(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】プロセストランスミッタ及び試験方法
(51)【国際特許分類】
G01L 27/00 20060101AFI20231127BHJP
【FI】
G01L27/00
(21)【出願番号】P 2022517514
(86)(22)【出願日】2020-05-01
(86)【国際出願番号】 US2020031008
(87)【国際公開番号】W WO2021061202
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-03-23
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【氏名又は名称】阪本 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119688
【氏名又は名称】田邉 壽二
(72)【発明者】
【氏名】ルワージー,ベネット レオン
(72)【発明者】
【氏名】ワインホールド,ニコラス アーロン
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-43234(JP,A)
【文献】特開2014-35228(JP,A)
【文献】米国特許第5631602(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0343594(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00-23/32
G01L27/00-27/02
G01K 1/00-19/00
G01F 1/00- 9/02
G01F15/00-15/18
G01D21/00-21/02
H01L29/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセストランスミッタであって、
感知したプロセス変数
に応答して変化する電気的特性を有し、それによって感知されたプロセス変数を表すセンサ出力を
提供するプロセス変数センサと、
前記プロセス変数センサの電気的特性と同じ種類の電気的特性を有し、前記プロセス変数センサの電気的特性を決定するために使用される部材を備えて前記プロセス変数センサの状態を検出
する試験回路と、
前記試験回路の前記プロセス変数センサへの接続と前記試験回路の前記プロセス変数センサからの切断とを選択的に行うように構成されるスイッチと、
前記プロセス変数の測定値を取得すること、
前記スイッチを制御すること、
前記試験回路が前記プロセス変数センサに接続されているときの前記センサ出力と、前記試験回路が前記プロセス変数センサから切断されているときの前記センサ出力とを比較することによって、前記プロセス変数センサの状態を検出すること、および、
前記状態および前記測定値を外部制御ユニットに通信すること、
を行うように構成されるコントローラと、
を備える、プロセストランスミッタ。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記試験回路が前記プロセス変数センサに接続されているときの前記センサ出力と、前記試験回路が前記プロセス変数センサから切断されているときの前記センサ出力との差を計算することと、
前記差と基準値との比較に基づいて、前記プロセス変数センサの前記状態を判定することと、
を行うように構成される、請求項1のプロセストランスミッタ。
【請求項3】
前記プロセストランスミッタは、感知した温度を表す温度出力を有する温度センサを含み、
前記プロセス変数センサの前記状態は、前記温度出力に基づく、請求項2のプロセストランスミッタ。
【請求項4】
前記プロセス変数センサは差圧センサを備えており、前記差圧センサは、
第1センサボディセルと第2センサボディセルとの間に支持されて、第1出力リード線に接続されているダイヤフラムと、
前記第1センサボディセル内に支持されて、第2出力リード線に接続されている第1コンデンサ電極と、
前記第2センサボディセル内に支持されて、第3出力リード線に接続されている第2コンデンサ電極と、を備えており、
前記センサ出力は、前記第1および第2の出力リード線間で測定される第1静電容量と、前記第1と第3の出力リード線間で測定される第2静電容量との差に基づく、請求項2のプロセストランスミッタ。
【請求項5】
前記試験回路はコンデンサを備える、請求項4のプロセストランスミッタ。
【請求項6】
前記コンデンサおよび前記スイッチは、前記第1および第2の出力リード線間に直列に接続されており、
前記コントローラが前記スイッチを閉じると、前記試験回路を前記プロセス変数センサに接続することになり、前記スイッチを開くと、前記試験回路を前記プロセス変数センサから切断することになる、請求項5のプロセストランスミッタ。
【請求項7】
前記コンデンサおよび前記スイッチは並列に接続されて並行回路を形成し、前記並行回路は前記第3出力リード線と直列に接続されており、
前記コントローラが前記スイッチを開くと、前記試験回路を前記プロセス変数センサに接続することになり、前記スイッチを閉じると、前記試験回路を前記プロセス変数センサから切断することになる、
請求項5のプロセストランスミッタ。
【請求項8】
前記プロセス変数センサはひずみゲージセンサを備えており、前記ひずみゲージセンサは、
1対の入力端子および1対の出力端子を有するホイートストンブリッジ構成の4つのひずみゲージであって、前記ひずみゲージの各々が前記入力端子の1つと前記出力端子の1つとの間に直列に接続されている、4つのひずみゲージと、
前記入力端子の1つに電流を導入するように構成される電流源と、を備えており、
