(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】シールドスプリングコンタクト、シールドスプリングコンタクトを備えるプラグインコネクタ、およびシールドスプリングコンタクトを備えるプラグインコネクタシステム
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6582 20110101AFI20231127BHJP
【FI】
H01R13/6582
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022014721
(22)【出願日】2022-02-02
【審査請求日】2022-03-07
(31)【優先権主張番号】10 2021 102 778.0
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】ヨッヘン フェアティヒ
(72)【発明者】
【氏名】マクシミリアン ファイール
(72)【発明者】
【氏名】マルティン リスティング
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ コスマルスキー
(72)【発明者】
【氏名】ウミト ブルドゥク
(72)【発明者】
【氏名】アイケ リュリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン シェアー
(72)【発明者】
【氏名】イヴァン イヴァノフ
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/108171(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02200130(EP,A1)
【文献】特開平08-138798(JP,A)
【文献】実開平03-071578(JP,U)
【文献】実開平03-043284(JP,U)
【文献】特開2021-118184(JP,A)
【文献】特開2021-141059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/56-13/72
H01R24/00-24/86
H01R9/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のプラグインコネクタ(100)および第2のプラグインコネクタ(200)を備えるプラグインコネクタシステム(10)であって、
前記第1のプラグインコネクタ(100)は、アセンブリハウジング部(101)と、前記アセンブリハウジング部(101)に接続されているシールドスプリングコンタクト(102)とを有し、前記第2のプラグインコネクタ(200)は、前記シールドスプリングコンタクト(102)に接続されているシールドハウジング(206)を有し、
前記アセンブリハウジング部(101)は、底面(111)および第1の貫通開口部(112)を有し、
前記シールドスプリングコンタクト(102)は、平坦基部(114)およびシールド部(113)を有し、
前記基部(114)は、頂面(115)および切抜き部(122)を有し、
前記シールドスプリングコンタクト(102)の前記シールド部(113)は、前記基部(114)に接続され前記切抜き部(122)を包囲する壁(117)を有し、
前記壁(117)は、外面(119)、内面(118)、上面(120)、および下面(121)を有し、
前記壁(117)は、前記壁(117)の前記下面(121)が前記基部(114)の前記切抜き部(122)を横方向に取り囲むように、前記壁(117)の前記下面(121)を介して前記基部(114)の前記頂面(115)に配置されており、
前記第2のプラグインコネクタ(200)の前記シールドハウジング(206)は、前記アセンブリハウジング部(101)を向く第2の貫通開口部(213)を有するシールドハウジング壁(212)を有し、
前記シールドスプリングコンタクト(102)は、前記基部(114)の前記頂面(115)を介して前記アセンブリハウジング部(101)の前記底面(111)に当接しており、
前記シールドスプリングコンタクト(102)の前記シールド部(113)は、前記アセンブリハウジング部(101)の前記第1の貫通開口部(112)を通して突出し、
前記シールド部(113)は、前記シールドハウジング壁(212)の前記第2の貫通開口部(213)を通して前記シールドハウジング(206)内へと突出し、前記第2の貫通開口部(213)の領域において前記シールドハウジング壁(212)に当接しており、
前記シールドスプリングコンタクト(102)の前記壁(117)は、少なくとも部分的に円錐形の構成であり、前記基部(114)から離れる方向に先細りになっている、
プラグインコネクタシステム(10)。
【請求項2】
金属被覆(129)が、少なくとも部分的に前記壁(117)の前記外面(119)に配置されている、請求項1に記載のプラグインコネクタシステム(10)。
