タグIDと、配送物を配送する配送者に所属する複数の営業所を個別に識別するグループIDとを記憶する。
図4は、管理情報記憶部402に記憶される情報の一例を示す図である。
管理情報記憶部402は、配送者ID、パスワード、認証コード、タグID、送信先グループID、伝票番号、品名を記憶する。
配送者IDは、配送者を識別する情報である。
パスワードは、配送者毎に異なる情報であり、自身が所属する配送者のサイトに端末装置20によってログインする際に用いられる。
認証コードは、管理タグ11と端末装置20とが通信を行うために必要であり配送者毎にそれぞれ異なる情報である。
タグIDは、管理タグ11を個別に識別する情報である。配送者は、自身が所有する管理タグ11のタグIDを、管理端末30を利用して予め登録する。これによりタグIDが配送者IDに対応付けて記憶される。
送信先グループIDは、タグID毎に設定される情報であり、当該タグIDが付帯される物品を管理するグループを特定する情報である。この送信先グループIDは、1つのタグIDに対して1つ又は複数設定することができる。例えば、送信先グループIDとしては、例えば、物品の配送状況を管理する営業所に割り当てられたグループIDや、配送依頼とともに物品の配送依頼を受けた営業所に割り当てられたグループIDを用いることができる。
伝票番号は、配送される保冷箱10のそれぞれに貼付される伝票に記載された番号であり、伝票を個別に識別する情報である。
品名は、配送される物品の名称を示す情報である。
【0020】
例えば、配送者ID「A001」が割り当てられた配送者(配送担当者)は、端末装置20にIDとパスワードを入力してログインする場合、端末装置20において、IDとして配送者ID「A001」、パスワードとして「AAA」を入力することでログインすることができる。
ログイン後は、自配送者に割り当てられた認証コード「1111」を用いることで、自配送者に割り当てられたタグID「1001」、「1002」、「1003」から測定結果を得ることができる。
タグID「1001」には、送信先グループIDとして「group01」と「group11」が設定され、伝票番号「aaaa」、品名「医薬品A」が対応付けされている。この場合、タグID「1001」が割り当てられた管理タグ11が付帯された物品の配送状況において、何らかの異常が生じた場合には、送信先グループID「group01」が割り当てられた営業所と送信先グループID「group11」が割り当てられた営業所に対してアラート情報が送信されるようになっている。
【0021】
図2に戻り、送信先情報記憶部403は、グループID毎にアラートを送信する送信先情報を記憶する。
図5は、送信先情報記憶部403に記憶される情報の一例を示す図である。送信先情報は、アラート情報を送信する先を特定することができる情報である。例えば、アラート情報を電子メールで送信する場合には、送信先情報として、電子メールアドレスが用いられ、アラート情報を電話回線を介して音声データを送信する場合には、送信先情報として、電話番号が用いられる。アラート情報が、電話回線を介して送信される音声データである場合には、例えば、端末装置20の通話機能を利用し、運送情報管理サーバ40または、運送情報管理サーバ40に接続される他の電話サーバから、当該端末装置20に発呼し、端末装置20において着呼した場合に、音声データを運送情報管理サーバ40または該他の電話サーバから送信する。これにより、着呼した端末装置20において、音声データが再生され、音声がスピーカ等から放音される。
【0022】
測定ログ記憶部404は、端末装置20から受信した、タグIDと、測定結果と、位置情報とを記憶する。ここでは、端末装置20からこれらの情報を受信した時刻も対応づけて記憶する。
【0023】
図2に戻り、通信部405は、管理端末30、端末装置20とネットワーク50を介して通信を行い、各種情報の送信や受信を行う。
測定結果取得部405aは、管理タグ11から出力された測定結果を端末装置20を介して取得する。測定結果取得部405aは、端末装置20からこれらの情報を受信した時刻とともに、端末装置20から受信したタグIDと、測定結果と、位置情報と対応づけて記憶する。