前記センサ出力は、前記出力端子間の電圧に基づく、請求項2のプロセストランスミッタ。
【請求項9】
前記試験回路は抵抗器を備える、請求項8のプロセストランスミッタ。
【請求項10】
前記抵抗器および前記スイッチは前記ひずみゲージの1つと並列に接続されており、
前記コントローラが前記スイッチを閉じると、前記試験回路を前記プロセス変数センサに接続することになり、前記スイッチを開くと、前記試験回路を前記プロセス変数センサから切断することになる、請求項9のプロセストランスミッタ。
【請求項11】
前記抵抗器および前記スイッチは並列に接続されて並列回路を形成し、前記並列回路は前記ひずみゲージの1つと直列に接続されており、
前記コントローラが前記スイッチを開くと、前記試験回路を前記プロセス変数センサに接続することになり、前記スイッチを閉じると、前記試験回路を前記プロセス変数センサから切断することになる、請求項9のプロセストランスミッタ。
【請求項12】
前記プロセス変数センサは温度センサを備え、前記試験回路は抵抗器を備える、請求項2のプロセストランスミッタ。
【請求項13】
前記プロセストランスミッタは安全偏差を有しており、
前記試験回路が前記プロセス変数センサに接続されているときの前記センサ出力は、前記試験回路が前記プロセス変数センサから切断されているときの前記センサ出力の安全偏差の二分の一未満である、請求項2のプロセストランスミッタ。
【請求項14】
プロセストランスミッタの
コントローラを使用して、感知されたプロセス変数に応答して変化し、それによって感知されたプロセス変数を示すセンサ出力を提供する電気的特性を有するプロセス変数センサを試験する方法であって、
前記プロセス変数センサの電気的特性と同じタイプの電気的特性を有し、プロセス変数センサの状態を決定するために使用される部材を備える試験回路を前記プロセス変数センサから切断するようにスイッチを設定する手順と、
前記プロセス変数センサから、感知したプロセス変数を表す第1センサ出力を取得する手順と、
前記試験回路を前記プロセス変数センサに接続するように前記スイッチを設定する手順と、
前記プロセス変数センサから第2センサ出力を取得する手順と、
前記第1および第2のセンサ出力を比較することを含む、前記プロセス変数センサの
状態を検出する手順と、
前記状態を外部制御ユニットに通信する手順と、を含む、試験方法。
【請求項15】
前記プロセス変数センサの状態を検出することは、
前記第1および第2のセンサ出力間の差を計算する手順と、
前記差を基準値と比較する手順と、
を含む、請求項14の試験方法。
【請求項16】
前記プロセス変数センサは差圧センサを備えており、前記差圧センサは、
第1センサボディセルと第2センサボディセルとの間に支持されて、第1出力リード線に接続されているダイヤフラムと、
前記第1センサボディセル内に支持されて、第2出力リード線に接続されている第1コンデンサ電極と、
前記第2センサボディセル内に支持されて、第3出力リード線に接続されている第2コンデンサ電極と、を備えており、
前記センサ出力は、前記第1および第2の出力リード線間で測定される第1静電容量と、前記第1および第3の出力リード線間で測定される第2静電容量との差に基づいており、
前記試験回路はコンデンサを備えており、
前記コンデンサおよび前記スイッチは、前記第1および第2の出力リード線間に直列に接続されており、
前記試験回路を前記プロセス変数センサから切断するように前記スイッチを設定する手順は、前記スイッチを開くことを含み、
前記試験回路を前記プロセス変数センサに接続するように前記スイッチを設定する手順は、前記スイッチを閉じることを含む、請求項15の試験方法。
【請求項17】
前記プロセス変数センサは差圧センサを備えており、前記差圧センサは、
第1センサボディセルと第2センサボディセルとの間に支持されて、第1出力リード線に接続されているダイヤフラムと、
前記第1センサボディセル内に支持されて、第2出力リード線に接続されている第1コンデンサ電極と、
前記第2センサボディセル内に支持されて、第3出力リード線に接続されている第2コンデンサ電極と、を備えており、
前記センサ出力は、前記第1および第2の出力リード線間で測定される第1静電容量と、前記第1および第3の出力リード線間で測定される第2静電容量との差に基づいており、
前記試験回路はコンデンサを備えており、
前記コンデンサおよび前記スイッチは並列に接続されて並列回路を形成し、前記並列回路は前記第3出力リード線と直列に接続されており、
前記試験回路を前記プロセス変数センサから切断するように前記スイッチを設定する手順は、前記スイッチを閉じることを含み、
前記試験回路を前記プロセス変数センサに接続するように前記スイッチを設定する手順は、前記スイッチを開くことを含む、請求項15の試験方法。
【請求項18】
前記プロセス変数センサはひずみゲージセンサを備えており、前記ひずみゲージセンサは、
1対の入力端子および1対の出力端子を有するホイートストンブリッジ構成の4つのひずみゲージであって、前記ひずみゲージの各々が前記入力端子の1つと前記出力端子の1つとの間に直列に接続されている、4つのひずみゲージと、
前記入力端子の1つに電流を導入するように構成される電流源と、を備えており、
前記センサ出力は前記出力端子間の電圧に基づいており、
前記試験回路は抵抗器を備えており、
前記抵抗器および前記スイッチは前記ひずみゲージの1つと並列に接続されており、
前記試験回路を前記プロセス変数センサから切断するように前記スイッチを設定する手順は、前記スイッチを開くことを含み、
前記試験回路を前記プロセス変数センサに接続するように前記スイッチを設定する手順は、前記スイッチを閉じることを含む、請求項15の試験方法。
【請求項19】
前記プロセス変数センサはひずみゲージセンサを備えており、前記ひずみゲージセンサは、
