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特許7390847情報処理装置およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】情報処理装置およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/105 20230101AFI20231127BHJP
   G06Q 50/20 20120101ALI20231127BHJP
【FI】
G06Q10/105
G06Q50/20 300
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019188061
(22)【出願日】2019-10-11
(65)【公開番号】P2021064131
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000155469
【氏名又は名称】株式会社野村総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100199277
【弁理士】
【氏名又は名称】西守 有人
(72)【発明者】
【氏名】水鳥 裕太
(72)【発明者】
【氏名】花崎 徹治
【審査官】藤澤 美穂
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-350887(JP,A)
【文献】特開2017-187903(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0068922(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研修プログラムの情報を取得するプログラム取得手段と、
複数の従業員により入力された、各従業員の業務に係る動機を数値化するための入力情報を取得する入力情報取得手段と、
従業員と、該従業員の業務に係る動機を向上させると推定される1つ以上の研修プログラムとの組み合わせを、前記入力情報と前記研修プログラムの情報とに基づいて特定する特定手段と、
各従業員と研修プログラムとの前記組み合わせに基づいて、従業員が属す組織に対して提供されるべき研修プログラムを選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された研修プログラムの情報を前記組織に提供する提供手段と、を有し、
前記選択手段は、前記組み合わせとして特定された研修プログラムのうち、所定数以上の従業員に共通する研修プログラムを、前記組織に対して提供されるべき研修プログラムとして選択する、ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記選択手段は、既に第1の組織に第1の研修プログラムの情報が提供されている場合、前記第1の研修プログラムと所定の共通点を有する第2の研修プログラムを、前記第1の組織に対して提供されるべき研修プログラムとして選択する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記研修プログラムは、芸術鑑賞又は芸術活動である芸術プログラムである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記研修プログラムは、芸術鑑賞又は芸術活動である芸術プログラムであり、
前記研修プログラムの情報は、前記芸術プログラムの鑑賞や活動の対象である作品の作者、創作された時代及び創作された地域、並びに、前記芸術プログラムが実施される時間及び場所、のうちの複数の情報を含み、
前記所定の共通点は、前記研修プログラムの情報のうちの少なくともいずれかであることを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記提供手段は、前記研修プログラムの情報を、前記組織に属す従業員のうち、前記特定手段により前記研修プログラムに組み合わせられている従業員に対して提供する、ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1からのいずれか1項に記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芸術プログラムの情報を提供する情報処理装置およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従業員が会社に出勤していながら業務遂行に対する動機が低下しており、業務の生産性が低下している状態(プレゼンティーズム或いは疾病就業などともいわれる)にある場合がある。プレゼンティーズムの状態に陥っている従業員は、その後に、休職の状態や退職に至る可能性が懸念されるため、業務遂行に対する動機を回復するための措置が取られることが望ましい。一方、プレゼンティーズムの状態に陥っていない場合であっても、業務遂行に対する動機を維持するための措置がとられることが望ましい。
【0003】
ところで、従業員が芸術鑑賞や芸術活動に係るプログラム(単に芸術プログラムともいう)に参加することで、業務遂行に対する動機が向上したり、健康が向上したりする場合があることが知られている。しかし、従業員のプライベートの時間に芸術プログラムに参加するよう促してもその機会が活かされないことも多いため、所定の組織(会社や部署)の業務活動として芸術プログラムに参加することでその実行性を高めることが考えられている。このように、従業員に適切な芸術プログラムへの参加機会を提供することで、プレゼンティーズムを予防したり回復に導いたりすることが期待されている。
