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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-24
(45)【発行日】2023-12-04
(54)【発明の名称】電気シェーバのシェーバヘッド
(51)【国際特許分類】
   B26B 19/14 20060101AFI20231127BHJP
   B26B 19/28 20060101ALI20231127BHJP
   B26B 19/38 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
B26B19/14 M
B26B19/14 B
B26B19/28 E
B26B19/38 C
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022533175
(86)(22)【出願日】2020-11-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-02
(86)【国際出願番号】 EP2020083263
(87)【国際公開番号】W WO2021110492
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-07-05
(31)【優先権主張番号】19213663.8
(32)【優先日】2019-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ダーウィンケル ヘールト‐ヤン
(72)【発明者】
【氏名】デ フリース アルウィン ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ボースマ イヴァル
(72)【発明者】
【氏名】ペトレッリ マルクス コルネリス
【審査官】マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05423125(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第2246159(EP,A2)
【文献】特開平08-187376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 19/14
B26B 19/28
B26B 19/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気シェーバのシェーバヘッドであって、前記シェーバヘッドが、
前記シェーバヘッドを前記電気シェーバの主筐体に接続するための基部部分と、
前記基部部分に取り付けられた支持部分と、
前記支持部分が前記基部部分に対して移動方向に、第1の位置である後退位置と第2の位置である伸長位置との間を直線状に移動することを可能にするための直線案内構造と、
前記支持部分を、前記第1の位置から前記第2の位置への前記移動方向に、前記基部部分から離れる方へバイアスするためのばね部材と、
前記支持部分によって支持された少なくとも2つの毛切断ユニットであって、各々が、毛進入開口部を有する外部切断部材と、前記外部切断部材に対して回転可能な複数の切断要素を有する内部切断部材とを備えている、少なくとも2つの毛切断ユニットと、
各毛切断ユニットのためのそれぞれの駆動スピンドルと、を備えるシェーバヘッドにおいて、
前記シェーバヘッドが、
前記支持部分を選択的にロック状態又はロック解除状態に設定するためのロック機構をさらに備え、前記ロック状態では、前記支持部分が、前記基部部分に対して前記移動方向において前記第1の位置又は前記第2の位置でロックされ、前記ロック解除状態では、前記支持部分が、前記基部部分に対して前記移動方向に移動することを可能にされることを特徴とする、シェーバヘッド。
【請求項2】
前記ロック機構が、
前記移動方向と平行に延びるシャフトと、前記シャフトと相互作用するために前記シャフトの周りに配置されたつば部と、を備え、前記シャフト及び前記つば部の一方は、前記移動方向において、前記支持部分に対して固定された位置に取り付けられ、前記シャフト及び前記つば部の他方は、前記移動方向において、前記基部部分に対して固定された位置に取り付けられており、
前記シャフト及び前記つば部は、前記支持部分の前記ロック状態又は前記ロック解除状態を設定するために、前記移動方向と平行に延びる回転軸を中心として、互いに対して回転可能である、請求項1に記載のシェーバヘッド。
【請求項3】
前記シャフトが外部ねじ山を有し、前記つば部が、前記外部ねじ山と係合するための内部ねじ山を有し、前記外部ねじ山及び前記内部ねじ山は、前記回転軸に平行な軸方向に、予め定められた相互の間隔を有して、前記軸方向における前記つば部に対する前記シャフトの移動を可能にする、請求項2に記載のシェーバヘッド。
【請求項4】
前記支持部分の前記第1の位置では、前記基部部分の方にさらに向かう前記移動方向への前記支持部分の移動が、それぞれ前記支持部分及び前記基部部分に対して固定された位置に取り付けられた当接要素の第1の対の相互の当接によって阻止され、
前記支持部分の前記第2の位置では、前記基部部分からさらに離れる前記移動方向への前記支持部分の移動が、それぞれ前記支持部分及び前記基部部分に対して固定された位置に取り付けられた当接要素の第2の対の相互の当接によって阻止される、請求項3に記載のシェーバヘッド。
【請求項5】
前記ロック機構が、前記支持部分を第1のロック状態に設定可能であり、前記第1のロック状態において、前記支持部分は、前記第1の対の前記当接要素の相互の当接により、及び、前記内部ねじ山と前記外部ねじ山との相互の当接により、前記基部部分に対して前記第1の位置にロックされる、請求項4に記載のシェーバヘッド。
【請求項6】
前記ロック機構が、前記支持部分を第2のロック状態に設定可能であり、前記第2のロック状態において、前記支持部分は、前記第2の対の前記当接要素の相互の当接により、及び、前記内部ねじ山と前記外部ねじ山との相互の当接により、前記基部部分に対して前記第2の位置にロックされる、請求項4又は5に記載のシェーバヘッド。
【請求項7】
前記ロック機構が、前記支持部分を完全にロック解除された状態に設定可能であり、前記完全にロック解除された状態において、前記支持部分は、前記第1の位置から前記第2の位置までの最大距離にわたって、前記基部部分に対して前記移動方向に移動することを可能にされる、請求項4から6のいずれか一項に記載のシェーバヘッド。
【請求項8】