アラート情報送信部405bは、送信先情報取得部407によって取得された送信先にアラート情報を送信する。アラート情報は、物品の周囲の環境が基準値によって示された範囲から逸脱したことを表す情報である。
判定部406は、測定結果が基準値の範囲外であるか否かを判定する。
送信先情報取得部407は、判定部406の判定結果に基づいて測定結果が基準値の範囲外である場合に、範囲外と判定された測定結果を出力した管理タグIDを特定し、特定された管理タグIDに対応するグループIDを管理情報記憶部402から取得し、取得されたグループIDに対応する送信先情報を送信先情報記憶部403から取得する。
【0024】
入力部408は、各種情報を入力する。入力部408は、例えば、タッチパネルやキーボード、マウス等が用いられる。
出力部409は、各種情報を出力する。出力部409は、例えば、タッチパネルの画面、液晶表示装置、スピーカ等を用いることができる。
制御部410は、運送情報管理サーバ40内の各部を制御する。
【0025】
図6は、端末装置20の機能構成を説明する概略ブロック図である。
通信部21は、管理タグ11と通信する機能と、運送情報管理サーバ40と通信する機能を有する。通信部21は、例えば、所定時間が経過する毎に、管理タグ11から送信される測定結果を取得し、取得した測定結果と自端末装置20の位置情報とを運送情報管理サーバ40に送信する。
【0026】
入力部22は、各種情報を入力する。入力部22は、例えば、タッチパネルやキーボード等が用いられる。
出力部23は、各種情報を出力する。出力部23は、例えば、タッチパネルの画面、液晶表示装置、スピーカ等を用いることができる。
記憶部24は、各種情報を記憶する。
測位部25は、端末装置20の現在位置を測定する。位置の測定は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)の機能によって測定することができる。
制御部26は、端末装置20内の各部を制御する。
【0027】
次に、上述した運送情報管理システム1の動作を説明する。
《登録処理》
最初に、運送情報管理サーバ40の管理者は、入力部408を介して、配送者の、ユーザ名、ユーザID、認証コード等を入力し、運送情報管理サーバ40の管理情報記憶部402に記憶する。また、運送情報管理サーバ40の管理者は、入力部408を介して物品毎の基準値を入力することで基準値記憶部401に記憶させ、グループID毎の送信先情報を入力部408を介して入力することで、送信先情報記憶部403に記憶させる。
一方、配送者は、運送情報管理システム1において利用可能な管理タグ11のうち、自身が所有する管理タグ11のタグIDを読み取り、管理端末30から運送情報管理サーバ40に送信することで、管理情報記憶部402に当該タグIDを記憶する。
【0028】
《管理タグから測定結果を受信》
図7は、端末装置が管理タグから測定結果を受信する処理を説明するフローチャートである。
配送担当者は、配送対象の保冷箱10を配送用車両に積載し、自身が利用する端末装置20を携帯する。そして、配送担当者は、配送者IDとパスワードを入力して運送情報管理サーバ40にアクセスし、ログインする(ステップS101)。
端末装置20は、ログインすると、運送情報管理サーバ40から、監視が許可されたタグIDと認証コードを受信する(ステップS102)。監視が許可された管理タグは、ログインした際の配送者IDに対応づけされたタグIDである。ここで受信する認証コードは、ログインした際の配送者IDに対応づけされた認証コードである。
端末装置20は、自端末装置20の通信可能な範囲にある管理タグからタグIDを取得し、得られたタグIDを画面上に表示する(ステップS103)。
配送担当者は、端末装置20の画面上に表示されるタグIDを確認し、自身が管理する対象のタグIDをタッチ入力する(ステップS104)。自身が管理する対象のタグIDは、例えば、配送対象の保冷箱10に付帯された管理タグ11の筐体の外面に印字されたタグIDを見て選択入力してもよい。
端末装置20は、管理タグのタグIDが選択されると、選択されたタグIDに対応する管理タグに対して認証コードを用いてアクセスする(ステップS105)。ここでは、複数のタグIDが選択されていた場合には、それぞれの管理タグ11にアクセスする。
