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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】吸気口用フィルタ
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/00 20220101AFI20231127BHJP
   F24F 13/28 20060101ALI20231127BHJP
   F24F 7/04 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
B01D46/00 302
F24F13/28
F24F7/04 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020539945
(86)(22)【出願日】2018-08-30
(86)【国際出願番号】 JP2018032115
(87)【国際公開番号】W WO2020044490
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】598112279
【氏名又は名称】佐伯 午郎
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 午郎
【審査官】宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-270690(JP,A)
【文献】特開平10-202046(JP,A)
【文献】特開2009-011921(JP,A)
【文献】特開2005-315552(JP,A)
【文献】特開2004-321651(JP,A)
【文献】実開昭62-204230(JP,U)
【文献】特開2017-012979(JP,A)
【文献】特開2015-113988(JP,A)
【文献】特開2002-239329(JP,A)
【文献】実開平01-088719(JP,U)
【文献】特開2016-70610(JP,A)
【文献】特開2012-17919(JP,A)
【文献】24時間換気のフィルターを交換する,黒猫ジョシュアのしましま日記[online],2017年02月10日,https://ameblo.jp/riripipi4649/entry-12245969934.html,検索日:2018.11.19
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/00-41/04
B01D 46/00-46/90
F24F 13/28
F24F 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の内壁面に設置されている吸気口の内部に嵌め込まれるフィルタ本体と、
前記フィルタ本体に形成される切り欠き部と、を備え、
前記フィルタ本体は、不織布を波型に加工してフルート構造にしたハニカム構造のフィルタであり、
前記切り欠き部は、前記吸気口の内面から前記吸気口の中心部へ向かって突出形成されており、前記吸気口を開閉する蓋を支持するための支柱が、前記ハニカム構造と干渉しないように、前記ハニカム構造のうち前記支柱に対応する部位を切り欠いた部分である、
吸気口用フィルタ。
【請求項2】
前記切り欠き部は、前記吸気口の内面から前記吸気口の中心部へ向かって突出形成されている支柱に対応する部位を切り欠いた部分である、
請求項1に記載の吸気口用フィルタ。
【請求項3】
前記フィルタ本体は、円柱状の外形を有しており、
前記切り欠き部は、前記吸気口の内周面から前記吸気口の中心部へ向かって突出形成される支柱に対応する部位を切り欠いた部分である、
請求項1又は2に記載の吸気口用フィルタ。
【請求項4】
前記切り欠き部は、複数の前記支柱に対応する部位を切り欠いた部分であり、
前記フィルタ本体は、複数の前記支柱に対応する部位が前記切り欠き部で切り欠かれることにより、複数個に分割された形態となっている、
請求項2又は3に記載の吸気口用フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、吸気口用フィルタを開示する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビルや店舗、病院、家屋等の各種建物は、各種の省エネルギー基準が定められており、それらの基準を満たすために気密性や断熱性が向上の一途を辿っている。そして、気密性の向上に伴い、停止を予定していない24時間換気システムの設置が義務化され、近年の建物には吸排気口が標準装備されている。
【0003】
