IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フジタの特許一覧

<>
  • 特許-ワンタッチ固定式ロックボルト 図1
  • 特許-ワンタッチ固定式ロックボルト 図2
  • 特許-ワンタッチ固定式ロックボルト 図3
  • 特許-ワンタッチ固定式ロックボルト 図4
  • 特許-ワンタッチ固定式ロックボルト 図5
  • 特許-ワンタッチ固定式ロックボルト 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】ワンタッチ固定式ロックボルト
(51)【国際特許分類】
   E21D 20/00 20060101AFI20231127BHJP
【FI】
E21D20/00 B
E21D20/00 L
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020059461
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021156092
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】三河内 永康
(72)【発明者】
【氏名】末松 幸人
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭48-94306(JP,U)
【文献】登録実用新案第3178205(JP,U)
【文献】特開平8-326733(JP,A)
【文献】特開2017-119961(JP,A)
【文献】特開2021-147801(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0105690(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 20/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワンタッチ固定式ロックボルトであって、
前記ワンタッチ固定式ロックボルトは、ロックボルト本体と、前記ロックボルト本体の長手方向の一方の端部である基部が挿通され前記ロックボルト本体に回転可能に装着される中心孔を有するロック部材と、前記基部に貫通形成された係止具挿通孔に挿通されその長手方向の中間部が係止する係止具とを備え、
前記ロック部材は、前記中心孔に前記基部が挿通された状態で、前記ロックボルト本体の長手方向の他方の端部である先部側に位置する環板状の先端端面と、その反対に位置する環板状の基端端面とを有し、
前記基端端面には、前記先端端面からの高さが最も小さい下位端面と、前記下位端面と周方向に位相をずらした箇所に設けられ前記下位端面よりも前記高さが大きい高位端面とを有し、
前記下位端面と前記高位端面とは、前記係止具挿通孔に前記係止具の長手方向の中間部が係止した状態で前記基部の外周面上に突出する係止具の箇所に当接可能に設けられている、
ことを特徴とするワンタッチ固定式ロックボルト。
【請求項2】
前記係止具は直線状に延在しており、前記係止具挿通孔にその長手方向の中間部が係止した状態で、その長手方向の両端は、前記先端端面から等しい間隔をおいて前記基部の外周面から互いに離れる方向に突出し、
前記下位端面と前記高位端面は、前記基端端面の周方向に位相をずらした箇所でそれぞれ前記中心孔の直径状で前記中心孔の両側の箇所に設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載のワンタッチ固定式ロックボルト。
【請求項3】
前記基端端面の周方向において前記下位端面と前記高位端面との間は、前記基端端面の周方向で前記下位端面から前記高位端面に至るにつれて前記先端端面からの高さが次第に大きくなる傾斜端面で接続されている、
ことを特徴とする請求項1または2記載のワンタッチ固定式ロックボルト。
【請求項4】
前記高位端面は、前記基端端面の周方向に位相をずらし前記先端端面からの高さを異ならせて複数設けられ、
前記周方向で隣り合う前記高位端面の間は、前記基端端面の周方向で前記先端端面からの高さが小さい前記高位端面から前記先端端面からの高さが大きい前記高位端面に至るにつれて前記先端端面からの高さが次第に大きくなる傾斜端面で接続されている、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項記載のワンタッチ固定式ロックボルト。
【請求項5】
前記ロック部材は、前記中心孔を軸心とした小径部と大径部とを有し、
係止具は細長状を呈し、
前記小径部の外径は前記係止具の長さよりも小さい寸法で形成され、
前記基端端面は、前記小径部の端面であり、
前記大径部の外径は前記係止具の長さよりも大きい寸法で形成されている、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項記載のワンタッチ固定式ロックボルト。
【請求項6】
前記ワンタッチ固定式ロックボルトはトンネル工事の支保工に用いられるロックボルトであり、
地山内面に吹付けられたコンクリートの上から前記地山内面に削孔され定着材が注入された複数の孔に前記ロックボルト本体が前記先部から挿入され、
