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特許7390919コードシンボル読取装置およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】コードシンボル読取装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/12 20060101AFI20231127BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
G07G1/12 331D
G07G1/00 311E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020022549
(22)【出願日】2020-02-13
(65)【公開番号】P2021128522
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高須 拓也
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-129266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00 - 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を撮像する撮像部と、
前記対象物に光を照射する照明部と、
前記対象物に光を照射する第1のモードと、前記対象物に光を照射しない第2のモードと、を繰り返すように前記照明部による光の照射を制御する照明制御部と、
前記撮像部が前記第1のモードで撮像した画像に基づく対象物の認識の成功回数である第1の成功回数と、前記撮像部が前記第2のモードで撮像した画像に基づく対象物の認識の成功回数である第2の成功回数との和が規定回数以上になった場合、前記第1の成功回数と前記第2の成功回数とに基づいて、前記第1のモードと前記第2のモードとの時間比率を変更する比率変更部と、
を備え
前記比率変更部は、前記第2の成功回数よりも前記第1の成功回数が多い場合は、前記第1のモードの時間比率を高くし、前記第1の成功回数よりも前記第2の成功回数が多い場合は、前記第2のモードの時間比率を高くする、コードシンボル読取装置。
【請求項2】
前記撮像部が前記第1のモードでの撮像した回数、前記撮像部が前記第1のモードで撮像した画像に基づく対象物の認識の成功回数、前記撮像部が前記第2のモードで撮像した回数、前記撮像部が前記第2のモードで撮像した画像に基づく対象物の認識の成功回数、のカウントおよびリセットを行う計数部をさらに備え、
前記計数部は、前記撮像部が前記第1のモードでの撮像した回数が規定回数に達すると、前記撮像部が前記第2のモードで撮像した回数をリセットし、
前記撮像部が前記第2のモードでの撮像した回数が規定回数に達すると、前記撮像部が前記第1のモードで撮像した回数をリセットする、
請求項1に記載のコードシンボル読取装置。
【請求項3】
前記第1のモードは、紙媒体に印刷されたコードシンボルを読取るモードとして機能し、前記第2のモードは、携帯端末の表示画面に表示されたコードシンボルを読取るモードして機能する、
請求項1又は2に記載のコードシンボル読取装置。
【請求項4】
対象物を撮像する撮像部と、
前記対象物に光を照射する照明部と、
を備えるコードシンボル読取装置のコンピュータを、
前記対象物に光を照射する第1のモードと、前記対象物に光を照射しない第2のモードと、を繰り返すように前記照明部による光の照射を制御する照明制御部と、
前記撮像部が前記第1のモードで撮像した画像に基づく対象物の認識の成功回数である第1の成功回数と、前記撮像部が前記第2のモードで撮像した画像に基づく対象物の認識の成功回数である第2の成功回数との和が規定回数以上になった場合、前記第1の成功回数と前記第2の成功回数とに基づいて、前記第1のモードと前記第2のモードとの時間比率を変更する比率変更部と、
として機能させるプログラムであって、
前記比率変更部は、前記第2の成功回数よりも前記第1の成功回数が多い場合は、前記第1のモードの時間比率を高くし、前記第1の成功回数よりも前記第2の成功回数が多い場合は、前記第2のモードの時間比率を高くするプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、コードシンボル読取装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
紙媒体に印刷されたバーコードや二次元コード等(コードシンボルの一例)や携帯端末等の表示画面に表示されたバーコードや二次元コード等を読取るコードシンボル読取装置において、紙媒体に印刷されたバーコードや二次元コード等と、携帯端末等の表示画面に表示されたバーコードや二次元コード等と、の両方を読取るために、照明のON/OFFを切替えて読取を行う技術が知られている。
