(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】電動機
(51)【国際特許分類】
H02K 9/06 20060101AFI20231127BHJP
H02K 5/24 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
H02K9/06 E
H02K5/24 C
(21)【出願番号】P 2020177582
(22)【出願日】2020-10-22
【審査請求日】2022-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】二ノ宮 洋佑
(72)【発明者】
【氏名】礒道 貴矢
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-140809(JP,A)
【文献】特開2013-123284(JP,A)
【文献】特開昭61-251449(JP,A)
【文献】特開平10-271762(JP,A)
【文献】実開昭57-122170(JP,U)
【文献】実開昭54-073908(JP,U)
【文献】特開2013-253573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/00- 9/28
H02K 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を回転させる回転電機と、
前記回転軸に取り付けられたファンと、
前記回転電機に固定されて前記ファンを覆うファンカバーと、を備え、
前記ファンカバーのうち前記ファンと対向する対向面には、複数の
同心円状の吸気口としての開口を有するスリットが形成されたスリット領域が設けられており、
各々の前記スリッ
トの前記開口は、前記回転軸の回転中心である中心軸線
に垂直な方向に延びるように形成され、各々の前記開口は、前記中心軸線に近づくほど前記回転電機に近づく
、または前記回転電機から離れ
ることを特徴とする電動機。
【請求項2】
各々の前記開口は、階段状に前記回転電機
に近づくまたは前記回転電機から離れることを特徴とする請求項1に記載の電動機。
【請求項3】
回転軸を回転させる回転電機と、
前記回転軸に取り付けられたファンと、
前記回転電機に固定されて前記ファンを覆うファンカバーと、を備え、
前記ファンカバーのうち前記ファンと対向する対向面には、複数の同心円状の吸気口としての開口を有するスリットが形成されたスリット領域が設けられており、
各々前記スリットの前記開口は、前記回転軸の回転中心である中心軸線に垂直な方向に延びるように形成され、
各々の前記スリットが前記中心軸線に近づくほど前記回転電機に近づく近接領域と、各々の前記スリットが前記中心軸線に近づくほど前記回転電機から離れる離間領域とが前記中心軸線に向かって交互に設けられていることを特徴とす
る電動機。
【請求項4】
前記近接領域では、各々の前記開口は、階段状に前記回転電機に近づき、前記離間領域では、各々の前記開口は、階段状に前記回転電機から離れることを特徴とする請求項
3に記載の電動機。
【請求項5】
前記スリット間に設けられた柱状部の断面形状は、前記ファンを向く面とは反対側に凸となる曲線を有する形状であることを特徴とする
請求項1から4の何れか一つに記載の電動機。
【請求項6】
前記柱状部の断面形状は、翼型形状であることを特徴とする請求項
5に記載の電動機。
【請求項7】
前記柱状部は、前記曲線の頂点における法線方向が前記回転軸の回転中心である中心軸線側に向くように傾けられていることを特徴とする請求項
5または
6に記載の電動機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回転電機にファンカバーが取り付けられた電動機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているような、回転電機の回転軸に冷却ファンを取り付けた電動機が知られている。このような電動機では、回転軸とともに回転した冷却ファンによって発生された冷却風によって回転電機自身を冷却することができる。また、このような電動機では、ファンの周囲を覆うファンカバーが設けられる。ファンカバーには、空気を通過させるための複数のスリットが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動機では、振動および騒音の低減が課題となっている。電動機の振動は、電動機を取り付けた様々な機器の動作に影響を及ぼす。例えば、電動機を取り付けた工作機械では加工精度が低下したり騒音が増大したりする。