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特許7391020装用可能な比色分析による空中浮遊粒子状物質汚染用のマーカーの感知
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】装用可能な比色分析による空中浮遊粒子状物質汚染用のマーカーの感知
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/78 20060101AFI20231127BHJP
   G01N 21/77 20060101ALI20231127BHJP
   G01N 31/22 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
G01N21/78 Z
G01N21/77 A
G01N31/22
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020531428
(86)(22)【出願日】2018-08-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 US2018000307
(87)【国際公開番号】W WO2019036022
(87)【国際公開日】2019-02-21
【審査請求日】2021-08-13
(31)【優先権主張番号】62/546,860
(32)【優先日】2017-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520055973
【氏名又は名称】ロジックインク コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100131990
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 玲恵
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ローベル,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】フォラー,ピーター
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-064952(JP,A)
【文献】特開2004-257930(JP,A)
【文献】特開昭61-008660(JP,A)
【文献】特表2010-520455(JP,A)
【文献】特開2007-071549(JP,A)
【文献】特開2002-168790(JP,A)
【文献】特表2017-509731(JP,A)
【文献】特公昭49-035712(JP,B1)
【文献】特開昭55-113955(JP,A)
【文献】特開昭51-133079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/958
G01N 31/00 - G01N 31/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装用可能な汚染物質インジケーターであって、
第1の面および第2の面を有するポリマーフィルム基材、前記基材の前記第1の面に配された粘着剤、ならびに前記基材の前記第2の面に配されたセンサーを含み、
前記センサーが、アナライト感知組成物を含み、前記アナライト感知組成物が、
金属酸化物還元性化合物、
過化合物、および
レドックスインジケーター染料であって、分解した過化合物の存在下で色変化を生成するレドックスインジケーター染料
を含み、
前記センサーが、定性的インジケーターを含み、前記定性的インジケーターが、インシデント空中浮遊粒子状物質汚染の中の遷移金属酸化物とアナライト感知組成物との反応を通じて感知されるようなインシデント空中浮遊粒子状物質汚染への蓄積された曝露の定性的指標を提供する、装用可能な汚染物質インジケーター。
【請求項2】
前記装用可能な汚染物質インジケーターが、皮膚にとって装用可能である、請求項1に記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
【請求項3】
前記ポリマーフィルム基材が、ポリジメチルシロキサン、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、ポリエチレン、およびポリエチレンテレフタレートからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項1または2に記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
【請求項4】
前記過化合物が、カルバミド過酸化物(尿素と複合体化した過酸化水素)、過ホウ酸ナトリウム、過硫酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
【請求項5】
前記レドックスインジケーター染料が、インジゴカルミン、2,2’-ビピリジン、フェロイン、ジフェニルアミン、ビオロゲン、メチレンブルー、サフラニン、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
【請求項6】
前記アナライト感知組成物が、インシデント遷移金属酸化物の溶解を促進するための錯化剤をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
【請求項7】
前記金属酸化物還元性化合物が、前記過化合物の存在下で動力学的に安定であり、かつ、前記遷移金属酸化物のより高い状態をより低い状態に迅速に還元させることができる、請求項1~6のいずれか1項に記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
【請求項8】
前記金属酸化物還元性化合物が、アスコルビン酸、フルクトース、グルコース、ラクトース、ガラクトース、亜硫酸ナトリウム、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項7に記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
【請求項9】
前記アナライト感知組成物が、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アラビアゴム、デキストリン、水性ラテックス分散液、水性ポリウレタン分散液、およびこれらの組合せからなる群から選択されるインクまたはゲルベースを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
【請求項10】
前記インクまたはゲルベースが架橋されている、請求項9に記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
【請求項11】
前記定性的インジケーターの下にアンダープリントをさらに含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
【請求項12】
前記定性的インジケーターが固定色調の較正マーカーをさらに含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
【請求項13】
前記定性的インジケーターが固定色調の参照色をさらに含んで、前記色変化およびユーザーに提供されるシグナルのより微調整された解釈を可能とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
【請求項14】
前記アナライト感知組成物上に配される上層材料をさらに含み、それにより、前記基材と上層材料との間に前記アナライト感知組成物を挟む、請求項1~13のいずれか1項に記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
【請求項15】
前記上層材料が、多孔性ポリマーフィルム、ウーブンメッシュ、または不織マットを含む、請求項14に記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
