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特許7391098マルチコートポリマーフォトニック結晶フィルム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】マルチコートポリマーフォトニック結晶フィルム
(51)【国際特許分類】
   G02B 1/02 20060101AFI20231127BHJP
   G02B 1/04 20060101ALI20231127BHJP
   C08G 61/08 20060101ALI20231127BHJP
   C09D 153/00 20060101ALI20231127BHJP
   C09D 7/41 20180101ALI20231127BHJP
   C09D 145/00 20060101ALI20231127BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20231127BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20231127BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
G02B1/02
G02B1/04
C08G61/08
C09D153/00
C09D7/41
C09D145/00
C09D201/00
B32B27/00 A
B32B27/20 A
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021544636
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(86)【国際出願番号】 US2020015928
(87)【国際公開番号】W WO2020160299
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-12-14
(31)【優先権主張番号】62/799,945
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501001186
【氏名又は名称】コロラド・ステート・ユニバーシティ・リサーチ・ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピアーソン、ライアン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ライアン、マシュー デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ミヤケ、ギャレット
【審査官】酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0067393(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0324666(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0068669(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0258230(US,A1)
【文献】国際公開第2012/124693(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 1/02
G02B 1/04
C08G 61/08
C09D 153/00
C09D 7/41
C09D 145/00
C09D 201/00
B32B 27/00
B32B 27/20
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層コーティングであって、
a)顔料および式IAまたは式IBのブラシブロックコポリマー(BBCP)を含むフォトニック結晶フィルムの第1の層であって、
【化1】

式中、
が、-(C-C)アルキル-OC(=O)Gであり、Gが、ポリアクリレート、ポリメタクリレートまたはポリ乳酸を含み、
が、-(C-C)アルキル-G-Gであり、Gが、-C(=O)O-または窒素複素環であり、Gが、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル、ポリメタクリレート、またはポリ乳酸を含み、
が、非分岐アルキルであり、
が、分岐アルキルであり、
およびGが、それぞれ独立してCHまたはC=Oであり、
各Jが、独立してCHまたはC=Oであり、
各Qが、独立して、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
aおよびbが、それぞれ独立して0~1000であり、および
xおよびyが、それぞれ独立して1~1000であり、
ブロックのa、b、xおよびyが、任意の順序であり、x:aの比が、1:0~1:3であり、y:bの比が、1:0~1:3である、第1の層と、
b)トップコートが光学接着剤または紫外線硬化性樹脂である、トップコートを含む第2の層とを含み、
前記第1の層および第2の層が、多層フィルムを形成し、前記多層コーティングが、1つ以上の多層フィルムを含む、多層コーティング。
【請求項2】
前記顔料が、酸性染料、塩基性染料、アゾ染料、アクリジン染料、リレン染料、硫黄染料、pH指示薬、食品染料、蛍光増白剤、アントラキノン染料、アリールメタン染料、トリアリールメタン染料、フタロシアニン染料、キノン-イミン染料、アジン染料、インドフェノール染料、オキサジン染料、オキサゾン染料、チアジン染料、チアゾール染料、サフラニン染料、キサンテン染料、ペリレンジイミド染料、ローダミン染料、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の多層コーティング。
【請求項3】
aおよびbが、それぞれ独立して1~300である、請求項1に記載の多層コーティング。
【請求項4】
xおよびyが、それぞれ独立して1~300である、請求項1に記載の多層コーティング。
【請求項5】
x:aの比が、1:0.5~1:1である、請求項1に記載の多層コーティング。
【請求項6】
y:bの比が、1:0.5~1:1である、請求項1に記載の多層コーティング。
【請求項7】
BBCPが、500kDa~3000kDaの数平均分子量を有する、請求項1に記載の多層コーティング。
【請求項8】
BBCPの重量パーセントが、50%~99.9%であり、前記顔料の重量パーセントが0.1%~10%である、請求項1に記載の多層コーティング。
【請求項9】
前記フォトニック結晶フィルムが、金属酸化物、線状ポリマー添加剤、またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の多層コーティング。
【請求項10】
前記フォトニック結晶フィルムが、二酸化ジルコニウムナノ結晶をさらに含む、請求項1に記載の多層コーティング。
【請求項11】
式IのBBCPが、式ICまたは式IIのBBCPであり、
【化2】

式中、
およびRが、それぞれ独立してHまたは非分岐もしくは分岐-(C-C)アルキルであり、
mおよびnが、それぞれ独立して1~100である、請求項1に記載の多層コーティング。
【請求項12】
mおよびnが、それぞれ独立して10~50である、請求項11に記載の多層コーティング。
【請求項13】
基板のヘイズを低減するための方法であって、基板を請求項1に記載の多層コーティングでコーティングすることを含み、前記多層コーティングが、
a)フォトニック結晶フィルムおよび顔料の第1の層と
b)トップコートを含む第2の層であって、前記トップコートが光学接着剤または紫外線硬化性樹脂である、第2の層とを含み、
前記第1の層が、前記基板の反射率、吸光度および透過プロファイルを変調し、対応する非コーティング基板よりも少なくとも5%多い電磁放射線が前記コーティング基板によって反射され、前記第2の層が、前記対応する非コーティング基板と比較して、前記反射された電磁放射線のヘイズを少なくとも5%低減させる、方法。
【請求項14】
前記フォトニック結晶フィルムが、0.33~0.67の光学厚さf比を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記基板の前記反射率、吸光度および透過率プロファイルが、280ナノメートル~400ナノメートルの波長の反射電磁放射線を含み、または
前記基板の前記反射率、吸光度および透過率プロファイルが、400ナノメートル~700ナノメートルの波長の反射電磁放射線を含み、または
前記基板の前記反射率、吸光度および透過率プロファイルが、700ナノメートル~1600ナノメートルの波長の反射電磁放射線を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
多層コーティングを形成するための方法であって、
a)溶媒、顔料、およびブラシブロックコポリマー(BBCP)を組み合わせて混合物を形成することであって、
BBCPが、式ICのBBCPであり、
【化3】

式中、
が、-(C-C)アルキル-OC(=O)Gであり、Gが、ポリアクリレート、ポリメタクリレートまたはポリ乳酸を含み、
が、-(C-C)アルキル-G-Gであり、Gが、-C(=O)O-または窒素複素環であり、Gが、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル、ポリメタクリレート、またはポリ乳酸を含み、
が、非分岐アルキルであり、
が、分岐アルキルであり、
aおよびbが、それぞれ独立して0~1000であり、
xおよびyが、それぞれ独立して1~1000であり、
x:aの比が、1:0~1:3であり、y:bの比が、1:0~1:3である、混合物を形成することと、
b)前記混合物の第1の層を基板に適用することと、
c)前記第1の層を乾燥させてフィルムを形成することと、
d)トップコートが、光学接着剤または紫外線硬化性樹脂である、前記トップコートを含む第2の層を前記フィルムに適用することと
を含む方法であって、
前記フィルムおよび第2の層が、前記基板上に前記多層コーティングを形成する、方法。
【請求項17】
前記顔料が、酸性染料、塩基性染料、アゾ染料、アクリジン染料、リレン染料、硫黄染料、pH指示薬、食品染料、蛍光増白剤、アントラキノン染料、アリールメタン染料、トリアリールメタン染料、フタロシアニン染料、キノン-イミン染料、アジン染料、インドフェノール染料、オキサジン染料、オキサゾン染料、チアジン染料、チアゾール染料、サフラニン染料、キサンテン染料、ペリレンジイミド染料、ローダミン染料、またはそれらの組み合わせである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記混合物が、顔料を0.1重量%~3重量%で含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
BBCPが、前記混合物中に2.5%~50%の重量パーセントを有する、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
BBCPが、500kDa~3000kDaの数平均分子量を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