前記係止具挿通孔の前記ロックボルト本体の前記先部寄りの外周面の箇所に、前記コンクリートの表面に対して前記ロックボルト本体をどこまで挿入するかの目印が設けられている、
ことを特徴とする請求項1~5の何れか1項記載のワンタッチ固定式ロックボルト。
【請求項7】
前記係止具挿通孔は、前記ロックボルト本体の長手方向に間隔をおいて複数設けられている、
ことを特徴とする請求項1~6の何れか1項記載のワンタッチ固定式ロックボルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトンネル工事の支保工などに用いられて好適なワンタッチ固定式ロックボルトに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、NATM工法で掘削される山岳トンネルでは、図6(A)に示すように、地山が掘削されることで形成された地山内面50にコンクリートC1が吹き付けられる。
その後、トンネルの周方向および長手方向に間隔をおいた複数箇所において、硬化状態のコンクリートC1の上から地山内面50に孔52が削孔され、各孔52にモルタルなどの定着材が注入される。
そして、各孔52にロックボルト54が挿入され、コンクリートC1から突出するロックボルト54の基部が、角型プレートや丸型プレートなどからなる鋼板製のベアリングプレート56の中心孔5602に挿通され、このベアリングプレート56をコンクリートC1の表面に当て付け、ロックボルト54の基部の雄ねじにナット58を螺合し、ナット58を締結してベアリングプレート56をコンクリートC1の表面に押し付けることで各ロックボルト54の設置作業が終了し、岩盤の固定作業がなされている。
その後、図6(B)に示すように、必要に応じて地山の水がトンネル内に侵入しないようにコンクリートC1の表面に防水シートが敷設され、この防水シートに対向させてコンクリート打設型枠が配置され、防水シートとコンクリート打設型枠の型枠面との間にコンクリートC2が打設されて覆工コンクリートが行なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-167774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、トンネル工事の支保工のうちロックボルト工では、ロックボルト54の基部の雄ねじにナット58を螺合し、ナット58を回転させてベアリングプレート56をコンクリートC1の表面に押し付ける作業は、作業員が足場に乗って行なうことから無理な姿勢となる場合が多く、手間取る作業となっている。
また、ナット58を回転させる作業であるため時間が掛り、コンクリートC1が吹き付けられた岩盤付近に長時間いなければならないため、危険性を伴う作業となっている。
特に、トンネル断面が大きく、トンネルの長さが大きくなると、ロックボルト54の本数は数千、数万本の単位となり、ナット58の締結作業に多くの時間を要し、危険性も増大し、トンネル工事の施工期間を短縮化し、コストダウンを図る観点から何らかの改善が望まれていた。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、ナットの締結作業を省略し、ワンタッチでベアリングプレートをコンクリートの表面に押し付けることができ、危険性を減少する上で有利となり、トンネル工事の施工期間を短縮し、コストダウンを図る上で有利で、トンネル工事の支保工などに用いられて好適なワンタッチ固定式ロックボルトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明はワンタッチ固定式ロックボルトであって、前記ワンタッチ固定式ロックボルトは、ロックボルト本体と、前記ロックボルト本体の長手方向の一方の端部である基部が挿通され前記ロックボルト本体に回転可能に装着される中心孔を有するロック部材と、前記基部に貫通形成された係止具挿通孔に挿通されその長手方向の中間部が係止する係止具とを備え、前記ロック部材は、前記中心孔に前記基部が挿通された状態で、前記ロックボルト本体の長手方向の他方の端部である先部側に位置する環板状の先端端面と、その反対に位置する環板状の基端端面とを有し、前記基端端面には、前記先端端面からの高さが最も小さい下位端面と、前記下位端面と周方向に位相をずらした箇所に設けられ前記下位端面よりも前記高さが大きい高位端面とを有し、前記下位端面と前記高位端面とは、前記係止具挿通孔に前記係止具の長手方向の中間部が係止した状態で前記基部の外周面上に突出する係止具の箇所に当接可能に設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、前記係止具は直線状に延在しており、前記係止具挿通孔にその長手方向の中間部が係止した状態で、その長手方向の両端は、前記先端端面から等しい間隔をおいて前記基部の外周面から互いに離れる方向に突出し、前記下位端面と前記高位端面は、前記基端端面の周方向に位相をずらした箇所でそれぞれ前記中心孔の直径状で前記中心孔の両側の箇所に設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