【請求項3】
前記シールド部(113)は、少なくとも部分的に前記上面(120)と前記下面(121)との間の領域において幅広になっている、請求項1または2に記載のプラグインコネクタシステム(10)。
【請求項4】
前記金属被覆(129)は、幅広になっている部分(128)の領域に配置されている、請求項2に記載のプラグインコネクタシステム(10)。
【請求項5】
固定構造体(124、125、126)が、前記壁(117)の前記外面(119)上および前記下面(121)の領域に配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のプラグインコネクタシステム(10)。
【請求項6】
前記壁(117)は、少なくとも部分的に、前記基部(114)に垂直に延びる方向に沿って溝穴のあいた構成である、請求項1から5のいずれか一項に記載のプラグインコネクタシステム(10)。
【請求項7】
前記基部(114)は、環状円盤状の構成である、または複数の環状円盤セグメント(127)を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のプラグインコネクタシステム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドスプリングコンタクト、シールドスプリングコンタクトを備えるプラグインコネクタ、およびシールドスプリングコンタクトを備えるプラグインコネクタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
シールド電流を流すように構成されたシールドシステムを有するプラグインコネクタシステムが、従来技術から知られている。高周波電流が導電体に流れると、シールド電流がシールドに容量結合または誘導結合する場合がある。プラグインコネクタシステムの第1のプラグインコネクタが、例えばアセンブリの導電性ハウジングに一体化されている場合、シールド電流がハウジングのハウジング壁に伝導する場合がある。
【0003】
このために、ハウジング壁は通常、ハウジング壁の切抜き部の周囲の領域に配置された中空円筒状ドームを有する。ハウジング壁のそのようなドームは、ダイキャスト加工を用いて作製され得る。ドームは、切抜き部に配置された導電体を遮蔽し、シールド電流を逸らすように意図される。
【0004】
ハウジングの複雑な作製に加えて、ドームと第2のプラグインコネクタのシールド構造体との間の安全な電気的接触接続のためにドームを加工することがさらに必要となる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、それぞれ独立した請求項の特徴を有する、プラグインコネクタおよびプラグインコネクタシステムのためのシールドスプリングコンタクト、ならびに、シールドスプリングコンタクトを各々備えるプラグインコネクタおよびプラグインコネクタシステムを提供することにある。この目的は、独立請求項の特徴を有するシールドスプリングコンタクト、プラグインコネクタおよびプラグインコネクタシステムによって実現される。有利な発展形が従属請求項に規定されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
プラグインコネクタシステムは、第1のプラグインコネクタおよび第2のプラグインコネクタを有する。第1のプラグインコネクタは、アセンブリハウジング部と、アセンブリハウジング部に接続されているシールドスプリングコンタクトとを有する。第2のプラグインコネクタは、シールドスプリングコンタクトに接続されているシールドハウジングを有する。アセンブリハウジング部は、底面および第1の貫通開口部を有する。シールドスプリングコンタクトは、平坦基部およびシールド部を有する。基部は、頂面および切抜き部を有する。シールドスプリングコンタクトのシールド部は、基部に接続され切抜き部を包囲する壁をさらに有する。壁は、外面、内面、上面および下面を有する。壁は、壁の下面が基部の切抜き部を横方向に取り囲むように、壁の下面を介して基部の頂面に配置されている。
第2のプラグインコネクタのシールドハウジングは、アセンブリハウジング部を向く第2の貫通開口部を有するシールドハウジング壁を有する。シールドスプリングコンタクトは、基部の頂面を介してアセンブリハウジング部の底面に当接している(bear against)。シールドスプリングコンタクトのシールド部は、アセンブリハウジング部の第1の貫通開口部を通して突出する。シールド部はまた、シールドハウジング壁の第2の貫通開口部を通してシールドハウジング内へと突出し、第2の貫通開口部の領域においてシールドハウジング壁に当接している。
【0007】