段階a)が、金属酸化物、線状ポリマー添加剤、またはそれらの組み合わせを前記混合物に添加することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記混合物の層を基板に適用することが、前記基板への前記混合物のスプレー堆積、ドローダウンコーティング、スロットダイコーティング、スクリーン印刷、スプレー堆積、または塗料ブラシ/ローラーを含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、2019年2月1日に出願された米国仮特許出願第62/799,945号に基づく優先権を主張するものであり、この出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
政府支援
本発明は、エネルギー省によって授与された助成金番号DE-AR0000881およびDE-AE0001261の下で、政府の支援を受けてなされた。政府は、本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
フォトニック結晶(PC)は、反射される光の波長と同様の周期性を有する異なる誘電率の材料で構成された高次構造である。PCは、薄膜光学、レンズまたはミラー上の反射コーティング、および導波路に使用されている。PCは、リソグラフィ、原子層堆積またはエッチングなどのトップダウン手法によって作製することができる。最近では、コロイド結晶またはブロックコポリマーを用いた自己組織化機構によってボトムアップ手法が実現されている。トップダウン手法はアーキテクチャに対する精密な制御を提供するが、ボトムアップ手法は、同様の構造を達成し、高速プロトタイピングおよび様々な表面上での堆積を可能にする安価な手段を提供するという利点を提供する。
【0004】
最終用途に向けて、ボトムアップ戦略によってアクセスされる堅牢で透明なフォトニック結晶コーティングを有するという課題は依然として存続している。自己組織化により、特殊なアニーリングプロセスの有無にかかわらず、ナノスケール形態の不規則性および誤りが形成されることが一般的である。十分に大きなサイズのこれらの不規則性は、光散乱の現象ならびに不均一な表面特性をもたらす可能性がある。
【0005】
現在の技術水準は、多層押出薄膜(米国特許第6,208,466号および米国特許第6,696,142号)またはレイヤーバイレイヤー堆積金属酸化物ナノ粒子もしくは高分子電解質(Bioinspir.Biomim.2013,8,045005および米国特許出願公開第2014/0218792号)によって示される。これらの両手法は、潜在的な高材料コストに加えて、高度な製造機器/インフラストラクチャおよび技術に多大な投資を必要とする。開示材料に固有の反射特性は、容易にアクセス可能な条件下、すなわち周囲温度またはわずかに高い温度、大気圧および酸素の存在下で、急速に起こるBCPの自己組織化によってボトムアップ方法で確立される。自己組織化プロセスは、ナノインプリントまたは電子ビームリソグラフィ、およびレイヤーバイレイヤー堆積などの特殊な製造技術の必要性を回避する。コーティングに使用されるポリマー構成単位、ポリマー添加剤、および非ポリマー添加剤は安価であり、好ましい実施形態では、低い材料コストを維持しながら「コモディティ」材料であり得る。
【0006】
反射材料を調製するための現在の手法は、高度な製造機器および技術への多大な投資ならびに高い材料コストを必要とする。したがって、反射材料およびコーティングのより費用効果の高い調製を可能にする代替組成物が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、ブラシブロックコポリマー(BBCP)と、無機ファミリー、有機ファミリー、または2つのファミリーのいくつかの組み合わせのいずれかの添加剤とから構成される無機/有機複合材料の使用により、限定されるものではないが、反射率(%R)、最大反射(λmax)の波長(nm)、および反射ピークの半値全幅(FWHM)、および材料全体のヘイズ(%ヘイズ)などのフォトニック結晶材料の光学的特性の修正を可能にするという発見に関する。
【0008】
したがって、本開示は、
a)式IAまたは式IBの顔料およびブラシブロックコポリマー(BBCP)を含むフォトニック結晶フィルムの第1の層であって、
【化1】

式中、
が、-(C-C)アルキル-OC(=O)Gであり、Gが、ポリアクリレート、ポリメタクリレートまたはポリ乳酸を含み、
が、-(C-C)アルキル-G-Gであり、Gが、-C(=O)O-または窒素複素環であり、Gが、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル、ポリメタクリレート、またはポリ乳酸を含み、
が、非分岐アルキルであり、
が、分岐アルキルであり、
およびGが、それぞれ独立してCHまたはC=Oであり、
各Jが、独立してCHまたはC=Oであり、
各Qが、独立して、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
aおよびbが、それぞれ独立して0~約1000であり、
xおよびyが、それぞれ独立して1~約1000であり、
ブロックのa、b、xおよびyが、任意の順序であり、x:aの比が、1:0~約1:3であり、y:bの比が、1:0~約1:3である、第1の層と、
b)トップコートが光学接着剤または紫外線硬化性樹脂であるトップコートを含む第2の層とを含む多層コーティングを提供し、
第1の層および第2の層は、多層フィルムを形成し、多層コーティングは、1つ以上の多層フィルムを含む。
【0009】
本開示はまた、基板の電磁放射線反射率、吸光度および透過プロファイルを変調する方法であって、上記のフォトニック結晶フィルムによる多層コーティングで基板をコーティングすることを含む方法も提供し、フォトニック結晶フィルムの顔料は、基板の反射率、吸光度および透過プロファイルを変調し、対応する非コーティング基板よりも少なくとも5%多い電磁放射線は、コーティング基板によって反射される。
【0010】
また、本開示は、基板のヘイズを低減するための方法であって、基板を多層コーティングでコーティングすることを含む方法を提供し、多層コーティングは、
a)フォトニック結晶フィルムおよび顔料の第1の層と
b)トップコートを含む第2の層であって、トップコートが光学接着剤または紫外線硬化性樹脂である、第2の層とを含み、
第1の層は、基板の反射率、吸光度および透過プロファイルを変調し、対応する非コーティング基板よりも少なくとも5%多い電磁放射線が前記コーティング基板によって反射され、第2の層は、対応する非コーティング基板と比較して、反射された電磁放射線のヘイズを少なくとも5%低減させる。
【0011】
さらに、本開示は、多層コーティングを形成するための方法であって、
a)溶媒、顔料、およびブラシブロックコポリマー(BBCP)を組み合わせて混合物を形成することであって、BBCPが、式ICのBBCPであり、
【化2】

式中、
が、-(C-C)アルキル-OC(=O)Gであり、Gが、ポリアクリレート、ポリメタクリレートまたはポリ乳酸を含み、
が、-(C-C)アルキル-G-Gであり、Gが、-C(=O)O-または窒素複素環であり、Gが、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル、ポリメタクリレート、またはポリ乳酸を含み、
が、非分岐アルキルであり、
が、分岐アルキルであり、
aおよびbが、それぞれ独立して0~約1000であり、
xおよびyが、それぞれ独立して1~約1000であり、
x:aの比が、1:0~約1:3であり、y:bの比が、1:0~約1:3である、混合物を形成することと、
b)混合物の第1の層を基板に適用することと、
c)第1の層を乾燥させてフィルムを形成することと、
d)トップコートが、光学接着剤または紫外線硬化性樹脂である、トップコートを含む第2の層をフィルムに適用することと
を含む方法を提供し、
フィルムおよび第2の層は、基板上に多層コーティングを形成する。
【0012】
本発明は、本明細書に開示される式I~IIIを含む新規な組成物、式I~IIIのポリマーを合成するための中間体、ならびに式I~IIIのポリマーを含む組成物を調製する方法を提供する。本発明はまた、他の有用なポリマーを合成するための中間体として有用な式I~IIIのポリマーおよび組成物も提供する。本発明は、反射コーティングの製造のための式I~IIIのポリマーの使用を提供する。
また、他の記載と重複するが、本発明の諸態様を以下に示す。ただし、本発明は以下に限定されない。
[1]
多層コーティングであって、
a)式IAまたは式IBの顔料およびブラシブロックコポリマー(BBCP)を含むフォトニック結晶フィルムの第1の層であって、
[化1]

式中、
が、-(C -C )アルキル-OC(=O)G であり、G が、ポリアクリレート、ポリメタクリレートまたはポリ乳酸を含み、
が、-(C -C )アルキル-G -G であり、G が、-C(=O)O-または窒素複素環であり、G が、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル、ポリメタクリレート、またはポリ乳酸を含み、
が、非分岐アルキルであり、
が、分岐アルキルであり、
およびGが、それぞれ独立してCH またはC=Oであり、
各J が、独立してCH またはC=Oであり、
各Qが、独立して、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
aおよびbが、それぞれ独立して0~約1000であり、および
xおよびyが、それぞれ独立して1~約1000であり、
ブロックのa、b、xおよびyが、任意の順序であり、x:aの比が、1:0~約1:3であり、y:bの比が、1:0~約1:3である、第1の層と、
b)トップコートが光学接着剤または紫外線硬化性樹脂である、トップコートを含む第2の層とを含み、
前記第1の層および第2の層が、多層フィルムを形成し、前記多層コーティングが、1つ以上の多層フィルムを含む、多層コーティング。
[2]
前記顔料が、酸性染料、塩基性染料、アゾ染料、アクリジン染料、リレン染料、硫黄染料、pH指示薬、食品染料、蛍光増白剤、アントラキノン染料、アリールメタン染料、トリアリールメタン染料、フタロシアニン染料、キノン-イミン染料、アジン染料、インドフェノール染料、オキサジン染料、オキサゾン染料、チアジン染料、チアゾール染料、サフラニン染料、キサンテン染料、ペリレンジイミド染料、ローダミン染料、またはそれらの組み合わせである、[1]に記載の多層コーティング。
[3]
aおよびbが、それぞれ独立して1~約300である、[1]に記載の多層コーティング。
[4]
xおよびyが、それぞれ独立して1~約300である、[1]に記載の多層コーティング。
[5]
x:aの比が、約1:0.5~約1:1である、[1]に記載の多層コーティング。
[6]
y:bの比が、約1:0.5~約1:1である、[1]に記載の多層コーティング。
[7]
BBCPが、約500kDa~約3000kDaの数平均分子量を有する、[1]に記載の多層コーティング。
[8]
