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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 41/02 20060101AFI20231127BHJP
   A01D 41/12 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
A01D41/02 K
A01D41/12 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020206137
(22)【出願日】2020-12-11
(65)【公開番号】P2022007916
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】P 2020109765
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 直
(72)【発明者】
【氏名】林 壮太郎
(72)【発明者】
【氏名】堀 高範
(72)【発明者】
【氏名】植田 圭一
(72)【発明者】
【氏名】松永 俊
(72)【発明者】
【氏名】堀内 真幸
(72)【発明者】
【氏名】寺西 陽之
【審査官】小林 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-060280(JP,A)
【文献】特開2019-170280(JP,A)
【文献】特開平11-028017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01F 12/32
A01F 12/44
A01D 41/127
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物を脱穀する脱穀部と、前記脱穀部の下方に設けられ、前記脱穀部から漏下してきた脱穀処理物を選別処理する選別部と、前記選別部によって選別された選別処理物のうちの一番物を回収する一番物回収部と、前記選別処理物のうちの二番物を回収する二番物回収部と、前記二番物回収部により回収された前記二番物を前記選別部に還元する二番物還元装置と、を有する脱穀装置を備え、
前記一番物の回収量を一番物回収量として測定する一番物センサと、
前記二番物の還元量を二番物還元量として測定する二番物センサと、を備え、
前記選別部は、揺動選別装置を備え、
前記揺動選別装置は、脱穀処理物の搬送方向に沿って並べられた複数のチャフリップを有するとともに前記複数のチャフリップの姿勢を変更することで漏下開度を変更可能なチャフシーブを備え、
前記チャフシーブは、前記一番物回収量が予め設定された第1閾値を超えるとともに前記二番物還元量が予め設定された第2閾値以下であるときに、前記漏下開度が小さくされ、かつ、前記一番物回収量が前記第1閾値よりも小さい第3閾値より小さいとともに前記二番物還元量が前記第2閾値以下であるときに、前記漏下開度が大きくされ、かつ、前記一番物回収量が前記第1閾値より小さく前記第3閾値より大きいとともに前記二番物還元量が前記第2閾値以下であるときに、前記漏下開度が維持されるコンバイン。
【請求項2】
機体の走行制御を行う走行制御ユニットを備え、
前記走行制御ユニットは、前記二番物還元量が前記第2閾値よりも大きいときに前記機体の走行速度を低減させる請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記走行制御ユニットは、前記機体を自動走行させる請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記チャフシーブは、前記二番物還元量が、予め設定された第4閾値よりも大きいときに、前記漏下開度が大きくされる請求項1から3のいずれか一項に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場の植立穀稈を刈り取り、脱穀装置によって刈取穀稈の脱穀選別処理を行うコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインは、植立穀稈を刈り取り、刈取穀稈を脱穀選別処理し、得られた穀粒(選別処理物)を、穀粒タンクに搬送して貯留する。適切に刈取穀稈が脱穀されないと、穀粒に損傷が生じる。また、適切に選別が行われないと、選別処理物に穀粒以外の夾雑物等の異物が混入する。その結果、適切な品質の穀粒を取得することができない。
【0003】
そのため、例えば、特許文献1に記載のコンバインでは、穀粒タンク内部に一時貯留部を備え、その一時貯留部に貯留された選別処理物を撮影するカメラを備え、撮影画像を解析して得られた穀粒の選別精度(異物の混入等)に基づいて、脱穀装置等の各種設定を調整したりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-10075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のコンバインでは、搬送装置によって穀粒タンクに搬送されてきて貯留部内に投擲された選別処理物を、穀粒タンクの後部(投擲部から離れた位置)に支持された一時貯留部に貯留するものであるため、一時貯留部に選別処理物が溜まるのに時間がかかり、選別処理物の選別精度や品質を確認するタイミングが遅くなる可能性が高い。その結果、例えば、解析結果が反映された機体制御が行われるのに時間がかかり、制御の反応が遅れることがある。
【0006】
そこで、選別された選別処理物を適切に貯留することが可能なコンバインが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るコンバインの特徴構成は、作物を脱穀する脱穀部と、前記脱穀部の下方に設けられ、前記脱穀部から漏下してきた脱穀処理物を選別処理する選別部と、前記選別部によって選別された選別処理物のうちの一番物を回収する一番物回収部と、前記選別処理物のうちの二番物を回収する二番物回収部と、前記二番物回収部により回収された前記二番物を前記選別部に還元する二番物還元装置と、を有する脱穀装置を備え、前記一番物の回収量を一番物回収量として測定する一番物センサと、前記二番物の還元量を二番物還元量として測定する二番物センサと、を備え、前記選別部は、揺動選別装置を備え、前記揺動選別装置は、脱穀処理物の搬送方向に沿って並べられた複数のチャフリップを有するとともに前記複数のチャフリップの姿勢を変更することで漏下開度を変更可能なチャフシーブを備え、前記チャフシーブは、前記一番物回収量が予め設定された第1閾値を超えるとともに前記二番物還元量が予め設定された第2閾値以下であるときに、前記漏下開度が小さくされ、かつ、前記一番物回収量が前記第1閾値よりも小さい第3閾値より小さいとともに前記二番物還元量が前記第2閾値以下であるときに、前記漏下開度が大きくされ、かつ、前記一番物回収量が前記第1閾値より小さく前記第3閾値より大きいとともに前記二番物還元量が前記第2閾値以下であるときに、前記漏下開度が維持される点にある。
【0008】
このような特徴構成とすれば、一番物回収量と二番物還元量とに基づいてチャフシーブの漏下開度を設定することによって、脱穀制御を行うことができる。したがって、コンバインが適切に選別された選別処理物を貯留することが可能となる。さらに、一番物回収量が第1閾値よりも小さい第3閾値より小さくなると、漏下開度が大きくされるから、二番物還元装置による選別部への還元を抑制することが可能となる。したがって、脱穀制御をより適切に行うことができる。
【0009】
また、機体の走行制御を行う走行制御ユニットを備え、前記走行制御ユニットは、前記二番物還元量が前記第2閾値よりも大きいときに前記機体の走行速度を低減させると好適である。