1対の入力端子および1対の出力端子を有するホイートストンブリッジ構成の4つのひずみゲージであって、前記ひずみゲージの各々は前記入力端子の1つと前記出力端子の1つとの間に直列に接続されている、4つのひずみゲージと、
前記入力端子の1つに電流を導入するように構成される電流源と、を備えており、
前記センサ出力は前記出力端子間の電圧に基づいており、
前記試験回路は抵抗器を備えており、
前記抵抗器および前記スイッチは並列に接続されて並列回路を形成し、前記並列回路は前記ひずみゲージの1つと直列に接続されており、
前記試験回路を前記プロセス変数センサから切断するように前記スイッチを設定する手順は、前記スイッチを閉じることを含み、
前記試験回路を前記プロセス変数センサに接続するように前記スイッチを設定する手順は、前記スイッチを開くことを含む、請求項15の試験方法。
【請求項20】
前記プロセストランスミッタは、感知した温度を表す温度出力を有する温度センサを含み、
前記プロセス変数センサの前記状態の検出は、前記温度出力に基づく、請求項15の試験方法。
【請求項21】
前記プロセス変数センサは温度センサを備えており、
前記試験回路は抵抗器を備える、請求項15の試験方法。
【請求項22】
前記プロセス変数センサの前記状態を検出する手順は、
前記試験回路を前記プロセス変数センサから切断するように前記スイッチを設定する手順と、
前記プロセス変数センサから、前記プロセス変数を表す第3センサ出力を取得する手順と、
前記第1、第2および第3のセンサ出力に基づいて、前記プロセス変数センサの前記状態を検出する手順と、
を含む、請求項14の試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、工業プロセストランスミッタに関し、より具体的には、工業プロセストランスミッタのプロセス変数センサの監視に関する。
【背景技術】
【0002】
プロセストランスミッタなどの工業プロセスフィールドデバイスは、工業プロセスの制御システムおよび監視システムにおいて、工業プロセス変数を監視して、例えば、化学、石油、ガス、製薬または他の流体処理プラントの制御室にプロセス変数の測定値を通信し返すために使用される。「プロセス変数」という用語は、物質の物理的状態もしくは化学的状態またはエネルギの変換をいう。プロセス変数の例には、圧力、温度、流れ、伝導率、pHおよび他の特性が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
プロセストランスミッタはプロセス変数センサを使用して、プロセス変数を検出または測定する。当該センサは誤作動を起こしたり、または故障したりする可能性があり、その結果、誤ったプロセス変数の測定値になるおそれがある。プロセス変数センサの故障または劣化を検出するには、熟練技術者によるプロセストランスミッタの試験が定期的に必要となるかもしれないが、当該試験にはプロセストランスミッタを長時間オフラインにし、使用を中止し、および/または試験施設に運ぶ必要がありうる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の実施形態は、一般に、トランスミッタのプロセス変数センサを自己テストする能力を有するプロセストランスミッタ、およびプロセストランスミッタのプロセス変数センサを試験する方法に関する。プロセストランスミッタの一実施形態は、プロセス変数センサと、試験回路と、スイッチと、コントローラとを含む。プロセス変数センサは、感知したプロセス変数を表すセンサ出力を含む。試験回路はプロセス変数センサの状態を検出するように構成される。スイッチは、試験回路のプロセス変数センサへの接続と、試験回路のプロセス変数センサからの切断とを選択的に行うように構成される。コントローラはプロセス変数の測定値を取得し、スイッチを制御し、試験回路がプロセス変数センサに接続されているときのセンサ出力と、試験回路がプロセス変数センサから切断されているときのセンサ出力とを比較することによって、プロセス変数センサの状態を検出し、測定値の状態を外部制御ユニットに通信するように構成される。
【0005】
プロセストランスミッタのプロセス変数センサを試験する方法の一実施形態において、スイッチは試験回路をプロセス変数センサから切断するように設定される。プロセス変数センサから、感知したプロセス変数を表す第1センサ出力が取得される。スイッチが試験回路をプロセス変数センサに接続するように設定されると、プロセス変数センサから第2センサ出力が取得される。第1センサ出力と第2センサ出力との比較に基づいて、プロセス変数センサの状態が検出される。最後に、その状態が外部制御ユニットに通信される。
【0006】
本概要は、以下の詳細な説明でさらに説明される概念の抜粋を簡略化した形で紹介するために提供されるものである。本概要は、請求される主題の重要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図するのではなく、また請求される主題の範囲を判断する一助として使用されることを意図されるものでもない。請求される主題は、背景で述べたいずれかまたはすべての欠点を解決する実施態様に制限されない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の実施形態による、例示的な工業プロセス測定システムの模式図である。
【
図2】本開示の実施形態による、工業プロセストランスミッタのプロセス変数センサの状態を試験する例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図3】本開示の実施形態による、差圧センサの模式的な側断面図である。
【
