(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20231127BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
H05K1/02 P
H05K3/46 Z
(21)【出願番号】P 2022509905
(86)(22)【出願日】2021-03-11
(86)【国際出願番号】 JP2021009763
(87)【国際公開番号】W WO2021193092
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2020053937
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003029
【氏名又は名称】弁理士法人ブナ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樋渡 俊弘
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0212307(US,A1)
【文献】特開2019-033586(JP,A)
【文献】特開2008-218444(JP,A)
【文献】特開2001-244633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 3/46
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア絶縁層および該コア絶縁層の上下面にコア導体層を有するコア層と、
前記コア層の上面に位置する第1ビルドアップ部と、
前記コア層の下面に位置する第2ビルドアップ部と、
前記第1ビルドアップ部の上面に位置する第1実装領域と、
前記第2ビルドアップ部の下面に位置する第2実装領域と、
を備え、
前記第1ビルドアップ部は、少なくとも一層の第1ビルドアップ絶縁層と、該第1ビルドアップ絶縁層の上面に位置して前記第1実装領域に繋がる第1ビルドアップ導体層とを含み、
前記第2ビルドアップ部は、少なくとも一層の第2ビルドアップ絶縁層と、該第2ビルドアップ絶縁層の下面に位置して前記第2実装領域に繋がる第2ビルドアップ導体層とを含み、
前記第2ビルドアップ絶縁層は、該第2ビルドアップ絶縁層の外周縁から所定幅の領域に前記第2ビルドアップ絶縁層同士または前記第2ビルドアップ絶縁層と前記コア絶縁層との接着代を有し、
前記第2ビルドアップ導体層は、接地用導体層と、第1開口と、該第1開口内に位置し、前記接地用導体層と離れて位置する信号用パッドとを含み、
前記接地用導体層は、該接地用導体層に続き、前記外周縁に近づく方向に張り出して前記信号用パッドを囲む張り出し部を有することを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記外周縁から前記張り出し部以外の前記接地用導体層までの幅が、300μm以上500μm以下である請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記張り出し部は、幅が20μm以上50μm以下の帯状体である請求項1または2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記張り出し部は、張り出し寸法が20μm以上50μm以下である請求項1~3のいずれかに記載の配線基板。
【請求項5】
前記信号
用パッドは、前記第1開口内にペアで存在する請求項1~4のいずれかに記載の配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のような従来の配線基板において、各絶縁層間の密着性を向上させるために、各絶縁層の外周縁から所定幅の領域には導体が形成されておらず、この領域の絶縁層同士が直に接着する接着代が存在する。信号用配線などの配線導体は、電子部品が実装されている実装領域から絶縁層の接着代近傍まで延伸されていることが多い。そのため、一部の信号用パッドやランドなども絶縁層の接着代近傍に位置することになる。
【0003】