【0010】
このような構成とすれば、二番物還元量に応じてコンバインが刈り取る作物の量を低減することができるので、脱穀装置に搬送される作物の量も低減することが可能となる。したがって、脱穀装置に留まる脱穀処理物の脱穀処理を優先させることが可能となる。
【0011】
また、前記走行制御ユニットは、前記機体を自動走行させると好適である。
【0012】
このような構成とすれば、コンバインの自動走行中に、適切に脱穀制御を行うことができる。
【0013】
【0014】
【0015】
また、前記チャフシーブは、前記二番物還元量が予め設定された第4閾値よりも大きいときに、前記漏下開度が大きくされると好適である。
【0016】
漏下開度が小さく設定されると、選別処理物が一番物回収部で回収され難くなり、一番物回収部で回収されなかった選別処理物の多くが二番物回収部で回収されるため、二番物回収部における選別処理物の回収量が多くなりがちとなる。二番物回収部が選別処理物で溢れると、二番物回収部から溢れ出した選別処理物がそのまま後方へ排出され、収穫ロスを生じる虞がある。本構成であれば、二番物回収部から選別処理物が溢れ出す前に漏下開度が大きくされるため、選別処理物が一番物回収部で回収され易くなって、二番物回収部から選別処理物が溢れ出す虞が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】コンバインの全体右側面図である。
図2】コンバインの全体平面図である。
図3】脱穀装置の縦断左側面図である。
図4】穀粒タンク、揚穀装置、及び脱穀装置の正面図である。
図5】揚穀装置の縦断右側面図である。
図6】二番物センサ及び二番物排出口の配置図である。
図7】二番物センサ及び二番物排出口の配置図である。
図8】二番物センサ及び二番物排出口の配置図である。
図9】二番物センサの側面図である。
図10】脱穀制御に係る機能部を示すブロック図である。
図11】脱穀制御に係る制御状態を示す図である。
図12】一番物センサを示す揚穀装置の縦断右側面図である。
図13】一番物センサを示す平面図である。
図14】一番物センサを示す機体前後方向視の縦断面図である。
図15】一番物センサが穀粒を検出する状態を示す揚穀装置の縦断右側面図である。
図16】一番物センサが穀粒を検出する状態を示す揚穀装置の縦断右側面図である。
図17】作業量の算定に係る機能を示すブロック図である。
図18】バケットがハンプと接触する状態を示す揚穀装置の縦断右側面図である。
図19】バケットがハンプと接触する状態を示す揚穀装置の縦断右側面図である。
図20】バケットがハンプと接触する状態を示す揚穀装置の縦断右側面図である。
図21】脱穀制御に係る制御状態を示す図である。
図22】自脱型コンバインにおける一番物センサを示す穀粒タンク側壁の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るコンバインは、脱穀された作物から選別された穀粒を適切に貯留することができるように構成される。以下、本実施形態のコンバインについて、普通型コンバインを例に挙げて説明する。
【0019】
図1はコンバインの右側面図であり、図2はコンバインの平面図である。ここで、理解を容易にするために、本実施形態では、特に断りがない限り、「前」(図1に示す矢印「F」の方向)は機体前後方向(走行方向)における前方を意味し、「後」(図1に示す矢印「B」の方向)は機体前後方向(走行方向)における後方を意味するものとする。また、「上」(図1に示す矢印「U」の方向)及び「下」(図1に示す矢印「D」の方向)は、機体の鉛直方向(垂直方向)での位置関係であり、地上高さにおける関係を示すものとする。更に、左右方向または横方向は、機体前後方向に直交する機体横断方向(機体幅方向)、すなわち、「左」(図2に示す矢印「L」の方向)及び「右」(図2に示す矢印「R」の方向)は、夫々、機体の左方向及び右方向を意味するものとする。
【0020】
コンバインには、クローラ式の走行装置3(「走行制御ユニット」に相当)と、走行装置3によって支持された機体フレーム2(「機体」に相当)と、圃場の作物(稲、麦、大豆、菜種などの各種作物)を刈り取る刈取部4と、フィーダ11と、脱穀装置1と、穀粒タンク12と、穀粒排出装置14と、が備えられている。
【0021】
刈取部4は、作物を掻き込む掻き込みリール5と、圃場の作物を切断するバリカン型の切断装置6と、刈り取られた作物をフィーダ11まで横送りするオーガ7と、を備える。
刈取部4によって刈り取られた作物は、フィーダ11によって脱穀装置1に搬送され、脱穀装置1によって脱穀選別処理される。脱穀装置1による脱穀選別処理で得られた選別処理物、即ち穀粒は、穀粒タンク12に貯留され、適宜、穀粒排出装置14によって機外に排出される。
【0022】
刈取部4の後方に、フィーダ11と横並び状態で運転部9が備えられ、運転部9は機体右側に偏倚した状態で設けられている。運転部9は、キャビン10によって覆われている。運転部9の下方にはエンジンルームERが備えられ、エンジンルームERにはエンジンEや、特に図示はしないが、冷却ファンやラジエータ等が収容されている。エンジンEの動力は、不図示の動力伝達機構によって、走行装置3と、刈取部4や脱穀装置1等の作業装置と、に伝達される。
【0023】
キャビン10に衛星測位モジュール83が設けられている。衛星測位モジュール83は、人工衛星(不図示)からのGNSS(Global Navigation Satellite System)の信号(GPS信号を含む)を受信して、自車位置を取得する。なお、衛星測位モジュール83による衛星航法を補完するために、ジャイロ加速度センサや磁気方位センサを組み込んだ慣性航法ユニットが衛星測位モジュール83に組み込まれている。なお、慣性航法ユニットは、コンバインにおいて衛星測位モジュール83と別の箇所に配置されても良い。
【0024】
次に、図3に示される脱穀装置1の縦断左側面図を用いて、脱穀装置1の構成を説明する。脱穀装置1は機体フレーム2に設けられ、扱胴22によって作物を脱穀する脱穀部41と、脱穀処理物を揺動選別処理する選別部42と、を備える。脱穀部41は、脱穀装置1における上部領域に配置され、脱穀部41の下方に、受網23が設けられ、選別部42は、受網23の下方に設けられている。選別部42は、受網23から漏下してきた脱穀処理物を、回収すべき穀粒を含む選別処理物と、排藁等の排出物とに選別する。
【0025】
脱穀部41は、脱穀装置1の左右の側壁と、天板53と、受網23とに囲われた扱室21を備える。扱室21に、回転によって作物を脱穀処理する扱胴22と、複数の送塵弁53aと、が備えられている。扱胴22は回転軸芯Xまわりに回転する。フィーダ11によって搬送された作物は、扱室21に投入され、扱胴22によって脱穀処理される。扱胴22によって連れ回される作物は、送塵弁53aの送り作用によって後方に向けて移送される。
【0026】
送塵弁53aはプレート状であり、天板53の内面(下面)に前後方向に沿って所定の間隔で設けられる。送塵弁53aは、平面視で回転軸芯Xに対して傾斜する姿勢で設けられる。そのため、夫々の送塵弁53aは、扱室21において扱胴22とともに回転する刈取穀稈を後側に移動させる力を作用させる。また、送塵弁53aは、回転軸芯Xに対する傾斜角度を調整することができる。扱胴22内を作物が後方に送られる速度は、送塵弁53aの傾斜角度により決まる。また、作物が脱穀される脱穀効率は、作物が扱胴22内を送られる速度にも影響される。その結果、作物が脱穀される処理能力は、様々な手段を用いて調整することができるが、送塵弁53aの傾斜角度を変更することを1つの手段として調整することができる。特に図示はしないが、送塵弁53aの傾斜姿勢を変更制御可能な送塵弁制御機構が備えられており、送塵弁53aの傾斜角度を自動的に変更することができる。