BBCPの重量パーセントが、約50%~約99.9%であり、前記顔料の重量パーセントが約0.1%~約10%である、[1]に記載の多層コーティング。
[9]
前記フォトニック結晶フィルムが、金属酸化物、線状ポリマー添加剤、またはそれらの組み合わせをさらに含む、[1]に記載の多層コーティング。
[10]
前記フォトニック結晶フィルムが、二酸化ジルコニウムナノ結晶をさらに含む、[1]に記載の多層コーティング。
[11]
式IのBBCPが、式ICまたは式IIのBBCPであり、
[化2]

式中、
およびR が、それぞれ独立してHまたは非分岐もしくは分岐-(C -C )アルキルであり、
mおよびnが、それぞれ独立して1~約100である、[1]に記載の多層コーティング。
[12]
mおよびnが、それぞれ独立して10~約50である、[11]に記載の多層コーティング。
[13]
基板のヘイズを低減するための方法であって、基板を多層コーティングでコーティングすることを含み、前記多層コーティングが、
a)フォトニック結晶フィルムおよび顔料の第1の層と
b)トップコートを含む第2の層であって、前記トップコートが光学接着剤または紫外線硬化性樹脂である、第2の層とを含み、
前記第1の層が、前記基板の反射率、吸光度および透過プロファイルを変調し、対応する非コーティング基板よりも少なくとも5%多い電磁放射線が前記コーティング基板によって反射され、前記第2の層が、前記対応する非コーティング基板と比較して、前記反射された電磁放射線のヘイズを少なくとも5%低減させる、方法。
[14]
前記フォトニック結晶フィルムが、約0.33~約0.67の光学厚さf比を有する、[13]に記載の方法。
[15]
前記基板の前記反射率、吸光度および透過率プロファイルが、約280ナノメートル~約400ナノメートルの波長の反射電磁放射線を含み、または
前記基板の前記反射率、吸光度および透過率プロファイルが、約400ナノメートル~約700ナノメートルの波長の反射電磁放射線を含み、または
前記基板の前記反射率、吸光度および透過率プロファイルが、約700ナノメートル~約1600ナノメートルの波長の反射電磁放射線を含む、[13]に記載の方法。
[16]
多層コーティングを形成するための方法であって、
a)溶媒、顔料、およびブラシブロックコポリマー(BBCP)を組み合わせて混合物を形成することであって、
BBCPが、式ICのBBCPであり、
[化3]

式中、
が、-(C -C )アルキル-OC(=O)G であり、G が、ポリアクリレート、ポリメタクリレートまたはポリ乳酸を含み、
が、-(C -C )アルキル-G -G であり、G が、-C(=O)O-または窒素複素環であり、G が、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル、ポリメタクリレート、またはポリ乳酸を含み、
が、非分岐アルキルであり、
が、分岐アルキルであり、
aおよびbが、それぞれ独立して0~約1000であり、
xおよびyが、それぞれ独立して1~約1000であり、
x:aの比が、1:0~約1:3であり、y:bの比が、1:0~約1:3である、混合物を形成することと、
b)前記混合物の第1の層を基板に適用することと、
c)前記第1の層を乾燥させてフィルムを形成することと、
d)トップコートが、光学接着剤または紫外線硬化性樹脂である、前記トップコートを含む第2の層を前記フィルムに適用することと
を含む方法であって、
前記フィルムおよび第2の層が、前記基板上に前記多層コーティングを形成する、方法。
[17]
前記顔料が、酸性染料、塩基性染料、アゾ染料、アクリジン染料、リレン染料、硫黄染料、pH指示薬、食品染料、蛍光増白剤、アントラキノン染料、アリールメタン染料、トリアリールメタン染料、フタロシアニン染料、キノン-イミン染料、アジン染料、インドフェノール染料、オキサジン染料、オキサゾン染料、チアジン染料、チアゾール染料、サフラニン染料、キサンテン染料、ペリレンジイミド染料、ローダミン染料、またはそれらの組み合わせである、[16]に記載の方法。
[18]
前記混合物が、顔料を約0.1重量%~約3重量%で含む、[16]に記載の方法。
[19]
BBCPが、前記混合物中に約2.5%~約50%の重量パーセントを有する、[16]に記載の方法。
[20]
BBCPが、約500kDa~約3000kDaの数平均分子量を有する、[16]に記載の方法。
[21]
段階a)が、金属酸化物、線状ポリマー添加剤、またはそれらの組み合わせを前記混合物に添加することをさらに含む、[16]に記載の方法。
[22]
前記混合物の層を基板に適用することが、前記基板への前記混合物のスプレー堆積、ドローダウンコーティング、スロットダイコーティング、スクリーン印刷、スプレー堆積、または塗料ブラシ/ローラーを含む、[16]に記載の方法。
【0013】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明の特定の実施形態または様々な態様をさらに実証するために含まれる。場合によっては、本発明の実施形態は、本明細書に提示される詳細な説明と組み合わせて添付の図面を参照することによって、最もよく理解することができる。説明および添付の図面は、本発明の特定の具体例または特定の態様を強調することができる。しかしながら、当業者は、例または態様の一部が本発明の他の例または態様と組み合わせて使用され得ることを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】自己組織化ポリ(乳酸)-b-ポリ(スチレン)からなるフォトニック結晶フィルムを伝搬する薄層の誤差を示すSEM画像。
図2】左:A、D、G、J)トップコートなし(破線)およびSigma-Aldrich UV硬化性樹脂をトップコートとして使用した(黒実線)、様々なλmax反射のフォトニック結晶コーティングについての拡散および全透過のグラフ。右側:B、E、H、K)それぞれのグラフの隣にあるトップコートなしのフォトニック結晶の写真。C、F、I、L)それぞれのグラフの隣にあるトップコートとしてSigma-Aldrich UV硬化性樹脂を有するフォトニック結晶の写真。前後の鮮明さを実証するために、「トップコートなし」または「トップコートあり」という文字の2インチ上で写真を撮影した。
図3】左側:A、D、G、J)トップコートなし(破線)および様々なトップコートあり(黒実線)のフォトニック結晶コーティングについての拡散および全透過のグラフ。右側:B、E、H、K)それぞれのグラフの隣にあるトップコートなしのフォトニック結晶の写真。C、F、I、L)それぞれのグラフの隣にあるトップコートを有するフォトニック結晶の写真。トップコートを追加する前後の鮮明さをそれぞれ実証するために、「トップコートなし」または「トップコートあり」という文字の2インチ上で写真を撮影した。
図4】基板上の多層コーティングを示し、ドメイン1および2は、フォトニック結晶フィルムの薄層のナノスケール形態での異なるポリマー層を表す(縮尺通りに描かれていない)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この出願は、ブロックコポリマー(BCP)と、無機ファミリー、有機ファミリー、または2つのファミリーのいくつかの組み合わせのいずれかの添加剤とから構成される無機/有機複合材料の使用により、限定されるものではないが、反射率(%R)、最大反射(λmax)の波長(nm)、反射ピークの半値全幅(FWHM)、および得られるフォトニック結晶材料のヘイズ(%ヘイズ)などのフォトニック結晶材料の光学的特性の修正を可能にするという発見に関する。
【0016】
具体的には、様々なモノマー単位で構成されるBCPを無機添加剤、小分子有機添加剤、および/またはポリマー添加剤のいずれかとブレンドして、高次反射ピークの相対強度を変調し、場合によっては、高いNIR反射および低い反射をもたらす。BCP由来フォトニック結晶材料についての高次反射ピークの相対強度を直接変調するための外因性添加剤の使用は、その手法において独特であり、電磁スペクトルの異なる範囲において選択的な反射および透過を必要とする用途でこれらの材料の展開を可能にする。
【0017】
定義
以下の定義は、明細書および特許請求の範囲の明確で一貫した理解を提供するために含まれる。本明細書で使用される場合、列挙された用語は以下の意味を有する。本明細書で使用される他のすべての用語および語句は、当業者が理解するであろう通常の意味を有する。そのような通常の意味は、R.J.Lewis,John Wiley&Sons,New York、N.Y.,2001によるHawley’s Condensed Chemical Dictionary 14th Editionなどの技術辞書を参照することによって得ることができる。
【0018】
本明細書における「一実施形態」、「実施形態」などへの言及は、記載された実施形態が特定の態様、特性、構造、部分、または特徴を含み得ることを示すが、すべての実施形態がその態様、特性、構造、部分、または特徴を必ずしも含むとは限らない。さらに、そのような語句は、必ずしもそうとは限らないが、本明細書の他の部分で参照される同じ実施形態を参照することができる。さらに、特定の態様、特性、構造、部分、または特徴が実施形態に関連して記載されている場合、明示的に記載されているか否かにかかわらず、そのような態様、特性、構造、部分、または特徴を他の実施形態に影響を及ぼすか、または他の実施形態と関連付けることは、当業者の知識の範囲内である。
【0019】
単数形の「a」、「an」、および「前記」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の言及を含む。したがって、例えば、「化合物」への言及は、化合物Xが複数の化合物Xを含むように、複数の当該化合物を含む。さらに、特許請求の範囲は、任意の要素を除外するために起草され得ることに留意されたい。したがって、この記述は、本明細書に記載の任意の要素に関連して、「単独で」、「のみ」などの排他的な用語の使用、および/または特許請求の範囲の要素の列挙もしくは「消極的」限定の使用の先行詞として役立つことを意図している。
【0020】
「および/または」という用語は、この用語が関連する項目のいずれか1つ、項目の任意の組み合わせ、または項目のすべてを意味する。「1以上」および「少なくとも1つ」という語句は、特にその使用の文脈で読まれる場合に、当業者によって容易に理解される。例えば、句は、列挙された下限よりも約10倍、100倍または1000倍高い1、2、3、4、5、6、10、100、または任意の上限を意味し得る。例えば、フェニル環上の1つ以上の置換基は、例えばフェニル環が二置換されている場合、1~5個、または1~4個を指す。
【0021】
当業者によって理解されるように、成分の量、分子量などの特性、反応条件などを表す数を含むすべての数は近似値であり、すべての場合において「約」という用語によって任意選択的に修飾されると理解される。これらの値は、本明細書の説明の教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に応じて変化し得る。そのような値は、それぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じる変動性を本質的に含むことも理解される。値が、先行詞「約」を使用して近似値として表される場合、修飾語「約」のない特定の値もさらなる態様を形成することが理解されよう。