【請求項16】
前記上層材料が、ポリエチレン、ナイロン、ポリエステル、コットン、またはこれらの組合せを含む、請求項15に記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
【請求項17】
前記上層材料が、織物または非織物のいずれかの形態である、請求項16に記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
【請求項18】
前記定性的インジケーターが、異なる配合物のアートワークまたはグラデーション配合物用いたアートワークの別々のセグメントを含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
【請求項19】
前記定性的インジケーターが過化合物のグラデーションを含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
【請求項20】
前記定性的インジケーターが、人間またはコンピュータービジョンアルゴリズムのいずれかにより読まれ得る二次元比色出力を提供する、請求項1~19のいずれか1項に記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
【請求項21】
前記装用可能な汚染物質インジケーターに参照色が提供されていない、請求項20に記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
【請求項22】
合計で1つの参照色のみが、前記装用可能な汚染物質インジケーターに提供されている、請求項20に記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか1項に記載の装用可能な汚染物質インジケーターをユーザーの皮膚または衣類に適用することを含む、汚染物質への曝露をモニターする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年8月17日に出願された米国仮出願第62/546,860号の利益を主張し、該仮出願の内容全体は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
参照による組込み
本明細書において参照される全ての特許、特許出願、および刊行物は、本明細書に記載される発明の日に当業者に公知の技術の状況をより完全に記載するために、参照することにより全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
技術分野
空中浮遊粒子状物質汚染の存在の装用可能な比色インジケーターが本明細書において記載される。特に、本発明は、装用者に累積量情報を提供することができる定性的な比色的量応答性空中浮遊粒子状物質汚染インジケーターに関する。
【背景技術】
【0004】
追加の電子デバイスの使用を必要とせずに、蓄積された曝露に関してユーザーに知らせることができる、単純かつ容易に理解される、低コストの、装用可能な空中浮遊粒子状物質汚染センサーの必要性が存在する。そのようなデバイスの目的は、皮膚への効果および肺系統曝露の両方を軽減することを目的として大気中粒子状物質への曝露の認識を伝えることである。累積曝露データを提供するために時間ベースの統合が可能であるPM2.5空中浮遊粒子状物質への即時の曝露に関してユーザーに知らせるキーホルダーまたはベルト装用型電子デバイスを商品化することが試みられた。例えば、https://www.tzoa.com/products/およびhttp://www.dailycal.org/2014/11/24/uc-berkeley-undergrads-developing-wearable-air-pollution-monitor/を参照。
【0005】
そのようなデバイスは粒子状物質による光散乱に基づいており、スマートフォンアプリケーションへのブルートゥース(商標)通信を介して報告を行うように設計される。それらは幾分面倒であり、大きなレベルの成功を達成したとは考えられない。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、簡便性、潜在的な低コスト、および究極的な単純性という必要とされる利点を有する、単純な二次元の普段使いの比色アップリケを提供する。
【0007】
デバイスは、アートワークを組み込んだ電子工学フリーの皮膚に装用可能なアップリケであり、アートワークは、一部の場合には一時的タトゥーと類似のものである。グラフィックスは、センサーデータのユーザーによる解釈のために容易に理解されるインターフェースを提供する。アートワークは基材フィルムに適用されて皮膚からそれを分離し、それによりフォームファクターはアップリケまたはステッカーのものとなる。デバイスは、大気中粒子状物質への蓄積された曝露についてユーザーに知らせることができ、かつ、存在する粒子状物質に関連し得る他の形態の大気汚染用のマーカーとして働くことができる。デバイスにより提供される個人の粒子状物質汚染曝露に関する定性的ガイダンスは、肉眼で読み取ることができるが、より特定の情報は、随伴的アプリケーションを介してスマートフォンまたは他のデバイスのカメラの補助によりその色変化を読み取ることにより提供され得る。インク化学は、燃焼または他の種類の高温処理からの無機物質から大部分が構成される空中浮遊粒子状物質に関する。これらの無機物質は、典型的に、金属酸化物を含有し、金属酸化物は、追加の無機物質、および空中浮遊粒子状物質汚染により運ばれるまたはそれと一緒にあるような有機物質(例えば、多環芳香族炭化水素)の存在のマーカーとして使用することができる。
【0008】
多価遷移金属の酸化物の反応性を利用して本明細書において開示されるインジケーターにおいて用いられる比色感知を生成するインク化学が本明細書において記載される。鍵となる課題は、空中浮遊粒子状物質は、ppbでないとしてもppmの非常に低いレベルで存在することがあり、したがって、肉眼で見える色変化を得ることは、存在する物質に関与する触媒(または増幅)機構の非存在下では困難であるということである。ある特定の態様によれば、存在する酸化物に由来する多価遷移金属イオンは、それらの効果を増幅するように設計された均一系触媒サイクルに参加する。化学は、異なる酸化状態を通じて金属酸化物をサイクルさせるイオンサイクルを生成し、それと同時に、視覚的に検出可能なインジケーターを産生するか、または他のモニタリング方法、例えば、紫外線照射および電気化学モニタリングなどを使用して検出可能である触媒反応生成物を生成する。
【0009】
本発明の一態様では、比色シグナルは、可溶化したインシデント多価遷移金属酸化物材料の量に比例する速度での高い酸化電位を有する過化合物(per-compound)のおおよそ線形の触媒分解により生成される。非補助の目に見える色変化は、過化合物が分解されると色を変化させる単一または複数のレドックスインジケーター染料により生成される。色変化のエンドポイントは、最初に存在する過化合物の量により制御され得る。
【0010】
比色空中浮遊汚染センサーは、色変化を通じて空中浮遊粒子状物質汚染へのユーザーの累積曝露を指し示す皮膚、衣類、またはユーザー選択の他の位置へのフィルムアップリケの形態で提供することができる。デバイスの目的は、露出した皮膚を覆うか、制限的努力か、または影響するアウトドア環境から完全に抜け出るかのいずれかを通じて大気中粒子状物質への個人の曝露の制御に関する意思決定のための定性的基礎を提供することである。
【0011】
一態様によれば、本出願は、装用可能な汚染物質インジケーターであって、第1の面および第2の面を有するポリマーフィルム基材、基材の第1の面に配された粘着剤、ならびに基材の第2の面に配された容易に理解されるユーザーインターフェースを含み、ユーザーインターフェースが定性的インジケーターを含む、装用可能な汚染物質インジケーターを対象とする。定性的インジケーターは、その中にある遷移金属酸化物の反応を通じて感知されるようなインシデント空中浮遊粒子状物質汚染への蓄積された曝露の定性的指標を提供する。ある特定の実施形態では、装用可能な汚染物質インジケーターは、皮膚にとって装用可能である。