【0003】
しかし、照明のON/OFFを一定時間経過毎に自動的に切り替えることとした場合、照明ONで読取を行う時間と、照明OFFで読取を行う時間との比率を固定にしてしまうと、例えば、読取環境が、紙媒体に印刷されたバーコードや二次元コード等を読取る比率が高い環境から携帯端末等の表示画面に表示されたバーコードや二次元コード等を読取る比率が高い環境に変わった場合、読取効率が低下してしまうおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、紙媒体に印刷されたコードシンボルと、携帯端末等の表示画面に表示されたコードシンボルと、の読取優先度を自動的に決定し、読取効率を向上させることができるコードシンボル読取装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のコードシンボル読取装置は、対象物を撮像する撮像部と、前記対象物に光を照射する照明部と、前記対象物に光を照射する第1のモードと、前記対象物に光を照射しない第2のモードと、を繰り返すように前記照明部による光の照射を制御する照明制御部と、前記撮像部が前記第1のモードで撮像した画像に基づく対象物の認識の成功回数である第1の成功回数と、前記撮像部が前記第2のモードで撮像した画像に基づく対象物の認識の成功回数である第2の成功回数との和が規定回数以上になった場合、前記第1の成功回数と前記第2の成功回数とに基づいて、前記第1のモードと前記第2のモードとの時間比率を変更する比率変更部と、を備える。また、前記比率変更部は、前記第2の成功回数よりも前記第1の成功回数が多い場合は、前記第1のモードの時間比率を高くし、前記第1の成功回数よりも前記第2の成功回数が多い場合は、前記第2のモードの時間比率を高くする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、POSシステムの全体構成を示す斜視図である。
図2図2は、読取装置の構成の一例を説明するための図である。
図3図3は、読取装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4図4は、読取装置の機能構成の一例を示す図である。
図5図5は、比率変更テーブルの一例を示す図である。
図6図6は、読取装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本実施形態に係るコードシンボル読取装置及びプログラムについて説明する。以下の実施形態では、小売店の店舗に設置されたPOS(Point Of Sales)システムへの適用例について説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0008】
(POSシステムの全体構成)
図1は、POSシステム1の全体構成を示す斜視図である。POS(Point Of Sales)システム1は、読取装置10と、読取装置10で読み取られたデータに基づきデータ処理を実行するPOS端末20と、を備える。読取装置10は、「コードシンボル読取装置」の一例である。
【0009】
読取装置10は、商品を入れた買物カゴ等を載置するためのサッカー台2上において、オペレータと顧客とが略対面する場所(略中央部)に立設される。POS端末20は、サッカー台2の一方の端部付近に設けられる。読取装置10とPOS端末20とは、図示しない伝送路によって通信可能に接続される。読取装置10とPOS端末20とは、POSシステム1を構成する。
【0010】
POS端末20は、読取装置10で読み取られた商品等のデータに基づいて、顧客が購入する商品の登録処理や精算処理等を含む販売データ処理を実行する。POS端末20は、硬貨及び紙幣を出し入れ自在に収納するドロワ30の上に設置されている。POS端末20は、オペレータ用と客用との2つの表示器21(211、212)と、キーボードや鍵キーを含む入力装置22と、レシートプリンタ23とを備えている。
【0011】
(読取装置の構成)
次に、読取装置10の構成について説明する。図2は、読取装置10の構成の一例を説明するための図である。ここで、図2は、読取装置10を撮像窓111が設けられている側(オペレータの立ち位置側)から見た状態を示している。
【0012】
読取装置10は、本体部11、撮像部12、照明部13、第1表示部14、キーボード15及び第2表示部16等を備える。
【0013】
本体部11は、略直方体状に形成されており、サッカー台2上に立設される。本体部11の高さは、例えば、サッカー台2上においてオペレータの目の高さ程度とすることが好ましい。
【0014】
