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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】連続地中壁および連続地中壁の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 5/20 20060101AFI20231127BHJP
【FI】
E02D5/20 103
E02D5/20 102
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020013709
(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公開番号】P2021120513
(43)【公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】眞野 英之
(72)【発明者】
【氏名】金本 清臣
(72)【発明者】
【氏名】黒木 光博
(72)【発明者】
【氏名】長澤 正明
(72)【発明者】
【氏名】阿部 一茂
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-088533(JP,A)
【文献】特開昭56-067016(JP,A)
【文献】特開昭50-045410(JP,A)
【文献】特開2009-019371(JP,A)
【文献】特開昭48-079409(JP,A)
【文献】特公昭48-001893(JP,B1)
【文献】特開昭61-031521(JP,A)
【文献】特開平06-299548(JP,A)
【文献】特開平07-197451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に隣接して構築される第1エレメントおよび第2エレメントを有し、
前記第1エレメントは、
第1コンクリート部と、
前記第1コンクリート部における前記第2エレメント側の端部に沿って、壁高さ方向全体にわたって設けられた波形鋼板と、を有し、
前記波形鋼板は、前記第1エレメントと前記第2エレメントが隣接する壁長さ方向に突出し、壁厚さ方向に延びる凸条部と、前記壁長さ方向に凹み、前記壁厚さ方向に延びる凹条部と、が壁高さ方向に交互に配列されるとともに前記第1コンクリート部側の面に前記第1コンクリート部が定着し、
前記第2エレメントは、前記波形鋼板の前記第2エレメント側の面と定着する第2コンクリート部を有し、
前記波形鋼板から前記壁高さ方向全体にわたって前記第2エレメント側に向かって突出する止水部を有し、
前記止水部は、断面T字形状の形材で、前記波形鋼板の前記第2エレメント側の端部よりもさらに前記第2エレメント側に突出する突出部分を備えていることを特徴とする連続地中壁。
【請求項2】
前記凸条部および前記凹条部は、それぞれ前記壁長さ方向を向く鉛直面に対して傾斜する傾斜面と有し、
前記傾斜面と前記壁長さ方向を向く鉛直面とがなす角度は、21°以上46°以下である請求項1に記載の連続地中壁。
【請求項3】
請求項1または2に記載の連続地中壁を施工する連続地中壁の施工方法において、
地盤の前記第1エレメントおよび前記第2エレメントの前記第1エレメント側の端部近傍が構築される領域を掘削し先行掘削部を形成する先行掘削工程と、
前記先行掘削部における前記第2エレメントの前記第1エレメント側の端部近傍が構築される領域に箱状の保護部材を設置する保護部材設置工程と、
前記先行掘削部における前記保護部材が設置された領域以外の領域に前記波形鋼板を前記保護部材と接触させて前記第1コンクリート部を構築する第1コンクリート部構築工程と、
地盤の前記第2エレメントの前記第1エレメント側の端部近傍以外が構築される領域を掘削し後行掘削部を形成する後行掘削工程と、
前記保護部材を撤去する保護部材撤去工程と、
前記後行掘削部および前記保護部材が撤去された領域に前記第2コンクリート部を構築する第2コンクリート部構築工程と、を有し、
前記連続地中壁は、前記波形鋼板から前記壁高さ方向全体にわたって前記第2エレメント側に向かって突出する止水部を有し、
前記保護部材には、前記第1エレメント側の面に前記壁高さ方向全体にわたって前記第2エレメント側に凹む凹部が形成され、
前記第1コンクリート部構築工程では、前記止水部を前記凹部に配置した状態で前記第1コンクリート部を構築することを特徴とする連続地中壁の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続地中壁および連続地中壁の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート(以下、RC)造の連続地中壁の施工方法として、地中に間隔をあけて先行エレメントを設け、先行して設けられた先行エレメントの間に後行エレメントを設けて連続地中壁を構築する方法がある。先行エレメントと後行エレメントとは、互いに荷重(せん断力)が伝達可能となるように一体に連結する場合(例えば、特許文献1-3参照)と、互いに接触させるが互いに荷重が伝達しない状態に連結する場合とがある。
