(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】インバータ駆動法
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20231127BHJP
H02P 27/08 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
H02M7/48 F
H02P27/08
(21)【出願番号】P 2022048401
(22)【出願日】2022-03-24
(62)【分割の表示】P 2018207413の分割
【原出願日】2018-11-02
【審査請求日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】 JP2018023139
(32)【優先日】2018-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392029742
【氏名又は名称】田中 正一
(72)【発明者】
【氏名】田中 正一
【審査官】白井 孝治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-175747(JP,A)
【文献】特開2004-135437(JP,A)
【文献】特開2017-077061(JP,A)
【文献】国際公開第2017/126261(WO,A1)
【文献】特開2010-081786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42~ 7/98
H02P25/16~25/22
H02P27/00~27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源から3相可変速モータのステータコイルへ電源電流を供給するための電流供給期間及び前記ステータコイルにフリーホィーリング電流を供給するためのフリーホィーリング期間からなる各PWMサイクル期間毎に3相インバータをパルス幅変調(PWM)法により制御するとともに前記ステータコイルの巻線切替を実施しないインバータ駆動方法において、
前記3相インバータは、前記ステータコイルをなすとともに互いに独立する3つの相コイルに相電流を別々に供給する3つのHブリッジからなり、
前記各Hブリッジは、前記PWMサイクル期間にてスイッチングされるPWMレグ及び前記PWMサイクル期間にて定電圧を出力する固定電位レグからなり、
前記PWMレグ及び前記固定電位レグは、電気角180度毎に交代され、
前記固定電位レグは、常にオンされる上アームスイッチをも
ち、
前記固定電位レグの前記上アームスイッチは、前記フリーホィーリング期間又はその直後に、前記PWMレグ及び前記固定電位レグの前記交代のためのオフ動作を実行する
ことを特徴とするインバータ駆動方法
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータ駆動法に関し、特に可変速モータを駆動するための3相インバータのパルス幅変調法に関する。
【背景技術】
【0002】
可変速モータ用途及びパワーコンディショナー用途のような大電力用途において、3相正弦波電流を供給可能なパルス幅変調(PWM)3相インバータを採用するのが一般的である。3つのレグからなる3相PWMインバータはシングルインバータと呼ばれる。3つのHブリッジをもつ3相PWMインバータはデュアルインバータと呼ばれる。モータ用途において、シングルインバータは一般的に星形接続3相コイルに接続され、デュアルインバータの2つの3相インバータはオープンエンド3相コイル(ダブルエンデッド3相コイル)に接続される。電圧型インバータの各レグは、直列接続された上アームスイッチおよび下アームスイッチからなる。各アームスイッチは、トランジスタと逆並列ダイオードとをもつ。
【0003】
パルス幅変調法により制御される3相インバータの各レグは、それぞれキャリヤ信号の1周期に相当する各PWMサイクル期間毎に制御される。各PWMサイクル期間は、パルス状の電源電流が直流電源と電気負荷との間を流れる電流供給期間をもつ。電流供給期間は主電圧ベクトルと呼ばれる。電流供給期間以外のPWMサイクル期間はフリーホィーリング期間と呼ばれる。フリーホィーリング期間はゼロベクトルと呼ばれる。ほぼ正弦波波形電圧に相当する回転合成電圧ベクトルは、6個の主電圧ベクトル及び2個のゼロベクトルを用いて形成される。この合成電圧ベクトルは、互いに隣接する2つの主電圧ベクトルのベクトル和に相当する。したがって、各PWMサイクル期間は、2種類の電流供給期間を含む。
【0004】
特許文献1は、6個の主電圧ベクトルと6個の副電圧ベクトルとを用いて合成電圧ベクトルを形成する矩形波パルス幅変調を記載する。この矩形波パルス幅変調によれば、各PWMサイクル期間は、1つの主電圧ベクトル及び1つの副電圧ベクトルのどちらか1つだけを含む。言い換えれば、各PWMサイクル期間は、1種類の電流供給期間だけを含む。副電圧ベクトルは、星形3相コイルの2つの相コイルにだけ電源電圧を印加する。したがって、電源電流は残りの1つのレグに供給されない。
