(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】電力変換装置及びX線画像撮影装置、モータードライブ装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/12 20060101AFI20231127BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20231127BHJP
【FI】
H02M7/12 A
H02M7/48 E
(21)【出願番号】P 2019223556
(22)【出願日】2019-12-11
【審査請求日】2022-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】320011683
【氏名又は名称】富士フイルムヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】河口 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】進藤 将太郎
(72)【発明者】
【氏名】正木 貴之
(72)【発明者】
【氏名】小川 美奈
【審査官】町田 舞
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/072036(WO,A1)
【文献】特開2013-118783(JP,A)
【文献】特開2005-229714(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0194925(US,A1)
【文献】特開2006-174659(JP,A)
【文献】特開2009-106106(JP,A)
【文献】特開2006-042579(JP,A)
【文献】特開2001-110591(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0152165(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/00-7/40
H02M 7/42-7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体のX線画像を撮影するX線画像撮影装置であって、
上アームのスイッチング素子である上アーム素子と下アームのスイッチング素子である下アーム素子とが三相の各相に設けられる三相変換回路と、
前記上アーム素子をオンに固定する期間である上アーム期間と前記下アーム素子をオンに固定する期間である下アーム期間とを交互に切り替えるスイッチング制御部と、を備える電力変換装置であって、
前記スイッチング制御部は、予め設定される電力パターンを積算して算出される電力積算値に基づいて、前記上アーム期間と前記下アーム期間とを切り替える電力変換装置を備えることを特徴とするX線画像撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は三相電力を扱う電力変換装置及びそれを備えるX線画像撮影装置、モータードライブ装置に係り、特に電力変換装置の損失を低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体のX線画像を撮影するX線画像撮影装置やモーターを駆動するモータードライブ装置には、三相電力を扱う電力変換装置であるコンバータやインバータが搭載される。電力変換装置では発熱の抑制が重要であり、PWM(Pulse Width Modulation)制御でのスイッチング損失を低減するために二相変調方式が用いられる。二相変調方式では、上アームと下アームのいずれか一方のスイッチング素子を120°毎に1相ずつオンに固定しスイッチング回数を減少させることによりスイッチング損失を低減させる。
【0003】
さらに特許文献1には、二相変調方式において、オンに固定されるスイッチング素子の発熱ともう一方のスイッチング素子の発熱とのアンバランスを抑制する技術が開示されている。具体的には、上アームのスイッチング素子をオンに固定する期間と下アームのスイッチング素子をオンに固定する期間とをほぼ等しく設定し、周期的に切り替えるか交互に実施する二相変調方式が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、電力変換装置の負荷に供給される電力の変動が大きい場合や周期的でない場合について配慮がなされていない。すなわち、スイッチング素子をオンに固定する期間を上アームと下アームとでほぼ等しく設定し、両期間を周期的に切り替えたとしても、負荷に供給される電力の変動が大きい場合や周期的でない場合には、スイッチング素子の発熱にアンバランスが生じる。
【0006】
