(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
B23B 15/00 20060101AFI20231127BHJP
B23Q 41/04 20060101ALI20231127BHJP
B23B 3/30 20060101ALI20231127BHJP
B23Q 39/04 20060101ALI20231127BHJP
B23Q 41/02 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
B23B15/00 N
B23Q41/04
B23B3/30
B23Q39/04 D
B23Q41/02 A
(21)【出願番号】P 2020026812
(22)【出願日】2020-02-20
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000133593
【氏名又は名称】株式会社ツガミ
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】風間 浩明
(72)【発明者】
【氏名】近藤 喜大
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】西独国特許出願公開第03418124(DE,A1)
【文献】西独国特許出願公開第03337198(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 1/00-25/06
B23Q37/00-41/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを把持しつつ軸回転させ
、前記ワークの軸方向のみに移動可能に構成される第1主軸ユニットと、
前記第1主軸ユニットにより把持される前記ワークの軸方向に直交する軸直交方向において前記第1主軸ユニットに並ぶように位置し、前記ワークを把持しつつ軸回転させ
、前記軸方向のみに移動可能に構成される第3主軸ユニットと、
前記第1主軸ユニットに対向する位置と前記第3主軸ユニットに対向する位置の間で前記軸直交方向に移動可能に、かつ、
前記軸方向に移動可能に構成され、前記第1主軸ユニットから受け取った前記ワークを前記第3主軸ユニットに受け渡し可能に設けられ、前記ワークを把持しつつ軸回転させる第2主軸ユニットと、
前記第3主軸ユニットに対向する位置と前記ワークを外部に排出する排出位置の間で前記軸直交方向に
前記第2主軸ユニットとは独立して移動可能に、かつ、
前記軸方向に前記第2主軸ユニットとは独立して移動可能に構成され、前記第3主軸ユニットから受け取った前記ワークを前記排出位置にて排出可能に設けられ、前記ワークを把持しつつ軸回転させる第4主軸ユニットと、
前記第1主軸ユニットにより把持された前記ワークを加工する
複数の第1刃物を有する第1刃物ユニットと、
前記第2主軸ユニットにより把持された前記ワークを加工する
前記軸直交方向に並べられた複数の第2刃物を有する第2刃物ユニットと、
前記第3主軸ユニットにより把持された前記ワークを加工する
複数の第3刃物を有する第3刃物ユニットと、
前記第4主軸ユニットにより把持された前記ワークを加工する
前記軸直交方向に並べられた複数の第4刃物を有する第4刃物ユニットと、を備え、
前記第2刃物ユニットは、
前記軸方向と前記軸直交方向に移動不能に構成され、前記軸直交方向において前記第1主軸ユニットと前記第3主軸ユニットの間
であって、前記第2主軸ユニットが前記ワークを前記第1主軸ユニットから前記第3主軸ユニットまで搬送する搬送経路の途中に位置し、
前記第4刃物ユニットは、
前記軸方向と前記軸直交方向に移動不能に構成され、前記軸直交方向において前記第3主軸ユニットと前記排出位置の間
であって、前記第4主軸ユニットが前記ワークを前記第3主軸ユニットから前記排出位置まで搬送する搬送経路の途中に位置する、
工作機械。
【請求項2】
前記第2主軸ユニット及び前記第4主軸ユニッ
トを前記軸直交方向に移動可能に支持するスライドレールと、
前記第2主軸ユニットを前記第3主軸ユニットに対向する位置に前記スライドレール
上を移動させる際に
、前記第4主軸ユニットを
、前記第2主軸ユニットから離れ
、前記
第4刃物に対向する位置に近づくように
退避させ
る制御部と、を備える、