【0004】
会社の従業員に適切な情報を提供する技術として、属性(職歴や保有資格、学歴)が類似する他のユーザが受講した研修(或いは複数の他のユーザが受講した研修のうち重複するもの)をユーザにリコメンドする技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-28647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、従業員の業務遂行に対する動機を向上させる芸術プログラムを選択して提供することは考慮されていなかった。また、組織内の従業員が全く個別に提供されたプログラムに参加するよりも、組織内の従業員が同じ芸術プログラムに参加した方が、体験を従業員同士で共有できたり従業員同士の関係を改善できる場合がある。この点、特許文献1では、従業員が属す組織に情報を提供することは考慮されていなかった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、業務遂行に対する動機を向上させる適切な芸術プログラムの情報を組織に提供することが可能な技術を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するため、例えば本発明の情報処理装置は以下の構成を備える。すなわち、研修プログラムの情報を取得するプログラム取得手段と、複数の従業員により入力された、各従業員の業務に係る動機を数値化するための入力情報を取得する入力情報取得手段と、従業員と、該従業員の業務に係る動機を向上させると推定される1つ以上の研修プログラムとの組み合わせを、前記入力情報と前記研修プログラムの情報とに基づいて特定する特定手段と、各従業員と研修プログラムとの前記組み合わせに基づいて、従業員が属す組織に対して提供されるべき研修プログラムを選択する選択手段と、前記選択手段によって選択された研修プログラムの情報を前記組織に提供する提供手段と、を有し、前記選択手段は、前記組み合わせとして特定された研修プログラムのうち、所定数以上の従業員に共通する研修プログラムを、前記組織に対して提供されるべき研修プログラムとして選択する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、業務遂行に対する動機を向上させる適切な芸術プログラムの情報を組織に提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る情報提供システムの概要を説明する図
図2】本実施形態に係る情報処理装置の機能構成例を示すブロック図
図3】本実施形態に係る通信装置の機能構成例を示すブロック図
図4】本実施形態に係る芸術プログラム提供処理に係る一連の動作を示すフローチャート
図5】本実施形態に係る組み合わせ特定処理の事前処理(モデルの学習)に係る一連の動作を示すフローチャート
図6】本実施形態に係る組み合わせ特定処理の一連の動作を示すフローチャート
図7】本実施形態に係る芸術プログラム選択処理の一連の動作を示すフローチャート
図8】本実施形態に係る通信装置における入力情報の送信画面の一例を示す図
図9】本実施形態に係る組織情報のデータ構成の一例を示す図
図10】本実施形態に係る従業員情報のデータ構成の一例を示す図
図11】本実施形態に係る入力情報及び芸術プログラム参加後のフィードバック(FB)情報のデータ構成の一例を示す図
図12】本実施形態に係る芸術プログラム情報のデータ構成の一例を示す図
図13】本実施形態に係る組み合わせ特定処理に用いられる学習モデルの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでするものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴うち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
以下の実施形態では、芸術プログラム提供処理を情報提供システムにおける情報処理装置において実行する例について説明する。情報処理装置は、例えば、ネットワーク上に配置された情報処理サーバにより構成される。
【0013】
<情報提供システムの概要>
図1を参照して、本実施形態に係る情報提供システム10の概要について説明する。情報処理装置100は、芸術プログラムの情報を、芸術プログラムの提供者110から取得して登録する。芸術プログラムは、例えば、芸術鑑賞や芸術活動に参加するためのプログラムである。芸術プログラムには、例えば、文芸(詩・小説)、美術(絵画・写真・華道)、音楽、演劇(戯曲・映画・アニメ)、デザイン(フォント・ファッション・インテリア)を鑑賞するプログラムや、これらの創作を体験する活動、これらに関わるセラピーなどを含む。これらの芸術プログラムは、企業における研修プログラムの1つとして用いられる。また、芸術プログラムの提供者110は、芸術プログラムに係る展示やセラピーなどを開催する主催者である。例えば、情報処理装置100は、芸術プログラムの情報を、芸術プログラムの提供者110の利用する情報端末から取得して、情報処理装置100内の記録部に保持する。
【0014】
また、情報処理装置100は、会社内の組織120に属す従業員から、業務に係る動機の情報(入力情報ともいう)を取得する。例えば、情報処理装置100は、従業員が利用する通信装置から、業務に係る動機の情報(例えば、業務に係る動機に関するアンケートに対する回答など)を取得する。
【0015】
