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特許7391088プラスチック廃材を液体燃料に触媒変換する方法
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  • 特許-プラスチック廃材を液体燃料に触媒変換する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】プラスチック廃材を液体燃料に触媒変換する方法
(51)【国際特許分類】
   C10G 1/10 20060101AFI20231127BHJP
   C08J 11/12 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
C10G1/10
C08J11/12 ZAB
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021510954
(86)(22)【出願日】2019-08-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 IB2019057228
(87)【国際公開番号】W WO2020044248
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-02-14
(31)【優先権主張番号】201821032224
(32)【優先日】2018-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】511269587
【氏名又は名称】リライアンス、インダストリーズ、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】RELIANCE INDUSTRIES LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100125184
【弁理士】
【氏名又は名称】二口 治
(74)【代理人】
【識別番号】100188488
【弁理士】
【氏名又は名称】原谷 英之
(72)【発明者】
【氏名】ダッグパティ、サティーシュ
(72)【発明者】
【氏名】タクール、サヤニ
(72)【発明者】
【氏名】マジ、サチシット
(72)【発明者】
【氏名】マンダル シュクマール
(72)【発明者】
【氏名】ダス アシット クマール
(72)【発明者】
【氏名】サプレ、アジット ヴィシュワナス
【審査官】澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/086348(WO,A1)
【文献】特開平04-065485(JP,A)
【文献】特開2015-131277(JP,A)
【文献】特開昭51-036287(JP,A)
【文献】特開2013-204024(JP,A)
【文献】特開2008-260832(JP,A)
【文献】特開2012-144609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10G 1/00-1/10
C08J 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック廃材の液体燃料への触媒変換法であって、以下の工程からなる:
i) プラスチック廃材と触媒を供給ホッパー (101)の中で混合して混合物を得る
ii) この混合物をロータリーキルン回転体(108)にねじ式供給装置(102)から投入する
iii) 混合物中のプラスチック廃材を温度範囲350 ~ 650 ℃、圧力範囲 0.0010 psi (6.9Pa)~ 0.030 psi (207Pa)で熱分解し、ガス流を得る
iv) このガス流に担体ガスを通してロータリーキルン回転体 (108)からパージする
v) パージしたガス流をサイクロンセパレータ(110)に投入し、ガス流から固形粒子を分離する
vi) サイクロンセパレータ(110)から取得したガス流を凝縮装置(112)で-5から-15 ℃の範囲で連続的に冷却し、凝縮された液体燃料を得る
vii) 凝縮液体燃料を液体回収タンク(113)で回収し
viii) 凝縮装置(112)から出る非凝縮性ガスは気液セパレータ(115)へ送られ、C1-C4炭化水素と液状留分で成る製品ガス (117)を取得する。

前記ガス流の連続冷却工程は、冷却液を使用し、
・第一段階で(112A)、ガス流を30~20 ℃まで冷却し、C 20 炭化水素より大きい成分を含む液体燃料に凝縮する
・第二段階で(112B)、ガス流を15~10 ℃まで冷却し、C 13 C 20 炭化水素を含む液体燃料に凝縮する
・第三段階(112C)で、ガス流を 5~0 ℃まで冷却し、C 7 ~C 12 炭化水素を含む液体燃料に凝縮し
・第四段階(112D)で、ガス流を-10~-15 ℃まで冷却し、C 5 ~C 6 炭化水素を含む液体燃料に凝縮する
四段階冷却とすることを特徴とするプラスチック廃材の液体燃料への触媒変換法。
【請求項2】