【0003】
先行エレメントと後行エレメントとを面内せん断力が伝達可能に連結する場合、先行エレメントの継手面となる後行エレメント側の端面にシアキーとして例えば歯車のような凹凸面を形成し、後行エレメントの継手面を先行エレメントの凹凸面に噛み合った面にすることが考えられる。このようにすることにより、先行エレメントと後行エレメントとの間で面内せん断力を確実に伝達できるとともに、先行エレメント掘削時にシアキーを有する継手面が直に地盤に接してコンクリートの側圧に抵抗することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-342950号公報
【文献】特開2010-242318号公報
【文献】特開2017-179734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、先行エレメント掘削時にシアキーを有する継手面が直に地盤に接すると、シアキーの凹部に地盤の土が詰まり、後行エレメントを構築する際の先行エレメントの継手面の清掃に手間がかかるという問題がある。また、後行エレメントの掘削時に、掘削機がシアキーと接触し、シアキーを損傷させる虞もある。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、容易に施工することができるとともに、先行エレメントの継手面の損傷を防止できる連続地中壁および連続地中壁の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る連続地中壁は、地盤に隣接して構築される第1エレメントおよび第2エレメントを有し、前記第1エレメントは、第1コンクリート部と、前記第1コンクリート部における前記第2エレメント側の端部に沿って、壁高さ方向全体にわたって設けられた波形鋼板と、を有し、前記波形鋼板は、前記第1エレメントと前記第2エレメントが隣接する壁長さ方向に突出し、壁厚さ方向に延びる凸条部と、前記壁長さ方向に凹み、前記壁厚さ方向に延びる凹条部と、が壁高さ方向に交互に配列されるとともに前記第1コンクリート部側の面に前記第1コンクリート部が定着し、前記第2エレメントは、前記波形鋼板の前記第2エレメント側の面と定着する第2コンクリート部を有し、前記波形鋼板から前記壁高さ方向全体にわたって前記第2エレメント側に向かって突出する止水部を有し、前記止水部は、断面T字形状の形材で、前記波形鋼板の前記第2エレメント側の端部よりもさらに前記第2エレメント側に突出する突出部分を備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る連続地中壁の施工方法は、上記の連続地中壁を施工する連続地中壁の施工方法において、地盤の前記第1エレメントおよび前記第2エレメントの前記第1エレメント側の端部近傍が構築される領域を掘削し先行掘削部を形成する先行掘削工程と、前記先行掘削部における前記第2エレメントの前記第1エレメント側の端部近傍が構築される領域に箱状の保護部材を設置する保護部材設置工程と、前記先行掘削部における前記保護部材が設置された領域以外の領域に前記波形鋼板を前記保護部材と接触させて前記第1コンクリート部を構築する第1コンクリート部構築工程と、地盤の前記第2エレメントの前記第1エレメント側の端部近傍以外が構築される領域を掘削し後行掘削部を形成する後行掘削工程と、前記保護部材を撤去する保護部材撤去工程と、前記後行掘削部および前記保護部材が撤去された領域に前記第2コンクリート部を構築する第2コンクリート部構築工程と、を有し、前記連続地中壁は、前記波形鋼板から前記壁高さ方向全体にわたって前記第2エレメント側に向かって突出する止水部を有し、前記保護部材には、前記第1エレメント側の面に前記壁高さ方向全体にわたって前記第2エレメント側に凹む凹部が形成され、前記第1コンクリート部構築工程では、前記止水部を前記凹部に配置した状態で前記第1コンクリート部を構築することを特徴とする。
【0009】
本発明では、第1エレメントを構築する工程において、波形鋼板の第2エレメント側の面が保護部材と接触して地盤と接触することが無いため、波形鋼板の第2エレメント側の凹条部に地盤の土が詰まることが無く、第2エレメントを構築する際の波形鋼板の洗浄を容易に行うことができる。波形鋼板の第2エレメント側の面に土が付着しないため、波形鋼板と第2コンクリート部との間に土が挟まることを防止できる。これにより、第1エレメントと第2エレメントとの間で、せん断力を確実に伝達することができる。