【0012】
一部の態様では、ポリマーフィルム基材は、ポリジメチルシロキサン、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、ポリエチレン、またはポリエチレンテレフタレートのようなポリマーであってもよい。
【0013】
装用可能な汚染物質インジケーターは、典型的に、レドックスインジケーターを含み、レドックスインジケーターは、分解した過化合物の存在下で色変化を生成する。有用な過化合物の例としては、カルバミド過酸化物(尿素と複合体化した過酸化水素)、過ホウ酸ナトリウム、過硫酸ナトリウム、過炭酸ナトリウムおよびこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない。有用なレドックスインジケーターの例としては、インジゴカルミン、2,2’-ビピリジン、フェロイン、ジフェニルアミン、ビオロゲン、メチレンブルー、サフラニンおよびこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない。
【0014】
本明細書において記載される装用可能な汚染物質インジケーターの定性的インジケーターはまた、インシデント遷移金属酸化物の溶解を促進するための錯化剤、および/または還元剤を含んでもよく、還元剤は、過化合物の存在下で動力学的に安定であり、かつ、遷移金属酸化物のより高い状態をより低い状態に迅速に還元させることができる。有用な還元剤の例としては、アスコルビン酸、フルクトース、グルコース、ラクトース、ガラクトース、亜硫酸ナトリウムおよびこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない。
【0015】
ある特定の態様によれば、定性的インジケーターは、インクまたはゲルベースを含む。その例としては、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アラビアゴム、デキストリン、水性ラテックス分散液、水性ポリウレタン分散液、およびこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない。ある特定の実施形態では、インクまたはゲルベースは架橋されていてもよい。
【0016】
ある特定の態様によれば、装用可能な汚染物質インジケーターは、定性的インジケーターの下にアンダープリントを含んでもよい。
【0017】
ある特定の態様によれば、定性的インジケーターはまた、固定色調の較正マーカーおよび/または固定色調の参照色を含んで、色変化およびユーザーに提供されるシグナルのより微調整された解釈を可能とする。
【0018】
ある特定の態様によれば、装用可能な汚染物質インジケーターは、上層材料を含み、上層材料は、ユーザーインターフェース上に配されており、それにより、基材と上層との間にユーザーインターフェースを挟む。上層材料は、多孔性ポリマーフィルム、ウーブンメッシュまたは不織マットであってもよい。有用な上層材料の例としては、ポリエチレン、ナイロン、ポリエステル、コットン、およびこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない。一部の場合には、上層材料は、織物または非織物のいずれかの形態であってもよい。
【0019】
ある特定の態様によれば、定性的インジケーターは、異なる配合物のアートワークまたはグラデーション配合物を用いたアートワークの別々のセグメントを含む。
【0020】
ある特定の態様によれば、定性的インジケーターは、過化合物のグラデーションを含む。
【0021】
ある特定の態様によれば、定性的インジケーターは、人間またはコンピュータービジョンアルゴリズムのいずれかにより読み取られ得る二次元比色出力を提供する。
【0022】
ある特定の態様によれば、装用可能な汚染物質インジケーターに参照色は提供されていない。一部の場合には、合計で1つの参照色のみが、装用可能な汚染物質インジケーターに提供されている。
【0023】
別の実施形態によれば、アナライト感知組成物を含有するセンサーが開示される。ある特定の態様によれば、アナライト感知組成物は、金属酸化物還元性化合物、過化合物、およびレドックスインジケーター染料を含み、アナライト感知組成物は、アナライト感知組成物を透過しないポリマーフィルム基材に任意の設計で配されており、かつ、センサーは、アナライトに曝露されると、第1の視覚的状態から第2の視覚的状態への視覚的遷移を提供する。ある特定の態様によれば、アナライト感知組成物はまた、金属イオン錯化剤を含む。ある特定の場合には、アナライトは金属酸化物である。より特定の場合には、金属酸化物は、酸化状態の間でサイクルされて、視覚的インジケーターを産生する触媒反応生成物を生成する。
【0024】
さらに別の実施形態によれば、本明細書において開示されるセンサーおよびコンピュータービジョンアプリケーションを含むセンサーシステムが記載される。ビジョンアプリケーションは、絶対的な比色読取り情報の、異なる照明条件下での幾何学形状に沿った相対的な色の変化への変換を読み取るものであってもよい。他の場合には、ビジョンアプリケーションは、絶対的な比色読取り情報の、不均一な陰影を用いた幾何学形状に沿った相対的な色の変化への変換を読み取るものであってもよい。
【0025】
さらに別の実施形態によれば、汚染物質への曝露をモニターする方法が提供される。方法は、一態様では、本明細書において開示される装用可能な汚染物質インジケーターをユーザーの皮膚または衣類に適用することを含む。
【0026】
さらに別の実施形態によれば、装用可能な汚染物質インジケーターを製造する方法が開示される。一態様では、方法は、基材の第1の面に粘着剤を塗布すること、基材の第2の面にアナライト感知組成物を塗布することを含み、アナライト感知組成物は、アナライト感知組成物を透過しないフィルム基材に任意の設計で配され、かつ、アナライト感知組成物は、アナライトに曝露されると、第1の視覚的状態から第2の視覚的状態への視覚的遷移を提供する。一態様では、アナライト感知組成物は、金属酸化物還元性化合物、過化合物、およびレドックスインジケーター染料を含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明の一態様による装用可能な汚染物質センサーの代表的な設計である。
図2図2は、センサーの構築を示す一態様による装用可能な汚染物質センサーの分解組立図を示す。
図3図3は、本発明の別の態様による装用可能な汚染物質センサーの代表的な設計を提供する。
図4図4は、本発明のさらに別の態様による装用可能なセンサーの代表的な設計を提供する。
図5図5は、本発明のさらに別の態様による固定色調の参照色を含む装用可能なセンサーの代表的な設計を示す。
図6図6は、本出願の一態様による包装エンベロープおよび説明書の例を示す。
図7図7は、本出願の一態様によるデバイスを適用するためのサンプル説明書を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
1.本発明において用いられる化学
図1を参照してセンサーを説明する。図1は、実例の目的のためにのみ提供され、限定的であることは意図されない。
【0029】
1a.図1の一般的説明
図1に示すアップリケは、多重的なセグメントが逐次的に活性化するにつれて曝露が増加することを伝えることが意図される。アートワークにより提供されるユーザーインターフェースは任意であること、および、単一の汚染感受性セグメントのみを有するアートワークのオプションなどの、ユーザーに空中浮遊粒子状物質汚染への自身の曝露に関する定性的な情報を伝えるための多くの可能な設計があることが理解される。但し、好ましくは、デバイスは、セグメントのラダーとして組み立てられる。図1のアップリケは、インシデント遷移金属酸化物の増加の順に色を変化させるセグメント1、3、および5としてこのラダーを示す。これらのセグメントは、例えば、特に、大気汚染指数(Air Pollution Index;API)、汚染物質標準指数(Pollutant Standards Index;PSI)、または空気質指数(Air Quality Index;AQI)などにより定義されるレベルまで、汚染曝露の公知の基準に対して較正することができる。例えばhttps://airnow.gov/index.cfm?action=airnow.internationalを参照。セグメント2および4は、固定色調の参照色を含む。例えば、感知セグメント3が参照色4と同じ色に達した場合、装用者は、自身が、セグメントの較正に合致する量の汚染粒子状物質に曝露されたことを知ることになる。これらのセグメントの逐次的な活性化は、ユーザーが、自身が曝露された空中浮遊汚染の量を認識することを可能とし、かつ、各々のレベルの推定される危険性に基づいて自身の曝露を変化させる能力を提供する。