【0027】
脱穀装置1は、一番物回収部26と、二番物回収部27と、二番物還元装置32と、を備える。選別部42は、シーブケース33を有する揺動選別装置24と唐箕19とを備える。
【0028】
唐箕19は、選別部42の前部領域の下部領域に設けられ、揺動選別装置24の前側から後方に向かって、処理物の搬送方向に沿って選別風を発生させる。選別風は、比較的比重の軽い排藁等をシーブケース33の後側に向けて送り出す作用を有する。また、揺動選別装置24においては、揺動駆動機構43によってシーブケース33が揺動することによって、シーブケース33の内部の脱穀処理物が後方に移送されながら揺動選別処理が行われる。このような理由から、以下の説明では、揺動選別装置24において、処理物の搬送方向の上流側が前端あるいは前側と称され、下流側が後端あるいは後側と称される。なお、唐箕19は選別風の強度(風量、風速)を変更することができる。選別風を強くすると、脱穀処理物を後方に送り出し易くなり、選別速度が高速になる。逆に、選別風を弱くすると、脱穀処理物が長くシーブケース33内に留まり、選別精度が高くなる。そのため、唐箕19は選別風の強度を変更することによって、揺動選別装置24の選別効率(選別精度や選別速度)を調整できる。特に図示はしないが、唐箕19の選別風の強度を変更制御可能な唐箕制御機構が備えられており、唐箕19の選別風の強度を自動的に変更することができる。
【0029】
シーブケース33の前半部分には、第一チャフシーブ38が備えられ、シーブケース33の後半部分には、第二チャフシーブ39が備えられている。一般的な構成であるため特に説明はしないが、シーブケース33には、第一チャフシーブ38等以外に、グレンパンやグレンシーブ40が備えられている。受網23を漏下した脱穀処理物は、第一チャフシーブ38や第二チャフシーブ39に落下する。脱穀処理物のほとんどは、受網23から第一チャフシーブ38を含むシーブケース33の前半部分へ漏下し、シーブケース33の前半部分によって粗選別及び精選別される。一部の脱穀処理物は、受網23から第二チャフシーブ39へ漏下したり、第一チャフシーブ38から下方へ漏下せずに第二チャフシーブ39まで移送されたりして、第二チャフシーブ39において漏下選別される。
【0030】
第一チャフシーブ38の下方には、上記グレンシーブ40が備えられている。すなわち、揺動選別装置24は、第一チャフシーブ38の下方に設けられたグレンシーブ40を備えている。グレンシーブ40は、パンチングメタルや網体等の多孔部材によって構成され、第一チャフシーブ38から漏下してきた脱穀処理物を受け止めて漏下選別する。
【0031】
シーブケース33の前半部分の下方に、スクリュー式の一番物回収部26が備えられ、シーブケース33の後半部分の下方に、スクリュー式の二番物回収部27が備えられている。シーブケース33の前半部分によって選別処理されて漏下してきた一番物、すなわち、選別部42によって選別された選別処理物のうちの一番物は、一番物回収部26によって回収されて、穀粒タンク12の側(機体左右方向右側)に向けて搬送される。シーブケース33の後半部分(第二チャフシーブ39)によって選別処理されて漏下してきた二番物(一般的に選別処理精度が低く、切藁などの比率が高い)、すなわち、選別処理物のうちの二番物は、二番物回収部27によって回収される。二番物は、脱穀処理物のうち、選別処理物として選別されなかった脱穀処理物が相当する。二番物回収部27によって回収された二番物は、二番物還元装置32によって選別部42の前部に還元され、シーブケース33によって再選別される。
【0032】
第一チャフシーブ38には、脱穀処理物の移送(搬送)方向(前後方向)に沿って並んで設けられた複数の板状のチャフリップが備えられている。各チャフリップは、後端側ほど斜め上方に向かう傾斜姿勢で配置されている。チャフリップの傾斜角度は可変であり、傾斜角度を急にするほど、隣り合うチャフリップ同士の間隔が広がり、脱穀処理物が漏下し易くなる。すなわち、複数のチャフリップの姿勢を変更することで漏下開度を変更可能に構成されている。そのため、チャフリップの傾斜角度を調整することによって、揺動選別装置24の選別効率(選別精度や選別速度)を調整することができる。チャフリップの傾斜姿勢を変更制御可能なリップ制御機構が備えられており、チャフリップの傾斜角度を自動的に変更することができる。
【0033】
第二チャフシーブ39も、第一チャフシーブ38と同様の構成である。第二チャフシーブ39のチャフリップの傾斜姿勢を変更制御可能な角度制御機構も備えられており、チャフリップの傾斜角度を自動的に変更することができる。
【0034】
図4は穀粒タンク12、揚穀装置29、及び脱穀装置1の正面図であり、図5は揚穀装置29の縦断右側面図である。図4及び図5に示すように、一番物回収部26によって回収された選別処理物を穀粒タンク12に搬送する揚穀装置29が備えられている。揚穀装置29は、脱穀装置1と穀粒タンク12との間に配置され、上下方向に沿った姿勢で立設されている。揚穀装置29は、バケットコンベア式に構成されている。揚穀装置29によって揚送された選別処理物は、揚穀装置29の上端部において、横送り搬送装置30に受け渡される。横送り搬送装置30は揚穀装置29に隣り合う状態で連結されている。横送り搬送装置30は、スクリューコンベア式に構成され、穀粒タンク12の前部左側の壁部から穀粒タンク12の内部に突っ込まれている。横送り搬送装置30は、機体横向き軸芯Y1まわりに回転するスクリュー部30Sを有する。横送り搬送装置30のタンク内部側の端部に、穀粒放出装置30Aが備えられている。穀粒放出装置30Aは、板状の放出回転体30Bを備えており、スクリュー部30Sと一体回転する。選別処理物(穀粒)は、横送り搬送装置30によって横送りされ、最終的に、穀粒放出装置30Aによって穀粒タンク12内に投擲される。つまり、横送り搬送装置30は、揚穀装置29によって搬送された穀粒を受け取って横送りし、穀粒タンク12に投入する。
【0035】
揚穀装置29においては、図4及び図5に示すように、駆動スプロケット29Aと従動スプロケット29Bとにわたって巻き掛けられた無端回動チェーン29Cの外周側に複数のバケット31が一定間隔で取り付けられている。つまり、揚穀装置29は、脱穀装置1で得られた穀粒を揚送する複数のバケット31を有する。揚穀装置29は、選別処理物が収納されたバケット31が上昇する送り経路29Dと、選別処理物を横送り搬送装置30に排出した後のバケット31が下降する戻り経路29Eと、を備える。送り経路29Dと戻り経路29Eとは、送り経路29Dが後側になるように、穀粒タンク12の左側壁12bに沿って並んで配置される。
【0036】
一番物センサ60は、一番物の回収量を一番物回収量として測定する(図10参照)。
一番物センサ60は、選別処理物が一番物回収部26から穀粒タンク12まで搬送される搬送経路におけるいずれかの位置、具体的には一番物回収部26から選別処理物が穀粒タンク12に投擲される投擲口30Cまでのいずれかの位置において、選別処理物の量を測定するように配置される。一番物センサ60は、例えば物理的な接触式のセンサを用いて選別処理物の量を検出するように構成することが可能である。あるいは、圃場のマップを示すマップ情報に一番物の回収量を関連付けて生成したマップセンサによる結果を用いても良いし、例えば一番物回収部26から投擲口30Cまでのいずれかの位置にカメラを設け、当該カメラで一番物回収部26における一番物を撮像した撮像画像、脱穀装置1の扱胴22から下方に落下する穀粒を写した撮像画像、脱穀装置1のシーブケース33から下方に落下する穀粒を写した撮像画像、穀粒タンク12に投入される穀粒を写した撮像画像、バケット31により搬送される穀粒を写した撮像画像等に基づいて一番物の回収量を測定(推定)しても良い。また、一番物回収部26のスクリューの負荷(トルク等)を利用して一番物の回収量を測定(推定)しても良い。
