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▶ 山崎 清の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】焼印装置
(51)【国際特許分類】
   B44B 7/00 20060101AFI20231127BHJP
【FI】
B44B7/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020086174
(22)【出願日】2020-05-15
(65)【公開番号】P2021178496
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】520170944
【氏名又は名称】山崎 清
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 全啓
(74)【代理人】
【識別番号】100167966
【弁理士】
【氏名又は名称】扇谷 一
(72)【発明者】
【氏名】山崎 清
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-301390(JP,A)
【文献】実開昭55-45519(JP,U)
【文献】米国特許第1960870(US,A)
【文献】実開昭62-142599(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B44B 7/00 - 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その表面に版面を有する版と、
前記版を、前記版面とは異なる面において、焼き印を押すに最適な形状になるように保持する、版保持体と、
前記版保持体に連設された、前記版を加熱するヒーター体と、
前記版保持体に適宜な間隔を置いて配設された、押し付け体と、
前記押し付け体を前記版保持体に向けて案内する、支持棒と、
前記押し付け体と前記版保持体との間に介装され、前記押し付け体による押付け力を版保持体に伝達する押し付け力伝達部と、
前記押し付け体を保持するための把手部とを備え、
前記把手部を前記押し付け体に取り付ける一対の把手取付部が、適宜な間隔を置いて押し付け体に取り付けられ、
一対の把手取付部の間を結ぶ仮想第1直線上の中心点を挟んで等距離をおいて、前記一対の把手取付部の間を結ぶ仮想第1直線より向こう側と及び手前側とに分かれて、一対の支持棒が配設され、
前記一対の支持棒は、前記一対の把手取付部の間を結ぶ仮想第1直線と前記一対の支持棒の間を結ぶ仮想第2直線とのなす角度が鋭角となるように、直接的に又は間接的に版保持体に取り付けられている、
焼印装置。
【請求項2】
前記版保持体は、平面視方形の立方体であり、その一方の面に版が取り付けられ、且つその他方の面に、取り付け台が取り付けられ、
前記取り付け台には、前記支持棒が取り付けられ、
前記押し付け体は、前記支持棒に緩挿され、取り付け台との間に介装された押し付け力伝達部を押圧して取り付け台に向けて前記支持棒に案内されて、近づくように構成されている、請求項1に記載の焼印装置。
【請求項3】
前記版保持体及び取り付け台は、平面視方形状の立方体形状であり、
前記一対の支持棒は、前記版保持体及び取り付け台の対角線上に配設されている、請求項1または2に記載の焼印装置。
【請求項4】
前記押し付け力伝達部は、前記支持棒の周囲に巻装された巻きバネであり、前記巻きバネの上端が、前記押し付け体の下面に当接し、前記巻きバネの下端が、取り付け台の上の面に、当接したことを特徴とする、請求項2または3のいずれかに記載の焼印装置。
【請求項5】
前記押し付け体は、一対の把手取付部が、その左右端に、手前側端と向こう側端と均等な距離をあけて取り付けられている、請求項1ないし4のいずれかに記載の焼印装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、焼印装置に関し、特に、例えば、手で持って、合成樹脂、木材等に、文字や図形等の画線を刻印する焼印装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、版を加熱して、合成樹脂や木材に、文字や図形長さの画線を、刻印することが、行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】公開実用昭和55-45519