電動機を取り付けたロボットでは位置決め速度および位置決め精度の低下を招く。そのため、電動機への振動低減の要求は近年ますます大きくなっている。ファンカバーでは、冷却ファンから伝達された振動と共振することで、振動および騒音が増大してしまう場合がある。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、ファンカバーが原因となる振動および騒音を抑えることができる電動機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示は、回転軸を回転させる回転電機と、回転軸に取り付けられたファンと、回転電機に固定されてファンを覆うファンカバーと、を備える。ファンカバーのうちファンと対向する対向面には、複数の同心円状の吸気口としての開口を有するスリットが形成されたスリット領域が設けられており、各々のスリットの開口は、回転軸の回転中心である中心軸線に垂直な方向に延びるように形成され、各々の開口は、中心軸線に近づくほど回転電機に近づく、または回転電機から離れる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ファンカバーが原因となる振動および騒音を抑えることができる電動機を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1にかかる電動機の概略構成を示す側面図
【
図3】
図2に示すIII-III線に沿って切断した断面図
【
図4】比較例にかかるファンカバーのスリット領域を拡大した部分拡大断面図
【
図5】実施の形態1の変形例1にかかる電動機の断面図であって、
図2に示すIII-III線に沿って切断した断面図に相当する図
【
図6】実施の形態1の変形例2にかかる電動機の断面図であって、
図2に示すIII-III線に沿って切断した断面図に相当する図
【
図7】実施の形態1の変形例3にかかる電動機の断面図であって、
図2に示すIII-III線に沿って切断した断面図に相当する図
【
図8】実施の形態1の変形例4にかかる電動機の断面図であって、
図2に示すIII-III線に沿って切断した断面図に相当する図
【
図9】実施の形態1の変形例5にかかる電動機の断面図であって、
図2に示すIII-III線に沿って切断した断面図に相当する図
【
図10】実施の形態2にかかる電動機の断面図であって、
図2に示すIII-III線に沿って切断した断面図に相当する図
【
図11】実施の形態2におけるファンカバーを拡大した部分拡大断面図
【
図12】実施の形態2の変形例1にかかる電動機の断面図であって、
図2に示すIII-III線に沿って切断した断面図に相当する図
【
図13】
図12に示した電動機が備えるファンカバーの部分拡大断面図
【
図14】実施の形態2の変形例2にかかる電動機の断面図であって、
図2に示すIII-III線に沿って切断した断面図に相当する図
【
図15】実施の形態2の変形例3にかかる電動機の断面図であって、
図2に示すIII-III線に沿って切断した断面図に相当する図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、実施の形態にかかる電動機を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる電動機の概略構成を示す側面図である。電動機1は、回転電機15と、冷却ファン5と、ファンカバー2と、を備える。回転電機15は、ケーシング3を有する。ケーシング3の内部には筒状の固定子16と、固定子16の内側に設けられた回転子17と、を有する。回転子17には、中心軸線100に沿って延びる回転軸4が連結されている。中心軸線100は、筒状の固定子16の中心軸と一致する。回転子17と回転軸4は、中心軸線100を中心に回転する。以下の説明において、回転電機15に対して
図1の紙面右側を負荷側と称し、紙面左側を反負荷側と称する。
【0011】
反負荷側となる回転軸4の端部には、冷却ファン5が取り付けられている。回転軸4が回転すると、冷却ファン5も回転することで、空気流が発生する。ファンカバー2は、回転電機15の反負荷側に設けられて、冷却ファン5を覆う。ファンカバー2は、回転電機15に固定されている。ファンカバー2は、例えば鋼板製である。
【0012】
図2は、
図1に示す矢印IIに沿って電動機を見た図である。
図3は、
図2に示すIII-III線に沿って切断した断面図である。ファンカバー2のうち冷却ファン5と対向する面には、ファンカバー2の内部と外部とを連通させる複数のスリット9が形成されたスリット領域18が設けられている。