、前記基端端面の周方向において前記下位端面と前記高位端面との間は、前記基端端面の周方向で前記下位端面から前記高位端面に至るにつれて前記先端端面からの高さが次第に大きくなる傾斜端面で接続されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記高位端面は、前記基端端面の周方向に位相をずらし前記先端端面からの高さを異ならせて複数設けられ、前記周方向で隣り合う前記高位端面の間は、前記基端端面の周方向で前記先端端面からの高さが小さい前記高位端面から前記先端端面からの高さが大きい前記高位端面に至るにつれて前記先端端面からの高さが次第に大きくなる傾斜端面で接続されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記ロック部材は、前記中心孔を軸心とした小径部と大径部とを有し、係止具は細長状を呈し、前記小径部の外径は前記係止具の長さよりも小さい寸法で形成され、前記基端端面は、前記小径部の端面であり、前記大径部の外径は前記係止具の長さよりも大きい寸法で形成されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記ワンタッチ固定式ロックボルトはトンネル工事の支保工に用いられるロックボルトであり、地山内面に吹付けられたコンクリートの上から前記地山内面に削孔され定着材が注入された複数の孔に前記ロックボルト本体が前記先部から挿入され、前記係止具挿通孔の前記ロックボルト本体の前記先部寄りの外周面の箇所に、前記コンクリートの表面に対して前記ロックボルト本体をどこまで挿入するかの目印が設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、前記係止具挿通孔は、前記ロックボルト本体の長手方向に間隔をおいて複数設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ロックボルト本体の基部にロック部材を配置し、係止具挿通孔に係止具を挿入した後、ロック部材を回転させるというワンタッチ作業で済むため、従来のナットを回転していく手間取る作業に比べて短時間でロックボルト本体を固定でき、ロックボルトの設置作業の効率化を図る上で有利となる。
また、ロックボルトの設置作業を短時間で行なうことができることから、トンネル工事の支保工工事では、コンクリートが吹き付けられた岩盤付近に短時間いれば足り、危険性を減少する上で有利となる。
また、短時間で地山を支保できるため、地山を早期に安定させる上で有利となる。
特に、トンネル断面が大きく、トンネルの長さが大きくなり、ロックボルトの本数が数千、数万本の単位となった場合でも、ロックボルトの設置作業に要する時間を大幅に短縮でき、トンネル工事の施工期間を短縮化し、コストダウンを図る上で有利となる。
また、係止具が係止具挿通孔にその長手方向の中間部が係止した状態で、その長手方向の両端が、先端端面から等しい間隔をおいて基部の外周面から互いに離れる方向に突出する場合には、下位端面と高位端面を、基端端面の周方向に位相をずらした箇所でそれぞれ中心孔の直径状で中心孔の両側の箇所に設けると、ロックボルトの設置作業を短時間で行なう上で有利となる。
また、下位端面と高位端面との間を傾斜端面で接続すると、ロック部材の回転時、係止用アームが傾斜端面を介して高位端面に円滑に乗り上がり、ロック部材の回転操作を円滑に行なう上で有利となり、ロックボルトの設置作業の効率化を図る上で有利となる。
また、高さの異なる複数の高位端面を設けると、ロックボルトの設置作業をより確実に行なう上で有利となる。
また、高さが異なる高位端面の間を傾斜端面で接続すると、ロック部材の回転時、係止用アームが傾斜端面を介して高い方の高位端面に円滑に乗り上がり、ロック部材の回転操作を円滑に行なう上で有利となり、ロックボルトの設置作業の効率化を図る上で有利となる。
また、ロック部材を小径部と大径部とを含んで構成し、小径部の外径を係止具の長さよりも小さい寸法で形成すると、係止具の係止具挿通孔への挿入作業を簡単に行なう上で有利となる。
また、大径部の外径を係止具の長さよりも大きい寸法で形成すると、ロック部材の回転操作を円滑に行なう上で有利となり、ロックボルトの設置作業の効率化を図る上で有利となる。
また、長溝のロックボルト本体の先部寄りの外周面の箇所に目印を設けると、地山内面に削孔した孔へのロックボルト本体の挿入を簡単に迅速に行なえ、また、ロック部材の固定を確実に行なう上で有利となる。
また、係止具挿通孔をロックボルト本体の長手方向に間隔をおいて複数設けると、1本のロックボルト本体を、地山に削孔される深さの異なる孔に共通して利用でき、コストダウンを図る上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施の形態のワンタッチ固定式ロックボルトの説明図で、(A)はロック部材の下位端面を基端端面の上下部に位置させ、係止具挿通孔に割りピンを挿通した断面図、(B)は割りピンの脚部を開きロック部材を回転させロック部材の高位端面と割りピンとが当接した状態の断面図である。
