(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】エッジ誘導部材からの熱損失を低減する方法および装置
(51)【国際特許分類】
C03B 17/06 20060101AFI20231127BHJP
【FI】
C03B17/06
(21)【出願番号】P 2022131583
(22)【出願日】2022-08-22
(62)【分割の表示】P 2016567235の分割
【原出願日】2015-05-13
【審査請求日】2022-09-21
(32)【優先日】2014-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(72)【発明者】
【氏名】レン ホア チュン
(72)【発明者】
【氏名】アディ エル カーラウト
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド スコット フランツェン
(72)【発明者】
【氏名】ブレンダン ウィリアム グローヴァー
(72)【発明者】
【氏名】ポール リチャード グレージック
(72)【発明者】
【氏名】ブレント コカトゥラム
(72)【発明者】
【氏名】ガオヂュー ペン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジョン スティーヴンソン
【審査官】永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102765869(CN,A)
【文献】特開2011-178657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスリボンを作製する装置において、
下流方向に沿って集束して底部を形成する、一対の下向き傾斜成形面部分を備えた、成形ウェッジ、
前記一対の下向き傾斜成形面部分に交差している、エッジ誘導部材、
前記底部および前記エッジ誘導部材の下流に位置付けられ、前記ガラスリボンのエッジ部分に係合するように位置付けられた、複数のエッジローラ、
前記成形ウェッジと、前記エッジ誘導部材と、前記複数のエッジローラとを包囲している、ハウジング、および、
前記エッジ誘導部材よりも下で前記ハウジングのポート内に取外し可能に位置付けられている、加熱カートリッジ、
を備え、
前記加熱カートリッジが、
前記エッジ誘導部材を少なくとも部分的に取り囲むように配向された、複数のファセットを備えている熱誘導面を有するエンクロージャと、
前記エンクロージャ内に位置付けられている耐火材料のブロックと、
を備え、
前記耐火材料のブロックは、前記加熱カートリッジの前記熱誘導面を前記加熱カートリッジの残部から絶縁するよう構成されているとともに、垂直積層および水平積層するよう配向されており、
前記複数のファセットの各々が、前記エンクロージャの底面に対して90°未満の角度で傾斜しており、前記熱誘導面が、該熱誘導面の面上に位置付けられた、少なくとも1つの加熱素子を備えており、
前記加熱カートリッジは、前記熱誘導面が前記エッジ誘導部材に面するように、配向されており、前記熱誘導面の下方エッジと前記加熱カートリッジの前記底面とが、前記エッジ誘導部材と前記複数のエッジローラとの間に少なくとも部分的に位置付けられて前記エッジ誘導部材を前記複数のエッジローラから熱的に遮蔽するように、構成されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記エンクロージャの底面に近接した前記熱誘導面の中心ファセットから延在している遮蔽部材をさらに有していることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記複数のファセットが、中心ファセットと該中心ファセットの両端部に位置する2つの側部ファセットとを含み、前記2つの側部ファセット夫々の、前記中心ファセットに対するその間の角度が、145°から175°であることを特徴とする請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記熱誘導面からの形態係数が前記複数のエッジローラよりも前記エッジ誘導部材で大きいことを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の装置。
【請求項5】
前記エッジ誘導部材の一部の温度を検知するよう位置づけられている熱センサと、
前記エッジ誘導部材の一部の前記温度を受け取り、前記エッジ誘導部材の一部の前記温度を増加させるまたは減少させるように前記加熱カートリッジに対する出力を調整するよう構成されているコントローラと、
をさらに有することを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記加熱カートリッジの上方に位置するとともに、前記エッジ誘導部材の近傍に位置する加熱機器をさらに有し、前記加熱機器が熱を前記エッジ誘導部材に向けて放射するよう配向されていることを特徴とする請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記コントローラが、前記エッジ誘導部材の前記部分の前記温度に基づき前記加熱機器に対する出力を調整するよう構成されており、前記エッジ誘導部材の前記部分の前記温度を増加させるまたは減少させることを特徴とする請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記エッジ誘導部材中に位置する第2の加熱機器をさらに有し、前記第2の加熱機器が前記エッジ誘導部材を内部で加熱することを特徴とする請求項5から7いずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記コントローラが、前記エッジ誘導部材の前記部分の前記温度に基づき前記第2の加熱機器に対する出力を調整するよう構成されており、前記エッジ誘導部材の前記部分の前記温度を増加させるまたは減少させることを特徴とする請求項8記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、その内容が引用され、その全体が参照することにより本書に組み込まれる、2014年5月15日に出願された米国特許出願第14/278582号の優先権の利益を米国特許法第120条の下で主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、一般にガラスリボンを作製する装置および方法に関し、より具体的には、エッジ誘導部材と、熱をエッジ誘導部材へと導きかつエッジ誘導部材を複数のエッジローラから熱的に遮蔽する、交換可能な加熱カートリッジとを用いて、ガラスリボンを作製する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
LCDディスプレイなどに用いられるガラスシートなどの種々のガラス製品の成形に、ガラス成形装置が一般に使用される。これらのガラスシートは、溶融ガラスを成形ウェッジ上に下向きに流して連続したガラスリボンを成形することによって製造され得る。所望のガラスリボン幅とエッジ特性を得るのを助けるために、成形ウェッジの対向する両端部にエッジ誘導部材が提供されることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなエッジ誘導部材がさらにヒートシンクとしても作用して、エッジ誘導部材に近接している溶融ガラスに失透を生じさせることがある。この失透はガラスリボンの欠陥の原因となり得、これが製造損失および製造コストの増加につながり得る。
【0005】