情報処理装置100は、芸術プログラムの情報と入力情報とに基づいて、従業員と、当該従業員の業務に係る動機を向上させると推定される芸術プログラムとの組み合わせを特定する(組み合わせ特定処理)。これにより、各従業員に対して業務に係る動機を向上させる効果の期待できる芸術プログラムを考慮することができる。更に、情報処理装置100は、従業員が属す組織120(例えば会社、事業部、部或いは課など様々な階層の組織であってよい)に対して提供されるべき芸術プログラムを選択する(組織用プログラム選択処理)。
【0016】
組織に対して提供されるべき芸術プログラムとは、例えば同一の芸術プログラムで動機を向上させると推定される従業員の数が多い芸術プログラムである。例えば、組み合わせ特定処理の結果、組織の従業員A、B、Cに対して、従業員Aには芸術プログラムX、Y、Zでの効果が期待され、従業員Bには、芸術プログラムY、M、Nでの効果が期待されているとする。また、従業員Cには、芸術プログラムY、O、Pでの効果が期待されているとする。この場合、情報処理装置100は、例えば、芸術プログラムYの情報を組織に対して提供する。このようにすることで、会社等の組織のまとまった数の従業員に対して、芸術プログラムへの参加を促すことができる。すなわち、組織には従業員の業務に係る動機を向上させる機会を与えることができる一方で、芸術プログラムの提供者にはまとまった数の参加者を提供することができる。また、従業員は、組織ごとに同じ芸術プログラムに参加することで、体験を共有したり、人間関係を深める機会を得ることができる。
【0017】
<情報処理装置の構成>
次に、図2を参照して、情報処理装置100の機能構成例について説明する。なお、以降の図を参照して説明する機能ブロックの各々は、統合されまたは分離されてもよく、また説明する機能が別のブロックで実現されてもよい。また、ハードウェアとして説明するものがソフトウェアで実現されてもよく、その逆であってもよい。
【0018】
通信部201は、従業員が利用する通信装置300と、ネットワークを介して通信する通信回路又は通信モジュールを含む。通信部201は、芸術プログラムの提供者が用いる端末や通信装置300との通信を行う。
【0019】
制御部202は、中央演算装置であるCPU210とRAM211とを含む。制御部202は、記録部204に記憶されたコンピュータプログラムをRAM211に展開、実行することにより、後述する芸術プログラム提供処理を実行したり、情報処理装置100の各部の動作を制御したりする。制御部202は、更に、学習モデルを用いた統計処理をより高速に実行するための演算ユニット(例えばGPU)や専用ハードウェアを更に含んでよい。
【0020】
RAM211は、例えばDRAM等の揮発性の記憶媒体を含み、制御部202がコンピュータプログラムを実行するためのパラメータや処理結果等を一時的に記憶する。電源部203は、情報処理装置100の各部が動作するための電力を提供するための回路又はモジュールである。電源部203は、更にバッテリを備えるように構成されてもよい。
【0021】
記録部204は、例えばハードディスクや半導体メモリ等の不揮発性の記録媒体を含み、情報処理装置100の動作に必要な設定値や演算結果等を記録する。また、記録部204は、従業員が使用する通信装置300から取得した入力情報や、芸術プログラムに参加した後に従業員により入力されたフィードバック(FB)情報、芸術プログラム提供者から提供される芸術プログラムの情報などを記録する。これらの情報は、それぞれ、記録部204に含まれる入力情報DB220、FBDB221、芸術プログラムDB222に記録される。
【0022】
表示部205は、例えば管理者が情報処理装置100を設定するための設定用ユーザインタフェースを表示するための表示デバイス、或いは外部装置に表示可能な情報を送信する表示制御モジュールを含む。
【0023】
制御部202は、組み合わせ特定部212と、組織用プログラム選択部213とを含む。組み合わせ特定部212は、組み合わせ特定処理を実行し、組織用プログラム選択部213は、組織用プログラム選択処理を実行する。組み合わせ特定処理、及び組織プログラム選択処理の詳細な説明は後述する。
【0024】
<通信装置の構成>
次に、図3を参照して、通信装置300の機能構成例について説明する。本実施形態では、通信装置の一例として、スマートフォンを用いる場合を例に説明するが、通信装置は、後述する入力情報を送信できるように構成されたパーソナルコンピュータ、或いはタブレット端末などの他の電子機器であってよい。なお、以降の図を参照して説明する機能ブロックの各々は、統合されまたは分離されてもよく、また説明する機能が別のブロックで実現されてもよい。また、ハードウェアとして説明するものがソフトウェアで実現されてもよく、その逆であってもよい。
【0025】
通信部301は、例えば通信用回路等を含み、例えばLTE等の移動体通信を介してインターネットに接続したり、無線LAN通信を介してネットワークに接続したりして、情報処理装置100との通信を行う。
【0026】
制御部302は、CPU310及びRAM311を含み、例えば記録部307に記録されたコンピュータプログラムをRAM311に展開し、CPU310が実行することにより、通信装置300内の各部の動作を制御する。また、制御部302は、入力情報やフィードバック情報を情報処理装置100に送信するためのコンピュータプログラムを実行する。
【0027】
