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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】消火システム
(51)【国際特許分類】
   A62C 37/00 20060101AFI20231127BHJP
   A62C 35/00 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
A62C37/00
A62C35/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020213998
(22)【出願日】2020-12-23
(65)【公開番号】P2022099922
(43)【公開日】2022-07-05
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸口 隆文
(72)【発明者】
【氏名】藤田 慎一朗
(72)【発明者】
【氏名】今井 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】中山 学
【審査官】松永 謙一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-232878(JP,A)
【文献】特開2015-091284(JP,A)
【文献】特開2004-261478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 37/00
A62C 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火装置の第1のグループと通信可能に接続され、表示部を備える中央操作盤と、
前記中央操作盤と通信可能に接続されるとともに、消火装置の第2のグループと通信可能に接続された中継盤と
を備える消火システムであって、
前記中央操作盤は、前記第1のグループの状態情報を取得し、
前記中継盤は、前記第2のグループの状態情報を取得し、取得した状態情報を前記中央操作盤に送信し、
前記中央操作盤は、前記第1のグループの状態情報と前記第2のグループの状態情報を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする消火システム。
【請求項2】
前記中央操作盤は、前記第1のグループと前記第2のグループの中から、放水させる消火装置を選択する機能を有する一方で、前記中継盤は、前記第2のグループの中から、放水させる消火装置を選択する機能を有しないことを特徴とする、請求項1に記載の消火システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アトリウムや展示場などの高天井部分に設置されるスプリンクラ設備として、放水型ヘッド等スプリンクラ設備が知られている。例えば、特許文献1には、防護区画に設置される複数の可動式ヘッドと、火災信号に連動して可動式ヘッドを起動して、火源探査や放水を指示する中央操作盤と、可動式ヘッドを手動で遠隔操作するための現地操作盤とを備える放水型ヘッド等スプリンクラ設備が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-230409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、1台の中央操作盤に接続可能な可動式ヘッドの台数には制限がある。しかし、1台の中央操作盤で、より多くの可動式ヘッドを管理したいというニーズが従来からあった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、1台の中央操作盤で管理可能な消火装置の数を増やすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係る消火システムは、消火装置の第1のグループと通信可能に接続され、表示部を備える中央操作盤と、前記中央操作盤と通信可能に接続されるとともに、消火装置の第2のグループと通信可能に接続された中継盤とを備える消火システムであって、前記中央操作盤は、前記第1のグループの状態情報を取得し、前記中継盤は、前記第2のグループの状態情報を取得し、取得した状態情報を前記中央操作盤に送信し、前記中央操作盤は、前記第1のグループの状態情報と前記第2のグループの状態情報を前記表示部に表示させる。
【0007】
好ましい態様において、前記中央操作盤は、前記第1のグループと前記第2のグループの中から、放水させる消火装置を選択する機能を有する一方で、前記中継盤は、前記第2のグループの中から、放水させる消火装置を選択する機能を有しない。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、1台の中央操作盤で管理可能な消火装置の数を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】消火システム1の構成を示すブロック図
図2】中央操作盤3の内部構成の一例を示すブロック図
図3】アドレスマップ画面の一例を示す図
図4】第1メイン画面の一例を示す図
図5】第1メイン画面の別の例を示す図
図6】第2メイン画面の一例を示す図
図7】第3メイン画面の一例を示す図
図8】操作画面の一例を示す図
図9】操作画面の別の例を示す図
図10】操作画面の別の例を示す図
図11】点検画面の一例を示す図
図12】ノズルユニット4の火災発生時の動作を示す図
図13】現地制御盤5の内部構成の一例を示すブロック図
図14】現地操作ユニット6の内部構成の一例を示すブロック図
図15】ノズル選択画面の一例を示す図
図16】ノズルユニット4の状態表示画面の一例を示す図
図17】操作画面の一例を示す図
図18】操作画面の別の例を示す図
図19】復旧画面の一例を示す図
図20】試験画面の一例を示す図
図21】中継盤7の内部構成の一例を示すブロック図
図22】第1送信モードを示す図
図23】第2送信モードを示す図
図24】自動消火モードを示すシーケンス図
図25】手動消火モードを示すシーケンス図
図26】手動消火モードを示す別のシーケンス図
図27】放水停止・復旧動作を示すシーケンス図
図28】放水停止・復旧動作を示す別のシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.実施形態
1-1.構成
本発明の一実施形態に係る消火システム1について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る消火システム1は、放水型ヘッド等スプリンクラ設備である。この消火システム1は、特に、複数の高天井部分を有する大規模な建物に設置されることを想定されている。図1は、この消火システム1の構成を示すブロック図である。同図に示す消火システム1は、自動火災報知設備2、中央操作盤3、ノズルユニット4、現地制御盤5、現地操作ユニット6および中継盤7を備える。
【0011】
この消火システム1において、中央操作盤3は、信号線L1を介して自動火災報知設備2と通信可能に接続されている。また、この中央操作盤3は、ループ状の配線L2を介してノズルユニット4のグループと通信可能に接続されている。この中央操作盤3に接続されるノズルユニット4は、建物Bが有する複数の高天井部分のうち、第1の高天井部分に設置される。また、このノズルユニット4は、ループ状の配線L3を介して現地制御盤5とも通信可能に接続されている。
【0012】
中央操作盤3は、さらに、通信線L4を介して各中継盤7と通信可能に接続されている。
この中央操作盤3と各中継盤7とを接続する通信線L4は、イーサネット(登録商標)ケーブルである。中央操作盤3は、この通信線L4を介して、各中継盤7との間でTCP/IP通信を行う。
【0013】
この中央操作盤3が接続されている各中継盤7は、信号線L1を介して自動火災報知設備2と通信可能に接続されている。また、各中継盤7は、ループ状の配線L2を介してノズルユニット4のグループと通信可能に接続されている。各中継盤7に接続されるノズルユニット4は、建物Bが有する複数の高天井部分のうち、第2の高天井部分と第3の高天井部分にそれぞれ設置される。また、各中継盤7に接続されるノズルユニット4は、それぞれループ状の配線L3を介して現地制御盤5とも通信可能に接続されている。
【0014】
各ノズルユニット4が接続される現地制御盤5は、可搬型の現地操作ユニット6が着脱自在に接続可能となっている。