そこで、本発明は、負荷に供給される電力の変動が大きい場合や周期的でない場合であっても、複数のスイッチング素子での発熱の差異を低減可能な電力変換装置及びそれを備えたX線画像撮影装置、モータードライブ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、上アームのスイッチング素子である上アーム素子と下アームのスイッチング素子である下アーム素子とが三相の各相に設けられる三相変換回路と、前記上アーム素子をオンに固定する期間である上アーム期間と前記下アーム素子をオンに固定する期間である下アーム期間とを交互に切り替えるスイッチング制御部と、を備える電力変換装置であって、前記スイッチング制御部は、予め設定される電力パターンを積算して算出される電力積算値に基づいて、前記上アーム期間と前記下アーム期間とを切り替えることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、被検体のX線画像を撮影するX線画像撮影装置であって、前記電力変換装置を備えることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、モーターを駆動するモータードライブ装置であって、前記電力変換装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、負荷に供給される電力の変動が大きい場合や周期的でない場合であっても、複数のスイッチング素子での発熱の差異を低減可能な電力変換装置及びそれを備えたX線画像撮影装置、モータードライブ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】X線画像撮影装置の一例であるX線CT装置の全体構成を示す図である。
【
図2】実施例1の電力変換装置の構成の一例を示す図である。
【
図3A】実施例1のAC/DC変換回路の一例を示す図である。
【
図3B】実施例1のDC/DC変換回路の一例を示す図である。
【
図4A】上アーム素子をオンに固定する二相変調方式を説明する図である。
【
図4B】下アーム素子をオンに固定する二相変調方式を説明する図である。
【
図5】実施例1において閾値を算出する処理の流れの一例を示す図である。
【
図6】実施例1の電力変換装置の動作の流れの一例を示す図である。
【
図7】実施例1の電力変換装置の動作を補足説明する図である。
【
図8】比較例の電力変換装置の動作を補足説明する図である。
【
図9】比較例と実施例1の電力変換装置を比較する図である。
【
図10】温度と電力量の関係を示すテーブルの一例を示す図である。
【
図11】実施例1において切り替えタイミングを算出する処理の流れの一例を示す図である。
【
図12】実施例1の電力変換装置の動作の流れの他の例を示す図である。
【
図13】実施例2の電力変換装置の構成の一例を示す図である。
【
図14A】実施例2のAC/DC変換回路の一例を示す図である。
【
図14B】実施例2のDC/AC変換回路の一例を示す図である。
【
図15】実施例2において閾値を算出する処理の流れの一例を示す図である。
【
図16】実施例2の電力変換装置の動作の流れの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面に従って本発明に係る電力変換装置及びX線画像撮影装置、モータードライブ装置の好ましい実施形態について説明する。なお、以下の説明及び添付図面において、同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略することにする。
【実施例1】
【0013】
図1を用いて、X線画像撮影装置の一例であるX線CT(Computed Tomography)装置の全体構成について説明する。
図1に示すようにX線CT装置1は、スキャンガントリ部100と操作ユニット120を備える。
【0014】
スキャンガントリ部100は、X線管装置101、回転円盤102、コリメータ103、X線検出器106、データ収集装置107、寝台装置105、ガントリ制御装置108、寝台制御装置109、X線制御装置110、電力変換装置111を備える。X線管装置101は寝台装置105上に載置された被検体10にX線を照射する装置である。コリメータ103はX線の照射範囲を制限する装置である。回転円盤102は、寝台装置105上に載置された被検体10が入る開口部104を備えるとともに、X線管装置101とX線検出器106を搭載し、X線管装置101とX線検出器106を被検体10の周囲で回転させる。
【0015】
X線検出器106は、X線管装置101と対向配置され、被検体10を透過したX線を検出することにより透過X線の空間的な分布を計測する装置である。X線検出器106の検出素子は、回転円盤102の回転方向に一次元に配列される場合と、回転円盤102の回転方向と回転軸方向との二次元に配列される場合がある。データ収集装置107は、X線検出器106で検出されたX線量をデジタルデータとして収集する装置である。
【0016】
ガントリ制御装置108は回転円盤102の回転及び傾斜を制御する装置である。寝台制御装置109は、寝台装置105の上下前後左右動を制御する装置である。X線制御装置110は、電力変換装置111の出力を制御する装置である。電力変換装置111は、X線管装置101に印加される高電圧である管電圧等を発生する装置である。電力変換装置111の詳細は
図2が用いられて後述される。
【0017】