【0005】
特許文献2は、短絡回路を含むデュアルインバータを用いるモータの巻数切替技術を記載する。デュアルインバータは、それぞれPWM制御される2つの3相インバータからなる。1つの3相インバータの3つの交流出力端子は短絡回路により短絡される。これにより、ステータコイルの巻数が切替えられる。
【0006】
特許文献3は、ダブルエンデッド3相コイルに接続されるデュアル3相インバータを記載する。デュアル3相インバータは、3つのHブリッジからなる。互いに逆動作する2つの3相インバータからなるこのデュアル3相インバータは、パルス幅変調モード及びパルス駆動モードをもつ。パルス幅変調モードにおいて、2つの3相インバータは、PWMモードにおいて互いに反対のパルス幅変調3相電圧を出力する。パルス駆動モードにおいて、2つの3相インバータは、互いに反対波形の矩形波電圧を出力する。言い換えれば、Hブリッジの2つのレグは、パルス幅変調モードにおいてそれぞれPWMレグとなり、パルス駆動モードにおいて、それぞれ固定電位レグとなる。
【0007】
特許文献4は、2個のモータを別々に駆動する第1、第2のシングル3相インバータを提案する。第1のインバータは第1キャリア信号でPWM制御され、第2のインバータは第2キャリア信号でPWM制御される。第1キャリア信号は、第2キャリア信号から半周期シフトしている。これにより、直流電源が第1のインバータへ供給するパルス状の電源電流が、直流電源が第2のインバータへ供給するパルス状の電源電流とオーバーラップしないケースが生じる。
【0008】
特許文献1の問題が説明される。特許文献1は、主電圧ベクトル及び副電圧ベクトルのどちらだけを用いて合成電圧ベクトルを形成する。このため、モータの振動、騒音、及び鉄損が増加する。言い換えれば、特許文献1は、主電圧ベクトル相当電流供給期間と、副電圧ベクトル相当電流供給期間とを1つのPWMサイクル期間内に配置しないため、合成電圧ベクトルは円滑に回転することができない。
【0009】
特許文献2の問題が説明される。3つのHブリッジはそれぞれ、互いに異なる独立の単相電気負荷をPWM制御する。各Hブリッジはそれぞれ、第1PWMレグ及び第2PWMレグからなる。Hブリッジは、4つの出力状態(00、01、10、及び11)をもつ。出力状態(00)及び(11)は、ゼロベクトルに相当するフリーホィーリング期間である。出力状態(01)は、第1PWMレグから第2PWMレグへ電源電流を供給する電流供給期間に相当する。出力状態(10)は、第2PWMレグから第1PWMレグへ電源電流を供給する電流供給期間である。
【0010】
したがって、各PWMサイクル期間は、互いに反対の方向へ電源電流を供給するための2つの電流供給期間(01、10)の両方を含む。実質的な電流供給期間は、第1電流供給期間と第2電流供給期間との差値となり、デユーティ比は、差値/PWMサイクル期間に等しくなる。結局、電圧印加方向が互いに反対である2つの電流供給期間が各PWMサイクル期間内に形成される結果、電流及び電圧のリップルが増加する。この問題は、逆電圧印加問題と呼ばれる。
【0011】
特許文献3の問題が説明される。特許文献3は、1つのPWMレグ及び1つの固定電位レグによりHブリッジを形成し、固定電位レグを電気角180度毎に切り替えることを全く記載していない。
【0012】
特許文献4の問題が説明される。直流電源が1つの3相モータに供給するパルス状の電源電流の振幅を低減することは、特許文献4にとって不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特許第4053968号公報
【文献】特許第4906836号公報
【文献】特開2006-149145号公報
【文献】特許第6184712号公報
【発明の概要】
【0014】
本発明の一つの目的は、熱発生及び電力損失を低減可能な3相PWMインバータ駆動法を提供することである。
【0015】
本発明によれば、デュアル3相PWMインバータの3つのHブリッジはそれぞれ、1つのPWMレグ及び1つの固定電位レグからなる。固定電位レグの上アームスイッチ及び下アームスイッチのどちらか1つは常にオンされる。固定電位レグは、電気角180度毎に切り替えられる。言い換えれば、各Hブリッジの半分のレグはPWMスイッチングされない。その結果、このデュアル3相インバータは、Hブリッジが2つのPWMレグからなる従来のデュアル3相インバータと比べて、半分のスイッチング損失を実現することができる。さらに、このデュアルインバータは、既述された逆電圧印加問題を発生しない。
【0016】