本体部11におけるオペレータの立ち位置側には、開口部となる撮像窓111が設けられる。撮像窓111内には、撮像部12および照明部13が設置される。オペレータは、買物客が持って来た商品を撮像窓111に翳すことで、当該商品の読取(撮像)を行う。
【0015】
撮像部12は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary MOS)等の撮像素子と撮像レンズとを有する。撮像レンズは、撮像領域の画像を撮像素子に結像する。撮像領域とは、撮像窓111から撮像レンズを通して撮像素子のエリアに結像する領域を指す。
【0016】
撮像部12は、撮像窓111を介して、本体部11の外を撮像する。例えば、撮像部12は、紙媒体に印刷されたバーコードや二次元コード等を光学的に撮像する。また、例えば、撮像部12は、顧客が所持する携帯端末等の表示画面に表示されたバーコードや二次元コード等を光学的に撮像する。なお、バーコードや二次元コード等は、「コードシンボル」の一例である。
【0017】
ここで、紙媒体に印刷されるバーコードや二次元コード等には、商品の識別子(商品コード)や価格等のデータが、バーコードや二次元コード等にエンコードされた状態で保持されているものとする。
【0018】
また、携帯端末等の表示画面に表示されるバーコードや二次元コード等には、例えば、値引や割引のクーポン券等を表すデータが、バーコードや二次元コード等にエンコードされた状態で保持されているものとする。なお、POS端末20は、クーポン券等を表すデータが読取装置10で読み取られた場合、当該データに基づいて値引や割引等の処理を実行する。
【0019】
照明部13は、光源を有する。照明部13の光源は、撮像部12の撮像レンズの周囲に配置される。照明部13は、光源を点灯させることにより対象物に光を照射する。なお、光源は、例えばLED、冷陰極管、蛍光灯、または白熱灯等である。
【0020】
第1表示部14は、オペレータ用の表示装置であって、撮像窓111の上部に設けられる。第1表示部14は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示デバイスで構成されるタッチパネル付きの表示装置である。第1表示部14は、POS端末20による売上登録処理に応じ、オペレータに対して登録された商品の品名、価格等を表示する。
【0021】
キーボード15は、第1表示部14の近傍(側部)に設けられる。キーボード15は、バーコードや二次元コード等やオブジェクト画像で登録不能な商品の登録を行うための各種キー等を有する。なお、図2では、第1表示部14とキーボード15とを一体的に設けた例を示しているが、別体としてもよい。
【0022】
第2表示部16は、LCD等の表示デバイスで構成されるタッチパネル付きの表示装置である。第2表示部16は、POS端末20による売上登録処理に応じ、買物客に対して登録された商品の品名、価格等を表示する。なお、本実施形態では、図示しない保持部材により、本体部11の側部に第2表示部16を保持する構成としたが、この構成に限定されないものとする。
【0023】
(読取装置のハードウェア構成)
次に、読取装置10のハードウェア構成について説明する。図3は、読取装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。読取装置10は、マイクロコンピュータ101が備えられており、このマイクロコンピュータ101が各部を駆動制御する。
【0024】
マイクロコンピュータ101は、CPU102、ROM104、RAM105、入出力コントローラ106、照明駆動回路107、表示/キーボードコントローラ108、記憶部109、通信インタフェース110を備える。各構成要素は、バスライン103を介して接続されている。
【0025】
CPU(Central Processing Unit)102は、各部を集中的に制御する。ROM(Read Only Memory)104は、制御プログラム等の固定的情報を予め記憶する。RAM(Random Access Memory)105は、各種データを書き換え自在に記憶してワークエリア等として機能する。
【0026】
したがって、マイクロコンピュータ101は、情報処理を実行する情報処理部を構成する。RAM105は、その全部又は一部が不揮発性メモリである。
【0027】
入出力コントローラ106は、撮像部12と接続される。入出力コントローラ106は、撮像部12で撮像された画像(画像データ)をマイクロコンピュータ101に出力する。また、入出力コントローラ106は、マイクロコンピュータ101から出力される制御信号を、撮像部12に出力する。
【0028】
照明駆動回路107は、照明部13と接続される。照明駆動回路107は、CPU102の制御下で、照明部13の光源の点灯、消灯を制御する。
【0029】