請求項1で請求される方法はさらに、プラスチック廃材を粉砕および/またはすりつぶし、触媒と攪拌し、所定粒径の粒子を得る。この所定粒径iは1~10 cmの範囲である。
【請求項3】
請求項1で請求される方法であって、ここに、プラスチック廃材を粉砕および/またはすりつぶし、触媒と攪拌プラスチック廃材は高密度と低密度ポリエチレン、鎖状低密度ポリエチレン、ポロプロピレン、ポリスチレン、PET、EPDMおよびこれらの混合物で成る一群の物質から選択する。
【請求項4】
請求項1で請求される方法であって、ここに、触媒は使用済みFCC (流動接触分解)触媒、Yゼオライト、ZSM-5ゼオライトで成る一群の物質から選択する。
【請求項5】
請求項1で請求される方法であって、ここに、投入材料対触媒の重量比は1: 0.1~1:3である。
【請求項6】
請求項1で請求される方法であって、ここに、担体ガスは窒素ガス、アルゴンガス、製品ガス (117)から選択する。
【請求項7】
請求項1で請求される方法であって、ここに、サイクロンセパレータで分離される固形粒子は残留触媒と炭化物粒子であって、この場合、固形粒子を生体炭化物ドラム(111)に回収する。
【請求項8】
請求項1で請求される方法であって、ここに、冷却液は水とエチレングリコールから選択する。
【請求項9】
請求項1で請求される方法であって、ここに、第一、第二段階で水を冷却液として使用する。
【請求項10】
請求項7で請求される方法であって、ここに、第三、第四段階でエチレングリコールを冷却液として使用する。
【請求項11】
請求項1で請求される方法であって、ここに、プロセスはさらにC1からC4炭化水素で成る製品ガス (117)を発電タービンシステム(120) に投入して発電する。
【請求項12】
請求項1か請求項7で請求される方法であって、ここに、残留触媒触媒再生装置 (116)で再生する。
【請求項13】
プラスチック廃材を液体燃料に変換するシステム(100)であって、システムは以下で構成する:
a.プラスチック廃材の供給ホッパー(101)
b.プラスチック廃材と触媒を ロータリーキルン反応炉 (108)に投入するねじ式供給装置(102)
c.プラスチック廃材の熱分解用ロータリーキルン反応炉 (108)
d.ロータリーキルン反応炉 (108) 内に設置し、キルン反応炉の開口領域におけるプラスチック廃材の熱分解を容易にし、製品蒸気を加速する円筒形のパイプ (109) であって、この円筒形のパイプ (109) は両端が閉じる構造をしている
e.ロータリーキルン反応炉 (108) のライニング全長に渡り設置され、触媒と溶融プラスチックの滞留時間を長くするためのらせん状邪魔板(106)
f.ロータリーキルン反応炉 (108)に負圧を発生させる誘導通風機(114)
g.残留触媒と炭化物の粒子をロータリーキルン反応炉 (108)で発生するガス流から分離し、ガス流を得るためのサイクロンセパレータ(110)
h.サイクロンセパレータ(110)で分離された固形粒子を回収するための生体炭化物ドラム(111)
i.ガス流の冷却用四段階方式凝縮装置(112)
j.凝縮された液体を凝縮装置(112)から回収する液体燃料回収タンクユニット(113)
k.非凝縮性気体を液状留分から分離するための気液セパレータ(115)。
【請求項14】
請求項13に請求するシステムはさらに、触媒再生装置 (116)を含む。
【請求項15】
請求項13に請求するシステムはさらに、発電タービンシステム(120)を含む。
【請求項16】
請求項13に請求するシステムであって、ここに、ロータリーキルン反応炉 (108) の傾斜角は1~10°である。
【請求項17】
請求項13に請求するシステムであって、ここに、ロータリーキルン反応炉 (108) の回転速度は0.2~20 rpmである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明はプラスチック廃材を液体燃料に触媒変換する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明技術の背景
下記の背景情報は本発明に関するものであって、必ずしも先行技術に関するものであるとは限らない。
プラスチック生産と使用の増大によりプラスチックは都市固形廃棄物から解消不能な要素になっており、大気汚染、水質汚染、土壌汚染により環境に悪影響を及ぼしている。焼却や埋め立てといった従来式廃棄物管理方法に対する厳格な今日の規制があるため、プラスチック処分の実現可能な経路を発見する必要がある。
プラスチックとは数百の炭化水素の単量体が架橋した重合体であり、適合する触媒の下であるいは触媒なしで、中度から高温と圧力条件の下でより小さい断片に分解される。これらの断片が再構成され、炭化水素留分に改質される。より軽い留分やガソリン、ディーゼル残留物、BTXおよびオレフィンその他の化学品等の貴重な化学物質/炭化水素で構成する留分へのプラスチックの分解は、化学的再利用あるいは熱分解と見なされる。
【0003】
