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特許7390920昇圧装置、二酸化炭素サイクルプラント及びコンバインドサイクルプラント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】昇圧装置、二酸化炭素サイクルプラント及びコンバインドサイクルプラント
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/44 20060101AFI20231127BHJP
   F01K 23/10 20060101ALI20231127BHJP
   F01K 25/10 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
F04D29/44 W
F04D29/44 R
F01K23/10 V
F01K25/10 E
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020023119
(22)【出願日】2020-02-14
(65)【公開番号】P2021127729
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】上地 英之
(72)【発明者】
【氏名】石黒 達男
(72)【発明者】
【氏名】香月 紀人
(72)【発明者】
【氏名】日▲高▼ 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】秦 哲平
(72)【発明者】
【氏名】山名 崇裕
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】平野 雄一郎
【審査官】田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-505991(JP,A)
【文献】特開2009-168024(JP,A)
【文献】特開平09-177509(JP,A)
【文献】特開2010-265784(JP,A)
【文献】特開昭60-184998(JP,A)
【文献】実公昭29-013149(JP,Y1)
【文献】特開平06-294398(JP,A)
【文献】特開2017-078418(JP,A)
【文献】特開平11-315800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/44
F01K 23/10
F01K 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を昇圧するための非容積型の昇圧装置であって、
周方向に間隔を空けて設けられた複数の回転翼からなる回転翼列を含むロータと、
前記ロータを収容するケーシングと、
前記ケーシングに支持されるとともに前記周方向に間隔を空けて設けられた複数の静止翼からなる静止翼列と、
前記流体を冷却するための複数の熱交換部と、
を備え、
前記熱交換部は、前記複数の静止翼のうち前記周方向に互いに隣接する静止翼の間に形成される流路を前記静止翼の高さ方向に分割するように構成され
前記昇圧装置は、遠心式の昇圧装置であり、
前記ケーシングの内部には、冷却媒体が流れる第1冷却流路が形成され、
前記第1冷却流路は、
前記複数の静止翼の前縁側に前記周方向に沿って設けられる前縁側流路部と、
前記複数の静止翼の後縁側に前記周方向に沿って設けられる後縁側流路部と、
前記前縁側流路部と前記後縁側流路部とを接続するように、各々の前記静止翼に沿って設けられる複数の接続流路部と、
を含む
昇圧装置。
【請求項2】
流体を昇圧するための非容積型の昇圧装置であって、
周方向に間隔を空けて設けられた複数の回転翼からなる回転翼列を含むロータと、
前記ロータを収容するケーシングと、
前記ケーシングに支持されるとともに前記周方向に間隔を空けて設けられた複数の静止翼からなる静止翼列と、
前記流体を冷却するための複数の熱交換部と、
を備え、
前記熱交換部は、前記複数の静止翼のうち前記周方向に互いに隣接する静止翼の間に形成される流路を前記静止翼の高さ方向に分割するように構成され、
前記複数の熱交換部のうち少なくとも1つは、
前記互いに隣接する静止翼のうち一方の静止翼から他方の静止翼へ向けて突出するように構成された一方側突出部と、
前記他方の静止翼から前記一方の静止翼へ向けて突出するように構成された他方側突出部と、
を含み、
前記一方側突出部が前記一方の静止翼から前記他方の静止翼へ向けて突出する突出量をd1、前記他方側突出部が前記他方の静止翼から前記一方の静止翼へ向けて突出する突出量をd2、前記一方の静止翼の後縁と前記他方の静止翼の後縁との距離をd3とすると、d1+d2>d3を満たす、昇圧装置。
【請求項3】
前記ケーシングの内部には、冷却媒体が流れる第1冷却流路が形成された、請求項に記載の昇圧装置。
【請求項4】
前記静止翼の内部には、冷却媒体が流れる第2冷却流路が形成された、請求項1又は2に記載の昇圧装置。
【請求項5】
前記熱交換部の内部には、冷却媒体が流れる第3冷却流路が形成された、請求項1乃至3の何れか1項に記載の昇圧装置。
【請求項6】
前記複数の熱交換部のうち少なくとも1つは、前記複数の静止翼のうち前記周方向に互いに隣接する静止翼を接続するように構成された、請求項1乃至4の何れか1項に記載の昇圧装置。
【請求項7】
前記昇圧装置は、遠心式の昇圧装置である、請求項2又は3に記載の昇圧装置。
【請求項8】
前記昇圧装置は、軸流式の昇圧装置である、請求項2又は3に記載の昇圧装置。
【請求項9】
請求項1乃至の何れか1項に記載の昇圧装置と、ヒータと、膨張機と、冷却器とを備え、
前記昇圧装置は二酸化炭素を昇圧し、
前記ヒータは、前記昇圧装置で昇圧された二酸化炭素を加熱し、
前記膨張機は、前記ヒータで加熱された二酸化炭素を膨張させて仕事を取り出し、
前記冷却器は、前記膨張機で膨張した二酸化炭素を冷却する、二酸化炭素サイクルプラント。
【請求項10】
請求項に記載の二酸化炭素サイクルプラントと、排気ガス発生源と、を備え、
前記二酸化炭素サイクルプラントの前記ヒータは、前記排気ガス発生源の排気ガスと二酸化炭素とを熱交換させて前記二酸化炭素を加熱するように構成された、コンバインドサイクルプラント。
【請求項11】
前記排気ガス発生源は、ガスタービン、レシプロエンジン、蒸気機関及び燃料電池のうち少なくとも1つである、請求項10に記載のコンバインドサイクルプラント。
【請求項12】
前記ヒータは原子炉を備え、前記原子炉における核反応で発生した熱を用いて、前記二酸化炭素を加熱するように構成された、請求項に記載の二酸化炭素サイクルプラント。
【請求項13】
前記ヒータは反射鏡と、受熱部とを備え、太陽光を前記反射鏡で反射し、前記受熱部に導き、前記受熱部において、太陽熱により、前記二酸化炭素を加熱するように構成された、請求項に記載の二酸化炭素サイクルプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、昇圧装置、二酸化炭素サイクルプラント及びコンバインドサイクルプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、昇圧装置としての遠心圧縮機の消費動力の低減のために、遠心圧縮機のケーシングに支持されたリターンベーンの圧力面及び負圧面の各々にフィンを設けて、フィンと流体との熱交換によってリターンベーンを通過する流体を冷却することが記載されている。この構成によれば、圧縮機における流体の圧縮を等温圧縮に近づけて、遠心圧縮機の昇圧に要する動力を低減して、遠心圧縮機を高効率化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭64-46498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に開示されるリターンベーンのフィンは、昇圧装置における流体の昇圧に要する動力を低減することができるが、その低減効果が限定的である。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本開示は、流体の昇圧に要する動力の小さい昇圧装置並びにこれを備える二酸化炭素サイクルプラント及びコンバインドサイクルプラントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る昇圧装置は、