【文献】特開2001-301390
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の加熱スタンピング装置は、カムとレバーなどからなる機械的な版の駆動部と版の取り付け台とをばねを介して連結することにより、バネの強さによって定まる一定の押圧力を得ると共に、ストッパーを設けてその間の距離を任意に設定するためのねじ等による調節機構を設けたものである。
しかしながら、この特許文献1の加熱スタンピング装置は、手で持って焼印を施すものではなく、相当大きな装置である。
特許文献2の電気式焼印器は、握り手を有する焼印器本体の下部に、U字型管状ヒーターを複数本並列に配し、複数本のU字型管状ヒーター先端にわたって脱着自在な焼き印判を挟持固定することにより、構成されている。
しかしながら、この特許文献2の焼印器は、大型な装置であり、焼き印判も大型で、ステーキなどの比較的柔らかい食品の表面には、焼き付け模様を施すことができるが、硬質の合成樹脂や木材等の表面には、美麗な焼印を施すことはできない。
現在、手で持って、簡単に焼き印を、美麗に押すことができる焼印装置が求められている。
【0005】
この発明はかかる事情に鑑みなされたもので、この発明の目的は、手で持って焼印を施すことができるように小型で軽量とすることができ、プラスチックや木材等のような比較的硬質な被焼印体にも美麗に焼印を施すことができる焼印装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1にかかる焼印装置は、その表面に版面を有する版と、
前記版を、前記版面とは異なる面において、焼き印を押すに最適な形状になるように保持する、版保持体と、
前記版保持体に連設された、前記版を加熱するヒーター体と、
前記版保持体に適宜な間隔を置いて配設された、押し付け体と、
前記押し付け体を前記版保持体に向けて案内する、支持棒と、
前記押し付け体と前記版保持体との間に介装され、前記押し付け体による押付け力を版保持体に伝達する押し付け力伝達部と、
前記押し付け体を保持するための把手部とを備え、
前記把手部を前記押し付け体に取り付ける一対の把手取付部が、適宜な間隔を置いて押し付け体に取り付けられ、
一対の把手取付部の間を結ぶ仮想第1直線上の中心点を挟んで等距離をおいて、前記一対の把手取付部の間を結ぶ仮想第1直線より向こう側と及び手前側とに分かれて、一対の支持棒が配設され、
前記一対の支持棒は、前記一対の把手取付部の間を結ぶ仮想第1直線と前記一対の支持棒の間を結ぶ仮想第2直線とのなす角度が鋭角となるように、直接的に又は間接的に版保持体に取り付けられている、
焼印装置である。
請求項2にかかる焼印装置は、前記版保持体は、平面視方形の立方体であり、その一方の面に版が取り付けられ、且つその他方の面に、取り付け台が取り付けられ、
前記取り付け台には、前記支持棒が取り付けられ、
前記押し付け体は、前記支持棒に緩挿され、取り付け台との間に介装された押し付け力伝達部を押圧して取り付け台に向けて前記支持棒に案内されて、近づくように構成されている、請求項1に記載の焼印装置である。
請求項3にかかる焼印装置は、前記版保持体及び取り付け台は、平面視方形状の立方体形状であり、
前記一対の支持棒は、前記版保持体及び取り付け台の対角線上に配設されている、請求項1または2に記載の焼印装置である。
請求項4にかかる焼印装置は、前記押し付け力伝達部は、前記支持棒の周囲に巻装された巻きバネであり、前記巻きバネの上端が、前記押し付け体の下面に当接し、前記巻きバネの下端が、取り付け台の上の面に、当接したことを特徴とする、請求項2または3のいずれかに記載の焼印装置である。
請求項5にかかる焼印装置は、前記押し付け体は、一対の把手取付部が、その左右端に、手前側端と向こう側端と均等な距離をあけて取り付けられている、請求項1ないし4のいずれかに記載の焼印装置である。
【発明の効果】
【0007】
本件発明に係る焼印装置によれば、版の版面が、全面的に被焼印体の表面と接することができ、又、被焼印体の表面に対して傾きが生じていたとしても、支持棒の配置及び押し付け力伝達部の作用により補正することができ、版の版面の文字や図形などの画線を、正確にかつ美麗に、被焼印体の表面に表すことができる。