前記ロック機構が、前記支持部分を部分的にロック解除された状態に設定可能であり、前記部分的にロック解除された状態において、前記支持部分は、前記第1の位置又は前記第2の位置のいずれかから、前記内部ねじ山と前記外部ねじ山との相互の当接によって定められる前記第1の位置と前記第2の位置との間の中間位置まで、制限された距離にわたって、前記基部部分に対して前記移動方向に移動することを可能にされる、請求項4から7のいずれか一項に記載のシェーバヘッド。
【請求項9】
前記シャフトが、前記支持部分に対して固定された位置に取り付けられ、前記つば部が、前記移動方向において、前記基部部分に対して固定された位置に取り付けられ、前記回転軸を中心として前記基部部分に対して回転可能である、請求項2から8のいずれか一項に記載のシェーバヘッド。
【請求項10】
前記直線案内構造が、固定された位置において前記基部部分に取り付けられ前記移動方向と平行に延びる案内心棒と、固定された位置において前記支持部分に取り付けられたガイドブッシュと、を備え、前記ガイドブッシュは、前記移動方向と平行に前記案内心棒に沿って移動可能に案内され、前記シャフトは、前記ガイドブッシュに対して固定された位置に、かつ前記ガイドブッシュの周りに周方向に配置され、前記つば部は、前記シャフト及び前記ガイドブッシュを中心として回転可能である、請求項9に記載のシェーバヘッド。
【請求項11】
前記シャフトと前記ガイドブッシュとが一体形成されている、請求項10に記載のシェーバヘッド。
【請求項12】
前記つば部が、電気モータを用いて、又は手動で作動可能な動作部材により、回転させることが可能である、請求項2から11のいずれか一項に記載のシェーバヘッド。
【請求項13】
前記基部部分が、前記シェーバヘッドを前記電気シェーバの前記主筐体に取り外し可能に連結することが可能な連結構造を含んでいる、請求項1から12のいずれか一項に記載のシェーバヘッド。
【請求項14】
各駆動スピンドルが、前記毛切断ユニットそれぞれの前記内部切断部材と係合するための連結ヘッドを備え、前記支持部分が、各前記毛切断ユニット間の中心に配置され、各毛切断ユニットが、その毛切断ユニットの中心軸に直交する方向に延びる軸を中心として前記支持部分に対して枢動可能である、請求項1から13のいずれか一項に記載のシェーバヘッド。
【請求項15】
電気モータを収容する主筐体と、
前記主筐体に連結された、請求項1から14のいずれか一項に記載のシェーバヘッドと、
を備える、電気シェーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気シェーバのシェーバヘッドに関し、このシェーバヘッドは、シェーバヘッドを電気シェーバの主筐体に接続するための基部部分と、基部部分に取り付けられた支持部分と、支持部分が基部部分に対して移動方向に、第1の位置である後退位置と第2の位置である伸長位置との間を直線状に移動することを可能にするための直線案内構造と、支持部分を、第1の位置から第2の位置への移動方向に基部部分から離れる方へバイアスするためのばね部材と、支持部分によって支持された少なくとも1つの毛切断ユニットと、を備えている。
【0002】
本発明は、上記に記載されたようなシェーバヘッドを備えた電気シェーバにも関する。
【背景技術】
【0003】
上記に記載されたようなシェーバヘッド及び電気シェーバが、WO2015/025064によって開示されている。この知られているシェーバは、主筐体と、3つの毛切断ユニットを備える毛切断モジュールとを備え、毛切断ユニットは各々、外部切断部材と、この外部切断部材に対して回転可能な内部切断部材とを備えている。毛切断モジュールは、主軸に対して平行な方向に、ばね力に対抗して主筐体に対して変位可能である。毛切断モジュールはまた、主軸に対して直角に伸びる少なくとも1つの傾斜軸を中心として、ばね力に対抗して主筐体に対して傾斜可能である。
【0004】
米国特許第6,892,457(B2)号は、直線往復型の2つの毛切断ユニットを備えたシェーバヘッドを有する電気シェーバを開示しており、毛切断ユニットは各々、毛進入開口部を有する、細長い静止した箔と、その箔の内側表面と接触して直線往復運動をするように駆動される複数の切断要素を有する内部カッターとを備えている。シェーバヘッドは、弾性のサスペンション構成部を用いてシェーバの把持部分に取り付けられる。このサスペンション構成部は、シェーバヘッドが、把持部分に向かう及び把持部分から離れる各反対方向に移動することを可能にし、シェーバヘッドは、ばね力によって把持部分から離れる方へバイアスされる。このばね力は、使用中に毛切断ユニットの箔と皮膚との間に制御された接触力を提供して、シェービング性能及びユーザに対する快適性を向上させる。
【0005】
シェービング中の箔と皮膚との間の接触力の量が、箔の毛進入開口部の中に入る、対応する量の皮膚半球形化につながる。皮膚半球形化の量は、毛切断作業の密着度、及び動く内部カッターと皮膚との接触によって生じる皮膚刺激の量の両方を決定する。よって、皮膚半球形化の量は、シェービングの密着度と皮膚への刺激又はダメージとの間のバランスを決定する重要なパラメータである。例えば、加えられる接触力を低減するための対策を取ることが知られている。
【0006】
最大の接触力を制限するための1つの方式は、毛切断ユニットにかかる高いピーク力を防止するために、周囲にある皮膚支持構造に対して個々の毛切断ユニットを弾性的に浮動させるものである。これは、浮遊ヘッド方式として知られる。
【0007】
高いピーク力を防止する別の方式は、力をより広い面積にわたって分散させることである。これは、個々の毛切断ユニットが互い及び/又は周囲の支持部分に対して枢動できるようにして、各毛切断ユニットが、顔の局所的な輪郭に合わせて各自の向きを適合し、最大の接触面積を提供できるようにすることによって達成される。
【0008】
上記で説明されたような知られているシェーバヘッドで使用されるサスペンション構成部の不都合点の一つは、ユーザによるシェービング作業の制御性を減じることである。一部のユーザは、シェービング中に、把持部分に対するシェーバヘッドのたわみが多過ぎると感じ、そのため自身が望む剃りの密着度を実現することができない。他のユーザは、代わりに、高過ぎる接触力を経験し得る。
【0009】
この理由は、毛切断ユニットの外部部分の毛進入開口部に入る実際の皮膚半球形化効果が、すべてのユーザに対して同じではないためである。ユーザの年齢、皮膚のタイプ、及び環境条件が、結果的に異なる皮膚半球形化効果を生じさせ、これは毛切断ユニットの特性に直接関係するものではない。
【0010】