流体を昇圧するための非容積型の昇圧装置であって、
周方向に間隔を空けて設けられた複数の回転翼からなる回転翼列を含むロータと、
前記ロータを収容するケーシングと、
前記ケーシングに支持されるとともに前記周方向に間隔を空けて設けられた複数の静止翼からなる静止翼列と、
前記流体を冷却するための複数の熱交換部と、
を備え、
前記熱交換部は、前記複数の静止翼のうち互いに隣接する静止翼の間に形成される流路を前記静止翼の高さ方向に分割するように構成される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、流体の昇圧に要する動力の小さい並びにこれを備える二酸化炭素サイクルプラント及びコンバインドサイクルプラントが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る昇圧装置2(2A)の概略構成を示す断面図である。
図2】リターン流路部22における軸方向に直交する概略断面を示す図である。
図3図2におけるA-A断面の構成の一例を周方向に展開して模式的に示す図である。
図4図3におけるB-B断面の構成の一例を模式的に示す図である。
図5図3におけるC1-C1断面の構成の一例、C2-C2断面の構成の一例及びC3-C3断面の構成の一例を示す図である。
図6図3におけるD部を含むC2-C2断面の構成の一例を示す図である。
図7図3におけるD部を含むC2-C2断面の構成の他の一例を示す図である。
図8図3におけるD部を含むC2-C2断面の構成の他の一例を示す図である。
図9図6に示した一方側突出部28a及び他方側突出部28bを拡大した概略図である。
図10】一実施形態に係る昇圧装置2(2B)の概略構成を示す断面図である。
図11図10のE-E断面を概略的に示す図である。
図12図11におけるF-F断面の構成の一例を模式的に示す図である。
図13図11におけるG1-G1断面の構成の一例、G2-G2断面の構成の一例及びG3-G3断面の構成の一例を示す図である。
図14図10におけるH部を含むG2-G2断面の構成の一例を示す図である。
図15図11におけるH部を含むG2-G2断面の構成の他の一例を示す図である。
図16図11におけるH部を含むB2-B2断面の構成の他の一例を示す図である。
図17】昇圧装置2(2A)の入口15から出口16までの段3A~3Fにおける、流体Fのエンタルピーと流体Fの圧力との関係を示す線Qを含む図である。
図18】上述した昇圧装置2(2A,2B)を適用可能な二酸化炭素サイクルプラント100の概略構成を示す模式図である。
図19】上述した二酸化炭素サイクルプラント100を適用可能なコンバインドサイクルプラント200の概略構成を示す模式図である。
図20】上述した二酸化炭素サイクルプラント100の適用例を示す模式図である。
図21】上述した二酸化炭素サイクルプラント100の別の適用例を示す模式図である。
図22】一方側突出部28aと他方側突出部28bとがベーン38の高さ方向に重なるように配置された態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0010】
図1は、一実施形態に係る昇圧装置2(2A)の概略構成を示す断面図である。
図1に示す例示的な昇圧装置2(2A)は、遠心式且つ非容積型の昇圧装置であり、昇圧する流体Fの流れ方向に直列に配置された複数の段3を備える。図示する例示的形態では、昇圧装置2(2A)は、流体Fの流れ方向に直列に配列された6つの段3A~3Fを含む。昇圧装置2(2A)は、流体Fを昇圧するためのロータ4と、ロータ4を収容するケーシング5とを備える。流体Fの種類は特に限定されないが、例えば超臨界流体のCOであってもよい。以下では、ロータ4の軸方向を単に「軸方向」といい、ロータ4の径方向を単に「径方向」といい、ロータ4の周方向を単に「周方向」ということとする。
【0011】
ロータ4は、シャフト6と、シャフト6に軸方向に並んで取り付けられた複数のインペラ8とを含む。図示する例示的形態では、シャフト6に6個のインペラ8が直列に設けられている。シャフト6は、ジャーナル軸受13及びスラスト軸受14を介してケーシング5に回転可能に支持されている。
【0012】
インペラ8の各々は、周方向に間隔を空けて設けられた複数の回転翼10(インペラ翼)からなる回転翼列12(インペラ翼列)を含む。
【0013】
ケーシング5は、複数のインペラ8を囲繞するように構成されている。ケーシング5には、ケーシング5の外部から流体Fを流入させるための入口15(吸込口)が軸方向における一方側に形成されており、ケーシング5の外部へ流体Fを流出させるための出口16(排出口)が軸方向における他方側に形成されている。ケーシング5の内側には、流体Fを入口15から出口16まで導く流路9が形成されている。
【0014】
ケーシング5の流路9は、インペラ8から径方向における外側に流出した流体Fを次の段3のインペラ8へ導くリターン流路18を、最終段を除く各段3に含む。リターン流路18の各々は、上流側のインペラ8から流出した流体Fを径方向における外側へ導くディフューザ流路部20と、ディフューザ流路部20を通過した流体Fを次の段のインペラ8に供給するように径方向における内側へ導くリターン流路部22とを含む。ディフューザ流路部20には、周方向に間隔を空けて設けられた複数のディフューザベーン24からなるディフューザベーン列29が設けられており、ディフューザベーン24の各々はケーシング5に支持されている。
【0015】
図2は、リターン流路部22における軸方向に直交する概略断面を示す図である。
図1又は図2に示すように、リターン流路部22には、周方向に間隔を空けて設けられた複数のリターンベーン26(複数の静止翼)からなるリターンベーン列27(静止翼列)が設けられている。リターンベーン26の各々は、ケーシング5に支持されている。リターンベーン26の各々は、具体的には、ケーシング5のうち、リターン流路部22を形成するように軸方向に対向する一対の流路壁部22a,22bの少なくとも一方に支持されている。リターンベーン26は、前段のインペラ8により昇圧された流体Fが軸方向に沿って次段のインペラ8に流入するように、流体Fに含まれる回転成分を打ち消す機能を有している。なお、最終段3Fはディフューザベーン列29が設けられたディフューザ流路部20を備えるが、リターン流路部22は備えない。
【0016】
上記昇圧装置2では、入口15からケーシング5内に流入した流体Fは、最も入口15側のインペラ8によって昇圧された後、最終段のインペラ8まで各段のインペラ8で順次昇圧されて出口16から排出される。
【0017】
図3は、図2におけるA-A断面の構成の一例を周方向に展開して模式的に示す図である。