【0030】
1b.遷移金属酸化物への化学的感受性
比色感知化合物は、水性インクまたはゲルの形態で基材材料に塗布することができる。本明細書において使用される化学は、印刷のためにスクリーンおよびフレキソ法により、および以下に議論されるグラデーション印刷の場合、ステンシルまたはインクジェット法により配合することができる。ある特定の実施形態によれば、化学は、揮発性有機炭素(VOC)排出に関して厳格に規制されている商用の印刷施設により印刷されてもよい。特定の実施形態では、化学的構成要素は、安全であると一般に認められる成分を使用する水性配合物中にあってもよい。
【0031】
高温処理(例えば、石炭の燃焼)において形成される可能性がある空中浮遊粒子状物質汚染の周知の構成要素である遷移金属酸化物に基づいて、化学は、存在する遷移金属の種を酸化物からイオンに変換させることで始まる。そのような空中浮遊粒子状材料中にあることが公知の金属には、多価金属である鉄(Fe)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、バナジウム、(V)、銅(Cu)、およびニッケル(Ni)がある。それらの酸化物は、金属の最高価数状態にあると想定される。これらの酸化物は、比色化学スキームでのアクセス可能性がより低い、すすおよび灰中の他の無機物質、例えば、シリカ、ケイ酸塩、アルミン酸塩、アルミノケイ酸塩、未燃焼炭素および炭素質材料などの代用品として働くことができる。それらはまた、すすおよび灰中の他の汚染物、例えば、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)、および吸収された多環芳香族物質の代用品として働くことができる。上記の金属酸化物の多くは、一般的に、特に中国において、大気汚染において存在する。本出願の一態様は、これらの化合物を質的に評価するためのデバイスおよび方法を提供することである。代表的な大気汚染粒子状物質の特徴付けは、Heller-Zeisler et al., Biol. Trace Elem. Res. 1999, 71, 1, 195-202およびSun, G et al., Atmospheric and Climate Sciences, 2013, 3, 100-110のような様々な参考文献において記載されている。そのような粒子状材料の試料は、U.S. National Institute of Science and Technology(Washington、DC)から入手可能である。https://www-s.nist.gov/srmors/を参照。
【0032】
1c.溶解および錯体形成
1つまたは複数の実施形態では、粒子状物質センサーは、空中浮遊金属酸化物を金属イオンに還元させるための還元剤を含む。上述の酸化物は強酸中に溶解できるが、消費者により取り扱われる(および誤って取り扱われる)製品と適合性の穏やかな化学が一般に好ましい。そのため、アスコルビン酸と多くの遷移金属のより高い価数状態の酸化物との周知の反応が活用される。アスコルビン酸は、多価遷移金属イオンのより高い価数状態のための還元剤として作用し、動力学的な障壁をほとんど示さない。いわゆる「還元糖」であるフルクトース、グルコース、ラクトース、およびガラクトースもまた、多価遷移金属酸化物アナライトに対して大過剰でインクまたはゲル配合物中に存在する場合にアスコルビン酸の役割を行うことができる。
【0033】
1つまたは複数の実施形態では、粒子状物質センサーは錯化剤を含む。錯体形成に参加して、結果として生じる金属イオンをより良好に可溶化させ、その後の反応に関して反応性を修飾する種が同時に存在してもよい。好適な錯化剤としては、金属キレート剤、例えば、多価有機酸およびアミン、例えば、エチレンジアミン、クエン酸およびシュウ酸が挙げられる。シュウ酸は、金属酸化物の溶解後に存在する金属イオンのシュウ酸錯体を生成する。これらの成分の他に還元剤の濃度を調整することにより、デバイスの感度を変化させることができ、その理由は、金属酸化物が感知組成物への可溶化のより高い速度を有するようにすることができるからである。
【0034】
シュウ酸は、いくつもの理由から本発明の配合物において有利であることが発見されている:1)シュウ酸はpHを低下させ、これは遷移金属酸化物の溶解にとって好都合である、2)シュウ酸は多くの遷移金属イオンをキレートし、(以下に議論する)均一系触媒サイクルをはるかに遅くさせ、それにより、比色変化の見かけの速度は、インシデント金属酸化物の蓄積量により依存するようになる、および3)配合物へのシュウ酸の添加と関連付けられるpH変化は過化合物によるアスコルビン酸の酸化を防止する(したがって、インシデント金属酸化物のみに起因する過化合物の徐々の消失を提供する)。後者の理由は予想外であり、思いがけないものであった。
【0035】
アスコルビン酸およびシュウ酸は、本明細書において開示される比色化学のその後のステップに関与する選択された過化合物の存在下で動力学的に安定である。金属イオン触媒サイクルを加速させるために使用される可能なそのような動力学的に安定な還元剤のうち、アスコルビン酸は、ある特定の代表的な配合物にしたがって特に有用であり、それに続いて、「還元糖」、例えば、フルクトース、グルコース、ラクトース、およびガラクトースとなる。
【0036】
1d.過化合物分解の均一系触媒作用
溶解および錯化状態において、遷移金属イオンは、均質なシャトル触媒作用に参加するために利用可能である。任意の量の過化合物(酸素-酸素単結合を含有する化合物を意味する用語)を含有するインクまたはゲルが配合されてもよく、過化合物は、乱されない場合、賢明に選択されたpH非感受性レドックスインジケーターをそのより高い(酸化された)かつ強く呈色した状態に保つ。しかしながら、より高い酸化状態とより低い酸化状態との周期的往復に入ることができるある特定の多価遷移金属酸化物の溶解したイオンの存在下で、賢明に選択された過化合物は、pH非感受性レドックスインジケーターをそのより高い(酸化された)強く呈色した状態にもはや保持することができない点まで段階的に分解されることができる。このスキームは、非常に小量のインシデント空中浮遊遷移金属酸化物粒子状汚染物質が、肉眼で見える比色変化を生成することを可能とする。
【0037】
一例として第二鉄/第一鉄サイクル、および単純性のために過化合物として過酸化水素を使用して、所望の均一系触媒作用は以下の通りに表すことができる:
【化1】
【0038】
そのような化学に潜在的に関与できる多価金属は、Fe、Mn、Cr、Mo、V、Cu、およびNiである。それぞれのより低い酸化状態は、それらの錯体形成にかかわらず過化合物によりより高い酸化状態へと反応する可能性がある(当然、速度論因子は多くの場合にこれを軽減し得る)。
【0039】
アスコルビン酸および「還元糖」のような還元剤は、そのより高い酸化状態にある金属イオンをそのより低い酸化状態に還元させることにより所望の往復を加速できることが留意される。反応性であるより低い酸化状態は次に、過化合物の分解に(再び)関与するために直ちに利用可能となる。インク配合物中のアスコルビン酸または他の還元剤の存在は、錯体形成にかかわらず上記の金属の大部分のより高い酸化状態を還元できる可能性がある。使用される還元剤の量は、アートワークの異なる領域において異なっていてもよく、または空中浮遊粒子状物質大気汚染中に存在する多価金属酸化物の存在下で段階的な変化が経時的に起こるようにグラデーションとして適用されてもよい。