このようなパッドやランドは、通常、外部からの電磁的なノイズをガードするために、周囲に所定の間隔を設けて接地用導体層で囲まれている。しかし、絶縁層の接着代近傍に位置する信号用パッドやランドは、接地用導体層で完全に囲まれずに、一部が絶縁層の接着代に開放された状態になる。信号用パッドやランドが開放された状態にあると、外部からの電磁的なノイズが十分にガードされずに、伝送特性に影響を及ぼすことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の課題は、絶縁層同士の密着性を良好に確保しつつ外部からの電磁的なノイズを十分にガードすることができる配線基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る配線基板は、コア絶縁層およびコア絶縁層の上下面にコア導体層を有するコア層と、コア層の上面に位置する第1ビルドアップ部と、コア層の下面に位置する第2ビルドアップ部と、第1ビルドアップ部の上面に位置する第1実装領域と、第2ビルドアップ部の下面に位置する第2実装領域とを備えている。第1ビルドアップ部は、少なくとも一層の第1ビルドアップ絶縁層と、第1ビルドアップ絶縁層の上面に位置して第1実装領域に繋がる第1ビルドアップ導体層とを含んでいる。第2ビルドアップ部は、少なくとも一層の第2ビルドアップ絶縁層と、第2ビルドアップ絶縁層の下面に位置して第2実装領域に繋がる第2ビルドアップ導体層とを含んでいる。第2ビルドアップ絶縁層は、第2ビルドアップ絶縁層の外周縁から所定幅の領域に第2ビルドアップ絶縁層同士または第2ビルドアップ絶縁層とコア絶縁層との接着代を有している。第2ビルドアップ導体層は、接地用導体層と、第1開口と、第1開口内に位置し、接地用導体層と離れて位置する信号用パッドとを含んでいる。接地用導体層は、接地用導体層に続き、外周縁に近づく方向に張り出して信号用パッドを囲む張り出し部を有している。
【0007】
本開示に係る実装構造体は、上記の配線基板と、上記の配線基板に実装された電子部品と、上記の配線基板に接続された電気基板とを含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、絶縁層同士の密着性を良好に確保しつつ外部からの電磁的なノイズを十分にガードすることができる配線基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態に係る配線基板の要部を示す断面図である。
【
図2】
図1に示す領域Xにおいて、ソルダーレジストを除去した状態で各層を模式的に示した斜視図である。
【
図3】
図2において第2ビルドアップ部およびコア層を下から見た平面図であり、(A)および(B)はそれぞれ第2ビルドアップ部を下から見た平面図であり、(C)はコア層を下から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の一実施形態に係る配線基板を、
図1~3に基づいて説明する。
図1は、本開示の一実施形態に係る配線基板1の要部を示す断面図である。一実施形態に係る配線基板1は、コア層2、第1ビルドアップ部31、第2ビルドアップ部32およびソルダーレジスト4を含む。
【0011】
コア層2は、コア絶縁層21およびコア絶縁層21の上下面に位置するコア導体層22を含む。コア絶縁層21は、絶縁性を有する素材で形成されていれば特に限定されない。絶縁性を有する素材としては、例えば、エポキシ樹脂、ビスマレイミド-トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などの樹脂が挙げられる。これらの樹脂は2種以上を混合して用いてもよい。コア絶縁層21の厚みは特に限定されず、例えば200μm以上800μm以下である。コア絶縁層21の厚みは、後述の第1ビルドアップ絶縁層311および第2ビルドアップ導体層321の厚みよりも厚い。
【0012】
コア絶縁層21には、補強材が含まれていてもよい。補強材としては、例えば、ガラス繊維、ガラス不織布、アラミド不織布、アラミド繊維、ポリエステル繊維などの絶縁性布材が挙げられる。補強材は2種以上を併用してもよい。さらに、コア絶縁層21には、シリカ、硫酸バリウム、タルク、クレー、ガラス、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機絶縁性フィラーが分散されていてもよい。
【0013】
コア絶縁層21には、コア絶縁層21の上下面を電気的に接続するために、スルーホール導体22Tが位置している。スルーホール導体22Tは、コア絶縁層21の上下面を貫通するスルーホール内に位置している。スルーホール導体22Tは、例えば銅などの金属、具体的には銅めっきなどの金属めっきで形成されている。
【0014】
スルーホール導体22Tは、コア絶縁層21の上下面に位置するコア導体層22を接続している。スルーホール導体22Tは、
図1に示すようにスルーホールの内壁面のみに位置していてもよく、スルーホール内に充填されていてもよい。コア導体層22は、例えば銅などの金属、具体的には銅箔などの金属箔または銅めっきなどの金属めっきで形成されている。