【0008】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴及び利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態である焼印装置の斜視図解図である。
図2】本発明の一実施の形態である焼印装置の正面図解図である。
図3】本発明の一実施の形態である焼印装置側面図解図である。
図4】本発明の一実施の形態である焼印装置の平面図解図である。
図5】本発明の一実施の形態である焼印の装置の底面図解図である。
図6】一部を断面とした平面図解図である。
図7】一部を断面とした平面図解図である。
図8】(A)は押し付け体の斜視図解図であり、(B)は押し付け体の平面図解図であり、(C)は押し付け体の正面図解図である。
図9】取り付け台の平面図解図である。
図10】版保持体の平面図解図である。
図11】本発明の一実施の形態である焼印装置の組み立て方を示す断面図解図である。
図12A】把手部を版保持体に向けて押した状態を示す正面図解図である。
図12B】把手部を版保持体に向けて押した状態を示す正面図解図である。
図12C】把手部を版保持体に向けて押した状態を示す側面図解図である。
図13A】把手部を版保持体に向けて押した状態を示す正面図解図である。
図13B】把手部を版保持体に向けて押した状態を示す側面図解図である。
図14】本発明の一実施形態である、焼印装置の使用方法を示す斜視図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の一実施の形態である焼印装置について、主として図1ないし図14に基づいて、説明する。
【0011】
本実施の形態に係る焼印装置10は、
その表面に版面を有する版12と、
前記版12を、前記版面とは異なる面において、焼き印を押すに最適な形状になるように保持する、版保持体14と、
前記版保持体14に連設された、前記版12を加熱するヒーター体16と、
前記版保持体14に適宜な間隔を置いて配設された、押し付け体18と、
前記押し付け体18を前記版保持体14に向けて案内する、支持棒20と、
前記押し付け体18と前記版保持体14との間に介装され、前記押し付け体18による押付け力を版保持体14に伝達する押し付け力伝達部22と、
前記押し付け体18を保持するための把手部26とを備える。
前記把手部26を前記押し付け体18に取り付ける一対の把手取付部28が、適宜な間隔を置いて押し付け体18に取り付けられている。
一対の把手取付部、すなわち第1の把手取付部28A及び第2の把手取付部28Bの間を結ぶ仮想第1直線L1上の中心点L1Oを挟んで等距離をおいて、前記一対の把手取付部を構成する第1の把手取付部28Aと第2の把手取付部28Bとの間を結ぶ仮想第1直線L1より向こう側と及び手前側とに分かれて、一対の支持棒20が配設されている。
前記一対の支持棒を構成する第1の支持棒20A及び第2の支持棒20Bは、前記一対の把手取付部28の間を結ぶ仮想第1直線L1と、前記一対の 支持棒を構成する第1の支持棒20A及び第2の支持棒20Bの間を結ぶ仮想第2直線L2とのなす角度がほぼ同じ角度の鋭角となるように、直接的に又は間接的に版保持体14に取り付けられている。
【0012】
版12は、プラスチックや木材などの被焼印体Xの被焼印面に対向する下側の面に、版面30が形成されている。
前記版面30は、プラスチックや木材などの印を押す面に当接するに適する平面状であり、その表面に、文字や図形などの画線部32が刻設されている。
版12は、その上面に版保持体14に取り付けるための固定部34を備え、固定部34に連結されたボルト及びナットなどの固定具36をもって、版保持体14に固定されている。
版12は、熱伝導率の良い金属で一体成形されている。
この実施の形態においては、版12は、平面視長方形、四角形などの方形ないし平面視楕円形などの円形などの立方体であるアルミニウム等の金属製板の表面に、版面30が形成されている。
前記金属製板は、ヒーター体16の温度によって加熱され、プラスチックや木材などの被刻印面に焼き印を施すに最適な温度になるように、構成されている。
【0013】
