(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】電動丸鋸
(51)【国際特許分類】
B27G 19/04 20060101AFI20231127BHJP
B23D 45/16 20060101ALI20231127BHJP
B23D 47/00 20060101ALI20231127BHJP
B27B 9/00 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
B27G19/04 Z
B23D45/16
B23D47/00 Z
B27B9/00 Z
(21)【出願番号】P 2020055724
(22)【出願日】2020-03-26
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】509094160
【氏名又は名称】株式会社ホライズン
(73)【特許権者】
【識別番号】520106161
【氏名又は名称】東陽金属工事株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520106172
【氏名又は名称】イズミシポレックス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592123923
【氏名又は名称】株式会社タカミヤ
(73)【特許権者】
【識別番号】594006356
【氏名又は名称】株式会社東京朝日ビルド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】文元 常宝
(72)【発明者】
【氏名】中村 貴彦
(72)【発明者】
【氏名】寺西 和敬
(72)【発明者】
【氏名】木村 勝利
(72)【発明者】
【氏名】魚嶋 茂義
(72)【発明者】
【氏名】今 克彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勇次
(72)【発明者】
【氏名】大澤 寛輝
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-142283(JP,U)
【文献】実開昭54-15384(JP,U)
【文献】実開平1-89101(JP,U)
【文献】登録実用新案第3046062(JP,U)
【文献】特開2013-35082(JP,A)
【文献】国際公開第2005/002813(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0011191(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105458399(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27G 19/04
B23D 45/16
B23D 47/00
B27B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部に回転可能に支持された丸鋸刃と、
前記本体部に支持され、前記丸鋸刃を挟んで一方の側方および他方の側方で設置点を有し、前記本体部に対して起立する起立位置と、前記本体部に対して折り畳まれる折り畳み位置とを変位可能なスタンドとを備え、
前記スタンドが起立位置に変位することで、前記丸鋸刃を立てた状態で前記本体部を支持することが可能である、電動丸鋸。
【請求項2】
前記スタンドは、前記丸鋸刃の切断方向の前方に取り付けられる前方スタンドと、切断方向の後方に取り付けられる後方スタンドとを含む、請求項1に記載の電動丸鋸。
【請求項3】
前記後方スタンドは、正面視U字形状である、請求項2に記載の電動丸鋸。
【請求項4】
前記スタンドは、前記丸鋸刃の切断方向に付勢する付勢部材を含む、請求項1~3のいずれかに記載の電動丸鋸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動丸鋸に関し、特に載置に適した電動丸鋸に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電動丸鋸の使用を中断し、電動丸鋸を床や作業台の上などの載置面に載置するための技術が存在する。
【0003】