請求項1に記載の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の工作機械ラインは、複数の工作機械と、複数の工作機械それぞれの主軸間でワークを搬送するガントリー搬送装置と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の構成では、複数の工作機械とガントリー搬送装置が必要となるため、装置が大型化していた。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、よりコンパクトに構成することができる工作機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る工作機械は、ワークを把持しつつ軸回転させ、前記ワークの軸方向のみに移動可能に構成される第1主軸ユニットと、前記第1主軸ユニットにより把持される前記ワークの軸方向に直交する軸直交方向において前記第1主軸ユニットに並ぶように位置し、前記ワークを把持しつつ軸回転させ、前記軸方向のみに移動可能に構成される第3主軸ユニットと、前記第1主軸ユニットに対向する位置と前記第3主軸ユニットに対向する位置の間で前記軸直交方向に移動可能に、かつ、前記軸方向に移動可能に構成され、前記第1主軸ユニットから受け取った前記ワークを前記第3主軸ユニットに受け渡し可能に設けられ、前記ワークを把持しつつ軸回転させる第2主軸ユニットと、前記第3主軸ユニットに対向する位置と前記ワークを外部に排出する排出位置の間で前記軸直交方向に前記第2主軸ユニットとは独立して移動可能に、かつ、前記軸方向に前記第2主軸ユニットとは独立して移動可能に構成され、前記第3主軸ユニットから受け取った前記ワークを前記排出位置にて排出可能に設けられ、前記ワークを把持しつつ軸回転させる第4主軸ユニットと、前記第1主軸ユニットにより把持された前記ワークを加工する複数の第1刃物を有する第1刃物ユニットと、前記第2主軸ユニットにより把持された前記ワークを加工する前記軸直交方向に並べられた複数の第2刃物を有する第2刃物ユニットと、前記第3主軸ユニットにより把持された前記ワークを加工する複数の第3刃物を有する第3刃物ユニットと、前記第4主軸ユニットにより把持された前記ワークを加工する前記軸直交方向に並べられた複数の第4刃物を有する第4刃物ユニットと、を備え、前記第2刃物ユニットは、前記軸方向と前記軸直交方向に移動不能に構成され、前記軸直交方向において前記第1主軸ユニットと前記第3主軸ユニットの間であって、前記第2主軸ユニットが前記ワークを前記第1主軸ユニットから前記第3主軸ユニットまで搬送する搬送経路の途中に位置し、前記第4刃物ユニットは、前記軸方向と前記軸直交方向に移動不能に構成され、前記軸直交方向において前記第3主軸ユニットと前記排出位置の間であって、前記第4主軸ユニットが前記ワークを前記第3主軸ユニットから前記排出位置まで搬送する搬送経路の途中に位置する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、工作機械において、よりコンパクトに構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る工作機械の概略平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る工作機械の概略正面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る工作機械の概略側面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る加工処理のフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態に係る(a)~(d)は、加工処理時における工作機械の概略平面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る(a)~(c)は、加工処理時における工作機械の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係る工作機械について図面を参照して説明する。
図1~
図3に示すように、工作機械1は、ワークWを加工するNC(Numerical Control)旋盤である。詳しくは、工作機械1は、工作機械1全体の台であるベッドSと、第1主軸ユニット10と、第2主軸ユニット20と、第3主軸ユニット30と、第4主軸ユニット40と、ワークキャッチャー50と、一対のスライドレール60と、第1刃物ユニット19と、第2刃物ユニット29と、第3刃物ユニット39と、第4刃物ユニット49と、第1主軸移動機構12Zと、第2主軸移動機構22X,22Zと、第3主軸移動機構32Zと、第4主軸移動機構42X,42Zと、制御部300と、クーラントタンク80(