プラスチック廃材の燃料/オレフィン//BTXへの変換のために低速熱分解、高速熱分解、閃光熱分解、熱式熱分解、触媒式熱分解、液状化、焙焼等の数種類の熱分解工程が開発されている。これらの工程は液体/気体の歩留まり向上という具体的な目標を実現するために触媒を利用する場合も利用しない場合もあり、炭化物の発生を削減し、エネルギー効率がよくなる。しかし、固定床または流動床あるいはCSTRによる触媒式熱分解の従来式工程には液状製品の品質や炭化物の発生量、操業の柔軟性、材料粒子の集積や粘着、合計費用等特定の課題が伴う。従来方式においては、ロータリーキルンでプラスチック廃材の熱式あるいは触媒式熱分解を行ってきたが、この方法によると比較的操業とメンテナンス費用がかさまない。しかしこれらの反応炉ユニットに関連する、ロータリーキルン反応炉の可動部品や固定部品からの漏れや癒着、ライニングへの付着、反応炉ライニングへの過剰な炭化物の発生、流動床反応炉内の非流動化、塊状材料の発生、流量妨害等望ましくない副産物や液体歩留まり低下につながるいくつか未解決の課題も存在する。
このためプラスチック、好ましくはプラスチック廃材を高品質の液体燃料に変換して、上記の限界を解決するための継続的かつ事業化可能な方法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明の目的
本発明の目的の一部は少なくとも1つの実施例を本明細書において取り上げることでじゅうぶんであるが、以下のものである。
本発明の目的は先行技術の持つ一つまたは複数の課題を改善するかまたは少なくとも有用な代替手段を提供することである。
本発明のさらにもう一つの目的はプラスチック廃材の高品質の液体燃料への歩留まりが向上した連続触媒変換方法を提供することである。
本発明のさらにもう一つの目的はプラスチック廃材の液体燃料への低温触媒変換法を提供することである。
本発明のさらにもう一つの目的は、塊状成分や反応炉ライニングへの未反応材料の付着、より重いタールの発生、より多くのコークス形成を防止し、より重い炭化水素あるいはタールの高品質液体製品への分留を可能にする、プラスチック廃材の高品質な液体燃料への連続的触媒変換法を提供することである。
本発明のその他の目的と優位性は本発明の範囲をこれに限定することは意図されていない以下の説明によってさらに明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の要約
本発明はプラスチック廃材を液体燃料に触媒変換する方法を提供する。この方法はプラスチック廃材と触媒を供給ホッパー (101)の中で混合して混合物を得ることから構成する。この混合物をロータリーキルン反応炉(108)にねじ式供給装置(102)で投入する。この混合物に含まれるプラスチック廃材は温度範囲350 ~ 650 ℃、圧力範囲 0.0010 psi ~ 0.030 psi で熱分解し、ガス流にする。このガス流に担体ガスを通してロータリーキルン回転体 (108)からパージする。パージしたガス流をサイクロンセパレータ(110)に投入し、ガス流から固形粒子を分離する。残留触媒と炭化物の粒子からなる固形粒子を生体炭化物ドラム(111)に回収する。サイクロンセパレータ(110)から取得したガス流を凝縮装置(112)で-5から-15 ℃の範囲で連続的に冷却し、液体燃料を得る。凝縮装置(112)から得られる非凝縮気体をさらに気液セパレータ(115)に投入し、C1からC4の炭化水素 (117) と液状留分で構成される製品ガスを得る。
【0006】
さらに、本発明はプラスチック廃材を液体燃料に変換するためのシステム(100)を提供する。このシステムの構成要素は、プラスチック廃材の供給ホッパー (101)、プラスチック廃材と触媒をロータリーキルン反応炉(108)に投入するねじ式供給装置(102)、プラスチック廃材の熱分解用ロータリーキルン反応炉(108)、キルン反応炉 (108)の開口領域(107)を所定温度にするために回収した排ガスを燃焼するロータリーキルン反応炉 (108) に外付けしたファーネス(105)、キルン反応炉(108)の開口領域(107)でプラスチック廃材の熱分解用に、ロータリーキルン反応炉 (108) の中心に配置した円筒形のパイプ (109) 、ここに、円筒形のパイプ (109) は両端が閉じている。さらに、ロータリーキルン反応炉(108) のライニング両端部に渡って取り付け、触媒と溶融プラスチックの滞留時間を長くするように構成したらせん状邪魔板(106)、ロータリーキルン反応炉 (108)内部に負圧を発生させる通風機(114)、ロータリーキルン反応炉 (108)内で発生するガス流から残留触媒と炭化物の粒子を分離するサイクロンセパレータ(110)、前記ガス流を凝縮して液体燃料を取得するための四段階式凝縮装置(112)、凝縮液体燃料を凝縮装置(112)から回収するための液体燃料回収タンクユニット(113)、非凝縮性気体を液状留分から分離するための気液セパレータ(115)である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
添付図面の簡単な説明:
本発明を付帯図面を用いて説明する。図面は以下の通りである:
【0008】
図1図1は高品質の液体燃料を生産するプラスチック廃材の触媒変換方法の概念図である。
【0009】
参照番号凡例
供給ホッパー:101