【0037】
上述したように、二番物は二番物還元装置32により揺動選別装置24の前部である上流側に還元される。具体的には、二番物還元装置32の二番物排出口32Aは、円弧状の受網23における径方向外側の位置(受網23の側方であって、二番物が受網23を通らない位置)に設けられ、この位置において二番物が排出される。脱穀装置1には、このように還元される二番物の還元量を二番物還元量として測定する二番物センサ70が備えられている。図6図9には、このような二番物排出口32Aの配置形態が示される。
【0038】
本実施形態では、図6に示されるように、二番物排出口32Aは受網23側に向けて設けられる。図7及び図8に示されるように、二番物排出口32Aの近傍には、二番物還元装置32を構成するスクリューとともに回転する回転羽根32Bが設けられ、二番物還元装置32により搬送された二番物は、脱穀部41の側壁50に形成された挿通孔を通して回転羽根32Bにより二番物排出口32Aから径方向外側に放出され、図8の破線矢印で示されるように排出される。
【0039】
二番物排出口32Aには、放出された二番物を揺動選別装置24の処理物移送方向上手側に向けて案内する案内部32Cが設けられる。案内部32Cは、二番物排出口32Aに対向する内周面を有する筒状の一部を呈する形状で構成される。換言すると、案内部32Cは、帯板を円弧状に曲げた形状となっている。このような案内部32Cの内周面により、回転羽根32Bにより放出された二番物の排出方向が規制される。
【0040】
図7及び図8に示すように、二番物センサ70は、脱穀部41における側壁50の内部側部分に支持される。二番物センサ70は、二番物還元装置32における回転羽根32Bにより放出された二番物に接触して還元される二番物の還元量を測定するように構成されている。二番物センサ70は、二番物還元装置32により放出される二番物の放出延長上に位置して放出された二番物が接触することにより揺動する揺動アーム72と、揺動アーム72の揺動角度に基づいて還元量を測定する計測部73と、計測部73及び揺動アーム72を支持する支持フレーム74と、二番物センサ70の上方を覆うカバー体75と、を備えている。
【0041】
計測部73は、ケースにポテンショメータが内装され、支持フレーム74の内方側箇所に対してボルトによる締結固定されている。計測部73は、回転軸76が支持フレーム74を挿通して外方側(側壁50側)に突出して設けられ、回転軸76に一体回動可能に揺動アーム72が取り付けられている。揺動アーム72は、回転軸76から下方に向けて延びており、案内部32Cにより二番物が案内される案内経路内に位置する状態で備えられている。揺動アーム72は回転軸76の軸芯まわりで揺動可能に支持されている。
【0042】
カバー体75は、揺動アーム72、計測部73、及び支持フレーム74の夫々の上方を覆うように構成されている。このカバー体75により、受網23を通して漏下する脱穀処理物のうち細かな塵埃が揺動アーム72や計測部73に降りかかって計測動作を阻害することを防止できる。
【0043】
図9に示されるように、揺動アーム72は回転軸76よりも上方に延出する延出部を有し、延出部とバネ受け部77とにわたってコイルバネ78が張設される。揺動アーム72は、コイルバネ78の引っ張り付勢力により二番物排出口32Aに近づくように揺動付勢されている。揺動アーム72は、上端部が係止部79に接当して、バネ付勢力に抗して下向き待機姿勢で位置保持される。
【0044】
二番物排出口32Aを通して回転羽根32Bによって放出された二番物が揺動アーム72に接触すると、その押圧力によって揺動アーム72がコイルバネ78の付勢力に抗して二番物排出口32Aから離間する方向に揺動する。この時の揺動角度が計測部73によって計測され、その計測結果に基づいて二番物の還元量が算定される。具体的には、揺動角度と還元量との関係を示すマップや式を計測部73に記憶しておき、当該マップや式に基づいて還元量を算定すると好適である。
【0045】
図10は、一番物センサ60による測定結果及び二番物センサ70による測定結果を用いた脱穀制御に係る機能部を示すブロック図である。また、図11は、本実施形態における一番物回収量と二番筒還元量とに基づく制御状態を示す図である。図10に示されるように、一番物センサ60による測定結果、及び二番物センサ70による測定結果は、制御ユニット81に伝達される。制御ユニット81は、一番物回収量が予め設定された第1閾値を超え、且つ、二番物還元量が予め設定された第2閾値以下であるときに、チャフシーブの漏下開度を小さくする。一番物回収量とは、一番物センサ60の測定結果により示される一番物の回収量である。第1閾値とは、一番物回収量に対して設定された閾値であって、一番物回収量が多い場合に一番物としての回収を抑制し、二番物還元装置32に還元させるために設けた設定値である。二番物還元量とは、二番物センサ70の測定結果により示される二番物の還元量である。第2閾値とは、二番物還元量に対して設定された閾値であって、二番物還元量が少ない場合に二番物としての回収を促進し、二番物還元装置32に還元させるために設けた設定値である。
【0046】
ここで、一番物回収量及び二番物還元量は、一番物センサ60に及び二番物センサ70の構成上、常に一定の値からなる測定結果が得られるわけでない。そこで、パラメータ決定部80は、一番物回収量及び二番物還元量の夫々の所定時間における平均値を算定して上記比率を求めても良いし、所定にタイミングで得られた一番物回収量及び二番物還元量の瞬時値を用いて上記比率を求めても良い。なお、第1閾値と第2閾値とは、互いに独立して設定しても良いし、互いに関連付けて設定しても良い。
【0047】
より具体的には、制御ユニット81は、一番物回収量が第1閾値を超え、且つ、二番物還元量が第2閾値以下であれば、選別部42における第一チャフシーブ38及び第二チャフシーブ39の少なくともいずれか一方の漏下開度を小さくする。このような一番物回収量が予め設定された第1閾値を超え、且つ、二番物還元量が予め設定された第2閾値以下である状態は、図11において区分A1として示される。これにより、一番物回収量を低減して、二番物還元量を増大させ、脱穀装置1において選別する脱穀処理物の量を増大させ、より選別精度を高めることができる。したがって、一番物に混入する夾雑物の量を低減することが可能となる。
【0048】
また、制御ユニット81は、一番物回収量が予め設定された第1閾値よりも小さい第3閾値よりも小さくなると、チャフシーブの漏下開度を大きくすると好適である。これにより、一番物回収量が所定量以下の場合に一番物回収量を増大させることができる。このような一番物回収量が予め設定された第3閾値未満である状態は、図11において区分B1として示される。
【0049】
また、場合によっては、第一チャフシーブ38及び第二チャフシーブ39の漏下開度が小さくされた場合であっても、一番物回収量が第1閾値よりも大きい状態が継続したり、あるいは、二番物還元量が第2閾値以下である状態が継続したり、一番物回収量に対する二番物還元量の比率が小さくならないことが想定されるが、これは脱穀装置1に供給される作物の量が多過ぎることに起因する。そこで、第一チャフシーブ38及び第二チャフシーブ39の漏下開度が大きくされた場合であっても、特に二番物還元量が第2閾値よりも大きいときには、機体フレーム2の走行制御を行う走行装置3が、機体フレーム2の走行速度を低減させると好適である。このような二番物還元量が予め設定された第2閾値よりも大きい状態は、図11において区分C1として示される。これにより、脱穀装置1に供給される作物の量を少なくし、脱穀装置1における脱穀量及び選別量を低減することが可能となる。したがって、例えばグレンシーブ40において脱穀処理物が詰まっている状態となることによって二番物還元量が増大している場合には、当該脱穀処理物が詰まっている状態を解消することが可能となる。