ここでは、管理タグ11は保冷箱10に入れられた上で配送車両の荷台に搭載され、端末装置20は運転席等に載置される。この状態において、端末装置20は、管理タグ11に対して、LPWA等の規格に基づく無線通信を行うことで、アクセスが可能である。
【0029】
端末装置20は、内部に設けられたタイマーのカウントを開始し、タイマーのカウント値を参照する(ステップS106)。そして、端末装置20は、カウント値が、アクセスしている管理タグ11のいずれかに設定されたタイマー値に到達したか否かを判定する(ステップS107)。例えば、端末装置20が2つの管理タグ11に対してアクセスしている場合には、第1の管理タグ11のタイマー値である第1タイマー値と、第2の管理タグ11のタイマー値である第2タイマー値とのうち、第1タイマー値が到来したか否かを判定する。
端末装置20は、第1タイマー値が到来していれば、第1タイマー値が設定された管理タグ11から、測定結果を取得する(ステップS108)。
ここで、管理タグ11は、一定期間毎(例えば1秒毎)に測定結果を無線によって送信している。タイマー値は、管理タグ11の測定間隔よりも長い時間(例えば、1分、3分、5分等)に設定されている。端末装置20は、タイマー値が到来した時点において管理タグ11から送信された測定結果を取得する。
【0030】
端末装置20は、管理タグ11から測定結果を取得すると、その管理タグ11のタグIDと、測定結果と、端末装置20の位置を測定した結果である位置情報とを、運送情報管理サーバ40に送信する(ステップS109)。端末装置20は、管理タグ11から取得した測定結果を、タグIDとともに出力部23の画面上に表示することができる。これにより、配送担当者は、保冷箱10の内部の温度等の状況を確認することができる。
運送情報管理サーバ40は、このタグIDと、測定結果と、端末装置20の位置情報とを対応づけて、受信した時刻とともにログとして測定ログ記憶部404に記憶する。
端末装置20は、処理を終了する指示が入力されたか否かを判定し、終了の指示が入力されていなければ、ステップS106に移行し、終了の指示が入力された場合には、処理を終了する。
【0031】
一方、ステップS107において、端末装置20は、第1タイマー値が到来していない場合には、第2タイマー値が到来したか否かを判定する(ステップS111)。端末装置20は、第2タイマー値が到来していない場合には、ステップS106に処理を移行し、第2タイマー値が到来している場合には、第2タイマー値が設定された管理タグ11から、測定結果を取得し(ステップS112)、その管理タグ11のタグIDと、測定結果と、端末装置20の位置を測定した結果である位置情報とを、運送情報管理サーバ40に送信する(ステップS109)。
【0032】
このように、端末装置20は、自身が管理する対象の管理タグ11から測定結果を取得し、タグID及び位置情報とともに運送情報管理サーバ40に送信する。これにより、端末装置を保冷箱10毎に設置しなくても、測定結果を位置情報とともに収集することができる。
【0033】
《管理タグからの測定結果に基づくアラート送信判定》
図8は、運送情報管理サーバ40の動作を説明するフローチャートである。
運送情報管理サーバ40の測定結果取得部405aは、端末装置20から送信されるタグIDと測定結果と端末装置20の位置情報とを受信すると(ステップS201)、測定ログ記憶部404に記憶する(ステップS202)。
運送情報管理サーバ40の判定部406は、測定ログ記憶部404に記憶された情報に基づいて、測定結果が基準値の範囲外であるか否かを判定する(ステップS203)。ここで判定部406は、測定結果に対応する管理タグのタグIDを特定し、このタグIDに対応する基準値を基準値記憶部401から取得し、測定結果がこの取得された基準値の範囲外であるか否かを判定する(ステップS204)。
判定部104の判定結果において、測定結果が基準値の範囲外ではない場合(測定結果が基準値の範囲内である場合)、制御部410は、ステップS201に移行する。
