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特許7391187ヒュームドアルミナを含む光起電力封入剤フィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】ヒュームドアルミナを含む光起電力封入剤フィルム
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/048 20140101AFI20231127BHJP
   C08L 23/00 20060101ALI20231127BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
H01L31/04 560
C08L23/00
C08K3/22
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022513434
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(86)【国際出願番号】 CN2019103788
(87)【国際公開番号】W WO2021035713
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ユンフォン
(72)【発明者】
【氏名】ハーバースベルガー、ブライアン エム.
(72)【発明者】
【氏名】マー、ウェイミン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ユイヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ホン
(72)【発明者】
【氏名】ホー、チャオ
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-534651(JP,A)
【文献】特開2015-126170(JP,A)
【文献】特開2018-109117(JP,A)
【文献】国際公開第2019/000744(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04-31/078
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
封入剤フィルムのための硬化性組成物であって、前記硬化性組成物が、
(A)前記硬化性組成物の総重量に基づいて80重量%~99重量%のポリオレフィンと、
(B)前記硬化性組成物の総重量に基づいて0.01重量%~5重量%のヒュームドアルミナと、
(C)前記硬化性組成物の総重量に基づいて0.1重量%~5重量%の有機過酸化物と、
(D)前記硬化性組成物の総重量に基づいて0.01重量%~2重量%のシランカップリング剤と、
(E)前記硬化性組成物の総重量に基づいて0.01重量%~5重量%の架橋助剤と、
(F)前記硬化性組成物の総重量に基づいて0重量%~1重量%の、酸化防止剤を含む添加成分と、を含み、
前記ポリオレフィンは、4.0E+15ohm.cm未満の体積抵抗率を有する、硬化性組成物。
【請求項2】
前記ポリオレフィンが、1.0E+12ohm.cm超~4.0E+15ohm.cm未満の体積抵抗率を有する、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記ポリオレフィンが、0.860g/cc~0.890g/ccの密度および1g/10分~100g/10分のメルトインデックスを有する、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記ポリオレフィンが、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーである、請求項1~3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記ヒュームドアルミナが、50m/g超~200m/g未満の比表面積(BET)を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の硬化性組成物の反応生成物である架橋ポリマー組成物を含む封入剤フィルム。
【請求項7】
前記封入剤フィルムが、9.0E+15ohm.cm超~9.0E+16ohm.cmの体積抵抗率を有する、請求項に記載の封入剤フィルム。
【請求項8】
前記封止剤フィルムが、2.0dNm以上の最大トルク(MH)、11分未満のt90、140N/cmを超える初期ガラス接着力、および/または88%以上の平均透過率を有する、請求項またはに記載の封入剤フィルム。
【請求項9】
太陽電池と、請求項のいずれか一項に記載の封入剤フィルムと、を含む、PVモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、改善された体積抵抗率を有するポリオレフィン系光起電力(PV)封入剤フィルム、ならびにそのような封入剤フィルムを含有するPVモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
エチレン酢酸ビニル(EVA)は、その透明性、柔軟性、および架橋可能なシートへの変換の容易さから、現在、PVセルの封入材料として広く使用されている。ただし、EVAは耐候性が乏しく、極性が高いため、体積抵抗率(VR)の低下をもたらす。VRは、潜在的な誘導劣化(PID)抵抗性能に影響を与えるため、重要である。VRが低い封入剤材料で太陽電池を封入すると、PIDが原因で大幅なモジュールの電力損失をもたらす可能性がある。
【0003】
エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーなどのポリオレフィン系封入材料は、優れた透明性、接着性、耐熱性を有し、架橋可能なフィルムに容易に変換することができる。ポリオレフィン系封入材料は、一般的にEVAと比較して改善されたVRを有するが、そのような材料は、広範なVRを有し、1017ohm.cmを超えるVRを有するポリオレフィンで達成された最高のPID防止性能を有する。より低いVRを有するポリオレフィンは、VRの改善から利益を受けるであろう。したがって、低VRポリオレフィンを含有するPV封入剤フィルムのVRを改善する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、封入剤フィルムのための硬化性組成物に関し、当該硬化性組成物は、(A)ポリオレフィンと、(B)ヒュームドアルミナと、(C)有機過酸化物と、(D)シランカップリング剤と、(E)架橋助剤と、任意選択で、(F)酸化防止剤および/またはUV安定剤を含む添加剤成分と、を含み、当該ポリオレフィンは、4.0E+15ohm.cm未満の体積抵抗率を有する。
【0005】
本開示はさらに、(A)ポリオレフィンと、(B)ヒュームドアルミナと、(C)有機過酸化物と、(D)シランカップリング剤と、(E)架橋助剤と、任意選択で、(F)酸化防止剤および/またはUV安定剤を含む添加剤成分と、を含み、当該ポリオレフィンは、4.0E+15ohm.cm未満の体積抵抗率を有する、硬化性組成物、の反応生成物である架橋ポリマー組成物を含む封入剤フィルムに関する。
【0006】
本開示はさらに、太陽電池と、(A)ポリオレフィン;(B)ヒュームドアルミナ;(C)有機過酸化物;(D)シランカップリング剤;(E)架橋助剤;および、任意選択で、(F)酸化防止剤および/またはUV安定剤を含む添加剤成分、を含み、当該ポリオレフィンは、4.0E+15ohm.cm未満の体積抵抗率を有する硬化性組成物、の反応生成物である架橋ポリマー組成物を含む少なくとも1つの封入剤フィルム層と、を含む、PVモジュールに関する。
【0007】
定義
本明細書における元素周期表へのすべての言及は、CRC Press,Inc.によって2003年に出版および著作権化された元素周期表を指すものとする。また、族(複数可)へのいずれの参照も、族を番号付けするためのIUPACシステムを使用してその元素周期表に反映された族(複数可)に対するものとする。
【0008】
米国特許実務の目的のために、あらゆる参照される特許、特許出願、または特許公開の内容も、特に定義の開示(本開示に具体的に提供されるいかなる定義にも矛盾しない範囲まで)、および当該技術分野における一般的知識に関して、それらの全体が参照により組み込まれる(または、その同等の米国版が参照によりそのように組み込まれる)。
【0009】
本明細書で開示される数値範囲は、下限値および上限値からのすべての値を含み、かつ下限値および上限値を含む。明示的な値を含む範囲(例えば、1、または2、または3から5、または6、または7までの範囲)の場合、任意の2つの明示的な値の間の部分範囲が含まれる(例えば、上記の範囲1~7は、すべての部分範囲1~2、2~6、5~7、3~7、5~6などを含む)。
【0010】
「ポリマー」は、同じであるかまたは異なるタイプであるかにかかわらず、モノマーを重合することによって調製される化合物を指す。したがって、ポリマーという総称は、1つのタイプのみのモノマーから調製されるポリマーを指す「ホモポリマー」という用語、および本明細書で定義されるような「インターポリマー」または「コポリマー」という用語を包含する。例えば、触媒残渣の微量の不純物が、ポリマー中および/またはポリマー内に組み込まれ得る。
【0011】
「ポリオレフィン」は、オレフィンモノマーから生成されるポリマーを指し、オレフィンモノマーは、少なくとも1つの二重結合を有する炭素および水素の線状、分岐状、または環状化合物である。「オレフィン系ポリマー」と交換可能に使用されるポリオレフィンは、(ポリオレフィンの総重量に基づいて)50パーセント超の重合オレフィンモノマーを含有し、任意選択で、1つ以上のコモノマーを含有し得る。ポリオレフィンの非限定的な例としては、エチレン系ポリマーおよびプロピレン系ポリマーが挙げられる。
【0012】
「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合によって調製されたポリマーを指す。この用語は、両方の「コポリマー」、すなわち、2つの異なるタイプのモノマーから調製されるポリマー、および3つ以上の異なるタイプのモノマー、例えば、ターポリマー、テトラポリマーなどから調製されるポリマーの両方を含む。また、この用語は、ランダム、ブロック、均質、不均質など、あらゆる形態のインターポリマーも包含する。
【0013】
「アルファ-オレフィン」または「α-オレフィン」は、炭化水素分子であり、当該炭化水素分子は、エチレン性不飽和を含み、この不飽和は、第1の炭素原子と第2の炭素原子との間に位置している。本開示の目的のために、アルファ-オレフィンの非限定的な例としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-ドデセン、およびこれらのモノマーの2つ以上の混合物が挙げられる。
【0014】
「エチレン系ポリマー」または「エチレンポリマー」は、ポリマーの重量に基づいて、過半量(50重量%超)の重合エチレンを含有し、任意選択で、少なくとも1つのコモノマーの重合単位をさらに含有し得る、ポリマーである。
【0015】