【0022】
「約」および「およそ」という用語は互換的に使用される。両用語は、指定された値の±5%、±10%、±20%、または±25%の変動を指し得る。例えば、「約50」パーセントは、いくつかの実施形態では、45~55パーセントの変動を有し得るか、または特定の請求項によって別途定義され得る。整数範囲について、「約」という用語は、範囲の両端に列挙された整数より大きいおよび/または小さい1つまたは2つの整数を含むことができる。本明細書において別段の指示がない限り、「約」および「およそ」という用語は、個々の成分、組成物または実施形態の機能性に関して等価である列挙された範囲に近い値、例えば重量百分率を含むことが意図される。「約」および「およそ」という用語はまた、この段落で上述したように、列挙された範囲の終点を修飾することができる。
【0023】
当業者によって理解されるように、ありとあらゆる目的のために、特に書面による説明を提供することに関して、本明細書に列挙されたすべての範囲は、任意のおよびすべての可能な部分範囲およびその部分範囲の組み合わせ、ならびに範囲を構成する個々の値、特に整数値も包含する。したがって、2つの特定の単位間の各単位も開示されることが理解される。例えば、10~15が開示されている場合、11、12、13、および14も個別に、範囲の一部として開示されている。列挙された範囲(例えば、重量パーセントまたは炭素基)は、その範囲内の各特定の値、整数、小数、または単位元を含む。列挙された範囲はいずれも、同じ範囲を少なくとも等しい半分、3分の1、4分の1、5分の1、または10分の1に分割することを十分に説明し、可能にするものとして容易に認識することができる。非限定的な例として、本明細書で論じる各範囲は、下部3分の1、中部3分の1、および上部3分の1などに容易に分解することができる。当業者によっても理解されるように、「最大」、「少なくとも」、「より大きい」、「未満」、「より多い」、「以上」などのすべての文言は、列挙された数を含み、そのような用語は、上述したように後で部分範囲に分解することができる範囲を指す。同様に、本明細書に列挙されるすべての比は、より広い比の範囲内にあるすべての部分比も含む。したがって、ラジカル、置換基、および範囲について列挙された具体的な値は、説明のためのものにすぎず、他の定義された値またはラジカルおよび置換基の定義された範囲内の他の値を排除しない。範囲のそれぞれの終点は、他方の終点に関しても、他方の終点とは独立しても有意であることがさらに理解されよう。
【0024】
本開示は、体積、質量、パーセンテージ、比などの変数に対する範囲、限界、および偏差を提供する。「数値1」~「数値2」などの範囲は、整数および分数を含む数値の連続範囲を意味することが当業者によって理解される。例えば、1~10は、1、2、3、4、5、...9、10を意味する。これは、1.0、1.1、1.2、1.3、...、9.8、9.9、10.0も意味し、1.01、1.02、1.03なども意味する。開示された変数が「数値10」未満の数である場合、それは、上述したように、数値10未満の整数および分数を含む連続範囲を意味する。同様に、開示された変数が「数値10」より大きい数である場合、それは数値10より大きい整数および分数を含む連続範囲を意味する。これらの範囲は、「約」という用語によって修飾することができ、その意味は上記で説明されている。
【0025】
当業者であれば、マーカッシュ群のように、メンバーが共通の様式で一緒にグループ化される場合、本発明は、全体として列挙された群全体だけでなく、個別に群の各メンバーおよび主要な群のすべての可能な下位群を包含することも容易に認識するであろう。さらに、すべての目的のために、本発明は、主要な群だけでなく、群メンバーの1つ以上が存在しない主要な群も包含する。したがって、本発明は、列挙された群のメンバーのいずれか1つ以上の明示的な除外を想定する。したがって、開示されたカテゴリまたは実施形態のいずれかに条件を適用することができ、それによって、列挙された要素、種、または実施形態のいずれか1つ以上は、例えば、明示的な消極的限定で使用するために、そのようなカテゴリまたは実施形態から除外することができる。
【0026】
「接触する」という用語は、例えば、溶液中で、反応混合物中で、例えば、生理学的反応、化学反応、または物理的変化を引き起こすために、細胞レベルまたは分子レベルを含めて、接触する(touching)、接触する(making contact)、または密接もしくは近接する行為を指す。
【0027】
「有効量」とは、列挙された効果をもたらすのに有効な量、例えば反応混合物中で生成物を形成するのに必要な量を指す。有効量の決定は、典型的には、特に本明細書で提供される詳細な開示に照らして、当業者の能力の範囲内である。「有効量」という用語は、例えば反応混合物中で生成物を形成するのに有効な、本明細書に記載の化合物もしくは試薬の量、または本明細書に記載の化合物もしくは試薬の組み合わせの量を含むことを意図している。したがって、「有効量」は、一般に、所望の効果を提供する量を意味する。
【0028】
本明細書で使用される「実質的に」という用語は、広義の用語であり、その通常の意味で使用され、限定するものではないが、指定されたものの大部分であるが必ずしも全体ではないことを含む。例えば、この用語は、完全な数値の100%ではない数値を指し得る。完全な数値は、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、または約20%小さくてもよい。
【0029】
本開示は、本発明の化合物および組成物を作製する方法を提供する。化合物および組成物は、本明細書に記載される適用可能な技術のいずれかによって、場合により有機合成の標準的な技術と組み合わせて調製することができる。エーテル化およびエステル化などの多くの技術が当技術分野で周知である。しかし、これらの技術の多くは、Compendium of Organic Synthetic Methods(John Wiley&Sons,New York),Vol.1,Ian T.Harrison and Shuyen Harrison,1971、Vol.2,Ian T.Harrison and Shuyen Harrison,1974、Vol.3,Louis S.Hegedus and Leroy Wade,1977、Vol.4,Leroy G.Wade,Jr.,1980、Vol.5,Leroy G.Wade,Jr.,1984、およびVol.6、ならびにMarch’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,5th Ed.,by M.B.Smith and J.March(John Wiley&Sons,New York,2001)、Comprehensive Organic SynthesisSelectivity,Strategy&Efficiency in Modern Organic Chemistry.In 9Volumes,Barry M.Trost,Editor-in-Chief(Pergamon Press,New York,1993 printing)、Advanced Organic Chemistry,Part B:Reactions and Synthesis,Second Edition,Cary and Sundberg(1983)などの標準有機参照テキストに詳述されている。
【0030】
本明細書に記載の式および化合物は、保護基を使用して修飾することができる。適切なアミノ保護基およびカルボキシ保護基は、当業者に知られている(例えば、Protecting Groups in Organic Synthesis,Second Edition,Greene,T.W.,and Wutz,P.G.M.,John Wiley&Sons,New Yorkおよびそこに引用されている参考文献、Philip J.Kocienski;Protecting Groups(Georg Thieme Verlag Stuttgart,New York,1994)およびそこに引用される参考文献を参照)、ならびにComprehensive Organic Transformations,Larock,R.C.,Second Edition,John Wiley&Sons,New York(1999)およびそこに引用される参考文献。
【0031】
本明細書で使用される場合、「置換された」または「置換基」という用語は、「置換された」(または「置換基」)を使用する表現で示される基の1つ以上の(例えば、種々の実施形態では1~20、他の実施形態では1~10、1、2、3、4または5、いくつかの実施形態では1、2、または3、他の実施形態では1または2)水素が、示される基からの選択で、または当業者に知られている適切な基で置き換えられることを示すことを意図し、ただし、示される原子の通常の原子価を超えず、置換が安定な化合物をもたらすことを条件とする。示された適切な基としては、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、アルカノイル、アルコキシカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリフルオロメチルチオ、ジフルオロメチル、アシルアミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、カルボキシ、カルボキシアルキル、ケト、チオキソ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニルおよびシアノが挙げられる。さらに、置換炭素(または他の)原子に結合することができる置換基の非限定的な例としては、F、Cl、Br、I、OR’、OC(O)N(R’)、CN、CF、OCF、R’、O、S、C(O)、S(O)、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、N(R’)、SR’、SOR’、SOR’、SON(R’)、SOR’、C(O)R’、C(O)C(O)R’、C(O)CHC(O)R’、C(S)R’、C(O)OR’、OC(O)R’、C(O)N(R’)、OC(O)N(R’)、C(S)N(R’)、(CH0-2NHC(O)R’、N(R’)N(R’)C(O)R’、N(R’)N(R’)C(O)OR’、N(R’)N(R’)CON(R’)、N(R’)SOR’、N(R’)SON(R’)、N(R’)C(O)OR’、N(R’)C(O)R’、N(R’)C(S)R’、N(R’)C(O)N(R’)、N(R’)C(S)N(R’)、N(COR’)COR’、N(OR’)R’、C(=NH)N(R’)、C(O)N(OR’)R’、またはC(=NOR’)R’が含まれ、式中、R’は水素または炭素系部分であってもよく、炭素系部分自体がさらに置換されていてもよい。
【0032】
「ハロ」または「ハロゲン化物」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを指す。同様に、「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を指す。