以下、各構成要素について説明する。
【0015】
1-1-1.自動火災報知設備2
自動火災報知設備2は、建物Bの高天井部分に設置される複数の感知器と、建物Bの防災センタに設置されるR型の火災受信機を備える(いずれも図示略)。このうち感知器は、例えば煙感知器や炎感知器であり、測定した物理量を示すアナログ値を火災受信機に送信する。火災受信機は、感知器により測定された物理量が所定の閾値を超え、かつ、その継続時間が所定時間を超えると、感知器発報信号を中央操作盤3または中継盤7に送信する。この感知器発報信号には、発報した感知器の火災区画を示す情報が含まれる。
【0016】
1-1-2.中央操作盤3
中央操作盤3は、建物Bに設置されるノズルユニット4を自動または手動で遠隔制御するための装置である。この中央操作盤3は、建物Bの防災センタに設置される。図2は、この中央操作盤3の内部構成の一例を示すブロック図である。同図に示す中央操作盤3は、制御部31、記憶部32、タッチスクリーン33および通信部34を備える。
【0017】
このうち制御部31は、プロセッサとメモリにより構成され、プロセッサが、メモリに記憶されるプログラムを実行することにより、各種の機能が実現される。実現される機能には、ノズル制御部311、ノズル情報管理部312、試験部313、イベント情報管理部314、表示制御部315、区画情報管理部316および区画情報同期部317が含まれる。
【0018】
このうちノズル制御部311は、火災受信機から送信される感知器発報信号に応じて、またはセンタ要員による操作に応じて、ノズルユニット4を制御する。
【0019】
ノズル情報管理部312は、センタ要員による操作を支援するために、各ノズルユニット4からノズル情報を取得して管理する。その際、ノズル情報管理部312は、中央操作盤3に接続されるノズルユニット4については、そのノズルユニット4から直接ノズル情報を取得する。一方、中継盤7に接続されるノズルユニット4については、そのノズルユニット4が接続される中継盤7からノズル情報を取得する。このように取得されるノズル情報は、具体的には、ノズルユニット4の状態情報、操作権情報および現地単独情報である。このうち現地単独情報は、現地制御盤5が中央操作盤3からの制御を受け付けない状態(言い換えると、現地単独状態)であるか否かを示す情報である。現地単独状態のノズルユニット4が放水しているときには、他のノズルユニット4の放水は制限される。
【0020】
試験部313は、中央操作盤3に接続されている現地操作ユニット6の動作試験を定期的に行う。ここで言う動作試験とは、現地操作ユニット6の通信状態を確認する試験である。試験部313は、現地操作ユニット6に対して状態確認コマンドを送信し、応答を受信できれば正常と判定し、応答を受信できなければ異常と判定する。このように動作試験を定期的に行うことによって、現地操作ユニット6をいざ使用する際に、使用することができないといった事態を防止することができる。
【0021】
イベント情報管理部314は、建物Bで発生する火災関連のイベント情報を管理する。各イベント情報は、発生したイベントの内容と発生日時により構成される。
【0022】
表示制御部315は、ノズル情報管理部312により管理されるノズル情報と、イベント情報管理部314により管理されるイベント情報に基づいて、中央操作盤3の操作用画面を生成する。そして、生成した操作用画面をタッチスクリーン33に表示させる。
【0023】
区画情報管理部316は、センタ要員による操作を支援するために、区画情報を管理する。ここで言う区画情報とは、防護区画の識別情報と、当該防護区画に設定されている中央操作盤3または中継盤7の識別情報と、当該防護区画に設定されているノズルユニット4の識別情報とを対応付けてなる情報である。この区画情報は、中央操作盤3の盤面上または中央操作盤3に接続されたPC上で編集される。
【0024】
区画情報同期部317は、現地操作ユニット6に記憶されている区画情報を、中央操作盤3に記憶されている区画情報に同期させる。この同期処理は、中央操作盤3の起動時と、中央操作盤3において区画情報が更新された時に実行される。この同期処理により、現地操作ユニット6に記憶されている区画情報を最新の状態に維持することができる。
【0025】
次に、表示制御部315により生成される操作用画面について説明する。
図3は、アドレスマップ画面の一例を示す図である。同図に示すアドレスマップ画面は、建物Bに設置されるノズルユニット4の状態情報の一覧を示している。この画面には、盤ごとに、ノズルユニット4の状態情報と現地単独情報が示されている。例えば、同画面によれば、ノズル番号「1」のノズルユニット4は、「中央操作盤」に接続されており、格納状態である。ノズル番号「15」のノズルユニット4は、「第1中継盤」に接続されており、火源確定状態である。ノズル番号「38」のノズルユニット4は、「第2中継盤」に接続されており、現地単独状態である。なお、状態情報は、状態に応じて色分けされてもよい。
【0026】
また同画面は、操作対象の盤を選択するための画面でもある。この画面においていずれかのノズルユニット4が選択されると、選択されたノズルユニット4に対応する盤の第1メイン画面が表示される。
【0027】
図4は、第1メイン画面の一例を示す図である。同図に示す第1メイン画面は、選択された盤に対応するノズルユニット4の状態情報の一覧を示している。また同画面は、制御対象のノズルユニット4を選択するための画面でもある。この画面には、各ノズルユニット4の名称と設置区画が示されている。加えて、各ノズルユニット4について状態情報、現地単独情報および操作権情報が横並びで示されている。これらの情報のうち、状態情報は、横方向に並べられた複数の状態のうち、該当する状態が強調表示されることで示されている。なお、状態情報は、状態に応じて色分けされてもよい。
【0028】
図4に示す画面によれば、例えば、「SR-01」は格納状態であり、現地単独状態ではなく、操作権は中央操作盤3と現地制御盤5のいずれにもない。「SR-05」は火源確定状態でありかつ放水中であり、現地単独状態ではなく、操作権は現地制御盤5にある。「SR-10」は格納状態であり、現地単独状態であり、操作権は現地制御盤5にある。
【0029】
加えて、同画面には、電源灯Lp1、電話呼出灯Lp2、盤故障灯Lp3およびスイッチ注意灯Lp4が含まれている。このうち電源灯Lp1は、中央操作盤3の起動中に点灯し、図示せぬUPSから停電信号が入力されると点滅する。電話呼出灯Lp2は、現地制御盤5との電話が接続されると点灯する。盤故障灯Lp3は、中央操作盤3に異常が発生すると点灯する。スイッチ注意灯Lp4は、後述する現地取外ボタンB4または音響停止ボタンB5が押下されると点滅する。
【0030】
加えて、同画面には、火災灯Lp5と消火ポンプ運転灯Lp6が含まれている。このうち火災灯Lp5は、火災受信機から感知器発報信号が入力されると点灯し、消火ポンプ運転灯Lp6は、図示せぬ消火ポンプの運転中に点灯する。
【0031】
加えて、同画面には、イベント表示タブT1、操作ガイダンス表示タブT2およびイベント表示欄S1が含まれている。このうちイベント表示タブT1は、イベント表示欄S1の表示を指示するためのボタンであり、操作ガイダンス表示タブT2は、後述する操作ガイダンス表示欄S2の表示を指示するためのボタンである。イベント表示欄S1は、消火システム1で発生したイベントの履歴が時系列で示される領域である。同画面ではイベント表示タブT1が選択されているため、操作ガイダンス表示欄S2ではなく、このイベント表示欄S1が表示されている。このイベント表示欄S1を第1メイン画面に含めることで、センタ要員は各ノズルユニット4の状態とイベントの発生履歴を同時に確認することができる。
なお、このイベント表示欄S1と操作ガイダンス表示欄S2のサイズおよび配置は、同画面に示されるノズルユニット4の台数に応じて変更してもよい。
【0032】
加えて、同画面には、メニューボタンB1、放水自動ボタンB2、放水手動ボタンB3、現地取外ボタンB4、音響停止ボタンB5、全復旧ボタンB6および他盤表示ボタンB31が含まれている。このうちメニューボタンB1は、メニューリストの表示を指示するためのボタンである。このメニューリストでは、タッチスクリーン33に表示させるメイン画面を、第1ないし第3メイン画面の中から自由に選択することができる。次に、放水自動ボタンB2は、消火システム1の消火モードを自動消火モードに切り替えるためのボタンであり、放水手動ボタンB3は、消火システム1の消火モードを手動消火モードに切り替えるためのボタンである。現地取外ボタンB4は、現地操作ユニット6の異常検出の停止を指示するためのボタンである。音響停止ボタンB5は、中央操作盤3の故障音響および警報音響の停止を指示するためのボタンである。全復旧ボタンB6は、建物Bに設置されているすべてのノズルユニット4の復旧を指示するためのボタンである。他盤表示ボタンB31は、他盤リストの表示を指示するためのボタンである。この他盤リストでは、第1メイン画面を表示させる他盤を自由に選択することができる。
