(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E05C 9/04 20060101AFI20231127BHJP
E06B 3/26 20060101ALI20231127BHJP
E06B 7/23 20060101ALI20231127BHJP
E06B 1/32 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
E05C9/04
E06B3/26
E06B7/23 Z
E06B1/32
(21)【出願番号】P 2019199065
(22)【出願日】2019-10-31
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】萩原 敦
(72)【発明者】
【氏名】▲節▼ 世名
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-90416(JP,A)
【文献】特開2010-222907(JP,A)
【文献】特開2014-142827(JP,A)
【文献】特開2015-105504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05C 9/04
E06B 1/00-3/99
E06B 7/16-7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部に沿って配置された枠体と、
前記枠体の内部に配置されて水平方向または鉛直方向に延びる軸回りに回動して開口部を開閉する障子と、
前記障子を前記枠体に係止可能なグレモン錠と、を有し、
前記グレモン錠は、前記障子に設けられて前記障子に設けられたハンドルと連動する連動部と、
前記枠体に取り付けられて前記連動部を係止可能な係止部と、を有し、
前記連動部および前記係止部は、前記障子の框の外周側で前記枠体または前記框に取り付けられて、前記枠体と前記框との間の隙間を全周にわたって塞ぐ気密材のうち、最も室内側に設けられている気密材よりも室内側に設けら
れ、
前記連動部は、前記框の室内側を向く見付面に取り付けられ、
前記係止部は、前記見付面よりも室内側で前記連動部を係止し、
前記見付面は、前記障子の框の外周側で前記枠体または前記框に取り付けられて、前記枠体と前記框との間の隙間を全周にわたって塞ぐ気密材のうち、最も室内側に設けられている気密材よりも室内側に設けられている建具。
【請求項2】
前記枠体および前記框に取り付けられ、前記障子の開放または閉鎖を検知するセンサを有し、
前記センサは、前記気密材よりも室内側に設けられている
請求項1に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、障子が鉛直軸や水平軸回りに回動する開き窓で、障子の室内側に設けられたハンドルと連動して施錠と開錠とができるグレモン錠が設けられた建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。グレモン錠は、障子の框と枠体との間の空間に配置されていて、障子の框に取り付けられハンドルと連動する連動部と、枠体に取り付けられ所定の位置に配置された連動部を係止可能な係止部と、を有している。このようなグレモン錠は、枠体または框に取り付けられて、枠体と框との間の隙間を塞ぐ気密材よりも室外側に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
グレモン錠が気密材よりも室外側に設けられている場合、室外の冷気によりグレモン錠が冷やされ、その冷気がハンドルに伝達して結露が生じる虞がある。
【0005】
本開示は、室外の冷気によりグレモン錠が冷やされることを抑制できる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る建具は、開口部に沿って配置された枠体と、前記枠体の内部に配置されて水平方向または鉛直方向に延びる軸回りに回動して開口部を開閉する障子と、前記障子を前記枠体に係止可能なグレモン錠と、を有し、前記グレモン錠は、前記障子に設けられて前記障子に設けられたハンドルと連動する連動部と、前記枠体に取り付けられて前記連動部を係止可能な係止部と、を有し、前記連動部および前記係止部は、前記障子の框の外周側で前記枠体または前記框に取り付けられて、前記枠体と前記框との間の隙間を全周にわたって塞ぐ気密材のうち、最も室内側に設けられている気密材よりも室内側に設けられ、前記連動部は、前記框の室内側を向く見付面に取り付けられ、前記係止部は、前記見付面よりも室内側で前記連動部を係止し、前記見付面は、前記障子の框の外周側で前記枠体または前記框に取り付けられて、前記枠体と前記框との間の隙間を全周にわたって塞ぐ気密材のうち、最も室内側に設けられている気密材よりも室内側に設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態による建具の一例を示す正面図である。
【
図4】第1縦枠および網戸を示す水平断面図である。
【
図5】収納状態から使用状態となる網戸を示す水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1-
図3に示すように、本実施形態による建具1は、室外11と室内12とを仕切る壁部の開口部13に設けられている。建具1は、矩形に枠組みされた枠体2と、枠体2の内部に設けられた障子3と、枠体2と障子3とをロック可能なグレモン錠41と、障子3の室内12側に設けられた網戸42と、を有している。建具1が設けられた壁部に沿った水平方向を横方向(図面のX方向)とし、壁部に直交する水平方向を室内外方向(図面のY方向)とする。建具3を室内側から見た際の横方向が横方向となる。建具3を室内側から見た際の左側を横方向の一方側とし、右側を横方向の他方側とする。横方向における建具1の中央に対する建具1の外周部がある側を外周側と表記し、建具1の外周部に対する建具1の中央がある側を内周側と表記する。
【0009】
建具1は、アルミ合金と樹脂の複合サッシとなっている。障子3は、縦すべり出し窓で、鉛直方向に延びる軸回りに回動して開口部13を開閉するように構成されている。障子3の回動軸(吊元)は、枠体2に横方向に移動可能に支持されている。障子3の回動軸は、枠体2の横方向の他方側の部分に設けられている。障子3は、横方向の他方側に吊元框36が設けられ、横方向の一方側に戸先框35が設けられている。以下の説明では、障子3が開口部13を閉鎖している状態であるものとする。
【0010】