【0040】
特に有用な実施形態によれば、その相対的な貯蔵寿命安定性および本発明の反応シークエンスにおける迅速な動力学に基づいて過ホウ酸塩が過化合物として使用される。思いがけないかつ予想外なことに、意図する均一系触媒作用の非存在下で、アスコルビン酸およびシュウ酸は、過ホウ酸塩の存在下で動力学的に安定であり、これは、インクおよびゲルにおいて使用するために本発明の比色化学を実際的なものとする鍵となる特徴であり、そのようなインクおよびゲルは、本明細書において開示される比色アップリケのアートワークの印刷のために実際的となる。
【0041】
最も容易に利用可能かつ安全な過化合物としては、過酸化水素、カルバミド過酸化物(尿素と複合体化した過酸化水素)、過ホウ酸ナトリウム、過硫酸ナトリウム、および過炭酸ナトリウムが挙げられるがこれらに限定されない。過ホウ酸ナトリウムは、センサー配合物のある特定の実施形態によれば特に有用である。代替的な金属イオンの過化合物もまた有用なことがある。使用される過化合物の量、または、以下に記載されるように、反応動力学を制御する他の構成要素の濃度のばらつきは、空中浮遊粒子状物質大気汚染中に存在する多価金属酸化物の継続した発生と共に段階的な変化が経時的に起こるようにアートワークの異なる領域において異なることができる。
【0042】
1e.インジケーター染料および色の増進
存在する過化合物の相対量に対応する比色変化を提供するためにインジケーター染料が使用される。これらの染料は、環境のレドックス電位に基づいて色を変化させる。一つには、インジゴカルミンを単一のレドックス染料として使用することができる。インジゴカルミンは、本明細書において開示される感知組成物の均一系触媒サイクルにより過化合物が分解されるにつれて、その酸化状態におけるブライトブルーから透明に近いペールイエローまで進行する。色変化は、約+0.4Vのレドックス電位において起こる。使用され得る他のレドックス染料の例としては、2,2’-ビピリジン、フェロイン、ジフェニルアミン、ビオロゲン、メチレンブルー、およびサフラニンが挙げられるがこれらに限定されない。染料の組合せもまた使用することができる。レドックス染料の選択は、標的化された量の過化合物の存在下でのレドックス電位および過化合物が触媒サイクルにより使い果たされた時のレドックス電位に依存する。
【0043】
上記のように、その酸化状態におけるブライトブルーから、任意の量の存在する過ホウ酸塩が完全に分解された時の無色に近い薄い黄色の状態まで変化するインジゴカルミンは特に有用な染料である。全ての可溶化されたインシデント多価遷移金属を錯体形成させるために充分なシュウ酸が存在すると仮定して、デバイスが機能するタイムスパンを存在する過化合物の量により設定することができる(高度に酸化性の過化合物のリザーバーは、レドックスインジケーターをそのより高い酸化電位状態に保つ)。一実施形態によれば、デバイスは、例えば、数時間にわたる北京の街中でのある特定の日数の曝露のような、上昇したレベルの汚染への曝露により色変化を提供することができる。完全に任意の、インクまたはゲルである存在する過ホウ酸塩の量は、異なるレベルで配合されてもよく、それにより、インシデント金属酸化物の量の増加に応答して異なる時点でセグメントが色を変化させるアートワークを設計することができる。実際、過ホウ酸塩濃度のグラデーションもまた印刷することができ(しかしながら、以下により完全に記載されるように、複数の印刷ステップが必要とされる)、これは、時間および多価遷移金属酸化物への曝露にわたる色変化の推移を生成する。
【0044】
水性媒体中での金属イオンの溶解を促進する多くの可能な錯化剤のうち、シュウ酸は特に有用である。他の金属キレート剤もまた使用することができる。効果的な錯化剤である有機酸の中で、シュウ酸およびクエン酸は特に有用である。これらの化合物は、遷移金属イオンと安定な錯体を形成する。効果的なジアミンの中で、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)は、遷移金属イオンの水溶解性を増進させるために特に有用かつ効果的な錯化剤である。
【0045】
主なアートワークの下に印刷された固定色調の色の下層であるアンダープリントの存在下でのインジケーター染料の選択は、美的に魅力的なより明るい色またはより高コントラストの色変化を可能とする。一実施形態によれば、過ホウ酸塩が完全に分解した時に、アップリケがニュートラルグレー(これは、物品に低い品質の含意を一般に付与する薄い黄色の空間より気持ちよいものとして一般に認識される)をとることができるように、薄い青色の固定色調のアンダープリントが使用されてもよい。
【0046】
1f.化学のためのベース媒体
他のインクまたはゲル構成要素を汚染モニターアップリケに含めることができる。もしあれば、これらには、インク用のベースおよび溶媒、抗乾燥剤、および安定化剤がある。
【0047】
ベース媒体は、作製されるインクが、VOC制限印刷操作を使用して適用、例えば、印刷、スクリーン、スプレーなどをされることを可能とする水溶性材料であり得る。妥当な候補のうち、ある特定の実施形態のためのベース媒体の選択は、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシル エチルセルロース(HEC)、およびこれらの組合せのような水性セルロース材料である。デバイスの向上のために、アップリケの耐水性を向上させる目的から架橋度が有利となる。この目的のために、クエン酸の添加は、ヒドロキシル置換基の位置でのセルロース鎖の架橋を促進する。例えば、Demitri, C., et al. J. Appl. Polym. Sci. 2008, 2453-2460を参照。同様に、ポリアミン湿潤強度樹脂(例えば、Solenis Corporation(Wilmington、DE)のKymene(商標)系列の樹脂)もまた、そのような目的のために使用することができる。
【0048】
耐水性の向上を達成するために、水性ラテックスおよび水性ポリウレタン分散液のような代替的なインク溶媒もまた有用である。
【0049】
より大きなフィルム構造が所望される場合、例えば、可視的な色を発生するより大きな厚さを有するために、上記のように架橋されていてもよいゲルを、織物および非織物の合成ポリマーまたは天然材料、例えば、それぞれ、織ポリプロピレンもしくは不織マット、または様々な織物もしくは不織フェルトの綿布に適用および加工してもよい。ゲルのための三次元アンカーとして考えることができるこれらの材料は、比色化学がインクとして適用される場合におけるように、非多孔性基材に付着する。
【0050】
意図する使用の期間にわたり化学を湿潤状態に保つために抗乾燥剤が有用なことがあり、該期間は典型的に1日であるが、より長いまたはより短い期間のために使用されてもよい。抗乾燥剤はまた、可溶化および錯化剤が、衝突する金属酸化物からの金属イオンをデバイスにより良好に導入することも可能とし得る。この手段はまた、感度を増加させ得る。妥当な候補のうち、グリセロールは特に有用な抗乾燥剤である。他の好適な抗乾燥剤としては、エチレングリコールおよびプロピレングリコールが挙げられる。
【0051】
必要に応じて、太陽紫外放射線の任意の有害効果からのインジケーター染料または他の構成要素の保護に対処するためにヒンダードアミン光安定剤(HALS)のような安定化剤を加えてもよい。
【0052】
2.デバイスの一般的構築
一実施形態では、デバイスは、図2に示すように、積み重ねとして印刷することができる。
【0053】
2a.図2の一般的説明
この実施形態においてインクとして適用されるアップリケは、4つの層を含む。底部から上へ、粘着剤6が印刷可能な基材7に取り付けられている。剥離可能なキャリアフィルム(図示せず)により使用時の適用前に粘着層を保護することができる。皮膚への装用を意図するデバイスについて、この粘着剤は医療用グレードである。基材ポリマーは、シリコーン、プラスチック、またはエラストマーをベースとするものであってもよい。低い弾性率を有し、したがって皮膚に非常に良好に適合して、複数日にわたってさえ快適さおよび装用の容易さを提供する熱可塑性ポリウレタン(TPU)は特に有用な基材である。インク8、9、および10が基材の上部に印刷された後に、最終層である透過性の上層のマトリックス11が上に置かれ、マトリックス11は、可能な程度まで、擦過による損傷からアートワークを保護するように働く。各インクは、インシデント遷移金属酸化物の異なる量に対して感受性を提供するように配合される。アートワークは、任意の設計で適用されてもよく、同様に図1に示されるもの、図2に示されるものは限定的であることを意図しない。