図3に示すように、昇圧装置2の各段3は、流体Fを冷却するための複数の熱交換部28を含む。熱交換部28の各々は、複数のリターンベーン26のうち周方向に互いに隣接する2つのリターンベーン26の間に形成される流路30をリターンベーン26の高さ方向(図示する形態では軸方向)に分割するように構成されている。図示する形態では、熱交換部28の各々は、リターンベーン26の高さ方向と交差する面に沿って板状に形成されている。また、熱交換部28の各々は、流路30を、熱交換部28を挟んでリターンベーン26の高さ方向の一方側(流路壁部22a側)に位置する第1流路部30aと、熱交換部28を挟んでリターンベーン26の高さ方向の他方側(流路壁部22b側)に位置する第2流路部30bとに分割している。
【0018】
また、複数の熱交換部28の各々は、周方向に互いに隣接する2つのリターンベーン26を接続するように構成されている。ただし、複数の熱交換部28のうち少なくとも1つは、図3の矢印Dにて示すように、互いに隣接する2つのリターンベーン26を接続せずに周方向において途切れていてもよい。これにより、熱変形を吸収するとともに組立を容易にすることができる。
【0019】
上記昇圧装置2では、回転翼列12、リターンベーン列27、複数の熱交換部28及びディフューザベーン列29が1つの段3を構成する。
【0020】
上記のように、周方向に互いに隣接するリターンベーン26の間に形成される流路30を分割するように構成された熱交換部28を設けることにより、流路30の断面積を小さくして流路30の相当直径を縮小し、熱交換部28の表面やリターンベーン26の表面に生成される境界層を薄くすることで、熱交換部28の表面やリターンベーン26の表面の熱伝達率を高め、昇圧装置2によって昇圧する流体Fを効果的に冷却することができる。このため、昇圧装置2における流体Fの昇圧を等温圧縮に近づけることができ、昇圧に要する動力の小さい昇圧装置2を実現することができる。なお、流路30の相当直径を縮小し、熱交換部28の表面やリターンベーン26の表面の熱伝達率を高める効果や、伝熱面積を増大する効果は、流路30を周方向に分割するように熱交換部28を設けること、即ち、リターンベーン26に平行に、径方向に延在するように熱交換部28を設けることによっても得ることができる。しかしながら、周方向に間隔を空けて設けられた複数のリターンベーン26の枚数は、通常、空力的な損失が最小となるように選定される。リターンベーン26に平行に、つまり、流路30を周方向に分割するように熱交換部28を設けると、熱交換部28が実質的にリターンベーン26と同様の作用をし、リターンベーン26の枚数が実質的に増大したのと同様となり、空力的な損失が増大、効率が低下する。本発明のように、流路30をリターンベーン26(複数の静止翼)の高さ方向に分割するように、熱交換部28を設置すると、空力的な損失の増大を伴わずに、流路30の相当直径を縮小し、熱交換部28の表面やリターンベーン26の表面の熱伝達率を高めると共に伝熱面積を増大することができ、より好適である。
【0021】
図4は、図3におけるB-B断面の構成の一例を模式的に示す図である。
幾つかの実施形態では、例えば図4に示すように、リターンベーン26の内部には、冷却媒体(例えば水等)が流れる冷却流路32が形成される。図4に示す例示的な形態では、リターンベーン26は、リターンベーン26の前縁26a側にリターンベーン26の高さ方向に沿って形成された前縁側流路部32aと、リターンベーン26の後縁26b側にリターンベーン26の高さ方向に沿って形成された後縁側流路部32bと、前縁側流路部32aと後縁側流路部32bとを接続するように形成された複数の接続流路部32cとを含む。前縁側流路部32aに流入した冷却媒体は、複数の接続流路部32cを通って後縁側流路部32bに流入し、後縁側流路部32bから排出される。
【0022】
図4に例示するように、冷却媒体が流れる冷却流路32をリターンベーン26の内部に設けることにより、昇圧装置2によって昇圧する流体Fがリターンベーン26を通過する際に該流体Fがリターンベーン26との熱交換によって効果的に冷却される。このため、昇圧装置2における流体Fの昇圧を等温圧縮に近づけることができ、昇圧に要する動力の小さい昇圧装置2を実現することができる。
【0023】
図5は、図3におけるC1-C1断面の構成の一例を模式的に示す図である。なお、図3におけるC2-C2断面の構成及びC3-C3断面の構成は、C1-C1断面の構成と同様の構成であってもよい。すなわち、一実施形態では、図5は、図3におけるC2-C2断面の構成の一例及びC3-C3断面の構成の一例も示している。
【0024】
幾つかの実施形態では、例えば図5に示すように、ケーシング5の流路壁部22aの内部及び流路壁部22bの内部には、冷却媒体(例えば水等)が流れる冷却流路34が形成される。図5に示す例示的な形態では、ケーシング5の冷却流路34は、リターンベーン26の前縁26a側(外周側)に周方向に沿って形成された前縁側流路部34aと、リターンベーン26の後縁26b側(内周側)に周方向に沿って形成された後縁側流路部34bと、前縁側流路部34aと後縁側流路部34bとを接続するように形成された複数の接続流路部34cとを含む。前縁側流路部34aに流入した冷却媒体は、複数の接続流路部34cを通って後縁側流路部34bに流入し、後縁側流路部34bから排出される。
【0025】
図5に例示するように、冷却媒体が流れる冷却流路34をケーシング5の流路壁部22a,22bの内部に設けることにより、昇圧装置2によって昇圧する流体Fがリターンベーン26を通過する際に該流体Fがケーシング5との熱交換によって効果的に冷却されるため、流体Fの昇圧に要する動力の小さい昇圧装置2を実現することができる。
【0026】
次に、図3におけるD部について幾つかの構成例を説明する。図6は、図3におけるD部を含むC2-C2断面の構成の一例を示す図である。図7は、図3におけるD部を含むC2-C2断面の構成の他の一例を示す図である。図8は、図3におけるD部を含むC2-C2断面の構成の他の一例を示す図である。
【0027】
幾つかの実施形態では、例えば図6図8に示すように、熱交換部28の内部には、冷却媒体(例えば水等)が流れる冷却流路36が形成される。図示する例示的形態では、冷却流路36は、リターンベーン26の内部にリターンベーン26の高さ方向に延在する複数の冷却孔35同士を接続するように形成されている。
【0028】
熱交換部28の内部に冷却流路36を設けることにより、昇圧装置2によって昇圧する流体Fがリターンベーン26を通過する際に、該流体Fが冷却媒体で冷却された熱交換部28との熱交換によって効果的に冷却されるため、流体Fの昇圧に要する動力の小さい昇圧装置2を実現することができる。
【0029】
幾つかの実施形態では、例えば図6図8に示すように、複数の熱交換部28のうち少なくとも1つは、周方向に互いに隣接する2つのリターンベーン26のうち一方のリターンベーン26から他方のリターンベーン26へ向けて突出するように構成された一方側突出部28aを含む。一方側突出部28aは、図6に示すようにリターンベーン26の前縁26aから後縁26bに亘って設けられていてもよいし、図7及び図8に示すように、リターンベーン26の前縁26aと後縁26bとの間の一部の範囲に設けられていてもよい。
【0030】
幾つかの実施形態では、例えば図6及び図7に示すように、複数の熱交換部28のうち少なくとも1つは、上記他方のリターンベーン26から上記一方のリターンベーン26へ向けて突出するように構成された他方側突出部28bを含む。他方側突出部28bは、リターンベーン26の前縁26aから後縁26bに亘って設けられていてもよいし、図6及び図7に示すように、リターンベーン26の前縁26aと後縁26bとの間の一部の範囲に設けられていてもよい。