表示/キーボードコントローラ108は、第1表示部14及び第2表示部16を駆動制御し、各種の画像を表示器21に表示させる。また、表示/キーボードコントローラ108は、第1表示部14及び第2表示部16でのタッチ操作に伴う操作信号やキーボード15からの操作信号をマイクロコンピュータ101に出力する。
【0030】
記憶部109は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶装置である。記憶部109は、読取装置10の動作に係る各種プログラムや各種データを記憶する。通信インタフェース110は、LANケーブル等の接続線を介して他の機器(POS端末20)との間でのデータ通信を可能とする。
【0031】
(読取装置の機能)
次に、図4を参照して、読取装置10の機能構成について説明する。図4は、読取装置10の機能構成の一例を示す図である。読取装置10は、第1の取得部121、デコード部122、判定部123、計数部124、照明制御部125、第2の取得部126、比率変更部127を機能構成として備える。
【0032】
より詳細には、読取装置10は、CPU102と記憶部109に記憶されたプログラムとの協働により、上記機能構成をソフトウェア構成として備える。なお、上記機能構成の一部又は全ては、CPU102又は専用回路等のハードウェア構成により実現されてもよい。
【0033】
第1の取得部121は、撮像部12で撮像される画像を取得する。具体的には、第1の取得部121は、キーボード15や第1表示部14を介した操作或いはPOS端末20から通知される信号により取引開始が指示されると、入出力コントローラ106を介して、撮像部12で撮像された画像データの取り込みを開始する。
【0034】
また、第1の取得部121は、キーボード15や第1表示部14の操作或いはPOS端末20から通知される信号により取引終了が指示されると、画像データの取り込みを停止する。
【0035】
デコード部122は、第1の取得部121が取得した画像が有するコード化された情報をデコードする。本実施形態において、デコード部122は、エンコードされた情報をデコードすることで、その情報を取り出す。
【0036】
具体的には、デコード部122は、第1の取得部121が取得した画像データからバーコードや二次元コード等を表す領域を検出し、当該バーコードや二次元コード等が保持するエンコードされたデータをデコードするための処理を実行する。また、デコード部122は、バーコードや二次元コード等が保持するエンコードされたデータをデコードすることにより取り出したデータをPOS端末20等に出力する。
【0037】
判定部123は、画像に基づく対象物の認識が成功したか否かを判定する。本実施形態において、判定部123は、撮像部12が撮像した画像のデコードが成功したか否かを判定することで、画像に基づく対象物の認識が成功したか否かを判定する。
【0038】
なお、画像のデコードが成功したということは、画像に含まれるコードシンボルの認識に成功したということもできる。そして、コードシンボルは読取対象物であるため、画像のデコードは、「画像に基づく対象物の認識」の一例であるといえる。
【0039】
具体的に説明すると、判定部123は、撮像部12が撮像した画像からデータを読み出すことができた場合、撮像部12が撮像した画像のデコードが成功したと判定する。一方、判定部123は、撮像部12が撮像した画像からデータを読み出すことができなかった場合には、撮像部12が撮像した画像のデコードが失敗したと判定する。
【0040】
なお、デコード失敗の定義は、上記例に限らないものとする。例えば、コードシンボルからデータを読み出すことができた場合であっても、当該データのフォーマットが規定のフォーマットと異なる場合には、デコード失敗と判定してもよい。
【0041】
計数部124は、各種回数のカウントおよびリセットを行う。本実施形態において、計数部124は、第1のモードの撮像回数、第2のモードの撮像回数、第1のモードで撮像した画像のデコード成功回数、第2のモードで撮像した画像のデコード成功回数のカウントおよびリセットを行う。
【0042】
具体的には、計数部124は、取引が開始されると、第1のモードの撮像回数をリセットし、撮像部12が第1のモードで1回撮像を行う毎に、第1のモードの撮像回数を+1する。そして、デコード部122によるデコードが成功した場合には、第1のモードで撮像した画像のデコード成功回数を+1する。
【0043】
また、計数部124は、第1のモードの撮像回数が規定回数に達すると、第2のモードの撮像回数をリセットし、撮像部12が第2のモードで1回撮像を行う毎に、第2のモードの撮像回数を+1する。そして、デコード部122によるデコードが成功した場合には、第2のモードで撮像した画像のデコード成功回数を+1する。
【0044】
