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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】生分解性樹脂の分解装置
(51)【国際特許分類】
   C08J 11/10 20060101AFI20231127BHJP
【FI】
C08J11/10 ZAB
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022507058
(86)(22)【出願日】2020-03-10
(86)【国際出願番号】 JP2020010354
(87)【国際公開番号】W WO2021181533
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100174285
【弁理士】
【氏名又は名称】小宮山 聰
(72)【発明者】
【氏名】孫 吟
(72)【発明者】
【氏名】遊佐 敦
(72)【発明者】
【氏名】後藤 敏晴
【審査官】齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-300927(JP,A)
【文献】特開2018-203896(JP,A)
【文献】特開2015-27785(JP,A)
【文献】特開2005-23054(JP,A)
【文献】特開2008-13595(JP,A)
【文献】特表2013-504634(JP,A)
【文献】特開2008-50351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 11/10
C07C 51/00,59/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エステル結合を有する生分解性樹脂及び添加剤を混練して前記生分解性樹脂を分解する装置であって、
前記生分解性樹脂及び前記添加剤が投入される反応装置と、
前記反応装置の内容物を混練するスクリューと、
前記反応装置を加熱する加熱装置と、
分解生成物の粘度を測定する粘度測定装置と、
前記粘度測定装置で測定された測定粘度に基づいて、前記スクリュー及び前記加熱装置の少なくとも一つを制御する制御装置と、を備える、生分解性樹脂の分解装置。
【請求項2】
請求項1に記載の生分解性樹脂の分解装置であって、
前記制御装置は、
前記測定粘度と予め設定された目標粘度範囲とを比較する工程と、
前記測定粘度が前記目標粘度範囲の上限を超えている場合、前記反応装置の温度を上げること、及び前記スクリューの回転数を上げること、の少なくとも一つを行う工程と、
前記測定粘度が前記目標粘度範囲の下限未満である場合、前記反応装置の温度を下げること、及び前記スクリューの回転数を下げること、の少なくとも一つを行う工程と、を実行する、生分解性樹脂の分解装置。
【請求項3】
請求項1に記載の生分解性樹脂の分解装置であって、
前記生分解性樹脂及び前記添加剤を前記反応装置に投入するフィーダをさらに備え、
前記制御装置は、前記スクリュー及び前記加熱装置の少なくとも一つに加えて、前記粘度測定装置で測定された測定粘度に基づいて、前記フィーダを制御する、生分解性樹脂の分解装置。
【請求項4】
請求項3に記載の生分解性樹脂の分解装置であって、
前記制御装置は、
前記測定粘度と予め設定された目標粘度範囲とを比較する工程と、
前記測定粘度が前記目標粘度範囲の上限を超えている場合、前記添加剤の供給量を増やすこと、前記反応装置の温度を上げること、及び前記スクリューの回転数を上げること、の少なくとも一つを行う工程と、
前記測定粘度が前記目標粘度範囲の下限未満である場合、前記添加剤の供給量を減らすこと、前記反応装置の温度を下げること、及び前記スクリューの回転数を下げること、の少なくとも一つを行う工程と、を実行する、生分解性樹脂の分解装置。
【請求項5】
請求項1に記載の生分解性樹脂の分解装置であって、
前記反応装置内の水分を調整する水分調整装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記スクリュー及び前記加熱装置の少なくとも一つに加えて、前記粘度測定装置で測定された測定粘度に基づいて、前記水分調整装置を制御する、生分解性樹脂の分解装置。
【請求項6】
請求項5に記載の生分解性樹脂の分解装置であって、
前記制御装置は、
前記測定粘度と予め設定された目標粘度範囲とを比較する工程と、
前記測定粘度が前記目標粘度範囲の上限を超えている場合、前記反応装置内の水分を上げること、前記反応装置の温度を上げること、及び前記スクリューの回転数を上げること、の少なくとも一つを行う工程と、
前記測定粘度が前記目標粘度範囲の下限未満である場合、前記反応装置内の水分を下げること、前記反応装置の温度を下げること、及び前記スクリューの回転数を下げること、の少なくとも一つを行う工程と、を実行する、生分解性樹脂の分解装置。