一方、測定結果が基準値の範囲外である場合、送信先情報取得部407は、範囲外と判定された測定結果に対応するタグIDを測定ログ記憶部404から読み出し、このタグIDに対応するグループIDを管理情報記憶部402から読み出すことで特定する(ステップS205)。ここでは、送信先情報取得部407は、タグIDに対応するグループIDが複数ある場合には、グループIDのそれぞれを読み出す。送信先情報取得部407は、特定されたグループIDに対応する送信先情報を送信先情報記憶部403から取得する(ステップS206)。
送信先情報が得られると、アラート情報送信部405bは、得られた送信先情報に基づいて、送信先情報として設定された管理端末30あるいは端末装置20に対してアラート情報を送信する(ステップS207)。
制御部410は、処理を終了するか否かを判定し、処理を終了しない場合にはステップS201に移行し、処理を終了すると判定した場合には、処理を終了する。
【0034】
これにより、管理情報記憶部402に記憶された、管理タグ11のタグIDに対応付けられたグループIDを用いることで、送信先情報を特定し、アラート情報を送信することができる。これにより、ある物品において、保冷箱10内の温度が基準値の範囲外となった場合には、送信が必要なグループ(例えば営業所)に対してアラート情報が送信される。これにより、配送者の管理者や、配送者に所属する営業所であって、基準値の範囲外となった物品の配送に関係しない営業所に対してアラート情報が送信されてしまうことを防止することができるため、必要なグループに特定してアラート情報を送信することができる。
また、ここでは、アラート情報は、複数のグループに対して送信することもできるため、基準値の範囲外となった物品の配送に関係する複数の営業所にそれぞれアラート情報を送信することができる。
【0035】
また、本実施形態によれば、管理タグ11を物品毎に付帯させるようにしたので、複数の物品が異なるタイミングで同じまたは異なる配送先に配送されたとしても、その配送の途中において測定結果が基準値の範囲外になったとしても、特定のグループに対してアラート情報を通知することができる。また、管理タグ11を物品毎に付帯させるようにしたので、物品が異なる営業所を経由して配送先に配送される場合であっても、特定のグループにアラート情報を通知することができる。例えば、発送元が営業所Aであり営業所Aがアラート情報の送信先として設定され、配送先に届けるために営業所Bに引き継がれたあと、さらに営業所Cに引き継がれるような場合において、営業所Bまたは営業所Cの配送担当者が配送している途中において、物品の周囲の温度が基準温度の範囲外となった場合には、発送元の営業所Aにアラート情報を通知することができる。このように、自己の営業所の配達エリアから離れたエリアにおいて物品の周囲の温度に異常があっても、管理元の営業所にアラート情報を通知することができる。このアラート情報を受けた営業所では、配送担当者に連絡を入れて状況の確認をしたり、必要に応じて、同じ物品を送り直すか否かの検討を早い段階から行うことができる。
また、この実施形態においては、1つの配送者に属する複数のグループ内において物品を配送する場合について説明したが、異なる配送者を経由して配送される場合についても、適用することができる。例えば、配送者が運送会社Dであってアラート情報の送信先が運送会社Dの営業所Eに設定されており、運送会社Dに所属する営業所Eから発送された物品が運送会社Dとは異なる運送会社Fに引き継がれて配送されるような場合であっても、運送会社Dが配送している間に、物品の周囲の温度に異常があっても営業所Eの管理端末30または端末装置20に対してアラート情報を通知することができる。
【0036】
《変形例》
上述した実施形態においては、測定結果が基準値の範囲外である場合にアラート情報を送信する場合について説明したが、測定結果が基準値の範囲外である場合にアラート情報を送信する以外に、送信条件を満たす場合にアラート情報を送信するようにしてもよい。
図9は、本実施形態における変形例における運送情報管理サーバ40Aの機能を示す機能ブロック図である。この図において、図2の各部に対応する機能については同一の符号を付し、その説明を省略する。
運送情報管理サーバ40Aは、図2における運送情報管理サーバ40の機能と異なる機能としては、判定部406Aと送信条件データ記憶部411とを有する。