グレモン錠41は、開口部13を閉鎖している状態における障子3の戸先框35を枠体2の第1縦枠23に係止することで、障子3の回動を拘束するように構成されている。網戸42は、枠体2の第1縦枠23に取り付けられている。第1縦枠23は、戸先框35が対向する縦枠である。
【0011】
枠体2は、横方向に延びる上枠21および下枠22と、上枠21および下枠22のそれぞれの横方向の一方側の端部と連結される第1縦枠23と、上枠21および下枠22のそれぞれの横方向の他方側の端部と連結される第2縦枠24と、を有している。上枠21、下枠22、第1縦枠23および第2縦枠24は、矩形に枠組みされている。これらの上枠21、下枠22、縦枠23、24は、アルミ枠材と樹脂枠材とが係合されて構成されている。上枠21、下枠22、第2縦枠24は、それぞれ発泡材25(例えば、PVCの発泡樹脂やウレタンフォームなど)が挿入または充填されており、これらの発泡材25が長手方向全体に亘っている。したがって、枠体2は、断熱性能に優れる。
【0012】
図3に示すように、上枠21は、1つのアルミ上枠材211と、2つの樹脂上枠材212,213と、を有している。アルミ上枠材211および2つの樹脂上枠材212,213は、横方向全体にわたって断面が略同じ形状となる形材で構成されている。アルミ上枠材211の室内12側には、2つの樹脂上枠材212,213が室内外方向に並んで配置されている。2つの樹脂上枠材212,213のうち室外11側の樹脂上枠材212を第1樹脂上枠材212とし、室内12側の樹脂上枠材213を第2樹脂上枠材213とする。
【0013】
第1樹脂上枠材212は、長手方向全体に延びる中空部212aを有し、中空部212aの内部に発泡材25aが挿入または充填されている。第2樹脂上枠材213は、長手方向全体に延びる中空部213aを有し、中空部213aの内部に発泡材25bが挿入または充填されている。第1樹脂上枠材212の発泡材25aと、第2樹脂上枠材213の発泡材25bとは、室内外方向に重なる位置に配置されている。これにより、枠体2の断熱性能をより向上させることができる。
【0014】
図2に示すように、第1縦枠23は、開口部13の横方向の一方側の縁部に沿って配置され、開口部13を閉鎖した障子3の戸先框35と対向する。第1縦枠23は、アルミ縦枠材5と、アルミ縦枠材5と係合する樹脂縦枠材6と、を有している。アルミ縦枠材5および樹脂縦枠材6は、上下方向全体にわたって断面が略同じ形状となる形材で構成されている。以下では、第1縦枠23の形状を、第1縦枠23を上下方向から見た平面視形状に基づいて説明することがある。
【0015】
図4に示すように、アルミ縦枠材5は、平板状に形成され板面が横方向を向き壁部に固定される固定板部51と、固定板部51の室内外方向の中間部から内周側に延びるアルミ縦枠室外部52と、固定板部51の室内12側の縁部から内周側に延びるアルミ縦枠室内部53と、固定板部51の室内外方向の中間部から外周側に延びるアルミ縦枠見付板部54と、を有している。アルミ縦枠室外部52は、アルミ縦枠見付板部54よりも室外11側に位置している。
【0016】
固定板部51には、室内外方向の中間部に内周側に突出する第1突出部511および第2突出部512が設けられている。第1突出部511は、固定板部51におけるアルミ縦枠室外部52が接続されている部分よりも室外11側で、固定板部51の室外11側の端部近傍に位置している。第1突出部511は、固定板部51から内周側に突出し、内周側の端部が室内12側に向かって屈曲している。第2突出部512は、固定板部51におけるアルミ縦枠室外部52が接続されている部分よりも室内12側に位置している。第2突出部512は、固定板部51から内周側に突出し、内周側の端部が室外11側に向かって屈曲している。
【0017】
アルミ縦枠室外部52は、固定板部51から内周側に突出する第1板部521と、第1板部521の内周側の端部から室内12側に突出する第2板部522と、第2板部522の室内12側の端部から内周側に突出する第3板部523と、を有している。アルミ縦枠室外部52には、第3板部523の内周側の端部に第1パッキン58(気密材)を係止する一対の第1パッキン係止爪部524,524が横方向に間隔をあけて設けられている。アルミ縦枠室外部52は、一対の第1パッキン係止爪部524,524と第3板部523とに囲まれた凹部が形成されて、この凹部に挿入された第1パッキン58を係止している。
【0018】
アルミ縦枠室外部52には、第3板部523から室内12側に突出する第3突出部525と、第4突出部526と、が形成されている。第3突出部525は、第4突出部526よりも外周側に位置し、第3突出部525と第4突出部526とは間隔をあけて配置されている。第3突出部525は、第4突出部526よりも室内外方向に長く形成され、第4突出部526よりも室内12側に突出している。
【0019】
アルミ縦枠室内部53は、平板状に形成され板面が室内外方向を向くように配置されている。アルミ縦枠室内部53は、アルミ縦枠室外部52よりも横方向に短く形成されている。アルミ縦枠室外部52は、アルミ縦枠室内部53よりも内周側に突出している。
【0020】
樹脂縦枠材6は、室外11側に配置される樹脂縦枠室外部61と、樹脂縦枠室外部61の外周側の端部近傍から室内12側に延びる樹脂縦枠側板部62と、樹脂縦枠側板部62の室内12側の端部から内周側に延びる樹脂縦枠室内部63と、を有している。樹脂縦枠室外部61は、平板状に形成され板面が室内外方向を向くように配置される第1板部611と、第1板部611の横方向の中間部から室外11側に突出する第2板部612と、を有している。第1板部611の内周側の縁部には、室外11側に突出する第2パッキン613が取り付けられている。
【0021】
樹脂縦枠側板部62は、樹脂縦枠室外部61の第1板部611の外周側の端部よりもやや内周側となる位置から室外11側に突出している。樹脂縦枠側板部62は、室外11側の部分621が室内12側の部分622よりも内周側に位置している。樹脂縦枠側板部62の室外11側の部分には、外周側に開口する凹部623が形成されている。樹脂縦枠室内部63は、樹脂縦枠側板部62から内周側に延びる第3板部631と、第3板部631の内周側の端部から室外11側および室内12側に延びる第4板部632と、を有している。第3板部631は、樹脂縦枠側板部62からと接続されている外周側の部分633と、それよりも内周側の部分634との間に段部635が形成され、段部635よりも内周側の部分634が段部635よりも外周側の部分633よりも室内12側に配置されている。樹脂縦枠室内部63は、樹脂縦枠室外部61の第1板部611よりも横方向に長く形成されていて、第1板部611よりも内周側に突出している。