操作ユニット120は、入力装置121、画像処理装置122、表示装置125、記憶装置123、システム制御装置124を備える。入力装置121は、被検体10の氏名、検査日時、撮影条件等を入力するための装置であり、具体的にはキーボードやポインティングデバイス、タッチパネル等である。画像処理装置122は、データ収集装置107から送信される計測データを演算処理してCT画像を再構成する装置である。表示装置125は、画像処理装置122で再構成されたCT画像やその他のデータを表示する装置であり、具体的には液晶ディスプレイ等である。記憶装置123は、データ収集装置107で収集されたデータや画像処理装置122で再構成されたCT画像等を記憶する装置であり、具体的にはHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等である。システム制御装置124は、各部を制御する装置であり、具体的にはCPU(Central Processing Unit)等である。
【0018】
入力装置121から入力された撮影条件に基づき、X線管装置101に印加される管電圧や管電流を電力変換装置111が発生することにより、撮影条件に応じたX線がX線管装置101から被検体10に照射される。X線検出器106は、X線管装置101から照射され被検体10を透過したX線を多数のX線検出素子で検出し、透過X線の分布を計測する。回転円盤102はガントリ制御装置108により制御され、入力装置121から入力された撮影条件、特に回転速度等に基づいて回転する。寝台装置105は寝台制御装置109によって制御され、入力装置121から入力された撮影条件、特にらせんピッチ等に基づいて動作する。
【0019】
X線管装置101からのX線照射とX線検出器106によるX線計測が回転円盤102の回転とともに繰り返されることにより、様々な角度からの投影データが取得される。投影データは、各角度を表すビュー(View)と、X線検出器106の検出素子番号であるチャネル(ch)番号及び列番号と対応付けられる。取得された様々な角度からの投影データは画像処理装置122に送信される。画像処理装置122は送信された様々な角度からの投影データを逆投影処理することによりCT画像を再構成する。再構成されたCT画像は表示装置125に表示され、医師の診断に用いられる。
【0020】
図2を用いて電力変換装置111の一例について説明する。電力変換装置111は、AC/DC変換回路201、DC/DC変換回路202、スイッチング制御部203、電流計測部204を備える。
【0021】
AC/DC変換回路201は、商用の三相電源200から供給される三相電力を直流電力に変換する回路である。AC/DC変換回路201の出力端にはDC/DC変換回路202が接続される。AC/DC変換回路201の詳細は
図3Aが用いられて後述される。
【0022】
DC/DC変換回路202は、AC/DC変換回路201から出力される直流電力を交流電力に変換した後、さらに直流電力に変換する回路である。DC/DC変換回路202の出力端には、電力変換装置111の負荷であるX線管装置101が接続される。なお回転円盤102に搭載されないAC/DC変換回路201から出力される直流電力は、回転円盤102に搭載されるDC/DC変換回路202にスリップリング等を介して供給される。DC/DC変換回路202の詳細は
図3Bが用いられて後述される。
【0023】
電流計測部204は、三相電源200からAC/DC変換回路201に供給される電流である入力電流を計測する回路である。電流計測部204によって計測された入力電流の値は、スイッチング制御部203へ送信される。
【0024】
スイッチング制御部203は、AC/DC変換回路201が有するスイッチング素子を、X線管装置101に供給される電圧パターンと電流パターンから算出される電力パターンに基づいて制御する装置であり、例えばCPU(Central Processing Unit)等の演算器を有する。またスイッチング制御部203は、電流計測部204から送信される電流の値をスイッチング素子の制御に必要に応じて用いる。スイッチング制御部203の動作の詳細は
図6等が用いられて後述される。
【0025】
図3Aを用いて、AC/DC変換回路201の一例について説明する。AC/DC変換回路201は、リアクトルL11~L13と、スイッチング素子Q1~Q6と、逆並列ダイオードDQ1~DQ6と、平滑コンデンサC11を備え、直流電圧Vdcを出力する。なおAC/DC変換回路201に供給される電流を計測する電流計測部204は、三相のそれぞれの電流を計測しても良いし、
図3Aに示されるように、三相のうちの任意の二相の電流を計測しても良い。二相の電流が計測される場合、残りの一相の電流は二相の電流の値から算出される。
【0026】
リアクトルL11~L13は三相電源200の各相から供給される電流に含まれる高調波電流を抑制するコイルである。スイッチング素子Q1~Q6はスイッチング制御部203によってオン/オフ制御されるスイッチであり、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)等の半導体デバイスである。スイッチング素子Q1とQ2との接続点に三相のうちのU相が、Q3とQ4との接続点にV相が、Q5とQ6との接続点にW相がそれぞれ入力される。逆並列ダイオードDQ1~DQ6は、スイッチング素子Q1~Q6のそれぞれと並列であって逆極性に接続されるダイオードであり、スイッチング素子Q1~Q6を逆電流から保護する。平滑コンデンサC11は出力電圧のリプルを抑制するコンデンサである。
【0027】