第2のモードの撮像回数が規定回数に達し、第1のモードで撮像した画像のデコード成功回数と第2のモードで撮像した画像のデコード成功回数との和が規定回数以上になり、後述する比率変更部127により、第1のモードと第2のモードとの時間比率が変更された場合、計数部124は、第1のモードで撮像した画像のデコード成功回数および第2のモードで撮像した画像のデコード成功回数をリセットする。
【0045】
なお、計数部124は、比率変更部127により、時間比率が変更されたか否かに関係なく、第2のモードの撮像回数が規定回数に達すれば、第1のモードの撮像回数をリセットする。
【0046】
照明制御部125は、対象物に光を照射する第1のモードと、対象物に光を照射しない第2のモードと、を繰り返すように照明部13による光の照射を制御する。
【0047】
本実施形態において、照明制御部125は、照明駆動回路107を介して照明部13の光源の点灯、消灯を制御する。具体的には、照明制御部125は、照明部13の光源を点灯し、ユーザが撮像窓111の前に読取対象物を翳した場合、読取対象物に光が照射されるよう制御を行う。これにより、撮像部12は、読取対象物に光が照射される第1のモードで読取対象物の撮像を行うことができる。
【0048】
また、照明制御部125は、照明部13の光源を消灯し、ユーザが撮像窓111の前に読取対象物を翳した場合、読取対象物に光が照射されないよう制御を行う。これにより、撮像部12は、読取対象物に光が照射されない第2のモードで読取対象物の撮像を行うことができる。
【0049】
さらに、照明制御部125は、照明部13の光源の一定期間の点灯、一定期間の消灯を交互に繰り返す制御を行う。具体的には、照明制御部125は、照明部13の光源を点灯させ、撮像部12による撮像が規定回数に達するまでの間、点灯状態を維持し、その後、照明部13の光源を消灯させ、撮像部12による撮像が規定回数に達するまでの間、消灯状態を維持させる制御を交互に繰り返す。
【0050】
これにより、撮像部12は、第1のモードと第2のモードと、の両方で読取対象物の撮像を行うことができる。ここで、本実施形態において、第1のモードは、紙媒体に印刷されたバーコードや二次元コード等を読取るモードとして機能し、第2のモードは、携帯端末等の表示画面に表示されたバーコードや二次元コード等を読取るモードとして機能する。
【0051】
なお、本実施形態において、撮像部12が第1のモードで読取対象物の撮像を行う規定回数および撮像部12が第2のモードで読取対象物の撮像を行う規定回数は、比率変更部127が一定期間毎に自動的に変更する。
【0052】
第2の取得部126は、第1のモードで撮像した画像に基づく対象物の認識の成功回数および第2のモードで撮像した画像に基づく対象物の認識の成功回数を取得する。
【0053】
本実施形態において、第2の取得部126は、第1のモードの撮像回数および第2のモードの撮像回数が規定回数に達し、第1のモードで撮像した画像のデコード成功回数と第2のモードで撮像した画像のデコード成功回数との和が規定回数以上になった場合、第1のモードで撮像した画像のデコード成功回数および第2のモードで撮像した画像のデコード成功回数を取得する。
【0054】
比率変更部127は、撮像部12が第1のモードで撮像した画像に基づく対象物の認識の成功回数と、撮像部12が第2のモードで撮像した画像に基づく対象物の認識の成功回数と、に基づいて、第1のモードと第2のモードとの時間比率を変更する。
【0055】
本実施形態において、比率変更部127は、第1のモードで撮像した画像のデコード成功回数と第2のモードで撮像した画像のデコード成功回数との和が規定回数以上になった場合、第2のモードで撮像した画像のデコード成功回数よりも第1のモードで撮像した画像のデコード成功回数が多い場合は、第1のモードの時間比率を高くし、第1のモードで撮像した画像のデコード成功回数よりも第2のモードで撮像した画像のデコード成功回数が多い場合は、第2のモードの時間比率を高くする。
【0056】
ここで、比率変更部127による第1のモードの時間比率と第2のモードの時間比率の変更について詳しく説明する。
【0057】
比率変更部127は、例えば、第1のモードで撮像した画像のデコード成功回数と第2のモードで撮像した画像のデコード成功回数との和が規定回数以上になった場合、第2の取得部126が取得した、第1のモードで撮像した画像のデコード成功回数および第2のモードで撮像した画像のデコード成功回数と、読取装置10の記憶部109に記憶された比率変更テーブルと、を参照し、第1のモードと第2のモードとの時間比率を変更する。
【0058】
図5は、比率変更テーブルの一例を示す図である。本実施形態において、比率変更テーブルは、第1のモードで撮像した画像のデコード成功回数と第2のモードで撮像した画像のデコード成功回数との差の条件と、第1のモードと第2のモードとの時間比率と、を対応付けたテーブルである。