なお、2つの3相インバータを必要とするデュアル3相インバータは、製造コストの増加が心配される。しかし、デュアル3相インバータはシングル3相インバータと比べてほぼ2倍の電圧利用率をもつことができる。したがって、このデュアル3相インバータは、従来のシングル3相インバータとトータル的に等しいトータル半導体チップ面積をもつことができる。
【0017】
第1の態様によれば、3つのHブリッジの電流供給期間は、できるだけオーバーラップしないように共通のPWMサイクル期間内に配置される。これにより、直流電源の電力損失を低減することができる。この態様は、従来のテ゛ユアル3相インハ゛ータにも適用することができる。
【0018】
第2の態様によれば、3つのHブリッジの相対的に短い2つの電流供給期間は優先的にオーバーラップされる。電流供給期間の長さは電流振幅にほぼ比例する。したがって、電流供給期間のオーバーラップによる固定電位レグの上アームスイッチ及び直流電源の電力損失の増加を抑制することができる。この態様は、従来のテ゛ユアル3相インハ゛ータにも適用することができる。
【0019】
第3の態様によれば、発電電流を直流電源に供給する1つのHブリッジの電流供給期間は、モータ駆動電流を誘導性単相電気負荷に供給するもう1つのHブリッジの電流供給期間とオーバーラップされる。これにより、直流電源がインバータへ供給する電源電流の振幅値を低減することができる。その結果、直流電源の電力損失を低減することができる。この態様は、従来のテ゛ユアル3相インハ゛ータにも適用することができる。
【0020】
第4の態様によれば、直流電源及びインバータを接続する一対の電源線はそれぞれ、金属管により個別に被覆される。さらに、2つの金属管の各一端部は第1の渡り線で接続され、2つの金属管の各他端部は第2の渡り線で接続される。これにより、電源線のサージ電圧を低減することができる。この態様は、従来のインバータにも適用することができる。
【0021】
第5の態様によれば、インバータ及びモータのステータコイルを接続する3本以上のモータケーブルはそれぞれ、金属管により個別に被覆される。さらに、各金属管の一端部は第1の渡り線で接続され、各金属管の他端部は第2の渡り線で接続される。これにより、モータ-ケーブルのサージ電圧を低減することができる。この態様は、従来のインバータにも適用することができる。
【0022】
第6の態様によれば、固定電位レグは常にオンされる上アームスイッチをもつ。電源電流はPWMレグの下アームスイッチのスイッチングにより制御される。したがって、PWMレグの下アームスイッチのオフにより電源電流が減少する時、固定電位レグの上アームスイッチがオンしている。その結果、上アームスイッチに接続される+電源線に誘導される電圧が低減される。固定電位レグの上アームスイッチが常にオンしている本発明の3相インバータは、上アーム導通式3相インバータと呼ばれる。
【0023】
第7の態様によれば、固定電位レグの切替えのために実行される固定電位レグの上アームスイッチのオフ動作は、フリーホィーリング期間の直後に実行される。言い換えれば、固定電位レグの上アームスイッチは、固定電位レグの切替のために、電源電流ではなく、フリーホィーリング電流を遮断する。フリーホィーリング電流は、Hブリッジの2つの上アームスイッチを接続する+バスバーを通じて流れる。電源電流が流れる+電源線と比べて遙かに短いこの+バスバーは低いインダクタンス値をもつ。結局、固定電位レグの切替のための上アームスイッチのオフにより生じる電圧を大幅に低減することができる。
【0024】
電圧がさらに説明される。+電源線のサージ電圧である電圧の低減は、インバータの半導体素子や平滑キャパシタの耐圧低減を実現する。その結果、製造コスト及び抵抗損失を低減することができる。+電源線の電圧は、外部サージ電圧と内部サージ電圧とに分類される。外部サージ電圧は、直流電源及びインバータを接続する+電源線のインダクタンスを流れる電源電流の急激な減少により発生する。内部サージ電圧は、インバータの各上アームスイッチを接続する+バスバーを流れるフリーホィーリング電流の急激な減少により発生する。結局、固定電位レグの上アームスイッチのオフ動作をフリーホィーリング期間に実行することにより、高い外部サージ電圧の代わりに低い内部サージ電圧を発生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、実施例のデュアルインバータを示す模式配線図でてある。
【
図2】
図2は、1つのHブリッジの出力電圧波形及び出力電流波形を示すタイミングチャートである。
【
図3】
図3は、正半波期間のPWMサイクル期間における1つのHブリッジの状態を示すタイミングチャートである。
【
図4】
図4は、負半波期間のPWMサイクル期間における1つのHブリッジの状態を示すタイミングチャートである。
【
図5】
図5は、第1位相期間の電流供給期間における1つのHブリッジの状態を示す模式配線図である。
【
図6】
図6は、第1位相期間のフリーホィーリング期間における1つのHブリッジの状態を示す模式配線図である。