建物の吸気口は、通常、外壁を貫通する形態となっている。そして、吸気口の外壁面側には、雨水の浸入を防ぐフードが設置される。しかし、例えば、台風の接近等に伴う暴風雨時にはフードを通って吸気口内に雨水が浸入する可能性があるため、吸気口の内壁面側には、通常、開閉式の蓋が設けられる。また、外気には、暴風時に舞い上がる砂塵、蚊や蠅等の虫が含まれていることがあるため、通常、吸気口の内壁面側にはフィルタが設けられる。吸気口の内壁面側に設けられる開閉式の蓋とフィルタは、通常、換気システム用の一部品として構成されており、建物の壁面を貫通するように設置された塩ビ管等の管の開口部分に嵌め込まれる。
【0004】
吸気口の内壁面側に取り付けられるこのような部品は、通常、建物の壁面を貫通するように設置された塩ビ管等の管の開口部分に嵌る筒状の部位と、当該筒状の部位の縁に設けられるフランジ状の部位と、当該フランジ状の部位に対して密着したり離間したりすることが可能な可動式の蓋とを有している。そして、蓋は、蓋によって開閉される開口の中央部に棒状あるいは板状の支柱で固定された可動機構に取り付けられる。可動機構は、押圧操作によって蓋の位置を前後に調整できる機構であり、平常時には蓋を開いた状態で保持し、暴風雨時には蓋を閉じた状態で保持する。通常はフィルタが蓋と支柱との間の部分に取り付けられているため、蓋は、フィルタの交換時に取り外すことができるように、可動機構に対して着脱自在に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-047749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
吸気口の内壁面側に取り付けられる部品は、上記したように、フィルタが蓋と支柱との間の部分に取り付けられる形態となっている。よって、当該部品が薄板状のフィルタを標準装備として取り付ける前提で設計されている場合、フィルタを高性能な厚手のものに取り替えようとしても、フィルタが蓋や支柱に干渉してしまい、取り替えることができない。しかし、吸気口の内壁面側に取り付けられる部品は建物を建築する際に内壁面へ固定されるものなので、取り付けるフィルタを変更する目的で部品自体を変更することは難しい。
【0007】
そこで、本願は、内壁面に設けられている吸気口に対し、当該吸気口に標準装備されているフィルタより厚手のフィルタであっても取り付け可能にする技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明では、吸気口内に設けられている支柱に対応する部位に切り欠きを設けることにした。
【0009】
詳細には、本発明は、吸気口用フィルタであって、建物の内壁面に設置されている吸気口の内部に嵌る大きさの外形を有しており、吸気口に標準装備されるフィルタよりも厚いフィルタ本体と、フィルタ本体に形成されており、吸気口内に設けられている支柱に対応する部位を切り欠いた切り欠き部と、を備える。
【0010】
上記の吸気口用フィルタであれば、吸気口の内部に嵌る外形を有しており、且つ、吸気口内に設けられている支柱に対応する部位を切り欠いた切り欠き部が設けられているため、吸気口に標準装備されているフィルタより厚いものであっても、吸気口が設けられている壁の審美性を損なうことなく取り付け可能である。
【0011】
なお、フィルタ本体は、ハニカム構造のフィルタであってもよい。ハニカム構造のフィルタであれば、フィルタの有効面積が広いため、吸気口に標準装備されているフィルタより厚いものを、標準装備のフィルタが取り付けられていた吸気口に取り付けても通気量の低下を抑制することができる。
【0012】
また、切り欠き部は、吸気口の内面から吸気口の中心部へ向かって突出形成されている支柱に対応する部位を切り欠いた部分であってもよい。吸気口の内面にこのような支柱があっても、切り欠き部がこの支柱に対応する部位を切り欠くものであれば、吸気口用フィルタを当該吸気口に取り付けることができる。
【0013】
また、フィルタ本体は、円柱状の外形を有しており、切り欠き部は、吸気口の内周面から吸気口の中心部へ向かって突出形成される支柱に対応する部位を切り欠いた部分であってもよい。一般的に、吸気口は円形であることが多いが、フィルタ本体が円柱状の外形を有しており、切り欠き部が吸気口の内周面から吸気口の中心部へ向かって突出形成される支柱に対応する部位を切り欠く吸気口用フィルタであれば、このような円形の吸気口に取り付けることができる。
【0014】