図2参照)と、を備える。
【0010】
図1に示すように、第1主軸ユニット10及び第3主軸ユニット30は、ベッドSの上面において、X軸方向に沿って並べられ、Z軸方向に沿って移動可能に形成される。第2主軸ユニット20及び第4主軸ユニット40は、ベッドSの上面において、第1主軸ユニット10及び第3主軸ユニット30に向き合うようにX軸方向に沿って並べられ、X軸方向及びZ軸方向に沿って移動可能に形成される。
【0011】
第1主軸ユニット10は、ワークWの一端部(
図1の左端部)を把持し、第1刃物ユニット19を利用してワークWの他端部(
図1の右端部)を加工する。第1主軸ユニット10は、第1主軸11と、第1主軸台15と、を備える。第1主軸台15は、第1主軸11を軸回転可能に支持し、内蔵される図示しないモータにより第1主軸11を軸回転させる。第1主軸11は、ワークWを把持し、把持したワークWとともに軸回転する。
第1主軸移動機構12Zは、第1主軸ユニット10をワークWの軸方向に沿うZ軸方向に移動させる。これにより、第1刃物ユニット19により加工されるワークWがZ軸方向に送られる。
【0012】
図1及び
図2に示すように、第1刃物ユニット19は、第1刃物19aと、第1刃物台19bと、第1刃物移動機構19X,19Yと、を備える。第1刃物19aは、バイト、ドリル等の複数の工具を備える。第1刃物台19bは、刃先が第1主軸11により把持されたワークWを向くように第1刃物19aを保持する。第1刃物19aの刃先が第1主軸11により把持されたワークWに接触することによりワークWが加工される。
図1に示すように、第1刃物移動機構19Xは、第1刃物台19bをX軸方向に沿って移動させる。
図2に示すように、第1刃物移動機構19Yは、第1刃物台19bをY軸方向に沿って移動させる。
【0013】
図1に示すように、第3主軸ユニット30は、第1主軸ユニット10と同様に構成される。すなわち、第3主軸ユニット30は、ワークWを把持し、把持したワークWとともに軸回転する第3主軸31と、第3主軸31を軸回転可能に支持する第3主軸台35と、を備える。
第3主軸移動機構32Zは第3主軸ユニット30をZ軸方向に移動させる。これにより、第3刃物ユニット39により加工されるワークWがZ軸方向に送られる。
第3刃物ユニット39は、第1刃物ユニット19と同様に構成される。すなわち、第3刃物ユニット39は、第3刃物39aと、第3刃物39aを保持する第3刃物台39bと、第3刃物台39bをX軸方向及びY軸方向に移動させる第3刃物移動機構39cと、を備える。
【0014】
図1に示すように、一対のスライドレール60は、ベッドSの上面において、Z軸方向に並べられ、X軸方向に沿って延び、互いに平行をなす。一対のスライドレール60は、X軸方向において、第1主軸ユニット10、第3主軸ユニット30、第2刃物ユニット29、第4刃物ユニット49及びワークキャッチャー50の後述するハンド部51に沿う範囲に形成される。第2主軸ユニット20及び第4主軸ユニット40は、共通の一対のスライドレール60に沿ってX軸方向に移動可能に設けられる。
【0015】
第2主軸ユニット20は、第1主軸ユニット10からワークWを受け取り、受け取ったワークWを第3主軸ユニット30に受け渡すことにより第1主軸ユニット10から第3主軸ユニット30にワークWを搬送する。第2主軸ユニット20は、ワークWの他端部(
図1の右端部)を把持し、ワークWを第1主軸ユニット10から第3主軸ユニット30に搬送する途中で、第2刃物ユニット29を利用してワークWの一端部(
図1の左端部)を加工する。
【0016】
第2主軸ユニット20は、第2主軸21と、第2主軸台25と、スライド台23と、を備える。第2主軸台25は、第2主軸21を軸回転可能に支持し、内蔵される図示しないモータにより第2主軸21を軸回転させる。第2主軸21は、ワークWを把持し、把持したワークWとともに軸回転する。
図3に示すように、スライド台23は、一対のスライドレール60に沿って移動可能に、一対のスライドレール60に嵌まる。
図1に示すように、スライド台23の上面には第2主軸台25、第2主軸21及び第2主軸移動機構22Zが支持されている。
第2主軸移動機構22Xは、第2主軸ユニット20をX軸方向に移動させる。第2主軸ユニット20のX軸方向の移動可能範囲M1は、第1主軸ユニット10と第3主軸ユニット30の間の範囲である。第2主軸移動機構22Zは、第2主軸台25及び第2主軸21をスライド台23上でZ軸方向に移動させる。
