(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】釣情報管理システム
(51)【国際特許分類】
A01K 89/017 20060101AFI20231127BHJP
A01K 89/015 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
A01K89/017
A01K89/015 A
(21)【出願番号】P 2020143237
(22)【出願日】2020-08-27
【審査請求日】2022-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】安田 悠
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-078253(JP,A)
【文献】特開2017-216938(JP,A)
【文献】特開2020-103303(JP,A)
【文献】特開2002-125541(JP,A)
【文献】特開2006-230358(JP,A)
【文献】特開2005-218312(JP,A)
【文献】特開2012-005430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 89/017
A01K 89/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣糸を巻回可能なスプールを有する魚釣用リールが取付けられた釣竿を備える釣情報管理システムであって、
該魚釣用リールと該釣竿とを含む釣具の使用時の該釣具の操作と操作環境に関する情報を検出する操作・環境情報検出部と、
該釣具の使用時の該釣具の操作と操作環境に関する情報を記憶する記憶部と、
該情報を表示する表示部と、を備え、
該表示部は、各投擲・落下毎の前記釣具の操作と操作環境に関する情報の一覧表示、所定の投擲・落下における前記釣具の操作と操作環境に関する情報の詳細表示、又は各投擲・落下毎の前記釣具の操作と操作環境に関する情報から算出される統計情報の表示の少なくともいずれかを表示可能とする
ものであり、
前記各投擲・落下毎の前記釣具の操作と操作環境に関する情報から算出される統計情報の表示は、少なくとも2軸で示されるグラフ表示の形態であることを特徴とする釣情報管理システム。
【請求項2】
前記釣具は、前記魚釣用リール、前記釣竿、前記釣糸、針、仕掛けを少なくとも含む、請求項1に記載の釣情報管理システム。
【請求項3】
前記釣具の操作環境は、該釣具の使用開始時刻、使用終了時刻、該釣具の使用時の気象条件、該釣具の使用場所を少なくとも含む、請求項1又は2に記載の釣情報管理システム。
【請求項4】
前記操作・環境情報検出部は、前記魚釣用リールの操作情報を検出するリール操作情報検出部と、前記釣竿の操作情報を検出する釣竿操作情報検出部と、を少なくとも含む、請求項1から3までのいずれか1項に記載の釣情報管理システム。
【請求項5】
前記魚釣用リールの操作情報は、リールのドラグ引出し量、リールのドラグ引出し速度、スプール回転開始点、スプール回転終了点、スプール径、スプールの最高回転数、スプールの回転速度履歴、ブレーキ設定、釣竿のモーション、バックラッシュ情報の少なくともいずれかを含む、請求項1から4までのいずれか1項に記載の釣情報管理システム。
【請求項6】
前記釣竿の操作情報は、釣竿の速度、釣竿の加速度、釣竿の変形量、釣竿のモーション、釣竿投擲方法の少なくともいずれかを含む、請求項1から5までのいずれか1項に記載の釣情報管理システム。
【請求項7】
前記グラフ表示が、2軸で示される場合、縦軸にスキル情報又は魚信情報のいずれかを含み、横軸に時間、位置情報、気象情報又は操作情報のいずれかを含む、請求項
1に記載の釣情報管理システム。
【請求項8】
前記統計情報は、魚の捕獲に関するヒット値の情報を少なくとも含む、請求項1から
7までのいずれか1項に記載の釣情報管理システム。
【請求項9】
前記所定の投擲・落下における前記釣具の操作と操作環境に関する情報の詳細表示は、該所定の投擲・落下における魚の捕獲に関するヒット値又は該捕獲された魚に関する情報を少なくとも含む、請求項1から
8までのいずれか1項に記載の釣情報管理システム。
【請求項10】
前記捕獲された魚に関する情報は、該魚の画像データを含む、請求項
9に記載の釣情報管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣糸を巻回可能なスプールを有する魚釣用リールが取付けられた釣竿を備える釣情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、船釣り等、一般に深場の魚層を対象とした魚釣りを行う場合、魚釣用電動リール等(以下、「魚釣用リール」という)が広く使用されている。
【0003】
従来、この種の魚釣用リールには、正確な棚取りを行って釣果の向上を図るため、スプール等の回転数を基に釣糸の繰出し量や巻取り量を計測する糸長計測装置が装着されており、リール本体に設けた表示器に、斯かる糸長計測装置の計測値が表示されるようになっている。
【0004】