【請求項7】
請求項1に記載の生分解性樹脂の分解装置であって、
前記生分解性樹脂及び前記添加剤を前記反応装置に投入するフィーダと、
前記反応装置内の水分を調整する水分調整装置と、をさらに備え、
前記制御装置は、前記スクリュー及び前記加熱装置の少なくとも一つに加えて、前記粘度測定装置で測定された測定粘度に基づいて、前記フィーダ及び前記水分調整装置の少なくとも一つを制御する、生分解性樹脂の分解装置。
【請求項8】
請求項7に記載の生分解性樹脂の分解装置であって、
前記制御装置は、
前記測定粘度と予め設定された目標粘度範囲とを比較する工程と、
前記測定粘度が前記目標粘度範囲の上限を超えている場合、前記反応装置内の水分を上げること、前記添加剤の供給量を増やすこと、前記反応装置の温度を上げること、及び前記スクリューの回転数を上げること、の少なくとも一つを行う工程と、
前記測定粘度が前記目標粘度範囲の下限未満である場合、前記反応装置内の水分を下げること、前記添加剤の供給量を減らすこと、前記反応装置の温度を下げること、及び前記スクリューの回転数を下げること、の少なくとも一つを行う工程と、を実行する、生分解性樹脂の分解装置。
【請求項9】
請求項8に記載の生分解性樹脂の分解装置であって、
前記反応装置内の水分を測定する水分測定装置をさらに備え、
前記測定粘度が前記目標粘度範囲の下限未満である場合に制御装置が実行する工程は、
前記水分測定装置によって測定された測定水分と、予め設定された水分上限とを比較する工程と、
前記測定水分が前記水分上限を超えている場合、前記反応装置内の水分を下げる工程と、
前記測定水分が前記水分上限以下の場合、前記添加剤の供給量を減らすこと、前記反応装置の温度を下げること、及び前記スクリューの回転数を下げること、の少なくとも一つを行う工程と、を含む、生分解性樹脂の分解装置。
【請求項10】
請求項9に記載の生分解性樹脂の分解装置であって、
前記反応装置内の揮発成分のpHを測定するpH測定装置をさらに備え、
前記測定水分が前記水分上限以下の場合に前記制御装置が実行する工程は、
前記pH測定装置によって測定された測定pHと、予め設定されたpH上限とを比較する工程と、
前記測定pHが前記pH上限を超えている場合、前記添加剤の供給量を減らす工程と、
前記測定pHが前記pH上限以下の場合、前記反応装置の温度を下げること、及び前記スクリューの回転数を下げること、の少なくとも一つを行う工程と、を含む、生分解性樹脂の分解装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性樹脂の分解装置に関し、より詳しくは、エステル結合を有する生分解性樹脂の分解装置に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂廃棄物による環境汚染が社会的な問題となる中、ポリ乳酸に代表される生分解性樹脂が注目されている。近年、生分解性樹脂を分解して再利用するケミカルリサイクルに関する技術が開発されている。
【0003】
特開平6-279434号公報には、アルカリ金属塩を触媒として、ヒドロキシ酸系オリゴマーの熱分解を行うメソ体含有ラクタイド類の製造方法が開示されている。特開2007-210889号公報には、ステレオコンプレックス型ポリ乳酸を170~330℃の高温下で、5~240分間処理するステレオコンプレックス型ポリ乳酸のモノマー化方法が開示されている。
【0004】
特開2017-132730号公報には、減圧下に保持されたベント室に通じる押出機にポリ乳酸及び解重合触媒を投入し、該押出機でポリ乳酸と解重合触媒とを溶融混練し、該溶融混練物をベント室内に供給し、該ベント室内でポリ乳酸の解重合を行い、生成したラクチドをガス化して該ベント室から回収するラクチド回収方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平6-279434号公報
【文献】特開2007-210889号公報
【文献】特開2017-132730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
廃棄物を原料とするプロセスでは、原料である生分解性樹脂の分子量等の特性が様々であり、一様な反応条件では、安定した品質の分解生成物を得ることが困難である。
【0007】
本発明の目的は、原料の特性が変動しても、安定した品質の分解生成物を得ることができる生分解性樹脂の分解装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態による生分解性樹脂の分解装置は、エステル結合を有する生分解性樹脂及び添加剤を混練して前記生分解性樹脂を分解する装置であって、前記生分解性樹脂及び前記添加剤が投入される反応装置と、前記反応装置の内容物を混練するスクリューと、前記反応装置を加熱する加熱装置と、分解生成物の粘度を測定する粘度測定装置と、前記粘度測定装置で測定された測定粘度に基づいて、前記スクリュー及び前記加熱装置の少なくとも一つを制御する制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、原料の特性が変動しても、安定した品質の分解生成物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態による生分解性樹脂の分解装置の模式図である。