「エチレン系インターポリマー」は、インターポリマーの重量に基づいて、過半量(50重量%超)の重合形態のエチレンを含有し、少なくとも1つのコモノマーの重合単位をさらに含有する、インターポリマーである。エチレン系インターポリマーは、ランダムインターポリマー(すなわち、そのモノマー成分のランダムな分布を含む)またはブロックインターポリマーであり得る。
【0016】
「エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」は、インターポリマーの重量に基づいて、過半量(50重量%超)の重合エチレンを含有し、少なくとも1つのアルファ-オレフィンの重合単位をさらに含有する、インターポリマーである。エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、ランダムインターポリマーまたはブロックインターポリマーであり得る。
【0017】
「エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー」は、コポリマーの重量に基づいて、過半量(50重量%超)の重合エチレンを含有し、アルファ-オレフィンの重合単位をさらに含有するコポリマーである。エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーは、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであり得る。
【0018】
「オレフィンブロックコポリマー」または「OBC」という用語は、エチレン/アルファ-オレフィンマルチブロックインターポリマーを指し、エチレンと、2つ以上(好ましくは3つ以上)の重合モノマー単位の複数のブロックまたはセグメント(ブロックまたはセグメントは化学的または物理的特性が異なる)によって特徴付けられた1つ以上の共重合性アルファ-オレフィンコモノマーとを重合形態で含む。具体的には、「オレフィンブロックコポリマー」という用語は、線状の様式で結合した2つ以上(好ましくは3つ以上)の化学的に異なる領域またはセグメント(「ブロック」と称される)を含むポリマー、すなわち、ペンダント様式またはグラフト化様式ではなく、重合した官能基に対して、端と端とが結合(共有結合)した化学的に異なる単位を含むポリマーを指す。ブロックは、そこに組み込まれるコモノマーの量もしくはタイプ、密度、結晶化度の量、結晶化度のタイプ(例えば、ポリエチレン対ポリプロピレン)、そのような組成のポリマーに起因する結晶のサイズ、立体規則性のタイプもしくは程度(アイソタクチックもしくはシンジオタクチック)、領域規則性もしくは領域不規則性、長鎖分岐もしくは超分岐を含む分岐の量、均一性、および/または任意の他の化学的もしくは物理的特性において異なる。ブロックコポリマーは、例えば、触媒系と組み合わせたシャトリング剤の使用効果に基づいて、ポリマー分子量分布(PDIまたはMw/Mn)およびブロック長分布の両方の独特の分布によって特徴付けられる。本開示のオレフィンブロックコポリマーの非限定的な例、ならびにそれらを調製するためのプロセスは、米国特許第7,858,706B2号、同第8,198,374B2号、同第8,318,864B2号、同第8,609,779B2号、同第8,710,143B2号、同第8,785,551B2号、および同第9,243,090B2号に開示され、それらはすべて参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0019】
「ブレンド」または「ポリマーブレンド」は、2つ以上のポリマーの組成物である。そのようなブレンドは、混和性であっても、そうでなくてもよい。そのようなブレンドは、相分離していても、していなくてもよい。そのようなブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、および当該技術分野で既知の任意の他の方法から決定される、1つ以上のドメイン構成を含有しても、しなくてもよい。
【0020】
「組成物」または「配合物」は、2つ以上の構成成分の混合物またはブレンドである。製造品が製作される材料の混合物またはブレンドの文脈において、組成物は、混合物のすべての構成成分、例えば、ポリマー、触媒、および硬化触媒、酸化防止剤、難燃剤などの任意の他の添加剤または薬剤を含む。
【0021】
「~を含む(comprising)」、「~を含む(including)」、「~を有する(having)」という用語、およびそれらの派生語は、それらが具体的に開示されているか否かにかかわらず、任意の追加の構成成分、ステップ、または手順の存在を除外することを意図するものではない。「含む」の使用を通じて特許請求されるすべてのプロセスは、反対に述べられない限り、1つ以上の追加のステップ、機器もしくは構成要素の部品、および/または材料を含み得る。対照的に、「から本質的になる」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、任意の以降の記述の範囲から任意の他の構成要素、ステップ、または手順を除外する。「からなる」という用語は、具体的に規定または列挙されていない任意の構成要素、ステップ、または手順を除外する。「または」という用語は、別途記載がない限り、列挙された部材を個々に、および任意の組み合わせで指す。
【0022】
「直接的な接触」は、2つの構成要素が互いに物理的に接触しており、2つの接触する構成要素の一部分の間に位置する介在する層および/または介在する材料がない構成である。
【0023】
「フィルム」という用語は、より厚い物品の「フィルム層」を指す場合を含み、指定された厚さを明示的に有さない限り、典型的には25マイクロメートル~1.25ミリメートル(mm)以上の一般に一貫した均一な厚さを有する、任意の薄い、平らな押し出しまたはキャスト物品を含む。フィルムの「層」は、ナノレイヤー、またはマイクロレイヤーの場合のように、非常に薄くてもよい。本明細書で使用される場合、「シート」という用語は、指定された厚さを明示的に有さない限り、「フィルム」よりも一般に一貫した均一な厚さを有する、任意の薄い、平らな押し出しまたはキャスト物品を含む。
【0024】
「ガラス」は、純粋な二酸化ケイ素(SiO)、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、砂糖ガラス、雲母ガラス(白雲母ガラス)、光起電力ガラス、または酸窒化アルミニウムを含むがこれらに限定されない、窓、ボトル、またはアイウェアに使用されるような、硬く、もろく、透明な固体である。
【0025】
「光起電力セル」、「PVセル」、および同様の用語は、いくつかの無機または有機タイプのいずれかの1つ以上の光起電力効果材料を含有する構造を意味する。例えば、一般的に使用される光起電力効果材料には、結晶性ケイ素、多結晶性ケイ素、非晶質ケイ素、(ジ)セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、セレン化銅インジウム(CIS)、テルル化カドミウム、ヒ化ガリウム、色素増感材料、および有機太陽電池材料を含むが、これらに限定されない、既知の光起電力効果材料のうちの1つ以上が含まれる。図1に示されるように、PV電池は、典型的には、積層体構造において用いられ、入射光を電流に変換する少なくとも1つの光反応性表面を有する。光起電力セルは、当業者に既知であり、一般に、電池を保護し、かつ様々な用途環境、典型的には、屋外用途での使用を可能にする光起電力モジュールにパッケージングされる。PV電池は、本質的に可撓性または剛性であり、光起電力効果材料およびそれらの生産に適用される任意の保護コーティング表面材料、ならびに適切な配線および電子駆動回路を含む。
【0026】
「光起電力モジュール」、「PVモジュール」などの用語は、PV電池を含む構造を指す。PVモジュールは、カバーシート、前面封入剤フィルム、後面封入剤フィルム、およびバックシートも含むことができ、PV電池は前面封入剤フィルムと後面封入剤フィルムとの間に挟まれている。例示的な非限定的なPVモジュールは、最上層、前面封入剤層、少なくとも1つの光起電力セル、典型的には線状または平面パターンに配列された複数のそのようなセル、後面封入剤層、およびバックシートを含み得る。前面封入剤層は、光起電力セルおよび部分的に後面封入剤層の両方と直接接触している。前面封入剤層および後面封入剤層は、光起電力セルを、完全に取り囲み、または封入する。バックシートは、PVモジュールの裏表面を保護する単層構造または多層構造またはガラス(ガラス/ガラスPVモジュールを作製する)であることができる。
【0027】
試験方法
本明細書に開示される各測定可能な特性は、以下に考察される方法論に従って測定される。
【0028】
密度は、ASTM D792、方法Bに従って測定され、結果は、1立方センチメートル当たりのグラム(g)(g/ccまたはg/cm)で記録される。
【0029】
曲げ弾性率(2%割線)は、ASTM D790に従って測定され、psiで報告される。
【0030】
初期ガラス接着力:積層されたサンプルは、幅1インチの3つの標本に切断される(切断されたバックシートおよびフィルム層)。180°剥離試験を使用して、ガラス接着強度(最大ガラス接着強度および1インチ~2インチの層間剥離の平均ガラス接着強度)を測定する。この試験は、制御された周囲条件下でInstron TM5565で実行される。平均を得るために、少なくとも3つの標本が試験される。結果は、ニュートン/センチメートル(N/cm)で報告される。
【0031】
平均透過率:圧縮成形フィルムの透過率は、150mmの積分球を備えるLAMBDA950UV/Vis分光光度計(PerkinElmer)を使用して決定される。少なくとも3つのサンプルが試験され、380nm~1100nmの平均透過率が収集される。結果は、パーセントで報告される。
【0032】
メルトインデックス(MI)は、ASTM D1238に従って、条件190℃/2.16キログラム(kg)の下で実施され、10分当たりで溶出されるグラム(g/10分)で報告される。
【0033】
融解結晶化およびガラス転移:示差走査熱量測定(DSC)を使用して、広範囲の温度でのポリマーの融解、結晶化、およびガラス転移挙動を測定することができる。例えば、RCS(冷蔵冷却システム)およびオートサンプラーを備えるTA Instruments Q1000 DSCを使用して、この分析を実施する。試験中、50ml/分の窒素パージガス流量が使用される。各サンプルは、約175℃で薄いフィルムにメルトプレスされ、融解したサンプルは、次いで、室温(約25℃)まで空冷される。冷却されたポリマーから3~10mg、直径6mmの試験片が抽出され、秤量され、軽い(約50mg)アルミニウムパンに入れられ、圧着されて閉じられる。次いで、その熱的特性を決定するために分析を行う。
【0034】