従って、エッジ誘導部材に近接したガラスの失透を軽減する、代わりのガラスリボン成形方法およびシステムが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態によれば、失透が減少したガラスリボンを作製する装置が提供される。この装置は、下流方向に沿って集束して底部を形成する、一対の傾斜成形面部分を備えた、成形ウェッジを含み得る。この装置は、一対の下向き傾斜成形面部分の少なくとも一方に交差しているエッジ誘導部材と、底部およびエッジ誘導部材の下流に位置付けられた、複数のエッジローラとをさらに備えている。複数のエッジローラは、ガラスリボンのエッジ部分に係合するように位置付けられ得る。ハウジングが、成形ウェッジと、エッジ誘導部材と、複数のローラとを包囲していてもよい。この装置はさらに、エッジ誘導部材よりも下でハウジングのポート内に位置付けられた、取外し可能な加熱カートリッジを含み得る。加熱カートリッジは、熱誘導面を有するエンクロージャを備えてもよく、熱誘導面は、エンクロージャの底面に対して約90°未満の角度で傾斜している。熱誘導面は、その面上またはその面に隣接して位置付けられた、少なくとも1つの加熱素子を備え得る。加熱カートリッジは、熱誘導面がエッジ誘導部材に面し、かつ熱誘導面からの形態係数がエッジローラよりもエッジ誘導部材で大きく、さらに熱誘導面の下方エッジと加熱カートリッジの底面とがエッジ誘導部材と複数のエッジローラとの間に少なくとも部分的に位置付けられてエッジ誘導部材を複数のエッジローラから熱的に遮蔽するように、配向され得る。
【0007】
別の実施形態では、失透が減少したガラスリボンを作製する装置において使用される、交換可能な加熱カートリッジが提供される。交換可能な加熱カートリッジは、熱誘導面を有するエンクロージャを備えてもよく、熱誘導面は、エンクロージャの底面に対して約90°未満の角度で傾斜している。熱誘導面は、その面上またはその面に隣接して位置付けられた、少なくとも1つの加熱素子を備え得る。このカートリッジは、エンクロージャ内部の、熱誘導面の背後に配置された、耐火材料をさらに含み得る。熱誘導面からの形態係数は、エンクロージャ底面の下よりもエンクロージャ底面の上方で大きくなり得、また熱誘導面の下方エッジと加熱カートリッジの底面とが、熱誘導面よりも上の領域を熱誘導面よりも下の領域から熱的に遮蔽し得る。
【0008】
さらに別の実施形態において、失透が減少したガラスリボンを作製するフュージョンドロー方法は、成形ウェッジの、下流方向に沿って集束して底部を形成する、一対の下向き傾斜成形面部分の上に、溶融ガラスを流すステップを含み得る。この方法は、一対の下向き傾斜成形面部分の少なくとも一方に交差しているエッジ誘導部材上に、溶融ガラスを流すステップと、この溶融ガラスを成形ウェッジの底部から延伸してガラスリボンを成形するステップと、底部およびエッジ誘導部材の下流に位置付けられた複数のエッジローラを、ガラスリボンのエッジ部分に係合させるステップとをさらに含み得る。この方法は、ハウジングのポート内に位置している交換可能な加熱カートリッジで、エッジ誘導部材を加熱するステップをさらに含み得る。この交換可能な加熱カートリッジは、複数のエッジローラとエッジ誘導部材との間に位置付けられ得る。交換可能な加熱カートリッジは、熱誘導面を有するエンクロージャを備えてもよく、熱誘導面は、エンクロージャの底面に対して約90°未満の角度で傾斜している。熱誘導面は、その面上またはその面に隣接して位置付けられた、少なくとも1つの加熱素子を備え得る。交換可能な加熱カートリッジは、熱誘導面がエッジ誘導部材に面し、かつ熱誘導面からの形態係数がエッジローラよりもエッジ誘導部材で大きく、さらに熱誘導面の下方エッジと交換可能な加熱カートリッジの底面とがエッジ誘導部材と複数のエッジローラとの間に少なくとも部分的に配置されてエッジ誘導部材を複数のエッジローラから熱的に遮蔽するように、配向され得る。
【0009】
ガラスリボンを作製する装置および方法と、このような装置および方法において使用される交換可能な加熱カートリッジのさらなる特徴および利点は、以下の詳細な説明の中に明記され、ある程度は、その説明から当業者には容易に明らかになるであろうし、あるいは、以下の詳細な説明、請求項、並びに添付の図面を含め、本書で説明される実施形態を実施することにより認識されるであろう。
【0010】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、種々の実施形態を説明したものであること、また請求される主題の本質および特徴を理解するための概要または構成を提供するよう意図されたものであることを理解されたい。添付の図面は、種々の実施形態のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれかつその一部を構成する。図面は本書で説明される種々の実施形態を示し、そしてその説明とともに、請求される主題の原理および動作の説明に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本書で図示および説明する1以上の実施形態による、ガラス作製装置の概略図
【
図2】本書で図示および説明する1以上の実施形態によるガラス作製装置の概略図であって、
図1の線2-2に沿った実施形態の断面斜視図を含んだ図
【
図3】本書で図示および説明する1以上の実施形態による、
図2のガラス作製装置の概略側面図
【
図4A】本書で図示および説明する1以上の実施形態によるガラス作製装置において使用される交換可能な加熱カートリッジの概略図
【
図4B】
図4Aの線4B-4Bに沿った交換可能な加熱カートリッジの概略断面図
【
図5】本書で図示および説明する1以上の実施形態による
図2のガラス作製装置において使用される交換可能な加熱カートリッジの背面の概略斜視図
【
図6】本書で図示および説明する1以上の実施形態によるガラス作製装置において使用される交換可能な加熱カートリッジの概略図。この設計図では加熱素子は図示されていない。
【
図7】底面に対する熱誘導面の傾斜角度αが90°の加熱カートリッジと比較した、底面に対する熱誘導面の傾斜角度αが約60°の交換可能な加熱カートリッジを使用した場合の、エッジ誘導部材の増加温度を示した概略図
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、ガラスリボンを作製する装置および方法と、この装置および方法において使用される交換可能な加熱カートリッジの実施形態を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。可能な限り、図面を通じて、同じまたは同様の部分の参照に同じ参照番号を使用する。ガラスを作製する装置の一実施の形態が
図1に示されており、概して全体を通じて参照番号10で指定されている。この装置は、概して、成形槽に固設されたエッジ誘導部材よりも下で、成形槽を包囲しているハウジングのポート内に取外し可能に位置付けられた、加熱カートリッジを備えている。加熱カートリッジは熱誘導面を有するエンクロージャを備えてもよく、熱誘導面は、エンクロージャの底面に対して約90°未満の角度で傾斜している。熱誘導面は、その面上またはその面に隣接して位置付けられた、少なくとも1つの加熱素子を備えている。熱誘導面がエッジ誘導部材に面し、かつ熱誘導面からの形態係数が、エッジ誘導部材の下に位置しているエッジローラよりもエッジ誘導部材で大きくなるように、加熱カートリッジは配向されている。熱誘導面の下方エッジと加熱カートリッジの底面は、エッジ誘導部材とエッジローラとの間に少なくとも部分的に位置付けられて、エッジ誘導部材を複数のエッジローラから熱的に遮蔽する。ガラスを作製する装置と、この装置において使用される交換可能な加熱カートリッジとを、添付の図面を特に参照して本書でさらに詳細に説明する。
【0013】
ここで