【0050】
このような走行装置3は、機体フレーム2を自動走行させるように構成することも可能である。係る場合には、上記第1閾値や第2閾値に基づいて、機体フレーム2の走行速度を低減させたり、停車させたりすることが可能となる。
【0051】
更に、予期しない理由により、第一チャフシーブ38及び第二チャフシーブ39の漏下開度が大きくされてから予め設定された時間が経過するまでに、一番物回収量に対する二番物還元量の比率が小さくならないときや、機体フレーム2の走行速度が低減されてから予め設定された時間が経過するまでに、一番物回収量に対する二番物還元量の比率が小さくならないときは、走行装置3は、機体フレーム2を停止させると好適である。これにより、脱穀装置1への作物の供給を、一旦、中断することができるので、脱穀装置1における脱穀処理及び選別処理に係る負荷を低減することが可能となる。したがって、現在、脱穀装置1内における作物に対する処理を行い、グレンシーブ40において脱穀処理物が詰まっている状態を解消することが可能となる。
【0052】
〔その他の実施形態〕
本発明は、上述の実施形態に例示された構成に限定されるものではなく、以下、本発明の代表的な別実施形態を例示する。
【0053】
(1)上記実施形態において図10に示された一番物センサ60の具体例を、図12図13及び図14に基づいて説明する。本実施形態では、揚穀装置29と横送り搬送装置30との間に一番物センサ60が備えられている。揚穀装置29の上端部において、バケット31から横送り搬送装置30に受け渡される選別処理物の量を測定するように、一番物センサ60が配置される。一番物センサ60は、揚穀装置29及び横送り搬送装置30によって搬送される穀粒の流量Fv(図17参照)を計測する。一番物センサ60に、搬送される穀粒が接触して揺動するアーム部63と、センサ部64と、流量算出部81(図17参照)と、が備えられている。センサ部64は、アーム部63の揺動角度θ(図15図16図17参照)を検出する。流量算出部81は、検出された揺動角度θに基づいて流量Fvを算出する。
【0054】
図12に示されるように、バケット31が送り経路29Dに沿って上向きに移動し、穀粒はバケット31に積載され、一番物回収部26から揚穀装置29の上端部へ搬送される。揚穀装置29の上端部に吐出口29hが形成されている。吐出口29hは、揚穀装置29の上端部における戻り経路29Eの位置する側部分のうちの送り経路29Dとは反対側の側部に備えられている。揚穀装置29の上端部においてバケット31が送り経路29Dから戻り経路29Eへ移動する際に、バケット31は上昇姿勢から下降姿勢に姿勢反転する。このとき、バケット31は従動スプロケット29Bの回動軸芯まわりに180度(または略180度)旋回動作し、バケット31に積載された穀粒に遠心力が作用する。そして、吐出口29hにおいてバケット31は当該旋回動作時に穀粒を投擲する。換言すると、揚穀装置29の上端部において上昇姿勢から下降姿勢に姿勢反転するバケット31によって、穀粒が吐出口29hで投擲される。揚穀装置29の上端部、即ち送り経路29D及び戻り経路29Eの夫々の上端部は、天板61に覆われている。また、横送り搬送装置30は吐出口29hに連結されている。即ち、吐出口29hの外側かつ横送り搬送装置30の上方に、揚穀装置29と横送り搬送装置30との受け渡し空間が形成されている。穀粒は、バケット31から投擲されると、天板61の下方空間で放物線を描きながら、横送り搬送装置30へ投入される。
【0055】
図12図13及び図14に示されるように、揚穀装置29における天板61に膨出部65が設けられている。膨出部65は天板61の表面部分よりも上側に膨出し、膨出部65の内部に内部空間62が形成されている。一番物センサ60は膨出部65に支持される。一番物センサ60は、バケット31から投擲された穀粒の流量Fvを測定する。一番物センサ60に、アーム部63と、センサ部64と、回転軸66と、が備えられている。
【0056】
膨出部65に回転軸66が支持される。回転軸66と一体回動可能なようにアーム部63が回転軸66に取り付けられている。アーム部63は、回転軸66から下方に向けて延出している。アーム部63は回転軸66の揺動軸芯Y2まわりで揺動可能に支持されている。
【0057】
アーム部63は、バケット31から投擲される穀粒の投擲経路上(投擲経路領域S1)に位置し、バケット31によって投擲された穀粒が接触することで揺動する。アーム部63は、穀粒が接触していない状態で、吐出口29hの対向する垂下姿勢で設けられ、かつ、吐出口29hの上下長さよりも短く構成されている。膨出部65のうち、回転軸66の真上に位置する部分が最も高い位置となるように、膨出部65は形成されている。また、膨出部65の機体前部に傾斜面65aが形成され、傾斜面65aは機体前側ほど天板61に近付く。なお、アーム部63を判り易く示すため、図13の傾斜面65aは、前下側の部分のみを示している。
【0058】
膨出部65の機体左方にフランジ部65bが形成され、フランジ部65bにステー67がボルトBoによって連結されている。平面視において、ステー67の長手方向中央領域はステー67の長手方向両端部よりも膨出部65から離れる側へ突出する。ステー67の長手方向中央領域にセンサ部64が支持される。センサ部64は、膨出部65のフランジ部65bを挟んで揚穀装置29よりも外側に位置する。つまり、センサ部64は、バケット31から投擲された穀粒の投擲経路領域S1から外れた位置において、投擲経路領域S1と区画された状態で設けられている。
【0059】
膨出部65のフランジ部65bに貫通孔が形成され、回転軸66は当該貫通孔を貫通する。回転軸66のうち、膨出部65のフランジ部65bを挟んでアーム部63の位置する側と反対側の端部にリンクアーム66Aが備えられ、リンクアーム66Aは回転軸66の径方向外方に延びる。また、ステー67の長手方向中央領域に貫通孔が形成され、センサ部64の回転軸部64Aは当該貫通孔を貫通する。センサ部64の回転軸部64Aの先端部にリンクアーム64Bが連結され、リンクアーム64Bは径方向外方に延びている。リンクアーム66Aとリンクアーム64Bとがピン連結される。これにより、回転軸66と一体回転するアーム部63と、センサ部64と、がリンクアーム66Aとリンクアーム64Bとピン99とを介して連動連結される。この構成によって、センサ部64と回転軸66とが直接連結される構成と比較して、センサ部64がアーム部63から衝撃を受け難く、センサ部64が故障し難くなる。センサ部64は、アーム部63の揺動角度θ(図17参照)を検出する。また、揺動角度θに基づいて流量Fvを算出する流量算出部82が備えられている(図17参照)。例えば、揺動角度θと流量Fvとの関係を示すマップや式が流量算出部82に予め記憶されている。揺動角度θと流量Fvとの関係を示すマップや式は、実験及び計算(実験または計算)によって予め取得される。そして流量算出部82は、当該マップや式に基づいて流量Fvを算出する。
【0060】
リンクアーム66Aとリンクアーム64Bとの一方に長孔が形成され、リンクアーム66Aとリンクアーム64Bとの他方に丸孔が形成されている。長孔は当該一方の長手方向に沿って延びる。そして、当該一方の長孔と当該他方の丸孔とに一本のピン99が挿通されることによって、リンクアーム66Aとリンクアーム64Bとがピン連結される。リンクアーム66Aとリンクアーム64Bとの一方に長孔が形成されているため、リンクアーム66Aとリンクアーム64Bとのピン連結における芯出しの誤差が許容される。この構成によって、センサ部64の回転軸部と回転軸66とを同一軸芯上に精密に合わせる必要がなく、一番物センサ60におけるセンサ部64の組付けが容易になる。