【0013】
ファンカバー2と回転電機15との間であって、冷却ファン5よりも負荷側となる部分には開口10が形成されている。
【0014】
回転軸4とともに冷却ファン5が回転することで、ファンカバー2の外部から、スリット9を経て冷却ファン5へ向かう空気流6が生じる。スリット9は、ファンカバー2の外部から内部へ向かう空気流6を通過させる吸気口となる。冷却ファン5へ向かった空気流6は、冷却ファン5からファンカバー2の外周部12へ向かう空気流7へ変化する。さらに、その空気流7は、ファンカバー2の外周部12に当たることで、ファンカバー2の内部から開口10を経てファンカバー2の外部へ向かう空気流8へ変化する。開口10は、ファンカバー2の内部から外部へ向かう空気流8を通過させる吹出口となる。このように、冷却ファン5の回転で発生した空気流6,7,8が回転電機15の反負荷側端部や側面の周囲を通過することによって、回転電機15が冷却される。
【0015】
スリット領域18には、中心軸線100に近づくほど回転電機15から離れる離間領域19が設けられている。離間領域19では、中心軸線100に近づくほど階段状に回転電機15から離れていく。これにより、スリット領域18の断面形状は、中心軸線100に沿った方向において非対称となり、曲げモーメントに対する強さを表す断面係数が大きくなる。
【0016】
回転電機15は、回転軸4を回転させる動作時に、冷却ファン5に振動が発生し、発生した振動は回転電機15を通じてファンカバー2に伝達する。冷却ファン5から伝達される振動の共振周波数の1~3次成分は、回転電機15とファンカバー2とを固定する固定部より最も遠いスリット領域18に集中する。
【0017】
また、スリット9間に設けられる柱状部であるフィンガーガード20では、空気流6が衝突することで発生する流体抵抗によっても振動が大きくなる。また、フィンガーガード20の後流で発生する乱流6bによって冷却性能が低下する。
【0018】
図4は、比較例にかかるファンカバーのスリット領域を拡大した部分拡大断面図である。比較例にかかるファンカバー102では、スリット領域118には離間領域は設けられておらず平面形状であり、中心軸線100に沿った方向において対称な形状となる。そのため、本実施の形態1におけるファンカバー2のスリット領域18よりも、スリット領域118の断面係数が小さくなる。したがって、比較例にかかるファンカバー102では、スリット領域118において冷却ファンから伝達された振動、空気流6によって発生する振動が大きくなりやすい。冷却ファンから伝達される振動のなかでも、ねじり方向の振動に対して振動が大きくなりやすい。
【0019】
一方、本実施の形態1におけるファンカバー2では、スリット領域18に離間領域19が設けられていることで、スリット領域18の剛性および断面係数が大きくなる。これにより、スリット領域18の共振周波数が向上する。したがって、冷却ファン5から伝達される振動および空気流6によって発生する振動に対し、共振を抑制して振動を抑えることができる。また、特に、冷却ファン5から伝わるねじり方向の振動に対する耐振動性が向上する。
【0020】
図5は、実施の形態1の変形例1にかかる電動機の断面図であって、
図2に示すIII-III線に沿って切断した断面図に相当する図である。実施の形態1の変形例1にかかる電動機1では、ファンカバー2のスリット領域18に、中心軸線100に近づくほど回転電機15に近づく近接領域21が設けられている。近接領域21では、中心軸線100に近づくほど階段状に回転電機15に近づいていく。これにより、スリット領域18の断面形状は、中心軸線100に沿った方向において非対称となり、曲げモーメントに対する強さを表す断面係数が大きくなる。
【0021】
このように、実施の形態1の変形例1におけるファンカバー2では、スリット領域18に近接領域21が設けられていることで、スリット領域18の剛性および断面係数が大きくなる。これにより、スリット領域18の共振周波数が向上する。したがって、冷却ファン5から伝達される振動および空気流6によって発生する振動に対し、共振を抑制して振動を抑えることができる。特に、冷却ファン5から伝わるねじり方向の振動に対する耐振動性が向上する。
【0022】
図6は、実施の形態1の変形例2にかかる電動機の断面図であって、
図2に示すIII-III線に沿って切断した断面図に相当する図である。実施の形態1の変形例2にかかる電動機1では、ファンカバー2のスリット領域18に、中心軸線100に近づくほど回転電機15に近づく近接領域21が設けられている。近接領域21では、断面形状が直線形状になっている。この場合にも、スリット領域18の断面形状は、中心軸線100に沿った方向において非対称となり、曲げモーメントに対する強さを表す断面係数が大きくなる。