【
図7】
図7は、第2位相期間の電流供給期間における1つのHブリッジの状態を示す模式配線図である。
【
図8】
図8は、第2位相期間のフリーホィーリング期間における1つのHブリッジの状態を示す模式配線図である。
【
図9】
図9は、第3位相期間の電流供給期間における1つのHブリッジの状態を示す模式配線図である。
【
図10】
図10は、第3位相期間のフリーホィーリング期間における1つのHブリッジの状態を示す模式配線図である。
【
図11】
図11は、第4位相期間の電流供給期間における1つのHブリッジの状態を示す模式配線図である。
【
図12】
図12は、第4位相期間のフリーホィーリング期間における1つのHブリッジの状態を示す模式配線図である。
【
図13】
図13Aは、電気角360度における6つのレグの動作を示すタイミングチャートである。
図13Bは、電気角360度におけるHブリッジの2つのレグの出力電圧の基本波成分を示す波形図である。
【
図14】
図14は、デュアルインバータの配線例を示す模式配線図である。
【
図18】
図18は、デュアルインバータの電流分散方式を説明するためのタイミングチャートである。
【
図19】
図19は、電流分散方式を採用するモータ装置を示す模式配線図である。
【
図20】
図20Aは、Hブリッジの上アームスイッチのオフにより生じるサージ電圧を説明するための模式配線図である。
図20Bは、Hブリッジの下アームスイッチのオフにより生じるサージ電圧を説明するための模式配線図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、EVトラクションモータ駆動用のデュアルインバータを示す配線図である。このデュアルインバータは、それぞれ電圧型3相インバータからなるインバータ1及びインバータ2をもつ。さらに、このデュアルインバータは短絡回路9をもつ。EVトラクションモータのステータコイルは、U相コイル3U、V相コイル3V、及びW相コイル3Wからなるダブルエンデッド3相コイルからなる。
【0027】
インバータ1は、U相レグ1U、V相レグ1V、およびW相レグ1Wからなる。レグ1Uは、直列接続された上アームスイッチ11及び下アームスイッチ12からなる。レグ1Vは、直列接続された上アームスイッチ13及び下アームスイッチ14からなる。レグ1Wは、直列接続された上アームスイッチ15及び下アームスイッチ16からなる。インバータ2は、U相レグ2U、V相レグ2V、およびW相レグ2Wからなる。3つの上アームスイッチは、相コイル3U、3V、及び3Wの各一端を+バスバー810に接続する。3つの下アームスイッチは、相コイル3U、3V、及び3Wの各一端を-バスバー820に接続する。
【0028】
レグ2Uは、直列接続された上アームスイッチ21及び下アームスイッチ22からなる。レグ2Vは、直列接続された上アームスイッチ23及び下アームスイッチ24からなる。レグ2Wは、直列接続された上アームスイッチ25及び下アームスイッチ26からなる。3つの上アームスイッチは、相コイル3U、3V、及び3Wの各他端を+バスバー810に接続する。3つの下アームスイッチは、相コイル3U、3V、及び3Wの各他端を-バスバー820に接続する。各アームスイッチは、逆並列ダイオード及びトランジスタからなる。
【0029】
レグ1Uは、U相電圧VU1を相コイル3Uに印加する。レグ2Uは、U相電圧VU2を相コイル3Uに印加する。これにより、U相電圧VU(=VU1-VU2)が相コイル3Uに印加される。レグ1Vは、V相電圧VV1を相コイル3Vに印加する。レグ2Vは、U相電圧VV2を相コイル3Vに印加する。これにより、V相電圧VV(=VV1-VV2)が相コイル3Vに印加される。レグ1Wは、W相電圧VW1を相コイル3Wに印加する。レグ2Wは、W相電圧VW2を相コイル3Wに印加する。これにより、W相電圧VW(=VW1-VW2)が相コイル3Wに印加される。3つの相電圧(VU、VV、及びVW)の間の位相差は電気角120度である。
【0030】
短絡回路9は、3相ダイオードブリッジ及び短絡スイッチからなる。3相ダイオードブリッジからなる整流器は、3相インバータ2の3相電圧(VU2、VV2、VW2)を整流する。3相ダイオードブリッジの一対の直流端子は短絡スイッチにより短絡可能となっている。コントローラ10は、3相インバータ1及び2をPWM制御する。さらに、コントローラ10は、短絡スイッチを開閉する。短絡スイッチがオフされる時、3つの相コイル3U、3V、3Wは、3つのHブリッジにより個別に制御される。この制御は、オープンデルタモードと呼ばれる。短絡スイッチがオンされる時、3つの相コイル3U、3V、3Wは、星形接続3相コイルとなる。3相インバータ1が、この星形接続3相コイルを制御する。3相インバータ2は休止される。この制御は、スターモードと呼ばれる。
【0031】
