(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】カードの製造方法
(51)【国際特許分類】
G06K 19/077 20060101AFI20231127BHJP
B42D 25/475 20140101ALI20231127BHJP
【FI】
G06K19/077 136
G06K19/077 144
G06K19/077 200
B42D25/475
(21)【出願番号】P 2020571026
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(86)【国際出願番号】 JP2019049115
(87)【国際公開番号】W WO2020162045
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】P 2019021291
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】110001265
【氏名又は名称】弁理士法人山村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】湯川 智樹
(72)【発明者】
【氏名】後藤 一輝
【審査官】土谷 慎吾
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-105320(JP,A)
【文献】特開2008-279631(JP,A)
【文献】特開2008-308322(JP,A)
【文献】特開平07-276497(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/02
G06K 19/077
B42D 25/45
B42D 25/475
B42D 25/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置合わせの基準となる基準シート3を供給する工程と、
複数の図柄が一周期として繰り返し印刷された第1連続シート1を供給する工程と、
複数の別の図柄が一周期として繰り返し印刷された第2連続シート2を供給する工程と、
前記第1連続シート1
および第2連続シート2を前記基準シート3に積層して積層シート4を生成する工程と、
検出手段により前記繰り返し印刷された図柄のうちの各図柄の位置を次々に検出する工程と、
検出手段により前記繰り返し印刷された別の図柄のうちの各図柄の位置を検出する工程と、
前記図柄の位置の検出結果に応じて、前記第1連続シート1の供給速度を制御して、前記図柄が前記基準シート3に対し所定の位置となるように調整する第1調整工程と、
前記別の図柄の位置の検出結果に応じて前記第2連続シート2の供給速度を制御して、前記別の図柄が前記基準シート3に対し所定の位置となるように調整する第2調整工程と、
前記図柄毎に前記積層シート4を切断してカード40を生成する工程とを含み、
前記第1調整工程を、前記複数の図柄の前記一周期毎に行うようにし
、
前記第2調整工程を、前記複数の別の図柄の前記一周期毎に行う
ようにし、
ここにおいて、前記第1および第2連続シートには、それぞれ、
1枚のカードの単位ごとにマークが設けられ、前記検出手段により前記マークを判別する工程
を更に備え、
前記判別されたマークの数が前記一周期に相当する所定のn個よりも少ない場合は前記第1または第2調整工程を実行せず、前記判別されたマークの数が所定のn個となる度に前記第1または第2調整工程を行
い、
前記基準シート3に積層される前の前記第1および第2連続シート1,2が各々巻き付いた第1および第2ダンサロール81,82をアクチュエータ83で駆動して、前記調整工程を
実行し、
前記検出の結果、前記第1または第2連続シート1,2の前記基準シート3に対する位置ズレが所定の許容範囲±Δを超え、かつ、第1ズレ範囲±Δ1以内である場合は、前記位置ズレが小さくなる方向に前記第1または第2ダンサロール81,82を所定の第1の一定量T1だけ変位させて前記第1または第2調整工程を
実行し、
前記検出の結果、前記第1または第2連続シート1,2の前記基準シート3に対する位置ズレが前記所定の許容範囲±Δ以内である場合は、前記第1または第2調整工程で前回移動させた方向とは逆の方向に、前記第1または第2ダンサロール81,82を前記アクチュエータ83で微動させるようにした、カードの製造方法。
【請求項2】
