(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】水平搬送台車
(51)【国際特許分類】
B61B 13/00 20060101AFI20231127BHJP
B61D 47/00 20060101ALI20231127BHJP
B66F 9/19 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
B61B13/00 A
B61D47/00 A
B66F9/19 Z
(21)【出願番号】P 2019143391
(22)【出願日】2019-08-02
【審査請求日】2022-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木下 優司
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 俊介
(72)【発明者】
【氏名】谷 卓
【審査官】西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-032599(JP,A)
【文献】特開平06-032227(JP,A)
【文献】特開2018-111589(JP,A)
【文献】特開平11-021098(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 13/00
B61D 47/00
B66F 9/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象の荷又はキャスター付き台車上に荷が載置されて該荷が前記キャスター付き台車とともに搬送される被搬送物を水平搬送するための水平搬送台車であって、
荷取りした
前記荷又は前記被搬送物を預けるための台座部を有し、駆動輪および操舵輪を備えた台車本体と、
前記台車本体に取り付けられ、
前記荷又は前記被搬送物を外部から前記台座部に荷取り/荷下ろしするためのフォークリフト部と、
前記フォークリフト部を前後方向に伸縮する伸縮機構と、
前記フォークリフト部を上下方向に昇降する昇降機構と、
前記駆動輪、前記伸縮機構及び前記昇降機構を制御する制御部と、
を備え、
前記台座部は、該台座部の表面と面一で表面が該台座部に格納され、支持部材昇降機構により昇降する支持部材を有し、
前記制御部は、前記被搬送物
を荷取りする場合、前記支持部材昇降機構を制御して前記支持部材を上昇させ、キャスター下端が前記台座部の表面に接触しないように前記キャスター付き台車を支持することを特徴とする水平搬送台車。
【請求項2】
前記支持部材は、シザース状のシザースリンク機構によって前記台座部に対して支持されることを特徴とする請求項1に記載の水平搬送台車。
【請求項3】
前記制御部は、外部の管理サーバから送られる
前記搬送対象が前記被搬送物であるか否かの制御情報をもとに、前記支持部材の昇降を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の水平搬送台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設現場などにおいて資機材などの被搬送物を水平搬送する水平搬送台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建設業において労働者不足を補うために作業の自動化が求められており、中でも多くの人工がかかっている資材搬送はその筆頭である。資材搬送を自動化する上で自走台車を用いるケースは多く、特に現場条件に適した自走台車が採用される傾向にある。こうした自走台車として、例えば特許文献1に示すような台車が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、キャスター付きでない台車に載っている荷は、自動搬送台車の台座部の平面上に、台車とともに積載して搬送するようにしている。しかし、キャスター付き台車に荷が載っている場合、台車とともに自動搬送台車の台座部の平面上に積載すると、キャスター付き台車が搬送中に移動してしまう。
【0005】
このため、キャスター付き台車上に荷が積載された被搬送物を自動搬送台車で搬送する場合、キャスターの車輪にロック機構を設け、キャスター付き台車をロック状態に変更しておくか、あるいは、キャスター付きでない台車上に荷を積みなおしてから搬送しなければならず、自動搬送台車によって搬送できる被搬送物の範囲が狭くなるという問題があった。また、自動搬送台車によって搬送できる被搬送物の範囲を広げようとすると、そのためのロック機構の付加や、ロックの処理という作業負荷の増大が発生する。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、荷が台車上に載った被搬送物を一体として搬送する場合、キャスター付きの有無にかかわらず簡易な構成で搬送することができる水平搬送台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る水平搬送台車は、搬送対象の荷又はキャスター付き台車上に荷が載置されて該荷が前記キャスター付き台車とともに搬送される被搬送物を水平搬送するための水平搬送台車であって、荷取りした前記荷又は前記被搬送物を預けるための台座部を有し、駆動輪および操舵輪を備えた台車本体と、前記台車本体に取り付けられ、前記荷又は前記被搬送物を外部から前記台座部に荷取り/荷下ろしするためのフォークリフト部と、前記フォークリフト部を前後方向に伸縮する伸縮機構と、前記フォークリフト部を上下方向に昇降する昇降機構と、前記駆動輪、前記伸縮機構及び前記昇降機構を制御する制御部と、を備え、前記台座部は、該台座部の表面と面一で表面が該台座部に格納され、支持部材昇降機構により昇降する支持部材を有し、前記制御部は、前記被搬送物を荷取りする場合、前記支持部材昇降機構を制御して前記支持部材を上昇させ、キャスター下端が前記台座部の表面に接触しないように前記キャスター付き台車を支持することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る他の水平搬送台車は、上記の発明において、前記支持部材は、シザース状のシザースリンク機構によって前記台座部に対して支持されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る他の水平搬送台車は、上記の発明において、前記制御部は、外部の管理サーバから送られる前記搬送対象が前記被搬送物であるか否かの制御情報をもとに、前記支持部材の昇降を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、荷が台車上に載った被搬送物を一体として搬送する場合、キャスター付きの有無にかかわらず簡易な構成で搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態である水平搬送台車の概略構成を示す正面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態である水平搬送台車の概略構成を示す平面図である。