図1を参照すると、ガラスリボン12などのガラスを作製する、ガラス成形装置10の一実施の形態が概略的に描かれている。ガラス成形装置10は概して、貯蔵容器18からバッチ材料16を受け入れるように構成された、溶解槽15を備えている。バッチ材料16は、モータ22で動くバッチ送出装置20によって溶解槽15に取り込むことができる。随意的なコントローラ24を提供してモータ22を作動させてもよく、また溶融ガラスレベルプローブ28を使用して直立管30内のガラス溶融物の高さを測定し、この測定された情報をコントローラ24に伝えることができる。
【0014】
ガラス成形装置10は、溶解槽15の下流に位置しかつ第1の接続管36を用いて溶解槽15に結合された、清澄管などの清澄槽38をさらに備え得る。攪拌チャンバなどの混合槽42を、清澄槽38の下流にさらに設置してもよい。ボウルなどの送出槽46を、混合槽42の下流に設置してもよい。図示のように、第2の接続管40が清澄槽38を混合槽42に結合させ、第3の接続管44が混合槽42を送出槽46に結合させる。さらに図示されているように、送出槽46から成形槽60の注入口50へとガラス溶融物を送出するための、下降管48が位置付けられている。
図1に概略的に描かれている実施形態において、溶解槽15、清澄槽38、混合槽42、送出槽46、および成形槽60は、ガラス成形装置10に沿って連続して設置され得る種々のガラス溶融ステーションの例である。
【0015】
溶解槽15は典型的には、耐火(例えば、セラミック)レンガなどの耐火材料から作製され得る。ガラス成形装置10がさらに備え得る構成要素は、典型的には、白金、または白金ロジウム、白金イリジウム、およびこれらの組合せなどの、白金含有金属から作製されているが、モリブデン、パラジウム、レニウム、タンタル、チタン、タングステン、ルテニウム、オスミウム、ジルコニウム、およびこれらの合金などといった、耐火金属、および/または二酸化ジルコニウムも含み得る。白金を含有する構成要素としては、第1の接続管36、清澄槽38、第2の接続管40、直立管30、混合槽42、第3の接続管44、送出槽46、下降管48、および注入口50のうちの、1以上を挙げることができる。成形槽60を耐火材料から作製してもよく、成形槽60はガラス溶融物をガラスリボン12に成形するように設計される。
【0016】
図2は、
図1の線2-2に沿ったガラス成形装置10の断面斜視図である。図示のように成形槽60は成形ウェッジ62を含み、成形ウェッジ62は、成形ウェッジ62の対向する両端部64a、64bの間に延在する、一対の下向き傾斜成形面部分66a、66bを備えている。下向き傾斜成形面部分66a、66bは、下流方向68に沿って集束して底部70を形成する。延伸平面72が底部70を通って延在し、ガラスリボン12は、延伸平面72に沿って下流方向68に延伸され得る。延伸平面72は底部70を、成形槽の縦方向に、概して水平に二等分する。ただし延伸平面72は、底部70に対して他の向きに延在し得ることを理解されたい。
図1および2はガラス成形装置および成形槽の一実施の形態を概して描いたものであるが、本開示の態様は種々の他の成形槽の構成で使用され得ることも理解されたい。
【0017】
図1および2参照すると、特定の実施形態において成形槽60は、一対の下向き傾斜成形面部分66a、66bに交差している、エッジ誘導部材80a、80bを備え得る。エッジ誘導部材は、成形槽60の底部70の近くの溶融ガラスを誘導することによって、所望のガラスリボン幅およびエッジビード特性を得る助けとなる。さらなる実施形態において、エッジ誘導部材は下向き傾斜成形面部分66a、66bの両方と交差していてもよい。さらにまたは代わりに、特定の実施形態においてエッジ誘導部材は、成形ウェッジ62の対向する両端部64a、64bの夫々に位置付けられ得る。例えば、各エッジ誘導部材80a、80bを下向き傾斜成形面部分66a、66bの両方と交差するように構成して、
図1に示されているようにエッジ誘導部材80a、80bを成形ウェッジ62の対向する両端部64a、64bの夫々に位置付けてもよい。さらに図示されているように、各エッジ誘導部材80a、80bは互いに実質的に同一のものである。ただし代わりの実施形態では、ガラス成形装置の具体的な特性次第で、エッジ誘導部材が異なる構成および/または幾何学的形状を有し得ることを理解されたい。さらに本開示の態様に従って、種々の成形ウェッジ構成およびエッジ誘導部材構成を使用し得ることを理解されたい。例えば本開示の態様は、米国特許第3,451,798号明細書、同第3,537,834号明細書、同第7,409,839号明細書、および/または2009年2月26日に出願された米国仮特許出願第61/155,669号明細書において開示されているような、成形ウェッジ構成およびエッジ誘導部材構成で使用することができ、これらの夫々は参照することにより本書に組み込まれる。
【0018】
ここで
図2および3を参照すると、本開示の態様で使用され得るエッジ誘導部材の実施形態が概略的に描かれている。第1のエッジ誘導部材80aをより詳細に説明するが、第2のエッジ誘導部材80bを、第1のエッジ誘導部材80aと同一または類似の構成物とすることができることを理解されたい。同一のエッジ誘導部材を使用すると、均一なガラスリボンを提供するのに有益になり得る。しかしながら個々のエッジ誘導部材は、種々のガラス成形装置および/または成形槽の構成に適応するために、異なる構成および/または幾何学的形状も有し得ることを理解されたい。
【0019】
図2および3は、成形ウェッジ62の第1の下向き傾斜成形面部分66aに対して位置付けられた、第1のエッジ誘導部材80aの一実施の形態の第1の側を示している。図示していないが、第1のエッジ誘導部材80aは、成形ウェッジ62の第2の下向き傾斜成形面部分66bに対して位置付けられた、第2の側をさらに含んでいる。第1のエッジ誘導部材80aの第2の側は、底部70を二等分する延伸平面72に関して、第1の側の鏡像である。図示のように、第1のエッジ誘導部材80aの第1の側は、成形ウェッジ62の第1の下向き傾斜成形面部分66aに交差した、第1の表面82を有している。
【0020】
いくつかの実施形態において、成形ウェッジ62の各対向端部64a、64bは、対応する第1のエッジ誘導部材80aおよび第2のエッジ誘導部材80bを横方向に位置決めするように設計された、保持ブロック84を備えている。随意的には、図示のように、第1のエッジ誘導部材80aは上方部分86と下方部分88とを含み得る。いくつかの実施形態において下方部分88は、第1の対向端部64aの第1のエッジ誘導部材80aを第2の対向端部64bの第2のエッジ誘導部材80bと結合させることができる。エッジ誘導部材80a、80bを一緒に結合させると、成形ウェッジ62に対するエッジ誘導部材80a、80bの組立てを簡素化するのに有益である。さらなる実施形態において、エッジ誘導部材80a、80bの上方部分86は別々に提供され得る。例えば図示のように、第1のエッジ誘導部材80aは第2のエッジ誘導部材80bから分離しており、これらの分離しているエッジ誘導部材を、成形ウェッジ62の一対の下向き傾斜成形面部分66a、66bの夫々に対して独立して組み立てる。特定の実施形態では、結合されていない上方部分86を提供すると、エッジ誘導部材80a、80bの製造を簡素化することができる。
【0021】
ガラス成形装置10は、ガラスリボンを成形槽60の底部70から延伸するための、少なくとも1つのエッジローラアセンブリをさらに含んでいる。例えば
図1に示されているように、装置は一対のエッジローラアセンブリ130a、130bを含み得る。
図1および2を参照すると、エッジローラアセンブリ130a、130b(