請求項1において、前記複数の図柄のうちの各図柄または前記複数の別の図柄のうちの各図柄の位置に応じてカード生成時の切断位置を調整するようにした、カードの製造方法。
【請求項3】
請求項1において、
前記検出の結果、前記第1または第2連続シート1,2の前記基準シート3に対する位置ズレが前記第1ズレ範囲±Δ1を超える場合は、前記位置ズレが小さくなる方向に前記第1または第2ダンサロール81,82を前記第1の一定量T1よりも大きい第2の一定量T2だけ変位させて前記第1または第2調整工程を実行する、カードの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は種々のカードの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カードとして、キャッシュカード、顔写真の入った従業者証、社員証、会員証、学生証、外国人登録証及び各種運転免許証などの非接触式のICカードが用いられている。この種のカードは、一般に、図柄が印刷された表裏のシートがインレイ(inlay)に積層されて形成されている。なお、インレイは、電子情報が記録された回路がプリントされたフィルムである。
【0003】
前記表裏のシートとなる連続シートとインレイとは、互いに位置合わせされた後に個々のカードの単位に切断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【0005】
前記インレイと連続シートの位置合わせは、両者に設けられたレジマーク(レジストレーションマーク:registration mark)と呼ばれるマークを検出して、前記インレイに連続シートの図柄を合わせる。
【発明の概要】
【0006】
図1Bは前記連続シート200に図柄を印刷する印刷機100を示す。この図に示すように、1つの印刷機100にはn個(数個)の版101~106が概ね等角度ピッチでロール本体110に取り付けられている。今日の技術では、各版101~106自体は互いに同一となるように製造することは容易である。したがって、前記版により生成される図柄は互いに同一となる。
【0007】
しかし、各版101~106をロール本体110に取り付ける構造上、各版ごとに微妙に取り付け誤差が生じるのは避けられない。したがって、印刷された図柄同士のピッチが微妙に不均一になり、1つの図柄ごとに前記位置合わせの制御を行ったのでは、図柄合わせ制御の成果が得られないだろう。また、高速での製造が困難になる。
【0008】
したがって、本発明は図柄合わせの制御が行い易く、かつ、高速でカードを製造できる方法を提供することである。
【0009】
本発明のカードの製造方法は、位置合わせの基準となる基準シート3を供給する工程と、
複数の図柄が一周期として繰り返し印刷された第1連続シート1を供給する工程と、
前記第1連続シート1を前記基準シート3に積層して積層シート4を生成する工程と、
検出手段により前記繰り返し印刷された図柄のうちの各図柄の位置を次々に検出する工程と、
前記図柄の位置の検出結果に応じて、前記第1連続シート1の供給速度を制御して、前記図柄が前記基準シート3に対し所定の位置となるように調整する第1調整工程と、
前記図柄毎に前記積層シート4を切断してカード40を生成する工程とを含み、
前記第1調整工程を、前記複数の図柄の前記一周期毎に行うようにしたことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、複数の図柄を一周期として繰り返し印刷された第1連続シート1を、前記一周期ごとに図柄の位置を検出した結果に応じて、前記第1連続シート1の供給速度を制御する。したがって、印刷時の印版のピッチにバラツキがあっても、当該バラツキに惑わされることなく、図柄が基準シート3に対して所定の位置となるように制御することができる。
また、一周期ごとに調整を行うので、効率が良く、高速での製造にも容易に対処し易い。
【0011】
本発明において、図柄とは文字、記号、図または絵の他にレジマークを含む。一般に、図柄の位置検出としてはレジマークを検出する。
本発明において、基準シート3としては、インレイを含み、インレイの場合、例えば、ICチップを図柄として検出してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1Aは本発明の一実施例にかかるカードの製造方法の概略を示す斜視図、
図1Bは図柄の印刷方法を示す側面図である。