サンプルの熱挙動は、サンプル温度を昇降して熱流量対温度プロファイルを作成することにより決定する。まず、サンプルは、180℃まで急速に加熱され、その熱履歴を除去するために3分間等温に保持される。次に、サンプルを10℃/分の冷却速度で-40℃まで冷却し、3分間、-40℃の等温に保持する。次いで、サンプルを、10℃/分の加熱速度で180℃まで加熱する(これは「第2の加熱」勾配である)。冷却曲線および第2の加熱曲線を記録する。冷却曲線は、結晶化の開始から-20℃にベースラインエンドポイントを設定することによって分析される。加熱曲線は、-20℃から融解終了にベースラインエンドポイントを設定することによって分析される。決定した値は、外挿された融解の開始Tmであり、および外挿された結晶化の開始Tcである。(1グラム当たりのジュールでの)融解熱(H)、および以下の等式を使用して計算されたポリエチレンサンプルの結晶化度%:
結晶化度%=((H)/292J/g)×100
【0035】
融解熱(H)およびピーク溶解温度は、第2の熱曲線から報告される。ピーク結晶化温度は、冷却曲線から決定される。
【0036】
融点Tmは、まず融解転移の開始と終了との間のベースラインを引くことにより、DSC加熱曲線から決定される。次いで、融解ピークの低温側のデータに接線を引く。この線がベースラインと交差する場所は、外挿される融解開始(Tm)である。これは、Bernhard Wunderlich,The Basis of Thermal Analysis,in Thermal Characterization of Polymeric Materials 92,277-278(Edith A.Turi ed.,2d ed.1997)に記載されている通りである。
【0037】
結晶化温度Tcは、接線が結晶化ピークの高温側に引かれていることを除き、上記のDSC冷却曲線から決定される。この接線がベースラインと交差する場所は、外挿される結晶化の開始(Tc)である。
【0038】
ガラス転移温度Tgは、Bernhard Wunderlich,The Basis of Thermal Analysis,in Thermal Characterization of Polymeric Materials 92,278-279(Edith A.Turi ed.,2d ed.1997)に記載のように、サンプルの半分で液体熱容量が増加したDSC加熱曲線から決定される。ガラス転移領域の下および上からベースラインを引き、Tg領域を介して外挿する。サンプルの熱容量がこれらのベースラインの中間となる温度が、Tgである。
【0039】
ムービングダイレオメーター(MDR):MDRには、約4グラムの各キャストフィルムが搭載されている。MDRは、150℃で25分間実行される。各サンプルの時間対トルク曲線は、所与の間隔にわたって記録される。25分の試験間隔(MH)中にMDRによって加えられる最大トルクは、デシ-ニュートンメートル(dNm)で記録される。MHは、典型的には、25分で加えられる最大トルクに対応する。トルクがMHのX%(t)に達するまでの時間は、分単位で報告される。tは、各樹脂の硬化速度を理解するために標準化された測定値である。MHの90%(t90)に達するまでの時間は、分単位で記録される。
【0040】
体積抵抗率:体積抵抗率は、ASTM D257に基づく次の方法で測定される。体積抵抗率は、Keithley 8009試験治具と組み合わせたKeithley 6517 B電位計を使用して測定される。Keithleyモデル8009試験チャンバは、高温で動作することができる強制空気オーブン内にある(最大温度は80℃である)。漏電流は、ソフトウェアを介して機器から記録され、以下の等式を使用して、体積抵抗率(VR)が計算され、
【数1】
式中、pはohm.cm単位の体積抵抗率であり、Vはボルト単位の印加電圧であり、Aはcm単位の電極接触面積であり、Iは10分の印加電圧後に記録されたアンペア単位の漏電流であり、tはサンプルの厚さである。圧縮成形フィルムの厚さは、試験前に測定される。フィルムの5点を測定して、計算に使用される平均厚さを得る。試験は、室温で、1000ボルトで実行される。2つの圧縮成形フィルムが試験され、記録されたVRは2つの試験の平均である。結果は、オームセンチメートル(ohm.cm)で報告される。
【発明を実施するための形態】
【0041】
ポリオレフィン
(A)本開示のポリオレフィンは、任意のオレフィン系ホモポリマー(オレフィンが唯一のモノマーである)、またはオレフィンが一次モノマーであるオレフィン系インターポリマー(すなわち、オレフィン系インターポリマーが50重量%超のオレフィン由来の単位を含む)である。ポリオレフィンがインターポリマーであるこれらの実施形態では、コモノマーは、異なるC2~20の線状、分岐状、または環状アルファ-オレフィンである。本開示の目的のために、エチレンは、アルファ-オレフィンである。コモノマーとして使用するためのC2~20アルファ-オレフィンの非限定的な例としては、エチレン、プロペン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、および1-オクタデセンが挙げられる。
【0042】
特定の実施形態において、ポリオレフィンは、ランダムまたはブロックインターポリマーであり得るエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーであるエチレン系ポリマーである。さらなる実施形態において、ポリオレフィンは、ランダムまたはブロックコポリマーであり得るエチレン/アルファ-オレフィンコポリマーであるエチレン系ポリマーである。エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーの非限定的な例としては、エチレンとC~Cアルファ-オレフィンまたはC~Cアルファ-オレフィンとのコポリマー、例えば、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/1-ブテンコポリマー、エチレン/1-ヘキセンコポリマー、エチレン/1-オクテンコポリマー、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0043】
ある特定の実施形態において、ポリオレフィンは、エチレン/アルファ-オレフィンランダムコポリマーである。エチレン/アルファ-オレフィンランダムコポリマーの例としては、エチレン/プロピレンランダムコポリマー、エチレン/1-ブテンランダムコポリマー、エチレン/1-ヘキセンランダムコポリマー、エチレン/1-オクテンランダムコポリマー、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、ポリオレフィンは、エチレン/アルファ-オレフィンランダムコポリマーであり、アルファ-オレフィンは、1-オクテン、1-ヘキセン、1-ブテン、およびプロピレンから選択される。さらなる実施形態において、ポリオレフィンは、エチレン/1-オクテンランダムコポリマーである。
【0044】
さらなる実施形態において、ポリオレフィンは、オレフィンブロックコポリマーであり、さらに、本明細書で定義されるようなエチレン/アルファ-オレフィンマルチブロックインターポリマーである。
【0045】
ある特定の実施形態において、ポリオレフィンはヘテロ原子を含まない。本明細書で使用される「ヘテロ原子」という用語は、炭素または水素以外の原子である。ヘテロ原子は、周期表の第IV、V、VI、およびVII族からの非炭素原子であり得る。ヘテロ原子の非限定的な例としては、F、N、O、P、B、S、およびSiが挙げられる。
【0046】
いくつかの実施形態において、ポリオレフィンは、1.0E+12ohm.cm超~4.0E+15ohm.cm未満、または5.0E+12ohm.cm超~4.0E+15ohm.cm未満、または1.0E+13ohm.cm超~4.0E+15ohm.cm未満、または5.0E+13ohm.cm超~4.0E+15ohm.cm未満、または1.0E+14ohm.cm以上~4.0E+15ohm.cm未満、または5.0E+14ohm.cm以上~4.0E+15ohm.cm未満、または5.0E+14ohm.cm以上~3.5E+15ohm.cm以下、または7.0E+14ohm.cm以上~3.0E+15ohm.cm以下の体積抵抗率を有する。
【0047】
さらなる実施形態では、ポリオレフィンは、本明細書に開示される方法または同様の方法に従って、1.0E+12ohm.cm、または5.0E+12ohm.cm、または1.0E+13ohm.com、または5.0E+13ohm.cm、または1.0E+14ohm.cm、または5.0E+14ohm.cm、または7.0E+14ohm.cm、または9.0E+14ohm.cm、または1.0E+15ohm.cmから、1.5E+15ohm.cm、または2.0E+15ohm.cm、または2.5E+15ohm.cm、または3.0E+15ohm.cm、または3.5E+15ohm.cm、または4.0E+15ohm.cm未満までの体積抵抗率を有する。
【0048】
ある特定の実施形態では、ポリオレフィンは、ASTM D792の方法Bに従って測定した場合、0.850g/cc、または0.855g/cc、または0.860g/cc、または0.865g/cc、または0.870g/cc、または0.875g/cc~0.880g/ccまたは0.885g/cc、または0.890g/cc、または0.895g/cc、または0.900g/cc、または0.905g/cc、または0.910g/cc、または0.915g/cc、または0.920g/ccの密度を有する。例えば、ある特定の実施形態では、ポリオレフィンは、ASTM D792の方法Bに従って測定した場合、0.850g/cc~0.920g/cc、または0.855g/cc~0.910g/cc、または0.860g/cc~0.900g/cc、または0.860g/cc~0.895g/cc、または0.860g/cc~0.890g/cc、または0.865g/cc~0.885g/cc、または0.865g/cc~0.880g/ccの密度を有する。
【0049】
ある特定の実施形態において、ポリオレフィンは、ASTM D1238に従って190℃/2.16kgで測定した場合、0.1g/10分、または0.5g/10分、または1g/10分、または5g/10分、または10g/10分、または12g/10分から、18g/10分、または20g/10分、または25g/10分、または30g/10分、または50g/10分、または75g/10分、または100g/10分までのメルトインデックス(MI)を有する。例えば、ある特定の実施形態において、ポリオレフィンは、ASTM D1238に従って190℃/2.16kgで測定した場合、0.1g/10分~100g/10分、または0.5g/10分~100g/10分、または1g/10分~100g/10分、または1g/10分~75g/10分、または1g/10分~50g/10分、または1g/10分~30g/10分、または5g/10分~30g/10分、または5g/10分~20g/10分のメルトインデックス(MI)を有する。
【0050】
ある特定の実施形態では、オレフィンは、DSCを使用して測定した場合、55℃、または60℃、または75℃、または90℃、または95℃、または100℃から、105℃、または110℃までの融点(Tm)を有する。
【0051】