ねじ式供給装置:102
モータ:103
反応炉に取り付けた回転ホイール:104
ファーネス:105
らせん状邪魔板:106
反応炉開口空間:107
ロータリーキルン反応炉:108
円筒形のパイプ:109
サイクロンセパレータ:110
生体炭化物ドラム:111
四段階方式凝縮装置:112A-112D
液体燃料回収タンク:113A-113D
誘導通風機:114
気液セパレータ:115
触媒再生装置:116
製品ガス:117
排ガス:118
再生後の触媒:119
発電タービンシステム:120
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の詳細な説明
本発明の実施形態を付帯図面を参照しつつ以下に説明する。
ここに記載の実施形態をもってこの分野の技能者であれば本発明の範囲を完全かつ余すところなく把握することができる。個別コンポーネントに関連していくつもの詳細を記載して本発明の実施形態を完全に把握しうる。この分野の技能を有する者であれば実施形態に記載の明細をもって本発明の範囲を制限するものと解釈することはできないことは明白である。実施形態によっては周知の工程や周知の装置構造、周知の技法を詳細に説明していない。
【0011】
本発明において、記載されている用語は特定のの実施例を説明するためにのみ使用しており、その用語をもって本発明の範囲を限定するものととらえてはならない。本発明において使用する名詞は文脈上単数扱いとすべき場合を除き、複数の事物も同時に含むものとする。「から構成される」、「を含む」や「をもって構成する」「から成る」といった用語はそれ以外のものも含む可能性を含む遷移的語句であって、このため本明細書に記載する機能や特長、整数、手順、操作、要素、モジュール、ユニットあるいはコンポーネントの存在を規定するものであるが、それ以外の機能や整数、手順、操作、要素、コンポーネント、コンポーネントのグループの存在や追加を排除するものではない。本発明の方法と工程に開示されている特定の手順の順序は、説明あるいは図解されている性能が必ずしも必須の要素であるとは限らないものと解釈すべきものである。また、追加あるいは代替の手順も使用しうるものと把握すべきものである。
【0012】
第一、第二、第三等の用語は、一つの要素あるいはコンポーネント、地域、レイヤーあるいはセクションを他のコンポーネントや地域、レイヤーあるいはセクションと区別するためにのみ使用しうるものであるため、これらを本発明の範囲を制限するものと解釈することはできない。第一、第二、第三等の用語は、本発明において明確に示されていない限り、特定の順列あるいは順番を含意するものではない。
【0013】
これまで数年間でプラスチック消費量は指数的に急増してきた。プラスチック廃棄物管理規制は厳格になったためプラスチック処分の異なる経路開発が必要になった。従来方式においては、数種類の熱分解工程でプラスチック廃材を燃料/オレフィン/BTXに変換している。しかし、これらの従来式工程には液体製品の品質や炭化物発生量、反応炉内での塊状物発生といったような大きな課題が伴っている。
【0014】
したがって、本発明はプラスチック廃材の液体燃料への触媒変換方法を提供する。この方法の明細を以下で説明する。
最初に、プラスチック廃材と触媒を供給ホッパー (101)で混合して混合物を得る。この混合物をロータリーキルン回転体 (108)にねじ式供給装置(102)から投入する。この混合物に含まれるプラスチック廃材は温度範囲350 ~ 650 ℃、圧力範囲 0.0010 psi ~ 0.030 psi で熱分解し、ガス流にする。典型的に混合物に含まれるプラスチック廃材は350~450 ℃で熱分解される。
【0015】
代替手段としては、プラスチック廃材を粉砕またはすり潰して所定粒形のプラスチック粒子を取得する。典型的にこの所定粒径は1~10 cmとする。所定サイズの粒子を触媒と混ぜて混合物を得、これを温度範囲350~650 ℃、好ましくは 350~450 ℃で熱分解する。
次にこのガス流を窒素ガス、アルゴンガスあるいは回収した製品ガス (117)から選択する担体ガスでロータリーキルン回転体 (108)からパージする。パージされたガス流をサイクロンセパレータ(110)に導入し、ガス流から固形粒子を除去する。固形粒子をセパレータ底に設置した生体炭化物ドラム(111)の中で回収する。典型的に、固形粒子は残留触媒と炭化物粒子から成る。
サイクロンセパレータ(110)から得られる固形粒子が除去されたガス流を凝縮装置(112)で-5 ~ -15 ℃の範囲まで順次冷却し、液体燃料を得る。
【0016】
典型的にガス流の順次冷却工程とは水とエチレングリコールから選択する冷却液を使ったガス流んお四段階冷却である。
第一段階(112A)で、水を利用してガス流を冷却し、 >C20炭化水素を成分とする第一の液状留分を取得し、第一の液体回収タンク(113A)に回収する。第二段階(112B)でこのガス流を水で10 ℃まで冷却し、C13~C20炭化水素を成分とする第二の液状留分を得て、これを第二の液体回収タンク(113B)に回収する。第三段階(112C)でこのガス流をエチレングリコールで0 ℃に冷却し、C7~C12炭化水素から成る第三の液状留分を取得し、これを第三の液体回収タンク(113C)に回収する。第四段階(112D)ではこのガス流をエチレングリコールで-10 ℃まで冷却し、C5~C6炭化水素を成分とする第四の液状留分を取得し、これを第四の液体回収タンク(113D)に回収する。
