(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】データ蓄積システムおよびデータ蓄積方法
(51)【国際特許分類】
H04B 1/59 20060101AFI20231127BHJP
H04B 5/02 20060101ALI20231127BHJP
G06F 13/14 20060101ALI20231127BHJP
G06F 13/10 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
H04B1/59
H04B5/02
G06F13/14 310H
G06F13/10 310C
(21)【出願番号】P 2021558441
(86)(22)【出願日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 JP2020043185
(87)【国際公開番号】W WO2021100806
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-05-17
(31)【優先権主張番号】P 2019209867
(32)【優先日】2019-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】仲光 翔
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 洋平
【審査官】赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-285212(JP,A)
【文献】特開2003-061127(JP,A)
【文献】特開2011-065459(JP,A)
【文献】特開平01-314985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/59
H04B 5/02
G06F 13/14
G06F 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触通信用の第1通信モジュールを含むデータ記録装置と、
前記第1通信モジュールとの間における非接触通信用の第2通信モジュールを含み、データ送信開始要求信号を出力するとともにデータを蓄積する通信装置本体と、を備え、
前記データ記録装置は、
前記第1通信モジュールから前記第2通信モジュールに送信するデータを記憶する第1記憶部と、
前記通信装置本体から前記データ記録装置に送信した前記データ送信開始要求信号に基づいて、前記データの送信を開始するように前記第1通信モジュールを制御する第1制御部と、をさらに含み、
前記第1制御部は、前記第1通信モジュールと前記第2通信モジュールとの間の非接触通信が可能である場合、前記第1通信モジュールから前記第2通信モジュールへの前記データの送信を開始させ
、
前記データ送信開始要求信号は、前記第2通信モジュールから前記第1通信モジュールに送信されるように構成されており、
前記第1制御部は、前記第1通信モジュールが前記データ送信開始要求信号を受信した場合、前記非接触通信が可能であると判断し、
前記第2通信モジュールは、前記データ送信開始要求信号を前記第1通信モジュールに定期的に送信する、データ蓄積システム。
【請求項2】
前記第1通信モジュールは、前記データ送信開始要求信号を受信可能な通信環境にあるときに前記第2通信モジュールにデータを送信する請求項
1に記載のデータ蓄積システム。
【請求項3】
前記第2通信モジュールは、前記第1記憶部の空き容量が所定値以下になったときに、前記データ送信開始要求信号を前記第1通信モジュールに送信する請求項
1または2に記載のデータ蓄積システム。
【請求項4】
前記所定値は、50%である請求項
3に記載のデータ蓄積システム。
【請求項5】
前記第2通信モジュールは、前記非接触通信が可能となるまでに、前記データ送信開始要求信号を前記第1通信モジュールに、送信間の時間間隔を順次短くして送信する請求項
1、
3および
4のいずれか1項に記載のデータ蓄積システム。
【請求項6】
前記第2通信モジュールは、前記非接触通信が可能となるまでに、前記データ送信開始要求信号を前記第1通信モジュールに、信号長を順次長くして送信する請求項
1、
3~
5のいずれか1項に記載のデータ蓄積システム。
【請求項7】
前記第2通信モジュールは、前記非接触通信が可能となるまでに、前記データ送信開始要求信号を前記第1通信モジュールに、信号強度を順次大きくして送信する請求項
1、
3~
6のいずれか1項に記載のデータ蓄積システム。
【請求項8】
前記第1記憶部は、空き容量が所定値以下になったときに、前記データ記録装置のデータの圧縮記憶を実行する請求項1~
7のいずれか1項に記載のデータ蓄積システム。
【請求項9】
前記所定値は、50%である請求項
8に記載のデータ蓄積システム。
【請求項10】
複数の前記データ記録装置を備え、
前記通信装置本体は、前記複数のデータ記録装置を所定期間ごとに検索して前記非接触通信が可能か否かを判断し、前記複数のデータ記録装置のうち、前記非接触通信が可能であると判断されたデータ記録装置の第1通信モジュールに前記データ送信開始要求信号を送信するように、前記第2通信モジュールを制御する第2制御部をさらに備える、請求項
1~
9のいずれか1項に記載のデータ蓄積システム。
【請求項11】
前記第1記憶部には、前記データの送信に関する時間情報と、前記データ記録装置のID情報とが記憶され、
前記第1制御部は、前記非接触通信が可能であると判断したとき、前記時間情報および前記ID情報のうちの少なくとも1つを、前記第1通信モジュールから前記第2通信モジュールへ送信するように、前記第1通信モジュールを制御する、請求項1~
10のいずれか1項に記載のデータ蓄積システム。
【請求項12】
前記通信装置本体は、前記第2通信モジュールが受信する、前記データ、前記時間情報および前記ID情報を記憶する第2記憶部をさらに備える、請求項
11に記載のデータ蓄積システム。
【請求項13】
非接触通信用の第1通信モジュールを含むデータ記録装置と、
前記第1通信モジュールとの間における非接触通信用の第2通信モジュールを含み、データを蓄積する通信装置本体と、を備え、
前記データ記録装置は、
前記第1通信モジュールから前記第2通信モジュールに送信するデータ
、およびデータの送信開始を申請するためのデータ送信開始申請信号を記憶する第1記憶部と、
前記通信装置本体に送信したデータ送信開始申請信号に基づいて、前記データの送信を開始するように前記第1通信モジュールを制御する第1制御部と、をさらに含み、
前記第1制御部は、
前記第2通信モジュールが前記第1通信モジュールから前記データ送信開始申請信号を受信したら、前記第2通信モジュールは前記第1通信モジュールにデータ送信開始許可信号を送信し、前記第1通信モジュールが前記データ送信開始許可信号を受信することによって、前記第1通信モジュールと前記第2通信モジュールとの間の非接触通信が可能である
と判断し、前記第1通信モジュールから前記第2通信モジュールへの前記データの送信を開始させる、データ蓄積システム。
【請求項14】
非接触通信用の第1通信モジュールを含むデータ記録装置と、
前記第1通信モジュールとの間における非接触通信用の第2通信モジュールを含み、データ送信開始要求信号を出力するとともにデータを蓄積する通信装置本体と、を備えたデータ蓄積システムを使用し、
前記第1通信モジュールから前記第2通信モジュールに送信するデータを記憶する第1記憶工程と、
前記第2通信モジュールが前記データ送信開始要求信号を前記第1通信モジュールに定期的に送信する工程と、
前記データ送信開始要求信号に基づいて、前記データの送信を開始するように前記第1通信モジュールを制御する第1制御工程と、を含み、
前記第1制御工程において
、前記第1通信モジュールが前記データ送信開始要求信号を受信した場合、前記第1通信モジュールと前記第2通信モジュールとの間の非接触通信が可能である
と判断し、前記第1通信モジュールから前記第2通信モジュールへの前記データの送信を開始する、データ蓄積方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、データ転送処理の手間を省いた、データ蓄積システムおよびデータ蓄積方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に情報信号の送信および受信に関するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本開示(第1の開示)のデータ蓄積システムは、非接触通信用の第1通信モジュールを含むデータ記録装置と、
前記第1通信モジュールとの間における非接触通信用の第2通信モジュールを含み、データ送信開始要求信号を出力するとともにデータを蓄積する通信装置本体と、を備え、
前記データ記録装置は、
前記第1通信モジュールから前記第2通信モジュールに送信するデータを記憶する第1記憶部と、
前記通信装置本体から前記データ記録装置に送信した前記データ送信開始要求信号に基づいて、前記データの送信を開始するように前記第1通信モジュールを制御する第1制御部と、をさらに含み、