前記版保持体14は、版12により焼き印を押すに最適な形状を備えており、その下の面が、版12を水平に取り付けることができるような平面状で、平面視方形の立方体である。
版保持体14は、版12及びヒーター体16を保持するに適するように、金属で一体成形されている。
【0014】
版保持体14は、版取り付け面を構成する下側面に、ボルト及びナット等の固定具36をもって版12が固定され、且つその上面に、ボルト及びナット等の固定具56をもって、取り付け台24が固定されている。
版保持体14の上側面は、平面状であり、且つ取り付け台24の下側面は、平面状であり、版保持体14と取り付け台24とが、密に、接して連結されるように、構成されている。
【0015】
この実施の形態においては、版保持体14は、版12に固定された固定具36が、版保持体14に穿ち設けられた貫通孔42に緩挿されるように、形成されている。
取り付け台24は、版12に固定された固定具36が、取り付け台24に穿ち設けられた貫通孔52に緩挿されるように、構成されている。
この実施の形態においては、版12に立設されたボルトなどの固定具36を版保持体14の貫通孔42及び取り付け台24の貫通孔52に緩挿して、前記ボルトに螺合したナット等の固定具36を締め上げて、版保持体14を取り付け台24に固定するとともに版12を版保持体14に固定するように、構成されている。
【0016】
この実施の形態においては、貫通孔42及び貫通孔52は、固定具36が版保持体14に穿ち設けられた貫通孔42及び取り付け台24に穿ち設けられた貫通孔52に緩挿され且つ貫通孔42及び貫通孔52に沿って移動できるように、版保持体14及び取り付け台24の長手方向に延びている。
この実施の形態においては、版保持体14及び取り付け台24は、版12と取り付け台24の上側の面に配設されたナット等の固定具36との間において挟み込まれることによって、版12を版保持体14に固定するとともに取り付け台24に固定するように、構成されている。
【0017】
版保持体14と取り付け台24とは、それらが接する面の中程に、ヒーター体16を収めるヒーター収納部48を構成する、凹部が形成されている。
この実施の形態においては、版保持体14は、ヒーター体16の熱を、版12に効率良く伝えることができるように、その中央にヒーター収納部48を構成する凹部を穿ち設けられた立方体状に熱伝導率の良いアルミニウムなどの金属で一体成形されている。
【0018】
ヒーター体16は、交流電源によって加熱するためのコードが付設されている。
この実施の形態においては、ヒーター体16は、版保持体14に穿ち設けられた支持棒固定部40に緩挿されるように、版保持体14の長手方向に延びる、長さ方向を有する柱状体に形成されている。
この実施の形態においては、ヒーター体16は、版保持体14と取り付け台24との間において挟み込むことによって、版保持体14に固定するとともに取り付け台24に固定するように、構成されている。
【0019】
取り付け台24は、版保持体14及びヒーター体16を、取り付けるに好適な形状であり、平面視方形の立方体であり、版保持体14の上部に連結されている。
【0020】
版保持体14は、取り付け台24と接する面の中ほどに、ヒーター体16を収納するためのヒーター収納部(凹部)48を構成する凹部が形成され、取り付け台24は、版保持体14と接する面の中程に、ヒーター体16を収納するためのヒーター収納部58を構成する凹部が形成されている。
ヒーター収納部(凹部)48とヒーター収納部58とは、版保持体14と取り付け台24とが固定されたとき、それらが合わさって、ヒーター体16を覆ように構成されている。
【0021】
この実施の形態においては、版保持体14及び取り付け台24は、版保持体14の中央に穿ち設けられた固定孔44及び取り付け台24に穿ち設けられた固定孔54に、ボルト等の固定具56が貫挿され、且つ固定具56が版保持体14に固定されている。
この実施の形態においては、版保持体14及び取り付け台24は、版保持体14と取り付け台24の上側の面に配設されたナット等の固定具56との間において挟み込まれることによって、版保持体14を取り付け台24に固定するとともにヒーター体16を版保持体14と取り付け台24との間に固定するように、構成されている。
【0022】
取り付け台24は、支持棒20及び押し付け力伝達部22を取り付けるように、構成されている。