このような魚釣用リールとして、特許文献1には、リール本体の側板間に回転自在に支持されたスプールと、当該スプールに巻回される釣糸の巻取り操作時の巻取り速度を検出する巻取り速度検出手段と、リール本体に設けられ、当該巻取り速度検出手段の検出値を表示する表示器とを備えた魚釣用リールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の魚釣用リールでは、リール本体に設けられた表示器に巻取り速度の検出値を表示するものであり、これをリールの外部に送信するものではなかった。また、魚釣用リールの情報を表示できるとしても、魚釣にはルアー、魚釣に関する画像、魚釣の環境等様々な情報が存在し得るが、特許文献1に開示の魚釣用リールではあくまでリールの特定の情報を表示するものであり、本来釣人が欲するであろう情報から比べると極めて限定的なものとならざるを得ないという問題があった。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、魚釣に関する様々な情報の表示態様を選択して表示することが可能な釣糸を巻回可能なスプールを有する魚釣用リールが取付けられた釣竿を備える釣情報管理システムを提供することにある。本発明のこれら以外の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムは、釣糸を巻回可能なスプールを有する魚釣用リールが取付けられた釣竿を備え、該魚釣用リールと該釣竿とを含む釣具の使用時の該釣具の操作と操作環境に関する情報を検出する操作・環境情報検出部と、該釣具の使用時の該釣具の操作と操作環境に関する情報を記憶する記憶部と、該情報を表示する表示部と、を備え、該表示部は、各投擲・落下毎の前記釣具の操作と操作環境に関する情報の一覧表示、所定の投擲・落下における前記釣具の操作と操作環境に関する情報の詳細表示、又は各投擲・落下毎の前記釣具の操作と操作環境に関する情報から算出される統計情報の表示の少なくともいずれかを表示可能とするように構成される。
【0009】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおいて、前記釣具は、前記魚釣用リール、前記釣竿、前記釣糸、針、仕掛けを少なくとも含むように構成される。また、本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおいて、前記釣具の操作環境は、該釣具の使用開始時刻、使用終了時刻、該釣具の使用時の気象条件、該釣具の使用場所を少なくとも含むように構成される。
【0010】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおいて、前記操作・環境情報検出部は、前記魚釣用リールの操作情報を検出するリール操作情報検出部と、前記釣竿の操作情報を検出する釣竿操作情報検出部と、を少なくとも含むように構成される。
【0011】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおいて、前記魚釣用リールの操作情報は、リールのドラグ引出し量、リールのドラグ引出し速度、スプール回転開始点、スプール回転終了点、スプール径、スプールの最高回転数、スプールの回転速度履歴、ブレーキ設定、釣竿のモーション、バックラッシュ情報の少なくともいずれかを含むように構成される。また、本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおいて、前記釣竿の操作情報は、釣竿の速度、釣竿の加速度、釣竿の変形量、釣竿のモーション、釣竿投擲方法の少なくともいずれかを含むように構成される。
【0012】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおいて、前記各投擲・落下毎の前記釣具の操作と操作環境に関する情報から算出される統計情報の表示は、少なくとも2軸で示されるグラフ表示の形態であるように構成される。
【0013】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおいて、前記グラフ表示が、2軸で示される場合、縦軸にスキル情報又は魚信情報のいずれかを含み、横軸に時間、位置情報、気象情報又は操作情報のいずれかを含むように構成される。
【0014】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおいて、前記統計情報は、魚の捕獲に関するヒット値の情報を少なくとも含むように構成される。
【0015】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおいて、前記所定の投擲・落下における前記釣具の操作と操作環境に関する情報の詳細表示は、該所定の投擲・落下における魚の捕獲に関するヒット値又は該捕獲された魚に関する情報を少なくとも含むように構成される。
【0016】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおいて、前記捕獲された魚に関する情報は、該魚の画像データを含むように構成される。
【発明の効果】
【0017】