【0031】
図9は、図6に示した一方側突出部28a及び他方側突出部28bを拡大した概略図である。
幾つかの実施形態では、例えば図9に示すように、一方側突出部28aが上記一方のリターンベーン26から上記他方のリターンベーンへ向けて突出する突出量をd1、他方側突出部28bが上記他方のリターンベーン26から上記一方のリターンベーン26へ向けて突出する突出量をd2、上記一方のリターンベーン26の後縁26bと上記他方のリターンベーン26の後縁26bとの距離をd3とすると、d1+d2>d3を満たす。これにより、周方向に隣接するリターンベーン26の間を流れる流体Fが一方側突出部28a及び他方側突出部28bをリターンベーン26の高さ方向に通過しにくくなり、該流体Fを効果的に冷却することができる。
【0032】
次に、図10図16を用いて軸流式の昇圧装置2(2B)について説明する。
【0033】
図10は、一実施形態に係る昇圧装置2(2B)の概略構成を示す断面図である。
図10に示す例示的な昇圧装置2(2B)は、軸流式且つ非容積型の昇圧装置であり、昇圧する流体Fの流れ方向に直列に配置された複数の段3を備える。昇圧装置2(2B)は、流体Fを昇圧するためのロータ4と、ロータ4を収容するケーシング5とを備える。ケーシング5の内部には、冷却媒体(例えば水等)が流れる冷却流路42dが形成される。
【0034】
ロータ4は、シャフト6と、シャフト6の外周側に周方向に間隔を空けて設けられた複数の回転翼10からなる回転翼列12とを含む。図示する形態では、シャフト6の外周面には、軸方向に複数の回転翼列12が配置されている。
【0035】
ケーシング5は、周方向に間隔を空けて設けられた複数のベーン38(静止翼)からなるベーン列40(静止翼列)を支持している。図示する形態では、軸方向に配列された複数のベーン列40が設けられており、複数のベーン列40は、それぞれ複数の回転翼列12の下流側に配置されている。すなわち、回転翼列12とベーン列40とは軸方向において交互に配置されている。
【0036】
図11は、図10のE-E断面を概略的に示す図である。
図11に示すように、昇圧装置2は、昇圧する流体Fを冷却するための複数の熱交換部28を含む。熱交換部28の各々は、複数のベーン38のうち互いに周方向に隣接する2つのベーン38の間に形成される流路30をベーン38の高さ方向(図示する形態では径方向)に分割するように構成されている。図示する形態では、熱交換部28の各々は、ベーン38の高さ方向と交差する面に沿って板状に形成されている。また、熱交換部28の各々は、流路30を、熱交換部28を挟んでベーン38の高さ方向の一方側(ケーシング5の外側シュラウド46a側)に位置する第1流路部30aと、熱交換部28を挟んでリターンベーン26の高さ方向の他方側(ケーシング5の内側シュラウド46b側)に位置する第2流路部30bとに分割している。
【0037】
また、複数の熱交換部28の各々は、周方向に互いに隣接する2つのベーン38を接続するように構成されている。ただし、複数の熱交換部28のうち少なくとも1つは、図11の矢印Hにて示すように、周方向に互いに隣接する2つのベーン38を接続せずに周方向において途切れていてもよい。これにより、熱変形を吸収するとともに組立を容易にすることができる。上記昇圧装置2(2B)では、回転翼列12、ベーン列40及び複数の熱交換部28が1つの段3を構成する。
【0038】
このように、ケーシング5の内部の冷却流路42dに冷却媒体(例えば水等)が流れることによってケーシング5が冷却される。また、熱伝導により、ケーシング5がベーン38を、ベーン38が熱交換部28を冷却することができる。ケーシング5、ベーン38、熱交換部28はそれぞれ流体Fと熱伝達により熱交換し、流体Fを冷却する。更に、周方向に互いに隣接する2つのベーン38の間に形成される流路30を分割するように構成された熱交換部28を設けることにより、流路30の断面積を小さくして流路30の相当直径を縮小し、熱交換部28の表面やベーン38の表面に生成される境界層を薄くすることで、熱交換部28の表面やベーン38の表面の熱伝達率を高め、昇圧装置2によって昇圧する流体Fを効果的に冷却することができる。このため、昇圧装置2における流体Fの昇圧を等温圧縮に近づけることができ、昇圧に要する動力の小さい昇圧装置2を実現することができる。
【0039】
図12は、図11におけるF-F断面の構成の一例を模式的に示す図である。
幾つかの実施形態では、例えば図12に示すように、ベーン38の内部には、冷却媒体(例えば水等)が流れる冷却流路42が形成される。図12に示す例示的な形態では、ベーン38は、ベーン38の前縁38a側にベーン38の高さ方向に沿って形成された前縁側流路部42aと、ベーン38の後縁38b側にベーン38の高さ方向に沿って形成された後縁側流路部42bと、前縁側流路部42aと後縁側流路部42bとを接続するように形成された複数の接続流路部42cとを含む。前縁側流路部42aに流入した冷却媒体は、複数の接続流路部42cを通って後縁側流路部42bに流入し、後縁側流路部42bから排出される。
【0040】
図12に例示するように、冷却媒体が流れる冷却流路42をベーン38の内部に設けることにより、昇圧装置2によって昇圧する流体Fがベーン38を通過する際に該流体Fがベーン38との熱交換によって効果的に冷却されるため、流体Fの昇圧に要する動力の小さい昇圧装置2を実現することができる。
【0041】
図13は、図11におけるG1-G1断面の構成の一例を模式的に示す図である。なお、図11におけるG2-G2断面の構成及びG3-G3断面の構成は、G1-G1断面の構成と同様の構成であってもよい。すなわち、一実施形態では、図13は、図11におけるG2-G2断面の構成の一例及びG3-G3断面の構成の一例も示している。
【0042】
幾つかの実施形態では、例えば図13に示すように、ケーシング5の外側シュラウド46aの内部及び内側シュラウド46bの内部には、冷却媒体(例えば水等)が流れる冷却流路44が形成される。図13に示す例示的な形態では、ケーシング5の冷却流路44は、ベーン38の前縁38a側に周方向に沿って形成された前縁側流路部44aと、ベーン38の後縁38b側に周方向に沿って形成された後縁側流路部44bと、前縁側流路部44aと後縁側流路部44bとを接続するように形成された複数の接続流路部44cとを含む。前縁側流路部44aに流入した冷却媒体は、複数の接続流路部44cを通って後縁側流路部44bに流入し、後縁側流路部44bから排出される。
【0043】
図13に例示するように、冷却媒体が流れる冷却流路44をケーシング5の外側シュラウド46a及び内側シュラウド46bの内部に設けることにより、昇圧装置2によって昇圧する流体Fがベーン38を通過する際に該流体Fがケーシング5との熱交換によって効果的に冷却されるため、流体Fの昇圧に要する動力の小さい昇圧装置2を実現することができる。
【0044】
次に、図11におけるH部について幾つかの構成例を説明する。図14は、図11におけるH部を含むG2-G2断面の構成の一例を示す図である。図15は、図11におけるH部を含むG2-G2断面の構成の他の一例を示す図である。図16は、図11におけるH部を含むB2-B2断面の構成の他の一例を示す図である。
【0045】
幾つかの実施形態では、例えば図14図16に示すように、熱交換部28の内部には、冷却媒体(例えば水等)が流れる冷却流路36が形成される。図示する例示的形態では、冷却流路36は、ベーン38の内部にベーン38の高さ方向に延在する複数の冷却孔35同士を接続するように形成されている。