【0054】
2b.フィルム基材7
ある特定の実施形態では、ポリジメチルシロキサン(PDMS)および熱可塑性ポリウレタン(TPU)は、極度の柔軟性、およびPDMSの場合、酸素および水蒸気透過性(長い期間にわたる皮膚への適用時に快適な感触を達成するために有益である)に基づいて、基材フィルム7として特に有用である。好ましい厚さは、約0.001~0.006インチ、より特には約0.003~0.005インチの範囲内である。
【0055】
フィルムにおいて入手可能な商用のポリマーもまた、ある特定の態様による基材として使用することができる。有用なポリマーの例としては、Bluestar Silicones(East Brunswick、NJ)、Gel-Pak(Hayward、CA)、Wacker(Adrian、MI)、もしくはDow Corning(Midland、MI)から入手可能なポリジメチルシロキサン(PDMS)、およびAmerican Polyfilm(Branford、CT)もしくはHuntsman(Freeport、TX)から入手可能な熱可塑性ポリウレタン(TPU)、またはGel-PakもしくはPolyOne(Avon Lake、OH)から入手可能な熱可塑性エラストマー(TPE)を使用してもよいがこれらに限定されない。そのようなバリア材料の使用は、アートワークにおいて使用される様々なインクからエンドユーザーの皮膚を分離するために働く。
【0056】
加工の各ステップを通じて、基材フィルム7は、粘着剤6を用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリカーボネート(PC)のような剥離可能な使い捨てキャリアフィルムに付着される。そのようなキャリアフィルムは、基材フィルムおよび結果として生じるデバイスの保護のためならびにいずれかシート形式またはウェブベースの(ロール・ツー・ロール)印刷操作の場合に基材フィルムへの印刷中の移行を促進するための両方において所望される。
【0057】
2c.基材6の逆面の粘着剤
粘着剤6は、基材フィルムの逆面に適用され、アップリケを任意選択で皮膚(その場合、医療用グレードの粘着剤が使用される)、衣類、またはエンドユーザーにより携行された物品のいずれかに付着させるために使用される。安全かつ効果的な粘着剤は、商用のアクリル系または商用のシリコーン系のいずれかの化学から選択することができる。有用な粘着剤の例は、それぞれ、Adhesive Research,Inc.(Glen Rock、PA)またはLohmann Technologies(Hebron、KY)から入手可能である。
【0058】
2d.化学8~10を有する基材の印刷
印刷前に、空気プラズマまたはコロナ前処理を任意選択で使用して、インクの湿潤化および基材ポリマーへの付着を増進させてもよい。
【0059】
本明細書において開示される比色化学は、インクベース、還元剤、錯化剤、レドックス染料、および過化合物を主に含むインクまたはゲルの形態であってもよい。任意選択で、インクまたはゲルの貯蔵寿命を増加させるために酸化防止剤のような安定化剤を加えてもよい。一例として、化学の1つの可能な組合せは、2~10質量%のアスコルビン酸、0.5~5質量%のシュウ酸、0.005~0.1質量%のインジゴカルミン、および0.5~2質量%の過ホウ酸塩(いずれもSigma Aldrich Corporation、Milwaukee、WIから供給される)と共に4~6質量%の水性カルボキシメチルセルロース(CMC)インクベース(CK Products、Fort Wayne、INから入手可能なCMC粉末)を使用することである。インクは、多価遷移金属酸化物粒子状物質への曝露後に強い青色から薄い黄色/灰色に段階的に活性化するような量(濃度および厚さにより決定される)で印刷される。全ての利用可能な過化合物を消費する前に複数の色変化を与えるために、段階的な色変化が複数のレドックス染料の添加により任意選択で達成され得る。このアプローチは、多価遷移金属酸化物曝露の蓄積を指し示す手段として有用である。遷移電位がインジゴカルミン染料より低い赤色レドックス染料の添加は、紫色~赤色~灰色のような多重の色変化を生じる。
【0060】
任意の所与の層の印刷後、周囲空気または熱的にもしくは赤外線強化された乾燥もしくは粘着化ステップが、透過性の上層のその後の印刷または積層および上記で議論した抗乾燥性添加物の1つを用いて為され得る再湿潤化の前に予期される。
【0061】
2e.アンダープリントのオプション
基材7とインク8、9、および10との間のアンダープリントを使用して、アートワークの特徴の間のコントラストまたは活性インクの色の明るさを増進させてもよい。そのようなアンダープリントは、色の明るさを増加させるための白色であってもよいし、または最初の色と活性化した色とのコントラストを増進させるために有色であってもよい。そのようなアンダープリントはまた、色の明るさを増加させるか、またはコントラストを増進させるように、グラデーションで印刷されてもよい。これらのアンダープリントの有効性は、顔料または染料の濃度および適用される厚さにより決定される。アンダープリントはまた、薄い青色を提供するために使用されてもよく、この色は、レドックス染料が還元状態にある時に、そのペールイエローと均衡して、より美的に心地よい薄い灰色の最終状態の色を生じさせることができる。
【0062】
2f.上層材料、11
上層材料11を使用して擦過からアートワークを保護してもよく、上層材料11は、インクもしくはゲルの適用前に圧着によりまたは基材に取り付けることによりアートワークに適用することができる。上層材料は、典型的に約0.002~0.003インチの範囲内の厚さの、高度に多孔性のフィルム、またはウーブンメッシュ、または不織マットであってもよい。上層材料は、天然の布もしくはフェルトまたは多孔性材料、ウーブンメッシュ、もしくは不織マットの形態のポリマー材料から賢明に選択される。これらは、比色インクを含有するためおよび擦過から保護するための両方のために機能することができる。多様な材料がこの目的のために働き、該材料は、オレフィン、ナイロン、ポリエステル、およびセルロース系材料などから選択することができる。
【0063】
3.設計オプション
大気汚染への曝露に関するさらなる情報を伝えるためのさらなる設計オプションを以下に議論する。
【0064】
3a.グラデーションプリントのオプション
1つのオプションは、インシデント金属酸化物の量に比例して(例えば、アートワークの直線状または円形ストリップに沿って)呈色の段階的な増大をもたらすように化学のグラデーションを使用してアートワークを設計することである。したがって、例えば、金属酸化物蓄積の増加につれてアートワークに沿って直線的に進行する色変化の移動するゾーンが生成される。非限定的な例を実例の目的で図3に示す。
【0065】
金属酸化物を可溶化させるために充分なアスコルビン酸および錯化剤であるシュウ酸が存在して、上記のグラデーション効果を生じさせると仮定して、過化合物は、配合物の残部の印刷上に濃度のグラデーションで印刷されることができる。オーバープリントは、下地の印刷に拡散して、所望のグラデーション配合物を生成する。インクジェットまたはステンシル印刷技術をグラデーション化学の堆積の目的のために使用してもよい。汚染指数に対して較正された閾値マーカーは、ユーザーに自身の曝露のレベルはどれ程であるかを伝えるために働く。
【0066】
3b.複数の色変化のオプション
別のオプションは、ラダー状の比色変化をもたらし、ラダーの各色がインシデント遷移金属酸化物への曝露の増加を表すように複数のレドックスインジケーターを含有する1つまたは複数のインクを用いてアートワークを設計することである。