ドームを有するアセンブリハウジング部の作製が省かれるので、シールドスプリングコンタクトにより、有利には、アセンブリハウジング部を簡単に作製することが可能となる。加えて、その後のアセンブリハウジング部のドームの加工が必要なくなり、その結果、アセンブリハウジング部、第1のプラグインコネクタおよびプラグインコネクタシステムをより簡単に作製することができる。したがって、プラグインコネクタシステムは、アセンブリハウジング部がドームを有せず、それに代えて、アセンブリハウジング部の貫通開口部を通して突出しそれに電気的かつ機械的に接続されたシールドスプリングコンタクトが用いられることに基づいている。
【0008】
一実施形態において、シールドスプリングコンタクトの壁は、少なくとも部分的に円錐形の構成であり、基部から離れる方向に先細りになっている。これにより、プラグインコネクタシステムにおいてくさび効果を有利に形成することができ、その結果、シールドスプリングコンタクトと第2のプラグインコネクタのシールドハウジングとの間の電気的接触および機械的接触を改善することができる。
【0009】
一実施形態において、金属被覆が、少なくとも部分的に壁の外面に配置されている。金属被覆により、シールドスプリングコンタクトと第2のプラグインコネクタのシールドハウジングとの間の電気的接触を有利に改善することができる。金属被覆は、例えば電気化学的プロセスを用いて、壁の外面に配置されてよい。代替として、金属被覆は、圧延クラッドにより配置されてよい。
【0010】
一実施形態において、シールド部は、少なくとも部分的に上面と下面との間の領域において幅広になっている。幅広の壁により、シールドスプリングコンタクトと第2のプラグインコネクタのシールドハウジングとの間の電気的接触および機械的接触を有利に改善することができる。
【0011】
一実施形態において、金属被覆は、幅広部の領域に配置されている。幅広部に配置された金属被覆により、シールドスプリングコンタクトと第2のプラグインコネクタのシールドハウジングとの間の電気的接触を有利に改善することができる。
【0012】
一実施形態において、固定構造体が、壁の外面上および下面の領域に配置されている。固定構造体により、有利には、シールドスプリングコンタクトをアセンブリハウジング部に押し込むことが可能となり、その結果、シールドスプリングコンタクトおよびアセンブリハウジング部が特に強固に互いに機械的かつ電気的に接続される。
【0013】
一実施形態において、壁は、少なくとも部分的に、基部に垂直に延びる方向に沿って溝穴のあいた構成である。
【0014】
一実施形態において、基部は、環状円盤状の構成である、または複数の環状円盤セグメントを備える。このために、基部は、アセンブリハウジング部に当接するように意図され、その結果、シールドスプリングコンタクトとアセンブリハウジング部との間の確実な電気的接触が形成される。
【0015】
第1のプラグインコネクタは、アセンブリハウジング部と、アセンブリハウジング部に接続されているシールドスプリングコンタクトとを有する。アセンブリハウジング部は、底面および第1の貫通開口部を有する。シールドスプリングコンタクトは、平坦基部およびシールド部を有する。基部は、頂面および切抜き部を有する。シールドスプリングコンタクトのシールド部は、基部に接続され切抜き部を包囲する壁を有する。壁は、外面、内面、上面および下面を有する。壁は、壁の下面が基部の切抜き部を横方向に取り囲むように、壁の下面を介して基部の頂面に配置されている。シールドスプリングコンタクトは、基部の頂面を介してアセンブリハウジング部の底面に当接している。シールドスプリングコンタクトのシールド部は、アセンブリハウジング部の第1の貫通開口部を通して突出する。
シールド部は、シールドハウジング壁の第2の貫通開口部を通して、上記の実施形態のうちの1つに係るプラグインコネクタシステムの第2のプラグインコネクタのシールドハウジング内へと突出し、第2の貫通開口部の領域においてシールドハウジング壁に当接するように構成されている。
【0016】
シールドスプリングコンタクトは、平坦基部およびシールド部を有する。基部は、頂面および切抜き部を有する。シールド部は、基部に接続され切抜き部を包囲する壁を有する。壁は、外面、内面、上面および下面を有する。壁は、壁の下面が基部の切抜き部を横方向に取り囲むように、壁の下面を介して基部の頂面に配置されている。基部は、その頂面を介して、第1のプラグインコネクタのアセンブリハウジング部の底面に当接するように構成されている。シールド部は、第1のプラグインコネクタのアセンブリハウジング部の第1の貫通開口部を通して突出するように構成されている。シールド部は、シールドハウジング壁の第2の貫通開口部を通して、実施形態のうちの1つに係るプラグインコネクタシステムの第2のプラグインコネクタのシールドハウジング内へと突出し、第2の貫通開口部の領域においてシールドハウジング壁に当接するように構成されている。
【0017】
シールドスプリングコンタクトは、それ自体として、またプラグインコネクタシステムまたは第1のプラグインコネクタの構成部品であるか否かに関わらず、プラグインコネクタシステムの様々な実施形態に関連して説明されている特徴を含んでいてよい。
【0018】