【0033】
「アルキル」という用語は、例えば、1~20個の炭素原子、多くの場合1~12、1~10、1~8、1~6、もしくは1~4個の炭素原子を有する分岐もしくは非分岐の炭化水素を指し、または、例えば、1~20個の炭素原子、例えば、2~6個、3~6個、2~8個もしくは3~8個の炭素原子の範囲である。本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、以下に定義される「シクロアルキル」も包含する。例としては、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル(イソプロピル)、1-ブチル、2-メチル-1-プロピル(イソブチル)、2-ブチル(sec-ブチル)、2-メチル-2-プロピル(t-ブチル)、1-ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、2-メチル-2-ブチル、3-メチル-2-ブチル、3-メチル-1-ブチル、2-メチル-1-ブチル、1-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3-メチル-3-ペンチル、2-メチル-3-ペンチル、2,3-ジメチル-2-ブチル、3,3-ジメチル-2-ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。アルキルは、非置換であってもよく、または例えば、以下に記載される置換基で置換されていてもよい。アルキルは、任意で部分的または完全に不飽和であってもよい。したがって、アルキル基の列挙は、アルケニルおよびアルキニルの両基を含み得る。アルキルは、上記で記載および例示したような一価の炭化水素ラジカルであってもよく、または二価の炭化水素ラジカル(すなわち、アルキレン)であってもよい。
【0034】
「シクロアルキル」という用語は、単一の環状環または複数の縮合環を有する、例えば3~10個の炭素原子の環状アルキル基を指す。シクロアルキル基には、例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチルなどの単環構造、またはアダマンチルなどの多環構造が含まれる。シクロアルキルは、非置換であっても置換されていてもよい。シクロアルキル基は、一価または二価であってもよく、アルキル基について記載されるように任意で置換されていてもよい。シクロアルキル基は、任意で1つ以上の不飽和の引用を含むことができ、例えば、シクロアルキル基は、1つ以上の炭素-炭素二重結合、例えば、1-シクロペンタ-1-エニル、1-シクロペンタ-2-エニル、1-シクロペンタ-3-エニル、シクロヘキシル、1-シクロヘキサ-1-エニル、1-シクロヘキサ-2-エニル、1-シクロヘキサ-3-エニルなどを含むことができる。
【0035】
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、少なくとも1つの環に窒素、硫黄、酸素、好ましくは1~3個のヘテロ原子から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む飽和または部分飽和の単環式、二環式または多環式の環を指す。各環は、好ましくは3~10員、より好ましくは4~7員である。適切なヘテロシクロアルキル置換基の例としては、ピロリジル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロチオフラニル、ピペリジル、ピペラジル、テトラヒドロピラニル、モルホリノ、1,3-ジアザパン、1,4-ジアザパン、1,4-オキサゼパンおよび1,4-オキサチアパンが挙げられる。基は、末端基または架橋基であり得る。
【0036】
「アリール」という用語は、親芳香環系の単一の炭素原子から少なくとも1つの水素原子を除去することから誘導される芳香族炭化水素基を指す。ラジカル結合部位は、親環系の飽和または不飽和の炭素原子にあり得る。アリール基は、6~30個の炭素原子、例えば約6~10個の炭素原子を有し得る。他の実施形態では、アリール基は、6~60個の炭素原子、6~120個の炭素原子、または6~240個の炭素原子を有し得る。アリール基は、単環(例えば、フェニル)または複数の縮合(縮合)環を有することができ、少なくとも1つの環は芳香族である(例えば、ナフチル、ジヒドロフェナントレニル、フルオレニル、またはアントリル)。典型的なアリール基には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニルなどに由来するラジカルが含まれるが、これらに限定されない。アリールは、非置換であっても任意で置換されていてもよい。
【0037】
「ヘテロアリール」という用語は、1個、2個または3個の芳香環を含み、芳香環に少なくとも1個の窒素、酸素または硫黄原子を含む単環式、二環式または三環式の環系を指す。ヘテロアリールは、非置換であってもよく、または例えば、「置換された」の定義に記載されるように、1つ以上、特に1~3個の置換基で置換されていてもよい。典型的なヘテロアリール基は、1個以上のヘテロ原子に加えて、環骨格に2~20個の炭素原子を含む。ヘテロアリール基の例としては、2H-ピロリル、3H-インドリル、4H-キノリジニル、アクリジニル、ベンゾ[b]チエニル、ベンゾチアゾリル、β-カルボリニル、カルバゾリル、クロメニル、シンノリニル、ジベンゾ[b,d]フラニル、フラザニル、フリル、イミダゾリル、イミジゾリル、インダゾリル、インドリシニル、インドリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサゾリル、ペルイミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナルサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、テトラゾリルおよびキサンテニルが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、「ヘテロアリール」という用語は、炭素を含む5個または6個の環原子と、非過酸化物酸素、硫黄、およびN(Z)から独立して選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子とを含む単環式芳香環を意味し、Zは存在しないか、またはH、O、アルキル、アリール、もしくは(C~C)アルキルアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、それに由来する約8~10個の環原子のオルト縮合二環式複素環、特にベンズ誘導体、またはプロピレン、トリメチレン、もしくはテトラメチレンジラジカルを縮合することによって誘導されるものを示す。
【0038】
本明細書に記載の「溶媒」は、水または有機溶媒を含み得る。有機溶媒の例としては、トルエン、キシレン、ヘキサン、およびヘプタンなどの炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、およびジクロロエタンなどの塩素化溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、およびジブチルエーテルなどのエーテル類、アセトン、および2-ブタノンなどのケトン類、酢酸エチルおよび酢酸ブチルなどのエステル類、アセトニトリルなどのニトリル類、メタノール、エタノール、およびtert-ブタノールなどのアルコール類、ならびにN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)、およびジメチルスルホキシド(DMSO)などの非プロトン性極性溶媒が挙げられる。溶媒の他の例としては、ハロゲン化芳香族化合物またはハロゲン化フェニル化合物、例えばフッ素化または多フッ素化フェニル化合物、例えば4-クロロベンゾトリフルオリドが挙げられる。溶媒は単独で使用してもよく、またはそれらの2つ以上を混合して使用して「溶媒系」を提供してもよい。
【0039】
「1以上」という語句は、特にその使用の文脈で読まれる場合、当業者によって容易に理解される。例えば、フェニル環の1つ以上の置換基は、例えばフェニル環が二置換されている場合、1~5個、または1~最大4個を指す。ポリマーの1つ以上のサブユニット(すなわち、繰り返し単位またはブロック)は、約5~約100,000、または任意の数のサブユニットを指し得る。
【0040】
本明細書に記載の化合物およびポリマーの置換基は、再帰的程度まで存在してもよい。これに関連して、「再帰的置換基」とは、置換基がそれ自体の別の例を列挙し得ることを意味する。そのような置換基の再帰的性質のために、理論的には、任意の所与の請求項に多数が存在し得る。有機化学の当業者は、そのような置換基の総数が意図される化合物の所望の特性によって合理的に制限されることを理解している。そのような特性には、限定ではなく例として、分子量、溶解度またはlogPなどの物理的特性、意図する対象に対する活性などの適用特性、および合成の容易さなどの実用的特性が含まれる。再帰的置換基は、本発明の意図される態様である。有機化学の当業者は、このような置換基の汎用性を理解している。本発明の特許請求の範囲に再帰的置換基が存在する程度まで、ポリマー例の繰り返し単位の総数は、例えば、約1~50、約1~40、約1~30、約1~20、約1~10、または約1~5であり得る。
【0041】
本明細書で使用される「繰り返し単位(repeat unit)」、「繰り返し単位(repeating unit)」、または「ブロック」という用語は、繰り返しであるポリマーの部分を指す。繰り返し単位は、例えば、繰り返し単位x、繰り返し単位y、繰り返し単位a、繰り返し単位bなどと標識された1つ以上の繰り返し単位を含み得る。繰り返し単位x、y、aおよびbは、例えば、任意の順序で連結され、ともに共有結合して、組み合わされた繰り返し単位を形成し得る。モノマーまたは1つ以上の異なるモノマーの組み合わせを組み合わせて、ポリマーまたはコポリマーの(組み合わされた)繰り返し単位を形成し得る。
【0042】
本明細書に開示されるコポリマーの「分子量」という用語は、平均数分子量(Mn)を指す。対応する重量平均分子量(Mw)は、当業者に既知の方法(例えば、計算によって)によって他の開示パラメータから決定することができる。
【0043】
本明細書に開示されるコポリマーは、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーを含み得る。しかしながら、本明細書中に記載される式Iのコポリマーは、(例えば、例4に記載されているようなコポリマーの調製方法によって容易に認識されるように)コポリマーのx単位とx-a単位との間の結合に対する「r」によって示されるように、ランダムコポリマーである。したがって、x単位およびx-a単位の配置は、式Iのコポリマーの長さ全体にわたってランダムであり、x単位およびx-a単位の総数は、コポリマーの長さに沿ってランダムに配置された式Iのxおよびaによって定義される。
【0044】