上記実施形態によれば、魚釣に関する様々な情報の表示態様を選択して表示することが可能な釣糸を巻回可能なスプールを有する魚釣用リールが取付けられた釣竿を備える釣情報管理システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムを示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムの魚釣用リールを説明する図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムの魚釣用リールを説明する図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおける釣竿を説明する図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおける各形態の表示イメージを説明する図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおける操作情報を説明する図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおけるリスト表示を説明する図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおける詳細表示状態を説明する図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおけるグラフ表示の例を説明する図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおけるグラフ表示の例を説明する図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおけるグラフ表示の例を説明する図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおけるグラフ表示の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。複数の図面において共通する構素には当該複数の図面を通じて同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
【0020】
まず、
図1から
図4を参照して、釣情報管理システム100の基本的構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム100の構成を示す。
【0021】
図示のように、本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム100は、魚釣用リール10と、釣竿20と、仕掛け30と、釣情報処理装置40と、外部装置50と、からなる。
【0022】
魚釣用リール10は、一般的な魚釣用リールと同様、下記の操作が可能である。
スプール11に釣糸28を巻き取り、スプール11から釣糸28が放出可能な状態と不能な状態とを切り替え、釣糸28に設定値以上の張力をかけるとスプール11が空転させ(ドラグ機能)、上記張力の設定値を閾値として設定する。また、キャスト時のバックラッシュを防止するための制動力を調整する(両軸タイプのみ)。本実施形態に適用可能な魚釣用リール10は、上記操作及び状態を検出し、情報処理装置40に送信する。詳細は後述する。
【0023】
釣竿20は、一般的な釣竿と同様、魚釣用リール10を保持し、釣糸28を案内する。ユーザは、釣竿20を操作することで、釣糸28を必要に応じて操ることができる。本実施形態に適用可能な釣竿20は、釣竿20の操作及び状態の一部または全部を検出し、情報処理装置40に送信する。詳細は後述する。
【0024】
仕掛け30は、釣糸28の一端に取付けられ、魚に食い付かせるための釣針29を持つ。本実施形態では、ルアー(疑似餌)32内に釣針29を付けている。この他、狙う魚や釣法によって各種の仕掛けが用いられ、必要に応じてウキ、錘、撒餌容器、天秤などが用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
本実施形態では、仕掛けの一部に加速度センサなどの動作検出手段を備え、ルアー32の動作を情報処理装置40に送信する。動作検出手段は、必要に応じて、電源、記憶手段、通信手段と共に防水処理を施し、仕掛けの一部に封入する。
【0026】
以降、リール10、釣竿20、仕掛け30を総称して、本タックルと呼ぶことにする。また、情報処理装置40は、本タックルを構成する各要素からの検出結果を集積し、釣糸の放出開始毎の操作情報を集約した操作情報リストを作成する。詳細は後述する。情報処理装置40は、例えば、携帯情報端末(スマートフォン)等であってもよい。また、釣情報処理装置10は、魚釣用リール1若しくは釣竿21に組み込まれ、これらの一部を構成するようにしてもよい。若しくは、釣情報処理装置10の一部が、魚釣用リール1若しくは釣竿20に組み込まれるようにしてもよい。情報処理装置40の一部もしくは全部が、インターネット上のサーバ(クラウド)内にあってもよい。
【0027】
外部装置50は、魚釣りに関する情報の内、本タックルで取得できないものを取得するための装置であり、送信部を備えることで情報処理装置40へ各種情報を送信することができる。情報処理装置40は、受信した該情報を、操作情報リストと関連付けることができる。また、外部装置50は、より具体的には、撮像装置(カメラ)51、仕掛け認識装置52、イベント記録装置53、環境センサ54、情報端末55、魚群探知機56などとして構成することができるが、これらに限られない。外部装置50は、情報処理装置40と同一装置内に構成されても良いし、リール10や釣竿20に取り付け可能なものであってもよい。
【0028】
図2は、リール10の機械的な部品構成を示す図であり、(A)はリール10として両軸リールと呼ばれるタイプを用いた場合、(B)はスピニングリールと呼ばれるタイプを用いた場合を示している。まず、両軸リール10Aについて説明する。
【0029】
スプール11Aは、釣糸28を巻回可能であり、操作部14Aによって正回転させると釣糸28を巻き取ることができる。クラッチ12は、操作部14Aとの動力伝達の接続/解放を選択することができる。接続状態では操作部14Aによる巻き取りが可能である。開放状態ではスプール11Aを正逆方向に自由に回転させることができ、釣糸28は放出可能となる。