第2エレメントが構築される領域を掘削する工程において、波形鋼板が保護部材に覆われているため、掘削機が波形鋼板に当たるなどして波形鋼板が損傷することを防止できる。
保護部材が設けられていることにより、第1コンクリート部の施工時に、第1コンクリート部のコンクリートが第2エレメント側に流出することを防止することができる。
【0010】
また、止水部を有することにより、第1エレメントと第2エレメントの境界部分において壁厚さ方向の止水を行うことができる。
【0012】
また、本発明に係る連続地中壁では、前記凸条部および前記凹条部は、それぞれ前記壁長さ方向を向く鉛直面に対して傾斜する傾斜面と有し、前記傾斜面と前記壁長さ方向を向く鉛直面とがなす角度は、21°以上46°以下であってもよい。
このような構成とすることにより、第1エレメントと第2エレメントとの間の面内せん断力の伝達を効率よく行うことができる。
【0013】
また、本発明に係る連続地中壁の施工方法では、前記連続地中壁は、前記波形鋼板から前記壁高さ方向全体にわたって前記第2エレメント側に向かって突出する止水部を有し、前記保護部材には、前記第1エレメント側の面に前記壁高さ方向全体にわたって前記第2エレメント側に凹む凹部が形成され、前記第1コンクリート部構築工程では、前記止水部を前記凹部に配置して前記第1コンクリート部を構築してもよい。
このような構成とすることにより、止水部が波形鋼板から突出していても保護部材を止水部と干渉することなく仮設することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、容易に施工することができるとともに、波形鋼板の第2エレメント側の面(先行エレメントの継手面)の損傷を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態による連続地中壁の一例を示す図で、図2のA-A線断面に対応する水平断面図である。
図2図1のB-B線断面に対応する連続地中壁の鉛直断面図である。
図3】第1コンクリート部構築工程が完了した状態を示す水平断面図である。
図4】第1コンクリート部構築工程が完了した状態を示す鉛直断面図である。
図5】後行掘削工程を示す鉛直断面図である。
図6】保護部材撤去工程を示す鉛直断面図である。
図7】保護部材撤去工程が完了した状態を示す水平断面図である。
図8】波形鋼板の前面を洗浄する工程を示す水平断面図である。
図9】波形鋼板の前面を洗浄する工程を示す鉛直断面図である。
図10】杭が併設される連続地中壁を示す図である。
図11】波形鋼板の形状を示す図である。
図12】波形鋼板の角度とせん断耐力との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態による連続地中壁および連続地中壁の施工方法について、図1図12に基づいて説明する。
図1および図2に示す本実施形態による連続地中壁1は、壁長さ方向に配列される複数の壁状のエレメント2,3を有している。複数のエレメント2、3は、いずれも地盤11(図1参照)を掘削して構築されている。
壁長さ方向とは、連続地中壁1の壁面に沿った水平方向を示している。壁長さ方向に直交する水平方向を壁厚さ方向とし、壁長さ方向および壁厚さ方向に直交する上下方向(鉛直方向)を壁高さ方向とする。図では、壁長さ方向を矢印Xで示し、壁厚さ方向を矢印Yで示し、壁高さ方向を矢印Zで示している。
【0017】
連続地中壁1を構成する複数のエレメント2,3は、先行して施工される先行エレメント2(第1エレメント)と、先行エレメント2の後に施工される後行エレメント3(第2エレメント)とから構成され、先行エレメント2と後行エレメント3は、壁長さ方向に交互に配列されている。先行エレメント2には、壁長さ方向の端面に継手部となる波形鋼板5が設けられている。先行エレメント2と後行エレメント3とは、先行エレメント2の波形鋼板5を介して接合されている。
【0018】
本実施形態による連続地中壁1の施工方法では、先行エレメント2、および後行エレメント3の壁長さ方向の端部近傍が構築される領域を先行して掘削し、先行エレメント2が構築されてから後行エレメント3が構築される領域のうちの後行エレメント3の壁長さ方向の端部近傍が構築される領域以外の領域を掘削して後行エレメント3を構築している。先行して掘削される領域を先行掘削部12とし、後から掘削される領域を後行掘削部13とする。先行掘削部12における後行エレメント3の壁長さ方向の端部近傍(先行エレメント2側の端部近傍)が構築される領域を前端領域14とする。
本実施形態による連続地中壁1は、先行エレメント2を構築する際に、先行掘削部12の前端領域14に保護部材6(図3および図4参照)が仮設される。保護部材6は、先行エレメント2の波形鋼板5を覆うように設けられる。保護部材6については、後述する。
【0019】