図2】ロック部材の説明図で、(A)はロック部材の正面図、(B)は(A)のB―B断面図、(C)は(A)のC―C断面図、(D)は(A)のD―D断面図、(E)は(A)のE―E断面図、(F)は(A)のF―F断面図、(G)は(A)のG―G断面図である。
図3】第2の実施の形態のワンタッチ固定式ロックボルトの説明図で、(A)はロック部材の下位端面を基端端面の上部に位置させ、係止具挿通孔にテーパピンを挿通した断面図、(B)はロック部材を回転させロック部材の高位端面とテーパピンの大径端部とが当接した状態の断面図である。
図4】ロック部材の説明図で、(A)はロック部材の正面図、(B)は(A)のB―B断面図、(C)は(A)のC―C断面図、(D)は(A)のD―D断面図、(E)は(A)のE―E断面図、(F)は(A)のF―F断面図、(G)は(A)のG―G断面図、(H)は(A)のH―H断面図である。
図5】第1の本実施の形態のワンタッチ固定式ロックボルトを用いた支保工の説明図である。
図6】従来工法の説明図で(A)は支保工の説明図、(B)は覆工コンクリートの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
図1図2図5を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。
なお、以下の説明では従来の箇所、部材に同一の符号を付し、その説明を省略する。
図1図5に示すように、ワンタッチ固定式ロックボルト10Aは、コンクリートC1の上から地山内面50に削孔された孔52に挿入されるロックボルト本体14と、ロックボルト本体14の基部1402が挿通されロックボルト本体14に装着されるロック部材20Aと、ロックボルト本体14の基部1402に貫通形成された係止具挿通孔1412に挿通されその長手方向の中間部が係止する係止具22とを備えている。
なお、図5に示すように、削孔された孔52に挿入されるロックボルト本体14の長手方向の一方の端部を先部1401と呼び、ロックボルト本体14が孔52に挿入された状態でコンクリートC1からトンネル内に露出する他方の端部を基部1402と呼ぶ。
【0009】
ロックボルト本体14は鋼材製で、ロックボルト本体14には異形鉄筋や丸棒鉄筋が用いられる。
図1に示すように、係止具挿通孔1412は、ロックボルト本体14の基部1402に貫通形成されている。
また、係止具挿通孔1412よりもロックボルト本体14の先部1401寄りの外周面の箇所に、コンクリートC1の表面に対してロックボルト本体14をどこまで挿入するかの目印1430が設けられている。この目印1430は、例えば、ペンキを塗布することなどで、あるいは、切削加工することなどで設けられている。
また、本実施の形態では、係止具22として既製品である割りピン2210を用いている。
割りピン2210は、係止具挿通孔1412の内径よりも大きい寸法のリング状の頭部2210Aと、係止具挿通孔1412に挿通可能な2本の脚部2210Bとを有し、細長状を呈している。
割りピン2210は直線状に延在しており、係止具挿通孔1412にその長手方向の中間部が係止した状態で、その長手方向の両端は、後述するロック部材20Aの先端端面2010から等しい間隔をおいて基部1402の外周面から互いに離れる方向に突出する。
【0010】
図2に示すように、ロック部材20Aは金属製または合成樹脂製で、環板状を呈し、中心孔2002を軸心とした小径部2004と大径部2006とを有している。
小径部2004の外径は割りピン2210の長さよりも小さい寸法で形成されている。
大径部2006は筒状に形成され、大径部2006の外径は割りピン2210の長さよりも大きい寸法で形成されている。
さらに、図2(A)に示すように、大径部2006の外周部には、ロック部材20Aを把持し易いように、周方向に凹凸部2008が形成されている。
中心孔2002は、ロックボルト本体14の基部1402が挿通可能で、かつ、中心孔2002にロックボルト本体14の基部1402が挿通された状態でロック部材20Aが基部1402に対して回転可能に装着される内径で形成されている。
【0011】
ロック部材20Aは、中心孔2002にロックボルト本体14の基部1402が挿通された状態で、ロックボルト本体14の先部1401側に位置する環板状の先端端面2010と、その反対に位置する環板状の基端端面2012とを有している。
本実施の形態では、先端端面2010は大径部2006の端面で形成され、基端端面2012は、小径部2004の端面で形成されている。
基端端面2012には、先端端面2010からの高さが最も小さい均一高さの下位端面2020と、下位端面2020と周方向に位相をずらした箇所に設けられ下位端面2020よりも先端端面2010からの高さが大きい均一高さの高位端面2022とを有している。
高位端面2022は、基端端面2012の周方向で図2(A)に示すX矢印(反時計回り)方向に位相をずらし高さを異ならせて複数設けられ、複数の高位端面2022はそれぞれ均一高さで形成されている。
【0012】
複数の高位端面2022は、X矢印方向において下位端面2020から離れるほど先端端面2010からの高さが大きく形成されている。