オープンデルタモードが説明される。オープンデルタモードにおいて、3つのHブリッジは本質的に同じ制御動作を行う。各Hブリッジの制御動作の間の位相差は、電気角120度である。以下において、レグ1U及び2UからなるU相HブリッジのPWM制御が説明される。この制御は、上アーム導通式片側PWMと呼ばれる。
【0032】
図2は、U相Hブリッジから相コイル3Uに与えられるU相電圧VU及びU相電流IUの各基本波成分を示す波形図である。U相電流IUはU相電圧VUよりも所定の位相角だけ遅れる。相電圧VUの1周期(=電気角360度)は正半波期間PAと負半波期間PBとからなる。期間PAは位相期間P1及びP2に分割される。期間PBは位相期間P3及びP4に分割される。レグ1U及び2Uはパルス幅変調(PWM)制御される。パルス幅変調として、電流供給期間を自由に配置可能な空間ベクトルパルス幅変調が好適である。
【0033】
コントローラ10は、制御周期であるPWMサイクル期間TC毎に適切な長さの電流供給期間TXを設定する。したがって、PWMデユーティ比は、TX/TCとなる。電流供給期間TXを除くPWMサイクル期間TCは、フリーホィーリング期間TFとなる。電流供給期間TXにおいて、直流電源がステータコイルに電源電流IPを供給する。フリーホィーリング期間Tfにおいて、フリーホィーリング電流IFがインバータとステータコイルとを循環する。
【0034】
図3及び
図4はそれぞれ、1つのPWMサイクル期間TCにおけるレグ1U及び2Uの状態を示す。
図3は期間PAにおけるレグ1U及び2Uの状態例を示し、
図4は期間PBにおけるレグ1U及び2Uの状態例を示す。期間PAは位相期間P1及びP2に分割され、期間PBは位相期間P3及びP4に分割される。位相期間P1及びP3は相コイル3Uから直流電源へ電源電流を回生する期間であり、位相期間P2及びP4は直流電源が相コイル3Uへ電源電流IPを供給する期間である。
【0035】
この実施例の上アーム導通式片側PWMによれば、レグ1U及び2UからなるHブリッジは、固定電位レグ及びPWMレグからなり、固定電位レグの上アームスイッチは常にオンされる。期間PAにおいて、レグ1Uは固定電位レグとなり、レグ2UはPWMレグとなる。期間PBにおいて、レグ1UはPWMレグとなり、レグ2Uは固定電位レグとなる。固定電位レグ及びPWMレグは、電気角180度毎に交代される。
【0036】
図3は、期間PAにおける1つのPWMサイクル期間TCを示すタイミングチャートである。上アームスイッチ11がオンされる固定電位レグ1Uはハイレベル(1)を出力する。電流供給期間TXにおいて、下アームスイッチ22はオンされ、PWMレグ2Uはローレベル(0)を出力する。フリーホィーリング期間TFにおいて、下アームスイッチ22はオフされ、PWMレグ2Uはハイレベル(1)を出力する。
【0037】
図4は、期間PBにおける1つのPWMサイクル期間TCを示すタイミングチャートである。上アームスイッチ21がオンされる固定電位レグ2Uはハイレベル(1)を出力する。電流供給期間TXにおいて、下アームスイッチ12はオンされ、PWMレグ1Uはローレベル(0)を出力する。フリーホィーリング期間TFにおいて、下アームスイッチ12はオフされ、PWMレグ1Uはハイレベル(1)を出力する。
【0038】
図5-
図12は位相期間P1-P4におけるレグ1U及び2Uの状態を示す模式配線図である。相コイル3Uは逆起電力Vaをもつ。
図5は位相期間P1の電流供給期間TXを示し、
図6は位相期間P1のフリーホィーリング期間TFを示す。負の電源電流IPである回生電流IRが電流供給期間TXにおいて直流電源4へ流れる。フリーホィーリング期間TFにおいて流れるフリーホィーリング電流Ifは磁気エネルギーを相コイル3Uに蓄積する。
図7は位相期間P2の電流供給期間TXを示し、
図8は位相期間P2のフリーホィーリング期間TFを示す。電源電流IPが電流供給期間TXにおいて相コイル3Uへ流れる。
【0039】
図9は位相期間P3の電流供給期間TXを示し、
図10は位相期間P3のフリーホィーリング期間TFを示す。回生電流IRが電流供給期間TXにおいて直流電源4へ流れる。フリーホィーリング期間TFにおいて流れるフリーホィーリング電流Ifは磁気エネルギーを相コイル3Uに蓄積する。
図11は位相期間P4の電流供給期間TXを示し、
図12は位相期間P4のフリーホィーリング期間TFを示す。電源電流IPが電流供給期間TXにおいて相コイル3Uへ流れる。
図13Aは、6個のレグ(1U-2W)の状態を示すタイミングチャートである。
図13Bは、U相Hブリッジの2つのレグ1U及び2Uが出力する出力電圧(VU1、VU2)の基本波成分を示す波形図である。
【0040】
図14は、
図1に示されるデュアル3相インバータの配線例を示す模式配線図である。短絡回路9の図示は省略されている。3相インバータ1の3つの交流端子は、交流バスバー61-63により相コイル3U-3Wの各一端に接続されている。3相インバータ2の3つの交流端子は、交流バスバー71-73により相コイル3U-3Wの各他端に接続されている。+バスバー810は+電源線81により図略の直流電源の正極端子に接続されている。-バスバー820は-電源線82により図略の直流電源の負極端子に接続されている。