実施形態では、オレフィン系ポリマーは、DSCを使用して測定した場合、-30℃、または-35℃から-40℃、または-45℃、または-50℃、または-60℃までのガラス転移温度Tgを有する。
【0052】
実施形態では、オレフィン系ポリマーは、ASTM D790に従って測定した場合、500psi以上、または750psi以上、または1000psi以上から2000psi、または3000psi、または3500psi、または4000psi、または6000psi未満までの曲げ弾性率(2%割線)を有する。
【0053】
本開示に従う好適なポリオレフィンとしては、Dow Chemical CompanyからのENGAGE(商標)ポリオレフィンエラストマーおよびINFUSE(商標)オレフィンブロックコポリマーとして入手可能なもの、ExxonMobil Chemical CompanyからのExact(商標)プラストマーとして入手可能なもの、およびLG ChemicalからのLUCENE(商標)ポリオレフィンとして入手可能なものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
上記したポリオレフィンの任意のもののブレンドもまた、当該ブレンドの体積抵抗率が4.0E+15ohm.cm未満である限り、使用されてもよい。ポリオレフィンまたはそれらのブレンドは、ポリオレフィンおよび他のポリマーが、(i)互いに混和性である程度まで、(ii)他のポリマーが、ポリオレフィンの望ましい特性(すなわち、光学および低弾性率)に影響を、もしあってもほとんど及ぼさない程度まで、(iii)ポリオレフィンの含有量が、ブレンドの総重量に基づいて、ブレンドの50重量%、または60重量%、または70重量%、または75重量%、または80重量%超から、90重量%、または95重量%、または98重量%、または99重量%、または100重量%未満まで構成する程度まで、1つ以上の他のポリマーとブレンドまたは希釈され得る。
【0055】
本開示のポリオレフィンは、本明細書に開示の実施形態の任意の組み合わせであり得る。
【0056】
ヒュームドアルミナ
ヒュームドアルミナ(酸化アルミニウム)は、合成アルミナの一タイプである。合成アルミナとして、本開示のヒュームドアルミナは、高い化学純度および高い比表面積を有する。さらなる実施形態では、ヒュームドアルミナは、当該技術分野で知られている火炎加水分解プロセス、例えば、AEROSIL(登録商標)プロセスと同様のプロセスによって調製され得る。ヒュームドアルミナを調製するための火炎加水分解プロセスは、反応物の濃度、火炎温度、およびある特定の滞留時間を変えることによって、制御することができる。これは、ヒュームドアルミナ製品の粒径、粒径分布、比表面積、および表面特性に影響を与えることになる。言い換えれば、プロセスの制御方法に応じて、様々なヒュームドアルミナ製品を製造することができる。
【0057】
火炎加水分解プロセスによって調製されたヒュームドアルミナ粒子は、特別に処理されない限り、本質的に親水性である。疎水性のヒュームドアルミナ粒子を形成するために、親水性のヒュームドアルミナ粒子は、疎水性剤による化学的後処理にかけられる。好適な疎水性剤としては、アルコキシシラン、シラザン、およびシロキサンなどのオルガノシラン化合物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「疎水性処理されたヒュームドアルミナ」という用語は、粒子形態のヒュームドアルミナであり、1つ以上の酸素共有結合によって粒子表面に結合した疎水性剤を有する。
【0058】
ある特定の実施形態において、本開示のヒュームドアルミナは、親水性ヒュームドアルミナである。さらなる実施形態において、本開示のヒュームドアルミナは、疎水性処理されたヒュームドアルミナである。本開示のヒュームドアルミナは、熱力学的に安定なアルファ形態、または準安定ガンマ形態、例えば、ガンマ、デルタ、およびシータ形態であり得る。
【0059】
ある特定の実施形態において、ヒュームドアルミナは、50m/g超~200m/g未満の比表面積(BET)を有する。ある特定の実施形態において、ヒュームドアルミナは、55m/g~150m/g、または60m/g~140m/g、または65m/g~130m/gの比表面積(BET)を有し、さらなる実施形態において、ヒュームドアルミナは、55m/g、または60m/g、または65m/g、または70m/g、または75m/g、または80m/g、または85m/gから95m/g、または100m/g、または105m/g、または110m/g、または115m/g、または120m/g、または130m/g、または140m/g、または150m/g、または200m/g未満までの比表面積(BET)を有する。
【0060】
親水性ヒュームドアルミナの非限定的な例は、Evonik IndustriesからAEROXIDE(登録商標)Alu 65およびAlu 130として入手可能なものである。疎水性処理されたヒュームドアルミナの非限定的な例は、Evonik IndustriesからAEROXIDE(登録商標)Alu Cとして入手可能なものである。
【0061】
本開示のヒュームドアルミナは、親水性ヒュームドアルミナと疎水性処理されたヒュームドアルミナとのブレンドであり得るか、または親水性ヒュームドアルミナ以外のものが多いブレンドであり得る。
【0062】
本開示のヒュームドアルミナは、本明細書に開示の実施形態の任意の組み合わせであり得る。
【0063】
有機過酸化物
有機過酸化物は、炭素原子、水素原子、および2つ以上の酸素原子を含有し、かつ少なくとも1つの-O-O-基を有する分子であり、複数の-O-O-基がある場合、各-O-O-基は、1つ以上の炭素原子またはそのような分子の集合を介して、別の-O-O-基に間接的に結合している。有機過酸化物は、式R-O-O-Rのモノペルオキシドであってもよく、式中、各Rは、独立して、(C~C20)アルキル基または(C~C20)アリール基である。各(C~C20)アルキル基は独立して、非置換であるか、または1つもしくは2つの(C~C12)アリール基で置換されている。各(C~C20)アリール基は、非置換であるかまたは1~4つの(C~C10)アルキル基で置換されている。代替的に、有機過酸化物は、式R-O-O-R-O-O-Rのジペルオキシドであってもよく、式中、Rは、(C~C10)アルキレン、(C~C10)シクロアルキレン、またはフェニレンなどの二価炭化水素基であり、各Rは、上記で定義された通りである。好適な有機過酸化物としては、過酸化アルキル、過酸化アリール、ペルオキシエステル、ペルオキシカーボネート、過酸化ジアシル、ペルオキシケタール、環状過酸化物、過酸化ジアルキル、ペルオキシエステル、ペルオキシジカーボネート、またはそれらの2つ以上の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
好適な有機過酸化物の非限定的な例としては、過酸化ジクミル;過酸化ラウリル;過酸化ベンゾイル;過安息香酸三級ブチル;ジ(三級-ブチル)ペルオキシド;クメンヒドロペルオキシド;2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチル-ペルオキシ)ヘキシン-3;2,-5-ジ-メチル-2,5-ジ(t-ブチル-ペルオキシ)ヘキサン、三級ブチルヒドロペルオキシド;過炭酸イソプロピル;アルファ,アルファ’-ビス(三級-ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン;t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキシル-モノカーボネート、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジヒドロキシペルオキシド;t-ブチルクミルペルオキシド;アルファ,アルファ’-ビス(t-ブチルペルオキシ)-p-ジイソプロピルベンゼン;ビス(1,1-ジメチルエチル)ペルオキシド;ビス(1,1-ジメチルプロピル)ペルオキシド;2,5-ジメチル-2,5-ビス(1,1-ジメチルエチルペルオキシ)ヘキサン;2,5-ジメチル-2,5-ビス(1,1-ジメチルエチルペルオキシ)ヘキシン;4,4-ビス(1,1-ジメチルエチルペルオキシ)吉草酸;ブチルエステル;1,1-ビス(1,1-ジメチルエチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン;過酸化ベンゾイル;tert-ブチルペルオキシベンゾエート;ジ-tert-アミルペルオキシド(「DTAP」);ビス(アルファ-t-ブチル-ペルオキシイソプロピル)ベンゼン(「BIPB」);イソプロピルクミルt-ブチルペルオキシド;t-ブチルクミルペルオキシド;ジ-t-ブチルペルオキシド;2,5-ビス(tブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン;2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキシン-3,1,1-ビス(tブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン;イソプロピルクミルクミルペルオキシド;4,4-ジ(tertブチルペルオキシ)バレエート;ジ(イソプロピルクミル)ペルオキシド;およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
好適な市販の有機過酸化物の非限定的な例としては、AkzoNobelのTRIGONOX(登録商標)およびARKEMAのLUPEROX(登録商標)TBECが挙げられる。
【0066】
シランカップリング剤
いくつかの実施形態では、シランカップリング剤は、少なくとも1つのアルコキシ基を含む。好適なシランカップリング剤の非限定的な例には、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル-トリス-(β-メトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エトキシ-シクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、および3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、ビニルトリアセトキシシラン、γ-(メタ)アクリルオキシ、プロピルトリメトキシシラン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0067】
いくつかの実施形態では、シランカップリング剤は、ビニルトリメトキシシラン(VTMS)、または3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(VMMS)、またはアリルトリメトキシシランである。
【0068】
架橋助剤
架橋助剤は、助剤の任意の1つ、または助剤の混合物であることができ、例えば、エステル、エーテル、ケトン、シアヌレート、イソシアヌレート、ホスフェート、オルトホルメート、少なくとも2つの不飽和基、好ましくは3つの不飽和基、例えば、アリル、ビニル、またはアクリレートを含有する脂肪族エーテルまたは芳香族エーテルが挙げられるが、これらに限定されない。助剤中の炭素原子の数は、9~40以上の範囲であり得、好ましくは9~20である。