【0067】
様々な濃度の錯化剤を用いて複数の印刷を有することよりもむしろ、複数インジケーターのアプローチは、複数の色を通過することにより累積の読取り情報を達成することができる初期状態を有する。触媒性レドックスサイクルに参加する金属酸化物の利用可能性を制限することにより反応速度を制御するために錯化剤が必要であり、それと同時に、存在する過化合物の量は、最終のレドックス電位のエンドポイントを決定し、したがってデバイスの最終色状態を決定する。非限定的な例を図4に示す。
【0068】
3c.参照色または他の固定色調マーキング12、13、および14の任意選択の使用
任意選択で、従来のインクから印刷される固定色調の参照色を、図1のアートワークにおいて構築することを意図して、図5に示すようにアートワークに組み込んでもよい。これらは、例えば、12が想定する化学の初期色または最終色であってもよい。そのような参照色は、非補助の目視検査においてまたはスマートフォンカメラアプリによる参照のために有用であり得る。アートワークはまた、それがある場合はグラデーションプリントに沿って固定色調のマーキング13および14を組み込んでもよいし、組み込まなくてもよく、該マーキングは、曝露限度に対応する閾値限度の指標となる。
【0069】
4.実施例
一例によれば、使用時に向上した耐水性の利点を有するように架橋可能なハイドロゲルベースを使用してインクを調製した。セルロースベースのゲルをインクベースとして使用した。具体的には、10%のクエン酸水溶液中の1.5%のCMCおよび0.5%のHECから硬化させたハイドロゲルは、そのようなゲルを架橋するために特に有用である。Demitri,C.et al.を参照。以下の活性の構成要素をハイドロゲル溶媒に加え、与えた量は、結果として生じる最終混合物中の質量パーセントである:5%のアスコルビン酸、1%のシュウ酸、0.02%のインジゴカルミン、および1%の過ホウ酸ナトリウム四水和物。このゲルへの20%のグリセロールの添加は、意図する使用期間にわたり脱水を防止し、安定性を増加させ、かつ貯蔵寿命を延ばすためにゲルを改変するために働いた。
【0070】
印刷の向上のために、化学の活性成分を増粘剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、またはヒドロキシエチルセルロースに加えてもよい。グリセロールの20%の水溶液中に上記に与えるような濃度のアスコルビン酸、シュウ酸、インジゴカルミン、および過ホウ酸ナトリウム四水和物を溶解させることによりこの種類のインクを調製した。以上を混合して最終の配合を完了した後、4%の量のヒドロキシエチルセルロースを混合物中に溶解させて、スクリーン印刷のために有用なインクの粘稠度まで濃化した。泡およびクレーター欠陥を除去するために、真空チャンバー中で溶液を脱気した後、プラズマ処理した熱可塑性ポリウレタン(TPU)フィルムにスクリーン印刷した。
【0071】
デバイス作製の追加の手段は、吸収剤材料、例えば、セルロース紙、織物の天然繊維またはポリマー布、天然繊維またはポリマーの不織布の上または中へのインク混合物の添加を伴うことができる。そのような場合、これらの材料は、非多孔性基材フィルムに付着する。
【0072】
粗い(PM10)、微細な(PM2.5)、または超微細な(PM0.1)酸化第二鉄粒子状物質(Sigma Aldrich Corporation(Milwaukee、WI)から供給された)に曝露された時の所望の比色変化を生じる速度により上記のインク配合物の有効性を決定した。完全な比色変化までの時間により有効性を測定した。Badger Air-Brush Co.(Franklin Park、IL)のモデル350エアブラシを使用してチャンバーの内側で異なる配合物の印刷に同一量の酸化第二鉄をエアブラシ塗布することにより試験を行った。濃度の推定は、エアブラシのスプレー時間(1mg/秒で10秒)およびチャンバーの体積に基づいて行った。これから90ppmの酸化第二鉄の濃度が算出された。次に、タイムラプスビデオレコーディングにより観察される各インクの完全な色変化までの時間間隔に基づいてインク配合物を優先的に順位付けした。
【0073】
5.変換および包装
完成したデバイスは、使用前の変化からデバイスを保護するための個々の不透過性エンベロープ中でエンドユーザーに供給され得る。前述の不透過性包装の目的としては、一定の湿度を維持することおよび酸素を除外することが挙げられる。非限定的な例を実例の目的で図6に示す。1つのモードでは、このエンベロープは3つのセクション15~17を含有する。セクション15は、デバイスの使用方法に関する書面の説明を提供する。セクション16は、機能性を詳述するインフォグラフィックを介するビジュアルの説明を提供する。セクション17は、保護カバーを除去しおよび皮膚にデバイスを適用する方法に関する説明を提供する。
【0074】
完成したデバイスは、アートワークの周囲に適切な余白を残すように打ち抜かれてもよい。そのような変換において、キスカットを作製してタブ18が残るようにしてもよく、タブ18により、ユーザーが上部の保護カバーフィルムを除去して粘着剤を露出させ、それを使用してデバイス19をユーザーが望む場所に付着させることができる。
【0075】
デバイスの適用のための説明書が包装中に含まれる。デバイスはいくつかの点でステッカーに似ているが、設計、包装、および適用は、現代的な一時的タトゥーの適用と類似する経験を可能とする。非限定的な例を実例の目的で図7に示す。図7において、ユーザーはデバイスから保護カバー20を除去する。次に、デバイスが取り付けられたカード21を持ち、カードをひっくり返してデバイスの粘着剤側を選択位置に適用する。圧力がかかると、粘着剤の結合強度は、ユーザーの選択位置にデバイスを残してカードを除去することが可能なものとなる。一時的タトゥーとは異なり、水または設定された期間にわたり適所にデバイスを保持することは必要でない。
【0076】
6.デバイスのコンピュータービジョン読取り
本明細書において記載されるように、アップリケの色は、ユーザーの行為のみにより、またはスマートフォンと組み合わせて使用され得るカメラアプリケーションの補助により、読取りおよび解釈され得る。ヒトの目は、色の相対的な変化を検出および解釈するために良好に構成されているが、色の絶対的な変化を決定し、そうするにあたって、追加の、またはより正確な、情報を抽出するためにはコンピュータービジョンが必要である。色の絶対的な変化の比較は、読み取られている色に環境が影響するという点でより複雑である。照明源の種類、その強度、および角度が、読み取られている色に影響することがある。コンピュータービジョンアプリケーションは、内部参照の間の補間により色に意味を割り当てるように設計される。
【0077】
一例として、グラデーションアートワークの実施形態において、参照色がアップリケに印刷されてもよく、例えば、色のグラデーションが印刷される経路の端部に各1つが印刷される。アプリは、これらの参照色と連続色との間の色変化を比較して、アップリケが活性化し始めているかどうか、または飽和に近付いているかどうかを決定して、これを適切な警告に変換する。

本発明は、以下の態様を含む。
<1>
装用可能な汚染物質インジケーターであって、第1の面および第2の面を有するポリマーフィルム基材、前記基材の前記第1の面に配された粘着剤、ならびに前記基材の前記第2の面に配された容易に理解されるユーザーインターフェースを含み、前記ユーザーインターフェースが定性的インジケーターを含み、前記定性的インジケーターが、その中にある遷移金属酸化物の反応を通じて感知されるようなインシデント空中浮遊粒子状物質汚染への蓄積された曝露の定性的指標を提供する、装用可能な汚染物質インジケーター。
<2>
前記装用可能な汚染物質インジケーターが、皮膚にとって装用可能である、<1>に記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
<3>
前記ポリマーフィルム基材が、ポリジメチルシロキサン、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、ポリエチレン、およびポリエチレンテレフタレートからなる群から選択されるポリマーを含む、<1>または<2>に記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