【0041】
図15-
図17は、
図14に示されるデュアルインバータの構造を示す。
図15はデュアルインバータの正面図である。
図16はデュアルインバータの水平断面を示す平面図であり、
図17はデュアルインバータの垂直側面を示す側面図である。-バスバー820は、2つの側面が省略された箱形状をもつ。+バスバー810、バスバー61-63及び71-73は-バスバー820から水平に突出している。箱状の-バスバー820の1つの開口は、樹脂カバー9により覆われている。
【0042】
上アームスイッチ11及び下アームスイッチ12はバスバー61を挟んでいる。上アームスイッチ13及び下アームスイッチ14はバスバー62を挟んでいる。上アームスイッチ15及び下アームスイッチ16はバスバー63を挟んでいる。上アームスイッチ21及び下アームスイッチ22はバスバー71を挟んでいる。上アームスイッチ23及び下アームスイッチ24はバスバー72を挟んでいる。上アームスイッチ25及び下アームスイッチ26はバスバー73を挟んでいる。各下アームスイッチは-バスバー820に接してる。各上アームスイッチは+バスバー810に接している。
図15-
図17において、各アームスイッチは、並列接続された2つの半導体素子からなる。半導体素子の1つはトランジスタであり、他の1つは逆並列ダイオードである。
【0043】
+バスバー810はU相の上アームスイッチ11及び21により挟まれている。+バスバー810はV相の上アームスイッチ13及び23により挟まれている。+バスバー810はW相の上アームスイッチ15及び25により挟まれている。これにより、上アームスイッチ11及び21の間の+バスバー810の距離は+バスバー810の厚さにほぼ等しくなる。上アームスイッチ13及び23の間の+バスバー810の距離は+バスバー810の厚さにほぼ等しくなる。上アームスイッチ15及び25の間の+バスバー810の距離は+バスバー810の厚さにほぼ等しくなる。
【0044】
+バスバー810を流れるフリーホィーリング電流Ifが上アームスイッチのオフにより減少する時、+バスバー810のラインインダクタンスがサージ電圧を発生する。しかし、+バスバー810の長さが極めて短いため、このサージ電圧は非常に低くなる。さらに、箱状の-バスバー820は電磁波ノイズを低減する。
【0045】
既述されたように、空間ベクトルパルス幅変調(SVPWM)を採用するこの実施例によれば、各相の電流供給期間TXは、PWMサイクル期間TC内に自由に配置することができる。
図18は、3相の電流供給期間TXの好適な配置例を示すタイミングチャードである。コントローラ10は、計算された相電圧指令値により3つの電流供給期間TXの長さを決定する。コントローラ10は、各相の電流供給期間TXの開始時点及び終了時点を決定するために、6個のタイマーをもつ。各タイマーは、PWMサイクル期間TCの開始時点t0からスタートし、所定の時点(t1-t3)にて終了する。
【0046】
図18に示されるように、各相の電流供給期間TXは互いに重ならないようにPWMサイクル期間TC内に配置される。この方式は電流分散方式と呼ばれる。この電流分散方式は、モータの部分負荷条件において採用される。モータ負荷が増加する時、各相の電流供給期間TXは互いに重なる。この実施例において、相対的に短い2つの電流供給期間TXが優先的にオーバーラップされる。これは、相対的に長い電流供給期間TXは、相電流の振幅が高いことを意味するからである。これにより、直流電源の抵抗損失を低減することができる。
【0047】
この抵抗損失低減効果が
図19を参照して説明される。
図19はデュアル3相インバータ1Xを用いるトラクションモータ装置を示すブロック図である。電源抵抗値(r)をもつ直流電源4は+電源線81及び-電源線82を通じてインバータ1Xに電源電流IPを供給する。インバータ1Xは、相コイル3UにU相電源電流IUPを供給し、相コイル3VにV相電源電流IVPを供給し、相コイル3WにW相電源電流IWPを供給する。したがって、電源電流IPは3つの相電源電流(IUP、IVP、及びIWP)の和に等しい。インバータ1Xがステータコイル3に供給する各相の電源電流IUP、IVP、及びIWPはパルス電流形状をもつ。したがって、電源電流IPはパルス形状をもつ。
【0048】
各相の電源電流(IUP、IVP、及びIWP)が互いに重なる時、直流電源4の抵抗損失は、(r)(IUP+IVP+IWP)(IUP+IVP+IWP)となる。各相の電源電流(IUP、IVP、及びIWP)が互いに重ならない時、直流電源4の抵抗損失は、(r)((IUP)(IUP)+(IVP)(IVP)+(IWP)(IWP)となる。
【0049】