図2図2は、ガス分析装置の構成の一例を示す模式図である。
図3図3は、制御装置の構成の一例を示す模式図である。
図4図4は、制御装置の動作の一例を示すフロー図である。
図5図5は、制御装置の動作の他の例を示すフロー図である。
図6図6は、制御装置の動作のさらに他の例を示すフロー図である。
図7図7は、本発明の別の実施形態による生分解性樹脂の分解装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
【0012】
[分解装置の構成]
図1は、本発明の一実施形態による生分解性樹脂の分解装置1の模式図である。分解装置1は、押出機10、フィーダ20、噴霧装置25、注水ポンプ26、ガス分析装置30、及び制御装置40を備えている。
【0013】
分解装置1は、生分解性樹脂を添加剤と混練して、生分解性樹脂を分解する装置である。生分解性樹脂及び添加剤は、フィーダ20によって押出機10に投入され、押出機10によって混練されて、最終的に押出機10の吐出口から低分子量の分解生成物として取り出される。
【0014】
投入される生分解性樹脂は、エステル結合を有する樹脂である。エステル結合を有する生分解性樹脂は例えば、ポリ乳酸(PLA)やポリブチルサクシネート(PBS)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリカプロラクトン(PCL)等である。上記の生分解性樹脂の中でも、本実施形態の分解装置1は、ポリ乳酸の分解に特に好適である。投入される生分解性樹脂は、粉末状又はペレット状に前処理されたものが好ましい。あるいは、押出機10の原料投入口に粉砕装置を設けて、投入と同時に粉砕されるようにしてもよい。
【0015】
添加剤は、これに限定されないが、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルカリ金属の酸化物、又はアルカリ土類金属の酸化物である。添加剤は、炭酸水素ナトリウム(重曹)、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、及び酸化マグネシウムからなる群から選択される1種、又は2種以上の混合物であることが好ましく、重曹が特に好ましい。
【0016】
フィーダ20は、生分解性樹脂及び添加剤を所定の供給量で押出機10に投入する。フィーダ20は、生分解性樹脂及び添加剤の供給量をそれぞれ独立に制御できる構造であることが好ましい。フィーダ20は、モータ21を備えており、モータ21の回転数を制御することによって、生分解性樹脂及び添加剤の供給量を制御することができる。フィーダ20として、より具体的には例えば、スクリューフィーダやベルトコンベアを用いることができる。
【0017】
押出機10は、シリンダ壁11(反応装置)、スクリュー12、加熱装置13、シール部材14、取出配管15等を備えている。
【0018】
シリンダ壁11は、後述する開口部(投入口11a、注水口11b、ベント口11c、及び吐出口11d)を除き、内部が密閉された構造を有しており、生分解性樹脂の分解反応の反応装置として機能する。
【0019】
スクリュー12は、シリンダ壁11の内容物を混練する。シリンダ壁11内に投入された生分解性樹脂及び添加剤は、スクリュー12によって混練されながら吐出口11dに向かって搬送される。スクリュー12は、モータ121を備えており、モータ121の回転数を制御することによって、剪断速度を調整することができる。スクリュー12の剪断速度は、これに限定されないが、500s-1以下であることが好ましい。スクリュー12の回転数nは、スクリュー12の直径d、羽の深さh、剪断速度γから、下記の式を用いて算出することができる。
n=60γ・h/(π・d)
【0020】
加熱装置13は、シリンダ壁11を加熱して、シリンダ壁11の温度を調整する。加熱装置13の加熱温度は、温度調整装置131によって制御される。加熱温度は、これに限定されないが、例えば120~340℃である。加熱温度の下限は、好ましくは160℃であり、さらに好ましくは180℃である。加熱温度の上限は、好ましくは300℃であり、さらに好ましくは280℃であり、さらに好ましくは260℃である。
【0021】
本実施形態では、シール部材14によって画された三つの領域の周りに加熱装置13を分割して配置し、それぞれの領域の温度を独立して制御できるようにしている。これによって例えば、搬送方向の上流側の領域を溶融遷移ゾーン、中央の領域を分解ゾーン、下流側の領域を脱気・冷却吐出ゾーンとして、分解ゾーンを最も高温にした温度分布を形成することができる。