前記第1制御部は、前記第1通信モジュールと前記第2通信モジュールとの間の非接触通信が可能である場合、前記第1通信モジュールから前記第2通信モジュールへの前記データの送信を開始させ、
前記データ送信開始要求信号は、前記第2通信モジュールから前記第1通信モジュールに送信されるように構成されており、
前記第1制御部は、前記第1通信モジュールが前記データ送信開始要求信号を受信した場合、前記非接触通信が可能であると判断し、
前記第2通信モジュールは、前記データ送信開始要求信号を前記第1通信モジュールに定期的に送信する構成である。
【0005】
また、本開示(第2の開示)のデータ蓄積システムは、非接触通信用の第1通信モジュールを含むデータ記録装置と、
前記第1通信モジュールとの間における非接触通信用の第2通信モジュールを含み、データを蓄積する通信装置本体と、を備え、
前記データ記録装置は、
前記第1通信モジュールから前記第2通信モジュールに送信するデータ、およびデータの送信開始を申請するためのデータ送信開始申請信号を記憶する第1記憶部と、
前記通信装置本体に送信したデータ送信開始申請信号に基づいて、前記データの送信を開始するように前記第1通信モジュールを制御する第1制御部と、をさらに含み、
前記第1制御部は、前記第2通信モジュールが前記第1通信モジュールから前記データ送信開始申請信号を受信したら、前記第2通信モジュールは前記第1通信モジュールにデータ送信開始許可信号を送信し、前記第1通信モジュールが前記データ送信開始許可信号を受信することによって、前記第1通信モジュールと前記第2通信モジュールとの間の非接触通信が可能であると判断し、前記第1通信モジュールから前記第2通信モジュールへの前記データの送信を開始させる構成である。
【0006】
また、本開示のデータ蓄積方法は、非接触通信用の第1通信モジュールを含むデータ記録装置と、
前記第1通信モジュールとの間における非接触通信用の第2通信モジュールを含み、データ送信開始要求信号を出力するとともにデータを蓄積する通信装置本体と、を備えたデータ蓄積システムを使用し、
前記第1通信モジュールから前記第2通信モジュールに送信するデータを記憶する第1記憶工程と、
前記第2通信モジュールが前記データ送信開始要求信号を前記第1通信モジュールに定期的に送信する工程と、
前記データ送信開始要求信号に基づいて、前記データの送信を開始するように前記第1通信モジュールを制御する第1制御工程と、を含み、
前記第1制御工程において、前記第1通信モジュールが前記データ送信開始要求信号を受信した場合、前記第1通信モジュールと前記第2通信モジュールとの間の非接触通信が可能であると判断し、前記第1通信モジュールから前記第2通信モジュールへの前記データの送信を開始する構成である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の実施形態に係るデータ蓄積システムを示すブロック回路図である。
【
図2】本開示の実施形態に係るデータ蓄積システムの概念図である。
【
図3A】本開示の実施形態に係るデータ蓄積方法のフローチャートの一例である。
【
図3B】本開示の実施形態に係るデータ蓄積方法のフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
まず、本開示の実施形態に係るデータ蓄積システムが基礎とする構成について述べる。センサ素子等からの検出データを記録するデータ記録装置、いわゆるデータロガーにおいて、検出データはデータ記録装置の内部メモリに記憶されるか、または大容量メモリを備えた通信装置本体、いわゆるサーバ等に送信される。例えば、検出データをデータ記録装置の内部メモリから通信装置本体の大容量メモリに非接触通信で転送する技術が知られている。
【0009】
しかしながら、データ記録装置を備えた携帯型センサ等においては、データ記録装置が通信装置本体に常に接続可能である通信環境にあるとは限らない。即ち、データ記録装置を備えた携帯型センサが運搬中である場合、携帯型センサと通信装置本体とが遠隔している場合、携帯型センサと通信装置本体との間に通信に対して壁等の障壁となる物がある場合等には、携帯型センサが通信装置本体に接続可能な通信環境でなくなる。また、メモリ容量が限られているデータ記録装置の内部メモリに多くの検出データを記憶させなければならない。
【0010】
従って、データ記録装置と通信装置本体とが接続可能な通信環境において、データ記録装置の内部メモリに記憶された検出データを通信装置本体の大容量メモリに手動で転送する必要があった。内部メモリの容量が不足する前に検出データを大容量メモリに手動で転送しなければならないので、検出データを頻繁に転送しなければならないシステム、例えば常にセンシングし検出データを記憶し続けるシステムでは、検出データを頻繁に手動で転送することは作業者に多くの手間を要する。
【0011】
さらに、常にセンシングし検出データを記憶し続けるシステムでは、データ記録装置が通信装置本体に接続可能な通信環境にない状態が続くと、データ記録装置の内部メモリに検出データが記憶され続けるために内部メモリがオーバーフローし容量不足になるおそれがある。そのため、データ記録装置の内部メモリの容量状況を作業者が監視(モニタリング)し続けるか定期的にチェックするとともに、接続可能な通信環境が回復したら作業者が直ちに検出データを手動で転送する必要がある。即ち、データ記録装置の内部メモリの容量状況を作業者が監視し続けたり、定期的にチェックするという手間も要する。
【0012】
そのため、データ転送処理の手間を省くように構成されたデータ蓄積システム、およびデータ転送処理の手間を省いたデータ蓄積方法が求められている。
【0013】
以下、図面を用いて本開示の実施形態に係るデータ蓄積システムおよびデータ蓄積方法について説明する。
【0014】
<データ蓄積システム>
図1は、本開示の実施形態のデータ蓄積システム300の電気的構成を示すブロック回路図である。
図1において、太線の矢印は、データの流れを示し、細線の矢印は、制御信号の流れを示す。
【0015】
本実施形態のデータ蓄積システム300は、非接触通信用の第1通信モジュール10を含むデータ記録装置100と、第1通信モジュール10との間における非接触通信用の第2通信モジュール50を含み、データ送信開始要求信号を出力するとともにデータを蓄積する通信装置本体200と、を備え、データ記録装置100は、第1通信モジュール10から第2通信モジュール50に送信するデータを記憶する第1記憶部20と、通信装置本体200からデータ記録装置100に送信した当該データ送信開始要求信号に基づいて、データの送信を開始するように第1通信モジュール10を制御する第1制御部30とをさらに備え、第1制御部30は、第1通信モジュール10と第2通信モジュール50との間の非接触通信が可能である場合、第1通信モジュール10から第2通信モジュール50へのデータの送信を開始させる構成である。
【0016】
本開示のデータ蓄積システムおよびデータ蓄積方法において、非接触通信とは、電波(電磁波)を用いた無線通信、可視光を用いた可視光通信、赤外線通信、超音波通信等の通信方式であり、通信装置間で通信ケーブル等の機械的な接触部、結合部を用いずに通信を行う通信方式である。以下、本実施の形態においては非接触通信が無線通信である場合について説明する。
【0017】
第1通信モジュール10と第1記憶部20と第1制御部30とは、電気的に接続される。また、通信装置本体200は、さらに第2記憶部60および第2制御部70を備えてもよく、第2通信モジュール50と第2記憶部60と第2制御部70とは、電気的に接続される。
【0018】
データ記録装置100が記録するデータは、画像データ、音響データ、音声データ、温度データ、湿度データ、輝度データ、照度データ、電気抵抗データ等の種々のデータであってよい。
【0019】
データ記録装置100は、培養媒質中で培養されている細胞等の被検出物の温度等のデータをセンサ等によって取得し、そのデータを一時的に記録(保存)する装置であってよく、例えば無線センサチップ、無線センサ装置等と呼ばれる装置である。通信装置本体200は、データ記録装置100から送信されたデータを受信し蓄積するサーバ、パーソナルコンピュータ、大容量メモリを備えた通信装置等の装置であってよい。データ記録装置100および通信装置本体200は、別個の装置であってよく、例えばそれぞれ別の基板上に配置されていてもよい。基板は、電気絶縁性を有する材料、例えばガラス、プラスチック、セラミックス等から成り、平面視における形状が四角形または円形の板状体によって実現されてもよい。また基板は、透光性を有するものであってもよく、黒色、褐色等の色に着色されたものであってもよい。
【0020】