【0033】
図5は、第1メイン画面の別の例を示す図である。同図に示す第1メイン画面では、図4に示す第1メイン画面とは異なり、操作ガイダンス表示タブT2が選択されている。そのため、イベント表示欄S1に代えて操作ガイダンス表示欄S2が表示されている。この操作ガイダンス表示欄S2は、第1メイン画面の説明と操作方法が示される領域である。この操作ガイダンス表示欄S2を第1メイン画面に含めることで、センタ要員は操作ガイダンスを参照しながら第1画面を操作することができる。
【0034】
次に、第2メイン画面について説明する。
図6は、第2メイン画面の一例を示す図である。同図に示す第2メイン画面は、建物Bに設置されるノズルユニット4の状態情報の一覧を示している。また同画面は、制御対象のノズルユニット4を選択するための画面でもある。この画面には、上述した第1メイン画面とは異なる方法でノズルユニット4の状態情報が提示される。具体的には、中央操作盤3または中継盤7に接続されているノズルユニット4のうち、所定の事象が発生したノズルユニット4についてのみ状態情報が提示される。より具体的には、所定の事象が発生したノズルユニット4の名称と設置区画が、その発生した事象の枠内に配置される。各事象の枠内の色は、事象ごとに異ならせてよい。
【0035】
図6に示す画面によれば、「SR-05」は放水中であり、「SR-03」と「SR-05」は火源確定済みであり、「SR-06」と「SR-07」は異常または汚損発生中である。この画面によれば、事象が発生したノズルユニット4の識別が容易になる。
【0036】
加えて、同画面には、上記の電源灯Lp1、電話呼出灯Lp2、盤故障灯Lp3、スイッチ注意灯Lp4、火災灯Lp5および消火ポンプ運転灯Lp6が含まれている。また、上記のメニューボタンB1、放水自動ボタンB2、放水手動ボタンB3、現地取外ボタンB4、音響停止ボタンB5および全復旧ボタンB6が含まれている。
【0037】
次に、第3メイン画面について説明する。
図7は、第3メイン画面の一例を示す図である。同図に示す第3メイン画面は、選択された盤に対応するノズルユニット4の状態情報の一覧を示している。また同画面は、制御対象のノズルユニット4を選択するための画面でもある。この画面には、上述した第1メイン画面および第2メイン画面とは異なる方法でノズルユニット4の状態情報が提示される。具体的には、各ノズルユニット4について状態情報、現地単独情報および操作権情報が2段組みで示されている。これらの情報のうち、状態情報は、2段組みで並べられた複数の状態のうち、該当する状態が強調表示されることで示されている。なお、状態情報は、状態に応じて色分けされてもよい。
【0038】
図7に示す画面によれば、例えば、「SR-01」は格納状態であり、現地単独状態ではなく、操作権は中央操作盤3にある。「SR-03」は火源確定状態でありかつ放水中であり、現地単独状態ではなく、操作権は中央操作盤3と現地制御盤5のいずれにもない。「SR-06」は格納状態であり、現地単独状態であり、操作権は現地制御盤5にある。
【0039】
加えて、同画面には、上記の電源灯Lp1、電話呼出灯Lp2、盤故障灯Lp3およびスイッチ注意灯Lp4、火災灯Lp5および消火ポンプ運転灯Lp6が含まれている。また、同画面には、上記のイベント表示タブT1、操作ガイダンス表示タブT2およびイベント表示欄S1が含まれている。このうちイベント表示欄S1と、操作ガイダンス表示タブT2を選択することで表示される操作ガイダンス表示欄S2は、同画面に示されるノズルユニット4の台数に応じて、そのサイズと配置が変更されてもよい。
【0040】
加えて、同画面には、上記のメニューボタンB1、放水自動ボタンB2、放水手動ボタンB3、現地取外ボタンB4、音響停止ボタンB5、全復旧ボタンB6および他盤表示ボタンB31が含まれている。
【0041】
次に、上記の第1ないし第3メイン画面においていずれかのノズルユニット4が選択されたときに表示される操作画面について説明する。なお、当該選択操作は、例えば、上記の第1ないし第3メイン画面において、画面上の各「ノズルユニット4の名称(SR-**)」の箇所をタッチ操作することで行われる。
図8は、操作画面の一例を示す図である。同図に示す操作画面は、選択されたノズルユニット4を操作するための画面である。同画面には、ノズルの状態情報が示されている。同画面によれば、「SR-01」は格納状態である。
【0042】
加えて、同画面には、操作権表示灯B7および操作権ボタンB8が含まれている。このうち操作権表示灯B7は、現地制御盤5が操作権を取得すると点灯し、中央操作盤3が操作権を取得したり、操作権が開放されたりすると消灯する。一方、操作権ボタンB8は、中央操作盤3に操作権を取得させるためのボタンである。
【0043】
加えて、同画面には、放水準備ボタンB9が含まれている。この放水準備ボタンB9は、放水準備を指示するためのボタンである。同画面では、操作権ボタンB8が選択されておらず、中央操作盤3が操作権を取得していないため、この放水準備ボタンB9はグレーアウトされている。
【0044】
加えて、同画面には、矢印ボタンB10~B13が含まれている。これらの矢印ボタンB10~B13は、ノズルユニット4の放水部41の旋回を指示するためのボタンである。これらのボタンのうち、矢印ボタンB10は、低速左旋回を指示するためのボタンであり、矢印ボタンB11は、高速左旋回を指示するためのボタンであり、矢印ボタンB12は、低速右旋回を指示するためのボタンであり、矢印ボタンB13は、高速右旋回を指示するためのボタンである。同画面では、放水準備ボタンB9が選択されておらず、放水準備が完了していないため、これらの矢印ボタンB10~B13はグレーアウトされている。
【0045】
加えて、同画面には、ノズル画像P1が含まれている。このノズル画像P1は、ノズルユニット4の状態を表す外観画像であり、特に、ノズルユニット4が格納状態であるか否かを示す画像である。同画面によれば、「SR-01」は格納状態である。センタ要員は、このノズル画像P1を見ることで、ノズルユニット4が格納状態であるか否かを知ることができる。
【0046】
加えて、同画面には、インジケータ画像P2が含まれている。このインジケータ画像P2は、ノズルユニット4の放水部41の旋回角を図示する画像である。同画面では、「SR-06」は格納状態であるため、バーP21が非表示となっている。
【0047】
加えて、同画面には、放水開始ボタンB14と放水停止ボタンB15が含まれている。放水開始ボタンB14は、放水開始を指示するためのボタンであり、放水停止ボタンB15は、放水停止を指示するためのボタンである。同画面では、放水準備ボタンB9が選択されておらず、放水準備が完了していないため、放水開始ボタンB14はグレーアウトされている。
【0048】
加えて、同画面には、操作ガイダンス表示欄S3が表示されている。この操作ガイダンス表示欄S3は、操作画面の説明と操作方法が示される領域である。この操作ガイダンス表示欄S3を操作画面に含めることで、センタ要員は操作ガイダンスを参照しながら操作画面を操作することができる。
【0049】
加えて、同画面には、閉じるボタンB16が含まれている。この閉じるボタンB16は、メイン画面への遷移を指示するためのボタンである。
【0050】
図9は、操作画面の別の例を示す図である。同図に操作画面では、図8に示す操作画面と比較して、操作権ボタンB8が選択されており、中央操作盤3が操作権を取得している。そのため、同画面では、放水準備ボタン9が選択可能になっている。
【0051】
図10は、操作画面のさらに別の例を示す図である。同図に操作画面では、図9に示す操作画面と比較して、放水準備ボタン9が選択されており、放水準備が完了している。そのため、同画面では、矢印ボタンB10~B13と放水開始ボタンB14が選択可能となっている。加えて、同画面では、ノズル画像P1に示される通り、「SR-01」は非格納状態となっている。そのため、インジケータ画像P2にバーP21が表示されている。同画面では、このバーP21は中央に位置しており、これは、ノズルユニット4の放水部41が正面を向いていることを示している。なお、このバーP21は、放水部41が左旋回すると左方向に移動し、右旋回すると右方向に移動する。