米国特許第5,423,125号は、筐体に装着された短毛切断システムと、筐体に装着され、長毛切断システムをオフ位置から少なくとも1つの動作位置に設定するように構成されているスライド作動スイッチと、を有する電気シェーバを開示している。第1の動作位置又は組み合わせ位置において、長毛トリマーは、浮遊しており、長毛トリマーにかかる圧力の結果、下方に引っ込むことが可能である。第2の動作位置又は刈り込み位置において、長毛トリマーは位置がロックされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
シェービング中に皮膚にかかる高いピーク力を防止し、それにより、皮膚の刺激及びダメージ(過度の皮膚半球形化による)を防止すると共に、シェービング作業及び結果の良好な制御性を維持する必要性があり、追加的に種々のユーザに適合可能なやり方でそのようにする必要性がある。例えば、ユーザの中には、他のユーザよりも、(圧力ピークによって生じる)皮膚の刺激を感じにくい者もいる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、特許請求の範囲によって規定される。
【0013】
本発明の第1の態様によると、電気シェーバのシェーバヘッドが提供され、このシェーバヘッドは、
シェーバヘッドを電気シェーバの主筐体に接続するための基部部分と、
基部部分に取り付けられた支持部分と、
支持部分が基部部分に対して移動方向に、第1の位置である後退位置と第2の位置である伸長位置との間を直線状に移動することを可能にするための直線案内構造と、
支持部分を、第1の位置から第2の位置への移動方向に基部部分から離れる方へバイアスするためのばね部材と、
支持部分によって支持された少なくとも2つの毛切断ユニットであって、各々が、毛進入開口部を有する外部切断部材と、外部切断部材に対して回転可能な複数の切断要素を有する内部切断部材とを備えている、少なくとも2つの毛切断ユニットと、
各毛切断ユニット(13)のためのそれぞれの駆動スピンドルと、を備え、
シェーバヘッドが、
支持部分を選択的にロック状態又はロック解除状態に設定するためのロック機構をさらに備え、ロック状態では、支持部分が、基部部分に対して移動方向においてロックされた位置を有し、ロック解除状態では、支持部分が、基部部分に対して移動方向に移動することを可能にされる。
【0014】
本発明によるシェーバヘッドは、少なくとも2つの毛切断ユニットを支持する支持部分が使用中に皮膚の方へバイアスされるための弾性サスペンション構成部を有する。しかし、異なるユーザは、例えば皮膚の敏感さに関して、異なる要求を有する。よって、ばね部材によって弾性サスペンションに与えられるバイアスは、すべてのユーザにとって快適ではないことがあり得、又は他のユーザにとっては力を吸収し過ぎることがあり得る。本発明によると、支持部分は、それによって支持される少なくとも2つの毛切断ユニットと共に、ロック状態に設定されることが可能であり、この状態では、支持部分は、基部部分に対してロックされた位置を有する。ロック状態では、少なくとも2つの毛切断ユニットと皮膚との間のより高い接触力が、ばね部材のバイアス力に対抗して基部部分に向かう支持部分の運動によって阻止されない。このロック状態は、それほど敏感ではない皮膚を有するユーザにとって関心対象となり得る。シェーバヘッドは、例えば3つの毛切断ユニットを備える。
【0015】
弾性サスペンションの特性を設定できることは、向上したユーザ体験をもたらす。これは、幅広いユーザに対して最適な剃りを達成できることを意味する。典型的なユーザは、シェーバヘッドをロック解除モードに保つ可能性があり、対して、一部の他のユーザは、皮膚の刺激を感じにくく、したがって、シェーバヘッドをロック状態で使用し、よって、皮膚の刺激の影響を経験しないことから、シェービング中により強く押し付けることができる。このことは、シェービング作業及びその結果の、ユーザによる制御性を高める。
【0016】
ロック機構は、例えば、
移動方向と平行に延びるシャフトと、シャフトと相互作用するためにシャフトの周りに配置されたつば部と、を備え、シャフト及びつば部の一方は、移動方向において、支持部分に対して固定された位置に取り付けられ、シャフト及びつば部の他方は、移動方向において、基部部分に対して固定された位置に取り付けられており、
シャフト及びつば部は、支持部分のロック状態又はロック解除状態を設定するために、移動方向と平行に延びる回転軸を中心として、互いに対して回転可能である。
【0017】
これは、シャフト又はつば部を回転させることによる、ロック状態及びロック解除状態の単純な設定を提供する。つば部は例えば、スピンドルとして機能するシャフトの周りの回転可能なナットとして機能する。シャフトは、例えば回転に関して固定される。シャフトとつば部の相対的な回転位置は、移動方向におけるシャフトとつば部の相対位置を変え、それにより、移動方向における支持部分の移動が可能にされるか又は阻止される。
【0018】
シャフトは、例えば外部ねじ山を有し、つば部は、例えば前記外部ねじ山と係合するために構成された内部ねじ山を有し、外部ねじ山及び内部ねじ山は、回転軸に平行な軸方向に、予め定められた相互の間隔を有して、軸方向におけるつば部に対するシャフトの移動を可能にする。
【0019】
よって、ロック動作はナットを締めるのと同等であり、ねじ山同士を係合させることが、軸方向における相対移動を妨げる。相互の間隔は、例えば、内部ねじ山の隣り合う巻きと巻きの間の空間が、軸方向における外部ねじ山の幅よりも大きいことを意味する。これは、ロック機構がロックされた構成にないときは、ねじ山同士がきつく噛み合わないため、軸方向に直線移動が可能であることを意味する。代わりに、一方のねじ山(例えば外部ねじ山)が、隣り合うねじ山(例えば内部ねじ山)の対の間を軸方向に移動することができる。
【0020】
支持部分の第1の位置では、基部部分の方にさらに向かう移動方向への支持部分の移動が、それぞれ支持部分及び基部部分に対して固定された位置に取り付けられた当接要素の第1の対の相互の当接によって阻止され得る。
【0021】
支持部分の第2の位置では、基部部分からさらに離れる移動方向への支持部分の移動が、それぞれ支持部分及び基部部分に対して固定された位置に取り付けられた当接要素の第2の対の相互の当接によって阻止され得る。
【0022】
これらの第1及び第2の位置は、基部部分に対する支持部分の移動の終止点である。支持部分の移動は、よって、一方の方向では、それら当接要素によって定められる支持部分の移動範囲の限界によって制限され、他方の方向では、内部ねじ山と外部ねじ山との当接によって制限される。
【0023】
よって、この実施形態では、構成要素の外部形状が、一方の方向における支持部分の移動を制限する当接要素を画定し、ねじ山の係合が、他方の方向における移動を制限し、それにより支持部分の位置を固定するか、又は支持部分の位置の可能な範囲を設定する。
【0024】