【0069】
助剤の具体例としては、トリアリルシアヌレート(TAC);トリアリルイソシアヌレート(TAIC)としても既知のトリアリル-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン;ヘキサアリルメラミン;リン酸トリアリル(TAP);トリアリルオルトホルメート;テトラ-アリルオキシ-エタン;トリアリルベンゼン-1,3,5-トリカルボキシレート;ジアリルフタレート;亜鉛ジメタクリレート;エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート;C14またはC15の平均鎖長を有するメタクリレート末端モノマー;ペンタエリスリトールテトラアクリレート;デペンタエリスリトールペンタアクリレート;ペンタエリスリトールトリアクリレート;ジメチロールプロパンテトラアクリレート;エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート;トリメチロールプロパントリアクリレート,2,4,6-トリアリル-1,3,5-トリオン,2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン;トリアリルトリメリテート(TATM);3,9-ジビニル-2,4,8,10-テトラ-オキサスピロ[5.5]ウンデカン(DVS);およびアルファ-メチルスチレンダイマー(AMSD);およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
ある特定の実施形態において、架橋助剤は、TAIC、TAC、TAP、ビニル環状シロキサン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0071】
添加剤成分
本開示のポリオレフィン組成物は、必要に応じて、または所望される場合、1つ以上の添加剤を含有し得る。好適な添加剤の非限定的な例としては、他のポリマー、金属酸化物、酸化防止剤、充填剤、UV安定剤、難燃剤、可塑剤または油、着色剤または顔料、粘着付与剤、強化剤、それらの脂肪酸および塩、耐火性添加剤、焦げ防止剤、安定剤、発泡剤、潤滑剤、加工助剤、押出助剤、核剤、スカベンジャー、ワックス、硬化添加剤、促進剤、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0072】
ある特定の実施形態において、本開示の硬化性組成物は、酸化防止剤および/またはUV安定剤を含む添加剤成分を含む。したがって、添加剤成分は、UV安定剤を含み得る。または、添加剤成分は酸化防止剤を含み得る。さらに、添加剤成分は、酸化防止剤およびUV安定剤を含み得る。
【0073】
好適なUV安定剤の非限定的な例としては、ヒンダードフェノール、亜リン酸塩、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、UV吸収剤、ヒンダードベンゾエート、およびこれらの組み合わせが挙げられる。好適なUV安定剤としては、TCIから入手可能なT770、TCIから入手可能なUV 531、Cynergy A400、A430、およびR350、Cyasorb UV-3529、Cyasorb UV-3346、Cyasorb UV-3583、Hostavin N30、Univil 4050、Univin 4050、Univin 5050、Chimassorb UV-119、Chimassorb 944 LD、Tinuvin 622 LD、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、トリアジン、およびこれらの組み合わせ、例えば、Tinuvin 328またはCyasorb UV-1164などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
好適な酸化防止剤としては、Cyanox 2777、Irganox 1010、Irganox 1076、Irganox B215、Irganox B225、PEPQ、Weston 399、TNPP、Irgafos 168、およびDevoerphos9228から成る群から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
硬化性組成物
本開示は、封入剤フィルムのための硬化性組成物に関し、当該硬化性組成物は、(A)ポリオレフィンと、(B)ヒュームドアルミナと、(C)有機過酸化物と、(D)シランカップリング剤と、(E)架橋助剤と、任意選択で、(F)酸化防止剤および/またはUV安定剤を含む添加剤成分と、を含み、当該ポリオレフィンは、4.0E+15ohm.cm未満の体積抵抗率を有する。
【0076】
4.0E+15ohm.cm未満の体積抵抗率を有する(A)ポリオレフィンは、硬化性組成物の総重量に基づいて、80重量%~99重量%、または85重量%~99重量%、または90重量%~99重量%、または95重量%~99重量%の量で、硬化性組成物中に存在し得る。
【0077】
(B)ヒュームドアルミナは、硬化性組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~5重量%、または0.05重量%~2重量%、または0.1重量%から1重量%、または0.25重量%~1重量%の量で、硬化性組成物中に存在し得る。
【0078】
(C)有機過酸化物は、硬化性組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~5重量%、または0.1重量%~3重量%、または0.5重量%~2重量%の量で、硬化性組成物中に存在し得る。
【0079】
(D)シランカップリング剤は、硬化性組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~2重量%、または0.05重量%~1重量%、または0.1重量%~0.5重量%の量で、硬化性組成物中に存在し得る。
【0080】
(E)架橋助剤は、硬化性組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~5重量%、または0.1重量%~3重量%、または0.2重量%~1重量%の量で、硬化性組成物中に存在し得る。
【0081】
(F)酸化防止剤および/またはUV安定剤を含む添加剤成分は、硬化性組成物の総重量に基づいて、0重量%~5重量%、または0重量%~3重量%、または0重量%~1重量%、または0.01重量%~1重量%の量で、硬化性組成物中に存在し得る。
【0082】
ある特定の実施形態において、本開示の硬化性組成物は、(A)ポリオレフィン以外の1つ以上のポリマーをさらに含み得る。すなわち、(A)ポリオレフィンは、1つ以上のポリマーとブレンドされ得る。したがって、本開示の硬化性組成物(ならびに、硬化性組成物の反応生成物を含む架橋ポリマー組成物)は、さらに、1つ以上のポリマー、例えば、限定するものではないが、不飽和ポリオレフィン(別のEPDM、ポリブタジエンなど)、飽和ポリオレフィン(PE、PP、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー、プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマー、オレフィンブロックコポリマーなど)、他のエラストマー(SBC、PVC、EVAなど)、および他のエンジニアリング熱可塑性樹脂(スチレン、ポリアミド、ポリエステルなど)を含み得る。
【0083】
ある特定の実施形態において、ポリオレフィンは、他のポリマーとブレンドされない。ある特定の実施形態において、硬化性組成物は、(A)ポリオレフィン以外の任意のポリマーを含まない(またはから構成されない)。
【0084】
本開示の硬化性組成物は、硬化して、架橋ポリマー組成物を形成し得る。架橋ポリマー組成物は、硬化から生じる硬化性組成物の反応生成物である。
【0085】
いくつかの実施形態では、架橋ポリマー組成物は、本明細書に開示の方法または同様の方法に従って、1.0E+15ohm.cm超、または5.0E+15ohm.cm超、または9.0E+15ohm.cm以上、または1.0E+16ohm.cm以上、または2.0E+16ohm.cm以上、または5.0E+16ohm.cm以上、または8.0E+16ohm.cm以上、または1.0E+17ohm.cm以上、または5.0E+17ohm.cm以上、または1.0E+18ohm.cm以上、または1.0E+19ohm.cm以上の体積抵抗率を有する。
【0086】
さらなる実施形態において、架橋ポリマー組成物は、本明細書に開示される方法または同様の方法に従って、1.0E+15ohm.cm、または5.0E+15ohm.cm、または9.0E+15ohm.cmから、1.0E+16ohm.cm、または2.0E+16ohm.cm、または5.0E+16ohm.cm、または8.0E+16ohm.cm、または9.0E+16ohm.cm、または1.0E+17ohm.cm、または5.0E+17ohm.com、または1.0E+18ohm.cm、または1.0E+19ohm.cmまでの体積抵抗率を有する。例えば、ある特定の実施形態において、架橋ポリマー組成物は、1.0E+15ohm.cm超~1.0E+19ohm.cm、または1.0E+15ohm.cm超~1.0E+18ohm.cm、または1.0E+15ohm.cm超~5.0E+17ohm.cm、または1.0E+15ohm.cm超~1.0E+17ohm.cm、または5.0E+15ohm.cm超~1.0E+17、または9.0E+15ohm.cm超~9.0E+16ohm.cmの体積抵抗率を有する。
【0087】
硬化性組成物および架橋ポリマー組成物の各々は、本明細書に記載の実施形態の任意の組み合わせを有し得る。
【0088】
封入剤フィルム(単数)または封入剤フィルム(複数)層
本開示は、PVモジュールなどの電子デバイスに組み込むことができる封入剤フィルムまたは封入剤フィルム層を提供する。封入剤フィルムまたは封入剤フィルム層は、本明細書に記載の硬化性組成物または架橋ポリマー組成物から作製される。ある特定の実施形態において、本開示は、(A)ポリオレフィンと、(B)ヒュームドアルミナと、(C)有機過酸化物と、D)シランカップリング剤と、(E)架橋助剤と、任意選択で、(F)酸化防止剤および/またはUV安定剤を含む添加剤成分と、を含み、当該ポリオレフィンは、4.0E+15ohm.cm未満の体積抵抗率を有する硬化性組成物、の反応生成物である架橋ポリマー組成物を含む封入剤フィルムまたは封入剤フィルム層に関する。ある特定の実施形態において、封入剤フィルムまたは封入剤フィルム層は、架橋ポリマー組成物である。
【0089】