本実施の形態では、高位端面2022は、X矢印方向において下位端面2020に隣接する高位端面2022が第1高位端面2022Aとして形成され、X矢印方向において第1高位端面2022Aに隣接する高位端面2022が、第1高位端面2022Aよりも先端端面2010からの高さが大きい第2高位端面2022Bとして形成されている。
さらに、本実施の形態では、割りピン2210は、係止具挿通孔1412にその長手方向の中間部が係止した状態で、その長手方向の両端は、ロック部材20Aの先端端面2010から等しい間隔をおいて基部1402の外周面から互いに離れる方向に突出するので、下位端面2020と第1高位端面2022と第2高位端面2022は、基端端面2012の周方向に位相をずらした箇所でそれぞれ基端端面2012の直径状で中心孔2002の両側の箇所に設けられている。言い換えると、それら下位端面2020と第1高位端面2022と第2高位端面2022面は、それぞれ中心孔2002を跨いで2つずつ設けられている。
【0013】
また、本実施の形態では、下位端面2020と第1高位端面2022Aとの間は、X矢印方向において下位端面2020から第1高位端面2022Aに至るにつれて先端端面2010からの高さが次第に大きくなる第1傾斜端面2024で接続されている。
また、X矢印方向において隣り合う第1高位端面2022Aと第2高位端面2022Bとの間は、第1高位端面2022Aから第2高位端面2022Bに至るにつれて先端端面2010からの高さが次第に大きくなる第2傾斜端面2026で接続されている。
なお、X矢印方向において第2高位端面2022Bと下位端面2020との境の箇所は、下位端面2020から起立する起立面2028で接続されている。
【0014】
次に、本実施の形態のワンタッチ固定式ロックボルト10Aを用いたトンネル工事について説明する。
従来と同様に図5に示すように、地山が掘削されることで形成された地山内面50にコンクリートC1が吹き付けられ、トンネルの周方向および長手方向に間隔をおいた複数箇所において、コンクリートC1の上から地山に孔52が削孔され、各孔52にモルタルなどの定着材が注入される。
次に、コンクリートC1の上から各孔52にロックボルト本体14を挿入する。
この場合、図1に示すように、ロックボルト本体14に設けられた目印1430が、コンクリートC1の表面に位置するまで挿入する。
次に、ロックボルト本体14の基部1402をベアリングプレート56の中心孔5602に挿通させ、ベアリングプレート56をロックボルト本体14の基部1402に配置する。
【0015】
ベアリングプレート56が配置されたならば、先端端面2010をベアリングプレート56に向け、また、下位端面2020が高位端面2022よりも上方に位置するようにロック部材20Aの大径部2006の外周部を掴み、中心孔2002にロックボルト本体14の基部1402を挿通し、基部1402上でロック部材20Aをベアリングプレート56側に移動させる。
そして、ロック部材20Aの先端端面2010をベアリングプレート56に当接したならば、割りピン2210を係止具挿通孔1412に挿通させ、基部1402の外周面から突出する割りピン2210の2本の脚部2210Bを拡げ、割りピン2210を係止具挿通孔1412に係止させる。
この場合、係止具挿通孔1412が上下方向に延在している場合、上方から割りピン2210を係止具挿通孔1412に挿通させると、割りピン2210の頭部2210Aが係止具挿通孔1412の周辺の基部の上面に係止するため、割りピン2210が係止具挿通孔から外れて落下する虞がない。したがって、この場合には、2本の脚部2210Bを開く必要がない。
しかしながら、係止具挿通孔1412が水平方向に延在している場合、割りピン2210を係止具挿通孔1412に挿通させると、振動や何かが当たるなどすることで、割りピン2210が係止具挿通孔1412から外れて落下する虞があるため、この場合には、2本の脚部2210Bを開く必要がある。
【0016】
割りピン2210を係止具挿通孔1412に係止させたならば、基部1402上でロック部材20Aを時計回り方向に回転させる。
ロック部材20Aの時計回り方向への回転により割りピン2210の頭部2210Aと2本の脚部2210Bは、第1傾斜端面2024に接触しつつ第1傾斜端面2024から第1高位端面2022Aに至り、図1(B)に示すように、第1高位端面2022Aを押さえ付け、ロック部材20Aを介してベアリングプレート56をコンクリートC1の表面に押し付ける。
この場合、コンクリートC1の表面の凹凸状態などによっては、基部1402上でロック部材20Aを時計回り方向にさらに回転させる。
さらなるロック部材20Aの時計回り方向への回転により割りピン2210の頭部2210Aと2本の脚部2210Bは、第2傾斜端面2026を経て第1高位端面2022Aから第2高位端面2022Bに至り、第2高位端面2022Bを押さえ付け、ロック部材20Aを介してベアリングプレート56をコンクリートC1の表面に押し付ける。
【0017】