様々な実施形態において、コポリマーの末端(すなわち、開始端部または終端部)は、低分子量部分(例えば500Da未満)、例えば、H、OH、OOH、CHOH、CN、NH、または炭化水素、例えば、アルキル(例えば、開始端部および終端部におけるブチルまたは2-シアノプロプ-2-イル部分)、アルケンもしくはアルキン、またはコポリマーの最初および/もしくは最後の繰り返し単位での脱離反応の結果としての部分である。
【0045】
自己組織化は、既存成分の無秩序な系が、外方向のない、成分自体間の特定の局所的な相互作用のため、組織化された構造またはパターンを形成するプロセスである。分子自己組織化のために、最初に、表面上の小さな分子密度では、吸着分子は、不規則な質量の分子を形成するか、または規則的な二次元「寝相(lying down phase)」を形成し、より高い分子被覆率では、数分から数時間にわたって、基板表面上に三次元結晶構造または半結晶構造を形成し始める。「頭部基」は基板上に集合するが、尾部基は基板から離れて集合する。最密分子の領域は、基板の表面が単一の単層で覆われるまで核形成し成長する。
【0046】
ブラシブロックコポリマー分子は、線状の非分岐側鎖を有する主鎖を含む分岐ポリマーの特別な形態である。ブラシは、グラフト鎖の高密度を特徴とすることが多い。このとき、限られた空間は、鎖の強力な伸長をもたらす。分枝は、ポリマーの別の共有結合鎖による、または、グラフトコポリマーの場合、別の種類の鎖によるモノマーサブユニット上の置換基、例えば水素原子の置換によって起こる。分岐は、炭素-炭素または様々な他の種類の共有結合の形成から生じ得る。エステルおよびアミド結合による分岐は、典型的には縮合反応によるものである。
【0047】
「顔料」という用語は、染料と互換的に使用される。顔料は、波長選択吸収の結果として反射光または透過光の色を変化させる固体、溶液または液体などの材料である。顔料または染料は、有機化合物、有機金属化合物または無機化合物である。
【0048】
基板は、本明細書に開示される組成物でコーティングされた任意の材料であり得る。例えば、基板は、ガラス、金属、合金、ポリマー、複合材、木材、乾燥塗料、または任意の種類の表面であり得る。
【0049】
以下の略称は、当業者にとって通常の意味を有する。D=分散度、kDa=キロダルトン、M=数平均分子量、M=重量平均分子量。
【0050】
本発明の実施形態
本開示は、
a)顔料または染料および式IAまたは式IBのブラシブロックコポリマー(BBCP)を含むフォトニック結晶フィルムの第1の層であって、
【化3】

式中、
が、-(C-C)アルキル-OC(=O)Gであり、Gが、ポリアクリレート、ポリメタクリレートまたはポリ乳酸を含み、
が、-(C-C)アルキル-G-Gであり、Gが、-C(=O)O-または窒素複素環であり、Gが、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル、ポリメタクリレート、またはポリ乳酸を含み、
が、非分岐アルキルであり、
が、分岐アルキルであり、
およびGが、それぞれ独立してCHまたはC=Oであり、
各Jが、独立してCHまたはC=Oであり、
各Qが、独立して、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
aおよびbが、それぞれ独立して0~約1000であり、
xおよびyが、それぞれ独立して1~約1000であり、
ブロックのa、b、xおよびyが、任意の順序であり、x:aの比が、1:0~約1:3であり、y:bの比が、1:0~約1:3である、第1の層と、
b)トップコートが光学接着剤または紫外線硬化性樹脂であるトップコートを含む第2の層とを含む多層コーティングを提供し、
第1の層および第2の層は、多層フィルムを形成し、多層コーティングは、1つ以上の多層フィルムを含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、トップコートは、Sigma-Aldrich UV硬化性樹脂(トップコートA)、Forms lab Clear樹脂(RS-F2-GPCL-04、例えばトップコートB)、またはNorland Optical Adhesives 68TH(トップコートC)または13825(トップコートD)を含む。例3のトップコートを参照されたい。様々な他の実施形態では、窒素複素環は、上に開示されるトリアゾールまたは複素環である。
【0052】
様々な実施形態において、顔料は、酸性染料、塩基性染料、アゾ染料、アクリジン染料、リレン染料、硫黄染料、pH指示薬、食品染料、蛍光増白剤、アントラキノン染料、アリールメタン染料、トリアリールメタン染料、フタロシアニン染料、キノン-イミン染料、アジン染料、インドフェノール染料、オキサジン染料、オキサゾン染料、チアジン染料、チアゾール染料、サフラニン染料、キサンテン染料、ペリレンジイミド染料、ローダミン染料、またはそれらの組み合わせである。いくつかの追加の実施形態では、顔料または染料は、アクリジン、ブロモチモール、カーミン、エオシンY、グアイアズレン、ペリレン、またはそれらの組み合わせであるが、これらに限定されない。
【0053】
他の実施形態では、aおよびbは、それぞれ独立して、1~300、5~50、50~100、100~150、150~200、200~250、250~300、300~400、400~500、500~600、600~700、700~800、800~900、900~1000または1000~2000である。他の実施形態では、xおよびyは、それぞれ独立して、1~300、5~50、50~100、100~150、150~200、200~250、250~300、300~400、400~500、500~600、600~700、700~800、800~900、900~1000または1000~2000である。さらなる実施形態において、x:aの比は、約1:0.5~約1:1、1:1.5、1:2または1:2.5である。さらに他の実施形態では、y:bの比は、約1:0.5~約1:1、1:1.5、1:2、または1:2.5である。
【0054】
さらなる実施形態では、組成物は、青色、緑色、橙色、赤色を反射するか、または近赤外の波長を反射する。様々な実施形態では、BBCPは、約500kDa~約4000kDaの数平均分子量を有する。
【0055】
いくつかの実施形態では、組成物は、M=1110.3kDa、M=1196.1kDa、D=1.08、およびa=x=y=b=約164の場合、式IまたはIIを含む組成物において青色を特徴とする。いくつかの実施形態において、好ましくは、a=x=y=b=140~180である。より好ましくは、他の実施形態では、a=x=y=b=150~170である。
【0056】
いくつかの実施形態では、組成物は、M=1275.7kDa、M=1403.2kDa、D=1.10、およびa=x=y=b=約179の場合、式IまたはIIを含む組成物において緑色を特徴とする。いくつかの実施形態において、好ましくは、a=x=y=b=160~190である。より好ましくは、他の実施形態では、a=x=y=b=165~185である。
【0057】
いくつかの実施形態では、組成物は、M=1795.3kDa、M=2010.4kDa、D=1.12、およびa=x=y=b=約252の場合、式IまたはIIを含む組成物において橙色を特徴とする。いくつかの実施形態において、好ましくは、a=x=y=b=230~270である。より好ましくは、他の実施形態では、a=x=y=b=240~260である。
【0058】
いくつかの実施形態では、組成物は、M=2063.1kDa、M=2384.8kDa、D=1.16、およびa=x=y=b=約289の場合に、式IまたはIIを含む組成物において近赤外で反射される波長を特徴とする。いくつかの実施形態において、好ましくは、a=x=y=b=270~300である。より好ましくは、他の実施形態では、a=x=y=b=275~295である。
【0059】
様々な他の実施形態において、BBCPの重量パーセントは、約90%~約99.9%であり、顔料または染料の重量パーセントは、約0.1%~約10%である。いくつかの実施形態では、BBCPの重量パーセントは、約85%である。91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%。さらに他の実施形態では、顔料または染料の重量パーセントは、約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%または15%である。
【0060】
さらなる実施形態では、組成物は、金属酸化物、線状ポリマー添加剤、またはそれらの組み合わせをさらに含む。いくつかの実施形態では、線状ポリマー添加剤は、線状ポリ(メタクリレート)、線状ポリ乳酸、線状ポリスチレン、またはそれらの組み合わせである。さらにいくつかの他の実施形態では、組成物は、二酸化ジルコニウムナノ結晶、酸化チタン、または酸化ハフニウムをさらに含む。
【0061】
さらなる実施形態では、式IのBBCPは、式ICまたは式IIのBBCPであり、
【化4】

式中、
およびRは、それぞれ独立してHまたは非分岐もしくは分岐-(C-C)アルキルであり、
mおよびnは、それぞれ独立して1~約100である。
【0062】
他の実施形態では、mおよびnは、それぞれ独立して、1~10、10~50、10~20、20~30、30~40、40~50または50~100である。
【0063】
本開示は、基板のヘイズを低減するための方法であって、基板を多層コーティングでコーティングすることを含む方法をさらに提供し、多層コーティングは、
a)フォトニック結晶フィルムおよび顔料の第1の層と
b)トップコートを含む第2の層であって、トップコートが光学接着剤または紫外線硬化性樹脂である、第2の層とを含み、
第1の層は、基板の反射率、吸光度および透過プロファイルを変調し、対応する非コーティング基板よりも少なくとも5%多い電磁放射線が前記コーティング基板によって反射され、第2の層は、対応する非コーティング基板と比較して、反射された電磁放射線のヘイズを少なくとも5%低減させる。いくつかの実施形態では、第1の層は、式IA、式IB、式II、または式ICのBBCPを含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、対応する非コーティング基板よりも約5%~約25%、約25%~約50%、約50%~約75%、または約75%~約95%多くの電磁放射線がコーティング基板によって反射される。他の実施形態では、反射された電磁放射線のヘイズは、対応する非コーティング基板と比較して、約5%~約10%、約10%~約20%、約20%~約30%、約30%~約40%、約40%~約50%、約50%~約75%、または約75%~約95%低減する。
【0065】
また、本開示は、基板の電磁放射線反射率、吸光度および透過プロファイルを変調する方法であって、本明細書に開示される組成物による多層コーティングで基板をコーティングすることを含む方法も提供し、フォトニック結晶フィルムの顔料または染料は、基板の反射率、吸光度および透過プロファイルを変調し、対応する非コーティング基板よりも少なくとも5%多い電磁放射線は、コーティング基板によって反射される。
【0066】
様々な実施形態において、フォトニック結晶フィルムは、約0.25~約0.55の光学厚さf比、または約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、もしくは0.9のf比を有する。