本発明について、図面を参照して以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】プラグインコネクタシステムの断面図である。
【
図2】
図1のプラグインコネクタシステムのシールドシステムの斜視断面図である。
【
図3】
図2のシールドシステムのシールドスプリングコンタクトの斜視図である。
【
図4】さらなる実施形態に係るシールドスプリングコンタクトの斜視図である。
【
図5】従来技術に係るプラグインコネクタシステムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、プラグインコネクタシステム10の断面図を示す。プラグインコネクタシステム10は、例えば高電圧プラグイン接続部として構成されていてよく、例えば自動車の、例えば電気自動車またはハイブリッド車の構成部品であってよいが、これは必ずしも必須ではない。
【0021】
プラグインコネクタシステム10は、共にプラグインコネクタシステム10に差し込まれる第1のプラグインコネクタ100および第2のプラグインコネクタ200を有する。第1のプラグインコネクタ100は、ソケットとして構成されている。第2のプラグインコネクタ200は、プラグとして構成されている。第2のプラグインコネクタ200は、例として折れ曲がった構成であり、その結果、プラグインコネクタシステム10も折れ曲がった構成である。しかしながら、第2のプラグインコネクタ200は、直線状の構成であってもよい。プラグインコネクタシステム10は、任意の所望の数の極を有していてよい。したがって、
図1の図は、プラグインコネクタシステム10の1つの極の断面図を示す。
【0022】
第2のプラグインコネクタ200は、第2の導電体201を有する。第2の導電体201は、任意の所望の金属、例えば銅を含んでいてよい。第2の導電体201は、単一のストランドとして構成されていてもよく、または、例えば撚り合わせられ得る多数のストランドを含んでいてもよい。第2の導電体201は、第1の絶縁体202に埋め込まれている。第1の絶縁体202は、誘電性プラスチックを含む。シールド203が、第1の絶縁体202上に配置されている。シールド203は、金属、例えばスズめっき銅を含み、第2の導電体201を遮蔽するように意図されている。シールド203は、例えばシールド編組線として構成されていてよい。第2の導電体201およびシールド203は、同軸に配置されている。
図1の切断面に垂直に延びる平面において、第2の導電体201は円形の断面を有し、シールド203は環状の断面を有する。
しかしながら、第2の導電体201およびシールド203は、異なる形状であってもよい。同様に誘電性プラスチックを含む第2の絶縁体204が、シールド203上に配置されている。第1の絶縁体202および第2の絶縁体204は、例えばポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ゴムまたはポリウレタン(PUR)を含んでいてよい。第2の導体201、第1の絶縁体202、シールド203および第2の絶縁体204は、ケーブル205を形成する。
【0023】
第2のプラグインコネクタ200は、第2のコンタクト構造体207を有する。第2のコンタクト構造体207は、金属を含む。第2のコンタクト構造体207は、第2の導電体201に電気的かつ機械的に接続された接続部208を有する。第2のコンタクト構造体207は、接続部208に電気的かつ機械的に接続されたコンタクト部209をさらに有し、ここで、第2のコンタクト構造体207の接続部208、コンタクト部209は互いに一体に接続されていてよい、すなわち第2のコンタクト構造体207は単一部品で構成されていてよいが、これは必須ではない。コンタクト部209は、例としてコンタクトスリーブとして構成される。しかしながら、コンタクト部209は、コンタクトピンとして構成されていてもよい。
【0024】
第2のプラグインコネクタ200は、ハウジング210を有する。ケーブル205は、ハウジング210内へと突出する。ハウジング210は、例えばプラスチックを含んでいてよい。第2のプラグインコネクタ200は、金属、例えば真鍮などの銅合金、または例えば鋼鉄を含むシールドハウジング206をさらに有する。シールドハウジング206は、ハウジング210内部に配置されている。シールドハウジング206は、シールド203に電気的かつ機械的に接続されている。ケーブル205は、ハウジング210の第1の開口部214を通してハウジング210内へと突出する。第2の封止材211が、第1の開口部214の領域に配置され、ハウジング210とケーブル205との間の領域を封止する。
ケーブル205の第2の導電体201は、シールドハウジング206の第2の開口部215を通してシールドハウジング206内へと突出する。第2のコンタクト構造体207は、シールドハウジング内に配置されている。
【0025】