図4】本開示の実施形態による、例示的な試験回路と組み合わせた状態の
図3に図示する例示的な差圧センサの側断面図である。
【
図5】本開示の実施形態による、例示的な試験回路と組み合わせた状態の
図3に図示する例示的な差圧センサの側断面図である。
【
図6】本開示の実施形態による、例示的な試験回路と組み合わせた状態の例示的なひずみゲージセンサの模式図である。
【
図7】本開示の実施形態による、例示的な試験回路と組み合わせた状態の例示的なひずみゲージセンサの模式図である。
【
図8】本開示の実施形態による、例示的な試験回路と組み合わせた状態の例示的な温度センサの模式図である。
【
図9】本開示の実施形態による、例示的な試験回路と組み合わせた状態の例示的な温度センサの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の実施形態を、添付の図面を参照して以下においてより完全に説明する。同じまたは類似の参照文字を用いて識別される要素は、同じまたは類似の要素を表す。本開示の様々な実施形態は、多くの異なる形態で実施してもよく、本開示に記載される特定の実施形態に制限されると解釈するべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底した完全なものとなり、当業者に対して本開示の範囲を十分に伝えられるように提供される。
【0009】
図1は、本開示の実施形態による、例示的な工業プロセス測定システム100の模式図である。システム100は、材料を低価値の状態から、石油、化学品、紙、食品等といった、より価値のある有益な製品に変換するために、材料(例えば、プロセス媒体)の加工において使用されてもよい。例えば、システム100は、原油をガソリン、燃料油および他の石油化学製品に加工することができる工業プロセスを行う石油精製所で使用されてもよい。
【0010】
システム100は、例えば、タンクまたはパイプなどのプロセス容器に収容することのできる、プロセス媒体106に関わる変数などのプロセス変数を感知するためにプロセス変数センサ104を利用するプロセストランスミッタ102または他のフィールドデバイスを含む。プロセストランスミッタ102は、適切なプロセス制御ループを介して、外部のコンピュータ化された制御ユニット110と通信するための通信回路108を含む。制御ユニット110は、
図1に図示するように、システム100の制御室112内など、トランスミッタ102から遠隔に配置してもよい。
【0011】
いくつかの実施形態において、プロセス制御ループは、2線式制御ループ114などの物理的通信リンク、または無線通信リンクを含む。制御ユニット110または別の外部コンピューティングデバイスとプロセストランスミッタ102との通信は、従来のアナログおよび/またはデジタル通信プロトコルに従って、制御ループ114を介して行ってもよい。いくつかの実施形態において、2線式制御ループ114は4~20ミリアンプの制御ループを含み、そこではプロセス変数は2線式制御ループ114を流れるループ電流Iのレベルによって表されてもよい。例示的なデジタル通信プロトコルは、HART(登録商標)通信規格に従うなど、2線式制御ループ114のアナログ電流レベルへのデジタル信号の変調を含む。フィールドバスおよびプロフィバス通信プロトコルなど、他の純粋なデジタル技術も採用してもよい。
【0012】
プロセス制御ループの例示的な無線バージョンには、例えば、WirelessHART(登録商標)(IEC 62591)もしくはISA 100.11a(IEC 62734)などの無線メッシュネットワークプロトコル、またはWiFi、LoRa、シグフォックス、BLE、もしくは任意の他の適切なプロトコルなどの別の無線通信プロトコルが含まれる。
【0013】
電力は、任意の適切な電源からプロセストランスミッタ102に供給してもよい。例えば、プロセストランスミッタ102は、制御ループ114を流れている電流Iによって全体的に電力を供給されてもよい。また、内部または外部のバッテリなど、1つまたは複数の電源を利用して、プロセストランスミッタ102に電力を供給してもよい。発電機(例えば、ソーラーパネル、風力発電機等)も、プロセストランスミッタ102に電力を供給するため、またはプロセストランスミッタ102が使用する電源を充電するために、使用してもよい。
【0014】
いくつかの実施形態において、トランスミッタ102は、命令の実行に応答して、本明細書に説明される1つまたは複数の機能を行うためにトランスミッタ102の構成要素を制御する1つまたは複数のプロセッサ(すなわち、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、中央処理装置等)を表してもよいコントローラ120を含み、該命令は、例えば、ハードディスク、CD-ROM、光記憶装置または磁気記憶装置など、一時的な波もしくは信号を含まない任意の適切な特許主題適格なコンピュータ可読媒体またはメモリ122にローカルに格納することができる。コントローラ120のプロセッサは1つまたは複数のコンピュータベースのシステムの構成要素であってもよい。いくつかの実施形態において、コントローラ120は、本明細書に説明する1つまたは複数の機能を行うようにトランスミッタ102の構成要素を制御するために使用される、1つまたは複数の制御回路、マイクロプロセッサベースのエンジン制御システム、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの1つまたは複数のプログラマブルハードウェア構成要素を含む。
【0015】