【0046】
熱交換部28の内部に冷却流路36を設けることにより、昇圧装置2によって昇圧する流体Fがベーン38を通過する際に、該流体Fが冷却媒体で冷却された熱交換部28との熱交換によって効果的に冷却されるため、流体Fの昇圧に要する動力の小さい昇圧装置2を実現することができる。
【0047】
幾つかの実施形態では、例えば図14図16図22に示すように、複数の熱交換部28のうち少なくとも1つは、周方向に互いに隣接する2つのベーン38のうち一方のベーン38から他方のベーン38へ向けて突出するように構成された一方側突出部28aと、他方のベーン38から一方のベーン38に向けて突出するように構成された他方側突出部28bを含む。この場合、一方側突出部28aは、例えば図14及び図16に示すようにベーン38の前縁38aから後縁38bに亘って設けられていてもよいし、例えば図15に示すようにベーン38の前縁38aと後縁38bとの間の一部の範囲に設けられていてもよい。他方側突出部28bは、例えば図14及び図16に示すようにベーン38の前縁38aから後縁38bに亘って設けられていてもよいし、例えば図15に示すようにベーン38の前縁38aと後縁38bとの間の一部の範囲に設けられていてもよい。
【0048】
幾つかの実施形態では、例えば図14図16図22に示すように、一方側突出部28aがベーン38の上記一方から上記他方へ向けて突出する突出量をd1、他方側突出部28bがベーン38からの上記他方から上記一方へ向けて突出する突出量をd2、ベーン38の上記一方の後縁38bと上記他方の後縁38bとの距離をd3とすると、d1+d2>d3を満たす。これにより、周方向に隣接するベーン38の間を流れる流体Fが一方側突出部28a及び他方側突出部28bの間隙を通過しにくくなり、該流体Fを効果的に冷却することができる。
【0049】
また、図14図16に示した様に、一方側突出部28aと他方側突出部28bが軸方向(流れ方向)に重なるように配置すると、流体Fが一方側突出部28aと他方側突出部28bの間の間隙を通過しにくくなり、該流体Fをより効果的に冷却することができる。
しかしながら、組み立ての都合等で、一方側突出部28aと他方側突出部28bが軸方向(流れ方向)に重なるように配置することが難しい場合等は、図22に示すように、一方側突出部28aと他方側突出部28bをベーン38の高さ方向に重なるように配置することができる。この場合において、流体Fが一方側突出部28aと他方側突出部28bの間の間隙を通過することを効果的に抑制するためには、一方側突出部28aと他方側突出部28bのベーン38高さ方向の間隙d5を小さくすることが好ましく、具体的には、一方側突出部28aと他方側突出部28bのベーン38高さ方向の間隙d5が、一方側突出部28aの厚さd4以下(d5≦d4)であることが好ましい。
【0050】
図17は、上記昇圧装置2(2A)内における流体Fの入口15から出口16まで(段3Aから段3Fまで)の流体FのエンタルピーHと流体Fの圧力Pとの関係を示す線Qを含む図である。図17には、線Qの他に、流体Fを等温圧縮した場合における流体FのエンタルピーHと流体Fの圧力Pとの関係を示すエンタルピー圧力線Vが流体Fの温度T1~T8毎に示されている。
【0051】
図17に示すように、エンタルピー圧力線V(T1)~V(T8)の各々において、流体FのエンタルピーHに対する流体Fの圧力Pの傾きdP/dHの絶対値が最も小さい点を傾き最小点K(T1)~K(T8)と定義する。そして、流体Fの温度毎のエンタルピー圧力線V(T1)~V(T8)の傾き最小点K(T1)~K(T8)を結んだ線を第1ラインL1と定義する。さらに、線Qと第1ラインL1との交点を第1交点Xと定義し、複数の段3A~3Fのうち第1交点Xに対応する段3B(線Qのうち第1交点Xを含む部分に対応する段)を第1交点対応段3Bと定義する。
【0052】
幾つかの実施形態では、例えば図1に示す昇圧装置2(2A)において、第1交点対応段3Bと流体Fとの熱交換量は、複数の段3A~3Fのうち第1交点対応段3B以外の少なくとも1つの段3と流体Fとの熱交換量よりも大きい。また、幾つかの実施形態では、例えば図1に示す昇圧装置2(2A)において、第1交点対応段3Bと流体Fとの熱交換量は、複数の段3A~3Fの各々と流体Fとの熱交換量の中で最も大きい。
【0053】
第1交点対応段3Bと流体Fとの熱交換量を、複数の段3A~3Fのうち第1交点対応段3B以外の少なくとも1つの段3と流体Fとの熱交換量よりも大きくすることにより、流体Fを冷却する必要性が比較的高い第1交点対応段3Bで流体Fを効果的に冷却して、昇圧に要する動力の小さい昇圧装置2(2A)を実現することができる。また、第1交点対応段3Bと流体Fとの熱交換量を、複数の段3A~3Fの各々と流体Fとの熱交換量の中で最も大きくすることで、昇圧装置2(2A)が昇圧する流体を一層効果的に冷却して、昇圧に要する動力の小さい昇圧装置2(2A)を実現することができる。
【0054】
幾つかの実施形態では、例えば図1に示す昇圧装置2(2A)において、第1交点対応段3Bにおける流体Fと熱交換を行う伝熱面積は、複数の段3のうち第1交点対応段3B以外の少なくとも1つの段3における流体Fと熱交換を行う伝熱面積よりも大きい。また、幾つかの実施形態では、第1交点対応段3Bにおける流体Fと熱交換を行う伝熱面積は、複数の段3A~3Fの各々における流体Fと熱交換を行う伝熱面積の中で最も大きい。
【0055】
これにより、流体Fを冷却する必要性が高い第1交点対応段3Bで流体Fを効果的に冷却して、昇圧に要する動力の小さい昇圧装置2(2A)を実現することができる。
【0056】
幾つかの実施形態では、例えば図1に示す昇圧装置2(2A)において、第1交点対応段3Bには熱交換部28が設けられており、複数の段3のうち第1交点対応段3B以外の少なくとも1つの段3には熱交換部28が設けられていない。
【0057】
これにより、流体Fを冷却する必要性が高い第1交点対応段3Bで流体Fを効果的に冷却して、昇圧に要する動力の小さい昇圧装置2(2A)を実現することができる。
【0058】
特に、図17に示すように、圧力が臨界圧を上回る流体Fを昇圧する場合、傾き最小点Kを通る段は比較的上流側の段となる場合が多い。典型的な多段昇圧装置では、上流側の段は流路幅W(図1参照)が比較的大きく、流路断面積が大きい割に流体Fと熱交換を行う伝熱面積が小さいとともに、流路の相当直径が大きいため熱伝達効率が低くなりやすく、流体Fの効果的な冷却が難しい。
【0059】
この点、上記のように、傾き最小点Kを通る段(第1交点対応段3B)に熱交換部28を設けると、当該段の伝熱面積を増大することができる。また、前記熱交換部が流路を分割するように配置されているので、流路の相当直径を減少させ、高い熱伝達率を得ることができる。以上により、上記課題を解決し、傾き最小点Kを通る段(第1交点対応段3B)と流体Fとの熱交換量を一層効果的に増大し、昇圧に要する動力の小さい昇圧装置2(2A)を実現することができる。
【0060】
幾つかの実施形態では、上記昇圧装置2(2A)において、複数の段3の各々には、上記冷却流路32,34,36が設けられており、第1交点対応段3Bに形成された冷却流路32を流れる冷却媒体の温度は、複数の段3のうち第1交点対応段3B以外の少なくとも1つの段3の冷却流路32を流れる冷却媒体の温度よりも低い。また、第1交点対応段3Bに形成された冷却流路34を流れる冷却媒体の温度は、複数の段3のうち第1交点対応段3B以外の少なくとも1つの段3の冷却流路34を流れる冷却媒体の温度よりも低い。また、第1交点対応段3Bに形成された冷却流路36を流れる冷却媒体の温度は、複数の段3のうち第1交点対応段3B以外の少なくとも1つの段3の冷却流路36を流れる冷却媒体の温度よりも低い。