【0022】
樹脂縦枠材6は、固定板部51よりも内周側に配置されている。樹脂縦枠室外部61の第2板部612の室外11側の先端部分がアルミ縦枠室外部52の第3突出部525と第4突出部526との間に挿入されて嵌め込まれ、アルミ縦枠室外部52の室内12側の面と当接している。樹脂縦枠室外部61の第1板部611の外周側の端部611aおよび樹脂縦枠側板部62の室内12側の部分622が、アルミ縦枠材5の固定板部51の内周側の面と当接している。樹脂縦枠側板部62の凹部623には、アルミ縦枠材5の第2突出部512が挿入されて係合している。樹脂縦枠室内部63の段部635よりも外周側の部分633がアルミ縦枠室内部53の室外11側に当接し、樹脂縦枠室内部63の段部635がアルミ縦枠室内部53の内周側の端部と当接している。樹脂縦枠室内部63の段部635よりも内周側の部分634がアルミ縦枠室内部53の内周側に配置されている。樹脂縦枠材6の樹脂縦枠室内部63の室内12側には、建物の壁部が設けられている。
【0023】
第1縦枠23には、網戸42が収納される網戸収納凹部231が上下方向の全体にわたって形成されている。網戸収納凹部231は、樹脂縦枠室外部61の第1板部611、樹脂縦枠側板部62、樹脂縦枠室内部63に囲まれた外周側に開口する凹部となっている。上述しているように、樹脂縦枠室内部63が樹脂縦枠室外部61の第1板部611よりも内周側に突出しているため、網戸収納凹部231は、樹脂縦枠室外部61の第1板部611よりも内周側の部分が室外11側にも開口している。
【0024】
網戸42は、折り畳み可能な網材421と、網材421に取り付けられて網材421を第1縦枠23に固定するための枠固定部422と、網材421に取り付けられて使用者が把持する把持部423と、を有している。網戸42は、網材421が広げられると開口部13を覆う使用状態となり、折り畳まれると集約された収納状態となり第1縦枠23の網戸収納凹部231に収納されるように構成されている。
図5には、収納状態から内周側に引き出される網戸42を示している。
【0025】
図4に戻り、網材421は、シート状の部材で、蛇腹状に複数の折り目が形成されている。広げられた使用状態の網材421は、面が室内外方向を向いている。網材421は、複数の折り目が上下方向に延び、収納状態では、平面視形状がジグザグ形状となっている。折り畳まれた収納状態の網材421は、上下方向に延びる棒状となっている。
【0026】
枠固定部422は、上下方向に延びる部材で、上下方向の長さ寸法が第1縦枠23の上下方向の長さ寸法と略同じ長さに形成されている。枠固定部422は、使用状態の網材421における横方向の一方側(第1縦枠23側)の端部に上下方向のほぼ全体にわたって取り付けられている。枠固定部422が樹脂縦枠側板部62の内周側に配置され、樹脂縦枠側板部62の内周側の面と対向した状態で樹脂縦枠側板部62に固定されている。
【0027】
把持部423は、上下方向に延びる部材で、上下方向の長さ寸法が第1縦枠23の上下方向の長さ寸法と略同じ長さに形成されている。把持部423は、使用状態の網材421における内周側の端部に上下方向のほぼ全体にわたって取り付けられている。把持部423は、内周側の面423a(側部)が内周側を向く平面状に形成されている。把持部423には、室外11側の面に上下方向全体にわたって室内12側に窪んだ第1把持溝部424が形成され、室内12側の面に上下方向全体にわたって室外11側に窪んだ第2把持溝部425が形成されている。第1把持溝部424および第2把持溝部425は、使用者の指先を掛けることが可能に構成されている。
【0028】
網戸42は、外周側から内周側に向かって、枠固定部422、網材421、把持部423の順に配置されている。網戸42は、把持部423を第2縦枠24(
図2参照)と当接する位置まで横方向の他方側(第2縦枠24側)に引き出して網材421が広げられると開口部13を覆い使用状態となる。網戸42は、網材421が折り畳まれて収納状態となって網戸収納凹部231に収納されると、把持部423が網戸収納凹部231の内周側の端部となる樹脂縦枠室内部63の内周側の端部(樹脂縦枠室内部63の第4板部632の内周側の面)よりも外周側に位置している。収納状態の網戸42は、室内12側に樹脂縦枠室内部63が配置されるため、室内12側の面が室内12に露出しないように構成されている。
【0029】
網戸収納凹部231を形成する樹脂縦枠室外部61の第1板部611は、収納状態の網戸42の枠固定部422および網材421の室外11側を覆い、把持部423の室外11側を覆わない形状となっている。把持部423は、収納状態において、室外11側に空部426が形成されている。把持部423の室外11側には、後述するグレモン錠41の係止部412が設けられている。係止部412は、第1縦枠23の上下方向全体ではなく部分的に設けられている。本実施形態では、係止部412は、第1縦枠23の上下方向の上部側および下部側に設けられ、第1縦枠23の上下方向の中間部には設けられていない。このため、収納状態における把持部423の少なくとも一部は、室外11側が係止部412に覆われておらず、室外11側に空部426が形成されている。
【0030】
障子3が開口部13を開放している状態では、障子3が第1縦枠23と離れる。収納状態において把持部423の室外11側に空部426が形成されていることにより、障子3が開口部13を開放している状態では、この空部426を介して使用者が収納状態の網戸42の第1把持溝部424に指先を掛け、網戸42を横方向の他方側(第2縦枠24側)に引き出すことができる。
【0031】
第2把持溝部425は、収納状態において、室内12側に樹脂縦枠室内部63が配置されるため、使用者が指先を掛けることができないが、網戸42が網戸収納凹部231から横方向の他方側に引き出されると、室内12側に露出し使用者が指先を掛けることができる。網戸42は、収納状態から引き出されて使用状態の正位置に到達すると、クリック感が生じ、使用状態から折り畳まれて収納状態の正位置に到達するとクリック感が生じるように構成されていてもよい。
【0032】
図1に示すように、障子3は、矩形に枠組みされた框体31と、框体31の内部に設けられたガラスパネル32と、を有している。ガラスパネル32は、ガラスが2枚からなるペアガラスとなっている。框体31は、横方向に延びる上框33および下框34と、上框33および下框34のそれぞれの長さ方向の一方側の端部と連結される戸先框35(縦框)と、上框33および下框34のそれぞれの長さ方向の他方側の端部と連結される吊元框36(縦框)と、を有している。これらの上框33、下框34、戸先框35、吊元框36は、アルミと樹脂が係合されて構成されている。障子3は、吊元框36寄りに回動軸が設けられている。戸先框35には、障子3を開閉する際に把持するハンドル37が設けられている。