上記述べたように、プロセス媒体106に関連するプロセス変数など、工業プロセスに関するプロセス変数を感知するために、センサ104を使用してもよい。この感知機能は、感知モードで動作するときにプロセス変数を示すセンサ出力126を生成するセンサ回路124を使用して促進してもよい。センサ出力126はコントローラ120で処理してから、通信回路108を使用して制御ユニット110または別の外部コンピューティングデバイスに通信されてもよい。
【0016】
上述したように、プロセス変数センサは劣化や故障することがあり、その結果、誤ったプロセス変数測定値を出す可能性がある。プロセス変数センサの劣化または故障を検出するために、従来のプロセストランスミッタは試験のためにオフラインにして、おそらく試験施設に運ばれる。そのため、このようなフィールドデバイスの定期試験はコストがかかり、大幅なダウンタイムを招く可能性がある。
【0017】
本開示の実施形態は、テストモードでプロセス変数センサ104を動作させるために使用される試験回路130を含み、該テストモードでは、正しく動作しているかどうかを判定する1つまたは複数の診断テストがセンサ104に行われる。いくつかの実施形態において、試験回路130は、プロセス変数センサ104の状態を表すテストモードセンサ出力126'を生成するように、センサ回路124を変える。
【0018】
コントローラ120は、試験回路130をセンサ回路124に接続するようにスイッチ132を制御することによって、テストモードを起動する。コントローラはテストモードセンサ出力126'を使用して、センサ104の現在の状態を判定する。現在の状態は、センサ104が正しく(例えば、正常な動作範囲内)動作しているか、または異常に動作しているかを示すことができる。コントローラ120は、プロセス制御ループ(例えば、物理的なまたは無線の通信リンク)を介して通信回路108を使用して、現在の状態を制御ユニット110または別の外部コンピューティングデバイスに通信してもよい。コントローラ120は、スイッチ132を使用して試験回路130をセンサ回路124から切断することによって、センサ104を感知モードに戻すことができる。
【0019】
いくつかの実施形態において、トランスミッタ102は温度出力136を有する温度センサ134を含み、該温度出力136は、プロセス変数センサ104の温度など、プロセストランスミッタ102に関する温度を示してもよい。例えば、コントローラ120は温度出力を使用して、センサ104を感知モードで動作させているときに感知したプロセス変数を示すセンサ出力126を補償し、および/またはセンサ104をテストモードで動作させているときにテストモードセンサ出力126'を補償してもよい。
【0020】
図2は、本開示の実施形態による、工業プロセストランスミッタ102のプロセス変数センサ104の状態を試験する例示的な方法を示すフローチャートである。方法ステップは、例えば、コントローラ120のプロセッサがメモリ122(
図1)に格納されているプログラム命令を実行することに応答してなど、コントローラ120を使用して行ってもよい。
【0021】
方法ステップ140で、センサ回路124からなど、センサ104から試験回路130を切断するようにスイッチ132を設定すると、センサ104を感知モードで動作させるようになる。これは、
図1に示すように、例えば、コントローラ120からのスイッチ信号141を使用したスイッチ132の開閉を伴ってもよい。
【0022】
方法ステップ142で、感知したプロセス変数を表す第1センサ出力126(感知モードのセンサ出力)がプロセス変数センサ104から取得される。上述したように、感知したプロセス変数は、例えば、プロセス媒体106に関係してもよい。
【0023】
スイッチ132は、方法ステップ144で、試験回路130をプロセス変数センサ104またはセンサ回路124に接続するように設定される。この試験回路130の設定は、
図1に示すように、コントローラ120からのスイッチ信号141を使用して行ってもよい。その結果、トランスミッタ102はテストモードになる。
【0024】
方法ステップ146で、プロセス変数センサ104から第2センサ出力126'(テストモードのセンサ出力)が取得される。第2センサ出力126'は、試験回路130により第1センサ出力126によって示される値とはずれた値を示す。
【0025】
方法ステップ148で、第1センサ出力126および第2センサ出力126'に基づいて、プロセス変数センサ104の状態が検出される。いくつかの実施形態において、プロセス変数センサ104の状態は、第1センサ出力126と第2センサ出力126'とのずれによって示される。このように、方法ステップ148の実施形態は、第1センサ出力126と第2センサ出力126'との差を計算するなど、第1センサ出力126と第2センサ出力126'とを比較することによって、プロセス変数センサ104の状態を検出することを含む。センサ出力126と126'とのずれをさらに、メモリ122内に格納してもよい基準値149と比較して、プロセス変数センサ104の状態を判定してもよい。例えば、センサ出力126と126'との差が基準値149よりも小さい場合は、プロセス変数センサ104は正常な動作状態を有すると判定することができ、センサ出力126と126'との差が基準値149と一致するか、またはそれを超える場合は、プロセス変数センサ104の状態は異常(例えば、劣化、誤作動等)であると判定することができる。例えば、異常な状態とは、センサの抵抗の変化、望ましくない漏洩電流、電源の変更、容量性センサの場合は、センサのコンデンサ誘電体の変化またはセンサ回路124のエラーを示すことがある。
【0026】
ステップ148のいくつかの実施形態において、プロセス変数センサ104の状態は、さらに、温度センサ134が出力する温度信号出力によって示される温度に基づく。例えば、温度センサ134が示す温度を使用して、センサ出力126および/またはセンサ出力126'が示す値を調整してもよい。付加的に、温度センサ134が示す温度を使用して、基準値149を調整してもよい。