先行エレメント2と後行エレメント3とは、壁厚さ方向および壁高さ方向の寸法が同じ寸法に設定され、それぞれの壁芯を一致させるように配列されている。先行エレメント2と後行エレメント3とは、それぞれの壁長さ方向の端部を突き合わせるように配置されている。
以下の説明において、壁長さ方向のうち先行エレメント2に対して後行エレメント3が配置されている側を前側とし、後行エレメント3に対して先行エレメント2が配置されている側を後側とし、壁長さ方向を前後方向と表記することがある。
【0020】
先行エレメント2は、コンクリート21に鉄筋22が埋設されたRC造の壁状の第1コンクリート部23と、第1コンクリート部23の壁長さ方向の端部に設けられた波形鋼板5と、波形鋼板5の壁厚さ方向の両端部それぞれに取り付けられて後方に延びる一対の側部材42,43と、一対の側部材42,43の間に取り付けられて波形鋼板5の後側に重なって配置される強度付加部材44と、波形鋼板5の前側に取り付けられて前方に突出する止水部41と、を有している。
【0021】
後行エレメント3は、コンクリート31に鉄筋32が埋設されたRC造の壁状の第2コンクリート部33を有している。
【0022】
波形鋼板5は、板面が壁長さ方向を向くように配置されている。波形鋼板5は、壁厚さ方向に2つ配列されていて、2つの波形鋼板5の間に止水部41の第1板部411が配置されている。
波形鋼板5に壁高さ方向の寸法は、先行エレメント2の壁高さ方向の寸法と同じ値に設定されている。波形鋼板5は、先行エレメント2および後行エレメント3の壁高さ方向の全体にわたるように配置されている。2つの波形鋼板5を合わせた壁厚さ方向の寸法は、先行エレメント2および後行エレメント3の壁厚さ方向の寸法よりも小さく設定されている。
【0023】
波形鋼板5は、板面が壁長さ方向を向くように配置された状態における壁長さ方向に沿った鉛直面による断面形状が波形となるように加工されている。すなわち、壁厚さ方向から見た形状が波形となっている、本実施形態の波形鋼板5の断面形状の波形は、台形が連なった台形波の形となっている。
【0024】
波形鋼板5は、上記の断面形状において、上側から下側に向かって漸次前側(後行エレメント3側)に向かって傾斜して延びる第1傾斜部511と、第1傾斜部511の下端部から鉛直方向下側に延びる第1鉛直部512と、第1鉛直部512の下端部から下側に向かって漸次後側(先行エレメント2の第1コンクリート部23側)に向かって傾斜して延びる第2傾斜部513と、第2傾斜部513の下端部から鉛直方向下側に延びる第2鉛直部514と、を有している。第1傾斜部511、第2鉛直部514、第2傾斜部513、第2鉛直部514は、この順に上側から下側に配列され、この組が壁高さ方向に複数配列されている。すなわち、第2鉛直部514の下端部には、他の第1傾斜部511の上端部が接続されている。
【0025】
波形鋼板5の後面には、上側から下側に連なる第1傾斜部511、第2鉛直部514、第2傾斜部513によって形成された壁厚さ方向に延びて前側に凹む第1凹条部521と、上側から下側に連なる第2傾斜部513、第2鉛直部514、第1傾斜部511によって形成された壁厚さ方向に延びて後側に突出する第1凸条部522とが壁高さ方向に交互に配列されている。
波形鋼板5の前面には、上側から下側に連なる第2傾斜部513、第2鉛直部514、第1傾斜部511によって形成された壁厚さ方向に延びて後側に凹む第2凹条部523と、上側から下側に連なる第1傾斜部511、第2鉛直部514、第2傾斜部513によって形成された壁厚さ方向に延びて前側に突出する第2凸条部524とが壁高さ方向に交互に配列されている。
第1凹条部521の前側に第2凸条部524が形成され、第1凸条部522の前側に第2凹条部523が形成されている。以下では第1凹条部521および第2凹条部523を合わせて凹条部525と称し、第1凸条部522および第2凸条部524を合わせて凸条部526と称することがある。
【0026】
本実施形態による連続地中壁1では、波形鋼板5の凹条部525および凸条部526は、それぞれ上下方向に対称となる形状で、第1鉛直部512(傾斜面)および第2鉛直部514(鉛直面)に対する第1傾斜部511(傾斜面)の傾斜角と、第1鉛直部512および第2鉛直部514に対する第2傾斜部513(傾斜面)の傾斜角が同じ値となっている。
【0027】
止水部41は、断面形状がT字形状の形材で、壁高さ方向に延びる向きに配置される。止水部41の断面形状のT字を形成する平板状の第1板部411と第2板部412とを有している。
第1板部411は、板面が壁厚さ方向を向くように配置される。第1板部411は、壁長さ方向の一方側が2つの波形鋼板5の間に配置され、他方側が波形鋼板5よりも前側(後行エレメント3側)に配置されている。第1板部411の壁長さ方向の端部は、波形鋼板5よりも後方に突出し波形鋼板5に固定されている。第1板部411は、波形鋼板5よりも後方に突出している部分が、例えばL字形のアングル材とボルト・ナットで波形鋼板5に固定されている。