【0059】
この例では、例えば、第1のモードで撮像を行う期間が15フレーム、第2のモードで撮像を行う期間が15フレームとして読取対象物の撮像を行っている状態で、第1のモードで撮像した画像のデコード成功回数と第2のモードで撮像した画像のデコード成功回数との差が2を超えた場合、第1のモードで撮像を行う期間を20フレーム、第2のモードで撮像を行う期間を10フレーム、に比率を変更する。
【0060】
なお、比率変更部127による第1のモードと第2のモードとの時間比率の変更方法は、これに限定されない。
【0061】
例えば、比率変更テーブルは、第1のモードで撮像した画像のデコード成功回数と第2のモードで撮像した画像のデコード成功回数との差の条件を、「-2≦X-Y≦2、2<X-Y≦6、6<X-Y、-2>X-Y≧-6、-6>X-Y」、第1のモードで撮像を行う期間と第2のモードで撮像を行う期間との比率を、「15:15、20:10、25:5、10:20、5:25」のように細分化させてもよい。
【0062】
(読取装置の動作)
次に、読取装置10の動作について説明する。図6は、読取装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【0063】
まず、キーボード15等から通知される信号により取引開始が指示された場合、計数部124は、第1のモードでの撮像回数(以下iとする)をリセットする(ステップS101)。照明制御部125は、照明部13の光源を点灯させる制御を行う(ステップS102)。撮像部12は、第1のモードで読取対象物の撮像を行う(ステップS103)。
【0064】
デコード部122は、撮像部12により撮像された画像が有するエンコードされた情報をデコードし、判定部123は、デコード部122によるデコードが成功したか否かを判定する(ステップS104)。デコードが成功した場合(ステップS104:Yes)、計数部124は、第1のモードでのデコード成功回数(以下Xとする)を+1する(ステップS105)。また、計数部124は、iを+1する(ステップS106)。
【0065】
なお、デコードが失敗した場合(ステップS104:No)、ステップS105をスキップして、iのみを+1する(ステップS106)。その後、計数部124は、iが規定回数(以下Aとする)に達したか否かを確認する(ステップS107)。iがAに達しない場合(ステップS107:No)、iがAに達するまで、ステップS103乃至ステップS107の処理を繰り返す。
【0066】
iがAに達した場合(ステップS107:Yes)、計数部124は、第2のモードでの撮像回数(以下jとする)をリセットする(ステップS108)。照明制御部125は、照明部13の光源を消灯させる制御を行う(ステップS109)。撮像部12は、第2のモードで読取対象物の撮像を行う(ステップS110)。
【0067】
デコード部122は、撮像部12により撮像された画像が有するエンコードされた情報をデコードし、判定部123は、デコード部122によるデコードが成功したか否かを判定する(ステップS121)。デコードが成功した場合(ステップS121:Yes)、計数部124は、第2のモードでのデコード成功回数(以下Yとする)を+1する(ステップS122)。また、計数部124は、jを+1する(ステップS123)。
【0068】
なお、デコードが失敗した場合(ステップS121:No)、ステップS122をスキップして、jのみを+1する(ステップS123)。その後、計数部124は、jが規定回数(以下Bとする)に達したか否かを確認する(ステップS124)。jがBに達しない場合(ステップS124:No)、jがBに達するまで、ステップS110乃至ステップS124の処理を繰り返す。
【0069】
jがBに達した場合(ステップS124:Yes)、計数部124は、XとYとの和(以下、X+Yとする)が規定回数(以下Cとする)以上になったか否かを確認する(ステップS125)。
【0070】
X+YがC以上になった場合(ステップS125:Yes)、第2の取得部126は、XおよびYを取得し、比率変更部127は、XおよびYに基づいて、AおよびBの値を更新する(ステップS126)。また、計数部124は、XおよびYをリセットする(ステップS127)。そして、再び、ステップS101に戻り、キーボード15等から通知される信号により取引終了が指示されるまで、上記の処理を繰り返す。
【0071】
一方、X+YがCを下回る場合(ステップS125:No)、比率変更部127は、AおよびBの値を更新せず、X+YがC以上になるまで、ステップS101乃至ステップS125の処理を繰り返す。
【0072】
(読取装置の効果)