さらなる実施形態において、本開示は、(A)4.0E+15ohm.cm未満の体積抵抗率を有するポリオレフィンを、硬化性組成物の総重量に基づいて、80重量%~99重量%、または85重量%~99重量%、または90重量%~99重量%、または95重量%~99重量%、(B)ヒュームドアルミナを、硬化性組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~5重量%、または0.05~2重量%、または0.1重量%~1重量%、または0.25重量%~1重量%、(C)有機過酸化物を、硬化性組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~5重量%、または0.1重量%~3重量%、または0.5重量%~2重量%、(D)シランカップリング剤を、硬化性組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~2重量%、または0.05重量%~1重量%、または0.1重量%~0.5重量%、(E)架橋助剤を、硬化性組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~5重量%、または0.1重量%~3重量%、または0.2重量%~1重量%、(F)酸化防止剤および/またはUV安定剤を含む添加剤成分を、硬化性組成物の総重量に基づいて、0重量%~5重量%、または0重量%~3重量%、または0重量%~1重量%、または0.01重量%~1重量%、含む、硬化性組成物の反応生成物である架橋ポリマー組成物を含む封入剤フィルムまたは封入剤フィルム層に関する。
【0090】
封入剤フィルムまたは封入剤フィルム層は、当該技術分野で知られている任意の手段によって形成され得る。いくつかの実施形態において、封入剤フィルムまたは封入剤フィルム層は、硬化性組成物の一部またはすべての成分を、シングルまたはツインスクリュータイプなどの様々なタイプのミキサーまたは押し出し機を介して押し出し、続いて、成形および/または積層の間に硬化または架橋することによって、調製される。典型的な押し出し機は、その上流端にホッパーを有し、その下流端にダイを有する。硬化性組成物の成分は、ホッパーに供給され、次いで、硬化または架橋を開始しないように、120℃未満の温度で溶融および押し出すことができる。ある特定の実施形態において、押し出しは、85℃~115℃の温度で、20rpm~40rpmのローター速度で実施することができる。
【0091】
硬化性組成物の成分(A)~(F)は、硬化または架橋の前に、任意の順序で互いに添加または組み合わせることができる。例えば、成分(B)~(F)は各々、押し出し機において(A)ポリオレフィンに徐々に添加され得る。いくつかの実施形態において、(A)ポリオレフィンは、他の成分が添加され得る押し出しの前に、成分(C)~(E)で浸漬され得る。さらなる実施形態では、(A)ポリオレフィンは、成分(B)および(F)と混合または押し出され、続いて成分(C)~(E)に浸漬され得る。
【0092】
押し出しに続くステップまで、硬化性組成物の硬化または架橋を回避または制限することが望ましい。硬化または架橋が早すぎると、封入剤フィルムまたは封入剤フィルム層のガラス接着力が低下する可能性がある。したがって、ある特定の実施形態において、硬化性組成物の硬化または架橋は、押し出し後、および高温(120℃超~160℃など)での成形および/または積層中に起こる。言い換えれば、封入剤フィルムは、成形および/または積層まで活性を維持し、その時点で硬化または架橋が開始され、(A)4.0E+15ohm.cm未満の体積抵抗率を有するポリオレフィン、(B)ヒュームドアルミナ、(C)有機過酸化物、(D)シランカップリング剤、(E)架橋助剤、および、任意選択で、(F)酸化防止剤および/またはUV安定剤を含む添加剤成分を含む硬化性組成物、の反応生成物である架橋ポリマー組成物を含む封入剤フィルムまたは封入剤フィルム層が得られる。
【0093】
封入剤フィルムまたは封入剤フィルム層は、PVモジュールなどの電子デバイスに含めるのに好適な任意の厚さを有し得る。ある特定の実施形態では、封入剤フィルムまたは封入剤フィルム層は、100μm、または150μm、または200μm、または250μm、または300μm、または350μm、または400μmから、450μm、または500μm、または550μm、または600μm、または650μm、または700μm、または800μmまでの厚さを有する。
【0094】
いくつかの実施形態において、本開示の封入剤フィルムまたは封入剤フィルム層は、本明細書に開示の方法または同様の方法に従って、1.0E+15ohm.cm超、または5.0E+15ohm.cm超、または9.0E+15ohm.cm以上、または1.0E+16ohm.cm以上、または2.0E+16ohm.cm以上、または5.0E+16ohm.cm以上、または8.0E+16ohm.cm以上、または1.0E+17ohm.cm以上、または5.0E+17ohm.cm以上、または1.0E+18ohm.cm以上、または1.0E+19ohm.cm以上の体積抵抗率を有する。
【0095】
さらなる実施形態において、本開示の封入剤フィルムまたは封入剤フィルム層は、本明細書に開示の方法または同様の方法に従って、1.0E+15ohm.cm、または5.0E+15ohm.cm、または9.0E+15ohm.cmから、1.0E+16ohm.cm、または2.0E+16ohm.cm、または5.0E+16ohm.cm、または8.0E+16ohm.cm、または9.0E+16ohm.cm、または1.0E+17ohm.cm、または5.0E+17ohm.com、または1.0E+18ohm.cm、または1.0E+19ohm.cmまでの体積抵抗率を有する。例えば、封入剤フィルムまたは封入剤フィルム層は、1.0E+15ohm.cm超~1.0E+19ohm.cm、または1.0E+15ohm.cm超~1.0E+18ohm.cm、または1.0E+15ohm.cm超~5.0E+17ohm.cm、または1.0E+15ohm.cm超~1.0E+17ohm.cm、または5.0E+15ohm.cm超~1.0E+17、または9.0E+15ohm.cm超~9.0E+16ohm.cmの体積抵抗率を有する。
【0096】
ある特定の実施形態において、本開示の封入剤フィルムまたは封入剤フィルム層は、2.0dNm以上、または2.5dNm以上、または3.0dNm以上、または3.5dNm以上、または3.6dNm以上、または3.7dNm以上の最大トルク(MH)を有する。
【0097】
さらなる実施形態において、封入剤フィルムまたは封入剤フィルム層は、15分未満、または13分未満、または11分未満、または10.9分未満、または10.8分以下、または10.7分以下のt90を有する。
【0098】
いくつかの実施形態において、封入剤フィルムまたは封入剤フィルム層は、100N/cm超、または110N/cm超、または120N/cm超、または130N/cm超、または140N/cm超、または145N/cm超、または146N/cm超、または149N/cm超、または150N/cm超の初期ガラス接着力を有する。ある特定の実施形態において、封入剤フィルムまたは封入剤フィルム層は、本明細書に開示される方法または同様の方法に従って、100N/cm超~200N/cm、または100N/cm超~180N/cm、または100N/cm超~160N/cm、または120N/cm超~160N/cm、または130N/cm超~150N/cmの初期ガラス接着力を有する。
【0099】
ある特定の実施形態において、封入剤フィルムまたは封入剤フィルム層は、本明細書に開示される方法または同様の方法に従って、88%以上、または88.5%以上、または89以上%、または89.5%以上、または90%以上の平均透過率を有する。
【0100】
本開示の封入剤フィルムまたは封入剤フィルム層は、本明細書に開示の実施形態の任意の組み合わせであり得る。
電子デバイス
【0101】
本開示の封入剤フィルムは、PVモジュールなどの電子デバイスの構築の際に組み込み得る。封入剤フィルムは、PVモジュールのための1つ以上の層として使用され得る。封入剤フィルムは、電子デバイスの片面または両面に対して、例えば、前面封入剤フィルムもしくは後面封入剤フィルムとして、または前面封入剤フィルムと後面封入剤フィルムの両方として、適用され得る。例えば、電子デバイスは、材料内に完全に封入される。
【0102】
「光起電力モジュール」または「PVモジュール」は、以下の層成分を含み得る積層構造であるが、そのような仕方に限定されない:
1.受光および透光層、
2.前面封入剤フィルム層(透明)、
3.1つ以上の光起電力セル、
4.後面封入剤フィルム層、および
5.バックシート。
【0103】
実施形態では、光受容および透過層は、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、またはフッ素含有樹脂である。実施形態では、光受容および透過層は、ガラスである。
【0104】
所与の光起電力モジュール内の光起電力セルの数は、光起電力モジュールを利用する電子デバイスの性質および用途に応じて変化するであろう。実施形態では、少なくとも1つの光起電力セルは、前面封入剤フィルム層および後面封入剤フィルム層と直接接触している。
【0105】
実施形態では、バックシートは、ポリマーバックシートまたはガラスバックシートである。
【0106】
上記の積層構造を有するPVモジュールの層(1)~(5)は、積層によって接合されている。積層により、トップシートは前面封入剤フィルム層と直接接触させられ、バックシートは後面封入剤フィルム層と直接接触させられる。光起電力セルは、前面封入剤フィルム層と後面封入剤フィルム層との間に固定され、それらと直接接触している。その結果、前面封入剤フィルムの一部分および後面封入剤フィルムの一部分が互いに直接接触している。
【0107】
実施形態では、本開示は、PVモジュールを提供する。PVモジュールは、本開示の封入剤フィルム層を含む。本開示のフィルム層は、前面封入剤フィルム層、後面封入剤フィルム層、バックシートフィルム層、およびそれらの組み合わせであり得る。他の実施形態では、本フィルム層は、フィルム全体であり得るか、またはフィルムのより別個の副層である。
【0108】
実施形態では、前面封入剤フィルム層および後面封入剤フィルム層の両方が、本明細書に開示されるようなフィルム層である。前面封入剤フィルム層および後面封入剤フィルム層の各々は、光起電力セルに直接接触している。前面封入剤フィルム層の一部分はまた、後面封入剤フィルム層の一部分と直接接触している。前面封入剤フィルム層および後面封入剤フィルム層は、前述の通りであり得る。
【0109】
実施形態では、本開示の組成物を含むフィルム層は、1つ以上の積層技法によって電子デバイスに適用される。積層により、カバーシートは封入剤フィルム層の第1の上表面と直接接触させられ、電子デバイスは封入剤フィルム層の第2の上表面と直接接触させられる。別の実施形態では、カバーシートは前面封入剤フィルム層の第1の上表面と直接接触させられ、バックシートは後面封入剤フィルム層の第2の上表面と直接接触させられ、電子デバイスは、前面封入剤フィルム層の第2の上表面と後面封入剤フィルム層の第1の上表面との間に固定され、それらと直接接触している。
【0110】