第2板部412は、板面が壁長さ方向を向くように配置され、壁厚さ方向の中央部が第1板部411の前端部(後行エレメント3側の端部)と接合されている。
止水部41は、先行エレメント2の壁高さ方向の全体にわたるように設けられている。
止水部41における波形鋼板5の前端部よりも前側に突出している部分を突出部分413とする。
【0028】
一対の側部材42,43は、壁厚さ方向に対称となるように設けられている。
図1に示すように、一対の側部材42,43は、それぞれ断面形状がL字形の長尺の型材で、壁高さ方向に延びる向きに配置されている。一対の側部材42,43は、波形鋼板5の壁高さ方向の長さ寸法と同じ長さ寸法に設定されている。
一対の側部材42,43の断面形状のL字形を構成する直交して接続される2つの片を前板部421,431および側板部422,432とする。
【0029】
一方の側部材42は、前板部421の板面が壁長さ方向を向く鉛直面となり、側板部422が前板部421の壁厚さ方向の他方側の端部(波形鋼板5側の端部)から後側に突出する向きに配置される。
他方の側部材43は、前板部431の板面が壁長さ方向を向く鉛直面となり、側板部432が前板部431の壁厚さ方向の一方側の端部(波形鋼板5側の端部)から後側に突出する向きに配置される。
【0030】
一対の側部材42,43それぞれの前板部421,431は、前面が波形鋼板5の前端部の位置と略同じ位置に配置されている。
一対の側部材42,43それぞれの側板部422,432は、波形鋼板5側の面が波形鋼板5の側部と当接し、波形鋼板5に接合されている。一対の側部材42,43それぞれの側板部422,432と波形鋼板5とは、例えば、L字形のアングル材とボルト・ナットを介して接合されている。
側板部422,432は、波形鋼板5の前後方向(壁長さ方向)の寸法よりも長く形成され、後端部が波形鋼板5の後端部よりも後側に配置されている。
波形鋼板5の凹条部525の壁厚さ方向の両端部は、一対の側部材42,43によって塞がれている。
【0031】
強度付加部材44は、断面形状がコの字形の長尺の形材で、壁厚さ方向に延びる向きに配置されている。強度付加部材44は、壁高さ方向に間隔をあけて複数設けられている。強度付加部材44は、その長さ方向の一方の端部(壁厚さ方向の一方の端部)が一方の側部材42の側板部422の後端部近傍に接合され、長さ方向の他方の端部(壁厚さ方向の他方の端部)が他方の側部材43の側板部432の後端部近傍に接合されている。
強度付加部材44は、先行エレメント2に設けられることで継手部の剛性および強度を増大させ、施工の際の吊り上げ時に必要となる剛性や強度を確保することができる。
【0032】
本実施形態の連続地中壁1では、波形鋼板5、一対の側部材42,43の前板部421,431の後側には、先行エレメント2の第1コンクリート部23のコンクリート21が打設され、波形鋼板5、一対の側部材42,43の前板部421,431の前側に後行エレメント3の第2コンクリート部33のコンクリート31が打設されている。一対の側部材42,43の側板部422,432、強度付加部材44は、先行エレメント2の第1コンクリート部23に埋設されている。止水部41は、後行エレメント3の第2コンクリート部33に埋設されている。
【0033】
先行エレメント2のコンクリート21は、波形鋼板5の凹条部525にも充填され、波形鋼板5、一対の側部材42,43の前板部421,431それぞれの後面と定着している。
後行エレメント3のコンクリート31は、波形鋼板5の凹条部525にも充填され、波形鋼板5、一対の側部材42,43の前板部421,431それぞれの前面と定着している。
先行エレメント2の第1コンクリート部23と、後行エレメント3の第2コンクリート部33とは、波形鋼板5を介して噛み合った形状となり、先行エレメント2と後行エレメント3との接合部分にシアキーが形成される。このため、先行エレメント2と後行エレメント3とは、互いに面内せん断力を伝達可能に構成されている。
【0034】
図1に示すように、本実施形態では、一対の側部材42,43は、先行エレメント2のコンクリート21の打設時に、後行エレメント3側(前側)にコンクリート21が流出することを防止するシート部材51と、シート部材51が側部材42,43側に寄らず、先行掘削部12の側面に沿うように抑える棒状の押さえ部材52(スタッド)と、が取り付けられている。
【0035】
次に、連続地中壁1の施工方法について説明する。
まず、地盤11の先行掘削部12を掘削する先行掘削工程を行う。