したがって、本実施の形態のワンタッチ固定式ロックボルト10Aによれば、ロックボルト本体14の基部1402上でロック部材20Aを移動させてベアリングプレート56に当接させ、係止具挿通孔1412に割りピン2210を挿入し、単にロック部材20Aを時計回り方向に回転させるというワンタッチ作業で済むため、従来のロックボルト54の基部1402の雄ねじにナット58を螺合し、ナット58を回転していく手間取る作業に比べて短時間でベアリングプレート56をコンクリートC1の表面に押し付ける作業を行なえ、ロックボルトの設置作業の効率化を図る上で有利となる。
また、ロックボルトの設置作業を短時間で行なうことができることから、コンクリートC1が吹き付けられた岩盤付近に短時間いれば足り、危険性を減少する上で有利となる。
また、短時間で地山を支保できるため、地山を早期に安定させる上で有利となる。
特に、本実施の形態のワンタッチ固定式ロックボルト10Aを用いれば、トンネル断面が大きく、トンネルの長さが大きくなり、ロックボルトの本数が数千、数万本の単位となった場合でも、ロックボルトの設置作業に要する時間を大幅に短縮でき、トンネル工事の施工期間を短縮化し、コストダウンを図る上で有利となる。
【0018】
また、本実施の形態のワンタッチ固定式ロックボルト10Aでは、下位端面2020と第1高位端面2022Aとの間は、先端端面2010からの高さが次第に大きくなる第1傾斜端面2024で接続されているので、ロック部材20Aの時計回り方向への回転時、係止用アーム16が第1傾斜端面2024を介して第1高位端面2022Aに円滑に乗り上がり、ロック部材20Aの回転操作を円滑に行なう上で有利となり、ロックボルトの設置作業の効率化を図る上で有利となる。
また、本実施の形態のワンタッチ固定式ロックボルト10Aでは、高さの異なる第1高位端面2022Aと第2高位端面2022Bとを備えているので、コンクリートC1の表面の凹凸状態などによって第1高位端面2022Aにより係止用アーム16を介してベアリングプレート56をコンクリートC1の表面に押し付けられない場合は、ロック部材20Aを時計回り方向へさらに回転することで、第2高位端面2022Bにより係止用アーム16を介してベアリングプレート56をコンクリートC1の表面に押し付けることができ、ロックボルトの設置作業をより確実に行なう上で有利となる。
【0019】
また、本実施の形態のワンタッチ固定式ロックボルト10Aでは、隣り合う第1高位端面2022Aと第2高位端面2022Bとの間は、第1高位端面2022Aから第2高位端面2022Bに至るにつれて先端端面2010からの高さが次第に大きくなる第2傾斜端面2026で接続されているので、ロック部材20Aの時計回り方向への回転時、係止用アーム16が第2傾斜端面2026を介して第1高位端面2022Aから第2高位端面2022Bに円滑に乗り上がり、ロック部材20Aの回転操作を円滑に行なう上で有利となり、ロックボルトの設置作業の効率化を図る上で有利となる。
また、本実施の形態のワンタッチ固定式ロックボルト10Aでは、ロック部材20Aの小径部2004の外径は割りピン2210の長さよりも小さい寸法で形成されているので、小径部2004の近傍の係止具挿通孔1412に割りピン2210を挿通する際に小径部2004が邪魔にならず、割りピン2210の係止具挿通孔1412への挿通作業を簡単に行なう上で有利となり、ロックボルトの設置作業の効率化を図る上で有利となる。
また、ロック部材20Aは、割りピン2210の長さよりも大きい外径の大径部2006を備えるので、大径部2006を把持し易く、ロック部材20Aの回転を円滑に行なう上で有利となり、ロックボルトの設置作業の効率化を図る上で有利となる。
また、大径部2006の外周部に、ロック部材20Aを把持し易くするための凹凸部2008が設けられているので、ロック部材20Aの回転操作を円滑に行なう上で有利となり、ロックボルトの設置作業の効率化を図る上で有利となる。
また、本実施の形態のワンタッチ固定式ロックボルト10Aでは、係止具挿通孔1412のロックボルト本体14の先部1401寄りの外周面の箇所に、コンクリートC1の表面に対してロックボルト本体14をどこまで挿入するかの目印1430が設けられているので、地山内面50に削孔した孔52へのロックボルト本体14の挿入を簡単に迅速に行なえ、また、ロック部材20Aの固定を確実に行なう上で有利となる。
【0020】
(第2の実施の形態)
次に、図3図4を参照して第2の実施の形態について説明する。
なお、以下の説明では第1の実施の形態と同様な箇所、部材に同一の符号を付してその説明を省略し、異なった箇所を重点的に説明する。
第2の実施の形態のワンタッチ固定式ロックボルト10Bでは、係止具22としてテーパピン2220を用いている点が第1の実施の形態と異なっており、テーパピン2220を用いていることから、ロック部材20Bの基端端面2012に設けられる下位端面2020と高位端面2022との配置構造も第1の実施の形態と異なっている。
第1の実施の形態と同様に、ロックボルト本体14の基部1402に貫通形成された係止具挿通孔1412よりもロックボルト本体14の先部1401寄りの外周面の箇所に、コンクリートC1の表面に対してロックボルト本体14をどこまで挿入するかの目印1430が設けられている。
テーパピン2220は既製品であり、細長状を呈している。