【0017】
凝縮装置(112)から出る非凝縮性気体は気液セパレータ(115)へ送られ、C1-C4炭化水素と液状留分で成る製品ガス (117)を取得する。
プラスチック廃材は高密度と低密度ポリエチレン、鎖状低密度ポリエチレン、ポロプロピレン、ポリスチレン、PET、EPDMおよびこれらの混合物で成る一群の物質から選択する。
触媒は使用済みFCC (流動接触分解)触媒、Yゼオライト、ZSM-5ゼオライトで成る一群の物質から選択する。本発明に基づき、低酸度触媒でプラスチック廃材を変換するが、これは低酸度触媒の場合は過度の分解を阻止し、乾燥ガスの生成を最小限にできるためである。
投入廃材と触媒の重量比は1: 0.1ないし1: 3、好ましくは 1: 0.15から1:1.5である。
【0018】
本発明の一実施形態に従い、C1-C4炭化水素なら成る気液セパレータ(115)から取得した製品ガス (117)を発電タービンシステムへ供給する。この製品ガスを燃焼して発電する。
本発明のさらに一つの実施形態に従い、C1~C4炭化水素で成る気液セパレータ(115)から取得される製品ガス (117)を担体ガスとして、ガス流をロータリーキルン反応炉 (108)からパージする。
本発明のさらに一つの実施形態に従い、製品ガス (117)を使用して触媒再生装置 (116)で残留触媒を再生する。
【0019】
本発明はプラスチック廃材の液体燃料への触媒変換システムも提供する。
プラスチック廃材は、高密度および低密度のポリエチレン、ポロプロピレン、EPDMや同類物質、これらの任意の組み合わせをを含み、供給ホッパー (101)で回収する。代替手段としては、プラスチック廃材を粉砕するかすり潰して粒径範囲1~10 cmの粒子を取得する。
プラスチック廃材を使用済みFCC 触媒、Yゼオライト、ZSM-5から選択する低酸度触媒と混合して混合物を得る。この混合物はねじ式供給装置(102)によりロータリーキルン反応炉(108)に投入される。
ロータリーキルン反応炉 (108)の中で混合物中の粒子は熱分解されてガス流を発生する。
【0020】
本発明の実施形態に従い、供給システム(101 と 102)は固定部だが、キルン反応炉 (108)は0.5から 10 rpmで回る回転体である。さらに、ロータリーキルン反応炉の傾斜角度は1 °から 10 °の間で異なる。
固定部と可動部は不活性ブランケットあるいはダブルロックシールシステムによって接続され、この際、連続的に不活性の(典型的に、N2)ガスでパージされており、キルン反応炉に空気は侵入しない。
ロータリーキルン反応炉(108)は外部からファーネス(105) で加熱され、キルン反応炉内部の温度を350 ℃ から650 ℃、好ましくは 350 ℃ から450 ℃に維持する。 典型的に、ロータリーキルン反応炉 (108)の傾斜角は1~10 °であって、回転速度は0.2から20 rpmの間である。
キルン反応炉 (108)内に発生したガス流はサイクロンセパレータ(110)を通り、残留触媒と炭化物粒子から成る固形粒子を分離する。
【0021】
生体炭化物ドラム(111)内のサイクロンセパレータの底で回収される残留触媒と炭化物の粒子はさらに別個のロックホッパー炭化物排出システムに入る(図示されていない)。炭化物の粒子が触媒の再生のためにボイラーへ送られ、ボイラーで炭化物は空気により燃焼されて熱を発生する。さらに、炭化物の燃焼中に発せいする排ガス(118)は発電タービンシステム(120)での発電に消費されるか反応炉を加熱するために使用される。
サイクロンセパレータ(110)から出るガス流は四段階冷却システム(112A-112D)で構成される四段階凝縮システム(112)を通る。
【0022】
第一段階(112A)で、水を利用してガス流を冷却し、 >C20炭化水素を成分とする第一の液状留分を取得し、第一の液体回収タンク(113A)に回収する。第二段階(112B)でこのガス流を水で10 ℃まで冷却し、C13~C20炭化水素を成分とする第二の液状留分を得て、これを第二の液体回収タンク(113B)に回収する。第三段階(112C)でこのガス流をエチレングリコールで0 ℃に冷却し、C7~C12炭化水素から成る第三の液状留分を取得し、これを第三の液体回収タンク(113C)に回収する。第四段階(112D)ではこのガス流をエチレングリコールで-10 ℃まで冷却し、C5~C6炭化水素を成分とする第四の液状留分を取得し、これを第四の液体回収タンク(113D)に回収する。
凝縮装置(112)から出る非凝縮性気体 (C1~C4)で組成される製品ガス (117)は気液セパレータ(115)の中で液状留分から分離される。
分離された製品ガス(117)は発電タービンシステム(120) から選択される少なくとも一基のユニットへ送られ、発電に使用され、ロータリーキルン反応炉 (108)ではガス流をパージし、触媒再生装置 (116)では残留触媒の再生に使用される。