【0015】
スルーホール導体22Tは、接続されるコア導体層22に応じて、グランド用スルーホール導体、電源用スルーホール導体および信号用スルーホール導体が存在する。すなわち、グランド用スルーホール導体はグランド導体に接続され、電源用スルーホール導体は電源導体に接続され、信号用スルーホール導体は信号導体に接続されている。
【0016】
コア層2の上面には第1ビルドアップ部31が位置しており、コア層2の下面には第2ビルドアップ部32が位置している。
【0017】
第1ビルドアップ部31は、第1ビルドアップ絶縁層311と第1ビルドアップ導体層312とが交互に積層された構造を有している。第1ビルドアップ絶縁層311には、第1ビルドアップ絶縁層311の上下面を電気的に接続するために、第1ビアホール導体31Vが位置している。第1ビアホール導体31Vは、第1ビルドアップ絶縁層311を介して上下に対向する第1ビルドアップ導体層312同士、または第1ビルドアップ導体層312とコア導体層22とを電気的に接続している。
【0018】
第2ビルドアップ部32は、第2ビルドアップ絶縁層321と第2ビルドアップ導体層322とが交互に積層された構造を有している。第2ビルドアップ絶縁層321には、第2ビルドアップ絶縁層321の上下面を電気的に接続するために、第2ビアホール導体32Vが位置している。第2ビアホール導体32Vは、第2ビルドアップ絶縁層321を介して上下に対向する第2ビルドアップ導体層322同士、または第2ビルドアップ導体層322とコア導体層22とを電気的に接続している。
【0019】
第1ビアホール導体31Vおよび第2ビアホール導体32Vは、それぞれ第1ビルドアップ絶縁層311および第2ビルドアップ絶縁層321の上下面を貫通するビアホール内に位置している。第1ビアホール導体31Vおよび第2ビアホール導体32Vは、例えば銅などの金属、具体的には銅めっきなどの金属めっきで形成されている。
【0020】
第1ビアホール導体31Vおよび第2ビアホール導体32Vは、
図1に示すようにビアホール内に充填されていてもよく、ビアホールの内壁面のみに位置していてもよい。第1ビアホール導体31Vおよび第2ビアホール導体32Vは、接続される第1ビルドアップ導体層312および第2ビルドアップ導体層322に応じて、グランド用ビアホール導体、電源用ビアホール導体および信号用ビアホール導体を含んでいる。すなわち、グランド用ビアホール導体はグランド導体に接続され、電源用ビアホール導体は電源導体に接続され、信号用ビアホール導体は信号導体に接続されている。
【0021】
第1ビルドアップ絶縁層311および第2ビルドアップ絶縁層321は、コア絶縁層21と同様、絶縁性を有する素材であれば特に限定されない。絶縁性を有する素材としては、例えば、エポキシ樹脂、ビスマレイミド-トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などの樹脂が挙げられる。これらの樹脂は2種以上を混合して用いてもよい。
【0022】
第1ビルドアップ導体層312および第2ビルドアップ導体層322は、コア導体層22と同様、導体であれば特に限定されない。第1ビルドアップ導体層312および第2ビルドアップ導体層322は、例えば銅などの金属、具体的には銅箔などの金属箔または銅めっきなどの金属めっきで形成されている。
【0023】
一実施形態に係る配線基板1では、第1ビルドアップ絶縁層311および第2ビルドアップ絶縁層321がそれぞれ二層存在している。この場合、それぞれの絶縁層は、同じ樹脂であってもよく、異なる樹脂であってもよい。コア絶縁層21、第1ビルドアップ絶縁層311および第2ビルドアップ絶縁層321は、同じ樹脂であっていてもよく、異なる樹脂であってもよい。
【0024】
さらに、第1ビルドアップ絶縁層311および第2ビルドアップ絶縁層321には、シリカ、硫酸バリウム、タルク、クレー、ガラス、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機絶縁性フィラーが、分散されていてもよい。第1ビルドアップ絶縁層311および第2ビルドアップ絶縁層321の厚みは特に限定されず、例えば25μm以上50μm以下である。第1ビルドアップ絶縁層311および第2ビルドアップ絶縁層321が2層以上存在する場合、それぞれの絶縁層は同じ厚みを有していてもよく、異なる厚みを有していてもよい。
【0025】