【0027】
いくつかの実施形態において、試験回路は、感知モードのセンサ出力126から、安全偏差の二分の一など、安全偏差よりも低いセンサ出力126'を出すように構成される。例えば、試験回路は、トランスミッタ102の安全偏差が約2%のとき、感知モードのセンサ出力126の1%未満のセンサ出力126'を出すように構成してもよい。
【0028】
いくつかの応用には、テストモードのセンサ出力126'とセンサ出力126との変動がトランスミッタ102の安全偏差以内であるために、テストモードのセンサ出力126'をトランスミッタ102の通常の動作中に使用してもよく、それによってトランスミッタ102をプロセス変数センサ104の試験中にオンラインのままにさせる。したがって、プロセス変数センサ104の試験は、トランスミッタ102をオフラインにする必要なく行うことができる。付加的に、トランスミッタ102をオフラインにする必要がある場合でも、プロセス変数センサ104の試験を短時間(例えば、10秒未満)で完了させることができ、その結果トランスミッタ102の動作に対しての最低限の中断となる。
【0029】
一実施形態において、センサ104からのセンサ出力126'またはトランスミッタ102により送信されるセンサ出力は、スイッチ132による試験回路130の接続による変化を考慮するために補償してもよい。代替的に、センサ104の試験中、トランスミッタ102は、センサ104の試験が完了するまで、最後のセンサ出力126に関連する値を送信するように構成してもよい。いずれのアプローチも、トランスミッタ102の動作に対するセンサ試験の実施の影響を最小化する。
【0030】
方法ステップ150で、プロセス変数センサ104の状態を、通信回路108を使用して、制御ユニット110(
図1)などの外部制御ユニット、または別のコンピューティングデバイスに通信してもよい。
【0031】
ステップ148の後かつステップ150の前に、追加の方法ステップを行ってもよい。例えば、スイッチ132を元の状態に戻して、センサ104の動作を感知モードにさせてもよい。付加的に、さらに第3センサ出力126を検出して、センサ104の状態の検出に使用してもよい。
【0032】
試験回路130は、プロセス変数センサ104の種類およびセンサ回路124の構成に応じて異なる形態を取ってもよい。プロセス変数センサは、例えば、プロセス媒体106の圧力など、プロセス変数を検出するためのひずみゲージまたは静電容量センサを含んでもよい。
図3は、本開示の実施形態による、静電容量センサを有する例示的な差圧センサ104Aを含む圧力トランスミッタ102Aの模式的な側断面図である。
【0033】
トランスミッタ102Aは、差圧センサ104Aを含め、トランスミッタ102Aの電子機器を格納して、環境条件から保護するハウジング160を含んでもよい。ハウジング160はベース162を含み、当該ベース162はプロセス開口部164Aおよび164Bなどの1つまたは複数のプロセス開口部164を含んでもよい。プロセス開口部164は、プロセスインターフェース168によるなど、適切な接続によりプロセス媒体106に連結してもよい。
【0034】
例示的なトランスミッタ102Aは、
図3に図示するように、それぞれプロセス開口部164Aおよび164Bに与えられる、それぞれプロセス媒体106の圧力P1およびP2に曝されているダイヤフラム170Aおよび170Bを含んでもよい。ダイヤフラム170Aおよび170Bは圧力P1およびP2を受けて湾曲する。湾曲したダイヤフラム170Aおよび170Bは、感知された圧力をライン172Aおよび172Bを通して圧力センサ104Aに伝えるが、当該ラインには非圧縮性の流体(例えば、油圧流体)を充填してもよい。
【0035】
図4および
図5は、本開示の実施形態による、例示的な試験回路130と組み合わせた状態の
図3に図示する例示的な差圧センサ104Aの側断面図である。差圧センサ104Aは1対のセンサボディセル174Aおよび174Bを含み、これらは総称してセル174ということもある。セル174の各々は、内部キャビティ180を画定する凹面壁178を有する椀状の金属ハウジング176を含む。各センサボディセル174の流体流路182は、セル174を貫通して延びていて、ライン172を内部キャビティ180に連結するが、内部キャビティ180にも非圧縮性の流体が充填される。感知ダイヤフラム184はセル174間に支持されるとともに、キャビティ180を略等しい2つの対向するキャビティ半体180Aおよび180Bに分割する。ダイヤフラム184はプロセス圧力P1およびP2を受けて撓み、当該プロセス圧力P1およびP2はそれぞれライン172Aおよび172Bおよび流体流路182を通して内部キャビティ半体180Aおよび180Bに伝達されるものである。撓んだダイヤフラム184の変位量は、圧力P1とP2との差に比例する。
【0036】
ダイヤフラム184の壁178に対する位置が、静電容量センサ190Aおよび190Bなどの1つまたは複数の静電容量センサ190を使用して検出される。静電容量センサ190は、各々が壁178に装着されているコンデンサ電極192と、導電性ダイヤフラム184とを含む。センサ回路124はリード線194A、194Bおよび194Cを含み、静電容量センサ190の各々の静電容量を受けるために、それぞれコンデンサ電極192およびダイヤフラム184の各々に連結されている。したがって、静電容量センサ190Aの静電容量はリード線194Aおよび194Cを使用して取得され、静電容量センサ190Bの静電容量はリード線194Bおよび194Cを通して取得される。センサ出力126は、センサ190の一方または両方からの静電容量、またはセンサ190Aと190Bとの静電容量(センサ出力126)の差を含んでもよい。このように、センサ出力126は、ダイヤフラム184の位置およびダイヤフラム184両側の差圧(P1-P2)を表してもよい。