【0023】
このように、実施の形態1の変形例2におけるファンカバー2では、スリット領域18に近接領域21が設けられていることで、スリット領域18の剛性および断面係数が大きくなる。これにより、スリット領域18の共振周波数が向上する。したがって、冷却ファン5から伝達される振動および空気流6によって発生する振動に対し、共振を抑制して振動を抑えることができる。特に、冷却ファン5から伝わるねじり方向の振動に対する耐振動性が向上する。なお、
図3に示した離間領域19でも、断面形状を直線形状としてもよい。
【0024】
図7は、実施の形態1の変形例3にかかる電動機の断面図であって、
図2に示すIII-III線に沿って切断した断面図に相当する図である。実施の形態1の変形例3にかかる電動機1では、ファンカバー2のスリット領域18に、中心軸線100に近づくほど回転電機15に近づく近接領域21が設けられている。近接領域21では、断面形状が曲線形状になっている。この場合にも、スリット領域18の断面形状は、中心軸線100に沿った方向において非対称となり、曲げモーメントに対する強さを表す断面係数が大きくなる。
【0025】
このように、実施の形態1の変形例3におけるファンカバー2では、スリット領域18に近接領域21が設けられていることで、スリット領域18の剛性および断面係数が大きくなる。これにより、スリット領域18の共振周波数が向上する。したがって、冷却ファン5から伝達される振動および空気流6によって発生する振動に対し、共振を抑制して振動を抑えることができる。特に、冷却ファン5から伝わるねじり方向の振動に対する耐振動性が向上する。なお、
図3に示した離間領域19でも、断面形状を曲線形状としてもよい。
【0026】
図8は、実施の形態1の変形例4にかかる電動機の断面図であって、
図2に示すIII-III線に沿って切断した断面図に相当する図である。実施の形態1の変形例4にかかる電動機1では、ファンカバー2のスリット領域18に、中心軸線100に向かって離間領域19と近接領域21とが交互に設けられている。この場合にも、スリット領域18の断面形状は、中心軸線100に沿った方向において非対称となり、曲げモーメントに対する強さを表す断面係数が大きくなる。
【0027】
このように、実施の形態1の変形例4におけるファンカバー2では、スリット領域18に離間領域19と近接領域21とが交互に設けられていることで、スリット領域18の剛性および断面係数が大きくなる。これにより、スリット領域18の共振周波数が向上する。したがって、冷却ファン5から伝達される振動および空気流6によって発生する振動に対し、共振を抑制して振動を抑えることができる。特に、冷却ファン5から伝わるねじり方向の振動に対する耐振動性が向上する。
【0028】
また、離間領域19のみを設けた場合よりも電動機1を中心軸線方向に小型化できる。また、近接領域21のみを設けた場合よりもファンカバー2の内部の空間を確保して、円滑に空気流6,7,8を通過させることができる。
【0029】
図9は、実施の形態1の変形例5にかかる電動機の断面図であって、
図2に示すIII-III線に沿って切断した断面図に相当する図である。実施の形態1の変形例5にかかる電動機1では、ファンカバー2のスリット領域18に、中心軸線100に近づくほど回転電機15に近づく近接領域21が設けられている。近接領域21では、断面形状が、冷却ファン5が回転した際に通過する領域の形状に沿った形状になっている。この場合にも、スリット領域18の断面形状は、中心軸線100に沿った方向において非対称となり、曲げモーメントに対する強さを表す断面係数が大きくなる。
【0030】
このように、実施の形態1の変形例5におけるファンカバー2では、スリット領域18に冷却ファン5が回転した際に通過する領域の形状に沿った形状の近接領域21が設けられていることで、スリット領域18の剛性および断面係数が大きくなる。これにより、スリット領域18の共振周波数が向上する。したがって、冷却ファン5から伝達される振動および空気流6によって発生する振動に対し、共振を抑制して振動を抑えることができる。特に、冷却ファン5から伝わるねじり方向の振動に対する耐振動性が向上する。また、冷却ファン5が回転した際に通過する領域の形状に沿っていることから、ファンカバー2が冷却ファン5に対するシュラウドの役割をはたしており、空気流6が効率的に冷却ファン5に案内され、冷却性能が向上する。
【0031】
実施の形態2.