【
図2】
図2は同製造方法に用いる装置を示す概略レイアウト図である。
【
図3】
図3は制御システムを示す概略構成図である。
【
図5】
図5において、(a)はカードの平面図、(b)はカードの断面図、(c)は多列インレイの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
カードが表裏のシートの間にインレイを挟んだ3層状である場合、つまり裏面シートとなる第2連続シートがある場合、本発明は、好ましくは、複数の別の図柄が一周期として繰り返し印刷された第2連続シート2を供給する工程と、
前記第2連続シート2を前記基準シート3に積層して前記積層シート4を生成する工程と、
検出手段により前記繰り返し印刷された別の図柄のうちの各図柄の位置を検出する工程と、
前記別の図柄の位置の検出結果に応じて前記第2連続シート2の供給速度を制御して、前記別の図柄が前記基準シート3に対し所定の位置となるように調整する第2調整工程とを含み、
前記第2調整工程を、前記複数の別の図柄の前記一周期毎に行うようにしたことを特徴とする。
【0014】
この場合、第2連続シート2の図柄合わせの制御も行い易く、かつ、高速でカードを製造できる。
【0015】
好ましくは、前記複数の図柄のうちの各図柄または前記複数の別の図柄のうちの各図柄の位置に応じてカード生成時の切断位置を調整する。
この場合、図柄に合わせてカードを切断できる。
なお、カード生成時にレジマークをトリミングにより、切断除去してもよい。
【0016】
本発明のより具体的な方法としては、前記各シートには、前記1枚のカードの単位ごとにマークが設けられ、前記検出手段により前記マークを判別する工程と、
前記判別されたマークの数が前記一周期に相当する所定のn個よりも少ない場合は前記第1または第2調整工程を実行せず、前記判別されたマークの数が所定のn個となる度に前記第1または第2調整工程を行う。
【0017】
この場合、印刷の一周期であるn個ごとに調整工程が実行されるので、効率良く、図柄合わせを行うことができる。
【0018】
好ましくは、前記基準シート3に積層される前の前記第1および第2連続シート1,2が各々巻き付いた第1および第2ダンサロール81,82をアクチュエータ83で駆動して、前記調整工程を実行する。
【0019】
このように、ダンサロールをアクチュエータで駆動制御する場合、第1連続シート1または第2連続シート2の供給量、つまり、供給速度の制御を行い易い。
【0020】
好ましくは、前記検出の結果、前記第1または第2連続シート1,2の前記基準シート3に対する位置ズレが所定の許容範囲±Δを超え、かつ、第1ズレ範囲±Δ1内である場合は、前記位置ズレが小さくなる方向に前記第1または第2ダンサロール81,82を所定の第1の一定量T1だけ変位させて前記第1または第2調整工程を実行する。
【0021】
一般のフィードバック制御では位置ズレの量に対応する不定量で制御する。しかし、カードの表裏を形成する板紙は剛性が大きいと共に引張力に対する伸びが小さく、板紙の供給量を急激に大きくすると、供給されるニップ部(ニップロール)において搬送に不具合が生じ易い。
そこで、第1の一定量T1を予め設定することで、前記不具合の生じることなく、供給の速度の制御を行うことができる。
【0022】
ここで、前記第1の一定量T1は例えば下記の(110)式で定義される範囲に設定されてもよい。
Δ<(T1)/2<Δ1 ……(110)
なお、1枚の連続シート毎にm本のダンサロールを設ける場合、前記第1の一定量T1は下記の(120)式で定義されてもよい。
Δ<(T1)/2m<Δ1 ……(120)
【0023】
好ましくは、前記検出の結果、前記第1または第2連続シート1,2の前記基準シート3に対する位置ズレが前記所定の許容範囲±Δ以内である場合は、前記調整工程で前回移動させた方向とは逆の方向に、前記第1または第2ダンサロール81,82を前記アクチュエータ83で微動させる。
【0024】
このようにダンサロールを微動させた場合、第1または第2連続シート1,2の張力や撓みが若干変動するだけで、その供給速度は殆ど変化することなく、前記位置ズレを前記許容範囲±Δに保ったまま、ダンサロールをホームポジション(home position)に近づけることができる。
【0025】
ここで、「ダンサロールを微動させる」とは、前記ダンサロールの移動量が少なくとも前記許容範囲±Δ以内で、」かつ、前記第1の一定量T1よりも小さいことを意味する。