【0017】
第4主軸ユニット40は、第3主軸ユニット30からワークWを受け取り、受け取ったワークWをワークキャッチャー50の後述するハンド部51に受け渡すことにより第3主軸ユニット30からハンド部51にワークWを搬送する。第4主軸ユニット40は、ワークWの他端部(
図1の右端部)を把持し、ワークWを第3主軸ユニット30からワークキャッチャー50の後述するハンド部51に搬送する途中で、第4刃物ユニット49を利用してワークWの一端部(
図1の左端部)を加工する。
【0018】
第4主軸ユニット40は、第2主軸ユニット20と同様に構成される。すなわち、第4主軸ユニット40は、一対のスライドレール60に沿って移動可能に一対のスライドレール60に嵌まるスライド台43と、ワークWを把持し、把持したワークWとともに軸回転する第4主軸41と、第4主軸41を軸回転可能に支持する第4主軸台45と、を備える。第4主軸移動機構42X,42Zは、第4主軸ユニット40をX軸方向及びZ軸方向に移動させる。第4主軸ユニット40のX軸方向の移動可能範囲M2は、第3主軸ユニット30と排出位置Poの間の範囲である。第2主軸ユニット20の移動可能範囲M1と第4主軸ユニット40の移動可能範囲M2は、第3主軸ユニット30に対向する領域で重なり合っている。
【0019】
第2刃物ユニット29は、ベッドSの上面に固定され、X軸方向において第1主軸ユニット10と第3主軸ユニット30の間に位置する。また、第2刃物ユニット29は、Z軸方向において、スライドレール60と第1主軸ユニット10の間に位置する。第2刃物ユニット29は、第2主軸ユニット20がワークWを第1主軸ユニット10から受け取った位置からワークWを第3主軸ユニット30に受け渡す位置までの搬送経路の途中に位置する。
【0020】
図1に示すように、第2刃物ユニット29は、第2刃物29aと、第2刃物台29bと、を備える。第2刃物29aはドリル等の複数の工具を備える。第2刃物台29bは、Z軸方向に沿って延びる第2刃物29aを保持する。第2刃物29aの刃先はZ軸方向においてスライドレール60を向く。
【0021】
第4刃物ユニット49は、ベッドSの上面に固定され、X軸方向において第3主軸ユニット30と排出位置Poの間に位置する。また、第4刃物ユニット49は、Z軸方向において、スライドレール60と第3主軸ユニット30の間に位置する。第4刃物ユニット49は、第4主軸ユニット40がワークWを第3主軸ユニット30から受け取った位置からワークキャッチャー50の後述するハンド部51に受け渡す排出位置Poまでの搬送経路の途中に位置する。
【0022】
第4刃物ユニット49は、第4刃物49aと、第4刃物台49bと、を備える。第4刃物49aはドリル等の複数の工具を備える。第4刃物台49bは、Z軸方向に沿って延びる第4刃物49aを保持する。第4刃物49aの刃先はZ軸方向においてスライドレール60を向く。
【0023】
ワークキャッチャー50は、第4主軸ユニット40からワークWを受け取るハンド部51を備える。ハンド部51は、X軸方向において、第4刃物ユニット49に対して第3主軸ユニット30から離れる方向に位置する排出位置Poに設けられる。X軸方向において、排出位置Poと第1主軸ユニット10との間には、第3主軸ユニット30、第2刃物ユニット29及び第4刃物ユニット49が配置される。ワークキャッチャー50は、例えば、ハンド部51を通じて受け取ったワークWを図示しないピックアップスライダーに受け渡す。このピックアップスライダーは、受け取ったワークWを外部に搬送する。
【0024】
図2に示すように、クーラントタンク80は、ベッドSの側面に形成される窪みに位置する。クーラントタンク80は、各主軸ユニット10,20,30,40による加工中のワークWに供給されるクーラント液を溜める。
【0025】
上述した第1主軸移動機構12Z、第2主軸移動機構22X,22Z、第3主軸移動機構32Z、第4主軸移動機構42X,42Z、第1刃物移動機構19X,19Y及び第3刃物移動機構39cは、ぞれぞれ、例えば、モータ及びボールねじ機構を備える。
【0026】
制御部300は、工作機械1の各部の動作を制御する。制御部300は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等からなる。制御部300は、数値制御によって、第1主軸11、第1主軸移動機構12Z、第2主軸21、第2主軸移動機構22X,22Z、第3主軸31、第3主軸移動機構32Z、第4主軸41、第4主軸移動機構42X,42Z、ワークキャッチャー50、第1刃物移動機構19X,19Y、第3刃物移動機構39cを制御する。