第1のプラグインコネクタ100は、アセンブリハウジング部101およびシールドスプリングコンタクト102を有する。シールドスプリングコンタクト102は、アセンブリハウジング部101に電気的に接続されている。プラグインコネクタシステム10において、シールドスプリングコンタクト102は、シールドハウジング206に電気的に接続されている。第1のプラグインコネクタ100のアセンブリハウジング部101およびシールドスプリングコンタクト102は、第2のプラグインコネクタ200のシールドハウジング206およびシールド203と共に、プラグインコネクタシステム10のシールドシステム11を形成する。
図2は、
図1のプラグインコネクタシステム10のシールドシステム11の斜視断面図を図示する。明確性の理由から、プラグインコネクタシステム10の他の構成部品およびシールドシステム11のシールド203は、
図2では示していない。
【0026】
アセンブリハウジング部101は、第1の頂面110と、第1の頂面110の反対側に位置する第1の底面111とを有する。さらに、アセンブリハウジング部101は、第1の貫通開口部112を有する。シールドスプリングコンタクト102は、平坦基部114およびシールド部113を有する。平坦基部114は、第2の頂面115と、第2の頂面115の反対側に位置する底面116と、切抜き部122とを有する。シールドスプリングコンタクト102は、基部114の第2の頂面115を介してアセンブリハウジング部101の第1の底面111に当接しており、これによりアセンブリハウジング部101に電気的に接続されている。
【0027】
シールドスプリングコンタクト102のシールド部113は、基部114に接続され切抜き部122を包囲する壁117を有する。壁117は、外面119、内面118、上面120および下面121を有する。壁117は、壁117の下面121が基部114の切抜き部122を横方向に取り囲むように、壁117の下面121を介して基部114の第2の頂面115に配置されている。シールドスプリングコンタクト102のシールド部113は、アセンブリハウジング部101の第1の貫通開口部112を通して突出する。第1の貫通開口部112の領域において、シールド部113は、壁117の外面119を介してアセンブリハウジング部101に当接している。
【0028】
第2のプラグインコネクタ200のシールドハウジング206は、アセンブリハウジング部101を向く第2の貫通開口部213を有するシールドハウジング壁212を有する。プラグインコネクタシステム10のシールドシステム11において、シールド部113は、シールドハウジング壁212の第2の貫通開口部213を通してシールドハウジング206内へと突出し、第2の貫通開口部213の領域において、壁117の外面119を介してシールドハウジング壁212に当接しており、その結果、シールド部113がシールドハウジング206に電気的に接続されている。この場合、壁117は、シールドハウジング壁212に対して斜めに延びるように構成される。
【0029】
プラグインコネクタシステム10について、
図1を参照して以下で説明する。第1のプラグインコネクタ100は、ヘッダ131を有する。ヘッダ131は、例えば少なくとも1種のプラスチックを含む。ヘッダ131は、アセンブリハウジング部101の第1の底面111、およびシールドスプリングコンタクト102の基部114の第2の底面116の両方に当接する部分を有する。加えて、ヘッダ131は、アセンブリハウジング部101の第1の貫通開口部112を通して突出しシールド部113の壁117の内面118に当接する部分103を有する。ヘッダ131の、第1の貫通開口部112を通して突出する部分103は、例として、
図1の図示においてシールド部113の壁117を越えて突出する。
【0030】
第1のプラグインコネクタ100は、第1のコンタクト構造体104を有する。第1のコンタクト構造体104は、金属を含み、単に例として、二重スリーブとして構成される。第1のプラグインコネクタ100の第1のコンタクト構造体104は、アセンブリハウジング部101の第1の貫通開口部112を通して突出する。プラグインコネクタシステム10において、第1のコンタクト構造体104は、第2のプラグインコネクタ200のシールドハウジング206内へと突出する。第1のコンタクト構造体104は、外面を介して、ヘッダ131の部分103の内面に当接している。
【0031】
第1のコンタクト構造体104は、プラグインコネクタシステム10において第2のコンタクト構造体207に電気的かつ機械的に接続されている。
図1のプラグインコネクタシステム10の例示的実施形態において、コンタクトスリーブとして構成された第2のプラグインコネクタ200の第2のコンタクト構造体207は、一端において、二重スリーブとして構成された第1のプラグインコネクタ100の第1のコンタクト構造体104内へと突出する。これにより、第1のコンタクト構造体104は、第2のプラグインコネクタ200の第2の導電体201に電気的に接続されている。
【0032】