【0061】
これにより、流体Fを冷却する必要性が高い第1交点対応段3Bで流体Fを効果的に冷却して、昇圧に要する動力の小さい昇圧装置2(2A)を実現することができる。
【0062】
幾つかの実施形態では、上記昇圧装置2(2A)において、複数の段3の各々には、上記冷却流路32,34,36が設けられており、第1交点対応段3Bに形成された冷却流路32を流れる冷却媒体の温度は、複数の段3の各々の冷却流路32を流れる冷却媒体の温度の中で最も低い。また、第1交点対応段3Bに形成された冷却流路34を流れる冷却媒体の温度は、複数の段3の各々の冷却流路34を流れる冷却媒体の温度の中で最も低い。第1交点対応段3Bに形成された冷却流路36を流れる冷却媒体の温度は、複数の段3の各々の冷却流路36を流れる冷却媒体の温度の中で最も低い。
【0063】
これにより、流体Fを冷却する必要性が高い第1交点対応段3Bで流体Fを効果的に冷却して、昇圧に要する動力の小さい昇圧装置2(2A)を実現することができる。
【0064】
図18は、上述した昇圧装置2(2A,2B)を適用可能な二酸化炭素サイクルプラント100の概略構成を示す模式図である。
図18に示す二酸化炭素サイクルプラント100は、上記昇圧装置2(2A)又は上記昇圧装置2(2B)と、ヒータ102と、昇圧装置2と同軸上に設けられたタービン104(膨張機)と、冷却器106とを備える。この場合、昇圧装置2は上記流体Fとしての二酸化炭素を超臨界圧まで昇圧し、ヒータ102は、昇圧装置2で昇圧された二酸化炭素を加熱し、タービン104は、ヒータ102で加熱された二酸化炭素を膨張させて仕事を取り出し、冷却器106は、タービン104で膨張した二酸化炭素を冷却する。昇圧装置2に発電機108が連結されており、タービン104から得られる動力によって昇圧装置2及び発電機108が駆動される。
【0065】
図18に示す例示的形態では、昇圧装置2とヒータ102の間には再生熱交換器110が設けられており、昇圧装置2で昇圧された二酸化炭素は、再生熱交換器110でタービン104の排気ガスの熱エネルギーを回収してからヒータ102に供給される。タービン104の排気ガスは、再生熱交換器110で二酸化炭素によって冷却されてから冷却器106へ供給され、冷却器106で冷却されてから昇圧装置2に供給される。冷却器106は、タービン104の排気ガスを例えば海水、河川水又は大気等で冷却する。なお、冷却器106は、冷却水と熱交換させ、冷却水を間接的に冷却してもよい。ヒータ102の熱源は特に限定されず、例えば電気であってもよいし、原動機から得られる排気ガス等であってもよい。
【0066】
上記二酸化炭素サイクルプラント100によれば、上記昇圧装置2を適用することによって、二酸化炭素を超臨界圧まで昇圧するのに要する動力を小さくすることができるため、高効率な二酸化炭素サイクルプラント100を実現することができる。
【0067】
図19は、上述した二酸化炭素サイクルプラント100を適用可能なコンバインドサイクルプラント200の概略構成を示す模式図である。
図19に示すコンバインドサイクルプラント200は、上記二酸化炭素サイクルプラント100と、排気ガス発生源としてのガスタービン202と、を備える。この場合、二酸化炭素サイクルプラント100のヒータ102は、ガスタービン202の排気ガス(後述のタービン208の排気ガス)と昇圧装置2で昇圧された二酸化炭素とを熱交換させて二酸化炭素を加熱する。ヒータ102を通過した排気ガスは煙突212から排出される。ガスタービン202は、吸気を圧縮する圧縮機204と、圧縮機204で圧縮された圧縮空気を用いて燃料を燃焼させる燃焼器206と、燃焼器206で発生した燃焼ガスによって回転するタービン208と、圧縮機204及びタービン208と共に回転する発電機210とを含む。
【0068】
上記コンバインドサイクルプラント200によれば、高効率な二酸化炭素サイクルプラント100を備えるため、高効率なコンバインドサイクルプラントを実現することができる。
【0069】
図20は、上述した二酸化炭素サイクルプラント100の適用例を示す模式図である。
本適用例では、二酸化炭素サイクルプラント100において、ヒータ102は原子炉301を備え、原子炉301における核反応で発生した熱を用いて、二酸化炭素を加熱するように構成される。
【0070】
本適用例によれば、原子炉で発生する熱エネルギーを利用して、昇圧装置で昇圧された二酸化炭素を加熱することができる。これにより、高効率な二酸化炭素サイクルプラントを実現することができる。また、昇圧中の二酸化炭素を冷却し、昇圧に必要な動力を低減できるので、比較的小規模な原子炉で大きな出力を得ることができる。
【0071】
図21は、上述した二酸化炭素サイクルプラント100の別の適用例を示す模式図である。
本適用例では、記載の二酸化炭素サイクルプラント100において、ヒータ102が反射鏡401と受熱部402とを備え、太陽光を反射鏡401で反射し、受熱部402に導き、受熱部402において、太陽熱により、二酸化炭素を加熱するように構成される。
【0072】
本適用例によれば、太陽熱を利用して、昇圧装置で昇圧された二酸化炭素を加熱することができる。これにより、再生可能エネルギーを有効に活用する二酸化炭素サイクルプラントを実現することができる。また、昇圧中の二酸化炭素を冷却し、昇圧に必要な動力を低減できるので、比較的小規模なプラントで大きな出力を得ることができる。
【0073】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0074】
例えば、上記昇圧装置2では、熱交換部を適用する静止翼の例としてリターンベーン26及びベーン38を例示したが、熱交換部を適用する静止翼はディフューザベーン24であってもよい。この場合、熱交換部は、周方向に互いに隣接するディフューザベーンの間に形成される流路をディフューザベーンの高さ方向に分割するように設けられる。
【0075】
また、上記昇圧装置2(2B)について、一方側突出部28aと他方側突出部28bをベーン38の高さ方向に重なるように配置する態様(図22)とすることができることを説明したが、このような態様は、上記昇圧装置2(2A)に適用することもできる。
【0076】
また、上述したコンバインドサイクルプラント200では、ヒータ102に供給する排気ガスを発生する排気ガス発生源としてガスタービン202を例示したが、排気ガス発生源は、ガスタービンに限らず、その他の原動機(例えばレシプロエンジン又は蒸気機関)であってもよいし、燃料電池であってもよい。
【0077】
また、図18図20図21の二酸化炭素サイクルプラント100、図19のコンバインドサイクルプラント200には、上記昇圧装置2(2A)、上記昇圧装置2(2B)のいずれを適用することもできる。
【0078】
また、図17を用いて説明した第1交点対応段3Bに係る構成は、上記昇圧装置2(2A)に限らず上記昇圧装置2(2B)に適用してもよい。
【0079】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0080】
(1)本開示に係る昇圧装置(2A,2B)は、
流体を昇圧するための非容積型の昇圧装置であって、
周方向に間隔を空けて設けられた複数の回転翼(10)からなる回転翼列(12)を含むロータ(4)と、
前記ロータを収容するケーシング(5)と、