たとえば特開2010-264517号公報(特許文献1)には、底盤の後端に軟質材を設け、軟質材とハンドルの後端部とを上下方向に整列させることで、丸鋸を載置面上に載置する際に、ハンドルの後端部と底盤の軟質材のみが載置面に接する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の丸鋸は、載置面に載置する際に、ハンドルの後端部と底盤が直接載置面に当接するため、ハンドルおよび底盤が損傷するおそれがある。さらに、載置する際に丸鋸刃が側方を向いているため、安全性に問題がある。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、本体を損傷させず、安全に載置することが可能な電動丸鋸を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る電動丸鋸は、体部と、本体部に回転可能に支持された丸鋸刃と、本体部に支持され、丸鋸刃を挟んで一方の側方および他方の側方で設置点を有し、本体部に対して起立する起立位置と、本体部に対して折り畳まれる折り畳み位置とを変位可能なスタンドとを備え、スタンドが起立位置に変位することで、丸鋸刃を立てた状態で本体部を支持することが可能である。
【0008】
好ましくは、スタンドは、丸鋸刃の切断方向の前方に取り付けられる前方スタンドと、切断方向の後方に取り付けられる後方スタンドとを含む。
【0009】
好ましくは、後方スタンドは、正面視U字形状である。
【0010】
好ましくは、スタンドは、丸鋸刃の切断方向に付勢する付勢部材を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電動丸鋸は、本体を損傷させず、安全に載置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態に係る電動丸鋸の外観図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る電動丸鋸からスタンドを取り外した状態の外観図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る電動丸鋸の前方スタンドを示し、(A)は側面図であり、(B)は正面図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る電動丸鋸の後方スタンドを示し、(A)は側面図であり、(B)は正面図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る電動丸鋸の動作を示す模式図であり、(A)は前方スタンドおよび後方スタンドが起立位置にある状態を示し、(B)は前方スタンドが折り畳み位置に変位した状態を示し、(C)は前方スタンドおよび後方スタンドが折り畳み位置に変位した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0014】
図1,
図2を参照して、本実施の形態の電動丸鋸1について説明する。
図1に示すように、本実施の形態の電動丸鋸1は、本体部2と、丸鋸刃3と、スタンド4とを備える。以下の説明において、
図1,
図2の矢印A1で示す方向を前方、矢印A1と反対の方向を後方という。
図1の矢印A2で示す方向を右方、矢印A2と反対方向を左方という。
図1,
図2の矢印A3を上下方向という。また、矢印A1で示す方向が電動丸鋸1の切断方向である。
【0015】
本実施の形態は、作業台や床などの載置面に電動丸鋸1を載置する際に用いるスタンド4を備えることに特徴を有するものである。本体部2および丸鋸刃3の基本的な構成については、従来と同様で足り、特に変更を要しない。スタンド4の説明に先立ち、本体部2および丸鋸刃3について簡単に説明する。
【0016】
図2を参照して、本体部2は、切断する木材の上面に載置するベース20と、ベース20上に設けられるハンドル部21と、丸鋸刃3を駆動させるモータ部22とを含む。ベース20は、丸鋸刃3の前後方向に延びる平面視矩形形状の板である。以下の説明において、切断する木材を切断材という。
【0017】
ベース20の略中央部辺りに、前後方向に延びる開口(図示せず)が形成される。この開口には、後述する丸鋸刃3が貫通する。また、ベース20の前方の両側面には前貫通孔20aが設けられ、ベース20の後方の両側面には後貫通孔20bが設けられる。ここでいう前方は、丸鋸刃3の外周よりも前方であり、後方は、丸鋸刃30の外周よりも後方である。これらの貫通孔20a,20bには、切断材の側壁から丸鋸刃30までの距離を計測する定規(図示せず)が着脱自在に取り付けられる。後述するスタンド4は、この貫通孔20a,20bに取り付けられる。
【0018】
ハンドル部21は、作業者が把持するためのものである。ハンドル部21は、ベース20から上方に張り出して、概ね下向きのD字状に形成されている。ハンドル部21の内周側には、モータ部22を操作するための起動スイッチ21aが設けられている。
【0019】
モータ部22は、ハンドル部21の下方位置に設けられる。モータ部22には、電動モータが内蔵されている。モータ部22には、電源コード(図示せず)が取り付けられていることが好ましい。
【0020】