【0026】
更に好ましくは、前記検出の結果、前記第1または第2連続シート1,2の前記基準シート3に対する位置ズレが前記第1ズレ範囲±Δ1を超える場合は、前記位置ズレが小さくなる方向に前記ダンサロール81(82)を前記第1の一定量T1よりも大きい第2の一定量T2だけ変位させて前記第1または第2調整工程を実行する。
【0027】
前記位置ズレの量が大きい立上時などにおいては、前記第1の一定量T1よりも大きい第2の一定量T2だけダンサロールを移動させることで、前述と同様に搬送の不具合を生じることなく、供給制御を行うことができる。
【0028】
1つの前記各実施態様または下記の実施例に関連して説明および/または図示した特徴は、1つまたはそれ以上の他の実施態様または他の実施例において同一または類似な形で、および/または他の実施態様または実施例の特徴と組み合わせて、または、その代わりに利用することができる。
【実施例】
【0029】
本発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施例の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかし、実施例および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。本発明の範囲は請求の範囲によってのみ定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
なお、本明細書中のカタカナ表記の一部には、その意味をより明瞭にするために英単語を()で併記している。
【0030】
以下、本発明の一実施例を図面にしたがって説明する。
まず、実施例の説明に先立ってカードについて説明する。
【0031】
図5(a)および(b)はカード40の一例を示す。
これらの図に示すように、カード40は表面シート10、裏面シート20、インレイ30および上質紙31の各層が積層されている。これらの各層の間は、たとえばポリウレタンのホットメルトからなる接着層41で互いに接着されている。
【0032】
前記インレイ30には、ICチップやアンテナ(antenna)32が設けられている。なお、上質紙31にはICチップが入り込む貫通孔33が形成されている。
【0033】
表面シート10にはカード名Nや図柄Gが印刷され、一方、裏面シート20には別の図柄(図示せず)が印刷されている。これらの図柄は印刷機100(
図1B)によりn個を一周期として繰り返し印刷されたものである。なお、図柄は文字やレジマークのみであってもよい。
【0034】
図5(c)に示すように、個々のカードは1つの積層シート4から生成される。積層シート4は、
図5(b)の表面シート10となる第1連続シート、裏面シート20となる第2連続シート、インレイ30および上質紙31の連続シートで形成されている。
図5(c)の積層シート4は縦横に切断されて、
図5(a)のカード40となる。
【0035】
前記各シートおよびインレイ30には、
図4のレジマークR0~R2と呼ばれる位置合わせ用のマークが設けられている。なお、本例においては、レジマークR0~R2を説明の便宜上、搬送方向の中央に配置したが、例えば
図5の表面シート10の場合、
図5(a)のように、積層後にトリミング(trimming)されて除去される隅に配置されてもよい。
【0036】
つぎに、カードの製造方法の概略について説明する。
図1Aは、作図の便宜上、第1および第2連続シート1,2がカード1枚分に相当する幅を持つ場合を図示している。
【0037】
図1Aにおいて、インレイ30が縦横に連なった幅広の多列インレイ3Aおよび上質紙31の連続紙3Cはスリットされて複数の単列に分かれて搬送される。スリットされた単列インレイ3Bは個々のカードの単位に切断された後、各インレイ30が上質紙の連続紙3C上に貼り付けられて、中間シート(基準シート)3が生成される。
【0038】
中間シート3の表裏には、各々、第1および第2連続シート1,2が貼り合わされる。こうして、カード40(
図5(a))が連続した状態の積層シート4が生成される。その後、積層シート4は個々のカード40の単位に切断される。
【0039】
つぎに、製造装置の概略構成を製造方法の一例と共に説明する。
図2において、第1および第2連続シート1,2と、多列インレイ3Aと、上質紙31(