データ記録装置100は、例えば、第1基板の第1面(例えば、上面とする)または第2面(例えば、下面とする)に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等の薄膜形成法によって直接形成され配置されていてもよい。また、第1基板の第1面または第2面に、酸化珪素(SiO2)、窒化珪素(Si3N4)等から成る無機絶縁層、およびアクリル系樹脂、ポリカーボネート等から成る有機絶縁層等の絶縁層が、CVD法等の薄膜形成法によって形成され配置されている。その絶縁層上には、第1通信モジュール10と第1記憶部20と第1制御部30とが配置される。また通信装置本体200は、第1基板と同様に構成された第2基板上に第2通信モジュール50と第2記憶部60と第2制御部70とが配置されていてもよい。あるいは通信装置本体200は、上述のサーバ等の独立型の装置であってもよい。
【0021】
第1通信モジュール10は、無線通信用の第1アンテナを備えていてもよく、第2通信モジュール50は、無線通信用の第2アンテナを備えていてもよい。その場合、第1基板の第1面、第2面、絶縁層上、複数の絶縁層の層間に、第1アンテナを構成する、電極、配線、スルーホール等の接続導体、回路等を配置することができ、第2基板の第1面、第2面、絶縁層上、複数の絶縁層の層間に、第2アンテナを構成する、電極、配線、スルーホール等の接続導体、回路等を配置することができる。これによって、第1アンテナ、第2アンテナおよび他の回路等を、第1基板および第2基板上に集積化して配置することができるとともに基板の面積を小さくすることができる。また、複数の絶縁層の層間に電極、配線、スルーホール等の接続導体、回路等を配置した場合、例えばデータ記録装置100が配置される被計測物が酸性の培養液等の腐食性のものであったとしても、被計測物の中にデータ記録装置100を高い耐腐食性をもって配置することができる。
【0022】
第1アンテナおよび第2アンテナは、例えばループアンテナによって実現されてもよく、ダイポールアンテナによって実現されてもよい。第1アンテナおよび第2アンテナは、好ましくは、アンテナ長の調整が容易であり受信感度の高いループアンテナであってもよい。
【0023】
第1記憶部20および第2記憶部60は、プログラムおよびデータを記憶できる。第1記憶部20および第2記憶部60は、処理結果を一時的に記憶する作業領域としても利用してもよい。第1記憶部20および第2記憶部60は、記録媒体を含む。記録媒体は、半導体記憶媒体、および磁気記憶媒体等の任意の非一時的(non-transitory)な記憶媒体を含んでよい。また、第1記憶部20および第2記憶部60は、複数の種類の記憶媒体を含んでいてもよい。第1記憶部20および第2記憶部60は、メモリカード、光ディスク、または光磁気ディスク等の可搬の記憶媒体と、記憶情報の読み取り装置との組合せを含んでいてもよい。第1記憶部20および第2記憶部60は、RAM(Random Access Memory)等の一時的な記憶領域として利用される記憶デバイスを含んでいてもよい。
【0024】
本開示(第1の開示)のデータ蓄積システムおよびデータ蓄積方法において、データ送信開始要求信号は、第2通信モジュール50から第1通信モジュール10に送信されるように構成されており、第1制御部30は、第1通信モジュール10がデータ送信開始要求信号を受信した場合、非接触通信が可能であると判断するようにしてもよい。この場合、第1記憶部20は、第1通信モジュール10から第2通信モジュール50に送信するデータを記憶しており、さらにデータ送信開始要求信号に対応するデータ送信開始信号を記憶していてもよい。第1通信モジュール10がデータ送信開始要求信号を受信したら、第1制御部30が非接触通信が可能であると判断し、データの送信を開始してもよい。または、第1通信モジュール10がデータ送信開始要求信号を受信したら、第1制御部30が非接触通信が可能であると判断し、第1通信モジュール10が第2通信モジュール50にデータ送信開始信号を一旦送信し、その後にデータの送信を開始してもよい。第2記憶部60は、第2通信モジュール50が受信した、データ、時間情報およびデータ記録装置のID情報を記憶する。
【0025】
本開示のデータ蓄積システムおよびデータ蓄積方法において、「データ送信開始要求信号」とは、例えば、第1記憶部20に記憶されたデータを第1通信モジュール10から第2通信モジュール50に自動で送信開始するための信号を表す。データ送信開始要求信号は、第1通信モジュール10が第2通信モジュール50からデータ送信開始要求信号を受信した場合に、第1記憶部20に記憶されたデータを第1通信モジュール10から第2通信モジュール50に自動で送信開始するための信号であってもよい。また、データ送信開始要求信号は、第2通信モジュール50が第1通信モジュール10から受信した、データ送信に関する時間情報およびID情報のうちの少なくとも1つに基づいて、第1記憶部20に記憶されたデータを第1通信モジュール10から第2通信モジュール50に自動で送信開始するための信号であってもよい。
【0026】
本開示(第2の開示)のデータ蓄積システムにおいて、第1記憶部20は、第1通信モジュール10から第2通信モジュール50に送信するデータを記憶しており、さらにデータの送信開始を申請するためのデータ送信開始申請信号を記憶していてもよい。「データ送信開始申請信号」とは、例えば、第1記憶部20に記憶されたデータを第1通信モジュール10から第2通信モジュール50に自動で送信開始するための信号を表す。データ送信開始申請信号は、第2通信モジュール50が第1通信モジュール10からデータ送信開始申請信号を受信した場合に、第1記憶部20に記憶されたデータを第1通信モジュール10から第2通信モジュール50に自動で送信開始するための信号であってもよい。この場合、第2通信モジュール50が第1通信モジュール10からデータ送信開始申請信号を受信したら、第2通信モジュール50は第1通信モジュール10にデータ送信開始許可信号を送信する。第1通信モジュールがデータ送信開始許可信号を受信することによって、第1制御部30が非接触通信が可能であると判断し、データの送信を開始してもよい。また、データ送信開始申請信号は、第2通信モジュール50が第1通信モジュール10から受信した、データ送信に関する時間情報およびID情報のうちの少なくとも1つに基づいて、第1記憶部20に記憶されたデータを第1通信モジュール10から第2通信モジュール50に自動で送信開始するための信号であってもよい。
【0027】
「データの送信を自動で開始する」とは、特に限定されないが、例えば、作業者が手動で何らかの作業をすることなく、第1記憶部20に記憶されたデータが第1通信モジュール10から第2通信モジュール50に非接触通信によって送信開始されることを表す。
【0028】
「時間情報」とは、特に限定されないが、例えば、第1記憶部20にデータが記憶され始めた時刻、当該データが記憶された時間、当該データの記憶が停止された時間などを表す。
【0029】
「ID情報」とは、特に限定されないが、データ記録装置100を識別するための符号であってもよく、例えばデータ記録装置100の固有番号などを表す。
【0030】
本開示のデータ蓄積システムおよびデータ蓄積方法において、第2通信モジュール50は、データ送信開始要求信号を第1通信モジュール10に定期的に送信するようにしてもよい。データ送信開始要求信号を定期的に送信することは、例えば1秒間、1分間、1時間、1日などの一定の時間間隔をあけてデータ送信開始要求信号を繰り返し送信することである。
【0031】
また、データ記録装置100に備わった第1記憶部20の残部容量(または空き容量)が所定値(例えば、残部容量が50%)になったときにデータ送信開始要求信号を第1通信モジュール10に送信することを開始するようにしてもよい。そして、残部容量が40%、30%、20%、10%になった都度にデータ送信開始要求信号を第1通信モジュール10に送信するようにしてもよい。これにより、第1記憶部20が容量不足でオーバーフローすることを抑えることが容易になる。通信装置本体200による第1記憶部20の残部容量の監視は、第2記憶部60に、データ記録装置100の駆動開始からの経過時間と第1記憶部20の残部容量との相関データのデータテーブルを記憶させておき、経過時間から第1記憶部20の残部容量を推定するようにしてもよい。そして、第1通信モジュール10から第2通信モジュール50へのデータの送信が完了したら、第1記憶部20の残部容量が所定値(例えば、残部容量が50%)になるまでデータ送信開始要求信号を第1通信モジュール10に送信することを休止してもよい。
【0032】
上記にように、第2通信モジュール50がデータ送信開始要求信号を第1通信モジュール10に時間間隔をもって送信する場合であって、第1のデータ送信開始要求信号を送信したときに非接触通信が不可能であり、非接触通信が不可能な状態が継続するために次の第2のデータ送信開始要求信号、その次の第3のデータ送信開始要求信号・・・と順次送信する場合、第1のデータ送信開始要求信号と第2のデータ送信開始要求信号との間の時間間隔(Ty1とする)が、第2のデータ送信開始要求信号と第3のデータ送信開始要求信号との間の時間間隔(Ty2とする)よりも長いことがよい。換言すれば、Ty2がTy1よりも短いことがよい。即ち、Ty1>Ty2>Ty3>・・・>Tyn(nは2以上の整数)というように、非接触通信が可能になるまで送信間の時間間隔を順次短くすることがよい。この場合、非接触通信が可能となる機会が順次増加する、即ち非接触通信が可能となる確率が順次高まることから、第1記憶部20が容量不足でオーバーフローすることをより抑えることが容易になる。