【0037】
図4に図示するように、試験回路130の一実施形態は、リード線194Aなど、コンデンサ電極192に接続されているリード線194のうちの1本と、ダイヤフラム184に接続されているリード線194Cとの間に、スイッチ132と直列に接続されているコンデンサ200を含む。任意の適切なコンデンサ200を試験回路130に使用してもよい。例えば、センサ104Aがゼロの差圧で30ピコファラドのアクティブ静電容量を有する場合、コンデンサ200は、0.3ピコファラドコンデンサなど、0.2~0.4ピコファラドコンデンサとして、感知モードのセンサ出力126から約1%シフトしているテストモード出力126'を提供してもよい。
【0038】
コントローラ120がスイッチ132を閉じると、試験回路130をセンサ104Aまたはそのセンサ回路に接続して、センサ104Aをテストモードにすることになり、スイッチ132を開くと、試験回路130をセンサ104Aまたはそのセンサ回路から切断して、センサ104Aを感知モードにすることになる。テストモード(スイッチ132が閉じている)のとき、静電容量センサ190Aから出力される静電容量は、センサ104Aを感知モード(スイッチ132が開いている)で動作させるときの値からシフトしている、またはずれている。上述するように、これら2つの値のずれをコントローラ120で基準値149(
図1)と比較して、センサ104Aが正常に動作しているか、または異常に動作しているかを判定してもよい。
【0039】
図5に図示する試験回路130の実施形態は、スイッチ132と並列に接続されているコンデンサ202を含んで、並列回路204を形成する。並列回路204は、
図5に図示するように、リード線190Bなど、コンデンサ電極192に接続されているリード線190のうちの1本と直列に接続されている。任意の適切なコンデンサ202を試験回路130に使用してもよい。例えば、センサ104Aがゼロの差圧で、30ピコファラドのアクティブ静電容量を有する場合、コンデンサ202は、3ナノファラドコンデンサなど、1~4ナノファラドコンデンサとして、感知モードのセンサ出力126から約1%シフトしているテストモード出力126'を提供してもよい。
【0040】
コントローラ120がスイッチ132を開くと、試験回路130をセンサ104Aまたはそのセンサ回路に接続して、センサ104Aをテストモードにすることになり、スイッチ132を閉じると、試験回路130をセンサ104Aまたはそのセンサ回路から切断して、センサ104Aを感知モードにすることになる。テストモード(スイッチ132が開いている)のとき、静電容量式センサ190Bから出力される静電容量は、センサ104Aが感知モード(スイッチ132が閉じている)で動作しているときの値からシフトしている、またはずれている。これら2つの値のずれをコントローラ120で基準値149(
図1)と比較して、センサ104Aが正常に動作しているか、または異常に動作しているかを判定してもよい。
【0041】
ひずみゲージセンサは、センサに対するひずみに応答して変化する抵抗を有する。ひずみゲージセンサは、プロセス媒体106の流れに曝されるフィルタ要素、またはプロセス媒体106での圧力に曝されるダイヤフラムなど、要素に対するひずみを検出することにより、圧力センサとして使用されることが知られている。
図6および
図7は、本開示の実施形態による、例示的な試験回路130と組み合わせた状態の例示的なひずみゲージセンサ104Bの模式図である。センサ104Bのセンサ回路124はホイートストンブリッジ構成の4つのひずみゲージ210A~210Dを含み、1対の入力端子212および1対の出力端子214を含む。ひずみゲージ210の各々は、入力端子212の1つと出力端子214の1つとの間に直列に接続されている。センサ回路124は、入力端子212の1つに電流を導入するように構成される電流源または電圧源216も含む。センサ出力126は、出力端子214間の電圧に基づいており、ひずみゲージ210に加わるひずみに応答して変動する。
【0042】
いくつかの実施形態において、
図6および
図7に図示するように、試験回路130は抵抗220を含む。試験回路130の抵抗220はスイッチ132と直列に接続してもよく、抵抗220およびスイッチ132は、
図6に図示するように、ひずみゲージ210Bなど、ひずみゲージ210のうちの1つと並列に接続してもよい。この実施例では、抵抗220およびスイッチ132は入力端子212の1つおよび出力端子214の1つと直列に接続してもよい。試験回路130に任意の適切な抵抗220を使用してもよい。例えば、センサ104Bが10キロオームの公称ブリッジ抵抗および20ミリボルト/ボルトのゲージ率を有する場合、抵抗220は、10メガオームなど、およそ8~12メガオームとして、感知モードのセンサ出力126から約1%シフトしているテストモード出力126'を提供してもよい。
【0043】
コントローラ120がスイッチ132を閉じると、試験回路130をセンサ104Bまたはセンサ回路124に接続して、センサ104Bをテストモードにすることになり、スイッチ132を開くと、試験回路130をセンサ104Bまたはセンサ回路124から切断して、センサ104Bを感知モードにすることになる。テストモード(スイッチ132が閉じている)のとき、センサ出力(出力端子間の電圧)は、センサ104Bを感知モード(スイッチ132が開いているとき)で動作しているときの値からシフトしている、またはずれている。上述したように、これら2つの値間のずれをコントローラ120で基準値149(