図2に描かれているエッジローラアセンブリ130a)は概して、リボンが成形ウェッジ62の底部70から延伸されるときにガラスリボンの対応するエッジに係合するように構成された、第1の一対のエッジローラ132を備えている。エッジローラアセンブリ130a、130bは、ガラスリボン12を成形ウェッジ62の底部70から延伸するのを助け、さらにガラスリボンのエッジの適切な仕上げを促す。例えばエッジローラアセンブリ130a、130bは、一対の下向き傾斜成形面部分66a、66bに関連する、エッジ誘導部材80a、80bの対向する両表面から延伸されている溶融ガラスのエッジ部分の、所望のエッジ特性および適切な融合を実現することができる。特定の実施形態においてエッジローラアセンブリ130a、130bは、底部70から延伸されているガラスの粘性領域内の、様々な位置に設置することができる。例えばいくつかの実施形態では、エッジローラアセンブリ130a、130bを、底部70のすぐ下から底部70の約38.1cm下の位置までの、任意の位置に設置してもよい。ただし、他の位置が考えられることを理解されたい。例えばエッジローラアセンブリ130a、130bを、底部70の約20cm下から約25.5cm下までの範囲内の位置に設置してもよい。
【0022】
図1に示されているように、一実施の形態において、第1のエッジローラアセンブリ130aは第1のエッジ誘導部材80aに関連し、また第2のエッジローラアセンブリ130bは第2のエッジ誘導部材80bに関連する。本書で説明される実施形態において、各エッジローラアセンブリ130a、130bは、他方と実質的に同一のものである。
【0023】
図2および3は、エッジローラアセンブリ130aの一実施の形態を描いたものである。
図2に描かれているように第1のエッジローラアセンブリ130aは、第1のエッジローラ132aと第2のエッジローラ132bと含む、第1の一対のエッジローラ132を備えている。エッジローラ132a、132bは、成形ウェッジ62の底部70から延伸されているガラスリボン12の、第1の側と第2の側とに同時に係合するように構成されている。第1のエッジローラアセンブリ130aは、第1のエッジローラ132aに取り付けられた第1のシャフト134aと、第2のエッジローラ132bに取り付けられた第2のシャフト134bとを含む。第1および第2のシャフト134a、134bはハウジング密封板136を貫いて延在しており、モータ138によって回転可能に駆動される。ハウジング密封板136は、モータ138が位置している領域につながる開口(図示なし)を閉じることができる。ハウジング密封板136は、成形槽60、エッジ誘導部材80a、80b、およびエッジローラアセンブリ130a、130bを包囲している、ハウジング14(
図1)の一部を形成している。ハウジング14は、ハウジング内に位置しているモータおよび/または他の機構の、繊細な構成要素を保護するために、並びに成形槽60と成形槽60の中および周りに流れている溶融ガラスとを周囲環境から熱的に絶縁するために、耐火材料、鋼、および/または他の断熱材を含み得る。
【0024】
ここで
図3を参照すると、特定の実施形態では、第1および第2のローラ132a、132bを能動的に(例えば、気体または液体で)冷却して、溶融ガラスがエッジローラ132a、132b上に堆積されてこれに付着する可能性を低減するのを助けることができる。例えば
図3に示されているように、注入ライン152が、各シャフト134a、134bを通って延在して、第1および第2のローラ132a、132bに冷却液体を提供するように構成され得る。排出ライン154が、さらに各シャフト134a、134bを通って延在して、加熱された液体を流体源156へと戻す。油圧式ポンプ158が流体源から液体を引き出して液体を熱交換器160に通過させ、第1および第2のローラ132a、132bから伝達された熱を取り除き、その後その液体を注入ライン152に戻して循環させて、第1および第2のローラ132a、132bを冷却し続けることができる。
【0025】
図1~3に描かれているようなガラス成形装置では、エッジローラアセンブリ130a、130bの局所的な冷却によって生じる温度勾配などのハウジング14内の温度勾配が、エッジ誘導部材80a、80b上を流れている溶融ガラスの失透を引き起こし得ることが分かった。特に、より低温のエッジローラがヒートシンクとして作用してエッジ誘導部材80a、80bから熱を引き出し、それによりエッジ誘導部材80a、80bの温度を減少させる。成形槽60で延伸された溶融ガラスが、より低温のエッジ誘導部材80a、80bに接触すると、溶融ガラスが失透し、溶融ガラスの流れを乱して、成形槽60の底部70から延伸されたガラスリボンに潜在的に欠陥を生じさせることがある。
【0026】
再び
図1を参照すると、エッジ誘導部材80a、80bに接触して溶融ガラスが失透するのを防ぐために、ガラス成形装置10は、ハウジング14内に位置付けられた交換可能な加熱カートリッジ110a、110bをさらに備えている。この交換可能な加熱カートリッジは熱をエッジ誘導部材80a、80bへと導くように構成され得、それによりエッジ誘導部材80a、80bを溶融ガラスの失透温度を上回る温度で維持することで、ガラスの失透を抑制することができる。交換可能な加熱カートリッジ110a、110bはさらに、エッジ誘導部材80a、80bを、より低温のエッジローラ132a、132bから熱的に絶縁し遮蔽する、バリアとしての役割を果たすことができ、それによりエッジ誘導部材からエッジローラ132a、132bへの熱伝達を防ぐことができる。例えばガラス成形装置10は、ガラス成形装置10のハウジング14内に取外し可能に据え付けられた、1以上の交換可能な加熱カートリッジ110a、110b(1つが描かれている)を含み得る。交換可能な加熱カートリッジは、ある延伸作業期間中に、その作業期間の最後まで待機しないで交換またはアップグレードすることができ、それにより生産ロスおよび設備のダウンタイムを減少させることができる。
図1~5は、ガラス成形装置10のハウジング14内に挿入された交換可能な加熱カートリッジ110a、110bの実施形態を概略的に描いたものである。
【0027】
ここで
図3~5を参照すると、一実施の形態において、第1の交換可能な加熱カートリッジ110aは熱誘導面122を有するエンクロージャ120を含み、熱誘導面122は、その面上またはその面に隣接して位置付けられた、少なくとも1つの加熱素子124を備えている。エンクロージャ120は、ガラス成形装置10に関連する典型的な温度条件下で構造的完全性を維持しながら、熱エネルギーを吸収または反射する、あるいは熱遮蔽を実現する、様々な材料から加工することができる。例えば、エンクロージャ120および交換可能な加熱カートリッジ110aの他の部分を、ガラス成形装置10の構造的および/または熱的要件を満たすような、耐火材料、高温用の、ニッケルベース合金、鋼(例えば、ステンレス鋼)、または他の合金、あるいは他の材料または材料の組合せから形成してもよい。例えば一実施の形態において、エンクロージャ120を、Hanes 214などのニッケルベース合金から作製してもよい。ある特定の実施形態において、第1の交換可能な加熱カートリッジ110aの熱誘導面122は、低放射率のセラミック耐火性裏当て材から形成される。適切なセラミック耐火材料としては、限定するものではないが、Zircar ceramicsから入手可能なSALI板材が挙げられる。ガラス成形装置10の高温に直接露出されないエンクロージャの部分は、より低温の用途に適した材料から作製してもよい。例えばエンクロージャ120の背面125は、例えば420ステンレス鋼などのステンレス鋼から作製することができる。
【0028】