判定部406Aは、判定部406の機能の他に、送信条件データ記憶部411に記憶された送信条件データに基づいて、送信条件を満たすか否かを判定し、送信条件を満たす場合にアラート情報を送信すると判定する。
【0037】
送信条件データ記憶部411は、送信条件データを記憶する。
図10は、送信条件データ記憶部411に記憶される送信条件データの一例を示す図である。
送信条件データは、タグIDと送信条件とが対応付けられたデータである。送信条件は、アラート情報を送信するか否かの条件を示すデータである。この送信条件を満たす場合には、アラート情報を送信する。
ここで、物品は、その測定結果が基準値の範囲外となった場合に当該物品の品質に影響を与える場合もあるが、基準値の範囲から逸脱したとしても、一定条件の範囲であれば、物品の品質に与える影響を許容することができる場合もある。送信条件は、この基準値の範囲から逸脱したとしても、品質の面において許容することが可能な条件に基づいて決めることができるデータである。
【0038】
ここで、基準値は、例えば、物品を保存する際の望ましい温度である保存温度を規定するデータを用いることができ、例えば、保存温度の上限を表す保存上限温度、保存温度の下限温度を表す保存下限温度、のうち少なくともいずれか一方を用いることができる。保存上限温度として例えば6℃が設定されている場合には、物品を6℃以下の環境で保存する必要がある。また、保存下限温度として例えば2℃が設定されている場合には、物品を2℃未満にならない環境で保存する必要がある。また、保存上限温度(例えば6℃)と保存下限温度(2℃)の両方が設定されている場合には、物品を保存上限温度と保存下限温度との間の温度(例えば2℃から6℃)で保存する必要がある。すなわち、保存条件として保存温度が規定された物品については、物品が配送元から配送先に配送するまでの間は、冷蔵機能あるいは冷凍機能がある保冷箱10において、この保存条件を満たすような温度を維持するように保存されつつ配送される。
送信条件は、保存条件から逸脱した温度、時間、回数の少なくともいずれか1つの項目に基づいて設定することができる。いずれの項目を用いるかについては、物品の特性に応じて決定されればよい。ここで、送信条件の一例として、(1)逸脱上限温度、(2)逸脱下限温度、(3)逸脱温度範囲と暴露時間の上限値、(4)逸脱温度範囲と暴露時間の上限値と回数、を用いた(1)から(4)の場合についてそれぞれ説明する。
(1)逸脱上限温度を用いる場合
送信条件として、逸脱上限温度が用いられる場合、この逸脱上限温度を超えた場合にアラート情報を送信する。例えば、保存上限温度が6℃、保存下限温度が2℃として設定され、逸脱上限温度が15℃として設定された物品について、2℃から6℃の間で保存しており、一時的に保存範囲温度(2℃から6℃)の範囲外に暴露された場合であって、その温度が15℃を超えた場合には、アラート情報が送信される。
(2)逸脱下限温度を用いる場合
送信条件として、逸脱下限温度が用いられる場合、この逸脱下限温度を下回った場合には、アラート情報を送信する。例えば、保存上限温度が6℃、保存下限温度が2℃として設定され、逸脱下限温度が0℃として設定された医薬品について、2℃から6℃の間で保存しており、一時的に保存範囲温度(2℃から6℃)の範囲外に暴露され、その温度が0℃を下回った場合には、アラート情報が送信される。
(3)逸脱温度範囲と暴露時間の上限値
送信条件として、逸脱温度範囲と暴露時間の上限値が用いられる場合、一時的に保存範囲温度を逸脱したとしても、逸脱温度範囲内であり、かつ、暴露時間の上限値に到達した場合には、アラート情報が送信される。例えば、保存上限温度が6℃未満、保存下限温度が2℃として設定され、逸脱温度範囲が6℃から15℃が設定され、暴露時間の上限値が1時間として設定されたタグIDの管理タグが付帯された物品について、2℃から6℃の間で保存しており、一時的に保存範囲温度(2℃から6℃)の範囲外に暴露され、その温度が10℃であり、暴露時間が10分である場合には、逸脱温度範囲内であって、暴露時間の上限値に到達していないため、アラート情報が送信されない。ただし、逸脱温度範囲を超えるか(例えば28℃)、暴露時間の上限値を超えた場合(例えば2時間)には、アラート情報が送信される。
(4)逸脱温度範囲と暴露時間の上限値と暴露回数