ロック機構は、例えば、支持部分を第1のロック状態に設定するように構成され、第1のロック状態において、支持部分は、第1の対の当接要素の相互の当接により、及び、内部ねじ山と外部ねじ山との相互の当接により、基部部分に対して第1の位置にロックされる。これが後退位置である。
【0025】
ロック機構は、支持部分を第2のロック状態に設定するように構成されてよく、第2のロック状態において、支持部分は、第2の対の当接要素の相互の当接により、及び、内部ねじ山と外部ねじ山との相互の当接により、基部部分に対して第2の位置にロックされる。これが伸長位置である。
【0026】
ロック機構は、支持部分を完全にロック解除された状態に設定するように構成されてよく、完全にロック解除された状態において、支持部分は、第1の位置から第2の位置までの最大距離にわたって、基部部分に対して移動方向に移動することを可能にされる。
【0027】
ロック機構はさらに、支持部分を部分的にロック解除された状態に設定するように構成されてよく、部分的にロック解除された状態において、支持部分は、第1の位置又は第2の位置のいずれかから、内部ねじ山と外部ねじ山との相互の当接によって定められる第1の位置と第2の位置との間の中間位置まで、制限された距離にわたって、基部部分に対して移動方向に移動することを可能にされる。
【0028】
好ましくは、これら異なるロック状態のいずれか1つを選択することが可能である。
【0029】
シャフトは、好ましくは、支持部分に対して固定された位置に取り付けられ、つば部は、好ましくは、移動方向において、基部部分に対して固定された位置に取り付けられ、回転軸を中心として基部部分に対して回転可能である。
【0030】
直線案内構造は、例えば、固定された位置において基部部分に取り付けられ移動方向と平行に延びる案内心棒と、固定された位置において支持部分に取り付けられたガイドブッシュと、を備え、ガイドブッシュは、移動方向と平行に案内心棒に沿って移動可能に案内され、シャフトは、ガイドブッシュに対して固定された位置に、かつガイドブッシュの周りに周方向に配置され、つば部は、シャフト及びガイドブッシュを中心として回転可能である。
【0031】
ロック機構は、そのようにして直線案内構造の構造に組み込まれる。例えば、シャフトとガイドブッシュは、単一の成型部品などにより、一体形成される。
【0032】
第1の例の組において、つば部は、電気モータを用いて回転させることが可能である。
【0033】
第2の例の組において、つば部は、手動で作動可能な動作部材により回転させることが可能である。
【0034】
第3の例の組において、つば部は、手動で作動されるスライダにより回転させることが可能である。
【0035】
よって、ロック機構の制御には様々なオプションがある。
【0036】
シェーバヘッドの基部部分は、シェーバヘッドを電気シェーバの主筐体に解除可能に連結することが可能な連結構造を含んでよい。
【0037】
各駆動スピンドルは、例えば、毛切断ユニットそれぞれの内部切断部材と係合するための連結ヘッドを備え、支持部分が、各毛切断ユニット間の中心に配置され、各毛切断ユニットは、その毛切断ユニットの中心軸に対して接線方向に延びる軸を中心として、支持部分に対して枢動可能である。
【0038】
これは小型のデザインを提供する。
【0039】
本発明は、
電気モータを収容する主筐体と、
主筐体に連結された、上記に規定されたシェーバヘッドと、
を備える電気シェーバも提供する。
【0040】
本発明のこれら及び他の態様は、本明細書の以後に記載される実施形態から明らかになり、それらから解明されよう。
【0041】
本発明のよりよい理解のために、またそれがどのように実施されるかをより明瞭に示すために、次いで、単なる例として添付図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】知られている電気シェーバを示す図である。
図2】本発明が関するタイプのシェーバヘッドの一例を示す図である。
図3】ロック構成部のシャフトを示す図である。
図4】ロック構成部のつば部を示す図である。
図5】ロック機構が支持部分の後退位置にロックされた状態のシェーバヘッドの一詳細例を断面で示す図である。
図6】支持部分のロックされた後退位置におけるシャフト及びつば部の相対位置を示す図である。
図7】支持部分が上下に移動自在であるロック解除状態にある、図5のシェーバヘッドを示す図である。
図8】支持部分のロック解除状態におけるシャフト及びつば部の相対位置を示す図である。
図9】ロック機構が支持部分の伸長位置にロックされた状態の、図5のシェーバヘッドを示す図である。
図10】支持部分のロックされた伸長位置におけるシャフト及びつば部の相対位置を示す図である。
図11】外部手動レバーを示す図である。
図12】外部手動レバーを有するロック機構の別の実装形態を示す図である。
図13】ロック機構を制御するためにモータを使用する実装形態を示す図である。
図14】ロック機構の回転部をより明瞭に示すために毛切断ユニットが取り除かれた状態の図13のデザインの実装形態を示す図である。
図15図5図10のデザインの斜視図である。
図16】ロック機構の回転部をより明瞭に示すために毛切断ユニットが取り除かれた状態の図15のデザインを示す図である。
図17】ロック機構を制御するためにスライダが使用される図5図10のデザインの変形例の斜視図である。
図18】毛切断ユニットが取り除かれた状態の図17の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明について、図面を参照して説明する。
【0044】
詳細な説明及び具体例は、装置、システム、及び方法の例示的実施形態を示すが、例示のみを目的とするものであり、本発明の範囲を制限することは意図されないことが理解されるべきである。本発明の装置、システム、及び方法のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付図面からよりよく理解される。図は模式的なものに過ぎず、実際の縮尺で描かれてはいないことが理解されるべきである。また、同じ又は類似する部分を示すために全図を通じて同じ参照符号が使用されることも理解されるべきである。
【0045】
本発明は、少なくとも2つの毛切断ユニットが支持部分によって支持されている、電気シェーバのシェーバヘッドを提供する。支持部分は、基部部分に対して、第1の位置である後退位置と、第2の位置である伸長位置との間を、ばね部材のバイアス下で直線状に可動である。支持部分を、基部部分に対してロックされた位置に選択的にロックするために、ロック機構が提供される。これにより、ユーザが異なるシェービングモードを選択することが可能となる。
【0046】