【0052】
次に、点検画面について説明する。この点検画面は、現地操作ユニット6の動作試験の結果を示す画面である。
図11は、この点検画面の一例を示す図である。同図に示す点検画面は、現地操作ユニット6Aの通信状態が正常であり、現地操作ユニット6Bの通信状態が異常であることを示している。
【0053】
1-1-3.ノズルユニット4
次に、ノズルユニット4について説明する。
ノズルユニット4は、建物Bの高天井部分に設置される消火装置であり、具体的には可動式ヘッドである。このノズルユニット4は、放水部41、感知部42、制御部43および信号中継部44を備える(これらのうち、放水部41と感知部42については、図12参照。制御部43と信号中継部44については、図示略)。
【0054】
放水部41は、遠投、中投、近投の3種類のヘッドを一体構造とした組合せノズルである。
【0055】
感知部42は、赤外線リニアセンサ421と炎検知器422を備える。このうち赤外線リニアセンサ421は、警戒区域内の高温点を探査し、その方向を検出する。一方、炎検知器422は、赤外線3波長式炎検知器であり、赤外線リニアセンサ421で検出された方向の火源を検出する。
【0056】
制御部43は、中央操作盤3、現地制御盤5または中継盤7から信号を受信し、受信した信号に応じて放水部41および感知部42を制御する。加えて、受信した信号に応じて当該ノズルユニット4の状態情報、操作権情報および現地単独情報を管理する。これらの情報のうち、状態情報は、ノズルユニット4の動作状態を示す情報である。この状態情報により表される状態には、格納、火源探査中、火源確定、放水中、異常および汚損が含まれる。これらの状態のうち、異常とは、電源異常、旋回異常、検知異常または通信異常である。汚損とは、感知部42の受光窓の汚損である。
【0057】
信号中継部44は、他のノズルユニット4と、中央操作盤3、現地制御盤5または中継盤7との間で信号を中継する。
【0058】
図12は、このノズルユニット4の火災発生時の動作を示す図である。
ノズルユニット4は、平常時、壁面に埋め込まれた状態で格納されている(図12(a))。この状態において、中央操作盤3から探査開始信号が入力されると、ノズルユニット4は起動して、放水部41と感知部42が一体となって旋回を開始する(図12(b))。旋回の開始後、赤外線リニアセンサ421は、警戒区域内の高温点を探査し、その方向を検出する(図12(c))。高温点の方向が検出されると、その検出された方向に炎検知器422の正面が向けられ、炎検知器422は当該方向の火源Fを検出する(図12(d))。火源Fが検出されると、制御部43は、旋回角を示す火源位置信号を中央操作盤3に送信する。火災位置信号の送信後、放水部41のノズル口が、その検出された火源Fに向けられ、その状態でノズルユニット4は待機状態となる(図12(e))。その後、中央操作盤3からこのノズルユニット4に対して放水開始信号が送信されると、放水部41から火源Fに対して放水が行われる。
【0059】
1-1-4.現地制御盤5
次に、現地制御盤5について説明する。
現地制御盤5は、当該盤に接続されるノズルユニット4を手動で遠隔制御するための装置である。この現地制御盤5は、当該ノズルユニット4が設置されている防護区画内に設置される。この現地制御盤5には、可搬型の現地操作ユニット6が着脱自在に接続可能となっている。図13は、この現地制御盤5の内部構成の一例を示すブロック図である。同図に示す現地制御盤5は、制御部51、記憶部52および通信部53を備える。このうち制御部51は、プロセッサとメモリにより構成され、プロセッサが、メモリに記憶されるプログラムを実行することにより、各種の機能が実現される。実現される機能の中には、ノズル情報管理部511、ノズル情報出力部512およびノズル制御部513が含まれる。
【0060】
ノズル情報管理部511は、センタ要員による操作を支援するために、現地制御盤5に接続されるノズルユニット4からノズル情報を取得して管理する。ここで言うノズル情報とは、上記の通り、ノズルユニット4の状態情報、操作権情報および現地単独情報である。
【0061】
ノズル情報出力部512は、現地制御盤5に記憶されているノズル情報を現地操作ユニット6に出力する。
【0062】
ノズル制御部513は、現地操作ユニット6から入力される操作信号に応じて、現地制御盤5に接続されるノズルユニット4を制御する。
【0063】
1-1-5.現地操作ユニット6
次に、現地操作ユニット6について説明する。
現地操作ユニット6は、現地制御盤5を操作するために使用される可搬型の情報処理装置である。この現地操作ユニット6は、現地制御盤5および中央操作盤3とケーブルを介して接続するための端子を備える。この現地操作ユニット6は、平常時は中央操作盤3に接続されており、利用時は、中央操作盤3から取り外されて現地に持参され、現地制御盤5に接続される。
【0064】
図14は、この現地操作ユニット6の内部構成の一例を示すブロック図である。同図に示す現地操作ユニット6は、制御部61、記憶部62、タッチスクリーン63および通信部64を備える。このうち制御部61は、プロセッサとメモリにより構成され、プロセッサが、メモリに記憶されるプログラムを実行することにより、各種の機能が実現される。実現される機能の中には、ノズル情報取得部611、表示制御部612および操作信号出力部613が含まれる。
【0065】
ノズル情報取得部611は、現地制御盤5からノズル情報を取得する。このノズル情報の取得は、現地操作ユニット6が現地制御盤5に接続されて起動した時と、現地制御盤5においてノズル情報が更新された時に行われる。
【0066】
表示制御部612は、ノズル情報取得部661により取得されるノズル情報と、記憶部67に記憶される区画情報に基づいて現地制御盤5の操作用画面を生成する。そして、生成した操作用画面をタッチスクリーン63に表示させる。
【0067】
操作信号出力部613は、タッチスクリーン63に操作が入力されると、入力された操作を表す信号を現地制御盤5に出力する。
【0068】
次に、表示制御部612により生成される操作用画面について説明する。
図15は、ノズル選択画面の一例を示す図である。同図に示すノズル選択画面は、制御対象のノズルユニット4を選択するための画面である。この画面には、現地制御盤5に接続されている各ノズルユニット4の名称と設置区画が示されている。加えて、各ノズルユニット4の状態が色分けされて示されている。同画面によれば、「SR-01」と「SR-06」は火源確定状態であり、「SR-03」は現地単独状態であり、「SR-10」は放水中であり、「SR-14」は異常または汚損状態であり、その他は格納状態である。センタ要員は、この画面を参照して、制御対象のノズルユニット4を選択する。なお、当該選択操作は、例えば、画面上の各「ノズルユニット4の名称(SR-**)」の箇所をタッチ操作することで行われる。
【0069】
図16は、選択されたノズルユニット4の状態表示画面の一例を示す図である。同図に示す状態表示画面には、タブT3~T6が含まれている。タブT3は、状態表示画面への遷移を指示するためのボタンであり、タブT4は、操作画面への遷移を指示するためのボタンであり、タブT5は、復旧画面への遷移を指示するためのボタンであり、タブT6は、試験画面への遷移を指示するためのボタンである。
【0070】
加えて、同図に示す状態表示画面には、異常灯Lp7と火災灯Lp8が含まれている。このうち異常灯Lp7は、ノズルユニット4が異常状態であるときに点灯し、火災灯Lp8は、火災受信機から感知器発報信号が入力されると点灯する。同画面によれば、「SR-06」は異常状態ではなく、火災発生中である。
【0071】
加えて、同画面には、ノズルの状態情報が示されている。同画面によれば、「SR-06」は火源確定状態である。
【0072】
加えて、同画面には、操作権表示灯B17および操作権ボタンB18が含まれている。このうち操作権表示灯B17は、中央操作盤3が操作権を取得すると点灯し、現地制御盤5が操作権を取得したり、操作権が開放されたりすると消灯する。一方、操作権ボタンB18は、現地制御盤5に操作権を取得させるためのボタンである。
【0073】
加えて、同画面には、操作画面ボタンB19とノズル選択画面ボタンB20が含まれている。操作画面ボタンB19は、操作画面への遷移を指示するためのボタンであり、ノズル選択画面ボタンB20は、ノズル選択画面への遷移を指示するためのボタンである。