第1ビルドアップ部31は、表面に第1実装領域31aを有している。第1実装領域31aは、最外層に位置する第1ビルドアップ導体層312の一部からなる複数の第1パッドP1を備えている。
【0026】
第1実装領域31aには、例えば半導体集積回路素子などの電子部品が、半田を介して実装される。電子部品は、一般的に配線基板に搭載される電子部品であれば限定されない。このような電子部品としては、上記の半導体集積回路素子の他、オプトエレクトロニクス素子などが挙げられる。
【0027】
第2ビルドアップ部32は、表面に第2実装領域32aを有している。第2実装領域32aは、最外層に位置する第2ビルドアップ導体層322の一部からなる複数の第2パッドP2を備えている。第2実装領域32aに備えられる第2パッドP2は、第1実装領域31aに備えられる第1パッドP1よりも大きな径を有している。第2実装領域32aには、例えばマザーボードなどの電気基板が、半田を介して実装される。一実施形態に係る配線基板1には、上記の電子部品および電気基板が実装され、実装構造体として使用される。
【0028】
一実施形態に係る配線基板1の両表面の一部には、ソルダーレジスト4が形成されている。ソルダーレジスト4は、例えば、アクリル変性エポキシ樹脂で形成されている。ソルダーレジスト4は、例えば第1実装領域31aに電子部品を実装するときの熱や、第2実装領域32aをマザーボードなどに接続するときの熱から、第1ビルドアップ導体層312および第2ビルドアップ導体層322を保護する機能を有している。
【0029】
図1に示すように、一実施形態に係る配線基板1において第2実装領域32aは、第2ビルドアップ絶縁層321の外周縁から所定幅で位置する接着代321aを開けて位置している。言い換えれば、第2実装領域32aは、接着代321aに囲まれている状態である。第2ビルドアップ絶縁層321の外周縁を含む接着代321aは、基本的に導体などが位置しておらず、第2ビルドアップ絶縁層321同士または第2ビルドアップ絶縁層321とコア絶縁層21とが直に接着した状態である。接着代321aは、第2ビルドアップ絶縁層321同士または第2ビルドアップ絶縁層321とコア絶縁層21との密着性を向上させるために設けられている。
【0030】
第2実装領域32aに備えられる第2パッドP2には、電源用第2パッド、信号用第2パッドP2Sおよび接地用第2パッドが含まれる。第2実装領域32aの最外列(接着代321a側)には、
図1に示すように、少なくとも信号用第2パッドP2Sが位置している。
【0031】
第2実装領域32aの最外列に位置している信号用第2パッドP2Sは、
図2に示すように、信号用第2パッドP2Sと同一層に位置する接地用導体層322Gに形成された第1開口51内に、接地用導体層322Gと隙間を介して存在している。
図2は、
図1に示す領域Xにおいて、ソルダーレジスト4を除去した状態で各層を模式的に示した斜視図である。
【0032】
図2に示すように、第1開口51近傍において、接地用導体層322Gの一部は、第2ビルドアップ絶縁層321の接着代321aに帯状体322G’として存在している。帯状体322G’について、
図3に基づいて説明する。
【0033】
図3は、
図2において第2ビルドアップ部32およびコア層2を下から見た平面図である。
図3(A)は、第2ビルドアップ部32に含まれる第2ビルドアップ絶縁層321および第2ビルドアップ導体層322のうち、最外層に位置する第2ビルドアップ絶縁層321および第2ビルドアップ導体層322を下からみた平面図である。
図3(B)は、第2ビルドアップ部32に含まれる第2ビルドアップ絶縁層321および第2ビルドアップ導体層322のうち、最外層よりも一層コア層2側に位置する第2ビルドアップ絶縁層321および第2ビルドアップ導体層322を下からみた平面図である。
図3(C)はコア層2を下から見た平面図である。
【0034】
図3(A)に示すように、接地用導体層322Gは、第2ビルドアップ絶縁層321の外周縁に近づく方向に張り出して信号用第2パッドP2Sを囲む張り出し部を有している。つまり、信号用第2パッドP2Sは、帯状体322G’を含む接地用導体層322Gによって周囲を完全に囲まれている。帯状体322G’は、(面状の)接地用導体層322Gの外周辺から第2ビルドアップ絶縁層321の外周縁に近づく方向にかけてW1だけ張り出している。このように、帯状体322G’がW1だけ張り出して信号用第2パッドP2Sの周囲を完全に囲んでいることによって、信号用第2パッドP2Sに外部からノイズが混入することを低減するとともに短絡防止および静電容量の低減の観点からも有利である。さらに、帯状体322G’は面状の層と異なり比較的幅が狭いため、接着代321aにおける第2ビルドアップ絶縁層321に食い込みやすい。したがって、第2ビルドアップ絶縁層321同士の密着性に影響を及ぼさない。