取り付け台24は、その上面に第1の支持棒20A及び第2の支持棒20Bを垂直方向に立設することができるように、支持棒固定部50を構成するネジ穴が刻設されており、その上面が平面状に形成されている。
【0023】
一方、前記版保持体14は、第1の支持棒20A及び第2の支持棒20Bを垂直方向に、立設することができるように、支持棒固定部40を構成するネジ穴が刻設されている。
取り付け台24の支持棒固定部50と前記前記版保持体14の支持棒固定部40とは、前記版保持体14と取り付け台24とが固定されたとき、第1の支持棒20A及び第2の支持棒20Bに亘って貫装されて、垂直方向に立設することができるように、支持棒固定部40と支持棒固定部50とを貫通する対応する位置に、配設されている。
【0024】
更に、取り付け台24は、その上面に、押し付け力伝達部22を接合する平面を備え、押し付け力伝達部22を垂直方向に立ち上がることができるように、構成されている。
この実施の形態においては、取り付け台24は、押し付け力伝達部22並びに第1の支持棒20A及び第2の支持棒20Bを立設することができるような剛体、例えば金属製の立方体状の板体で構成されている。
【0025】
前記取り付け台24は、適宜な間隔をおいて押し付け体18が連結されており、前記押し付け体18に取り付ける一対の把手取付部28、すなわち第1の把手取付部28A及び第2の把手取付部28Bが、適宜な間隔を置いて押し付け体18に取り付けられている。
【0026】
前記押し付け体18は、左右端縁が垂直状の板形状ないしは平面視方形状の立方体形状であり、金属で一体成形されている。
この実施の形態においては、押し付け体18は、略エの字型の板体であり、右端及び左端に把手取付部固定部60が形成されている。
把手取付部固定部60は、右端と左端とが互いに平行な垂直面を有し、そこに取り付けられた第1の把手取付部28Aと第2の把手取付部28Bとが平行に対向して、上方に向けて立ち上がるように、構成されている。
【0027】
押し付け体18は、把手部26によって押し下げる等の作動をさせて押し付け体18を版保持体14及び取り付け台24に向けて上下動させるときに、支持棒20に案内されて、押し付け体18の左端及びその近傍と右端及びその近傍とが、取り付け台24との間の間隔を均一に保って上下動することができるように案内するための支持棒20を緩挿するために、支持棒取付部62を形成されている。
支持棒取付部62は、押し付け体18に穿ち設けられた貫通孔によって構成され、該貫通孔にボルトなどの支持棒20が緩挿されるように、形成されている。
【0028】
この実施の形態においては、支持棒取付部62は、第1の支持棒20Aを緩挿する、第1支持棒取付部62Aが、仮想第1直線L1よりも向こう側に配設され、第2の支持棒20Bを緩挿する第2支持棒取付部62Bが、第1直線L1よりも手前側に配設される。
そして、第1支持棒取付部62A及び第1の支持棒20Aと第2支持棒取付部62B 及び第2の支持棒20Bとを結ぶ仮想第2直線L2が、押し付け体18に取り付けられた第1の把手取付部28Aと第2の把手取付部28Bとの間を結ぶ仮想第1直線L1の中心を通るように、第1支持棒取付部62A及び第1の支持棒20A並びに、第2支持棒取付部62B及び第2の支持棒20Bが配設されている。
そして、第1支持棒取付部62A及び第1の支持棒20Aと仮想第1直線L1の中心を結ぶ仮想第2直線L2と仮想第1直線L1とのなす角度は、第2支持棒取付部62B及び第2の支持棒20Bと仮想第1直線L1の中心を結ぶ仮想第2直線L2と仮想第1直線L1とのなす角度とほぼ同じ角度の鋭角となる。
【0029】
支持棒20は、押し付け体18を版保持体14及び取り付け台24に向けて上下動させるときに、押し付け体18の左端及びその近傍と右端及びその近傍とが、取り付け台24との間の間隔を均一に保って上下動することができるように、案内するものである。
支持棒20は、押し付け体18に穿ち設けられた支持棒取付部62を構成する貫通孔に緩挿されるように、形成されている。
この実施の形態においては、支持棒20は、取り付け台24の支持棒固定部40に捩じ込まれて、立設されたボルトによって構成されている。第1の支持棒20A及び第2の支持棒20Bは、押し付け体18の支持棒取付部62を構成する貫通孔の直径より、第1の支持棒20A及び第2の支持棒20Bの直径の方が短いので、第1の支持棒20A及び第2の支持棒20Bが、支持棒取付部62に緩く挿入される。