【0030】
ドラグ装置13は、釣糸28に設定した張力以上の負荷がかかると、スプール11を空転させることができる。また、操作部14Aは、例えば、ハンドルとして構成され、ユーザの回転操作をギヤ等の伝達機構によってスプール11Aに伝え、該スプール11Aを正回転することができる。なお、操作部14は、レバー等の操作部材と、モータ等の動力源との組み合わせでもよい。また、制動装置15は、スプールに制動力を働かせることができる。これにより、キャスティング時のバックラッシュ発生を抑制する。この制動力は、制動力設定部151で設定できる。
【0031】
次に、スピニングリール10Bについて説明する。スプール11Bは、リール本体に対してドラグ装置13Bを介して固定されている。ドラグ装置13Bは、釣糸28に設定した張力以上の負荷がかかると、スプール11を空転させることができる。釣糸28は、ラインガイド12Bに案内され、ラインガイド12Bがスプール11の周囲を回転することで、スプール11Bに巻き取られる。ラインガイド12Bは、リール本体に対して回転可能に支持されるロータの先に保持され、ベールアームの開閉により釣糸28の案内可否が切り替えられる。ベールアームが開状態では巻き取り不能となり、釣糸28は放出可能となる。ベールアームが閉状態では巻き取り可能となり、釣糸28は放出不能となる。
【0032】
操作部14Bは、例えばハンドルとして構成され、ユーザの回転操作をギヤ等の伝達機構によってロータに伝え、該ラインガイド12Bを正回転することができる。
【0033】
図3は、リール10の基本的構成を示す図である。リール10は、ユーザによる各種操作や、リールの状態を検出するための検出部19を有する。検出結果は演算部16に送られ、必要に応じて演算処理や、記憶部18で一時保存された後、通信部17を介して情報処理装置40に送信される。検出する情報や、構成次第では、検出部19から直接情報処理装置40に検出結果を送信してもよい。
【0034】
検出部19には、下記のものが挙げられる。コストや大きさなどの制限から、一部を省略してもよい。また、張力検出部191は、釣糸28に働く張力を検出する。釣糸28を案内するプーリーの回転軸に働く力をひずみセンサで検出するなど、従来公知の技術によって実現できる。
【0035】
スプール回転検出部192は、スプール11の回転を検出する。フォトインタラプタや磁気センサを利用したインクリメンタル式の回転センサなど、公知の手段で実現できる。スプール11のスムーズな回転を実現するため、非接触式の回転センサが望ましい。
【0036】
巻取り操作検出部193は、操作部14の回転を検出する。操作部14またはそれに連動して回転するギヤ等に回転センサを取付けることで実現できる。フォトインタラプタや磁気センサを利用したインクリメンタル式の回転センサなど、公知の手段で実現できる。操作部14のスムーズな回転を実現するため、非接触式の回転センサが望ましい。巻き取り操作検出部193と、スプール回転検出部192との差分をとることにより、ドラグ装置13によって空転した回転量を算出することができる。
【0037】
放出可能状態検出部194は、リール10から釣糸28が放出可能であるか否かを検出する。上述の両軸リール10Aの例では、クラッチ12の接続状態を検出することで実現できる。クラッチの作動する部材の一部に、リミットセンサ等を取付ければよい。スピニングリール10Bの例では、ベールアームの作動する部材の一部に、リミットセンサ等を取付ければよい。
【0038】
設定ドラグ力検出部195は、スプール11が空転する閾値となる設定張力を検出する。ドラグ装置内の摩擦部材に働くチャージ力を、圧力センサによって検出することなどによって実現できる。
【0039】
設定制動力検出部196は、バックラッシュ抑制のための制動力の設定値を検出する。制動力設定部151にボリューム抵抗などを設けることにより実現できる。コンピュータにより制動力を設定するタイプの制動装置では、制動装置への指令値を取得することで設定制動力検出部196とすることができる。
【0040】
上記検出部19によって得られた値を、必要に応じて演算部16にて演算することで、リール10の状態および操作情報を取得または算出できる。より具体的には、釣糸に働く張力、釣糸の巻き取り量、ドラグ装置による引き出し量、ドラグ設定力、放出可能状態、制動力の設定値が得られる。また、これらの時間微分値である、巻き取り速度や張力変化量も算出可能である。
【0041】
次に
図4を用いて、釣竿20の基本的構成要素の詳細を説明する。釣竿20は、ユーザによる各種操作や、釣竿20の状態を検出するための検出部21を有する。検出結果は演算部16に送られ、必要に応じて演算処理や、記憶部18で一時保存された後、通信部17を介して情報処理装置40に送信される。なお、この時の演算部16、通信部17、記憶部18は、有線接続などを利用することで、リール10のものと共有してもよいし、釣竿20専用のものであってもよい。これらは、リール10内に配置してもよいし、釣竿20に配置してもよい。
【0042】
検出部21には、下記のものが挙げられる。コストや大きさなどの制限から、一部を省略してもよい。たわみ検出部211は、釣竿20のたわみ(曲がり)を検出する。釣竿20の各部にひずみセンサを設けることにより実現できる。
【0043】
方位検出部212は、地磁気の方向を検出することで、釣竿20の向いている方角を検出することができる。加速度検出部213は、釣竿20の並進方向の加速度を検出する。ピエゾ抵抗方式や静電容量検出方式などの、公知の加速度センサを利用することにより実現できる。