前記ケーシングに支持されるとともに前記周方向に間隔を空けて設けられた複数の静止翼(24,26,38)からなる静止翼列(27,29,40)と、
前記流体を冷却するための複数の熱交換部(28)と、
を備え、
前記熱交換部は、前記複数の静止翼のうち前記周方向に互いに隣接する静止翼の間に形成される流路(30)を前記静止翼の高さ方向に分割するように構成される。
【0081】
上記(1)に記載の昇圧装置によれば、互いに隣接する静止翼の間に形成される流路を分割するように構成された熱交換部を設けることにより、該流路の断面積を小さくして該流路の相当直径を縮小し、熱交換部の表面や静止翼の表面に生成される境界層を薄くすることで、熱交換部の表面や静止翼の表面の熱伝達率を高め、昇圧装置によって昇圧する流体を効果的に冷却することができる。したがって、流体の昇圧に要する動力の小さい昇圧装置を実現することができる。
【0082】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の昇圧装置において、
前記ケーシングの内部には、冷却媒体が流れる冷却流路(34,44)が形成される。
【0083】
上記(2)に記載の昇圧装置によれば、昇圧装置によって昇圧する流体がケーシングとの熱交換によって効果的に冷却されるため、流体の昇圧に要する動力の小さい昇圧装置を実現することができる。
【0084】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)に記載の昇圧装置において、
前記静止翼の内部には、冷却媒体が流れる冷却流路(32,42)が形成される。
【0085】
上記(3)に記載の昇圧装置によれば、昇圧装置によって昇圧する流体が静止翼を通過する際に該流体が静止翼との熱交換によって効果的に冷却されるため、流体の昇圧に要する動力の小さい昇圧装置を実現することができる。
【0086】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかに記載の昇圧装置において、
前記熱交換部の内部には、冷却媒体が流れる冷却流路(36)が形成される。
【0087】
上記(4)に記載の昇圧装置によれば、昇圧装置によって昇圧する流体が静止翼を通過する際に、該流体が冷却媒体で冷却された熱交換部との熱交換によって効果的に冷却されるため、流体の昇圧に要する動力の小さい昇圧装置を実現することができる。
【0088】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れかに記載の昇圧装置において、
前記複数の熱交換部のうち少なくとも1つは、前記複数の静止翼のうち前記周方向に互いに隣接する静止翼を接続するように構成される。
【0089】
上記(5)に記載の昇圧装置によれば、互いに隣接する静止翼の間に形成される流路を前記静止翼の高さ方向に効果的に分割することができるため、上記(1)に記載の構成によって得られる効果を高めて流体の昇圧に要する動力を効果的に低減することができる。
【0090】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかに記載の昇圧装置において、
前記複数の熱交換部のうち少なくとも1つは、
前記互いに隣接する静止翼のうち一方の静止翼から他方の静止翼へ向けて突出するように構成された一方側突出部(28a)と、
前記他方の静止翼から前記一方の静止翼へ向けて突出するように構成された他方側突出部(28b)と、
を含み、
前記一方側突出部が前記一方の静止翼から前記他方の静止翼へ向けて突出する突出量をd1、前記他方側突出部が前記他方の静止翼から前記一方の静止翼へ向けて突出する突出量をd2、前記一方の静止翼の後縁と前記他方の静止翼の後縁との距離をd3とすると、d1+d2>d3を満たす。
【0091】
上記(6)に記載の昇圧装置によれば、周方向に隣接する静止翼の間を流れる流体が一方側突出部及び他方側突出部を静止翼の高さ方向に通過しにくくなり、該流体を効果的に冷却することができる。
【0092】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れかに記載の昇圧装置において、
前記昇圧装置は、遠心式の昇圧装置(2A)である。
【0093】
上記(7)に記載の昇圧装置によれば、遠心式の昇圧装置における流体の昇圧に要する動力を低減することができる。
【0094】
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れかに記載の昇圧装置において、
前記昇圧装置は、軸流式の昇圧装置(2B)である。
【0095】
上記(8)に記載の昇圧装置によれば、軸流式の昇圧装置における流体の昇圧に要する動力を低減することができる。
【0096】
(9)本開示に係る昇圧装置は、流体の流れ方向に直列に配置された複数の段(3A~3F)を備える昇圧装置(2A,2B)であって、
前記段の各々は、
周方向に間隔を空けて設けられた複数の回転翼(10)からなる回転翼列(12)と、前記回転翼列の前記流れ方向の下流側に設けられ、
前記周方向に間隔を空けて設けられた複数の静止翼(24,26,38)からなる静止翼列(27,29,40)と、
を含み、
前記流体を等温圧縮した場合における前記流体のエンタルピーと圧力との関係を示すエンタルピー圧力線(V)において、前記流体のエンタルピーに対する圧力の傾きの絶対値が最も小さい点を傾き最小点(K)と定義し、
前記流体の温度毎の前記エンタルピー圧力線の前記傾き最小点を結んだ線を第1ライン(L1)と定義し、
前記昇圧装置内における前記流体の入口から出口までの前記流体のエンタルピーと圧力との関係を示す線(Q)と前記第1ラインとの交点を第1交点(X)と定義し、
前記複数の段のうち前記第1交点に対応する段を第1交点対応段(3B)と定義すると、
前記第1交点対応段と前記流体との熱交換量は、前記複数の段のうち前記第1交点対応段以外の少なくとも1つの段と前記流体との熱交換量よりも大きい。
【0097】
臨界圧を上回る流体を昇圧する場合、傾き最小点を通る段は比較的上流側の段となる場合が多い。典型的な多段昇圧装置では、上流側の段は、流路幅が比較的大きく流路断面積が大きい割に、流体と熱交換を行う伝熱面積が小さいとともに流路の相当直径が大きいため、熱伝達効率が低くなりやすく、流体の効果的な冷却が難しい。
【0098】
この点、上記(9)に記載の昇圧装置のように、第1交点対応段と流体との熱交換量を、複数の段のうち第1交点対応段以外の少なくとも1つの段と流体との熱交換量よりも大きくすることにより、流体を冷却する必要性が高い第1交点対応段で流体を効果的に冷却して、昇圧に要する動力の小さい昇圧装置を実現することができる。
【0099】
なお、上記(9)において、段と流体との熱交換量は、例えば下記のように求めることができる。まず、各段の静止翼列の入口と出口について、それぞれ圧力及び温度を計測する。そして、計測した圧力及び温度からエンタルピーを求める。そして、静止翼列の入口と出口のエンタルピー差(kJ/kg)に昇圧される流体の流量(kg/s)を掛けたものが熱交換量(kW)となる。
【0100】
(10)幾つかの実施形態では、上記(9)に記載の昇圧装置において、
前記第1交点対応段(3B)と前記流体との熱交換量は、前記複数の段の各々と前記流体との熱交換量の中で最も大きい。
【0101】
上記(10)に記載の昇圧装置によれば、流体を冷却する必要性が高い第1交点対応段で流体を効果的に冷却して、昇圧に要する動力の小さい昇圧装置を実現することができる。
【0102】
(11)幾つかの実施形態では、上記(9)又は(10)に記載の昇圧装置において、