【0022】
後述するとおり、本実施形態では、押出機10から取り出される分解生成物の粘度に基づいて反応条件を調整する。分解生成物の粘度が加熱温度の影響を受けないようにするため、反応の途中で加熱温度を変更する場合であっても、吐出口11dの近傍の温度は一定になるようにしておくことが好ましい。
【0023】
シリンダ壁11には、開口部として、投入口11a、注水口11b、ベント口11c、及び吐出口11dが設けられている。
【0024】
投入口11aは、シリンダ壁11の搬送方向の最も上流側に設けられている。投入口11aにはホッパー111が設けられており、フィーダ20から生分解性樹脂及び添加剤が投入される。
【0025】
注水口11bは、シリンダ壁11の搬送方向の中央付近に設けられている。本実施形態では、注水口11bは、シール部材13によって画された三つの領域のうち、中央の領域(分解ゾーン)に配置されている。注水口11bは、注水ノズル261を介して、後述する注水ポンプ26に接続されている。注水ポンプ26には、水量検出器262が接続されている。
【0026】
ベント口11cは、シリンダ壁11の搬送方向の下流側に、ガス成分のみが通過できるように設けられている。ベンド口11cは、吐出口11dの近傍に設けられていることが好ましい。本実施形態では、ベント口11cは、シール部材13によって画された三つの領域のうち、下流側の領域(脱気・冷却吐出ゾーン)に配置されている。ベント口11cは、ガス分析装置30に接続されている。なお、揮発性の分解生成物を効率よく回収する必要がある場合、ガス分析装置30とベント口11cとの間に無溶剤タイプの脱気用真空ポンプを設けてもよい。
【0027】
吐出口11dは、シリンダ壁11の搬送方向の最も下流側に設けられており、取出配管15に接続されている。吐出口11dには、ダイス151及び圧力計152(粘度測定装置)が配置されている。シリンダ壁11内で混練されて形成された分解生成物は、ダイス151によって所定の形状に成型されて吐出口11dから取出配管15に押し出される。
【0028】
圧力計152によって測定されたダイス15の入り口の圧力Pの値は、制御装置40に送信されて粘度の算出に用いられる。制御装置40の詳しい動作については後述するが、分解生成物の粘度νは、圧力Pや装置の寸法、分解生成物の吐出量から算出することができる。
【0029】
噴霧装置25は、投入口11aの湿度を調整することで、シリンダ壁11内の水分を調整する。シリンダ壁11内の水分は、投入される生分解性樹脂及び添加剤に含まれている水分の影響を受ける。投入口11aの湿度を調整することで、投入される生分解性樹脂及び添加剤に含まれている水分の量を調整し、これによってシリンダ壁11内の水分を調整することができる。
【0030】
注水ポンプ26は、注水口11bから水を注入することで、シリンダ壁11内の水分を調整する。なお、注水ポンプ26は、液体の水を供給する装置であってもよいし、蒸気を供給する装置であってもよい。注水ポンプ26が蒸気を供給する装置である場合、水量検出器262に代えて、圧力計を取り付けてもよい。
【0031】
ガス分析装置30は、ベント口11cから採取されたガス成分を分析する。図2は、ガス分析装置30の構成の一例を示す模式図である。ガス分析装置30は、フィルタ31、バルブ32、バルブ321、バルブ322、吸引ポンプ33、流量計331、水分測定装置34、吸引ポンプ35、流量計351、冷却槽36、タンク37、及びpH測定装置38を備えている。ガス分析装置30は、ベント口11c(図1)から採取されたガスをバルブ32、バルブ321、及びバルブ322を切り替えることによって二方向に分岐し、一方では水分測定装置34によって水分を測定し、他方ではpH測定測定装置38によってpHを測定する。
【0032】
水分測定装置34は、ベント口11cから採取されたガスを分析して、シリンダ壁11内の水分を測定する。水分測定装置34は例えば、カールフィッシャー水分計や、赤外水分計である。
【0033】
pH測定装置38は、ベント口11cから採取されたガスを分析して、シリンダ壁11内の揮発成分のpHを測定する。pH測定装置38は、より具体的には、ベント口11cから採取されたガスを冷却槽36で冷却し、タンク37に捕集された液体のpHを測定する。
【0034】
水分測定装置34によって測定されたシリンダ壁11内の水分の値、及び、pH測定装置38によって測定されたシリンダ壁11内の揮発成分のpHの値は、制御装置40に送信される。
【0035】
制御装置40は、圧力計152、水分測定装置34、及びpH測定装置38から情報を受け取り、これらの情報に基づいて、加熱装置13、フィーダ20、スクリュー12、噴霧装置25、及び注水ポンプ26を制御する。制御装置40は、より具体的には、温度調整装置131を介して加熱装置13の加熱温度及びシリンダ壁11の温度を、モータ21を介してフィーダ20による生分解性樹脂及び添加剤の供給量を、モータ121を介してスクリュー12の回転数を、噴霧装置25又は注水ポンプ26によってシリンダ壁11内の水分を、それぞれ制御する。