【0044】
角速度検出部214は、釣竿20の角速度(回転方向の速度)を検出する。振動させた圧電素子の周波数変化を検知する方式など、公知のジャイロセンサを利用することにより実現できる。
【0045】
なお、直交する3軸それぞれの方位、加速度、角速度を検出する9軸モーションセンサと呼ばれるセンサを利用することで、方位検出部212、加速度検出部213、角速度検出部214とすることができる。以後、これらをモーションセンサと呼ぶ。これらの検出結果を演算することで、釣竿20の姿勢や動作を取得できる。なお、モーションセンサはリール10内に配置してもよい。
【0046】
次に、検出部19、21から検出した結果の処理方法について説明する。
一般に、釣りをしている間、ユーザは下記のような手順で仕掛けの投入と回収を繰り返す。
(1)クラッチまたはベールアームを操作して、釣糸28を放出可能な状態にする。
(2)竿を振って仕掛けを投擲したり、錘の重力により仕掛けを落下させて釣糸28を放出する。
(3)仕掛けが所定の場所に到達したら、(1)と逆の操作により、釣糸28を巻き取り可能(放出不可能)な状態にする。
(4)操作手段14を操作してルアーを泳がせたり、そのまま放置する等して、魚種や釣法に応じた手段により、魚が食いつくのを待つ。
(5)魚がかかったら、または所定の時間が経過したら、操作手段14を操作して釣糸28を巻き取り、仕掛けを回収する。
(6)巻き取り終えたら、必要に応じて魚を回収したり、釣り餌やルアーを交換し、再度1に戻る
【0047】
したがって、情報処理装置40に集積した操作情報は、仕掛けの投入毎(釣糸の放出開始毎)にリスト化すると、ユーザが把握しやすくなり、便利である。本発明の実施形態では、該操作情報を、一覧表示状態、詳細表示状態、統計情報表示状態の3形態で表示することができる。
【0048】
一覧表示状態では、リスト化した検出結果の一覧表示を行う。これにより、詳細情報を選択するための索引機能や、全データの俯瞰をすることができる。また、詳細表示状態では、各投擲ごとの詳細な内容を表示することができる。これにより、該投擲における詳細なイベントや状態を把握することができる。さらに、統計情報表示状態では、各データの経時変化や、データ同士の相関を表示することができる。これにより、各項目の長期的な傾向を把握することができる。
図5に、各形態の表示イメージを示す。ユーザは、操作部35を操作することで、それぞれの表示形態を切り替えることができる。
【0049】
各検出部19、21で得られた検出結果を、仕掛けの投入毎にリスト化する方法について説明する。仕掛けの投入開始を検出することで、各検出結果を投入毎に区切ることができる。
【0050】
まず、仕掛けの投入開始検知方法について説明する。両軸リール10Aの場合、放出可能状態検出部194によりクラッチ12がオン状態からオフ状態になることを検出することで、上記(1)を認識できる。その後、スプール回転検出部192によりスプール11Aの回転開始を検出することで、上記(2)を認識できる。
【0051】
さらに、放出状態検出部194によりクラッチ12がオフ状態からオン状態になることを検出することで、上記(3)を認識できる。この3つが連続で発生した場合に、釣糸28の放出開始を検出したと見做すことができる。
【0052】
その他の方法では、釣糸の引き出し長さが所定値以下になった後に、スプール3の回転開始を検出したら、釣糸の放出が開始したと見做すことができる。この方法では、釣糸の引出し長さを正確に計算する必要はある一方、放出状態検出部194を使わずに釣糸の放出を検出することができる。
【0053】
スピニングリール10Bの場合、釣り糸31の放出時にスプール11Bが回転しない。このため、リール10B内の検出部では、当該(2)の認識が難しい。しかしながら、放出可能状態検出部194により、ベールが開状態になったことを検出することで、当該(1)を認識し、その後ベールが閉状態になったことを検出することで当該(3)を認識する。これにより、釣糸28の放出開始を検出したと見做すことができる。
【0054】
そして、リール10の検出部19および釣竿20の検出部21により、本タックルへの操作に伴って各種検出結果が出力される。その出力結果は、必要に応じて演算され、操作情報が得られる。操作情報の例としては、釣糸の放出糸長、釣竿の曲がり、操作手段による巻き取り速度、釣糸の張力などがあり、これらを
図6に示す。
【0055】
その他の操作情報の例として、ドラグ装置による釣糸引き出し長、釣糸の放出可能状態、ドラグ設定力、制動装置の制動力設定値、釣竿の仰角、並進速度、回転速度、などがある。
【0056】
得られた操作情報を、釣糸放出検出部22が放出を検出するタイミングごとに区切る。それを順番に並べることで、操作情報リストとすることができる。
図7には、放出開始ごとの操作情報を抽出することで作成したリスト表示の例を示す。
なお、リスト表示状態では、取得したすべての種類のデータを表示してもよいし、視認性向上のために、一部の項目を非表示にしてもよい。また、各項目の最小値や最大値、平均値などを表示してもよい。また、取得した全放出データを一覧表示しても良いし、日毎や月毎など、一定期間内に取得した投入データを一覧表示するようにしてもよい。この状態から、詳細表示させる放出データを選ぶと、詳細表示形態へ移行することができる。また、統計表示させるデータの種類を選ぶと、統計表示形態へ移行することができる。
【0057】
次に、
図8を参照して、詳細表示状態について説明する。