先行掘削工程では、掘削された領域に安定液を注入しながら掘削を行う。後行エレメント3の後端部近傍が配置される領域に保護部材6(図3、4参照)を設置する保護部材設置工程を行う。図3、4では、先行掘削工程、保護部材設置工程、波形鋼板設置工程、第1コンクリート部構築工程が完了した様子を示している。
【0036】
図3、4に示すように、保護部材6は、先行エレメント2の前側(後行エレメント3側)に仮設される部材で、鋼板で形成されている。保護部材6は、上、下方に開口する箱状に形成され、内部に下方から安定液15が流入可能に構成されている。保護部材6には、空気抜き用の孔が適宜設けられていてもよい。
保護部材6は、壁高さ方向の寸法が先行エレメント2の壁高さ方向の寸法と同じ、または先行エレメント2の壁高さ方向の寸法よりも大きく設定され、壁厚さ方向の寸法が先行エレメント2の壁厚さ方向の寸法と略同じに設定されている。保護部材6は、先行掘削部12の前端領域14に配置可能となっている。保護部材6は、先行掘削部12に配置されると壁厚さ方向の両端面が地盤11と接触または、隙間を介して配置されている。
なお、保護部材6の壁厚さ方向の寸法は、先行掘削部12への挿入性を確保するため、先行エレメント2の壁厚さ方向の寸法よりもやや小さく(例えば、両側2cmずつ小さく)設定されていてもよい。
【0037】
本実施形態の保護部材6は、前側(後行エレメント3側)に設けられる前板部61と、前板部61の後側(後行エレメント3側)に間隔をあけて設けられる後板部62と、壁厚さ方向の両端部それぞれに設けられ前板部61の壁厚さ方向の端部と後板部62の壁厚さ方向の端部とを接続する一対の側板部63,64と、一対の側板部63,64の間において前板部61と後板部62とを接続する複数の中板部65と、上側に設けられる上板部と、を有している。中板部65は、板面が壁厚さ方向を向く平板状に形成され、保護部材6の主に壁長さ方向に補強するための補強リブとなっている。
【0038】
後板部62には、壁厚さ方向の中間部に前側に凹んだ凹部621が壁高さ方向全体にわたって形成されている。凹部621の深さ寸法(壁長さ方向の寸法)は、止水部41における波形鋼板5よりも前側に突出している突出部分413の長さと略同じ値に設定されている。凹部621の幅寸法(壁厚さ方向の寸法)は、止水部41の第2板部412の幅寸法(壁厚さ方向の寸法)と略同じ値に設定されている。凹部621には、止水部41の突出部分413が配置可能となっている。
先行掘削部12に保護部材6を設置すると、先行掘削部12の前端面が保護部材6に覆われ、保護部材6の凹部621が後側に開口している。
【0039】
続いて、先行掘削部12の保護部材6の後側に波形鋼板5を設置する波形鋼板設置工程を行う。
波形鋼板5の前端部(第1鉛直部512)、一対の側部材42、43の前板部421,431の前面を保護部材6の後板部62と当接させる。保護部材6の後板部62と波形鋼板5の前面の凹条部525(第2凹条部523)との間には、安定液15が充填される(図4参照)。止水部41の突出部分413を保護部材6の凹部621に配置する。
波形鋼板5、止水部41、一対の側部材42、43は接合した状態で先行掘削部12に設置される。また、一対の側部材42,43には、予めシート部材51および押さえ部材52を取り付けておき、シート部材51を先行掘削部12の側面に沿わせて配置する。
【0040】
続いて、先行エレメント2の第1コンクリート部23を構築する第1コンクリート部構築工程を行う。先行エレメント2の鉄筋22を設置し、コンクリート21を打設する。
先行エレメント2の鉄筋22は、予め組まれた鉄筋かごとし、この鉄筋かごを先行掘削部12の内部に設置してもよい。
先行掘削部12に先行エレメント2のコンクリート21を打設し、先行エレメント2の鉄筋22、一対の側部材42,43それぞれの側板部422,432、強度付加部材44をコンクリート21に埋設するとともに、波形鋼板5の後面の凹条部525(第1凹条部521)にコンクリート21を充填し、硬化させる。
【0041】
先行エレメント2は、波形鋼板5の(第1鉛直部512)、一対の側部材42,43の前板部421,431の前面が保護部材6の後面と接触しているため、先行エレメント2のコンクリート21の側圧を、保護部材6を介して地盤11が負担することができる。また、スタッド52で先行掘削部12の側面に沿うように配置されたシート部材51、および側部材42,43の前面は、保護部材6の後面と当接しているため、先行エレメント2のコンクリート21が波形鋼板5の後行エレメント3側の凹条部525に漏れることを防止することができる。保護部材6が先行掘削部12の前端面121と当接しているため、先行エレメント2のコンクリートが後行エレメント3側に漏れることを防止することができる。
【0042】
続いて、図5に示すように、地盤11の後行エレメント3が構築される領域に後行掘削部13を掘削する後行掘削工程を行う。