前記複数の段の各々には、冷却媒体が流れる冷却流路(32,34,36,42,44)が形成されており、
前記第1交点対応段に形成された前記冷却流路を流れる前記冷却媒体の温度は、前記複数の段のうち前記第1交点対応段以外の少なくとも1つの段の前記冷却流路を流れる前記冷却媒体の温度よりも低い。
【0103】
上記(11)に記載の昇圧装置によれば、流体を冷却する必要性が高い第1交点対応段で流体を効果的に冷却して、昇圧に要する動力の小さい昇圧装置を実現することができる。
【0104】
(12)幾つかの実施形態では、上記(11)に記載の昇圧装置において、
前記第1交点対応段に形成された前記冷却流路を流れる前記冷却媒体の温度は、前記複数の段の各々の前記冷却流路を流れる前記冷却媒体の温度の中で最も低い。
【0105】
上記(12)に記載の昇圧装置によれば、流体を冷却する必要性が高い第1交点対応段で流体を効果的に冷却して、昇圧に要する動力の小さい昇圧装置を実現することができる。
【0106】
(13)幾つかの実施形態では、上記(9)乃至(12)の何れかに記載の昇圧装置において、
前記第1交点対応段における前記流体と熱交換を行う伝熱面積は、前記複数の段のうち前記第1交点対応段以外の少なくとも1つの段における前記流体と熱交換を行う伝熱面積よりも大きい。
【0107】
上記(13)に記載の昇圧装置によれば、流体を冷却する必要性が高い第1交点対応段で流体を効果的に冷却して、昇圧に要する動力の小さい昇圧装置を実現することができる。
【0108】
(14)幾つかの実施形態では、上記(13)に記載の昇圧装置において、
前記第1交点対応段における前記流体と熱交換を行う伝熱面積は、前記複数の段の各々における前記流体と熱交換を行う伝熱面積の中で最も大きい。
【0109】
上記(14)に記載の昇圧装置によれば、流体を冷却する必要性が高い第1交点対応段で流体を効果的に冷却して、昇圧に要する動力の小さい昇圧装置を実現することができる。
【0110】
(15)幾つかの実施形態では、上記(9)乃至(14)の何れかに記載の昇圧装置において、
前記流体を冷却するための複数の熱交換部(28)を更に備え、
前記熱交換部は、前記複数の静止翼のうち前記周方向に互いに隣接する静止翼の間に形成される流路を前記静止翼の高さ方向に分割するように構成され、
前記第1交点対応段には前記熱交換部が設けられており、
前記複数の段のうち前記第1交点対応段以外の少なくとも1つの段には前記熱交換部が設けられていない。
【0111】
上記(15)に記載の昇圧装置によれば、流体を冷却する必要性が高い第1交点対応段で流体を熱交換部との熱交換によって効果的に冷却して、昇圧に要する動力の小さい昇圧装置を実現することができる。また、流体を冷却する必要性の低い段には熱交換部を設けないことにより、昇圧装置の構成を簡素化することができる。
【0112】
(16)本開示に係る二酸化炭素サイクルプラント(100)は、
上記(1)乃至(15)の何れかに記載の昇圧装置と、ヒータ(102)と、膨張機(104)と、冷却器(106)とを備え、
前記昇圧装置は二酸化炭素を昇圧し、
前記ヒータは、前記昇圧装置で昇圧された二酸化炭素を加熱し、
前記膨張機は、前記ヒータで加熱された二酸化炭素を膨張させて仕事を取り出し、
前記冷却器は、前記膨張機で膨張した二酸化炭素を冷却する。
【0113】
上記(16)に記載の二酸化炭素サイクルプラントによれば、上記(1)乃至(17)の何れかに記載の昇圧装置を適用することによって、二酸化炭素を超臨界圧まで昇圧するのに要する動力を小さくすることができるため、高効率な二酸化炭素サイクルプラントを実現することができる。
【0114】
(17)本開示に係るコンバインドサイクルプラント(200)は、
上記(16)に記載の二酸化炭素サイクルプラントと、排気ガス発生源(202)と、を備え、
前記二酸化炭素サイクルプラントの前記ヒータは、前記排気ガス発生源の排気ガスと二酸化炭素とを熱交換させて前記二酸化炭素を加熱する。
【0115】
上記(17)に記載のコンバインドサイクルプラントによれば、上記(16)に記載の高効率な二酸化炭素サイクルプラントを備えるため、高効率なコンバインドサイクルプラントを実現することができる。
【0116】
(18)幾つかの実施形態では、上記(17)に記載のコンバインドサイクルプラントにおいて、
前記排気ガス発生源は、ガスタービン、レシプロエンジン、蒸気機関及び燃料電池のうち少なくとも1つである。
【0117】
上記(18)に記載のコンバインドサイクルプラントによれば、ガスタービン、レシプロエンジン、蒸気機関及び燃料電池のうち少なくとも1つから得られる排気ガスの熱エネルギーを利用して、昇圧装置で昇圧された二酸化炭素を加熱することができる。これにより、高効率なコンバインドサイクルプラントを実現することができる。
【0118】
(19)本開示に係る二酸化炭素サイクルプラントは、
上記(16)に記載の二酸化炭素サイクルプラントにおいて、ヒータ(102)は原子炉(301)を備え、前記原子炉における核反応で発生した熱を用いて、前記二酸化炭素を加熱するように構成される。
【0119】
上記(19)に記載の二酸化炭素サイクルプラントによれば、
原子炉で発生する熱エネルギーを利用して、昇圧装置で昇圧された二酸化炭素を加熱することができる。これにより、高効率な二酸化炭素サイクルプラントを実現することができる。
【0120】
(20)本開示に係る二酸化炭素サイクルプラントは、
上記(16)に記載の二酸化炭素サイクルプラントにおいて、ヒータ(102)は反射鏡(401)と受熱部(402)とを備え、太陽光を前記反射鏡で反射し、前記受熱部に導き、前記受熱部において、太陽熱により、前記二酸化炭素を加熱するように構成される。
【0121】
上記(20)に記載の二酸化炭素サイクルプラントによれば、
太陽熱を利用して、昇圧装置で昇圧された二酸化炭素を加熱することができる。これにより、再生可能エネルギーを有効に活用する二酸化炭素サイクルプラントを実現することができる。また、昇圧に必要な動力を低減できるので、比較的小規模なプラントで大きな出力を得ることができる。
【符号の説明】
【0122】
2(2A,2B) 昇圧装置
3(3A~3F) 段
3B 第1交点対応段
4 ロータ
5 ケーシング
6 シャフト
8 インペラ
9 流路
10 回転翼
12 回転翼列
13 ジャーナル軸受
14 スラスト軸受
15 入口
16 出口
18 リターン流路
20 ディフューザ流路部
22 リターン流路部
22a,22b 流路壁部
24 ディフューザベーン
26 リターンベーン
26a 前縁
26b 後縁
27 リターンベーン列
28 熱交換部
28a 一方側突出部
28b 他方側突出部
30 流路
30a 第1流路部
30b 第2流路部
32,34,36,42,44 冷却流路
32a,34a,42a,44a 前縁側流路部
32b,34b,42b,44b 後縁側流路部
32c,34c,42c,44c 接続流路部
34 冷却流路部
35 冷却孔
38 ベーン
38a 前縁
38b 後縁
40 ベーン列
46a 外側シュラウド
46b 内側シュラウド
100 二酸化炭素サイクルプラント
102 ヒータ
104 タービン
106 冷却器
108 発電機
110 再生熱交換器
200 コンバインドサイクルプラント
202 ガスタービン
204 圧縮機
206 燃焼器
208 タービン
210 発電機
212 煙突
301 原子炉
401 反射鏡
402 受熱部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22