特定の実施形態によれば、交換可能な加熱カートリッジ110aの熱誘導面122は、典型的には、エンクロージャ120の底面126に対して約90°未満の角度αで傾斜している。特定の実施形態において熱誘導面122の傾斜角度αは、エンクロージャの底面126に対して約45°から約75°である。特定の実施形態において熱誘導面122の傾斜角度αは、底面126に対して約60°である。熱誘導面122の傾斜角度は、第1の交換可能な加熱カートリッジ110aをガラス成形装置のハウジング14内に、熱誘導面122が第1のエッジ誘導部材80aに面するように位置付ける助けとなる。熱誘導面122の角度および第1の交換可能な加熱カートリッジ110aの向きにより、熱誘導面122は、周囲環境への熱の損失を最小限のみとして、熱を第1のエッジ誘導部材80aに向けて放射しかつこの第1のエッジ誘導部材80aへと導くことができる。さらに、熱誘導面122の角度および交換可能な加熱カートリッジ110aの位置は、熱誘導面からの形態係数が第1の一対のエッジローラ132よりも第1のエッジ誘導部材80aで大きくなるようなものとされる。「形態係数」という用語は本書では、特定の表面(すなわち、エッジ誘導部材80aまたはエッジローラ132a、132b)に入射する熱誘導面122からの熱放射の相対的割合を称する。
【0029】
いくつかの実施形態において交換可能な加熱カートリッジ110aは、
図4Aに概略的に描かれているように、熱誘導面122の中心ファセット162の、交換可能な加熱カートリッジ110aの底面126のすぐ近くから延在している、遮蔽部材121を随意的に含み得る。遮蔽部材121はさらなる熱遮蔽を提供することができ、かつ第1のエッジ誘導部材80aから交換可能な加熱カートリッジ110aよりも下の環境への熱損失を低減することができる。
【0030】
図3~5をさらに参照すると、交換可能な加熱カートリッジ110aは、エンクロージャ120の熱誘導面122上または熱誘導面122に隣接して位置付けられた、加熱素子124をさらに備えている。特定の実施形態において、熱誘導面122上または熱誘導面122に隣接して位置付けられた加熱素子124は、抵抗加熱素子である。抵抗加熱素子の材料は、二ケイ化モリブデン、白金、白金ロジウム、カンタルA1などの鉄‐クロム‐アルミニウム合金、カンタルAPM(フェライト系鉄‐クロム‐アルミニウム合金)、または別の適切な巻線材料でもよい。
【0031】
いくつかの実施形態において加熱素子124は、上記参照材料のうちの1つから形成されたワイヤを、コイルに巻くことにより構成されたものでもよい。例えば限定するものではないが、一実施の形態において加熱素子124は、円形断面を有するコイルを形成するために、円形断面を有する心棒の周りに巻回された円形断面の白金ワイヤから構成され得る。しかしながら、他の断面形状のコイルが可能でありかつ考えられることを理解されたい。例えば一実施の形態では、加熱素子のワイヤを、長円形、楕円などの細長い断面を有する心棒の周りに、この心棒と同じ細長い断面を有するコイルを生成するために巻き付けてもよい。細長い断面を有するコイルから加熱素子124を形成すると、コイルの通電能力の増加によりコイルの加熱効率を向上させ得ることが確認された。例えば、円形断面を有する白金ワイヤを巻き付けて長内径3/8インチ(9.53mm)および短内径3/16インチ(4.78mm)の長円形コイルとしたものは、同じ白金ワイヤから形成された直径3/8インチ(9.53mm)の円形コイルに比べて通電能力が25%増加することが確認された。通電能力の増加は、コイルの加熱効率および有効性の向上につながる。
【0032】
さらに
図3~5を参照すると、エンクロージャ120内部の、熱誘導面122の面の背後には、熱誘導面122を交換可能な加熱カートリッジ110aの残部から絶縁させる、1以上の耐火材料128のブロックが位置している。特定の実施形態において耐火ブロック128は、熱誘導面122からの熱伝達を最小限に抑えるよう、
図4Bに描かれているように垂直積層と水平積層を交互にした状態で配向されている。特に、耐火ブロック128を交互に垂直積層および水平積層とすると、ブロック間の継ぎ目の位置の熱を減少させる助けになり得ると考えられる。実施形態では耐火材料128を、熱誘導面122の角度にほぼ等しい角度で配向してもよい。熱誘導面122がSALI板材などの耐火材料から形成されている場合など、さらに他の実施形態では、熱誘導面122の耐火材料がエンクロージャ内へと延在していてもよい。本書で説明される実施形態において耐火ブロック128は、限定するものではないが、DuraBoard(登録商標)3000および/またはDuraBoard2600などの、市販されている耐火材料から形成してもよい。
【0033】
図4および5に示されているような特定の実施形態において、熱誘導面122は、エッジ誘導部材を少なくとも部分的に取り囲むように配向された、複数のファセット161を備えている。例えば
図4および5に概略的に描かれている交換可能な加熱カートリッジ110aの実施形態において、熱誘導面122は、中心ファセット162と、中心ファセット162の両端部に位置する2つの側部ファセット164とを有している。典型的には、2つの側部ファセット164夫々の、中心ファセット162に対するその間の最大角度βは、約145°から約175°である。例えば2つの側部ファセット164夫々の、中心ファセット162に対するその間の最大角度βは約160°でもよいが、他の角度が可能でありかつ考えられることを理解されたい。
【0034】
図4A、4B、および5に描かれている交換可能な加熱カートリッジ110aの実施形態は複数のファセットを有する熱誘導面122を備えているが、他の実施形態が考えられることを理解されたい。例えば熱誘導面122は、湾曲面を有するものでもよい。
図6に描かれている交換可能な加熱カートリッジ110aの実施形態では、例えば、熱誘導面122は円錐台形166設計を有している。熱誘導面122の、多面161設計または円錐台形166設計は、第1のエッジ誘導部材80aに向けて導かれる熱の量を増加させ、それにより周囲環境への熱損失を最小限に抑え、さらにエッジ誘導部材に対する交換可能な加熱カートリッジの加熱効率を概して向上させる。さらに、熱誘導面122の円錐台形設計および/または多面設計は、熱誘導面122と第1のエッジ誘導部材80aとの間の形態係数も向上させる。
【0035】
再び
図1および3を参照すると、本書で説明される実施形態では、熱誘導面122の下方エッジ123とエンクロージャ120の底面126とがエッジ誘導部材80a、80bと複数のエッジローラ132との間に少なくとも部分的に位置付けられて、エッジ誘導部材80a、80bを複数のエッジローラ132から熱的に遮蔽するように、交換可能な加熱カートリッジ110a、110bはガラス成形装置10のハウジング14内に位置付けられる。
図1に示されているように、第1の交換可能な加熱カートリッジ110aは第1のエッジ誘導部材80aに関連する。同様に第2の交換可能な加熱カートリッジ110bは、第2のエッジ誘導部材80bに関連する。本書で説明される実施形態では、交換可能な加熱カートリッジが、対応するエッジ誘導部材を加熱するための加熱器としてだけではなく、エッジ誘導部材および複数のエッジローラを互いから熱的に隔離するための熱遮蔽体としても機能し得ることを理解されたい。この二重の機能性は、交換可能な加熱カートリッジを、構成要素のいずれかに接触したり、あるいは接触以外でその動作を干渉したりすることなく、エッジ誘導部材と複数のエッジローラとの間に少なくとも部分的に位置付けることを可能にする、交換可能な加熱カートリッジの傾斜した熱誘導面122によって可能になる。従って交換可能な加熱カートリッジは、対応するエッジ誘導部材80a、80bから非標的領域への熱損失、特に冷却されたエッジローラアセンブリ130a、130bへの熱損失を、低減するように構成される。この非標的領域は、ガラス製造装置の近傍の領域、および/またはエッジ誘導部材80a、80bから熱を引き込むまたは放熱させる能力がある他の位置を含み得る。
【0036】
ここで
図3を参照すると、様々な取付け構造を使用して、交換可能な加熱カートリッジ110aをエッジ誘導部材80aに対して据え付けることができる。例えば