【0061】
ステー67の左右端部にボルトBoを挿通するための挿通孔が形成され、当該挿通孔の径はボルトBoの呼び径よりも大きく(例えば当該呼び径よりも3mm程度大きい)、かつ、ボルトBoの頭部の径よりも小さくなるように形成されている。この構成によって、回転軸66に対するセンサ部64の回転軸部の位置合わせが容易になる。即ち、一番物センサ60におけるセンサ部64の組付けが容易になる。
【0062】
ステー67にバネ受け部67aが設けられている。リンクアーム66Aの遊端部とバネ受け部67aとにわたってコイルバネ68が張設される。アーム部63は、コイルバネ68の引っ張り付勢力によって揚穀装置29に近づくように揺動付勢されている。アーム部63における揺動基端部側の領域が係止部69に接当して、コイルバネ68のバネ付勢力に抗して下向き待機姿勢で位置保持される。アーム部63が係止部69に接当し、かつ、アーム部63にコイルバネ68の付勢力が作用する構成であれば、圃場の凹凸による振動やエンジンからの振動等がアーム部63に伝わっても、アーム部63は振動の影響を殆ど受けずに下向き待機姿勢に保持される。
【0063】
以上の構成によって、アーム部63は、下向き姿勢の位置と、傾斜面65aの前下端部と、の範囲で揺動可能に構成されている。この場合のアーム部63の揺動角度θは、例えば40度に設定されている。
【0064】
横送り搬送装置30のうち、スクリュー部30Sを覆う筒状ケースの搬送方向始端部に受け部30dが形成され、受け部30dは、バケット31から投擲された穀粒を受け入れる。受け部30dは横送り搬送装置30のスクリュー部30Sよりも揚穀装置29の位置する側へ延出する。受け部30dは、スクリュー部30Sの位置する側ほど下側に位置するように傾斜する。
【0065】
図12に示されるように、機体側面視において受け部30dの延出先端部の位置する領域が仮想線L1で示され、アーム部63は、仮想線L1よりも横送り搬送装置30のスクリュー部30Sの位置する側に配置されている。また、機体側面視においてスクリュー部30Sの機体横向き軸芯Y1の位置する部分が仮想線L2で示され、アーム部63は、穀粒が衝突せずに下向きに延びる状態で仮想線L2よりも揚穀装置29の位置する側に配置されている。つまり、アーム部63は、穀粒が衝突せずに下向きに延びる状態で、仮想線L1と仮想線L2との間の領域に配置されている。換言すると、アーム部63は、揚穀装置29と横送り搬送装置30との受け渡し空間において、スクリュー部30Sよりも高い位置、かつ、揚穀装置29と横送り搬送装置30とが隣り合う方向において、吐出口29hと機体横向き軸芯Y1との間の位置に設けられた揺動軸芯Y2まわりに揺動するように構成されている。
【0066】
穀粒がアーム部63に衝突すると、穀粒はアーム部63からの反発力によって下方へ落下する。このことから、アーム部63に衝突する穀粒は、アーム部63に衝突しない穀粒と比較して、戻り経路29Eへ落下する可能性が高い。図12図13及び図14に示される実施形態であれば、アーム部63は、受け部30dの延出先端部よりも横送り搬送装置30のスクリュー部30Sの位置する側に配置されている。このため、アーム部63に衝突して跳ね返される穀粒の多くが受け部30dに受け止められ、横送り搬送装置30によって穀粒タンク12内へ案内される。この結果、アーム部63に衝突する穀粒が戻り経路29Eへ落下し難くなる。
【0067】
アーム部63の幅は、バケット31の幅の半分以下となるように、アーム部63は形成されている。バケット31の幅方向において、穀粒はバケット31から概ね均一に投擲されるため、バケット31から投擲される穀粒の半分以上がアーム部63に衝突せずに受け部30dに受け止められる。この結果、穀粒がアーム部63によって跳ね返されて戻り経路29Eへ落下する虞が軽減される。即ち、アーム部63の横幅は、バケット31の開口の横幅よりも狭く設定されている。
【0068】
また、アーム部63は、穀粒が衝突せずに下向きに延びる状態で仮想線L2よりも揚穀装置29の位置する側に配置されている。このため、アーム部63が仮想線L2よりも揚穀装置29の位置する側と反対側に配置される構成と比較して、穀粒がアーム部63に強く衝突する。このことから、バケット31から投擲される穀粒の量が少量であっても、一番物センサ60は穀粒の流量Fvを精度よく測定できる。
【0069】
図15及び図16に示されるように、穀粒がバケット31から投擲されると、穀粒は上下に連続する帯状となって放物線を描きながら受け部30dの位置する側へ落下する。アーム部63は穀粒の投擲経路上(投擲経路領域S1)に位置し、上下に連続する帯状の穀粒のうち上側に位置する穀粒がアーム部63と接触する。バケット31から投擲された穀粒がアーム部63に接触すると、その押圧力によってアーム部63がコイルバネ68の付勢力に抗して穀粒を投擲したバケット31から離間する方向に揺動する。アーム部63に衝突した穀粒は、アーム部63からの反発力によって下方へ落下し、受け部30dに受け止められてスクリュー部30Sの位置する側へ案内される。アーム部63の揺動基端部は、穀粒の投擲経路領域S1よりも上側に外れている。つまり、アーム部63は、バケット31から投擲された穀粒の投擲経路領域S1から外れた位置に設けられた揺動軸芯Y2まわりに揺動するように構成されている。
【0070】
図12に仮想線L3が示される。仮想線L3は、揺動軸芯Y2から下方に延び、投擲経路領域S1の上端線に対して直交する方向で交わる。アーム部63の遊端部は、穀粒が衝突せずに下向きに延びる状態で、仮想線L3よりも仮想線L2の位置する側に位置する。
このことから、アーム部63が仮想線L2の位置する側に揺動するほど、アーム部63のうちの投擲経路領域S1の範囲外にはみ出る部分が多くなる。つまり、アーム部63は、揺動角度θが大きいほど、投擲経路領域S1の外にはみ出る割合が多くなるように構成されている。
【0071】
図15に示されるように、穀粒がバケット31から投擲されてアーム部63と接触すると、アーム部63が揺動する。そして、バケット31から投擲される穀粒の多くがアーム部63の位置する領域を通過し終えると、アーム部63はコイルバネ68の付勢力によって下向き姿勢側へ戻される。本実施形態では、1秒間に20~30個のバケット31が揚穀装置29の上端部を通過し、吐出口29hにおいて穀粒が1/20秒~1/30秒間隔でバケット31から投擲される。このことから、アーム部63は1/20秒~1/30秒の周期で揺動(振動)する。
【0072】
図16に示される例では、図15に示される例よりもバケット31から投擲される穀粒の量が多くなっている。バケット31から投擲される穀粒の量が多くなると、投擲される穀粒が吐出口29hにおいて塊状になって厚みを増す。バケット31から投擲される穀粒の量が多くなって、アーム部63の揺動角度θが大きくなる。また、バケット31から投擲される穀粒が多くなると、穀粒は吐出口29hにおいて塊状になって厚みを増すため、投擲経路領域S1を塊状の穀粒が通過するのに要する時間が長くなる。このため、アーム部63が下向き姿勢側に戻される間も殆どなく、揺動角度θが大きく保持されたままとなる。
【0073】
アーム部63と傾斜面65aの前下端部とが当接すると、アーム部63の揺動が止まる。換言すると、アーム部63と傾斜面65aの前下端部とが当接することによって、アーム部63の揺動が最大に振り切れる。この状態で、アーム部63のうち遊端部以外の略全体が、内部空間62に収納される。このとき、天板61の内周側面部に沿って放物線状に投擲された穀粒は、アーム部63の遊端部のみに触れるため、穀粒の多くがアーム部63と触れることなく、横送り搬送装置30の受け部30dへ案内される。