【0067】
いくつかの実施形態では、基板の反射率、吸光度および透過率プロファイルは、約280ナノメートル~約400ナノメートルの波長の反射電磁放射線を含む。他の実施形態では、基板の反射率、吸光度および透過率プロファイルは、約400ナノメートル~約700ナノメートルの波長の反射電磁放射線を含む。さらに他の実施形態では、基板の反射率、吸光度および透過率プロファイルは、約700ナノメートル~約1400ナノメートルの波長の反射電磁放射線を含む。
【0068】
さらなる実施形態では、基板の反射率、吸光度および透過プロファイルは、約200nm~約300nm、約300nm~約400nm、約400nm~約500nm、約500nm~約600nm、約600nm~約700nm、約700nm~約800nm、約800nm~約900nm、約900nm~約1000nm、約1000nm~約1100nm、約1100nm~約1200nm、約1200nm~約1300nm、約1300nm~約1400nm、または約1400nm~約1550nm、または~約1600nmの波長の反射電磁放射線を含む。
【0069】
さらに、本開示は、多層コーティングを形成するための方法であって、
a)溶媒、顔料または染料、およびブラシブロックコポリマー(BBCP)を組み合わせて混合物を形成することであって、
BBCPが、式IA、式IB、または上記の式II、または式ICのBBCPであり、
【化5】

式中、
が、-(C-C)アルキル-OC(=O)Gであり、Gが、ポリアクリレート、ポリメタクリレートまたはポリ乳酸を含み、
が、-(C-C)アルキル-G-Gであり、Gが、-C(=O)O-または窒素複素環であり、Gが、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル、ポリメタクリレート、またはポリ乳酸を含み、
が、非分岐アルキルであり、
が、分岐アルキルであり、
aおよびbが、それぞれ独立して0~約1000であり、
xおよびyが、それぞれ独立して1~約1000であり、
x:aの比が、1:0~約1:3であり、y:bの比が、1:0~約1:3である、混合物を形成することと、
b)混合物の第1の層を基板に適用することと、
c)第1の層を乾燥させてフィルムを形成することと、
d)トップコートが、光学接着剤または紫外線硬化性樹脂である、トップコートを含む第2の層をフィルムに適用することと
を含む方法を提供し、
フィルムおよび第2の層は、基板上に多層コーティングを形成する。
【0070】
いくつかの実施形態において、溶媒は、4-クロロベンゾトリフルオリドである。様々な実施形態では、本方法は、上記の式IIまたは式IIIのBBCPを含む。他の実施形態において、顔料は、酸性染料、塩基性染料、アゾ染料、アクリジン染料、リレン染料、硫黄染料、pH指示薬、食品染料、蛍光増白剤、アントラキノン染料、アリールメタン染料、トリアリールメタン染料、フタロシアニン染料、キノン-イミン染料、アジン染料、インドフェノール染料、オキサジン染料、オキサゾン染料、チアジン染料、チアゾール染料、サフラニン染料、キサンテン染料、ペリレンジイミド染料、ローダミン染料、またはそれらの組み合わせである。さらなる実施形態では、顔料または染料は、アクリジン、ブロモチモール、カーミン、エオシンY、グアイアズレン、ペリレン、またはそれらの組み合わせであるが、これらに限定されない。
【0071】
さらなる実施形態では、顔料または染料は、混合物の約0.1%~約3%、または混合物の約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、4%、5%または10%の重量パーセントを有する。他の実施形態では、BBCPは、混合物の約10%~約30%、または混合物の約1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%または40%の重量パーセントを有する。
【0072】
組成物および方法の様々な他の実施形態において、BBCPは、約500kDa~約4000kDa、または約900kDa~約1100kDaの数平均分子量を有する。他の実施形態では、BBCPは、約100kDa、200kDa、300kDa、400kDa、500kDa、600kDa、700kDa、800kDa、900kDa、1000kDa、1100kDa、1200kDa、1300kDa、1400kDa、1500kDa、1600kDa、1700kDa、1800kDa、1900kDa、2000kDa、2100kDa、2200kDa、2300kDa、2400kDa、2500kDa、2600kDa、2700kDa、2800kDa、2900kDa、3000kDa、3500kDa、4000kDaまたは4500kDaの数平均分子量を有する。
【0073】
上記方法のさらに他の実施形態では、段階a)は、金属酸化物、線状ポリマー添加剤、またはそれらの組み合わせを混合物に添加することをさらに含む。様々な実施形態では、線状ポリマー添加剤は、線状ポリ(メタクリレート)、線状ポリ乳酸、線状ポリスチレン、またはそれらの組み合わせである。上記方法のさらなる実施形態では、第1の層を適用し、第2の層を適用することは、第1の層および第2の層のスプレー堆積、または本明細書に開示される他の堆積方法、例えば、ドローダウンコーティング、スロットダイコーティング、スクリーン印刷、スプレー堆積、または基板への混合物の塗料ブラシ/ローラーを含むが、これらに限定されない。
【0074】
本開示の様々な態様は、
無機または有機添加剤のいずれかを含むフォトニック結晶材料を含み、少なくとも1つの無機または有機成分を、ポリマー系フォトニック結晶またはポリマー成分の組成と比較して異なるモノマー単位で構成される有機添加剤に添加することを伴う。
【0075】
フォトニック結晶は、線状ブロックポリマー、ブラシブロックポリマー、スターポリマー、ポリマーコロイド結晶アレイ、または任意の繰り返し誘電体構造から形成される。
【0076】
ポリマーは、球、円柱、ジャイロイド、薄層、またはポリマー自己組織化によってアクセス可能な任意の周期構造に組み立てられるか、または製造される。
【0077】
ポリマー複合フォトニック結晶材料、またはブラシブロックコポリマー単独は、ドローダウン、ワイヤバー、ドクターブレード、またはバードバーを介して堆積される。
【0078】
ポリマー複合フォトニック結晶材料、またはブラシブロックコポリマー単独は、塗料ブラシまたはローラー適用によって堆積される。
【0079】
ポリマー複合フォトニック結晶材料、またはブラシブロックコポリマー単独は、スクリーン印刷によって堆積される。
【0080】
ポリマー複合フォトニック結晶材料、またはブラシブロックコポリマー単独は、浸漬コーティングによって堆積される。
【0081】
ポリマー複合フォトニック結晶材料、またはブラシブロックコポリマー単独は、ハイドログラフィック印刷によって堆積される。
【0082】
ポリマー複合フォトニック結晶材料、またはブラシブロックコポリマー単独は、スプレーブラシ、スプレーガン、または限定はしないが、空気噴霧、エアレス、静電、大容量、低圧を含む他のスプレー適用方法によって堆積される。
【0083】
フォトニック結晶コーティングは、高い近赤外反射および低い可視反射を有する。
【0084】
フォトニック結晶コーティングは、高い可視反射および低い紫外線反射を有する。
【0085】
無機成分は、アルカリ(土類)金属のナノスケール形態(一般に分子錯体および微粒子を含む)である。
【0086】
無機成分は、チタン、ジルコニウム、ハフニウムなどのIV族金属、および/またはそれらの酸化物、または任意の元素とIV族金属および/または酸化物との組み合わせのナノスケール形態(一般に分子錯体および微粒子を含む)である。
【0087】
無機成分は、バナジウム、ニオブ、およびタンタルなどのV族金属および/またはそれらの酸化物、または任意の元素とV族金属および/または酸化物との組み合わせのナノスケール形態(一般に分子錯体および微粒子を含む)である。
【0088】
無機成分は、クロム、モリブデン、およびタングステンなどのVI族金属および/またはそれらの酸化物、または任意の元素とVI族金属および/または酸化物との組み合わせのナノスケール形態(一般に分子錯体および微粒子を含む)である。
【0089】
無機成分は、マンガン、テクネチウムおよびレニウムなどのVII族金属および/またはそれらの酸化物、または任意の元素とVII族金属および/または酸化物との組み合わせのナノスケール形態(一般に分子錯体および微粒子を含む)である。
【0090】
無機成分は、鉄、ルテニウムおよびオスミウムなどのVIII族金属および/またはそれらの酸化物、または任意の元素とVIII族金属および/または酸化物との組み合わせのナノスケール形態(一般に分子錯体および微粒子を含む)である。
【0091】
無機成分は、コバルト、ロジウム、およびイリジウムなどのIX族金属および/またはそれらの酸化物、または任意の元素とIX族金属および/または酸化物との組み合わせのナノスケール形態(一般に分子錯体および微粒子を含む)である。
【0092】
無機成分は、ニッケル、パラジウム、および白金などのX族金属および/またはそれらの酸化物、または任意の元素とX族金属および/または酸化物との組み合わせのナノスケール形態(一般に分子錯体および微粒子を含む)である。
【0093】
無機成分は、銅、銀、金などのXI族金属および/またはそれらの酸化物、または任意の元素とXI族金属および/または酸化物との組み合わせのナノスケール形態(一般に分子錯体および微粒子を含む)である。
【0094】
無機成分は、亜鉛、カドミウム、および水銀などのXII族金属および/またはそれらの酸化物、または任意の元素とXII族金属および/または酸化物との組み合わせのナノスケール形態(一般に分子錯体および微粒子を含む)である。
【0095】
無機成分は、表面配位子で官能化されている。無機成分が表面配位子で官能化されている場合、無機成分は表面ポリマー系配位子で官能化することができる。
【0096】
有機または無機の添加剤成分は、BCPを構成するモノマー単位から誘導されるであろうホモポリマー由来の0.05より大きいまたは小さい屈折率を有する。
【0097】
有機または無機の添加剤成分は、組成物のf値を0.50±0.03に変化させるために使用される。
【0098】
有機または無機の添加剤成分は、組成物のf値を0.33±0.03に変化させるために使用される。
【0099】
無機または有機の添加剤は染料である。
【0100】
無機または有機の添加剤は、顔料である。
【0101】
無機または有機の添加剤は、紫外線AまたはB光(280~400nm)を吸収する。
【0102】
無機または有機の添加剤は、紫外線AまたはB光範囲(280~400nm)におけるフォトニック結晶の吸収または透過プロファイルを変化させる。
【0103】
無機または有機の添加剤は、可視光(400~700nm)を吸収する。
【0104】
無機または有機の添加剤は、可視光範囲(400~700nm)におけるフォトニック結晶の吸収または透過プロファイルを変化させる。
【0105】
無機または有機の添加剤は、近赤外、IR-A、光範囲(700~1400nm)を吸収する。
【0106】