【0036】
図3は、制御装置40の構成の一例を示す模式図である。制御装置40は、CPU41、プログラム用メモリ42、データ用メモリ43、入力インターフェイス44、出力インターフェイス45、及び表示装置46を備えている。
【0037】
プログラム用メモリ42には、CPU41によって実行されるプログラムが格納されている。データ用メモリ43には、後述する目標粘度範囲、水分上限、pH上限等の情報が格納されている。
【0038】
入力インターフェイス44は、圧力計152、水分測定装置34、及びpH測定装置38から信号を受け取り、これらを必要に応じてディジタル信号に変換してCPU41に送信する。
【0039】
CPU41は、プログラム用メモリ42に格納されたプログラム、データ用メモリ43に格納された情報、及び入力インターフェイス44から受け取る情報に基づいて、反応条件を決定し、出力インターフェイス45及び表示装置46に送信する。表示装置46には、決定された反応条件等が必要に応じて表示される。
【0040】
出力インターフェイス45は、CPU41から受け取った情報を必要に応じてアナログ信号に変換し、温度調整装置131、モータ21、モータ121、噴霧装置25、及び注水ポンプ26に送信する。
【0041】
[制御装置40の動作]
[制御例1]
図4は、制御装置40の動作の一例を示すフロー図である。制御装置40は、分解生成物の粘度と、予め設定された目標粘度範囲とを比較する工程(ステップS1)、及び比較結果に応じて反応条件を変更する工程(ステップS2及びS3)を実行する。以下、各工程を詳述する。
【0042】
制御装置40は、圧力計152によって測定された圧力から、分解生成物の粘度を算出する。上述のとおり、分解生成物の粘度νは、圧力Pや装置の寸法、分解生成物の吐出量から算出することができる。
【0043】
以下、圧力計152の圧力から算出した分解生成物の粘度νを「測定粘度」という。制御装置40は、測定粘度と予め設定された目標粘度範囲とを比較する(ステップS1)。
【0044】
制御装置40は、測定粘度が目標粘度範囲の上限を超えている場合、分解生成物の粘度を下げるように反応条件を変更する(ステップS2)。具体的には、(1)シリンダ壁11内の水分を上げること、(2)添加剤の供給量を増やすこと、(3)シリンダ壁11の温度を上げること、及び(4)スクリュー12の回転数を上げること、の少なくとも一つを行う。
【0045】
シリンダ壁11内の水分を上げると、反応が促進され、分解生成物の平均分子量が低下し、また、分解生成物中のモノマーの比率が増加する。添加剤の供給量を増やすと、反応が促進され、分解生成物の平均分子量が低下する。シリンダ壁11の温度を上げると、又はスクリュー12の回転数を上げると、反応が促進され、分解生成物の平均分子量が低下する。このように、上記(1)~(4)のいずれの操作によっても、分解生成物の平均分子量が低下し、分解生成物の粘度を低下させることができる。
【0046】
測定粘度が目標粘度範囲の上限を超えている場合に、上記(1)~(4)のいずれの操作を行うかは任意である。上記(1)~(4)のいずれの操作を行うかは、水分測定装置34によって測定されたシリンダ壁11内の水分の値や、pH測定装置38によって測定されたシリンダ壁11内の揮発成分のpHの値に基づいて決定してもよい。
【0047】
制御装置40は、測定粘度が目標粘度範囲の下限未満である場合、分解生成物の粘度を上げるように反応条件を変更する(ステップS3)。具体的には、(1)シリンダ壁11内の水分を下げること、(2)添加剤の供給量を減らすこと、(3)シリンダ壁11の温度を下げること、及び(4)スクリュー12の回転数を下げること、の少なくとも一つを行う。
【0048】
測定粘度が目標粘度範囲の下限未満である場合に、上記(1)~(4)のいずれの操作を行うかは任意である。上記(1)~(4)のいずれの操作を行うかは、水分測定装置34によって測定されたシリンダ壁11内の水分の値や、pH測定装置38によって測定されたシリンダ壁11内の揮発成分のpHの値に基づいて決定してもよい。
【0049】
制御装置40は、測定粘度が目標粘度範囲内である場合、反応条件の変更を行わない。
【0050】
制御装置40は、上述した測定粘度と目標粘度範囲とを比較する工程(ステップS1)を定期的に実行し、その都度、比較の結果に応じて、制御条件を変更する工程(ステップS2及びS3)を実行する。これによって、分解生成物の粘度が目標粘度範囲内になるように反応条件を調整することができる。
【0051】
[制御例2]