なおスイッチング素子Q1、Q3、Q5と逆並列ダイオードDQ1、DQ3、DQ5を上アーム301、スイッチング素子Q2、Q4、Q6と逆並列ダイオードDQ2、DQ4、DQ6を下アーム302と呼ぶ。さらに上アーム301に含まれるスイッチング素子Q1、Q3、Q5を上アーム素子、下アーム302に含まれるスイッチング素子Q2、Q4、Q6を下アーム素子と呼ぶ。また三相のうちのある相の上アーム素子がオンであるとき、同じ相の下アーム素子はオフである。例えばスイッチング素子Q1がオンであればスイッチング素子Q2がオフであり、スイッチング素子Q4がオンであればスイッチング素子Q3がオフである。すなわち、AC/DC変換回路201は、上アーム素子と下アーム素子とが三相の各相に設けられる三相変換回路である。
【0028】
図3Bを用いて、DC/DC変換回路202の一例について説明する。DC/DC変換回路202は、平滑コンデンサCdc1と、スイッチング素子S1~S4と、逆並列ダイオードD1~D4と、高周波トランスT1と、整流ダイオードD21~D24と、平滑コンデンサCdc2を備える。直流電圧Vdcが入力されるDC/DC変換回路202は、X線管装置101に管電圧Vxと管電流Ixを出力する。
【0029】
平滑コンデンサCdc1は、スリップリング等を介して供給される直流電圧Vdcに含まれる高周波電圧を平滑化するコンデンサである。スイッチング素子S1~S4はオン/オフ制御されるスイッチであり、逆並列ダイオードD1~D4とともにフルブリッジ回路を構成する。逆並列ダイオードD1~D4はスイッチング素子S1~S4のそれぞれと並列であって逆極性に接続されるダイオードである。高周波トランスT1はフルブリッジ回路から出力される交流電圧を変圧する変圧器である。整流ダイオードD21~D24は高周波トランスT1から出力される交流電圧を整流するダイオードである。平滑コンデンサCdc2は管電圧Vxのリプルを抑制するコンデンサである。
【0030】
図4Aを用いて、上アーム素子をオンに固定する二相変調方式について説明する。
図4Aには、パルス幅変調出力を作り出すための三角波と、U相、V相、W相の各変調波が示される。U相、V相、W相の各変調波は120°毎に三角波の振幅の最大値である1に固定され、各変調波が三角波よりも大きいときに上アーム素子、例えば
図3Aのスイッチング素子Q1、Q3、Q5がオンになる。すなわち
図4Aに示される二相変調方式では120°毎に上アーム素子がオンに固定されるとともに下アーム素子がオフに固定されるので、上アーム素子と下アーム素子が常にオンオフ動作する三相変調方式に比較してスイッチング損失を約2/3に低減できる。
【0031】
図4Bには、下アーム素子をオンに固定する二相変調方式の場合の三角波と、U相、V相、W相の各変調波が示される。U相、V相、W相の各変調波は120°毎に三角波の振幅の最小値である0に固定され、各変調波が三角波よりも小さいときに下アーム素子、例えば
図3Aのスイッチング素子Q2、Q4、Q6がオンになる。すなわち
図4Bに示される二相変調方式では120°毎に下アーム素子がオンに固定されるとともに上アーム素子がオフに固定されるので、
図4Aの場合と同様に、三相変調方式に比較してスイッチング損失を低減できる。
【0032】
オンに固定されている間、上アーム素子と下アーム素子は電力変換装置111の負荷に供給される電力に応じて発熱するので、上アーム素子と下アーム素子の一方のみをオンに固定すると発熱にアンバランスが生じる。このような発熱のアンバランスは、上アーム素子をオンに固定する期間である上アーム期間と下アーム素子をオンに固定する期間である下アーム期間とをほぼ等しく設定して周期的に切り替えることで抑制される。
【0033】
しかし、負荷に供給される電力の変動が大きい場合や周期的でない場合にはその限りではない。すなわち上アーム期間と下アーム期間とをほぼ等しく設定したとしても、上アーム期間に上アーム素子に供給される電力と、下アーム期間に下アーム素子に供給される電力との差異が大きくなる場合がある。そこで本実施例では、スイッチング制御部203が、予め設定される電力パターンを積算して算出される電力積算値に基づいて、上アーム期間と下アーム期間とを切り替えることにより、上アーム素子と下アーム素子での発熱の差異を低減する。より具体的には、電力積算値に応じて上アーム期間に上アーム素子へ供給される電力量と、電力積算値に応じて下アーム期間に下アーム素子へ供給される電力量との差異が所定値以下になるように予め算出される閾値を、電流計測部204によって計測される電流の積算値が超えるときに、上アーム期間と下アーム期間とが切り替えられる。所定値はより小さい値であることが好ましく、ゼロであることが最も好ましい。
【0034】
図5を用いて、閾値を算出する処理の流れの一例について説明する。
【0035】
(S501)
スイッチング制御部203は、X線管装置101に供給される電圧パターンVx(t)と電流パターンIx(t)を取得する。例えば、入力装置121から入力される撮影条件に含まれる管電圧や管電流、撮影モードのシーケンス情報に基づいて、負荷であるX線管装置101に供給される電圧と電流の時間変化のパターンである電圧パターンVx(t)と電流パターンIx(t)が算出される。
【0036】
(S502)
スイッチング制御部203は、S501で取得された電圧パターンVx(t)と電流パターンIx(t)を用いて、電力パターンPx(t)を算出する。電力パターンPx(t)の算出には、例えば次式が用いられる。