図5(c))が連続した状態の連続紙3Cは、各々、ドラム(drum)から巻き出される。
【0040】
図2の多列インレイ3Aはドラムから巻き出されると、スリッタ(slitter)60で複数本の単列インレイ3Bにスリット(slit)される。その後、このスリットされた各単列インレイ3Bはガイダ(guider)61により幅方向に互いに離間される。
【0041】
その後、単列インレイ3Bは、第1または第2カッター6A,6Bにより個々のカードの単位に切断される。例えば、第1および第2カッター6A,6Bは、各々、第1および第2アンビル(anvil)7A,7Bに接して、各単列インレイ3Bを個々のカードの単位に切断する。各カッターおよびアンビルの上流には、単列インレイ3Bを間欠的に供給するための第1および第2吸着コンベヤ8A,8Bが配置されている。
【0042】
こうして、配置ドラム62上においては、略長方形のインレイ30(
図5(a))が間欠的に、かつ、一定のピッチで配置された状態で搬送される。
【0043】
一方、上質紙31(
図5(c))の連続紙3Cはドラムから巻き出されると、塗布機70によって接着剤が塗布された後、配置ドラム62に供給される。配置ドラム62はニップロール62Nとの間において連続紙3C上にインレイを間欠配置した中間シート(基準シート)3を生成する。この中間シート3は下流のニップロール63,63間に供給される。
なお、ニップロール63,63の一方は、一般に駆動ロールが用いられる。
【0044】
貼り合わせに先立ってニップロール63には、以下に説明するように、第1および第2連続シート1,2が連続的に供給される。第1および第2連続シート1,2は、ドラムから巻き出され、各々、所定の図柄が繰り返し印刷された表面とは反対の裏面に塗布機71,72から接着剤が塗布される。
【0045】
第1および第2連続シート1,2は、接着剤の塗布後、下流の第1および第2ダンサ(dancer)ロール81,82に供給され、これらのロールを介してニップロール63に供給される。各ダンサロール81,82は例えばサーボモータのようなアクチュエータ(actuator)83により往復動して、各連続シート1,2のニップロール63への供給速度を調整する。
【0046】
ニップロール63,63に供給された連続シート1,2および中間シート3は、ニップロール63,63において互いに接着され、積層シート4が生成される。積層シート4はトリムカッタ64に供給されて個々のカード40と格子(枠)状のトリミングシート4Tに分離される。なお、カード40はベルトコンベヤ65上に間欠的かつ連続的に排出されて搬送される。
【0047】
つぎに、本製造方法にかかる制御システムについて説明する。
図2に示すように、ニップロール63の上流には前記インレイ30に設けられたレジマークR0(
図4)を検出するセンサS0が設けられている。一方、ニップロール63の下流には積層された第1および第2連続シート1,2に設けられたレジマークR1,R2(
図4)を検出するセンサS1,S2が設けられている。
【0048】
第1連続シート1と第2連続シート2とは、図柄が互いに異なっているが、両者が中間シート3に積層される構造、積層方法および制御方法は互いに本質的に同様である。したがって、以下の説明では第1連続シート1を中間シート3に積層する場合を代表として説明し、第2連続シート2を中間シート3に積層することに関しては、その説明を省略する。
【0049】
図3は制御システムの概略を示す。
この図に示すように、各センサS0~S2の検出出力は制御装置5に入力される。制御装置5は電子計算機で構成されている。
【0050】
制御装置5はマーク判別50やカウンタ51などの計算部と、ズレ判別52の閾値や駆動量53などの記憶部を備える。なお、制御装置5には表示器54および操作部55が接続されている。
【0051】
制御装置5の一部および各センサS0~S2は以下に説明するようにレジマークの位置を介して図柄の位置を検出する検出手段を構成する。
【0052】
マーク判別50は各センサS0~S2からの信号で各レジマークR0~R2を検出する。カウンタ51は各レジマークR0~R2が何個目かを計数し、所定の個数になるとズレ判別52に以下のようにズレの度合いを判別させる。
【0053】
ズレ量Dの度合いは、
図4(a)の第1ズレ範囲±Δ1を超える場合、
図4(b)の許容範囲±Δを超え第1ズレ範囲±Δ1以内および
図4(c)の許容範囲±Δ以内の3段階で評価される。
【0054】