実施形態において、積層温度は、有機過酸化物を活性化し、硬化性組成物を架橋させるのに十分であり、すなわち、当該硬化性組成物は、(A)4.0E+15ohm.cm未満の体積抵抗率を有するポリオレフィン、(B)ヒュームドアルミナ、(C)有機過酸化物、(D)シランカップリング剤、(E)架橋助剤、および任意選択で、(F)酸化防止剤および/またはUV安定剤を含む添加剤成分を含み、本明細書に開示されるものは、架橋が起こるときの積層まで反応性のままである。積層後、架橋ポリマー組成物は、(A)4.0E+15ohm.cm未満の体積抵抗率を有するポリオレフィン、(B)ヒュームドアルミナ、(C)有機過酸化物、(D)シランカップリング剤、(E)架橋助剤、および任意選択で、(F)酸化防止剤および/またはUV安定剤を含む添加剤成分、を含む硬化性組成物の反応生成物として形成される。
【0111】
実施形態では、電子デバイスを生産するための積層温度は、130℃、または135℃、または140℃、または145℃~150℃、または155℃、または160℃である。実施形態では、積層時間は、8分間、または10分間、または12分間、または15分間~18分間、または20分間、または22分間、または25分間である。
【0112】
本開示の特定の実施形態には、以下が含まれるが、これらに限定されない。
1.封入剤フィルムのための硬化性組成物であって、当該硬化性組成物は、(A)ポリオレフィンと、(B)ヒュームドアルミナと、(C)有機過酸化物と、(D)シランカップリング剤と、(E)架橋助剤と、任意選択で、(F)酸化防止剤および/またはUV安定剤を含む添加剤成分と、を含み、当該ポリオレフィンは、4.0E+15ohm.cm未満の体積抵抗率を有する、硬化性組成物。
2.当該硬化性組成物が、
(A)当該硬化性組成物の総重量に基づいて、80重量%~99重量%、または85重量%~99重量%、または90重量%~99重量%、または95重量%~99重量%のポリオレフィン、
(B)当該硬化性組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~5重量%、または0.05重量%~2重量%、または0.1重量%~1重量%、または0.25重量%~1重量%のヒュームドアルミナ、
(C)当該硬化性組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~5重量%、または0.1重量%~3重量%、または0.5重量%~2重量%の有機過酸化物、
(D)当該硬化性組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~2重量%、または0.05重量%~1重量%、または0.1重量%~0.5重量%のシランカップリング剤
(E)当該硬化性組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~5重量%、または0.1重量%~3重量%、または0.2重量%~1重量%、
(F)当該硬化性組成物の総重量に基づいて、0重量%~5重量%、または0重量%~3重量%、または0重量%~1重量%、または0.01重量%~1重量%のUV安定剤、を含む、実施形態1に記載の硬化性組成物。
3.当該ポリオレフィンが、1.0E+12ohm.cm超~4.0E+15ohm.cm未満、または5.0E+12ohm.cm超~4.0E+15ohm.cm未満、または1.0E+13ohm.cm超~4.0E+15ohm.cm未満、または5.0E+13ohm.cm超~4.0E+15ohm.cm未満、または1.0E+14ohm.cm以上~4.0E+15ohm.cm未満、または5.0E+14ohm.cm以上~4.0E+15ohm.cm未満、または5.0E+14ohm.cm以上~3.5E+15ohm.cm以下、または7.0E+14ohm.cm以上~3.0E+15ohm.cm以下の体積抵抗率を有する、実施形態1または2の硬化性組成物。
4.当該ポリオレフィンが、ASTM D792、方法Bに従って測定した場合に、0.850g/cc~0.920g/cc、または0.855g/cc~0.910g/cc、または0.860g/cc~0.900g/cc、または0.860g/cc~0.895g/cc、または0.860g/cc~0.890g/cc、または0.865g/cc~0.885g/cc、または0.865g/cc~0.880g/ccの密度を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
5.当該ポリオレフィンが、ASTM D1238に従って190℃/2.16kgで測定した場合、0.1g/10分~100g/10分、または0.5g/10分~100g/10分、または1g/10分~100g/10分、または1g/10分~75g/10分、または1g/10分~50g/10分、または1g/10分~30g/10分、または5g/10分~30g/10分、または5g/10分~20g/10分のメルトインデックスを有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
6.当該ポリオレフィンが、DSCを使用して測定した場合、55℃、または60℃、または75℃、または90℃、または95℃、または100℃から、105℃、または110℃までの融点(Tm)を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
7.当該ポリオレフィンが、DSCを使用して測定した場合、-30℃または-35℃から、-40℃、または-45℃、または-50℃、または-60℃までのガラス転移温度Tgを有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
8.当該ポリオレフィンが、ASTM D790に従って測定した場合、500psi以上、または750psi以上、または1000psi以上から、2000psi、または3000psi、または3500psi、または4000psi、または6000psi未満までの曲げ弾性率(2%割線)を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
9.当該ポリオレフィンが、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーである、先行実施形態のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
10.当該ポリオレフィンが、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーである、先行実施形態のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
11.当該ポリオレフィンが、エチレン/アルファ-オレフィンランダムコポリマーである、先行実施形態のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
12.当該ポリオレフィンが、エチレン/1-オクテンコポリマーである、先行実施形態のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
13.当該ヒュームドアルミナが、親水性である、先行実施形態のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
14.当該ヒュームドアルミナが、50m/g超~200m/g未満、または55m/g~150m/g、または60m/g~140m/g、または65m/g~130m/gの比表面積(BET)を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
15.当該有機過酸化物が、tert-ブチルペルオキシ2-エチルヘキシルカーボネート、ジクミルペルオキシド、ラウリルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、三級ブチルペルベンゾエート、ジ(三級-ブチル)ペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチル-ペルオキシ)ヘキシン-3,2,-5-ジ-メチル-2,5-ジ(t-ブチル-ペルオキシ)ヘキサン、三級-ブチルヒドロペルオキシド、イソプロピルペルカーボネート、アルファ,アルファ’-ビス(三級-ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジヒドロキシペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド、アルファ,アルファ’-ビス(t-ブチルペルオキシ)-p-ジイソプロピルベンゼン、およびこれらの組み合わせから選択される、先行実施形態のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
16.当該シランカップリング剤が、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、先行実施形態のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
17.当該架橋助剤が、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルホスフェート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、先行実施形態のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
18.先行実施形態のいずれか1つに記載の硬化性組成物の反応生成物である架橋ポリマー組成物を含む封入剤フィルム。
19.実施形態1~17のいずれか1つに記載の硬化性組成物を含む封入剤フィルム。
20.実施形態1~17のいずれか1つに記載の硬化性組成物の反応生成物を含む封入剤フィルム。
21.当該封入剤フィルムが1.0E+15ohm.cm超、または5.0E+15ohm.cm超、または9.0E+15ohm.cm以上、または1.0E+16ohm.cm以上、または2.0E+16ohm.cm以上、または5.0E+16ohm.cm以上、または8.0E+16ohm.cm以上、または1.0E+17ohm.cm以上、または5.0E+17ohm.cm以上、または1.0E+18ohm.cm以上、または1.0E+19ohm.cm以上の体積抵抗率を有する、実施形態18~20のいずれか1つに記載の封入剤フィルム。
22.当該封入剤フィルムが、1.0E+15ohm.cm超~1.0E+19ohm.cm、または1.0E+15ohm.cm超~1.0E+18ohm.cm、または1.0E+15ohm.cm超~5.0E+17ohm.cm、または1.0E+15ohm.cm超~1.0E+17ohm.cm、または5.0E+15ohm.cm超~1.0E+17、または9.0E+15ohm.cm超~9.0E+16ohm.cmの体積抵抗率を有する、実施形態18~21のいずれか1つに記載の封入剤フィルム。
23.当該封入剤フィルムが、2.0dNm以上、または2.5dNm以上、または3.0dNm以上、または3.5dNm以上、または3.6dNm以上、または3.7dNm以上の最大トルク(MH)を有する、実施形態18~22のいずれか1つに記載の封入剤フィルム。