丸鋸刃3は、回転軸31を介して本体部2に回転可能に支持されている。具体的には、丸鋸刃3は、円形であり、丸鋸刃3の下部は、ベース20の下面側から下方に突き出ており、丸鋸刃3の上部は、ベース20の上面側から上方に突き出ている。丸鋸刃3のベース20の上面側に突き出た部分は、上カバー32によって覆われる。さらに、丸鋸刃3のベース20の下面側に突き出た部分は、その周方向に沿って開閉可能に設けられた保護カバー33によって覆われる。
【0021】
上カバー32は、固定されており、移動させることができない。それに対し、保護カバー33は、周方向に沿って開閉可能に設けられている。保護カバー33は、操作部33aが取り付けられており、操作部33aを周方向にスライドさせることで開閉する。使用状態では、保護カバー33は、
図2に示すように丸鋸刃3の下部を覆わない位置、すなわち上カバー32の内方に移動する。不使用状態(載置状態)では、保護カバー33は、
図1に示すように丸鋸刃3の下方をほぼ覆う位置に移動する。
【0022】
回転軸31は、上述したモータ部22に取り付けられている。これにより、起動スイッチ21aを指先で引いて操作することで、モータ部22の電動モータが起動して、丸鋸刃3が回転する。
【0023】
次に、
図1,
図3,
図4を参照して、スタンド4について説明する。
【0024】
図1に示すように、スタンド4は、丸鋸刃3よりも前方の位置でベース20に支持される前方スタンド40と、丸鋸刃3よりも後方の位置でベース20に支持される後方スタンド50とを含む。
【0025】
まず、前方スタンド40について説明する。前方スタンド40は、ベース20の前方位置に一対設けられる。具体的には、前方スタンド40は、ベース20の前方の右側面および左側面にそれぞれ取り付けられる。
図3に示すように、前方スタンド40は、ベース20に固定される固定部41と、固定部41に回動可能に取り付けられる脚部46と、脚部46を前方に付勢する付勢部材48を含む。
【0026】
固定部41は、全体として略矩形形状であり、固定部本体42と、固定部本体42に設けられる孔部43と、脚部46の前方への回動を阻止するストッパ45とを有する。
【0027】
固定部本体42は、前方スタンド40のうち、最もベース20側に位置する部材である。固定部本体42は、外面42aと、ベース20側に面する内面42bとを含む。固定部本体42は、前方の上側に段差を有してもよい。
【0028】
孔部43は、固定部本体42の前方に設けられる。孔部43は、棒状部材43a(
図1)を貫通させることが可能な貫通孔である。この棒状部材43aは、上方ピン44aと前方ピン44bにより固定される。棒状部材43aは、前方スタンド40の孔部43およびベース20の前貫通孔20a(
図2)を貫通する。これにより、前方スタンド40をベース20に取り付けることができる。なお、棒状部材43aは、上述した定規であってもよい。
【0029】
ストッパ45は、固定部本体42の外面42a側に設けられる。ストッパ45は、脚部46の取付箇所である軸部49よりもやや前方に設けられる。これにより、前方スタンド40をやや前方に傾斜させた状態で維持することができる。ストッパ45は、付勢部材48により前方に向かって付勢されている脚部46が、それ以上前方に移動することを阻止する役割を果たす。本実施の形態のストッパ45は、ネジであるが、固定部本体42から脚部46側に突出する凸部であってもよい。
【0030】
脚部46は、上下方向に延びる棒状の部材である。脚部46は、縦部46aと、縦部46aの下端から外方に屈曲する横部46bとを含む。横部46bが載置面に当接する。脚部46は、縦部46aの上方に設けられる軸部49において、固定部41に対して回動可能に取り付けられる。脚部46の上下方向寸法は、丸鋸刃3のベース20の下面側に突き出された部分の突出寸法よりも大きい。
【0031】
図3(B)に示すように、軸部49には、脚部46を前方に付勢する付勢部材48が設けられている。本実施の形態の付勢部材48は、ねじりばねであるが、たとえばコイルばねなど他の部材であってもよい。前方スタンド40は、本体部2に対して起立する起立位置と(
図5(A))、本体部2に対して折り畳まれる折り畳み位置(
図5(C))とに変位可能である。起立位置とは、脚部46がベース20に対して略直行する方向に延びる位置または直行する方向から少し傾斜した位置である。折り畳み位置とは、脚部46がベース20から突出しない位置、たとえばベース20と略平行に延びる位置である。上述のように、本実施の形態の前方スタンド40の起立状態は、付勢部材48およびストッパ45の位置関係により、前方にやや傾斜した状態である。
【0032】