【0035】
帯状体322G’が張り出している寸法W1は、短絡防止や密着性に影響を及ぼさない幅であれば限定されない。短絡を防止したり、第2ビルドアップ絶縁層321同士の密着性にほぼ影響を及ぼさないようにしたりするために、寸法W1は、例えば50μm以上250μm以下であってもよい。第2ビルドアップ絶縁層321の外周縁から(面状の)接地用導体層322Gの外周辺までの平均の幅(帯状体322G’までの幅以外)W2は、第2ビルドアップ絶縁層321同士を密着し得るものであれば限定されない。例えば、W2は、300μm以上500μm以下であってもよい。W2が、300μmよりも小さいと密着性を確保できず、500μmよりも大きいと導体層を形成する領域を確保できない場合がある。
【0036】
接地用導体層322Gの一部である帯状体322G’の幅は、帯状であれば限定されない。帯状体322G’は、例えば20μm以上50μm以下の幅を有していてもよい。帯状体322G’がこのような幅を有していると、帯状体322G’が過度に厚くなりにくく、第2ビルドアップ導体層322の上下間の絶縁信頼性の低下をより防止することができる。さらに、第2ビルドアップ絶縁層321同士の密着性にもより影響を及ぼしにくくすることができる。
【0037】
図3(B)および(C)に示すように、最外層以外に位置する第2ビルドアップ絶縁層321および第2ビルドアップ導体層322や、コア絶縁層21およびコア導体層22についても、
図3(A)に示す構造と同様の構造が採用される。すなわち、信号用第2パッドP2Sの代わりに、信号用第2パッドP2Sと電気的に接続されるランド322a’である以外は、
図3(A)に示す構造と同様の構造を有している。
【0038】
図3(B)および(C)に示すように、ランド322a’も信号用第2パッドP2Sと同様、ランド322a’と同一層に位置する接地用導体層322Gに形成された第2開口52内に、接地用導体層322Gと隙間を介して存在している。第2開口52とは、コア絶縁層21の下面および最外層以外に位置する第2ビルドアップ絶縁層321の下面において、第2実装領域32aの最外列に位置する信号用第2パッドP2Sと電気的に接続されているランド322a’が存在する開口を意味する。
【0039】
図3(B)および(C)に示すように、一般的にランド322a’は信号用第2パッドP2Sよりも小さい。そのため、第2開口52は第1開口51よりも小さくてもよい。しかし、第2開口52を小さくして、例えば、電位の異なる信号用第2パッドP2Sと接地用導体層322Gとが第2ビルドアップ絶縁層321を介して対向すると、対向部分がコンデンサとなり、静電容量が増加してインピーダンスの不整合が生じる。したがって、第2ビルドアップ部32に存在する第2ビルドアップ導体層322を平面透視した場合、第2開口52は第1開口51と重なる位置に存在しているのがよい。第1開口51と第2開口52とは、ほぼ同じ位置でほぼ同じ大きさで重なり合っているのがよい。
【0040】
本開示の配線基板は、上述の一実施形態に限定されない。例えば、上述の配線基板1では、信号用第2パッドP2Sとして、ペアパッドが採用されている。しかし、信号用第2パッドP2Sとしては、ペアパッドに限定されず、シングルパッドであってもよい。
【0041】
上述の配線基板1では、第1ビルドアップ部31および第2ビルドアップ部32のそれぞれに、第1ビルドアップ絶縁層311および第2ビルドアップ絶縁層321がそれぞれ二層存在している。しかし、本開示の配線基板1において、第1ビルドアップ絶縁層311および第2ビルドアップ絶縁層321が、それぞれ一層ずつ存在していてもよく、三層以上ずつ存在していてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 配線基板
2 コア層
21 コア絶縁層
22 コア導体層
22T スルーホール導体
31 第1ビルドアップ部
311 第1ビルドアップ絶縁層
312 第1ビルドアップ導体層
31a 第1実装領域
31V 第1ビアホール導体
32 第2ビルドアップ部
321 第2ビルドアップ絶縁層
321a 接着代
322 第2ビルドアップ導体層
322G 接地用導体層
322G’ 帯状体
32a 第2実装領域
32V 第2ビアホール導体
4 ソルダーレジスト
51 第1開口
52 第2開口
P1 第1パッド
P2 第2パッド
P2S 信号用第2パッド