図1は、知られている電気シェーバ10を示し、これは、接続インターフェース14を介して解除可能に主筐体15に接続されたシェーバヘッド12を備えている。シェーバヘッドは、3つの回転式毛切断ユニット13の組を有する。駆動アクチュエータ16(すなわち、モータ)が主筐体内に配置されて、回転式毛切断ユニット13の駆動を可能にする。他の機能ユニットが、回転式シェーバヘッドの代わりに主筐体に接続されてよい。本発明は、特にシェーバヘッドのデザインに関する。コントローラ18がシェーバヘッドを駆動する。
【0047】
シェーバの一般的な機能動作は、よく知られており、本出願では詳細に説明されない。
【0048】
図2は、本発明が関するタイプのシェーバヘッドの一例を示す。
【0049】
シェーバヘッド12は、連結構造44を含む基部部分20を有し、この連結構造44により、シェーバヘッドを電気シェーバ10の主筐体15に解除可能に連結することができる。
【0050】
この例では、シェーバヘッドは3つの毛切断ユニット13を備えているが、代替として、シェーバヘッドは2つのみ又は4つ以上の毛切断ユニットを備えてもよい。毛切断ユニットは回転型である。支持部分26は、各毛切断ユニット13の間の中心に配置され、中心軸15を有する。
【0051】
各毛切断ユニット13は、それらが支持部分26によって支持される組立体を形成するように、支持部分26に接続されている。支持部分は、基部部分20に対して外向きに、すなわち基部部分20から離れ、皮膚に向かう方へ、バイアスされる。
【0052】
各個々の毛切断ユニット13は、複数の毛進入開口部を有する外部切断部材13aを有する。外部切断部材13aの中には内部切断部材(図示せず)があり、それは外部切断部材に対して回転可能である。合わせて、それらは従来の回転式カッターを画定する。
【0053】
内部切断部材は、切れ刃を各々が有する複数の切断要素を備えている。内部切断部材の回転中(外部切断部材は静止している)、切れ刃は、それぞれの内部切断部材の回転軸13bを中心とした環状の切断経路をたどる。切断経路は、切れ刃がそれにわたって移動する環状のエリアに対応する。よって、切断経路の内側直径は、各切れ刃の(又は、切れ刃がそれぞれ異なる径方向位置を有する場合には、径方向最も内側の切れ刃の)径方向最も内側の端点によってたどられる円形経路の直径に対応し、また、よって、切断経路の外側直径は、各切れ刃の(又は、切れ刃がそれぞれ異なる径方向位置を有する場合には、径方向最も外側の切れ刃の)径方向最も外側の端点によってたどられる円形経路の直径に対応する。
【0054】
図示される例では、各毛切断ユニットは、支持部分26に対して、それぞれの枢動軸50を中心として独立して枢動することも可能である。1つのそのような枢動軸が図2に示されている。枢動軸50は、中心軸15に対して軸方向に見られたとき(すなわち、図2の上から中心軸15に沿って見下ろす)、中心軸15と環状切断経路13cとの間に位置している。よって、各毛切断ユニットは、中心軸に近い正接軸を中心として内向き及び外向きに揺動することができる。これは、毛切断ユニットの組み合わせによって画定される輪郭の、かなりの量の変更を可能にする。支持部分26は、この枢動運動のための回転軸を実現する。
【0055】
図示される例では、各毛切断ユニットは、その毛切断ユニット13の外部切断部材及び内部切断部材を支持する、各自の筐体11を有する。この筐体は、毛切断ユニット13の個々の毛収集室を収容する。よって、毛切断ユニット13ごとに、別個の毛収集室がある。
【0056】
シェーバヘッドは、毛切断ユニット13の内部切断部材を駆動して回転させるための駆動ユニットを有する。駆動ユニットは、毛切断ユニットごとに個々の駆動スピンドル40を備えており、この駆動スピンドル40は、基部部分20によって回転支持され、それぞれの毛切断ユニット13の内部切断部材に連結されている。よって、毛切断ユニットは、独立した駆動スピンドルを有し、筐体11がこれらの駆動スピンドルを覆っている。駆動スピンドルは各々ヘッドを有し、このヘッドは、突出して筐体11の底面壁の開口内に入り、次いで回転内部切断部材と係合する。
【0057】
各駆動スピンドル40は、2つの伸縮部40a、40b(図5に示される)を有し、これらは、ばねであり、各毛切断ユニットが独立して外向きにバイアスされるように、並びに組立体全体が支持部材26によって外向きにバイアスされるように、荷重がかけられる。駆動スピンドル40はまた、毛切断ユニットを、各自の回転軸50を中心として枢動した終端位置へと付勢し、この位置では、各自の外周縁部の外側部分が、各自の外周の内側部分に対して外向きに持ち上げられる。
【0058】
駆動ユニットは、図2に示される連結構造44の中に収容される単一の被駆動連結部材14により、シェービング装置の主筐体15内の駆動アクチュエータ16(モータ)に解除可能に連結可能である。基部部分20は、単一の被駆動連結部材14を個々の駆動スピンドル40の各々に連結するための伝達ユニット(図示せず)を備えている。この伝達ユニットは、歯の配列を備えている。よって、個々の駆動スピンドル40が使用されるにも関わらず、単一の被駆動連結部材14が使用され、伝達ユニットが、個々の駆動スピンドル40との単一の被駆動連結部材14の連結を提供する。
【0059】
支持部分26は、支持部分26が、矢印17によって示されるように、中心軸15に対して平行な移動方向に基部部分20に対して直線状に移動することを可能にする直線案内構造によって、基部部分20に取り付けられる。支持部分26の直線運動は、基部部分20に対して、第1の位置である後退位置と、第2の位置である伸長位置との間で可能である。支持部分26は、ばね部材30によってバイアスされ、ばね部材30は、支持部分26を、第1の位置から第2の位置への移動方向17に、基部部分20から離れる方へバイアスする。
【0060】
このシェーバヘッドは、毛切断ユニットが接続される支持部分を提供し、それにより、毛切断ユニットは、組み合わせられた組立体として支持部材によってバイアスされる。直線案内構造が、基部部分に対する支持部分の移動を実現する。組み合わせられた組立体の移動に加えて、先に説明されたように、各毛切断ユニットは、支持部分に対して枢動軸を中心とした独立した枢動を有し、それにより、毛切断ユニットの組立体がユーザの顔の輪郭に適合することができる。このようにして、快適で密着した剃りを達成することができる。
【0061】
図示される例では、直線案内構造は、案内心棒と、この案内心棒に沿って移動可能に案内されるガイドブッシュとを備えている。これらは下記でより詳細に論じる。
【0062】