第1のコンタクト構造体104を固定する目的で、ヘッダ131は、同様にアセンブリハウジング部101の第1の貫通開口部112を通して突出するさらなる部分106を有する。このさらなる部分106は、第1のコンタクト構造体104を通して突出し、第1のコンタクト構造体104の内面に当接している。これにより、第1のコンタクト構造体104は、第1のプラグインコネクタ100において安定している。さらなる部分106はまた、例として、スリーブとして構成された第2のコンタクト構造体207内へと突出する。これにより、第1のコンタクト構造体104および第2のコンタクト構造体207を含む接続部が固定され、安定している。
【0033】
第1のプラグインコネクタ100は、第1のコンタクト構造体104に電気的かつ機械的に接続された第1の導電体を有していてよい。簡潔性の理由から、第1の導電体は
図1では示していない。第1の導電体は、第1のコンタクト構造体104の、第2のコンタクト構造体207とは逆の側に配置されていてよい。これにより、第1の導電体105、第1のコンタクト構造体104、第2のコンタクト構造体207および第2の導電体201は、プラグインコネクタシステム10において互いに電気的に接続されている。
【0034】
ヘッダ131は、アセンブリハウジング部101の上方に配置されたアタッチメント107を有する。封止材109が、シールドスプリングコンタクト102の周囲の領域に配置されている。封止材109は、第2のプラグインコネクタ200のハウジング210と第1のプラグインコネクタ100のアタッチメント107との間の領域を封止するように構成される。加えて、アタッチメント107は、第2のプラグインコネクタ200のハウジング210を受け入れて固定するための構造体を有していてもよい。これにより、第1のプラグインコネクタ100および第2のプラグインコネクタ200は、互いに堅固に接続されている。
【0035】
第1のプラグインコネクタ100は、例えば電気アセンブリのアセンブリハウジングに一体化されていてよく、ここでアセンブリハウジング部101は、アセンブリハウジングの壁の構成部品である。しかしながら、第1のプラグインコネクタ100は、例えば、例えばアセンブリハウジングに嵌合され得るコネクタストリップとして構成されてもよい。この場合、第1のプラグインコネクタ100は、アセンブリハウジング部101を介して、アセンブリハウジングの壁に固定されていてよい。両方の場合において、シールド電流は、アセンブリハウジング部101をわたってアセンブリハウジングへと流出し得る。
【0036】
プラグインコネクタシステム10のシールドシステム11は、第1の導電体105、第1のコンタクト構造体104および第2のコンタクト構造体207を電磁的に遮蔽するように構成される。第2の導電体201は、ケーブル205のシールド203によって遮蔽される。第1のプラグインコネクタ100のシールドスプリングコンタクト102は、第1のプラグインコネクタ100のアセンブリハウジング部101と第2のプラグインコネクタのシールドハウジング206との間の移行領域を遮蔽するように意図されている。この場合、シールドスプリングコンタクト102のシールド部113の壁117は、アセンブリハウジング部101とシールドハウジング206との間の領域において第1のコンタクト構造体104を遮蔽するように構成される。
【0037】
第1の導電体105、第1のコンタクト構造体104、第2のコンタクト構造体207および第2の導電体201を備えるシステムに電圧が印加されると、シールド電流が、シールド203、シールドハウジング206、およびシールドスプリングコンタクト102の壁117に容量結合および/または誘電結合され得る。シールド電流は、有利には、シールドスプリングコンタクト102の壁117およびその基部114をわたってアセンブリハウジング部101へと流出し得る。その結果、シールド電流の干渉作用を回避することができる。
【0038】
図3は、
図1の第1のプラグインコネクタ100およびプラグインコネクタシステム10それぞれのシールドスプリングコンタクト102の斜視図を図示する。シールドスプリングコンタクト102は、例えば、金属シートから深絞り加工を用いて作製されてよい。
【0039】
基部114は、例として環状円盤状の構成である。代替として、基部114は、壁117に堅固に接続された複数の環状円盤セグメントを備えていてもよい。シールドスプリングコンタクト102は、少なくとも部分的に、円錐形または中空円錐台状の構成である。この場合、壁117は、基部114から離れる方向に先細りになっている。少なくとも部分的に円錐形のシールドスプリングコンタクト102は、第1のプラグインコネクタ100およびプラグインコネクタシステム10それぞれにおいてくさび効果を生じさせ、その結果、シールドスプリングコンタクトを確実にアセンブリハウジング部101およびシールドハウジング206のシールドハウジング壁212に電気的かつ機械的に接続することができるという利点を有する。しかしながら、シールドスプリングコンタクト102の壁117は、必ずしも部分的に円錐形の構成である必要はない。シールドスプリングコンタクト102は、例えば全体が中空円筒状の構成であってもよい。