図3に示されている実施形態では、上述したように、交換可能な加熱カートリッジ110aが成形槽60よりも下でエッジ誘導部材80aと第1の一対のエッジローラ132との間に位置付けられるように、交換可能な加熱カートリッジ110aをハウジング密封板136のポート内に据え付ける。この実施形態において交換可能な加熱カートリッジ110aは、ハウジング14および/またはハウジング密封板136に係合している、ブラケット114に据え付けられ得る。さらに、または代わりに、交換可能な加熱カートリッジ110aを、ハウジング密封板136に取り付けられたT字型壁支持ブラケット112上にのせてもよい。いくつかの実施形態では交換可能な加熱カートリッジを、可動のハウジング密封板136に据え付けることによって、エッジ誘導部材に対して調節可能に据え付けてもよい。
【0037】
特定の実施形態では、第1の交換可能な加熱カートリッジ110aを第1のエッジ誘導部材80aの一部の下に位置付けてもよく、また第1の交換可能な加熱カートリッジ110aは、成形ウェッジ62の長さ寸法に対して概して縦方向に、シャフト134a、134bに極近接して延在している。
図2および3に示されているように、第1の交換可能な加熱カートリッジ110aを、第1のエッジ誘導部材80aの一部のみの下に位置付けてもよい。実際には
図3に示されているように、熱誘導面122の下方エッジ123および底面126がガラスリボン12の対応するエッジ13の外側で終端するように、第1の交換可能な加熱カートリッジ110aは位置付けられる。従って、熱誘導面122の下方エッジ123および第1の交換可能な加熱カートリッジ110aの底面126は、第1のエッジ誘導部材の内側部分85の下には延在せずに、第1のエッジ誘導部材80aの外側部分83の下のみに延在する。特定の実施形態において、熱誘導面122の下方エッジ123および第1の交換可能な加熱カートリッジ110aの底面126は、溶融ガラスの流れに向かう方向に、底部の幅方向の範囲を越えて内側へは延在しない。すなわち、熱誘導面122の下方エッジ123および第1の交換可能な加熱カートリッジ110aの底面126は、底部の真下にはならない。
図3および
図4Aを参照すると、他の実施形態において交換可能な加熱カートリッジ110aは、熱誘導面122の中心ファセット162の下方エッジ123が、底部70の高さでの成形ウェッジ62の堰堤部81の位置(例えば、成形ウェッジ62と保持ブロック84の交差位置)を越えて延在しないように、エッジ誘導部材の下に位置付けられる。すなわち中心ファセット162の下方エッジ123は、成形ウェッジ62の底部70が成形ウェッジ62の堰堤部81と交差する位置で成形ウェッジ62から引いた鉛直のラインを超えて、エッジ誘導部材80aの下に延在することはない。交換可能な加熱カートリッジ110aをこのように位置付けると、熱誘導面122の中心ファセット162の下方エッジ123が成形ウェッジ62から延伸されているガラスリボン12を確実に干渉しないようにさせると同時に、エッジ誘導部材へと導かれる熱が最大になる。従って、交換可能な加熱カートリッジ110aの傾斜した熱誘導面122が、第1のエッジ誘導部材80aの内側部分85に熱を効果的に導くように配向され、それにより第1のエッジ誘導部材80aの内側部分85の温度が増加して、エッジ誘導部材80aのこの部分での溶融ガラスの失透が抑制されることを理解されたい。第1の交換可能な加熱カートリッジ110aを、このように第1のエッジ誘導部材80aの一部のみの真下の位置、あるいは特定の他の実施形態では底部の真下に延在しない位置に提供すると、成形ウェッジ62の底部70から延伸されている溶融ガラスとの考えられる干渉を回避しながら、非標的領域への熱損失の十分な低減を実現することができる。
【0038】
さらにまたは代わりに、第1の交換可能な加熱カートリッジ110aは、第1のエッジ誘導部材の部分的に下流または完全に下流に位置付けられ得る。例えば
図2および3に示されているように、図示の第1の交換可能な加熱カートリッジ110aは、下流方向68に沿って第1のエッジ誘導部材80aの完全に下流に位置付けられている。第1の交換可能な加熱カートリッジ110aを第1のエッジ誘導部材80aの完全に下流に位置付けると、第1のエッジ誘導部材80aの下流に位置している非標的領域への第1のエッジ誘導部材80aからの熱損失を最小限に抑える助けとなる。
【0039】
代わりの実施形態では(図示なし)、第1の交換可能な加熱カートリッジ110aを、第1のエッジ誘導部材80aの部分的に下流に位置付けてもよい。例えば第1の交換可能な加熱カートリッジ110aを第1のエッジ誘導部材80aの上方部分の下流に位置付けてもよく、同時に第1のエッジ誘導部材80aの下方部分は、第1の交換可能な加熱カートリッジ110aの下流に位置付けられる。さらなる実施形態では、第1のエッジ誘導部材80aの上方部分が第1の交換可能な加熱カートリッジ110aよりも上で延在し、かつ第1のエッジ誘導部材80aの下方部分が第1の交換可能な加熱カートリッジ110aよりも下で延在した状態で、第1の交換可能な加熱カートリッジ110aを第1のエッジ誘導部材80aの第1の側に隣接して位置付けてもよい。第1の交換可能な加熱カートリッジ110aを第1のエッジ誘導部材80aの、単に部分的に下流に位置付けると、コンパクトな設計を実現しながら、あるいはそれ以外の様々な成形槽の設計に適応しながら、非標的領域への熱損失を十分に減少させることができる。
【0040】
図2および3に示されているように、特定の実施形態において第1の交換可能な加熱カートリッジ110aは、第1の一対のエッジローラ132と第1のエッジ誘導部材80aとの間に部分的に位置付けられ得る。例えば
図3に示されているように、熱誘導面122の下方エッジ123および第1の交換可能な加熱カートリッジ110aの底面126は、第1のエッジ誘導部材80aの外側部分83と第1の一対のエッジローラ132の第1のシャフト134aおよび第2のシャフト134bとの間のみに延在している。熱誘導面122の下方エッジ123および第1の交換可能な加熱カートリッジ110aの底面126は、ガラスリボン12の対応するエッジ13の外側で終端する。従って、熱誘導面122の下方エッジ123および第1の交換可能な加熱カートリッジ110aの底面126は、第1のエッジ誘導部材80aの内側部分85と第1の一対のエッジローラ132のエッジローラ132a、132bとの間には延在しない。しかしながら、交換可能な加熱カートリッジ110aの傾斜した熱誘導面122を、第1のエッジ誘導部材80aの内側部分85に熱を効果的に導くように配向して、それにより第1のエッジ誘導部材80aの内側部分85の温度を増加させ、エッジ誘導部材80aのこの部分での溶融ガラスの失透を抑制する。
【0041】
特定の実施形態において、ガラス成形装置10は、エッジ誘導部材80a、80bの一方または両方に関連する1以上の随意的なさらなる加熱器をさらに含み得る。この1以上の加熱器は、提供される場合、溶融ガラスとエッジ誘導部材80a、80bとの間の境界面を加熱する能力がある、種々の構成で構成され得る。例えば、耐火性または金属製の抵抗加熱器、誘導加熱器、または他の加熱機器を使用することができる。特定の実施形態では、抵抗加熱器(例えば、白金巻線、二ケイ化モリブデン巻線など)が使用され得る。これらの加熱器は、対応するエッジ誘導部材に関連して、ハウジング14内の種々の位置に位置付けられ得る。