後行掘削部13を掘削して、保護部材6の前面を露出をさせる。後行掘削工程では、保護部材6が設けられているため、掘削機17が波形鋼板5と接触することが無く、後行掘削部13の掘削によって波形鋼板5が損傷することが無い。
【0043】
続いて、図6に示すように、保護部材6を撤去する保護部材撤去工程を行う。
保護部材6を上方に移動させ、掘削部から撤去し、図7に示すように、波形鋼板5の前面、止水部41の突出部分413、一対の側部材42,42の前板部421,431の前面を露出させる。
保護部材6には、全面もしくは部分的に摩擦や付着を小さくする材料をあらかじめ塗布もしくは貼付しておき、保護部材6の撤去を容易にすることもできる。
図8および図9に示すように、露出した波形鋼板5の前面、止水部41の突出部分413、一対の側部材42,42の前板部421,431(図8参照)の前面を洗浄し、波形鋼板5の前面についた土などを洗浄する。波形鋼板5の前面の洗浄は、高圧洗浄機18などを用いて行う。
本実施形態では、先行エレメント2の止水部41の突出部分413を高圧洗浄機18が上下に移動するためのガイドとして利用することができる。
【0044】
続いて、図1、2に示す後行エレメント3の第2コンクリート部33を構築する第2コンクリート部構築工程を行う。
後行エレメント3の鉄筋32も予め組まれた鉄筋かごとし、この鉄筋かごを後行掘削部13の内部に設置してもよい。
続いて、後行掘削部13に後行エレメント3のコンクリート31を打設し、後行エレメント3の鉄筋32をコンクリート31に埋設するとともに、波形鋼板5の前面41bの凹条部525にコンクリート31を充填する。止水部41もコンクリート31に埋設する。
後行エレメント3のコンクリート31を打設したら、コンクリート31を硬化させる。
【0045】
このようにすることで、波形鋼板5(継手部)の後側に先行エレメント2の第1コンクリート部23が構築され、波形鋼板5の前側に後行エレメント3の第2コンクリート部33が構築される。先行エレメント2の第1コンクリート部23と、後行エレメント3の第2コンクリート部33とは、波形鋼板5を介して噛み合った形状となり、先行エレメント2と後行エレメント3との接合部分にシアキーが形成される。これにより、先行エレメント2と後行エレメント3とは、互いにせん断力を明確かつ確実に伝達可能となる。
【0046】
次に、上述した本発明の本実施形態による連続地中壁1および連続地中壁1の施工方法の作用・効果について図面を用いて説明する。
本実施形態による連続地中壁1および連続地中壁1の施工方法では、先行エレメント2を構築する工程において、波形鋼板5の後行エレメント3側の面が保護部材6と接触して地盤11と接触することが無いため、波形鋼板5の後行エレメント3側の凹条部525に地盤11の土が詰まることが無く、後行エレメント3を構築する際の波形鋼板5の洗浄を容易に行うことができる。波形鋼板5の後行エレメント3側の面に土が付着しないため、波形鋼板5と第2コンクリート部33との間に土が挟まることを防止できる。これにより、先行エレメント2と後行エレメント3との間で、せん断力を確実に伝達することができる。
【0047】
保護部材6が設けられていることにより、第1コンクリート部構築工程において、第1コンクリート部23のコンクリート21が後行エレメント3側に流出することを防止することができる。本実施形態では、コンクリート21の流出を防止するためのシート部材51および押さえ部材52が取り付けられている一対の側部材42,43が保護部材6に接触している。このため、一対の側部材42,43が変形、移動することが無く、シート部材51および押さえ部材52がずれてコンクリート21が流出することを防止できる。
【0048】
後行エレメント3が構築される領域を掘削する工程において、波形鋼板5が保護部材6に覆われているため、掘削機が波形鋼板5に当たるなどして波形鋼板5が損傷することを防止できる。本実施形態では、一対の側部材42,43も保護部材6に覆われているため、一対の側部材42,43が損傷することも防止できる。
【0049】
保護部材6の剛性を高くすることにより、先行掘削部12の前端面に多少の凹凸があっても、先行エレメント2に打設されたコンクリート側圧を地盤11が負担することができる。これにより、波形鋼板5が薄い形状であっても、コンクリート側圧による波形鋼板5の変形を抑えることができる。波形鋼板が施工時のコンクリート側圧を受ける場合と比べて、波形鋼板5を安価にすることができる。
【0050】
後行エレメントを施工する際、例えばエレメント間での荷重の伝達を期待しない従来の継手手法で施工しようとする場合、後行エレメントの壁長さ方向の長さが掘削機の長さより大きいと、先行エレメントの端面を目荒しすることの反力を受ける。しかしながら、掘削機の反対側にはそれに対抗する水平力が作用しないため、掘削機が横方向に移動してうまく掘削できない。このことから、後行エレメントの壁長さ方向の長さは、掘削機の長さに合わせなければならないことが多かった。