【0023】
本発明に基づき、キルン反応炉は負圧下で運転される。内蔵されている誘導通風機 (114)で反応炉内圧をユニットの下流部分ですなわち、気体留分冷却部分の後で圧力範囲0.0010~0.030 psiに維持する。
本発明に基づき、円筒形のパイプ (109)をキルン反応炉 (108)内に固定し、蒸気の滞留時間を最小限にする。この配置によりさらに、製品炭化水素蒸気が反応炉内に望ましくない生成物に転化されるような過剰な熱分解を最小限にできる。さらに、液体燃料の歩留まりを最大化しやすくでき、反応炉内のガスと炭化物の発生を最小限にするために役立つ。ガス流と固形材料(投入材料/触媒/炭化物等)はキルン反応炉 (108)とダミー円筒パイプ (109)間の環状空間を流れる。
さらに、らせん状邪魔板(106)はロータリーキルン反応炉 (108)のライニング全長を覆うように取り付けられている。内部らせん状邪魔板(106)は溶融プラスチックと触媒の変換をさらに改善する。
【0024】
さらにこのシステムは触媒再生装置 (116)と発電タービンシステム(120)から構成される。
本発明はプラスチック廃材を高い歩留まりで高品質の液体燃料に変換する省エネ触媒方式を提供する。本発明によるこの方法では処理のために外部からのエネルギー投入が不要である。この工程で発生する非凝縮ガスを使用してエネルギーを供給できるため、この方法は自給型で経済的になる。
【0025】
実施形態に関する前記の説明は解説のために行ったものであって、本発明の範囲をこの説明の範囲のみに限定することを意図していない。 特定の実施例の個々のコンポーネントは概してその特定の実施形態に限定されるものではなく、相互に入れ替え可能である。 こうした亜種を本発明とは異なるものと見なすことはできず、全てのこのような亜種は本発明の範囲に含むものと見なされる。
本発明を以下の限定されることのない実施形態によってさら説明する。但し、以下の例は説明のためにのみ既述されており、本発明の範囲を限定するものとは解釈されてはならない。以下の実験は大規模化して工業/商業スケールにでき、得られる結果は工業スケールまで外挿することができる。
【実施例
【0026】
実験内容
例1:試料の調製
プラスチック廃材 (市場調達可能な混合プラスチック廃材)の粒径範囲0.5 cm~5 cmの試料を調達した。投入材料試料の元素分析を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
例 2-5:本発明によるプラスチック廃材の高品質液体燃料への触媒変換
一般的手順:
実験スケール反応炉において一組の実験を行い、提案されている触媒すなわち、本発明に従い.精製所の使用済みFCC 触媒 (E-Cat)の触媒活性を確認した。
プラスチック廃材の触媒変換に関する実験を縦型の筒状反応炉 (内径1インチ、長さ10インチ)から成る実験スケール固定床反応炉を電気炉で加熱して実施した。最初に反応炉に例1のプラスチック廃材とFCC使用済み触媒の所定量を投入する。触媒対プラスチック廃材の比率を0.1~5の範囲にした。ファーネスを最大750 ℃まで加熱した。次に、反応炉全体をファーネスの中に急激投入し、少なくとも100 ℃/分でのより高温の加熱率を実現してプラスチック廃材の熱分解を促した。
【0029】
反応条件には典型的に350~650 ℃の範囲の所定温度、大気圧、数秒間の蒸気滞留時間を含む。窒素の流量を60 ml/minとしてガス流を反応炉からパージした。クーラント(エチレングリコール)を使って冷却液タンクの温度を-10~-15 ℃に調整し、蒸気を気液セパレータ内で濃縮し、有機液体を気液セパレータの底に設置したバケツに回収した。非濃縮化ガスはさらにサイフォンシステムへ送られ(水置換法)、そこで置換された水を別のタンクに回収した。
実験(20分)終了後にガスを一括して回収し、ガスクロマトグラフィーで分析した。液状製品の歩留まりを反応前後における気液セパレータの合計重量差を用いて計算した。
実験終了後、炭化物変換量をC-S (炭素硫黄)アナライザーで残留固形物を測定して取得した。液体の品質をSIMDISTアナライザーで分析した。
【0030】
実験条件:
例2は使用済みFCC 触媒の下で400 ℃以上で同じ実験手順を用いて実行した。
例3は使用済みFCC 触媒の下で500 ℃以上で同じ実験手順を用いて実行した。
対照例4は触媒無しで400 ℃以上で同じ実験手順を用いて実行した。
対照例5は触媒無しで500 ℃以上で同じ実験手順を用いて実行した。
例2~5の結果を表2にまとめた。
【0031】
【表2】
【0032】
表2から明らかなように、触媒下プラスチック廃材の触媒変換では無触媒の熱変換より液体燃料の歩留まりが高く、炭化物の発生量が少ない。このプロセスに使用した使用済みFCC 触媒の特徴は小さい孔、表面積、表面で金属とコークスの堆積による弱酸と強酸の活性が低いことである。低い活性により炭化水素蒸気の二次触媒分解を削減できた。さらに、プラスチック廃材触媒変換から得られた液体製品はガソリン濃度がより高かった。
【0033】