上述のように、前方スタンド40は、一対設けられ、ベース20の前方の右側面および左側面にそれぞれ取り付けられる。さらに、前方スタンド40の脚部46は、上下方向に延びている。これにより、前方スタンド40の設置点は、脚部46の横部46bと載置面とが接する箇所であり、前方スタンド40とベース20の取付箇所の略下方位置となる。
【0033】
次に後方スタンド50について説明する。後方スタンド50は、ベース20に固定される一対の固定部51と、固定部51に回動可能に取り付けられる脚部56と、脚部56を前方に付勢する一対の付勢部材58を含む。後方スタンド50は、概略として、一対の前方スタンド40の脚部46を略U字形状とし、固定部41および付勢部材48をその両端にそれぞれ設けたものである。固定部51および付勢部材58の構成は、前方スタンド40と略同様である。
【0034】
固定部51は、全体として略矩形形状であり、固定部本体52と、固定部本体52に設けられる孔部53と、脚部46の前方への回動を阻止するストッパ55とを有する。
【0035】
固定部本体52は、後方スタンド50のうち、最もベース20側に位置する部材である。固定部本体52は、外面52aと、ベース20側に面する内面52bとを含む。固定部本体52は、前方の上側に段差を有してもよい。
【0036】
孔部53は、固定部本体52の前方に設けられる。孔部53は、棒状部材53a(
図1)を貫通させることが可能な貫通孔である。この棒状部材53aは、上方ピン54aと前方ピン54bにより固定される。棒状部材53aは、後方スタンド50の孔部53およびベース20の後貫通孔20b(
図2)を貫通する。これにより、後方スタンド50をベース20に取り付けることができる。
【0037】
ストッパ55は、固定部本体52の外面52a側に設けられる。ストッパ55は、脚部56の取付箇所である軸部59よりもやや前方に設けられる。これにより、後方スタンド50をやや前方に傾斜させた状態で維持することができる。ストッパ55は、付勢部材58により前方に向かって付勢されている脚部56が、それ以上前方に移動することを阻止する役割を果たす。本実施の形態のストッパ55は、ネジであるが、固定部本体52から脚部56側に突出する凸部であってもよい。
【0038】
脚部56は、たとえば正面視U字状であり、一対の縦部56aと、その下端を連結する横部56bとを含む。横部56bが載置面に当接する。脚部56は、縦部56aの上方に設けられる軸部59において、固定部51に対して回動可能に取り付けられる。脚部56の上下方向寸法は、丸鋸刃3のベース20の下面側に突き出された部分の突出寸法よりも大きい。
【0039】
図4(B)に示すように、軸部59には、脚部56を前方に付勢する付勢部材58が設けられている。本実施の形態の付勢部材58は、ねじりばねであるが、たとえばコイルばねなど他の部材であってもよい。後方スタンド50は、本体部2に対して起立する起立位置と(
図5(A))、本体部2に対して折り畳まれる折り畳み位置(
図5(C))とに変位可能である。起立位置とは、脚部56がベース20に対して略直行する方向に延びる位置または直行する方向から少し傾斜した位置である。折り畳み位置とは、脚部56がベース20から突出しない位置、たとえばベース20と略平行に延びる位置である。上述のように、本実施の形態の後方スタンド50の起立状態は、付勢部材58およびストッパ55の位置関係により、前方にやや傾斜した状態である。
【0040】
上述のように、後方スタンド50の一対の固定部51は、ベース20の前方の右側面および左側面にそれぞれ取り付けられる。さらに、後方スタンド50の脚部56は、正面視略U字形状である。これにより、後方スタンド50の設置点は、脚部56の横部56bと載置面とが接する箇所であり、後方スタンド50とベース20の取付箇所の略下方位置を結ぶ線となる。
【0041】
本実施の形態の電動丸鋸1は、前方スタンド40と後方スタンド50を起立状態にすることで、丸鋸刃3を立てた状態で本体部2を支持することができる。丸鋸刃3を立てた状態とは、丸鋸刃3が水平面に対して垂直な状態または垂直から少し傾斜した状態を意味する。このように、前方スタンド40と後方スタンド50を起立状態にすることで、丸鋸刃3を下方に向けた状態にすることができるため、安全に載置することができる。さらに、本体部2と丸鋸刃3が載置面に当たらないため、本体部2および丸鋸刃3の損傷を防止することができる。さらに、電動丸鋸1の電源コードが丸鋸刃3に当たりにくいため、電源コードの切断、損傷を防止することができる。さらに、ハンドル部21が上方を向いているため、すぐに電動丸鋸1を使用することができ、操作性がよい。
【0042】