操作部303は、通信装置300の備えるボタンやタッチパネルを含み、表示部306に表示される各種操作用のGUIに対する操作を行うことができる。電源部304は、通信装置300の各部へ電力を提供する。撮像デバイス305は、例えば、撮像素子を含むカメラ機構であり、制御部302からの指示に応じて被写体の撮影を行う。表示部306は、例えばLCDやOLED等の表示デバイスを含む。表示部306は、制御部302の指示に応じて、後述する入力情報を送信するためのGUIや、各種アプリケーションのGUI等を表示する。
【0028】
記録部307は、例えば半導体メモリ等の不揮発性メモリを含み、制御部302が実行するプログラムや設定値を保持したりする。記録部307に保持されるコンピュータプログラムは、通信装置300の諸機能を実現するためのオペレーティングシステムや種々のアプリケーションを含み、アプリケーションには後述する入力情報を送信するためのブラウザアプリケーションが含まれる。
【0029】
音声入力デバイス308は、例えばマイクロホンを含み、通信装置300を使用するユーザの発する音声を入力する。音声入力デバイス308は、ユーザの発した音声を入力するだけでなく、ユーザの発した音声を認識して、入力情報をブラウザアプリケーションに入力する機能を兼ね備えてもよい。
【0030】
<本実施形態で用いる情報>
次に、本実施形態において用いられる、芸術プログラムの情報、入力情報、及び、フィードバック情報について説明する。
【0031】
[芸術プログラムの情報]
上述したように、芸術プログラムは、例えば、芸術鑑賞や芸術活動に参加するためのプログラムである。情報処理装置100は、芸術プログラムの情報を、芸術プログラムの提供者(の利用する通信装置(不図示))から取得して、芸術プログラムDB222に記録している。
【0032】
例えば、図12は、芸術プログラムDB222に記録されている芸術プログラムの情報1200の一例を示している。芸術プログラムの情報1200は、プログラムID1201、分類1202、(作品が創作された)地域1203、(作品が創作された)時代1204などの情報を含む。プログラムID1201は、芸術プログラムを一意に特定するための識別情報である。分類1202は、芸術プログラムの分類するための情報である。例えば、文芸(詩・小説)、美術(絵画・写真・華道)、音楽、演劇(戯曲・映画・アニメ)、デザイン(フォント・ファッション・インテリア)の鑑賞や、これらの創作体験、およびこれらのセラピーなどに分類される。
【0033】
(作品が創作された)地域1203は、鑑賞や創作などの対象となる作品が創作された地域の情報を含む。地域は、例えば国によって表されるが、より広域な地域名(例えばヨーロッパ)によって表されたり、より局所的な地方名などによって表されてもよい。(作品が創作された)時代1204は、鑑賞や創作などの対象となる作品が創作された時代の情報を含む。例えば、「AB~BC年」のように幅を持った期間により表される。
【0034】
芸術プログラムの情報は、更に、(作品を創作した)作者の情報、芸術プログラムの概要情報、詳細な説明などの情報を含んでよい。更に、芸術プログラムの情報は、芸術プログラムが実施される時間や場所の情報を含む。芸術プログラムが実施される時間は、例えば、平日:AM〇時からPM△時、休日:AM〇時からPM××時のような営業時間或いはプログラムの実施タイミングに係る時間情報である。芸術プログラムが実施される場所は、例えば、演奏や展示の行われる美術館やコンサートホール等の位置情報である。
【0035】
[入力情報]
入力情報は、業務に係る動機を数値化するための情報であり、会社内の組織に属す従業員によって入力される。例えば、業務に係る動機を数値化する方法は、公知の方法を用いて行うことができる。例えば、従業員は、「geppo(https://www.geppo.jp/)」として知られるサービスで提供されるような質問に回答するアンケート形式で入力情報を入力し、情報処理装置100が入力された回答に従って従業員の業務に係る動機を数値化してもよい。更に、入力情報は、芸術プログラムに対する従業員の嗜好情報を求める内容を含んでよい。例えば、従業員の嗜好情報を求める内容として、(1)従業員が興味を持っている芸術の分類(例えば芸術プログラムの分類1202と類似の分類)、(2)従業員が気分転換としている活動などを含んでよい。
【0036】
図8は、従業員の用いる通信装置300における、入力情報の送信画面801の一例を示している。入力情報の送信画面801では、例えば、従業員が動機に関する質問に対して、0%~100%の範囲で満足度を入力する。例えば、第1の質問802は、現在の業務に対する満足度を入力するための質問で構成される。また、第2の質問803は、職場における人間関係に対する満足度を入力するための質問で構成され、また、第3の質問804は、健康に対する満足度を入力するための質問で構成される。従業員は、各質問に割り当てられているスライダーバーの位置をタッチパネル上で移動させることによって調節し、所望の満足度を入力する。また、従業員は、従業員の嗜好に関する質問に対して、例えば、選択肢を選択する。例えば、第4の質問806は、従業員が興味を持っている芸術の分類に関する質問であり、例えば芸術の分類を選択可能である。また、従業員の嗜好に関する質問は、従業員が気分転換としている活動に関する質問を更に含んでよい。従業員は、送信ボタン805を押下することにより、入力情報を情報処理装置100に送信する。情報処理装置100は、各質問に対して入力された満足度を表す入力値を公知の所定の算出式に従って演算することにより、従業員の業務に係る動機を数値化することができる。
【0037】