【0033】
図6に示すように、戸先框35は、アルミ合金製の第1アルミ框材7および第2アルミ框材8と、樹脂製の第1樹脂框材9および第2樹脂框材10と、を有している。第1アルミ框材7と第2アルミ框材8とは、第1アルミ框材7が室外11側に配置され、第2アルミ框材8が室内12側に配置されている。第1樹脂框材9と第2樹脂框材10とは、第1樹脂框材9が室外11側に配置され、第2樹脂框材10が室内12側に配置されている。第1アルミ框材7、第2アルミ框材8および第1樹脂框材9および第2樹脂框材10は、上下方向全体にわたって断面が略同じ形状となる形材で構成されている。以下では、戸先框35の形状を、戸先框35を上下方向から見た平面視形状に基づいて説明することがある。
【0034】
第1アルミ框材7と第2アルミ框材8とは、間に第1樹脂框材9が設けられ、直接連結されていない。第1アルミ框材7と第1樹脂框材9とが係合し、第2アルミ框材8と第2樹脂框材10とが係合している。第2樹脂框材10は、第1樹脂框材9および第2アルミ框材8と係合している。本実施形態の戸先框35には、第1アルミ框材7に連結されるとともに、第2アルミ框材8に連結される金属製の連結部材43が設けられている。戸先框35には、ガラスパネル32が嵌め込まれるガラスパネル嵌合凹部351が形成されている。ガラスパネル嵌合凹部351は、第1アルミ框材7および第1樹脂框材9によって形成されている。ハンドル37は、第2アルミ框材8に取り付けられている。
【0035】
第1アルミ框材7は、室外11側に設けられ平面視形状で横方向に延びる第1アルミ框室外部71と、第1アルミ框室外部71の横方向の中間部から室内12側に延びる第1アルミ框外周側板部72と、第1アルミ框室外部71の横方向の中間部で第1アルミ框外周側板部72よりも内周側から室内12側に延びる第1アルミ框内周側板部73と、第1アルミ框外周側板部72の室内12側の端部から内周側に延びる第1アルミ框室内部74と、第1アルミ框内周側板部73の室内12側の端部から第1アルミ框外周側板部72まで外周側に延びる第1アルミ框見付板部75と、を有している。
【0036】
第1アルミ框室外部71、第1アルミ框室内部74および第1アルミ框見付板部75は、平板状に形成され板面が室内外方向を向くように配置されている。第1アルミ框外周側板部72、第1アルミ框内周側板部73は、平板状に形成され板面が横方向を向くように配置されている。第1アルミ框外周側板部72は、第1アルミ框内周側板部73よりも室内外方向に長く形成され、第1アルミ框内周側板部73よりも室内12側に突出している。第1アルミ框見付板部75の外周側の端部は、第1アルミ框外周側板部72の室内外方向の中間部と接続されている。第1アルミ框見付板部75は、第1アルミ框室内部74よりも内周側に突出している。第1アルミ框材7には、第1アルミ框室外部71、第1アルミ框外周側板部72、第1アルミ框内周側板部73および第1アルミ框見付板部75に囲まれた第1アルミ框中空部76が形成されている。
【0037】
第1アルミ框室外部71には、外周側の端部に第3パッキン77を係止する一対の第3パッキン係止爪部711,711が横方向に間隔をあけて設けられている。第1アルミ框室外部71と一対の第3パッキン係止爪部711,711とは、凹部を形成していて、この凹部に挿入された第3パッキン77を係止している。第1アルミ框室外部71の内周側の端部には、ガラスパネル32を係止するための第1ガラスパネル係止爪部712が形成されている。第1ガラスパネル係止爪部712は、第1アルミ框室外部71から室内12側に突出している。第1アルミ框見付板部75には、外周側の端部近傍で第1アルミ框外周側板部72と間隔をあけた位置に、室内12側に突出する第1突出部751が形成されている。第1アルミ框室内部74には、内周側の端部に室外11側に突出する第2突出部741が形成されている。第1アルミ框室内部74の室内12側の面は、障子3が開口部13を閉鎖すると、第1パッキン58が面接触する。
【0038】
第2アルミ框材8は、室外11側に設けられ平面視形状で横方向に延びる第2アルミ框室外部81と、第2アルミ框室外部81の外周側の端部から室内12側に延びる第2アルミ框外周側板部82と、第2アルミ框室外部81の内周側の端部から室内12側に延びる第2アルミ框内周側板部83と、第2アルミ框外周側板部82の室内12側の端部から内周側に延びる第2アルミ框室内部84と、を有している。第2アルミ框内周側板部83の室内12側の端部は、第2アルミ框室内部84の室外11側の面における横方向の中間部と接続されている。第2アルミ框室内部84は、第2アルミ框内周側板部83よりも内周側に突出している。
【0039】
第2アルミ框室外部81と第2アルミ框内周側板部83との角部には、内周側に突出する第1突出部811が形成されている。第2アルミ框室内部84の横方向の両端には、グレモン錠41の連動バー413を係止するための連動バー係止爪部841,841がそれぞれ形成されている。一対の連動バー係止爪部841,841は、それぞれ室内12側に突出している。一対の連動バー係止爪部841,841と第2アルミ框室内部84とは、室内12側に開口し、連動バー413が配置される凹部を形成している。一対の連動バー係止爪部841,841のうちの外周側の連動バー係止爪部841の室内12側の端部には、内周側に突出する第2突出部842が形成されている。
【0040】
第1樹脂框材9は、室外11側に設けられる第1樹脂框室外部91と、第1樹脂框室外部91と間隔をあけた室内12側に設けられる第1樹脂框室内部92と、第1樹脂框室外部91から第1樹脂框室内部92に延びる第1樹脂框外周側板部93および第1樹脂框内周側板部94と、を有している。
【0041】
第1樹脂框室外部91は、室外11側に設けられ平面視形状で室内外方向に延びる第1板部911と、室内12側の端部から内周側に延びる第2板部912と、第2板部912の内周側の端部から室内12側に延びる第3板部913と、第3板部913の室内12側の端部から内周側に延びる第4板部914と、を有している。第1樹脂框室内部92は、平面視形状で横方向に延びる平板状に形成され、外周側の端部に室内12側に屈曲し更に外周側に突出する第1突出部921が形成されている。第1樹脂框室内部92は、第1樹脂框室外部91よりも横方向に長く形成されている。第1樹脂框室内部92の外周側の端部(第1突出部921の外周側の端部)と、第1樹脂框室外部91の外周側の端部(第1板部911の外周側の面)と、は室内外方向に略重なる位置に配置されている。第1樹脂框室内部92の内周側の端部は、第1樹脂框室外部91(第4板部914の内周側の端部)の内周側の端部よりも内周側に位置している。