【0027】
次に、
図4のフローチャートを参照しつつ、制御部300により実行される1つのワークWの加工を行う加工処理について説明する。この加工処理は、第1主軸11に図示しないバーフィーダにより未加工のワークWが供給されたときに開始される。第1主軸11に未加工のワークWが供給される毎に加工処理が開始される。よって、複数の加工処理がそれぞれ異なる進行度で同時に実行される。この加工処理においては、
図1、
図5及び
図6に示すように、第2主軸ユニット20が破線の矢印A,B,C,Fに沿って移動し、第4主軸ユニット40が一点鎖線の矢印D,E,G,Hに沿って移動する。
【0028】
まず、加工処理において、制御部300は、
図5(a)に示すように、第1主軸ユニット10により把持されたワークW1を第1刃物ユニット19にて第1加工を行う(ステップS101)。この第1加工は、ワークW1の他端部の加工である。
【0029】
次に、制御部300は、
図1及び
図5(b)の矢印Aに示すように、第2主軸移動機構22X,22Zを介して第2主軸ユニット20の第2主軸21を第1主軸ユニット10の第1主軸11に近づけ、第2主軸ユニット20の第2主軸21を介して第1主軸ユニット10の第1主軸11から第1加工済みのワークW1を受け取る(ステップS102)。
【0030】
そして、制御部300は、
図1及び
図5(c)の矢印Bに示すように、第2主軸移動機構22X,22Zを介して第2主軸ユニット20の第2主軸21により把持されるワークW1を第2刃物ユニット29の第2刃物29aの刃先に近づけ、第2刃物29aを利用してワークW1に第2加工を行う(ステップS103)。この第2加工は、ワークW1の一端部の加工である。
制御部300は、ワークW1の第2加工と同時に、新たなワークWnに関する加工処理を開始し、上記ステップS101と同様に、ワークWnの第1加工を開始する。nは2以上の自然数であり、ワークW1の次にワークW2が第1主軸ユニット10に供給され、ワークW2の次にワークW3が第1主軸ユニット10に供給される。
【0031】
次に、制御部300は、
図1及び
図5(d)の矢印Cに示すように、第2主軸移動機構22X,22Zを介して第2主軸ユニット20の第2主軸21により把持されるワークW1を第3主軸ユニット30の第3主軸31に対向させるように第2主軸ユニット20を移動させる。そして、制御部300は、第2主軸ユニット20の第2主軸21により把持されるワークW1を第3主軸ユニット30の第3主軸31に受け渡す(ステップS104)。
このステップS104において、
図1及び
図5(d)の矢印Cに沿って第2主軸ユニット20が第3主軸ユニット30に対向するようにX軸方向に移動する際、制御部300は、
図1及び
図5(d)の矢印Dに示すように、主軸移動機構42Xを介して第4主軸ユニット40を排出位置Poに近づくように退避させる。これにより、第2主軸ユニット20が第4主軸ユニット40に接触することが回避される。
【0032】
次に、制御部300は、
図6(a)に示すように、第3主軸ユニット30により把持されたワークW1を第3刃物ユニット39にて第3加工を行う(ステップS105)。この第3加工は、ワークW1の他端部の加工である。
【0033】
次に、制御部300は、
図1及び
図6(a)の矢印Eに示すように、第4主軸移動機構42X,42Zを介して第4主軸ユニット40の第4主軸41を第3主軸ユニット30の第3主軸31に近づけ、第4主軸ユニット40の第4主軸41を介して第3主軸ユニット30の第3主軸31から第3加工を終えたワークW1を受け取る(ステップS106)。このステップS106において、
図1の矢印Eに沿って第2主軸ユニット20がX軸方向に移動する際、制御部300は、
図1の矢印Fに示すように、主軸移動機構22Xを介して第2主軸ユニット20を第1主軸ユニット10に対向する位置に近づくように退避させる。これにより、第4主軸ユニット40が第2主軸ユニット20に接触することが回避される。
制御部300は、第2主軸ユニット20を退避させた後、ワークWnに関する加工処理として、上記ステップS102と同様に、第1主軸ユニット10から第1加工済みのワークWnを受け取ったり、上記ステップS103と同様に、ワークWnを受け取った後にワークWnに第2加工を行ったりしてもよい。