【0074】
作業量の算出に関して図17に基づいて説明する。流量算出部82は、センサ部64によって計測されたアーム部63の揺動角度θに基づいて、揚穀装置29及び横送り搬送装置30を流れる穀粒の流量Fvを算出する。揺動角度θと穀粒の流量Fvとの相関関係は、例えば実験データや学習アルゴリズムによって得られる。実験データや学習アルゴリズムによって得られた揺動角度θと穀粒の流量Fvとの相関関係のデータが記憶装置(不図示)等に記憶される。本実施形態では、第一流量算出部81Aは、穀粒の流量Fv1を、例えば1/20秒~1/30秒のサンプリング周期で算出可能である。このことから、流量算出部82は、揚穀装置29及び横送り搬送装置30を流れる穀粒の流量Fvをリアルタイム(または略リアルタイム)に算出可能である。
【0075】
収量受付部85は特定の収量値Vdを受け付ける。特定の収量値Vdとして、穀粒タンク12の既知の容量に対応した収量値や、運搬車が運搬可能な容量(または残量)に対応した収量値や、乾燥施設の乾燥機が乾燥可能な容量に対応した収量値等が例示される。特定の収量値Vdは、例えば、予め記憶装置(不図示)等に記憶された穀粒タンク12の容量を読み出す構成であっても良いし、運転部9の操作パネルにおいてオペレータが設定する構成であっても良い。また、特定の収量値Vdは、無線通信ネットワークを通じて外部からデータを受信する構成であっても良い。収量受付部85によって受け付けられた特定の収量値Vdは、作業量算定部84へ送られる。
【0076】
機体位置算出部88は、衛星測位モジュール83によって出力された測位データに基づいて、機体の位置座標を経時的に算出する。即ち、機体位置算出部88は、衛星測位を用いて機体位置を算出する。算出された機体の経時的な位置座標は、作業量算定部84へ送られる。
【0077】
作業量算定部84は、流量算出部82によって算出された穀粒の流量Fvを積算することによって、穀粒タンク12に貯留された穀粒の総量、即ち収量Viをリアルタイムに算定する。穀粒の流量Fvは、例えば1/20秒~1/30秒毎に流量算出部82から次々に送られてくるため、作業量算定部84は、穀粒の流量Fvに基づいて単位時間あたりの平均収量Vtを算出可能である。
【0078】
また、作業量算定部84は、機体位置算出部88によって算出された機体の経時的な位置座標を受け取るため、機体の経時的な位置座標の差分を算出することによって走行距離や速度を算出可能である。このことから、作業量算定部84は、穀粒の流量Fvに基づいて単位走行距離あたりの平均収量Vrを算出可能である。
【0079】
更に、作業量算定部84は、特定の収量値Vdと、穀粒の流量Fvと、機体位置算出部88によって算出された機体の位置座標と、に基づいて種々の作業量を算定するように構成されている。本実施形態では、種々の作業量は、穀粒タンク12に特定の収量値Vdに対応する穀粒が貯留されるまでの作業量である。例えば特定の収量値Vdが穀粒タンク12の容量であれば、作業量算定部84は、穀粒タンク12が満杯になるまでの作業量を算出する。また、例えば特定の収量値Vdが運搬車の運搬可能な容量(または残量)であれば、作業量算定部84は、運搬車の運搬可能な容量(または残量)に対応する作業量を算出する。
【0080】
具体例として、作業量算定部84は、作業量として残量値Vreを下記の式で算出する。
Vre=Vd-Vi
残量値Vreは、特定の収量値Vdから収量Viを減算した値である。また、作業量算定部84は、作業量として作業時間Twを下記の式で算出する。
Tw=Vre/Vt
作業時間Twは、特定の収量値Vdから収量Viを減算した残量値Vreを単位時間あたりの平均収量Vtで除算した値である。加えて、作業量算定部84は、作業量として作業走行距離Dwを下記の式で算出する。
Dw=Vre/Vr
作業走行距離Dwは、特定の収量値Vdから収量Viを減算した残量値Vreを単位走行距離あたりの平均収量Vrで除算した値である。このように、作業量算定部84は、流量Fvに基づいて、収穫作業によって得られた穀粒の収量Viが特定の収量値Vdに到達するために必要な作業量を算定する。
【0081】
作業量算定部84によって算定された作業量(例えば、残量値Vre、作業時間Tw、作業走行距離Dw等)が報知部87によってオペレータ等に報知される。報知部87が、例えば運転部9に設けられた液晶モニタである場合、流量算出部82と作業量算定部84との夫々の算出結果が当該液晶モニタに表示される。なお、報知部87は、LEDランプ、ブザー、音声案内等であっても良い。
【0082】
穀粒排出装置14のスクリューコンベア14Aが回転すると、穀粒タンク12に貯留された穀粒が機外に排出される。排出量算出部86は、穀粒排出装置14のスクリューコンベア14Aの回転速度Rvに基づいて穀粒タンク12から排出された穀粒の量を算出する。本実施形態では、スクリューコンベア14Aの回転速度Rvは回転数検出部14Bによって検出される。穀粒排出装置14によって排出される穀粒の単位時間当たりの排出量は、スクリューコンベア14Aの回転速度Rvと比例関係(または略比例関係)にある。このため、スクリューコンベア14Aの回転速度Rvに時間を掛けることによって、穀粒の排出量がリアルタイムに算出される。穀粒が機外に排出される前に、穀粒タンク12に貯留された穀粒の収量Viは作業量算定部84によって算出されている。このため、排出量算出部86は、穀粒の排出中に、収量Viから積算排出量を減算することによって、穀粒タンク12の内部に残された穀粒の残量をリアルタイムに算出しても良い。排出量算出部86の算出結果は報知部87によってオペレータ等に報知される。報知部87が液晶モニタである場合、排出量算出部86の算出結果が当該液晶モニタに表示される。
【0083】
穀粒タンク12に貯留された穀粒は山状に溜まりがちであるが、本構成であれば、揚穀装置29と横送り搬送装置30との間で一番物センサ60が穀粒の流量Fvを検出する。
揚穀装置29と横送り搬送装置30との間で一番物センサ60が穀粒の流量Fvを検出する構成によって、穀粒タンク12の内部における穀粒の溜まり形状に左右されることなく、精度良い作業量の算定が可能となる。
【0084】
(2)図12に示されたハンプ30eの詳細に関して、図18図19及び図20に基づいて説明する。上述の通り、吐出口29hにおいてバケット31は従動スプロケット29Bの回動軸芯まわりに180度(または略180度)旋回動作しながら穀粒を放出する。
しかし、例えばバケット31の内側に穀粒がこびり付いたりする虞が考えられる。バケット31の内側にこびり付いた穀粒は、バケット31の旋回動作だけでは穀粒がバケット31から放出されない虞がある。このことから、バケット31の内側に穀粒がこびり付くと、揚穀装置29の搬送効率の低下、穀粒の収量ロス等に繋がる虞がある。このような不都合を軽減するため、受け部30dの突出先端部にゴム製のハンプ30eがボルト連結されている。ハンプ30eはバケット31と接触するように位置する。ハンプ30eとバケット31とが接触した衝撃で、バケット31に残された穀粒が弾き出されて受け部30dへ案内される。そしてバケット31が下方へ移動すると、ハンプ30eが下向きに弾性変形しながら、バケット31は上向きに揺動する。バケット31が戻り経路29Eを更に下方へ移動すると、ハンプ30eとバケット31とが離れる。このとき、ハンプ30eの弾性エネルギーは解放され、ハンプ30eは勢いよく元の形状に戻る。また、バケット31も、ハンプ30eと離れるときに、ハンプ30eの弾性エネルギーに起因する衝撃がバケット31に伝達され、バケット31に残された穀粒が弾き出されて下方へ落下する。下方へ落下した穀粒は、戻り経路29Eを伝って一番物回収部26へ戻される。この構成によって、バケット31の内部に穀粒がこびり付く虞が軽減される。