本発明は、弾性サスペンションシステムをロックするためのロック機構を設ける。詳細には、ロック機構は、支持部分26を選択的にロック状態又はロック解除状態に設定するために構成され、ロック状態では、支持部分が、基部部分20に対して移動方向17においてロックされた位置を有し、ロック解除状態では、支持部分26が、基部部分20に対して移動方向27に移動することを可能にされる。
【0063】
ロック機構の一例は、シャフトと、シャフトと相互作用するためにシャフトの周りに配置されたつば部とを備え、シャフト及びつば部の一方は、支持部分26から延び、シャフト及びつば部の他方は、基部部分20から延びる。
【0064】
図3はシャフト30を示し、図4はつば部32を示す。
【0065】
シャフト30は、移動方向17と平行に延び、移動方向において、支持部分26に対して固定された位置に取り付けられており、その長さに沿って外部ねじ山34を有する。シャフト30は、上述のガイドブッシュとして機能する内部孔38を有する。ねじ山34はらせん状であるが、ねじ山34の隣り合うピッチ間の空間は、軸方向におけるねじ山34の幅Wよりもはるかに大きい。
【0066】
つば部32は、移動方向17において、基部部分20に対して固定された位置に取り付けられており、孔33の中に内部ねじ山36を有する。ねじ山36の隣り合うピッチ間の空間は、軸方向におけるねじ山の幅よりもはるかに大きい。つば部32は、後に詳細に説明されるように、支持部分26のロック状態又はロック解除状態を設定するために、基部部分20に対して、及び、移動方向17と平行に延びる回転軸33aを中心としてシャフト30に対して、回転することができる。シャフト30は、軸方向に摺動することができるが、回転はしない。つば部は、つば部を回転制御するための駆動歯37を有する。無論、他の構成が可能であり、例えば、シャフトが基部部分に取り付けられて、回転し、つば部が支持部分に取り付けられて、軸方向に並進する。
【0067】
シャフト30は、つば部32の孔33に収容され、それにより、シャフト30の外部ねじ山34が、つば部32の内部ねじ山36と係合する。しかし、内部ねじ山及び外部ねじ山34、36の大きいピッチは、内部ねじ山及び外部ねじ山34、36が、回転軸33aに平行な軸方向に予め定められた相互の間隔を有することを示唆し、そのため、これら2つの部分は軸方向で噛み合いはしない。代わりに、シャフト30は、孔33の中でつば部32に対して軸方向に移動することを許され、その間、シャフト30の外部ねじ山34は、つば部32の隣り合った対向する内部ねじ山36の間を移動する。最大の移動範囲は、(ねじ山の幅を引いた)ピッチに対応する。よって、回転軸33aに沿った移動は、シャフト30の外部ねじ山とつば部32の内部ねじ山との間の係合によって制限される。
【0068】
支持部分26のロック状態は、基部部分20に対して、支持部分26の第1の位置である後退位置と第2の位置である伸長位置の両方で実現される。これらの位置のどちらでも、支持部分26は止め部に達しており、そのため、支持部分26は、外部特徴の結果、一方の方向にはそれ以上移動することができない。この外部特徴(すなわち、つば部32にとって外部)は、支持部分26の第1の位置である後退位置において基部部分20の方にさらに向かう支持部分26の移動を阻止する当接要素の第1の対(図5の66a及び66b)と、支持部分26の第2の位置である伸長位置において基部部分20からさらに離れる移動方向への支持部分26の移動を阻止する当接要素の第2の対(図7及び図9の67a及び67b)と、を含む。第1の対は、固定された位置において支持部分26に取り付けられた第1のフック状要素に設けられた下向きの当接表面66aと、基部部分20上の固定された位置に設けられた上向きの当接表面66bと、を含む。第2の対は、フック状要素に設けられた上向きの当接表面67bと、基部部分20上の固定された位置に取り付けられた第2のフック状要素に設けられた下向きの当接表面67aと、を含む。
【0069】
これら2つのロック状態の各々において、後で詳細に説明されるように、シャフト30の外部ねじ山34とつば部32の内部ねじ山36との当接が、前記一方の方向と反対のそれぞれの方向への支持部分26の移動を阻止する。
【0070】
これは、つば部を回転させることによる(この特定の例では)、単純な調整方式を提供する。つば部は、例えば、スピンドルとして機能するシャフトの周りの回転可能なナットとして機能する。
【0071】
ロック機構は、支持部分26を、
第1のロック状態、ここでは、支持部分が、第1の対の当接要素の相互の当接により、及び、内部ねじ山と外部ねじ山との相互の当接により、基部部分に対して、第1の位置である最も低い又は後退した位置にロックされる、
第2のロック状態、ここでは、支持部分が、第2の対の当接要素の相互の当接により、及び、内部ねじ山と外部ねじ山との相互の当接により、基部部分に対して、第2の位置である最も高い又は伸長された位置にロックされる、
完全にロック解除された状態、ここでは、支持部分が、第1の位置から第2の位置までの最大距離にわたって、基部部分に対して移動方向に移動することを可能にされる、
部分的にロック解除された状態、ここでは、支持部分が、第1の位置又は第2の位置のいずれかから、内部ねじ山と外部ねじ山との相互の当接によって定められる第1の位置と第2の位置との間の中間位置まで、制限された距離にわたって、基部部分に対して移動方向に移動することを可能にされる、
ように設定するよう構成される。
【0072】
ロック機構は、少なくとも、完全にロック解除された位置と、上記2つのロック位置のうち一方とを有する。
【0073】
完全に後退した位置である第1のロック位置は、駆動スピンドル40内のばねの圧縮の結果生じる、より大きいばね押し力を与える。これは、外部切断部材に対する内部切断部材の不要な飛びから生じる毛の引っ張りのリスクを低減し、枢動軸50を中心とした毛切断ユニット13の枢動の硬さを増す。
【0074】
完全に伸長した位置である第2のロック位置は、駆動スピンドル40内のばねの圧縮の結果生じる、より小さいばね押し力を与える。これは、毛切断ユニット13の内部及び外部切断部材の摩耗を低減し、枢動軸50を中心とした毛切断ユニット13の枢動の硬さを減らす。
【0075】
図5は、シェーバヘッドの一詳細例を断面で示す。同図は、第1のロック状態にあるロック機構を示し、支持部分26が第1の位置である後退位置にある。
【0076】
図5は、駆動スピンドル40の伸縮デザインも示しており、駆動スピンドル40は、同心の内側スリーブ及び外側スリーブ40a、40bを有し、また内部ばね60を各々有し、図5はまた、支持部分26を移動方向において基部部分20から離れる方にバイアスするためのばね部材39も示している。
【0077】