例6~10: 反応炉温度のプラスチック廃材変換への効果
例6~10は、温度を350~550 ℃で変化させることによるほか上記と同じ実験手順で行った。
例6~10の結果を下表3にまとめた。
【0034】
【表3】
【0035】
表3から明らかなように、温度上昇にともないプラスチック廃材変換率が高まり、未変換材料の発生は減った。歩留まり格差は投入材料が熱分解される温度の繁栄である。低温変換は触媒対投入材料比を増やすことで高めることができ、これによりさらに蒸気の過剰な触媒分解によりガスの歩留まりが高くなった。より高温では、ガス歩留まりは炭化水素蒸気の第二熱・触媒分解により増加した。 液体製品のガソリン成分は、温度が高くなるにつれ、液体製品に含まれるより重質の留分の過剰熱分解により増加することも注目に値する。
【0036】
例11~16: 触媒対投入材料比のプラスチック廃材変換への効果
例11~16は、触媒対投入材料比を0から4に変えることによるほか上記と同じ実験手順で行った。
例11~16の結果を下表4にまとめた。
【0037】
【表4】
【0038】
表4から明らかなように、液体の歩留まりを最大化するための最適な触媒対投入材料比は0.2~1.0である。ガス歩留まりは過剰に触媒が存在するとき触媒対投入材料比の増加にともない、>C5 炭化水素留分の過剰分解加速により増加する。
【0039】
例17~21:触媒の再利用性
触媒の再利用性は表5に示すように、450 ℃の定温、プラスチック廃材混合物の触媒対投入材料比 = 0.2に一定として、固定床反応炉で実験を行い検証した。
実験後、回収された触媒を再生し、同じ操業条件で新たな投入材料による次回の実験に流用した。このプロセスを数回反復して、触媒活性の損失度に基づいて製品歩留まりの品質を確認した。プラスチック廃材の変換に必要な触媒の活性部位はあまり損失されなかった。
【0040】
【表5】
【0041】
例22~33: 傾斜角、キルンの反応炉回転速度、円筒形のパイプ、らせん状邪魔板の追加による滞留時間への効果
最初にABS 投入材料のペレットと触媒を使って RTD (追跡子学) を実施して、傾斜角(度)とキルン反応炉の回転速度を最適化した。 表6に、一定の反応炉回転速度1.5 rpmにおける最適な傾斜角 (度)を見つけるため、所与の投入材料 (ABS 投入廃材ペレット)と触媒 (触媒 / 投入材料 = 0.2)での、一定回転速度における傾斜角に対する固形物の滞留時間の変動を示す。
【0042】
【表6】
【0043】
【表7】
【0044】
表6と表7から明らかなように、模擬試験のために選んだ反応炉の最適な傾斜角と回転数は、1.2°、1.5 rpmであった。
反応炉の両端から溶接した閉鎖型円筒形のパイプによる実施形態の追加による蒸気滞留時間の削減に及ぼす効果とキルンライニング全長に及ぶらせん状邪魔板の追加が溶融重合体の滞留時間に及ぼす効果ついても検討した。表8では円筒形のパイプとらせん状邪魔板の追加による効果を検討した結果を示す。
【0045】
【表8】
【0046】
実験(33-36)で観察されたことは、ロータリーキルン内部での滞留時間によるプラスチック廃材変換率への効果は、より多くのガスの発生および炭化物と混合された大量の集積した未反応投入材料からなる塊状物質の発生である。過剰二次分解はキルン反応炉の入り口と出口に接続し、キルンといっしょに回転する構成にした、両端を閉鎖した円筒形の実施形態(直径20 cm、長さ230 cm)を利用して反応炉の間隙を削減することで最小限にした。一体の閉鎖型シリンダーがキルンからのパージ用蒸気を加速し、滞留時間は当初値のほぼ半分に短くなった(すなわち、反応炉原形の場合)。
【0047】
キルンのライニングにらせん状邪魔板を追加した場合、触媒と溶融重合体の軸方向混合が促されたため、固形物滞留時間が延び、投入材料の変換率が改善された。滞留時間の低下と固形物滞留時間の延長に最適な触媒対投入材料比と温度、反応炉の回転速度、傾斜角を組み合わせた結果、ガソリン留分が最大限に多く含まれる多くの液体歩留まりを得た。
【0048】
例37~41:異なるプラスチック廃材投入材料の10kg/時のフィード速度での上記で説明した最適条件での触媒変換の効果を示す。
異なる廃材投入材料と使用済みFCC 触媒の比C/F =0.2での所望の反応温度における変換による反応炉ライニングに追加した邪魔板の存在下ででの開口領域室内での反応への効果を見るため、一組の実験を実施した。投入材料の投入率を3時間にわたり10 kg/時とした結果を示す。五種類のプラスチック廃材投入材料はアクリロニトリルブタジエンスチレン (ABS)玩具と家庭用品の廃材ペレット、パイプおよび家庭用品の高密度ポリエチレン (HDPE)廃材ペレット、鎖状低密度ポリエチレン(PE)fフィルム製のポリ袋廃材と牛乳パウチの混合物廃材、ポリプロピレン(PP) ストロー廃材、ポリスチレン (PS)製電気電子製品プラスチック廃材であり、試料を使用いて目標温度における触媒変換率を測定した。
【0049】
傾斜角を1.2°とし、キルンの反応炉を実験中1.5 rpmの定速とした。反応炉内の温度を目標反応温度に一貫して維持した。反応炉圧力を水圧系で測定し、実験を一貫して2 mmの水柱に維持した。