テーパピン2220を係止具挿通孔1412に押し込むと、図3に示すように、その長手方向の中間部が係止具挿通孔1412内に位置して係止具挿通孔1412に係止し、テーパピン2220の大径端部2220Aと小径端部2220Bとがそれぞれ基部1402の外周面の径方向外方に突出する。この場合、第1の実施の形態と異なり、テーパピン2220の両端は、ロック部材20Aの先端端面2010から異なった間隔をおいて基部1402の外周面から互いに離れる方向に突出する。
【0021】
図4に示すように、ロック部材20Bは、筒部2030と、筒部2030の端部からその径方向内側に延在する環板部2032とを備え、環板部2032の中心に中心孔2002が貫通形成されている。
図4(A)に示すように、筒部2030の外周部には、ロック部材20Bを把持し易いように、周方向に凹凸部2008が形成されている。
なお、テーパピン2220の大径端部2220Aは把持し易いため、第1の実施の形態と異なって、ロック部材20Bの外径はテーパピン2220の長さよりも大きい寸法で形成されている。
【0022】
ロック部材20Bは、中心孔2002にロックボルト本体14の基部1402が挿通された状態で、ロックボルト本体14の先部1401側に位置する環板状の先端端面2010と、その反対に位置する環板状の基端端面2012とを有している。
本実施の形態では、先端端面2010は筒部2030の端面で形成され、基端端面2012は、環板部2032の端面で形成されている。
基端端面2012には、先端端面2010からの高さが最も小さい均一高さの下位端面2020と、下位端面2020と周方向に位相をずらした箇所に設けられ下位端面2020よりも先端端面2010からの高さが大きい均一高さの高位端面2022とを有している。
高位端面2022は、基端端面2012の周方向で図4(A)に示すX矢印(反時計回り)方向に位相をずらし高さを異ならせて複数設けられ、複数の高位端面2022はそれぞれ均一高さで形成されている。
【0023】
複数の高位端面2022は、X矢印方向において下位端面2020から離れるほど先端端面2010からの高さが大きく形成されている。
本実施の形態では、高位端面2022は、X矢印方向において下位端面2020に隣接する高位端面2022が第1高位端面2022Aとして形成され、X矢印方向において第1高位端面2022Aに隣接する高位端面2022が、第1高位端面2022Aよりも先端端面2010からの高さが大きい第2高位端面2022Bとして形成されている。
本実施の形態では、図3に示すように、テーパピン2220を係止具挿通孔1412に押し込むと、テーパピン2220の大径端部2220Aは基端端面2012に近づき、小径端部2220Bは基端端面2012から離れるため、第1の実施の形態と異なり、それら下位端面2020と第1高位端面2022と第2高位端面2022面は大径端部2220Aに当接するようにそれぞれ1つずつ設けられている。
【0024】
また、本実施の形態では、下位端面2020と第1高位端面2022Aとの間は、X矢印方向において下位端面2020から第1高位端面2022Aに至るにつれて先端端面2010からの高さが次第に大きくなる第1傾斜端面2024で接続されている。
また、X矢印方向において隣り合う第1高位端面2022Aと第2高位端面2022Bとの間は、第1高位端面2022Aから第2高位端面2022Bに至るにつれて先端端面2010からの高さが次第に大きくなる第2傾斜端面2026で接続されている。
なお、X矢印方向において第2高位端面2022Bと下位端面2020との境の箇所は、下位端面2020から起立する起立面2028で接続されている。
【0025】
次に、本実施の形態のワンタッチ固定式ロックボルト10Bを用いたトンネル工事について説明する。
従来と同様に図5に示すように、地山が掘削されることで形成された地山内面50にコンクリートC1が吹き付けられ、コンクリートC1の上から地山に孔52が削孔され、各孔52にモルタルなどの定着材が注入される。
次に、コンクリートC1の上から各孔52にロックボルト本体14を、目印1430がコンクリートC1の表面に位置するまで挿入し、次に、ロックボルト本体14の基部1402をベアリングプレート56の中心孔5602に挿通させ、ベアリングプレート56をロックボルト本体14の基部1402に配置する。
【0026】
ベアリングプレート56が配置されたならば、先端端面2010をベアリングプレート56に向け、また、下位端面2020が高位端面2022よりも上方に位置するようにロック部材20Bの外周部2004を掴み、中心孔2002にロックボルト本体14の基部1402を挿通し、基部1402上でロックボルト本体14をベアリングプレート56側に移動させる。
そして、ロック部材20Bの先端端面2010をベアリングプレート56に当接したならば、テーパピン2220の小径端部2220Bから係止具挿通孔1412に挿通させて押し込み、テーパピン2220を係止具挿通孔1412に係止させる。
【0027】
テーパピン2220を係止具挿通孔1412に係止させたならば、基部1402上でロック部材20Bを時計回り方向に回転させる。