【0030】
前記一対の支持棒20を構成する、第1の支持棒20Aと第2の支持棒20Bとは、
一対の把手取付部28を構成する第1の把手取付部28Aと第2の把手取付部28Bとの間を結ぶ仮想第1直線L1上の中心点O1を挟んで等距離をおいて、前記一対の把手取付部28を構成する第1の把手取付部28Aと第2の把手取付部28Bの間を結ぶ仮想第1直線L1より向こう側と及び手前側とに分かれて、配設されている。
【0031】
前記一対の第1の支持棒20Aと第2の支持棒20Bとは、前記一対の第1の把手取付部28Aと第2の把手取付部28Bとの間を結ぶ仮想第1直線L1と、前記一対の第1の支持棒20Aと第2の支持棒20Bとの間を結ぶ仮想第2直線L2とのなす角度がほぼ同じ角度の鋭角となるように、版保持体14に取り付けられている。この実施の形態においては、第1の支持棒20A及び第2の支持棒20Bは、版保持体14に連結された取り付け台24に、取り付けられている。
【0032】
この実施の形態においては、第1の支持棒20Aは、仮想第1直線 L1よりも向こう側に配設され、第2の支持棒20Bは、第1直線L1よりも手前側に配設される。
そして、第1の支持棒20Aと第2の支持棒20Bと結ぶ仮想第2直線が第1の把手取付部28Aと第2の把手取付部28Bとの間を結ぶ仮想第1直線の中心を通るように、第1の支持棒20A及び第2の支持棒20Bが配設されている。
そして、第1の支持棒20Aと仮想第1直線L1の中心を結ぶ仮想第2直線L2と仮想第1直線L1とのなす角度は、第2の支持棒20Bと仮想第1直線L1の中心を結ぶ仮想第2直線L2と仮想第1直線L1とのなす角度とほぼ同じ角度の鋭角となる。
この実施の形態においては、前記一対の支持棒を構成する、第1の支持棒20Aと第2の支持棒20Bとは、前記版保持体14及び押し付け体18並びに取り付け台24の対角線上に配設されている。
【0033】
前記押し付け力伝達部22は、前記支持棒20の周囲に巻装された巻きバネであり、前記巻きバネの上端が、前記押し付け体18の下面に当接し、前記巻きバネの下端が、取り付け台24の上の面に、当接している。
【0034】
一対の第1の把手取付部28A及び第2の把手取付部28Bは、押し付け体18の左右端に、押し付け体18の手前側端と向こう側端と均等な距離をあけて取り付けられている。
この実施の形態においては、第1の把手取付部28Aが、押し付け体18の右端の把手取付部固定部60に取り付けられ、第2の把手取付部28Bが、押し付け体18の左端の把手取付部固定部60に取り付けられている。
第1の把手取付部28A及び第2の把手取付部28Bは、正面視L字型に湾曲された、金属板で構成されており、その下端において、押し付け体18に取り付けられている。
この実施の形態においては、押し付け体18の把手取付部固定部60は、垂直な平面を有している。第1の把手取付部28A及び第2の把手取付部28Bは、略正面視覚Lの字型の板体であり、押し付け体18の把手取付部固定部60に取り付けられたときに互いに平行となる、垂直面を有しており、押し付け体18に取り付けられた第1の把手取付部28Aと第2の把手取付部28Bとが平行に対向して、上方に向けて立ち上がるように、構成されている。
左右に分かれた第1の把手取付部28Aと第2の把手取付部28Bとの間には、手で握るに適した、円柱状の把手26Aが架け渡されている。
【0035】
第1の把手取付部28A及び第2の把手取付部28Bの長手方向にのびる仮想中心線L1Hは、第1の把手取付部28Aと第2の把手取付部28Bとの間を結ぶ仮想第1直線L1と重なってのびるように、押し付け体18に取り付けられている。
又、第1の把手取付部28Aと第2の把手取付部28Bとの間に掛け渡された把手26A は、把手26Aの長手方向にのびる仮想中心線L1G が前記第1の把手取付部28A 及び第2の把手取付部28Bの長手方向にのびる仮想中心線L1Hと重なるように連続して、第1の把手取付部28Aと第2の把手取付部28Bとの間に掛け渡されている。
従って、第1の把手取付部28A 及び第2の把手取付部28Bの長手方向にのびる仮想中心線L1H と把手26Aの長手方向に延びる仮想中心線L1Gとは、第1の把手取付部28Aと第2の把手取付部28Bとの間を結ぶ仮想第1直線L1と重なるように、のびている。