スピンドル40は、回転式毛切断ユニット13それぞれの内部切断部材と係合するための駆動ヘッド41を備えている。領域62は、支持部分26が各回転式毛切断ユニット13の径方向内側部分と係合することを示している。この係合は、毛切断ユニットの枢動軸50を画定する。各駆動スピンドル40のばね60は、各毛切断ユニットをデフォルト位置へとバイアスする(図示されるように)。このバイアスは、毛切断ユニットの径方向外側部分を上方に付勢する。これは、枢動軸が、駆動スピンドル40と支持部分26の中心軸26aとの間にあるためである。
【0078】
図5は、固定された位置において基部部分22に取り付けられ、移動方向17と平行に延びる、直線案内構造の案内心棒22も示している。図5はさらに、直線案内構造のガイドブッシュ38を示しており、これはシャフト30と一体形成されており、よって、固定された位置において支持部分26に取り付けられている。シャフト30は、ガイドブッシュ38の周りに周方向に配置されている。つば部32は、シャフト30及びガイドブッシュ38を中心として回転可能である。ガイドブッシュ38は、移動方向17と平行に、案内心棒22に沿って移動可能に案内される。
【0079】
この例では、ユーザによって手動操作することができる機械的な駆動歯64がある。駆動歯64は、つば部32の周りに取り付けられているさらなる駆動歯38と噛み合う。図5は、ロック機構が直線案内構造の構造に組み込まれることを示している。外部ねじ山34を含むシャフト30と、ガイドブッシュ38とは、単一の成型部品である。
【0080】
図5に示されるような支持部分26の第1のロック状態では、支持部分26は、基部部分20に対して、その第1の位置である後退位置、すなわち、その可能な直線移動範囲の下限、に達している。先に述べられたように、この下限は、当接要素66a、66bの第1の対の相互の当接によって定められる。この第1のロック状態では、基部部分20から離れる方へのシャフト30及び支持部分26の上方への移動が、シャフト30の外部ねじ山34とつば部32の内部ねじ山36との相互の当接によって阻止される。この目的のために、つば部32は、その2つの回転方向のうち第1の回転方向にその最大位置まで回転され、この結果、シャフト30及び支持部分26が最も低い位置、すなわち第1の位置である後退位置、に達するまで、それらを下方に押したことになる。
【0081】
図6は、図5に示されるような支持部分26の第1のロック状態におけるシャフト30及びつば部32の相対位置を示す。
【0082】
図7は、支持部分26の完全にロック解除された状態にある、図5のシェーバヘッドを示し、ここでは、支持部分26は、第1の位置である後退位置から第2の位置である伸長位置までの最大距離にわたって移動方向17に上下に移動することを可能にされる。図7は、当接要素67a、67bの第2の対の相互の当接によって定められる、第2の位置である伸長位置にある支持部分26を示す。支持部分26は、ばね部材39によって押し上げられて伸長位置になるが、例えばユーザがシェーバを顔に押し付けたときに、第1の位置である後退位置になるまで、ばね部材39のばねバイアスに対抗して基部部分20の方に押し下げられることが可能である。これは、支持部分26の完全にロック解除された状態であり、ここでは、毛切断ユニットの組立体が、完全に伸長した位置にあるが、第1の位置である後退位置になるまで最大限に後退自在である。
【0083】
図8は、図7に示されるような支持部分26の完全にロック解除された状態におけるシャフト30及びつば部32の相対位置を示す。この図において、可能な移動範囲は、矢印70によって示され、これはシャフト30の外部ねじ山34とつば部32の内部ねじ山36との間の相互の間隔によって定められる。外部ねじ山34は、隣接する各側の、内部ねじ山36にそれが当接する位置の間を摺動することができる。完全にロック解除された状態において、つば部は、図6に示されるような、その2つの回転方向のうち第1の回転方向におけるその最大位置と、その2つの回転方向のうち第2の回転方向における最大位置との間の中途位置まで回転され、それにより、支持部材26が、シャフト30ねじ山34とつば部32のねじ山36との間の間隔の結果として、第1の位置である後退位置と第2の位置である伸長位置との間で最大限に移動され得る。
【0084】
図9は、支持部分26の第2のロック状態における図5及び図7のシェーバヘッドを示す。この第2のロック状態では、支持部分26が、その可能な直線移動範囲の上限である、基部部分20に対するその第2の位置である伸長位置に達している。先に述べられたように、この上限は、当接要素67a、67bの第2の対の相互の当接によって定められる。この第2のロック状態では、基部部分20の方に向かうシャフト30及び支持部分26の下方への移動が、シャフト30の外部ねじ山34とつば部32の内部ねじ山36との相互の当接によって阻止される。この目的のために、つば部32は、その2つの回転方向のうち第2の回転方向にその最大位置まで回転され、この結果、シャフト30及び支持部分26が最も高い位置、すなわち第2の位置である伸長位置、に達するまで、それらを上方に押したことになる。
【0085】
図10は、図9に示される支持部分26の第2のロック状態におけるシャフト30及びつば部32の相対位置を示す。
【0086】
図5図10を参照した支持部分26の第1及び第2のロック状態及び完全にロック解除された状態についての上記の説明に基づき、当業者には、つば部32は、その2つの反対の回転方向のうち第1の回転方向におけるその最大位置(図6に示されるような)と、その中途位置(図8に示されるような)との間の任意の中間位置まで回転されてもよいことが明らかとなろう。そのようなつば部32の中間位置において、ロック機構は、支持部分26を部分的にロック解除された状態に設定し、ここでは、支持部分26は、第1の位置である後退位置から、第1の位置である後退位置と第2の位置である伸長位置との間の中間位置まで、制限された距離にわたって、基部部分20に対して移動方向17に移動することを可能にされ、前記中間位置は、シャフト30の外部ねじ山34とつば部32の内部ねじ山36との相互の当接によって定められる。さらに、つば部32は、その2つの反対の回転方向のうち第2の回転方向におけるその最大位置(図10に示されるような)と、その中途位置(図8に示されるような)との間の任意の中間位置まで回転されてもよい。このようなつば部32の中間位置において、ロック機構は、支持部分26を部分的にロック解除された状態に設定し、ここでは、支持部分26は、第2の位置である伸長位置から、第1の位置である後退位置と第2の位置である伸長位置との間の中間位置まで、制限された距離にわたって、基部部分20に対して移動方向17に移動することを可能にされ、前記中間位置は、シャフト30の外部ねじ山34とつば部32の内部ねじ山36との相互の当接によって定められる。