【0037】
Px(t)=Vx(t)×Ix(t) …(1)
(S503)
スイッチング制御部203は、S502で算出された電力パターンPx(t)を用いて、動作期間中の電力積算値Px_intを算出する。電力積算値Px_intの算出には、例えば次式が用いられる。
【0038】
Px_int=∫Px(t)・dt …(2)
(S504)
スイッチング制御部203は、S503で算出された電力積算値Px_intを用いて、上アーム期間と下アーム期間とを切り替える回数である切り替え回数Nswを算出する。切り替え回数Nswの算出には、例えば次式が用いられる。
【0039】
Nsw=2・RoundUp(Px_int/Px_max) …(3)
ここでRoundUp()は小数を切り上げる演算子であり、Px_maxはスイッチング素子に供給可能な電力の最大値である。Px_maxの値は、スイッチング素子の定格電力やAC/DC変換回路201に取り付けられる冷却器の冷却量等によって決定される。
【0040】
(3)式によれば切り替え回数Nswは偶数に設定される。なお、上アーム期間と下アーム期間を切り替えたときにAC/DC変換回路201から発生するノイズはX線CT装置1の計測データに悪影響を与える場合があり、切り替え回数Nswはより少ない方が望ましい。つまり切り替え回数Nswが偶数であれば、式(3)による算出に限定されない。
【0041】
(S505)
スイッチング制御部203は、S503で算出された電力積算値Px_intとS504で算出された切り替え回数Nswを用いて、負荷に供給される電力の閾値Px_refを算出する。閾値Px_refの算出には、例えば次式が用いられる。
【0042】
Px_ref=Px_int/Nsw …(4)
スイッチング制御部203は、さらに電力の閾値Px_refを用いて、電流計測部204によって計測される入力電流に係る閾値Irefを算出する。閾値Irefの算出には、例えば次式が用いられる。
【0043】
Iref=Px_ref/Vac …(5)
ここでVacは三相電源200の線間電圧の実効値である。
【0044】
以上の処理の流れによって、電力の閾値Px_refや入力電流に係る閾値Iref等の閾値が算出される。なお閾値の算出を、スイッチング制御部203以外の演算器、例えばX線制御装置110やシステム制御装置124が実行しても良い。
【0045】
図6を用いて、本実施例の電力変換装置111の動作の流れの一例について説明する。なお
図6では、入力電流に係る閾値Irefに基づいて、上アーム期間と下アーム期間とが切り替えられる。
【0046】
(S601)
スイッチング制御部203は、電流積算値をリセットする。すなわち、電流積算値であるIin_intの値を0にする。
【0047】
(S602)
スイッチング制御部203は停止指令の有無を判定する。停止指令が有る場合は処理の流れが終了となり、無い場合はS603へ処理が進められる。停止指令は、電力変換装置111の動作期間が終了した場合や、外部から割り込み指令が有った場合に発生する。
【0048】
(S603)
電流計測部204は、三相電源200からAC/DC変換回路201に入力される電流である入力電流Iin(t)を計測する。なお入力電流Iin(t)は、U相、V相、W相のうちの少なくとも一相の電流である。計測された入力電流Iin(t)の値は、スイッチング制御部203に送信される。
【0049】
(S604)
スイッチング制御部203は、入力電流Iin(t)を積算し、電流積算値Iin_intを算出する。電流積算値Iin_intは、S601にてリセットされてから本ステップまでに計測された入力電流Iin(t)の値が積算されて算出される。
【0050】
(S605)
スイッチング制御部203は、電流積算値Iin_intが閾値Irefを超えたか否かを判定する。電流積算値Iin_intが閾値Irefを超えていればS606へ処理が進められ、超えていなければS602へ処理が戻される。
【0051】
(S606)
スイッチング制御部203は、上アーム期間と下アーム期間とを切り替える。すなわち上アーム期間である場合は下アーム期間に、下アーム期間である場合は上アーム期間に切り替えられる。上アーム期間と下アーム期間とが切り替えられた後、S601へ処理が戻される。
【0052】
以上説明した処理の流れにより、負荷に供給される電力の変動が大きい場合や周期的でない場合であっても、上アーム期間に上アーム素子へ供給される電力と下アーム期間に下アーム素子へ供給される電力との差異が低減されるので、発熱のアンバランスを抑制できる。
【0053】
図7を用いて、本実施例の電力変換装置111の動作を補足説明する。
図7には、S502の電力Pxと、S503の電力積算値Px_intと、閾値Irefによって上アーム期間と下アーム期間とを4回切り替えたときのS604の電流積算値Iin_intの時間変化の波形が示される。上アーム期間はt0~t1とt2~t3、下アーム期間はt1~t2とt3~t4であり、両期間は不等であるものの、両期間にスイッチング素子へ供給される電流の積算値であるIin_intは閾値Irefにほぼ等しい。また三相電源200の線間電圧Vacはほぼ一定であるので、上アーム期間に上アーム素子へ供給される電力と下アーム期間に下アーム素子へ供給される電力もほぼ等しく、上アーム素子と下アーム素子での発熱の差異を低減できる。