【0040】
固定構造体124が、壁の外面119上および壁の下面121の領域に配置されている。
図3において、固定構造体124は、例として歯部125として具現化されている。この場合、複数の歯が、下面121の領域において壁117を包囲して壁117の外面119に配置される。第1のプラグインコネクタ100およびプラグインコネクタシステム10それぞれにおいて、歯部125は、第1の貫通開口部112の領域においてアセンブリハウジング部101に押し込まれるように構成されるので、歯部125によってシールドスプリングコンタクト102およびアセンブリハウジング部101が互いに確実に接続される。しかしながら、固定構造体124は、必ずしも歯部125として具現化される必要はない。固定構造体124は、全体的に省かれてもよい。
【0041】
図3に係るシールドスプリングコンタクトの壁117は、少なくとも部分的に、基部114に垂直に延びる方向に沿って溝穴のあいた構成である。結果として、壁117は、少なくとも部分的に、基部114に垂直に延びる方向に沿って壁117の周囲に配置されたウエブ123を有する。結果として、シールドスプリングコンタクト102を、より柔軟かつより高弾性な構成とすることができる。壁117のウエブ123は、例えばパンチング加工を用いて作製されてよい。しかしながら、壁117は、溝穴のあいた構成でなくてもよい。
【0042】
図4は、さらなる実施形態に係るシールドスプリングコンタクト102の斜視図を図示する。
図4のシールドスプリングコンタクト102は、第1のプラグインコネクタ100および第1のプラグインコネクタシステム10それぞれについての代替的実施形態を表す。
図3および
図4のシールドスプリングコンタクト102は、類似点を有する。シールドスプリングコンタクト102の類似の要素および同一の要素には、同じ参照符号を付している。以下の説明では、シールドスプリングコンタクト102における相違点のみを説明する。それらの相違点に関わらず、
図3のシールドスプリングコンタクト102の説明は、
図4のシールドスプリングコンタクト102にも当てはまる。
【0043】
図4のシールドスプリングコンタクト102は、円錐形でなく中空円筒状の構成である。
図4のシールドスプリングコンタクト102も、固定構造体124を有する。しかしながら、固定構造体124は、歯部125として構成されるのではなく、壁117の外面119に配置され壁117から斜めに突出するフィン126を有する。
【0044】
図3のシールドスプリングコンタクト102と対比して、
図4のシールドスプリングコンタクト102は、環状円盤状の構成の基部114を有しておらず、壁117に接続された環状円盤セグメント127を備える基部114を有する。
図4のシールドスプリングコンタクト102は、例えば、成形加工と組み合わせたパンチング加工を用いて作製されてよい。これは、金属にパンチングを施した後、例えば、包囲壁117が形成されるように円筒形状または円錐形状のドラムを用いて成形されてよい。
【0045】
パンチング加工は、フィン126にパンチングを施すことを含んでもよい。このとき、フィン126は、壁117から外方へ斜めに突出するように再成形されてよい。パンチング加工は、ウエブ123にパンチングを施すことを含んでもよい。
図4の例示的実施形態において、シールドスプリングコンタクト102はまた、ウエブ123に加えて、同様にパンチングにより作製され得るさらなるウエブ130を有する。さらなるウエブ130は、壁117の上面120を向く側のみにおいて、壁117に堅固に接続されている。反対に、さらなるウエブ130は、下面121を向く側においては壁117に接続されていない。しかしながら、ウエブ123およびさらなるウエブ130は省いてもよい。
【0046】
図4のシールドスプリングコンタクト102は、上面120と下面121との間の領域において湾曲部128を有する。したがって、シールドスプリングコンタクト113は、上面120と下面121との間の領域において、少なくとも部分的に幅広になった構成であり、この領域内において直径が拡大している。
図2のシールドスプリングコンタクト102も、そのような湾曲部128を有していてよい。単に例として、湾曲部128は、包囲する構成(encircling configuration)である。湾曲部128により、シールド部113とシールドハウジング206との間の電気的接触および機械的接触を改善することが可能となり得る。湾曲部128は省いてもよい。
【0047】
図4のシールドスプリングコンタクト102のシールド部133は、金属被覆129を備える。金属被覆129は、少なくとも部分的に壁117の外面119に配置されている。例として、金属被覆129は、ウエブ123の領域および湾曲部128の領域に配置されるが、これは必ずしも必須ではない。例えば、金属被覆129は、さらなるウエブ130上に、および/または、壁117の外面119におけるウエブ123の外部またはさらなるウエブ130の外部に配置されてもよい。金属被覆129は、例えば銀もしくは金または別の金属を含んでいてよく、シールド部113とシールドハウジング206との間の電気的接触および機械的接触をさらに改善するように意図されている。