入力情報は、情報処理装置100の記録部204における入力情報DB220に保持される。入力情報DB220に保持される入力情報は、例えば、図11(a)に示すようなデータ形式で保持される。
【0038】
入力情報1100は、図11(a)に示すように、例えば、入力情報ID1101、スコア1102、各質問に対する回答(入力値)1103~1104、送信日時などの情報により構成される。入力情報ID1101は、入力情報を一意に識別可能な識別子である。スコア1102は、各質問に対する入力値に基づいて算出され、数値化された従業員の業務に係る動機を表す。動機に係る各質問に対する回答(入力値)1103~1104は、例えば、図8の例において、各質問に対してスライダーバーを移動させて入力された、満足度を表す情報が含まれる。これらの質問に対する回答は、例えば、3つの回答により構成され得る。また、従業員の嗜好に関する質問に対する回答1105は、例えば、図8の例において第4の質問に対して選択された、芸術の分類などが含まれる。
【0039】
なお、入力情報は、上記の形式に限定されるものではなく、例えば、スコアにはToMo指数ともいわれる他の形式を用いてもよい。例えば、楽しさ、目的、可能性、感情的圧力、経済的圧力、惰性といった6項目に対して例えば7段階で評価を入力することで、今の業務についている動機を数値化することができる。或いは、スコアにはT-PECストレスチェックとして知られる公知の数値化手法を用いてもよい。
【0040】
[フィードバック(FB)情報]
FB情報は、従業員により芸術プログラムに参加した後に入力されるフィードバックの情報である。FB情報は、従業員が芸術プログラムの参加後に入力する情報であれば、様々な形式の情報であってよい。本実施形態では、例えば、芸術プログラムに参加した後に、入力情報と同一の形式の質問に回答する場合を例に説明する。FB情報を入力情報と同一の形式とすることにより、芸術プログラムの参加前後における、従業員の業務に係る動機の変化を容易に測定することが可能になる。
【0041】
FB情報1110は、図11(b)に示すように、例えば、FB情報ID1111、スコア1112、動機に関する質問に対する回答1113~1114、従業員の嗜好に関する質問への回答1115、送信日時などの情報により構成される。参加後のFB情報ID1111は、FB情報を一意に識別可能な識別子である。スコア1102は、各質問に対する入力値に基づいて算出され、数値化された従業員の業務に係る動機を表す。図11(b)の例では、入力情報と同一の方法を用いて業務に係る動機を数値化する。動機に関する質問に対する回答1113~1114は、例えば、図8の例において、動機に関する質問に対してスライダーバーを移動させて入力された、満足度を表す情報が含まれる。また、従業員の嗜好に関する質問への回答1115は、例えば、図8の例において第4の質問に対して選択された、芸術の分類などが含まれる。質問に対する回答は、例えば、入力情報と同一の数で構成され得る。
【0042】
FB情報の形式は、上記の形式のほか、芸術プログラムに対する従業員の評価を含むものであってもよい。例えば、FB情報を構成する情報として、(1)芸術プログラムの開催場所がどの程度便利であったか、(2)芸術プログラムの実施される時間帯がどの程度便利であったか、(3)芸術プログラムがどの程度有益であったか、を含んでよい。
【0043】
<情報処理装置100における芸術プログラム提供処理の一連の動作>
次に、情報処理装置100における芸術プログラム提供処理の一連の動作について、図4を参照して説明する。なお、本処理は、制御部202のCPU210が記録部204に記録されるコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、図4に示す本芸術プログラム提供処理で用いる統計処理用のモデル(学習モデルともいう)は、十分な学習データを用いて学習済みの状態(この状態のモデルを学習済みモデルともいう)であるものとする。学習モデルを学習させる処理、および学習データについては、図5を参照して後述する。
【0044】
S401において、制御部202は、通信部201を介して、芸術プログラムの提供者が利用する不図示の通信装置から芸術プログラムの情報を取得し、芸術プログラムDB222に保持する。芸術プログラムDB222に保持される芸術プログラムの情報は、例えば、図12を参照して上述した芸術プログラムの情報1200である。
【0045】
S402において、制御部202は、従業員が通信装置300から送信した入力情報を取得して、入力情報DB220に保持する。上述したように、従業員は、通信装置300において、例えば、図8に示した入力情報の送信画面801に対する操作により入力情報を入力して、情報処理装置100に送信する。入力情報DB220に保持される入力情報は、例えば、図11(a)を参照して説明した入力情報1100のようになる。
【0046】
なお、本処理では、S402において入力情報を受信する例を示しているが、他の芸術プログラムに対する入力情報が予め収集されて、記録部204のDBに保持されていれば、S401で取得した芸術プログラムに対する入力情報の取得は必須ではない。
【0047】
S403において、制御部202は、学習済モデルを用いて、従業員と芸術プログラムの組み合わせを特定する。従業員と芸術プログラムの組み合わせを特定する処理(単に組み合わせ特定処理ともいう)の詳細については、図6を参照して後述する。
【0048】
S404において、制御部202は、S403において特定された(従業員と芸術プログラムとの)組み合わせに基づいて、組織に対して提供されるべき芸術プログラムを選択する。組織に対して提供されるべき芸術プログラムを選択する処理(単に芸術プログラム選択処理ともいう)の詳細については、図7を参照して後述する。