図5は、制御装置40の動作の他の例を示すフロー図である。制御装置40が、測定粘度と目標粘度範囲とを比較する工程(ステップS1)、及び、比較結果に応じて反応条件を変更する工程(ステップS2及びS3)を実行する点は、図4の例と同じである。図5の例では、制御装置40は、測定粘度が目標粘度範囲の下限未満である場合の処理(ステップS3)として、シリンダ壁11内の水分と、予め設定された水分上限とを比較する工程(ステップS3-1)、及び、比較結果に応じて反応条件を変更する工程(ステップS3-2及びS3-3)を実行する。
【0052】
図5の例では、制御装置40は、測定粘度が目標粘度範囲の下限未満である場合、水分測定装置34によって測定されたシリンダ壁11内の水分(以下「測定水分」という。)と、予め設定された水分上限とを比較する(ステップS3-1)。
【0053】
制御装置40は、測定水分が水分上限を超えている場合、シリンダ壁11内の水分を下げる(ステップS3-2)。
【0054】
制御装置40は、測定水分が水分上限以下の場合、(1)添加剤の供給量を減らすこと、(2)シリンダ壁11の温度を下げること、及び(3)スクリュー12の回転数を下げること、の少なくとも一つを行う(ステップS3-3)。
【0055】
測定水分が水分上限以下の場合に、上記(1)~(3)のいずれの操作を行うかは任意である。上記(1)~(3)のいずれの操作を行うかは、pH測定装置38によって測定されたシリンダ壁11内の揮発成分のpHの値に基づいて決定してもよい。
【0056】
このようにすることで、分解生成物の品質をより安定的に制御することができる。また、調整すべき水分量を測定水分から見積もることができるので、より短時間で水分量を調整することができる。
【0057】
[制御例3]
図6は、制御装置40の動作のさらに他の例を示すフロー図である。制御装置40が、測定粘度と目標粘度範囲とを比較する工程(ステップS1)、及び比較結果に応じて反応条件を変更する工程(ステップS2及びS3)を実行する点、並びに、測定粘度が目標粘度範囲の下限未満である場合の処理(ステップS3)として、測定水分と水分上限とを比較する工程(ステップS3-1)、及び、比較結果に応じて反応条件を変更する工程(ステップS3-2及びS3-3)を実行する点は、図5の例と同じである。図6の例では、制御装置40は、測定水分が水分上限以下である場合の処理(ステップS3-3)として、シリンダ壁11内の揮発成分のpHと、予め設定されたpH上限とを比較する工程(ステップS3-3-1)、及び、比較結果に応じて反応条件を変更する工程(ステップS3-3-2及びS3-3-3)を実行する。
【0058】
図6の例では、制御装置40は、測定水分が水分上限以下である場合、pH測定装置38によって測定されたシリンダ壁11内の揮発成分のpH(以下「測定pH」という。)と、予め設定されたpH上限とを比較する(ステップS3-3-1)。
【0059】
制御装置40は、測定pHがpH上限を超えている場合、添加剤の供給量を減らす(ステップS3-3-2)。測定pHがpH上限よりも高いことは、分解生成物中のモノマーの比率が目標よりも低いことを意味する。添加剤の供給量を増やすと分解が促進されるが、水分が少ない条件ではモノマー以外のオリゴマーが生成する。水分を変更せずに添加剤の供給量を減らすことで、オリゴマーの生成量を減らし、モノマーの比率を高める。
【0060】
制御装置40は、測定pHがpH上限以下の場合、(1)シリンダ壁11の温度を下げること、及び(2)スクリュー12の回転数を下げること、の少なくとも一つを行う(ステップS3-3-3)。上記(1)及び(2)のいずれの操作を行うかは任意である。
【0061】
このようにすることで、分解生成物の品質をより安定的に制御することができる。この制御によれば、分解生成物の種類や比率をより容易に制御することができる。
【0062】
[分解装置1の効果]
以上、本発明の一実施形態による生分解性樹脂の分解装置1の構成、及び制御装置40の動作について説明した。
【0063】
本実施形態による生分解性樹脂の分解装置1は、生分解性樹脂及び添加剤が投入される反応装置として機能するシリンダ壁11と、生分解性樹脂及び添加剤をシリンダ壁11に投入するフィーダ20と、シリンダ壁11の内容物を混練するスクリュー12と、シリンダ壁11を加熱する加熱装置13と、シリンダ壁11内の水分を調整する噴霧装置25及び注水装置26と、分解生成物の粘度を測定するための装置である圧力計152と、測定粘度に基づいて、フィーダ20、スクリュー12、加熱装置13、噴霧装置25、及び注水装置26の少なくとも一つを制御する制御装置40とを備えている。この構成によれば、分解生成物の粘度が所定の範囲内になるように反応条件を調整することができる。これによって、分解生成物の品質、具体的には、平均分子量、及びモノマーの比率が所定の範囲内になるように調整することができる。そのため、原料の特性が変動しても、安定した品質の分解生成物を得ることができる。
【0064】