【0033】
例えば、上記時間間隔を順次直前の1/2にしていく構成であってもよいが、この値に限らない。この構成は、上記時間間隔を指数関数的に短くしていく制御であるともいえる。この場合の指数関数は、例えばf(x)=ax(aは0<a<1の定数であり例えば0.5、xは変数であり時間または回数である)で表される。また、上記時間間隔を多項式時間的に短くしていく構成であってもよい。多項式時間は、例えばf(x)=xb(bは負の整数であり例えば-2である)等の関数で表され、指数関数よりも緩やかな変化を表す。また、上記時間間隔を多項式時間的に短くしていく制御と、指数関数的に短くしていく制御と、を組み合わせてもよい。例えば、前半部(例えば全体の30%~70%程度)は多項式時間的に短くしていく緩やかな制御を実施し、後半部(例えば全体の70%~30%程度)は指数関数的に短くしていく急激な制御を実施してもよい。この場合、非接触通信が可能となる確率が後半により高まる。
【0034】
また、第2通信モジュール50は、非接触通信が可能となるまでに、データ送信開始要求信号を第1通信モジュール10に、信号長を順次長くして送信してもよい。この場合、非接触通信が可能となる機会が順次増える、即ち非接触通信が可能となる確率が順次高まることから、第1記憶部20が容量不足でオーバーフローすることをより抑えることが容易になる。例えば、上記信号長を順次直前の2倍に長くしていく構成であってもよいが、この値に限らない。この構成は、上記信号長を指数関数的に長くしていく制御であるともいえる。この場合の指数関数は、例えばf(x)=ax(aは1<aの定数であり例えば2、xは変数であり時間または回数である)で表される。また、上記信号長を多項式時間的に長くしていく構成であってもよい。多項式時間は、例えばf(x)=xb(bは正の整数であり例えば2である)等の関数で表され、指数関数よりも緩やかな変化を表す。また、上記信号長を多項式時間的に長くしていく制御と、指数関数的に長くしていく制御と、を組み合わせてもよい。例えば、前半部(例えば全体の30%~70%程度)は多項式時間的に長くしていく緩やかな制御を実施し、後半部(例えば全体の70%~30%程度)は指数関数的に長くしていく急激な制御を実施してもよい。この場合、非接触通信が可能となる確率が後半により高まる。
【0035】
また、第2通信モジュール50は、非接触通信が可能となるまでに、データ送信開始要求信号を第1通信モジュール10に、信号強度を順次大きくして送信してもよい。この場合、非接触通信が可能となる確率が順次高まることから、第1記憶部20が容量不足でオーバーフローすることをより抑えることが容易になる。例えば、データ記録装置100と通信装置本体200とが遠隔している場合、例えば数10m~数100m以上離れている場合、データ送信開始要求信号が第1通信モジュール10に届きにくくなる。このような場合にも非接触通信が可能となる確率が順次高まる。例えば、上記信号強度を順次直前の2倍に大きくしていく構成であってもよいが、この値に限らない。この構成は、上記信号強度を指数関数的に大きくしていく制御であるともいえる。この場合の指数関数は、例えばf(x)=ax(aは1<aの定数であり例えば2、xは変数であり時間または回数である)で表される。また、上記信号強度を多項式時間的に大きくしていく構成であってもよい。多項式時間は、例えばf(x)=xb(bは正の整数であり例えば2である)等の関数で表され、指数関数よりも緩やかな変化を表す。また、上記信号強度を多項式時間的に大きくしていく制御と、指数関数的に大きくしていく制御と、を組み合わせてもよい。例えば、前半部(例えば全体の30%~70%程度)は多項式時間的に大きくしていく緩やかな制御を実施し、後半部(例えば全体の70%~30%程度)は指数関数的に大きくしていく急激な制御を実施してもよい。この場合、非接触通信が可能となる確率が後半により高まる。
【0036】
また、第2通信モジュール50は、非接触通信が可能となるまでに、データ送信開始要求信号を第1通信モジュール10に、周波数を順次小さくして(波長を順次長くして)、送信してもよい。この場合、データ記録装置100と通信装置本体200との間に通信の障害となる壁等の障害物があったとしても、データ送信開始要求信号の波長を順次長していくことによって、データ送信開始要求信号が障害物を乗り越えること、迂回することの確率が高まる。その結果、非接触通信が可能となる確率が順次高まることから、第1記憶部20が容量不足でオーバーフローすることをより抑えることが容易になる。例えば、上記周波数を順次直前の1/2にしていく構成であってもよいが、この値に限らない。この構成は、上記周波数を指数関数的に低くしていく制御であるともいえる。この場合の指数関数は、例えばf(x)=ax(aは0<a<1の定数であり例えば0.5、xは変数であり時間または回数である)で表される。また、上記周波数を多項式時間的に短くしていく構成であってもよい。多項式時間は、例えばf(x)=xb(bは負の整数であり例えば-2である)等の関数で表され、指数関数よりも緩やかな変化を表す。また、上記周波数を多項式時間的に低くしていく制御と、指数関数的に低くしていく制御と、を組み合わせてもよい。例えば、前半部(例えば全体の30%~70%程度)は多項式時間的に低くしていく緩やかな制御を実施し、後半部(例えば全体の70%~30%程度)は指数関数的に低くしていく急激な制御を実施してもよい。この場合、非接触通信が可能となる確率が後半により高まる。
【0037】
データ記録装置100は、第1記憶部20が容量不足でオーバーフローすることを抑える目的で、大容量の補助記憶装置を備えていてもよい。補助記憶装置は、半導体メモリカード、RAMを有する半導体メモリ素子等の半導体記憶装置、磁気ディスクなどの磁気記憶装置、光ディスク等の光学記憶装置、光磁気ディスク等の光磁気記憶装置であってもよい。例えば、第1記憶部20の空き容量がなくなった時点で、非接触通信が可能でなければ、第1記憶部20に記憶されたデータを補助記憶装置に転送し一時保存する。一時保存されたデータは、非接触通信が可能になった時点で通信装置本体200に転送する。一時保存の制御は、第1制御部30が行ってもよい。
【0038】
上述した、時間間隔を順次短くする制御、信号長を順次長くする制御、信号強度を順次大きくする制御、周波数を順次低くする制御のうちの複数の制御を組み合わせて実行してもよい。
【0039】
データ記録装置100が通信装置本体200に接続可能な通信環境とすることを容易にする目的で、データ記録装置100と通信装置本体200との間に中継器があってもよい。中継器は、単数または多数のデータ記録装置100を運搬するトレイ、多重トレイ、ワゴン、自動車等の運搬手段に設置されていてもよい。また中継器は、実験施設、研究施設、保存施設等の施設の敷地にあるアンテナ、電柱等に設置されていてもよい。また中継器は、前述の施設にある建築物、建築物内の部屋等に設置されていてもよい。また中継器は、空中において滞空または航空可能なドローン等の空中浮遊装置に設置されていてもよい。また中継器は、データ記録装置100から通信装置本体200に転送するデータの信号強度を大きくする機能を有していてもよい。
【0040】
また、第1記憶部20は、空き容量が所定値(例えば、50%)以下になったときに、データ記録装置100のデータの圧縮記憶を実行する構成であってもよい。データの圧縮記憶は、例えば以下の動作である。データにアドレスを付して記憶する場合、第1アドレス~第nアドレス(nは2以上の整数)のアドレス毎にデータを記憶する。第1記憶部20が、第1アドレス~第nアドレスの各データを記憶し終えて、空き容量があれば2回目の第1アドレス~第nアドレスの各データを引き続き記憶する。この動作をm回(mは2以上の整数)行う場合、同じアドレスにおいて、2回目以降は1回目と同じ値のデータを記憶することをしない。即ち、同じアドレスにおいて、2回目以降は1回目と異なる値のデータのみを記憶することによって、圧縮記憶を実行することができる。圧縮記憶の制御は、第1制御部30が行ってもよい。
【0041】
また、圧縮記憶は以下の動作であってもよい。例えば、1つのデータのビット数が8ビットである場合、8ビットの全部を使用しない低レベル(低容量)のデータ(例えば、4ビットで記憶可能なデータ)については、4ビットで記憶するようにしてもよい。1つのデータの容量(ビット数)の判別は、第1制御部30が行ってもよい。
【0042】