【0049】
S405において、制御部202は、通信部201を介して、S404で選択された芸術プログラムの情報を、組織に関連付けられた所定の通信装置(例えば、組織に属す従業員のそれぞれが用いる通信装置)に送信する。制御部202は、組織に関連付けられた所定の通信装置に芸術プログラムの情報を送信すると、本処理に係る一連の動作を終了する。なお、制御部202は、選択された芸術プログラムの情報を、組織内の特定の従業員(の通信装置)に対してのみ送信するようにしてもよい。例えば、S403における従業員と芸術プログラムの組み合わせにおいて特定されている、(当該組織内の)特定の従業員に対して、芸術プログラムの情報を送信する。
【0050】
<組み合わせ特定処理の事前処理(モデルの学習)に係る一連の動作>
次に、組み合わせ特定処理の事前処理(モデルの学習)に係る一連の動作について、図5を参照して、説明する。なお、本処理は、制御部202のCPU210が記録部204に記録されるコンピュータプログラムを実行することにより実現される。本処理は、学習モデルの学習が行われていない状態で開始され、学習モデルを学習済みの状態にする処理である。
【0051】
S501において、制御部202は、記録部204に保持されている各DBから、入力情報と、芸術プログラムの情報と、芸術プログラム参加後のFB情報とを読み出して、学習データとして使用する。この学習データは、例えば、図10に示すデータ構造1000のように構成されてよい。このデータ構造では、従業員ID1001に対して、入力情報の識別子1002と、参加した芸術プログラムのID1003と、参加後のFB情報のID1004とが関連付けられている。
【0052】
制御部202は、図10に示すデータ構造1000を参照して、芸術プログラムに参加する前の特定の従業員による入力情報と、当該従業員が参加した芸術プログラムの情報とをモデルの入力データとする。そして、この従業員が当該芸術プログラムに参加した後のFB情報を、対応する入力データに対する正解データ(教師データともいう)とする。
【0053】
S502において、制御部202は、入力データ(すなわち、従業員による入力情報と、当該従業員が参加した芸術プログラムの情報)を学習モデルに入力する。
【0054】
本実施形態では、学習モデルの一例として、例えば図13に示すディープニューラルネットワークを用いる場合を例に説明する。図13に示すニューラルネットワークは、主に、入力層1301、隠れ層1302、出力層1303から構成され、隠れ層1302は複数の層(レイヤ)で構成される。入力層1301には、例えば、従業員による入力情報の各入力値やスコアが入力されるとともに、芸術プログラムの情報のうち、図12に示した各属性値(1202~1204等)がそれぞれ入力される。入力層1301から出力層1303までの各ニューロン間の結合の重みは、本処理により最適化されてゆく。出力層1303は、FB情報を出力する(すなわち、芸術プログラム参加後のFB情報を予測する)ように構成されている。
【0055】
S503において、制御部202は、学習モデルにより芸術プログラム参加後の結果を予測する。すなわち、制御部202は、入力層1301の各ニューロンに入力値を入力すると、ニューロン間の重みに応じた演算やアクティベーション関数による演算を行って、出力層に向かって順方向に演算を実行する。出力層1303は、入力層に入力された入力情報と芸術プログラムの組み合わせ(換言すれば、入力情報を入力した状態の従業員が当該芸術プログラムに参加した場合)に対して、予測されるフィードバック情報(例えば、1112~1115等)を出力する。
【0056】
S504において、制御部202は、予測結果と正解データのFB情報との差異に基づき損失関数の出力を算出する。例えば、制御部202は、予測結果と正解データのFB情報との差異(予測誤差)の2乗和で定義される損失関数を用いて、損失関数の出力を算出する。
【0057】
S505において、制御部202は、学習データのうちの予め定められたデータサンプルの全てを用いて損失関数の出力を算出したかを判定する。制御部202は、学習データのうちの予め定められたデータサンプルの全てについて処理を実行した場合、1エポックの処理が終了したと判定してS506に処理を進め、そうでない場合にはS502に処理を戻す。
【0058】
S506において、制御部202は、損失関数の出力の総和が減少するように、学習モデルの重みを変更する。例えば、制御部202は、バックプロパゲーションといわれる公知の方法を用いて、損失関数の偏微分値に基づき、出力層から入力層に向かって順にニューロン間の重みを変更する。
【0059】
S507において、制御部202は、所定のエポック数の処理を終了したかを判定する。すなわち、S502~S507の処理を予め定めた回数だけ繰り返したかを判定する。S502~S507の処理を繰り返すことによりニューラルネットワークの重みが徐々に最適値に収束するように変更される。制御部202は、所定のエポック数を終了していないと判定した場合には処理をS502に戻し、そうでない場合には、本一連の処理を終了する。このように、学習モデルの学習に係る一連の動作を完了すると、学習モデルが学習済みの状態となる。
【0060】
<情報処理装置100における組み合わせ特定処理に係る一連の動作>
次に、図6を参照して、組み合わせ特定処理に係る一連の動作について説明する。本処理は、図4に示したS403が実行されるときに開始される。