【0074】
次に、操作画面について説明する。
図17は、操作画面の一例を示す図である。同図に示す操作画面には、上記のタブT3~T6、異常灯Lp7および火災灯Lp8が含まれている。加えて、同画面には、放水準備ボタンB21が含まれている。この放水準備ボタンB21は、放水準備を指示するためのボタンである。同画面では、この放水準備ボタンB21は未選択の状態となっている。
【0075】
加えて、同画面には、矢印ボタンB22~B25が含まれている。これらの矢印ボタンB22~B25は、ノズルユニット4の放水部41の旋回を指示するためのボタンである。これらのボタンのうち、矢印ボタンB22は、低速左旋回を指示するためのボタンであり、矢印ボタンB23は、高速左旋回を指示するためのボタンであり、矢印ボタンB24は、低速右旋回を指示するためのボタンであり、矢印ボタンB25は、高速右旋回を指示するためのボタンである。同画面では、放水準備ボタンB21が選択されておらず、放水準備が完了していないため、これらの矢印ボタンB22~B25はグレーアウトされている。
【0076】
加えて、同画面には、ノズル画像P3が含まれている。このノズル画像P3は、ノズルユニット4の状態を表す外観画像であり、特に、ノズルユニット4が格納状態であるか否かを示す画像である。同画面によれば、「SR-06」は格納状態である。センタ要員は、このノズル画像P3を見ることで、ノズルユニット4が格納状態であるか否かを知ることができる。
【0077】
加えて、同画面には、インジケータ画像P4が含まれている。このインジケータ画像P4は、ノズルユニット4の放水部41の旋回角を図示する画像である。同画面では、「SR-06」は格納状態であるため、バーP41が非表示となっている。
【0078】
加えて、同画面には、放水開始ボタンB26と放水停止ボタンB27が含まれている。放水開始ボタンB26は、放水開始を指示するためのボタンであり、放水停止ボタンB27は、放水停止を指示するためのボタンである。同画面では、放水準備ボタンB21が選択されておらず、放水準備が完了していないため、放水開始ボタンB26はグレーアウトされている。
【0079】
図18は、操作画面の別の例を示す図である。同図に操作画面では、放水準備ボタンB21が選択されており、放水準備が完了している。そのため、同画面では、矢印ボタンB22~B25と放水開始ボタンB26が選択可能となっている。加えて、同画面では、ノズル画像P3に示される通り、「SR-06」は非格納状態となっている。そのため、インジケータ画像P4にバーP41が表示されている。同画面では、このバーP41は中央に位置しており、これは、ノズルユニット4の放水部41が正面を向いていることを示している。なお、このバーP21は、放水部41が左旋回すると左方向に移動し、右旋回すると右方向に移動する。
【0080】
次に、復旧画面について説明する。
図19は、復旧画面の一例を示す図である。同図に示す復旧画面には、上記のタブT3~T6、異常灯Lp7、火災灯Lp8およびノズル選択画面ボタンB20が含まれている。加えて、同画面には、復旧ボタンB28と実行ボタンB29が含まれている。復旧ボタンB28は、ノズルユニット4の復旧を指示するためのボタンであり、実行ボタンB29は、ノズルユニット4を現地単独状態に変更することを指示するためのボタンである。
【0081】
次に、試験画面について説明する。
図20は、試験画面の一例を示す図である。同図に示す試験画面は、上記のタブT3~T6、異常灯Lp7、火災灯Lp8およびノズル選択画面ボタンB20が含まれている。加えて、同画面には、実行ボタンB30が含まれている。この実行ボタンB30は、ノズルユニット4のセルフチェック試験を指示するためのボタンである。
【0082】
1-1-6.中継盤7
次に、中継盤7について説明する。
中継盤7は、中央操作盤3と、当該中継盤7に接続されるノズルユニット4との間で信号を中継するための装置である。この中継盤7を中央操作盤3とノズルユニット4の間に介在させることで、中央操作盤3に直結可能なノズルユニット4の回線数を増やさなくても、中央操作盤3によって管理可能なノズルユニット4の台数を増やすことができる。
【0083】
図21は、この中継盤7の内部構成の一例を示すブロック図である。同図に示す中継盤7は、制御部71、記憶部72および通信部73を備える。このうち制御部71は、プロセッサとメモリにより構成され、プロセッサが、メモリに記憶されるプログラムを実行することにより、各種の機能が実現される。実現される機能の中には、ノズル情報管理部711、ノズル情報送信部712、信号中継部713、火災信号送信部714および通信監視部715が含まれる。
【0084】
ノズル情報管理部711は、中継盤7に接続されるノズルユニット4からノズル情報を取得して管理する。ここで言うノズル情報とは、上記の通り、ノズルユニット4の状態情報、操作権情報および現地単独情報である。このノズル情報管理部711がノズル情報を取得することで、中央操作盤3は、中継盤7に接続されるノズルユニット4についてはノズル情報を直接取得する必要がない。
【0085】
次に、ノズル情報送信部712は、中継盤7に記憶されているノズル情報を定期的に中央操作盤3に送信する。
【0086】
信号中継部713は、中央操作盤3と、中継盤7に接続されるノズルユニット4との間で信号を中継する。
【0087】
火災信号送信部714は、中継盤7に接続される火災受信機から感知器発報信号を受信すると、受信した信号を中央操作盤3に転送する。中央操作盤3は、この信号を受信すると、上記の通り、ノズルユニット4の制御を開始する。
【0088】
通信監視部715は、中継盤7と中央操作盤3の間のネットワーク接続を監視し、ネットワーク接続が切断されると、再接続を繰り返し試みる。
【0089】
1-2.動作
消火システム1の動作について説明する。具体的には、通信動作、消火動作および放水停止・復旧動作について説明する。
【0090】
1-2-1.通信動作
中央操作盤3、現地制御盤5および中継盤7は、自機と接続されるノズルユニット4とポーリング方式で通信を行う。ここで言うポーリング方式とは、マスタ機器が複数のスレーブ機器に対してデータの送信要求の有無を定期的に問い合わせる通信方式のことである。中央操作盤3、現地制御盤5および中継盤7は、このポーリング方式で通信を行うにあたって、ポーリングごとに第1送信モードと第2送信モードを交互に切り替える。図22は、第1送信モードを示す図であり、図23は、第2送信モードを示す図である。両図において制御盤8は、中央操作盤3、現地制御盤5および中継盤7を示している。
【0091】
図22に示す第1送信モードでは、制御盤8は、時計回りのルートで信号を送信する(矢印A1参照)。これに対して各ノズルユニット4は、反時計回りのルートで信号を返送する(矢印A2参照)。一方、図23に示す第2送信モードでは、制御盤8は、反時計回りのルートで信号を送信する(矢印A3参照)。これに対して各ノズルユニット4は、時計回りのルートで信号を返送する(矢印A4参照)。このように、ポーリングごとに信号の送信ルートを変更することで、ネットワークの一部に通信障害が発生したとしても、制御盤8と各ノズルユニット4間の通信が可能となる。例えば、制御盤8とノズルユニット4aの間の配線が断線した場合、制御盤8は第1送信モードでは各ノズルユニット4と通信を行うことができないが、第2送信モードでは各ノズルユニット4と通信を行うことができる。
【0092】
制御盤8は、探査開始命令や放水命令などのコマンドが発生すると、発生したコマンドをコマンドリストに記憶する。そして、コマンドリストにコマンドが存在する場合には、通常ポーリングサイクルの2回に1回の割合で割り込んで、コマンドに関するポーリングを実施する。一方、コマンドリストにコマンドが存在しない場合には、各ノズルユニット4に対して状態確認のためのポーリングを実施する。このポーリングでは、各ノズルユニット4の状態と操作権の所在が確認される。
【0093】
1-2-2.消火動作
次に、消火動作について説明する。具体的には、自動消火モードと手動消火モードについて説明する。ここで、自動消火モードとは、火災の感知から放水までの一連の動作を自動で行う消火モードである。これに対して、手動消火モードとは、火災の感知から放水に最適なノズルユニット4の選択までを自動で行い、放水については中央操作盤3または現地操作ユニット6の操作に応じて開始する消火モードである。これら2つの消火モードは、中央操作盤3の盤面操作で切り替え可能となっている。