図3に示されているように、一実施の形態では加熱機器170aが、第1のエッジ誘導部材80aに隣接して、交換可能な加熱カートリッジ110aよりも上に位置付けられ得る。この実施形態において加熱機器170aは、熱を第1のエッジ誘導部材80aに向かって横方向に放射するように配向されている。さらにまたは代わりに、第2の加熱機器170bを第1のエッジ誘導部材80aの内側に位置付けてもよく、この第2の加熱機器170bは第1のエッジ誘導部材80aを内部で加熱するように構成され得る。さらなる加熱機器を様々な位置で使用して、エッジ誘導部材をさらに加熱してもよい。実施形態においてこれらの機器は、エッジ誘導部材に対するコイルの加熱効率を向上させるべく細長い断面を有するコイルから形成され得る。図示の実施形態においてさらなる加熱機器170a、170bは、交換可能な加熱カートリッジ110aの上流に位置付けられている。しかしながら他の実施形態では加熱器を、交換可能な加熱カートリッジ110aの下流など、他の位置に設置してもよいことを理解されたい。
【0042】
図3にさらに示されているように、特定の実施形態において装置は、第1の交換可能な加熱カートリッジ110aに関連する加熱を制御するように構成された、コントローラ180をさらに含み得る。特定の実施形態においてコントローラ180は、第1の交換可能な加熱カートリッジ110aと、さらにエッジ誘導部材80aに関連する1以上の随意的な加熱器(例えば、加熱機器170a、170b)とに動作可能に接続され得る。コントローラ180は、プロセッサと、コンピュータで読込みおよび実行可能な命令を格納するメモリとを含み得、この命令は、プロセッサにより実行されると、交換可能な加熱カートリッジおよび/または加熱機器への出力を調整して、それにより交換可能な加熱カートリッジおよび/または加熱機器によって提供される熱を、フィードバックまたは他のプロセスパラメータに基づいて増加または減少させる。
【0043】
特定の実施形態においてコントローラは、ガラス成形装置からの熱的フィードバックに基づいて、第1の交換可能な加熱カートリッジ110aと1以上の随意的な加熱機器170a、170bとを操作するように構成され得る。例えば一実施の形態において、コントローラ180は熱センサ182から熱的フィードバックを得るように構成されている。ガラスリボンの製造が進んでいるときの装置の熱的特性の管理された制御を実現するために、熱センサ182によって得られたフィードバックをコントローラ180で使用して、交換可能な加熱カートリッジおよび/または加熱機器を調節することができる。この熱的特性は、例えば交換可能な加熱カートリッジ110a、110bの熱誘導面122、エッジ誘導部材80a、80bの一部、成形槽60の端部の一部、溶融ガラスの一部、および/またはガラス成形装置10の他の特徴など、ガラス成形装置の一部に関連する、例えば温度損失および/または熱損失を含み得る。
【0044】
一実施の形態において、熱センサ182は目標レベルを上回る温度を検出するものでもよく、さらにコントローラ180は、より少ない熱が標的領域へと伝達され、それにより目標レベルの温度が得られるまで温度を減少させるように、第1の交換可能な加熱カートリッジ110aへの出力を減少させることができる。あるいは、特定の実施形態において熱センサ182は目標レベルを下回る温度を検出するものでもよく、このときコントローラ180は、より多くの熱が標的領域へと伝達され、それにより目標レベルの温度が得られるまで温度を増加させるように、交換可能な加熱カートリッジへの出力を増加させることができる。
【0045】
ガラスを作製する種々の方法は、上述したガラス成形装置10の種々の特徴を組み込むことができる。一実施の形態では、上述した例示的な一連のガラス溶融ステーションにより、バッチ材料を、成形槽60に受け入れられる溶融ガラスへと変化させてもよい。
図2に示されているように、この方法は、成形ウェッジ62の一対の下向き傾斜成形面部分66a、66bの上に、溶融ガラス17を流すステップを含む。
図2および3に示されているように、この方法は、溶融ガラスをエッジ誘導部材上に流すステップと、溶融ガラスを成形ウェッジ62の底部70から延伸してガラスリボン12を成形するステップとをさらに含む。この方法は、ガラスリボンのエッジに係合するように構成された、一対のエッジローラを提供するステップをさらに含む。エッジローラをモータ138によって回転させて、ガラスリボン12を成形ウェッジ62の底部70から延伸する。さらに図示されているように、この方法は、エッジ誘導部材を交換可能な加熱カートリッジ110a、110bで加熱して、上述したように、対応するエッジ誘導部材80a、80bから非標的領域への熱損失、特に冷却されたエッジローラへの熱損失を、低減するステップをさらに含む。本開示の態様は、ガラスのエッジ品質に良い影響を与え、さらに別のやり方の際にエッジ誘導部材の表面で生じ得る失透および結晶成長に起因する、エッジ条件の悪化を防ぐことが理解されよう。
【実施例】
【0046】
本書で説明される実施形態を、以下の実施例によってさらに明確にする。
【0047】
実施例1
計算モデルを開発して、従来の設計の加熱器を用いて加熱したエッジ誘導部材の表面温度と、本書で説明した交換可能な加熱カートリッジを用いて加熱したエッジ誘導部材の表面温度とを比較した。従来の加熱器は、加熱器のベースに対して90°の傾斜角度αを有する熱誘導面でモデル化した。従来の加熱器は、白金合金の加熱素子を熱誘導面上に配置してモデル化した。交換可能な加熱カートリッジは、交換可能な加熱カートリッジのベースに対して60°の傾斜角度αを有する熱誘導面でモデル化した。交換可能な加熱カートリッジは、二ケイ化モリブデンの加熱素子を熱誘導面上に位置付けてモデル化した。従来の加熱器と交換可能な加熱カートリッジとの両方を、動作出力6900Wでモデル化した。
【0048】
図7は、傾斜角度αが90°の従来の加熱器に対し、傾斜角度αが60°の交換可能な加熱カートリッジを用いて加熱したことによるエッジ誘導部材の表面上の正規化した温度差を、グラフで描いたものである。すなわち
図7の等温線は、傾斜角度αが90°の従来の加熱器を用いた加熱に対する、傾斜角度αが60°の加熱カートリッジを用いた加熱の結果としての、エッジ誘導部材の表面温度の増加を示している。
図7に描かれているように、傾斜角度αが60°の交換可能な加熱カートリッジは、傾斜角度αが90°の従来の設計に対して、エッジ誘導部材の平均温度を約18°(エッジ誘導部材の全表面に亘る平均)増加させた。使用される加熱器に拘らず、エッジ誘導部材の最低温度は一般に、エッジ誘導部材の
図7に表示されている底部高度での外側角部で発生する。ただしこのモデル化データは、傾斜角度αが60°の交換可能な加熱カートリッジが、傾斜角度αが90°の従来の設計に対して、この外側角部の温度を約19℃増加させたことを明示している。
【0049】
図7のデータは、例えば約45°から約75°などの90°未満の傾斜角度αを有する熱誘導面を備えた、本書で説明される交換可能な加熱カートリッジが、従来の加熱器(すなわち、傾斜角度αが90°の加熱器)に比べてエッジ誘導部材の表面を高い温度で維持するのにより効果的であり、従ってエッジ誘導部材上で延伸されるガラスの失透を低減するのにより効果的であることを示している。特に熱誘導面の傾斜角度により、熱をより効率的にエッジ誘導部材に向かって放射することができる。さらに、加熱面の傾斜角度により、取外し可能な加熱カートリッジを牽引ロールとエッジ誘導部材との間に挿入することができ、それによりエッジ誘導部材を、ヒートシンクとして作用する牽引ロールから熱的に遮蔽することができる。
【0050】
請求される主題の精神および範囲から逸脱することなく、本書において説明された実施形態の種々の改変および変形が作製可能であることは当業者には明らかであろう。従って、本書において説明された種々の実施形態の改変および変形が、添付の請求項およびその同等物の範囲内であるならば、本明細書はこのような改変および変形を含むと意図されている。
【0051】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0052】
実施形態1
ガラスリボンを作製する装置において、
下流方向に沿って集束して底部を形成する、一対の下向き傾斜成形面部分を備えた、成形ウェッジ、