無機または有機の添加剤は、近赤外、IR-A、光範囲(700~1400nm)におけるフォトニック結晶の吸収または透過プロファイルを変化させる。
【0107】
積層体または樹脂トップコートを有するフォトニック結晶フィルムの開示された組成物。
【0108】
樹脂が光硬化性である、開示された組成物。
【0109】
樹脂が熱硬化性である、開示された組成物。
【0110】
樹脂が周囲条件で硬化可能である、開示される組成物。
【0111】
樹脂の架橋機構が、限定されないが、アクリレート、シアノ-アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、チオール、末端sp2混成炭素を含有する化合物、イソシアナート、エポキシド、ウレタン、シロキサンおよび/またはシランのいずれかの化学官能性を使用する、開示された組成物。
【0112】
フォトニック結晶がボトムアップ様式で形成される、開示された方法。
【0113】
フォトニック結晶が自己組織化によって形成される、開示された方法。
【0114】
フォトニック結晶がポリマー材料からなる、開示された方法。
【0115】
フォトニック結晶がブロックコポリマーからなる、開示された方法。
【0116】
フォトニック結晶がブラシブロックコポリマーからなる、開示された方法。
【0117】
2成分系を堆積させ、続いて2つのフォトニック結晶フィルムおよびトップコートに分離する、開示された方法。
【0118】
結果および考察
本開示は、強化された材料および光学特性を有する製品を生産するための樹脂または積層体トップコートとポリマー系フォトニック結晶フィルムとの結合を詳述する。これらの強化された特性には、耐湿性、紫外線放射耐性、高温または低温に対する耐性、耐溶剤性、硬度の増加、延性または展性の増加、光学的透明度の増加が含まれるが、これらに限定されない。本発明者らは、同じトップコート(図2)を使用し、異なるトップコート樹脂(図3)を使用して、様々な反射(λmax)のフォトニック結晶フィルムにトップコートを追加した。フォトニック結晶フィルムは、線状ポリマー添加剤のポリ(乳酸)およびポリ(スチレン)とブレンドされたポリ(乳酸)-b-ポリ(スチレン)ブラシブロックコポリマーの自己組織化によって生産される(J.Am.Chem.Soc.2014,136,17374)。しかしながら、本出願は、詳述した特定の樹脂トップコート、表示されたフォトニック結晶のλmax反射の範囲、ポリマー材料のアーキテクチャ(ブラシ、コーム、ネットワーク、タッドポールなど)、または材料自体の特定の化学組成に限定されない。
【0119】
図2および図3のグラフは、トップコートがトップコートの固有性にかかわらずヘイズを低減させることを実証している。ヘイズは、ASTM D1003規格を用いて、式1により算出される。
【数1】
【0120】
式中、Tは、UV-Vis-NIR分光光度計での拡散反射アクセサリ(DRA)の透過率ベースラインであり、Tは、UV-Vis-NIR分光光度計でDRAを使用した全試料透過率であり、Tは、UV-Vis-NIR分光光度計でのDRAの全機器散乱であり、Tは、UV-Vis-NIR分光光度計でのDRAを使用した全試料散乱である。より簡略版では、式2を使用することができる。
【数2】
【0121】
図1Aの例では、可視ヘイズ(400nm~700nm)は、Sigma-Aldrich UV硬化性樹脂トップコートの添加後に19.3%から8.6%に低減している。図1Bの例では、可視ヘイズは、Sigma-Aldrich UV硬化性樹脂トップコートの添加後に15.5%から10.2%に低減している。図1Cの例では、可視ヘイズは、Sigma-Aldrich UV硬化性樹脂トップコートの添加後に13.0%から11.3%に低減している。図1Dの例では、可視ヘイズは、Sigma-Aldrich UV硬化性樹脂トップコートの添加後に9.8%から8.2%に低減している。
【0122】
図2Bの例では、可視ヘイズは、Forms lab Clear樹脂(RS-F2-GPCL-04)トップコートの添加後に17.3%から13.4%に低減している。図2Cの例では、可視ヘイズは、Norland Optical Adhesives 68THトップコートの添加後に18.4%から10.5%に低減している。図2Dの例では、可視ヘイズは、Norland Optical Adhesives 13825トップコートの添加後に19.0%から9.7%に低減している。
【0123】
本明細書に記載される配合物の組成の例を表1に示す。
【表1】
【0124】
以下の例は、上記の発明を例示することを意図しており、その範囲を狭めると解釈されるべきではない。当業者は、例が、本発明を実施することができる多くの他の方法を示唆することを容易に認識するであろう。本発明の範囲内に留まりながら、多数の変形および修正を行うことができることを理解されたい。
【0125】

例1.材料および方法
ポリマー複合材料の組成物は、ブラシブロックコポリマー、線状ポリ(乳酸)、線状ポリ(スチレン)、またはそれらの組み合わせから調製された。線状ポリマー添加剤については、J.Am.Chem.Soc.2014,136,17374を参照。米国特許出願公開第2018/0258230号の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0126】
ポリマーフィルムを顕微鏡スライドガラス上に堆積させ、拡散反射アクセサリを備えたCary 5000 UV-Vis-NIR分光光度計で反射率および透過率スペクトルを記録した。
直鎖ポリ(乳酸):
【化6】
【0127】
脱気し、窒素でバックフィルし、撹拌子を装備した3回加熱乾燥した200mLシュレンクフラスコに、昇華したラクチド(51.8g)および2-エチルヘキサン酸スズ(II)を新たに添加し、最後に無水ヘキサノール(1.948mL)を注入した。反応物を135℃に加熱した。反応の前に、ラクチドがフラスコの側壁で昇華し、これをヒートガンで溶融して溶液に戻し、モノマーの定量的消費を保証した。3.5時間後、反応物をジクロロメタン(DCM)で希釈し、セライトプラグを通して濾過し、メタノール中に沈殿させた。収率:75%、M=3,050Da、PDI=1.07。
直鎖ポリ(スチレン):
【化7】
【0128】
脱気し、窒素でバックフィルし、撹拌子を装備した3回加熱乾燥した1Lシュレンクフラスコに、乾燥し脱気したトルエン(700mL)を添加した。反応フラスコを氷浴に入れ、1.4M sec-ブチルリチウム(25mL、2.24g、0.035mol、1当量)を含むシクロヘキサンを撹拌トルエンに添加した。20分間の溶液撹拌後、新たにCaHで乾燥させ、蒸留したスチレン(120mL、109g、1.05mol、29.9当量)を60mLシリンジによってかなり迅速に添加した-有意な発熱は観察されず、溶液はすぐに透明から橙色/赤色に変化した。2時間後、約50mLのメタノールを注入して反応を停止した。
【0129】
後処理:溶液をロータリーエバポレーターで濃縮し、残りのトルエン、メタノール、シクロヘキサンおよびプロピレンオキシドを除去した。ポリマーをTHFに溶解し、室温で撹拌メタノール溶液に沈殿させた。収率:98%、M=3,100Da、PDI=1.05
【0130】
例2.ブラシブロックコポリマー(BBCP)の合成
【化8】

BBCP1(J.Am.Chem.Soc.2017,139,17683を参照):PLA-MM(1173mg、0.325mmol、M=3608Da)および撹拌棒を含む30mLの褐色バイアルに、d,x-DME(6.5mL中68.32mg、0.325mmol、0.05M)のCHCl溶液を加えた。共重合は、PLA170-r-DME170を対象とするGrubbsの第3世代触媒((HIMes)-(pyr)(Cl)RuCHPh、1.91μmol)の添加によって開始された。室温で75分間撹拌した後、アリコートを分析用に抽出し、ピリジンのCHCl溶液を添加した(3.8mL、1.0mM)。別のバイアルにおいて、第2のブロックの溶液は、PS-MM(1138mg、0.325mmol、M=3500Da)をd,x-DiPE(6.5mL中86.56mg、0.325mmol、0.05M)のCHCl溶液に溶解することによって調製された。次いで、12mLプラスチックシリンジを使用して、第2のブロックを第1のブロック反応混合物にワンショットで導入した。得られた混合物を室温でさらに12時間撹拌した。0.5mLのエチルビニルエーテルを添加することによって反応を停止させ、-78℃のメタノールに沈殿させることによってブロックコポリマーを単離した。M=1,020,000Da、PDI=1.09収率:92%。
【0131】
例3.トップコート組成物
トップコートA成分(Sigma Aldrich UV硬化性樹脂、製品番号:900164):
メルカプト重合試薬50%~70%
具体名:ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオナート)
モノマー架橋剤10%~20%
具体名:2-カルボキシエチルアクリレート
芳香族還元剤0.1%~1%
重合禁止剤0.1%~1%
重合安定剤0.1%~1%
適用のための一般的機構:チオール-エン化学。
【0132】
トップコートB成分(Form Labs透明樹脂、製品番号RS-F2-GPCL-04):
メタクリル酸アスターおよび光開始剤の混合物であって、
メタクリル化オリゴマー
メタクリル化モノマー
光開始剤
を含む。
一般的な適用機構:光生成ラジカル硬化。
【0133】
トップコートC成分(Norland Optical Adhesives(NOA)、製品番号68TH):
紫外線および熱硬化性接着剤;ウレタン関連樹脂系配合物、およびウレタン関連接着剤であって、
メルカプトエステル30%~55%
メルカプトエステル35%~60%
テトラヒドロフルフリルメタクリレート5%~30%
を含む。
一般的な適用機構:チオール-エン化学
【0134】
トップコートD成分(NOA製品番号13825):
紫外線および可視光硬化性接着剤、アクリレート関連接着剤であって、
脂肪族ウレタンアクリレート85%~99%
アクリルモノマー1%~15%
を含む。
一般的な適用機構:ラジカル硬化、ウレタン含有。
【0135】
開示された実施形態および例を参照して特定の実施形態を上述したが、そのような実施形態は例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。以下の特許請求の範囲に定義されるより広い態様において本発明から逸脱することなく、当分野の通常の技術に従って変更および修正を行うことができる。
【0136】
すべての刊行物、特許および特許文献は、参照により個々に組み込まれるかのように、参照により本明細書に組み込まれる。本開示と矛盾する制限は、そこから理解されるべきではない。本発明は、様々な特定の好ましい実施形態および技術を参照して説明されている。しかしながら、本発明の趣旨および範囲内に留まりながら、多くの変形および修正を行うことができることを理解されたい。
図1
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図2-4】
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図3-4】
図4