【
図3】
図3は、支持部材昇降機構の具体例を示す図である。
【
図4】
図4は、キャスター付き台車上に載置された荷を一体の被搬送物として荷取りする動作を説明する説明図である(その1)。
【
図5】
図5は、キャスター付き台車上に載置された荷を一体の被搬送物として荷取りする動作を説明する説明図である(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照して、本発明に係る水平搬送台車の実施の形態について詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
図1及び
図2に示すように、本発明に係る水平搬送台車10は、
搬送対象として、資機材などの荷
又は被搬送物(キャスター付き台車上に荷が載置されて該荷がキャスター付き台車とともに搬送されるもの)を水平搬送するための台車であって、台車本体11と、フォークリフト部12とを有する。
【0014】
台車本体11は、荷取りした荷又は被搬送物を預けるための台座部11cを有し、操舵輪13及び駆動輪14を有する。台座部11cの左右(X方向)両側の表面11aには、荷が載置され、支持部材30上には、被搬送物が載置される。
【0015】
操舵輪13及び駆動輪14は、台車本体11の下面の四隅側に設けられる。操舵輪13は、台車本体11の下面の前側左右に位置し、電動で、水平搬送台車10を自在に移動させるためのものである。駆動輪14は、台車本体11の下面の後側左右に位置し、電動で、水平搬送台車10と水平搬送台車10に積載された荷又は被搬送物の荷重を支えながら水平搬送台車10を自在に移動させるためのものである。この操舵輪13も、水平搬送台車10と水平搬送台車10に積載された荷又は被搬送物の荷重を支える。水平搬送台車10の自在な動きを実現するために、操舵輪13と駆動輪14は互いに独立して操舵される。
【0016】
台座部11cの左右両側には一対の支持部材30が設けられる。支持部材30の表面は、台座部11cの表面11aと面一となった状態で格納され、支持部材昇降機構18によって上下方向(Z方向)に昇降する。
【0017】
具体的には、
図3に示すように、支持部材30は、支持部材本体31とシザースリンク機構35とを有する。支持部材本体31は、支持部材本体31の表面31aと台座部11cの表面11aとが面一となるように、溝11b内に格納される。支持部材本体31は、支持部材昇降機構18の昇降シリンダ32によって昇降する。この際、支持部材本体31は、シザース状のシザースリンク機構35によって支持される。シザースリンク機構35は、2本のリンク部材33,34をシザース状(X字状)に組み立てたものである。
【0018】
リンク部材34の前端下部には、全方向移動車輪37が取り付けられている。この全方向移動車輪37は、シザースリンク機構35を溝11bに沿って移動可能に支持する非駆動の車輪であり、例えばオムニホイール(登録商標)などにより構成することができる。リンク部材34の後端上部は、Y方向に延びる長穴36上を摺動できるように支持部材本体31に連結されている。他方のリンク部材33は、両端部が回転可能に連結されている。
【0019】
フォークリフト部12は、図示しないヤードから荷又は被搬送物を水平搬送台車10に荷取り/荷下ろしするためのものであり、伸縮機構15及び昇降機構16を介して台車本体11に取り付けられる。このフォークリフト部12は、前後方向(Y方向)に平行に配置され、前後方向に延びる2本の長尺箱状のフォーク12aと、フォーク12aの基端(=Y方向側端部)に立壁部とを有する。また、フォークリフト部12は、台車本体11の中央部に配置される。
【0020】
(荷取り動作)
キャスター付き台車上に載置された荷
とキャスター付き台車とが一体の被搬送物
101の荷取りする場合について説明する。まず、制御部17は、被搬送物
101の荷取りを行う場合、まず台車本体11を被搬送物
101に近接させる(
図4(a1),(a2))。その後、フォークリフト部12を、伸縮機構15によって被搬送物側(Y方向)に移動させ、フォークを被搬送物
101の下側に差し込む(
図4(a2,b2))。
【0021】
その後、制御部17は、昇降機構16によってフォークリフト部12を上昇して被搬送物
101をフォークで取り上げる(
図4(a3))。その後、制御部17は、伸縮機構15によって、被搬送物
101が載置されたフォークリフト部12を後方(-Y方向)に引く(
図5(a4),(b4))。
【0022】
その後、制御部17は、支持部材昇降機構18によって、支持部材30を高さH、上昇させ、キャスター下端が表面11aに接触しないようにキャスター付き台車を支持し、その後、昇降機構16によってフォークリフト部12を下降して、デフォルト位置に戻る(
図5(a5))。なお、
図5(a5)では、キャスター下端が表面11aから高さΔH、浮き上がった状態となっている。これにより、キャスター付き台車は、台車の底部が支持部材30によって支持されることになる。これにより、水平搬送台車10は、被搬送物
101を載置した状態で搬送可能となる。
【0023】
なお、制御部17は、被搬送物101の荷下ろしを行う場合、荷取りの逆順にフォークリフト部12及び支持部材30を駆動する。
【0024】
また、制御部17は、外部の管理サーバ100から送られる搬送対象が被搬送物であるか否かの制御情報をもとに、支持部材30の昇降を制御する。
【符号の説明】
【0025】
10 水平搬送台車
11 台車本体
11a 表面
11b 溝
11c 台座部
12 フォークリフト部
12a フォーク
13 操舵輪
14 駆動輪
15 伸縮機構
16 昇降機構
17 制御部
18 支持部材昇降機構
30 支持部材
31 支持部材本体
31a 表面
32 昇降シリンダ
33,34 リンク部材
35 シザースリンク機構
36 長穴
37 全方向移動車輪
100 管理サーバ
101 被搬送物