また、切り欠き部は、複数の支柱に対応する部位を切り欠いた部分であり、フィルタ本体は、複数の支柱に対応する部位が切り欠き部で切り欠かれることにより、複数個に分割された形態となっていてもよい。このような形態の吸気口用フィルタであれば、吸気口内に設けられている支柱と蓋との間の隙間が極めて狭い場合であっても、吸気口に取り付けることが可能である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、内壁面に設けられている吸気口に対し、当該吸気口に標準装備されているフィルタより厚手のフィルタであっても取り付け可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施形態に係る吸気口用フィルタの外観を示した斜視図である。
図2図2は、建物の内壁面に設置される吸気口部品の一例を示した図である。
図3図3は、吸気口用フィルタを吸気口部品に取り付ける様子を示した図である。
図4図4は、吸気口用フィルタが吸気口部品に取り付けられた状態を示した図である。
図5図5は、吸気口用フィルタの変形例を示した図である。
図6図6は、吸気口用フィルタの製造方法の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本発明の一形態であり、本発明の技術的範囲を下記の実施形態に限定するものではない。
【0018】
図1は、実施形態に係る吸気口用フィルタの外観を示した斜視図である。吸気口用フィルタ1は、ハニカム構造のフィルタであり、図1に示されるように、円柱状の外形を4個に分割したような形態となっている。よって、吸気口用フィルタ1は、扇形の端面を有する4個のフィルタ本体2で構成されている。
【0019】
吸気口用フィルタ1は、建物の内壁面に設置されている吸気口の内部に嵌る大きさの外形を有しており、吸気口に標準装備されるフィルタよりも厚い。そして、吸気口用フィルタ1は、円柱状の外形において円形の端面に相当する部位にハニカム構造特有の多孔部分が露出する形態となっている。また、吸気口用フィルタ1には、吸気口内に設けられている支柱に対応する部位を切り欠く切り欠き3が設けられている。
【0020】
図2は、建物の内壁面に設置される吸気口部品の一例を示した図である。吸気口部品100は、図2に示されるように、建物の壁面を貫通するように設置された塩ビ管等の管の開口部分に嵌る筒状部101と、筒状部101の縁に設けられる角型のフランジ部102と、フランジ部102に対して密着したり離間したりすることが可能な可動式の蓋103とを有している。そして、蓋103は、蓋103によって開閉される開口104の中央部に板状の支柱105で固定された可動機構106に取り付けられる。可動機構106は、押圧操作によって蓋103の位置を前後に調整できる機構であり、平常時には蓋103を開いた状態で保持し、暴風雨時には蓋103を閉じた状態で保持する。通常は吸気口部品100に標準装備の薄いフィルタ107が蓋103と支柱105との間の部分に取り付けられているため、蓋103は、フィルタ107の交換時に取り外すことができるように、可動機構106に対して着脱自在に取り付けられている。
【0021】
蓋103は、開口104を閉鎖した図2(A)の状態で蓋103の中心部が押圧されると、可動機構106が動いて図2(B)のように手前に移動し、開口104を開いた状態にする。蓋103は、開口104を開いた状態で上方向に動かすと、図2(C)に示すように可動機構106から外れる。蓋103が可動機構106から外れると、図2(D)に示すように、吸気口部品100に標準装備されている薄い板状のフィルタ107を開口104から取り外すことができる。
【0022】
図3は、吸気口用フィルタ1を吸気口部品100に取り付ける様子を示した図である。吸気口用フィルタ1には、吸気口部品100に設けられている支柱105に対応する部位を切り欠いた切り欠き3が設けられているため、吸気口部品100に標準装備されているフィルタ107より厚いフィルタであるにも関わらず、フィルタ本体2が開口104内に嵌るような状態で吸気口部品100に取り付けることができる。
【0023】
図4は、吸気口用フィルタ1が吸気口部品100に取り付けられた状態を示した図である。吸気口用フィルタ1は、フィルタ本体2が開口104内に嵌るような状態で吸気口部品100に取り付けることができるため、吸気口部品100に標準装備されているフィルタ107より厚いフィルタであるにも関わらず、吸気口用フィルタ1がフランジ部102から飛び出さない状態で吸気口部品100に取り付けることができる。このため、蓋103を可動機構106に取り付けて開口104を開閉することも可能であり、吸気口部品100が取り付けられている壁の審美性を損なうことが無い。
【0024】