前述の圧縮記憶の制御は、ニューラルネットワークプログラム(多層パーセプトロンプログラムともいう)、所謂人口知能(Artificial Intelligence:AI)プログラムを用いて構築した、機械学習モデルによって実行してもよい。機械学習モデルは深層学習モデル(Deep Leaning Model)であってもよい。機械学習モデルを構築するための学習データ(教師データともいう)は、第1記憶部20の、記憶可能な全容量である記憶容量を含んでもよい。また、学習データは、1回目(1周回目)の第1アドレス~第nアドレスの各データに対する、2回目(2周回目)以降の第1アドレス~第nアドレスの各データの圧縮容量または圧縮率を含んでもよい。圧縮容量は、1つの周回において、1回目と同じ値のデータであることから記憶されなかった非記憶データの容量であり、ビット数、バイト数等で表される。圧縮率は、1つの周回において、非記憶データ容量と、非記憶データがなかった場合(圧縮記憶をしなかった場合)の全記憶データ容量との比(非記憶データ容量)/(全記憶データ容量)で表される。圧縮率が大きい場合、1回目と同じ値のデータが多いことを意味し、データの変化が小さいことを意味する。圧縮率が小さい場合、1回目と同じ値のデータが少ないことを意味し、データの変化が大きいことを意味する。圧縮率は、1つの周回において、非記憶データ容量と、記憶データ容量との比(非記憶データ容量)/(記憶データ容量)で表していてもよい。
【0043】
圧縮率は、データ取得の周回を重なるに伴ってほぼ一定である場合、線形に変化する場合、非線形に変化する場合等がある。即ち、機械学習モデルを用いて、圧縮率の変化、即ち圧縮率の時系列データから、データ変化の状況、データ変化の変動率等の法則性、ルールを自律的に見出し、データ変化の予測を行うことができる。圧縮率の時系列データの収集は、圧縮記憶を実施するデータ取得の全期間において行ってもよいが、圧縮記憶を実施するデータ取得の一部の期間、例えば第1記憶部20の空き容量が所定範囲(例えば、50%以下40%以上)の期間において行ってもよい。
【0044】
また、学習データは、第1記憶部20の空き容量がなくなったとき、即ち全容量の記憶動作が完了したとき、データの取得に要したデータ取得時間(T1とする)と、圧縮制御に要した圧縮制御時間(T2とする)と、データ転送時間(T3とする)と、圧縮したデータを画像装置等に表示させるために復元した復元時間(T4とする)と、を含んでもよい。データ取得時間T1は、圧縮記憶を行えば行うほど周回数(データ取得回数)が増加し、長くなる。圧縮制御時間T2は、圧縮記憶を行えば行うほど長くなる。データ転送時間T3は、第1記憶部20の記憶容量が一定であることから、圧縮記憶に関係なく一定である。復元時間T4は、圧縮記憶を行えば行うほど長くなる。
【0045】
第1記憶部20の記憶容量と圧縮率とT1~T4とに基づいて、データの取得から表示までの動作の動作効率を高めることができる。圧縮記憶を実行しなかった場合の動作効率(Ed1とする)をEd1=(データ取得の周回数)/(T1+T3)で表し、圧縮記憶を実行した場合の動作効率(Ed2とする)をEd2=(データ取得の周回数)/(T1+T2+T3+T4)で表す。機械学習モデルを用いて、圧縮率の変化とEd1とEd2から、圧縮記憶を実行しない動作(動作1とする)と圧縮記憶を実行する動作(動作2とする)のいずれが効率的であるか、即ちいずれが単位時間当たりのデータ取得の周回数が多いか、を判別することができる。これにより、動作1と動作2のうちより効率的な動作を選択することができる。
【0046】
また、機械学習モデルを用いて動作2を選択する場合、最も効率的な、圧縮記憶を開始する時点を推論することができる。例えば、第1記憶部20の空き容量が90%~10%になる時点のうち、どの時点で圧縮記憶を開始すると最も効率的であるかを推論し、推論によって得られた時点で圧縮記憶を開始することができる。
【0047】
機械学習モデルを構築するニューラルネットワークプログラムは、データ記録装置100または通信装置本体200に格納されていてもよく、外部の制御装置等に格納されていてもよい。ニューラルネットワークプログラムである多層パーセプトロンプログラムの層数(隠れ層の層数)は、数10層程度以上であってよく、必要に応じ100層以上、1000層以上であってもよい。学習データの個数は1000個程度以上あってよく、必要に応じ1万個以上、10万個以上であってもよい。
【0048】
第2の開示のデータ蓄積システムにおいても、上記と同様の構成を採用し得る。即ち、第1通信モジュール10がデータ送信開始申請信号を第2通信モジュール50に時間間隔をもって送信してもよく、その場合であって、第1のデータ送信開始申請信号を送信したときに非接触通信が不可能であり、非接触通信が不可能な状態が継続するために次の第2のデータ送信開始申請信号、その次の第3のデータ送信開始申請信号・・・と順次送信する場合、第1のデータ送信開始申請信号と第2のデータ送信開始申請信号との間の時間間隔(Ts1とする)が、第2のデータ送信開始申請信号と第3のデータ送信開始申請信号との間の時間間隔(Ts2とする)よりも長いことがよい。換言すれば、Ts2がTs1よりも短いことがよい。即ち、Ts1>Ts2>Ts3>・・・>Tsn(nは2以上の整数)というように、非接触通信が可能になるまで時間間隔を順次短くすることがよい。この場合、第1記憶部20が容量不足でオーバーフローすることをより抑えることが容易になる。
【0049】
第2通信モジュール50がデータ送信開始要求信号を第1通信モジュール10に定期的に送信する場合であって、第1のデータ送信開始要求信号を送信したときに非接触通信が不可能であり、次の第2のデータ送信開始要求信号を送信する場合、第2のデータ送信開始要求信号の強度(出力、レベルまたは振幅強度ともいう)が第1のデータ送信開始要求信号の強度よりも大きくなるようにしてもよい。この場合、データ記録装置100と通信装置本体200とが遠隔している、例えば数10m~数100m以上離れていても、非接触通信が可能になり易いという効果を奏する。また、同様の場合、第2のデータ送信開始要求信号としての第2の電波の波長が、第1のデータ送信開始要求信号のとしての第1の電波の波長よりも長くなるようにしてもよい。この場合、データ記録装置100と通信装置本体200との間に電波に対する障害物があったとしても、長波長の第2の電波は障害物を回折、迂回して通信装置本体200に到達し易くなることから、非接触通信が可能になり易いという効果を奏する。さらには、第2のデータ送信開始要求信号の強度が第1のデータ送信開始要求信号の強度よりも大きく、かつ第2のデータ送信開始要求信号の波長が第1のデータ送信開始要求信号の波長よりも長くなるようにしてもよい。この場合、非接触通信がさらに可能になり易いという効果を奏する。
【0050】
さらに、第2のデータ送信開始要求信号を送信したときに非接触通信が不可能である場合、第2のデータ送信開始要求信号と第3のデータ送信開始要求信号について、上記と同様の動作を実行し得る。即ち、非接触通信が可能になるまで、上記と同様の動作を繰り返してもよく、順次信号の強度を大きくしていく、および/または順次信号の波長を長くしていく、という動作を行わせてもよい。
【0051】
第2の開示のデータ蓄積システムにおいても、上記と同様の構成を採用し得る。即ち、第1通信モジュール10がデータ送信開始申請信号を第2通信モジュール50に定期的に送信してもよく、その場合であって、第1のデータ送信開始申請信号を送信したときに非接触通信が不可能であり、次の第2のデータ送信開始申請信号を送信する場合、第2のデータ送信開始申請信号の強度が第1のデータ送信開始申請信号の強度よりも大きくなるようにしてもよい。また、第2のデータ送信開始申請信号としての第2の電波の波長が、第1のデータ送信開始申請信号のとしての第1の電波の波長よりも長くなるようにしてもよい。さらには、第2のデータ送信開始申請信号の強度が第1のデータ送信開始申請信号の強度よりも大きく、かつ第2のデータ送信開始申請信号の波長が第1のデータ送信開始申請信号の波長よりも長くなるようにしてもよい。これらにより、非接触通信が可能になり易いという効果を奏する。
【0052】
さらに、第2のデータ送信開始申請信号を送信したときに非接触通信が不可能である場合、第2のデータ送信開始申請信号と第3のデータ送信開始申請信号について、上記と同様の動作を実行し得る。即ち、非接触通信が可能になるまで、上記と同様の動作を繰り返してもよく、信号の強度を順次大きくしていく、および/または信号の波長を順次長くしていく、という動作を行わせてもよい。
【0053】
また、第1記憶部20が容量不足でオーバーフローすることを抑えるために、データ記録装置100に複数の第1記憶部20が備わっていてもよい。複数の第1記憶部20のうち1つを主に用い、他をオーバーフローが発生したときの予備として用いることができる。
【0054】
また第1通信モジュール10は、データ送信開始要求信号を受信可能な通信環境にあるときに第2通信モジュール50にデータを送信する。データ送信開始要求信号を受信可能な通信環境は、データ記録装置100が運搬中である場合、データ記録装置100と通信装置本体200とが遠隔している場合、データ記録装置100と通信装置本体200との間に通信に対して壁等の障壁となる物がある場合等の受信不可能な通信環境にない場合に相当する。
【0055】