【0054】
図8を用いて、比較例の電力変換装置の動作を補足説明する。
図8には、
図7と同じ電力Px及び電力積算値Px_intと、ほぼ等しく設定された上アーム期間と下アーム期間を周期的に切り替えたときの電流積算値Iin_intの時間変化の波形が示される。上アーム期間はt10~t11とt12~t13、下アーム期間はt11~t12とt13~t14であり、両期間はほぼ等しいものの、両期間にスイッチング素子へ供給される電流の積算値であるIin_intは不等である。そして三相電源200の線間電圧Vacはほぼ一定であるので、上アーム期間に上アーム素子へ供給される電力と下アーム期間に下アーム素子へ供給される電力も不等であり、上アーム素子と下アーム素子での発熱に差異が生じる。
【0055】
図9を用いて、
図8の比較例と
図7の本実施例を比較する。
図9には、上アーム期間と下アーム期間にスイッチング素子で生じる損失が示される。
図8の比較例では両期間での損失の差異が大きいのに対し、
図7の本実施例では損失の差異が小さい。すなわち、本実施例により、上アーム素子と下アーム素子での発熱の差異を低減できる。またスイッチング素子の発熱の差異の低減によって、AC/DC変換回路201に取り付けられる冷却器の小型化が図れ、閾値の算出に用いられる所定値がゼロであるとき、上アーム素子と下アーム素子に同じ冷却器を用いることができる。
【0056】
なおAC/DC変換回路201への入力電流の積算値の代わりに、AC/DC変換回路201からの出力電流の積算値を閾値と比較して、上アーム期間と下アーム期間を切り替えても良い。AC/DC変換回路201からの出力電流は、AC/DC変換回路201の出力端子に設けられ出力電流を計測する回路である電流計測部によって計測される。出力電流の積算値と比較される閾値の算出には、例えば例えば次式が用いられる。
【0057】
Iref=Px_ref/Vdc …(6)
ここでVdcはAC/DC変換回路201が出力する直流電圧の値である。
【0058】
また入力電流や出力電流を計測する代わりに、上アーム素子と下アーム素子の温度を計測し、計測された温度の値を上アーム素子や下アーム素子に供給される電力量に換算しても良い。上アーム素子や下アーム素子の温度は、各素子に設けられる温度計測部によって計測される。温度の値を電力量に換算するには、例えば
図10に示されるテーブルが用いられる。
図10のテーブルは上アーム素子や下アーム素子の温度と各素子に供給される電力量との関係を示すものであり、既知の電力量が供給されたときのスイッチング素子の温度を計測することで予め作成され、スイッチング制御部203等が備える記憶部に記憶される。
【0059】
すなわちスイッチング制御部203は、温度計測部によって計測されるスイッチング素子の温度を
図10に例示されるテーブルに照合することでスイッチング素子に供給される電力量に換算する。そして、求められた電力量が閾値を超えるときにスイッチング制御部203が上アーム期間と下アーム期間を切り替える。
【0060】
なお上アーム期間と下アーム期間の切り替えに用いられる閾値は、上アームのための閾値である上アーム閾値と下アームのための閾値である下アーム閾値とがそれぞれ算出されても良い。AC/DC変換回路201に取り付けられる冷却器は、上アームと下アームを均等に冷却するとは限らず、上アームと下アームの冷却量に差異が生じる場合がある。例えば上アームを冷却する上アーム冷却器と下アームを冷却する下アーム冷却器が個別に設けられ、両者の取り付け位置や性能が大きく異なる場合、上アームと下アームの冷却量に差異が生じる。
【0061】
そこで上アームの発熱量から冷却量を減じた値と下アームの発熱量から冷却量を減じた値との差異が所定値以下となるように、上アーム閾値と下アーム閾値を予め算出し、上アーム閾値と下アーム閾値を用いて上アーム期間と下アーム期間を切り替えても良い。より具体的には、電力積算値に応じて上アーム期間に上アーム素子に供給される電力量から上アームに対する冷却量を減じた値と、電力積算値に応じて下アーム期間に下アーム素子に供給される電力量から下アームに対する冷却量を減じた値との差異が所定値以下になるように、上アーム閾値と下アーム閾値が予め算出される。そして、入力電流や出力電流の電流積算値が上アーム期間中に上アーム閾値を超えるときに上アーム期間は下アーム期間に切り替えられ電流積算値が、下アーム期間中に下アーム閾値を超えるときに下アーム期間は上アーム期間に切り替えられる。
【0062】
また入力電流や出力電流の電流積算値を閾値と比較する代わりに、予め設定される電力パターンが積算された電力積算値に基づいて算出される切り替えタイミングによって、上アーム期間と下アーム期間を切り替えても良い。より具体的には、電力積算値に応じて上アーム期間に上アーム素子へ供給される電力量と、電力積算値に応じて下アーム期間に下アーム素子へ供給される電力量との差異が所定値以下になるように、切り替えタイミングが算出される。
【0063】
図11を用いて、切り替えタイミングを算出する処理の流れの一例について説明する。なおS501~S504は
図5と同じであるので説明を省略し、S1105について説明する。
【0064】
(S1105)