たとえば、V相電源電流IVP及びW相電源電流IWPはそれぞれ相対振幅値(1)をもつ時、U相電源電流IUPが相対振幅値(2)をもつ。電源電流IUP、IVP、及びIWPが互いに重なる時、直流電源4の抵抗損失は(16r)となる。電源電流UP、IVP、及びIWPが互いに重ならない時、直流電源4の抵抗損失は(6r)となる。したがって、電流分散方式は、部分負荷条件において直流電源4の抵抗損失を大幅に低減する。
【0050】
たとえば、U相電源電流IUPの相対振幅値がゼロである時、V相電源電流IVP及びW相電源電流IWPはそれぞれ相対振幅値(1)をもつ。電源電流IUP、IVP、及びIWPが互いに重なる時、直流電源4の抵抗損失は(4r)となる。電源電流UP、IVP、及びIWPが互いに重ならない時、直流電源4の抵抗損失は(2r)となる。したがって、電流分散方式は、部分負荷条件において直流電源4の抵抗損失を大幅に低減する。結局、デュアル3相インバータ1Xに接続される直流電源4の損失は、この電流分散方式の採用により、37.5%-50%となる。
【0051】
3つの電流供給期間TXの和がPWMサイクル期間TCよりも長い時、
図33に示される3相の電流供給期間TXは重なる。このオーバーラッピングが要求される時、相対的に短い2相の電流供給期間TXが優先的にオーバーラップされる。これは、短い電流供給期間TXは、長い電流供給期間TXよりも相電流が低いためである。これにより、直流電源4の抵抗損失の増加を抑制することができる。
【0052】
けれども、誘導性電気負荷を駆動するHブリッジは、
図2に示される位相期間P1及びP3において、回生電流を形成する。したがって、位相期間P1及びP3のHブリッジの電流供給期間は、位相期間P2及びP4のHブリッジの電流供給期間とオーバーラップさせることが好適である。これにより、電源電流IPの振幅を低減することができる。
【0053】
このオープンデルタモードのデュアルインバータが従来のシングル3相インバータと比較される。片側PWM駆動方式を採用するこのデュアルインバータは、星形接続3相コイルに接続される従来のシングルインバータと比べて約2倍の電圧利用率をもつ。したがって、このデュアルインバータはシングルインバータと比べて2倍の巻数をもつステータコイルを駆動することができる。
【0054】
したがって、デュアルインバータのインバータ1及び2は、シングルインバータと比べて半分の半導体チップ面積をもつことができる。結局、オープンデルタモードのデュアルインバータは、従来のシングル3相インバータとほぼ等しいトータル半導体チップ面積をもつことができる。その結果、デュアルインバータは従来のシングルインバータとほぼ等しい導通損失及び製造コストをもつことができる。
【0055】
この実施例のデュアルインバータの効果が説明される。第1に、このデュアルインバータの3つのHブリッジはそれぞれ固定電位レグをもつ。この方式は片側PWM方式と呼ばれる。これにより、このデュアルインバータは、従来のシングルインバータと比べて半分のスイッチング損失をもつことができる。
【0056】
第2に、このデュアルインバータは既述の逆電圧印加問題を改善することができる。従来の両側PWM方式によれば、Hブリッジが1つのPWMサイクル期間TC内に電圧ベクトル(01)に相当する電流供給期間と、電圧ベクトル(10)に相当する電流供給期間をもつ場合がある。この片側PWM方式によれば、互いに反対方向の2つの電圧ベクトルに相当する2つの電流供給期間が1つのPWMサイクル期間内に形成されることがない。
【0057】
第3に、この片側PWM方式において、固定電位レグの上アームスイッチは常にオンされる。これにより、従来のシングル3相インバータが発生する高い電圧を大幅に低減することができる。
【0058】
従来の両側PWM方式のデュアルインバータ又は従来のシングルインバータの電圧問題が、
図20Aを参照して説明される。直流電源4は、+電源線81を通じてU相Hブリッジ1HUの+バスバー810に接続され、-電源線82を通じてU相Hブリッジ1HUの-バスバー820に接続される。Hブリッジ1HUは、レグ1U及び2Uからなる。相コイル3Uは、U相ケーブル61を通じてレグ1Uに接続され、U相ケーブル71を通じてレグ2Uに接続される。+電源線81はラインインダクタンス81Lをもち、-電源線82はラインインダクタンス82Lをもつ。+電源線81の両端は寄生容量C1及びC2をもつ。-電源線82の両端は寄生容量C3及びC4をもつ。U相ケーブル61は寄生容量C5もつ。U相コイル3Uは寄生容量C6もつ。U相ケーブル71は寄生容量C7もつ。
【0059】
図20Aは、電源電流IPが流れる上アームスイッチ11がオフされた直後の状態を示す。ラインインダクタンス81Lは電源電流IPの遮断故に起電力を発生する。この起電力は、寄生キャパシタC2及びC1、ラインインダクタンス81Lからなる直列共振回路を通じてサージ電流ISUを供給する。これにより、高い電圧Vrが上アームスイッチ11に印加される。