また、第1通信モジュール10がデータ送信開始要求信号をできるだけ受信可能な通信環境にあるようにするために、データ記録装置100と通信装置本体200との間に中継装置を配置してもよい。さらに、中継装置は、データ記録装置100および通信装置本体200の少なくとも一方と通信ケーブル等で接続された接触通信が可能な状態であってもよい。例えば、データ記録装置100が配置された場所の近く、またはデータ記録装置100が配置された部屋の中に中継装置があり、中継装置と通信装置本体200とが通信ケーブルで繋がっている場合、データ記録装置100を移動させたり運搬したとしても、データ記録装置100が中継装置から遠隔しない場合、またデータ記録装置100が中継装置がある部屋から外に出ない場合であれば、第1通信モジュール10がデータ送信開始要求信号を受信可能な通信環境にあるようにすることが容易になる。中継装置は、パーソナルコンピュータ(PC)の無線通信および有線通信に用いられるルーター、スマートフォン、スマートウォッチ等であってもよい。通信ケーブルは電話回線、光ファイバーケーブル等であってもよい。
【0056】
本開示の実施形態に係るデータ蓄積システム300の非接触通信の一例を
図2に示す。
図2において、双方向矢印は、非接触通信を表し、円弧の矢印は、データ記録装置103の第1記憶部23のみにデータが記憶されることを示す。
【0057】
図2に示されるように、一部のデータ記録装置が非接触通信できない場合、すなわち、データ記録装置101,102が通信装置本体200と非接触通信可能であり、データ記録装置103が通信装置本体200と非接触通信できない場合、データ記録装置101,102の第1記憶部21,22に記憶されたデータは、通信装置本体200に送信されるが、データ記録装置103では、第1記憶部23にのみデータが記憶され、第1記憶部23に記憶されたデータは通信装置本体200に送信されない。
【0058】
次に、全てのデータ記録装置が非接触通信可能となった場合、すなわち、データ記録装置101,102に加えて、非接触通信できなかったデータ記録装置103が非接触通信可能になった場合、データ記録装置103の第1記憶部23に記憶されたデータは、自動で通信装置本体200に送信される。
【0059】
第1制御部30は、第1通信モジュール10が第2通信モジュール50からデータ送信開始要求信号を受信した場合、非接触通信が可能であると判断する。
【0060】
本開示のデータ蓄積システム300は、複数のデータ記録装置101,102,103を備え、通信装置本体200は、複数のデータ記録装置101,102,103のうち、複数のデータ記録装置101,102,103を所定期間ごとに検索して非接触通信が可能であるか否かを判断し、複数のデータ記録装置101,102,103のうち非接触通信が可能であると判断されたデータ記録装置の第1通信モジュール10にデータ送信開始要求信号を送信するように第2通信モジュール50を制御する第2制御部70をさらに備えていてもよい。
【0061】
本開示のデータ蓄積システム300において、「所定期間」とは、特に限定されないが、データ記録装置100の第1記憶部20の容量が不足する前までの期間を表す。上述したように、例えば、データ記録装置100の駆動開始から第1記憶部20の残部容量が50%等になったときまでの期間であってもよい。
【0062】
また、第1記憶部20には、データ送信に関する時間情報と、データ記録装置101,102,103のID情報とが記憶されていてもよい。
【0063】
第1制御部30は、非接触通信が可能であると判断したとき、データ送信に関する時間情報およびデータ記録装置101,102,103のID情報のうちの少なくとも1つを第2通信モジュール50に送信するように第1通信モジュール10を制御してもよい。
【0064】
通信装置本体200は、第2通信モジュール50が受信する、データ、時間情報およびID情報を記憶する第2記憶部60をさらに備えていてもよい。
【0065】
本開示のデータ蓄積システム300において、通信装置本体200は、複数のデータ記録装置101,102,103に対して同時的に非接触通信を行う構成であってもよい。この場合、複数のデータ記録装置101,102,103の駆動制御、計測データの取得等に要する時間が大幅に短縮化され、効率的な運用が可能となる。複数のデータ記録装置101,102,103に対して同時的に非接触通信を行う場合、非接触給電と非接触通信を同時に行ってもよい。この場合、例えば、振幅および周波数が一定の交流信号である非接触給電信号に駆動制御信号等の非接触通信信号を重畳させて合成信号を生成して第1アンテナから発信し、第2アンテナで受信した合成信号を駆動制御部によって分波して非接触給電信号と非接触通信信号に分離し、それぞれ利用することができる。また、ほぼ同時とみなせるような極めて短い時間、例えば10μsec(マイクロ秒)~1000μsec程度の時間内に、非接触給電と非接触通信を時分割で行ってもよい。非接触給電および非接触通信は、例えば、第1アンテナから発信した電波(電磁波)が第2アンテナに電磁誘導による誘導電流を発生させることによって行われる。また、上記と逆方向の非接触通信は、第2アンテナから発信した電波(電磁波)が第1アンテナに電磁誘導による誘導電流を発生させることによって行われる。
【0066】
データ蓄積システム300のデータ記録装置100は、さらにセンサ素子を含むセンサ部を備えていてもよい。センサ素子は、pHセンサ素子、温度センサ素子、電気抵抗センサ素子および撮像センサ素子のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。さらにセンサ素子は、圧力センサ素子、磁気センサ素子、湿度センサ素子、色度センサ素子および照度センサ素子等のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0067】
センサ部は、容器内の被計測物、例えば細胞培養液、細胞等の状態を検出するために用いることができる。センサ部は、容器、例えばシャーレ、フラスコ、マルチウェルプレート等の内部に設置されてもよい。容器の形状、大きさ等は特には限定されないが、例えば細胞が増殖するのに適切なスペースを1つ以上有するものであってもよい。例えば、シャーレであれば幅または直径が数cm~数10cm程度、高さが数mm~数cm程度であり、フラスコであれば幅または直径が数cm~数10cm程度、高さが5cm~数10cm程度であり、マルチウェルプレートであれば幅または直径が数cm~数10cm程度、高さが0.5cm~数cm程度である。容器は、外部から内部が観察できるように、光学的に透明な材料、例えばプラスチック、ガラス等の材料から成ってもよい。
【0068】
また、マルチウェルプレートは、一つのウェルの平面視形状が円形、正方形等の四角形、五角形、六角形等の多角形等である。円形は細胞の等法的な増殖に適した形状であり、細胞が増殖しやすいという利点がある。六角形はウェルの最密配置に適した形状であり、マルチウェルプレートの小型化に有利である。
【0069】
より具体的には容器は、市販されている細胞培養容器であってもよく、例えば、細胞培養用プレート、細胞培養用フラスコまたは細胞培養用ディッシュであってもよい。これらの細胞培養容器は、蓋を備え、透明な樹脂による射出成形品によって実現されてもよい。
【0070】
容器は、液体、たとえば培養液を収容するための円筒型、逆部分円錐状等の形状の収容部を複数有することが好ましい。容器は、その内側または外側に、細胞および培養培地を収容していない状態でセンサ部が設置されており、その後細胞および培養液を供給されてもよく、細胞および培養液を収容した状態でセンサ部が設置されてもよい。容器は、細胞が十分に増殖すれば、センサ部を取り外すこともでき、細胞および培養液を回収し、洗浄し、滅菌した後、再びセンサ部を設置することもできる。
【0071】
また、通信装置本体200が容器の外部に設置され、データ記録装置100およびセンサ部が容器の内部に設置されてもよい。例えば、通信装置本体200が容器の外部の底面に接触するように設けられ、データ記録装置100およびセンサ部が容器の内部の底面に接触するように設けられてもよい。これによって、データ記録装置100の第1アンテナを通信装置本体200の第2アンテナに対して近接して配置することが可能となる。これによって、第1アンテナと第2アンテナとの間で送受信される、給電波、センサ素子制御信号、検出データ信号等の信号の減衰を抑えるとともに信号へのノイズの混入を低減し、第2アンテナによって高い受信強度で信号を受信することが可能となる。また、データ記録装置100を構成する第1基板の第2面(下面であって容器側の面)上の少なくとも一部に磁石、磁性層、シリコーン樹脂層等の粘着層などから成る第1吸着部材を配置し、容器の底面上の第1吸着部材に対応する部位に磁石、磁性層、シリコーン樹脂層等の粘着層などから成る第2吸着部材を配置してもよい。その場合、データ記録装置100の容器に対する位置固定が確実となり、容器を運搬する際などに容器が振動したとしてもデータ記録装置100が位置ずれを起こすことを抑えることができる。
【0072】