このズレ量Dの度合いと制御について
図4を用いて説明する。
図4において、説明の便宜上、各レジマークR0~R2は、各シートの搬送方向の中央に配置されているものとして説明する。また、
図4の二点鎖線で示す長方形は後に切り抜かれるカード40を示す。
【0055】
図4(a)のように、ズレ量Dが大きい場合、つまり、ズレ量Dが所定の第1ズレ範囲±Δ1を超える場合は、
図3の制御装置5は駆動量としてT2を読み出し、ズレている方向とは逆の方向にダンサロール81(82)をT2(例えば2mm)だけ移動させる。これにより、前記大きなズレが大きく是正される。このような制御は、運転状態が安定するまでの間続くであろう。
【0056】
図4(b)のように、ズレ量Dが小さい場合、つまりズレ量Dが所定の許容範囲±Δを超え、かつ、第1ズレ範囲±Δ1以内である場合は、
図3の制御装置5は駆動量としてT1を読み出し、ズレている方向とは逆の方向にダンサロール81(82)をT1(例えば1mm)だけ移動させる。これにより、前記ズレが若干是正される。
【0057】
図4(c)のように、ズレ量Dが極めて小さい場合、つまり、ズレ量Dが所定の許容範囲±Δ以内である場合は、
図3の制御装置5は駆動量としてTを読み出し、前回のズレ制御によりダンサロール81(82)を移動した方向とは逆の方向に極く極く小量だけ移動させる。これにより、ダンサロール81(82)をホームポジションに近づけることができるであろう。
【0058】
つぎに、
図2の各シート1~3からカード40が生成されるまでの方法を詳しく説明する。
【0059】
図3に示すように、ニップロール63には、位置合わせの基準となる基準シート3と、所定の図柄が繰り返し印刷された第1連続シート1が供給される。前記ニップロール63は第1連続シート1を前記基準シート3に積層して積層シート4を生成する。
【0060】
積層前の工程において、制御装置5がセンサS0からの信号で単列インレイ3Bに記されたレジマークR0(
図4)の判別を行うことでレジマークの存在を検出する。一方、積層後の工程において、制御装置5はセンサS1からの信号で積層シート4の第1連続シート1に記された図柄、つまりレジマークR1(
図4)の判別を行うことでレジマークの存在を検出する。
【0061】
制御装置5は前記レジマークの数が所定の一周期に達したか否かを判別する。判別されたレジマークの数が前記一周期に相当する所定のn個よりも少ない場合は調整工程を実行せず、マークの数が所定のn個となる度に調整工程を行う。つまり、一周期ごとに、制御装置5は前記検出の結果に応じて、
図4の第1連続シート1(第2連続シート2)の供給速度を制御して、第1連続シート1(第2連続シート2)のレジマークR1が前記基準シート3のレジマークR0に対し所定の位置となるように調整する第1(第2)調整工程を実行する。
【0062】
前記検出の結果、
図4(a)のように、第1または第2連続シート1,2の前記基準シート3(
図3)に対する位置ズレの量が第1ズレ範囲±Δ1を超える場合、
図3の制御装置5は位置ズレが小さくなる方向にダンサロール81(82)を第1の一定量T1よりも大きい量T2だけ移動させて、第1または第2連続シート1,2の供給量を変化させ、第1または第2調整工程を実行する。
【0063】
例えば、
図4(a)のように、インレイ30のレジマークR0に対し、第1連続シート1(第2連続シート2)のレジマークR1(R2)が搬送方向の下流X1に大きく(第1範囲±Δ1よりも大きく)位置ズレしている場合、
図3の制御装置5はダンサロール81(82)を下流X1とは反対の上流に向かって例えば2mm(一定量)移動させる。
【0064】
つまり、第1または第2連続シート1,2を基準シート3に積層する前に第1または第2連続シート1,2が各々巻き付いたダンサロール81,82をアクチュエータ83で駆動して
図4(a)の前記ズレ量Dが小さくなる方向に第1または第2連続シート1,2を引っ張る。これにより、ズレ量Dが小さくなり、この制御を繰り返すことにより、やがて、ズレ量Dが第1範囲±Δ1(
図3)よりも小さくなるであろう。
【0065】
一方、前記検出の結果、
図4(b)のように、第1または第2連続シート1,2の基準シート3(
図3)に対する位置ズレの量が所定の許容範囲±Δを超え、かつ、第1ズレ範囲±Δ1より小さい場合、
図3の制御装置5は当該位置ズレが小さくなる方向にダンサロール81(82)を所定の第1の一定量T1だけ移動させて、第1または第2連続シート1,2の供給量を変化させて前記第1または第2調整工程を実行する。