本実施形態による連続地中壁の施工方法では、保護部材6を設置することにより、目荒しを必要とせず、また掘削機に作用する横力も抑えられるので、所定の形状でうまく掘削できる。
同様に、図10に示すように、連続地中壁1と場所打ち杭19とを組み合わせた場合でも掘削機が横移動せずに施工できる。
【0051】
また、本実施形態による連続地中壁1では、波形鋼板5から壁高さ方向全体にわたって後行エレメント3側に向かって突出する止水部41を有している。
このような構成とすることにより、先行エレメント2と後行エレメント3の境界部分において壁厚さ方向の止水を行うことができる。
【0052】
また、本実施形態による連続地中壁1では、保護部材6には、止水部41を配置可能な凹部621が形成されている。
このような構成とすることにより、止水部41が波形鋼板5から突出していても保護部材6を止水部41と干渉することなく仮設することができる。
【0053】
また、本実施形態による連続地中壁1の施工方法では、連続地中壁1は、波形鋼板5から壁高さ方向全体にわたって後行エレメント3側に向かって突出する止水部41を有し、保護部材6には、先行エレメント2側の面に壁高さ方向全体にわたって後行エレメント3側に凹む凹部621が形成され、第1コンクリート部構築工程では、止水部41を凹部621に配置して第1コンクリート部23を構築している。
このような構成とすることにより、止水部41が波形鋼板5から突出していても保護部材6を止水部41と干渉することなく仮設することができる。
【0054】
本実施形態による連続地中壁1では、上述しているように、波形鋼板5の凹条部525および凸条部526は、それぞれ上下方向に対称となる形状で、第1鉛直部512(傾斜面)および第2鉛直部514(鉛直面)に対する第1傾斜部511(傾斜面)の傾斜角と、第1鉛直部512および第2鉛直部514に対する第2傾斜部513(傾斜面)の傾斜角が同じ値となっている。
【0055】
本実施形態による連続地中壁1では、第1鉛直部512および第2鉛直部514に対する第1傾斜部511の傾斜角θ、および第1鉛直部512および第2鉛直部514に対する第2傾斜部513の傾斜角θは、31°を基準に-10°から+15°となる21°以上46°以下に設定されている。図11に傾斜角θを示す。
このようにすることにより、先行エレメント2と後行エレメント3との間のせん断力の伝達を効率よく行うことができる。図12に示す角度とせん断耐力との関係を示すグラフより、角度を上記の範囲とすることで先行エレメント2と後行エレメント3との間のせん断力の伝達を効率よく行うことができることがわかる。継手部では、せん断耐力は、コンクリート強度に応じて変化するため、高強度のコンクリートを使用した際も、コンクリート強度を有効に利用できる。
【0056】
以上、本発明による連続地中壁および連続地中壁の施工方法の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、波形鋼板5から壁高さ方向全体にわたって後行エレメント3側に向かって突出する止水部41が設けられているが、止水部41が設けられていなくてもよい。これに伴い、保護部材6に止水部41用の凹部621が形成されていなくてもよい。止水部41の形状や数は上記以外であってもよい。
止水部41が設けられていない場合は、波形鋼板5は2つに分割されていなくてもよい。
【0057】
また、上記の実施形態では、凹条部525および凸条部526は、それぞれ壁長さ方向を向く鉛直面に対して傾斜する傾斜面と有し、傾斜面と壁長さ方向を向く鉛直面とがなす角度は、21°以上46°以下であるが、これ以外の値であってもよい。
【0058】
また、上記の実施形態では、一対の側部材42,43は、先行エレメント2のコンクリート21の打設時に、後行エレメント3側(前側)にコンクリート21が流出することを防止するシート部材51と、シート部材51が側部材42,43側に寄らず、先行掘削部12の側面に沿うように抑える棒状の押さえ部材52と、が取り付けられているが、このような部材が取り付けられていなくてもよい。
また、上記の実施形態では、波形鋼板5の側方に側部材が設けられているが、波形鋼板5を支持する部材は、上記以外であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 連続地中壁
2 先行エレメント(第1エレメント)
3 後行エレメント(第2エレメント)
5 波形鋼板
6 保護部材
11 地盤
12 先行掘削部
13 後行掘削部
23 第1コンクリート部
33 第2コンクリート部
41 止水部
525 凹条部
526 凸条部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12