また、例えば、データ記録装置100が酸性の培養液等の腐食性の被計測物に接することがないので、データ記録装置100の耐久性が高まり長寿命になる、という効果も奏する。例えば、データ記録装置100およびセンサ部は容器の内側の側面に配置されていてもよく、その場合透明な容器の上方および下方から容器の内部を観察(モニタリング)することが容易となる。
【0073】
データ記録装置100が配置される第1基板、通信装置本体200が配置される第2基板としての基板は、その側面に酸化珪素(SiO2)、窒化珪素(Si3N4)等から成る保護層が配置されていてもよい。この場合、基板の側面が容器の内面等と接触した際に基板の側面、特に基板の角部に摩耗、欠け等の損傷が発生することを防ぐとともに容器内の培養液等の被計測物に基板の破片等の不要物が入り込むことを防ぐことができる。さらに、基板の側面に配置された保護層は、基板の第1面および第2面の少なくとも一方に延出する延出部を有していてもよい。これにより、基板の角部を保護する効果が向上する。また、基板の第1面および第2面の少なくとも一方に配置された絶縁層が基板の側面に延出して保護層となっている構成であってもよく、その場合も基板の角部を保護する効果が向上する。
【0074】
通信装置本体200を構成する第2基板の第1面(上面であって容器の底面側の面)上と容器の底面上との少なくとも一方の少なくとも一部に、シリコーン樹脂(シリコーンゴム)層等の粘着層、またはプラスチックテープ等のテープに粘着剤を両面に塗布、印刷等して形成された両面テープなどから成る粘着部材が、配置されていてもよい。この場合も上記と同様の効果を奏する。さらにこの粘着部材は、透光性を有することがよい。これにより、容器の内部を外部から観察することが容易になる。なお、シリコーン樹脂の粘着力は、微細網目構造を有するシリコーン樹脂が、被粘着物の表面の微細な凹凸面に食い込む効果と、分子間力、ファンデルワールス力等の分子接触による吸引力と、によって生じる。また、粘着剤は、被粘着物の表面の微細な凹凸面に食い込む効果が高い点で好適である。
【0075】
上記の第1吸着部材、第2吸着部材および粘着部材は、第1アンテナおよび第2アンテナの少なくとも一方に重ならない部位に配置されていることがよい。この場合、第1アンテナと第2アンテナとの間で送受信される、給電信号、センサ素子制御信号、検出データ信号等の信号の減衰を抑えるとともに信号へのノイズの混入を低減し、第2アンテナによって、高い受信強度で信号を受信することが可能となる。より好適には、上記の第1吸着部材、第2吸着部材および粘着部材は、第1アンテナおよび第2アンテナの双方に重ならない部位に配置されていることがよい。
【0076】
また、基板が円板状であることによって、例えば、細胞培養用プレート、細胞培養用フラスコ、または細胞培養用ディッシュなどの細胞の等方的な増殖に適した平面視において円形形状の収容空間を有する容器に適切に使用することができる。容器の形状としては、細胞の等方的な増殖に適した円筒状、逆部分円錐状がよい。特に逆部分円錐状の容器は、立体的かつ等方的な細胞の増殖に適している点で良い。
【0077】
細胞の種類は、特に限定されるものではなく、動物細胞、植物細胞、酵母細胞、細菌細胞等であってよい。動物細胞としては、筋肉細胞、肝臓等の内蔵細胞、リンパ球、単球及び顆粒球等の血液細胞、神経細胞、免疫細胞、iPS細胞(induced pluripotent stem cell)等がある。
【0078】
これらの細胞は、組織由来の初代細胞であってよく、あるいは継代培養細胞であってもよい。なお、iPS細胞は、人間の皮膚等の体細胞に、数種類の遺伝子を導入し培養することによって、ES細胞(embryonic stem cell:胚性幹細胞)のように様々な組織および臓器の細胞に分化できる分化万能性(pluripotency)と、分裂増殖を経てもそれを維持できる自己複製能、即ちほぼ無限に増殖する能力と、を持たせた細胞である。
【0079】
また細胞は、再生医療にとって好適な幹細胞であってもよく、幹細胞は、上記のiPS細胞等の多能性幹細胞、間葉系幹細胞(Mesenchymal Stem Cell:MSC)等の体性幹細胞であってもよい。間葉系幹細胞は、人が持つ幹細胞のひとつであり、骨髄、脂肪、皮膚など全身の様々な場所に存在している。間葉系幹細胞は、脂肪、骨、軟骨に分化できる細胞であり、また肝細胞、神経細胞等の組織細胞へも分化することができる。間葉系幹細胞は、骨髄由来のもの、脂肪由来のもの等がある。間葉系幹細胞は、iPS細胞と比較して、移植しても拒絶反応が起きにくいという免疫調整機能が備わっているという利点がある。また間葉系幹細胞は、腫瘍化のリスクも少ないという利点がある。従って、細胞は、再生医療にとってより好適な間葉系幹細胞であってもよい。
【0080】
本実施形態のデータ蓄積システム300は、増殖能力の高いiPS細胞の増殖数の管理に好適に用いることができる。さらに、細胞は、大腸菌細胞などの原核細胞であってもよく、動物細胞、植物細胞などの真核細胞であってもよい。細胞は、例えば、正常細胞、または腫瘍細胞などの異常細胞であってもよく、遺伝子導入された細胞などの人工的に作製された細胞であってもよい。また、細胞は、生体組織の一部として培養される細胞であってもよい。細胞培養は、接着培養であってもよく、浮遊培養であってもよい。
【0081】
例えば、センサ素子は、容器内の液体等の被計測物の、pHの値、温度等を測定してもよい。被計測物は、特に限定されないが、細胞培養用の培養媒質であってよく、培養媒質は、培養液等の液体、ゲル、ゼリー状物、寒天等の半固体状物、固体状物であってよい。液体は、例えば、緩衝液、培養液であってよく、市販されている細胞培養培地を使用することができ、使用する細胞に応じて選択される。培養媒質は、微生物および細胞等の生物組織の培養において、培養対象に生育環境を提供するものであり、ブドウ糖等の炭素源、ペプトン,硫酸アンモニウム等の窒素源、アミノ酸、ビタミン、リン酸塩等の無機塩類などの栄養素の供給源となるものである。また、細胞の増殖に必要な足場(増殖の基礎部)を与えるものでもある。具体的には、培養媒質としては、細胞の培養に必要な上記の栄養成分を含む液体から成る液体媒質、またはその液体に寒天、ゼラチンなどを加えて固形化した固形媒質がある。また培養液は、例えば、哺乳類細胞を培養する場合にはダルベッコ改変イーグル培地であってもよい。培養液は、細胞を培養するために必要な成分をさらに含んでいてもよく、例えば、ウシ血清アルブミン、成長因子、アミノ酸、抗生物質などを含んでいてもよい。
【0082】
<データ蓄積方法>
図3Aおよび
図3Bは、本開示の一実施形態のデータ蓄積方法を示すフローチャートである。本開示のデータ蓄積方法は、
図3Aに示すように、非接触通信用の第1通信モジュール10を含むデータ記録装置100と、第1通信モジュール10との間における非接触通信用の第2通信モジュール50を含み、データ送信開始要求信号を出力する通信装置本体200と、を備えたデータ蓄積システム300を使用し、第1通信モジュール10から第2通信モジュール50に送信するデータを記憶する第1記憶工程A1と、データ送信開始要求信号に基づいて、データの送信を開始するように第1通信モジュール10を制御する第1制御工程A3と、を含み、第1制御工程A3において、第1通信モジュール10と第2通信モジュール50との間の非接触通信が可能である場合、第1通信モジュール10から第2通信モジュール50へのデータの送信を開始する構成である。
【0083】
また、本開示のデータ蓄積方法は、
図3Bに示すように、データ蓄積システム300が複数のデータ記録装置101~103を含む場合、複数のデータ記録装置101~103を所定期間ごとに検索して非接触通信が可能か否かを判断し、当該複数のデータ記録装置101~103のうち、非接触通信が可能であると判断されたデータ記録装置の第1通信モジュール10にデータ送信開始要求信号を送信するように、第2通信モジュール50を制御する第2制御工程A2、ならびに第2通信モジュール50が受信した、データ、時間情報およびID情報を記憶する第2記憶工程A4をさらに含んでもよい。
【0084】
以下、本開示のデータ蓄積方法について順に説明を行なう。なお、データ記録装置、通信装置本体、第1通信モジュール10、第2通信モジュール50、第1記憶部20~23、第2記憶部60、第1制御部30、第2制御部70、データ送信開始要求信号、データ、時間情報、およびID情報については、本開示のデータ蓄積システム300と同様であるので説明を省略する。
【0085】
本開示の第1記憶工程A1は、第1通信モジュール10から第2通信モジュール50に送信するデータを記憶する工程である。例えば、第1記憶工程A1は、第1記憶部20によって実施される。
【0086】
本開示の第2制御工程A2は、複数のデータ記録装置101~103を所定期間ごとに検索して非接触通信が可能か否かを判断し、当該複数のデータ記録装置101~103のうち、非接触通信が可能であると判断されたデータ記録装置の第1通信モジュール10にデータ送信開始信号を送信するように、第2通信モジュール50を制御する。例えば、第2制御工程A2は、第2制御部70によって実施される。
【0087】