【0042】
第1樹脂框外周側板部93は、第1樹脂框室外部91の第2板部912の横方向の中間部から室内12側に延び、第1樹脂框室内部92の外周側の端部近傍と接続されている。第1樹脂框内周側板部94は、第1樹脂框室外部91の第4板部914の内周側の端部から室内12側に延び、第1樹脂框室内部92の内周側の端部近傍と接続されている。第1樹脂框室内部92は、外周側の端部が第1樹脂框外周側板部93よりも外周側に位置し、内周側の端部が第1樹脂框内周側板部94よりも内周側に位置している。第1樹脂框室外部91の第4板部914の内周側の端部と第1樹脂框内周側板部94との角部には、ガラスパネル32を係止するための第2ガラスパネル係止爪部915が形成されている。第2ガラスパネル係止爪部915は、第4板部914の内周側の端部と第1樹脂框内周側板部94との角部から室外11側に突出している。第1樹脂框室外部91の第4板部914と、第1樹脂框室内部92との間には、第1樹脂框室外部91の第4板部と第1樹脂框室内部92との間の空間を区画する4つの区画板部95が横方向に間隔をあけて設けられている。4つの区画板部95は、それぞれ室外11側の端部が第1樹脂框室外部91の第4板部914と接続され、室内12側の端部が第1樹脂框室内部92と接続されている。
【0043】
第1樹脂框材9には、第1中空部961、第2中空部962、第3中空部963、第4中空部964および第5中空部965が形成されている。第1中空部961は、第1樹脂框室外部91の第2板部912と、第3板部913と、4つの区画板部95のうちの一番外周側に設けられた区画板部95と、第1樹脂框室内部92と、第1樹脂框外周側板部93と、に囲まれている。第2中空部962は、第1樹脂框室外部91の第4板部914と、第1樹脂框室内部92と、第1樹脂框内周側板部94と、4つの区画板部95のうちの一番内周側に設けられた区画板部95と、に囲まれている。第3中空部963は、第1樹脂框室外部91の第4板部914と、第1樹脂框室内部92と、4つの区画板部95のうちの外周側の2つの区画板部95,95と、に囲まれている。第4中空部964は、第1樹脂框室外部91の第4板部914と、第1樹脂框室内部92と、4つの区画板部95のうちの外周側から2つ目の区画板部95および3つ目の区画板部95と、に囲まれている。第5中空部965は、第1樹脂框室外部91の第4板部914と、第1樹脂框室内部92と、4つの区画板部95のうちの内周側の2つの区画板部95,95と、に囲まれている。
【0044】
第2樹脂框材10は、室外11側に設けられて平面視形状で横方向に延びる第2樹脂框室外部101と、第2樹脂室外部の内周側の端部から室内12側に延びる第2樹脂框内周側板部102と、第2樹脂框内周側板部102の室外11側の端部から外周側に突出する第2樹脂框室内部103と、第2樹脂框内周側板部102の室外11側の端部から更に室内12側に突出する網戸カバー部104と、を有している。後述するが、網戸カバー部104は、網戸収納凹部231に収納された収納状態の網戸42の内周側に配置されるように構成されている(
図2参照)。
【0045】
第2樹脂框内周側板部102は、第2樹脂框室内部103よりも室内12側に突出している。第2樹脂框室外部101の外周側の端部には、室内12側に突出し更に外周側に突出する第1突出部1011が形成されている。第2樹脂框室外部101の内周側の端部には、室外11側に延びて更に外周側に突出する第2突出部1012が形成されている。第2樹脂框室内部103の外周側の端部には、室内12側に突出する第3突出部1031が形成されている。
【0046】
網戸カバー部104は、第2樹脂框内周側板部102の室外11側の端部から室内12側に延び第2樹脂框内周側板部102と同一鉛直面に配置される第1板部1041と、第1板部1041の室内外方向の中間部から外周側に向かって漸次室外11側に向かう斜め方向に延びて第2樹脂框室内部103の横方向の中間部と接続される第2板部1042と、を有している。第1板部1041の室内12側の端部には、第4パッキン105を係止するための一対の第4パッキン係止爪部1043,1043が設けられている。第1板部1041および一対の第4パッキン係止爪部1043,1043は、内周側に凹んだ凹部を形成し、凹部に挿入された第4パッキン105を係止している。第2樹脂框材10には、第2樹脂框室内部103、網戸カバー部104の第1板部1041および第2板部1042に囲まれた第2樹脂框中空部106が形成されている。第1板部1041の内周側の面1041aは、戸先框35の第2アルミ框材8の内周側の端部から室内12側に延びている。
【0047】
戸先框35は、第1アルミ框材7の第1アルミ框見付板部75の室内12側かつ第1アルミ框外周側板部72の内周側に第1樹脂框材9が配置され、第1樹脂框材9の室内12側に第2アルミ框材8が配置され、第1樹脂框材9および第2アルミ框材8の内周側に第2樹脂框材10が配置されている。
【0048】
第1樹脂框室外部91の第1板部911の先端部が第1アルミ框外周側板部72と第1突出部751との間に挿入されて嵌め込まれ、第1アルミ框見付板部75の室内12側の面と当接している。第1樹脂框室内部92が第1アルミ框室内部74の内周側に位置し、第1アルミ框室内部74の第2突出部741と、第1樹脂框室内部92の第1突出部921と、が係合している。これにより、第1アルミ框材7と第1樹脂框材9とが連結されている。第1樹脂框室外部91の第1板部911の外周側の面が第1アルミ框外周側板部72の内周側の面と当接している。第1アルミ框室内部74の室内12側の面と、第1樹脂框室内部92の室内12側の面とは面一となるように配置されている。
【0049】
第2アルミ框室外部81は、室外11側の面が第1樹脂框室内部92の室内12側の面と当接している。すなわち、第2アルミ框室外部81の室外11側の面と、第1アルミ框室内部74の室内12側の面と、第1樹脂框室内部92の室内12側の面と、は室内外方向の同じ位置に配置され、同一鉛直面内に配置されている。第2樹脂框材10の第2突出部1012と第2樹脂框室外部101との間に第1樹脂框室内部92の内周側の端部が挿入されて嵌め込まれている。これにより、第1樹脂框材9と第2樹脂框材10とが接合されている。
【0050】