送信条件として、逸脱温度範囲と暴露時間の上限値と暴露回数が用いられる場合、一時的に保存範囲温度を逸脱したとしても、暴露時間の上限値に到達していない時間内であって、逸脱温度範囲内に達した暴露回数が上限回数までである場合には、アラート情報が送信されない。
保存上限温度が6℃未満、保存下限温度が2℃として設定され、逸脱温度範囲が6℃から15℃が設定され、暴露時間の上限値が1時間、暴露回数の上限である上限回数が2回として設定されたタグIDの管理タグが付帯された物品を例として説明する。この物品が、2℃から6℃の間で保存されており、一時的に保存範囲温度(2℃から6℃)の範囲外の10℃に10分間暴露され、その後、保存範囲温度(例えば5℃)にて保存された後、また一時的に保存範囲温度の範囲外の12℃に15分間暴露された場合には、保存範囲温度を逸脱した際の温度がいずれも逸脱温度範囲内(1回目が10℃、2回目が12℃)であり、暴露時間がいずれも、上限値内(1回目が10分、2回目が15分)であり、暴露回数が上限回数内(2回)であり、逸脱温度範囲、暴露時間、暴露回数のいずれの項目についても、その範囲内であるため、アラート情報が送信されない。ただし、逸脱温度範囲を超えた場合(例えば28℃)、暴露時間の上限値を超えた場合(例えば2時間)、暴露回数が上限回数を超えた場合(例えば3回以上)のいずれかに該当することになった場合には、アラート情報が送信される。
【0039】
このような送信条件データを用いる場合、判定部406Aは、図8のステップS204の判定において、測定結果が基準値の範囲外であると判定した場合、さらに、送信条件データが示す送信条件を満たすか否かを判定する。この判定を行うにあたり、判定部406Aは、測定結果が基準値の範囲外であると判定された管理タグのタグIDに対応する送信条件を送信条件データ記憶部411から読み出し、送信条件を満たすかいなかを判定する。そして、送信条件を満たすと判定した場合には、ステップS205の処理に移行する。
【0040】
このような送信条件を用いることで、物品の品質に生じる影響が許容されなくなる前の段階であって、かつ、基準値の範囲を超え、送信条件に合致した場合に、アラート情報を送信するようにした。これにより、基準値の範囲を超えて直ちにアラート情報を送信するのではなく、物品の品質に生じる影響が許容されなくなる可能性が生じた段階でアラート情報を送信することができるため、アラート情報が送信される頻度を抑えつつ、物品の品質に影響が生じる可能性が把握された段階で、送信先のグループとして設定されたグループ(営業所)に対して、アラート情報を通知することができる。これにより、アラート情報を受け取った営業所の担当者は、このアラート情報を参照することで、物品の品質に影響が生じる可能性が把握された段階で、保冷箱10に異常があるか否かを確認したり、必要に応じて、同じ物品を送り直すか否かの検討を行うことができる。また、アラート情報が送信される頻度が抑えられるため、管理者の負担を低減することができる。
また、このような送信条件データは、タグID単位で設定することができるため、このタグIDの管理タグが付帯される物品単位で、アラート情報の送信を設定することができる。
【0041】
図11は、管理タグ11の監視を行う端末装置20の表示画面の一例を示す図である。
図11Aは、端末装置20の通信可能な領域内にある管理タグ11のIDとその測定結果が表示された状態を示す図である。この画面においては、端末装置20と通信可能な領域内であって、自端末装置20がログインした際に得られた自配送者に割り当てられた認証コードを用いてアクセスすることで、通信が成立した管理タグ11に関して表示される。
配送担当者は、この画面を参照し、自身が配送を担当する保冷箱10に付帯された管理タグ11のタグIDをタップ入力する。これにより、端末装置20の画面には、図11Bに示すように、監視を開始するか否かを入力するボタンを表示する表示画面に切り替わる。配送担当者は、この画面において、「リアルタイム温度監視開始」ボタンをタップする。これにより、監視対象とされた管理タグ11から一定時間間隔で測定結果を取得し、位置情報とともに運送情報管理サーバ40に送信する処理が開始される。
【0042】