図3のシールドスプリングコンタクト102は、同様に湾曲部128の領域または壁117の外面119の別の領域に配置され得る金属被覆129を有していてもよい。金属被覆129は省いてもよい。
【0048】
図5は、従来技術に係るプラグインコネクタシステム1の断面図を図示する。既知のプラグインコネクタシステム1は、
図1のプラグインコネクタシステム10との類似点を有する。類似の要素には、同一の参照符号を付している。
【0049】
図1のプラグインコネクタシステム10と対比して、既知のプラグインコネクタシステム1は、シールドスプリングコンタクト102を有しない。それに代えて、プラグインコネクタシステム1は、ドーム2を有する。ドーム2およびアセンブリハウジング部101は、既知のプラグインコネクタシステム1において、互いに一体に接続されている。ドーム2は、中空円筒状の構成であり、アセンブリハウジング部101の第1の頂面110に配置され、アセンブリハウジング部101の第1の貫通開口部112を横方向に取り囲む。ドーム2は、第2のプラグインコネクタ200のシールドハウジング206に電気的かつ機械的に接続されている。
【0050】
アセンブリハウジング部101およびドーム2が単一部品で構成されているので、アセンブリハウジング部101を作製する方法は比較的複雑である。さらに、シールドハウジング206との電気的接触接続の確保を可能とするために、ドーム2を追加的に加工しなければならない場合がある。これと比較して、シールドスプリングコンタクト102は、アセンブリハウジング部101を比較的簡単に作製することを可能とし、したがって第1のプラグインコネクタ100およびプラグインコネクタシステム10それぞれを比較的簡単に作製することも可能とする。加えて、上記で説明した、シールドスプリングコンタクト102の非常に多様な実施形態は、様々なさらなる有利な技術的効果を有し得る。
【0051】
したがって、
図1に係るプラグインコネクタシステム10の概念は、
図2に係るシールドシステム11によって実質的にもたらされ、シールドシステム11は、アセンブリハウジング部101に共に差し込まれる
図3または
図4に係るシールドスプリングコンタクト102を有する。この理由から、プラグインコネクタシステム10および第1のプラグインコネクタ100それぞれは、シールドシステム11に含まれない第1のプラグインコネクタ100およびプラグインコネクタシステム10それぞれの要素が省かれ得るまたは何らかの他の形で構成され得るように理解されるべきである。例えば、第1のコンタクト構造体104、第2のコンタクト構造体207、およびヘッダ131は、異なる形状および構成であってもよい。プラグインコネクタシステム10のラッチ機構は、
図1に示すものとは異なる構成であってもよい。
この目的で、例えば、第2のプラグインコネクタ200のハウジング210および第1のプラグインコネクタ100のアタッチメント107は、異なる形状および構成であってもよく、当業者に知られている非常に多様なラッチ手段および保持手段を有していてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 従来技術に係るプラグインコネクタシステム
2 アセンブリハウジング部のドーム
10 プラグインコネクタシステム
11 プラグインコネクタシステムのシールドシステム
100 第1のプラグインコネクタ
101 アセンブリハウジング部
102 シールドスプリングコンタクト
103 ヘッダの部分
104 第1のコンタクト構造体
105 第1の導電体
106 ヘッダのさらなる部分
107 アタッチメント
109 封止材
110 アセンブリハウジング部の第1の頂面
111 アセンブリハウジング部の第1の底面
112 アセンブリハウジング部の第1の貫通開口部
113 シールドスプリングコンタクトのシールド部
114 シールドスプリングコンタクトの基部
115 基部の第2の頂面
116 基部の第2の底面
117 シールド部の壁
118 シールド部の内面
119 シールド部の外面
120 シールド部の上面
121 シールド部の下面
122 シールド部の切抜き部
123 壁のウエブ
124 固定構造体
125 歯部
126 フィン
127 基部の環状円盤セグメント
128 壁の湾曲部
129 金属被覆
130 さらなるウエブ
131 ヘッダ
200 第2のプラグインコネクタ
201 第2の導電体
202 第1の絶縁体
203 シールド
204 第2の絶縁体
205 ケーブル
206 シールドハウジング
207 第2のコンタクト構造体
208 接続部
209 コンタクト部
210 ハウジング
211 第2の封止材
212 シールドハウジング壁
213 シールドハウジング壁の第2の貫通開口部
214 ハウジングの第1の開口部
215 シールドハウジングの第2の開口部