スイッチング制御部203は、式(4)によって算出される閾値Px_refを用いて、切り替えタイミングtsw(n)を算出する。切り替えタイミングtsw(n)は、時刻tまでの電力積算値Px_int(t)が閾値Px_refの倍数となる時刻として算出され、例えば
図7のt1、t2、t3、t4が相当する。なおnは上アーム期間と下アーム期間の切り替えのインデックスであり、1から切り替え回数Nswまでの整数である。
図7の例では、Nsw=4であり、tsw(1)=t1、tsw(2)=t2、tsw(3)=t3、tsw(4)=t4である。
【0065】
以上の処理の流れによって、予め設定される電力パターンを積算して算出される電力積算値に基づいて切り替えタイミングtsw(n)が算出される。なお切り替えタイミングtsw(n)の算出を、スイッチング制御部203以外の演算器、例えばX線制御装置110やシステム制御装置124が実行しても良い。
【0066】
図12を用いて、本実施例の電力変換装置111の動作の流れの他の例について説明する。
図12では、切り替えタイミングtsw(n)に基づいて、上アーム期間と下アーム期間とが切り替えられる。なお
図6と同じ処理であるS602とS606の説明を省略し、S1201とS1205について説明する。
【0067】
(S1201)
スイッチング制御部203は、切り替えタイミングtsw(n)を設定する。すなわち、本ステップが一回目であればtsw(1)が設定され、二回目以降ではtsw(n)が随時更新される。
【0068】
(S1205)
スイッチング制御部203は、AC/DC変換回路201の動作開始から経過した時刻tが切り替えタイミングtsw(n)を超えたか否かを判定する。時刻tが切り替えタイミングtsw(n)を超えていればS606へ処理が進められ、超えていなければS602へ処理が戻される。
【0069】
以上説明した処理の流れにより、負荷に供給される電力の変動が大きい場合や周期的でない場合であっても、上アーム期間に上アーム素子へ供給される電力と下アーム期間に下アーム素子へ供給される電力との差異が低減されるので、発熱のアンバランスを抑制できる。また
図12の動作の流れでは、入力電流や出力電流を計測する電流計測部を備えなくても良い。
【実施例2】
【0070】
実施例1では、三相変換回路としてAC/DC変換回路を有する電力変換装置がX線画像撮影装置に備えられる場合について説明した。本実施例では、三相変換回路としてDC/AC変換回路を有する電力変換装置がモータードライブ装置に備えられる場合について説明する。
【0071】
図13を用いて、モーター1304を駆動するモータードライブ装置に備えられる電力変換装置1300の一例について説明する。なおモーター1304は三相電力によって駆動する。電力変換装置1300は、AC/DC変換回路1301、DC/AC変換回路1302、スイッチング制御部1303、電流計測部1305、電圧計測部1306を備える。
【0072】
AC/DC変換回路1301は、商用の三相電源200から供給される三相電力を直流電力に変換する回路である。AC/DC変換回路1301の出力端にはDC/AC変換回路1302が接続される。AC/DC変換回路1301の詳細は
図14Aが用いられて後述される。
【0073】
DC/AC変換回路1302は、AC/DC変換回路1301から出力される直流電力を三相電力に変換する回路である。DC/AC変換回路1302の出力端には、電力変換装置1300の負荷であるモーター1304が接続される。DC/AC変換回路1302の詳細は
図14Bが用いられて後述される。
【0074】
電流計測部1305は、AC/DC変換回路1301からDC/AC変換回路1302に供給される電流である入力電流を計測する回路である。電流計測部1305によって計測された入力電流の値は、スイッチング制御部1303へ送信される。
【0075】
電圧計測部1306は、AC/DC変換回路1301からDC/AC変換回路1302に印加される電圧である入力電圧を計測する回路である。電圧計測部1306によって計測された入力電圧の値は、スイッチング制御部1303へ送信される。
【0076】
スイッチング制御部1303は、DC/AC変換回路1302が有するスイッチング素子を、モーター1304の動作パターンから算出される電力パターンに基づいて制御する装置であり、例えばCPU(Central Processing Unit)等の演算器を有する。またスイッチング制御部1303は、電流計測部1305から送信される電流や電圧計測部1306から送信される電圧の値をスイッチング素子の制御に必要に応じて用いる。スイッチング制御部1303の動作の詳細は
図16が用いられて後述される。
【0077】
図14Aを用いて、AC/DC変換回路1301の一例について説明する。AC/DC変換回路1301は、リアクトルL11~L13と、整流ダイオードDr1~Dr6と、昇圧リアクトルLbと、スイッチング素子Sbと、ダイオードDbと、平滑コンデンサC11を備え、直流電圧Vdcを出力する。
【0078】
図14Bを用いて、DC/AC変換回路1302の一例について説明する。DC/AC変換回路1302は、平滑コンデンサC12と、スイッチング素子H1~H6と、逆並列ダイオードDH1~DH6を備える。直流電流Idcと直流電圧Vdcが入力されるDC/AC変換回路1302は、モーター1304に三相電力を供給する。直流電流Idcは電流計測部1305によって、直流電圧Vdcは電圧計測部1306によってそれぞれ計測される。