【0094】
1-2-2-1.自動消火モード
図24は、自動消火モードを示すシーケンス図である。同図に示すシーケンス図では、中央操作盤3、ノズルユニット4および現地制御盤5の処理のみが示されている。しかし、ノズルユニット4が中継盤7を介して中央操作盤3に接続されている場合には、そのノズルユニット4が中央操作盤3との間で送受信する信号は中継盤7により中継されることになる。しかし、同シーケンス図とこれに関連する以下の説明では、説明を簡単にするために、中継盤7の中継処理への言及を省略する。これは、後述する図25ないし図28と、これらの図に関連する説明についても同様である。
【0095】
図24に示す自動消火モードでは、中央操作盤3は、火災受信機から送信された感知器発報信号を受信すると(ステップSa1)、発報した感知器の警戒区域内に設置されているノズルユニット4を特定する(ステップSa2)。そして、特定したノズルユニット4に対して探査開始信号を送信する(ステップSa3)。その際、中央操作盤3、または中央操作盤3からの探査開始信号を中継する中継盤7は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、次回のポーリングサイクル以降も継続する。
【0096】
ノズルユニット4は、探査開始信号を受信すると、火源探査を開始する(ステップSa4)。加えて、自機の状態情報を「格納」から「探査」に更新する。そして、火源探査の結果、火源を検出すると(ステップSa5)、火源検出時の旋回角を示す火源位置信号を中央操作盤3に送信する(ステップSa6)。加えて、自機の状態情報を「探査」から「確定」に更新する。
【0097】
中央操作盤3は、火災区画のすべてのノズルユニット4から火源位置信号を受信するか、または火源位置信号の第1報を受信してから所定の時間が経過すると、受信した火源位置信号に基づいて放水に最適なノズルユニット4を選択する(ステップSa7)。その際のノズルユニット4の選択方法については、例えば、特開2000-093540号公報を参照のこと。
【0098】
このノズルユニット4を選択する機能は、中央操作盤3のみが有する。中継盤7は、中央操作盤3と同様にノズルユニット4と接続されているが、この機能を有しない。そのため、放水させるノズルユニット4を中央操作盤3において一元的に決定することができる。このように、放水させるノズルユニット4を一元的に決定することで、建物Bに設定されている放水制限を超えて放水させてしまうことを防止することができる。
【0099】
中央操作盤3は、放水に最適なノズルユニット4を選択すると、消火ポンプを起動させる(ステップSa8)。加えて、選択したノズルユニット4に対して放水開始信号を送信する(ステップSa9)。その際、中央操作盤3、または中央操作盤3からの放水開始信号を中継する中継盤7は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、次回のポーリングサイクル以降も継続する。
【0100】
ノズルユニット4は、放水開始信号を受信すると、当該信号を自機に接続される現地制御盤5に転送する(ステップSa10)。現地制御盤5は、この放水開始信号を受信すると、ノズルユニット4に対応する起動弁(図示略)を開放する(ステップSa11)。その結果、ノズルユニット4から火源に対して放水が行われる。
【0101】
起動弁の解放後、現地制御盤5は、当該起動弁の2次側に設置された圧力スイッチ(図示略)からオン信号を受信すると(ステップSa12)、放水が開始されたことを示す放水信号をノズルユニット4に送信する(ステップSa13)。ノズルユニット4は、この放水を受信すると、自機の状態情報を「確定」から「放水」に更新する(ステップSa14)。
以上が、自動消火モードについての説明である。
【0102】
なお、以上説明した自動消火モードの動作中において、中央操作盤3と中継盤7の間のネットワーク接続が切断されてしまう可能性が考えられる。仮に、放水させるノズルユニット4が中継盤7を介して中央操作盤3に接続されており、その中継盤7と中央操作盤3の間のネットワーク接続が切断されてしまった場合には、そのノズルユニット4と中央操作盤3の間が不通になってしまう。その結果、中央操作盤3から送信された信号が、そのノズルユニット4に届かなくなってしまい、そのノズルユニット4からの自動放水が不能となってしまう。その場合、そのノズルユニット4が接続される中継盤7は、そのノズルユニット4と中央操作盤3の間の通信を回復させるために、中央操作盤3との再接続を繰り返し試みる。一方、センタ要員は、そのノズルユニット4が接続される現地制御盤5を操作することで、そのノズルユニット4から手動で放水させることができる。この手動放水の方法については後述する。
【0103】
1-2-2-2.手動消火モード
図25は、手動消火モードを示すシーケンス図である。同図に示す手動消火モードでは、中央操作盤3の操作に応じて放水を開始する場合を想定している。
【0104】
中央操作盤3は、上述した放水に最適なノズルユニット4の選択後(ステップSa7)、センタ要員により操作権取得操作が行われると(ステップSb1)、操作要求信号をノズルユニット4に送信する(ステップSb2)。その際、中央操作盤3、または中央操作盤3からの操作要求信号を中継する中継盤7は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、動作を終了する。ノズルユニット4は、その操作要求信号を受信すると、自機の操作権情報を「中央操作盤」に更新する(ステップSb3)。この操作権情報の更新は、状態確認を通じて、中央操作盤3に記憶される操作権情報にも反映される。または、この操作権情報の更新は、状態確認を通じて、中継盤7に記憶される操作権情報に反映される。そして、この中継盤7の操作権情報が中央操作盤3に送信されることで、中央操作盤3に記憶される操作権情報にも当該更新が反映される。その結果、中央操作盤3では、放水準備操作が可能になる。
【0105】
その後、中央操作盤3は、センタ要員により放水準備操作が行われると(ステップSb4)、放水準備信号をノズルユニット4に送信する(ステップSb5)。その際、中央操作盤3、または中央操作盤3からの放水準備信号を中継する中継盤7は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、動作を終了する。ノズルユニット4は、その放水準備信号を受信すると、自機の状態情報を「確定」から「準備」に更新する(ステップSb6)。この状態情報の更新は、状態確認を通じて、中央操作盤3に記憶される状態情報にも反映される。または、この状態情報の更新は、状態確認を通じて、中継盤7に記憶される状態情報に反映される。そして、この中継盤7の状態情報が中央操作盤3に送信されることで、中央操作盤3に記憶される状態情報にも当該更新が反映される。その結果、中央操作盤3では、旋回操作と放水操作が可能になる。
【0106】
その後、中央操作盤3は、センタ要員により旋回操作が行われると(ステップSb7)、旋回信号をノズルユニット4に送信する(ステップSb8)。ノズルユニット4は、この旋回信号を受信すると、当該信号が示す方向へ放水部41を旋回させる(ステップSb9)。
【0107】
その後、中央操作盤3は、センタ要員により放水操作が行われると(ステップSb10)、消火ポンプを起動させる(ステップSb11)。加えて、ノズルユニット4に対して放水開始信号を送信する(ステップSb12)。その際、中央操作盤3、または中央操作盤3からの操作要求信号を中継する中継盤7は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、動作を終了する。
【0108】
ノズルユニット4は、放水開始信号を受信すると、当該信号を現地制御盤5に転送する(ステップSb13)。現地制御盤5は、この放水開始信号を受信すると、ノズルユニット4に対応する起動弁を開放する(ステップSb14)。その結果、ノズルユニット4から火源に対して放水が行われる。
【0109】
起動弁の解放後、現地制御盤5は、当該起動弁の2次側に設置された圧力スイッチからオン信号を受信すると(ステップSb15)、放水が開始されたことを示す放水信号をノズルユニット4に送信する(ステップSb16)。ノズルユニット4は、この放水信号を受信すると、自機の状態情報を「確定」から「放水」に更新する(ステップSb17)。
以上が、手動消火モードについての説明である。