上記の実施形態では、分解装置1が、粘度測定装置として圧力計152を備えている場合を説明した。しかし、粘度測定装置は、圧力計に限定されず、分解生成物の粘度を測定できるものであれば任意のものを用いることができる。粘度測定装置は例えば、スクリュー12のモータ121のトルクを測定するトルクセルであってもよい。この場合、制御装置40が、モータ121のトルクから分解生成物の粘度を算出するようにすればよい。
【0065】
上記の実施形態では、分解装置1が、生分解性樹脂及び添加剤をシリンダ壁11に投入するフィーダ20を備えている場合を説明した。しかし、分解装置1は、フィーダ20を備えていなくてもよい。生分解性樹脂及び添加剤の投入は、手動で行ってもよい。
【0066】
分解装置1がフィーダを備えていない場合、分解生成物の粘度を下げるように反応条件を変更する操作(図4のステップS2)として、(1)シリンダ壁11内の水分を上げること、(2)シリンダ壁11の温度を上げること、及び(3)スクリュー12の回転数を上げること、の少なくとも一つを行えばよい。同様に、分解生成物の粘度を上げるように反応条件を変更する操作(図4のステップS3)として、(1)シリンダ壁11内の水分を下げること、(2)シリンダ壁11の温度を下げること、及び(3)スクリュー12の回転数を下げること、の少なくとも一つを行えばよい。
【0067】
上記の実施形態では、分解装置1が、シリンダ壁11内の水分を調整するための水分調整装置として、噴霧装置25及び注水ポンプ26を備えている場合を説明した。しかし、分解装置1は、水分調整装置を備えていなくてもよい。シリンダ壁11内の水分は、前述のとおり、シリンダ壁11内へ投入される生分解性樹脂及び添加剤に含まれている水分の量によっても調整することができる。そのため、シリンダ壁11内の水分は例えば、生分解性樹脂及び添加剤を予め恒温恒湿槽に所定時間保管しておくことによって調整することができる。
【0068】
分解装置1が水分調整装置を備えていない場合、分解生成物の粘度を下げるように反応条件を変更する操作(図4のステップS2)として、(1)添加剤の供給量を増やすこと、(2)シリンダ壁11の温度を上げること、及び(3)スクリュー12の回転数を上げること、の少なくとも一つを行えばよい。同様に、分解生成物の粘度を上げるように反応条件を変更する操作(図4のステップS3)として、(1)添加剤の供給量を減らすこと、(2)シリンダ壁11の温度を下げること、及び(3)スクリュー12の回転数を下げること、の少なくとも一つを行えばよい。
【0069】
また、分解装置1に水分調整装置を配置する場合であっても、噴霧装置25及び注水ポンプ26の両方を配置する必要はなく、少なくとも一方が配置されていればよい。また、水分調整装置は、噴霧装置25及び注水ポンプ26に限らず、任意のものを用いることができる。水分調整装置として例えば、蒸気や加湿気体、乾燥気体を供給する装置を用いてもよい。
【0070】
分解装置1がフィーダ及び水分調整装置のいずれも備えていない場合、分解生成物の粘度を下げるように反応条件を変更する操作(図4のステップS2)として、(1)シリンダ壁11の温度を上げること、及び(2)スクリュー12の回転数を上げること、の少なくとも一つを行えばよい。同様に、分解生成物の粘度を上げるように反応条件を変更する操作(図4のステップS3)として、(2)シリンダ壁11の温度を下げること、及び(2)スクリュー12の回転数を下げること、の少なくとも一つを行えばよい。
【0071】
本実施形態による生分解性樹脂の分解装置1は、シリンダ壁11内の水分を測定する水分測定装置34、及びシリンダ壁11内の揮発成分のpHを測定するpH測定装置38をさらに備えている。この構成によれば、上述した分解生成物の粘度の情報に加え、シリンダ壁11内の水分、及びシリンダ壁11内の揮発成分のpHの情報に基づいて、より適切に反応条件を調整することができる。
【0072】
なお、図2に示したガス分析装置30の構成は飽くまでも例示であり、分解装置1の構成を限定するものではない。何らかの手段によってシリンダ壁11内の水分を測定する水分測定装置34を備えていれば、所期の効果が得られる。同様に、何らかの手段によってシリンダ壁11内の揮発成分のpHを測定するpH測定装置38を備えていれば、所期の効果が得られる。
【0073】
同様に、図3に示した制御装置40の構成も飽くまで例示であり、分解装置1の構成を限定するものではない。
【0074】
[分解装置の他の構成]
図7は、本発明の別の実施形態による生分解性樹脂の分解装置2の模式図である。分解装置2は、分解装置1(図1)の押出機10に代えて、反応設備60を備えている。反応設備60は、反応装置61、スクリュー62、加熱装置63、吐出タンク64、サンプリングタンク65、及び廃棄タンク66を備えている。分解装置2はまた、水分調整装置として、注水ポンプ26(図1)に代えて、加湿気体供給装置27を備えている。
【0075】