図8に、1回の投入に関する詳細表示の一例を示す。ここでは、魚釣りに関する取得または算出したすべての種類のデータを表示できるようにしている。この例では、5つのタブに分けてそれらを表示している。状況のタブは、釣りを行っている場所や天候に関する情報を表示する。本タックルに設けた検出部19、21だけでなく、環境センサ54から得られる温度、湿度などの環境情報や、情報端末を使って得られる位置情報、気象情報などを表示することができる。また、ユーザが情報処理装置40に直接入力するようにしてもよい。
【0058】
タックル情報のタブでは、使用しているタックルに関する情報を表示する。タックルに関する情報は、ユーザが情報処理装置40に手入力してもよいし、各タックルにRFIDタグなどの識別手段をつけて、その情報を仕掛け認識装置52で読み取ることでも取得できる。
【0059】
キャストのタブでは、仕掛けの投入開始から仕掛けの投入終了(上記(1)から(3))までのタックルの状態やユーザの操作に関する情報を表示する。釣糸やスプールの速度や位置の経時変化、制動装置15の設定制動力を表示している。投擲する際の釣竿20の動作(角速度や仰角変化)を表示してもよい。なお、リール10としてスピニングリール10Bを用いた場合、仕掛けの投入時にはスプール11Bが回転しないため、取得できるデータが少なくなることが考えられるが、このときは、キャストのタブの表示を省略してもよい。
【0060】
リトリーブのタブは、仕掛けの投入終了から仕掛けの回収終了(上記(4)、(5))までのタックルの状態やユーザの操作に関する情報を表示する。釣糸やスプールの速度や位置の経時変化、張力の経時変化、バックラッシュ発生の有無を表示する。
【0061】
また、
図8では、魚が仕掛けに食い付いた可能性を評価したヒットスコアを表示している。魚が仕掛けに食い付くと、張力が働く、過大な張力によりドラグ装置によってスプールが逆転する、釣竿が曲がる、などの変化が生じる。また、魚の引きに反応して、ユーザが釣竿を立てる操作を行う、リールを巻き取る、釣り上げた魚を撮影する、などの操作を行なうことが多い。これらの変化を検出し、演算することで、魚が仕掛けに食いついた可能性に応じたヒットスコアを算出することができる。このヒットスコア値を、糸長の変化や速度変化と同期して表示することで、釣果をあげた条件を記録することができる。リトリーブ速度やヒットスコアは、横軸に時間をとったグラフ表示にすると、経時変化を把握できる。横軸に糸長をとったグラフ表示にすると、仕掛けの位置に応じた変化を把握できる。
【0062】
魚が仕掛けに食い付いた際の反応には様々な種類があるため、ヒットスコアを精度よく算出するのは容易ではない。そこで、ヒットスコアのタブでは、算出の根拠となり得る情報を集めて表示することで、ユーザ自身で判断できるようにしている。この例では、ドラグ引出し量や竿操作の有無、撮影した画像情報、算出したヒットスコアの最大値などを表示している。また、ユーザによる自由記入欄を設けるようにすることもできる。
【0063】
次に、統計情報表示状態の詳細について説明する。統計情報表示状態では、取得および演算したデータを視覚的に効率よく把握させるために、グラフに整理して表示する。グラフに表す場合、本実施例ではスマートフォンなどの情報処理装置40の表示部を利用するため、アニメ表示や立体表示をすることで、3軸グラフを利用することも可能である。しかし、それらのグラフは、表示が複雑なため必ずしもデータを把握し易いとは言えないが、その場合は、データを把握しやすくするために、グラフ表示の項目数は2軸にするようにすることができる。
【0064】
他方で、本実施形態では検出部19、21として、合計10種類程度のセンサを用いているが、これに限られない。また、それらの組み合わせから算出する情報や、外部機器から取得可能な情報も多い。グラフ表示のために、これらの中から2軸の項目数を選ぶ組み合わせ方は膨大になる。この中には、ユーザにとって有益なものと、相対的にそれほど重要ではないものがあり得る。そこで、グラフ表示を行う項目を下記のように選ぶと、ユーザにとって有益なものとなり易いと考えられる。
【0065】
まず、取得または算出した各データを、下記の4つに分類する。
(a)操作情報:タックルの操作に関わる情報
(b)状況情報:釣りを行なっている状況に関わる情報
(c)魚信情報:魚信に関わる情報
(d)スキル情報:釣具を扱うスキルに関わる情報
【0066】
操作情報は、ユーザが自分で能動的に行う操作によって決まる情報である。具体的には、当該タックル情報のタブに関する情報、ブレーキ設定に関する情報、リトリーブ速度に関する情報、などが挙げられる。
【0067】
状況情報は、釣りを行う使用環境に関する情報である。具体的には、当該状況タブに関する情報が挙げられる。
【0068】
魚信情報は、魚が釣針を銜えたときに発生する現象に関する情報である。魚の反応があった際のユーザのリアクションも含めることができる。より具体的には、当該ヒットスコアに関する情報と、それによって算出したヒットスコア値が挙げられる。ヒットスコア値を信頼性高く算出するためには、多くの要素が必要となるが、それらを演算して一つの値として算出することで、グラフとして表示する際に便利である。
【0069】
スキル情報は、釣具を扱うスキルに関わる情報である。ユーザの習熟度に応じて決まる情報であり、より具体的には、飛距離に関する情報や、バックラッシュ発生に関する情報、手返し時間に関する情報などである。
【0070】