【0110】
なお、以上説明した手動消火モードの動作中において、中央操作盤3と中継盤7の間のネットワーク接続が切断されてしまう可能性が考えられる。仮に、放水させるノズルユニット4が中継盤7を介して中央操作盤3に接続されており、その中継盤7と中央操作盤3の間のネットワーク接続が切断されてしまった場合には、そのノズルユニット4と中央操作盤3の間が不通になってしまう。その結果、中央操作盤3から送信された信号が、そのノズルユニット4に届かなくなってしまい、そのノズルユニット4の制御が不能となってしまう。その場合、そのノズルユニット4が接続される中継盤7は、そのノズルユニット4と中央操作盤3の間の通信を回復させるために、中央操作盤3との再接続を繰り返し試みる。一方、センタ要員は、そのノズルユニット4が接続される現地制御盤5を操作することで、そのノズルユニット4を制御することができる。この手動制御の方法については後述する。
【0111】
次に、図26は、手動消火モードを示す別のシーケンス図である。同図に示す手動消火モードでは、現地制御盤5に接続された現地操作ユニット6の操作に応じて放水を開始する場合を想定している。
【0112】
中央操作盤3において放水に最適なノズルユニット4の選択された後(ステップSa7)、センタ要員により現地操作ユニット6に対して操作権取得操作が行われると(ステップSc1)、現地制御盤5は操作要求信号をノズルユニット4に送信する(ステップSc2)。その際、現地制御盤5は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、動作を終了する。ノズルユニット4は、その操作要求信号を受信すると、自機の操作権情報を「現地制御盤」に更新する(ステップSc3)。この操作権情報の更新は、状態確認を通じて、現地制御盤5に記憶される操作権情報にも反映される。その結果、現地操作ユニット6では、放水準備操作が可能になる。
【0113】
その後、センタ要員により現地操作ユニット6に対して放水準備操作が行われると(ステップSc4)、現地制御盤5は放水準備信号をノズルユニット4に送信する(ステップSc5)。その際、現地制御盤5は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、動作を終了する。ノズルユニット4は、その放水準備信号を受信すると、自機の状態情報を「確定」から「準備」に更新する(ステップSc6)。この状態情報の更新は、状態確認を通じて、現地制御盤5に記憶される状態情報にも反映される。その結果、現地操作ユニット6では、旋回操作と放水操作が可能になる。
【0114】
その後、センタ要員により現地操作ユニット6に対して旋回操作が行われると(ステップSc7)、現地制御盤5は旋回信号をノズルユニット4に送信する(ステップSc8)。ノズルユニット4は、この旋回信号を受信すると、当該信号が示す方向へ放水部41を旋回させる(ステップSc9)。
【0115】
その後、センタ要員により現地操作ユニット6に対して放水操作が行われると(ステップSc10)、現地制御盤5は放水要求信号をノズルユニット4に送信する(ステップSc11)。その際、現地制御盤5は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、動作を終了する。
【0116】
ノズルユニット4は、放水要求信号を受信すると、当該信号を中央操作盤3に転送する(ステップSc12)。中央操作盤3は、この放水要求信号を受信すると、消火ポンプを起動させる(ステップSc13)。加えて、放水開始信号をノズルユニット4に送信する(ステップSc14)。ノズルユニット4は、この放水開始信号を受信すると、当該信号を現地制御盤5に転送する(ステップSc15)。現地制御盤5は、この放水開始信号を受信すると、ノズルユニット4に対応する起動弁を開放する(ステップSc16)。その結果、ノズルユニット4から火源に対して放水が行われる。
【0117】
起動弁の解放後、現地制御盤5は、当該起動弁の2次側に設置された圧力スイッチからオン信号を受信すると(ステップSc17)、放水が開始されたことを示す放水信号をノズルユニット4に送信する(ステップSc18)。ノズルユニット4は、この放水信号を受信すると、自機の状態情報を「確定」から「放水」に更新する(ステップSc19)。
以上が、手動消火モードについての説明である。
【0118】
なお、以上説明した手動消火モードの動作中において、中央操作盤3と中継盤7の間のネットワーク接続が切断されてしまう可能性が考えられる。仮に、放水させるノズルユニット4が中継盤7を介して中央操作盤3に接続されており、その中継盤7と中央操作盤3の間のネットワーク接続が切断されてしまった場合には、そのノズルユニット4と中央操作盤3の間が不通になってしまう。その結果、そのノズルユニット4から送信された放水要求信号が中央操作盤3に届かなくなってしまう(ステップSc12参照)。または、中央操作盤3から送信された放水開始信号が、そのノズルユニット4に届かなくなってしまう(ステップSc14参照)。そこで、そのノズルユニット4から放水要求信号を受信した中継盤7は、中央操作盤3との間のネットワーク接続が切断されている間は、中央操作盤3に代わって放水開始信号を返信する。その結果、そのノズルユニット4は、放水開始信号を現地制御盤5に転送することが可能になり(ステップSc15参照)、その放水開始信号を受信した現地制御盤5は、そのノズルユニット4に対応する起動弁を開放することができる(ステップSc16参照)。ただし、その場合でも、中央操作盤3により消火ポンプが起動されない場合には、センタ要員が手動で消火ポンプを起動する必要がある。
【0119】
1-2-3.放水停止・復旧動作
次に、放水停止・復旧動作について説明する。図27は、放水停止・復旧動作を示すシーケンス図である。同図に示す動作では、中央操作盤3の操作に応じて放水停止および復旧を行う場合を想定している。
【0120】
中央操作盤3は、センタ要員により放水停止操作が行われると(ステップSd1)、放水停止信号をノズルユニット4に送信する(ステップSd2)。その際、中央操作盤3、または中央操作盤3からの放水停止信号を中継する中継盤7は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、動作を終了する。ノズルユニット4は、その放水停止信号を受信すると、当該信号を現地制御盤5に転送する(ステップSd3)。現地制御盤5は、この放水停止信号を受信すると、ノズルユニット4に対応する起動弁を閉止する(ステップSd4)。その結果、ノズルユニット4からの放水が停止する。
【0121】
起動弁の閉止後、現地制御盤5は、当該起動弁の2次側に設置された圧力スイッチからオフ信号を受信すると(ステップSd5)、放水が停止したことを示す停止信号をノズルユニット4に送信する(ステップSd6)。ノズルユニット4は、この停止信号を受信すると、自機の状態情報を「放水」から「確定」に更新する(ステップSd7)。
【0122】
その後、中央操作盤3は、センタ要員により全復旧操作が行われると(ステップSd8)、操作要求信号をノズルユニット4に送信する(ステップSd9)。その際、中央操作盤3、または中央操作盤3からの操作要求信号を中継する中継盤7は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、動作を終了する。ノズルユニット4は、その操作要求信号を受信すると、自機の操作権情報を「開放」に更新する(ステップSd10)。ここで言う「開放」とは、操作権が中央操作盤3と現地制御盤5のいずれにも存在しないことを意味する。加えて、ノズルユニット4は、復旧動作を実行し(ステップSd11)、復旧動作を完了すると、自機の状態情報を「確定」から「格納」に更新する。
【0123】
その後、中央操作盤3は、図示せぬ消火ポンプ盤のポンプ停止操作が行われると、消火ポンプ運転灯Lp6を消灯する(ステップSd12)。
以上が、放水停止・復旧動作についての説明である。
【0124】
次に、図28は、放水停止・復旧動作を示す別のシーケンス図である。同図に示す動作では、現地制御盤5に接続された現地操作ユニット6の操作に応じて放水停止および復旧を行う場合を想定している。
【0125】