第2樹脂框室内部103の外周側の端部が第2アルミ框材8の内周側の連動バー係止爪部841と当接している。第2樹脂框材10の第2突出部1012と第2アルミ框材8の第1突出部811とが係合しているとともに、第2樹脂框材10の第3突出部1031と第2アルミ框材8の第2突出部842とが係合している。これにより、第2アルミ框材8と第2樹脂框材10とが連結している。第2樹脂框材10の網戸カバー部104は、第2アルミ框材8よりも室内12側に突出している。
【0051】
第1アルミ框内周側板部73と第1樹脂框室外部91の第3板部913とは、室内外方向に重なる位置に配置されている。第1アルミ框内周側板部73の内周側の面と第1樹脂框室外部91の第3板部913に内周側の面とは、同一鉛直面上に配置されている。第1アルミ框室外部71における第1アルミ框内周側板部73よりも内周側の部分と、第1樹脂框室外部91の第4板部914とは、室内外方向に間隔をあけて対向している。ガラスパネル嵌合凹部351は、第1アルミ框材7の第1アルミ框室外部71における第1アルミ框内周側板部73よりも内周側の部分、第1アルミ框内周側板部73、第1アルミ框見付板部75、および第1樹脂框材9の第1樹脂框室外部91によって形成されている。第1アルミ框材7の第1ガラスパネル係止爪部712と、第1樹脂框材9の第2ガラスパネル係止爪部915とは、室内外方向に間隔をあけて対向していて、それぞれの先端部がガラスパネル32と当接している。
【0052】
連結部材43は、ガラスパネル嵌合凹部351に設けられている。連結部材43は、第1アルミ框材7に固定される第1固定部431と、第1固定部431と一体に設けられ第2アルミ框材8に固定される第2固定部432と、を有している。第1固定部431および第2固定部432は、それぞれ平板状に形成され、90°を成すように互いの縁部が接続されている。連結部材43は、断面形状がL字形状に形成されている。第1固定部431は、板面が横方向を向く向きで、第1アルミ框材7の第1アルミ框内周側板部73および第1樹脂框材9の第1樹脂框室外部91の第3板部913の内周側に配置されている。第1固定部431の外周側の面は、第1アルミ框内周側板部73の内周側の面および第1樹脂框室外部91の第3板部913の内周側の面と当接している。
【0053】
第2固定部432は、第1固定部431の室内12側の縁部から内周側に突出している。第2固定部432は、板面が室内外方向を向く向きで第1樹脂框室外部91の第4板部914の室外11側に配置されている。第2固定部432の室内12側の面は、第1樹脂框室外部91の第4板部914の室外11側の面と当接している。第1樹脂框室外部91の第4板部914の室内12側には、第1樹脂框室内部92が配置され、その室内12側には第2アルミ框材8の第2アルミ框室外部81が配置されている。第1固定部431は、第2アルミ側板部に横方向に貫通するネジなど固定具(不図示)で固定されている。第2固定部432は、第1樹脂框室外部91の第4板部941および第1樹脂框室内部92を介して、第2アルミ框室内部84に室内外方向に貫通するネジなどの固定具(不図示)で固定されている。
【0054】
連結部材43は、第1縦枠23のアルミ縦枠室外部52に取り付けられ障子3の室内側見付け面(第1アルミ框室内部74の室内12側の面)に面接触するように配置した第1パッキン58よりも室外11側に設けられている。ハンドル37が取り付けられる第2アルミ框材8は、第1パッキン58よりも室内12側に設けられている。連結部材43は、戸先框35の上下方向全体にわたって設けられていてもよいし、戸先框35の上下方向の一部または複数の箇所に設けられていてもよい。連結部材43は、少なくともハンドル37が取り付けられている高さに設けられている。
【0055】
図2に示すように、障子3が開口部13を閉鎖している状態において、第1縦枠23と戸先框35とは以下のように配置されている。戸先框35は、第1縦枠23の固定板部51の内周側、かつアルミ縦枠室内部53および樹脂縦枠室内部63の室外11側に配置されている。第1縦枠23のアルミ縦枠室外部52に取り付けられた第1パッキン58は、戸先框35の第1アルミ框室内部74の室内12側の面と当接している。第1縦枠23の樹脂縦枠室外部61の第2板部612に取り付けられた第2パッキン613は、第2アルミ框材8の外周側の連動バー係止爪部841と当接している。戸先框35の第1アルミ框室外部71に取り付けられた第3パッキン77は、第1縦枠23のアルミ縦枠材5の第1突出部511の室外11側の面と当接している。網戸カバー部104に取り付けられた第4パッキン105は、第1縦枠23の樹脂縦枠材6と当接または僅かな隙間をあけて近接している。第1パッキン58、第2パッキン613および第3パッキン77は、第1縦枠23と戸先框35との間の隙間を塞いでいる。
【0056】
第1パッキン58は、第1縦枠23のみでなく、上枠21、下枠22および第2縦枠24に連続して、枠体2の全周に設けられている。障子3の框体31に設けられ第1パッキン58が当接する面(戸先框35では第1アルミ框室内部74の室内12側の面)は、戸先框35のみでなく、上框33、下框34および吊元框36に連続して、框体31の全周に設けられている。第1パッキン58は、障子3が開口部13を閉鎖すると、框体31の全周と当接し、枠体2と障子3(框体31)との隙間を塞いで気密を確保している。
【0057】
第3パッキン77は、戸先框35のみでなく、上框33、下框34および吊元框36に連続して、框体31の全周に設けられている。枠体2に設けられ第3パッキン77が当接する面(第1縦枠23ではアルミ縦枠材5の第1突出部511の室外11側の面)は、第1縦枠23のみでなく、上枠21、下枠22および第2縦枠24に連続して、枠体2の全周に設けられている。第3パッキン77は、障子3が開口部13を閉鎖すると、枠体2の全周と当接し、枠体2と障子3(框体31)との隙間を塞いで気密を確保している。
【0058】
第2パッキン613は、第1縦枠23のみに設けられている。第4パッキン105は、戸先框35のみに設けられている。第2パッキン613および第4パッキン105は、第1縦枠23と戸先框35との隙間を塞いで気密を確保している。第1パッキン58は、枠体2と障子3の隙間を全周にわたって塞ぐ気密材のうち、最も室内側に設けられている。
【0059】