【0085】
(3)上記実施形態では、二番物センサ70によって検出された二番物還元量が第2閾値よりも大きいときに、機体フレーム2の走行制御を行う走行装置3が、機体フレーム2の走行速度を低減させる構成が示されているが、この実施形態に限定されない。第一チャフシーブ38の漏下開度が小さく設定されると、一番物回収量が低減し、一番物回収量の低減分が二番物として二番物回収部27に回収され、より選別精度が高められる。一方、二番物回収部27に回収される量が増大し過ぎると、二番物回収部27から二番物が溢れ出し、排藁等とともにそのまま排出されて収穫ロスとなる。このような不都合を回避するため、例えば図21に示されるように、二番物還元量が第4閾値よりも大きいときに、制御ユニット81が第一チャフシーブ38の漏下開度を大きくしても良い。これにより、第一チャフシーブ38からの選別処理物の漏下が促されて一番物回収量が増大し、二番物回収部27に回収される量が低減するため、二番物回収部27から二番物が溢れ出す虞が軽減される。
【0086】
図11に示される第2閾値と、図21に示される第4閾値と、が同じであれば、二番物還元量が第2閾値及び第4閾値よりも大きい場合、制御ユニット81は、第一チャフシーブ38の漏下開度を大きくし、かつ、機体の走行速度を低減させる。
【0087】
図21に示される第4閾値が図11に示される第2閾値よりも大きい場合について説明する。二番物還元量が第2閾値よりも大きく、かつ、第4閾値よりも小さい場合、制御ユニット81は、機体の走行速度を低減させるが、第一チャフシーブ38の漏下開度を大きくしない。そして、二番物還元量が第2閾値よりも大きく、かつ、第4閾値よりも大きくなると、制御ユニット81は、第一チャフシーブ38の漏下開度を大きくし、かつ、機体の走行速度を低減させる。また、二番物還元量が第2閾値よりも大きく、かつ、第4閾値よりも大きくなると、制御ユニット81は、第一チャフシーブ38の漏下開度を大きくし、機体の走行速度を変更前の状態に戻す構成であっても良い。
【0088】
図21に示される第4閾値が図11に示される第2閾値よりも小さい場合について説明する。二番物還元量が第4閾値よりも大きく、かつ、第2閾値よりも小さい場合、制御ユニット81は、第一チャフシーブ38の漏下開度を大きくするが、機体の走行速度を低減させない。そして、二番物還元量が第4閾値よりも大きく、かつ、第2閾値よりも大きくなると、制御ユニット81は、第一チャフシーブ38の漏下開度を大きくし、かつ、機体の走行速度を低減させる。また、二番物還元量が第4閾値よりも大きく、かつ、第2閾値よりも大きくなると、制御ユニット81は、機体の走行速度を低減させ、第一チャフシーブ38の漏下開度を変更前の状態に戻す構成であっても良い。
【0089】
(4)上記別実施形態(1)における一番物センサ60の構成は、自脱型コンバインにも適用可能である。例えば、図22に示されているように、一番物センサ91が穀粒タンク12の天板12tに支持される構成であっても良い。穀粒タンク12の左側壁12bに、上下に延びる揚穀装置90が支持され、揚穀装置90に、スクリューコンベア90Aが備えられ、スクリューコンベア90Aは平面視において時計回りに回転する。左側壁12bのうち、揚穀装置90の上端部の位置する箇所に吐出口12hが形成され、吐出口12hは揚穀装置90の内部空間と連通する。
【0090】
スクリューコンベア90Aは、脱穀装置1の底部から穀粒を垂直に搬送し、スクリューコンベア90Aの上端部に回転羽根90Bが備えられている。回転羽根90Bはスクリューコンベア90Aと一体回転する。吐出口12hは、回転羽根90Bの位置する箇所に設けられている。
【0091】
一番物センサ91に、アーム部92とセンサ部93とが備えられている。吐出口12hから穀粒が放出されると、穀粒の幾らかがアーム部92と接触し、アーム部92が揺動する。センサ部93によってアーム部92の揺動角度θが計測され、その計測結果に基づいて穀粒の流量Fvが算出される。
【0092】
穀粒タンク12の天板12tに膨出部95が形成されている。膨出部95は天板12tの表面部分よりも上側に膨出し、膨出部95の内部に膨出空間が形成されている。膨出部95にアーム部92の回転軸94が支持される。膨出部95のうち、回転軸94の真上に位置する部分が最も高い位置となるように、膨出部95は形成されている。また、膨出部95の機体前部に傾斜面95aが形成され、傾斜面95aは機体前側ほど天板12tに近付く。
【0093】
図22に仮想線L3が示される。仮想線L3は、揺動軸芯Y2から下方に延び、投擲経路領域S1の上端線に対して直交する方向で交わる。アーム部92の遊端部は、穀粒が衝突せずに下向きに延びる状態で、仮想線L3よりも吐出口12hの位置する側と反対側に位置する。このことから、アーム部92が吐出口12hの位置する側と反対側に揺動するほど、アーム部92のうちの投擲経路領域S1の範囲外にはみ出る部分が多くなる。つまり、アーム部92は、揺動角度θが大きいほど、投擲経路領域S1の外にはみ出る割合が多くなるように構成されている。
【0094】
吐出口12hから放出される一番物の量が多くなると、アーム部92が上向きに大きく揺動する。このとき、アーム部92のうち揺動基端部側が、天板12tよりも上側に位置し、膨出部95に収納される。つまり、吐出口12hから放出される一番物の量が多くなると、アーム部92が上向きに大きく揺動し、アーム部92のうち穀粒の投擲経路領域S1よりも上側に外れる部分の割合が多くなる。また、アーム部92が上向きに大きく揺動するほど、アーム部92のうち膨出部95に収納される部分の割合が多くなる。このため、一番物の多くがアーム部92と接触することなく、放物線に沿って穀粒タンク12の内部へ拡散する。
【0095】
(5)上記実施形態では、走行装置3は、二番物還元量が第2閾値よりも大きいときに機体フレーム2の走行速度を低減させるとして説明したが、走行装置3は、二番物還元量が第2閾値よりも大きいときでも機体フレーム2の走行速度を低減させないように構成することも可能である。
【0096】
(6)上記実施形態では、走行装置3は、機体フレーム2を自動走行させるとして説明したが、機体フレーム2は自動走行しないように構成することも可能である。
【0097】
【0098】
)上記実施形態では、一番物回流量と二番物還元量とに基づいてチャフシーブの漏下開度を変更する構成について説明したが、送塵弁53aの傾斜姿勢を変更可能である場合には、一番物回流量と二番物還元量とに基づいて当該傾斜角度を変更するように構成することも可能である。
【0099】
)上記実施形態では、コンバインが普通型コンバインである場合の例を挙げて説明したが、コンバインは自脱型コンバインであっても良い。
【0100】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、圃場の植立穀稈を刈り取り、脱穀装置によって刈取穀稈の脱穀選別処理を行うコンバインに用いることが可能である。
【符号の説明】
【0102】
1:脱穀装置
2:機体フレーム(機体)
3:走行装置(走行制御ユニット)
24:揺動選別装置
26:一番物回収部
27:二番物回収部
32:二番物還元装置
38:第1チャフシーブ(チャフシーブ)
39:第2チャフシーブ(チャフシーブ)
41:脱穀部
42:選別部
60:一番物センサ
70:二番物センサ
図1
図2
図3
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