センタ要員により現地操作ユニット6に対して放水停止操作が行われると(ステップSe1)、現地制御盤5は放水停止要求信号をノズルユニット4に送信する(ステップSe2)。その際、現地制御盤5は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、動作を終了する。ノズルユニット4は、その放水停止要求信号を受信すると、当該信号を中央操作盤3に転送する(ステップSe3)。中央操作盤3は、この放水停止要求信号を受信すると、放水停止信号をノズルユニット4に送信する(ステップSe4)。ノズルユニット4は、この放水停止信号を受信すると、当該信号を現地制御盤5に転送する(ステップSe5)。現地制御盤5は、この放水停止信号を受信すると、ノズルユニット4に対応する起動弁を閉止する(ステップSe6)。その結果、ノズルユニット4からの放水が停止する。
【0126】
起動弁の閉止後、現地制御盤5は、当該起動弁の2次側に設置された圧力スイッチからオフ信号を受信すると(ステップSe7)、放水が停止したことを示す停止信号をノズルユニット4に送信する(ステップSe8)。ノズルユニット4は、この停止信号を受信すると、自機の状態情報を「放水」から「確定」に更新する(ステップSe9)。
【0127】
その後、センタ要員により現地操作ユニット6に対して復旧操作が行われると(ステップSe10)、現地制御盤5は操作要求信号をノズルユニット4に送信する(ステップSe11)。その際、現地制御盤5は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、動作を終了する。ノズルユニット4は、その操作要求信号を受信すると、自機の操作権情報を「開放」に更新する(ステップSe12)。加えて、復旧動作を実行し(ステップSe13)、復旧動作を完了すると、自機の状態情報を「確定」から「格納」に更新する。
【0128】
その後、中央操作盤3は、センタ要員により消火ポンプ盤のポンプ停止操作が行われると、消火ポンプ運転灯Lp6を消灯する(ステップSe14)。
以上が、放水停止・復旧動作についての説明である。
【0129】
なお、上記の放水停止・復旧動作では中央操作盤3が放水停止信号を出力しているが、中央操作盤3の代わりにノズルユニット4が放水停止信号を出力してもよい。その場合、ノズルユニット4は、現地制御盤5から送信される放水停止要求信号を受けて、その現地制御盤5に対して放水停止信号を送信する。
【0130】
2.変形例
上記の実施形態は以下のように変形してもよい。なお、以下の変形例は互いに組み合わせてもよい。
【0131】
2-1.変形例1
ノズルユニット4の感知部42は、上記の通り、赤外線リニアセンサ421と炎検知器422により構成されている。しかし、この構成はあくまで一例である。火源の探査と検出が可能であれば、別のセンサにより構成されてもよい。
【0132】
2-2.変形例2
消火システム1に補助センサを含めてもよい。ここで言う補助センサとは、ノズルユニット4が備える感知部42、制御部43および信号中継部44を備える端末機器のことである。言い換えると、放水部41を備えないノズルユニット4のことである。この補助センサは、建物Bの高天井部分に設置される。
【0133】
補助センサは、ノズルユニット4と同様に、ループ状の配線L2を介して中央操作盤3と通信可能に接続される。加えて、ループ状の配線L3を介して現地制御盤5と通信可能に接続される。
【0134】
この補助センサは、上記の自動消火モードにおいて以下のように動作する。
まず、中央操作盤3は、火災受信機から感知器発報信号を受信すると、発報した感知器の警戒区域内に設置されているノズルユニット4と補助センサを特定する。そして、特定したノズルユニット4と補助センサに対して探査開始信号を送信する。
【0135】
補助センサは、この探査開始信号を受信すると、火源探査を開始する。そして、火源探査の結果、火源を検出すると、火源検出時の旋回角を示す火源位置信号を中央操作盤3に送信する。
【0136】
中央操作盤3は、火災区画のすべてのノズルユニット4と補助センサから火源位置信号を受信するか、または火源位置信号の第1報を受信してから所定の時間が経過すると、受信した火源位置信号に基づいて放水に最適なノズルユニット4を選択する。このように、補助センサから送信される火源位置信号は、放水に最適なノズルユニット4を選択するために参照される。
【0137】
2-3.変形例3
中央操作盤3は、表示部および操作部としてタッチスクリーン33を備えている。言い換えると、中央操作盤3は、ディスプレイとタッチパネルを備えている。このタッチパネルに代えて、ハードキー等の別の操作部を備えるようにしてもよい。
【0138】
2-4.変形例4
図7に示す第2メイン画面では、放水中、火源確定中または異常発生中のノズルユニット4が示されている。しかし、同図に示す第2メイン画面はあくまで一例であり、その他の事象が発生したノズルユニット4についても示すようにしてもよい。例えば、火源探査中のノズルユニット4についても示すようにしてもよい。
【0139】
2-5.変形例5
中央操作盤3においてメイン画面を選択する方法は、上述したメニューリストを利用する方法に限られない。例えば、第1ないし第3メイン画面の各々に表示切替ボタンを備えさせ、この表示切替ボタンを押下するごとにメイン画面を順番に切り替えられるようにしてもよい。
【0140】
2-6.変形例6
中央操作盤3において選択可能なメイン画面の数は3つに限られない。上記の第1ないし第3メイン画面のうちの2つだけを選択対象としてもよいし、これらとは別のメイン画面を選択対象としてさらに加えてもよい。
【0141】
2-7.変形例7
図10および図18に示す操作画面では、ノズルユニット4の旋回角度をインジケータで示しているが、この旋回角度は別の方法で示してもよい。例えば、ノズル画像P1またはP3のノズルの向きを変えることで旋回角度を示してもよい。または、旋回角度を数値で示してもよい。
【0142】
2-8.変形例8
現地操作ユニット6は、表示部および操作部としてタッチスクリーン63を備えている。言い換えると、現地操作ユニット6は、ディスプレイとタッチパネルを備えている。このタッチパネルに代えて、ハードキー等の別の操作部を備えるようにしてもよい。
【0143】
2-9.変形例9
自動火災報知設備2の感知器はアナログ式に限られず、感度固定の感知器であってもよい。また、火災受信機はR型に限られず、P型であってもよい。
【0144】
2-10.変形例10
現地操作ユニット6は、有線ではなく無線で現地制御盤5と通信接続されてもよい。
【0145】
2-11.変形例11
中央操作盤3と中継盤7は、イーサネットケーブル以外のケーブルで接続されてもよい。例えば、RS-485用のケーブルで接続されてよい。または、中央操作盤3と中継盤7は、有線ではなく無線で接続されてもよい。
【0146】
2-12.変形例12
図1に示す消火システム1は2台の中継盤7を備えているが、中継盤7の台数は防火対象物の規模に応じて変更されてよい。
【0147】
2-13.変形例13
上記の実施形態は、従来複数の中央操作盤で管理してきたノズルユニットを1台の中央操作盤で管理可能にするという技術的思想を具現化したものである。この技術的思想を、固定式ヘッドを用いたスプリンクラ設備に適用してもよい。例えば、特開2012-75581号公報に記載されている消火システムを例に説明すると、複数の消火システム制御盤に接続された中央制御盤を設け、この中央制御盤により、各固定式ヘッドの放水状態の確認と各固定式ヘッドの放水制御をできるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0148】
1…消火システム、2…自動火災報知設備、3…中央操作盤、4…ノズルユニット、5…現地制御盤、6…現地操作ユニット、7…中継盤、8…制御盤、31…制御部、32…記憶部、33…タッチスクリーン、34…通信部、41…放水部、42…感知部、43…制御部、44…信号中継部、51…制御部、52…記憶部、53…通信部、61…制御部、62…記憶部、63…タッチスクリーン、64…通信部、71…制御部、72…記憶部、73…通信部、311…ノズル制御部、312…ノズル情報管理部、313…試験部、314…イベント情報管理部、315…表示制御部、316…区画情報管理部、317…区画情報同期部、421…赤外線リニアセンサ、422…炎検知器、511…ノズル情報管理部、512…ノズル情報出力部、513…ノズル制御部、611…ノズル情報取得部、612…表示制御部、613…操作信号出力部、711…ノズル情報管理部、712…ノズル情報送信部、713…信号中継部、714…火災信号送信部、715…通信監視部
図1
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