一般的な電動丸鋸の問題点として、キックバックが挙げられる。キックバックは、切断材の反りや撓みによって、丸鋸刃が切断材の間に挟まって動かなる場合に、その反動で電動丸鋸が作業者側に跳ね飛ばされるというものである。本実施の形態の電動丸鋸1は、後方スタンド50の脚部56がU字形状であるため、万が一キックバックが発生し、作業者側に電動丸鋸1が跳ね飛んできた場合であっても、脚部56の横部56bの部分がガードの役割を果たし、脚部56の横部56bが太腿などに当たり、丸鋸刃3が作業者には当たらないため、安全性を確保することができる。
【0043】
図5(A)~
図5(C)を参照して、電動丸鋸1の動作について説明する。
【0044】
図5(A)に示すように、電動丸鋸1は、切断材Wの側壁に当接していない状態では、前方スタンド40および後方スタンド50のいずれも起立位置の状態である。ハンドル部21を把持して、切断材W上にベース20を当接させて、電動丸鋸1を前方に押していく。
【0045】
図5(B)に示すように、切断材Wの側壁に前方スタンド40が当接すると、前方スタンド40は、付勢部材48(
図3)で前方に付勢されているだけなので、軸部49を中心に後方に回動してスタンド20と略平行になり、起立位置から折り畳み位置に変位する。
【0046】
さらに切断材Wを切断していくと、切断材Wの側壁に後方スタンド50が当接する。
図5(C)に示すように、切断材Wの側壁に後方スタンド50が当接すると、後方スタンド50も付勢部材58(
図4)で前方に付勢されているだけなので、軸部59を中心に後方に回動してスタンド20と略平行になり、起立位置から折り畳み位置に変位する。
【0047】
さらに切断材Wを切断していき、切断材Wを切断し終わった場合は、切断材Wとベース20が当接しなくなった順に、前方スタンド40が折り畳み位置から起立位置に変位し、次いで後方スタンド50が折り畳み位置から起立位置に変位する。前方スタンド40と後方スタンド50とは、付勢部材48,58でそれぞれ前方に付勢されているだけなので、連動して動かず、それぞれのスタンド40,50が切断材Wに当接した時点で折り畳み位置に変位し、切断材Wから離れた時点で起立位置に変位する。
【0048】
このように、前方スタンド40および後方スタンド50のいずれも、付勢部材48,58で前方に付勢されているため、電動丸鋸1を使用する際に、手動で起立位置、折り畳み位置に切り換える必要がない。さらに、切断材Wを切断する動作を行うと同時に、前方スタンド40および後方スタンド50が起立位置から折り畳み位置に変位し、切断材Wを切断しなくなると同時に、前方スタンド40および後方スタンド50が折り畳み位置から起立位置に変位するため、操作性がよい。
【0049】
なお、本実施の形態のスタンド4は、前方スタンド40と後方スタンド50とを含んだが、少なくともどちらか一方が設けられていればよい。この場合の設置点は、いずれかのスタンド40,50の設置点と、保護カバー33の設置点であることが望ましい。
【0050】
また、本実施の形態のスタンド4の取付箇所は、ベース20の貫通孔20a,20bに限定されず、ベース20の下端よりも上方であればよい。たとえば、スタンド4の取付箇所は、たとえばベース20の貫通孔20a,20b以外の箇所、ハンドル部21、モータ部22などの本体部2であってもよい。
【0051】
さらに、本実施の形態のスタンド4の設置点は、ベース20とスタンド4の取付箇所の略下方位置であったが、丸鋸刃3を挟んで右側方および左側方であればよい。たとえば、正面視逆V字状のスタンドで、ベース20への取付箇所が左右方向中央部であり、設置点が丸鋸刃3の右側方と左側方であってもよい。
【0052】
また、上記実施の形態では、スタンド4は、付勢部材48,58で自動的に起立位置と折り畳み位置とを変位可能にしていたが、手動で切り換えてもよい。また、自動で切り換える場合であっても、付勢部材48,58以外の方法、たとえば、磁石や電力などを用いてもよい。
【0053】
また、本実施の形態において、前方スタンド40は一対設けられ、後方スタンド50はU字状であるとしたが、逆であってもよいし、いずれも前方スタンド40のような棒状で形成されていてもよいし、いずれも後方スタンド50のようなU字状であってもよい。ただし、前方スタンド40をU字状にする場合は、丸鋸刃3と接しないようにするため、前方に傾斜させて折り畳み位置にするか、丸鋸刃3よりもはるかに長くする必要がある。
【0054】
また、上記実施の形態では、スタンド4を備えた電動丸鋸1について説明したが、スタンド4だけを単体で提供してもよい。この場合、既製の電動丸鋸に、本実施の形態のスタンド4を取り付けることが可能である。
【0055】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0056】
1 電動丸鋸、2 本体部、3 丸鋸刃、4 スタンド、20 ベース、40 前方スタンド、50 後方スタンド、48,58 付勢部材。