<4>
前記定性的インジケーターがレドックスインジケーターをさらに含み、前記レドックスインジケーターが、分解した過化合物の存在下で色変化を生成する、<1>~<3>のいずれかに記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
<5>
前記過化合物が、カルバミド過酸化物(尿素と複合体化した過酸化水素)、過ホウ酸ナトリウム、過硫酸ナトリウム、過炭酸ナトリウムおよびこれらの組合せからなる群から選択される、<4>に記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
<6>
前記レドックスインジケーターが、インジゴカルミン、2,2’-ビピリジン、フェロイン、ジフェニルアミン、ビオロゲン、メチレンブルー、サフラニンおよびこれらの組合せからなる群から選択される、<4>に記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
<7>
前記定性的インジケーターが、インシデント遷移金属酸化物の溶解を促進するための錯化剤をさらに含む、<1>~<6>のいずれかに記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
<8>
前記定性的インジケーターが還元剤をさらに含み、前記還元剤が、前記過化合物の存在下で動力学的に安定であり、かつ、前記遷移金属酸化物のより高い状態をより低い状態に迅速に還元させることができる、<1>~<7>のいずれかに記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
<9>
前記還元剤が、アスコルビン酸、フルクトース、グルコース、ラクトース、ガラクトース、亜硫酸ナトリウムおよびこれらの組合せからなる群から選択される、<8>に記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
<10>
前記定性的インジケーターが、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アラビアゴム、デキストリン、水性ラテックス分散液、水性ポリウレタン分散液、およびこれらの組合せからなる群から選択されるインクまたはゲルベースを含む、<1>~<9>のいずれかに記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
<11>
前記インクまたはゲルベースが架橋されている、<10>に記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
<12>
前記定性的インジケーターの下にアンダープリントをさらに含む、<1>~<11>のいずれかに記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
<13>
前記定性的インジケーターが固定色調の較正マーカーをさらに含む、<1>~<12>のいずれかに記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
<14>
前記定性的インジケーターが固定色調の参照色をさらに含んで、前記色変化およびユーザーに提供されるシグナルのより微調整された解釈を可能とする、<1>~<13>のいずれかに記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
<15>
前記ユーザーインターフェース上に配される上層材料をさらに含み、それにより、前記基材と上層材料との間に前記ユーザーインターフェースを挟む、<1>~<14>のいずれかに記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
<16>
前記上層材料が、多孔性ポリマーフィルム、ウーブンメッシュまたは不織マットを含む、<15>に記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
<17>
前記上層材料が、ポリエチレン、ナイロン、ポリエステル、コットン、およびこれらの組合せを含む、<16>に記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
<18>
前記上層材料が、織物または非織物のいずれかの形態である、<17>に記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
<19>
前記定性的インジケーターが、異なる配合物のアートワークまたはグラデーション配合物の間に用いたアートワークの別々のセグメントを含む、<1>~<18>のいずれかに記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
<20>
前記定性的インジケーターが過化合物のグラデーションを含む、<1>~<19>のいずれかに記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
<21>
前記定性的インジケーターが、人間またはコンピュータービジョンアルゴリズムのいずれかにより読まれ得る二次元比色出力を提供する、<1>~<20>のいずれかに記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
<22>
前記装用可能な汚染物質インジケーターに参照色が提供されていない、<21>に記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
<23>
合計で1つの参照色のみが、前記装用可能な汚染物質インジケーターに提供されている、<21>に記載の装用可能な汚染物質インジケーター。
<24>
センサーであって、
金属酸化物還元性化合物;
過化合物;および
レドックスインジケーター染料
を含むアナライト感知組成物、を含み、
前記アナライト感知組成物が、前記アナライト感知組成物を透過しないポリマーフィルム基材に任意の設計で配されており、かつ
前記センサーが、アナライトに曝露されると、第1の視覚的状態から第2の視覚的状態への視覚的遷移を提供する、センサー。
<25>
金属イオン錯化剤をさらに含む、<24>に記載のセンサー。
<26>
前記アナライトが金属酸化物である、<24>または<25>に記載のセンサー。
<27>
衝突する金属酸化物に由来する金属イオンが、酸化状態の間でサイクルされて、視覚的インジケーターを産生する周期的触媒反応を生成する、<26>に記載のセンサー。
<28>
<24>~<27>のいずれかに記載のセンサーおよびコンピュータービジョンアプリケーションを含む、センサーシステム。
<29>
前記ビジョンアプリケーションが、絶対的な比色読取り情報の、異なる照明条件下での幾何学形状に沿った相対的な色の変化への変換を読み取る、<28>に記載のセンサーシステム。
<30>
前記ビジョンアプリケーションが、絶対的な比色読取り情報の、不均一な陰影を用いた幾何学形状に沿った相対的な色の変化への変換を読み取る、<28>に記載のセンサーシステム。

<31>
<1>~<23>のいずれかに記載の装用可能な汚染物質インジケーターをユーザーの皮膚または衣類に適用することを含む、汚染物質への曝露をモニターする方法。
<32>
装用可能な汚染物質インジケーターを製造する方法であって、
基材の第1の面に粘着剤を塗布すること;
前記基材の第2の面にアナライト感知組成物を塗布することを含み、前記アナライト感知組成物が、
金属酸化物還元性化合物;
過化合物;および
レドックスインジケーター染料
を含み、
前記アナライト感知組成物が、前記アナライト感知組成物を透過しない前記フィルム基材に任意の設計で配され、かつ
前記アナライト感知組成物が、前記アナライトに曝露されると、第1の視覚的状態から第2の視覚的状態への視覚的遷移を提供する、
方法。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7