従来のコードシンボル読取装置は、紙媒体に印刷されたバーコードや二次元コード等と、携帯端末等の表示画面に表示されたバーコードや二次元コード等と、の両方を読取ることができるように、照明のON/OFFを一定期間経過毎に自動的に切替えて読取対象物の読取を行っていた。
【0073】
しかし、従来のコードシンボル読取装置では、照明ONで読取を行う期間と照明OFFで読取を行う期間との比率が固定値であり、例えば、紙媒体に印刷されたバーコードや二次元コード等を読取ることが多い環境から、携帯端末等の表示画面に表示されたバーコードや二次元コード等を読取ることが多い環境に変化した場合、照明ONの状態での読取では、携帯端末等の表示画面に表示されたバーコードや二次元コード等の読取が失敗する可能性が高く、紙媒体に印刷されたバーコードや二次元コード等を読取ることが多かった環境と比較すると読取対象物の読取の成功率が低下する可能性が高いと考えられる。
【0074】
つまり、読取に成功する回数が減少するため、読取にかかる時間が増加することとなり、読取の効率が低下してしまうと考えられる。
【0075】
これに対し、本実施形態の読取装置10は、読取対象物に光を照射する第1のモードで読取対象物を撮像した画像のデコードの成功回数および読取対象物に光を照射しない第2のモードで読取対象物を撮像した画像のデコードの成功回数に基づいて、第1のモードと第2のモードとの時間比率を変更する比率変更部127を備えている。
【0076】
つまり、比率変更部127は、第2のモードで撮像した画像のデコード成功回数よりも第1のモードで撮像した画像のデコード成功回数が多い場合は、第1のモードの時間比率を高くし、第1のモードで撮像した画像のデコード成功回数よりも第2のモードで撮像した画像のデコード成功回数が多い場合は、第2のモードの時間比率を高くする、といった変更を一定期間毎に行うことが可能である。
【0077】
ここで、第1のモードで撮像した画像のデコード成功回数が増加するのは、紙媒体に印刷されたバーコードや二次元コード等を読取る場面が増加していることを意味し、第2のモードで撮像した画像のデコード成功回数が増加するのは、携帯端末等の表示画面に表示されたバーコードや二次元コード等を読取る場面が増加していることを意味すると考えられる。
【0078】
したがって、第1のモードの時間比率を高くすることは、紙媒体に印刷されたバーコードや二次元コード等の読取優先度を高くするということであり、第2のモードの時間比率を高くすることは、携帯端末等の表示画面に表示されたバーコードや二次元コード等の読取優先度を高くするということであると考えられる。
【0079】
つまり、本実施形態の読取装置10は、紙媒体に印刷されたコードシンボルと、携帯端末等の表示画面に表示されたコードシンボルと、の読取優先度を自動的に決定し、読取効率を向上させることができる。
【0080】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0081】
例えば、上記実施形態の読取装置10で実行されるプログラムは、読取装置10が備える記憶媒体(ROM104又は記憶部109)に予め組み込んで提供するものとするが、これに限らず、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0082】
なお、記憶媒体は、コンピュータ或いは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶又は一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0083】
また、上記実施形態の読取装置10で実行されるプログラムをインターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上記実施形態の読取装置10で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 POSシステム
2 サッカー台
10 読取装置
11 本体部
12 撮像部
13 照明部
14 第1表示部
15 キーボード
16 第2表示部
20 POS端末
21 表示器
22 入力装置
23 レシートプリンタ
30 ドロワ
101 マイクロコンピュータ
102 CPU
103 バスライン
104 ROM
105 RAM
106 入出力コントローラ
107 照明駆動回路
108 表示/キーボードコントローラ
109 記憶部
110 通信インタフェース
121 第1の取得部
122 デコード部
123 判定部
124 計数部
125 照明制御部
126 第2の取得部
127 比率変更部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0085】
【文献】特開2015-211368号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6