24.当該封入剤フィルムが、15分未満、または13分未満、または11分未満、または10.9分未満、または10.8分以下、または10.7分以下のt90を有する、実施形態18~23のいずれか1つに記載の封入剤フィルム。
25.当該封入剤フィルムが、100N/cm超~200N/cm、または120N/cm超~180N/cm、または130N/cm超~170N/cm、または130N/cm超~150N/cm、または100N/cm超、または110N/cm超、または120N/cm超、または130N/cm超、または140N/cm超、または145N/cm超、または146N/cm以上、または149N/cm以上、または150N/cm以上の初期ガラス接着力を有する、実施形態18~24のいずれか1つに記載の封入剤フィルム。
26.当該封入剤フィルムが、88%以上、または88.5%以上、または89%以上、または89.5%以上、または90%以上の平均透過率を有する、実施形態18~25のいずれか1つに記載の封入剤フィルム。
27.太陽電池と、実施形態18~26のいずれか1つに記載の封入剤フィルムと、を含むPVモジュール。
28.太陽電池と、実施形態18~26のいずれか1つの封入剤フィルムである少なくとも1つの層とを含むPVモジュール。
【実施例
【0113】
材料
以下の実施例で使用された材料を下に記載する。
【0114】
「POE1」:The Dow Chemical CompanyからENGAGE(商標)8411として入手可能な、0.880g/cc(ASTM D792)の密度、18.0g/10分のメルトインデックス(190℃/2.16kgにおけるASTMD1238)、76℃のTm、および2%割線=20.5Mpaを有するエチレン/1-オクテンコポリマー。本明細書で使用される(The Dow Chemical Companyから必要に応じて入手可能な)POE1は、本明細書に開示の方法に従って、1.0E+15ohm.cmの体積抵抗率を有する。
【0115】
「POE A」:The Dow Chemical Companyから入手可能な、本明細書に開示の方法に従って、0.880g/cc(ASTM D792)の密度および18.0g/10分(190℃/2.16kgにおけるASTM D1238)のメルトインデックス、76℃のTm、および2%割線=20.5Mpaおよび4.0E+16ohm.cmの体積抵抗率を有するエチレン/1-オクテンコポリマー。
【0116】
「過酸化物」:J&K Scientific Ltd.から入手可能なtert-ブチルペルオキシ2-エチルヘキシルカーボネート(TBEC)。
【0117】
「助剤」:Fangruida Chemicals Co.,Ltdから入手可能なトリアリルイソシアヌレート(TAIC)。
【0118】
「アルミナ1」:Evonik IndustriesからのAeroxide(登録商標)Alu 130として入手可能なヒュームドアルミナ。
【0119】
「アルミナ2」:Evonik IndustriesからのAeroxide(登録商標)Alu 65として入手可能なヒュームドアルミナ。
【0120】
「シリカ」:Evonik IndustriesからAerosil(登録商標)R812Sとして入手可能なヒュームドシリカ。
【0121】
「UV安定剤」:TCIからT770として入手可能なビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート。
【0122】
シランカップリング剤(「シラン」):Dow CorningからVMMSとして入手可能な3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート。
【0123】
サンプル調製
比較サンプル(CS1~CS6)および発明例(IE1~IE4)の各々は、以下において説明するように、表1の配合に従って調製される。
【0124】
エチレン/1-オクテンコポリマーペレットを、温度130℃、ローター回転数10rpmのブラベンダーミキサーに供給する。次いで、ヒュームドアルミナまたはヒュームドシリカ(表1の配合による)を添加する。最終混合を130℃および80rpmのローター速度で5分間実行する。得られた化合物を収集し、小片に切断する。
【0125】
エチレン/1-オクテンコポリマーおよびアルミナ/シリカ(または、アルミナまたはシリカが添加されない場合は、エチレン/1-オクテンコポリマーのみ)の小片を、ブラベンダー単一押し出し機のホッパーに供給する。小片を、110℃、25rpmのスクリュー速度で、メルトスタンドへ押し出す。融解ストランドをブラベンダーペレット製造機に供給して、ペレットを調製する。
【0126】
シランカップリング剤、有機過酸化物、助剤、およびUV安定剤および酸化防止剤などの任意の追加の添加剤を秤量し、以下の表1に従って密封可能なプラスチックボトルにおいて混合する。ペレットを表1に従って秤量し、プラスチックボトルに入れる。均一な分布および完全な浸漬を確実にするために、プラスチックボトルを最初に1分間タンブルし、次いでランニングローラーに置いて40℃のオーブンで15~20時間さらに均質化した後に使用した。
【0127】
フィルムの調製
浸漬後、ペレットを105℃で30rpmのローター速度のブラベンダー一軸スクリューミキサーに供給する。約0.5mmの厚さを有するフィルムを調製し、試験用に密封されたアルミニウムホイルバッグに保管する。
【0128】
圧縮成形
キャストフィルムを0.5mmのフィルムに圧縮成形する。サンプルを型に入れ、120℃で5分間予熱し、次いで8サイクルの圧力負荷/放出を介して脱気する。次いで、脱気したサンプルを150℃で15分間プレスし、室温まで冷却する。圧縮成形したシートを体積抵抗率および透過率の試験に使用する。
【0129】
積層
水を使用して4インチ×6インチのガラスプレートを洗浄し、使用前に乾燥させる。バックシートを4つの6インチの正方形に切断する。フィルムサンプルをガラスおよびバックシートのサイズに合わせて断片に切断する。バックシート、フィルムサンプル、およびガラスを積層して、バックシート/フィルムサンプル/ガラス構造を形成し、次いでPENERGY L036ラミネーター上で150℃で20分間(4分の真空および16分のプレス)積層する。積層サンプルをガラス接着力試験に使用する。
【表1】
【0130】
比較例1(CE1)は、1.0E+15ohm.cmの体積抵抗率を有するエチレン/アルファ-オレフィンコポリマーに基づく封入剤フィルムである。比較例2(CE2)に見られるように、同じレベルの添加剤を有するヒュームドシリカの添加は、有意なVRの改善をもたらさない。同様に、比較例3~6(CE3~CE6)に見られるように、より高いVR(4.0E+16ohm.cmの体積抵抗率)を有するエチレン/アルファ-オレフィンコポリマーに基づくヒュームドアルミナ(同じレベルの添加剤を有する)の添加は、有意なVRの改善をもたらさない。
【0131】
対照的に、発明例1~4(IE1~IE4)は、驚くべきことに、同じレベルの添加剤を有するヒュームドアルミナの添加により、良好な硬化性能および良好な接着性能などの他の重要な特性を維持しながら、有意なVRの改善をもたらすことを示している。実際に、IE1~IE4は、CE1と同等または匹敵する硬化性能および接着性能も維持しながら、10倍を超える、さらには100倍(2桁大きい)ものVRの改善を示している。硬化および接着に影響をおよぼすことなく、低いVRを有するエチレン/アルファ-オレフィンコポリマーに基づく配合に関するVRのこの驚異的な改善は、驚くべきことであり、予想外のことである。
本願は以下の態様にも関する。
(1) 封入剤フィルムのための硬化性組成物であって、前記硬化性組成物が、(A)ポリオレフィンと、(B)ヒュームドアルミナと、(C)有機過酸化物と、(D)シランカップリング剤と、(E)架橋助剤と、任意選択で、(F)UV安定剤を含む添加剤成分と、を含み、前記ポリオレフィンが、4.0E+15ohm.cm未満の体積抵抗率を有する、
硬化性組成物。
(2) 封入剤フィルムのための硬化性組成物であって、前記硬化性組成物が、
(A)前記硬化性組成物の総重量に基づいて80重量%~99重量%のポリオレフィンと、
(B)前記硬化性組成物の総重量に基づいて0.01重量%~5重量%のヒュームドアルミナと、
(C)前記硬化性組成物の総重量に基づいて0.1重量%~5重量%の有機過酸化物と、
(D)前記硬化性組成物の総重量に基づいて0.01重量%~2重量%のシランカップリング剤と、
(E)前記硬化性組成物の総重量に基づいて0.01重量%~5重量%の架橋助剤と、
(F)前記硬化性組成物の総重量に基づいて0重量%~3重量%のUV安定剤と、を含み、
前記ポリオレフィンが、4.0E+15ohm.cm未満の体積抵抗率を有する、硬化性組成物。
(3) 前記ポリオレフィンが、1.0E+12ohm.cm超~4.0E+15ohm.cm未満の体積抵抗率を有する、前記(1)または(2)に記載の硬化性組成物。
(4) 前記ポリオレフィンが、0.860g/cc~0.890g/ccの密度を有する、先行前記のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
(5) 前記ポリオレフィンが、1g/10分~100g/10分のメルトインデックスを有する、先行前記のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
(6) 前記ポリオレフィンが、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーである、先行前記のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
(7) 前記ポリオレフィンが、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーである、先行前記のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
(8) 前記ヒュームドアルミナが、50m2/g超~200m2/g未満の比表面積(BET)を有する、先行前記のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
(9) 先行前記のいずれか一項に記載の硬化性組成物の反応生成物である架橋ポリマー組成物を含む封入剤フィルム。
(10) 前記封入剤フィルムが、9.0E+15ohm.cm超~9.0E+16ohm.cmの体積抵抗率を有する、前記(9)に記載の封入剤フィルム。
(11) 前記封入剤フィルムが、2.0dNm以上の最大トルク(MH)を有する、前記(9)または(10)に記載の封入剤フィルム。
(12) 前記封入剤フィルムが、13分未満のt90を有する、前記(9)~(11)のいずれか一項に記載の封入剤フィルム。
(13) 前記封入剤フィルムが、100N/cm超の初期ガラス接着力を有する、前記(9)~(12)のいずれか一項に記載の封入剤フィルム。
(14) 前記封入剤フィルムが、88%以上の平均透過率を有する、前記(9)~(13)のいずれか一項に記載の封入剤フィルム。
(15) 太陽電池と、前記(9)~(14)のいずれか一項に記載の封入剤フィルムと、を含む、PVモジュール。