投入材料率を3時間にわたって一定の10 kg/時とし、使用済みFCC 触媒(E-Cat)対触媒対投入材料比を0.2とした。五種類のプラスチック廃材投入材料はアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)の廃材ペレット、高密度ポリエチレン (HDPE)廃材ペレット、鎖状低密度ポリエチレン (PE) フィルムのポリ袋グレード廃材と牛乳パウチのごみ混合物、ポリプロピレン(PP)ストローのごみ、ポリスチレン (PS)製電気電子プラスチック廃材であり、これらの試料を用いて異なる温度での触媒変換率を研究した。
【0050】
例37~41の結果を下表9にまとめた。
【0051】
【表9】
【0052】
表9から明らかなように、本発明のプロセスは異なる種類のプラスチックを高品質液体燃料に変換する。温度は実験室研究において得られた最高度の液体製品歩留まりに基づいて最適化した。液体歩留まりはLLDPEとLDPEフィルムの混合物からなるプラスチック廃材が最も低く、その他の廃材ではほぼ等しい歩留まりを得た。LLDPEとLDPEフィルムの廃材混合物については、ガス歩留まりは最低で、炭化物歩留まりは最大であったが、これは製品の分布に影響する漂白強度と重合体架橋の低下によるものであった。歩留まりの差異は、温度、投入材料の仕様、投入材料を熱分解するために使用した触媒の性質を反映する。
【0053】
例42~46:触媒負荷無しでの異なる種類のプラスチック廃材試料のロータリーキルンの開口部室での効果を実験26から30で研究した。
【0054】
【表10】
【0055】
熱変換実験42~46では、反応炉ライニングに炭化物と混ざり合った未到達の投入材料のかなりの量の塊状物質と粘性材料の形成が観察された。触媒変換実験(37~41)においてこうした操業上の問題は観察されなかった。キルン開口部室内部での未変換重合体と粘性材料の遊離した堆積。
【0056】
技術進歩
上記に説明された本発明は限定することなく以下の特徴を持つプラスチック廃材の液体燃料への触媒変換プロセスの実現を含むいくつかの技術的優位性がある:
・相当低温で処理可能であり、エネルギー原単位の低いプロセスを実現する
・簡素、経済的
・ガソリン成分が多い高い液体歩留まり。
【0057】
本発明の実施例ならびに様々な特長および優位性の詳細を限定することのない実施例を参照することによって以下に説明する。確立している既存のコンポーネントならびに処理技術についての説明は省略し、本発明の実施例についての理解を不要に困難にしないようにした。本発明に使用されている例は単に本発明の実施例を実用化可能にする方法の理解を容易にし、この分野の技能を持つ者が本発明の実施例を実施することを可能にすることのみを目的としている。従って、例によって本発明の実施例の範囲を限定するものと解釈されてはならない。
【0058】
前記の具体的実施形態に関する記述は、本発明の実施形態が持つ一般的性質をじゅうぶんに明らかにしているので、現状の知識を適用することにより、前記の一般的概念から乖離することなく前記の具体的実施形態を異なる用途のために変更および/または適合することができ、従って、適合/変更は本発明の実施形態と同等の物としての意味、およびその範囲で、理解されることが意図されるべきであり、意図されている。本明細書に使用されている句節の用法や用語は説明目的のためであって限定するために使用されてはいない。従って、本明細書に記載された実施例は優先的実施例に基いて説明されていると同時に、同分野の技能を有する者は本明細書に記載された実施例が本明細書で説明された実施例の意図および範囲で変更しても実践可能であることが認められる。
【0059】
「少なくとも」または「少なくとも1つの」という表現の使用は、1つまたは複数の目的物質または結果を得るために本発明の実施例において使用される場合があることに従い、1つまたは複数の要素または成分または数量の使用を示唆している。
本明細書に含まれている文書、行為、素材、デバイス、商品または同類のものについての議論は本発明開示のための文脈を成す目的のためにのみ含まれている。任意のまたはすべての以上の事項が既知の発明技術の基礎の一部を構成するまたは本出願優先日以前に任意の場所に存在していた本発明関連分野における共有されている一般的知識であるという是認と解釈されてはならない。
【0060】
異なる物理的パラメータ、変数、寸法や数量を表す数値は概数であって、パラメータ、変数、寸法や数量に代入された数値より高い/低い値は本発明の範囲に含まれることが意図されている。但し、明細書に異なる記載がなされている場合はこの限りではない。
優先実施形態の異なる構成要素及び構成要素の部分を相当強調してきたが、多くの実施形態が可能であって、発明の原理から乖離することなく優先実施形態には多くの変更も可能である。本発明または優先実施形態ならびにその他の実施形態の特質を修正できることは本発明分野の専門的技能を有する者には明らかであって、この際、以上の説明的事項が単に本発明を説明するためのものであり、限定的なものとして解釈されてはならないことを明確に理解する必要がある。
図1