吸気口の内壁面側に取り付けられる吸気口部品100は、フィルタ107が蓋103と支柱105との間の部分に取り付けられる形態となっている。しかし、薄板状のフィルタ107を標準装備として取り付ける前提で設計されている吸気口部品100において、フィルタ107を捕集性能の高い高性能な厚手の吸気口用フィルタ1に取り替えても、吸気口用フィルタ1が蓋103や支柱105に干渉しない。よって、建物の内壁面に固定されている吸気口部品100を取り換える工事を伴うことなく、建物の吸気口に設けられているフィルタを厚手のものに取り替えることができる。
【0025】
ところで、吸気口用フィルタ1は、例えば、以下のように変形してもよい。
【0026】
図5は、吸気口用フィルタ1の変形例を示した図である。吸気口用フィルタ1を構成する4つのフィルタ本体2は、例えば、図5に示されるように、薄い円板状で通気性を有する保持部材4に固定されていてもよい。各フィルタ本体2を保持部材4に固定した吸気口用フィルタ1であれば、4つのフィルタ本体2を一つずつ開口104へ嵌めるのではなく、4つのフィルタ本体2を一度に開口104へ嵌めることができるため、吸気口部品100への取付作業を簡単に行うことができる。
【0027】
また、切り欠き3は、開口104の内面から開口104の中心部の可動機構106へ向かって突出形成されている支柱105に対応する部位を切り欠くものであったが、例えば、板状の支柱105に代えて棒状の支柱に対応する部位を切り欠くものであってもよいし、或いは、支柱以外の突起物等に対応する部位を切り欠くものであってもよい。
【0028】
また、吸気口用フィルタ1は、円柱状の外形を有していたが、例えば、吸気口の開口が矩形であるような場合には、当該矩形の開口に合った外形を有していてもよい。
【0029】
また、吸気口用フィルタ1は、切り欠き3によって4つに分割された形態となっていたが、例えば、3つ以下に分割された形態であってもよいし、或いは、5つ以上に分割された形態であってもよい。また、吸気口用フィルタ1は、切り欠き3によって分割されない形態、すなわち、溝状あるいは窪み状の切り欠きが設けられた形態であってもよい。
【0030】
また、吸気口用フィルタ1は、ハニカム構造のものに限定されるものでなく、例えば、連続気孔を有するスポンジ等の多孔体であってもよい。
【0031】
上記実施形態の吸気口用フィルタ1は、例えば、以下のようにして製造することができる。
【0032】
図6は、吸気口用フィルタ1の製造方法の一例を示した図である。吸気口用フィルタ1は、例えば、通気性の不織布の一部を波型に加工してフルート構造となるように接着することで形成することができる。すなわち、吸気口用フィルタ1の製造に際しては、図6(A)に示されるように、通気性を有する帯状の不織布10であって、長手方向に向かって一方の片側に平坦領域11、他方の片側に波型領域12を形成した不織布10を用意し、この不織布10を、平坦領域11と波型領域12との境界部分の折り目13に沿って折り返す。不織布10を折り目13に沿って折り返すことにより、図6(B)に示されるように、片面に波型が露出する片面ダンボールのようなフルート構造体14が帯状に形成される。このフルート構造体14を、図6(C)に示されるように、巻き芯15に適当な周回数で接着しながら巻き付ける。フルート構造体14を巻き芯15に巻き付けることにより、図6(D)に示されるように、円柱状の外形において円形の端面に相当する部位にハニカム構造特有の多孔部分が露出する形態のフィルタが形成される。そして、接着剤が硬化した後、このフィルタが装着される吸気口部品100に設けられている支柱105に対応する部位を切り欠くことで、図6(E)に示されるように、円形の端面を均等に4分割したような、端面が扇形のフィルタ片16が切り出される。この状態では切り欠いた部分に気流の抜け道が出来るため、図6(F)に示されるように、切り欠いた部分の面を包囲する目的でフィルタ片16に通気性の無い包囲シート17が巻き付けられる。
【0033】
吸気口用フィルタ1は、このような方法で製造することが可能である。しかし、吸気口用フィルタ1は、このような方法で製造されるものに限定されるものでなく、例えば、他の方法で製造されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0034】
1・・吸気口用フィルタ
2・・フィルタ本体
3・・切り欠き
4・・保持部材
10・・不織布
11・・平坦領域
12・・波型領域
13・・折り目
14・・フルート構造体
15・・巻き芯
16・・フィルタ片
17・・包囲シート
100・吸気口部品
101・・筒状部
102・・フランジ部
103・・蓋
104・・開口
105・・支柱
106・・可動機構
107・・フィルタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6