なお、上記の分類方法はデータの役割や意味で分類しているため、同じ物理量でも状況や解釈次第では分類場所が変わり得る。例えば、釣糸の放出距離に関して、仕掛けを遠方に飛ばす場合は、習熟度によって到達飛距離が変わるため、スキル情報となる。海底に落とした仕掛けを一定の深さまで巻き上げる場合は、操作に習熟する必要はないため、操作情報に分類するのが適切である。
【0071】
釣人にとって、より有益な情報を表示するためには、グラフを構成する2軸を下記のように選択すると良い。
縦軸:スキル情報、魚信情報 のいずれか
横軸:状況情報(経時変化含む)、操作情報 のいずれか
また、タックル種類などの操作情報や、釣り場所などの状況情報は、プロットの違いとしてグラフ上に複数表示しても良い。
【0072】
表示するグラフの2軸を、このように絞ることで、ユーザにとって有益なグラフを効率よく選択することができる。次に、
図9から
図12を参照して、これらの具体的な例について説明する。
【0073】
図9に、横軸に時間を、縦軸にスキル情報を表示した例を示す。(1)は縦軸に飛距離を、(2)はバックラッシュを、(3)は手返し時間を表示している。これにより、ユーザはそれぞれのスキル情報の経時変化を把握することができる。時間軸の表示単位を秒や分とした場合は、1回の釣行内での経時変化を把握できる。この場合は、縦軸には各投擲ごとの飛距離を表示するとよい。
【0074】
時間軸の表示単位を日や月にした場合は、長期的なスキル情報の変化を把握できる。この場合は、縦軸には一定期間内(例えば、1日間)の最高飛距離を表示するとよい。
【0075】
この他に用い得るスキル情報には、飛距離の合計値、スプールの最高速、などがあるが、これらに限定されることを意図するものではない。このように横軸に時間を、縦軸にスキル情報を表示することで、ユーザに達成感を感じさせたり、やりがい向上を促すことができる。
【0076】
図10の例では、横軸に状況情報である時間を、縦軸に魚信情報であるヒットスコアを表示している。これにより、ユーザは釣果の経時変化を把握することができる。また、釣り場毎や使用タックル毎にプロットを変えることで、より釣果を上げるための選択に役立つ情報を表示することができる。この他に横軸に用い得る状況情報としては、位置情報(釣り場情報)、気温や水温、湿度、風力、潮回りなどの気象情報、などがあるが、これらに限られない。このように、横軸に状況情報を、縦軸に魚信情報を表示することで、より釣果を上げやすい状況を選ぶための助けとなる。
【0077】
次に、
図11の例では、横軸に操作情報である制動力の設定値を、縦軸にスキル情報である仕掛けの飛距離を表示している。これにより、ユーザは仕掛けを遠方に飛ばすための最適な制動力について、統計的に把握することができる。タックルごとにプロットを変えると、より広い状況で正確に制動力の最適化が行なえる。
【0078】
この他に用い得る操作情報としては、使用しているタックル、放出した釣糸の長さ、設定ドラグ力、などがある。また、このほかに用い得るスキル情報には、飛距離の合計値、スプールの最高速、バックラッシュの発生率、手返し時間、などがある。このように、横軸に操作情報を、縦軸にスキル情報を表示することで、釣具をより有効に操作するための助けとなる。
【0079】
図12の例では、横軸に操作情報であるリトリーブ速度を、縦軸に魚信情報であるヒットスコアを表示している。これにより、ユーザは、魚が釣れやすいリトリーブ速度を把握することができる。ルアーごとにプロットを変えることで、ルアーごとの最適リトリーブ速度を把握できるようにしてもよい。この他に用い得る操作情報としては、使用しているタックル、放出した釣糸の長さ、設定ドラグ力、などがある。このように、横軸に操作情報を、縦軸に魚信情報を表示することで、より釣果を上げやすくする操作を行うための助けとなる。
【0080】
本発明の実施形態における統計表示状態では、グラフ表示に用いる2つの項目を上述のような選択肢から選ぶことで、ユーザにとって有用な情報表示方法を効率よく選択し、表示することができる。
【0081】
ここで、釣竿21は、釣竿の操作情報を検出する操作情報検出部と、該釣竿の操作情報を送信する送信部(送受信部)と、を備えるように構成することができる。
【0082】
次に、
図1に示すように、釣情報処理装置10には、魚釣用リール1と釣竿21とから釣具の操作と操作環境に関する情報を受信する受信部31と、該釣具の使用時の該釣具の操作と操作環境に関する情報を記憶する記憶部33と、該情報を表示する表示部34と、を備え、該表示部34は、各投擲・落下毎の前記釣具の操作と操作環境に関する情報の一覧表示、所定の投擲・落下における前記釣具の操作と操作環境に関する情報の詳細表示、又は各投擲・落下毎の前記釣具の操作と操作環境に関する情報から算出される統計情報の表示の少なくともいずれかを表示可能とするようにされる。釣り情報処理装置10は、さらに、処理部32を備え、該処理部32は、釣具の操作と操作環境に関する情報に基づき、各投擲・落下毎の前記釣具の操作と操作環境に関する情報の一覧表示、所定の投擲・落下における前記釣具の操作と操作環境に関する情報の詳細表示、又は各投擲・落下毎の前記釣具の操作と操作環境に関する情報から算出される統計情報表示のための表示情報生成処理を行う。
【0083】
次に、本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム100について説明する。本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム100は、魚釣用リール1、釣竿21、及び釣情報処理装置10を含むように構成される。
【0084】