ロック部材20Bの時計回り方向への回転によりテーパピン2220の大径端部2220Aは、第1傾斜端面2024に接触しつつ第1傾斜端面2024から第1高位端面2022Aに至り、図1(B)に示すように、第1高位端面2022Aを押さえ付け、ロック部材20Bを介してベアリングプレート56をコンクリートC1の表面に押し付ける。
また、コンクリートC1の表面の凹凸状態などによっては、基部1402上でロック部材20Bを時計回り方向にさらに回転させる。
さらなるロック部材20Bの時計回り方向への回転によりテーパピン2220の大径端部2220Aは、第2傾斜端面2026を経て第1高位端面2022Aから第2高位端面2022Bに至り、第2高位端面2022Bを押さえ付け、ロック部材20Bを介してベアリングプレート56をコンクリートC1の表面に押し付ける。
なお、ロック部材20Bの回転時、テーパピン2220の小径端部2220Bは第1高位端面2022Aに対向する箇所から第2高位端面2022に対向する箇所に至るが、小径端部2220Bはそれら第1高位端面2022Aや第2高位端面2022に接触せずにそれら第1高位端面2022Aや第2高位端面2022から離れた箇所に位置する。
【0028】
したがって、本実施の形態のワンタッチ固定式ロックボルト10Bによれば、ロックボルト本体14の基部1402上でロック部材20Bを移動させてベアリングプレート56に当接させ、係止具挿通孔1412に割りピン2210を挿入し、単にロック部材20Bを時計回り方向に回転させるというワンタッチ作業で済むため、第1の実施の形態と同様に、従来のロックボルト54の基部1402の雄ねじにナット58を螺合し、ナット58を回転していく手間取る作業に比べて短時間でベアリングプレート56をコンクリートC1の表面に押し付ける作業を行なえ、ロックボルトの設置作業の効率化を図る上で有利となる。
したがって、第1の実施の形態と同様に、コンクリートC1が吹き付けられた岩盤付近に短時間いれば足り、危険性を減少する上で有利となり、また、短時間で地山を支保できるため、地山を早期に安定させる上で有利となる。
特に、本実施の形態のワンタッチ固定式ロックボルト10Bを用いれば、トンネル断面が大きく、トンネルの長さが大きくなり、ロックボルトの本数が数千、数万本の単位となった場合でも、ロックボルトの設置作業に要する時間を大幅に短縮でき、トンネル工事の施工期間を短縮化し、コストダウンを図る上で有利となる。
【0029】
また、第1の実施の形態と同様に、第1傾斜端面2024や第2傾斜端面2026を設けているので、ロック部材20Bの回転操作を円滑に行なう上で有利となり、ロックボルトの設置作業の効率化を図る上で有利となる。
また、高さの異なる第1高位端面2022Aと第2高位端面2022Bとを備えているので、ロックボルトの設置作業をより確実に行なう上で有利となる。
【0030】
また、ロック部材20Bの外周部2004に、ロック部材20Bを把持し易くするための凹凸部20082006が設けられているので、ロック部材20Bの回転操作を円滑に行なう上で有利となり、ロックボルトの設置作業の効率化を図る上で有利となる。
また、ロックボルト本体14に、コンクリートC1の表面に対してロックボルト本体14をどこまで挿入するかの目印1430が設けられているので、地山内面50に削孔した孔52へのロックボルト本体14の挿入を簡単に迅速に行なえ、また、ロック部材20Bの固定を確実に行なう上で有利となる。
【0031】
なお、第1、第2の実施の形態では、ロックボルト本体14に一つの係止具挿通孔1412が設けられている場合について説明したが、係止具挿通孔1412をロックボルト本体14の長手方向に間隔をおいて複数設けてもよく、このような構成にすると、1本のロックボルト本体14を、地山に削孔される深さの異なる孔52に共通して利用できるようになり、コストダウンを図る上で有利となる。
この場合、ロックボルト本体14の軸方向から見て係止具挿通孔1412の延在方向の位相を異ならせると、ロックボルト本体14の基部の剛性を確保する上で有利となる。
また、第1、第2の実施の形態では、係止具22として割りピン2210やテーパピン2220を用いた場合について説明したが、係止具22はそれらに限定されず従来公知の様々なものが使用可能である。
また、第1、第2の実施の形態では、ワンタッチ固定式ロックボルト10A、10Bがトンネル工事に用いられる場合について説明したが、ワンタッチ固定式ロックボルト10A、10Bの用途はトンネル工事に限定されず、従来公知の様々な用途に適用される。
【符号の説明】
【0032】
10A、10B ワンタッチ固定式ロックボルト
14 ロックボルト本体
1401 先部
1402 基部
1412 係止具挿通孔
1430 目印
20A、20B ロック部材
2002 中心孔
2004 小径部
2006 大径部
2010 先端端面
2012 基端端面
2020 下位端面
2022 高位端面
2022A 第1高位端面
2022B 第2高位端面
2024 第1傾斜端面
2026 第2傾斜端面
2028 起立面
2030 筒部
2032 環板部
22 係止具
2210 割りピン
2210A 頭部
2210B 脚部
2220 テーパピン
2220A 大径端部
2220B 小径端部
50 地山内面
52 孔
56 ベアリングプレート
C1 コンクリート
図1
図2
図3
図4
図5
図6