本開示の第1制御工程A3は、データ送信開始要求信号に基づいて、第1通信モジュール10から第2通信モジュール50へのデータの送信を開始させるように第1通信モジュール10を制御する。第1制御工程A3において、第1通信モジュール10が第2通信モジュール50からデータ送信開始要求信号を受信した場合、非接触通信が可能であると判断してもよい。また、第1制御工程A3において、非接触通信が可能である場合、データ送信に関する時間情報およびID情報のうちの少なくとも1つを第1通信モジュール10から第2通信モジュール50へ送信するように第1通信モジュール10を制御することができる。例えば、第1制御工程A3は、第1制御部30によって実施される。
【0088】
本開示の第2記憶工程A4は、第2通信モジュール50が受信した、データ、時間情報およびID情報を記憶する。例えば、第2記憶工程A4は、第2記憶部60によって実施される。
【0089】
本開示のデータ蓄積システムは、各種の通信システムに適用することができる。例えば、上述した細胞培養状態管理システム以外に、電話通信等の通話通信システム、医療用画像等の各種画像を送受信する画像通信システム、気象衛星等の情報を送受信する衛星通信システム、航空機、船舶等の航路を送受信する航路通信システム、自動車の走行数、渋滞情報等を送受信する交通管理システム、列車、地下鉄等の移動速度、位置等を管理する列車管理システム、商品の販売量等を送受信する商品管理システム、通行人の通行量等をモニターする通行量監視システム、監視カメラの災害情報、犯罪情報等を送受信する安全管理システム、ドローン等による耕作地の作付け状況等の情報を送受信する作付け管理システム、ドローン等による森林、海洋等の自然環境の情報を送受信する自然環境監視システムなどがある。
【0090】
本開示(第1の開示)のデータ蓄積システムによれば、上述のように構成されるので、データ記録装置の第1通信モジュールと通信装置本体の第2通信モジュールとが非接触通信できない期間があっても、非接触通信が可能になれば、データを自動でデータ記録装置の第1記憶部から通信装置本体に非接触通信によって送信することが可能となる。これによって、常に非接触通信が可能な通信環境になくても、一度非接触通信が可能な通信環境となればデータを自動でデータ記録装置から通信装置本体に送信することができる。従って、作業者が手動でデータを転送する手間を省くことが可能となる。また、データ記録装置の内部メモリの容量状況を作業者が監視し続けたり、定期的にチェックするという手間も省くことができる。
【0091】
また、本開示の他の態様に係るデータ蓄積システムによれば、データ送信開始要求信号は、第2通信モジュールから第1通信モジュールに送信されるように構成されており、第1制御部は、第1通信モジュールがデータ送信開始要求信号を受信した場合、非接触通信が可能であると判断する。即ち、第2通信モジュールが第1通信モジュールに対してデータ送信開始を要求するデータ送信開始要求信号を送信し、第1通信モジュールがデータ送信開始要求信号を受信する、という送受信が成立した場合に非接触通信が可能であると判断する。これにより、第1通信モジュールと第2通信モジュールとの間の非接触通信状況に応じて、第1記憶部が単独でデータを蓄積するか、または第1記憶部から通信装置本体にデータを転送するかを自動で判断することが可能となる。
【0092】
また、本開示の他の態様に係るデータ蓄積システムによれば、第2通信モジュールは、データ送信開始要求信号を第1通信モジュールに定期的に送信することから、データ送信開始の要求を定期的に行うことができる。これにより、データ記録装置の内部メモリの容量がオーバーフローする前に、第1通信モジュールから第2通信モジュールにデータを送信することが容易になる。
【0093】
また、本開示の他の態様に係るデータ蓄積システムによれば、第1通信モジュールは、データ送信開始要求信号を受信可能な通信環境にあるときに第2通信モジュールにデータを送信することから、第1通信モジュールにおいて非接触通信が可能か否かの判断が容易になる。即ち、第2通信モジュールがデータ送信開始の要求を行っても、第1通信モジュールがデータ送信開始要求信号を受信しない限り、誤ってデータを送信することを回避することができる。
【0094】
また、本開示の他の態様に係るデータ蓄積システムによれば、データ記録装置は、複数備えられてもよく、通信装置本体は、複数のデータ記録装置を所定期間ごとに検索して非接触通信が可能か否かを判断し、当該複数のデータ記録装置のうち、非接触通信が可能であると判断されたデータ記録装置の第1通信モジュールにデータ送信開始要求信号を送信するように、第2通信モジュールを制御する第2制御部をさらに備えるので、複数のデータ記録装置のうち非接触通信が可能な非接触通信可能データ記録装置を選択して、当該非接触通信可能データ記録装置の第1記憶部に記憶されたデータを通信装置本体の第2記憶部に自動で転送することが可能となる。また、一度非接触通信できなかったデータ記録装置であっても、所定期間が経過した後に非接触通信が可能になっていれば、自動でデータを転送することが可能となる。
【0095】
また、本開示の他の態様に係るデータ蓄積システムによれば、第1記憶部には、データ送信に関する時間情報と、データ記録装置のID情報とが記憶され、第1制御部は、非接触通信が可能であると判断したとき、時間情報およびID情報のうちの少なくとも1つを、第1通信モジュールから第2通信モジュールへ送信するように、第1通信モジュールを制御するので、時間情報およびID情報のうちの少なくとも1つに基づいて通信装置本体側でデータを容易に検索することが可能となる。
【0096】
また、本開示の他の態様に係るデータ蓄積システムによれば、第2通信モジュールが受信する、データ、時間情報およびID情報を記憶する第2記憶部をさらに備えるので、データを転送した後に所定の時間が経過した後であっても第2記憶部に記憶された、時間情報およびID情報のうちの少なくとも1つに基づいて通信装置本体側でデータを容易に検索することが可能となる。
【0097】
また、本開示(第2の開示)のデータ蓄積システムは、上述の構成を有することから、第1制御部は、データ記録装置から通信装置本体に送信したデータ送信開始申請信号に対して通信装置本体からデータ送信開始の許可があった場合、非接触通信が可能であると判断する。例えば、第1通信モジュールが第2通信モジュールに対してデータ送信開始を申請するデータ送信開始申請信号を送信し、第2通信モジュールがデータ送信開始申請信号を受信する、という送受信が成立した場合に非接触通信が可能であると判断する。これにより、第1通信モジュールと第2通信モジュールとの間の非接触通信状況に応じて、第1記憶部が単独でデータを蓄積するか、または第1記憶部から通信装置本体にデータを転送するかを自動で判断することが可能となる。即ち、常に非接触通信が可能な通信環境になくても、一度非接触通信が可能な通信環境となればデータを自動でデータ記録装置から通信装置本体に送信することができる。従って、作業者が手動でデータを転送する手間を省くことが可能となる。また、データ記録装置の内部メモリの容量状況を作業者が監視し続けたり、定期的にチェックするという手間も省くことができる。
【0098】
本開示のデータ蓄積方法によれば、上述の工程を含むので、データ記録装置の第1通信モジュールと通信装置本体の第2通信モジュールとが非接触通信できない期間があっても、一度非接触通信が可能になれば、データを自動でデータ記録装置から通信装置本体に非接触通信によって送信することが可能となる。これによって、常に非接触通信が可能な通信環境になくても、一度非接触通信が可能な通信環境となればデータを自動でデータ記録装置から通信装置本体に送信することができる。従って、作業者が手動でデータを転送する手間を省くことが可能となる。また、データ記録装置の内部メモリの容量状況を作業者が監視し続けたり、定期的にチェックするという手間も省くことができる。
【0099】
このように、本開示のデータ蓄積システムおよびデータ蓄積方法によれば、上述のような構成を有することによって、データ記録装置の第1通信モジュールと通信装置本体の第2通信モジュールとが非接触通信できない期間があっても、作業者が、非接触通信が可能になるのを待って手動でデータをデータ記録装置の第1記憶部から通信装置本体に転送する手間を省くことが可能となる。また、データ記録装置の内部メモリの容量状況を作業者が監視し続けたり、定期的にチェックするという手間も省くことができる。
【0100】
以上、本開示について詳細に説明したが、本開示は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、改良等が可能である。上記各実施形態をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0101】
10 第1通信モジュール
20,21,22,23 第1記憶部
30 第1制御部
50 第2通信モジュール
60 第2記憶部
70 第2制御部
100,101,102,103 データ記録装置
200 通信装置本体
300 データ蓄積システム