より具体的には、本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム100は、釣糸を巻回可能なスプール3を有する魚釣用リール1が取付けられた釣竿21を備え、該魚釣用リール1と該釣竿21とを含む釣具の使用時の該釣具の操作と操作環境に関する情報を検出する操作・環境情報検出部22と、該釣具の使用時の該釣具の操作と操作環境に関する情報を記憶する記憶部33と、該情報を表示する表示部34と、を備え、該表示部は、各投擲・落下毎の前記釣具の操作と操作環境に関する情報の一覧表示、所定の投擲・落下における前記釣具の操作と操作環境に関する情報の詳細表示、又は各投擲・落下毎の前記釣具の操作と操作環境に関する情報から算出される統計情報の表示の少なくともいずれかを表示可能とするように構成される。
【0085】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム100により、魚釣に関する様々な情報の表示態様を選択して表示することが可能な釣糸を巻回可能なスプールを有する魚釣用リールが取付けられた釣竿を備える釣情報管理システムを提供することが可能となる。このようにして、釣人は釣に関する様々な情報を所望の表示形態で確認することができるため、釣人の釣への満足度や関心度を大幅に高めることが可能となる。
【0086】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム100において、当該釣具は、前記魚釣用リール、前記釣竿、前記釣糸、針、又は仕掛けを少なくとも含むように構成される。
【0087】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム100において、当該釣具の操作環境は、該釣具の使用開始時刻、使用終了時刻、該釣具の使用時の気象条件、又は該釣具の使用場所を少なくとも含むように構成される。
【0088】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム100において、当該操作・環境情報検出部22は、該魚釣用リール1の操作情報を検出するリール操作情報検出部23と、該釣竿21の操作情報を検出する釣竿操作情報検出部24と、を少なくとも含むように構成される。
【0089】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム100において、当該魚釣用リール1の操作情報は、リールのドラグ引出し量、リールのドラグ引出し速度、スプール回転開始点、スプール回転終了点、スプール径、スプールの最高回転数、スプールの回転速度履歴、ブレーキ設定、釣竿のモーション、バックラッシュ情報の少なくともいずれかを含むように構成される。
【0090】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム100において、当該釣竿20の操作情報は、釣竿の速度、釣竿の加速度、釣竿の変形量、釣竿のモーション、釣竿投擲方法の少なくともいずれかを含むように構成される。
【0091】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム100において、前記各投擲・落下毎の前記釣具の操作と操作環境に関する情報から算出される統計情報の表示は、少なくとも2軸で示されるグラフ表示の形態であるように構成される。
【0092】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム100において、前記グラフ表示が、2軸で示される場合、縦軸にスキル情報又は魚信情報のいずれかを含み、横軸に時間、位置情報、気象情報又は操作情報のいずれかを含むように構成される。
【0093】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム100において、該統計情報は、魚の捕獲に関するヒット値の情報を少なくとも含むように構成される。
【0094】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム100において、所定の投擲・落下における前記釣具の操作と操作環境に関する情報の詳細表示は、該所定の投擲・落下における魚の捕獲に関するヒット値又は該捕獲された魚に関する情報を少なくとも含むように構成される。また、本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおいて、前記捕獲された魚に関する情報は、該魚の画像データを含むように構成される。
【0095】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【符号の説明】
【0096】
10 魚釣用リール(リール)
11 スプール
12 クラッチ
14 操作部
15 制動装置
16 演算部
17 通信部
18 記憶部
19 検出部
20 釣竿
21 検出部
22 操作・環境情報検出部
23 リール操作情報検出部
24 釣竿操作情報検出部
25 送信部(送受信部)
28 釣糸
29 釣針
30 仕掛け
31 受信部
32 リスト作成部
33 処理部
34 表示部
35 操作部
50 外部機器(外部装置)
51 カメラ
52 仕掛け認識装置
53 イベント記録装置
54 環境センサ
55 情報端末
56 魚群探知機
100 釣情報管理システム
191 張力検出部
192 スプール回転検出部
193 巻取り操作検出部
194 放出可能状態検出部
195 設定ドラグ検出部
196 設定制動力検出部
211 たわみ検出部
212 方位検出部
213 加速度検出部
214 角速度検出部