【0087】
ロック機構のこれらの設定は、よって、例えば皮膚の敏感さに関して、異なる要求を有する異なるユーザに対処する。弾性サスペンションの特性を設定できることは、向上したユーザ体験をもたらす。これは、幅広いユーザに対して最適な剃りを達成できることを意味する。典型的なユーザは、システムをロック解除モードに保つ可能性があり、対して、一部の他のユーザは、皮膚の刺激を感じにくく、したがってロックモードを使用し、よって、皮膚の刺激の影響を経験しないことから、シェービング中により強く押し付けることができる。
【0088】
つば部30の回転調整を実現する様々な方式がある。
【0089】
図5図10は、先に説明されたように、ユーザが手動回転するための外部に突出した歯64を示す。
【0090】
図11は、外部手動レバー110を示す。それは例えば駆動歯64を回転させるために使用され、その場合、駆動歯64は基部部分20に対して完全に内部にある。
【0091】
しかし、図12は、回転可能な手動レバー110が代わりにロック機構を直接作動させることを示している。
【0092】
例えば、支持部分26の移動範囲は、レバー110の端部にあるタブ112と、支持部分26に設けられた傾斜した案内表面114との相互作用によって制限される。これは、上記のシャフト及びつば部のデザインに替わるものである。
【0093】
この例では、支持部分26は、図12に示されるようにタブ112が一方の位置にあるとき、最大限の移動範囲を有する。この範囲は、タブ112が傾斜した案内表面114に沿って回転されるのにつれて、徐々に狭められる。この回転は、支持部分26を基部部分20の方に押し下げ、よって、基部部分に対する支持部分26の許容される一番上の位置を制限する。レバー110の回転の限界を定める、傾斜した案内表面114の内側端114aにおいて、支持部分26は、その第1の位置である後退位置にロックされる。よって、支持部分26の移動範囲は、支持部分26は傾斜した案内表面114がタブ112に到達するまで上方に移動することしかできないという点で、レバー110の回転位置によって定められる。
【0094】
手動で作動可能な動作部材の代わりに、ロック機構は、シェーバヘッド内又は電気シェーバの主筐体内に配置された電気モータ又は他の種のアクチュエータによって作動されてもよい。図13は、減速のためのギアボックス130を示す。出力軸132が、駆動歯64を駆動する。ギアボックス130は、主筐体15に対して内部にあり、電気モータによって駆動される。
【0095】
図14は、回転部、すなわち駆動歯64及びつば部32、をより明瞭に示すために毛切断ユニットが取り除かれた状態の図13のデザインを示す。
【0096】
図15は、図5図10のデザインの斜視図を示し、図16は、回転部、すなわち駆動歯64及びつば部32、をより明瞭に示すために毛切断ユニットが取り除かれた状態の図15のデザインを示す。
【0097】
図17は、手動操作可能なスライダ170が使用される、図5図10のデザインの変形例の斜視図を示す。スライダは、ドライバ歯64と係合する線状歯面を有する。これは、回転部、すなわち駆動歯64及びつば部32、をより明瞭に示すために毛切断ユニットが取り除かれた状態の図17のデザインを示す図18でより明瞭に見ることができる。
【0098】
上記の例は、弾性サスペンションのロック機構の設定の手動制御、又は電気モータ若しくは他の種の電気アクチュエータを使用する制御を提供する。
【0099】
電気モータ又はアクチュエータは、シェーバのユーザインターフェースに与えられるユーザコマンドに応答して単純に使用される。例えば、選択ボタンがシェーバの主筐体に設けられるか、又はワイヤレス通信による遠隔デバイス(アプリを備えた携帯電話など)からの制御がある。
【0100】
しかし、代替法の一つは、使用時のシェービング性能に関係するフィードバックを使用して、シェービング中に弾性サスペンションを制御するものである。
【0101】
費用効果の高い1つの可能なフィードバックループ機構は、2つの機械的エンドストップの間で駆動可能なモータギアボックス(例えば図13の130)を用いる電気作動に基づく。その場合、フィードバックは、モータ電流監視システムに基づく。モータが時計回りに作動しており、モータ電流が閾値時間(例えば0.5秒)を上回って最大閾値を超えた場合、機械的なエンドストップに到達する。モータが反時計回りに作動している場合、このときも、ある電流閾値が検出され得る。
【0102】
これらのエンドストップに対する駆動は、シェービング性能に関する事前設定に基づく。
【0103】
(手動で又は電気的に)設定された条件が、例えばディスプレイ又はLEDの配列などの出力インターフェースを使用して、出力情報としてユーザに提供され得る。これは、機械エンコーダ又は光学エンコーダに基づいて検出される。代わりに、モータ駆動アルゴリズムが、モードとモードの間にパルス計数を行うことに基づいてもよく、次いで「ホーミング(homing)」アルゴリズムを使用して、機械的な「ゼロ」と電気的な「ゼロ」を一致させる。このホーミングは、モータとギアボックスの組み合わせを機械的なエンドストップまで動作させることを含む。モータの停動電流に到達すると、エンコーダは、パルスを読み出さなくなる。これが基準を設定する。よって、フィードバックが必要とされず、モータドライブを使用して位置情報を導出する。
【0104】
シェーバヘッドは、例えば、デフォルト設定を有し、これは、支持部分の最大限の移動範囲を許し、ばね部材が毛切断ユニットの組立体を伸長位置(すなわち、完全にロック解除された条件)にバイアスする、設定である。そして、ユーザは、そのように望む場合にはこの設定を無効にする。
【0105】
図面、本開示、及び添付の特許請求の範囲から、特許請求される本発明を実施する際に、開示される実施形態への変形が、当業者によって理解され、実施され得る。特許請求の範囲において、語「~を備える」は、他の要素又はステップを排除せず、単数形は、複数形を排除しない。
【0106】
特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、それらの手段の組み合わせを有利に使用できないことを意味しない。
【0107】
「適合される」という語が請求項又は詳細な説明中で使用されている場合、語「適合される」は、語「~ように構成されている」と同等であるように意図されることが留意される。
【0108】
特許請求の範囲内に参照符号がある場合、範囲を制限するものとは解釈すべきでない。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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