また、図11Bに示す画面においては、基準値を超えた回数を示す「アラート逸脱回数」、基準値を超えた期間を示す「アラート逸脱時間」、基準値を超えた期間の累計を示す「アラート累計時間」も表示される。これにより、アラート情報が送信されていない段階であっても、端末装置20の画面を参照することで、物品が保冷箱10においてどのような環境において保管されているかを把握することができる。
【0043】
以上説明した実施形態において、運送情報管理システム1に、ゲートウェイ装置を設けるようにしてもよい。例えば、ゲートウェイ装置は、管理タグ11であれば、いずれの管理タグ11であっても、アクセスし、位置情報とともに運送情報管理サーバ40に測定結果を送信することができる。ゲートウェイ装置は、例えば、運送情報管理サーバ40の管理下において利用されるため、いずれの配送者の管理タグ11であっても、必要な認証コードを利用してアクセスすることができる。
このようなゲートウェイ装置は、第1配送者と第2配送者の間で引き継ぎ申請がなされ、引き継ぎを受け入れることが確定するまでの間に、ある程度の区間がある場合利用するようにしてもよい。例えば、端末装置20を所有していない配送者が配送する区間や、端末装置を所有していたとしても、端末装置20としての機能が搭載されていない端末装置を利用する配送者が配送を担当する区間において利用するようしてもよい。これにより、引き継ぎが完了するまでの間であっても、測定結果だけでなく、位置情報も得て、運送情報管理サーバ40に記憶することができる。
また、ゲートウェイ装置については、端末装置20から引き継ぎ申請を受けることなく測定結果の受信を開始することができる。また、ゲートウェイ装置から次の区間を担当する配送担当者の端末装置20に対して引き継ぎ申請をする必要もない。
【0044】
以上説明した実施形態における効果についてさらに説明する。
一般に、物品を輸送する対象の範囲が広い場合において端末装置に通信機能を持たせる場合には、SIM(Subscriber Identity Module)カードを端末装置に搭載し、管理サーバと通信を行うことが考えられる。この場合、物品毎にそれぞれSIMカードが搭載された端末装置を付帯させる必要が生じるため、多数のSIMカードを運用するための費用が増大する。
しかし、上述の実施形態によれば、管理タグを物品に付帯させ、端末装置については、配送担当者が携帯しているスマートフォン等の端末装置を利用するようにしたため、端末装置を物品に常時付帯させなくても、測定結果を、運送情報管理サーバ40に送信することができる。配送担当者は一般に、物品の配送時にはスマートフォン等の端末装置を所持しているため、この端末装置を利用することで、物品毎に端末装置を新たに付帯する必要がない。
また、管理タグの測定結果は、例えばテキストデータで送信することで、通信するデータ量を抑えることができる。このため、配送担当者の端末装置の通信料に関する負担は少ない。
【0045】
上述した実施形態における、端末装置20、運送情報管理サーバ40をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0046】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0047】
1…運送情報管理システム、10…保冷箱、10a…保冷箱、10b…保冷箱、11…管理タグ、11a…管理タグ、11b…管理タグ、12…センサ、12a…センサ、12b…センサ、15…物品、15a…物品、15b…物品、20…端末装置、20a…端末装置、20b…端末装置、21…通信部、22…入力部、23…出力部、24…記憶部、25…測位部、26…制御部、30…管理端末、30…管理タグ、30a…管理端末、30b…管理端末、40…運送情報管理サーバ、40A…運送情報管理サーバ、50…ネットワーク、104…判定部、401…基準値記憶部、402…管理情報記憶部、403…送信先情報記憶部、404…測定ログ記憶部、405…通信部、405a…測定結果取得部、405b…アラート情報送信部、406…判定部、406A…判定部、407…送信先情報取得部、408…入力部、409…出力部、410…制御部、411…送信条件データ記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B