【0060】
図20Bは、この実施例の上アーム導通式片側PWM方式で駆動されるHブリッジを示す。上アームスイッチ11は常にオンされ、下アームスイッチ22がスイッチングされる。
図20Bは、電源電流IPが流れる下アームスイッチ22がオフされた直後の状態を示す。ラインインダクタンス81Lを流れる電源電流IPは下アームスイッチ22のオフ故に低減され、U相ケーブル71の電位は急速に上昇する。U相ケーブル71の電位上昇により、上アームスイッチ21のダイオードがオンされると、フリーホィーリング電流Ifが+バスバー810に流入する。このフリーホィーリング電流Ifは、上アームスイッチ11を通じて循環する。
【0061】
ラインインダクタンス81Lを流れる電源電流IPは、下アームスイッチ22がオフされた直後に急減し、ラインインダクタンス81Lは起電力を発生する。この起電力は、サージ電流ISUを寄生キャパシタC5-C7及びC1からなる直列共振回路を通じて供給する。その結果、寄生キャパシタC2を流れるサージ電流ISUは非常に低くなる。これにより、電圧Vrは大幅に低減される。
【0062】
次に、+バスバー810が発生する電圧が説明される。
図6に示されるPWMレグ2Uの上アームスイッチ21がオフされる時点において、上アームスイッチ21は+バスバー810から流入するフリーホィーリング電流Ifをオフする。同様に、
図10に示されるPWMレグ1Uの上アームスイッチ11がオフされる時点において、上アームスイッチ11は+バスバー810から流入するフリーホィーリング電流Ifをオフする。したがって、+バスバー810のラインインダクタンスは、PWMレグの上アームスイッチがオフされる時、電圧を発生する。+バスバー810は+電源線81と比べて非常に短い。したがって、+バスバー810が発生する電圧は非常に低くなる。
【0063】
けれども、デュアルインバータは、固定電位レグ切替時に電圧を発生する可能性をもつ。この問題が
図2を参照して説明される。固定電位レグがレグ1Uからレグ2Uへ切り替えられる期間PBの各開始時点において、電流IUはゼロではない。同様に、固定電位レグがレグ2Uからレグ1Uへ切り替えられる期間PAの各開始時点において、電流IUはゼロではない。したがって、上アームスイッチ11は、レグ1Uが固定電位レグからPWMレグに切り替えられる時にオフされる。同様に、上アームスイッチ21は、レグ2Uが固定電位レグからPWMレグに切り替えられる時にオフされる。その結果、電圧が発生する可能性が生じる。
【0064】
この問題は、固定電位レグからPWMレグへの切替のための上アームスイッチのオフ動作をフリーホィーリング期間TFにおいて実行することにより解決される。言い換えれば、固定電位レグの上アームスイッチのオフ動作は、フリーホィーリング電流Ifがレグ1U及び2Uを接続する+バスバー810を通じて循環する状態にて実行される。これにより、上アームスイッチはフリーホィーリング電流Ifをオフする。既述されたように、+バスバー810のラインインダクタンスは非常に低いため、電圧は大幅に低減される。
【0065】
本発明のインバータ及びその駆動方法は、エレベータ、空調装置、トラクションモータ及び舶用モータのような可変速モータ用途、及び太陽電池ハ゜ワーコンテ゛ィショナーおよびそれを制御するコントローラからなる新規な新規なインバータシステムを開示する。このインバータシステムが以下に要約される。
【0066】
第1に、コントローラは、3つのHブリッジからなるデュアル3相インバータを制御する。各Hブリッジの1つのPWMレグ及び1つの固定電位レグは電気角180度毎に切り替えられ。これにより、スイッチング損失を低減することができる。さらに、互いに逆方向の相電圧を発生する2つの電流供給期間が1つのPWMサイクル期間内に形成される逆電圧印加問題を防止することができる。好適には、コントローラは固定電位レグの上アームスイッチは定常的にオンされる。これにより、上アームスイッチのオフによるサージ電圧を低減することができる。
【0067】
第2に、コントローラは、デュアル3相インバータの3つの相の電流供給期間をできるだけオーバーラップしないように共通のPWMサイクル期間内に配置する。これにより、直流電源の電力損失を低減することができる。
【0068】
第3に、デュアル3相インバータは、相電流が相対的に低い2つ相の電流供給期間を優先的にオーバーラップする。これにより、直流電源の電力損失を低減することができる。
【0069】
第4に、デュアル3相インバータは、発電電流を出力する相の電流供給期間を他の相の電流供給期間と優先的にオーバーラップする。これにより、直流電源の電力損失を低減することができる。
【0070】
第5に、3つのHブリッジはそれぞれ、直流電源の正極端子に接続される+バスバーを挟む一対の上アームスイッチをもつ。これにより、サージ電圧を低減することができる。