【0066】
例えば、
図4(b)のように、インレイ30のレジマークR0に対し、第1連続シート1(第2連続シート2)のレジマークR1(R2)が搬送方向の下流X1に若干位置ズレしている場合、
図3の制御装置5はダンサロール81(82)を下流X1とは反対の上流に向かって例えば1mm(一定量)移動させる。
【0067】
これにより、前述と同様にズレ量Dが更に小さくなり、この制御を繰り返すことにより、やがて、ズレ量Dが許容範囲±Δよりも小さくなるであろう。
【0068】
また、前記検出の結果、
図4(c)のように、第1または第2連続シート1,2の基準シート3(
図3)に対する位置ズレが所定の許容範囲±Δ以内である場合は、調整工程で
図3のダンサロールを前回移動させた方向とは逆の方向に、ダンサロール81,82をアクチュエータ83で微少量Tだけ移動させる。
【0069】
例えば、
図4(c)のように、インレイ30のレジマークR0に対し、第1連続シート1(第2連続シート2)のレジマークR1(R2)が搬送方向に殆ど位置ズレしていない場合、制御装置5は
図3のダンサロール81(82)を前回移動させた(上流)方向とは逆の(下流)方向X1に向かって例えば微少量Tだけ(一定量)移動させる。
【0070】
この場合、シートの緩みなどにより、前記ズレ量Dは殆ど変化せずに、一方、この制御を繰り返すことにより、ダンサロール81(82)がホームポジションに近づいてホームポジションから大きく変位するのを防止できる。
【0071】
前記積層後、
図2のセンサS0,S1またはS2の検出信号に基づき、図柄の位置を判断し、図柄の位置に応じてトリムカッタ64の回転を制御して、カード40の生成時の切断位置が制御される。
【0072】
なお、
図4に示すインレイ30などにおいて、レジマークR0~R3は
図5(a)のようにカード40を切り抜く際にトリミングにより除去してもよい。
【0073】
ところで、
図4のインレイ30のレジマークR0の位置と第1連続シート1(第2連続シート2)のレジマークR1(R2)の位置とは、1つのカード40において互いに位相が異なる場合がある。この場合、当該位相の相違を予め制御装置5に入力して、前述のような位置の調整工程を実行する。
【0074】
また、
図2のように、前記センサS0とセンサS1,S2とは搬送方向Xに離れている。そのため、1つの特定のカード40に相当するレジマークを検出するタイミングはセンサS0とセンサS1,S2とで大きく異なる。したがって、ダンサロールの制御には、タイミングのズレを考慮する必要がある。
【0075】
なお、シートの位置調整は、各シートのテンションを制御することにより行ってもよい。
【0076】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、2枚のシートを貼り合わせて、カードが生成されてもよい。
また、生成されるカードは接触式のカードであってもよい。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明はキャッシュカードなどの種々のカードの製造方法に採用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1:第1連続シート 10:表面シート
2:第2連続シート 20:裏面シート
3:中間シート(基準シート) 3A:多列インレイ 3B:単列インレイ
3C:連続紙 30:インレイ 31:上質紙 32:アンテナ 33:貫通孔
4:積層シート 4T:トリミングシート 40:カード 41:接着層
5:制御装置(検出手段) 50:マーク判別 51:カウンタ 52:ズレ判別
53:駆動量 54:表示器 55:操作部
6A:第1カッター 6B:第2カッター 60:スリッタ 61:ガイダ
62:配置ドラム 63:ニップロール 64:トリムカッタ 65:ベルトコンベヤ
7A:第1アンビル 7B:第2アンビル 70,71,72:塗布機
8A:第1吸着コンベヤ 8B:第2吸着コンベヤ
81:第1ダンサロール 82:第2ダンサロール 83:アクチュエータ
100:印刷機
G:図柄 N:カード名
R0,R1,R2:レジマーク
S0,S1,S2:センサ(検出手段)
T:微少量 T1:第1の一定量 T2:第2の一定量
X:搬送方向 X1:下流 X2:上流
±Δ:許容範囲 ±Δ1:第1ズレ範囲