【0034】
そして、制御部300は、
図1及び
図6(b)の矢印Gに示すように、第4主軸移動機構42X,42Zを介して第4主軸ユニット40の第4主軸41を第4刃物ユニット49の第4刃物49aの刃先に近づけ、第4刃物49aを利用してワークW1に第4加工を行う(ステップS107)。この第4加工は、ワークW1の一端部の加工である。
制御部300は、ステップS107におけるワークW1の第4加工時に、ワークW1とは異なるワークWnの第1~第3加工の少なくとも何れか、又は第2主軸ユニット20によるワークWnの搬送を行ってもよい。
【0035】
最後に、制御部300は、
図1及び
図6(c)の矢印Hに示すように、第4主軸移動機構42X,42Zを介して第4主軸ユニット40により把持されるワークW1をワークキャッチャー50のハンド部51に対向する位置まで移動させ、ワークキャッチャー50のハンド部51にワークW1を受け渡すことによりワークW1を外部に排出し(ステップS108)、1つのワークW1に関する加工処理を終了する。
制御部300は、ステップS108におけるワークW1の排出時に、ワークW1とは異なる単数又は複数のワークWnの第1~第3加工の少なくとも何れか、又は第2主軸ユニット20によるワークWnの搬送を行ってもよい。
【0036】
制御部300は、複数のワークW(例えばワークW1,Wn)に対応する複数の加工処理を異なる進行度で同時進行的に実行する。よって、第1主軸ユニット10による第1加工を含むステップS101の処理、第2主軸ユニット20による第2加工を含むステップS102,S103,S104の処理、第3主軸ユニット30による第3加工を含むステップS105の処理及び第4主軸ユニット40による第4加工を含むステップS106,S107,S108の処理は同時に実行されてもよい。これにより、複数のワークWを時間的に効率よく加工することができる。
【0037】
(効果)
以上、説明した一実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)工作機械1は、ワークWを把持しつつ軸回転させる第1主軸ユニット10と、第1主軸ユニット10により把持されるワークWの軸方向に直交する軸直交方向の一例であるX軸方向において第1主軸ユニット10に並ぶように位置し、ワークWを把持しつつ軸回転させる第3主軸ユニット30と、第1主軸ユニット10に対向する位置と第3主軸ユニット30に対向する位置の間でX軸方向に移動可能に、かつ、第1主軸ユニット10から受け取ったワークWを第3主軸ユニット30に受け渡し可能に設けられ、ワークWを把持しつつ軸回転させる第2主軸ユニット20と、第3主軸ユニット30に対向する位置とワークWを外部に排出する排出位置Poの間でX軸方向に移動可能に、かつ、第3主軸ユニット30から受け取ったワークWを排出位置Poにて排出可能に設けられ、ワークWを把持しつつ軸回転させる第4主軸ユニット40と、第1主軸ユニット10により把持されたワークWを加工する第1刃物ユニット19と、第2主軸ユニット20により把持されたワークWを加工する第2刃物ユニット29と、第3主軸ユニット30により把持されたワークWを加工する第3刃物ユニット39と、第4主軸ユニット40により把持されたワークWを加工する第4刃物ユニット49と、を備える。第2刃物ユニット29は、X軸方向において第1主軸ユニット10と第3主軸ユニット30の間に位置する。第4刃物ユニット49は、X軸方向において第3主軸ユニット30と排出位置Poの間に位置する。
この構成によれば、第2主軸ユニット20は、ワークWを第1主軸ユニット10から第3主軸ユニット30に搬送する搬送途中に、第2刃物ユニット29を利用してワークWを加工することができる。また、第4主軸ユニット40は、ワークWを第3主軸ユニット30から排出位置Poに搬送する搬送途中に、第4刃物ユニット49を利用してワークWを加工することができる。このように、第2主軸ユニット20と第4主軸ユニット40は、ワークWを加工する機能に加え、ワークWを搬送する機能も有する。このため、ワークを搬送するガントリー搬送装置が不要となり、工作機械1をコンパクトに構成することができる。
【0038】
また、第2刃物ユニット29及び第4刃物ユニット49をワークWの搬送経路上に設けることにより、工作機械1をコンパクトに構成しつつ、1つのワークWの加工に要するサイクルタイムを短縮することができる。
【0039】