【0061】
S601において、制御部202は、組織に属す従業員を特定する。例えば、制御部202は、図9に示す組織情報に基づいて、組織に属す従業員を特定する。例えば、組織情報は、図9に示すように、組織ID901、上位組織902、組織名903、及び、組織に属す従業員904を含む。
【0062】
組織ID901は、組織を一意に特定可能な識別子である。上位組織902は、その組織の上位の組織の組織IDを指定しており、会社においてその組織が最も上位である場合には「N/A」が指定される。例えば、組織IDが「01011101」である組織は会社内の最上位の組織であり、組織IDが「01011102」及び「01011103」である組織は、組織IDが「01011101」である組織の直下の組織であることを示している。
【0063】
組織名903は組織の名称を表し、組織に属す従業員904は、その組織に属す従業員のIDを示す。組織に属す従業員904では、より下位の組織に含まれる従業員のIDは下位の組織における従業員のIDに含まれており、上位の従業員のIDには含まれてない。例えば、制御部202は、組織IDが「01011103」である組織を処理対象とする場合、この組織に従業員を{F,G,H,I,J,K}として特定する。
【0064】
なお、S601の処理では、制御部202は、処理対象の組織が下位の組織を有する場合(すなわち処理対象の組織を上位組織とする組織が存在する場合)には、下位の組織の従業員もこの組織の従業員として特定する。
【0065】
S602において、制御部202は、ある組織に対して特定した各従業員(例えば{F,G,H,I,J,K})の入力情報と、芸術プログラムの情報とを順次学習モデルに入力する。具体的には、まず、従業員Fの入力情報と、芸術プログラムの情報との組み合わせを学習モデルに入力して、そのFB情報を予測する。
【0066】
制御部202は、予測されるFB情報が、従業員の業務に係る動機を向上させるポジティブな結果に相当するかを判定し、ポジティブな結果に相当すると判定した場合、入力情報を入力した従業員と芸術プログラムとを対応づける。予測されたFB情報が従業員の業務に係る動機を向上させるポジティブな結果に相当するかの判定は、例えば、入力情報のスコア1102がFB情報のスコア1112において上昇しているか、従業員の嗜好が合致しているかに従って判定することができる。
【0067】
制御部202は、第1の芸術プログラムの情報を用いた、従業員と芸術プログラムの組み合わせの判定が終了すると、同一の入力情報を用いて、第2の芸術プログラムの情報を用いた処理の判定を実施する。すなわち、制御部202は、一人の従業員の入力情報を固定したまま、芸術プログラムを1つずつ変更して予測されるFB情報を算出する。このようにすることで、各従業員にとって、業務に係る動機を向上させると推定される芸術プログラムを検知することができる。
【0068】
ここで、学習モデルに入力する芸術プログラムの情報は、DBに保持されている全ての芸術プログラムの中から順に1つずつ取り出した芸術プログラムの情報であっても良い。或いは、過去の従業員Fのフィードバック情報から抽出可能な嗜好に基づいて、1つずつ取り出した芸術プログラムでも良い。
【0069】
S603において、制御部202は、予測結果の良好な芸術プログラムを従業員に対応付ける。制御部202は、例えば、S602の処理により、従業員Fに対して芸術プログラムA、B、Cが従業員の業務に係る動機を向上させると判定した場合、従業員Fと芸術プログラムA~Cとを組み合わせる。このようにして、制御部202は従業員と芸術プログラムとの組み合わせを特定する。
【0070】
更に、制御部202は、同様の処理を他の従業員(従業員G,H,・・・)にも実行して、予測結果が良好な芸術プログラムを各従業員に対応付ける。また、制御部202は、同様の処理を、他の組織の従業員にも実行して、予測結果が良好な芸術プログラムを各従業員に対応付けてよい。制御部202は、各従業員と芸術プログラムとの対応付けた情報をRAM211(或いは記録部204)に一時的に記憶させる。制御部202は、各従業員と芸術プログラムとの対応付けを終えると処理を終了する。
【0071】
<芸術プログラム選択処理に係る一連の動作>
次に、図7を参照して、芸術プログラム選択処理に係る一連の動作について説明する。本処理は、図4に示したS404が実行されるときに開始される。
【0072】
S701において、制御部202は、対象組織に属す各従業員に対応付けられた芸術プログラムを読み出す。例えば、制御部202は、S603においてRAM211(或いは記録部204)に記憶された、各従業員に対応付けられた芸術プログラムを読み出す。
【0073】
S702において、制御部202は、各芸術プログラムが組織内の何人の従業員に対応付けられているかをカウントする。すなわち、制御部202は、各芸術プログラムが何人の従業員の業務に係る動機を向上させるかをカウントする。
【0074】
S703において、制御部202は、S702における各芸術プログラムのカウント数のうち、所定数以上のカウント値となった芸術プログラムが存在するかを判定する。制御部202は、例えば、(閾値を10人に設定している場合に、)組織内の10人以上の従業員の動機を向上させる芸術プログラムが存在すると判定した場合、S704に処理を進め、そうでないと判定した場合にはS705に処理を進める。なお、閾値は、組織の従業員に対する所定の割合を指定するものであってもよい。
【0075】