戸先框35の網戸カバー部104は、網戸収納凹部231の内周側、かつ樹脂縦枠室内部63の第4板部632の室外11側に位置している。網戸カバー部104の室内12側の端部104aは、樹脂縦枠室内部63の第4板部632の室外11側の端部632aと室内外方向に対向している。網戸カバー部104の室内12側の端部104aに取り付けられた第4パッキン105は、樹脂縦枠室内部63における第3板部631と第4板部632との角部と、直接または僅かな隙間をあけて当接している。第4パッキン105も第1縦枠23と戸先框35との間の隙間を塞いでいる。網戸カバー部104の外周側の面104bは、樹脂縦枠室内部63の第4板部632の外周側の面632bと面一となるように配置されている。網戸カバー部104は、収納状態の網戸42の把持部423の内周側に配置され、網戸4の内周側(開口部13を臨む側)の側部(把持部423の内周側の面423a)を覆い、収納状態の網戸42が露出することを防止している。網戸42の枠固定部422および折り畳まれた網材421の室外11側には、樹脂縦枠室外部61の第2板部612が配置されている。把持部423の室外11側には、第2アルミ框材8が配置されている。
【0060】
障子3が開口部13を開放している状態では、戸先框35が第1縦枠23と離れるため、網戸収納凹部231は網戸カバー部104に覆われず、網戸42の内周側が露出している。把持部423の室外11側には、第2アルミ框材8が配置されず、把持部423の室外11側も露出している。上述しているが、障子3が開口部13を開放した状態となると、使用者は把持部423の室外11側の空部426(
図4参照)を介して収納状態の網戸42の把持部423の第1把持溝部424に使用者が指先を掛けることができ、網戸42を引き出すことができる。
【0061】
グレモン錠41は、戸先框35に取り付けられてハンドル37と連動する連動部411と、第1縦枠23の上部側および下部側それぞれに取り付けられて連動部411を係止可能な係止部412と、を有している。連動部411は、上下方向に延びる長尺の連動バー413と、連動バー413の上部側および下部側にそれぞれ設けられ係止部412が係止可能な被係止ピン414と、を有している。
図6に示すように、連動部411は、第2アルミ框材8の室内12側に設けられ、連動バー413が第2アルミ框材8の連動バー係止爪部841,841に係止されている。
【0062】
図2に戻り、障子3が開口部13を閉鎖している状態において、連動部411は、第1縦枠23のアルミ縦枠室外部52に取り付けられた第1パッキン58よりも室内12側に設けられている。連動部411は、ハンドル37の操作に連動して上下に移動可能に構成されている。連動部411は、障子3の回動を拘束しない開錠状態では、上下方向の移動範囲の下端に位置し、開口部13を閉鎖している障子3の回動を拘束する施錠状態では、上下方向の移動範囲の上端に位置している。
【0063】
被係止ピン414は、連動バー413から室内12側に突出している。被係止ピン414は、室内12側の先端部が、室外11側(連動バー413に取り付けられている側)の基端部よりも径が大きく形成されている。被係止ピン414における先端部の径が大きく形成されている部分を拡径部414aとし、拡径部414aよりも室外11側で連動バー413と連結されている部分を軸部414bとする。
【0064】
係止部412は、L字形の部材で、被係止ピン414を係止可能な係止片412aと、係止片412aと連結されて第1縦枠23の樹脂縦枠室外部61の第1板部611およびアルミ縦枠室外部52の第3突出部525にネジなどの固定具(不図示)で固定される固定片412bと、を有している。係止片412aおよび固定片412bはいずれも平板状に形成され、係止片412aと固定片412bとがL字形を成すように連続している。係止部412は、固定片412bの板面が横方向を向き、係止片412aが固定片412bの室内12側の端部から内周側に突出した姿勢で第1縦枠23に固定される。
【0065】
第1縦枠23に固定された係止部412は、係止片412aが樹脂縦枠室外部61の第2板部612の室外11側に位置し、係止片412aの内周側の端部が樹脂縦枠室外部61の第2板部612の内周側の端部よりもさらに内周側に配置されている。係止部412は、第1縦枠23のアルミ縦枠室外部52に取り付けられた第1パッキン58よりも室内12側に設けられている。係止部412は、障子3が開口部13を閉鎖している状態における連動部411の室内12側に対向するように配置されている。係止片412aは、樹脂縦枠室外部61の第2板部612に取り付けられた第2パッキン613と室内外方向に重なる位置に配置されるため、第2パッキン613は、係止片412aと室内外方向に重なる部分に切り欠き部などが形成され、連結部材43と干渉しないようになっている。
【0066】
図7に示すように、係止片412aには、被係止ピン414の軸部414bが挿入可能な係止凹部412cが形成されている。係止凹部412cは、係止片412aを室内外方向に貫通し、上下方向に延びて下側に開口している。係止凹部412cは、下側から上側に向かって漸次幅寸法(横方向の寸法)が狭くなるように形成されている。係止凹部412cの上端部分の幅寸法は、被係止ピン414の軸部414bの径よりもやや大きく、被係止ピン414の拡径部414aの径よりも小さい寸法に設定されている。係止凹部412cの下部側の幅寸法は、被係止ピン414の拡径部414aの径よりも大きい寸法に設定されている。
【0067】
障子3が開口部13を閉鎖している状態において、グレモン錠41が開錠状態であると、係止凹部412cの下部側に被係止ピン414の軸部414bが位置している。被係止ピン414の拡径部414aは、係止片412aよりも室内12側に配置されている。この状態で障子3を回動させると、被係止ピン414の拡径部414aが係止凹部412cの下部側を通過できるため、障子3が回動する。ハンドル37を操作して連動バー413を上方に移動させて施錠状態とすると、軸部414bが係止凹部412cの上端部分に挿入される。拡径部414aは、係止片412aよりも室内12側に配置されている。この状態で障子3を回動させると、被係止ピン414の拡径部414aが係止凹部412c上端部分を通過できず、障子3の回動が拘束される。この被係止ピン414と係止凹部412cがハンドルの上下2箇所にある。
【0068】
図2に示すように、本実施形態による建具1は、第1縦枠23および戸先框35に障子3の開放または閉鎖を検知するセンサ44を有している。センサ44は、例えば、マグネットセンサなどである。マグネットセンサの場合、センサ44は、磁石441と、磁石441を検知可能なセンサ本体442と、を有している。磁石441は、戸先框35に取り付けられて、センサ本体442は、第1縦枠23に取り付けられている。磁石441は、障子3が開口部13を閉鎖している状態では、センサ本体442と近接または当接し、障子3が開口部を開放している状態では、センサ本体442と離れる。センサ本体442は、磁石441が離れている状態を検知し、警報音を発するように構成されている。
【0069】