図1)と比較して、センサ104Bが正常で動作しているか、または異常に動作しているかを判定してもよい。
【0044】
図7に図示する試験回路130の抵抗220は、スイッチ132と並列に接続されて並列回路222を形成する。並列回路222は、
図7に図示するように、入力端子212の1つと出力端子214の1つとの間に、ひずみゲージ210Cなど、ひずみゲージ210のうちの1つと直列に接続されている。試験回路130の抵抗に任意の適切な抵抗220を使用してもよい。例えば、センサ104Bが10キロオームの公称ブリッジ抵抗および20ミリボルト/ボルトのゲージ率を有する場合、抵抗を、10オームなど、およそ8~12オームにして、感知モードのセンサ出力126から約1%シフトしているテストモード出力126'を提供してもよい。
【0045】
コントローラ120がスイッチ132を開くと、試験回路130をセンサ104Bまたはセンサ回路124に接続して、センサ104Bをテストモードにすることになり、スイッチ132を閉じると、試験回路130をセンサ104Bまたはセンサ回路124から切断して、センサ104Bを感知モードにすることになる。テストモード(スイッチ132が開いている)のとき、センサ出力(出力端子間の電圧)は、センサ104Bが感知モード(スイッチ132が閉じているとき)で動作しているときの値からシフトしている、またはずれている。これら2つの値のずれをコントローラ120で基準値149(
図1)と比較して、センサ104Bが正常に動作しているか、または異常に動作しているかを判定してもよい。
【0046】
抵抗温度検出器(例えば、白金抵抗温度計)などの温度センサは、センサの温度に応答して変化する抵抗を有する。印加される電圧に応答してセンサを流れる電流を検出する、または印加される電流に応答してセンサにわたる電圧を検出するなど、従来の手法を用いてセンサの抵抗を検出することにより、このようなセンサを使用して温度を検出する。
【0047】
図8および
図9は、本開示の実施形態による、例示的な試験回路130と組み合わせた状態の例示的な温度センサ104Cの模式図である。温度センサ104Cのセンサ回路124は、その温度に依存する抵抗230を含む。付加的に、センサ回路124は、抵抗にわたる電圧を印加する電圧源232など、抵抗230の値を検出するための従来の回路系と、例えば、抵抗230を流れる電流を検出するための回路系とを含んでもよい。センサ出力126は印加電圧に応答して抵抗230を流れる電流を示してもよく、それから、例えば、抵抗230の値および検出温度を判定することができる。
【0048】
いくつかの実施形態において、
図8および
図9に図示するように、試験回路130は抵抗234を含む。
図8に図示するように、試験回路130の抵抗234はスイッチ132と直列に接続されてもよく、抵抗234およびスイッチ132は抵抗230と並列に接続されてもよい。
【0049】
試験回路130に任意の適切な抵抗234を使用してもよい。例えば、抵抗230が100オームの白金抵抗温度計で、5°Fの公称シフトが望ましい場合、例えば、抵抗234の値は10キロオームにしてもよい。
【0050】
コントローラ120がスイッチ132を閉じると、試験回路130をセンサ104Cまたはセンサ回路124に接続して、センサ104Cをテストモードにすることになり、スイッチ132を開くと、試験回路130をセンサ104Cまたはセンサ回路124から切断して、センサ104Cを感知モードにすることになる。テストモード(スイッチ132が閉じている)のとき、センサ出力126(例えば、抵抗230にわたる電流)は、センサ104Cが感知モード(スイッチ132が開いている)で動作しているときの値からシフトしている、またはずれている。上述したように、これら2つの値のずれをコントローラ120で基準値149(
図1)と比較して、センサ104Bが正常に動作しているか、または異常に動作しているかを判定してもよい。
【0051】
図9に図示する試験回路130の抵抗234は、スイッチ1312と並列に接続されて並列回路236を形成する。並列回路236は、
図9に図示するように、抵抗230と直列に接続されている。試験回路130の抵抗に任意の適切な抵抗234を使用してもよい。例えば、抵抗230が100オームの白金抵抗温度計で、5°Fの公称シフトが望ましい場合、例えば、抵抗234の値は1オームにしてもよい。
【0052】
コントローラ120がスイッチ132を開くと、試験回路130をセンサ104Cまたはセンサ回路124に接続して、センサ104Cをテストモードにすることになり、スイッチ132を閉じると、試験回路130をセンサ104Cまたはセンサ回路124から切断して、センサ104Cを感知モードにすることになる。テストモード(スイッチ132が開いている)のとき、センサ出力(例えば、抵抗230にわたる電流)は、センサ104Cが感知モード(スイッチ132が閉じているとき)で動作しているときの値からシフトしている、またはずれている。これら2つの値のずれをコントローラ120で基準値149(
図1)と比較して、センサ104Cが正常に動作しているか、または異常に動作しているかを判定してもよい。
【0053】
本開示の実施形態を好適な実施形態を参照して説明してきたが、当業者は、本開示の精神および範囲を逸脱することなく、形態および細部に変更を行えることを認識するであろう。
【符号の説明】
【0054】
100 システム
102 プロセストランスミッタ
104 プロセス変数センサ
106 プロセス媒体
108 通信回路
110 外部制御ユニット
112 制御室
114 制御ループ
120 コントローラ
122 メモリ
124 センサ回路
126 センサ出力
130 試験回路
132 スイッチ
134 温度センサ
136 温度出力