反応装置61は、本体611と蓋612とを含んでいる。蓋612には、原料投入口612a、ガス導入口612b、ベント口612cが設けられており、それぞれ、フィーダ20、加湿気体供給装置27、及びガス分析装置30に接続されている。
【0076】
スクリュー62は、反応装置61の内容物を混練する。加熱装置63は、反応装置61を加熱する。
【0077】
反応装置61は、排出バルブ641及び吐出バルブ642を介して、吐出タンク64に接続されている。フィーダ20から投入された生分解性樹脂は、反応装置61で所定時間混練された後、吐出タンク64に送られて回収される。
【0078】
反応装置61はまた、排出バルブ641及びサンプリングバルブ643を介して、サンプリングタンク65に接続されている。サンプリングタンク65は、加熱装置651、ダイス652、及び圧力計152を備えている。反応装置61で混練された分解生成物の一部は、定期的にサンプリングタンク65に送られて、分解装置1(図1)の場合と同様の方法で粘度が測定される。粘度測定に用いられた分解生成物は、廃棄タンク66に送られて回収される。
【0079】
分解装置2においても、制御装置40は、圧力計152、並びにガス分析装置30から情報を受け取り、これらの情報に基づいて、加熱装置63、フィーダ20、スクリュー62、及び加湿気体供給装置27を制御する。分解装置2の構成によっても、分解生成物の粘度が所定の範囲内になるように反応条件を調整することができる。これによって、分解生成物の品質、具体的には、平均分子量、及びモノマーの比率が所定の範囲内になるように調整することができる。そのため、原料の特性が変動しても、安定した品質の分解生成物を得ることができる。
【実施例
【0080】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0081】
図1で示した装置に準じた分解装置を用いて、数平均分子量40000~80000のポリ乳酸の分解を行った。ポリ乳酸100重量部に対して添加剤(重曹)を平均で1重量部加えた。反応装置内の水分含有量(=反応装置内の水分の質量/(ポリ乳酸の質量(吸着した水分を含む)+添加剤の質量(吸着した水分を含む)+外部から添加した水分の質量))が0.2%となるように水分を調整した。加熱温度は平均200℃、スクリューの回転数は平均80rpm、反応時間は3分間とした。200℃における分解生成物の粘度が0.01~400Pa・sとなるように、加熱温度、回転速度、添加剤の供給量、及び水分を調整した。分解生成物の粘度は平均で57Pa・s、ベント口の水分は平均で0.12g、揮発分のpHは平均で5.0であった。反応後のポリ乳酸の数平均分子量は約20000であり、標準偏差は約415.21であった。
【0082】
図7で示した装置に準じた分解装置を用いて、数平均分子量40000~80000のポリ乳酸の分解を行った。ポリ乳酸100重量部に対して添加剤(重曹)を平均で1重量部加えた。反応装置内の水分含有量(=反応装置内の水分の質量/(ポリ乳酸の質量(吸着した水分を含む)+添加剤の質量(吸着した水分を含む)+外部から添加した水分の質量))が0.2%となるように水分を調整した。加熱温度は平均200℃、スクリューの回転数は平均10rpm、反応時間は90分間とした。分解生成物の粘度が0.01~400Pa・sとなるように、加熱温度、回転速度、添加剤の供給量、及び水分を調整した。分解生成物の粘度は平均で57Pa・s、ベント口の水分は平均で0.12g、揮発分のpHは平均で5.0であった。反応後のポリ乳酸の数平均分子量は約20000であり、標準偏差は約415.21であった。
【0083】
以上、本発明についての実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態のみに限定されず、発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0084】
1,2 生分解性樹脂の分解装置、10 押出機、11 シリンダ壁(反応装置)、12 スクリュー、13 加熱装置、14 シール部材、15 取出配管、151 ダイス、152 圧力計(粘度測定装置)、20 フィーダ、25 噴霧装置(水分調整装置)、26 注水ポンプ(水分調整装置)、27 加湿気体供給装置(水分調整装置)、30 ガス分析装置、31 フィルタ、32 バルブ、33,35 吸引ポンプ、331,351 流量計、34 水分測定装置、36 冷却槽、37 タンク、38 pH測定装置、40 制御装置、41 CPU、42 プログラム用メモリ、43 データ用メモリ、44 入力インターフェイス、45 出力インターフェイス、46 表示装置、60 反応設備、61 反応装置、62 スクリュー、63 加熱装置、64 吐出タンク、65 サンプリングタンク、652 ダイス、66 廃棄タンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7