磁石441は、戸先框35の第2アルミ框材8における第2アルミ框外周側板部82の外周側の面に取り付けられている。センサ本体442は、第1縦枠23の樹脂縦枠材6における樹脂縦枠室外部61の第2板部612の内周側の面に取り付けられている、磁石441およびセンサ本体442は、グレモン錠41の係止部412と干渉しない高さに配置されている。センサ44は、第1縦枠23と戸先框35との間の隙間を塞ぐ第1パッキン58よりも室内12側に設けられている。本実施形態による建具1は、グレモン錠41を第1パッキン58の室内12側に設けるようにすることにより、グレモン錠を第1パッキン58の室外11側に設けるようにする従来の建具と比べて、第1縦枠23における第1パッキン58よりも室内12側の部分を広くすることになる。このため、本実施形態による建具1は、第1パッキン58よりも室内12側にセンサ44を取り付け易い。
【0070】
上記の実施形態による建具1は、グレモン錠41の連動部411および係止部412は、枠体2と障子3(框体31)の隙間を全周にわたって塞ぐ気密材のうちの最も室内側に設けられている塞ぐ第1パッキン58(気密材)よりも室内12側に設けられている。このため、室外11の冷気が連動部411および係止部412に到達することを抑制でき、室外11の冷気によってグレモン錠41が冷やされることを抑制できる。
【0071】
上記の実施形態による建具1では、連動部411は、戸先框35の第2アルミ框材8の第2アルミ框室内部84の室内12側の面(見付面)に取り付けられ、係止部412は、障子3が開口部13を閉鎖している状態における第2アルミ框室内部84の室内12側の面よりも室内12側において連動部411を係止している。このようにすることにより、連動部411および係止部412は、戸先框35および第1縦枠23における室内12寄りに配置されるため、室外11の冷気の影響を受けにくい構造となる。その結果、室外11の冷気によってグレモン錠41が冷やされることを抑制できる。
【0072】
上記の実施形態による建具1では、センサ44は、第1縦枠23と戸先框35との間の隙間を塞ぐ第1パッキン58よりも室内12側に設けられている。このため、センサ44が、室外11の冷気の影響を受けにくい構造となり、センサ44に結露が生じることを抑制することができる。
【0073】
本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記の実施形態では、グレモン錠41およびセンサ44は、戸先框35および第1縦枠23に設けられている。これに対して、グレモン錠41およびセンサ44は、上枠および上框、下枠および下框、第2縦枠および戸先框のいずれかに設けられていてもよい。センサ44は、設けられていなくてもよいし、センサ44の形態は、上記以外であってもよい。グレモン錠41およびセンサ44、グレモン錠41またはセンサ44が、上枠および上框、下枠および下框、いずれかまたは両方に設ける場合は、上記の実施形態のグレモン錠41およびセンサ44の取付向きを変えるようにして設ければよい。
【0074】
上記の実施形態では、グレモン錠41の連動部411は、戸先框35の第2アルミ框材8の第2アルミ框室内部84の室内12側の面(見付面)に取り付けられ、係止部412は、障子3が開口部13を閉鎖している状態における第2アルミ框室内部84の室内12側の面よりも室内12側において連動部411を係止している。これに対し、連動部411および係止部412は、障子3が開口部13を閉鎖している状態で、第1縦枠23と戸先框35との間の隙間を塞ぐ第1パッキン58よりも室内12側に設けられていれば、上記以外の場所に設けられていてもよい。
【0075】
上記の実施形態では、枠体2と障子3の隙間を全周にわたって塞ぐ気密材のうち、最も室内側に設けられている気密材は、枠体2に取り付けられた第1パッキン58であるが、障子3に取り付けられた気密材であってもよい。このような場合は、連動部411および係止部412は、枠体2と障子3の隙間を全周にわたって塞ぐ気密材のうち、最も室内側に設けられた障子3に取り付けられた気密材よりも室内12側に設けられていればよい。
【0076】
上記の実施形態では、連動部411は、ハンドル37と連動する連動バー413と、連動バー413に取り付けられた被係止ピン414と、を有し、被係止ピン414が係止部412に係止されるように構成されている。これに対し、連動部411は、被係止ピン414などの係止部412に係止される部材が連動バーを介さずにハンドル37に直接に取り付けられて、ハンドル37の操作に連動して係止部412に係止されるように構成されていてもよい。
【0077】
上記の実施形態では、被係止ピン414と係止凹部412cがハンドル37の上下2箇所に設けられているが、被係止ピン414と係止凹部412cが設けられる位置や数は適宜設定されてよい。例えば、被係止ピン414がハンドル37の位置に1箇所設けられ、連動バー413を介さずにハンドル37の操作で係止凹部412cに係止された状態と、係止が解除された状態とに切り替えるように構成されていてもよい。
【0078】
上記の実施形態では、網戸42は、網材421が折り畳まれて収納状態となる形態であるが、網材が巻き取られて収納状態となる形態であってもよい。網戸の網材が折り畳まれたり、巻き取られたりする方向は横方向でなくてもよく、例えば、上下方向であってもよい。網戸42は、使用状態で開口部13を覆う網材421が設けられていれば、枠固定部422や把持部423の形態は、上記以外であってもよい。網戸42は、設けられていなくてもよい。
【0079】
上記の実施形態では、障子3は、縦すべり出し窓で、鉛直方向に延びる軸回りに回動して開口部13を開閉するように構成されているが、横すべり出し窓で水平方向に延びる軸線回りに回動して開口部13を開閉するように構成されていてもよい。上記の実施形態では、障子3の回動軸(吊元)は、枠体2に横方向に移動可能に支持されているが、枠体2に対して移動しないように固定されていてもよい。
【0080】
上記の実施形態では、建具1は、アルミ合金と樹脂の複合サッシであるが、アルミなどの金属製のサッシや、樹脂サッシでもよい。上記の実施形態による建具1では、障子3のガラスパネル32は、ガラスが2枚からなるペアガラスとなっているが、ガラスが3枚からなるトリプルガラスや、ガラスが1枚からなるシングルガラスでもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 建具、2 枠体、3 障子、11 室外、12 室内、13 開口部、35 戸先框(框)、37 ハンドル、41 グレモン錠、44 センサ、58 第1パッキン(気密材)、411 連動部、412 係止部