また、1台の工作機械1において、4つの主軸ユニット10,20,30,40がワークWの加工を分担して行うため、1つのワークWに関する加工工程を4つの主軸ユニット10,20,30,40に細かく割り振ることができて、サイクルタイムを短縮することができる。また、工作機械1では、2台の工作機械を連結して配置したり、2台の工作機械間でワークを搬送させる搬送装置を設けたりする必要がなく、コンパクトに構成することができる。また、2台の工作機械を使用する場合には、クーラント液及び切り粉の排出処理の手間も2台分必要となるが、本実施形態では1台分で済むため、作業者の作業負担が少ない。
【0040】
例えば、比較例としての3つの主軸ユニットを備える工作機械では、ワークWの一端部と他端部の何れかを加工する主軸ユニットの数が一つとなる。よって、例えば、ワークWの一端部を加工する主軸ユニットの数が一つである場合、所定の主軸ユニットによるワークWの一端部の加工時に生じたバリ又はカエリを後の工程で別の主軸ユニットが取ることができない。この点、本実施形態では、第2主軸ユニット20及び第4主軸ユニット40はワークWの一端部を加工し、第1主軸ユニット10及び第3主軸ユニット30はワークWの他端部を加工する。よって、ワークWの一端部及び他端部の何れも2つの主軸ユニットにより加工が行われる。このため、ワークWの一端部及び他端部の何れもバリ又はカエリを除去できる。
【0041】
(2)工作機械1は、第2主軸ユニット20及び第4主軸ユニット40の両方をX軸方向に移動可能に支持するスライドレール60と、第2主軸ユニット20をX軸方向に移動させる第2主軸移動機構22Xと、第4主軸ユニット40をX軸方向に移動させる第4主軸移動機構42Xと、第2主軸移動機構22Xを介して第2主軸ユニット20を第3主軸ユニット30に対向する位置にスライドレール60に沿って移動させる際に第4主軸移動機構42Xを介して第4主軸ユニット40を排出位置Poに近づくように移動させ、第4主軸移動機構42Xを介して第4主軸ユニット40を第3主軸ユニット30に対向する位置にスライドレール60に沿って移動させる際に第2主軸移動機構22Xを介して第2主軸ユニット20を第1主軸ユニット10に対向する位置に近づくように移動させる制御部300と、を備える。
この構成によれば、第2主軸ユニット20及び第4主軸ユニット40の間でスライドレール60を共通化できる。このため、工作機械1をコンパクトに構成することができる。また、第2主軸ユニット20及び第4主軸ユニット40がX軸方向に並ぶように配置される。これによっても、工作機械1をコンパクトに構成することができる。
また、スライドレール60を共通化した場合であっても、第2主軸ユニット20及び第4主軸ユニット40が互いに衝突しないように、第2主軸ユニット20及び第4主軸ユニット40のX軸方向の移動が制御される。
【0042】
なお、本発明は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0043】
(変形例)
上記実施形態においては、第2主軸ユニット20及び第4主軸ユニット40は、共通の一対のスライドレール60にX軸方向に移動可能に支持されていたが、第2主軸ユニット20及び第4主軸ユニット40それぞれ個別のスライドレール60にX軸方向に移動可能に支持されていてもよい。
【0044】
上記実施形態におけるワークキャッチャー50に代えてシュートボックスが設けられてもよい。この場合、第4主軸ユニット40は、第4加工済みのワークWをシュートボックスに落下させることによりワークWを外部に排出する。
【符号の説明】
【0045】
1…工作機械、10…第1主軸ユニット、11…第1主軸、12Z…第1主軸移動機構、15…第1主軸台、19…第1刃物ユニット、19X,19Y…第1刃物移動機構、19a…第1刃物、19b…第1刃物台、20…第2主軸ユニット、21…第2主軸、22X,22Z…第2主軸移動機構、23…スライド台、25…第2主軸台、29…第2刃物ユニット、29a…第2刃物、29b…第2刃物台、30…第3主軸ユニット、31…第3主軸、32Z…第3主軸移動機構、35…第3主軸台、39…第3刃物ユニット、39a…第3刃物、39b…第3刃物台、39c…第3刃物移動機構、40…第4主軸ユニット、41…第4主軸、42X,42Z…第4主軸移動機構、43…スライド台、45…第4主軸台、49…第4刃物ユニット、49a…第4刃物、49b…第4刃物台、50…ワークキャッチャー、51…ハンド部、60…スライドレール、80…クーラントタンク、300…制御部、M1,M2…移動可能範囲、S…ベッド、W,W1,W2,Wn…ワーク、Po…排出位置