S705において、制御部202は、図9に示した組織情報を参照して、処理対象の組織により上位の組織があるかを判定する。このようにするのは、処理対象の組織において、カウント数が所定数以上(例えば、10人以上)となる芸術プログラムが存在しなかった場合に、より上位の組織以下に属す従業員(より多くの従業員)の範囲でS701~S702の処理を行うためである。制御部202は、処理対象の組織より上位の組織があると判定した場合、S706に処理を進め、そうでない場合にはS707に処理を進める。
【0076】
S706において、制御部202は、処理対象をより上位の組織に変更して、S701に処理を戻す。一方、S707において、制御部202は、処理対象の組織にはカウント数が所定数以上(例えば、10人以上)となる芸術プログラムが存在しなかったため、対象組織には芸術プログラムを選択すること無く、本一連の処理を終了する。
【0077】
S704において、制御部202は、処理対象の組織に対して以前に提供された芸術プログラムがあるかを判定する。制御部202は、例えば予め記録された、組織に対して提供された芸術プログラムを記録した提供履歴データ(不図示)を参照して、当該組織に以前に提供された芸術プログラムがある場合にはS709に処理を進める。一方、そうでない場合にはS708に処理を進める。
【0078】
S708において、制御部202は、カウント数が所定数以上(例えば、10以上)となる芸術プログラムを、組織に対して提供されるべき芸術プログラムとして選択する。制御部202は、その後、本一連の処理を終了する。
【0079】
S709において、制御部202は、以前に提供された芸術プログラムと共通点があり、且つ、カウント数が所定数以上(例えば、10以上)となる芸術プログラムを、組織に対して提供されるべき芸術プログラムとして選択する。以前に提供された芸術プログラムと所定の共通点を有する芸術プログラムを、対象組織に対して提供されるべき芸術プログラムとして選択する。所定の共通点は、芸術プログラムの情報に含まれる情報のうちの少なくともいずれかが共通する芸術プログラムをいう。例えば、芸術プログラムの情報は、図12について上述したように、作品が創作された地域や、作品が創作された年代、作品の作者、芸術プログラムが実施される時間、場所の情報を含む。このため、これらのうちのいずれかが共通する芸術プログラムは、所定の共通点を有する芸術プログラムとなる。このように、既に提供済みの芸術プログラムと共通点を有する芸術プログラムを提供することにより、共通点(例えば、創作された年代や作者など)についての潜在的な興味に気づかせたり、ランダムな提案による従業員の興味の低下を軽減することができる。
【0080】
また、既に、2以上の芸術プログラムが組織に提供されている場合、制御部202は、共通点に対する重み付けを変更した芸術コンテンツを提供してもよい。例えば、既に作品の創作された年代が共通する第1の芸術プログラムと第2の芸術プログラムが提供されている場合を想定する。この場合、制御部202は、作品の創作された年代とは異なる共通点(例えば作品の作者)で第1又は第2の芸術コンテンツと共通する第3の芸術コンテンツを提供する。このようにすることで、従業員の潜在的な興味を探索するような芸術コンテンツの提供が可能になる。
【0081】
以上説明したように、上述の実施形態では、従業員と該従業員の業務に係る動機を向上させると推定される1つ以上の芸術プログラムとの組み合わせを、従業員による入力情報と芸術プログラムの情報とに基づいて特定するようにした。そして、特定された従業員と芸術プログラムとの組み合わせに基づいて、従業員が属す組織に対して提供されるべき芸術プログラムを選択するようにした。このようにすることで、会社等の組織のまとまった数の従業員に対して、従業員の業務に係る動機を向上させる機会を与えることができる。一方で、芸術プログラムの提供者にはまとまった数の参加者を提供することができる。換言すれば、業務遂行に対する動機を向上させる適切な芸術プログラムの情報を組織に提供することが可能な技術を実現することができる。
【0082】
<変形例>
上述した実施形態では、情報処理サーバである情報処理装置100が芸術プログラム提供処理を実行する場合を例に説明した。しかし、上述した実施形態は、情報処理装置100が情報処理サーバである場合に限定されない。例えば、従業員が利用するパーソナルコンピュータや携帯型端末(スマートフォンやタブレット端末)において芸術プログラム提供処理を実行し、表示デバイスを介して情報を提供してもよい。この場合、情報処理装置は、芸術プログラムの情報を、芸術プログラムの提供者が提供するサーバや第三者の提供するDBサービスから取得するようにすればよい。
【0083】
上述した実施形態では、学習モデルの一例として、ディープニューラルネットワークを用いる場合を例に説明した。しかし、学習モデルは上述の例に限定されない。入力データと正解データの組み合わせには他のデータを用いてもよい。また、教師あり学習に適用可能なモデルであれば、ディープニューラルネットワークに限らず、例えば決定木などの他の機械学習モデルを用いてもよいし、アンサンブル学習を取り入れた形式であってもよい。
【0084】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0085】
100…情報処理装置、201…通信部、202…制御部、204…記録部、212…組み合わせ特定部、213…組織用プログラム選択部
図1
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図10
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