前記一対の下向き傾斜成形面部分に交差している、エッジ誘導部材、
前記底部および前記エッジ誘導部材の下流に位置付けられ、前記ガラスリボンのエッジ部分に係合するように位置付けられた、複数のエッジローラ、
前記成形ウェッジと、前記エッジ誘導部材と、前記複数のエッジローラとを包囲している、ハウジング、および、
前記エッジ誘導部材よりも下で前記ハウジングのポート内に取外し可能に位置付けられ、熱誘導面を有するエンクロージャを備えている、加熱カートリッジであって、前記熱誘導面が、前記エンクロージャの底面に対して約90°未満の角度で傾斜しており、前記熱誘導面が、該熱誘導面の面上または該熱誘導面の面に隣接して位置付けられた、少なくとも1つの加熱素子を備えている、加熱カートリッジ、
を備え、前記加熱カートリッジが、前記熱誘導面が前記エッジ誘導部材に面し、かつ前記熱誘導面からの形態係数が前記複数のエッジローラよりも前記エッジ誘導部材で大きく、さらに前記熱誘導面の下方エッジと前記加熱カートリッジの前記底面とが前記エッジ誘導部材と前記複数のエッジローラとの間に少なくとも部分的に位置付けられて前記エッジ誘導部材を前記複数のエッジローラから熱的に遮蔽するように、配向されていることを特徴とする装置。
【0053】
実施形態2
前記熱誘導面の前記角度が、前記エンクロージャの前記底面に対して約45°から約75°であることを特徴とする実施形態1記載の装置。
【0054】
実施形態3
前記熱誘導面が、前記エッジ誘導部材を少なくとも部分的に取り囲むように配向された、複数のファセットを備えていることを特徴とする実施形態1記載の装置。
【0055】
実施形態4
前記複数のファセットが、中心ファセットと該中心ファセットの両端部に位置する2つの側部ファセットとを含み、前記2つの側部ファセット夫々の、前記中心ファセットに対するその間の最大角度が、約145°から約175°であることを特徴とする実施形態3記載の装置。
【0056】
実施形態5
前記熱誘導面が、該熱誘導面が前記エッジ誘導部材を少なくとも部分的に取り囲むような、湾曲面であることを特徴とする実施形態1記載の装置。
【0057】
実施形態6
前記少なくとも1つの加熱素子が、細長い断面を有するコイルを含むことを特徴とする実施形態1記載の装置。
【0058】
実施形態7
前記少なくとも1つの加熱素子が、二ケイ化モリブデンと、白金と、白金ロジウムと、鉄‐クロム‐アルミニウム合金とから成る群から選択される材料から形成されていることを特徴とする実施形態6記載の装置。
【0059】
実施形態8
ガラスリボンを成形する装置において使用される交換可能な加熱カートリッジにおいて、
熱誘導面を有するエンクロージャであって、前記熱誘導面が、該エンクロージャの底面に対して約90°未満の角度で傾斜しており、前記熱誘導面が、該熱誘導面の面上または該熱誘導面の面に隣接して位置付けられた、少なくとも1つの加熱素子を備えている、エンクロージャ、および、
前記エンクロージャ内部の、前記熱誘導面の背後に位置付けられた、耐火材料、
を備え、前記熱誘導面からの形態係数が、前記エンクロージャの前記底面の下よりも前記エンクロージャの前記底面の上方で大きく、さらに前記熱誘導面の下方エッジと前記交換可能な加熱カートリッジの前記底面とが、前記熱誘導面よりも上の領域を前記熱誘導面よりも下の領域から熱的に遮蔽することを特徴とする交換可能な加熱カートリッジ。
【0060】
実施形態9
前記熱誘導面の前記角度が、前記底面に対して約45°から約75°であることを特徴とする実施形態8記載の交換可能な加熱カートリッジ。
【0061】
実施形態10
前記熱誘導面が複数のファセットを備えていることを特徴とする実施形態8記載の交換可能な加熱カートリッジ。
【0062】
実施形態11
前記複数のファセットが、中心ファセットと該中心ファセットの両端部に位置する2つの側部ファセットとを含み、前記2つの側部ファセット夫々の、前記中心ファセットに対するその間の最大角度が、約145°から約175°であることを特徴とする実施形態10記載の交換可能な加熱カートリッジ。
【0063】
実施形態12
前記熱誘導面の前記中心ファセットの、前記エンクロージャの前記底面のすぐ近くから延在している、遮蔽部材をさらに備えていることを特徴とする実施形態11記載の交換可能な加熱カートリッジ。
【0064】
実施形態13
前記熱誘導面が湾曲面を備えていることを特徴とする実施形態8記載の交換可能な加熱カートリッジ。
【0065】
実施形態14
前記少なくとも1つの加熱素子が、二ケイ化モリブデンと、白金と、白金ロジウムと、鉄‐クロム‐アルミニウム合金とから成る群から選択される材料から形成されていることを特徴とする実施形態8記載の交換可能な加熱カートリッジ。
【0066】
実施形態15
ガラスリボンを作製する方法において、
成形ウェッジの、下流方向に沿って集束して底部を形成する、一対の下向き傾斜成形面部分の上に、溶融ガラスを流すステップ、
前記一対の下向き傾斜成形面部分の少なくとも一方に交差している、エッジ誘導部材上に、前記溶融ガラスを流すステップ、
前記溶融ガラスを前記成形ウェッジの前記底部から延伸して、前記ガラスリボンを成形するステップ、
ハウジングを貫いて延在している、前記底部および前記エッジ誘導部材の下流に位置付けられた複数のエッジローラを、前記ガラスリボンのエッジ部分に係合させるステップ、および、
前記ハウジングのポート内に位置している、前記複数のエッジローラと前記エッジ誘導部材との間に位置付けられた交換可能な加熱カートリッジで、前記エッジ誘導部材を加熱するステップ、
を含み、前記交換可能な加熱カートリッジが、熱誘導面を有するエンクロージャを備え、前記熱誘導面が、前記エンクロージャの底面に対して約90°未満の角度で傾斜しており、前記熱誘導面が、該熱誘導面の面上または該熱誘導面の面に隣接して位置付けられた、少なくとも1つの加熱素子を備え、さらに、前記加熱カートリッジが、前記熱誘導面が前記エッジ誘導部材に面し、かつ前記熱誘導面からの形態係数が前記複数のエッジローラよりも前記エッジ誘導部材で大きく、さらに前記熱誘導面の下方エッジと前記交換可能な加熱カートリッジの前記底面とが前記エッジ誘導部材と前記複数のエッジローラとの間に少なくとも部分的に位置付けられて前記エッジ誘導部材を前記複数のエッジローラから熱的に遮蔽するように、配向されていることを特徴とする方法。
【0067】
実施形態16
前記熱誘導面の前記角度が、前記底面に対して約45°から約75°であることを特徴とする実施形態15記載の方法。
【0068】
実施形態17
前記熱誘導面が、前記エッジ誘導部材を少なくとも部分的に取り囲むように配向された、複数のファセットを備えていることを特徴とする実施形態15記載の方法。
【0069】
実施形態18
前記複数のファセットが、中心ファセットと該中心ファセットの両端部に位置する2つの側部ファセットとを含み、前記2つの側部ファセット夫々の、前記中心ファセットに対するその間の最大角度が、約145°から約175°であることを特徴とする実施形態17記載の方法。
【0070】
実施形態19
前記熱誘導面が、該熱誘導面が前記エッジ誘導部材を少なくとも部分的に取り囲むような、湾曲面を備えていることを特徴とする実施形態15記載の方法。
【0071】
実施形態20
前記交換可能な加熱カートリッジが、ガラスリボンが成形されているときに交換可能なものであることを特徴とする実施形態15記載の方法。
【符号の説明】
【0072】
10 ガラス成形装置
12 ガラスリボン
13 エッジ
14 ハウジング
62 成形ウェッジ
66a、66b 下向き傾斜成形面部分
70 底部
80a、80b エッジ誘導部材
110a、110b 加熱カートリッジ
120 エンクロージャ
122 熱誘導面
123 下方エッジ
124 加熱素子
126 底面
132a、132b エッジローラ
162 中心ファセット
164 側部ファセット