【0079】
スイッチング素子H1~H6はスイッチング制御部1303によってオン/オフ制御されるスイッチである。スイッチング素子H1とH2との接続点、H3とH4との接続点、H5とH6との接続点のそれぞれから三相のうちの一相がモーター1304へ出力される。またスイッチング素子H1、H3、H5と逆並列ダイオードDH1、DH3、DH5が上アーム1401であり、スイッチング素子H2、H4、H6と逆並列ダイオードDH2、DH4、DH6が下アーム1402である。さらに上アーム1401に含まれるスイッチング素子H1、H3、H5は上アーム素子、下アーム1402に含まれるスイッチング素子H2、H4、H6は下アーム素子である。すなわち、DC/AC変換回路1302は、上アーム素子と下アーム素子とが三相の各相に設けられる三相変換回路である。
【0080】
図15を用いて、上アーム期間と下アーム期間との切り替えに用いられる閾値を、予め設定されるモーター1304の動作パターンに基づいて算出する処理の流れの一例について説明する。なおS503~S505は
図5と同じであるので説明を省略し、S1501とS1502について説明する。
【0081】
(S1501)
スイッチング制御部1303は、モーター1304の動作パターンを取得する。動作パターンには、例えば、モーター1304のトルク(N・m)や回転数(r/min)の時間変化のパターンであるトルクパターンT(t)と回転数パターンN(t)が含まれる。
【0082】
(S1502)
スイッチング制御部1303は、S1501で取得されたトルクパターンT(t)と回転数パターンN(t)を用いて、電力パターンPx(t)を算出する。電力パターンPx(t)の算出には、例えば次式が用いられる。
【0083】
Px(t)=2π×T(t)×N(t)/60 …(7)
なおS505の閾値Irefの算出には、式(5)の代わりに、次式が用いられる。
【0084】
Iref=Px_ref/Vdc_ref …(8)
ここでVdc_refは直流電圧Vdcの基準値である。
【0085】
以上の処理の流れによって、電力の閾値Px_refや入力電流に係る閾値Iref等の閾値が算出される。なお閾値の算出を、スイッチング制御部1303以外の演算器、例えば外部の装置が備える演算器が実行しても良い。
【0086】
図16を用いて、本実施例の電力変換装置1300の動作の流れの一例について説明する。なお
図16では、入力電流に係る閾値Irefに基づいて、上アーム期間と下アーム期間とが切り替えられる。なお
図6と同じ処理であるS601、S602、S605、S606の説明を省略し、S1603とS1604について説明する。
【0087】
(S1603)
電流計測部1305と電圧計測部1306は、AC/DC変換回路1301からDC/AC変換回路1302に入力される直流電流Idcと直流電圧Vdcをそれぞれ計測する。計測された直流電流Idcの値と直流電圧Vdcの値は、スイッチング制御部1303に送信される。
【0088】
(S1604)
スイッチング制御部1303は、直流電流Idcを積算し、電流積算値Iin_intを算出する。電流積算値Iin_intの算出には、S601にてリセットされてから本ステップまでに計測された直流電流Idcの値が用いられる。電流積算値Iin_intの算出には、例えば次式が用いられる。
【0089】
Iin_int=(Vdc/Vdc_ref)∫Idc・dt …(9)
式(9)において、Vdc/Vdc_refは直流電圧Vdcの値を変化させた場合の補正係数である。補正係数が乗じられることによって、モーター1304の動作パターンに応じて直流電圧Vdcの値を変化させた場合においても損失の差異を低減できる。
【0090】
以上説明した処理の流れにより、負荷に供給される電力の変動が大きい場合や周期的でない場合であっても、上アーム期間に上アーム素子へ供給される電力と下アーム期間に下アーム素子へ供給される電力との差異が低減されるので、発熱のアンバランスを抑制できる。
【0091】
なお、本発明の電力変換装置及びX線画像撮影装置、モータードライブ装置は上記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせても良い。さらに、上記実施例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除しても良い。
【符号の説明】
【0092】
1:X線CT装置、10:被検体、100:スキャンガントリ部、101:X線管装置、102:回転円盤、103:コリメータ、104:開口部、105:寝台装置、106:X線検出器、107:データ収集装置、108:ガントリ制御装置、109:寝台制御装置、110:X線制御装置、111:電力変換装置、120:操作ユニット、121:入力装置、122:画像処理装置、123:記憶装置、124:システム制御装置、125:表示装置、200:三相電源、201:AC/DC変換回路、202:DC/DC変換回路、203:スイッチング制御部、204:電流計測部、301:上アーム、302:下アーム、1300:電力変換装置、1301:AC/DC変換回路、1302:DC/AC変換回路、1303:スイッチング制御部、1304:モーター、1305:電流計測部、1306:電圧計測部、1401:上アーム、1402:下アーム