【0036】
(使用方法)
本件発明に係る焼印装置10によれば、図12A及び図14に示すように、押し付け体18と版保持体14及び版12との間隔を略均等に保った状態で、版12の版面30が、全面的に被焼印体Xの表面(被焼印面)と接することができる。
又、図12B及び図12Cに示すように、版12の版面30が被焼印体の表面に対して傾きが生じていたとしても、支持棒20の配置及び押し付け力伝達部22の作用により、押し付け体18と版保持体14及び版12との間隔を補正することができる。
従って、本発明に係る焼印装置10によれば、版12の版面30の文字や図形などの画線を、正確に且つ美麗に、被焼印体Xの表面に表すことができる。
【0037】
この実施の形態においては、図12B及び図12Cに示すように、把手部26が、被焼印体Xの表面(被焼印面)に対して傾きが生じていたとしても、第1の支持棒20A及び第2の支持棒20Bが、押し付け体18の支持棒取付部62を構成する貫通孔の直径より、第1の支持棒20A及び第2の支持棒20Bの直径の方が短いので、第1の支持棒20A及び第2の支持棒20Bが、支持棒取付部62に緩く挿入されると共に、第1の把手取付部28Aと第2の把手取付部28Bとの間を結ぶ仮想第1直線を挟んで、第1の支持棒20Aと第2の支持棒20Bが手前側と向こう側とに分かれて配置されていること及び押し付け力伝達部22を構成するバネの縮む作用により、把手部26と版保持体14及び版12との間隔を補正することができ、版12の版面30の文字や図形などの画線を、正確に且つ美麗に、被焼印体Xの表面に表すことができる。
【0038】
この実施の形態においては、図13A及び図13Bに示すように、例えば、斜面や凸面等のように版12の版面30が被焼印体Xの表面(被焼印面)に対して傾きが生じて接するとしても、第1の支持棒20A及び第2の支持棒20Bが、押し付け体18の支持棒取付部62を構成する貫通孔の直径より、第1の支持棒20A及び第2の支持棒20Bの直径の方が短いので、第1の支持棒20A及び第2の支持棒20Bが、支持棒取付部62に緩く挿入されると共に、第1の把手取付部28Aと第2の把手取付部28Bとの間を結ぶ仮想第1直線を挟んで、第1の支持棒20Aと第2の支持棒20Bが手前側と向こう側とに分かれて配置されていること及び押し付け力伝達部22を構成するバネの縮む作用により、押し付け体18と版保持体14及び版12との間隔を補正することができ、版12の版面30の文字や図形などの画線を、正確に且つ美麗に、被焼印体Xの表面に表すことができる。
【0039】
以上のように、本発明の実施の形態は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施の形態に対し、機序、形状、材質、数量、位置又は配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。
すなわち、本発明の実施の形態について、焼印装置について説明したが、本発明は、これと均等な文字や図形等の画線を印字する印字装置などにも適用でき、それらは、本発明に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0040】
この発明は、文字や図形などの画線を印字する印字装置などにも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0041】
10 焼印装置
12 版
14 版保持体
16 ヒーター体
18 押し付け体
20 支持棒
20A 第1の支持棒
20B 第2の支持棒
22 押し付け力伝達部
24 取り付け台
26 把手部
26A 把手
28 把手取付部
28A 第1の把手取付部
28B 第2の把手取付部

30 版面
32 画線部
34 固定部
36 固定具

40 支持棒固定部
42 貫通孔
44 固定孔
48 ヒーター収納部(凹部)

50 支持棒固定部
52 貫通孔
54 固定孔
56 固定具
58 ヒーター収納部

60 把手取付部固定部
62 支持棒取付部
62A 第1支持棒取付部
62B 第2支持棒取付部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図14