図10は、実施の形態2にかかる電動機の断面図であって、
図2に示すIII-III線に沿って切断した断面図に相当する図である。なお、上記実施の形態1と同様の構成については同様の符号を付して詳細な説明を省略する。実施の形態2にかかる電動機101では、ファンカバー2のフィンガーガード20の断面形状が、冷却ファン5を向く面と反対側に凸となる曲線を有する。
【0032】
図11は、実施の形態2におけるファンカバーを拡大した部分拡大断面図である。フィンガーガード20の断面形状が冷却ファン5を向く面と反対側に凸となる曲線を有することで、空気流6がフィンガーガード20に衝突する際の衝撃を抑えることができる。また、フィンガーガード20の後流で発生する乱流6bの規模を抑えることができる。これにより、冷却ファン5の回転によって発生する空気流の影響による振動および騒音の発生を抑えることができる。また、
図11に示すように、板材を折り曲げた形状でフィンガーガード20を形成してもよい。
【0033】
図12は、実施の形態2の変形例1にかかる電動機の断面図であって、
図2に示すIII-III線に沿って切断した断面図に相当する図である。
図13は、
図12に示した電動機が備えるファンカバーの部分拡大断面図である。実施の形態2の変形例1にかかる電動機101では、フィンガーガード20の断面形状が翼型形状となっている。また、翼型形状の前縁が冷却ファン5側を向く面と反対側を向いている。フィンガーガード20を翼型形状とした場合にも、空気流6がフィンガーガード20に衝突する際の衝撃を抑えることができる。また、フィンガーガード20の後流で発生する乱流6bの規模を抑えることができる。これにより、冷却ファン5の回転によって発生する空気流の影響による振動および騒音の発生を抑えることができる。また、
図13に示すように、板材を折り曲げた形状でフィンガーガード20を形成してもよい。
【0034】
図14は、実施の形態2の変形例2にかかる電動機の断面図であって、
図2に示すIII-III線に沿って切断した断面図に相当する図である。実施の形態2の変形例2にかかる電動機101では、
図10に示した例と同様に、ファンカバー2のフィンガーガード20の断面形状が、冷却ファン5を向く面と反対側に凸となる曲線を有する。また、断面形状が有する曲線の頂点における法線方向が中心軸線100側に傾くように、フィンガーガード20が傾けて形成されている。これにより、スリット9を通過する空気流6の向きを開口10側に向けて、スリット9から開口10に向かって空気を円滑に通過させることができる。
【0035】
図15は、実施の形態2の変形例3にかかる電動機の断面図であって、
図2に示すIII-III線に沿って切断した断面図に相当する図である。実施の形態2の変形例3にかかる電動機101では、
図12に示した例と同様に、ファンカバー2のフィンガーガード20の断面形状が翼型形状となっている。また、翼型形状の前縁部における法線方向が中心軸線100側に傾くように、フィンガーガード20が傾けて形成されている。これにより、スリット9を通過する空気流6の向きを開口10側に向けて、スリット9から開口10に向かって空気を円滑に通過させることができる。
【0036】
なお、実施の形態2にかかる電動機101におけるフィンガーガード20の形状を、実施の形態1にかかる電動機1のフィンガーガード20に適用してもよい。
【0037】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0038】
1,101 電動機、2,102 ファンカバー、3 ケーシング、4 回転軸、5 冷却ファン、6,7,8 空気流、6b 乱流、9 スリット、10 開口、12 外周部、15 回転電機、16 固定子、17 回転子、18,118 スリット領域、19 離間領域、20 フィンガーガード、21 近接領域、100 中心軸線。